JP6197604B2 - 車両用加速抑制装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の従来技術では、ナビゲーション装置の地図データ、および車両の現在位置の情報に基づいて、車両が道路から外れた位置にあることを検出する。続いて、車両が道路から外れた位置にあることを検出すると、車両の車速を増加させる方向のアクセル操作があり、且つ、車両の車速が設定値より大きいと判定した場合に、アクセルの操作にかかわらず、車両に発生させる加速を低減させる。これにより、特許文献1に記載の従来技術では、運転者の意図しない車両の加速を抑制するようになっている。
(構成)
まず、本実施形態の車両用加速抑制装置1を備える車両の構成を説明する。
図1に示すように、車両Vは、車輪W(右前輪WFR、左前輪WFL、右後輪WRR、左後輪WRL)と、ブレーキ装置2と、流体圧回路4と、ブレーキコントローラ6と、を備える。また、車両Vは、エンジン8と、エンジンコントローラ12と、を更に備える。
流体圧回路4は、各ブレーキ装置2に接続する配管を含む回路である。
ブレーキコントローラ6は、上位コントローラである走行制御コントローラ10が出力した制動力指令値に基づき、各ブレーキ装置2で発生する制動力を、流体圧回路4を介して、制動力指令値に応じた値に制御する。すなわち、ブレーキコントローラ6は、減速制御装置を形成する。なお、走行制御コントローラ10に関する説明は後述する。
エンジンコントローラ12は、上位コントローラである走行制御コントローラ10が出力した目標スロットル開度信号(以下、「加速指令値」とも呼ぶ)に基づき、エンジン8で発生するトルク(駆動力)を制御する。すなわち、エンジンコントローラ12は、加速制御装置を形成する。なお、目標スロットル開度信号に関する説明は後述する。
周囲環境認識センサ14は、車両Vの周囲の路面の画像を撮像する。続いて、周囲環境認識センサ14は、撮像した各画像に基づき、複数の撮像方向に対応した個別の画像を含む情報信号(以下、「個別画像信号」とも呼ぶ)を生成する。そして、周囲環境認識センサ14は、生成した個別画像信号を走行制御コントローラ10に出力する。
操舵角センサ18は、例えば、ロータリエンコーダを用いて形成し、ステアリングホイール28を回転可能に支持するステアリングコラム(不図示)に設ける。また、操舵角センサ18は、ステアリングホイール28(操舵操作子)の現在の回転角度(以下、「現在操舵角」とも呼ぶ)を検出する。そして、操舵角センサ18は、検出した現在操舵角を含む情報信号(以下、「現在操舵角信号」とも呼ぶ)を走行制御コントローラ10に出力する。なお、操舵角センサ18は、右前輪WFR、左前輪WFL、つまり、操向輪の転舵角を含む情報信号を現在操舵角信号として走行制御コントローラ10に出力してもよい。
シフトポジションセンサ20は、シフト位置(例えば、P、D、R等)を変更する部材の現在位置を検出する。シフト位置を変更する部材としては、例えば、シフトノブ、シフトレバーがある。そして、シフトポジションセンサ20は、検出した現在位置を含む情報信号(以下、「シフト位置信号」とも呼ぶ)を走行制御コントローラ10に出力する。
なお、制動操作子は、ブレーキペダル30に限定するものではなく、運転者が操作して制動力を支持可能なものであればよい。制動操作子としては、例えば、運転者が手で傾ける操作を行うレバー等を用いてもよい。この場合、ブレーキ操作検出センサ22は、中立位置からのレバーの傾斜角度をブレーキ開度信号として出力する。
なお、加速指示操作子は、アクセルペダル32に限定するものではなく、運転者が加速を指示するために操作可能なものであればよい。加速指示操作子としては、例えば、運転者が手で傾ける操作を行うレバー等を用いてもよい。この場合、アクセル操作検出センサ24は、中立位置からのレバーの傾斜角度をアクセル開度信号として出力する。
走行制御コントローラ10は、CPUと、ROMおよびRAM等のCPU周辺部品と、を備える。また、走行制御コントローラ10は、駐車のための運転支援処理を行う駐車運転支援部を備える。駐車運転支援部は、機能的に、図2に示すように、周囲環境認識情報演算部10A、自車両車速演算部10B、操舵角演算部10C、操舵角速度演算部10Dの処理を備える。また、駐車運転支援部は、機能的に、シフトポジション演算部10E、ブレーキ操作量演算部10F、アクセル操作量演算部10G、アクセル操作速度演算部10H、加速抑制制御内容演算部10Iの処理を備える。さらに、駐車運転支援部は、機能的に、加速抑制指令値演算部10J、目標スロットル開度演算部10Kの処理を備える。これらの機能は、1つまたは2つ以上のプログラムで構成される。
操舵角演算部10Cは、操舵角センサ18が出力した現在操舵角信号、つまり、ステアリングホイール28の現在の回転角度に基づき、ステアリングホイール28の中立位置からの回転角を演算する。そして、操舵角演算部10Cは、演算した回転角を含む情報信号(以下、「操舵角信号」とも呼ぶ)を加速抑制制御内容演算部10Iに出力する。
シフトポジション演算部10Eは、シフトポジションセンサ20が出力したシフト位置信号、つまり、シフト位置を変更する部材の現在位置に基づき、当該現在位置を判定する。そして、シフトポジション演算部10Eは、判定した現在位置を含む情報信号(以下、「現在シフト位置信号」とも呼ぶ)を加速抑制制御内容演算部10Iに出力する。
次に、加速抑制制御内容演算部10Iの詳細な構成について説明する。
図3は、加速抑制制御内容演算部10Iの構成を示すブロック図である。
図3に示すように、加速抑制制御内容演算部10Iは、加速抑制作動条件判定部34と、駐車枠確信度設定部36と、駐車枠進入確信度設定部38と、総合確信度算出部40と、を備える。また、加速抑制制御内容演算部10Iは、加速抑制制御開始タイミング演算部42と、加速抑制制御量演算部44と、を備える。
加速抑制作動条件判定部34が加速抑制制御を作動させる条件(以下、「加速抑制作動条件」とも呼ぶ)が成立するか否かを判定する処理について説明する。
なお、加速抑制作動条件判定部34は、予め定めたサンプリング時間(例えば、10[msec.])毎に、以下に説明する処理を行う。
続いてステップS102に移行して、加速抑制作動条件判定部34は、ステップS100で取得した駐車枠確信度に基づいて、車両Vの進行方向に駐車枠が存在するか否かを判定する。具体的には、加速抑制作動条件判定部34は、駐車枠確信度が最低値(レベル0)であるか否かを判定する。そして、加速抑制作動条件判定部34は、駐車枠確信度が最低値(レベル0)であると判定した場合には(Yes)、車両Vの進行方向に駐車枠が存在すると判定し、ステップS104に移行する。一方、加速抑制作動条件判定部34は、駐車枠確信度が最低値(レベル0)以外であると判定した場合には(No)、車両Vの進行方向に駐車枠が存在しないと判定し、ステップS120に移行する。
続いてステップS106に移行して、加速抑制作動条件判定部34は、ステップS104で取得した車速が予め定めた閾値車速(例えば、15[km/h])未満であるか否かを判定する。なお、閾値車速は、15[km/h]に限定するものではなく、例えば、車両Vの諸元に応じて変更してもよい。また、閾値車速は、例えば、車両Vが走行する地域(国等)の交通法規等に応じて変更してもよい。そして、加速抑制作動条件判定部34は、車速が閾値車速(15[km/h])未満であると判定した場合には(Yes)、ステップS108に移行する。一方、加速抑制作動条件判定部34は、車速が閾値車速(15[km/h])以上であると判定した場合には(No)、ステップS120に移行する。
続いてステップS110に移行して、加速抑制作動条件判定部34は、ステップS108で取得したブレーキペダル30の開度に基づいて、ブレーキペダル30が操作されているか否かを判定する。そして、加速抑制作動条件判定部34は、ブレーキペダル30が操作されていないと判定した場合には(No)、ステップS112に移行する。一方、加速抑制作動条件判定部34は、ブレーキペダル30が操作されていると判定した場合には(Yes)、ステップS120に移行する。
続いてステップS114に移行して、加速抑制作動条件判定部34は、ステップS112で取得したアクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)が予め定めた閾値アクセル操作量(例えば、アクセルペダル32の開度の3[%]に相当する操作量)以上であるか否かを判定する。なお、アクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)は、アクセルペダル32を最大値まで踏み込んだ状態を100%として設定する。また、閾値アクセル操作量は、アクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)の3[%]に相当する操作量に限定するものではなく、例えば、車両Vの制動性能等、車両Vの諸元に応じて変更してもよい。そして、加速抑制作動条件判定部34は、アクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)が閾値アクセル操作量(アクセルペダル32の開度の3[%]に相当する操作量)以上であると判定した場合には(Yes)、ステップS116に移行する。一方、加速抑制作動条件判定部34は、アクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)が閾値アクセル操作量(アクセルペダル32の開度の3[%]に相当する操作量)未満であると判定した場合には(No)、ステップS120に移行する。
ここで、駐車枠進入判定情報取得処理の具体例を説明する。
駐車枠進入判定処理では、加速抑制作動条件判定部34は、例えば、以下に示す3つの条件(A1〜A3)をすべて満足した場合に、車両Vが駐車枠へ進入すると判定する。
条件A1.ステップS116で検出した操舵角が設定舵角値(例えば、45[deg])以上の値となってから経過した時間が、設定時間(例えば、20[sec.])以内である。
条件A2.車両Vと駐車枠L0の角度αが、設定角度(例えば、40[deg])以下である。
条件A3.車両Vと駐車枠L0の距離Dが、設定距離(例えば、3[m])以下である。
一方、ステップS122では、加速抑制作動条件判定部34は、加速抑制作動条件が成立する判定結果(加速抑制作動条件判定結果)を含む情報信号を加速抑制作動条件判定結果信号として生成した後、ステップS124に移行する。
駐車枠確信度設定部36が駐車枠確信度を算出する処理について説明する。
なお、駐車枠確信度設定部36は、予め定めたサンプリング時間(例えば、10[msec.])毎に、以下に説明する処理を行う。
図7に示すように、ステップS200では、駐車枠確信度設定部36は、駐車枠確信度のレベルを最低値(レベル0)に設定する。
続いてステップS202に移行して、駐車枠確信度設定部36は、周囲環境認識情報演算部10Aが出力した俯瞰画像信号から、車両Vの周囲の路面の俯瞰画像を取得する。
ここで、道路標示線抽出処理の具体例を説明する。
道路標示線抽出処理では、駐車枠確信度設定部36は、図9(a)に示すように、進行方向画像を二値化処理して白黒画像を形成する。続いて、駐車枠確信度設定部36は、形成した白黒画像に対して横方向への走査を行う。道路標示線Lm、Lnは、路面に比べ、十分に明るい色(例えば、白色)で標示される。それゆえ、道路標示線Lm、Lnは、路面に比べ、輝度が高くなる。そのため、図9(b)に示すように、路面から道路標示線に変化する境界部分では、輝度が急激に高くなるプラスエッジが検出される。なお、図9(b)は、左方向から右方向への走査を行った場合の白黒画像中の画素の輝度変化を表すグラフである。図9(b)では、プラスエッジを符合「E+」で表し、図9(c)では、プラスエッジを符合「E+」を付した太い実線で表す。また、道路標示線から路面に変化する境界部分では、輝度が急激に低くなるマイナスエッジが検出される。図9(b)では、マイナスエッジを符合「E−」で表し、図9(c)では、マイナスエッジを符合「E−」を付した太い点線で表す。それゆえ、駐車枠確信度設定部36は、走査結果として、プラスエッジ(E+)、マイナスエッジ(E−)の順に、隣接する一対のエッジを検出する。これにより、駐車枠確信度設定部36は、進行方向画像から、白黒画像に対して縦方向に延びている道路標示線、つまり、同方向に延びており並列な道路標示線を抽出する。
続いて、駐車枠確信度設定部36は、抽出した道路標示線のうちに、未選択の隣接する2つの道路標示線があるか否かを判定する。そして、駐車枠確信度設定部36は、未選択の隣接する2つの道路標示線があると判定した場合には、未選択の隣接する2つの道路標示線を1組選択し、選択した2つの道路標示線で上記道路標示線群の検出フローを再度実行して繰り返す。一方、駐車枠確信度設定部36は、未選択の隣接する2つの道路標示線がないと判定した場合には、上記道路標示線群の検出フローの繰り返しを終了する。
続いてステップS208に移行して、駐車枠確信度設定部36は、ステップS206で検出した道路標示線群が2つ以上であるか否かを判定する。そして、駐車枠確信度設定部36は、道路標示線群が2つ以上であるであると判定した場合には(Yes)、ステップS210に移行する。一方、駐車枠確信度設定部36は、道路標示線群が2未満であると判定した場合には(No)、ステップS220に移行する。
続いてステップS212に移行して、駐車枠確信度設定部36は、ステップS206で検出した道路標示線群同士が平行であるか否かを判定する。具体的には、駐車枠確信度設定部36は、道路標示線群同士のなす角度が設定値(例えば、15[deg])以下であるか否かを判定する。道路標示線群同士のなす角度としては、例えば、一の道路標示線群を形成する2つの道路標示線のいずれか一方の道路標示線と、他の道路標示線群を形成する2つの道路標示線のいずれか一方の道路標示線とのなす角度がある。また、道路標示線群同士のなす角度としては、例えば、一の道路標示線群を形成する2つの道路標示線を合成してなる平均直線と、他の道路標示線群を形成する2つの道路標示線を合成してなる平均直線とのなす角度がある。そして、駐車枠確信度設定部36は、道路標示線群同士のなす角度が設定値(15[deg])以下であると判定した場合には(Yes)、道路標示線群同士が平行であると判定し、ステップS214に移行する。一方、駐車枠確信度設定部36は、道路標示線群同士のなす角度が設定値(15[deg])より大きいと判定した場合には(No)、道路標示線群同士が平行ではないと判定し、ステップS220に移行する。
これにより、駐車枠確信度設定部36は、道路標示線群が2つ以上であり、且つ、道路標示線群同士のなす角度が設定値(15[deg])以下であると判定した場合に、駐車枠確信度のレベルをレベル2にする(図7のS208、S212「Yes」、S214)。
これにより、駐車枠確信度設定部36は、隣接する道路標示線間の間隔同士の差が設定値(20[cm])以下であると判定した場合に、隣接する道路標示線間の間隔同士の差が設定値(20[cm])より大きいと判定した場合に比べ、駐車枠確信度を高くする。
駐車枠進入確信度設定部38が駐車枠進入確信度を算出する処理について説明する。
なお、駐車枠進入確信度設定部38は、予め定めたサンプリング時間(例えば、10[msec.])毎に、以下に説明する処理を行う。
図10に示すように、ステップS300では、駐車枠進入確信度設定部38は、周囲環境認識情報演算部10A、自車両車速演算部10B、シフトポジション演算部10E、および操舵角センサ18が出力した各種の情報信号に基づいて、ずれ量検出処理を行う。ずれ量検出処理では、車両Vの後輪予想軌跡と駐車枠とのずれ量を検出する。
ずれ量検出処理では、駐車枠進入確信度設定部38は、図11に示すように、俯瞰画像、車両Vの車速、およびステアリングホイール28の回転角(操舵角)に基づいて、車両Vの後輪予想軌跡TRを算出する。続いて、駐車枠進入確信度設定部38は、算出した後輪予想軌跡TRと駐車枠L0の入り口L2との交点TPを算出する。続いて、駐車枠進入確信度設定部38は、算出した交点TPと駐車枠L0の左側枠線L1lとの距離Lfl、および駐車枠L0の右側枠線L1rと交点TPとの距離Lfrを算出する。続いて、駐車枠進入確信度設定部38は、算出した距離Lfrと距離Lflとのうち長いほうの距離Lfr、Lflを車両Vの後輪予想軌跡TRと駐車枠L0とのずれ量として検出する。
続いてステップS304に移行して、駐車枠進入確信度設定部38は、自車両車速演算部10Bおよび操舵角センサ18が出力した車速演算値信号および操舵角信号に基づいて、車両Vの旋回半径を算出する。
一方、ステップS316では、駐車枠進入確信度設定部38は、駐車枠進入確信度をレベル0よりも高いレベル(レベル高)とする。続いて、駐車枠進入確信度設定部38は、設定した駐車枠確信度(レベル高)を含む駐車枠進入確信度信号を加速抑制制御内容演算部10Iに出力した後、この演算処理を終了する。
なお、車両Vの構成が、例えば、運転者に対して駐車枠L0への操舵操作を支援する装置(駐車支援装置)を備える構成である場合、駐車支援装置がON状態であれば、駐車枠進入確信度のレベルが上がりやすくなる構成としてもよい。駐車支援装置としては、例えば、駐車を行うために周囲の状況を俯瞰画像でモニタ表示する装置や、駐車を行うための進路をガイドするために画面上で目標とする駐車位置を設定する装置がある。これらの装置は、周囲の状況を俯瞰画像でモニタ表示するために画面を切り替えるスイッチや、画面上で目標とする駐車位置を設定するための画面切り替えスイッチを操作して使用する。そして、これらのスイッチを操作すると、駐車支援装置がON状態となる構成とする。
総合確信度算出部40が総合確信度を算出する処理について説明する。
総合確信度算出部40は、駐車枠確信度設定部36および駐車枠進入確信度設定部38が出力した駐車枠確信度信号および駐車枠進入確信度信号を取得する。続いて、総合確信度算出部40は、取得した駐車枠確信度信号が含む駐車枠確信度と、駐車枠進入確信度信号が含む駐車枠進入確信度とに応じた総合確信度を総合確信度算出マップから読み出す。総合確信度算出マップとしては、例えば、図12に示すように、駐車枠確信度と駐車枠進入確信度との組み合わせに応じて予め定めた総合確信度を記憶するマップがある。総合確信度算出マップでは、駐車枠確信度が「レベル1」であり、且つ、駐車枠進入確信度が「レベル低」または「レベル高」である場合には、総合確信度を「極低」とする。また、総合確信度算出マップでは、駐車枠確信度が「レベル2」であり、且つ、駐車枠進入確信度が「レベル低」または「レベル高」である場合には、総合確信度を「低」とする。さらに、総合確信度算出マップでは、駐車枠確信度が「レベル3」であり、且つ、駐車枠進入確信度が「レベル低」または「レベル高」である場合には、総合確信度を「高」とする。
加速抑制制御開始タイミング演算部42が加速抑制制御開始タイミングを演算する処理について説明する。
加速抑制制御開始タイミング演算部42は、総合確信度算出部40が出力した総合確信度信号を取得する。続いて、加速抑制制御開始タイミング演算部42は、取得した総合確信度信号が含む総合確信度に応じた加速抑制制御開始タイミング(以下、「設定閾値」とも呼ぶ)を加速抑制条件演算マップから読み出す。加速抑制制御条件演算マップとしては、例えば、図13に示すように、総合確信度に応じて予め定めた加速抑制制御開始タイミングを記憶するマップがある。加速抑制制御条件演算マップでは、総合確信度が「高」である場合には、加速抑制制御開始タイミング(設定閾値)をアクセルペダル32の開度が増加して「30[%]」に達したタイミングに設定する。また、加速抑制制御条件演算マップでは、総合確信度が「低」である場合には、加速抑制制御開始タイミング(設定閾値)をアクセルペダル32の開度が増加して「50[%]」に達したタイミングに設定する。さらに、加速抑制制御条件演算マップでは、総合確信度が「極低」である場合には、加速抑制制御開始タイミング(設定閾値)をアクセルペダル32の開度が増加して「80[%]」に達したタイミングに設定する。そして、加速抑制制御開始タイミング演算部42は、読み出した加速抑制制御開始タイミングを含む情報信号(加速抑制制御開始タイミング信号)を目標スロットル開度演算部10Kに出力する。
加速抑制制御量演算部44が加速抑制制御量を演算する処理について説明する。
加速抑制制御量演算部44は、総合確信度算出部40が出力した総合確信度信号を取得する。続いて、加速抑制制御量演算部44は、取得した総合確信度信号が含む総合確信度に応じた加速抑制制御量を加速抑制条件演算マップから読み出す。加速抑制条件演算マップとしては、例えば、図13に示すように、総合確信度に応じて予め定めた加速抑制制御量を記憶するマップがある。加速抑制条件演算マップでは、総合確信度が「極低」である場合には、加速抑制制御量をアクセルペダル32の開度に対して「小」レベルのスロットル開度(例えば、50%の開度)に抑制する制御量に設定する。
次に、加速抑制指令値演算部10Jで行う処理について説明する。
なお、加速抑制指令値演算部10Jは、予め定めたサンプリング時間(例えば、10[msec.])毎に、以下に説明する処理を行う。
図14に示すように、ステップS400では、加速抑制指令値演算部10Jは、加速抑制制御内容演算部10Iが出力した加速抑制作動条件判定結果信号から、加速抑制作動条件判定結果を取得する。
続いてステップS404に移行して、加速抑制指令値演算部10Jは、ステップS400で取得した加速抑制作動条件判定結果が加速抑制作動条件が成立する判定結果である(以下、「加速抑制制御作動条件成立」とも呼ぶ)か否かを判定する。そして、加速抑制指令値演算部10Jは、加速抑制制御作動条件成立であると判定した場合には(Yes)、ステップS406に移行する。一方、加速抑制指令値演算部10Jは、加速抑制制御作動条件成立ではないと判定した場合には(No)、ステップS410に移行する。
一方、ステップS410では、加速抑制指令値演算部10Jは、加速抑制制御を行わず、通常の加速制御を行わせる加速指令値(通常加速指令値)を演算する。
次に、目標スロットル開度演算部10Kで行う処理について説明する。
なお、目標スロットル開度演算部10Kは、予め定めたサンプリング時間(例えば、10[msec.])毎に、以下に説明する処理を行う。
図15に示すように、ステップS500では、目標スロットル開度演算部10Kは、アクセル操作量演算部10Gが出力した駆動側踏込み量信号から、アクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)を取得する。
続いてステップS504に移行して、目標スロットル開度演算部10Kは、ステップS500で取得したアクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)、およびステップS502で取得した加速抑制指令値または通常加速指令値に基づいて、目標スロットル開度を演算する。具体的には、目標スロットル開度演算部10Kは、ステップS502で通常加速指令値を取得したと判定した場合には、アクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)に応じたスロットル開度を目標スロットル開度として演算する。これにより、目標スロットル開度演算部10Kは、アクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)に応じた加速を車両Vに発生させる。
次に、本実施形態の車両用加速抑制装置1を備える車両の動作を説明する。
駐車場内において、車両Vの運転者が、車両Vを駐車枠へ進入させているときに、ブレーキペダル30と間違えてアクセルペダル32を踏み込み、アクセルペダル32の開度が50[%]を超えたとする。すると、走行制御コントローラ10が、アクセルペダル32の開度が閾値アクセル操作量(3[%])以上であると判定する(図5のステップS114「Yes」)。続いて、走行制御コントローラ10が、図5のステップS116を経て、車両Vが駐車枠に進入すると判定する(図5のステップS118「Yes」)。続いて、走行制御コントローラ10が、加速抑制作動条件が成立する加速抑制作動条件判定結果を含む加速抑制作動条件判定結果信号を演算する(図5のステップS122、S124)。
ここで、図8に示すように、駐車場に複数の駐車枠が並べて設けられ、2つ以上の並列な駐車枠により、3つ以上の並列な駐車枠線が進行方向画像内に存在したとする。すると、走行制御コントローラ10が、取得した進行方向画像から、3つ以上の並列な道路標示線を抽出する(図7のステップS204)。続いて、走行制御コントローラ10が、抽出した道路標示線から2つ以上の道路標示線群を検出する(図7のステップS206)。続いて、走行制御コントローラ10が、検出した道路標示線群が2つ以上であると判定する(図7のステップS208「Yes」)。続いて、走行制御コントローラ10が、駐車枠確信度のレベルをレベル0からレベル1に再設定する(図7のステップS210)。
このように、本実施形態では、アクセルペダル32の開度に応じた車両Vの加速を抑制する。これにより、本実施形態では、ブレーキペダル30と間違えてアクセルペダル32を踏み込んだ場合にも、運転者の意図しない車両Vの加速を抑制できる。
本実施形態では、図1のアクセルペダル32が加速指示操作子を構成する。以下同様に、図1、図2のアクセル操作検出センサ24が加速操作量検出部を構成する。図2の目標スロットル開度演算部10K、図16のステップS504が加速制御部を構成する。また、図1、図2の周囲環境認識センサ14が画像撮像部を構成する。さらに、図2、図3の加速抑制制御内容演算部10I、図3の駐車枠確信度設定部36、図7のステップS204が道路標示線抽出部を構成する。また、図2、図3の加速抑制制御内容演算部10I、図3の駐車枠確信度設定部36、図7のステップS206が道路標示線群検出部を構成する。また、図2の加速抑制制御内容演算部10I、図3の総合確信度算出部40、加速抑制制御量演算部44、図2の目標スロットル開度演算部10Kが加速低減部を構成する。さらに、図2の加速抑制指令値演算部10J、図3の駐車枠確信度設定部36、図16のステップS506が低減開始部を構成する。また、図2の加速抑制指令値演算部10J、図3の駐車枠確信度設定部36、加速抑制制御開始タイミング演算部42、図7のステップS216、S218、図16のステップS506が設定閾値低減部を構成する。
本実施形態は、以下の効果を奏する。
(1)走行制御コントローラ10は、アクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)を検出する。続いて、走行制御コントローラ10は、検出された操作量に応じた加速を車両Vに発生させる。また、走行制御コントローラ10は、車両Vの進行方向の路面の画像(進行方向画像)から、路面上の道路標示線を抽出する。続いて、走行制御コントローラ10は、抽出した道路標示線のうち、隣接する2つの道路標示線を道路標示線群として検出する。続いて、走行制御コントローラ10は、検出した道路標示線群が2つ以上であり、且つ、道路標示線群同士のなす角度が設定値(15[deg])以下であると判定した場合に、車両Vに発生させる加速を低減させる。
このような構成によれば、道路標示線間の距離が設定距離内(2〜5[m]の距離内)であり、且つ、道路標示線同士のなす角度が設定値(15[deg])以下である、隣接する2つの道路標示線は、駐車枠を形成する駐車枠線である可能性が高い。それゆえ、駐車枠線である可能性が高い道路標示線を、道路標示線群として検出できる。
なお、本実施形態では、走行制御コントローラ10が、道路標示線群が2つ以上であり、且つ、道路標示線群同士のなす角度が設定値(15[deg])以下であると判定した場合に、アクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)に応じて車両Vに発生させる加速を低減させる例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、走行制御コントローラ10が、検出した道路標示線群の数が、車両Vの進行方向側端部(前端部または後端部)が駐車枠の入り口に進入した際に進行方向画像内に存在し得る駐車枠の最大数(例えば、4)よりも大きい設定数(例えば、10)以上であると判定した場合には、アクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)に応じて車両Vに発生させる加速の低減を行わない構成としてもよい。これにより、例えば、横断歩道の縞模様を形成する線それぞれを道路標示線として抽出し、抽出した道路標示線を基に道路標示線群の数が設定数(10)以上であると判定した場合には、アクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)に応じて車両Vに発生させる加速の低減を行わない。それゆえ、本変形例では、駐車枠確信度の誤設定を防止でき、駐車枠確信度をより適切に設定できる。
また、例えば、検出した道路標示線群を形成する道路標示線のいずれかの長さが、一般的な駐車枠の奥行き方向の長さよりも長い設定距離(例えば、6[m])以上であると判定した場合には、アクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)に応じて車両Vに発生させる加速の低減を行わない構成としてもよい。ここで、交差点での右折または左折中に、車両Vの車速が15[km/h]未満となり、走行制御コントローラ10が、右折先または左折先の道路の車線区分線を道路標示線として検出し、検出した道路標示線を基に車両Vの加速の抑制を行ったとする。そして、交差点を右折または左折した後に、進行方向画像内の道路標示線の長さが設定距離(6[m])以上になったとする。すると、走行制御コントローラ10が、道路標示線群を形成する道路標示線の長さが設定距離(6[m])以上であると判定し、アクセルペダル32の開度(加速指示操作子の操作量)に応じて車両Vに発生させる加速の低減を行わない。そのため、車両Vの加速の抑制を弱めることができ、車両Vが交差点を右折または左折した後に、車両Vの加速が妨げられることを防止できる。
10J 加速抑制指令値演算部(低減開始部、設定閾値低減部)
10K 目標スロットル開度演算部(加速制御部、加速低減部)
14 周囲環境認識センサ(画像撮像部)
24 アクセル操作検出センサ(加速操作量検出部)
32 アクセルペダル(加速指示操作子)
36 駐車枠確信度設定部(道路標示線抽出部、道路標示線群検出部、低減開始部、設定閾値低減部)
40 総合確信度算出部(加速低減部)
42 加速抑制制御開始タイミング演算部(設定閾値低減部)
44 加速抑制制御量演算部(加速低減部)
Claims (2)
- 運転者が加速を指示するために操作する加速指示操作子と、
前記加速指示操作子の加速操作量を検出する加速操作量検出部と、
検出された前記加速操作量に応じた加速を車両に発生させる加速制御部と、
前記車両の進行方向の路面を撮像して画像を取得する画像撮像部と、
取得された前記画像から、路面上の道路標示線を抽出する道路標示線抽出部と、
前記道路標示線抽出部により抽出された前記道路標示線のうち、隣接する2つの前記道路標示線を道路標示線群として検出する道路標示線群検出部と、
前記道路標示線群検出部により検出された前記道路標示線群が2つ以上であり、且つ、前記道路標示線群同士のなす角度が設定値以下であると判定した場合に、前記加速制御部に発生させる前記加速を低減させる加速低減部と、を備え、
前記加速低減部は、
前記道路標示線群検出部により検出された前記道路標示線群が2つ以上であり、且つ、前記道路標示線群同士のなす角度が設定値以下であると判定した場合に、前記加速操作量検出部で検出された前記加速操作量が設定閾値以上になったときに、前記加速の低減を開始する低減開始部と、
隣接する前記道路標示線間の間隔同士の差が設定値以下であると判定した場合に、前記間隔同士の差が前記設定値より大きいと判定した場合に比べ、前記設定閾値を低減する設定閾値低減部と、を備えることを特徴とする車両用加速抑制装置。 - 前記道路標示線群検出部は、前記道路標示線間の距離が設定距離内であり、且つ、前記道路標示線同士のなす角度が設定値以下である、隣接する2つの前記道路標示線を前記道路標示線群として検出することを特徴とする請求項1に記載の車両用加速抑制装置。
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-
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