JP6198562B2 - マイクロ波を用いたメチルアルミノキサン組成物の製造方法 - Google Patents

マイクロ波を用いたメチルアルミノキサン組成物の製造方法 Download PDF

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本発明は、トリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物とからメチルアルミノキサン組成物を製造する方法に関し、より詳細には、トリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物とから得られる前駆体の熱分解をマイクロ波による加熱によって行う方法に関する。
得られるメチルアルミノキサン組成物は、オレフィン、スチレンおよびブタジエンなどの重合の触媒成分として遷移金属化合物と共に使用される。
メチルアルミノキサン組成物の製造方法は、種々知られている。一例として、トリメチルアルミニウムを炭素-酸素結合を含む含酸素有機化合物で処理して形成されるメチルアルミノキサン前駆体を非加水分解的転化する方法がある。この方法で調製したメチルアルミノキサン組成物は触媒的に有用なものである(特許文献1)。非加水分解的転化とは、通常、熱的な分解反応を意味している。
WO 97/23288 WO2010/055652 WO2011/142400 米国特許第6013820号明細書
オルガノメタリクス (Organometallics) 20,5162(2001)
特許文献1に記載の方法は、トリメチルアルミニウムを含酸素有機化合物で処理して形成されるメチルアルミノキサン前駆体の熱分解に際し、例えば、メチルアルミノキサン組成物を得るために80℃で5時間の加熱が必要である(実施例4)。固体状ポリメチルアルミノキサン組成物に関する特許文献2及び3においても、トリメチルアルミニウムを含酸素有機化合物である有機カルボン酸化合物と反応させて得られたメチルアルミノキサン前駆体を熱分解してメチルアルミノキサン組成物を得る方法が記載され、この方法においても、例えば、50℃・1時間、70℃・4時間及び60℃・6時間の加熱により、メチルアルミノキサン組成物を得ている(特許文献2、予備実験1)。
特許文献1においては、触媒量のメチルアルミノキサン組成物を添加することで反応が促進され、1時間55分の80℃加熱で反応が完結する(実施例2)。しかし、生成するメチルアルミノキサン組成物の保存安定性が著しく低下する。さらにメチルアルミノキサン組成物は、未反応の原料トリメチルアルミニウムを含んでいるため、メチルアルミノキサン組成物を添加することで、トリメチルアルミニウムと含酸素有機化合物の量比が設定値からずれるという問題もある。
非特許文献1には、塩化アルミニウムなどのルイス酸性化合物を添加することでも上記熱分解反応の促進効果が認められると述べている。しかし、ルイス酸性化合物の添加は、メチルアルミノキサン組成物の保存安定性を著し低下させ、また、メタロセン化合物と組み合わせてオレフィン重合用途へ展開する際に著しい活性低下をもたらす。
特許文献4は、触媒量の水を添加することにより、上述したメチルアルミノキサン前駆体の非加水分解的転化が促進されることを記載する。この方法は、特許文献1に記載の熱分解触媒としてのメチルアルミノキサン組成物添加の引き起こす問題を一部解決する。しかし、水の添加量の調整が容易ではなく、ゲル状物が生成して収率低下をもたらすことがある。
トリメチルアルミニウムを有機カルボン酸化合物のような含酸素有機化合物で処理して形成されるメチルアルミノキサン前駆体の熱分解によってメチルアルミノキサン組成物を製造する方法であって、分解促進を目的とする第三成分を添加することなしに、メチルアルミノキサン前駆体から短時間にメチルアルミノキサン組成物を製造でき、かつ得られたメチルアルミノキサン組成物は保存安定性に優れたものである、メチルアルミノキサン組成物の製造方法が望まれていた。
さらに、特許文献1〜3に記載の方法では、トリメチルアルミニウムを含酸素有機化合物に対して過剰量用いるので、調製されるメチルアルミノキサン組成物は、原料として用いた未反応のトリメチルアルミニウムを含有する。メチルアルミノキサン組成物中に共存するトリメチルアルミニウムは、メチルアルミノキサン組成物をオレフィンなどの重合用触媒の助触媒として用いる場合に、活性を低下させる原因となる。そのために、トリメチルアルミニウムの残留量が低減されたメチルアルミノキサン組成物の提供が望まれる。尚、含酸素有機化合物に対するトリメチルアルミニウムの使用量は、多い方が、メチルアルミノキサン前駆体が熱分解し易い傾向がある。そのため、メチルアルミノキサン前駆体の熱分解性を考慮すると、トリメチルアルミニウムの使用量を多くし、その結果、トリメチルアルミニウムの残留量が多くなる。従って、より具体的には、含酸素有機化合物に対するトリメチルアルミニウム使用量がある一定の値の場合に、従来法よりもトリメチルアルミニウムの残留量が低減したメチルアルミノキサン組成物の製造方法の提供が望まれる。
本発明の目的は、原料として用いるトリメチルアルミニウムの残留率を低減し、オレフィンなどの重合用助触媒成分としての有用性が向上し、かつ保存安定性も良好なメチルアルミノキサン組成物を、従来の方法に比べて短時間に、かつ良好な収率で製造できる方法を提供することにある。
さらに本発明は、トリメチルアルミニウムを含有するメチルアルミノキサン組成物であって、従来のメチルアルミノキサン組成物に比べてオレフィンなどの重合用助触媒成分として有用が向上し、かつ保存安定性も良好なメチルアルミノキサン組成物を提供することにある。より具体的には、トリメチルアルミニウムを含有するメチルアルミノキサン組成物であって、有機カルボン酸化合物中の酸素原子モル数に対するトリメチルアルミニウムのアルミニウムのモル数の比[Al]/[O]が所定範囲であり、かつこのモル比[Al]/[O]が特定の値における、メチルアルミノキサンに由来するメチル基及びトリメチルアルミニウムに由来するメチル基の合計量に対するトリメチルアルミニウムに由来するメチル基のモル分率が、従来のメチルアルミノキサン組成物より低い、トリメチルアルミニウムを含有するメチルアルミノキサン組成物を提供することも目的とする。
このような観点から、本発明者らは、熱分解の反応速度を上昇させるために添加するメチルアルミノキサン組成物およびルイス酸化合物を必要とせず、ゲル状物の生成を引起さない条件で反応が完結する反応系の検討を詳細に行った。その結果、含酸素有機化合物としてカルボン酸化合物を用いて得たメチルアルミノキサン前駆体は、マイクロ波を照射して加熱することで、従来の加熱方法に比べ著しく短時間で、かつ保存安定性が改善され、かつ原料として用いたトリメチルアルミニウムの残留率が低い、メチルアルミノキサン組成物が生成することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1]
トリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物とを反応させてメチルアルミノキサン前駆体を調製し、次いで得られたメチルアルミノキサン前駆体を熱分解してメチルアルミノキサン組成物を製造する方法において、前記熱分解はメチルアルミノキサン前駆体にマイクロ波を照射することで行う、前記アルミノキサン組成物の製造方法。
[2]
前記メチルアルミノキサン前駆体の調製及びメチルアルミノキサン前駆体を熱分解は、有機溶媒中で行い、かつメチルアルミノキサン前駆体の熱分解は100℃以上の温度で行う[1]に記載の製造方法。
[3]
メチルアルミノキサン前駆体に対するマイクロ波の照射は、メチルアルミノキサン前駆体が所定温度に加熱されるように連続的または断続的に行う[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]
メチルアルミノキサン前駆体に対するマイクロ波照射後に、得られた熱分解物は、放冷または強制冷却される[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]
メチルアルミノキサン前駆体のマイクロ波照射は、密閉耐圧容器中にて行われる[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]
メチルアルミノキサン前駆体のマイクロ波照射は、フロー型反応器中にて行われる[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[7]
有機カルボン酸化合物が、安息香酸、フタル酸及びトルイル酸から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物である[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]
マイクロ波照射されるメチルアルミノキサン前駆体は、メチルアルミノキサン前駆体調製用原料として用いたトリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物及び有機溶媒以外の成分を含まない、[2]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]
有機カルボン酸化合物中の酸素原子モル数に対するトリメチルアルミニウムのアルミニウムのモル数の比[Al]/[O]が1.1〜1.8の範囲であり、
反応生成物中のメチルアルミノキサンに由来するメチル基及びトリメチルアルミニウムに由来するメチル基の合計量に対するトリメチルアルミニウムに由来するメチル基のモル分率Me(TMAL)が下記式を満足する(但し、k≦63)[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
Me(TMAL)=k×[Al]/[O]−64.66
[10]
メチルアルミノキサン、トリメチルアルミニウムを含有し、かつ
メチルアルミノキサンに由来するメチル基及びトリメチルアルミニウムに由来するメチル基の合計量に対するトリメチルアルミニウムに由来するメチル基のモル分率Me(TMAL)が下記式を満足する(但し、k≦63)メチルアルミノキサン組成物(但し、メチルアルミノキサン組成物のモル数の比[Al]/[O]は1.1〜1.8の範囲である。)。
Me(TMAL)=k×[Al]/[O]−64.66
[11]
有機カルボン酸化合物及び/または有機溶媒をさらに含有する[10]に記載のメチルアルミノキサン組成物。
[12]
固体状である[10]に記載のメチルアルミノキサン組成物。
本発明によれば、原料のトリメチルアルミニウムの残留率が低減され、保存安定性に優れたメチルアルミノキサン組成物を比較的短い時間で調製できる方法を提供することが出来る。さらに、本発明によれば、原料のトリメチルアルミニウムの残留率が低減され、保存安定性に優れたメチルアルミノキサン組成物も提供できる。
本発明でメチルアルミノキサン組成物製造(実施例9)に用いたフロー型反応器の概略説明図である。 本発明のメチルアルミノキサン組成物中のトリメチルアルミニウムに帰属されるメチル基のモル分率を求めるための1H−NMRチャート例である。 本発明でメチルアルミノキサン組成物製造(実施例1,実施例2)で得られたメチルアルミノキサン組成物および反応途中のd8−THF溶媒を用いて測定した1H−NMRチャートである。a)は実施例1、b)は実施例2でマイクロ波加熱10分間することにより得られたメチルアルミノキサン組成物および反応途中のものである。 本発明でメチルアルミノキサン組成物製造(実施例3〜4)で得られたメチルアルミノキサン組成物のd8−THF溶媒を用いて測定した1H−NMRチャートである。a)は実施例4、b)は実施例3により得られたメチルアルミノキサン組成物のものである。 本発明でメチルアルミノキサン組成物製造(実施例5〜8)で得られたメチルアルミノキサン組成物および反応途中のd8−THF溶媒を用いて測定した1H−NMRチャートである。a)は実施例7、b)は実施例8、c)は実施例5、d)は実施例6により得られたメチルアルミノキサン組成物および反応途中のものである。 比較例4に相当する合成法にてメチルアルミノキサン組成物を調製した際の[Al]/[O]比設定値と生成メチルアルミノキサン組成物のMe(TMAL)値の関係を示す。近似式は、Me(TMAL)=65.4×[Al]/[O]−64.66。 マイクロ波照射におけるマイクロ波照射時間と加熱時間との関係を示す一例。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、トリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物とを反応させてメチルアルミノキサン前駆体を調製し、次いで得られたメチルアルミノキサン前駆体を熱分解してメチルアルミノキサン組成物を製造する方法において、前記熱分解はメチルアルミノキサン前駆体にマイクロ波を照射することで行う、前記アルミノキサン組成物の製造方法に関する。
<メチルアルミノキサン前駆体の調製>
トリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物とを反応させてメチルアルミノキサン前駆体を調製する。この反応によるメチルアルミノキサン前駆体の調製は、所定量のトリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物とを有機溶媒中で混合することが行うことができる。
有機カルボン酸化合物は、脂肪族または芳香族カルボン酸化合物である。有機カルボン酸化合物の具体例は、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、正酪酸、正吉草酸、正カプロン酸、正エナント酸、正カプリル酸、正ペラルゴン酸、正カプリン酸、正ラウリン酸、正ミリスチン酸、正ステアリン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、安息香酸、フタル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、トルイル酸などを挙げることが出来る。トリメチルアルミニウムとの反応性等を考慮して好ましいものは、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、フタル酸、トルイル酸、マロン酸である。これら有機カルボン酸化合物は、単独または複数を組合せて用いることも可能である。
メチルアルミノキサン前駆体の調製に用いるトリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物のモル比は、後続の熱分解によって所望の触媒活性を有するメチルアルミノキサン組成物を得るという観点及びメチルアルミノキサン組成物中のトリメチルアルミニウム残留量を考慮の上で、任意に設定することができる。有機カルボン酸化合物の酸素原子のモル量に対するトリメチルアルミニウムのアルミニウムのモル量の比[Al]:[O]は、例えば、0.5〜3.0:1.0の範囲で任意に設定することができる。好ましくは1.0〜1.8:1.0の範囲であり、さらに好ましくは1.15〜1.5:1.0の範囲である。トリメチルアルミニウムのアルミニウムと有機カルボン酸化合物の酸素原子のモル比が1.0を下回ると、メチルアルミノキサン組成物の粘度が高くなり、保存安定性が低下する場合がある。一方、トリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物の酸素原子のモル比が1.8を上回ると、メチルアルミノキサン組成物の粘度が低く抑えられ、保存安定性は向上するが、オレフィン重合活性が低下する傾向がある。保存安定性とオレフィン重合助触媒としての性能を考慮すると、より好ましくは1.15〜1.4:1.0の範囲である。
有機溶媒は、任意の不活性炭化水素化合物であることができる。不活性炭化水素化合物としては、例えばn-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、イソオクタンおよび精製ケロシンなどの飽和炭化水素化合物、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタンなどの環状脂肪族炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレンなどの芳香族炭化水素化合物が挙げられる。これらの化合物の中で、原料に対する溶解性等を考慮して好ましいものはn-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびトルエンである。
有機カルボン酸化合物及び有機溶媒は、事前に乾燥することが水の混入による副反応を抑制するという観点から適当である。トリメチルアルミニウムと有機溶媒の混合物と有機カルボン酸化合物とは、冷却しながら、不活性ガス雰囲気下でゆっくりと混合することが適当である。より具体的には、有機カルボン酸化合物にトリメチルアルミニウムと有機溶媒の混合物を冷却しながら滴下することができる。滴下終了後は、室温でさらに攪拌混合することができる。室温での攪拌混合は、例えば、10分から10時間の範囲で適宜実施できる。これにより、アルミニウム-酸素-炭素結合を有するアルミニウム化合物であるメチルアルミノキサン前駆体を得ることができる。各有機溶媒の使用量は、メチルアルミノキサン前駆体及びメチルアルミノキサン組成物の粘度や各反応の操作性等を考慮して適宜決定する事ができる。例えば、前記トリメチルアルミニウムと有機溶媒の混合物において、トリメチルアルミニウムと有機溶媒の比は、最終的に得られるメチルアルミノキサン組成物の有機溶媒の濃度が、例えば、4〜40質量%の範囲、好ましくは4〜30質量%の範囲、さらに好ましくは4〜20質量%の範囲になるように調整することができる。
<メチルアルミノキサン前駆体の熱分解>
前記で調製したメチルアルミノキサン前駆体は、熱分解してメチルアルミノキサン組成物を得る。熱分解はメチルアルミノキサン前駆体にマイクロ波を照射することで行う。用いるマイクロ波の周波数は特に制限がないが、例えば、1GHz〜300GHzの範囲の周波数を有するマイクロ波を用いることができ、通常は2.45GHzのマイクロ波を用いる。また、マイクロ波の照射方法には特に制限がなく、所望の加熱温度に制御できる範囲での連続的な照射または間欠的な照射またはその両者を組み合わせて行うことができる。
メチルアルミノキサン前駆体は、トリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物との混合比にもよるが、例えば、60℃以上の温度に加熱することで熱分解する。特許文献1〜3に記載の方法では、メチルアルミノキサン前駆体が含有する有機溶媒の沸点を考慮して、約60〜80℃の範囲の温度で加熱している。一方、本発明では、メチルアルミノキサン前駆体の熱分解は、マイクロ波照射により、例えば、80℃を超える温度で行うことが適当であり、より短時間で分解反応を完了させるという観点からは、100℃以上とすることが適当である。加熱温度の上限は、反応容器等の耐熱性や耐圧性等、さらには反応進行の制御の容易性等を考慮して例えば、250℃とすることができる。加熱温度は、好ましくは100℃〜200℃の範囲とすることができ、より好ましくは100℃〜170℃の範囲である。但し、熱分解に適した温度は、有機カルボン酸化合物の種類やメチルアルミノキサン前駆体の組成、特にトリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物と混合比に起因する組成により変化するので、メチルアルミノキサン前駆体の組成と、得られるメチルアルミノキサン組成物の組成、特にトリメチルアルミニウムの残留量等を考慮して適宜決定できる。
熱分解の時間は、メチルアルミノキサン前駆体の組成及び熱分解温度、さらには、バッチ法または連続法のいずれであるかによっても異なるが、例えば、10秒〜60分の範囲とすることができる。但し、10秒未満または60分を超える時間を排除する意図ではない。また、より短時間で熱分解反応終了するという観点からは、40分以下、好ましくは20分、より好ましくは10分以下となるように、温度及びメチルアルミノキサン前駆体の組成を調整することが好ましい。尚、本発明における熱分解は、マイクロ波照射による誘電加熱るより行われ、マイクロ波照射によって生じた原子の振動によって発熱が生じ、その結果加熱されることから、一般にマイクロ波照射イコール加熱時間ではない。本発明における加熱による熱分解の時間は、マイクロ波照射時間ではなく、マイクロ波照射によって生じた発熱により加熱されている時間を意味する。図7にマイクロ波照射時間と加熱時間との関係の一例を示す。図7に示す例は、実施例1の条件で反応容器内のメチルアルミノキサン前駆体の加熱温度が140℃になるようにマイクロ波照射をプログラム設定した場合のマイクロ波照射出力(Power)と反応容器温度の経時変化を示す。尚、加熱期間最後の温度上昇は、分解反応が急激に進んだ結果生じた発熱によるものと推察される。
熱分解は、バッチ法及び連続法のいずれでも実施できる。あるいはその両者の組み合わせてであっても良い。バッチ法の場合には、加熱温度が使用する有機溶媒の沸点を超える場合もあり、また超えない場合であっても、蒸気圧は高くなることから、耐圧性の容器で実施することが好ましい。連続法は、フロー型反応器を利用することができる。図1にフロー型反応器の一例を示す。このフロー型反応器は、メチルアルミノキサン前駆体の供給部、反応管(一重管)、反応管の反応部を収容し、マイクロ波照射装置を含む加熱部、さらに生成物の受容部を有する。加熱部はマイクロ波照射部である。反応管は、加熱部と生成物受容部の間に、背圧弁及び冷却部(例えば、ジャケット)を有することができる。背圧弁は、加熱部で生じる可能性があるリフラックス現象を抑制するために設置すること好ましい。また、加熱部以後の反応管は、放冷によっても急速に冷却され、30℃近傍へ冷却できるが、外気変動の影響を除外し、室温以下への冷却を促進するという観点からは、冷媒を通液したジャッケト等からなる冷却部を設置することが望ましい。
前記フロー型反応器の反応管は例えば、略円管であることができ、好ましくは、円管である。管の内径r1(直径)は、例えば、メチルアルミノキサン前駆体溶液の流量および濃度(有機有機の混合比)を考慮して適宜決定することができ、例えば、10μm〜10mmの範囲とすることができ、好ましくは100μm〜4mmの範囲、より好ましくは0.5mm〜3mmの範囲であることが適当である。尚、管の内径r1が10mm以下の反応管を用いることが、トリメチルアルミニウムの残留率を低減したアルミノキサン組成物を良好な収率で、かつ不溶性の生成物が生じることを回避しつつ連続的に製造することできるという観点で好ましい。
フロー型反応器に利用される反応管の長さは特に制限はなく、加熱部において所定熱分解温度に暴露すべき時間(滞留時間)を考慮して適宜決定できる。但し、あまり長くなると、液を流す際に要求される圧力が高くなり、液の流速を均一に保つことが難しくなる傾向があることから、例えば、1〜100mの範囲とすることができる。但し、この範囲に限定される意図ではない。反応管は、メチルアルミノキサン前駆体の供給部から生成物受容部までの同一の連続的な配管であっても、少なくとも加熱部の反応管が、メチルアルミノキサン前駆体の供給部から加熱部手前まで、及び加熱部終了後から生成物受容部まで別の材質で形成することもできる。
フロー型反応器の加熱部の反応管及びバッチ法における反応容器は、反応管または容器内のメチルアルミノキサン前駆体に良好にマイクロ波照射を行うという観点からは、反応管または容器の外部からマイクロ波照射する場合には、無機系(例えば、ガラス、石英、シリコンカーバイド(SiC))、及び有機系(例えば、PTFE、PVDF、TFEとヘキサフルオロプロピレン、PE、PPのいずれかとの共重合体、カプトン、ケプラー、PEEK、ポリエーテルイミド等のアモルファス系スーパーエンプラなど)を挙げることができる。また、マイクロ波を内部照射する場合(反応管または容器に導波管を直付けしてメチルアルミノキサン前駆体に直接マイクロ波を導入)の場合には、内部でマイクロ波が反射できる金属製であることが好ましい。
本発明の製造方法で得られるメチルアルミノキサン組成物は、目的物であるメチルアルミノキサン化合物(以下、単にメチルアルミノキサンと呼ぶこともある)に加えて、少なくとも未反応原料であるトリメチルアルミニウムを含む組成物(本発明では、「メチルアルミノキサン組成物」と総称する)である。メチルアルミノキサン化合物は、下記一般式(I)で表される単位からなると推定される化合物であって、鎖状構造または環状構造を有することができる。式中、nは1〜60の整数を示し、好ましくは、nは10〜50の整数である。本発明の製造方法で得られるメチルアルミノキサン組成物中では、通常は、nが異なる複数の化合物の混合物である。
−[(Me)Al−O]n− (I)
また、トリメチルアルミニウムはメタロセン触媒をはじめとする遷移金属錯体の活性化剤として作用しない。そのため、メチルアルミノキサン組成物中に残存するトリメチルアルミニウム量を抑制することが好ましい。したがって、メチルアルミノキサン組成物の調製においては、定量的な反応収率でメチルアルミノキサン組成物が得ることに加えて、メチルアルミノキサン組成物中のトリメチルアルミニウム量を制することが好ましい。メチルアルミノキサン組成物中のトリメチルアルミニウム量は、メチルアルミノキサン前駆体を調製する際に使用するトリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物との混合比にもよるが、本発明のように熱分解をマイクロ波照射により行い、かつ加熱温度を、80℃を超える温度、好ましくは100℃を超える温度で行うことで、メチルアルミノキサン組成物中のトリメチルアルミニウム量を抑制することができる。換言すると、本発明の製造方法においては、メチルアルミノキサン前駆体を調製する際に使用するトリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物との混合比が同一であっても、従来法に比べて、トリメチルアルミニウム量を抑制することができる。
一般にメチルアルミノキサン組成物は、保存中に自己会合し、溶媒に不溶なゲル状物を生成することがある。このゲル状物の生成現象はメチルアルミノキサン組成物の保存温度にも依存し、保存温度が低い方が長期間の保存安定性を示すことが知られている。本発明においては、保存安定性が良好なメチルアルミノキサン組成物を得るという観点から、熱分解反応終了後、反応液を速やかに降温すること好ましい。降温は放冷または強制冷却により行うことができる。メチルアルミノキサン組成物反応終了後の加熱継続は取得されるメチルアルミノキサン組成物の安定性を低下させる。熱分解をバッチ法で行う場合には、反応容器を速やかに冷却することが好ましい。連続法で行う場合には、フロー型反応器から流出する反応液を、反応液の流通管を冷却することで、冷却するか、または反応液をスプレーすることで、冷却することもできる。バッチ法及び連続法のいずれの場合にも、熱分解反応終了後、10分以内、好ましくは5分以内、より好ましくは3分以内に60℃以下の温度にすることが、保存安定性が良好なメチルアルミノキサン組成物を得るという観点から好ましい。
本発明において、メチルアルミノキサン組成物中に存在するトリメチルアルミニウムの量は、メチルアルミノキサン化合物およびトリメチルアルミニウムに由来するメチル基のモル分率により表現する。ここではトリメチルアルミニウムを原料とするメチルアルミノキサン組成物中のそれぞれの成分(メチルアルミノキサン化合物のメチル基,トリメチルアルミニウムのメチル基)のモル分率(それぞれ、Me(MAO),Me(TMAL)と略記)の求め方を具体例として説明する。メチルアルミノキサン組成物中のそれぞれの成分のモル分率は、メチルアルミノキサン組成物の1H−NMR測定により、それぞれの成分に帰属される面積比から求めることができる。メチルアルミノキサン組成物の具体的なMe(MAO),Me(TMAL)のモル分率の求め方は、実施例において例示する。
本発明においては、有機カルボン酸化合物中の酸素原子モル数に対するトリメチルアルミニウムのアルミニウムのモル数の比[Al]/[O]が1.1〜1.8の範囲であり、かつ反応生成物中のメチルアルミノキサンに由来するメチル基及びトリメチルアルミニウムに由来するメチル基の合計量に対するトリメチルアルミニウムに由来するメチル基のモル分率Me(TMAL)が下記式を満足するように、反応条件を選択することが、保存安定性が良好で、かつフィン重合のための助触媒として高い活性を発現するメチルアルミノキサン組成物を得るという観点から好ましい。
Me(TMAL)=k×[Al]/[O]−64.66
kは定数であり、保存安定性が良好で、かつフィン重合のための助触媒として高い活性を発現するメチルアルミノキサン組成物を得るという観点から好ましくはk≦63、より好ましくはk≦62、さらに好ましくはk≦61である。kは小さいほど好ましいが、下限は、例えば、実質的には50である。但し、この値に限定される意図ではない。
上記式におけるkが65.4である式は、実験的に求めたものであり、実験結果は図6に示す。この結果は、比較例4に相当する合成法にてメチルアルミノキサン組成物を調製した際のAl/O比設定値と生成メチルアルミノキサン組成物のMe(TMAL)値の関係である。比較例4は、特許文献1〜3の従来法に準じた条件でメチルアルミノキサン前駆体の熱分解を実施したものであり、従来法では、上記式中のkは65.4である。それに対して、本発明ではk≦63、より好ましくはk≦62、さらに好ましくはk≦61とすることが可能であり、kが小さいことは、メチル基のモル分率Me(TMAL)が相対的に低いことを意味する。その結果、保存安定性が良好で、かつフィン重合のための助触媒として高い活性を発現するメチルアルミノキサン組成物が得られる。
尚、本発明において調製されるメチルアルミノキサン組成物のアルミニウム含量は、例えば、0.5Nの硫酸水溶液で加水分解した溶液に過剰量のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを加えた後に、ジチゾンを指示薬とし硫酸亜鉛で逆滴定することにより求めることができる。測定濃度が希薄な場合は、原子吸光分析法を用いて測定を行うこともできる。
メチルアルミノキサン組成物は、反応後の処理を特に必要としないが、必要であれば、例えばアルミニウム濃度の調整等を目的として、減圧下に有機溶媒および内在する残留トリメチルアルミニウムなどの低沸点化合物を留去することも出来る。有機溶媒を除去して固体状メチルアルミノキサンを得ることもできる。
このように調製されたメチルアルミノキサン組成物は、均一系重合触媒を用いた場合においても、シリカなどの微粒子担体上へ遷移金属触媒と共に担持された固体触媒とした場合においても、オレフィン重合のための助触媒として高い活性を発現する。
本発明は、上記方法によって調製されたメチルアルミノキサン組成物を包含する。本発明のメチルアルミノキサン組成物は、メチルアルミノキサン、トリメチルアルミニウムを含有し、かつメチルアルミノキサンに由来するメチル基及びトリメチルアルミニウムに由来するメチル基の合計量に対するトリメチルアルミニウムに由来するメチル基のモル分率Me(TMAL)が下記式を満足するメチルアルミノキサン組成物である。
Me(TMAL)=k×[Al]/[O]−64.66
kは定数であり、保存安定性が良好で、かつフィン重合のための助触媒として高い活性を発現するメチルアルミノキサン組成物を得るという観点から好ましくはk≦63、より好ましくはk≦62、さらに好ましくはk≦61である。下限は、例えば、実質的には50である。kは小さいほど好ましい。前述のように、従来法では、上記式中のkは65.4である。それに対して、本発明のメチルアルミノキサン組成物ではk≦63、より好ましくはk≦62、さらに好ましくはk≦61であり、kが小さいメチルアルミノキサン組成物は、メチル基のモル分率Me(TMAL)が相対的に低く、保存安定性が良好で、かつフィン重合のための助触媒として高い活性を発現するメチルアルミノキサン組成物である。
[Al]/[O]は、原料として用いた有機カルボン酸化合物中の酸素原子モル数に対するトリメチルアルミニウムのアルミニウムのモル数の比であり、本発明のメチルアルミノキサン組成物中の[Al]/[O]に相当し、1.1〜1.8の範囲である。[Al]/[O]は、好ましくは1.15〜1.5の範囲、より好ましくは1.15〜1.4の範囲である。
メチルアルミノキサン組成物は、有機カルボン酸化合物及び/または有機溶媒をさらに含有することができる。また、本発明のメチルアルミノキサン組成物は、固体状であることもできる。固体状メチルアルミノキサン組成物の調製は、例えば、特許文献2及び3を参照することができる。
<重合触媒>
本発明の製造方法で得られたメチルアルミノキサン組成物及び本発明のメチルアルミノキサン組成物は、既存の遷移金属化合物と組み合わせて重合触媒調製に用いることができる。遷移金属化合物は、オレフィン重合用触媒として知られている公知の遷移金属化合物を用いることが出来る。このような遷移金属化合物は、例えば一般式(II)で表すことができる。
MR5R6R7R8 (II)
(式中、Mは遷移金属元素を示し、R5, R6 , R7, R8は一緒になってシクロアルカジエニル骨格を有する有機基、アルキル基、アルコシキ基、アリーロキシ基、アルキルシリル基、アルキルアミド基、アルキルイミド基、アルキルアミノ基、アルキルイミノ基、ハロゲン原子を示す。)
一般式(II)中のMとしては、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルあるいはパラジウムであり、好ましくはチタン、ジルコニウム、クロム、鉄、ニッケルである。
前記一般式(II)において、好ましい遷移金属化合物としては、例えばシクロアルカジエニル骨格を有する配位子が1個ないし2個配位したメタロセン化合物である。シクロアルカジエニル骨格を有する配位子としては、たとえばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル基などのアルキル置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などを例示することができ、シクロアルカジエニル基は2価の置換アルキレン基、置換シリレン基等で架橋されていてもよい。
シクロアルカジエニル骨格を有する配位子以外の配位子は、炭素数が1〜20の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルシリル基、アミノ基、イミノ基、ハロゲン原子または水素原子である。炭素数が2〜20の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などを例示することができ、具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロビル基、ブチル基などが例示され、シクロアルキル基としては、シクロぺンチル基、シクロへキシル基などが例示され、アリール基としては、フェニル基、トリル基などが例示され、アラルキル基としてはべンジル基などが例示される。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが例示され、アリーロキシ基としてはフェノキシ基などが例示される。これらの基にはハロゲン原子などが置換していてもよい。アルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが例示される。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示される。
前記一般式(II)中のMがジルコニウムである場合の、シクロアルカジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物について、具体的に化合物を例示する。ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノブロミドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)べンジルジルコニウムハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ネオぺンチルジルコニウムハイドライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドハイドライド、ビス(インデニル)ジルコニウムモノクロリドハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)シクロヘキシルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコニウムモノクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノメトキシモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノエトキシモノクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムモノエトキシモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノフエノキシモノクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
また、前記一般式(II)中のMがジルコニウムであり、シクロアルカジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個以上含み、かつ、この少なくとも2個のシクロアルカジエニル骨格を有する配位子がエチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基、ジメチルシリレンなどの置換シリレン基などを介して結合されている遷移金属化合物について、具体的な化合物を例示する.エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジエチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジフェニルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、エチレンビス(インデニル)エチルジルコニウムモノクロリド、エチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノブロミド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムブロミドなどを挙げることが出来る。
これらの遷移金属化合物は、均一系重合に際して、1種類のみ使用してもよいし、分子量分布調整等を目的として2種類以上を使用してもよい。また、あらかじめ固体触媒調製を行う場合に際しては、これらの遷移金属化合物を1種類のみ使用してもよいし、分子量分布調整等を目的として2種類以上を使用してもよい。
本発明のメチルアルミノキサン組成物を用いた均一系重合および本発明のメチルアルミノキサン組成物を用いた担持触媒を使用する重合は、重合形式として、溶媒を用いる溶液重合、溶媒を用いないバルク重合や気相重合等のいずれの方法においても適した性能を発揮する。また、連続重合、回分式重合のいずれの方法においても好ましい性能を発揮し、分子量調節剤としての水素なども必要に応じて用いることが出来る。
重合に用いられるモノマーについては、オレフィン系モノマーの単独およびそれらの組み合わされた共重合に用いることができるどのような化合物でも良い。具体例を示せば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-デセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどのα-オレフィン、ビスフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペンなどのハロゲン置換オレフィン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネンなどの環状オレフィンが挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。以下の反応は乾燥窒素ガス雰囲気下に行い、溶媒はすべて脱水および脱気したものを使用した。また、各特性の評価は下記の方法により行った。実験結果の一覧を表1に示す。
[試験方法]
(1)アルミニウム含量
メチルアルミノキサン組成物のアルミニウム含量は、基本的に0.5Nの硫酸水溶液で加水分解した溶液に過剰量のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを加えた後に、ジチゾンを指示薬とし硫酸亜鉛で逆滴定することにより求めた。測定濃度が希薄な場合は、原子吸光分析法を用いて測定を行った。
(2)メチル基のモル分率
メチルアルミノキサン組成物中のそれぞれの成分のモル分率は、メチルアルミノキサン組成物の1H−NMR測定により、それぞれの成分に帰属される面積比から求めた。以下にメチルアルミノキサン組成物の具体的なMe(MAO),Me(TMAL)のモル分率の求め方を例示する。メチルアルミノキサン化合物に由来するメチル基のモル分率をMe(MAO)と表す。トリメチルアルミニウムに由来するメチル基のモル分率をMe(TMAL)と表す。ここで求めたMe(TMAL)は、メチルアルミノキサン組成物中のトリメチルアルミニウム残留量の指標としての意味を有する。
まず、重溶媒にはd8−THFを用いてメチルアルミノキサン組成物の1H−NMR測定を実施する。1H−NMR測定は300MHz バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッドのGemini 2000NMR測定装置を用い、測定温度24℃で行った。1H−NMRチャートの例を図2に示す。
(i)−0.3ppmから−1.2ppm程度に現われるトリメチルアルミニウムを含むメチルアルミノキサン化合物のMe基ピークの全体の積分値を求め、これをI(メチルアルミノキサン)とする。
(ii)−1.1ppm付近のTMALに由来するMe基ピークを接線−1により切り出し、その積分値I(TMAL−Me)を求める。
(iii)(ii)で求めたそれぞれの積分値を、(i)で求めた積分値 I(メチルアルミノキサン)から引くと、トリメチルアルミニウムを含まないメチルアルミノキサン化合物のみのMe−基の積分値I(MAO−Me)を求めることができる。I(TMAL−Me)およびI(MAO−Me)をI(メチルアルミノキサン)で割って規格化すると、Me(MAO,Me(TMAL)のモル分率を求めることが出来る。
なお、それぞれのピークの切り出し方法としては、市販のカーブフィッティングプログラムを用いる方法やベースラインコレクションを用いる方法などにより簡便に行うことが出来る。
また、メチルアルミノキサン組成物の分析サンプルは、メチルアルミノキサン組成物の約0.05mlに対しd8−THFを約0.5ml添加することにより調製した。
(実施例1)
(1)メチルアルミノキサン組成物の合成
安息香酸(1.99g, 16.3mmol)を100ml 二口フラスコに入れ真空乾燥した。フラスコを氷浴で冷やしながら、TMALトルエン溶液(20ml,44.4mmol)を窒素雰囲気下ゆっくりと滴下した後、後室温に戻し1時間撹拌した。この溶液を前駆体溶液として加熱反応に使用([Al]/[O]=1.36)。氷浴で冷却中の反応容器内は白色固体の懸濁液であり、室温での撹拌により無色透明の溶液。溶液のNMR から安息香酸の消費を確認。グローブボックス中で、前駆体溶液(3ml)を耐圧ガラスチューブにはかり取り、セプタムキャップ後、グローブボックスから取り出した。その後、マイクロ波照射装置にセットし、10分間のマイクロ波加熱を行った。マイクロ波照射は、反応温度が140℃となるようにプログラムした。得られた反応液は透明な液体で、着色や不溶性固体の存在は認められなかった。(図3)
(2)メチルアルミノキサン組成物の評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液をd8−THF溶媒を用いて1H−NMR測定を行ったところ、Me(TMAL)値は19.2mol%であった。この液のAl濃度測定より求めた収率は100%であった。
(3)メチルアルミノキサン組成物のエチレン重合評価
攪拌装置を有する500mlのフラスコにトルエン250mlを導入し、これにAl原子基準で0.16gのメチルアルミノキサン組成物のトルエン溶液を加えた。次いで、Al/Zrモル比5000となるようにジシクロペンタジエニルジルコニウムクロライドを加え、40℃でエチレンガスを吹き込んだ。重合系内の圧力は1気圧で、重合時間は10minとした。重合停止は酸性メタノールを添加することにより行い、生成したポリエチレンを濾取、減圧乾燥後に重量測定することで重合活性を求めたところ、65×106g−PE/mol−Zr・atm・hrであった。
(4)メチルアルミノキサン組成物の室温保存安定性
得られたメチルアルミノキサン組成物をガラス製サンプル瓶中で室温下に保管したところ、25日後にゲル状物のガラス壁への付着を認めた。
(実施例2)
(1)メチルアルミノキサン組成物の合成
マイクロ波照射による加熱温度の設定値を120℃にプログラムしたこと以外は、実施例1と同様にしてメチルアルミノキサン組成物合成検討を行った。得られた反応液を1H−NMR測定したところ、反応中間体の残留が確認され、十分にメチルアルミノキサン組成物へ変換されていなかった。(図3)そこで、更にマイクロ波照射による120℃の加熱を30分間行ったところ、メチルアルミノキサン組成物の形成が完結しており、得られた反応液は透明な液体であった。
(2)メチルアルミノキサン組成物の評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液を実施例1(3)記載の方法と同様に1H−NMR測定を行ったところ、Me(TMAL)値は19.5mol%であった。この液のAl濃度測定より求めた収率は100%であった。
(3)メチルアルミノキサン組成物のエチレン重合評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液を実施例1(3)記載の方法と同様にエチレン重合を行ったところ、その重合活性は64×106g−PE/mol−Zr・atm・hrであった。
(実施例3)
(1)メチルアルミノキサン組成物の合成
安息香酸量を調整して[Al]/[O]比を1.75とし、マイクロ波照射による加熱温度の設定値を120℃にプログラムしたこと以外は、実施例1と同様にメチルアルミノキサン組成物合成を行った。得られた反応液は透明な液体で、着色や不溶性固体の存在は認められなかった。(図4)
(2)メチルアルミノキサン組成物の評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液をd8−THF溶媒を用いて1H−NMR測定を行ったところ、Me(TMAL)値は43.2mol%であった。この液のAl濃度測定より求めた全工程の収率は100%であった。
(3)メチルアルミノキサン組成物のエチレン重合評価
実施例1(3)記載の方法と同様にエチレン重合を行ったところ、その重合活性は41×106g−PE/mol−Zr・atm・hrであった。
(実施例4)
(1)メチルアルミノキサン組成物の合成
マイクロ波照射による加熱温度の設定値を100℃にプログラムしたこと以外は、実施例3と同様にメチルアルミノキサン組成物合成を行った。得られた反応液は透明な液体で、着色や不溶性固体の存在は認められなかった。(図4)
(2)メチルアルミノキサン組成物の評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液をd8−THF溶媒を用いて1H−NMR測定を行ったところ、Me(TMAL)値は42.5mol%であった。この液のAl濃度測定より求めた全工程の収率は100%であった。
(3)メチルアルミノキサン組成物のエチレン重合評価
実施例1(3)記載の方法と同様にエチレン重合を行ったところ、その重合活性は42×106g−PE/mol−Zr・atm・hrであった。
(実施例5)
(1)メチルアルミノキサン組成物の合成
安息香酸量を調整して[Al]/[O]比を1.50とし、マイクロ波照射による加熱温度の設定値を120℃にプログラムしたこと以外は、実施例1と同様にメチルアルミノキサン組成物合成を行った。得られた反応液を1H−NMR測定したところ、反応中間体の残留が確認され、十分にメチルアルミノキサン組成物へ変換されていなかった。(図5)そこで、更にマイクロ波照射による120℃の加熱を30分間行ったところ、メチルアルミノキサン組成物の形成が完結しており、得られた反応液は透明な液体であった。
(2)メチルアルミノキサン組成物の評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液をd8−THF溶媒を用いて1H−NMR測定を行ったところ、Me(TMAL)値は30.4mol%であった。この液のAl濃度測定より求めた全工程の収率は100%であった。
(3)メチルアルミノキサン組成物のエチレン重合評価
実施例1(3)記載の方法と同様にエチレン重合を行ったところ、その重合活性は56.3×106g−PE/mol−Zr・atm・hrであった。
(実施例6)
(1)メチルアルミノキサン組成物の合成
安息香酸量を調整して[Al]/[O]比を1.50とし、マイクロ波照射による加熱温度の設定値を130℃にプログラムしたこと以外は、実施例1と同様にメチルアルミノキサン組成物合成を行った。得られた反応液を1H−NMR測定したところ、反応中間体の残留が確認され、十分にメチルアルミノキサン組成物へ変換されていなかった。(図5)そこで、更にマイクロ波照射による130℃の加熱を10分間行ったところ、メチルアルミノキサン組成物の形成が完結しており、得られた反応液は透明な液体であった。(図5)
(2)メチルアルミノキサン組成物の評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液をd8−THF溶媒を用いて1H−NMR測定を行ったところ、Me(TMAL)値は30.0mol%であった。この液のAl濃度測定より求めた全工程の収率は100%であった。
(3)メチルアルミノキサン組成物のエチレン重合評価
実施例1(3)記載の方法と同様にエチレン重合を行ったところ、その重合活性は56×106g−PE/mol−Zr・atm・hrであった。
(実施例7)
(1)メチルアルミノキサン組成物の合成
安息香酸量を調整して[Al]/[O]比を1.50とし、マイクロ波照射による加熱時間を5分間にプログラムしたこと以外は、実施例1と同様にメチルアルミノキサン組成物合成を行った。得られた反応液を1H−NMR測定したところ、メチルアルミノキサン組成物の形成が完結しており、得られた反応液は透明な液体であった。(図5)
(2)メチルアルミノキサン組成物の評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液をd8−THF溶媒を用いて1H−NMR測定を行ったところ、Me(TMAL)値は29.5mol%であった。この液のAl濃度測定より求めた全工程の収率は100%であった。
(3)メチルアルミノキサン組成物のエチレン重合評価
実施例1(3)記載の方法と同様にエチレン重合を行ったところ、その重合活性は58×106g−PE/mol−Zr・atm・hrであった。
(実施例8)
(1)メチルアルミノキサン組成物の合成
マイクロ波照射による加熱温度の設定値を150℃にプログラムし、マイクロ波照射による加熱時間を3分間にプログラムしたこと以外は、実施例4と同様にメチルアルミノキサン組成物合成を行った。得られた反応液は透明な液体で、着色や不溶性固体の存在は認められなかった。(図5)
(2)メチルアルミノキサン組成物の評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液をd8−THF溶媒を用いて1H−NMR測定を行ったところ、Me(TMAL)値は30.2mol%であった。この液のAl濃度測定より求めた全工程の収率は100%であった。
(3)メチルアルミノキサン組成物のエチレン重合評価
実施例1(3)記載の方法と同様にエチレン重合を行ったところ、その重合活性は57×106g−PE/mol−Zr・atm・hrであった。
(実施例9)
(1)メチルアルミノキサン組成物の合成
図1に示したフロー型反応器を用いた。フロー型反応器は内径0.8mmのテフロンチューブであり、シリンジポンプにてメチルアルミノキサン前駆体のトルエン溶液を流速0.5mL/minで送液した。マイクロ波照射部での滞留時間は10分間となるようにした。
フロー型反応器を用いたこと以外は、実施例1と同様にメチルアルミノキサン組成物合成を行った。得られた反応液は透明な液体で、着色や不溶性固体の存在は認められなかった。
(2)メチルアルミノキサン組成物の評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液をd8−THF溶媒を用いて1H−NMR測定を行ったところ、Me(TMAL)値は19.5mol%であった。この液のAl濃度測定より求めた全工程の収率は100%であった。
(3)メチルアルミノキサン組成物のエチレン重合評価
実施例1(3)記載の方法と同様にエチレン重合を行ったところ、その重合活性は66×106g−PE/mol−Zr・atm・hrであった。
(4)メチルアルミノキサン組成物の室温保存安定性
得られたメチルアルミノキサン組成物を実施例1と同様な条件下に保存したところ、52日後にゲル状物の反応器壁への付着を認めた。
(比較例1)
(1)メチルアルミノキサン組成物の合成
マイクロ波を使用せず、140℃に設定したオイルバスに前駆体溶液を入れた耐圧ガラスチューブに浸けて加熱を、実施例1と同様にしてメチルアルミノキサン組成物合成検討を行った。得られた反応液を1H−NMR測定したところ、反応中間体の残留が確認され、十分にメチルアルミノキサン組成物へ変換されていなかった。そこで、更に140℃のオイルバス加熱を分間行ったところ、メチルアルミノキサン組成物の形成が完結しており、得られた反応液は透明な液体であった。
(2)メチルアルミノキサン組成物の評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液をd8−THF溶媒を用いて1H−NMR測定を行ったところ、Me(TMAL)値は24.0mol%であった。この液のAl濃度測定より求めた収率は100%であった。
(3)メチルアルミノキサン組成物のエチレン重合評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液を実施例1(3)記載の方法と同様にエチレン重合を行ったところ、その重合活性は60×106g−PE/mol−Zr・atm・hrであった。
(4)メチルアルミノキサン組成物の室温保存安定性
得られたメチルアルミノキサン組成物をガラス製サンプル瓶中で室温下に保管したところ、15日後にゲル状物のガラス壁への付着を認めた。
(比較例2)
(1)メチルアルミノキサン組成物の合成
マイクロ波を使用せず、100℃に設定したオイルバスに前駆体溶液を入れた耐圧ガラスチューブに浸けて加熱を、実施例3と同様にしてメチルアルミノキサン組成物合成検討を行った。得られた反応液を1H−NMR測定したところ、反応中間体の残留が確認され、十分にメチルアルミノキサン組成物へ変換されていなかった。そこで、更に100℃のオイルバス加熱を60分間行ったところ、メチルアルミノキサン組成物の形成が完結しており、得られた反応液は透明な液体であった。
(2)メチルアルミノキサン組成物の評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液をd8−THF溶媒を用いて1H−NMR測定を行ったところ、Me(TMAL)値は49.2mol%であった。この液のAl濃度測定より求めた収率は100%であった。
(3)メチルアルミノキサン組成物のエチレン重合評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液を実施例1(3)記載の方法と同様にエチレン重合を行ったところ、その重合活性は38×106g−PE/mol−Zr・atm・hrであった。
(比較例3)
(1)メチルアルミノキサン組成物の合成
安息香酸量を調整して[Al]/[O]比を1.50としたこと以外は、実施例7と同様にメチルアルミノキサン組成物合成を行った。得られた反応液を1H−NMR測定したところ、反応中間体の残留が確認され、十分にメチルアルミノキサン組成物へ変換されていなかった。そこで、更に100℃のオイルバス加熱を60分間行ったところ、メチルアルミノキサン組成物の形成が完結しており、得られた反応液は透明な液体であった。
(2)メチルアルミノキサン組成物の評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液をd8−THF溶媒を用いて1H−NMR測定を行ったところ、Me(TMAL)値は33.4mol%であった。この液のAl濃度測定より求めた全工程の収率は100%であった。
(3)メチルアルミノキサン組成物のエチレン重合評価
実施例1(3)記載の方法と同様にエチレン重合を行ったところ、その重合活性は56×106g−PE/mol−Zr・atm・hrであった。
(比較例4)
(1)メチルアルミノキサン組成物の合成
実施例1と同様に調製したメチルアルミノキサン前駆体反応液を耐圧密閉容器でない通常のガラスフラスコに還流冷却器(水冷)を付け、オイルバスにて80℃で4時間加熱し、その後60℃で6.5時間加熱することにより、メチルアルミノキサン組成物のトルエン溶液を得た。得られた溶液は、ゲル状物のない透明な液体であった。
(2)メチルアルミノキサン組成物の評価
得られたメチルアルミノキサン組成物の溶液をd8−THF溶媒を用いて1H−NMR測定を行ったところ、Me(TMAL)値は24.4mol%であった。この液のAl濃度測定より求めた全工程の収率は100%であった。また、得られた反応液のAl濃度は、9.3wt%であった。
(3)エチレン重合評価
実施例1(3)記載の方法と同様にエチレン重合を行ったところ、63×106g−PE/mol−Zr・atm・hrであった。
(4)メチルアルミノキサン組成物の室温保存安定性
得られたメチルアルミノキサン組成物をガラス製サンプル瓶中で室温下に保管したところ、30日後にゲル状物のガラス壁への付着を認めた。
図6に比較例4に相当する合成法にてメチルアルミノキサン組成物を調製した際の[Al]/[O]比設定値と生成メチルアルミノキサン組成物のMe(TMAL)値の関係を示す。
近似式は、Me(TMAL)=65.4×[Al]/[O]−64.66。
比較例4に相当する合成法とは、メチルアルミノキサン前駆体溶液の加熱処理に際し、全体の加熱時間の約4割を80℃で加熱し、残りを60℃加熱処理する方法を指す。
(比較例5)
(1)メチルアルミノキサン組成物の合成
実施例1と同様に調製したメチルアルミノキサン前駆体反応液を、耐圧密閉容器でない通常のガラスフラスコに還流冷却器(水冷)を付け、オイルバスにて90℃で加熱しメチルアルミノキサン組成物のトルエン溶液を得ようとしたところ、途中で急激な反応によりリフラックスが起こり、反応制御不能となった。得られた溶液は、ゲル状物が認められる粘調性の高い液体であった。
本発明は、メチルアルミノキサン組成物の製造分野に有用である。

Claims (6)

  1. トリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物とを反応させてメチルアルミノキサン前駆体を調製し、次いで得られたメチルアルミノキサン前駆体を熱分解してメチルアルミノキサン組成物を製造する方法において、
    前記メチルアルミノキサン前駆体の調製において、有機カルボン酸化合物中の酸素原子モル数に対するトリメチルアルミニウムのアルミニウムのモル数の比[Al]/[O]が1.15〜1.4の範囲であり、かつ
    前記熱分解は、フロー型反応器においてメチルアルミノキサン前駆体にマイクロ波を照射して120℃以上の温度に加熱し、加熱後に冷却器において冷却することで行い、ゲル状物を含まないメチルアルミノキサン組成物を得る、
    前記アルミノキサン組成物の製造方法。
  2. 前記メチルアルミノキサン前駆体の調製及びメチルアルミノキサン前駆体熱分解は、有機溶媒中で行う請求項1に記載の製造方法。
  3. メチルアルミノキサン前駆体のマイクロ波照射は、密閉耐圧容器中にて行われる請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  4. 有機カルボン酸化合物が、安息香酸、フタル酸及びトルイル酸から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  5. マイクロ波照射されるメチルアルミノキサン前駆体は、メチルアルミノキサン前駆体調製用原料として用いたトリメチルアルミニウムと有機カルボン酸化合物及び有機溶媒以外の成分を含まない、請求項2〜のいずれかに記載の製造方法。
  6. 応生成物中のメチルアルミノキサンに由来するメチル基及びトリメチルアルミニウムに由来するメチル基の合計量に対するトリメチルアルミニウムに由来するメチル基のモル分率Me(TMAL)が下記式を満足する(但し、k≦63)請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
    Me(TMAL)=k×[Al]/[O]−64.66
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