JP6191375B2 - 電動発電機及びそれを備えたエンジンユニット - Google Patents

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Description

本発明は、電動発電機及びそれを備えたエンジンユニットに関し、さらに詳しくは、永久磁石を使用する電動発電機及びそれを備えたエンジンユニットに関する。
航空機、自動車などのエンジンは、スタータジェネレータを備えている。スタータジェネレータは、エンジンの始動時に動力をエンジンに供給する。また、航空機のバッテリを充電する必要がある場合、スタータジェネレータは、エンジンの回転に応じて発電する。スタータジェネレータは、上記の機能を実現するために、電動発電機を備える。
スタータジェネレータに用いられる電動発電機として、突極巻線型同期発電機がある。
突極巻線型同期発電機においては、巻線が、回転子及び固定子にそれぞれ巻かれている。回転子の巻線は、界磁巻線として用いられる。起磁力は、回転子の巻線に直流電流(界磁電流)を供給することにより発生する。しかし、突極巻線型同期電動機は、その構造上、スリップリングやブラシ又は回転変圧器などの部品点数が多くなるため、信頼性が低い。また、突極巻線型同期電動機は、回転子に巻線を巻くため小型化が困難である。
これらの問題を解決するために、スタータジェネレータに永久磁石型同期発電機を用いることが提案されている。
永久磁石型同期発電機において、巻線が、固定子のティースに巻かれており、永久磁石が、回転子に設けられる。永久磁石により界磁が形成されるため、界磁電流を供給する必要がない。
しかし、永久磁石型同期発電機は、界磁の調整をすることができない。永久磁石の磁束は、無負荷状態及び負荷状態に関係なく、回転子から漏洩し、固定子と鎖交する。この結果、無負荷状態であっても、エンジンの回転数に応じた電圧が発生し、固定子で鉄損が生じ(所謂ひきつり損)エンジンの効率が低下する。このため、永久磁石型同期発電機をスタータジェネレータとして使用する場合、永久磁石の磁束を無負荷状態において回転子から漏洩しないように、永久磁石の磁束を調整しなければならない。
特許文献1には、永久磁石の磁束を無負荷状態において回転子内で短絡させることができる回転電機が開示されている。この回転電機の回転子には、中心に向かって凸となる2層のフラックスバリアが設けられる。2層のフラックスバリアは、複数組設けられ、各組は、回転対称となる位置に配置される。各フラックスバリア内には、永久磁石が装着される。ブリッジ部が、フラックスバリアの回転子外周側の端部と回転子外周との間に設けられる。無負荷状態においては、永久磁石の磁束は、ブリッジ部を通過し、回転子内で短絡する。負荷状態においては、ブリッジ部は、固定子からの磁束により飽和する。この結果、永久磁石の磁束は、固定子と鎖交する。
特開2008−136298号公報
本発明の目的は、無負荷状態において永久磁石の磁束が回転子から漏洩することを防ぐことができる電動発電機を提供することである。
本発明に係る電動発電機は、回転軸を中心に回転する回転子と、前記回転子に対向して配置される固定子と、前記固定子に設けられたティースに巻かれた巻線と、前記回転子内に配置され、前記回転子の半径方向に着磁される第1の永久磁石と、前記巻線に供給される電流を制御するコントローラとを備え、前記回転子は、前記回転子の円周方向において前記第1の永久磁石の一方側に配置され、前記回転子の外周面に達し、前記第1の永久磁石の磁束が前記第1の永久磁石の一方側を通過することを妨げる第1の磁気抵抗部を含み、無負荷状態において、前記第1の永久磁石の磁束は、前記回転子の円周方向において前記第1の永久磁石の他方側で短絡し、前記電動発電機が発電機として動作する場合の負荷状態において、前記コントローラは、前記第1の永久磁石の磁束と前記巻線で発生する磁束との合成磁束が前記回転子の外周面と前記第1の永久磁石における他方側の端との間における前記回転子の領域の飽和磁束以上となるように、前記巻線に供給される電流を制御する
上記の構成によれば、無負荷状態において、第1の永久磁石の磁束が、前記第1の永久磁石の一方側ではなく、他方側で短絡される。従って、第1の永久磁石の磁束が回転子から漏洩することを防ぐことができる。負荷状態において、合成された磁束は、回転子内で飽和して、固定子と鎖交するため、電動発電機を電動機又は発電機として機能させることができる。さらに、電動発電機が電動機、発電機いずれとして動作する場合でも、マグネットトルクだけでなく、磁気抵抗部の存在により発生するリラクタンストルクを利用することできる。
上記電動発電機は、さらに、前記回転子内の円周方向において前記第1の永久磁石の位置と異なる位置に前記第1の磁気抵抗部を介して配置され、前記回転子の半径方向に着磁される第2の永久磁石を備え、前記回転子は、前記回転子の円周方向において前記第2の永久磁石の一方側に配置され、前記第2の永久磁石の磁束が前記第2の永久磁石の一方側を通過することを妨げる第2の磁気抵抗部を含む。
上記の構成によれば、第1の永久磁石と第2の永久磁石との間に第1の磁気抵抗部が存在するため、第1の永久磁石の磁束は、第2の永久磁石を通過することなく短絡される。無負荷状態において、第1の永久磁石の磁束と、第2の永久磁石の磁束とが合成されないため、回転子内で磁束が飽和することを抑制できる。
上記電動発電機において、第1の磁気抵抗部は、前記回転子の外周に開口するスリット又は切欠きからなる。
上記の構成によれば、簡易な構成で第1の磁気抵抗部を実現することができる。
上記電動発電機において、固定子は、回転子の外周側に配置される。第1の永久磁石において、固定子側の面の面積が固定子と反対側の面の面積以上である。回転子は、さらに、固定子側の面と永久磁石との間に形成され、第1の永久磁石の磁束を通過させるブリッジ部を含む。
上記の構成によれば、回転子の外周から第1の永久磁石までの距離を従来より大きくすることができるため、回転子の強度を増すことができる。
本発明のエンジンユニットは、本発明の電動発電機と、回転子の回転軸に連結された回転軸を含むエンジンとを備える。
上記の構成によれば、エンジンの回転を利用して電動発電機を発電機として動作させたり、電動発電機を電動機として利用することによりエンジンを始動させたりすることができる。
本発明によれば、第1の永久磁石の磁束が、無負荷状態であるときに回転子内で短絡するため、回転子から磁束が漏洩することを防ぐことができる。
本発明の第1の実施の形態に係る電動発電機を備えるスタータジェネレータの構成を示す機能ブロック図である。 図1に示す電動発電機の断面図である。 図1に示す電動発電機のスロットコンビネーションの一例を示すテーブルである。 図2に示す固定子及び回転子の拡大断面図である。 図2に示す回転子内の永久磁石の位置を説明する図である。 図2に示す固定子及び回転子に形成される負荷状態における磁路を示す図である。 図2に示す回転子の他の構成例を示す図である。 図2に示す回転子の他の構成例を示す図である。 図2に示す回転子の他の構成例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る電動発電機の断面図である。 図9に示す固定子及び回転子の拡大断面図である。 図9に示す回転子内の永久磁石の位置を説明する図である。 本発明の第3の実施の形態に係る電動発電機の断面図である。 図12に示す固定子の断面図である。 図12に示す主巻線及び補助巻線の結線図である。 無負荷状態において、図12に示す固定子及び回転子において形成される磁路を示す図である。 負荷状態において、図12に示す固定子及び回転子において形成される磁路を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る電動発電機の断面図である。 図17に示す電動発電機において、無負荷状態のときに形成される磁路を示す図である。 図17に示す電動発電機において、負荷状態のときに形成される磁路を示す図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[第1の実施の形態]
{1.スタータジェネレータの構成}
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電動発電機2を用いるエンジンユニット200の構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、エンジンユニット200は、エンジン1とスタータジェネレータ100とを備える。スタータジェネレータ100は、電動発電機2と、コントローラ3と、インバータ4とを備える。スタータジェネレータ100は、エンジン1に取り付けられる。
エンジン1は、図示しない航空機あるいは自動車の動力源である。電動発電機2の回転軸は、エンジン1の回転軸に連結される。電動発電機2は、エンジン1が駆動を開始する際の動力を供給する。また、電動発電機2は、エンジン1の回転軸の回転に応じて発電し、発電した電力を図示しないバッテリと負荷に供給する。なお、電動発電機2の回転軸は、エンジン1の回転軸にギアなどを介して間接的に連結されてもよい。
コントローラ3は、入力されるトルク指令41及び速度指令42に基づいて、電動発電機2の動作を制御する。コントローラ3は、トルク指令41、速度指令42、及び後述する回転子の回転位置θに応じた制御信号43をインバータ4に供給する。また、コントローラ3は、電動発電機2に供給される電流i及びiをインバータ4から受け、その受けた電流を用いて、制御信号43を調整する。
インバータ4は、コントローラ3からの制御信号43に応じた駆動電流又は励磁電流を電動発電機2に供給する。図1において、電動発電機2に供給される電流を、駆動電流及び励磁電流を区別することなく、i、i、及びiと表示する。
{2.電動発電機の構成}
図2は、電動発電機2の断面図である。図2に示すように、電動発電機2は、固定子5と、回転子6とを備える。回転子6は、回転軸Aを中心に回転する。固定子5は、回転子6の外周に配置される。
固定子5は、固定子コア51と、巻線52と、24個のティース53とを備える。なお、図2において、巻線52の一部及びティース53の一部の符号の表示を省略している。
固定子コア51は、中空の円筒形状であり、電磁鋼板、圧粉材、アモルファスなどの磁性材料により形成される。24個のティース53が、固定子コア51の内周側に設けられる。スロット54は、互いに隣り合う2つのティース53,53の間の空間である。巻線52は、ティース53に巻かれる。巻線52の巻き方は、集中巻及び分布巻のどちらであってもよい。あるいは、リングコイルを用いて巻線52をティース53に巻いてもよい。
回転子6は、回転子コア61と、4つの永久磁石62a〜62dと、4つの磁気抵抗部63とを含む。回転子コア61は、円柱形状であり、回転軸Aを中心に回転する。回転子コア61は、電磁鋼板、圧粉材、アモルファスなどの磁性材料により形成される。
永久磁石62a〜62dは、回転子コア61内に配置され、回転子6の半径方向に着磁される。以下、永久磁石62a〜62dを総称する場合、「永久磁石62」と記載する。
永久磁石62a〜62d内の矢印は、着磁方向を示す。つまり、永久磁石62a及び62cにおいて、N極は回転子コア61の外周側に位置し、S極は回転子コア61の内周側に位置する。永久磁石62b及び62dにおいて、N極は回転子コア61の内周側に位置し、S極は回転子コア61の外周側に位置する。つまり、周方向に互いに隣り合う2つの永久磁石において、磁極の向きが反対となる。
永久磁石62の断面形状は、円弧状である。永久磁石62は、回転子コア61の外周に沿うように配置される。ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石、フェライトコアなどを、永久磁石62として使用可能である。
磁気抵抗部63は、回転子6の円周方向における永久磁石62の一方側に配置され、回転子6の外周に達する。磁気抵抗部63は、回転子6の外周に設けられた切欠き64により形成される。回転子6の円周方向における永久磁石62の一方側の側面が、磁気抵抗部63により回転子コア61の外部に露出する。永久磁石62の他方側には、磁気抵抗部63は配置されない。従って、永久磁石62の磁束は、後述するように、無負荷状態において永久磁石62の他方側で短絡する。
電動発電機2のスロットコンビネーションの一例を図3に示す。図3において、Pは、回転子6の極数を示し、2の倍数である。qは、毎局毎相スロット数を示し、自然数である。なお、電動発電機2のスロットコンビネーションは、図3に示す例に限定されない。
{3.電動発電機2の磁路の変化}
以下、永久磁石62aを例にして、図2に示す構成を有する電動発電機2における磁路を、無負荷状態及び負荷状態に分けて説明する。負荷状態は、回転子6が回転しているときに電流が固定子5に供給されている状態である。無負荷状態は、回転子6が回転しているときに電流が固定子5に供給されていない状態である。負荷状態における磁路は、無負荷状態における磁路と異なる。
{3.1.無負荷状態}
図4は、永久磁石62a及び磁気抵抗部63近傍の電動発電機2の拡大断面図である。図4において、固定子5の詳細な構造(巻線52、ティース53、スロット54)の表示を省略している。
無負荷状態では、回転子6がエンジン1の駆動により回転しているが、固定子5が励磁されない。つまり、インバータ4は、電流i,i及びiを巻線52に供給しない。この状態では、永久磁石62aの磁束は、回転子コア61内で短絡する。永久磁石62aの磁束の磁路を、図4において、矢印67で示す。以下、矢印67で示される磁路を、「磁路67」と呼ぶ。
磁気抵抗部63の磁気抵抗は、永久磁石62aを中心にして磁気抵抗部63と反対側の領域(以下、「短絡領域」と呼ぶ。)の磁気抵抗よりも大きい。また、エアギャップ(固定子5と回転子6との間の空間)の磁気抵抗は、回転子コア61の磁気抵抗よりも大きい。従って、永久磁石62aの磁束は、N極から発し、ブリッジ部65及び短絡領域を通過して、S極に達する。ブリッジ部65は、回転子コア61のうち、永久磁石62aの外周面よりも半径方向で外側の部位である。
なお、永久磁石62aの左端と回転子コア61の外周との間の領域66が、無負荷状態のときに永久磁石62aの磁束により飽和しないように、十分な厚みを有することが望ましい。無負荷状態において、N極から発する全ての磁束は、領域66に集中するためである。
以下、無負荷状態において、磁気飽和が領域66で発生しないための永久磁石62aの位置について説明する。
図5は、回転子コア61内の永久磁石62aの位置を説明する図である。図5に示すように、永久磁石62aの外周面における円周方向の長さを、円弧Lmとする。永久磁石62aの円周方向の端から回転子コア61の外周面までの長さを、通過幅Lcとする。つまり、通過幅Lcは、領域66の回転子6の半径方向の幅を示す。永久磁石62aのN極の磁束密度をBrとする。また、領域66における磁束密度をBLとする。
永久磁石62aの磁束が、領域66で飽和することなく、回転子コア61内で短絡するためには、円弧Lm、通過幅Lc、磁束密度Br及びBLが、下記式(1)で示される条件を満たせばよい。
BL×Lc≧Br×Lm ・・・(式1)
(式1)において、左辺は、領域66において磁気飽和が発生する磁束に相当し、右辺は、N極の磁束に相当する。左辺の値が右辺の値よりも大きい場合、N極の磁束は、領域66を通過することができる。(式1)を通過幅Lcについて解くと、通過幅Lcは、(式2)により表される。
Lc≧(Br×Lm)/BL ・・・(式2)
なお、磁束密度BLは、回転子コア61を形成する素材によって変化する値であり、好ましくは、磁束密度BLは、1.4〜1.6(テスラ)である。具体的には、回転子コア61を形成する素材のB−Hカーブにおいて、接線の傾きが緩やかに変化する領域の磁束密度を、磁束密度BLとして用いることができる。
通過幅Lcは、回転子コア61の外周面からの永久磁石62aの円周方向の端までの距離であり、永久磁石62の位置を示すパラメータである。従って、永久磁石62aを、回転子コア61内の(式2)を満たす位置に配置することにより、無負荷状態において、永久磁石62aの磁束を回転子6内で短絡させることができる。従って、無負荷状態において、永久磁石62aの磁束が、回転子6から漏洩することが防止される。
永久磁石62cに関して、永久磁石62aと同様の磁路67が形成されるため、永久磁石62cの磁束は、無負荷状態において回転子6内で短絡する。永久磁石62b及び62dに関して、図4に示す磁路67と逆向きの磁路が形成されるが、永久磁石62b及び62dの磁束が無負荷状態において回転子6内で短絡される点は、上記と同様である。
また、図2に示すように、互いに隣り合う2つの永久磁石の間には、磁気抵抗部63が介在する。従って、永久磁石62の全ての磁束は、図4に示すように、ブリッジ部65及び短絡領域を通過して短絡し、他の永久磁石62を通過しない。永久磁石62の各々の磁束が、回転子6内で合成されないため、無負荷状態において、磁気飽和が回転子6内で発生しない。
{3.2.負荷状態の磁路}
図6は、負荷状態における電動発電機2内の磁路を示す図である。インバータ4が巻線52に電流を供給することにより、電動発電機2は、無負荷状態から負荷状態に移行する。負荷状態への移行により、電動発電機2内の磁路は、図4に示す経路から変化する。以下、永久磁石62aを例にして、負荷状態における磁路を説明する。
負荷状態は、上述のように、電流が巻線52に供給されない状態であり、電動発電機2が電動機として動作する場合と、発電機として動作する場合とを含む。負荷状態において形成される磁路は、両者の場合で共通である。
電動発電機2が電動機として動作する場合、コントローラ3は、インバータ4を用いて、三相交流を従来と同様に固定子5に供給する。すなわち、インバータ4は、電流i,i及びiを巻線52に供給する。
電動発電機2が発電機として動作する場合も、コントローラ3は、三相交流を固定子5に供給する。ただし、固定子5に供給される電流の向きは、電動発電機2が電動機として動作するときに供給される電流の向きと反対である。つまり、巻線52に供給される電流は、−i、−i及び−iとなる。固定子5に供給される電流の大きさは、電動発電機2が電動機として動作するときに供給される電流よりも小さい。この理由については、後述する。
コントローラ3は、巻線52を流れる電流i、i及びiの量を制御する。インバータ4は、コントローラ3からの制御信号43に応じた電流i、i及びiを巻線52に供給する。インバータ4から供給される電流により、磁束が、固定子5で新たに発生する。新たに発生した磁束は、回転子6において、永久磁石62aの磁束と合成される。合成された磁束は、回転子6内の領域66において飽和する。
領域66で磁気飽和が発生することにより、エアギャップの磁気抵抗が、領域66の磁気抵抗よりも小さくなる。この結果、合成された磁束は、エアギャップを通過し、固定子5を通過する。最終的に、合成された磁束は、固定子5及び回転子6を通過し、矢印68aで示す磁路を通る。以下、矢印68aで示す磁路を「磁路68a」と呼ぶ。
電動発電機2が電動機として動作する場合、回転子6は、マグネットトルク及びリラクタンストルクにより回転する。
磁路68aを通過する磁束は、回転子6の回転に応じて、エアギャップ付近で引き伸ばされる。この結果、引き伸ばされた磁束が元の長さに戻るように縮むことにより、リラクタンストルクが発生する。
ティース53(突極)の磁極は、巻線52に流れる電流の向きにより変化する。従って、永久磁石62と突極の磁極との間にはたらく反発力、永久磁石62aと突極の磁極との間にはたらく吸引力により、マグネットトルクが発生する。
負荷状態における上記の説明は、永久磁石62cについても同様に成り立つ。また、永久磁石62b及び62dにおいても、磁路68aと向きの異なる磁路68bが形成される点を除き、上記の説明が同様に成り立つ。
このように、電動発電機2は、モータとして動作する場合、リラクタンストルク及びマグネットトルクを利用して回転子6を回転させることができる。その結果、回転子6のトルクを増大させることができるため、モータとしての定格出力を増大させることができる。
一方、電動発電機2が発電機として動作する場合、電動発電機2は、トルクを発生する必要がない。磁路68a及び68bが形成されれば、電動発電機2は、マグネットトルク及びリラクタンストルクを利用して発電する。従って、コントローラ3は、合成された磁束が領域66の飽和磁束以上になる電流を巻線52に供給すればよい。この結果、電動発電機2が発電機として動作する場合に巻線52に供給される電流は、電動発電機2が電動機として動作する場合に巻線52に供給される電流よりも小さくなる。
以上説明したように、巻線52に供給する電流を制御することにより、回転子内で磁束を飽和させたり、短絡させたりすることができる。従って、電動発電機2内の磁路を調整することができる。すなわち、無負荷状態において、永久磁石62の磁束は、回転子コア61内で他の永久磁石を通過することなく短絡し、負荷状態において、固定子5及び回転子6を通過する。従って、負荷状態及び無負荷状態において、永久磁石62により発生する界磁を調整することができる。
なお、本実施の形態において、切欠き64を磁気抵抗部63として用いる例を説明したが、これに限られない。
例えば、図7Aに示すように、切欠き64に代えて、回転子6の円周方向に延びる複数のスリット69を、回転子6の半径方向に並べてもよい。無負荷時において、永久磁石62の磁束は、互いに隣接する2つのスリット69の間の空間を通過する際に、この空間で飽和すればよい。これにより、永久磁石62の磁束は、短絡領域を通過して短絡する。永久磁石62の磁束が、回転子コア61の外周面とスリット69との間を通過する場合も同様である。
図7Bに示すように、切欠き64に代えて、回転子6の半径方向に延びるスリット69を回転子コア61に設けてもよい。この場合、永久磁石62の磁束が、回転子コア61の外周面とスリット69との間の空間を通過する場合、この空間で飽和すればよい。
また、本実施の形態において、永久磁石62が切欠き64により露出している例を説明したが、これに限られない。永久磁石62は、切欠き64によって回転子コア61の外側に露出していなくてもよく、磁気抵抗部63に接触していなくてもよい。具体的には、磁気抵抗部63は、回転子6の円周方向における永久磁石62の一方の側に配置されればよい。
例えば、図8に示すように、永久磁石62と磁気抵抗部63との間に回転子コア61が介在してもよい。無負荷時において、永久磁石62の磁束は、永久磁石62と磁気抵抗部63との間の空間を通過するが、この空間で飽和していればよい。これにより、永久磁石62の磁束は、短絡領域を通過して短絡する。
また、本実施の形態において、永久磁石62が円弧状の形状であり、回転子コア61の円周方向に沿って配置される例を説明したが、これに限られない。例えば、永久磁石62は、平板上の形状でもよい。すなわち、永久磁石62において、外周面の面積が内周面の面積以上であればよい。この条件を満たす永久磁石62を使用することにより、回転子コア61の外周から永久磁石62までの距離を、特許文献1に記載の回転子の外周からフラックスバリアまでの距離よりも大きくすることができる。この結果、回転子6全体の強度を増すことができ、遠心力による回転子6の破壊を防ぐことができる。
つまり、磁気抵抗部63は、回転子6の円周方向において永久磁石62一方側に配置され、永久磁石62の磁束が永久磁石62の円周方向の一方側を通過することを妨げるものであればよい。
また、図2、図4及び図5などに示すように、磁気抵抗部63を、回転子6の円周方向における永久磁石62の時計回り方向側に配置する例を説明した。しかし、磁気抵抗部63を、永久磁石62の反時計まわり方向側に配置してもよい。
[第2の実施の形態]
{1.電動発電機の構成}
第2の実施の形態に係る電動発電機2において、回転子の構成が、図2に示す回転子6と異なる。以下、本実施の形態では、回転子の構成を中心に説明する。
図9は、本実施の形態に係る電動発電機2の断面図である。図9に示す電動発電機2は、固定子5と、回転子7とを備える。回転子7は、回転子コア71と永久磁石62とを備える。回転子7は、図2に示す回転子6と異なり、磁気抵抗部63を備えない。つまり、切欠き64は、回転子コア71の外周面に形成されない。
{2.電動発電機2の磁路の変化}
図10は、第2の実施の形態における電動発電機2の永久磁石62a付近の拡大断面図である。図10において、固定子5の詳細な構造(巻線52、ティース53、スロット54)の表示を省略している。
以下、図10に示す構成を有する電動発電機2における磁路を、永久磁石62aを例にして説明する。ただし、負荷状態において、電動発電機2に形成される磁路は、第1の実施の形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
無負荷状態では、電流が固定子5に供給されない。このため、永久磁石62aの磁束は、上記実施の形態と同様に、回転子コア61内で短絡する。永久磁石62aの磁束の磁路を、図10において、矢印73で示す。以下、矢印73で示される磁路を、「磁路73」と呼ぶ。図10に示すように、磁路73は、回転子7の円周方向における永久磁石62aの両側に形成される。
ここで、永久磁石62aの両端と回転子コア71の外周との間の領域72a,72bは、永久磁石62aの磁束が飽和しないように、十分な厚みを有することが望ましい。無負荷状態において、N極から発する磁束は、領域72a及び72bのいずれか一方を通過するためである。
図11は、回転子コア61内の永久磁石62aの位置を説明する図である。上記実施の形態と同様に、円弧Lm、磁束密度Br及びBLを定義する。また、通過幅Lc1,Lc2を定義する。通過幅Lc1は、回転子7の円周方向における永久磁石62aの一方の端から、回転子コア61の外周面までの距離である。通過幅Lc2は、他方の端から、回転子コア61の外周面までの距離である。通過幅Lc1,Lc2は、領域72a,72bの半径方向の幅にそれぞれ相当する。
永久磁石62aの磁束が、領域72a及び72bで飽和することなく、回転子コア61内で短絡するためには、円弧Lm、通過幅Lc1,Lc2、磁束密度Br,BLが、下記(式3)及び(式4)で示される条件を満たせばよい。
BL×Lc1≧Br×Lm×{Lc1/(Lc1+Lc2)} ・・・(式3)
BL×Lc2≧Br×Lm×{Lc2/(Lc1+Lc2)} ・・・(式4)
(式3)を通過幅Lc1について解くことにより、通過幅Lc1は、(式5)により表される。
Lc1={(Br×Lm)/Bm}−Lc2 ・・・(式5)
(式4)を通過幅Lc2について解くことにより、通過幅Lc1は、(式6)により表される。
Lc2={(Br×Lm)/Bm}−Lc1 ・・・(式6)
このように、通過幅Lc1,Lc2が(式5)及び(式6)を満たすように、永久磁石62aを回転子コア71内に配置することにより、無負荷状態において、永久磁石62aの磁束を回転子7内で短絡させることができる。従って、永久磁石62aの磁束が、無負荷状態において、回転子7から漏洩することを防ぐことができる。上記の説明は、永久磁石62cでも同様に成り立つ。また、永久磁石62b及び62dについても、磁路の向きが逆になる点を除き、上記の説明が同様に成り立つ。
[第3の実施の形態]
図12は、第3の実施の形態に係る電動発電機2の断面図である。図12に示すように、本実施の形態において、電動発電機2は、固定子8と、回転子9とを備える。
回転子9は、回転子コア91と、4つの永久磁石92a〜92bとを備える。永久磁石92a〜92d内の矢印は、永久磁石92a〜92dの各々の着磁方向を示す。以下、永久磁石92a〜92dを総称する場合、「永久磁石92」と呼ぶ。上記実施の形態と異なり、永久磁石92の磁束は、無負荷状態において、回転子9から漏洩し、固定子8と鎖交する。
図13は、図12に示す固定子8の断面図である。固定子8は、無負荷状態において発生する誘起電圧をキャンセルする。図13に示すように、固定子8は、固定子コア81と、主ティース831〜836と、補助ティース841〜846と、主巻線851〜856と、補助巻線861〜866とを備える。
主ティース831〜836の幅は、補助ティース841〜846の幅よりも広い。ただし、図13では、主ティース831〜836と補助ティース841〜846との比を誇張して表示し、補助ティース841〜846の幅を大きく示している。
互いに隣接する主ティースと補助ティースとの間の空間は、スロットとしてカウントされない。補助ティースを介して隣り合う2つの主ティースの間に形成される空間が、1スロットとしてカウントされる。従って、固定子8のスロット数は、6である。
主巻線851〜856は、集中巻により、主ティース831〜836の各々に巻かれる。補助巻線861〜866は、集中巻により、補助ティース841〜846の各々に巻かれる。補助巻線861〜866は、主巻線851〜856と反対向きに巻かれる。
図14は、図12に示す固定子8に巻かれる主巻線及び補助巻線の結線図である。固定子8を備える電動発電機2において、並列回路数は、2である。図14は、2つの並列回路のうち一方の並列回路を示す。
図14に示す回路は、主巻線851,853,855と、補助巻線861〜866との結線図である。なお、主巻線851,853,855として複数のコイルが示されているが、これら複数のコイルの各々は、主ティースに巻かれた1巻き分のコイルを示している。
補助巻線861と、主巻線851と、補助巻線862とは直列に接続される。補助巻線861は、端子871に接続される。電流iが、インバータ4から端子871に供給される。補助巻線862は、接地される。
補助巻線863と、主巻線853と、補助巻線864とは直列に接続される。補助巻線863は、端子872に接続される。電流iが、インバータ4から端子872に供給される。補助巻線864は、接地される。
補助巻線865と、主巻線855と、補助巻線866とは直列に接続される。補助巻線865は、端子873に接続される。電流iが、インバータ4から端子873に供給される。補助巻線866は、接地される。
図15は、無負荷状態において、回転子7から漏洩する磁束(漏洩磁束)が固定子5と鎖交した際に発生する磁路を示す図である。図15において,主巻線851のうち、主ティース831に対する1巻きを、主巻線851a,851bとし、主巻線851a,851bを除く主巻線の表示を省略している。また、補助巻線861,862は、1巻き分のみを示している。
以下、図14及び図15を参照しながら、無負荷状態において、誘起電圧がキャンセルされる理由を、永久磁石92aを例にして説明する。
上述のように、永久磁石92aの磁束は、無負荷状態において、回転子9から漏洩し、固定子8と鎖交する。漏洩磁束が固定子8と鎖交することにより、固定子8及び回転子9を通過する磁路87,88が形成される。磁路87は、永久磁石92a、主ティース831、及び補助ティース841を通過する。磁路88は、永久磁石92a、主ティース831、及び補助ティース842を通過する。
回転子9は、無負荷状態においても回転を続けている。このため、磁路87及び88が形成されることにより、主巻線851及び補助巻線861,862に誘起電圧が発生する。
図14に示す矢印は、主巻線851及び補助巻線861,862の各々で発生する誘起電圧の向きを示す。補助巻線861,862は、主巻線851と反対方向に巻かれているため、補助巻線861,862で発生する誘起電圧の向きは、主巻線851で発生する誘起電圧の向きと逆である。主巻線851及び補助巻線861,862が直列接続されているため、主巻線851で発生する誘起電圧は、補助巻線861,862で発生する誘起電圧によりキャンセルされる。
発動電動機2の内部が故障により短絡した場合、電動発電機2を無負荷状態に移行させる必要がある。無負荷状態においても、漏れ磁束による誘起電圧を原因とする電流が固定子8で発生することを抑制できるため、電流が、電動発電機2の内部で短絡することがないため、電動発電機2の発熱及び故障を防ぐことができる。
図16は、負荷状態において、固定子8及び回転子9に形成される磁路を示す図である。負荷状態においては、インバータ4は、主巻線851及び補助巻線861,862に電流を供給する。補助巻線861,862は、主巻線851と反対向きに巻かれているため、補助巻線861,862で発生する磁束は、主巻線851で発生する磁束をキャンセルする方向に作用する。
しかし、補助ティース841,842の幅は、主ティース831の幅より小さいため、補助ティース841,842は、補助ティース841,842で発生する磁束により飽和する。従って、負荷状態では、主巻線851で発生する磁束と永久磁石92aとが合成された磁束は、飽和した補助ティース841,842を通過することができない。合成された磁束は、磁路89を通過する。磁路89を通過する磁束により、電動発電機2は、回転子9を回転させたり、回転子9の回転に応じた発電を行ったりすることが可能である。
以上、主巻線851及び補助巻線861,862を例に、無負荷状態における誘起電圧がキャンセルされる理由を説明したが、直列接続された主巻線853及び補助巻線863,864についても同様である。直列接続された主巻線855及び補助巻線865,866についても同様である。また、永久磁石92b〜92cについても、同期の説明が同様に成り立つ。また、本実施の形態において、回転子9に代えて回転子6,7を使用してもよい。
[第4の実施の形態]
上記実施の形態では、インナーロータ型の電動発電機2について説明した。しかし、電動発電機2は、アウターロータ型であってもよい。以下、アウターロータ型の電動発電機2について、上記実施の形態と異なる点を中心に説明する。
図17は、本実施の形態に係る電動発電機2の断面図である。図17に示す電動発電機2は、アウターロータ型であり、固定子15と、回転子16とを備える。固定子15は、回転軸Aと同軸に配置される。回転子16は、固定子15の外周に配置され、回転軸Aを中心に回転する。
固定子15は、固定子コア151と、巻線152と、24個のティース153とを備える。なお、図17において、巻線152の一部及びティース153の一部の符号の表示を省略している。
固定子コア151は、円柱形状であり、固定子コア51と同様の素材により形成される。ティース153が、固定子コア151の外周側に設けられる。スロット154は、互いに隣り合う2つのティース153,153の間の空間である。巻線152は、ティース153に巻かれる。巻線152の巻き方は、巻線52と同様である。
回転子16は、回転子コア161と、4つの永久磁石162a〜162dと、4つの磁気抵抗部163とを含む。回転子コア161は、中空の円筒形状であり、回転軸Aを中心に回転する。回転子コア161は、回転子コア61と同様の素材により形成される。
永久磁石162a〜162dは、回転子コア161内に配置され、回転子16の半径方向に着磁される。以下、永久磁石162a〜162dを総称する場合、「永久磁石162」と記載する。
永久磁石162の断面形状は、円弧状である。永久磁石162の素材は、永久磁石62と同様である。永久磁石162内の矢印は、着磁方向を示す。周方向に互いに隣り合う2つの永久磁石において、磁極の向きが反対となる。
磁気抵抗部163は、回転子16の円周方向における永久磁石162の一方側に配置され、回転子16の内周に達する。磁気抵抗部163は、回転子16の内周に設けられた切欠き164により形成される。回転子16の円周方向における永久磁石162の一方側の側面が、磁気抵抗部163により回転子コア161の外部に露出する。永久磁石162の他方側には、磁気抵抗部163は配置されない。
以下、本実施の形態に係る電動発電機2における磁路の変化について説明する。
図18は、図17に示す電動発電機2において、無負荷状態のときに形成される磁路を示す図である。図18に示すように、無負荷状態において、永久磁石162の磁束は、回転子コア161内で短絡する。矢印167a〜167dは、永久磁石162a〜162dの各々の磁束により、回転子コア161内に形成される磁路を示す。以下、矢印167a〜167dを、「磁路167a〜167d」と呼ぶ。
以下、磁路167aについて説明する。なお、磁路167aの説明は、磁路167b〜167cについても同様に成り立つ。
上記第1の実施の形態と同様に、永久磁石162aに接する磁気抵抗部163の磁気抵抗は、永久磁石162aを中心にして磁気抵抗部163と反対側の領域166の磁気抵抗よりも大きい。領域166は、第1の実施の形態で説明した領域66(図4又は図5参照)に対応する。エアギャップ(固定子15と回転子16との間の空間)の磁気抵抗は、回転子コア161の磁気抵抗よりも大きい。従って、永久磁石162aの磁束は、N極から発し、領域166を通過して、S極に達する。
この場合、領域166が、無負荷状態のときに永久磁石162aの磁束により飽和しないように、十分な厚みを有することが望ましい。この厚みの条件は、上記第1の実施の形態で説明した円弧Lmを、永久磁石162aの内周面における円周方向の長さと定義し、通過幅Lcを、永久磁石162aの内周面における円周方向の端から回転子コア161の内周面までの長さと定義すればよい。これにより、磁気飽和が、無負荷状態において回転子コア161で発生しない条件を求めることができる。
次に、負荷状態のときに電動発電機2内で形成される磁路について、永久磁石162aを例にして説明する。
図19は、図17に示す電動発電機2において、負荷状態のときに形成される磁路を示す図である。負荷状態では、電流i,i及びiが巻線152に供給されるため、磁束が固定子5で発生する。発生した磁束は、エアギャップを通過して回転子16に流入し、永久磁石162aの磁束と合成される。合成された磁束は、回転子コア161内の領域166で飽和する。
領域166で磁気飽和が発生することにより、合成された磁束は、エアギャップを通過し、固定子5を通過する。最終的に、合成された磁束は、固定子15及び回転子16を通過し、矢印168aで示す磁路を通る。
永久磁石162b〜162dの磁束も、永久磁石162aの磁束と同様に、固定子5で発生した磁束と合成される。この結果、図19に示すように、矢印168b〜168dで示す磁路が形成される。
このように、アウターロータ型の電動発電機2も、上記実施の形態と同様に、無負荷状態において、永久磁石の磁束を回転子コア61内で他の永久磁石を通過することなく短絡させることができる。また、負荷状態において、永久磁石162と合成された磁束は、固定子5で発生した磁束と合成され、固定子5及び回転子6を通過する。従って、負荷状態及び無負荷状態において、永久磁石162により発生する界磁を調整することができる。
なお、磁気抵抗部163は、上記第1の実施の形態と同様に、回転子16の半径方向に並べた複数のスリットであってもよく、あるいは、回転子6の半径方向に延びるスリットであってもよい。また、永久磁石162は、磁気抵抗部63に接していなくてもよい。
以上説明したように、電動発電機2は、インナーロータ型でもアウターロータ型であってもよく、回転子に対向して配置されればよい。回転子の半径方向に着磁される永久磁石が、回転子内に配置される。磁気抵抗部は、回転子の円周方向において永久磁石の一方側に配置されることにより、永久磁石の磁束が永久磁石の一方側を通過することを妨げればよい。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
100 スタータジェネレータ
200 エンジンユニット
1 エンジン
2 電動発電機
3 コントローラ
4 インバータ
5,8,15 固定子
6,7,9,16 回転子
51,81,151 固定子コア
52 巻線
53 ティース
54 スロット
61,71,91,161 回転子コア
62a〜62d,92a〜92d,162a〜162d 永久磁石
63,163 磁気抵抗部
64,164 切欠き
65 ブリッジ部
831〜836 主ティース
841〜846 補助ティース
851〜856,851a,851b 主巻線
861〜866 補助巻線

Claims (5)

  1. 電動発電機であって、
    回転軸を中心に回転する回転子と、
    前記回転子に対向して配置される固定子と、
    前記固定子に設けられたティースに巻かれた巻線と、
    前記回転子内に配置され、前記回転子の半径方向に着磁される第1の永久磁石と、
    前記巻線に供給される電流を制御するコントローラとを備え、
    前記回転子は、
    前記回転子の円周方向において前記第1の永久磁石の一方側に配置され、前記回転子の外周面に達し、前記第1の永久磁石の磁束が前記第1の永久磁石の一方側を通過することを妨げる第1の磁気抵抗部を含み、
    無負荷状態において、前記第1の永久磁石の磁束は、前記回転子の円周方向において前記第1の永久磁石の他方側で短絡し、
    前記電動発電機が発電機として動作する場合の負荷状態において、前記コントローラは、前記第1の永久磁石の磁束と前記巻線で発生する磁束との合成磁束が前記回転子の外周面と前記第1の永久磁石における他方側の端との間における前記回転子の領域の飽和磁束以上となるように、前記巻線に供給される電流を制御する電動発電機。
  2. 請求項1に記載の電動発電機であって、さらに、
    前記回転子内の円周方向において前記第1の永久磁石の位置と異なる位置に前記第1の磁気抵抗部を介して配置され、前記回転子の半径方向に着磁される第2の永久磁石を備え、
    前記回転子は、
    前記回転子の円周方向において前記第2の永久磁石の一方側に配置され、前記第2の永久磁石の磁束が前記第2の永久磁石の一方側を通過することを妨げる第2の磁気抵抗部を含む電動発電機。
  3. 請求項1又は2に記載の電動発電機であって、
    前記第1の磁気抵抗部は、前記回転子の前記固定子側の面に開口するスリット又は切欠きからなる電動発電機。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動発電機であって、
    前記固定子は、前記回転子の外周側に配置され、
    前記第1の永久磁石において、前記固定子側の面の面積が前記固定子と反対側の面の面積以上であり、
    前記回転子は、さらに、
    前記固定子側の面と前記永久磁石との間に形成され、前記第1の永久磁石の磁束を通過させるブリッジ部を含む、電動発電機。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動発電機と、
    前記回転子の前記回転軸に連結された回転軸を含むエンジンとを備えるエンジンユニット。
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