以下、本発明のLED灯具の実施形態を各図に基づいて説明する。まず、LED灯具10の構成概要を図1〜図4を参照して説明する。なお、図1には、LED灯具10の使用状態の例を表す斜視図が図示されている。図2には、LED灯具10を取り付けた鉄道車両100の構成例を表す断面図が図示されている。図3には、LED灯具10の外観構成例等を表す斜視図が図示されている。図4には、図3に表すIV−IV線による断面図が図示されている。
図1に示すように、本実施形態のLED灯具10は、例えば、鉄道車両の客室内の天井102や壁103等の取付面の凹部102aに設けられて使用される室内照明装置である。LED灯具10は、発光ユニット30から出射する照明光のすべてを照射方向に直接向けるものではなく、照明光の大半を本体ケース20に2列に並ぶ反射面22,23に反射させて照射方向に照明光を向けるものである。図1に示すLED灯具10は、構成を理解し易く表現するために単体のLED灯具10を図示しているが、鉄道車両等では、車両の前後方向に複数のLED灯具10を直線状に連ねて設ける。なお、図1に表す符号29は、発光ユニット30の端部を覆うサイドカバーを示している。
図2に示すように、本実施形態でLED灯具10を搭載する鉄道車両100には、客室101内に通路を挟んで座席105が2列設けられている。また、天井102に近い壁103には、荷物棚107が設けられている。なお、図2では、客室101以外の鉄道車両100を構成する部分を省略していることに注意されたい。そのため、客室101の外部に設けられる台車やパンタグラフ等は図示していない。また、図2に示す座標系のX軸方向は、鉄道車両100の車幅方向を示す。また、同座標系のY軸方向は、鉄道車両100の前後方向を示す。さらに、同座標系のZ軸方向は、鉄道車両100の高さ方向を示す。
鉄道車両100では、それぞれの座席105の上方の天井102に凹部102aを形成してそれらの凹部102a内にLED灯具10(10R,10L)を取り付けている。LED灯具10の取り付けは、例えば、車両側の取付金具に図略のボルトをねじ締結することにより行われる。後述するように、LED灯具10では、2列に並ぶ反射面22,23にそれぞれ異なった角度で照明光が入射する。そのため、反射面22,23に反射した照明光は、両者違う角度でLED灯具10から出射される。
例えば、客室101の通路側および座席105を照らす照明光を反射面22,23や天井102に反射した反射光、つまり間接光にする。これにより、発光ユニット30から出射した照明光が、直接、乗客に当たらないようにしている。その一方で、発光ユニット30から出射した照明光が、荷物棚107を直接照らし得るように、壁103の方向を照らす直接光(矢印付きの二点鎖線)の向きを設定する。これにより、間接光だけでは不足する荷物棚107に対する照明光の照度を直接光により補うことができる。なお、後述するように、荷物棚107に直接光を照射し得る照明光は、反射面22に向くLED列部50から出射される。
図3および図4に示すように、本実施形態のLED灯具10は、本体ケース20、発光ユニット30、連結リンク40、LED電源装置80等により構成されている。なお、図3以降に示すLED灯具10は、図2に示す紙面左側のLED灯具10Lに相当するが、紙面右側のLED灯具10Rについても、構成における形状や位置関係がX軸方向において左右逆になること以外は同様に構成される。また図3以降に示す座標系は、図2に示す座標系に対応するものであるが、X軸方向を「短手方向」、Y軸方向を「長手方向」、Z軸方向を「高さ方向」、とそれぞれ呼ぶ場合があることに注意されたい。また、図4は、図3に示すようにIV−IV線による断面図であり、その矢視方向に注意されたい。なお、図4において、LED灯具10が紙面右方向に下がる(紙面左方向に上がる)ように表されているが、これは、鉄道車両100の天井102の表面形状に合わせてLED灯具10が取り付けられているためである。
本体ケース20は、例えばアルミニウム等の金属材からなり、中央部21、反射面22,23、フランジ部27,28等が押出または切削加工により長尺状に一体に形成されている。本体ケース20に金属材を用いる理由は、樹脂材に比べて、不燃性に優れており、熱伝導特性が良いためである。本体ケース20は、短手方向のほぼ中央に中央部21が形成されている。この中央部21には、長手方向に沿って貫通孔20aが複数箇所に形成されている。これらの貫通孔20aに図略のボルトが通りそれが車両側取付金具110にねじ締結することによって、LED灯具10が車両側取付金具110に固定される。車両側取付金具110は、天井102の凹部102a内に架設される鉄道車両100の構造体である。
天井102の凹部102aに対向する中央部21の両側には、比較的平坦な平坦部21aが形成されている。これらの平坦部21aは、LED灯具10を天井102に取り付けた場合、凹部102a内に隠れて、客室101側からは見え難い部分である。そのため、これら裏側の平坦部21aには、LED電源装置80、各コネクタ81,83,85、各配線91,93,95や配線ホルダ98等が組み付けられて、これらが凹部102a内に収容される。LED電源装置80、各コネクタ81,83,85や配線ホルダ98は、ねじ締結により、また各配線91,93,95は結束バンドにより、それぞれ本体ケース20に組み付けられる。また、本体ケース20には、平坦部21aを短手方向から挟むように内側に向けてLアングル状に曲がるフランジ部27,28が形成されている。これにより、本体ケース20の長手方向に対する曲げ強度を向上させるとともに、渡り配線91等を覆う板状カバーの組み付けを容易にしている。
渡り配線91は、中継コネクタ85を介して他のLED灯具10に接続されている。これにより、LED灯具10には他のLED灯具10から直流電圧が供給されたり、LED灯具10が他のLED灯具10に直流電圧を供給したりする。また、渡り配線91は、LED灯具10を鉄道車両100に取り付ける際に隣り合う他のLED灯具10の中継コネクタ85に接続するため、当該LED灯具10から引き出される場合がある。そのため、このような引き出しに対応可能な余剰長を渡り配線91に持たせている。
本実施形態では、渡り配線91の余剰分を本体ケース20の裏側の平坦部21aに設けた平箱状の配線ホルダ98内に収容している。渡り配線91の余剰分は、外部に引き出された場合に配線ホルダ98内で巻回径が縮径する空芯コイル状に巻回される。これにより、渡り配線91は、その巻回部分が持つコイル形状の径方向に対する復元力(巻回径が拡径する方向に働く復元力)によって、引き出し分の自動的な引き戻しを可能にしている。なお、図3においては、他のLED灯具10の中継コネクタ85に接続すべきプラグの図示が省略されていることに注意されたい。
LED電源装置80は、直流電圧100Vを発光ユニット30の駆動に適した電圧に降圧する電圧コンバータである。このLED電源装置80には、渡り配線91から分岐する電力分岐線93および入力コネクタ81を介して直流電圧100Vが供給されている。また、LED電源装置80が出力する駆動電力は、出力コネクタ82および電力供給線95を介して発光ユニット30に供給される。
ところで、本実施形態では、後述するように、本体ケース20から発光ユニット30を分離可能に構成する。そのため、本体ケース20の平坦部21aには、これら両者を機械的に接続する連結リンク40を通すばね穴20bや、発光ユニット30を本体ケース20にねじ締結する雌ねじ部20eが、それぞれ2箇所に形成されている。また、LED電源装置80から発光ユニット30に電力供給線95を介して駆動電力を供給する給電コネクタ83が通るコネクタ穴20cも、この平坦部21aに形成されている。なお、本体ケース20と給電コネクタ83の間を最短距離で電力供給線95により接続し得るように、このコネクタ穴20cは、給電コネクタ83が接続される発光ユニット30の受け側の形成位置の直上に、形成されている。給電コネクタ83に接続される電力供給線95は、発光ユニット30が分離されて本体ケース20から離れても所定距離範囲で駆動電力を供給可能に余剰長を有する。そのため、前述した渡り配線91と同様に、電力供給線95は、コネクタ穴20cの付近にコイル状に巻回される余剰分95aを備えている。
本体ケース20の表側、つまり平坦部21aの裏側(取付面の反対側)には、表側の平坦部21bが形成されており、この平坦部21bの両側には、長手方向に沿って2列に並ぶ反射面22,23が形成されている。反射面22,23は、その端部形状が凹状の湾曲形状を成しており、本体ケース20の一端側から他端側まで連続して同様の湾曲形状に形成されている。反射面22,23は、取付面の反対側に向けて開口しており、中央部21を含めた短手方向長さが天井102に形成される凹部102aをほぼ塞ぐ幅に設定されている。反射面22は、発光ユニット30のLED列部50から出射される照明光の大半を客室101の下方(高さ方向下側)、つまり座席105の方向に向けて反射させ得るように湾曲している。また、反射面23は、発光ユニット30のLED列部60から出射される照明光の大半を客室101の下方(座席105の方向)と通路側に向けて反射させる。
平坦部21bと反射面23の間には、その端部形状が逆L字形状に垂下する垂下部26が形成されている。この垂下部26は、反射面23の中央部21に寄った部分に連続しており、反射面23と同様に本体ケース20の一端側から他端側まで連続して形成されている。これにより、反射面23とともにLED列部60から出射される照明光を通路側に向けて反射させ得る。また、後述する発光ユニット30を本体ケース20に組み付ける際にこの垂下部26に沿って発光ユニット30を本体ケース20の中央部21に近づけることにより短手方向(X軸方向)の位置合わせを容易にすることができる。つまり、垂下部26は、位置決めガイドの役割も果たす。
また、平坦部21bと反射面22の間には、反射面22の中央部21に寄った部分から平坦部21bに一段低い段差部22aが形成されている。この段差部22aにLED列部50を覆う透明カバー57の端部が位置することにより、透明カバー57の短手方向端を発光ユニット30と中央部21で挟持可能にしている。これに対して、LED列部60を覆う透明カバー67の端部は、後述するように、垂下部26の先端部26aと発光ユニット30で挟持可能に構成されている。
中央部21から離れる短手方向の反射面22の端部には、ほぼ平坦な側端部24が形成されている。この側端部24は、凹部102aの周縁に相当する天井102に当接可能な板幅に設定されており、側端部24の裏側には緩衝材71が両面テープ等により貼付されている。同様に、反射面23の短手方向端部にも、ほぼ平坦で天井102に当接可能な板幅を有する側端部25が形成されている。この側端部25の裏側にも、緩衝材73が両面テープ等により貼付されている。緩衝材71,73は、天井102に対して側端部24,25が直接接触することを防ぎ、鉄道車両100の走行時の振動に伴うビビリ音等の発生を抑制している。
発光ユニット30は、異なる方向に照明光を出射するLED列部50,60を備えている。発光ユニット30は、前述した本体ケース20に対して着脱自在に分離可能に構成されており、本体ケース20に対してねじ締結を可能にするボルト99を通す貫通孔が2箇所に形成されている(図10に示す符号30c)。また、LED灯具10を車両側取付金具110に固定する図略のボルトを通す貫通孔が4箇所に形成されている(図10に示す符号30a)。LED列部50,60は、短冊形状をなすLED基板51,61に複数のLEDチップ53,63が基板の長手方向に沿って列状に配置されて実装されている。LED列部50,60には、LED電源装置80から電力供給線95を介してそれぞれ駆動電力が供給されている。これにより、LED列部50,60は照明光を出射し得る。LED列部50は透明カバー57により、またLED列部60は透明カバー67により、それぞれ覆われている。透明カバー57,67は、例えば、ガラス板であり、発光ユニット30とほぼ同じ長さの長尺の短冊状に形成されている。
発光ユニット30も、本体ケース20と同様に、例えばアルミニウム等の金属材からなり、コ字形状部31、壁部32,33、収容部34,35、曲面部36,37等が押出または切削加工により長尺状に一体に形成されている。発光ユニット30に金属材を用いる理由も、樹脂材に比べて、不燃性に優れており、熱伝導特性が良いためである。発光ユニット30は、短手方向のほぼ中央にコ字形状部31が形成されている。コ字形状部31は、その端部形状が片仮名の「コ」をその開口を下側にして伏せて一方の足を他方の足よりも長くした形状に形成されている。また、コ字形状部31の短手方向の幅は、前述した中央部21の平坦部21bの短手方向の幅よりも僅かに小さく設定されている。足の短い側の壁部32は、本体ケース20の反射面22の方向に、また足の長い側の壁部33は、本体ケース20の反射面23の方向に、それぞれ向けて位置する。足の長い側の壁部33は、その高さが本体ケース20の垂下部26を僅かに超える長さに設定されている。そして、足の短い側の壁部32に連続して、その端部形状が逆台形状の空間を形成する収容部34が形成されている。また、足の長い側の壁部33に連続して、その端部形状が矩形状の空間を形成する収容部35が形成されている。
これにより、発光ユニット30の短手方向ほぼ中央に位置するコ字形状部31は、本体ケース20の中央部21の平坦部21bに組み付け可能に構成される。また、収容部34,35は、それぞれ中央部21から客室101の下方(高さ方向下側)に垂下する。そして、収容部34は、反射面22に近づいた位置でかつ広い開口幅で反射面22に対向するように構成される。また、収容部35は、反射面23から離れた位置でかつ狭い開口幅で反射面23に対向するように構成される。
収容部34には、反射面22に対して照明光を出射するLED列部50が収容される。また、収容部35には、反射面23に対して照明光を出射するLED列部60が収容される。このように収容部34,35に対して、反射面22,23に対する位置関係の遠近や開口幅の広狭を異ならせる理由は、反射面22,23に対する照明光の入射角度や、LED列部50,60から出射する照明光の出射幅をLED列部50,60ごとに異ならせるためである。
即ち、前述したように、反射面22の方向に向くLED列部50は、照明光の一部が荷物棚107を直接照らす。これに対して、反射面23の方向に向くLED列部60は、照明光のほぼ全部が反射面23または天井102に反射して座席105や通路を間接的に照らす。そのため、収容部34は、照明光が反射面22に対して大きい入射角で入射するとともに照明光の一部を反射面22に入射させることなく、荷物棚107(壁103)の方向に向き得るように、LED基板51の組み付け角度と収容部34の開口幅が設定される。また、収容部35は、照明光のほぼすべてを反射面23に入射させるとともに反射光がLED列部60に向かないように極力小さい入射角にLED基板61の組み付け角度と収容部35の開口幅が設定される。
収容部34の開口側には、溝部34aと平坦部34bが形成されている。これらは、収容部34に収容されるLED列部50を覆う透明カバー57を固定するためのものである。即ち、透明カバー57の短手方向一端側が溝部34aにより挟持され、透明カバー57の短手方向他端側が平坦部34bと本体ケース20の中央部21とにより挟持されて固定される。また、収容部35の開口側にも、溝部35aと平坦部35bが形成されている。これらは、収容部35に収容されるLED列部60を覆う透明カバー67を固定するためのものであり、透明カバー67の短手方向一端側が溝部35aにより挟持され、短手方向他端側が平坦部35bと本体ケース20の垂下部26の先端部26aとにより挟持され固定される。
なお、本実施形態では、収容部34の平坦部34bに両面テープを貼着することによって、短手方向一端側が溝部34aにより挟持された透明カバー57の短手方向他端側をこの両面テープにより仮止めしている。また、同様に、収容部35の平坦部35bに両面テープを貼着することにより、短手方向一端側が溝部35により挟持された透明カバー67の短手方向他端側をこの両面テープにより仮止めする。これにより、発光ユニット30を本体ケース20にねじ止めする際に、透明カバー57,67が抜け落ちることを防止している。
このような収容部34,35には、それぞれ意匠的な視覚効果をもたらす曲面部36,37が設けられる。即ち、反射面22,23の凹状の湾曲形状に対して、凸状の曲面形状を成す曲面部36,37を形成して、発光ユニット30の端部形状を扇形状に形成する。なお、これら曲面部36,37は、LED列部50,60が発する熱を放熱する放熱フィンの役割も果たす。収容部34に接続される曲面部36と、収容部35に接続される曲面部37と、の間には、ボルト99をねじ止めする際にドライバー等の工具を挿入可能な隙間が形成されている。曲面部36,37に形成される雌ねじ部36a,37aおよびコ字形状部31に形成される雌ねじ部31aには、サイドカバー29を発光ユニット30に固定する際に使用される図略のボルトがねじ締結される。
なお、透明カバー57,67には、LED基板51,61から出射される照明光を光学的に拡散し得る拡散シートまたは拡散フィルムを必要に応じて貼付しても良い。また、LED列部50,60のLED基板51,61は、発光ユニット30の収容部34,35に両面テープにより固定される。なお、図4に表されている二点鎖線は、LED列部50,60のLED基板51,61から出射される直接光の照射範囲の境界を示すものである。この照射範囲は、LED基板51,61に実装されるLEDチップ53,63の仕様により異なりここに示すものはその一例に過ぎない。
このように構成される発光ユニット30は、連結リンク40によって本体ケース20に対して着脱自在に機械的に接続し得るように構成されている。即ち、本実施形態のLED灯具10では、連結リンク40の作用によって発光ユニット30を、本体ケース20から外したり本体ケース20に組み付けたりすることができる。その様子が図5および図6に図示されている。また、連結リンク40の構成例や動作例等が図7〜図9に図示されている。そのため、ここからは、図3〜図9を参照して連結リンク40の構成および動作を説明する。
なお、図5には、本体ケース20から発光ユニット30を分離した状態を示す説明図が図示されている。図6(A)には、発光ユニット30を本体ケース20に組み付けた状態を示すLED灯具10の側面図が図示されている。図6(B)には、本体ケース20から発光ユニット30を外した状態を示すLED灯具10の側面図が図示されている。図7には、図6(B)に示すVII線方向矢視から見た状態を示す説明図が図示されている。図8(A)には、図3に示すVIII線内の拡大図が図示されている。図8(B)には、図8(A)に示すものから連結リンク40を除いた構成を示す説明図が図示されている。図9(A)には、連結リンク40の動作例を示す模式的な説明図が図示されている。図9(B)には、連結リンク140の動作例を示す模式的な説明図が図示されている。
図3〜図6に示すように、連結リンク40は、V字形状に開脚するVばね41と、Vばね41の先端に取りつけられるエンドキャップ43と、Vばね41を発光ユニット30に組み付ける固定金具45と、により構成されている。Vばね41は、ばね用のピアノ線等を、例えば1回〜3回程度コイル状に巻回したコイル部41aを有する、ねじりコイルばねである。ねじりコイルばねは「トーションバーばね」と呼ばれることもある。Vばね41は、その両端を直線状に伸ばしてV字形状をなすように形成されている。この両端には、円柱形状に形成されたエンドキャップ43が組み付けられている。
エンドキャップ43は、例えば、ゴムまたはプラスチック等の合成樹脂からなる。本実施形態では、エンドキャップ43を取り付ける部分が、開脚方向の外側に向けて「へ字」形状に70度〜90度に折り曲げられている。これにより、後述するようにエンドキャップ43がばね穴20b等の周縁部に引っ掛かり易くしている。なお、コイル部41aの巻回数は、発光ユニット30が鉛直方向にその全重量(発光ユニット30の自重)で引っ張られる場合にVばね41の開脚が閉じることのないばね定数(N・mm/deg)や許容変位量(deg)で、LED灯具10のメンテナンスを担当する作業者(以下「作業者」という)が素手または工具によりVばね41の開脚を閉じることのできる値に設定されている。これらの具体的な値は、実験や計算機シミュレーションの結果に基づいて予め定められる。
このように構成されるVばね41は、そのコイル部41a内に固定金具45を通し固定金具45をコ字形状部31にねじ締結することにより発光ユニット30に組み付けられる。この様子は、本体ケース20から発光ユニット30を分離した状態を示す図7(A)や図7(B)を参照するとわかり易い。なお、図7(B)には、図7(A)に示す一点鎖線枠α,β内の拡大図が図示されている。本実施形態では、発光ユニット30の長手方向に所定間隔を隔てて2箇所にVばね41を組み付けているが(図7(A)に示す一点鎖線枠α,β)、いずれも図7(B)に示すように同様に構成されている。
発光ユニット30に組み付けられるVばね41は、本体ケース20のばね穴20bを貫通してその両端がV字形状に開脚することにより、本体ケース20に対して機械的に接続される。即ち、図8(A)に示すように、本体ケース20に貫通して形成されるばね穴20b内をコイル部41aが通り本体ケース20の裏側の平坦部21aに現れ出ることにより、Vばね41の両端がV字形状に開脚する(開き状態で貫通)。開脚したVばね41の開脚幅は、ばね穴20bの開口径よりも大きい。そのため、Vばね41の開脚部(直線状部分)がばね穴20bの周縁部に掛止されることから、連結リンク40がばね穴20bから抜け出ることが阻止される。つまり、発光ユニット30は、本体ケース20に対して機械的に接続された状態を維持する。
なお、本明細書では、本体ケース20と発光ユニット30の両者が直接接触することなく、物理的に離れている状態を「本体ケース20から発光ユニット30が分離した」と表現する。例えば、図5、図6(B)および図7に示す状態がこの「分離した」状態に相当する。これに対して、本体ケース20と発光ユニット30の両者が直接接触している状態を「本体ケース20に発光ユニット30が結合した」と表現する。例えば、図1〜図4、図6(A)および図8(A)に示す状態がこの「結合した」状態に相当する。なお、この「結合した」状態は、ボルト99により本体ケース20と発光ユニット30がねじ締結されているか否かを問わない。そのため、発光ユニット30が本体ケース20にボルト99によりねじ締結されて本体ケース20に組付けられた状態も、この「結合した」状態に含まれる。
本実施形態では、図8(B)に示すように、ばね穴20bの長手方向ほぼ中央にばね溝20dを形成している。このばね溝20dは、その溝幅がVばね41のコイル部41aの巻回軸方向幅よりも僅かに大きく設定されている。これにより、コイル部41aから開脚するVばね41の直線状部分の付け根部(巻回始端部および巻回終端部)をばね溝20d内に収容することが可能になる。そのため、開脚状態のVばね41を安定してばね溝20d内に位置決めすることができる(図8(A)参照)。
ここで、本体ケース20や発光ユニット30等の図示を省いて、連結リンク40とばね穴20b等との関係を模式的に表した図9に基づいて連結リンク40の動作を説明する。まず図9(A)に示す連結リンク40aは、前述した状態、つまりVばね41が安定してばね溝20dに位置決めされている状態である。
このような連結リンク40aに対して、Vばね41の開脚幅がばね溝20dまたはばね穴20b(以下「ばね穴20b等」という)の短手方向開口幅よりも小さくなるように、Vばね41を閉じる操作をする。即ち、開脚状態にある連結リンク40aのコイル部41aをばね穴20b等から引き出した後、Vばね41を閉じるように操作する。このような操作は、例えば、LED灯具10をメンテナンする作業者が行う。これにより、閉じ状態になった連結リンク40bは、開脚状態から閉じ状態に移行して、Vばね41の形状がV字状からI字状になる。そのため、連結リンク40bは、ばね穴20b等を通ることが可能になる。
エンドキャップ43を含めたVばね41の先端の開脚幅がばね穴20b等の短手方向開口幅よりも大きい場合、つまり連結リンク40bの場合には、エンドキャップ43がばね穴20b等の周縁部に掛止されて、連結リンク40bを本体ケース20から引き抜くことが阻止される。エンドキャップ43は、Vばね41の先端をばね穴20b等の周縁部に掛止するアンカーの役割を果たす。これにより、連結リンク40bは、本体ケース20から抜け落ちることなく、ばね穴20b等の周縁部に引っ掛かった状態を維持する。この状態が、図5、図6(B)および図7に示すLED灯具10’の発光ユニット30’に相当する。
これに対して、エンドキャップ43を含めたVばね41の先端の開脚幅がばね穴20b等の短手方向開口幅よりも小さい場合、つまり連結リンク40cの場合には、エンドキャップ43がばね穴20b等を通過することが可能になる。そのため、連結リンク40cを本体ケース20から引き抜くことが許容される。本体ケース20に対する発光ユニット30の機械的な接続が解除されて、発光ユニット30を本体ケース20から外すことが可能になる。本体ケース20から外した発光ユニット30は、後に図示する単体状態の発光ユニット30に相当する(図15,16)。発光ユニット30を本体ケース20から外す際には、発光ユニット30に接続されている電力供給線95を発光ユニット30から取り外す必要がある。本実施形態では、図6(B)に示す給電コネクタ83を発光ユニット30から外すことにより発光ユニット30から電力供給線95を外すことができる。
発光ユニット30は、前述したように本体ケース20に対してボルト99によりねじ締結されて組付けられるが、本体ケース20と発光ユニット30の間にこれら両者を機械的に接続する連結リンク40が介在する。そのため、図3および図4に示すように、本体ケース20に発光ユニット30が結合した状態においては、Vばね41の開脚部(直線状部分)がばね穴20bの周縁部に掛止されるので、このような連結リンク40による本体ケース20と発光ユニット30の機械的な接続によりボルト99による固定箇所を削減することができる。
なお、連結リンク40を構成するVばね41は、その直線状部分の長さが例えば数cmに設定される。これは、本体ケース20に形成される垂下部26が高さ方向(Z軸方向)に垂下する長さよりも2cm〜3cm程度長い距離であり、この長さの違いによって、本体ケース20から分離された発光ユニット30と垂下部26との間に2cm〜3cm程度の隙間SPを確保することが可能になる(図4および図7(B)参照)。これにより、例えば垂下部26が形成される方向(図2に示す鉄道車両100において客室101の通路側)から作業する場合であっても、作業者はこの隙間SPから手を入れて給電コネクタ83を取り外すことができる。
連結リンク40の他の構成例として、例えば、図9(B)に示すような連結リンク140の構成を採っても良い。連結リンク140は、前述した連結リンク40のVばね41をYばね141に変更したものであり、ねじりコイルばねの形状が異なる。そのため、Yばね141の材質、エンドキャップ43やコイル部141aは、連結リンク40と同様に構成される。Yばね141は、Vばね41の直線状部分の開き間隔がばね穴20b等の短手方向開口幅よりも僅かに広くかつほぼ並行に開くストレート部141bと、Vばね41と同様に広角に開く開脚部と、を形成する。これにより、連結リンク140aは、前述の連結リンク40aと同様に、Yばね141が安定してばね溝20dに位置決めされている状態を保つ。この状態から、Yばね141を僅かに閉じる操作をすることにより、ストレート部141bの開脚幅がばね穴20b等の短手方向開口幅よりも小さくなる。そのため、このような場合、つまり連結リンク140bの場合には、連結リンク40に比べて、ストレート部141bをばね穴20b等から容易に引き出すことができる。
そして、さらYばね141を閉じるように操作することによって、連結リンク140cのように、Yばね141の直線状部分の開脚幅がばね穴20b等の短手方向開口幅よりも小さくなる。そのため、エンドキャップ43を含めたVばね41の先端の開脚幅がばね穴20b等の短手方向開口幅よりも大きい場合、つまり連結リンク140cの場合には、エンドキャップ43がばね穴20b等の周縁部に掛止されて、連結リンク140を本体ケース20から引き抜くことが阻止される。これに対して、エンドキャップ43を含めたYばね141の先端の開脚幅がばね穴20b等の短手方向開口幅よりも小さい場合、つまり連結リンク140dの場合には、エンドキャップ43がばね穴20b等を通過することが可能になり、連結リンク140dを本体ケース20から引き抜くことができる。
このようにYばね141で構成される連結リンク140では、本体ケース20と発光ユニット30の機械的な接続を可能にするとともに、Vばね41で構成される連結リンク40に比べて連結リンク140の引き出しを容易にすることができる。また、2ステップの引き出し段階(連結リンク140a→連結リンク140b、連結リンク140b→連結リンク140c)を経て、本体ケース20から発光ユニット30を外すことが可能になる。
ところで、鉄道車両等では、前述したように車両の前後方向に複数のLED灯具10を直線状に連ねて設ける。そのため、本実施形態では、隣り合ったLED灯具10間に形成される隙間を埋め得るパディング材75を本体ケース20に設けている。また、発光ユニット30にもパディング材77を設けている。本体ケース20のパディング材75は、既に参照した、図3、図5、図6および図7(A)に図示されている。また、発光ユニット30のパディング材77は、図7(A)に図示されている。パディング材75,77は、隣り合ったLED灯具10間を埋めることにより、両者間に隙間が存在することによる視覚的な違和感を抑制したり(主にパディング材75による効果)、発光ユニット30から出射される照明光がこのような隙間から客室101内に漏れ出たりすることを防止する(主にパディング材77による効果)。
パディング材75,77は、例えば、ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン等からなるスポンジ部材が用いられて、所定形状に形成される。例えば、図12(H)に示すように、パディング材75は、本体ケース20の端部に取り付けられるため、中央部21を中心に反射面22,23で構成される当該端部の形状に合わせた角柱形状に近い帯状に形成される。また、パディング材77は、曲面部36,37の凸状の曲面形状に合わせたカーブを描く円弧状に形成される。例えば、パディング材75は、反射面22,23の端部の一部を凹状に削り取った部分に嵌入固定または接着固定されて本体ケース20に組み付けられる。また、パディング材77は、コ字形状部31および曲面部36,37にねじ止めされた後のサイドカバー29に両面テープ等で貼付されて発光ユニット30に組み付けられる。
図10にLED灯具10を分解した状態を示す説明図を示す。なお、この図では、本体ケース20から外した発光ユニット30を、それぞれのパーツごとに分解した状態を図示している。この図10から、発光ユニット30は、2本のボルト99により本体ケース20にねじ締結されて組み付けられていることや、列状にLEDチップ53,63を実装(配置)したLED基板51,61を直線状に複数枚配置してLED列部50,60を構成していること等がわかる。また同図から、発光ユニット30には、LED灯具10を車両側取付金具110に固定するボルトが通る貫通孔30aやボルト99を通す貫通孔30c、さらには固定金具45の固定位置を決める位置決め孔30bがそれぞれ形成されていることもわかる。
このように構成されるLED灯具10の全体形状は、図11に示す六面図および斜視図により把握することができる。また、図12に示す拡大図により把握することができる。なお、図11(A)はLED灯具の正面図である。図11(B)はLED灯具の背面図である。図11(C)はLED灯具の平面図である。図11(D)はLED灯具の底面図である。図11(E)はLED灯具の右側面図である。図11(F)はLED灯具の左側面図である。図11(G)はLED灯具を正面斜め左上方から見た斜視図である。図12(H)は、図11(E)に示す右側面図をほぼ4倍に拡大した拡大図である。図12(I)は、図11(F)に示す左側面図をほぼ4倍に拡大した拡大図である。
また、本体ケース20だけ(単体状態の本体ケース20)の全体形状は、図13に示す六面図および斜視図により把握することができる。また、図14に示す拡大図により把握することができる。なお、図13(A)は本体ケース20の正面図である。図13(B)は本体ケース20の背面図である。図13(C)は本体ケース20の平面図である。図13(D)は本体ケース20の底面図である。図13(E)は本体ケース20の右側面図である。図13(F)は本体ケース20の左側面図である。図13(G)は本体ケース20を正面斜め左上方から見た斜視図である。図14(H)は、図13(E)に示す右側面図をほぼ4倍に拡大した拡大図である。図14(I)は、図13(F)に示す左側面図をほぼ4倍に拡大した拡大図である。
さらに、発光ユニット30だけ(単体状態の発光ユニット30)の全体形状は、図15に示す六面図および斜視図により把握することができる。また、図16に示す拡大図により把握することができる。なお、図15(A)は発光ユニット30の正面図である。図15(B)は発光ユニット30の背面図である。図15(C)は発光ユニット30の平面図である。図15(D)は発光ユニット30の底面図である。図15(E)は発光ユニット30の右側面図である。図15(F)は発光ユニット30の左側面図である。図15(G)は発光ユニット30を正面斜め左上方から見た斜視図である。図16(H)は、図15(E)に示す右側面図をほぼ4倍に拡大した拡大図である。図16(I)は、図15(F)に示す左側面図をほぼ4倍に拡大した拡大図である。
以上説明したように、本実施形態に係るLED灯具10では、湾曲形状をなす端部形状が一端側から他端側まで連続して形成されて長手方向(Y軸方向)に沿って2列に並んで取付面の反対側に向けて開口する反射面22,23を有する本体ケース20と、複数のLEDチップ53,63が実装されるLED基板51,61を複数備え、これらのLED基板51,61のうち、LED基板51のLEDチップ53が反射面22に向けて照明光を出射し、LED基板61のLEDチップ63が反射面23に向けて照明光を出射する発光ユニット30と、を備える。そして、発光ユニット30は、本体ケース20が天井102または壁103の取付面に取り付けられた状態で本体ケース20から分離することができ、かつ、本体ケース20に組み付けた場合にはLED基板51,61を覆う透明カバー57,67の一部を本体ケース20と発光ユニット30の間で挟持して透明カバー57,67を固定する。これにより、本体ケース20が天井102または壁103の取付面に取り付けられた状態で、発光ユニット30を本体ケース20から分離することができるため、LEDチップ53,63が故障した場合、LEDチップ53,63が実装されたLED基板51,61を容易に交換することができる。また、このようなLED基板51,61を覆う透明カバー57,67は、その一部が本体ケース20と発光ユニット30の間で挟持されて固定されるため、本体ケース20から発光ユニット30を分離した状態においては透明カバー57,67も容易に取り外すことができる。したがって、メンテナンス性が向上する。
また、本実施形態に係るLED灯具10では、本体ケース20と発光ユニット30の間には、両者を機械的に接続する連結リンク40,140が介在する。例えば、連結リンク40を構成するVばね41は、自然状態でV字形状に開脚するV字ばね部材であり、コイル部41aが発光ユニット30に組み付けられる。そして、(1)本体ケース20から発光ユニット30が分離された状態においては、Vばね41の直線状部分である開脚部が本体ケース20に形成されたばね穴20b等に開脚を規制されて閉じ状態で貫通するとともに開脚部の端部のエンドキャップ43がばね穴20b等の周縁部に掛止される。また、(2)本体ケース20に発光ユニット30が結合された状態(組付けられた状態)においては、Vばね41の直線状部分である開脚部が開脚してばね穴20b等に開き状態で貫通する。これにより、(1)の分離された状態においては、発光ユニット30は、本体ケース20のばね穴20b等に引っ掛かった連結リンク40に吊り下げられた状態を維持するので(図5、図6(B)および図7参照)、例えば、透明カバー57,67だけを交換する場合には、発光ユニット30を本体ケース20から外すことなくその作業をすることができる。また、(2)の結合された状態においては、本体ケース20と発光ユニット30の間にこれら両者を機械的に接続する連結リンク40が介在する。これにより、Vばね41の開脚部(直線状部分)がばね穴20b等の周縁部に掛止されるので、連結リンク40による機械的な接続によりこれら両者間の結合力が補われて、ボルト99による固定箇所を削減することができる。
また、例えば、連結リンク140を構成するYばね141は、自然状態でY字形状に開脚するY字ばね部材であり、コイル部141aが発光ユニット30に取り付けられる。そして、(1)本体ケース20から発光ユニット30が分離された状態においては、Yばね141の開脚部が本体ケース20に形成されたばね穴20b等に開脚を規制されて閉じ状態で貫通するとともに開脚部の端部のエンドキャップ43がばね穴20b等の周縁部に掛止される。また、(2)本体ケース20に発光ユニット30が結合された状態(組み付けられた状態)においては、Yばね141のストレート部141bがばね穴20b等穴を貫通する。これにより、(1)の分離された状態においては、発光ユニット30は、本体ケース20のばね穴20b等に引っ掛かった連結リンク140に吊り下げられた状態を維持するので、例えば、ガラス板57,67だけを交換する場合には、発光ユニット30を本体ケース20から外すことなくその作業をすることができる。また、(2)の結合された状態においては、本体ケース20と発光ユニット30の間にこれら両者を機械的に接続する連結リンク140が介在する。これにより、Yばね141のストレート部141bに連続する開脚部(直線状部分)がばね穴20b等の周縁部に掛止されるので、連結リンク140による機械的な接続によりこれら両者間の結合力が補われて、ボルト99による固定箇所を削減することができる。
さらに、本実施形態に係るLED灯具10では、発光ユニット30には、LEDチップ53,63に駆動電力を供給する電力供給線95が本体ケース20から接続されており、この電力供給線95を通す電力供給線95のコネクタ穴20cは、本体ケース20と発光ユニット30の間の配線長が最短になる位置に形成されている。例えば、コネクタ穴20cは、給電コネクタ83が接続される発光ユニット30の受け側の形成位置の直上に、形成される。これにより、本体ケース20と給電コネクタ83の間を最短距離で電力供給線95により接続することができるので、メンテナンス作業時に電力供給線95の余分な配線部分が作業の邪魔をすることがない。したがって、このような構成によってもメンテナンス性が向上する。
なお、上述した本実施形態に係るLED灯具10の構成から、次のような技術的思想の創作を把握することができる。
[1]天井または壁の取付面に取り付けられる長尺状のLED灯具であり、複数の発光ダイオードが長手方向に沿って列状に配置されるLED灯具であって、湾曲形状をなす端部形状が一端側から他端側まで連続して形成されて長手方向に沿って2列に並んで前記取付面の反対側に向けて開口する反射面を有する本体部と、前記複数の発光ダイオードが実装される基板を複数備え、これらの基板のうち、一部の基板の発光ダイオードが前記2列の反射面の一方に向けて照明光を出射し、残部の基板の発光ダイオードが前記2列の反射面の他方に向けて照明光を出射する発光部と、を備え、前記2列の反射面の一方に向けて出射された照明光と、前記2列の反射面の他方に向けて出射された照明光は、それぞれ異なる方向に反射されて、異なる照明対象を照らすことを特徴とするLED灯具。
[2]この[1]のLED灯具において、少なくとも一方の照明光は、その照明光の一部が前記反射面に反射されることなく、前記異なる照明対象の少なくとも一方の照明対象を直接照らすことを特徴とするLED灯具。
[3]天井または壁の取付面に取り付けられる長尺状のLED灯具であり、複数の発光ダイオードが長手方向に沿って列状に配置されるLED灯具であって、湾曲形状をなす端部形状が一端側から他端側まで連続して形成されて長手方向に沿って2列に並んで前記取付面の反対側に向けて開口する反射面を有する本体部と、前記複数の発光ダイオードが実装される基板を複数備え、これらの基板のうち、一部の基板の発光ダイオードが前記2列の反射面の一方に向けて照明光を出射し、残部の基板の発光ダイオードが前記2列の反射面の他方に向けて照明光を出射する発光部と、外部から供給される電力を前記複数の発光ダイオードを点灯させる駆動電力に変換して前記発光部に供給する電源部と、前記本体部に収容されて前記外部から供給される電力を外部の他の装置に供給する渡り配線と、を備え、前記渡り配線は、前記本体部から外部に引き出された場合に引き出し可能な余剰長であり、外部に引き出されたときに巻回径が縮径する空芯コイル状に巻回された余剰分を有することを特徴とするLED灯具。
なお、上述したLED灯具10の実施形態では、LED基板51,61にLEDチップ53,63を1列に配置して実装したが、列状であれば2列以上の複数列にLEDチップ53を実装しても良い。また、LED列部50,60のLED基板51,61は、発光ユニット30の長手方向に対してその長さ相当を複数枚の基板で構成したが、それぞれ1枚の長尺のLED基板により構成しても良い。さらに、上述したLED灯具10の実施形態では、LED列部50から出射される照明光を反射面22に反射させて一方の方向を照らし、またLED列部60から出射される照明光を反射面23に反射させて他方の方向を照らすように、構成したが、これらの反射面22,23がそれぞれ同じ方向を照らすように構成しても良い。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上記例示した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示するものである。