JP6197233B2 - 積層コイルの製造装置および製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一部がスリットで分断されるようにして環状に形成される複数枚の導電金属製の導電板がそれらの導電板相互間に絶縁材を挟みつつ前記スリットの位置を順次オフセットさせた状態で積層、保持されるスクイズリングを備え、積層状態での通電経路を螺旋状とすべく積層方向で隣接する前記導電板同士を前記スリットの一側および他側で圧入、接合して電気的接続を得るようにすべく前記スクイズリング内に複数枚の前記導電板を順次嵌合するようにした積層コイルの製造装置、ならびにその製造装置を用いた製造方法に関する。
巻線断面積が大きい平角線を巻きあげて高効率なコイル、所謂エッジワイス型のインダクタコイルを製作するにあたって、平角線を一巻ずつ順次巻き上げる作業は、コイルの設定容量が大きいものほど平角線が太くなるので巻き上げ難くなり、製作時間を要するのでコストが高くなる上に、緊密に巻くことが困難であることからコイルを所望の形状に仕上げることが難しい、という課題がある。このような課題を解決するために、所望の環状の形状とした複数枚の導電板を、順次接合して積層することで積層コイルを得るようにしたものが、特許文献1で知られている。
ところが特許文献1で開示されたものでは、環状であるとともに一部がスリットで始端および終端に分断された形状を有する複数枚の導電板を、スリットの位置を順次オフセットしつつ積層し、積層方向で隣接する導電板の終端および始端を溶接あるいはろう付けで接合するようにしている。このため溶接による場合には、溶接時の熱で導電板が変形してしまう可能性があり、レーザー溶接による場合には、適切なエアギャップ管理をしなければならないので導電板を1枚ずつ養生して溶接する工程を繰り返す必要があり、積層コイルの組立に時間がかかってしまう。またろう付けによる場合には、接触不良を起こさないようにするために、接合面、はんだおよびはんだ条件の管理に手間がかかる上、導電板を銅板としたときには銅がはんだに溶けだしたりすることで固着強度や電気伝導率の低下を生じたりする等の懸念材料が多く、手間がかかってしまう。
一方、外形打ち抜きパンチで外形打ち抜きダイ内に順次抜き込んだ複数枚の鉄心板を、スクイズリング内で積層するようにした積層鉄心製造装置が、特許文献2で開示されており、このような特許文献2で開示された技術を利用して、複数枚の導電板をスクイズリング内で積層しつつ、積層方向で隣接する導電板同士を圧入、接合すれば、特許文献1開示の技術の課題を解決し、手間がかからないようにして容易に製作することが可能となるであろう。
特開2004−363514号公報 特開2011−20132号公報
ところで、一部がスリットで分断された環状の導電板をスクイズリング内で積層しつつ圧入、接合する際に、最下層の導電板を支持しておかないと、上方からの押圧力の作用に応じて、スリットを有する導電板が撓んでしまい、積層方向で隣接する導電板同士の圧入、接合が不良となる可能性がある。そのような圧入、接合の不良が生じるのを防止するためには、積層状態の導電板を下方から受ける受け台を油圧等で昇降するようにして外形打ち抜きダイの下方に配置すればよいが、装置が高価になり、保守にも手間がかかってしまう。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、複数枚の導電板を圧入、接合することで積層コイルを容易に製作可能としつつ、保守の手間がかからないようにした安価な積層コイルの製造装置と、その製造装置を適切に用いた積層コイルの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、一部がスリットで分断されるようにして環状に形成される複数枚の導電金属製の導電板がそれらの導電板相互間に絶縁材を挟みつつ前記スリットの位置を順次オフセットさせた状態で積層、保持されるスクイズリングを備え、積層状態での通電経路を螺旋状とすべく積層方向で隣接する前記導電板同士を前記スリットの一側および他側で圧入、接合して電気的接続を得るようにすべく前記スクイズリング内に複数枚の前記導電板を順次嵌合するようにした積層コイルの製造装置において、前記スクイズリングの内周に全周にわたって当接する無端状の外周形状を有する板状の受け治具が、前記スクイズリング内で積層状態に在る複数枚の前記導電板を下方から受けるようにして前記スクイズリング内に嵌合されることを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記受け治具が、前記導電板の内周に対応した内周を有して無端状に連なる環状に形成されることを第2の特徴とする。
本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記受け治具が、前記導電板の内周に対応した内周を有して無端状に連なる環状平板部と、前記スクイズリング内の前記導電板内に挿脱可能に嵌合されるようにして前記環状平板部の内周から凸曲面状に膨らむ膨出部とを一体に有することを第3の特徴とする。
本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかの積層コイルの製造装置を用いた積層コイルの製造方法であって、導電金属から成る帯状の金属素材の一面に絶縁素材を重ねて成る帯状の二重素材に複数の前記導電板に個別に対応するとともに前記スリットの一側に配置される突部を前記金属素材の他面から突出するように形成する突部形成工程と、複数の前記導電板に個別に対応するとともに前記スリットの他側に配置される圧入孔を前記二重素材に穿孔する圧入孔穿孔工程と、一部がスリットで分断された環状であって前記突部および前記圧入孔を前記スリットの両側に有する複数枚の前記導電板ならびにそれらの導電板の一面に重なる前記絶縁材を前記二重素材から切り出す切り出し工程と、前記スクイズリング内に前記受け治具を嵌合する治具嵌合工程と、前記切り出し工程で切り出した複数枚の前記導電板を相互に対応する前記突部および前記圧入孔を対向させるようにしつつ相互間に前記絶縁材を挟むようにして前記スクイズリング内に順次積層する積層工程と、前記突部を前記圧入孔に圧入しつつ積層状態にある複数枚の前記導電板を積層方向に圧縮して積層コイルを形成する圧入組立工程とを実行することを第4の特徴とする。
さらに本発明は、第4の特徴の構成に加えて、前記受け治具を、前記切り出し工程と並行して、帯状の前記金属素材から切り出すことを第5の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば、スクイズリングの内周に全周にわたって当接する外周形状を有する板状の受け治具がスクイズリング内に嵌合され、この受け治具で、積層状態の複数枚の導電板が下方から受けられるので、上方から押圧力が作用しても、スリットを有する導電板に撓みが生じることを防止して積層方向で隣接する導電板同士の圧入、接合を良好なものとすることができ、板状の受け治具がスクイズリングに嵌合されるだけの簡単かつ安価な構成であって、保守の手間がかからない製造装置で、積層コイルを容易に製作することができる。しかも単位時間当たりの製作可能数を増加させて積層コイルを安価に製造することができる。
また本発明の第2の特徴によれば、受け治具を導電板の内周に対応した内周を有して無端状に連なる環状としたので、スクイズリング内での導電板の積層時に、受け治具および複数の導電板内にガイド軸を挿入することができ、導電板の撓みや倒れが生じることを確実に防止して、積層方向で隣接する導電板同士の圧入、接合をより良好なものすることができるとともに積層状態の導電板の同心度を高めて積層コイルの歩留りを改善することができ、単位時間当たりの製作可能数を増加させて積層コイルをさらに安価に製造することができる。
本発明の第3の特徴によれば、受け治具が、無端状の環状平板部と、環状平板部の内周から凸曲面状に膨らむ膨出部とを一体に有しており、膨出部が導電板内に挿脱可能に嵌合されるので、受け治具の剛性を高めることができ、導電板の撓みや倒れが生じることを確実に防止して、積層方向で隣接する導電板同士の圧入、接合をより良好なものすることができるとともに積層状態の導電板の同心度を高めて積層コイルの歩留りを改善することができ、単位時間当たりの製作可能数を増加させて積層コイルをさらに安価に製造することができる。
本発明の第4の特徴によれば、金属素材の一面に絶縁素材が重なって成る二重素材に金属素材の他面から突出するようにして突部を形成する突部形成工程と、複数の導電板に個別に対応した圧入孔を二重素材に穿孔する圧入孔穿孔工程と、複数枚の導電板ならびにそれらの導電板の一面に重なる前記絶縁材を二重素材から切り出す切り出し工程と、スクイズリング内に前記受け治具を嵌合する治具嵌合工程と、突部および圧入孔を対向させるようにしつつ複数枚の導電板を相互間に前記絶縁材を挟むようにしてスクイズリング内に順次積層する積層工程と、突部を圧入孔に圧入しつつ積層状態にある複数枚の前記導電板を積層方向に圧縮して積層コイルを形成する圧入組立工程とを実行するので、絶縁材を挟むようにして積層される複数枚の導電板同士の電気的接続を得るにあたって絶縁材の一部を剥離させる専用作業が不要であり、絶縁材の一部を剥離、除去するといった手間のかかる作業を不要として製作工程の短縮を図り、積層コイルを安価に製作することができる。しかも板状の受け治具がスクイズリングに嵌合するだけで、積層方向で隣接する導電板同士の圧入、接合を良好なものとして簡単かつ安価に積層コイルを製造することができる。
さらに本発明の第5の特徴によれば、切り出し工程と並行して受け治具を金属素材から切り出すので、導電板を製造する一連の製造工程中に受け治具を簡単に製作することができ、複数の導電板が相互に圧入、接合されて積層されて成る積層コイルがスクイズリングから離脱する際に受け治具を積層コイルから容易に離脱させることができる。
積層コイルの一部を示す縦断面図である。 導電板の形状を示すために積層順に導電板を並べて示す図である。 積層コイルの製造装置を簡略化して示す図である。 二重素材からの導電板、導電板の一面に重なる絶縁材および受け治具の切り出し状態を示す平面図である。 第2の実施の形態の受け治具の側面図である。
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら説明する。
本発明の第1の実施の形態について図1〜図4を参照しながら説明すると、先ず図1において、この積層コイルは、銅等の導電金属から成る複数枚の横断面矩形状の導電板6が、その一面に重ねた絶縁材7を積層方向で隣接する他の導電板6の他面に対向させつつ、通電経路が螺旋状となるように積層、接合されて成るものである。
図2において、前記導電板6は、環状であるとともに一部がスリット8で分断された形状を有するものであり、この実施の形態では、全体として矩形状に形成される導電板6の一部がスリット8で分断される。
しかも一面に絶縁材7が重ねられた前記各導電板6は、前記スリット8の位置を積層順に順次オフセットしつつ前記絶縁材7を相互間に挟むようにして積層され、積層方向で隣接する前記導電板6のうち一方の前記導電板6の前記スリット8の一側と、他方の前記導電板6の前記スリット8の他側とが、電気的接続を得るようにして圧入接合部5で接合される。
前記圧入接合部5は、積層方向で隣接する前記導電板6の一方の他面(絶縁材7とは反対側の面)に形成されて他方の前記導電板6側に突出するとともに前記スリット8の一側に配置される突部9と、前記絶縁材7を貫通する前記突部9を受け入れるようにして前記他方の前記導電板6に形成されて前記スリット8の他側に配置される圧入孔10とから成り、積層方向両端の導電板6を除く複数の導電板6には、前記スリット8の一側に配置されて積層方向の一方に突出する突部9と、該突部9を受け入れるようにして前記スリット8の他側に配置される圧入孔10とが設けられる。
積層方向両端の導電板6には、図2の左端位置に示すように、完成後の積層コイルを外部回路と接続するために外側方に延出する接続端子部6aが設けられるので、前記突部9および前記圧入孔10のいずれか一方が設けられるだけであり、前記突部9および前記圧入孔の両方が設けられることはない。
積層コイルを製造するにあたっては、図3で示すような製造装置が用いられるものであり、この製造装置は、帯状の導電金属を巻き上げた金属素材ロール24から巻きほどいた帯状の金属素材22ならびに帯状の絶縁シートを巻き上げた絶縁素材ロール25から巻きほどいて金属素材22の一面(この実施の形態では下面)に対向させるようにした帯状の絶縁素材23を上下で対をなす複数組のローラ12,13間を通すことで矯正する矯正装置17と、その矯正装置17を通ることで帯状の金属素材22の一面に絶縁素材23を重ねて形成された帯状の二重素材11を上下で対をなすローラ14,15で挟んで送る送り装置18と、送り装置18から送られて来る前記二重素材11に部分的なプレス加工を行う順送プレス装置19と、順送プレス装置19でのプレス加工後に一面に絶縁材7が重ねられた状態にある導電板6を打ち抜いて型枠内に積層した後に積層状態にある複数枚の前記導電板6および前記絶縁材7を積層方向に圧縮して圧入組み立てする積層装置20と、積層装置20での圧入組み立てによって製造された積層コイルを搬出するコンベア等の搬出装置(図示せず)とを備え、前記矯正装置17、前記送り装置18、前記順送プレス装置19、前記積層装置20および前記搬出装置の一連の作動は制御装置21で自動制御される。
前記積層装置20は、前記導電板6および前記絶縁材7の外形を打ち抜くための外形パンチ26および外形打ち抜きダイ27と、外形打ち抜きダイ27の下方に固定配置されるスクイズリング28とを備えており、外形パンチ26で外形打ち抜きダイ27内に順次抜き込んだ複数枚の前記導電板6および前記絶縁材7を、前記スクイズリング28は、それらの導電板6相互間に前記絶縁材7を挟みつつ前記スリット8の位置を順次オフセットさせた状態で積層、保持するものであり、前記外形パンチ26は、積層状態での通電経路を螺旋状とすべく積層方向で隣接する前記導電板6同士を前記スリット8の一側および他側で圧入、接合して電気的接続を得るようにすべく前記スクイズリング28内に複数枚の前記導電板6および前記絶縁材7を順次嵌合する。
本発明に従えば、前記スクイズリング28内で積層状態にある複数枚の前記導電板6をそれらの導電板6間に前記絶縁材7を挟んで圧入、接合するにあたって、前記スクイズリング内で積層状態に在る複数枚の前記導電板6を下方から受ける板状の受け治具16Aが、前記スクイズリング28内に嵌合される。
この受け治具16Aは、前記スクイズリング28の内周に全周にわたって当接する無端状の外周形状を有するものであり、この実施の形態で、前記受け治具16Aは、前記導電板6の内周に対応した内周を有して無端状に連なる環状に形成される。
前記順送プレス装置19は、突部形成工程行程、圧入孔穿孔工程および切り出し工程を実行するのであるが、それらの工程を実行する前に、二重素材11から導電板6を切り出すことで生じる駄肉となる部分で前記二重素材11に位置決め孔を穿孔する工程を前記順送プレス装置19は実行する。前記位置決め孔は、たとえば矩形状の前記導電板6の周囲の四隅に穿孔され、それらの位置決め孔に、前記順送プレス装置19が備える位置決めピンを嵌装することで、前記送り装置18から送られて来る二重素材11が前記順送プレス装置19でのプレス加工時に確実に位置決め保持されることになる。それによって精度のよい導電板6が形成され、ひいては積層コイルが精度よく製造されることになる。
前記突部形成工程は、導電金属から成る帯状の金属素材22の一面に絶縁素材23を重ねて成る帯状の前記二重素材11に、複数の前記導電板6に個別に対応した前記突部9を、前記金属素材22の他面から突出するように形成する工程である。
前記圧入孔穿孔工程は、複数の前記導電板6に個別に対応した前記圧入孔10を、前記二重素材11に穿孔する工程であり、この圧入孔穿孔工程で前記金属素材22および前記絶縁素材23を貫通するようにして前記圧入孔10が形成される。
而して前記順送プレス装置19は、積層コイルにおいて積層方向の一端に位置する導電板6を形成する部分の前記二重素材11には、前記突部形成工程で前記突部9を形成するものの前記圧入孔穿孔工程で圧入孔10を穿孔することはなく、また前記積層方向の他端に位置する導電板6を形成する部分の前記二重素材11には、前記圧入孔穿孔工程で前記圧入孔10を穿孔するものの前記突部形成工程で前記突部9を形成することはない。
前記切り出し工程は、一部がスリット8で分断された環状であって前記突部9および前記圧入孔10を前記スリット8の両側に有する複数枚の前記導電板6ならびにそれらの導電板6の一面に重なる前記絶縁材7を前記二重素材11から切り出す工程である。
また前記順送プレス装置19は、その切り出し工程で積層コイルにおいて積層方向の両端に位置する導電板6を前記二重素材11から切り出すにあたっては、前記接続端子部6aを一体に有するようにして導電板6を切り出す。
なお前記順送プレス装置19から前記積層装置20に導電板6を容易に搬送するために、前記順送プレス装置19での前記切り出し工程の終了後に、この実施の形態では、導電板6のおおよその内外形を形成した後も依然として導電板6を二重素材11に保持するために、二重素材11のうち駄肉となる部分と、前記導電板6とは、狭隘な枝部(図示せず)で連結されたままである。
また前記突部形成工程は、突部9の形成時にその突部9の周囲で二重素材11が寄り集まるので、導電板6の内形および外形を切り出す前記切り出し工程に先んじて前記突部9を形成することが望ましい。
ところで、前記送り装置18でのローラ14,15で前記二重素材11を送る際に、滑りが生じないようにして二重素材11を良好に送るために、図4で示すように、矢印29で示す送り方向と直交する方向で前記絶縁素材23の両端から前記金属素材22の両端部がはみ出すようにして前記金属素材22の幅W1が前記絶縁素材23の幅W2よりも大きく設定されており、前記切り出し工程では、複数の導電板6および絶縁材7を、前記金属素材22および前記絶縁素材23の重なり部分から前記スクイズリング28での積層順に前記送り方向29と直交する方向に並べて切り出すのであるが、その切り出し工程と並行して、積層状態で最下層となる導電板6に隣接する位置で、前記絶縁素材23からの前記金属素材22のはみ出し部分から前記受け治具16Aを切り出す。
前記積層装置20は、前記順送プレス装置19でのプレス加工後に、積層工程および圧入組立工程を実行するものであり、前記積層工程は、前記順送プレス装置19での切り出し工程で切り出した前記受け治具16Aを先ずスクイズリング28に嵌合し、次いで、複数枚の前記導電板6を相互に対応する前記突部9および前記圧入孔10を対向させるようにしつつ相互間に前記絶縁材7を挟むようにして順次積層する工程である。
前記圧入組立工程は、前記スクイズリング28内で前記受け治具16Aで受けた状態にある前記導電板6および前記絶縁材7を、前記突部9を前記圧入孔10に圧入するようにしつつ、複数枚の前記導電板6を上方から油圧等で積層方向に圧縮して積層コイルを形成する工程であり、この圧入組立工程で、積層方向で隣接する導電板6の一方のスリット8の一側と、他方の前記導電板6の前記スリット8の他側とが、電気的接続を得るようにして圧入接合部5で接合されることになる。
次にこの第1の実施の形態の作用について説明すると、積層コイルは、環状であるとともに一部がスリット8で分断された形状を有する複数枚の導電板6が、前記スリット8の位置を順次オフセットするとともに各導電板6の一面に重ねた絶縁材7を積層方向で隣接する他の導電板6の他面に対向させるようにして積層され、積層方向で隣接する前記導電板6のうち一方の前記導電板6の前記スリット8の一側と、他方の前記導電板6の前記スリット8の他側とが、電気的接続を得るようにして圧入接合部5で接合されて成るので、溶接、接着またはんだ付け等の手間のかかる作業が不要であり、通電経路が螺旋状となるような電気的接続が容易に得られるようにして安価な積層コイルを得ることができる。
また前記圧入接合部5が、積層方向で隣接する前記導電板6の一方の前記他面に形成されて形成されて他方の前記導電板6側に突出するとともに前記スリット8の一側に配置される突部9と、前記絶縁材7を貫通する前記突部9を受け入れるようにして他方の前記導電板6に形成されて前記スリット8の他側に配置される圧入孔10とから成るので、積層方向で隣接する導電板6同士の電気的接続を容易に達成することができる。
しかも積層方向で隣接する前記導電板6同士を前記スクイズリング28内で圧入、接合する際に、前記スクイズリング28の内周に全周にわたって当接する無端状の外周形状を有する板状の受け治具16Aが、前記スクイズリング28内で積層状態に在る複数枚の前記導電板6を下方から受けるようにして前記スクイズリング28内に嵌合されるので、上方から押圧力が作用しても、スリット8を有する導電板6に撓みが生じることを防止して積層方向で隣接する導電板6同士の圧入、接合を良好なものとすることができ、板状の受け治具16Aがスクイズリング28に嵌合されるだけの簡単かつ安価な構成であって、保守の手間がかからない製造装置で、積層コイルを容易に製作することができ,単位時間当たりの製作可能数を増加させて積層コイルを安価に製造することができる。
また前記受け治具16Aが、前記導電板6の内周に対応した内周を有して無端状に連なる環状に形成されるので、スクイズリング28内での導電板6の積層時に、受け治具16Aおよび複数の導電板6内に、図3の鎖線で示すようなガイド軸30を挿入することができ、導電板6の撓みや倒れが生じることを確実に防止して、積層方向で隣接する導電板6同士の圧入、接合をより良好なものすることができるとともに積層状態の導電板6の同心度を高めて積層コイルの歩留りを改善することができ、単位時間当たりの製作可能数を増加させて積層コイルをさらに安価に製造することができる。
また積層コイルを製造するにあたっては、導電金属から成る帯状の金属素材22の一面に帯状の絶縁素材23を重ねて成る帯状の二重素材11に複数の前記導電板6に個別に対応した前記突部9を前記金属素材22の他面から突出するように形成する突部形成工程と、複数の前記導電板6に個別に対応した前記圧入孔10を前記二重素材11に穿孔する圧入孔穿孔工程と、一部がスリット8で分断された環状であって前記突部9および前記圧入孔10を前記スリット8の両側に有する複数枚の前記導電板6ならびにそれらの導電板6の一面に重なる前記絶縁材7を前記二重素材11から切り出す切り出し工程と、前記スクイズリング28内に前記受け治具16Aを嵌合する治具嵌合工程と、前記切り出し工程で切り出した複数枚の前記導電板6を相互に対応する前記突部9および前記圧入孔10を対向させるようにしつつ相互間に前記絶縁材7を挟むようにして順次積層する積層工程と、前記突部9を前記圧入孔10に圧入しつつ積層状態にある複数枚の前記導電板6を積層方向に圧縮して積層コイルを形成する圧入組立工程とを実行するので、絶縁材7を挟むようにして積層される複数枚の導電板6同士の電気的接続を得るにあたって絶縁材7の一部を剥離させる専用作業が不要であり、絶縁材7の一部を剥離、除去するといった手間のかかる作業を不要として製作工程の短縮を図り、積層コイルを安価に製作することができる。しかも板状の受け治具16Aがスクイズリング28に嵌合するだけで、積層方向で隣接する導電板6同士の圧入、接合を良好なものとして簡単かつ安価に積層コイルを製造することができる。
また帯状の前記二重素材11を、金属素材ロール24から巻きほどいた帯状の前記金属素材22の一面に、絶縁素材ロール25から巻きほどいた帯状の前記絶縁素材23を重ね合わせて形成するので、二重素材11を容易に形成することができる。
また前記受け治具16Aを、前記切り出し工程と並行して帯状の前記金属素材22から切り出すようにしているので、導電板6を製造する一連の製造工程中に受け治具16Aを簡単に製作することができる。
しかも受け治具16Aは、無端状に連なる平板状のものであるので、複数の導電板6が相互に圧入、接合されて積層されて成る積層コイルがスクイズリング28から離脱する際に受け治具16Aを積層コイルから容易に離脱させることができ、受け治具16Aをスクイズリング28内に投入する専用装置も不要であるので、安価な製造装置によって、金属素材ロール24および絶縁素材ロール25から二重素材11の形成を経て絶縁素材7を相互間に介在させた複数枚の導電板6の圧入、接合までの過程を全自動で実行することが可能であり、装置の保守、点検も容易となる。
上述のように受け治具16Aを使い捨てにすると、無駄のように見えるが、積層コイルの製作効率が大きく向上するので、受け治具16Aの使い捨ては問題とはならない。
本発明の第2の実施の形態として、図5で示すように、導電板6の内周に対応した内周を有して無端状に連なる環状平板部31と、スクイズリング28内の前記導電板6内に挿脱可能に嵌合されるようにして前記環状平板部31の内周から凸曲面状に膨らむ膨出部32とを一体に有する受け治具16Bを用いるようにしてもよい。
この第2の実施の形態の受け治具16Bを用いるようにすると、膨出部32が導電板6内に挿脱可能に嵌合されるので、受け治具16Bの剛性を高めることができ、導電板6の撓みや倒れが生じることを確実に防止して、積層方向で隣接する導電板6同士の圧入、接合をより良好なものすることができるとともに積層状態の導電板6の同心度を高めて積層コイルの歩留りを改善することができ、単位時間当たりの製作可能数を増加させて積層コイルをさらに安価に製造することができる。
上記実施の形態では、金属素材22に内形、外形、突部9および圧入孔10を形成する際に金属素材22および絶縁素材23に重ねた状態で同時にプレス加工を行うようにしたが、前記金属素材22から突部9および圧入孔10を有する導電板6を形成する工程と、前記絶縁素材23から前記導電板6に対応する内形、外形および圧入孔10を有する絶縁材7を形成する工程とを平行して実行し、導電板6の一面に絶縁材7を重ねるようにして導電板6および絶縁材7を積層するようにしてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
6・・・導電板
7・・・絶縁材
8・・・スリット
9・・・突部
10・・・圧入孔
11・・・二重素材
16A,16B・・・受け治具
22・・・金属素材
23・・・絶縁素材
28・・・スクイズリング
31・・・環状平板部
32・・・膨出部

Claims (5)

  1. 一部がスリット(8)で分断されるようにして環状に形成される複数枚の導電金属製の導電板(6)がそれらの導電板(6)相互間に絶縁材(7)を挟みつつ前記スリット(8)の位置を順次オフセットさせた状態で積層、保持されるスクイズリング(28)を備え、積層状態での通電経路を螺旋状とすべく積層方向で隣接する前記導電板(6)同士を前記スリット(8)の一側および他側で圧入、接合して電気的接続を得るようにすべく前記スクイズリング(28)内に複数枚の前記導電板(6)を順次嵌合するようにした積層コイルの製造装置において、前記スクイズリング(28)の内周に全周にわたって当接する無端状の外周形状を有する板状の受け治具(16A,16B)が、前記スクイズリング(28)内で積層状態に在る複数枚の前記導電板(6)を下方から受けるようにして前記スクイズリング(28)内に嵌合されることを特徴とする積層コイルの製造装置。
  2. 前記受け治具(16A)が、前記導電板(6)の内周に対応した内周を有して無端状に連なる環状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の積層コイルの製造装置。
  3. 前記受け治具(16B)が、前記導電板(6)の内周に対応した内周を有して無端状に連なる環状平板部(31)と、前記スクイズリング(28)内の前記導電板(6)内に挿脱可能に嵌合されるようにして前記環状平板部(31)の内周から凸曲面状に膨らむ膨出部(32)とを一体に有することを特徴とする請求項1に記載の積層コイルの製造装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層コイルの製造装置を用いた積層コイルの製造方法であって、導電金属から成る帯状の金属素材(22)の一面に絶縁素材(23)を重ねて成る帯状の二重素材(11)に複数の前記導電板(6)に個別に対応するとともに前記スリット(8)の一側に配置される突部(9)を前記金属素材(22)の他面から突出するように形成する突部形成工程と、複数の前記導電板(6)に個別に対応するとともに前記スリット(8)の他側に配置される圧入孔(10)を前記二重素材(11)に穿孔する圧入孔穿孔工程と、一部がスリット(8)で分断された環状であって前記突部(9)および前記圧入孔(10)を前記スリット(8)の両側に有する複数枚の前記導電板(6)ならびにそれらの導電板(6)の一面に重なる前記絶縁材(7)を前記二重素材(11)から切り出す切り出し工程と、前記スクイズリング(28)内に前記受け治具(16A,16B)を嵌合する治具嵌合工程と、前記切り出し工程で切り出した複数枚の前記導電板(6)を相互に対応する前記突部(9)および前記圧入孔(10)を対向させるようにしつつ相互間に前記絶縁材(7)を挟むようにして前記スクイズリング(28)内に順次積層する積層工程と、前記突部(9)を前記圧入孔(10)に圧入しつつ積層状態にある複数枚の前記導電板(6)を積層方向に圧縮して積層コイルを形成する圧入組立工程とを実行することを特徴とする積層コイルの製造方法。
  5. 前記受け治具(16A,16B)を、前記切り出し工程と並行して、帯状の前記金属素材(22)から切り出すことを特徴とする請求項4記載の積層コイルの製造方法。
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