以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は、原則省略する。
(実施の形態)
<電池システムの構成>
図1は、実施の形態に係わる電池システム23の構成を示すブロック図である。また、図2は、電池システム23の外観的な構成を示した模式図である。先ず、図1および図2を用いて、電池システム23の構成を説明する。
電池システム23は、大別すると、統括管理装置22と複数の電池サブシステム(以下、単にサブシステムとも称する)1とを具備している。複数の電池サブシステム1のそれぞれは、互いに同様な構成を有しているので、図1では、1個の電池サブシステム1についてのみ、その詳細な構成を示す。電池サブシステム1は、中間管理装置2と複数の電池モジュール3を備えている。ここで、複数の電池モジュール3も互いに同様な構成を有しているため、図1には、1個の電池モジュール3のみを図示する。電池モジュール3は末端管理装置4と複数の電池セル5を備えている。図1では、電池モジュール3に、複数の電池セル5が設けられている例が示されているが、電池セル5は1個でも複数でもよい。
複数の電池セル5が、電池モジュール3に設けられている場合、電池モジュール3において、電池セル5は、互いに直列接続されてもよいし、並列接続されていてもよい。また、直並列接続されていてもよい。さらに、複数の電池モジュール3同士も、互いに直列接続されていてもよいし、並列接続されていてもよいし、直並列接続されていてもよい。さらに、複数の電池サブシステム1同士も、互いに直列接続、並列接続、あるいは直並列接続されていてもよい。なお、複数の電池サブシステムにおいて、設けられている電池モジュール3の個数は、互いに異なっていてもよい。また、電池モジュール3に設けられている電池セル5の数は、電池モジュール3毎に異なっていてもよい。
ここで、電池システム23の外観の構成は、図2に示すようになっている。ぞれぞれの電池サブシステム1は、特に制限されないが、それぞれ別の金属製の筐体に納められている。図2に示した例においては、電池サブシステム1のそれぞれは、1列の金属製ラックで構成されている。すなわち、1列の金属製ラックには、それぞれの各段に設置された複数の電池モジュール3と、複数の電池モジュール3に対して共通の中間管理装置2とが格納されている。ここで、複数の電池モジュール3のそれぞれは、1個もしくは複数個の電池セル5と、これらの電池セル5に対して共通の末端管理装置4とを具備したモジュールとなっている。それぞれの電池サブシステム1内において、中間管理装置2と複数の電池モジュール3との間で無線通信が可能であれば、中間管理装置2と複数の電池モジュール3の配置は、特に制限されない。また、無線通信が可能な配置であれば、各電池セル5同士の電極を接続する配線や、各電池セル5を冷却する冷却ファン(図示せず)、外部装置(図示せず)との充放電インタフェース(図示せず)などを、都合に応じて自由に配置してよい。
統括管理装置22は、それぞれ金属製の筐体に覆われた複数のサブシステム1の外部に配置される。統括管理装置22と、それぞれのサブシステム1における中間管理装置2との間で、通信が可能な配置であれば、各サブシステム1同士の電極を接続する配線や、各サブシステム1の冷却ファン、外部装置との充放電インタフェースなどの都合に応じて、統括管理装置22は、自由に配置、配線することができる。なお、サブシステム1の数が多く、統括管理装置22と中間管理装置2とが直接通信できない場合には、統括管理装置22と中間管理装置2の間に中継局を設けるなどしてもよい。
図1に戻って、統括管理装置22および電池サブシステム1の構成について説明する。まず、電池サブシステム1の構成を説明する。電池サブシステム1は、既に述べたように、複数の電池セル5と、それらに対して共通の末端管理装置4とを具備している。ここで、末端管理装置4は、電池セル監視制御部6、制御部7、無線通信部8、アンテナ9、タイマ10、および記録部11を備えている。
電池セル監視制御部6は、複数の電池セル5のそれぞれの電圧や温度などを監視し、電池セル5間のばらつきを除去するために、電池セル5に並列接続した放電経路を導通させて、電池セル5毎に放電させたりする。また、電池セル監視制御部6は、複数の電池セル5のそれぞれの内部抵抗値、残存電荷量、充放電電流、ID、不具合の有無、および劣化度合いなどを監視する。複数の電池セル5のそれぞれに対する、これらの監視は、全ての電池セル5に対して、実質的に同一の周期で行ってもよい。また、監視する内容に応じて、それぞれの電池セル5に対する監視の周期を、電池セル5毎に変えてもよい。あるいは、特定の条件が発生した場合に、上記したような監視を、電池セル監視制御部6が行う様にしてもよい。
無線通信部8はアンテナ9を介して、電池サブシステム1において共通の中間管理装置2との間で無線通信をする。ここでの無線通信としては、中間管理装置2から、電池モジュール3へ送信される、電池セル5の計測指示信号S1の受信と、電池モジュール3から中間管理装置2へ送付される、電池セル5の計測結果信号S2の送信を含んでいる。
ここで、計測指示信号S1は、各電池セル5に対して実施すべき監視(以下、計測とも称する)の内容と、監視(計測)のタイミングを示す計測タイミングの情報とを含んでいる。さらに、計測指示信号S1は、各末端管理装置3と、当該各末端管理装置3に対応する共通の中間管理装置2との間で、無線通信を行うタイミングを示す無線通信の通信タイミングの情報と、この無線通信を実施する際に用いる無線通信の周波数チャネルを示す情報とを、含んでいる。一方、計測結果信号S2は、各電池セル5に対して実施された監視(計測)の結果(計測結果)を含んでいる。さらに、計測結果信号S2は、共通の中間管理装置2から、計測指示信号S1を受信した際の信号強度、すなわち、受信信号強度などの情報を含んでいる。
末端管理装置3において、アンテナ9を介して無線通信部8で受信した計測指示信号S1の情報は、制御部7に伝達される。制御部7は、受信した計測指示信号S1に含まれる上記した情報に従って、電池セル監視制御部6が、それぞれの電池セル5を計測するように制御する。ここで、各電池セル5を計測する計測タイミングは、計測指示信号S1に含まれる計測タイミングの情報と、タイマ10による時間計測とを用いて、制御部7が管理する。また、中間管理装置2と末端管理装置3との間で実施する無線通信の無線通信の通信タイミングは、計測指示信号S1に含まれている無線通信タイミングの情報と、タイマ10による時間計測とを用いて、制御部7が管理する。
また、計測指示信号S1に含まれている計測内容の情報および周波数チャネルの情報は、記録部11に記録され、制御部7によって管理される。同様に、電池セル監視制御部6によって得られた計測結果も、記録部11に記録され、制御部7によって管理される。例えば、制御部7は、記録部11に記録されている周波数チャネルを無線通信部8に指示して、送信の際に用いる周波数チャネルを指定し、記録部11に記録されている計測結果を、中間管理装置2へ送信する。
中間管理装置2は、制御部12、無線通信部13、アンテナ14、タイマ15、記録部16、通信部17を備える。無線通信部13は、アンテナ14を介して同じ電池サブシステム1内に存在する全ての末端管理装置4と無線通信し、電池セル5の計測指示信号S1を送信したり、電池セル5の計測結果信号S2を受信したりする。受信した計測結果信号S2の情報は、制御部12に伝達される。制御部12は、当該中間管理装置2と同じ電池サブシステム1に含まれている全電池セル5の状態と、同じ電池サブシステム1に含まれている全末端管理装置4(電池モジュール3)との通信品質を管理する。
ここで、中間管理装置2は、同じ電池サブシステムにおける全電池セル5の状態を、それぞれの末端管理装置4から受信した計測結果信号S2に含まれている計測結果に基づいて把握する。また、通信品質は、末端管理装置4との間の無線通信の成否、末端管理装置4からの無線信号(計測結果信号S2など)の受信強度(受信信号強度)、妨害波の有無などに基づいて把握される。末端管理装置4における計測タイミングの指定および末端管理装置4との間の無線通信のタイミング(通信タイミング)はタイマ15を用いて、制御部12が管理し、計測内容および計測結果、通信品質は記録部16を用いて、制御部12が管理する。
通信部17は、統括管理装置22と通信し、電池サブシステム1内の無線通信と電池セル5の計測に関する指示である通信計測指示信号S3を受信したり、電池サブシステム1内の無線通信と電池セル5の計測に関する結果である通信計測結果信号S4を送信したりする。すなわち、通信部17は、統括管理装置22との間で、通信計測指示信号S3と通信計測結果信号S4との送受信を行う。ここで、通信計測指示信号S3は、当該電池サブシステム1内の各電池セル5の計測内容と計測タイミングの情報に加え、当該電池サブシステム1内での無線通信タイミングと無線通信に用いる周波数チャネルの情報を含んでいる。また、通信計測結果信号S4は、当該電池サブシステム1内での通信品質と各電池セル5の計測結果の情報を含んでいる。
統括管理装置22は、制御部18、タイマ19、記録部20、および通信部20を具備している。通信部20は中間管理装置2と通信し、通信計測指示信号S3を送信したり、通信計測結果信号S4を受信したりする。受信した通信計測結果信号S4に含まれる情報は、制御部18に伝達される。制御部18は、受信した通信計測結果信号S4に含まれる情報に基づいて、全電池セル5の状態と全電池サブシステム1内の通信品質を管理する。各中間管理装置2に送信する計測タイミングおよび無線通信タイミングは、タイマ19を用いて制御部18が管理し、計測内容、計測結果および通信品質は記録部20を用いて制御部18が管理する。
統括管理装置22は、通信によって結合されている複数の電池サブシステム1のそれぞれを、別々に管理する。すなわち、統括管理装置22は、複数の電池サブシステム1における中間管理装置22から受信している通信計測結果信号S4に基づいて、それぞれの電池サブシステム1を特定する。例えば、特定の電池サブシステム1における中間管理装置2から受信した通信計測結果信号S4に基づいて、その特定の電池サブシステム1を特定する。これにより、特定した電池サブシステム1に具備されている全電池セル5の計測結果を、受信した通信計測結果信号S4に含まれている計測結果の情報から把握し、全電池セル5の状態を把握する。また、受信した通信計測結果信号S4に含まれている通信品質の情報に基づいて、当該特定の電池サブシステム1内での無線通信の品質を把握する。これにより、複数の電池サブシステム1のそれぞれに含まれている全電池セルの状態を把握するとともに、複数の電池サブシステム1のそれぞれにおける無線通信の品質を把握する。
また、統括管理装置22における制御部18は、各電池サブシステム1の通信品質を通信に用いる周波数チャネル毎に管理する。この実施の形態においては、全ての電池サブシステム1の通信品質を所定の値以上に保つために、必要に応じて、制御部18は、通信計測指示信号S3に含まれる無線通信タイミングと無線通信に用いる周波数チャネルの情報を更新し、通信部21を介して全ての中間管理装置2に伝達する。中間管理装置2は、受信した通信計測指示信号S3に基づいて、当該中間管理装置2と同じ電池サブシステム1に含まれている複数の電池モジュール3に対して送信されるところの計測指示信号S1に含まれる無線通信タイミングと無線通信に用いる周波数チャネルの情報を更新する。これにより、複数の電池モジュール3内の末端管理装置4にも、更新された無線通信タイミングと無線通信に用いる周波数チャネルの情報が伝達され、電池サブシステム1内の無線通信タイミングと無線通信に用いる周波数チャネルが更新される。
なお、実施の形態においては、統括管理装置22と中間管理装置2との間の通信は、有線通信を例として説明するが、この通信は無線通信であってもよい。後で説明するが、図3に示すように、統括管理装置22と中間管理装置2との間の通信が、中間管理装置2と末端管理装置4の通信とは異なるタイミングで行われるようにすれば、無線通信信号の干渉を防ぎながら、統括管理装置22と中間管理装置2との間を、無線通信で結合することが可能となる。また、この場合には、中間管理装置22の無線通信部13と通信部17は1つの無線通信部13として統合してもよい。すなわち、1個の無線通信部13によって、時分割的に、複数の電池モジュール3と中間管理装置2との間の無線通信と、中間管理装置2と統括管理装置22との間の無線通信が実施されるようにしてもよい。
<電池システムの動作>
次の電池システム23の動作例を、図3を用いて説明する。図3(A)〜(I)は、電池システム23の動作を示すシーケンス図である。図3には、統括管理装置22および2個の電池サブシステムのシーケンスが、示されている。また、図3において、横軸は時間を示している。図3(A)には、統括管理装置22が送受信する通信計測指示信号S3と通信計測結果信号S4が、主に示されており、図3(B)〜(E)には、複数の電池サブシステムのうちの1個である電池サブシステムaにおけるシーケンスが示されており、図3(F)〜(I)には、電池サブシステムaとは異なる電池サブシステムbにおけるシーケンスが示されている。
ここで、図3(B)には、電池サブシステムa内で用いられる無線通信の周波数チャネルの変化(ch1からch2へ変化)が示されており、図3(F)には、電池サブシステムb内で用いられる無線通信の周波数チャネルの変化(ch2からch3へ変化)が示されている。また、図3(C)には、電池サブシステムaに設けられている中間管理装置2が送受信する計測指示信号S1、計測結果信号S2、通信計測指示信号S3および通信計測結果信号S4が、主に示されている。同様に、図3(G)には、電池サブシステムbに設けられている中間管理装置2が送受信する計測指示信号S1、計測結果信号S2、通信計測指示信号S3および通信計測結果信号S4が、主に示されている。
また、図3(D)および(E)には、電池サブシステムaに含まれている電池モジュール3内の末端管理装置4(図では、末端管理装置a、b)が送受信する計測指示信号S1および計測結果信号S2が、主に示されている。同様に、図3(H)および(I)には、電池サブシステムbに含まれている電池モジュール3内の末端管理装置4(図では、末端管理装置a、b)が送受信する計測指示信号S1および計測結果信号S2が、主に示されている。なお、電池サブシステムaおよびbのそれぞれは、末端管理装置aおよびb以外の末端管理装置4を含む電池モジュール3を具備しているが、図3では、省略されている。
統括管理装置22は、電池システム23に含まれている全ての電池セル5の状態(電池情報)を取得するために、特に制限されないが周期的に、通信計測指示信号S3を送信する。図3においては、Periodが、1周期を示しており、時刻t0から時刻t1の間に、統括管理装置22が、通信計測指示信号S3を送信している。この場合、統括管理装置22は、電池システム23に含まれている全ての中間管理装置2に対して、通信計測指示信号S3をブロードキャストで送信する。図3では、中間管理装置2として、電池サブシステムaおよびb内の中間管理装置aおよびbが示されている。図示していない電池サブシステムも、電池サブシステムaおよびbと同様な動作を行うため、以下の説明では、電池サブシステムaおよびbについてのみ説明する。
電池サブシステムaおよびbにおいて、中間管理装置aおよびbは、ブロードキャストで送信された通信計測指示信号S3を受信すると、受信した通信計測指示信号S3に基づいて、計測指示信号S1を生成し、期間(時間差)T1を経過した時刻2から時刻t3の間で、同じサブシステムaおよびb内の全ての末端管理装置aおよびbへ計測指示信号S1をブロードキャストで送信する。すなわち、中間管理装置a(b)と同じ電池サブシステムa(b)に含まれている末端管理装置aおよびbに対して、計測指示信号S1が、ブロードキャストで送信される。
電池サブシステムaおよびbにおける末端管理装置aおよびbのそれぞれは、時刻t2からt3の期間において、計測指示信号S1を受信する。末端管理装置aおよびbは、それぞれに接続された1個または複数個の電池セル5に対して、受信した計測指示信号S1に含まれる計測内容の情報に基づいて、時刻t4から時刻t5に期間において、電池セル5の計測24を実施する。末端管理装置aおよびbのそれぞれは、この計測24によって得た各電池セルの電池情報を、計測結果信号S2に含めて、対応する中間管理装置aおよびbへ、時刻t6および時刻t7において、ユニキャストで送信する。
中間管理装置aおよびbのそれぞれは、受信した計測結果信号S2に基づいて、通信計測結果信号S4を形成し、通信計測結果信号S4を、時刻t8および時刻t9において、統括管理装置22へ、ユニキャストで送信する。統括管理装置22は、受信した通信計測結果信号S4に基づいて、次の周期(期間、Period)で、再び通信計測指示信号S3を送信する。このような動作を繰り返し実施し、電池セル5の計測と各電池サブシステムa、b内の無線通信の通信品質の管理を行う。なお、各電池サブシステム内において無線通信で用いられる周波数チャネルは、周期毎にホッピングするように、統括管理装置22が制御する。図3に示した例においては、電池サブシステムa内で用いられる無線通信の周波数チャネルは、ch1、ch2、ch3と変更され、電池サブシステムb内で用いられる周波数チャネルは、ch2、ch3、ch4と変更されている。
この実施の形態においては、通信計測指示信号S3は、統括管理装置22から電池サブシステムaおよびb内の中間管理装置aおよびbに対して、ブロードキャストで送信されるため、実質的に同時に、通信計測指示信号S3が、中間管理装置aおよびbに与えられることになる。さらに、中間管理装置aおよびbから、同じ電池サブシステムaおよびbにおける末端管理装置aおよびbに対して、計測指示信号S1も、ブロードキャストで送信される。そのため、実質的に同時に、計測指示信号S1が、末端管理装置4に与えられることになる。これに対して、計測結果信号S2は、時間差を持って、末端管理装置aおよびbから中間管理装置a(b)へ送信される。
これにより、電池サブシステムaおよびbにおいて、同じ期間(Period)、同じ周波数チャネルを用いていても、末端管理装置aおよびbからの計測結果信号S2を、中間管理装置a(b)へ送信することが可能とされている。また、計測結果信号S2は、ユニキャストで、末端管理装置a、bから中間管理装置a(b)へ送信されるため、中間管理装置a(b)は、受信した計測結果信号S2に基づいて、複数の末端管理装置のいずれから送信された計測結果信号S2であるかを把握することが可能となる。すなわち、受信した計測結果信号S2から、末端管理装置a(b)を特定することが可能となる。
同様に、中間管理装置aおよびbから、統括管理装置22へ送信される通信計測結果信号S4も、ユニキャストで送信されるため、統括管理装置22は、通信計測結果信号S4に基づいて、どの中間管理装置から送信された通信計測結果信号S4であるかを把握することが可能となる。すなわち、どの電池サブシステムからの通信計測結果信号S4であるかを把握することができる。
図3においては、中間管理装置aおよびbと統括管理装置22との間の通信が、時刻t0から時刻t1の間と、時刻t8および時刻t9において行われている。これらの時刻においては、それぞれの電池サブシステムa、b内において、無線通信が行われていない。そのため、先に述べたように、中間管理装置a、bと、統括管理装置22との間の通信を無線通信で行う様にしても、干渉が発生するのを抑制することができる。
この実施の形態においては、計測指示信号S1の通信タイミング、電池セル5に対して計測を実施する実施タイミング、および計測結果信号S2の通信タイミングは、時刻を特定して指定するのではなく、通信計測指示信号S3との時間差T1と、計測指示信号S1との時間差T2およびT3とによって特定し、指定する。例えば電池セル5に対する計測を実施する実施タイミングを、時刻t4として、特定して、指定するのではなく、計測指示信号S1との時間差T2によって特定し、指示する。
中間管理装置aおよびbのそれぞれは、図1に示したように、タイマ15を有しており、制御部12は、それぞれの中間管理装置に設けられた水晶発振器(図示せず)などにより発生した基準クロック信号を、タイマ15によってカウントすることにより、それぞれ時間を求めている。同様に、末端管理装置aおよびbのそれぞれも、図1に示したように、タイマ10を有しており、制御部7は、それぞれの末端管理装置に設けられた水晶発振器(図示せず)などにより発生した基準クロック信号をカウントすることにより、それぞれの時間を求めている。この場合、基準クロック信号を水晶発振器によって発生しても、中間管理装置a、bおよび末端管理装置a、bのそれぞれに設けられている水晶発振器によって発生する基準クロック信号の周波数は、わずかであるが差が生じる。すなわち、中間管理装置における基準クロック信号の周波数と、末端管理装置における基準クロック信号との間では周波数の差が生じる。水晶発振器の場合であっても、例えば100ppm程度の周波数の差が発生する。基準クロック信号の周波数に差が生じることにより、ある時刻に、中間管理装置a、bと末端管理装置a、bとの時刻を同期させたとしても、1秒後には0.1ミリ秒の誤差が発生することになる。一方、電池システム23を、充放電状態が激しく変化する用途に用いる場合には、計測を実施する計測タイミングの誤差は、上記した誤差よりも十分に小さい値であることが要求される。
例えば、電池セル5に対して計測24を実施するタイミングを、時刻t4として特定して、指定した場合には、中間管理装置と末端管理装置との間で、基準クロック信号の周波数誤差により、末端管理装置において実施される計測のタイミングが、所望のタイミングとならないことが発生する。また、末端管理装置の間でも、基準クロック信号に周波数の差があるため、電池セル5に対して実施する計測のタイミングが、末端管理装置毎に異なることが発生する。すなわち、複数の電池セル5を実質的に同時に測定することが困難になることが危惧される。特に、充放電状態が激しく変化する用途では、複数の電池セル5を正確に制御することが困難になる可能性が生じる。
この課題を解決するために、中間管理装置と末端管理装置との間で、頻繁に同期を取るようにすることが考えられる。この場合、全ての中間管理装置と全ての末端管理装置との間で、頻繁に時刻の同期を取ることが要求され、同期を取るための通信を、頻繁に発生させることが要求される。時刻の同期を取るための通信が頻繁に発生すると、計測指示信号S1および計測結果信号S2を送受信するための通信性能、通信効率または通信品質のいずれかの少なくとも一つが低下することになり、精度よく計測することが困難になる。また、消費電力の増加にも繋がる。
これに対し、実施の形態においては、時刻ではなく、計測指示信号S1の通信タイミングからの時間差T2によって、電池セル5に対する計測を実施するタイミングが特定され、指定される。この時間差T2、すなわち計測指示信号S1の通信タイミングと計測を実施するタイミングとの間の期間は、数ミリ秒である。この期間において、中間管理装置と末端管理装置の間に発生する、基準クロック信号の周波数誤差に基づく時間の誤差は、数百ナノ秒である。加えて、中間管理装置と末端管理装置の距離は、数十センチメートルから数十メートルであるため、無線電波の伝搬速度(光の伝搬速度)から、伝搬時間は1ナノ秒から百ナノ秒程度である。従って、電池セル5に対する計測のタイミングを、計測指示信号S1からの時間差T2として特定し、指示することにより、複数の末端管理装置のそれぞれは、実質的に同時に、電池セル5に対する計測を実施させることが可能となる。すなわち、電池セルの計測に高い同時性を得ることが可能となる。
電池セル5に対して計測24を実施するタイミングを、時間差T2として特定し、指定する例を説明したが、計測指示信号S1の通信タイミングおよび計測結果信号S2の通信タイミングについても、時間差T1およびT3によって特定し、指定することにより、基準クロック信号に周波数誤差があっても、計測指示信号S1の通信タイミングおよび計測結果信号S2の通信タイミングの誤差を低減することが可能となり、電池セル5の計測に高い同時性を得ることができる。ここで、統括管理装置22も、中間管理装置および末端管理装置と同様に、水晶発振器などにより発生した基準クロック信号を、制御部18が、タイマ19でカウントすることにより、時間を求めている。そのため、統括管理装置22と複数の中間管理装置a、bとの間でも、基準クロック信号に周波数誤差が生じ、時間誤差が生じる。勿論、中間管理装置a、bの間でも、基準クロック信号に周波数誤差が生じ、それぞれが求めている時間に時間誤差が生じる。計測指示信号S1の通信タイミングが、電池サブシステム間で、時間誤差により異なってしまうのを低減するために、通信計測指示信号S3からの時間差T1を特定し、計測指示信号S1が送信される。
また、通信タイミングの誤差が低減されるため、例えば、末端管理装置aから中間管理装置a(b)へ測定結果信号S2を送信する通信タイミングと、末端管理装置bから中間管理装置a(b)へ測定結果信号S2を送信する通信タイミングとが、時間的に重ならないようにするマージンを最小限に抑えることも可能となる。すなわち、装置間で、時間的に重複しないように設置するマージンを最小限に抑えることが可能となる。
電池セル5の計測24を実施した後、各電池モジュール3における末端管理装置a、bは、予め設定された通信タイミングと周波数チャネル、もしくは先に受信した計測指示信号S1により指示された通信タイミング(時間差T3)と周波数チャネルを用いて、計測結果信号S2を送信する。各電池モジュールa、bにおける末端管理装置a、bの通信タイミングが重複しないように、各電池モジュールあるいは各末端管理装置に予め付与されたIDに応じた互いに異なるタイミングで、計測結果信号S2を、送信する。例えば、末端管理装置bの実際の通信タイミングはT3+末端管理装置ID×1ミリ秒などである。なお、計測結果信号S2の用いる周波数チャネルは、必ずしも全末端管理装置a、bで同じである必要はなく、個別に適した周波数チャネルを指示してもよい。また、通信計測指示信号S3と通信計測結果信号S4は必ずしも同じ周波数チャネルでなくてもよい。
中間管理装置a(b)のそれぞれは、同じ電池サブシステムa(b)に含まれる全末端管理装置a、bから収集した計測指示信号S1の受信状態の情報と、計測結果信号S2の受信状態の情報とを基に、通信品質を記録する。通信品質は周波数チャネル毎、末端管理装置a、b毎に個別に記録する。
上記した計測指示信号S1と計測結果信号S2の受信状態とは、計測指示信号S1について述べると、例えば、末端管理装置a、bが、計測指示信号S1の受信に失敗した回数および/またはその受信した信号強度である。計測結果信号S2の受信状態とは、例えば、中間管理装置2が、計測結果信号S2の受信に失敗した回数および/またはその受信した信号強度である。さらに、受信に失敗した場合には、受信信号のデータが誤っていたのか、信号そのものを検知できなかったのかなどの受信失敗の仕方に関する情報も、受信状態としてもよい。さらに、受信に成功した場合には、受信信号のデータに誤りが無かったのか、誤りを訂正できたのかなどの受信成功の仕方に関する情報も、受信状態としてもよい。受信信号を検知できなかった場合においても、予め設定された通信タイミングに信号が受信できなかったことから、受信失敗と判定するようにしてもよい。
中間管理装置a、bのそれぞれに記録される通信品質は、計測指示信号S1と計測結果信号S2の受信状態の情報に加えて、例えば、中間管理装置a、bおよび/または末端管理装置a、bが、キャリアセンスにより妨害波を検知した回数などを情報として含んでいる。ここで、キャリアセンスは、無線通信部13および/または無線通信部8を、受信待機状態にして、自システム以外の電波が、当該周波数チャネルに存在しているかどうかを調査することを意味している。
統括管理装置22は、電池システム23に含まれている全ての電池サブシステムa、bにおける中間管理装置a、bから、通信計測結果信号S4を受信し、通信計測結果信号S4に含まれている通信品質を収集して、記録する。この場合、通信品質は、周波数チャネル毎、サブシステムa、b毎に個別に記録する。中間管理装置a、bから統括管理装置22へ伝達された通信品質の情報は、末端管理装置a、b(電池モジュール)毎の情報ではなく、電池サブシステムa、bのそれぞれにおける合計通信失敗回数や、平均受信信号強度、合計妨害波検知回数など、電池サブシステムa、bのそれぞれの状況を代表するパラメータとし、データ量を低減することが好ましい。また、電池サブシステムa(b)内の1つの末端管理装置a(またはb)を含む電池モジュールを、その電池サブシステムa(またはb)の代表電池モジュールとして特定し、代表電池モジュールにおける最大通信失敗回数、最小受信信号強度、最大妨害波検知回数を、その電池サブシステムa(またはb)の通信品質の情報としてもよい。
<統括管理装置>
統括管理装置22は、複数の電池サブシステム1のそれぞれに対して、それぞれの電池サブシステム1で無線通信に用いる周波数チャネル毎に、通信品質の管理を行う。この通信品質の管理を行うため、統括管理装置22は、それぞれの電池サブシステム1に対応したテーブルを、特に制限されないが、記録部20に生成する。図4(A)および(B)のそれぞれには、通信品質の管理のために作成されたテーブルの例が示されている。図4には、先に図3で述べた電池サブシステムa、bに対応する品質管理テーブルのみが、示されている。同様な品質管理テーブルが、それぞれの電池サブシステムに対して、作成されるが、品質管理テーブルの各項目は、互いに同様であるため、ここでは、電池サブシステムa、bに対応した品質管理テーブルを例として説明し、他の電池サブシステムに対応した品質管理テーブルについては、省略する。
ここでは、先に述べたように、統括管理装置22は、電池モジュール毎ではなく、電池サブシステム毎に、通信品質の管理を行う例を説明する。すなわち、電池サブシステムのそれぞれにおける合計通信失敗回数、平均受信信号強度、および合計妨害波検知回数に基づいて、統括管理装置22が、通信品質の管理を行う例を説明する。
図4(A)は、電池サブシステムaに対応する品質管理テーブルであり、図4(B)は、電池サブシステムbに対応する品質管理テーブルである。品質管理テーブルには、管理する品質に関する項目として、「合計通信失敗回数」、「平均受信信号強度」および「合計妨害波検知回数」が、テーブルの行に記載されている。また品質管理テーブルでは、品質に関する項目に対して、劣化しているか否かを判定するためしきい値が、「閾値」列に格納され、周波数チャネルch1〜ch4毎の品質に関する値が、周波数チャネル「ch1」〜「ch4」列に格納される。なお、周波数チャネルの数は、ch4を超えているが、図4では省略されている。ここで、「閾値」列には、予め定めたしきい値が設定される。
統括管理装置22は、電池サブシステムa、bにおける中間管理装置a、bからの通信計測結果信号S4を受信すると、通信計測結果信号S4に含まれている通信品質に関する情報に基づいて、品質管理テーブルの周波数チャネル「ch1」〜「ch4」に値を格納する。この場合、電池サブシステムaからの通信品質に基づく情報によって、図4(A)に示されている品質管理テーブルに値を格納し、電池サブシステムbからの通信品質に基づく情報によって、図4(B)に示されている品質管理テーブルに値を格納する。格納する際には、受信した通信計測結果信号S4に対応する周波数チャネル「ch1」〜「ch4」に格納する。これは、例えば、受信した通信計測結果信号S4を得るために、先に統括管理装置22が送信した通信計測指示信号S3との対応を、統括管理装置22が把握しているため、通信計測結果信号S4を受信した際には、これに対応した通信計測指示信号S3に含まれていた周波数チャネルを、通信品質管理テーブルにおける周波数チャネルの列とすればよい。勿論、それぞれの中間管理装置から送信される通信計測結果信号S4に、電池サブシステムの無線通信において用いた周波数チャネルの情報が含まれるようにしてもよい。
このようにして、統括管理装置22は、電池サブシステム毎であって、周波数チャネル毎に通信品質の項目に値を格納する。統括管理装置22内の制御部18は、格納した値が、それぞれに対して予め設定したしきい値(「閾値」列)の値を超えているか否かの判定を行い、しきい値を超えていると判定した場合には、判定したときの周波数チャネルの通信品質は劣化したと判断する。「閾値」列に格納するしきい値は、予め所定の値を設定してもよいが、反射波や妨害波の環境は時間に伴って変動するため、「閾値」列には、直近の複数の周期(例えば32周期)の計測において取得した値(通信品質パラメータ)の合計値、平均値、最大値または最小値を格納して管理することが望ましい。
次に、図4を参照して、通信品質の管理の例を説明する。統括管理装置22は、例えば電池サブシステムaから、周波数チャネルch1に関する通信計測結果信号S4を受信すると、通信計測結果信号S4に含まれる品質に関する情報から、合計通信失敗回数“1”、平均受信信号強度“−50”、合計妨害波検知回数“2”を取得し、図4(A)の周波数チャネル[ch1]列に、格納する。このようにして、図4(A)および(B)に示した品質管理テーブルに対し、受信した通信計測結果信号S4に含まれている品質に関する情報を基にして、値を格納する。制御部18は、品質管理テーブルに格納した値と、「閾値」列のしきい値とを比較し、通信品質が劣化しているか否かの判定を行う。
図4(A)および(B)に示した例では、電池サブシステムaにおいて、無線通信に周波数チャネルch3を用いた場合、合計通信失敗回数が“4”となっており、対応する「閾値」列のしきい値“3”を超えており、電池サブシステムaにおいて、周波数チャネルch3の通信品質が劣化したと判定する。後で説明するが、この場合、通信品質が劣化した周波数チャネルch3は、次の周期において、通信計測指示信号S3に含まれる周波数チャネルの情報によって、通信品質が劣化していない他の周波数チャネルへ変更される。なお、図4には、電池サブシステムaで、周波数チャネルch3を用いる場合以外は、通信品質が劣化していない例が示されている。
<周波数チャネルホッピングパターンの変更>
実施の形態においては、妨害波などによる影響の低減を図るために、各電池サブシステム1において、無線通信に用いる周波数チャネルが、周期毎に変更される。すなわち、周期的に周波数チャネルが変更される周波数チャネルホッピングが行われる。本願明細書においては、周波数チャネルホッピングにより周波数チャネルが変更されるパターンを周波数チャネルホッピングパターンと称する。すなわち、周波数チャネルホッピングパターンは、時間に沿った周波数チャネルの変更パターンを示している。
実施の形態においては、既に述べたように、統括管理装置22によって、通信品質が劣化している周波数チャネルは、劣化していない他の周波数チャネルへ変更される。すなわち、統括管理装置22によって、通信品質が劣化している周波数チャネルを用いない周波数チャネルホッピングパターンへ変更される。この周波数チャネルホッピングパターンの変更を、次に説明する。
図5(A)〜(C)は、電池システム23の動作を説明するためのタイミング図であり、周波数チャネルホッピングパターンを示している。図5には、複数の電池サブシステムのうち、3個の電池サブシステムa、b、cにおける周波数チャネルホッピングパターンが、代表例として示されている。ここでは、この代表例として示した電池サブシステムa、b、cを用いて説明するが、他の電池サブシステムについても同様である。図5(A)では、電池サブシステムaにおける無線通信に用いられる周波数チャネルは、時間に沿って、周波数チャネルch1からch8へ、順次変更される。また、周波数チャネルch8を用いた後は、再び周波数チャネルch1から繰り返される周波数チャネルホッピングパターンとなっている。これに対して、同じ期間において、電池サブシステムbで用いられる周波数チャネルは、電池サブシステムaにおいて用いられる周波数チャネルよりも1周期ずれた周波数チャネルとなっている。さらに、電池サブシステムcで用いられる周波数チャネルは、電池サブシステムbにおいて用いられる周波数チャネルよりも1周期ずれた周波数チャネルとなっている。
このように、互いに重なる期間(周期)において、電池サブシステムa、b、c間で、無線通信に用いる周波数チャネルを、1周期ずらすことができるのは、統括管理装置22により、各電池サブシステムにおける無線通信の周期、無線通信の通信タイミングを一括して指示しているためである。無線通信の周期、無線通信の通信タイミングの指示が、統括管理装置22によって一括的になされていない場合、各電池サブシステムにおける中間管理装置、末端管理装置の基準クロック信号の周波数が、わずかに異なるため、時間の経過によって、電池サブシステム間で、無線通信に用いる周波数チャネルと通信タイミングとが重複してしまうことが考えられる。重複した場合には、電池サブシステム間で、無線通信に干渉が生じることが考えられ、通信品質が劣化することが考えられる。
図5(B)および(C)のそれぞれには、電池サブシステムaにおいて、無線通信に用いる周波数チャネルch3に、通信品質の劣化が発生した場合のタイミングが示されている。図5(B)は、電池システム23に含まれる電池サブシステムの個数が、無線通信に用いる周波数チャネルの数よりも少なく、同じ通信周期、通信タイミングで、未使用の周波数チャネルch8が存在する場合を示している。この場合には、通信品質が劣化している周波数チャネルch3を、通信品質が劣化していないch8に変更することで、電池サブシステムaにおける通信品質を良好に保つことができる。この場合、電池サブシステムbおよびcにおいては、周波数チャネルch3は劣化していないと、電池サブシステムbおよびcのそれぞれからの通信計測結果信号C4に基づいて、統括管理装置22が判定している。そのため、電池サブシステムbおよびcのそれぞれにおいては、周波数チャネルch3を含む周波数チャネルホッピングパターンが継続して適用されている。
図5(C)は、同じ通信周期、通信タイミングで未使用の周波数チャネルが存在しない場合を示している。この場合には、電池サブシステムcが使用する周波数チャネルch5を周波数チャネルch3へ変更し、電池サブシステムaが、同じ周期において周波数チャネルch5を使用するように、周波数チャネルの交換を行う。ここでは、サブシステムcが使用する周波数チャネルch5を周波数チャネルch3と交換している。この場合には、電池サブシステムcにおいては、周波数チャネルch3の通信品質が良好であることが判断されていることが必要とされる。もし、電池サブシステムcで、周波数チャネルch3の通信品質が劣化していると判定されている場合には、電池システム23の全体としては、通信品質が改善しないため、電池システムaおよびcを除く電池サブシステムとの間で、周波数チャネルの交換が可能かの判定を行う。
なお、電池サブシステムaにおいて、劣化している周波数チャネルch3は、同じ通信周期における電池サブシステムbの周波数チャネルch4と交換することも考えられる。しかしながら、この交換を行うと、電池サブシステムaにおいては、周波数チャネルch4が、2周期に渡って用いられることになる。同様に、電池サブシステムbにおいては、周波数チャネルch3が、2周期に渡って用いられることになる。このように、連続して同じ周波数チャネルを用いると、障害に対する耐性が低下するため、連続して同じ周波数を用いた無線通信が発生しないようにしている。すなわち、連続して同じ周波数チャネルによる無線通信を行うと、今後、当該周波数チャネルにおいて妨害波が発生した場合に、連続して通信を失敗する可能性が高くなり、妨害波に対する耐性が低下するためである。
また、電池サブシステムbおよびcを除く、電池サブシステムにおいて、周波数チャネルch3を用いることが可能な場合には、周波数チャネルを交換した後に、電池サブシステムaと交換先の電池サブシステムの双方で、通信失敗回数が最小となるように交換することが望ましい。
<キャリアセンス>
次に、中間管理装置22および末端管理装置で行うキャリアセンスについて説明する。図6(A)〜(I)は、電池システム23の動作を示すシーケンス図である。図6においても、図3と同様に、電池サブシステムaおよびbと、それぞれの電池サブシステムにおける中間管理装置aおよびbと、電池サブシステムにおける末端管理装置aおよびbが、代表として示されている。ここでも、代表として示した装置についてのみ説明する。図6(A)〜(I)と、先に説明した図3(A)〜(I)とは、それぞれ類似している。すなわち、図6には、図3において、左側に示した1周期(Period)のシーケンスが示されており、さらに妨害波の調査を行う期間が、このシーケンスの中に描かれている。ここでは、図3(A)〜(I)と相違する部分を、主として説明する。
図6(C)〜(E)および(G)〜(I)には、中間管理装置a、bおよび末端管理装置a、bが、キャリアセンスにより妨害波の有無を調査することができる期間が、25および26として示されている。期間25および26において、妨害波の調査が行われるため、ここでは、期間25において行われる妨害波調査を妨害波調査25と称し、期間26において行われる妨害波調査を妨害波調査26と称する。
先ず、中間管理装置a、bのそれぞれは、計測指示信号S1を末端管理装置a、bへ送信した後の期間と、末端管理装置a、bが電池セル5に対して計測24を実施している期間と、末端管理装置a、bから計測結果信号S2を受信した後であって、統括管理装置22と通信している期間と、何もせず待機している期間とにおいて、妨害波調査25を実施する。ただし、中間管理装置a、bが、無線通信部13を用いて、統括管理装置22との間の通信を無線で行うようにした場合には、妨害波調査25は、統括管理装置22と無線通信している期間では行わないようにする。勿論、妨害波調査25は、これらの全ての期間において実施する必要はなく、上記した期間のうちの一部の期間において実施するようにしてもよい。上記した期間においては、電池サブシステムa、b内において、無線通信が発生していない。そのため、上記した期間において検知される電波は、妨害波であると推定する。
次に、末端管理装置a、bのそれぞれは、計測指示信号S1を受信した後の期間と、電池セル5に対して計測24を実施している期間と、自らの電池モジュールを除く他の電池モジュールが計測結果信号S2を送信している期間と、中間管理装置a、bが統括管理装置22と通信している期間と、何もせず待機している期間とにおいて、妨害波調査25、26を実施する。これらの期間のうち、自らの電池モジュールを除く他の電池モジュールが計測結果信号S2を送信している期間を除く期間においては、この電池モジュールを含む電池サブシステム内において、無線通信は発生しない。そのため、これらの期間において検知される電波は、妨害波と推定される。一方、自らの電池モジュールを除く他の電池モジュールが計測結果信号S2を送信している期間においては、計測結果信号S2の送信に用いられていない周波数チャネルについてのみ調査を行い、電波の検知を行う。
このようにして、各電池サブシステムは、それぞれの内部において無線通信をしていない期間を活用して、妨害波の検知を行い、通信品質に関する情報を収集することができる。
この実施の形態においては、末端管理装置a、bのそれぞれは、妨害波調査25、26により得た調査結果を、計測結果信号S2に含めて中間管理装置a、bへ送信する。中間管理装置a、bは、末端管理装置a、bから、計測結果信号S2によって収集した妨害波調査結果に、自身の妨害波調査結果を加えて、生成した情報を統括管理装置22に伝達する。
<電池サブシステムの配置と、周波数チャネルホッピングパターン>
図7は、電池システム23の構成を示す模式図である。図7において、a〜nのそれぞれは、電池サブシステムを示している。また、図7において、2は、それぞれの電池サブシステムa〜nに設けられた中間管理装置を示しており、それぞれの中間管理装置2は、実線で示した配線(有線)によって、図示されていない統括管理装置22に結合されている。それぞれの電池サブシステムa〜nは、筐体内に収納されているが、電池サブシステム内で無線通信を行った場合、筐体内から、無線の電波が漏れる。図7においては、電池サブシステムaから漏れた電波により影響が及ぶ電波到達範囲が、破線27によって示され、電池サブシステムbからの電波により影響が及ぶ電波到達範囲が、破線28によって示されている。同様に、電池サブシステムmからの電波により影響が及ぶ電波到達範囲が、破線29により示され、電池サブシステムnからの電波により影響が及ぶ電波到達範囲が、破線30で示されている。なお、影響が及ぶ電波到達範囲は、図面では平面的に描いているが、言うまでもなく立体的である。
図7に示すように、多くの電池サブシステムa〜nによって、電池サブシステム23を構成した場合、1個の電池サブシステムを見た場合、当該電池サブシステムの電波到達範囲に、入る他の電池サブシステムと、電波到達範囲に入らない電池サブシステムとが生まれる。この図の例では、電池サブシステムaと電池サブシステムbの電波は互いに到達し、電池サブシステムmと電池サブシステムnの電波は互いに到達する。一方、電池サブシステムaと電池サブシステムbの電波は、電池サブシステムmと電池サブシステムnには到達せず、その逆もまた電波は到達しない。
このような場合、電池サブシステムaと電池サブシステムbとの間では、周波数チャネルのホッピングパターンを1周期ずらすなどして通信周期、通信タイミングが重複しないように管理する。また、電池サブシステムmと電池サブシステムnについても同様に管理する。しかしながら、例えば、電池サブシステムaと電池サブシステムmとの間では、同じ周波数チャネルホッピングパターンを、同じ周期で用いても、相互に電波の影響はなく、何ら問題はない。電波が到達するかどうかは、すなわち電波到達範囲は、電池システム23の初期設置時に調査したり、あるいは図6に示した妨害波調査26によって調査して、求めることができる。妨害波調査26により調査する場合には、予め電池サブシステムaと電池サブシステムmとの間で、異なる周波数チャネルを設定しておき、互いにその相手の周波数チャネルが検知されたかどうかを確認すればよい。
図8(A)および(B)は、図7に示した電池サブシステムa、b、mおよびnのそれぞれの周波数チャネルホッピングパターンを示すタイミング図である。先ず、図8(A)では、電池サブシステムa、bと電池サブシステムm、nとが電波到達範囲の外にあるため、電池サブシステムaと電池サブシステムmとは、互いに同じホッピングパターンで、同じ周期が用いられている。同様に、電池サブシステムbとサブシステムnとは、互いに同じホッピングパターンで、同じ周期が用いられている。
図8(B)においては、電池サブシステムmは、電池サブシステムaに用いる周波数ホッピングパターンと同じ周波数ホッピングパターンを用いた後、電池サブシステムbに用いる周波数ホッピングパターンと同じ周波数ホッピングパターンを用いている。すなわち、電池サブシステムaにおいては、周波数チャネルがch1〜ch8へ順次変更する周波数ホッピングパターンが採用されている。また、電池サブシステムbにおいては、周波数チャネルが、電池サブシステムaに対して1周期ずれた周波数ホッピングパターン(ch2〜ch1へ順次変更)が採用されている。電池サブシステムmにおいては、始め電池サブシステムaと同じ周波数ホッピングパターン(ch1〜ch8へ順次変更)を取り、その後、電池サブシステムbと同じ周波数ホッピングパターン(ch2〜ch1へ順次変更)を採用している。一方、電池サブシステムnは、電池サブシステムbの周波数ホッピングパターンと同じ周波数ホッピングパターンの後、図5(A)に示した電池サブシステムcの周波数ホッピングパターン(ch3〜ch2へ順次変更)を採用している。このように、周波数ホッピングパターンをそのまま再利用してもよいし、組み合わせたり、部分的に再利用したりしてもよい。
<通信タイミング変更例1>
この実施の形態においては、電池サブシステムにおける通信品質を維持・向上させるために、周波数チャネルホッピングパターンの変更および/または通信タイミングの変更が行われる。ここでは、通信タイミングの変更について、例を用いて説明する。例としては、周波数チャネルの数よりも多くの電池サブシステムが、電波到達範囲内に存在する場合を説明する。この場合には、周波数チャネルの数が,電池サブシステムの数に対して不足することになるため、互いに重複する周波数チャネルを、複数の電池サブシステムにおいて、無線通信のために用いることになる。この実施の形態においては、複数の電池サブシステムのそれぞれに対して、統括管理装置22が、通信タイミングに関する情報を通信計測信号S3に含めて送信する。これにより、互いに重複する周波数チャネルを用いる複数の電池サブシステム間で、通信タイミングが重複しないように、統括管理装置22によって管理される。
図9(A)〜(I)は、電池システム23の動作を説明するためのシーケンス図である。この図9(A)〜(I)は、図3(A)〜(I)に類似している。すなわち、図9(A)〜(I)は、図3(A)〜(I)において、左側に示した周期(Period)におけるシーケンスと類似している。なお、ここでは、電池サブシステムa、cと、電池サブシステムa、cのそれぞれに設けられた中間管理装置a、cと、電池サブシステムa、cのそれぞれに設けられた末端管理装置a、bとが、代表として示されており、この代表を参照にしながら、図3との相違点を主に説明する。
図3(A)〜(I)に示したシーケンスと図9(A)〜(I)に示したシーケンスとの相違点は、電池サブシステムcにおいて、通信計測指示信号S3と計測指示信号S1との間の時間差T1と、計測指示信号S1と電池セル5に対する計測24との間の時間差T2と、計測指示信号S1と計測結果信号S2の時間差T3が、それぞれ時間差T4、T5、T6と変化している点である。これに対して、電池サブシステムaにおいては、図3と同様の通信タイミングで通信を行っている。ここで、注意すべき点は、電池セル5に対して計測24を行うタイミングは、電池サブシステムaおよびcにおいて、ともに時刻t4からとなっており、計測の同時性が担保されていることである。これにより、電池システム23における全ての電池セル5に対して、実質的に同時に計測が実施され、それぞれの電池セル5の正確な電池情報を取得することが可能とされている。
先ず、統括管理装置22は、通信計測指示信号S3によって、中間管理装置aには時間差T1、T2、T3を指示し、中間管理装置cには、時間差T4、T5、T6を指示する。このとき、統括管理装置22は、電池サブシステムaおよびcにおいて、電池セル5に対する計測24が、同時に時刻t4で開始されるように、時間差T1、T2、T4およびT5を設定する。
これにより、電池サブシステムa内の中間管理装置aは、通信計測指示信号S3から時間差T1後に、時間差T2と時間差T3に関する情報を含む計測指示信号S1を送信する。計測指示信号S1を受信した末端管理装置a、bのそれぞれは、計測指示信号S1から時間差T2後に、電池セル5に対して計測24を実施し、その計測結果を含む計測結果信号を、計測指示信号S1から時間差T3後に、中間管理装置aへ送信する。
一方、電池サブシステムcは、通信系測指示信号S3から時間差T4後に、時間差T5およびT6に関する情報を含む計測指示信号S1を、末端管理装置a、bのそれぞれに送信する。電池サブシステムcにおける末端管理装置a、bのそれぞれは、受信した計測指示信号S1から時間差T5後に、電池セル5に対して計測24を実施し、その計測結果を含む計測結果信号を、計測指示信号S1から時間差T6後に、週間管理装置bへ送信する。
予め、統括管理装置22によって、電池セル5に対する計測24が同じ時刻t4において開始されるように、時間差T1、T2、T5およびT6が設定されているため、電池サブシステムaと電池サブシステムcにおいて、電池セル5に対する計測24の実施タイミングをそろえたまま、通信タイミングのみを変更することができる。すなわち、電池サブシステムaにおける中間管理装置aと末端管理装置a、bとの間の無線通信の通信タイミングと、電池サブシステムbにおける中間管理装置aと末端管理装置a、bとの間の無線通信の通信タイミングとが重ならないように、変更することができる。
このとき、時間差T1、T2、T3、T4、T5、T6はいずれも数ミリ秒であり、電池セル5に対する計測24の同時性は維持される。なお、各中間管理装置a、cに指示する時間差は、各中間管理装置a、cのIDと紐付ければ、通信計測指示信号S3をブロードキャスト送信する場合においても、各中間管理装置a、c別に時間差を指示することができる。
周波数チャネルが不足する例として、電池サブシステムaおよびcの双方で、特定の周波数チャネルを、無線通信に用いることができず、同じ通信の周期において、未使用の周波数チャネルが存在しない場合が挙げられる。この場合、特定の周波数チャネルを用いることができなくなる例として、その特定の周波数チャネルの通信品質が劣化している場合が挙げられる。
図11(A)〜(C)は、電池サブシステムaおよびcにおいて、周波数チャネルch3の通信品質が劣化している場合のタイミング図である。図11(A)〜(C)のそれぞれにおいて、上段側には、時間経過に伴う周波数チャネルの変化が示されており、下段側には、統括管理装置22によって指示される通信タイミングの時間差が、時間経過に沿って描かれている。ここで、図11(A)〜(C)のそれぞれの上段側に示された周波数チャネルの変化は、通信品質が劣化していない場合には、図5(A)〜(C)に示すように変化するものであったとする。電池サブシステムaおよびcにおいて、周波数チャネルch3が劣化しているため、図5(A)および(C)に示した周波数チャネルホッピングパターンは、図11(A)および(C)に示すように変更されたものと理解して頂きたい。
すなわち、図11(A)および(C)においては、電池サブシステムaにおいて、周波数チャネルch3の通信品質が劣化したため、3番目の通信周期で電池サブシステムcと同じ周波数チャネルch5を使用するように、統括管理装置22が指示している。このとき、通信タイミングの重複を避けるために、電池サブシステムaでの通信タイミングを、時間差T1、T3から時間差T4、T6へ変更するように併せて指示している。また、同様に電池サブシステムcにおいて、周波数チャネルch3の通信品質が劣化しており、1番目の通信周期で電池サブシステムaと同じ周波数チャネルch1を使用するように統括管理装置22が指示している。このときには、通信タイミングの重複を避けるために、電池サブシステムcでの通信タイミングを、時間差T1、T3から時間差T4、T6へ変更するように併せて指示している。
このように、統括管理装置22が各電池サブシステムの通信品質を管理し、各中間管理装置に通信タイミングと通信周波数を指示することで、使用可能な周波数チャネル数以上の電池サブシステムを共存させることができる。
なお、電池サブシステムbにおいては、周波数チャネルch3の通信品質は劣化していないため、統括管理装置22から電池サブシステムbへ指示される通信周波数(周波数チャネル)と通信タイミング(時間差)は、変更されていない。すなわち、図5(B)に示した周波数チャネルホッピングパターンと同じになっており、通信の周期における通信タイミングも、時間差T1、T3として指示されている。
<通信タイミング変更例2>
電池システム23においては、周期的に電池セル5の電池情報を収集している。例えば、図3、図5および図9を例にして、説明するならば、期間(Period)が周期的に繰り返され、それぞれの期間において、全ての電池セル5の電池情報が、統括管理装置22に収集される。この場合、各電池サブシステムにおいて無線通信に用いられる周波数チャネルは、図5に示すように変更される。図5(A)を例にすると、電池サブシステムaにおいては、特定の期間(Period)では周波数チャネルch1を用いて無線通信が行われ、次の期間(Period)では周波数チャネルch2を用いて無線通信が行われる。
上記した<通信タイミング変更例1>では、周波数チャネルの数を超える電池サブシステムが、電波到達範囲内に存在している場合に、期間(Period)において、電池サブシステムcの通信タイミングを変更することを述べた。ここでは、通信タイミングを変更したときに、2つの電池サブシステムa、cにおいて、それぞれに設けられている中間管理装置a、cが、計測結果信号S2を収集する時間的余裕がない場合の、統括管理装置22により実施するシーケンスを説明する。図9に示したように、通信タイミングを変更した場合、図9の例では、電池サブシステムcにおいて、各末端管理装置a、bからの計測結果信号S2の送信が遅れる。そのため、例えば電池サブシステムcに含まれている電池モジュール3の数が多いと、期間(Period)において、中間管理装置cが、全ての計測結果信号S2を収集するための時間が不足することが考えられる。
以下の述べる例では、統括管理装置22は、2つの電池サブシステムa、cに対して、交互に計測結果信号S2を収集するように、通信計測指示信号S3によって指示する。収集を指示された中間管理装置は、収集した計測結果信号に基づいた通信計測結果信号S4を、統括管理装置へ送信する。一方、収集を指示されなかった中間管理装置は、次の周期に、前の周期における計測結果信号S2とこの周期における計測結果信号S2とに基づいた通信計測結果信号S4を、統括管理装置22へ送信する。これにより、統括管理装置22には、電池サブシステムa、cのそれぞれから、通信品質と計測結果が伝達されることになる。
次に、図10(A)〜(I)を用いて、詳しく説明する。図10(A)〜(I)は、電池システム23の動作を説明するためのシーケンス図である。この図10(A)〜(I)は、図9(A)〜(I)に類似しているので、ここでは相違点を主に説明する。まず、図10(A)〜(I)の状態を説明する。図10では、周期(Period)Nにおいて、周波数チャネルが不足し、電池サブシステムaとcにおいて、同じ周波数チャネルが無線通信に用いられている。この場合、図9で説明したように、通信タイミングが、電池サブシステムaとbとの間で重複しないようにされている。次の周期(Period)N+1から周期(Period)N+7までは、電池サブシステムaとcとは、互いに異なる周波数チャネルによって無線通信を行っている。次の周期(Period)N+8において、周期(Period)Nと同じように、電池サブシステムaとbの周波数チャネルが同じになり、この周期(Period)N+8において、再び通信タイミングが変更されている。すなわち、周期(Period)N〜N+7までを、1つの周波数チャネルホッピングパターンとし、この周波数チャネルホッピングパターを繰り返している。
先ず、統括管理装置は、周期Nにおいて、中間管理装置aに対し、計測結果信号S2の収集を通信タイミングT3(時間差T3)で行うことを、通信計測指示信号S3で指示する。また、電池セル5に対して、時間差T2で計測24を実施することも、中間管理装置aに対して指示する。一方、中間管理装置cに対しては、電池セル5に対する計測24を、時間差T2で実施することを指示するが、計測結果信号S2の収集は行わず、電池サブシステムcに含まれている末端管理装置a、bのそれぞれの記録部11(図1)に、計測結果を記録しておくように、通信計測指示信号S3によって指示する。
これにより、周期Nにおいて、電池サブシステムaにおける末端管理装置a、bのそれぞれは、計測指示信号S1から時間差T3経過後の通信タイミングにおいて、計測結果信号S2を送信する。一方、中間管理装置aは、計測指示信号S1から時刻差T3後の通信タイミング(時刻t6、t7)において、末端管理装置a、bからの計測結果信号S2を受信し、計測結果信号S2の収集を行う。これに対して、電池サブシステムcにおいては、電池サブシステムaと同じ時刻t4において、電池セル5に対する計測24が実施されるが、計測結果は、それぞれの記録部11に記録されるだけで、末端管理装置a、cからは送信されない。
次の周期N+1において、統括管理装置22は、中間管理装置cに対して、前の周期Nでの計測結果を、当該周期N+1の計測結果と併せて収集するように指示する。この場合、計測結果のデータ量は倍になるが、パケット通信の場合、通信所要時間はパケットのプリアンブルやインターバルなどデータ以外の部分が支配的になるため、通信シーケンスに影響はない。この周期N+1においては、上記したように、電池サブシステムa、bのそれぞれで通信タイミングを変更していないため、中間管理装置aは、周期N+1の測定結果を、当該電池サブシステムaにおける各末端管理装置a、bから受信することになる。一方、中間管理装置bは、周期N+1において、周期Nでの測定結果(記録部11に記録されていた測定結果)と周期N+1での測定結果とを、受信することになる。
周期N+1〜N+7までは、統括管理装置22、電池サブシステムa、cは、図3に示した統括管理装置22、電池サブシステムa、bと同様なシーケンスで動作する。
周期N+8においては、周期Nとは逆に、統括管理装置22は、電池サブシステムaの中間管理装置aに対して、計測結果信号S2の収集を行わず、電池サブシステムcの中間管理装置cに対して、計測結果信号S2の収集を行うことを、通信計測指示信号S3によって指示する。このように、通信タイミングの指示の一環として、計測結果信号S2の収集可否を統括管理装置22が各中間管理装置2に指示することにより、計測結果信号S2を収集する時間に余裕がない場合でも、電池セル計測24の実施タイミングを保ちつつ、周波数チャネル数以上の電池サブシステムを、電池システム23に設けることができる。
周波数チャネルが不足する例として、周波数チャネルch3の通信品質が劣化しており、同じ通信の周期において未使用の周波数チャネルが存在しない場合の動作例を、図12(A)〜(C)を参照して説明する。
図12(A)〜(C)は、図11(A)〜(C)と同様に、電池サブシステムaおよびcにおいて、周波数チャネルch3の通信品質が劣化している場合のタイミング図である。図12(A)〜(C)のそれぞれにおいて、上段側には、時間経過に伴う周波数チャネルの変化が示されており、中段には、統括管理装置22によって指示される通信タイミングの時間差が、時間経過に沿って描かれている。また、下段側には、計測結果信号S2(図では、計測結果収集と記載)の収集の有無が、時間に沿って描かれている。また、図12(A)〜(C)のそれぞれの上段側に示した周波数チャネルの変化は、周波数チャネルch3の通信品質が劣化していなければ、図5(A)に示したように変化していたものとする。また、図12(A)〜(C)のそれぞれの下段側に示した計測結果収集において、収集する場合は「収集」と記載し、収集しない場合は「−」と記載している。
図12(A)〜(C)では、電池サブシステムaにおいて、周波数チャネルch3の通信品質が劣化したため、3番目の通信周期で電池サブシステムcと同じ周波数チャネルch5を使用するように統括管理装置22が指示している。このとき、計測結果信号S2を収集する時間的余裕が無いため、電池サブシステムaでの通信タイミングを時間差T1から時間差T4へ変更し、計測結果信号S2の収集を行わないように併せて指示している。一方、周波数チャネルホッピングパターンが1周するところの8周期後には、電池サブシステムaにおいて、計測結果信号S2の収集を行うように指示し、代わりに電池サブシステムcに対して、計測結果信号S2の収集を行わないように指示している。
同様に、電池サブシステムcにおいて、周波数チャネルch3の通信品質が劣化しており、1番目の通信周期で電池サブシステムaと同じ周波数チャネルch1を使用するように、統括管理装置22が指示している。このとき、計測結果信号S2を収集する時間的余裕が無いため、電池サブシステムcでの通信タイミングを時間差T1から時間差T4に変更し、計測結果信号S2の収集を行わないように併せて指示している。8周期後には、電池サブシステムcにおいて計測結果信号S2の収集を行うように指示し、代わりに電池サブシステム1aに対して計測結果信号S2の収集を行わないように指示している。
このように、統括管理装置22が各電池サブシステムの通信品質を管理し、各中間管理装置に通信タイミングと通信周波数、計測結果信号S2の収集可否を指示することで、使用可能な周波数チャネル数以上の電池サブシステムを共存させることができる。なお、電池サブシステムbについては、図11と同様に変更はしていない。
<電池システムの全体動作>
図13は、電池システム23の全体動作を示すフローチャート図である。図3、図5〜6、図8〜図12に示したように、電池セル5に対して計測24を周期的に繰り返し行う場合が示されている。また、後で説明するが、統括管理装置22は、例えば記録部20(図1)に、各電池サブシステムに対応した周波数チャネル毎の使用禁止期間テーブルを有している。各電池サブシステムのうち、電池サブシステムa、bにそれぞれ対応した使用禁止期間テーブルの例が、図14(A)および(B)に示されている。次の図13に示したフローチャートに沿って、全体動作を説明する。
開始すると、先ず、統括管理装置22は、ステップS101において、通信計測指示信号S3を、電池システム23に含まれている全ての中間管理装置2(a、b、c・・・)に対して送信する。それぞれの中間管理装置2は、通信計測指示信号S3を受信すると、受信した通信計測指示信号S3に基づき、ステップS102において、計測指示信号S1を、当該中間管理装置2と同じ電池サブシステムにおける全ての末端管理装置4に対して、無線通信で送信する。
計測指示信号S1を受信した末端管理装置4のそれぞれは、受信した計測指示信号S1に基づき、その末端管理装置4に結合された1個あるいは複数個の電池セル5に対して、ステップS103において計測24を実施する。この計測24の結果と通信品質に関する情報とを含む計測結果信号S2を、末端管理装置4は、同じ電池サブシステム内の中間管理装置2に対して無線通信で送信する(ステップS104)。中間管理装置2は、同じ電池サブシステム内の複数の末端管理装置4からの複数の計測結果信号S2を受信し、受信した複数の計測結果信号S2に基づいた通信計測結果信号S4を形成し、統括管理装置22に対して送信する(ステップS105)。この場合、通信計測結果信号S4は、先に述べた通信品質に関する情報も含んでいる。
各中間管理装置2からの通信計測結果信号S4を受信した統括管理装置22は、受信した通信計測結果信号S4に基づいて、図4(A)および(B)に示した品質管理テーブルの各項目に値を設定し、電池サブシステム毎に通信品質を管理する(ステップS106)。図4を用いて既に説明したように、品質管理テーブルで、通信品質が劣化した周波数チャネルは、その使用が禁止される。この実施の形態においては、周波数チャネルを使用禁止にする際に、通信品質が劣化した周波数チャネルは、一定期間に亘って使用禁止とし、一定期間経過後、再び使用可能とするように制御されている。これは、時間の経過に伴って、反射波の環境が変化したり、妨害波の発生源が遠ざかったりして、通信品質が劣化したと判定した周波数チャネルの通信品質が、良好な状態に回復する可能性が高いからである。また、こうすることによって、長期間稼動する電池システム23において、使用可能な周波数チャネルが枯渇することも回避することが可能となる。この制御を行うために、統括管理装置22は、図14(A)および(B)に代表例として示すような使用禁止期間テーブルを有している。
統括管理装置22は、電池サブシステム毎に対応した使用禁止期間テーブルを用いて、電池サブシステム毎に、周波数チャネルの使用禁止期間を管理する。電池セル5を監視制御する周期が一定であれば、この周期数で一定期間を管理するとよい。例えば、特定の電池サブシステムにおいて、特定の周波数チャネルの通信品質が劣化したと判定されると、100周期に亘って使用禁止とする。図14(A)および(B)の例では、電池サブシステムaにおいて、周波数チャネルch3の通信品質が劣化したと判定された場合、この周波数チャネルaに対応した使用禁止期間テーブル(図14(A))において、周波数チャネルch3の使用禁止周期に“100”が設定される。図14(A)においては、周波数チャネルch1、ch、ch4、ch5は通信品質が良好で使用可能であり、周波数チャネルch6からch8は過去に通信品質が劣化したと判定されており、残っている使用禁止周期数はそれぞれ70、10、30であることを示している。つまり周波数チャネルch6は30周期前に、周波数チャネルch7は90周期前に、周波数チャネルch8は70周期前に通信品質が劣化したということである。すなわち、監視制御を一周期実施する毎に、使用禁止期間テーブルに設定されている数(使用禁止周期)を、100から1ずつ減少させる。なお、使用禁止周期が無くなり使用可能となった際には、通信品質管理テーブルの当該周波数チャネルの欄をクリア(“−”として記載)する。また、電池サブシステムbについては、全ての周波数チャネルが使用可能な状態であることが、図14(B)に示した使用禁止期間テーブルから判定される。
ステップS106において、統括管理装置22は、それぞれの電池サブシステムに対応する使用禁止期間テーブルを更新する。すなわち、通信品質が劣化したと判定されたチャネルに対しては、例えば、図14(A)のチャネルch3のように、使用禁止周期として“100”を設定し、他のチャネル、例えばチャネルch6、ch7、ch8においては、−1の減算を行う。このようにして、通信品質の管理と使用禁止周期の更新が、ステップS106において実施される。
ステップS106の後、ステップS107(通信品質劣化)において、統括管理装置22は、各電池サブシステムで現在使用している周波数チャネルの通信品質が、劣化しているかどうかの判定を行う。通信品質が劣化している場合には、周波数チャネル変更アルゴリズムS108を実施する。周波数チャネル変更アルゴリズムS108は、通信品質が劣化した周波数チャネルを通信品質が劣化していない周波数チャネルに変更するもので、後で図15を用いて説明するので、ここでは省略する。通信品質劣化の判定を行うステップS107において、通信品質が劣化していないとき、あるいは周波数チャネル変更アルゴリズムのステップS108を実施した後、電池セル5に対する計測24の終了判定S109を実施する。電池セル5に対する計測25を継続する場合は、周波数チャネルに関する変更指示などを含めた通信計測指示信号S3を生成し(ステップS110)、次の計測の周期に入る。すなわち、ステップS101へ戻る。このようにして、電池セ5に対する計測24が周期的に繰り返される。なお、ステップS109における計測終了は、電池システム23を停止させる場合などのときに、終了と判定する。
<周波数チャネル変更アルゴリズム>
次に、上記した周波数チャネル変更アルゴリズムの例を、図15を用いて説明する。図15は、周波数チャネル変更アルゴリズムの動作を示すフローチャート図である。統括管理装置22は、図13に示したステップS107において通信品質が劣化していると判定した周波数チャネルを変更するとき、このアルゴリズムに従って、変更先の周波数チャネルを定める。N個の電池サブシステム1が、電池システム23に設けられていた場合、N個の電池サブシステムに対して、順番に、このアルゴリズムを適用して、変更先の周波数チャネルを求める。1測定の周期内に全て(N個)の電池サブシステムに対して、図15に示したステップS112〜S120を実施する例を説明する。しかしながら、例えば、電池セル5に対する計測の周期を優先させる場合などでは、1測定の周期内で、当該アルゴリズムを適用する電池サブシステム1の上限数を設定し、これを超える分は次の計測の周期に実施するようにしてもよい。
先ず、ステップS111において、アルゴリズムを適用する最初の電池サブシステムを定める(N=1)。
最初の電池サブシステムを定めた後、その電池サブシステム(N=1)において、通信品質が良好な周波数チャネル(図14(A)および(B)において、使用禁止周期が残っていない周波数チャネル)が存在しているかどうかを判定する(ステップS112)。通信品質が良好な周波数チャネルが存在する場合には、今回、通信品質が劣化していると判定された当該周波数チャネルの変更先を、上記通信品質が良好な周波数チャネルの中から選定する選定処理を行う。
選定処理は、図15に示すステップS113〜S117を具備している。ここで述べる選定処理は、先のステップS107において通信品質が劣化していると判定された周波数チャネルを、通信品質が劣化していない周波数チャネルへ変更する処理である。この選定処理においては、通信タイミングも含めて、同じ周波数チャネルが、重複して用いられないように、通信品質が劣化していない周波数チャネルが選定される。
先ず、選定処理の始めは、同じ計測の周期において、他の電池サブシステムで未使用の周波数チャネルがあるかどうかを判定する(ステップS113)。未使用の周波数チャネルがある場合、ステップS114において、先ず、その周波数チャネルを当該周波数チャネルの変更先の候補として選定する。この場合、候補として、未使用の周波数チャネルが複数ある場合には、ステップS114において、前後の計測の周期とは異なる周波数チャネルを優先して、変更先の周波数チャネルとして選択する。また、ステップS114においては、候補の周波数チャネルから、期待される通信失敗確率が最小である周波数チャネルを、変更先の周波数チャネルとして優先して、選択する。ここで期待される通信失敗確率は、候補の周波数チャネルが、電池サブシステムNの他の周期において使用している周波数チャネルである場合、統括管理装置22は、その使用している周波数チャネルを管理しており、そのときの周波数チャネルの通信品質を把握している。そのため、この周波数チャネルを電池サブシステムNで用いたとき生じるであろう通信失敗の確率を推測し、期待される通信失敗確率とすることが可能である。
候補となる周波数チャネルが複数存在する場合、ステップS114においては、特に制限されないが、前後の計測の周期とは異なる周波数チャネルを優先して選択し、優先して選択された候補の周波数チャネルから、次に通信失敗確率の小さい周波数チャネルを選択し、変更先の周波数チャネルとすることが考えられる。
もし、同じ周期において他の電池サブシステムで未使用の周波数チャネルが存在しない場合、当該周波数チャネル(変更元の周波数チャネル:電池サブシステムNで通信品質が劣化している周波数チャネル)は、他の電池サブシステムでは通信品質が良好とされているかどうかを、ステップS115において判定する。もし、他の電池サブシステムで、当該周波数チャネル(変更元の周波数チャネル)は通信品質が良好と判定されていれば、通信品質が良好と判定している電池サブシステムが、同じ周期で使用している周波数チャネル(電池サブシステムNにとって通信品質が良好な周波数チャネル)と当該周波数チャネル(変更元の周波数チャネル)を、ステップS116において交換する。当該周波数チャネル(変更元の周波数チャネル)の通信品質を良好としている電池サブシステムが複数存在する場合、その電池サブシステムと電池サブシステムNの双方において、連続した周期で同じ周波数チャネルによる通信が発生しない、電池サブシステムと電池サブシステムNとの組み合わせを優先して選択する。この選択においても複数の組み合わせが存在する場合には、期待される通信失敗確率が最小である周波数チャネルを用いる電池サブシステムと電池サブシステムNとの組み合わせを優先する。
もし、ステップS115において、当該周波数チャネル(変更元の周波数チャネル)が、他の電池サブシステムでも通信品質が劣化していると判定された場合、電池サブシステムNにおいて通信品質が良好な周波数チャネルを変更先の周波数チャネルとして選択し、変更する。この場合には、変更先の周波数チャネルを無線通信に用いている電池サブシステムが存在することになるため、同じ周期に同じ周波数チャネル(変更先の周波数チャネル)を使用する前記他のサブシステムとは異なる通信タイミングを、電池サブシステムNに適用する(ステップS117)。この場合にも、変更先の周波数チャネルの候補が複数ある場合は、連続して同じ周波数チャネルによる無線通信が発生しないように、また、期待される通信失敗確率が最小となるように選定し、変更する。
もし、冒頭のステップS112において、通信品質が良好な周波数チャネルが存在していない場合には、通信品質が劣化している周波数チャネル(通信品質劣化チャネル)を含めて変更先を選定することとし(ステップS118)、上記したステップS113以下のステップを実施する。この場合には、期待される通信失敗確率は、図14(A)および(B)に示した使用禁止周期が、短い周波数チャネルほど、小さいと判定する。使用禁止周期が短いということは、最も古くに通信品質が劣化したと判定された周波数チャネルである。そのため、時間の経過と共に、通信品質が回復している可能性が高いため、ここでは期待される通信失敗確率は小さいと推定する。
以上のように、現在使用している周波数チャネルの通信品質が劣化している場合には、通信品質が良好な周波数チャネルへ変更する、すなわち周波数チャネルホッピングパターンを変更することで、計測指示信号S1、および計測結果信号S2の通信信頼性を高く維持することができる。
周波数チャネルホッピングパターンを変更する際には、連続した周期において、同じ周波数チャネルによる通信が発生しないようにすることで、1つ周波数チャネルに集約されることを防いでいる。これにより、今後発生する可能性のある妨害波への耐性を強く維持することが可能となる。
<時間差によるタイミング指示>
図3などで、説明したように、実施の形態においては、時間差T1、T2、T3などを用いて、実施のタイミングおよび/または通信タイミングを指示している。実施の形態においては、特に制限されないが、信号を受信したときから時間差によって、実施のタイミングおよび/または通信タイミングが規定されている。図16は、時間差による指定の処理を示すフローチャート図である。ここでは、中間管理装置aから末端管理装置aへの指示を例にして説明する。
中間管理装置aは、統括管理装置22からの通信計測指示信号S3に基づいて、ステップS120(送信)において、無線通信により、計測指示信号S1を送信する。次に、この計測指示信号S1が、末端管理装置aによって受信されたことを示す確認信号が、末端管理装置aから返信されたか否か(受信されたか)を、ステップS121において判定する。受信された場合、送信回数iを0にセットし、次の処理、例えば末端管理装置aからの受信待ち処理へ移る。
末端管理装置aは、計測指示信号S1を受信すると、当該計測指示信号S1に含まれている時間差T2およびT3に関する情報に基づいて、処理を行う。すなわち、受信したときから、タイマ4(図1)による時間が時間差T2に到達したときに、電池セル5に対する計測24を開始し、時間差T3に到達した以降に、計測結果信号S2を無線通信で、中間管理装置aへ送信する。
一方、ステップS121において、中間管理装置aが、受信を示す確認信号を受信できない場合には、送信回数iが所定回数を超えたか否かをステップS122において判定する。送信回数iが、所定回数を超えている場合には、ステップS126が次に実行される。ステップS126において、送信回数iは0とされるが、この場合には、次の処理として、計測指示信号S1が末端管理装置aによって受信されなかったことに対する処理が行われる。
一方、送信回数iが所定回数未満の場合には、ステップS122の次にステップS123が実行される。ステップS123においては、中間管理装置aは、時間差T2およびT3の再計算(時間差再計算)を実行する。すなわち、送信回数iが所定回数未満の場合には、中間管理装置aは、計測指示信号S1を、再び末端管理装置aへ送信するが、再送信までに時間が経過しているため、この経過に要する時間を時間差T2およびT3から差し引くための再計算を行い、再計算により求めた時間差T2’およびT3’に関する情報を有する計測指示信号S1を生成して、ステップS124において、末端管理装置aへ送信する。送信号後に、送信回数iをステップS125においてカウントアップし、ステップS121へ戻る。このようにすることにより、計測指示信号S1が、末端管理装置によって受信できなかった場合であっても、計測指示信号S1の送信を所定回数繰り返すことができる。また、時間差T2およびT3の再計算が行われるため、電池セル5に対する計測24の同時性を担保することが可能となる。時間差T2およびT3を例にして説明したが、時間差T1などについても同様である。
なお、図16においては、ステップ124において送信が行われているが、ステップ124を削除し、ステップS125において、送信回数iをカウントアップした後、ステップS120において、送信が行われるようにしてもよい。
本願明細書には、電池サブシステムのそれぞれにおける通信品質を担保すると言う観点に立った場合、次に付記する発明も開示されているものと理解することができる。
<付記>
複数の電池サブシステムと、前記複数の電池サブシステムを管理する統括管理装置と、を具備する電池システムであって、
前記複数の電池サブシステムのそれぞれは、
それぞれ、1個もしくは複数個の電池と、前記1個もしくは複数個の電池の状態を管理する末端管理装置と、を具備する、複数の電池モジュールと、
前記統括管理装置に結合され、前記複数の電池モジュールのそれぞれとの間で無線通信を行い、前記複数の電池モジュールの管理を行う、中間管理装置と、
を具備し、
前記統括管理装置は、前記複数の電池サブシステムにおける前記中間管理装置に対して、前記無線通信の通信タイミングと前記無線通信に用いる周波数チャネルホッピングパターンとに関する情報を含む通信計測信号を送信し、
前記複数の電池サブシステムにおける中間管理装置は、受信した前記通信計測信号に基づいて、当該中間管理装置と前記末端管理装置との間の前記無線通信の通信タイミングと前記周波数チャネルホッピングパターンとに関する情報を含む計測指示信号を、電池サブシステム内の前記複数の電池モジュールにおける末端管理装置へ送信し、
前記複数の電池モジュールにおける末端管理装置は、受信した前記計測指示信号に含まれる通信タイミングに基づいたタイミングにおいて、前記周波数チャネルホッピングパターンに基づいた周波数チャネルを用いて、前記管理する電池の状態に関する情報を含む計測結果信号を、前記中間管理装置へ送信し、
前記中間管理装置は、前記計測指示信号と前記計測結果信号の通信品質に関する情報と、前記計測結果信号の情報に基づく電池の状態に関する情報と、を含む通信計測結果信号を前記統括管理装置に送信し、
前記統括管理装置は、前記通信計測結果信号の情報に基づいて、前記電池システムにおける複数の電池のそれぞれの状態を管理し、前記通信品質に関する情報に基づいて、前記複数の電池サブシステムのそれぞれにおける通信品質に関する情報から、前記複数の電池サブシステムのそれぞれにおいて用いられる前記周波数チャネルホッピングパターン、および前記無線通信タイミングのいずれかが、前記複数の電池サブシステム間で重複しないように管理する、電池システム。
以上述べたように、電池システム23においては、複数の電池サブシステムのそれぞれにおいて用いられる周波数チャネルと通信タイミングが、統括管理装置によって一括的に管理されることになる。これにより、電池システム23に、多くの電池サブシステム1を、共存させることが可能になる。これにより、大規模な電池システムにおいても、各電池セルを一斉に計測することが可能になり、各電池セルの計測結果を収集することが可能になる。
また、それぞれの電池サブシステムにおける周波数チャネルと通信タイミングの両方を一括的に管理することにより、周波数チャネル数以上の電池サブシステムを共存させることが可能になる。これにより、大規模な電池システムにおいても、各電池セルを一斉に計測することが可能になり、各電池セルの計測結果を収集することが可能になる。
さらに、計測指示信号S1と電池セルの計測24との時間差によって計測タイミングを指示することにより、高い同時性で各電池セルを一斉に計測することが可能になる。
また、通信計測指示信号と計測指示信号または計測結果信号の時間差によって通信タイミングを指示することにより、高い同時性で各電池サブシステム内の通信を行うことができ、通信タイミングの重複を防ぐためのマージンを最小化できる。
また、無線通信をしていない期間に妨害波の調査を行うことにより、妨害波による通信品質の劣化をより早く、正確に検知することが可能になる。これにより、各電池サブシステムでより確実に通信することが可能になる。
さらに、電池サブシステム毎に通信品質が劣化した周波数チャネルを他の電池サブシステムと通信が衝突しないように割り当てることができ、通信環境が変化しても多くの電池サブシステムを共存させることができる。
周波数チャネルの通信品質の管理において、通信品質が劣化した周波数チャネルを一定期間使用禁止とし、一定期間の経過後には、古い通信品質の情報を消去し再び使用可能とすることで、使用可能な周波数チャネルが枯渇することを防ぐことが可能になる。これにより、各電池サブシステムにおいて、より確実に通信することが可能になる。
以上本発明者によってなされた発明を、前記実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、統括管理装置22から各電池サブシステム1における中間管理装置2には、通信計測指示信号S3を、ブロードキャストで送信することを示したが、それぞれの中間管理装置に対してユニキャストで、通信計測指示信号S3を送信するようにしてもよい。また、ブロードキャストで、通信計測指示信号S3を送信する場合、各中間管理装置に対して、それぞれユニークなIDを付加しておき、各中間管理装置において、受信した通信計測指示信号S3に対して、その中間管理装置に付加されているIDの値を操作することにより、中間管理装置毎に異なる処理が行われるようにしてもよい。
また、計測内容は、電池の電圧、温度、充放電電流、内部抵抗、残存電荷量、ID、不具合の有無、および劣化度合いのいずれか一つであってもよい。さらに、計測指示信号と計測結果信号の通信品質に関する情報は、計測指示信号および計測結果信号における受信失敗回数、データ誤り無しでの受信成功回数、誤り訂正による受信成功回数、受信信号強度、および妨害波検知回数のいずれか一つに関する情報であってもよい。また、複数の電池サブシステムのそれぞれにおける通信品質に関する情報は、周波数チャネル毎の通信失敗回数、受信信号強度、および妨害波検知回数のいずれか一つに関する情報であってもよい。