JP6190731B2 - 複合構造体 - Google Patents

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本発明は、例えば屋根材にとして用いられる複合構造体に関する。
従来、駐輪場やカーポートなどの屋根材として、鋼板に樹脂発泡体が貼り合わされた折板屋根材が使用されている。樹脂発泡体を貼り付けることで、断熱効果を得ることができる。
例えば、特許文献1には、金属板上に、樹脂層、金属シート、発泡シートの順に張り合わされた断熱金属屋根材が記載されている。
特開平11−270063号公報
前述した様に、このような屋根材は、屋外で使用される場合がある。屋根材の上面には、金属板が設けられるが、反射光などによって、屋根材の下面側(樹脂発泡体側)にも、常に紫外線が照射される。通常の樹脂発泡体は、紫外線によって劣化する。このため、使用中に、樹脂発泡体が劣化し、金属板から剥がれ落ちてしまう恐れがある。
また、屋外の屋根材として使用する場合には、例えば雨などが屋根上に落ちた際に発生する雨音が、屋根の下にできるだけ響かないことが望まれる。すなわち、屋根材に遮音性が要求される。しかし、樹脂発泡体の質量が小さいため、金属板に対する衝撃による振動が減衰しにくく、音が響くという問題がある。
これに対し、樹脂発泡体の表面を金属箔等で被覆する方法が考えられる。金属箔によって、樹脂発泡体に照射される紫外線を遮断することができる。また、金属箔による質量の増加によって、音の減衰を早めることができる。このため、遮音性も向上する。
一方、このような金属箔を樹脂発泡体に貼り付けると、折曲げ加工や運搬等の取扱い時に、樹脂発泡体上に貼り付けられた金属箔の破れなどが生じる恐れがある。このような破損が生じると、樹脂発泡体の劣化の抑制効果が低下するとともに、見た目にも悪い。しかし、金属箔を厚くしたのでは、重量増やコスト増となる。したがって、樹脂発泡体に単に金属箔を貼り付けただけでは、所望の特性を得ることが困難である。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、屋外で使用しても樹脂発泡体の劣化がなく、加工時や運搬時に傷や破れの発生が抑制された複合構造体を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明は、建築物用の複合構造体であって、金属板と、前記金属板に貼り付けられる樹脂発泡体と、前記樹脂発泡体に貼り付けられる補強層と、前記補強層に貼り付けられる金属箔と、を具備し、前記補強層の破断強度が前記金属箔の破断強度よりも強く、前記補強層の表面は凹凸を有し、前記金属箔の表面は、前記補強層の凹凸に応じた凹凸形状であることを特徴とする複合構造体である。
前記補強層はポリエチレンクロスシートであり、前記金属箔はアルミニウム製であることが望ましい。
本発明によれば、最外面に金属箔が貼り付けられるため、樹脂発泡体が露出せず、金属箔によって確実に紫外線が遮断されるため、樹脂発泡体の紫外線による劣化を防止することができる。
また、金属箔を貼り付けたことで、複合構造体の遮音性を向上させることができる。さらに、金属箔によって、断熱効果も向上させることができる。
また、金属箔と樹脂発泡体との間に補強層が設けられ、補強層の破断強度が金属箔よりも強いため、成形時や取り扱い時に金属箔に傷や破れが生じることを抑制することができる。
また、補強層の表面に凹凸形状を形成することで、金属箔を容易に凹凸形状で貼り付けることができる。このため、凹凸形状によって、金属箔の可撓性が向上し、成形性等を向上させることができる。
このような補強層としては、ポリエチレンクロスシートが特に好適である。
本発明によれば、屋外で使用しても樹脂発泡体の劣化がなく、加工時や運搬時に傷や破れの発生が抑制された複合構造体を提供することができる。
複合構造体1を示す図。 遮音性評価装置10を示す概略図。 断熱性評価装置20を示す概略図。
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、複合構造体1を示す図である。複合構造体1は、屋外に用いられる駐輪場、カーポート、軒先などの屋根材や、壁材として使用される。複合構造体1は、図1に示すように、全体が、山谷が繰り返されるように折り曲げられて用いられる。
複合構造体1は、主に、金属板3、樹脂発泡体5、補強層7、金属箔9等から構成される。なお、各構成の間に、接着層や他の層が存在してもよい。
金属板3は、複合構造体1の強度を確保できればよく、例えば0.3〜1.5mm程度のガルバニウム鋼板が適用可能である。金属板3の一方の面には、樹脂発泡体5が、接着等によって貼り付けられる。
樹脂発泡体5は、断熱材として機能すると同時に結露防止効果も発揮する。樹脂発泡体5としては、ポリオレフィン系樹脂発泡体を好適に使用することができ、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等の1種単独または2種以上の混合物からなる発泡体を用いることができる。これらの中では、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる発泡体が特に好ましい。また、樹脂発泡体5としては、独立気泡構造の発泡体、特に独立気泡構造の架橋発泡体が好ましい。
また、樹脂発泡体5の密度は0.02〜0.2g/cmであることが好ましく、特に0.02〜0.06g/cmであることが好ましい。樹脂発泡体5の密度が0.02g/cmより小さい場合には、ロールフォーミング装置を用いた折り曲げ加工時に気泡の破壊が生じやすくなり、所定の厚みを有する断熱層を形成することが困難になる。また、樹脂発泡体5の密度が0.2g/cmより大きい場合には、断熱効果の低下傾向が現れはじめることがある。
また、樹脂発泡体5の厚みが薄すぎると、断熱効果や結露防止効果の低下傾向が現れはじめ、逆に厚すぎると、ロールフォーミング装置を用いたときの折り曲げ加工が困難になる。このため、樹脂発泡体5の厚みは2〜30mmであることが好ましく、特に3〜15mmであることが好ましい。このような樹脂発泡体としては、例えば、古河電気工業社製の「フネンエース」(登録商標)が適用できる。
樹脂発泡体5には、補強層7を介して金属箔9が貼り付けられる。すなわち、複合構造体1は、金属箔9および金属板3が最外面に配置される。なお、樹脂発泡体5、補強層7、金属箔9は、いずれも可撓性を有する。
金属箔9は、例えばアルミニウム製であることが望ましい。また、金属箔9の厚さは6〜100μmが望ましく、さらに6〜30μmとすることが望ましい。金属箔9が厚すぎると、加工性が悪くなるとともに、コスト増となる。また、金属箔9が6μm未満であると、箔自体の製造コストが上昇するとともに、取扱い時の破れ等の恐れがある。
補強層7は、金属箔9と樹脂発泡体5の間に配置される。補強層7は、樹脂製、紙製、布製などである。補強層7としては、破断強度が、金属箔9よりも大きいものが望ましい。また、補強層7の最大弾性変形量が、金属箔9の最大弾性変形量よりも大きく、樹脂発泡体5の最大弾性変形量よりも小さいことが望ましい。
通常、樹脂発泡体5は、極めて柔軟性に優れる。また、金属箔9と比較して、十分な厚みを有する。このため、金属板3とともに折曲げ加工を行う加工時や、取扱い時において、樹脂発泡体5は、局部的に変形(潰れ)が生じやすい。
一方、金属箔9は、樹脂発泡体5のような柔軟性がなく、弾性変形可能量が小さい。このため、樹脂発泡体5が局部的に大きな変形をした場合に、金属箔9がこれに追従できずに、破れ等を生じる恐れがある。また、金属箔9が弾性域を超えて伸びると、しわなどの発生の要因となる。
これに対し、本発明では、金属箔9と樹脂発泡体5との間に、補強層7が設けられる。補強層7は、樹脂発泡体5と比較すると柔軟性が劣るが、金属箔9と比較すると、柔軟性に優れる。すなわち、補強層7は、樹脂発泡体5と比較すると、局所的な変形が起こりにくいが、金属箔9よりも変形しやすい。樹脂発泡体5に補強層7が設けられると、例えば金属箔9の一部に力が加えられた際に、補強層7がない場合と比較して、局所的な変形が緩和されて、変形範囲が広げられる。このため、金属箔9への局所的な変形が緩和される。
また、この際、補強層7の破断強度が金属箔9よりも強い。このため、補強層7が変形時に生じる張力を受け持つ。この結果、加工時や、取扱い時において、金属箔9の破れ等の発生を抑制することができる。
なお、本発明において、破断強度とは、複合構造体として用いられるそれぞれの所定の厚みの樹脂発泡体5、補強層7、金属箔9に対して、引張試験を行い、単位幅当たりの破断荷重を示す。すなわち、厚みが厚くなると、破断強度が大きくなる。また、最大弾性変形量とは、引張試験を行った際の弾性変形領域における伸び量を示す。なお、樹脂発泡体および補強層の引張試験は、JIS K 6767に準じて行う。
また、補強層7としては、表面に凹凸形状を有するものが望ましい。補強層7の表面に凹凸形状が形成されていると、補強層7に金属箔9を貼り付けた際に、金属箔9自体が凹凸形状に沿って貼り付けられる。金属箔9自体を凹凸形状とすることで、金属箔9の可撓性を向上させることができる。このため、加工時や取り扱い時における破れ等の発生を抑制することができる。なお、補強層7に凹凸がなくても、金属箔9自体を凹凸形状に加工して貼り付けてもよい。
上述したような機能を奏する補強層7としては、特にポリエチレンクロスシートであることが望ましい。ポリエチレンクロスシートは、ポリエチレン製の紐が編み込まれたシート状部材である。ポリエチレンクロスシートの厚みは、例えば50〜100μm程度が望ましい。厚すぎると、重量の増加や加工性が悪くなる。また、薄すぎると、前述した補強層としての機能を得ることができない。
以上、本発明によれば、金属箔9によって、樹脂発泡体5が覆われるため、複合構造体1に紫外線が照射された場合でも、金属箔9が紫外線の遮蔽層として機能し、樹脂発泡体5の劣化を防止することができる。
また、本発明では、金属箔9が補強層7を介して樹脂発泡体5に貼り付けられる。このため、複合構造体1の成形時等において、金属箔9の損傷を抑制することができる。
特に、補強層7が表面に凹凸形状を有すれば、貼り付けられる金属箔9に対しても、容易に凹凸形状を形成することができる。このため、金属箔9の変形追随性が向上し、成形時等において、金属箔9の破れ等を抑制することができる。
本発明の複合構造体について、耐紫外線特性、遮音効果、遮熱性能、成形性等について評価した。評価に供したサンプルは、表1の通りである。
Figure 0006190731
実施例1は、樹脂発泡体として、架橋ポリエチレンを用い、補強層にポリエチレンクロスシートを用い、表面層として、厚さ7μmのアルミニウム箔を貼り付けて構成した。なお、樹脂発泡体の厚みは4mmとし、ポリエチレンクロスの厚みは75μmとした。比較例1は、実施例1に対し、表面の金属層をアルミ蒸着フィルムとし、補強層を設けずに直接樹脂発泡体の表面に形成した。比較例2は、金属箔および補強層を設けないものである。比較例3は、補強層を用いずに、金属箔の厚みを9μmと厚くしたものである。なお、各評価方法は以下の通りである。
(耐紫外線特性)
耐紫外線特性は、複合構造体の内、金属板を除いたサンプルを用いた。金属箔側から紫外線を照射して、樹脂発泡体側に透過する紫外線の光量を測定した。紫外線は、280nm〜380nmの波長として、これらの波長における平均透過率を測定した。透過光の測定には、島津製作所社製の分光光度計 UV−3101を用いた。
照射光に対する透過光の割合を算出して、耐紫外線特性を評価した。紫外線の透過率が0.05%未満であったものを◎とし、紫外線の透過率が0.05%以上0.1%未満であったものを○とし、紫外線の透過率が0.1%以上であったものを×とした。
(遮音効果)
遮音効果は、図2に示す遮音性評価装置10によって評価した。まず、試験体11を垂直に固定した。試験体11は、450mm角であり、金属板として、0.8mm厚のガルバニウム鋼板を用いた。試験体11の金属板側の上部に紐を設け、紐の先端に鉄球15を設けた。なお、紐の長さAは、250mmとした。鉄球15を水平方向に引き上げてから離すと、鉄球15は、紐の長さに応じて円弧上の軌跡を通り、試験体11(金属板)に衝突する(図中矢印C)。この際に生じる音を、騒音計13で測定した。なお、試験体11から騒音計13までの距離Bは1mとした。
遮音特性は、鉄球15が試験体に衝突してから、音圧が30dBまで減衰するまでの時間を測定して評価した。騒音計としては、リオン社製NA−27を用いた。なお、測定値は、周波数分解しないALLPASS値を用いた。
鉄球15が試験体11に衝突してから、音圧が30dBまで減衰するまでの時間が、2秒以下であったものを○とし、2秒を超えたものを×とした。
(遮熱特性)
遮熱特性は、図3に示す遮熱性評価装置20によって評価した。まず、上面のみが開口する断熱箱23の上面に試験体11を配置した。この際、金属板側が上面となるように試験体11を配置した。なお、断熱箱23は、約360mm角の底面と高さ約260mmの側面とからなる。また、金属板として、0.6mm厚のガルバニウム鋼板を用いた。
試験体11の中央の上方約200mmの位置に赤外ランプ21を配置した。赤外ランプ21は、150Wのものを用いた。測定環境を30℃とし、上方から赤外ランプ21を照射して、2時間後の断熱箱23内の温度を測定した。なお、温度は、断熱箱23内部の下面から、高さ約130mmの位置(図中D)に配置した熱電対25によって測定した。
0.6mm厚のガルバニウム鋼板のみを配置した場合(樹脂発泡体などを用いない場合)には、2時間後の断熱箱23内の温度は約50℃まで上昇した。この温度を基準とした。同様の条件で、試験体11を配置した状態での2時間後の温度が、基準温度より10℃以上低い場合(すなわち40℃以下)を〇とし、基準温度との差が10℃未満である場合(すなわち40℃を超える場合)を×とした。
(成形性)
試験体11を実際に折曲げ加工し、図1に示すような波形状に成形した。この際の製品外観を目視で確認し、著しい傷、汚れ、凹凸などの欠陥が見られなかったものを○とし、傷などが発見された場合を×とした。
(耐傷性)
試験体11(金属板を除く)全体に対して、引張試験を行い、破断に至るまでの最大応力を評価した。この引張強度を、破れにくさ(すなわち耐傷性)として評価した。樹脂発泡体単体の引張強度および補強層(ポリエチレンクロスシート)の引張強度に関しては、JIS−K−6767に準じて測定を行った。ここで、樹脂発泡体単体の引張強度は、おおよそ0.3〜0.5MPa、補強層(ポリエチレンクロスシート)単体の引張強度は、おおよそ3〜5MPaであった。金属箔(アルミニウム箔)単体の引張強度は、日本アルミニウム協会発行「アルミニウムハンドブック」(第7版)より、おおよそ50〜80MPaである。
全体の引張強度が、0.5MPa以上であったものを○とし、0.5MPa未満であったものを×とした。
表1からわかるように、比較例2は、補強層および金属箔を有しないため、耐傷性が×となった。また、金属箔を有さないため、耐紫外線特性、遮音効果、遮熱特性ともに×となった。
比較例1は、金属の蒸着膜を形成したため、比較例2よりも耐紫外線特性は向上したが、金属の蒸着層の厚みが薄すぎるため、遮音効果、遮熱特性が×となった。また、蒸着層は引張強度を測定することが困難であるため、引張強度が金属箔よりも弱いとして耐傷性を×とした。
また、比較例3は、金属箔を設けたため、耐紫外線特性が比較例2よりもさらに向上し、遮音効果、遮熱特性も〇となった。しかし、成形時に金属箔の破れが生じた。これは、金属箔が、成形時の変形に追従できなかったためである。
これに対し、実施例1は、金属箔が設けられるため、比較例3と同様に、耐紫外線特性が比較例2よりもさらに向上し、遮音効果、遮熱特性も〇となった。また、さらに補強層を有するため、成形時の破れもなく、高い引張強度を得ることができた。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………複合構造体
3………金属板
5………樹脂発泡体
7………補強層
9………金属箔
10………遮音性評価装置
11………試験体
13………騒音計
15………鉄球
20………遮熱性評価装置
21………赤外ランプ
23………断熱箱
25………熱電対

Claims (2)

  1. 建築物用の複合構造体であって、
    金属板と、
    前記金属板に貼り付けられる樹脂発泡体と、
    前記樹脂発泡体に貼り付けられる補強層と、
    前記補強層に貼り付けられる金属箔と、
    を具備し、
    前記補強層の破断強度が前記金属箔の破断強度よりも強く、
    前記補強層の表面は凹凸を有し、前記金属箔の表面は、前記補強層の凹凸に応じた凹凸形状であることを特徴とする複合構造体。
  2. 前記補強層はポリエチレンクロスシートであり、前記金属箔はアルミニウム製であることを特徴とする請求項記載の複合構造体。
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