JP7134856B2 - ベント装置 - Google Patents

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Description

大気圧より低い圧力に保持された真空容器を大気開放するためのベント装置に関する。
例えば半導体素子や結晶シリコン太陽電池の製造工程においては、シリコンウエハなどの被処理基板に対して真空雰囲気中にて成膜処理、エッチング処理や熱処理などの各種の真空処理が施される。このとき、被処理基板の複数枚を搬送トレイにセット(載置)して真空処理を施す場合もある。
このような真空処理を施す真空処理装置には、一般に、大気雰囲気中の被処理基板を真空雰囲気中の真空チャンバに搬入し、または、処理済みの被処理基板を搬出するために所謂ロードロックチャンバ(真空容器)が付設されている。ロードロックチャンバには、その内部空間を大気雰囲気と大気圧より低い圧力の真空雰囲気とに適宜切り換えられるように、真空ポンプに通じる排気ラインと、大気開放ガスを導入するベントラインとが設けられている。
ベントラインには、通常、所定断面積の弁孔を画成する弁座と、これに着座する弁体とを備える開閉弁が介設されると共に、ベントラインの一端は、大気開放ガスを窒素ガスなどの不活性ガスやCDA(クリーンドライエア)としたときにこれを大気圧と同等の圧力で充填したガス源に接続されている。そして、真空引きを停止した状態で開閉弁が開弁されると、ガス源からの大気開放ガスが真空雰囲気中のロードロックチャンバ内に導入され、この大気開放ガスで加圧されてロードロックチャンバが大気圧に戻る。このとき、その当初は、ガス源の圧力(大気圧)とロードロック室の圧力との差が大きいため、比較的高速の大気開放ガスが多量にロードロックチャンバに導入されることになる。そして、大気開放ガスの流入に伴ってロードロックチャンバ内の圧力が上昇するのに従い、ガス源との圧力差が減少してガスの流速が低下し、流量が減少していく。
ここで、上記製造工程においては、量産性を高めるためにスループットの向上が求められ、それには、真空雰囲気のロードロックチャンバを大気圧に戻すまでの時間の短縮も含まれる。このような場合に、複数枚のシリコンウエハがセットされた搬送トレイが存するロードロックチャンバに、上記のようにして大気開放ガスを導入すると、その当初の比較的高速の大気開放ガスによってシリコンウエハに割れや欠けなどの破損が発生し、または、シリコンウエハがキャリアから吹き飛ばされるといった問題が生じる。
このような破損や吹き飛ばしの問題の解決策として、例えば特許文献1に記載のようなベント装置が知られている(例えば、従来技術の欄及び図12参照)。このものは、所謂スローベント方式のものであり、ガス源からロードロックチャンバに通じるベントラインが分岐され、一方の分岐ベントラインに弁孔の断面積が比較的小さい第1開閉弁(小口径ベントバルブ)が、他方の分岐ベントラインに弁孔の断面積が比較的大きい第2開閉弁(大口径ベントバルブ)が夫々介設されている。ロードロックチャンバを大気雰囲気に戻す場合には、その当初、第1開閉弁のみを開弁して微小流量の大気開放ガスを導入してその流速を低下させることでシリコンウエハの破損や吹き飛ばしを防止する(スローベント工程)。そして、例えば、ロードロックチャンバに設けた真空計の指示値が、大気開放ガスの流量を増加させても破損や吹き飛ばしが発生しないように予め実験的に求められた所定値に達すると、小口径ベントバルブに代えてまたはこれに加えて大口径ベントバルブを開弁して多量の大気開放ガスを速やかに導入する(フルベント工程)。これにより、シリコンウエハの破損や吹き飛ばしを防止しながら、比較的短い時間でロードロックチャンバを大気雰囲気に戻すことができる。
ところで、近年、上記製造工程によっては、被処理基板として例えば数百μmの厚さしかない極薄のシリコンウエハが用いられることがある。このような被処理基板は軽く、しかも、弱い衝撃でも簡単に破損する。このため、上記従来例を適用してロードロックチャンバを大気雰囲気に戻す場合、第1開閉弁の開弁から第2開閉弁を開弁させるまでの時間(スローベント時間)を長くとる必要があり、これでは、ロードロックチャンバを大気圧に戻すまでの時間を効果的に短縮できないという問題が生じる。このような場合、ロードロックチャンバを増設してスループットを向上させることもできるが、これでは、コストアップを招来する。
特開2009-30720号公報
本発明は、以上の点に鑑みなされたものであり、極薄のシリコンウエハがロードロックチャンバに存する状態でも、その破損や吹き飛ばしを防止しながら、可及的速やかに真空雰囲気のロードロックチャンバを大気雰囲気に戻すことができるベント装置を提供することをその課題とするものである。
上記課題を解決するために、大気圧より低い圧力に保持された真空容器を大気開放するための本発明のベント装置は、真空容器内の圧力を測定する真空計と、第1開閉弁を有して微小流量の大気開放ガスを導入する第1ベントラインと、第2開閉弁を有して多量の大気開放ガスを導入する第2ベントラインと、大気開放ガスが通過する通路断面積が可変の流量調整弁を有する第3ベントラインとを備え、第1開閉弁が開弁された後、真空計の圧力指示値が第1設定値に達すると、流量調整弁の通路断面積が次第に増加され、その通路断面積が最大になる前に真空計の圧力指示値が第1設定値より高い圧力の第2指示値に達すると、第2開閉弁を開弁するように構成されることを特徴とする。
本発明によれば、真空容器を大気雰囲気に戻す場合、第1ベントラインの第1開閉弁のみを開弁して微小流量の大気開放ガスを導入してから大気圧となるに至るまで、第1開閉弁、第2開閉弁及び流量調整弁の各弁近傍におけるその流速の変化量及び流量、並びにその総量を、各工程毎に規定範囲内に抑えることで、シリコンウエハの破損や吹き飛ばしを防止しつつ可及的速やかなベント工程が実現する。なお、本発明において、「微小流量」といった場合、第1ベントラインが接続されるガス源の圧力(例えば、大気圧)とロードロック室の圧力との差が大きい大気開放ガスの導入当初に、破損や吹き飛ばしを防止できる範囲内の流量をいい、予め実験的に求められる(これは規定範囲を求める工程である)。即ち、第1開閉弁が開弁されて微小流量の大気開放ガスが導入されると(第1スローベント工程)、真空計により真空容器内の圧力を監視し、その圧力指示値が予め実験的に求めた第1設定値に達すると、第3ベントラインの流量調整弁を開弁する。その当初は、破損や吹き飛ばしが防止される範囲の微小流量の大気開放ガスが、第1ベントラインからの大気開放ガスに加わるように流量調整弁の開度が調整され、ロードロックチャンバ内の圧力上昇に応じてその開度を次第に増加させていく(第2スローベント工程)。これにより、スローベント時間を上記従来例のものより短縮することが可能になる。
次に、通路断面積が最大になる前に真空計の圧力指示値が、予め実験的に求めた第1設定値より高い圧力の第2指示値に達すると、第2ベントラインの第2開閉弁を開弁する(フルベント工程)。これに併せて流量調整弁の開度も最大にされる。これにより、真空容器に多量の大気開放ガスが速やかに導入されて大気雰囲気に戻る。このとき、最大開度の第2ベントラインからも大気開放ガスが追加導入されるため、フルベント時間も上記従来例のものより短縮することが可能になる。このように本発明では、極薄のシリコンウエハがロードロックチャンバに存する状態でも、その破損や吹き飛ばしを防止しながら、可及的速やかに真空雰囲気のロードロックチャンバを大気雰囲気に戻すことができる。
本発明においては、第1スローベント工程の短縮化のために、前記第1ベントラインの前記第1開閉弁が、前記微小流量に到達するまで大気開放ガスの流量が可変である全閉機能を持つ流量調整弁である構成を採用することもできる。
本発明においては、前記第1開閉弁と前記流量調整弁として、これらが一体の全閉機能を持つ流量調整弁を用いることが好ましい。これにより、第1ベントラインと第3ベントラインとを共用できることで装置自体を簡素化でき、有利である。
また、本発明においては、前記第2ベントラインがバッファタンクを有し、バッファタンクに、大気圧より高い圧力の大気開放ガスが充填されることが好ましい。これにより、フルベント工程を一層短縮化でき、有利である。他方で、スローベント時間の更なる短縮化のために、前記第1ベントラインが他のバッファタンクを有し、この他のバッファタンクに、大気圧より高く且つ第2ベントラインのバッファタンクより低い圧力の大気開放ガスが充填される構成を採用してもよい。
本実施形態のベント装置を備えるロードロックチャンバの模式断面図。 本実施形態のベント装置に利用される流量調整弁の一例を説明する部分断面図。 本実施形態のベント装置に利用される開閉弁の一例を説明する部分断面図。 本実施形態のベント装置を用いて大気開放するときの手順を説明する図。
以下、図面を参照して、真空容器をロードロックチャンバとし、大気圧より低い圧力に保持された状態のロードロックチャンバを大気雰囲気に戻すための本発明のベント装置の実施形態を説明する。
図1を参照して、Lcは、本実施形態のベント装置BSを備えるロードロックチャンバであり、ロードロックチャンバLc内には、筒状の支持体Stが設けられている。支持体Stには、図外の搬送ロボットにより搬送されてくる、被処理基板としての複数枚のシリコンウエハSwを保持するキャリアCaが載置できるようになっている。なお、キャリアCaや搬送ロボットとしては公知のものが利用できるため、ここでは説明を省略する。ロードロックチャンバLcには、その内部空間Isの圧力を測定する真空計Vgと、内部空間Isを真空排気するための排気ラインElと、内部空間Isに大気開放ガスを導入する本実施形態のベント装置BSとが設けられている。真空計Vgとしては、測定しようとする圧力範囲に応じてピラニ真空計や隔膜真空計などが利用される。排気ラインElには、公知の開閉弁Evが介設され、その端部が真空ポンプVpに通じている。真空ポンプVpとしては、内部空間Isの容積や実効排気速度などを考慮して大気雰囲気からの真空排気が可能なロータリポンプやダイヤフラムポンプなどが利用される。なお、メカニカルブースターポンプ等を併用し、実効排気速度を向上させても良い。
ベント装置BSは、大気雰囲気(大気圧)と同等の圧力の大気開放ガスが充填されたガス源としての第1バッファタンク1aと、大気圧より高い圧力(例えば、約2000~5000hPa)の大気開放ガスが充填されたガス源としての第2バッファタンク1bとを備える。なお、他のバッファタンク1aである第1バッファタンク1aには、大気圧より高く且つ第2バッファタンク1bより低い圧力の大気開放ガスを充填するようにしてもよい。大気開放ガスとしては、窒素ガスなどの不活性ガスやCDA(クリーンドライエア)が使用される。第1バッファタンク1aには第1ベントライン2が、第2バッファタンク1bには第2ベントライン3が夫々接続され、第1及び第2の各ベントライン2,3がロードロックチャンバLcの上部に気密保持した状態で夫々接続されている。そして、第1ベントライン2には全閉機能を持つ流量調整弁4が介設されている。
流量調整弁4は、図2に示すように、大気開放ガスの流入孔41aと流出孔41bとを開設したバルブ本体41を備え、バルブ本体41内には、円形の断面を持ち且つL字に屈曲された、流入孔41aと流出孔41bとを連通する内部通路42が形成されている。流入孔41aの孔軸42aに沿ってのびる内部通路42の部分42bにはバタフライ弁43が設けられている。バタフライ弁43は、外周縁部にOリング43aが取り付けられた円板状部材で構成され、孔軸42aに対して直交する方向からバルブ本体41を貫通して内部通路42に突設させた弁軸44に、その軸線回りに回転自在に取付けられている。なお、特に図示して説明しないが、バルブ本体41から突出した弁軸44の部分は、ステッピングモータなどの回転角の制御機能を持つ第1駆動手段に連結されている。
バルブ本体41には、内部通路42の部分42bを局所的に囲繞するように、孔軸42a方向に長手の環状の収容溝45が形成され、収容溝45には、孔軸42aに沿ってその内部を摺動自在に進退するシートリング46が挿設されている。なお、特に図示して説明しないが、バルブ本体41には、圧縮空気供給手段やコイルばね等の付勢手段を備える第2駆動手段が組み付けられ、シートリング46を進退できるようになっている。シートリング46には、内部通路42に突出し且つ孔軸42aに沿ってのびる環状の弁座部46aが設けられている。そして、図2に示すように、収容溝45の下流側(図2中、右側)に移動したシートリング46の閉弁位置にて、弁座部46aがバタフライ弁43のOリング43aに圧接するようになっている。これにより、流量調整弁4の全閉機能が実現される。
一方、図2中に拡大して示すように、収容溝45の上流側(図2中、左側)に移動したシートリング46の開弁位置では、弁座部46aとOリング43aとの間に、微小断面積の環状の隙間Gpが形成され、この隙間Gpを介して微小流量の大気開放ガスの流通が許容され、これと同時にバタフライ弁43が回転自在となる。弁軸44をその軸線回りに回転させると、この回転に伴って隙間Gp(即ち、内部通路42の内面とOリング43aとの間であって大気開放ガスが通過する通路断面積)が次第に大きくなり、図2中、一点鎖線で示すようにバタフライ弁43が90度回転されると、最大流量の大気開放ガスの流通が許容される。本実施形態では、第1ベントライン2は、第3ベントラインを兼用し、また、全閉機能を持つ流量調整弁4のうちシートリング46が第1開閉弁、バタフライ弁43が流量調整弁の役割を夫々果たすようになっている。
第2ベントライン3には、第2開閉弁としての開閉弁5が介設されている。開閉弁5は、公知のものが利用でき、例えば、図3に示すように、大気開放ガスの流入孔51aと流出孔51bとを開設したバルブ本体51を備える。バルブ本体51内には、内部通路42より大きい内径を持つ弁孔52が形成され、この弁孔52を画成する弁座53に着座自在となるように弁体54が設けられている。そして、図外のモータやエアシリンダ等の第3駆動手段によって弁体54を進退させることで開閉弁5が開閉され、開弁状態では、バタフライ弁43が90度回転された最大流量より多量の大気開放ガスの流通が許容されるようになっている。以下に、図4も参照して、上記ベント装置BSを用いて真空雰囲気のロードロックチャンバLcを大気雰囲気に戻す動作について説明する。
ロードロックチャンバLcが真空雰囲気(例えば、0.5Pa)のとき、流量調整弁4は閉弁状態、即ち、シートリング46は閉弁位置にあり、弁座部46aがバタフライ弁43のOリング43aに圧接し、開閉弁5が閉弁状態、即ち、弁体54が弁座53に着座している。ロードロックチャンバLcを大気雰囲気に戻す場合、先ず、排気ラインElの開閉弁Evが閉弁され、真空排気が停止される。次に、収容溝45の上流側にシートリング46を移動させて開弁する。この状態では、弁座部46aとOリング43aとの間に形成される微小断面積の隙間Gpを介して微小流量の大気開放ガスが、遅い流速でロードロックチャンバLcに導入される(第1スローベント工程SV)。
次に、真空計VgによりロードロックチャンバLcの圧力を監視し、その圧力指示値が予め実験的に求めた第1設定圧(第1設定値)に達すると、第1駆動手段によりその回転角を制御しながら、バタフライ弁43の弁軸44回りの回転を開始させる。その当初は、大気開放ガスの単位時間当たりの流量増加量が一定範囲内となるようにバタフライ弁43の回転角(流量調整弁4の開度)が調整され、ロードロックチャンバLc内の圧力上昇(言い換えると、第1バッファタンク1aと内部空間Isとの間の圧力差が小さくなる)に応じてその開度を次第に増加させていく(第2スローベント工程SV)。そして、通路断面積が最大になる前に真空計Vgの圧力指示値が、予め実験的に求めた第1設定圧より高い圧力の第2設定圧(従来例におけるスローベント工程の終点に相当する設定値)に達すると、第2ベントライン3の開閉弁5を開弁する(フルベント工程SV)。これに併せてバタフライ弁43が90度回転する位置まで回転させる(流量調整弁4の最大開度)。これにより、ロードロックチャンバLcに多量の大気開放ガスが導入されて速やかにロードロックチャンバLcが大気雰囲気に戻る。
ここで、上記従来例のベント装置を利用して真空雰囲気のロードロックチャンバLcを大気雰囲気に戻す場合、図4中、点線で示すように、その当初、第1開閉弁のみを開弁して微小流量の大気開放ガスを導入する。このとき、第1開閉弁の弁孔の断面積は不変であるため、ロードロックチャンバLcの圧力は、時間経過に比例して直線的に高くなる(略直線近似となる領域で利用した場合)。そして、真空計の指示値が予め実験的に求められた所定値(スローベント工程の終点)に達すると、第2開閉弁が開弁され、ロードロックチャンバに多量のベントガスが導入されてロードロックチャンバが大気圧に戻る。但し、シリコンウエハが数百μmの厚さしかない極薄のものである場合、このようなシリコンウエハSwは軽く、しかも、弱い衝撃でも簡単に破損するため、第1開閉弁の開弁から第2開閉弁を開弁させるまでの時間(スローベント時間)を長くとる必要があり、これでは、ロードロックチャンバを大気圧に戻すまでの時間を効果的に短縮できない。
それに対して、上記実施形態では、図4中、実線で示すように、その当初、第1ベントライン2のシートリング46のみを開弁して微小流量の大気開放ガスを導入し、真空計Vgの指示値が、上記従来例におけるスローベント工程の終点に相当する第2設定圧(値)より低い圧力の第1設定圧(値)に達すると、第3ベントラインの流量調整弁としてのバタフライ弁43を回転させて大気開放ガスの流量をロードロックチャンバLc内の圧力上昇に応じて増加させていくため、上記従来例に比較して、スローベント時間に相当する第1及び第2の両スローベント工程SV,SVを合わせた時間を短縮できる。そして、通路断面積が最大になる前に真空計Vgの圧力指示値が、第1設定圧より高い圧力の第2指示圧に達すると、第2ベントライン3の開閉弁5を開弁すると共に、これに併せてバタフライ弁43を90度回転する位置まで回転させる(流量調整弁4の最大開度にする)ため、上記従来例と比較して、ロードロックチャンバLcに多量の大気開放ガスが速やかに導入され、このとき、第2バッファタンク1bに大気圧より高い圧力の大気開放ガスが充填されていることが相俟って、フルベント工程SVの時間も短縮される。その結果、極薄のシリコンウエハSwがロードロックチャンバLcに存する状態でも、破損や吹き飛ばしを防止しながら、可及的速やかに真空雰囲気のロードロックチャンバLcを大気雰囲気に戻すことができる。しかも、上記第1開閉弁及び上記流量調整弁として、これらが一体の全閉機能を持つ流量調整弁4を用いるため、第1ベントラインと第3ベントラインとを共用できて装置自体を簡素化でき、有利である。
上記第1設定圧及び第2設定圧は、破損や吹き飛ばしを防止できるように真空雰囲気のロードロックチャンバLcに大気開放ガスを実際に導入して予め実験的に求められる。ここで、第1スローベント工程SVにて大気開放ガスを導入する当初、ロードロックチャンバLc内にも、例えば複数枚のシリコンウエハSwを保持したキャリアCaの上方空間とその下方空間とで圧力差が生じる。このため、シリコンウエハSwが極薄であるような場合、ロードロックチャンバLc内に生じる圧力差によって破損や吹き飛ばしが発生する虞がある。そこで、第1設定値及び第2設定値を実験的に求めるのに際しては、ロードロックチャンバLcに複数の真空計を取り付け(例えば、キャリアCaの下方空間の圧力を測定できるようにする)、各真空計の指示値に基づいて第1設定値及び第2設定値を求めることが好ましい。第1スローベント工程SVから第2スローベント工程SVへ移行する、第1設定圧(第1設定値)に達する時間を短くする観点からは、第1開閉弁であるシートリング46の進退について位置制御を行うことで、第1開閉弁の弁孔の断面積を可変とする(全閉機能を持つ流量調整弁として機能させる)ことが好ましい。第1開閉弁の弁孔の断面積を可変とすれば、一定断面積での開弁状態と比較し、変化量を一定以下とする条件下で、より早く第1設定圧へ到達させることが可能とできる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。上記実施形態では、ロードロックチャンバを大気圧より低い圧力に保持された真空容器の例としたが、これに限定されるものではなく、空間を大気雰囲気と大気圧より低い圧力の真空雰囲気とに適宜切り換る必要があり、大気雰囲気に戻す際に大気開放ガスの導入当初の速度や流量が問題となる真空容器であれば、本発明は広く適用できる。
上記実施形態では、第1ベントライン2が第1バッファタンク1aに接続されるものを例に説明したが、第1バッファタンク1aを省略し、第1ベントライン2の自由端にフィルタを設け、周辺大気が導入されるようにしてもよい。また、第1ベントライン2に介設される全閉機能を持つ流量調整弁4としてバタフライ弁43を持つものを例に説明したが、これに限定されるものではなく、ニードル弁など他の構成のものを利用することができる。更に、第1ベントライン2に全閉機能を持つ流量調整弁4を介設して第1ベントラインと第3ベントラインとを共用したものを例に説明したが、開閉弁を介設した第1ベントラインと流量調整弁を介設した第3ベントラインとを別々に設けることもでき、このとき、第1ベントラインに介設される開閉弁を大気開放ガスの流量が可変である全閉機能を持つニードル弁(流量調整弁)としてもよい。
また、上記実施形態では、開閉弁5の弁孔52の断面積は、内部通路42の断面積より大きいとしたが、開閉弁5を複数個用意し、複数の弁孔52の断面積を合計することで、これを実現する構成とすることができる。これにより、内部通路42の断面積を、複数の開閉弁5のうちの最大の弁孔52の断面積より小さくすることが可能となり、結果として、バタフライ弁43を小型することが可能となるため、圧力に対する弁角度の応答性をより向上できる。なお、上記実施形態では、第2指示圧に達すると、第2ベントライン3の開閉弁5を開弁すると共に、これに併せてバタフライ弁43を90度回転する位置まで回転させることとしたが、例えば、開閉弁5を複数個用意する場合には、第2指示圧に達する前にバタフライ弁43が90度回転位置まで回転するようにし、その後には、いずれかの開閉弁5を開弁して大気開放ガスの流量が段階的に増加するようにしてもよい。
更に、第2ベントライン3の開閉弁5を開弁すると共に、これに併せてバタフライ弁43が90度回転する位置まで回転させる上記実施形態とは異なり、例えば、開閉弁5の弁孔52の断面積がバタフライ弁43の内部通路42の断面積と比較して十分に大きい構成である場合は、第2指示圧に達した際、第2ベントライン3の開閉弁5を開弁すると共に、これに併せてバタフライ弁43は閉弁方向へ回転させるようにしても良い。また、バタフライ弁43が90度回転する位置まで回転した後に第2指示圧に達し、その後に第2ベントライン3の開閉弁5を開弁する構成とした場合、これに併せてバタフライ弁43は閉弁方向へ回転させるようにしても良い。バタフライ弁43を閉弁方向へ回転させる意図は、開閉弁5による全体の流量増加を減じること、つまり、急激な流量変動を抑え、シリコンウエハSwの破損を防止しつつ速やかなベント工程を実現させるためである。従って、予め実験的に求めた結果によっては、第1、第2設定圧の他に複数の設定圧を設け、バタフライ弁43の閉弁の時期を別途設けることも可能であり、かつ、閉弁後に開弁する時期を別途設けることも考慮しても良い。
BS…ベント装置、Lc…ロードロックチャンバ(真空容器)、El…排気ライン、1a…第1バッファタンク(他のバッファタンク)、1b…第2バッファタンク(バッファタンク)、2…第1ベントライン(第3ベントラインと共用)、3…第2ベントライン、4…全閉機能を持つ流量調整弁、5…開閉弁、Vg…真空計。

Claims (5)

  1. 大気圧より低い圧力に保持された真空容器を大気開放するためのベント装置において、
    真空容器内の圧力を測定する真空計と、第1開閉弁を有して微小流量の大気開放ガスを導入する第1ベントラインと、第2開閉弁を有して多量の大気開放ガスを導入する第2ベントラインと、大気開放ガスが通過する通路断面積が可変の流量調整弁を有する第3ベントラインとを備え、第1開閉弁が開弁された後、真空計の圧力指示値が第1設定値に達すると、流量調整弁の通路断面積が次第に増加され、その通路断面積が最大になる前に真空計の圧力指示値が第1設定値より高い圧力の第2指示値に達すると、第2開閉弁を開弁するように構成されることを特徴とするベント装置。
  2. 前記第1ベントラインの前記第1開閉弁は、前記微小流量に到達するまで大気開放ガスの流量が可変である全閉機能を持つ流量調整弁であることを特徴とする請求項1記載のベント装置。
  3. 前記第1開閉弁と前記流量調整弁として、これらが一体の全閉機能を持つ流量調整弁を用いることを特徴とする請求項1または請求項2記載のベント装置。
  4. 前記第2ベントラインがバッファタンクを有し、バッファタンクに、大気圧より高い圧力の大気開放ガスが充填されることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のベント装置。
  5. 前記第1ベントラインが他のバッファタンクを有し、この他のバッファタンクに、大気圧より高く且つ第2ベントラインのバッファタンクより低い圧力の大気開放ガスが充填されることを特徴とする請求項4記載のベント装置。
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