JP6189775B2 - 分離膜の製造方法 - Google Patents
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Description
面積割合が、10〜50%である前記[1]または[2]に記載の分離膜の製造方法。
図1に示すように、本発明の分離膜の製造方法は、モノリス型の基材10に、分離膜13を成膜するための成膜用スラリー12を付着させた後(図2参照)に、基材10の端面の一部をマスク15で覆った状態で通風して成膜用スラリー12を乾燥させる乾燥工程を行って分離膜13を形成する。マスク15で覆った状態で通風して乾燥させる工程は、乾燥工程の一部で行うだけでもよい。マスク15は、連続的、または間欠的に移動させる。このように、基材10の端面の一部をマスク15で覆った状態で通風して乾燥させることにより、他の部分に集中して通風することができる。このため、通風装置16を大型化せずに、膜面積が大きくなった場合や、膜を形成するための成膜用スラリー12の粘度が高くなった場合でも、容易に対応可能である。
本明細書では、基材10に分離膜13を形成したものを分離膜構造体1と呼ぶ。
本発明の分離膜の製造方法に用いる、分離膜13を形成するための基材10の全体的な形状やサイズについては、その分離機能を阻害しない限りにおいて特に制限はない。全体的な形状としては、例えば、円柱状、四角柱状(長手方向7に直交する断面が四角形の筒状)、三角柱状(長手方向7に直交する断面が三角形の筒状)等の形状が挙げられる。中でも、押出成形がし易く、焼成変形が少なく、ハウジングとのシールが容易な円柱状が好ましい。精密濾過や限外濾過に用いる場合には、長手方向7に直交する断面における直径(外径)が30〜60mm、長手方向7における長さが15〜2000mmの円柱状とすることが好ましい。なお、本発明の分離膜の製造方法では、乾燥工程において、径方向の乾燥のムラを少なくすることができるため、直径(外径)が60〜200mmの大型の基材10であっても、クラックの発生しにくい膜を形成することができる。
本発明の分離膜の製造方法において製造される分離膜13としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ膜、炭素膜、ゼオライト膜、チタニア膜等が挙げられる。以下の製造方法では、シリカ膜を例として説明する。
(3−1)基材
次に、モノリス型の基材10を用いた分離膜構造体1の製造方法について説明する。最初に、基材10の原料を成形する。例えば、真空押出成形機を用い、押出成形する。これによりセル4を有するモノリス型の未焼成の基材10を得る。他にプレス成形、鋳込み成形などがあり、適宜選択できる。次いで、未焼成の基材10を、例えば、900〜1450℃で焼成する。
次に、成膜用スラリー12を作製する。例えば、シリカ膜の場合、分離膜13を成膜するために、基材10に付着させ、乾燥させる対象となる成膜用スラリー12としては、シリカゾル液を用いることができる。シリカゾル液は、テトラエトシキシランを硝酸の存在下で、50℃にて5時間加水分解してゾル液とし、そのゾル液をエタノールで希釈し、シリカ換算で1.0質量%となるように調整することが好ましい。エタノール希釈後のシリカゾル液のエタノール濃度は96質量%であることが好ましい。エタノールで希釈する代わりに水で希釈することも可能ではあるが、エタノールで希釈する方が、1回の成膜において薄く成膜することができ、高透過速度の膜とすることができる。
次に、成膜用スラリー12(例えば、シリカゾル液)をモノリス型の基材10のセル4内に付着させる。基材10のセル4内に、成膜用スラリー12を付着させる方法として、特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
次に、基材10に付着させた成膜用スラリー12を乾燥させる。図1は、乾燥工程の一実施形態を示す模式図である。基材10の一方の端面2(第一の端面2a)側に通風装置16を配置し、基材10のセル4内に、通風装置16から風を送り込み、基材10の他方の端面2(第二の端面2b)側より排気する。通風は、基材10の下から上に向かって行ってもよいし、上から下に向かって行ってもよい。このようにして、セル4内に風を通過させながら成膜用スラリー12によって形成された膜の通風乾燥を行う。このようにして基材10のセル4に風を通すことにより、セル4の表面に成膜されたシリカ膜等の成膜用スラリー12によって形成される膜の全体が風にて乾燥される。なお、本発明において、一度の成膜及び乾燥で所望の膜厚が得られない場合には、所望の膜厚が得られるまで成膜及び乾燥の工程を複数回繰り返すようにしても良い。
本発明の分離膜の製造法の乾燥工程における第一の方法は、基材10の通風の対象となる部分である通風対象領域の一部をマスク15で覆ったカバー領域を設けて通風を行い、マスク15を移動させることによりカバー領域を移動させてさらに通風を行う。マスク15で基材10の風の入口側の端面2を覆っても良いし、出口側の端面2を覆っても良い。出口側の端面2を覆っても風の流通が遮られるため、入口側の端面2を覆うのと同様の効果が得られる。
本発明の分離膜の製造法の乾燥工程における第二の方法は、乾燥工程が、マスク15で覆わず基材10の通風の対象となる部分である通風対象領域のすべてに通風を行うマスクなし工程と、通風対象領域の一部をマスク15で覆ったカバー領域を設けて通風を行うマスクあり工程と、を含む方法である。第二の方法においても、マスク15は、基材10の入口側の端面2を覆っても良いし、出口側の端面2を覆っても良い。
本発明の分離膜の製造法の乾燥工程における第三の方法は、風の乱流を発生させる突出空洞部22、風の乱流を減衰させる整流胴部23、縮流ノズル部24のある風洞装置21を用いて基材10に送風する方法である。すなわち、突出空洞部22、整流胴部23、縮流ノズル部24のある風洞装置21を用いて基材10の一方の端面2側から送風して成膜用スラリー12を乾燥させる乾燥工程を行って分離膜13を形成する。突出空洞部22とは、風の乱流を発生させるためのもので、風の流通方向25と異なる方向に突出して形成された空洞部である。整流胴部23とは風の乱れを減衰させ、縮流ノズル部24とは、さらに風の乱れを減衰させる部分である。図6A、および図6Bは、突出空洞部22、整流胴部23、縮流ノズル部24を有する風洞装置21を用いた乾燥工程を示す。図6Aの風洞装置21は、風の流出方向27が流入方向26に対し直角に折れ曲がって形成されている。流入方向26に突出形成された突出空洞部22が設けられ、風洞装置21は、T字形状に形成されている。図6Bでは、突出空洞22部は、流路の径が拡径された拡径部22aとして形成されている。つまり、突出空洞部22は、風の流通方向とは異なる方向に突出して形成されている。
上記のように成膜、乾燥を行った後、100℃/hrにて昇温し、500℃で1時間保持した後、100℃/hrで降温する。以上の成膜用スラリー12(例えば、シリカゾル液)の付着工程、乾燥工程、熱処理工程を3回〜5回繰り返し、分離膜13(シリカ膜)を得ることができる。
モノリス型の基材10として、図1に示すような、直径(外径)が180mm、長手方向7の長さが1000mmのアルミナからなる多孔質の基材10を用いた。また、基材10は長手方向7の両端側に貫通し、長手方向7と平行なセル4を、2000個有するものであった。セル4の内径は、2.0mmであった。
テトラエトシキシランを硝酸の存在下で、50℃にて5時間加水分解してゾル液とし、そのゾル液をエタノールまたは水で希釈し、シリカ換算で1.0質量%となるように調整することによりシリカゾル液(成膜用スラリー12)を製造した。
セル4の長手方向7が鉛直方向で、第一の端面2aが上方、第二の端面2bが下方となるように基材10を設置した。基材10の上部から3〜23℃に温度を制御したセラミックゾルを約8000mlをセル4内に流し込み、通過させた。基材10の上部から通風を約5秒行い、余剰なゾル液を除去した。なお、この成膜工程により、図2に示すように、セル4の内壁の全体に成膜されていることを確認した。
付着工程の後、図1に示すように、シリカ膜を成膜した基材10の第一の端面2a側に通風装置16を配置し、45℃の風を送り、シリカ膜を乾燥させた。以下、詳しく説明する。
実施例1〜16については、上述の第一の方法を用いた。すなわち、マスク15で覆ったカバー領域を設けて通風を行い、マスク15を移動させることによりカバー領域を移動させた。図3、図4A、図4Bに示すようなマスク15を用いた。マスク15を備えた位置、マスク15の開口面積割合や中心角15a(開口部分の角度)は、表1に示す。実施例1〜12,14,15は、マスク15を連続的に回転させた。実施例13は、マスク15を間欠的に反転させた。表1の「ある領域への通風時間」は、通風の対象となる、ある通風対象領域に通風していた時間である。例えば、実施例2は、中心角が90°の開口が設けられたマスク15を用いており、中心角が90°の通風対象領域に30秒通風した。マスク15を回転させて、残りの270°の領域も同様に乾燥させたので、全乾燥時間は、30秒×(360/90)=120秒である。比較例1〜4は、マスク15を用いなかった例である(開口面積割合100%、中心角360°)。比較例1〜4の表1の「ある領域への通風時間」とは、マスクを用いずに乾燥に要した全通風時間である。
次に、試料を、電気炉で100℃/hにて昇温し、500℃で1時間保持した後、100℃/hで降温して熱処理した。成膜用スラリー12(シリカゾル液)の付着工程、乾燥工程、熱処理工程を4回繰り返し、実施例、比較例の試料を得た。
分離膜13の欠陥量を調べるために、セル4の真空度を測定した。セル4の一方を真空ポンプ(アルバック機工(株)製:直結型油回転真空ポンプ、型番:G−20DA、排気速度24L/min、到達圧力1.3×10-1Pa、2段式)で吸引し、他方のセル4に真空計(GE Sensing社製:キャリブレーター、型番:DPI800)を接続してセル4内を真空引きし、セル4内の到達真空度を測定した。
実施例17〜30については、実施例1等と同様に基材10を作製後、成膜用スラリー12を基材10に付着させ、上述の第二の方法による乾燥工程を行った。すなわち、図5A及び図5Bに示すように、マスクなし工程を30秒間行った後、マスクあり工程を行った。マスク15を備えた位置、マスク15の開口面積割合やマスクあり工程の時間は、表2に示す。比較例5は、マスク15を用いなかった例である(比較例5は、表1の比較例1と同じで、マスクなし工程30秒、マスクあり工程0秒である。)。
Claims (7)
- モノリス型の基材に、分離膜を成膜するための成膜用スラリーを付着させた後に、
前記基材の端面の一部をマスクで覆った状態で通風して前記成膜用スラリーを乾燥させる乾燥工程を行って前記分離膜を形成する方法であり、前記乾燥工程において、前記基材の前記通風の対象となる部分である通風対象領域の一部をマスクで覆ったカバー領域を設けて前記通風を行い、前記マスクを移動させることにより前記カバー領域を移動させてさらに前記通風を行う分離膜の製造方法。 - 前記マスクを連続的に移動させる、または間欠的に移動させる請求項1に記載の分離膜の製造方法。
- 前記通風対象領域の面積に対する、前記マスクで覆われていない開口領域の開口面積割合が、10〜50%である請求項1または2に記載の分離膜の製造方法。
- モノリス型の基材に、分離膜を成膜するための成膜用スラリーを付着させた後に、
前記基材の端面の一部をマスクで覆った状態で通風して前記成膜用スラリーを乾燥させる乾燥工程を行って前記分離膜を形成する方法であり、前記乾燥工程が、前記マスクで覆わず前記基材の前記通風の対象となる部分である通風対象領域のすべてに前記通風を行うマスクなし工程と、前記通風対象領域の一部をマスクで覆ったカバー領域を設けて前記通風を行うマスクあり工程と、を含む分離膜の製造方法。 - 前記乾燥工程において、前記マスクなし工程を行った後に、前記マスクあり工程を行う請求項4に記載の分離膜の製造方法。
- 前記通風対象領域の面積に対する、前記マスクで覆われていない開口領域の開口面積割合が、15〜50%である請求項4または5に記載の分離膜の製造方法。
- 前記モノリス型の基材に、前記分離膜を成膜するための前記成膜用スラリーを付着させた後に、
風の乱流を発生させる突出空洞部のある風洞装置を用いて前記基材の一方の端面側から送風して前記成膜用スラリーを乾燥させる乾燥工程を行って前記分離膜を形成する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分離膜の製造方法。
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