JP6189575B1 - フレーク状ガラス及び樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明のフレーク状ガラスは、フレーク状ガラス基材と、前記フレーク状ガラス基材の表面の少なくとも一部を被覆する、結合剤からなる被覆膜と、を含む。前記結合剤は、必須成分としてシランカップリング剤、エポキシ樹脂及びカルボジイミド化合物を含み、任意成分としてカルボジイミド化合物以外の架橋剤を含む。前記結合剤の全質量に対する、前記カルボジイミド化合物と前記架橋剤との合計量が20質量%以下である。

Description

本発明は、フレーク状ガラスと、それを含む樹脂組成物とに関する。
樹脂成形品では、反り及び変形の低減、及び/又は、機械的強度の向上等を目的として、ガラス繊維、炭素繊維等、マイカ、ガラスビーズ及びフレーク状ガラス等を充填材としてマトリックス樹脂に配合することが一般的に知られている。従来、このような樹脂成形品において、マトリックス樹脂と充填材との接着性を向上させて樹脂成形品の機械的強度をより高めるために、充填材の表面をシランカップリング剤等で表面処理することが好ましいとされている。
例えば、特許文献1には、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とする樹脂組成物において、成形品の反り抑制と寸法安定性を向上させる好適な充填材としてフレーク状ガラスが開示されている。このフレーク状ガラスには、シランカップリング剤とエポキシ樹脂等の樹脂とを含む結着剤が付着しており、この結着剤によってマトリックス樹脂である熱可塑性樹脂とフレーク状ガラスとの強固な結合が得られている。
また、特許文献2には、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性ポリエステル樹脂をマトリックス樹脂とし、さらにフレーク状ガラス等の充填材を含む樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物では、マトリックス樹脂に特定の化合物(エポキシ化合物及びカルボジイミド化合物)を添加することにより、優れた機械的性質と耐薬品性とを実現している。
特開2006−152198号公報 特開昭56−161452号公報
特許文献1に開示されている、充填材に付着している上記結着剤は、充填材とマトリックス樹脂との接着性をある程度改善し、その結果、樹脂成形品の機械的強度を改善することができるものの、得られる機械的強度は未だ不十分であり、さらなる改善が求められていた。
また、特許文献2で提案されているような、マトリックス樹脂全体の成分の調整によって樹脂組成物の機械的性質を向上させる技術の場合、その成分による充填材とマトリックス樹脂との接着性改善機能が充填材とマトリックス樹脂との界面で効率良く発揮されず、接着性改善のために配合される成分の添加量が多量になってしまったり、十分に高い機械的強度が得られなかったりするという問題がある。また、このようなマトリックス樹脂は、あくまでもマトリックス樹脂として機能することが前提の樹脂組成物であるため、充填材の表面処理剤としてそのまま適用しても、充填材とマトリックス樹脂との接着性改善の高い効果は期待できない。
そこで、本発明の目的の一つは、樹脂成形品を補強するための充填材として用いられた場合に、マトリックス樹脂との高い接着性を実現することができ、その結果、樹脂成形品に高い機械的強度を付与できるフレーク状ガラスを提供することである。さらに、本発明の別の目的の一つは、そのようなフレーク状ガラスが配合された、高い機械的強度を有する樹脂成形品を実現できる樹脂組成物を提供することである。
本発明は、
フレーク状ガラス基材と、
前記フレーク状ガラス基材の表面の少なくとも一部を被覆する、結合剤からなる被覆膜と、
を含み、
前記結合剤が、必須成分としてシランカップリング剤、エポキシ樹脂及びカルボジイミド化合物を含み、任意成分としてカルボジイミド化合物以外の架橋剤を含み、
前記結合剤の全質量に対する、前記カルボジイミド化合物と前記架橋剤との合計量が20質量%以下である、
フレーク状ガラスを提供する。
また、本発明は、上記本発明のフレーク状ガラスと、マトリックス樹脂と、を含む樹脂組成物を提供する。
本発明のフレーク状ガラスは、樹脂成形品を補強するための充填材として用いられた場合に、マトリックス樹脂との高い接着性を実現することができ、その結果、樹脂成形品に高い機械的強度を付与できる。また、本発明の樹脂組成物は、このような本発明のフレーク状ガラスが含まれているので、高い機械的強度を有する樹脂成形品を実現できる。

フレーク状ガラス基材の製造装置の一例を説明する模式図 フレーク状ガラス基材の製造装置の別の例を説明する模式図
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
本実施形態のフレーク状ガラスは、フレーク状ガラス基材と、当該フレーク状ガラス基材の表面の少なくとも一部を被覆する、結合剤からなる被覆膜と、を含んでいる。この結合剤は、必須成分としてシランカップリング剤、エポキシ樹脂及びカルボジイミド化合物を含み、任意成分としてカルボジイミド化合物以外の架橋剤を含む。すなわち、結合剤は、カルボジイミド化合物以外の架橋剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。また、結合剤の全質量に対する、カルボジイミド化合物とカルボジイミド化合物以外の架橋剤との合計量が20質量%以下である。なお、ここで特定している、結合剤の全質量に占めるカルボジイミド化合物とカルボジイミド化合物以外の架橋剤との合計量の比率は、水や溶媒等を除いた固形分質量比率である。以下に、フレーク状ガラス基材及び被覆膜について、より詳しく説明する。
本実施形態のフレーク状ガラスに用いられるフレーク状ガラス基材は、例えば、特公昭41−17148号公報及び特公昭45−3541号公報に開示されている、いわゆるブロー法や、特開昭59−21533号公報及び特表平2−503669号公報に開示されている、いわゆるロータリー法で作製することができる。
ブロー法では、図1に示すガラス製造装置を使用できる。このガラス製造装置は、耐火窯槽12、ブローノズル15及び押圧ロール17を備えている。耐火窯槽12(熔解槽)で熔融されたガラス素地11は、ブローノズル15に送り込まれたガスによって、風船状に膨らまされ、中空状ガラス膜16となる。中空状ガラス膜16を押圧ロール17により粉砕し、フレーク状ガラス基材1を得る。中空状ガラス膜16の引張速度、ブローノズル15から送り込むガスの流量等を調節することにより、フレーク状ガラス基材1の厚さを制御できる。
ロータリー法では、図2に示すガラス製造装置を使用できる。このガラス製造装置は、回転カップ22、1組の環状プレート23及び環状サイクロン型捕集機24を備えている。熔融ガラス素地11は、回転カップ22に流し込まれ、遠心力によって回転カップ22の上縁部から放射状に流出し、環状プレート23の間を通って空気流で吸引され、環状サイクロン型捕集機24に導入される。環状プレート23を通過する間に、ガラスが薄膜の形で冷却及び固化し、さらに、微小片に破砕されることにより、フレーク状ガラス基材1を得る。環状プレート23の間隔、空気流の速度等を調節することによって、フレーク状ガラス基材1の厚さを制御できる。
フレーク状ガラス基材の組成としては、一般的に知られているガラスの組成を使用できる。具体的には、Eガラス等のアルカリ金属酸化物の少ないガラスを好適に使用できる。Eガラスの代表的な組成を以下に示す。下記の組成の単位は質量%である。
SiO2:52〜56
Al23:12〜16
CaO:16〜25
MgO:0〜6
Na2O+K2O:0〜2(好ましくは0〜0.8)
23:5〜13
2:0〜0.5
また、アルカリ金属酸化物の少ないガラスとして、質量%で表して、
59≦SiO2≦65、
8≦Al23≦15、
47≦(SiO2−Al23)≦57、
1≦MgO≦5、
20≦CaO≦30、
0<(Li2O+Na2O+K2O)<2、
0≦TiO2≦5、
の成分を含有し、B23、F、ZnO、BaO、SrO、ZrO2を実質的に含有しないガラス組成を使用できる。当該ガラス組成は、国際公開2006/068255号に、本出願人によって開示されている。
なお、「実質的に含有しない」とは、例えば工業用原料により不可避的に混入される場合を除き、意図的に含ませないことを意味する。具体的には、B23、F、ZnO、BaO、SrO及びZrO2のそれぞれの含有率が0.1質量%未満(好ましくは0.05質量%未満、より好ましくは0.03質量%未満)であることを意味する。
また、フレーク状ガラス基材の平均厚さ及び平均粒径は、特に限定はされない。薄いフレーク状ガラス基材は、薄くなるほどアスペクト比(平均粒径を平均厚さで除した値)が大きくなるので、フレーク状ガラスを充填した樹脂組成物への水分やガス等の浸透を防止する遮蔽効果が大きくなるが、作業性が悪化する。また平均厚さと平均粒径は、遮蔽効果、樹脂成形品の補強効果、作業性、技術的難易度及び製品の経済性等のバランスから決定することができる。具体的には、フレーク状ガラスを作製する際に、平均厚さが10μm以下であって、かつアスペクト比が50以上のフレーク状ガラスを用いることが、上記の遮蔽効果、樹脂成形品の補強効果、作業性及び製品の経済性のバランスが取れており、好ましい。また、技術的難易度及び製品の経済性を考慮すると、平均厚さは0.1μm以上が好ましい。さらに、平均粒径は、樹脂成形品の補強効果をより効果的に実現するために、10〜2000μmであることが好ましい。また、平均アスペクト比は、樹脂への分散性の理由から、2000以下が好ましい。なお、本明細書において、フレーク状ガラス基材の平均厚さとは、フレーク状ガラス基材から100枚以上のフレーク状ガラスを抜き取り、それらのフレーク状ガラス基材について走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて厚さを測定し、その厚さ合計を測定枚数で割った値のことである。平均粒径とは、レーザー回折散乱法に基づいて測定された粒度分布において、累積質量百分率が50%に相当する粒径(D50)のことである。
被覆膜を形成する結合剤は、上述のとおり、シランカップリング剤、エポキシ樹脂及びカルボジイミド化合物を必須成分として含有する。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。シランカップリング剤に加えて、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニア系カップリング剤等を使用することもできる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、フェノールノボラック型及びクレゾールノボラック型等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
カルボジイミド化合物は、架橋剤として機能する。カルボジイミド化合物としては、以下の式(1)の基本構造を有する芳香族ポリカルボジイミド化合物又は脂肪族ポリカルボジイミド化合物を用いることができる。特に限定されないが、脂肪族ポリカルボジイミド化合物が好適に用いられる。
Figure 0006189575
脂肪族ポリカルボジイミドは、カルボジイミド化触媒の存在下におけるジイソシアネートの脱炭酸縮合反応によって合成できる。脂肪族ポリカルボジイミドの合成に用いられるジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びメチルシクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネートから選ばれる1種又は2種以上を用いて、脂肪族ポリカルボジイミドを合成することができる。これらの中では、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましい。
結合剤は、任意成分として、カルボジイミド化合物以外の架橋剤(以下、「架橋剤(A)」と記載する。)を含んでもよい。ただし、上述のとおり、結合剤の全質量に対する、カルボジイミド化合物と架橋剤(A)との合計量は20質量%以下であり、15質量%以下が好ましい。カルボジイミド化合物と架橋剤(A)との合計量が20質量%を超える結合剤からなる被覆膜を含むフレーク状ガラスで樹脂成形品を補強した場合、樹脂成形品の機械的強度を大きく向上させることができない。一方、結合剤の全質量に対するカルボジイミド化合物の比率は、架橋剤(A)が含まれているかいないかに関わらず、3質量%以上であることが好ましい。
架橋剤(A)は、例えば、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、イタコン酸−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、及びスチレン−無水マレイン酸共重合体からなる群から選ばれる少なくともいずれか1種を含んでいてもよい。
結合剤において、シランカップリング剤と、エポキシ樹脂及びカルボジイミド化合物の合計との比率(シランカップリング剤:エポキシ樹脂+カルボジイミド化合物)は、水や溶媒等を除いた固形分質量比率で、例えば、1:99〜90:10であり、好ましくは10:90〜80:20であり、より好ましくは35:65〜60:40である。
結合剤において、エポキシ樹脂とカルボジイミド化合物との比率(エポキシ樹脂:カルボジイミド化合物)は、水や溶媒等を除いた固形分質量比率で、例えば、30:70〜99:1であり、好ましくは50:50〜95:5であり、より好ましくは65:35〜90:10である。
なお、上述のとおり、カルボジイミド化合物は架橋剤として機能する。したがって、架橋剤(A)が結合剤に添加される際の架橋剤(A)の好ましい比率は、カルボジイミド化合物との合計量で決定される。結合剤が架橋剤(A)を含む場合は、シランカップリング剤と、エポキシ樹脂、カルボジイミド化合物及び架橋剤(A)の合計との比率(シランカップリング剤:エポキシ樹脂+カルボジイミド化合物+架橋剤(A))が、水や溶媒等を除いた固形分質量比率で、例えば、1:99〜90:10であり、好ましくは10:90〜80:20であり、より好ましくは35:65〜60:40となるように調整される。また、エポキシ樹脂と、カルボジイミド化合物及び架橋剤(A)の合計との比率(エポキシ樹脂:カルボジイミド化合物+架橋剤(A))が、水や溶媒等を除いた固形分質量比率で、例えば、30:70〜99:1となり、好ましくは50:50〜95:5となり、より好ましくは65:35〜90:10となるように調整される。
結合剤は、シランカップリング剤、エポキシ樹脂、カルボジイミド化合物及び架橋剤(A)以外に、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。例えば、結合剤は、必要に応じてウレタン樹脂、界面活性剤及び/又は消泡剤等の他の成分をさらに含んでいてもよい。
結合剤の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、結合剤溶液は、予め樹脂を乳化剤等により水に均一に分散させたものと、シランカップリング剤を加水分解させたものと、カルボジイミド化合物とを混合するか、又は、常温大気圧下でエポキシ樹脂、シランカップリング剤及びカルボジイミド化合物等を有機溶媒中に適宜添加し、均一になるまで攪拌することにより、製造できる。
本実施形態では、例えば、結合剤溶液をフレーク状ガラス基材に添加して攪拌し、乾燥させることによって、フレーク状ガラス基材の表面の少なくとも一部を被覆する被覆膜を形成する。結合剤溶液の添加、攪拌及び乾燥の具体的な方法は、特には限定されないが、その例を以下に説明する。
例えば、回転円盤混合機や、混合容器内に回転式ブレードを備えたヘンシェルミキサー等の混合機において、フレーク状ガラス基材を流動させつつ所定量の結合剤をスプレー等で添加し、混合攪拌する。次に、混合機中で攪拌しながらフレーク状ガラス基材を乾燥させる、又は混合機からフレーク状ガラス基材を取り出して乾燥させる。この方法により、被覆膜が設けられたフレーク状ガラスを得ることができる。
また、別の例として、特開平2−124732号公報に記載されるような転動造粒方式を用いても、フレーク状ガラスを作製することができる。すなわち、攪拌羽根を備える水平振動型造粒機内にフレーク状ガラス基材を入れ、これに結合剤溶液を噴霧して造粒することによっても、フレーク状ガラスを作製できる。
上記以外でも、一般的に攪拌造粒法、流動層造粒法、噴射造粒法及び回転造粒法と呼ばれる公知の方法を適用することによって、フレーク状ガラスを作製できる。
乾燥工程は、例えば、結合剤溶液に用いられている溶媒の沸点以上の温度にフレーク状ガラス基材を加熱して、溶媒が揮発するまで乾燥させることによって行われる。
フレーク状ガラスにおける被覆膜の含有割合は、添加又は噴霧する結合剤溶液における結合剤の濃度を調整することにより制御できる。すなわち、所定量のフレーク状ガラス基材に対して、所定量の結合剤溶液を結合剤が所定量になるように添加又は噴霧することにより、結合剤からなる被覆膜の含有割合が所定値となるフレーク状ガラスを製造できる。
フレーク状ガラスにおいて、被覆膜の含有割合は0.05〜1.5質量%であることが望ましく、0.1〜0.8質量%であることがより望ましい。被覆膜の含有割合が0.05質量%未満の場合、フレーク状ガラス基材を結合剤で十分に被覆することができず、樹脂成形品の強度低下を引き起こす場合がある。被覆膜の含有割合が1.5質量%よりも大きい場合、過剰な結合剤により、樹脂成形品の強度低下やコンパウンド時のガス発生等の問題が発生する場合がある。
次に、本実施形態の樹脂組成物について説明する。
本実施形態の樹脂組成物は、上記のような本実施形態のフレーク状ガラスと、マトリックス樹脂とを含む。
マトリックス樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン及びポリエチレン等のポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド又はこれらの共重合体、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、並びに、液晶ポリマー(I型、II型及びIII型)等が挙げられる。本実施形態のフレーク状ガラスは、特に熱可塑性ポリエステル樹脂がマトリックス樹脂として用いられる場合に樹脂成形品に対する高い補強効果を実現でき、熱可塑性ポリエステル樹脂の中でも特にポリブチレンテレフタレートを用いた場合により高い補強効果を実現できる。
樹脂組成物中のフレーク状ガラスの含有率は、5〜70質量%が好ましい。5質量%以上とすることで、フレーク状ガラスの補強材としての機能を十分に発揮させることができる。一方、70質量%以下とすることで、樹脂組成物中でフレーク状ガラスを均一に分散させることができる。成形収縮率をより低く抑えるために、フレーク状ガラスの含有率を30質量%以上60質量%以下とすることがより好ましい。
なお、樹脂組成物は、その用途に応じて、ガラス繊維等のフレーク状ガラス以外の補強材を含有してもよい。例えば、電器・電子機器部品の用途では、非常に高い強度が要求されることから、フレーク状ガラスと同量程度のガラス繊維を混合してもよい。
本実施形態の樹脂組成物を用いて作製した樹脂成形品は、フレーク状ガラスによる補強効果によって、高い引張強度及び曲げ強度を得ることができる。また、本実施形態の樹脂組成物は、成形収縮率が低いため、寸法安定性に優れた樹脂成形品を得ることができる。また、本実施形態の樹脂組成物に含まれるフレーク状ガラスの平均厚さは従来の樹脂組成物に含まれるフレーク状ガラスよりも小さいので、本実施形態の樹脂組成物によれば、表面粗さが小さく、滑らかな表面を有する樹脂成形品を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の実施形態をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(フレーク状ガラス)
まず、表1に示す組成を有するEガラスを用い、図1を参照して説明したブロー法によりフレーク状ガラス基材を作製した。具体的には、1200℃以上に加熱した溶解槽にEガラスを入れて溶解した。ノズルから空気を吹き込みながら薄いガラスを作製し、この薄いガラスをローラーで連続的に引き出した。空気の吹き込み量及びローラー回転数を調節し、平均厚さ0.7μmのガラスを得た。その後、粉砕及び分級を行い、平均粒径160μmのフレーク状ガラス基材を得た。フレーク状ガラス基材を粉砕した後、適切な目開きを有する篩を用いてフレーク状ガラス基材を分級することにより、大きさの揃ったフレーク状ガラス基材を得ることができる。
Figure 0006189575
次に、このフレーク状ガラス基材5kgをヘンシェルミキサーに投入し、結合剤溶液をスプレーで添加しながら15分間混合攪拌を行った。結合剤溶液は、シランカップリング剤としてのγ−アミノプロピルトリエトキシシランと、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ヘンケルジャパン株式会社製、エポルジョンEA10)と、カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル株式会社製、カルボジライトV−02−L2)とを、結合剤(固形分)として含んでいた。結合剤溶液の結合剤において、シランカップリング剤は40質量%、エポキシ樹脂は47.5質量%、カルボジイミド化合物は12.5質量%であった。また、結合剤溶液の溶媒には水を用いた。その後、ミキサーからフレーク状ガラス(未乾燥)を取り出し、乾燥機にて125℃で8時間乾燥を行い、実施例1のフレーク状ガラスを得た。
得られたフレーク状ガラスにおける結合剤の付着率を強熱減量法にて調べた。具体的には、適量のフレーク状ガラスを110℃にて乾燥した後、625℃の雰囲気で加熱してフレーク状ガラスの表面から結合剤を除去した。加熱前のフレーク状ガラスの質量と加熱後のフレーク状ガラスの質量との差から、フレーク状ガラスにおける結合剤の付着率を算出した。結果を表2に示す。
(樹脂成形品)
実施例1のフレーク状ガラスとポリブチレンテレフタレート(ウィンテックポリマー株式会社製、ジュラネックス2000)とを押出成形機(株式会社テクノベル製、KZW15−30MG、成形温度:約250〜260℃)にて混練し、マトリックス樹脂としてのポリブチレンテレフタレートと、補強用の充填材としてのフレーク状ガラスとを含む樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、HM7)にて成形して、樹脂成形品を得た。得られた樹脂成形品におけるフレーク状ガラスの含有率は30質量%であった。
また、樹脂成形品の特性を調べた。最大引張強度はJISK 7113に従って測定した。最大曲げ強度及び曲げ弾性率はJIS K7171に従って測定した。アイゾット衝撃強度はJIS K 7111−1に従って測定した。測定結果を表2に示す。なお、表2中の湿熱とは、85℃、85RH%の条件下に所定日数だけ曝した試験片の強度を測定したことを意味する。
[実施例2〜8]
結合剤溶液に含まれる結合剤において、シランカップリング剤とエポキシ樹脂とカルボジイミド化合物との比率を表2に示すように変更した点以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2〜8のフレーク状ガラスを作製した。得られたフレーク状ガラスについて、実施例1と同じ方法でフレーク状ガラスにおける被覆膜の含有割合を測定した。また、実施例1と同じ方法で樹脂成形品を作製し、それらの各種特性を測定した。結果を表2に示す。
[実施例9及び10]
結合剤溶液に架橋剤として機能するブタジエン−無水マレイン酸共重合体をさらに添加して、さらに、シランカップリング剤、エポキシ樹脂、カルボジイミド化合物及びブタジエン−無水マレイン酸共重合体の比率を表2に示すように変更した点以外は、実施例1と同様の方法で、実施例9及び10のフレーク状ガラスを作製した。得られたフレーク状ガラスについて、実施例1と同じ方法でフレーク状ガラスにおける被覆膜の含有割合を測定した。また、実施例1と同じ方法で樹脂成形品を作製し、それらの各種特性を測定した。結果を表2に示す。
[比較例1及び2]
結合剤溶液について、カルボジイミド化合物を添加せずに、シランカップリング剤及びエポキシ樹脂の比率を表3に示すように変更した点以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1及び2のフレーク状ガラスを作製した。すなわち、比較例1及び2の被覆膜の結合剤は、シランカップリング剤及びエポキシ樹脂のみからなり、カルボジイミド化合物を含んでいなかった。得られたフレーク状ガラスについて、実施例1と同じ方法でフレーク状ガラスにおける被覆膜の含有割合を測定した。また、実施例1と同じ方法で樹脂成形品を作製し、その各種特性を測定した。結果を表3に示す。
[比較例3]
結合剤溶液に含まれる結合剤において、シランカップリング剤とエポキシ樹脂とカルボジイミド化合物との比率を表3に示すように変更した点以外は、実施例1と同様の方法で、比較例3のフレーク状ガラスを作製した。比較例3の被覆膜の結合剤では、カルボジイミド化合物が25質量%であり、20質量%を超えていた。得られたフレーク状ガラスについて、実施例1と同じ方法でフレーク状ガラスにおける被覆膜の含有割合を測定した。また、実施例1と同じ方法で樹脂成形品を作製し、その各種特性を測定した。結果を表3に示す。
[比較例4]
結合剤溶液に架橋剤として機能するブタジエン−無水マレイン酸共重合体をさらに添加して、さらに、シランカップリング剤、エポキシ樹脂、カルボジイミド化合物及びブタジエン−無水マレイン酸共重合体の比率を表3に示すように変更した点以外は、実施例1と同様の方法で、比較例4のフレーク状ガラスを作製した。比較例4の被覆膜の結合剤では、カルボジイミド化合物とブタジエン−無水マレイン酸共重合体(架橋剤(A))との合計が25質量%であり、20質量%を超えていた。得られたフレーク状ガラスについて、実施例1と同じ方法でフレーク状ガラスにおける被覆膜の含有割合を測定した。また、実施例1と同じ方法で樹脂成形品を作製し、それらの各種特性を測定した。結果を表3に示す。
表2及び3に示すように、シランカップリング剤成分の比率によりベース強度レベルの違いはあるものの、実施例1〜10の樹脂成形品の機械的強度は、フレーク状ガラスにおける被覆膜がカルボジイミド化合物を含まない比較例1及び2の樹脂成形品、フレーク状ガラスにおける被覆膜の結合剤がカルボジイミド化合物を20質量%を超えて含む比較例3の樹脂成形品、並びに、フレーク状ガラスにおける被覆膜の結合剤がカルボジイミド化合物及び架橋剤(A)を合計が20質量%を超えて含む比較例4の樹脂成形品と比較して、相対的に高かった。なお、樹脂成形品におけるフレーク状ガラスの含有率は、全ての実施例及び比較例で一定(30質量%)である。したがって、被覆膜の結合剤がカルボジイミド化合物を含むか否か、さらに結合剤に含まれる架橋剤の合計量(カルボジイミド化合物と架橋剤(A)との合計量)は、ポリブチレンテレフタレートを含む樹脂の強度と相関があるといえる。
Figure 0006189575
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本発明のフレーク状ガラスは、樹脂成形品の反りや収縮性の低減に効果を発揮するだけでなく、樹脂成形品を効果的に補強することができるため様々な用途に適用可能である。例えば、本発明のフレーク状ガラスとポリブチレンテレフタレートとを含む樹脂組成物は、自動車の分野、電子部品の分野等で好適に用いられる。

Claims (7)

  1. フレーク状ガラス基材と、
    前記フレーク状ガラス基材の表面の少なくとも一部を被覆する、結合剤からなる被覆膜と、
    を含み、
    前記結合剤が、必須成分としてシランカップリング剤、エポキシ樹脂及びカルボジイミド化合物を含み、任意成分としてカルボジイミド化合物以外の架橋剤を含み、
    前記結合剤の全質量に対する、前記カルボジイミド化合物と前記架橋剤との合計量が20質量%以下である、
    フレーク状ガラス。
  2. 前記架橋剤が、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、イタコン酸−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、及びスチレン−無水マレイン酸共重合体からなる群から選ばれる少なくともいずれか1種を含む、
    請求項1に記載のフレーク状ガラス。
  3. 前記フレーク状ガラスにおける前記被覆膜の含有割合が、0.05〜1.5質量%である、
    請求項1又は2に記載のフレーク状ガラス。
  4. 前記フレーク状ガラス基材は、平均厚さが0.1〜10μm、平均粒径が10〜2000μmである、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレーク状ガラス。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のフレーク状ガラスと、
    マトリックス樹脂と、
    を含む、樹脂組成物。
  6. 前記マトリックス樹脂が熱可塑性ポリエステル樹脂である、
    請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂がポリブチレンテレフタレートである、
    請求項6に記載の樹脂組成物。
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