肝再生及び肺再生における器官特異的内皮細胞由来のアンギオクリンシグナルの誘導的役割。A、肝類洞の内側を覆っているLSECは、肝細胞の近くにある。肝質量の70%を切除(部分肝切除、PH)すると、誘導血管新生LSEC(inductive angiogenic LSECs)は、特異的アンギオクリンシグナルの合成により、近位肝細胞の再生を開始して持続させる。M、R、L、及びCauは、肝臓の中葉、右葉、左葉、及び尾状葉である。B、肺上皮前駆細胞の増殖による再生肺胞増殖。PNXに誘導された肺胞再生は、主にBASC及びAECのPCEC誘発性増幅(PCEC-driven amplification)によって仲介される。
70%部分肝切除(pH)によって誘導された生理学的肝再生に対するLSECの表現型の特徴及び寄与。A、VEGFR2−GFPレポーターマウスから得た肝臓断面図(Hooper, Cell Stem Cell 4:263-274 (2009))。肝再生中、VEGFR2は、もっぱら肝内皮細胞で発現される。B、LSECではVEGFR3の発現が制限されたが、CD34+大血管又は肝細胞では制限されなかった。C、肝非実質細胞の多変性フローサイトメトリー分析。CD45-であるVEGFR2+細胞は、内皮特異的VEカドヘリンを発現する。D、主要画分(predominant fraction)がCD34-第VIII因子+Prox−1-である、VEGFR2+VE−カドヘリン+CD45-LSECでのVEGFR3の特異的発現。従って、LSECは、VEGFR3+CD34-細胞として同定することができた。E、部分肝切除の48時間後、E−カドヘリン+P−H3+有糸分裂肝細胞は、VE−カドヘリン+及びVEGFR2+内皮細胞の近くに局在化された。f、g、肝再生中のLSEC増大(expansion)(F)及び肝細胞有糸分裂(G)の動態(n=4);hpf、強拡大視野。スケールバー、50μm。エラーバー、s.e.m.。
70%部分肝切除(pH)によって誘導された生理学的肝再生に対するLSECの表現型の特徴及び寄与。A、VEGFR2−GFPレポーターマウスから得た肝臓断面図(Hooper, Cell Stem Cell 4:263-274 (2009))。肝再生中、VEGFR2は、もっぱら肝内皮細胞で発現される。B、LSECではVEGFR3の発現が制限されたが、CD34+大血管又は肝細胞では制限されなかった。C、肝非実質細胞の多変性フローサイトメトリー分析。CD45-であるVEGFR2+細胞は、内皮特異的VEカドヘリンを発現する。D、主要画分(predominant fraction)がCD34-第VIII因子+Prox−1-である、VEGFR2+VE−カドヘリン+CD45-LSECでのVEGFR3の特異的発現。従って、LSECは、VEGFR3+CD34-細胞として同定することができた。E、部分肝切除の48時間後、E−カドヘリン+P−H3+有糸分裂肝細胞は、VE−カドヘリン+及びVEGFR2+内皮細胞の近くに局在化された。f、g、肝再生中のLSEC増大(expansion)(F)及び肝細胞有糸分裂(G)の動態(n=4);hpf、強拡大視野。スケールバー、50μm。エラーバー、s.e.m.。
70%部分肝切除(pH)によって誘導された生理学的肝再生に対するLSECの表現型の特徴及び寄与。A、VEGFR2−GFPレポーターマウスから得た肝臓断面図(Hooper, Cell Stem Cell 4:263-274 (2009))。肝再生中、VEGFR2は、もっぱら肝内皮細胞で発現される。B、LSECではVEGFR3の発現が制限されたが、CD34+大血管又は肝細胞では制限されなかった。C、肝非実質細胞の多変性フローサイトメトリー分析。CD45-であるVEGFR2+細胞は、内皮特異的VEカドヘリンを発現する。D、主要画分(predominant fraction)がCD34-第VIII因子+Prox−1-である、VEGFR2+VE−カドヘリン+CD45-LSECでのVEGFR3の特異的発現。従って、LSECは、VEGFR3+CD34-細胞として同定することができた。E、部分肝切除の48時間後、E−カドヘリン+P−H3+有糸分裂肝細胞は、VE−カドヘリン+及びVEGFR2+内皮細胞の近くに局在化された。f、g、肝再生中のLSEC増大(expansion)(F)及び肝細胞有糸分裂(G)の動態(n=4);hpf、強拡大視野。スケールバー、50μm。エラーバー、s.e.m.。
LSEC中のVEGFR2−Id1活性化は、部分肝切除によって誘導された肝再生を仲介する。A、B、VEGFR2fl/flマウス(n=5)では、部分肝切除後の肝細胞増殖が損なわれる。C〜E、部分肝切除後のVEGFR2fl/flマウス(n=4〜6)における、肝質量再生(C)及び機能性VE−カドヘリン+イソレクチン+血管形成(D,E)の阻害。F、G、VEGF−A164の注射は、VEGFR3+CD34-LSEC数(G)の漸増を伴って、肝質量(F)の再生を促進したが、VEGFR1特異的リガンドPlGFは、促進しなかった(n=4)。H、Id1VenusYFPマウス(Nam, Cell Stem Cell 5:515 -526 (2009))の再生肝断面図。Id1は、部分肝切除によってVE−カドヘリン+血管で選択的に上方制御される。I、VEGFR2欠失は、再生肝中のId1上方制御を弱める(n=5)。*P<0.05;**P<0.01、VEGFR2fl/+(B〜E、I)に対して、PlGF処置群(F)に対して。スケールバー、50μm。エラーバー、s.e.m.J、Rosa−CreERT2VEGFR2flox/floxのタモキシフェン処置後の肝内皮細胞中のVEGFR2の選択的ノックダウン、N=4。K、VE−カドヘリン-CreERT2VEGFR2flox/floxマウスにおける内皮特異的VEGFR2ノックダウンの定量。
LSEC中のVEGFR2−Id1活性化は、部分肝切除によって誘導された肝再生を仲介する。A、B、VEGFR2fl/flマウス(n=5)では、部分肝切除後の肝細胞増殖が損なわれる。C〜E、部分肝切除後のVEGFR2fl/flマウス(n=4〜6)における、肝質量再生(C)及び機能性VE−カドヘリン+イソレクチン+血管形成(D,E)の阻害。F、G、VEGF−A164の注射は、VEGFR3+CD34-LSEC数(G)の漸増を伴って、肝質量(F)の再生を促進したが、VEGFR1特異的リガンドPlGFは、促進しなかった(n=4)。H、Id1VenusYFPマウス(Nam, Cell Stem Cell 5:515 -526 (2009))の再生肝断面図。Id1は、部分肝切除によってVE−カドヘリン+血管で選択的に上方制御される。I、VEGFR2欠失は、再生肝中のId1上方制御を弱める(n=5)。*P<0.05;**P<0.01、VEGFR2fl/+(B〜E、I)に対して、PlGF処置群(F)に対して。スケールバー、50μm。エラーバー、s.e.m.J、Rosa−CreERT2VEGFR2flox/floxのタモキシフェン処置後の肝内皮細胞中のVEGFR2の選択的ノックダウン、N=4。K、VE−カドヘリン-CreERT2VEGFR2flox/floxマウスにおける内皮特異的VEGFR2ノックダウンの定量。
LSEC中のVEGFR2−Id1活性化は、部分肝切除によって誘導された肝再生を仲介する。A、B、VEGFR2fl/flマウス(n=5)では、部分肝切除後の肝細胞増殖が損なわれる。C〜E、部分肝切除後のVEGFR2fl/flマウス(n=4〜6)における、肝質量再生(C)及び機能性VE−カドヘリン+イソレクチン+血管形成(D,E)の阻害。F、G、VEGF−A164の注射は、VEGFR3+CD34-LSEC数(G)の漸増を伴って、肝質量(F)の再生を促進したが、VEGFR1特異的リガンドPlGFは、促進しなかった(n=4)。H、Id1VenusYFPマウス(Nam, Cell Stem Cell 5:515 -526 (2009))の再生肝断面図。Id1は、部分肝切除によってVE−カドヘリン+血管で選択的に上方制御される。I、VEGFR2欠失は、再生肝中のId1上方制御を弱める(n=5)。*P<0.05;**P<0.01、VEGFR2fl/+(B〜E、I)に対して、PlGF処置群(F)に対して。スケールバー、50μm。エラーバー、s.e.m.J、Rosa−CreERT2VEGFR2flox/floxのタモキシフェン処置後の肝内皮細胞中のVEGFR2の選択的ノックダウン、N=4。K、VE−カドヘリン-CreERT2VEGFR2flox/floxマウスにおける内皮特異的VEGFR2ノックダウンの定量。
LSEC中のVEGFR2−Id1活性化は、部分肝切除によって誘導された肝再生を仲介する。A、B、VEGFR2fl/flマウス(n=5)では、部分肝切除後の肝細胞増殖が損なわれる。C〜E、部分肝切除後のVEGFR2fl/flマウス(n=4〜6)における、肝質量再生(C)及び機能性VE−カドヘリン+イソレクチン+血管形成(D,E)の阻害。F、G、VEGF−A164の注射は、VEGFR3+CD34-LSEC数(G)の漸増を伴って、肝質量(F)の再生を促進したが、VEGFR1特異的リガンドPlGFは、促進しなかった(n=4)。H、Id1VenusYFPマウス(Nam, Cell Stem Cell 5:515 -526 (2009))の再生肝断面図。Id1は、部分肝切除によってVE−カドヘリン+血管で選択的に上方制御される。I、VEGFR2欠失は、再生肝中のId1上方制御を弱める(n=5)。*P<0.05;**P<0.01、VEGFR2fl/+(B〜E、I)に対して、PlGF処置群(F)に対して。スケールバー、50μm。エラーバー、s.e.m.J、Rosa−CreERT2VEGFR2flox/floxのタモキシフェン処置後の肝内皮細胞中のVEGFR2の選択的ノックダウン、N=4。K、VE−カドヘリン-CreERT2VEGFR2flox/floxマウスにおける内皮特異的VEGFR2ノックダウンの定量。
LSEC中のVEGFR2−Id1活性化は、部分肝切除によって誘導された肝再生を仲介する。A、B、VEGFR2fl/flマウス(n=5)では、部分肝切除後の肝細胞増殖が損なわれる。C〜E、部分肝切除後のVEGFR2fl/flマウス(n=4〜6)における、肝質量再生(C)及び機能性VE−カドヘリン+イソレクチン+血管形成(D,E)の阻害。F、G、VEGF−A164の注射は、VEGFR3+CD34-LSEC数(G)の漸増を伴って、肝質量(F)の再生を促進したが、VEGFR1特異的リガンドPlGFは、促進しなかった(n=4)。H、Id1VenusYFPマウス(Nam, Cell Stem Cell 5:515 -526 (2009))の再生肝断面図。Id1は、部分肝切除によってVE−カドヘリン+血管で選択的に上方制御される。I、VEGFR2欠失は、再生肝中のId1上方制御を弱める(n=5)。*P<0.05;**P<0.01、VEGFR2fl/+(B〜E、I)に対して、PlGF処置群(F)に対して。スケールバー、50μm。エラーバー、s.e.m.J、Rosa−CreERT2VEGFR2flox/floxのタモキシフェン処置後の肝内皮細胞中のVEGFR2の選択的ノックダウン、N=4。K、VE−カドヘリン-CreERT2VEGFR2flox/floxマウスにおける内皮特異的VEGFR2ノックダウンの定量。
LSECのId1上方制御は、肝再生に不可欠である。A、Id1-/-マウスは、その野生型(WT)同腹子と比較して、肝質量の再生障害を示し、これはVEGF−A164投与による救済(rescued)に失敗している(n=5)。B、C、部分肝切除後のId1-/-マウスにおける、肝細胞増殖障害(B)及びVE−カドヘリン+イソレクチン+血管の構築(C)(n=5)。D、E、肝細胞増殖のLSEC依存性刺激は、Id1遺伝子ノックダウンによって特異的に阻害された。Scr、スクランブル(scrambled)。CM、LSEC馴化培地(n=4)。F、Id1-/-肝臓中のVEGFR3+類洞血管系の内腔に組み込まれたGFP標識LSECの脾内移植(Follenzi, J. Clin. Invest:118, 935 -945 (2008))。G、H、Id1+/+LSECの移植は、Id1-/-肝臓における質量の再生(G)及び肝細胞増殖(H)を修復する(n=4)。点線、内皮細胞移植なしのId1-/-肝臓のレベル。I、移植されたGFP+Id1+/+血管系による肝細胞有糸分裂の刺激には、細胞の近接性が不可欠である。*P<0.05、Id1-/-に対して(a);**P<0.01、VEGF164を用いたId1-/-に対して(A)、WTに対して(B、C)。スケールバー、50μm(D、F)及び20μm(H)。エラーバー、s.e.m.。J、Id1-/-マウスにおける肝質量回復の持続性阻害。指示された期間を通して、VEGF−A164注射は、肝再構築(hepatic reconstitution)の救済に失敗した。*P<0.05、WTに対して、N=4。K、PH後のId1-/-マウスにおける肝機能の再生障害(血漿ビリルビンレベルの上昇)、#、P<0.01、WTに対して、N=3。
LSECのId1上方制御は、肝再生に不可欠である。A、Id1-/-マウスは、その野生型(WT)同腹子と比較して、肝質量の再生障害を示し、これはVEGF−A164投与による救済(rescued)に失敗している(n=5)。B、C、部分肝切除後のId1-/-マウスにおける、肝細胞増殖障害(B)及びVE−カドヘリン+イソレクチン+血管の構築(C)(n=5)。D、E、肝細胞増殖のLSEC依存性刺激は、Id1遺伝子ノックダウンによって特異的に阻害された。Scr、スクランブル(scrambled)。CM、LSEC馴化培地(n=4)。F、Id1-/-肝臓中のVEGFR3+類洞血管系の内腔に組み込まれたGFP標識LSECの脾内移植(Follenzi, J. Clin. Invest:118, 935 -945 (2008))。G、H、Id1+/+LSECの移植は、Id1-/-肝臓における質量の再生(G)及び肝細胞増殖(H)を修復する(n=4)。点線、内皮細胞移植なしのId1-/-肝臓のレベル。I、移植されたGFP+Id1+/+血管系による肝細胞有糸分裂の刺激には、細胞の近接性が不可欠である。*P<0.05、Id1-/-に対して(a);**P<0.01、VEGF164を用いたId1-/-に対して(A)、WTに対して(B、C)。スケールバー、50μm(D、F)及び20μm(H)。エラーバー、s.e.m.。J、Id1-/-マウスにおける肝質量回復の持続性阻害。指示された期間を通して、VEGF−A164注射は、肝再構築(hepatic reconstitution)の救済に失敗した。*P<0.05、WTに対して、N=4。K、PH後のId1-/-マウスにおける肝機能の再生障害(血漿ビリルビンレベルの上昇)、#、P<0.01、WTに対して、N=3。
LSECのId1上方制御は、肝再生に不可欠である。A、Id1-/-マウスは、その野生型(WT)同腹子と比較して、肝質量の再生障害を示し、これはVEGF−A164投与による救済(rescued)に失敗している(n=5)。B、C、部分肝切除後のId1-/-マウスにおける、肝細胞増殖障害(B)及びVE−カドヘリン+イソレクチン+血管の構築(C)(n=5)。D、E、肝細胞増殖のLSEC依存性刺激は、Id1遺伝子ノックダウンによって特異的に阻害された。Scr、スクランブル(scrambled)。CM、LSEC馴化培地(n=4)。F、Id1-/-肝臓中のVEGFR3+類洞血管系の内腔に組み込まれたGFP標識LSECの脾内移植(Follenzi, J. Clin. Invest:118, 935 -945 (2008))。G、H、Id1+/+LSECの移植は、Id1-/-肝臓における質量の再生(G)及び肝細胞増殖(H)を修復する(n=4)。点線、内皮細胞移植なしのId1-/-肝臓のレベル。I、移植されたGFP+Id1+/+血管系による肝細胞有糸分裂の刺激には、細胞の近接性が不可欠である。*P<0.05、Id1-/-に対して(a);**P<0.01、VEGF164を用いたId1-/-に対して(A)、WTに対して(B、C)。スケールバー、50μm(D、F)及び20μm(H)。エラーバー、s.e.m.。J、Id1-/-マウスにおける肝質量回復の持続性阻害。指示された期間を通して、VEGF−A164注射は、肝再構築(hepatic reconstitution)の救済に失敗した。*P<0.05、WTに対して、N=4。K、PH後のId1-/-マウスにおける肝機能の再生障害(血漿ビリルビンレベルの上昇)、#、P<0.01、WTに対して、N=3。
LSECのId1上方制御は、肝再生に不可欠である。A、Id1-/-マウスは、その野生型(WT)同腹子と比較して、肝質量の再生障害を示し、これはVEGF−A164投与による救済(rescued)に失敗している(n=5)。B、C、部分肝切除後のId1-/-マウスにおける、肝細胞増殖障害(B)及びVE−カドヘリン+イソレクチン+血管の構築(C)(n=5)。D、E、肝細胞増殖のLSEC依存性刺激は、Id1遺伝子ノックダウンによって特異的に阻害された。Scr、スクランブル(scrambled)。CM、LSEC馴化培地(n=4)。F、Id1-/-肝臓中のVEGFR3+類洞血管系の内腔に組み込まれたGFP標識LSECの脾内移植(Follenzi, J. Clin. Invest:118, 935 -945 (2008))。G、H、Id1+/+LSECの移植は、Id1-/-肝臓における質量の再生(G)及び肝細胞増殖(H)を修復する(n=4)。点線、内皮細胞移植なしのId1-/-肝臓のレベル。I、移植されたGFP+Id1+/+血管系による肝細胞有糸分裂の刺激には、細胞の近接性が不可欠である。*P<0.05、Id1-/-に対して(a);**P<0.01、VEGF164を用いたId1-/-に対して(A)、WTに対して(B、C)。スケールバー、50μm(D、F)及び20μm(H)。エラーバー、s.e.m.。J、Id1-/-マウスにおける肝質量回復の持続性阻害。指示された期間を通して、VEGF−A164注射は、肝再構築(hepatic reconstitution)の救済に失敗した。*P<0.05、WTに対して、N=4。K、PH後のId1-/-マウスにおける肝機能の再生障害(血漿ビリルビンレベルの上昇)、#、P<0.01、WTに対して、N=3。
LSECのId1上方制御は、肝再生に不可欠である。A、Id1-/-マウスは、その野生型(WT)同腹子と比較して、肝質量の再生障害を示し、これはVEGF−A164投与による救済(rescued)に失敗している(n=5)。B、C、部分肝切除後のId1-/-マウスにおける、肝細胞増殖障害(B)及びVE−カドヘリン+イソレクチン+血管の構築(C)(n=5)。D、E、肝細胞増殖のLSEC依存性刺激は、Id1遺伝子ノックダウンによって特異的に阻害された。Scr、スクランブル(scrambled)。CM、LSEC馴化培地(n=4)。F、Id1-/-肝臓中のVEGFR3+類洞血管系の内腔に組み込まれたGFP標識LSECの脾内移植(Follenzi, J. Clin. Invest:118, 935 -945 (2008))。G、H、Id1+/+LSECの移植は、Id1-/-肝臓における質量の再生(G)及び肝細胞増殖(H)を修復する(n=4)。点線、内皮細胞移植なしのId1-/-肝臓のレベル。I、移植されたGFP+Id1+/+血管系による肝細胞有糸分裂の刺激には、細胞の近接性が不可欠である。*P<0.05、Id1-/-に対して(a);**P<0.01、VEGF164を用いたId1-/-に対して(A)、WTに対して(B、C)。スケールバー、50μm(D、F)及び20μm(H)。エラーバー、s.e.m.。J、Id1-/-マウスにおける肝質量回復の持続性阻害。指示された期間を通して、VEGF−A164注射は、肝再構築(hepatic reconstitution)の救済に失敗した。*P<0.05、WTに対して、N=4。K、PH後のId1-/-マウスにおける肝機能の再生障害(血漿ビリルビンレベルの上昇)、#、P<0.01、WTに対して、N=3。
LSEC中のWnt2及びHGFのId1介在性誘導は、肝再生を刺激する。HGF及びWnt2の上方制御は、部分肝切除後のId1-/-LSECにおいて損なわれる(n=5)。B、Wnt2及びHGF(Id1-/-Wnt2+HGF+GFP+)の両方を担持するGFP標識Id1-/-LSECの脾内移植は、Id1-/-肝質量の再生を救済する(n=4)。C、Id1-/-Wnt2+HGF+LSECの移植は、Id1-/-肝臓における肝細胞増殖障害を修復する(n=4)。D、Id1-/-肝臓における有糸分裂肝細胞とId1-/-Wnt2+HGF+GFP+LSECとの間の近接性。E、LSEC介在性肝再生におけるVEGFR2-Id1経路の必要性。Id1-/-肝類洞へのId1+/+LSECの脾内移植は、肝血管再生を修復する。F、移植されたId1+/+又はId1-/-Wnt2+HGF+GFP+LSECは、肝細胞の近傍に局在化しており、誘導及び増殖血管新生を促進し、それによって生理学的肝再生を持続させる。*P<0.05;**P<0.01、スケールバー、20μm。エラーバー、s.e.m.。G、誘導血管新生LSECは、特異的アンギオクリンシグナルの合成により、近位の肝細胞の再生を開始して持続させる。
LSEC中のWnt2及びHGFのId1介在性誘導は、肝再生を刺激する。HGF及びWnt2の上方制御は、部分肝切除後のId1-/-LSECにおいて損なわれる(n=5)。B、Wnt2及びHGF(Id1-/-Wnt2+HGF+GFP+)の両方を担持するGFP標識Id1-/-LSECの脾内移植は、Id1-/-肝質量の再生を救済する(n=4)。C、Id1-/-Wnt2+HGF+LSECの移植は、Id1-/-肝臓における肝細胞増殖障害を修復する(n=4)。D、Id1-/-肝臓における有糸分裂肝細胞とId1-/-Wnt2+HGF+GFP+LSECとの間の近接性。E、LSEC介在性肝再生におけるVEGFR2-Id1経路の必要性。Id1-/-肝類洞へのId1+/+LSECの脾内移植は、肝血管再生を修復する。F、移植されたId1+/+又はId1-/-Wnt2+HGF+GFP+LSECは、肝細胞の近傍に局在化しており、誘導及び増殖血管新生を促進し、それによって生理学的肝再生を持続させる。*P<0.05;**P<0.01、スケールバー、20μm。エラーバー、s.e.m.。G、誘導血管新生LSECは、特異的アンギオクリンシグナルの合成により、近位の肝細胞の再生を開始して持続させる。
LSEC中のWnt2及びHGFのId1介在性誘導は、肝再生を刺激する。HGF及びWnt2の上方制御は、部分肝切除後のId1-/-LSECにおいて損なわれる(n=5)。B、Wnt2及びHGF(Id1-/-Wnt2+HGF+GFP+)の両方を担持するGFP標識Id1-/-LSECの脾内移植は、Id1-/-肝質量の再生を救済する(n=4)。C、Id1-/-Wnt2+HGF+LSECの移植は、Id1-/-肝臓における肝細胞増殖障害を修復する(n=4)。D、Id1-/-肝臓における有糸分裂肝細胞とId1-/-Wnt2+HGF+GFP+LSECとの間の近接性。E、LSEC介在性肝再生におけるVEGFR2-Id1経路の必要性。Id1-/-肝類洞へのId1+/+LSECの脾内移植は、肝血管再生を修復する。F、移植されたId1+/+又はId1-/-Wnt2+HGF+GFP+LSECは、肝細胞の近傍に局在化しており、誘導及び増殖血管新生を促進し、それによって生理学的肝再生を持続させる。*P<0.05;**P<0.01、スケールバー、20μm。エラーバー、s.e.m.。G、誘導血管新生LSECは、特異的アンギオクリンシグナルの合成により、近位の肝細胞の再生を開始して持続させる。
LSEC中のWnt2及びHGFのId1介在性誘導は、肝再生を刺激する。HGF及びWnt2の上方制御は、部分肝切除後のId1-/-LSECにおいて損なわれる(n=5)。B、Wnt2及びHGF(Id1-/-Wnt2+HGF+GFP+)の両方を担持するGFP標識Id1-/-LSECの脾内移植は、Id1-/-肝質量の再生を救済する(n=4)。C、Id1-/-Wnt2+HGF+LSECの移植は、Id1-/-肝臓における肝細胞増殖障害を修復する(n=4)。D、Id1-/-肝臓における有糸分裂肝細胞とId1-/-Wnt2+HGF+GFP+LSECとの間の近接性。E、LSEC介在性肝再生におけるVEGFR2-Id1経路の必要性。Id1-/-肝類洞へのId1+/+LSECの脾内移植は、肝血管再生を修復する。F、移植されたId1+/+又はId1-/-Wnt2+HGF+GFP+LSECは、肝細胞の近傍に局在化しており、誘導及び増殖血管新生を促進し、それによって生理学的肝再生を持続させる。*P<0.05;**P<0.01、スケールバー、20μm。エラーバー、s.e.m.。G、誘導血管新生LSECは、特異的アンギオクリンシグナルの合成により、近位の肝細胞の再生を開始して持続させる。
PNXは、右肺再生及び肺上皮前駆細胞の増大を誘導する。(A、B)左肺の切除後、残存する無傷の右肺葉における質量及び体積の修復。A、PNX法を説明する略図及びPNXの15日後に再生された右肺の代表的な画像。B、肺再生は、PNXの3日後に開始され、日15でその最大サイズ及び体積を達成する。n=5。C、PNX後の日3の気管支肺胞管接合部(BADJ)でのCCSP+細胞の増幅。マウスにBrdU含有飲用水を与えて、増殖している肺前駆細胞に適用した(pulse)。PNX後の日3に、BADJで局在化されたCCSP+BrdU+細胞の特異的増大がある(矢印)。その後、遠位肺胞腔中にBrdU+細胞の分布が見られる(矢じり形)。D、E、PNXの3日後のCCSP−YFP及びSPC−YFPマウスにおいて、CCSP+SPC+Sca−1+VE−カドヘリン-CD31-BASC様細胞を同定し、定量した。VE−カドヘリン+CD31+PCECのBrdU取り込みは最小限であり、この時点でPCECは、増殖を受けないことを示している。Dパネルの下の挿入図中のVE−カドヘリン+PCEC(青い矢印)及び増殖CCSP+BrdU+BASC(赤色矢印)の密な細胞並置(close cellular juxtaposition)が見られる。
PNXは、右肺再生及び肺上皮前駆細胞の増大を誘導する。(A、B)左肺の切除後、残存する無傷の右肺葉における質量及び体積の修復。A、PNX法を説明する略図及びPNXの15日後に再生された右肺の代表的な画像。B、肺再生は、PNXの3日後に開始され、日15でその最大サイズ及び体積を達成する。n=5。C、PNX後の日3の気管支肺胞管接合部(BADJ)でのCCSP+細胞の増幅。マウスにBrdU含有飲用水を与えて、増殖している肺前駆細胞に適用した(pulse)。PNX後の日3に、BADJで局在化されたCCSP+BrdU+細胞の特異的増大がある(矢印)。その後、遠位肺胞腔中にBrdU+細胞の分布が見られる(矢じり形)。D、E、PNXの3日後のCCSP−YFP及びSPC−YFPマウスにおいて、CCSP+SPC+Sca−1+VE−カドヘリン-CD31-BASC様細胞を同定し、定量した。VE−カドヘリン+CD31+PCECのBrdU取り込みは最小限であり、この時点でPCECは、増殖を受けないことを示している。Dパネルの下の挿入図中のVE−カドヘリン+PCEC(青い矢印)及び増殖CCSP+BrdU+BASC(赤色矢印)の密な細胞並置(close cellular juxtaposition)が見られる。
PNXは、右肺再生及び肺上皮前駆細胞の増大を誘導する。(A、B)左肺の切除後、残存する無傷の右肺葉における質量及び体積の修復。A、PNX法を説明する略図及びPNXの15日後に再生された右肺の代表的な画像。B、肺再生は、PNXの3日後に開始され、日15でその最大サイズ及び体積を達成する。n=5。C、PNX後の日3の気管支肺胞管接合部(BADJ)でのCCSP+細胞の増幅。マウスにBrdU含有飲用水を与えて、増殖している肺前駆細胞に適用した(pulse)。PNX後の日3に、BADJで局在化されたCCSP+BrdU+細胞の特異的増大がある(矢印)。その後、遠位肺胞腔中にBrdU+細胞の分布が見られる(矢じり形)。D、E、PNXの3日後のCCSP−YFP及びSPC−YFPマウスにおいて、CCSP+SPC+Sca−1+VE−カドヘリン-CD31-BASC様細胞を同定し、定量した。VE−カドヘリン+CD31+PCECのBrdU取り込みは最小限であり、この時点でPCECは、増殖を受けないことを示している。Dパネルの下の挿入図中のVE−カドヘリン+PCEC(青い矢印)及び増殖CCSP+BrdU+BASC(赤色矢印)の密な細胞並置(close cellular juxtaposition)が見られる。
PNX後の日7に、AEC及びPCECの増大は、肺胞再生を持続させる。A、PNX後、一時的増殖期細胞(transit amplifying cells)(TAC)にBrdUのI.P.投与を適用し、BrdU染色によって示した。BrdU+TACは、右肺の全体を通じて高められ、PNX後の日7にピークに達した。スケールバー、2.5mm.B、C、PNX後の日7に、残存する右肺中TACの定量。全単核細胞の多変性フローサイトメトリー分析は、SPD+SPC+E−カドヘリン+AECII及びVE−カドヘリン+CD34+VEGFR2+FGFR1+CD45-PCECの増大を示す。D、PNX後の日7で、残存する肺中の肺胞の毛細血管界面でのSPC+AECII及びVE−カドヘリン+PCECの増殖。PCEC(緑色矢印)とBrdU+AECII(赤色矢印)との間の密な細胞近接性が見られる。スケールバー、100μm。E、PNXの15日後、残存する肺中のVE−カドヘリン+CD34+PCEC及びSPC+E−カドヘリン+AECIIの定量;PNXは、PCEC及びAECの増殖を誘導する。n=5。
PNX後の日7に、AEC及びPCECの増大は、肺胞再生を持続させる。A、PNX後、一時的増殖期細胞(transit amplifying cells)(TAC)にBrdUのI.P.投与を適用し、BrdU染色によって示した。BrdU+TACは、右肺の全体を通じて高められ、PNX後の日7にピークに達した。スケールバー、2.5mm.B、C、PNX後の日7に、残存する右肺中TACの定量。全単核細胞の多変性フローサイトメトリー分析は、SPD+SPC+E−カドヘリン+AECII及びVE−カドヘリン+CD34+VEGFR2+FGFR1+CD45-PCECの増大を示す。D、PNX後の日7で、残存する肺中の肺胞の毛細血管界面でのSPC+AECII及びVE−カドヘリン+PCECの増殖。PCEC(緑色矢印)とBrdU+AECII(赤色矢印)との間の密な細胞近接性が見られる。スケールバー、100μm。E、PNXの15日後、残存する肺中のVE−カドヘリン+CD34+PCEC及びSPC+E−カドヘリン+AECIIの定量;PNXは、PCEC及びAECの増殖を誘導する。n=5。
PNX後の日7に、AEC及びPCECの増大は、肺胞再生を持続させる。A、PNX後、一時的増殖期細胞(transit amplifying cells)(TAC)にBrdUのI.P.投与を適用し、BrdU染色によって示した。BrdU+TACは、右肺の全体を通じて高められ、PNX後の日7にピークに達した。スケールバー、2.5mm.B、C、PNX後の日7に、残存する右肺中TACの定量。全単核細胞の多変性フローサイトメトリー分析は、SPD+SPC+E−カドヘリン+AECII及びVE−カドヘリン+CD34+VEGFR2+FGFR1+CD45-PCECの増大を示す。D、PNX後の日7で、残存する肺中の肺胞の毛細血管界面でのSPC+AECII及びVE−カドヘリン+PCECの増殖。PCEC(緑色矢印)とBrdU+AECII(赤色矢印)との間の密な細胞近接性が見られる。スケールバー、100μm。E、PNXの15日後、残存する肺中のVE−カドヘリン+CD34+PCEC及びSPC+E−カドヘリン+AECIIの定量;PNXは、PCEC及びAECの増殖を誘導する。n=5。
ECにおけるVegfr2の誘導性欠失及びFgfr1の部分的ノックダウンは、肺再生を弱める。A、PNX後のPCECにおけるVEGFR2の逐次的活性化及びFGFR1の上方制御。VEGFR2リン酸化は、PNXによって高められるのに対して、PCEC中の全VEGFR2発現は、一定のままである。対照的に、PCECにおけるFGFR1発現は、PNX後、時間依存的に上方制御される。B、成体マウスにおけるVEGFR2及びFGFR1のEC特異的ノックアウト。VE−カドヘリンプロモーターがタモキシフェン反応性CreERT2の発現を引き起こすトランスジェニックマウス(VE−Cad−CreERT2マウス)をVegfr2loxP/loxP及びFgfr1loxP/loxPマウスと交雑させ、タモキシフェンで処置し、Vegfr2及びFgfr1のEC特異的欠失を誘導する(Vegfr2iΔEC/iΔEC及びVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウス)。C、Vegfr2のEC特異的欠失(Vegfr2iΔEC/iΔECマウス)は、PNX後のCCSP+Sca1+BASC様細胞の増大を阻害する。Vegfr2iΔEC/+マウスを対照として用いる。D、E、PNX後のVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおけるPCEC(赤色の矢じり形)及びAEC(黄色の矢印)不完全な増殖、n=4。スケールバー、100μm。対照Vegfr2iΔEC/+マウスと比較して、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスの肺胞直径の増加(破線の矢印)が見られる。F、PNX後、Vegfr2及びFgfr1のEC特異的欠失では、肺機能の回復が損われた。Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおける肺機能の修復は、対照マウスと比較して有意に阻害された。PNX前のノックアウトマウスの正常な肺機能に注目。#、p<0.01、対照Vegfr2iΔEC/+マウスと比較して、n=4。G、肺質量及び体積の修復は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて損なわれた、n=4。
ECにおけるVegfr2の誘導性欠失及びFgfr1の部分的ノックダウンは、肺再生を弱める。A、PNX後のPCECにおけるVEGFR2の逐次的活性化及びFGFR1の上方制御。VEGFR2リン酸化は、PNXによって高められるのに対して、PCEC中の全VEGFR2発現は、一定のままである。対照的に、PCECにおけるFGFR1発現は、PNX後、時間依存的に上方制御される。B、成体マウスにおけるVEGFR2及びFGFR1のEC特異的ノックアウト。VE−カドヘリンプロモーターがタモキシフェン反応性CreERT2の発現を引き起こすトランスジェニックマウス(VE−Cad−CreERT2マウス)をVegfr2loxP/loxP及びFgfr1loxP/loxPマウスと交雑させ、タモキシフェンで処置し、Vegfr2及びFgfr1のEC特異的欠失を誘導する(Vegfr2iΔEC/iΔEC及びVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウス)。C、Vegfr2のEC特異的欠失(Vegfr2iΔEC/iΔECマウス)は、PNX後のCCSP+Sca1+BASC様細胞の増大を阻害する。Vegfr2iΔEC/+マウスを対照として用いる。D、E、PNX後のVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおけるPCEC(赤色の矢じり形)及びAEC(黄色の矢印)不完全な増殖、n=4。スケールバー、100μm。対照Vegfr2iΔEC/+マウスと比較して、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスの肺胞直径の増加(破線の矢印)が見られる。F、PNX後、Vegfr2及びFgfr1のEC特異的欠失では、肺機能の回復が損われた。Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおける肺機能の修復は、対照マウスと比較して有意に阻害された。PNX前のノックアウトマウスの正常な肺機能に注目。#、p<0.01、対照Vegfr2iΔEC/+マウスと比較して、n=4。G、肺質量及び体積の修復は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて損なわれた、n=4。
ECにおけるVegfr2の誘導性欠失及びFgfr1の部分的ノックダウンは、肺再生を弱める。A、PNX後のPCECにおけるVEGFR2の逐次的活性化及びFGFR1の上方制御。VEGFR2リン酸化は、PNXによって高められるのに対して、PCEC中の全VEGFR2発現は、一定のままである。対照的に、PCECにおけるFGFR1発現は、PNX後、時間依存的に上方制御される。B、成体マウスにおけるVEGFR2及びFGFR1のEC特異的ノックアウト。VE−カドヘリンプロモーターがタモキシフェン反応性CreERT2の発現を引き起こすトランスジェニックマウス(VE−Cad−CreERT2マウス)をVegfr2loxP/loxP及びFgfr1loxP/loxPマウスと交雑させ、タモキシフェンで処置し、Vegfr2及びFgfr1のEC特異的欠失を誘導する(Vegfr2iΔEC/iΔEC及びVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウス)。C、Vegfr2のEC特異的欠失(Vegfr2iΔEC/iΔECマウス)は、PNX後のCCSP+Sca1+BASC様細胞の増大を阻害する。Vegfr2iΔEC/+マウスを対照として用いる。D、E、PNX後のVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおけるPCEC(赤色の矢じり形)及びAEC(黄色の矢印)不完全な増殖、n=4。スケールバー、100μm。対照Vegfr2iΔEC/+マウスと比較して、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスの肺胞直径の増加(破線の矢印)が見られる。F、PNX後、Vegfr2及びFgfr1のEC特異的欠失では、肺機能の回復が損われた。Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおける肺機能の修復は、対照マウスと比較して有意に阻害された。PNX前のノックアウトマウスの正常な肺機能に注目。#、p<0.01、対照Vegfr2iΔEC/+マウスと比較して、n=4。G、肺質量及び体積の修復は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて損なわれた、n=4。
ECにおけるVegfr2の誘導性欠失及びFgfr1の部分的ノックダウンは、肺再生を弱める。A、PNX後のPCECにおけるVEGFR2の逐次的活性化及びFGFR1の上方制御。VEGFR2リン酸化は、PNXによって高められるのに対して、PCEC中の全VEGFR2発現は、一定のままである。対照的に、PCECにおけるFGFR1発現は、PNX後、時間依存的に上方制御される。B、成体マウスにおけるVEGFR2及びFGFR1のEC特異的ノックアウト。VE−カドヘリンプロモーターがタモキシフェン反応性CreERT2の発現を引き起こすトランスジェニックマウス(VE−Cad−CreERT2マウス)をVegfr2loxP/loxP及びFgfr1loxP/loxPマウスと交雑させ、タモキシフェンで処置し、Vegfr2及びFgfr1のEC特異的欠失を誘導する(Vegfr2iΔEC/iΔEC及びVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウス)。C、Vegfr2のEC特異的欠失(Vegfr2iΔEC/iΔECマウス)は、PNX後のCCSP+Sca1+BASC様細胞の増大を阻害する。Vegfr2iΔEC/+マウスを対照として用いる。D、E、PNX後のVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおけるPCEC(赤色の矢じり形)及びAEC(黄色の矢印)不完全な増殖、n=4。スケールバー、100μm。対照Vegfr2iΔEC/+マウスと比較して、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスの肺胞直径の増加(破線の矢印)が見られる。F、PNX後、Vegfr2及びFgfr1のEC特異的欠失では、肺機能の回復が損われた。Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおける肺機能の修復は、対照マウスと比較して有意に阻害された。PNX前のノックアウトマウスの正常な肺機能に注目。#、p<0.01、対照Vegfr2iΔEC/+マウスと比較して、n=4。G、肺質量及び体積の修復は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて損なわれた、n=4。
ECにおけるVegfr2の誘導性欠失及びFgfr1の部分的ノックダウンは、肺再生を弱める。A、PNX後のPCECにおけるVEGFR2の逐次的活性化及びFGFR1の上方制御。VEGFR2リン酸化は、PNXによって高められるのに対して、PCEC中の全VEGFR2発現は、一定のままである。対照的に、PCECにおけるFGFR1発現は、PNX後、時間依存的に上方制御される。B、成体マウスにおけるVEGFR2及びFGFR1のEC特異的ノックアウト。VE−カドヘリンプロモーターがタモキシフェン反応性CreERT2の発現を引き起こすトランスジェニックマウス(VE−Cad−CreERT2マウス)をVegfr2loxP/loxP及びFgfr1loxP/loxPマウスと交雑させ、タモキシフェンで処置し、Vegfr2及びFgfr1のEC特異的欠失を誘導する(Vegfr2iΔEC/iΔEC及びVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウス)。C、Vegfr2のEC特異的欠失(Vegfr2iΔEC/iΔECマウス)は、PNX後のCCSP+Sca1+BASC様細胞の増大を阻害する。Vegfr2iΔEC/+マウスを対照として用いる。D、E、PNX後のVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおけるPCEC(赤色の矢じり形)及びAEC(黄色の矢印)不完全な増殖、n=4。スケールバー、100μm。対照Vegfr2iΔEC/+マウスと比較して、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスの肺胞直径の増加(破線の矢印)が見られる。F、PNX後、Vegfr2及びFgfr1のEC特異的欠失では、肺機能の回復が損われた。Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおける肺機能の修復は、対照マウスと比較して有意に阻害された。PNX前のノックアウトマウスの正常な肺機能に注目。#、p<0.01、対照Vegfr2iΔEC/+マウスと比較して、n=4。G、肺質量及び体積の修復は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて損なわれた、n=4。
PNX後、MMP14は、PCECによって特異的に産生され、SPC+AECII及びCCSP+Sca1+CD31-BASCの増大を誘導する。A、Vegfr2及びFgfr1の内皮特異的除去は、PNX後の肺毛細血管内皮細胞(PCEC)におけるMMP14の上方制御を弱めた。前述のように((Ackah, The Journal of clinical investigation 115:2119-2127 (2005);Murakami, The Journal of clinical investigation 121 (2011))、PNX後の再生しているマウス肺からPCECを単離した。シャムマウス(sham mouse)と比較したMMP14発現の上方制御を、それぞれ日3及び7に、対照とVegfr2iΔEC/iΔEC(左)又はVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+(右)マウスとの間で比較した。データは、一貫して平均±s.e.mとして示した;n=4。B、PNX後、肺中のVEGFR2の選択的活性化(リン酸化)は、器官を血管化新生化したが、他では、血管新生化しなかった。異なる器官におけるVEGFR2タンパク質レベルには、有意な違いがなかったにもかかわらず、VEGFR2活性化は、日7でPNX後の肺にしか生じなかった。この所見は、PNX後のVEGFR2の肺特異的活性化を示す。PNX後の肺中のVEGFR2活性化の動態を図3Aに示す。C、MMP14は、PNX後、肺血管系で特異的に上方制御されたが、心臓、脾臓、又は腎臓の血管床では、そうならなかった。PNX後のマウスの異なる器官において、MMP14(矢印)の発現及び局在化を調べた。PNX後の肺及び肝臓におけるMMP14の発現を図4Cに示す。D、MAPKinase及びAkt活性化内皮細胞(MAPK+Akt EC)は、SPC+AECIIの最も有意な増大を示した。ECとAECとの共培養を「方法」に記載した。n=5。E、CCSP+BASCは、共培養後、それらの表現型マーカーを維持した。CCSP(YFP)+細胞を、ECとの共培養後、フローサイトメトリーによって分析した。共培養後、BASCは、CCSP+Sca−1+CD31-細胞としての表現型の特徴を保持している。
PNX後、MMP14は、PCECによって特異的に産生され、SPC+AECII及びCCSP+Sca1+CD31-BASCの増大を誘導する。A、Vegfr2及びFgfr1の内皮特異的除去は、PNX後の肺毛細血管内皮細胞(PCEC)におけるMMP14の上方制御を弱めた。前述のように((Ackah, The Journal of clinical investigation 115:2119-2127 (2005);Murakami, The Journal of clinical investigation 121 (2011))、PNX後の再生しているマウス肺からPCECを単離した。シャムマウス(sham mouse)と比較したMMP14発現の上方制御を、それぞれ日3及び7に、対照とVegfr2iΔEC/iΔEC(左)又はVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+(右)マウスとの間で比較した。データは、一貫して平均±s.e.mとして示した;n=4。B、PNX後、肺中のVEGFR2の選択的活性化(リン酸化)は、器官を血管化新生化したが、他では、血管新生化しなかった。異なる器官におけるVEGFR2タンパク質レベルには、有意な違いがなかったにもかかわらず、VEGFR2活性化は、日7でPNX後の肺にしか生じなかった。この所見は、PNX後のVEGFR2の肺特異的活性化を示す。PNX後の肺中のVEGFR2活性化の動態を図3Aに示す。C、MMP14は、PNX後、肺血管系で特異的に上方制御されたが、心臓、脾臓、又は腎臓の血管床では、そうならなかった。PNX後のマウスの異なる器官において、MMP14(矢印)の発現及び局在化を調べた。PNX後の肺及び肝臓におけるMMP14の発現を図4Cに示す。D、MAPKinase及びAkt活性化内皮細胞(MAPK+Akt EC)は、SPC+AECIIの最も有意な増大を示した。ECとAECとの共培養を「方法」に記載した。n=5。E、CCSP+BASCは、共培養後、それらの表現型マーカーを維持した。CCSP(YFP)+細胞を、ECとの共培養後、フローサイトメトリーによって分析した。共培養後、BASCは、CCSP+Sca−1+CD31-細胞としての表現型の特徴を保持している。
PNX後、MMP14は、PCECによって特異的に産生され、SPC+AECII及びCCSP+Sca1+CD31-BASCの増大を誘導する。A、Vegfr2及びFgfr1の内皮特異的除去は、PNX後の肺毛細血管内皮細胞(PCEC)におけるMMP14の上方制御を弱めた。前述のように((Ackah, The Journal of clinical investigation 115:2119-2127 (2005);Murakami, The Journal of clinical investigation 121 (2011))、PNX後の再生しているマウス肺からPCECを単離した。シャムマウス(sham mouse)と比較したMMP14発現の上方制御を、それぞれ日3及び7に、対照とVegfr2iΔEC/iΔEC(左)又はVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+(右)マウスとの間で比較した。データは、一貫して平均±s.e.mとして示した;n=4。B、PNX後、肺中のVEGFR2の選択的活性化(リン酸化)は、器官を血管化新生化したが、他では、血管新生化しなかった。異なる器官におけるVEGFR2タンパク質レベルには、有意な違いがなかったにもかかわらず、VEGFR2活性化は、日7でPNX後の肺にしか生じなかった。この所見は、PNX後のVEGFR2の肺特異的活性化を示す。PNX後の肺中のVEGFR2活性化の動態を図3Aに示す。C、MMP14は、PNX後、肺血管系で特異的に上方制御されたが、心臓、脾臓、又は腎臓の血管床では、そうならなかった。PNX後のマウスの異なる器官において、MMP14(矢印)の発現及び局在化を調べた。PNX後の肺及び肝臓におけるMMP14の発現を図4Cに示す。D、MAPKinase及びAkt活性化内皮細胞(MAPK+Akt EC)は、SPC+AECIIの最も有意な増大を示した。ECとAECとの共培養を「方法」に記載した。n=5。E、CCSP+BASCは、共培養後、それらの表現型マーカーを維持した。CCSP(YFP)+細胞を、ECとの共培養後、フローサイトメトリーによって分析した。共培養後、BASCは、CCSP+Sca−1+CD31-細胞としての表現型の特徴を保持している。
PNX後、MMP14は、PCECによって特異的に産生され、誘導ECとの3Dアンギオスフェア(angiosphere)共培養において肺胞毛細血管様嚢(alveolar-capillary-like sac)の形成を誘導する。A、PNXは、残存する右葉におけるMMP14タンパク質の時間依存的な上方制御を誘導する。代表的なウェスタンブロット画像を示す。B、C、PNX後、VE−カドヘリン+PCEC中のMMP14の特異的上方制御は、フローサイトメトリー(B)及び免疫染色(C)によって示されるように、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて弱められる。VE−カドヘリン+PCEC(矢印)では、上方制御されたMMP14の共局在化(colocalization)が見られるが、肺切除された対照マウスの肝ECでは、見られなかった。スケールバー、100μm。D、E、SPC(YFP)+AECIIとMAPK及びAkt活性化初代EC(MAPK+Akt EC)との3D共培養は、アンギオスフェアを形成し、MMP14のアンギオクリン産生によってSPC+AEC増大のバイオリアクターを確立する。MAPK+Akt ECは、c−Rafを形質導入することによって生成され、それはMAPK経路と、Akt同時活性化を持続させるE4ORF1遺伝子とを活性化する。種々の群の代表的画像(D)及び定量(E)を示す。scr、スクランブルshRNA、CM、馴化培地。F、G、MMP14のアンギオクリン産生は、CCSP(YFP)+Sca−1+CD31-BASC-様細胞の増殖を支持する。さまざまな群の代表的画像(F)及び定量(G)を示す。
PNX後、MMP14は、PCECによって特異的に産生され、誘導ECとの3Dアンギオスフェア(angiosphere)共培養において肺胞毛細血管様嚢(alveolar-capillary-like sac)の形成を誘導する。A、PNXは、残存する右葉におけるMMP14タンパク質の時間依存的な上方制御を誘導する。代表的なウェスタンブロット画像を示す。B、C、PNX後、VE−カドヘリン+PCEC中のMMP14の特異的上方制御は、フローサイトメトリー(B)及び免疫染色(C)によって示されるように、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて弱められる。VE−カドヘリン+PCEC(矢印)では、上方制御されたMMP14の共局在化(colocalization)が見られるが、肺切除された対照マウスの肝ECでは、見られなかった。スケールバー、100μm。D、E、SPC(YFP)+AECIIとMAPK及びAkt活性化初代EC(MAPK+Akt EC)との3D共培養は、アンギオスフェアを形成し、MMP14のアンギオクリン産生によってSPC+AEC増大のバイオリアクターを確立する。MAPK+Akt ECは、c−Rafを形質導入することによって生成され、それはMAPK経路と、Akt同時活性化を持続させるE4ORF1遺伝子とを活性化する。種々の群の代表的画像(D)及び定量(E)を示す。scr、スクランブルshRNA、CM、馴化培地。F、G、MMP14のアンギオクリン産生は、CCSP(YFP)+Sca−1+CD31-BASC-様細胞の増殖を支持する。さまざまな群の代表的画像(F)及び定量(G)を示す。
PNX後、MMP14は、PCECによって特異的に産生され、誘導ECとの3Dアンギオスフェア(angiosphere)共培養において肺胞毛細血管様嚢(alveolar-capillary-like sac)の形成を誘導する。A、PNXは、残存する右葉におけるMMP14タンパク質の時間依存的な上方制御を誘導する。代表的なウェスタンブロット画像を示す。B、C、PNX後、VE−カドヘリン+PCEC中のMMP14の特異的上方制御は、フローサイトメトリー(B)及び免疫染色(C)によって示されるように、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて弱められる。VE−カドヘリン+PCEC(矢印)では、上方制御されたMMP14の共局在化(colocalization)が見られるが、肺切除された対照マウスの肝ECでは、見られなかった。スケールバー、100μm。D、E、SPC(YFP)+AECIIとMAPK及びAkt活性化初代EC(MAPK+Akt EC)との3D共培養は、アンギオスフェアを形成し、MMP14のアンギオクリン産生によってSPC+AEC増大のバイオリアクターを確立する。MAPK+Akt ECは、c−Rafを形質導入することによって生成され、それはMAPK経路と、Akt同時活性化を持続させるE4ORF1遺伝子とを活性化する。種々の群の代表的画像(D)及び定量(E)を示す。scr、スクランブルshRNA、CM、馴化培地。F、G、MMP14のアンギオクリン産生は、CCSP(YFP)+Sca−1+CD31-BASC-様細胞の増殖を支持する。さまざまな群の代表的画像(F)及び定量(G)を示す。
PNX後、MMP14は、PCECによって特異的に産生され、誘導ECとの3Dアンギオスフェア(angiosphere)共培養において肺胞毛細血管様嚢(alveolar-capillary-like sac)の形成を誘導する。A、PNXは、残存する右葉におけるMMP14タンパク質の時間依存的な上方制御を誘導する。代表的なウェスタンブロット画像を示す。B、C、PNX後、VE−カドヘリン+PCEC中のMMP14の特異的上方制御は、フローサイトメトリー(B)及び免疫染色(C)によって示されるように、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて弱められる。VE−カドヘリン+PCEC(矢印)では、上方制御されたMMP14の共局在化(colocalization)が見られるが、肺切除された対照マウスの肝ECでは、見られなかった。スケールバー、100μm。D、E、SPC(YFP)+AECIIとMAPK及びAkt活性化初代EC(MAPK+Akt EC)との3D共培養は、アンギオスフェアを形成し、MMP14のアンギオクリン産生によってSPC+AEC増大のバイオリアクターを確立する。MAPK+Akt ECは、c−Rafを形質導入することによって生成され、それはMAPK経路と、Akt同時活性化を持続させるE4ORF1遺伝子とを活性化する。種々の群の代表的画像(D)及び定量(E)を示す。scr、スクランブルshRNA、CM、馴化培地。F、G、MMP14のアンギオクリン産生は、CCSP(YFP)+Sca−1+CD31-BASC-様細胞の増殖を支持する。さまざまな群の代表的画像(F)及び定量(G)を示す。
PCEC由来のMMP14は、再生肺胞形成を支持する。A、PNX後、MMP14に対するmAbの中和は、肺質量及び体積の再生を止めた。B、MMP14の阻害は、E−カドヘリン+AECの増大を弱めた、n=5。スケールbar、100μm。MMP14 mAbで処置した肺胞において、立方体様SPC+E−カドヘリン+AECII(黄色の矢印)及び鱗状SPC-E−カドヘリン+タイプI様AEC(赤色の矢じり形)の両方で欠乏が見られた。C、D、PNX後、MMP14阻害は、E−カドヘリン+AECの増大を阻止したが、VE−カドヘリン+CD34+PCECでは、阻止されなかった、n=5。E、F、PNX後、MMP14の阻害は、肺胞再増殖を抑制し、肺胞サイズが拡大された。(E)MMP14に対するmAbの中和及びアイソタイプIgGで処置された肺切除された肺の代表的なH&E染色。mAb処置マウスでは肺胞サイズの増加が見られる(点線)。(F)PNX後の肺胞数及び肺胞サイズの定量。スケールバー、100μm。
PCEC由来のMMP14は、再生肺胞形成を支持する。A、PNX後、MMP14に対するmAbの中和は、肺質量及び体積の再生を止めた。B、MMP14の阻害は、E−カドヘリン+AECの増大を弱めた、n=5。スケールbar、100μm。MMP14 mAbで処置した肺胞において、立方体様SPC+E−カドヘリン+AECII(黄色の矢印)及び鱗状SPC-E−カドヘリン+タイプI様AEC(赤色の矢じり形)の両方で欠乏が見られた。C、D、PNX後、MMP14阻害は、E−カドヘリン+AECの増大を阻止したが、VE−カドヘリン+CD34+PCECでは、阻止されなかった、n=5。E、F、PNX後、MMP14の阻害は、肺胞再増殖を抑制し、肺胞サイズが拡大された。(E)MMP14に対するmAbの中和及びアイソタイプIgGで処置された肺切除された肺の代表的なH&E染色。mAb処置マウスでは肺胞サイズの増加が見られる(点線)。(F)PNX後の肺胞数及び肺胞サイズの定量。スケールバー、100μm。
PCEC由来のMMP14は、再生肺胞形成を支持する。A、PNX後、MMP14に対するmAbの中和は、肺質量及び体積の再生を止めた。B、MMP14の阻害は、E−カドヘリン+AECの増大を弱めた、n=5。スケールbar、100μm。MMP14 mAbで処置した肺胞において、立方体様SPC+E−カドヘリン+AECII(黄色の矢印)及び鱗状SPC-E−カドヘリン+タイプI様AEC(赤色の矢じり形)の両方で欠乏が見られた。C、D、PNX後、MMP14阻害は、E−カドヘリン+AECの増大を阻止したが、VE−カドヘリン+CD34+PCECでは、阻止されなかった、n=5。E、F、PNX後、MMP14の阻害は、肺胞再増殖を抑制し、肺胞サイズが拡大された。(E)MMP14に対するmAbの中和及びアイソタイプIgGで処置された肺切除された肺の代表的なH&E染色。mAb処置マウスでは肺胞サイズの増加が見られる(点線)。(F)PNX後の肺胞数及び肺胞サイズの定量。スケールバー、100μm。
MMP14のアンギオクリン産生は、HB−EGF及びラミニン5γ2鎖からのEGF様の外部ドメインを切断すること(shedding)によって肺胞形成を誘導する。A、B、PNXは、肺胞腔へのHB−EGFの時間依存的な放出を誘導し、それは、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて、又はMMP14中和によって阻害された。代表的なウェスタンブロット画像をAに示す。対照Vegfr2iΔEC/+マウスを、MMP14に対するmAbの中和(MMP14 mAb)により処置した;BAL、気管支肺胞洗浄液。BALF、BAL液;n=4。C、PNX後の日7に、PCEC中のVEGFR2及びFGFR1の活性化は、MMP14を上方制御し、ラミニン5γ2鎖の切断を生じた。D〜F、EGF注射は、PNX後のVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて、肺質量及び体積の再生(D)、毛細血管内のE−カドヘリン+AECの組み込み(E)並びに吸気量によって測定される肺機能及び静的コンプライアンス(F)を修復した。SPC−E−カドヘリン+AECII(赤色の矢じり形)及びSPC+E−カドヘリン+AECII(黄色の矢印)と毛細血管との強化された結合が見られる。n=4。(G〜I)PNX後の日7に、静脈内EGF注射は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+肺においてEGFRリン酸化を修復し(G)、SPC+AECIIの増殖を高めた(H、I)。SPC+AECII(白色矢印)では、増強された増殖が見られる。PNX後の増幅細胞集団の定量をIに示す、n=4。スケールバー、100μm。J、EC−AEC/BASC共培養培地及びMAPK+Akt EC馴化培地(CM)中のHB−EGFの放出は、MMP14に依存性である。K、EGFの局所的(気管内)送達は、肺質量及び体積の再生において改善をもたらす。n=5。
MMP14のアンギオクリン産生は、HB−EGF及びラミニン5γ2鎖からのEGF様の外部ドメインを切断すること(shedding)によって肺胞形成を誘導する。A、B、PNXは、肺胞腔へのHB−EGFの時間依存的な放出を誘導し、それは、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて、又はMMP14中和によって阻害された。代表的なウェスタンブロット画像をAに示す。対照Vegfr2iΔEC/+マウスを、MMP14に対するmAbの中和(MMP14 mAb)により処置した;BAL、気管支肺胞洗浄液。BALF、BAL液;n=4。C、PNX後の日7に、PCEC中のVEGFR2及びFGFR1の活性化は、MMP14を上方制御し、ラミニン5γ2鎖の切断を生じた。D〜F、EGF注射は、PNX後のVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて、肺質量及び体積の再生(D)、毛細血管内のE−カドヘリン+AECの組み込み(E)並びに吸気量によって測定される肺機能及び静的コンプライアンス(F)を修復した。SPC−E−カドヘリン+AECII(赤色の矢じり形)及びSPC+E−カドヘリン+AECII(黄色の矢印)と毛細血管との強化された結合が見られる。n=4。(G〜I)PNX後の日7に、静脈内EGF注射は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+肺においてEGFRリン酸化を修復し(G)、SPC+AECIIの増殖を高めた(H、I)。SPC+AECII(白色矢印)では、増強された増殖が見られる。PNX後の増幅細胞集団の定量をIに示す、n=4。スケールバー、100μm。J、EC−AEC/BASC共培養培地及びMAPK+Akt EC馴化培地(CM)中のHB−EGFの放出は、MMP14に依存性である。K、EGFの局所的(気管内)送達は、肺質量及び体積の再生において改善をもたらす。n=5。
MMP14のアンギオクリン産生は、HB−EGF及びラミニン5γ2鎖からのEGF様の外部ドメインを切断すること(shedding)によって肺胞形成を誘導する。A、B、PNXは、肺胞腔へのHB−EGFの時間依存的な放出を誘導し、それは、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて、又はMMP14中和によって阻害された。代表的なウェスタンブロット画像をAに示す。対照Vegfr2iΔEC/+マウスを、MMP14に対するmAbの中和(MMP14 mAb)により処置した;BAL、気管支肺胞洗浄液。BALF、BAL液;n=4。C、PNX後の日7に、PCEC中のVEGFR2及びFGFR1の活性化は、MMP14を上方制御し、ラミニン5γ2鎖の切断を生じた。D〜F、EGF注射は、PNX後のVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて、肺質量及び体積の再生(D)、毛細血管内のE−カドヘリン+AECの組み込み(E)並びに吸気量によって測定される肺機能及び静的コンプライアンス(F)を修復した。SPC−E−カドヘリン+AECII(赤色の矢じり形)及びSPC+E−カドヘリン+AECII(黄色の矢印)と毛細血管との強化された結合が見られる。n=4。(G〜I)PNX後の日7に、静脈内EGF注射は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+肺においてEGFRリン酸化を修復し(G)、SPC+AECIIの増殖を高めた(H、I)。SPC+AECII(白色矢印)では、増強された増殖が見られる。PNX後の増幅細胞集団の定量をIに示す、n=4。スケールバー、100μm。J、EC−AEC/BASC共培養培地及びMAPK+Akt EC馴化培地(CM)中のHB−EGFの放出は、MMP14に依存性である。K、EGFの局所的(気管内)送達は、肺質量及び体積の再生において改善をもたらす。n=5。
MMP14のアンギオクリン産生は、HB−EGF及びラミニン5γ2鎖からのEGF様の外部ドメインを切断すること(shedding)によって肺胞形成を誘導する。A、B、PNXは、肺胞腔へのHB−EGFの時間依存的な放出を誘導し、それは、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて、又はMMP14中和によって阻害された。代表的なウェスタンブロット画像をAに示す。対照Vegfr2iΔEC/+マウスを、MMP14に対するmAbの中和(MMP14 mAb)により処置した;BAL、気管支肺胞洗浄液。BALF、BAL液;n=4。C、PNX後の日7に、PCEC中のVEGFR2及びFGFR1の活性化は、MMP14を上方制御し、ラミニン5γ2鎖の切断を生じた。D〜F、EGF注射は、PNX後のVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて、肺質量及び体積の再生(D)、毛細血管内のE−カドヘリン+AECの組み込み(E)並びに吸気量によって測定される肺機能及び静的コンプライアンス(F)を修復した。SPC−E−カドヘリン+AECII(赤色の矢じり形)及びSPC+E−カドヘリン+AECII(黄色の矢印)と毛細血管との強化された結合が見られる。n=4。(G〜I)PNX後の日7に、静脈内EGF注射は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+肺においてEGFRリン酸化を修復し(G)、SPC+AECIIの増殖を高めた(H、I)。SPC+AECII(白色矢印)では、増強された増殖が見られる。PNX後の増幅細胞集団の定量をIに示す、n=4。スケールバー、100μm。J、EC−AEC/BASC共培養培地及びMAPK+Akt EC馴化培地(CM)中のHB−EGFの放出は、MMP14に依存性である。K、EGFの局所的(気管内)送達は、肺質量及び体積の再生において改善をもたらす。n=5。
MMP14のアンギオクリン産生は、HB−EGF及びラミニン5γ2鎖からのEGF様の外部ドメインを切断すること(shedding)によって肺胞形成を誘導する。A、B、PNXは、肺胞腔へのHB−EGFの時間依存的な放出を誘導し、それは、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて、又はMMP14中和によって阻害された。代表的なウェスタンブロット画像をAに示す。対照Vegfr2iΔEC/+マウスを、MMP14に対するmAbの中和(MMP14 mAb)により処置した;BAL、気管支肺胞洗浄液。BALF、BAL液;n=4。C、PNX後の日7に、PCEC中のVEGFR2及びFGFR1の活性化は、MMP14を上方制御し、ラミニン5γ2鎖の切断を生じた。D〜F、EGF注射は、PNX後のVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて、肺質量及び体積の再生(D)、毛細血管内のE−カドヘリン+AECの組み込み(E)並びに吸気量によって測定される肺機能及び静的コンプライアンス(F)を修復した。SPC−E−カドヘリン+AECII(赤色の矢じり形)及びSPC+E−カドヘリン+AECII(黄色の矢印)と毛細血管との強化された結合が見られる。n=4。(G〜I)PNX後の日7に、静脈内EGF注射は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+肺においてEGFRリン酸化を修復し(G)、SPC+AECIIの増殖を高めた(H、I)。SPC+AECII(白色矢印)では、増強された増殖が見られる。PNX後の増幅細胞集団の定量をIに示す、n=4。スケールバー、100μm。J、EC−AEC/BASC共培養培地及びMAPK+Akt EC馴化培地(CM)中のHB−EGFの放出は、MMP14に依存性である。K、EGFの局所的(気管内)送達は、肺質量及び体積の再生において改善をもたらす。n=5。
MMP14のアンギオクリン産生は、HB−EGF及びラミニン5γ2鎖からのEGF様の外部ドメインを切断すること(shedding)によって肺胞形成を誘導する。A、B、PNXは、肺胞腔へのHB−EGFの時間依存的な放出を誘導し、それは、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて、又はMMP14中和によって阻害された。代表的なウェスタンブロット画像をAに示す。対照Vegfr2iΔEC/+マウスを、MMP14に対するmAbの中和(MMP14 mAb)により処置した;BAL、気管支肺胞洗浄液。BALF、BAL液;n=4。C、PNX後の日7に、PCEC中のVEGFR2及びFGFR1の活性化は、MMP14を上方制御し、ラミニン5γ2鎖の切断を生じた。D〜F、EGF注射は、PNX後のVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて、肺質量及び体積の再生(D)、毛細血管内のE−カドヘリン+AECの組み込み(E)並びに吸気量によって測定される肺機能及び静的コンプライアンス(F)を修復した。SPC−E−カドヘリン+AECII(赤色の矢じり形)及びSPC+E−カドヘリン+AECII(黄色の矢印)と毛細血管との強化された結合が見られる。n=4。(G〜I)PNX後の日7に、静脈内EGF注射は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+肺においてEGFRリン酸化を修復し(G)、SPC+AECIIの増殖を高めた(H、I)。SPC+AECII(白色矢印)では、増強された増殖が見られる。PNX後の増幅細胞集団の定量をIに示す、n=4。スケールバー、100μm。J、EC−AEC/BASC共培養培地及びMAPK+Akt EC馴化培地(CM)中のHB−EGFの放出は、MMP14に依存性である。K、EGFの局所的(気管内)送達は、肺質量及び体積の再生において改善をもたらす。n=5。
野生型(WT)PCECの移植は、内皮Vegfr2及びFgfr1欠損マウスにおいて不完全な肺胞再生を修復する。A、肺胞再生の促進におけるPCECの寄与を明らかにするためのEC移植戦略。PNX後、ECを、WT同腹子の肺及び肝臓から精製し、レンチウイルスGFPで形質導入し、それぞれ日3及び7に、肺切除されたVegfr2iΔEC/iΔEC及びVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスに、頸静脈を通して移植した。B、機能的肺毛細血管へ移植されたGFP+PCECの取り込み。開存性血管系を同定するために、血管特異的イソレクチンの静脈内注入を用いた。レシピエントのVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+毛細血管に移植されたWT PCECの機能的取り込みを示す、灌流されたイソレクチン+GFP+PCECの存在が見られる。スケールバー、100μm。C、D、PCEC移植後のVegfr2iΔEC/iΔECマウスにおけるCCSP+BASC様細胞による潜在的増大の修復。(D)では、移植されたGFP+PCEC(緑色矢印)に隣接した増殖BrdU+CCSP+BASC様細胞(赤色矢印)の独特な局在化が見られる。E〜G、WT PCECの移植は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいてSPC+AECの増殖(E、F)及び肺機能(G)を修復する。増大しているBrdU+SPC+AEC(赤色矢印)は、移植されたPCEC(緑色矢印)と緊密に細胞結合していることが認められた(F)。
野生型(WT)PCECの移植は、内皮Vegfr2及びFgfr1欠損マウスにおいて不完全な肺胞再生を修復する。A、肺胞再生の促進におけるPCECの寄与を明らかにするためのEC移植戦略。PNX後、ECを、WT同腹子の肺及び肝臓から精製し、レンチウイルスGFPで形質導入し、それぞれ日3及び7に、肺切除されたVegfr2iΔEC/iΔEC及びVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスに、頸静脈を通して移植した。B、機能的肺毛細血管へ移植されたGFP+PCECの取り込み。開存性血管系を同定するために、血管特異的イソレクチンの静脈内注入を用いた。レシピエントのVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+毛細血管に移植されたWT PCECの機能的取り込みを示す、灌流されたイソレクチン+GFP+PCECの存在が見られる。スケールバー、100μm。C、D、PCEC移植後のVegfr2iΔEC/iΔECマウスにおけるCCSP+BASC様細胞による潜在的増大の修復。(D)では、移植されたGFP+PCEC(緑色矢印)に隣接した増殖BrdU+CCSP+BASC様細胞(赤色矢印)の独特な局在化が見られる。E〜G、WT PCECの移植は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいてSPC+AECの増殖(E、F)及び肺機能(G)を修復する。増大しているBrdU+SPC+AEC(赤色矢印)は、移植されたPCEC(緑色矢印)と緊密に細胞結合していることが認められた(F)。
野生型(WT)PCECの移植は、内皮Vegfr2及びFgfr1欠損マウスにおいて不完全な肺胞再生を修復する。A、肺胞再生の促進におけるPCECの寄与を明らかにするためのEC移植戦略。PNX後、ECを、WT同腹子の肺及び肝臓から精製し、レンチウイルスGFPで形質導入し、それぞれ日3及び7に、肺切除されたVegfr2iΔEC/iΔEC及びVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスに、頸静脈を通して移植した。B、機能的肺毛細血管へ移植されたGFP+PCECの取り込み。開存性血管系を同定するために、血管特異的イソレクチンの静脈内注入を用いた。レシピエントのVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+毛細血管に移植されたWT PCECの機能的取り込みを示す、灌流されたイソレクチン+GFP+PCECの存在が見られる。スケールバー、100μm。C、D、PCEC移植後のVegfr2iΔEC/iΔECマウスにおけるCCSP+BASC様細胞による潜在的増大の修復。(D)では、移植されたGFP+PCEC(緑色矢印)に隣接した増殖BrdU+CCSP+BASC様細胞(赤色矢印)の独特な局在化が見られる。E〜G、WT PCECの移植は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいてSPC+AECの増殖(E、F)及び肺機能(G)を修復する。増大しているBrdU+SPC+AEC(赤色矢印)は、移植されたPCEC(緑色矢印)と緊密に細胞結合していることが認められた(F)。
野生型(WT)PCECの移植は、内皮Vegfr2及びFgfr1欠損マウスにおいて不完全な肺胞再生を修復する。A、肺胞再生の促進におけるPCECの寄与を明らかにするためのEC移植戦略。PNX後、ECを、WT同腹子の肺及び肝臓から精製し、レンチウイルスGFPで形質導入し、それぞれ日3及び7に、肺切除されたVegfr2iΔEC/iΔEC及びVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスに、頸静脈を通して移植した。B、機能的肺毛細血管へ移植されたGFP+PCECの取り込み。開存性血管系を同定するために、血管特異的イソレクチンの静脈内注入を用いた。レシピエントのVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+毛細血管に移植されたWT PCECの機能的取り込みを示す、灌流されたイソレクチン+GFP+PCECの存在が見られる。スケールバー、100μm。C、D、PCEC移植後のVegfr2iΔEC/iΔECマウスにおけるCCSP+BASC様細胞による潜在的増大の修復。(D)では、移植されたGFP+PCEC(緑色矢印)に隣接した増殖BrdU+CCSP+BASC様細胞(赤色矢印)の独特な局在化が見られる。E〜G、WT PCECの移植は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいてSPC+AECの増殖(E、F)及び肺機能(G)を修復する。増大しているBrdU+SPC+AEC(赤色矢印)は、移植されたPCEC(緑色矢印)と緊密に細胞結合していることが認められた(F)。
詳細な説明
以下の説明では、本願の一部を構成し、例として実施されうる特定の実施態様が示されている添付の図面を参照のこと。これらの実施態様は、当業者が本発明を実施できるように詳細に記載されており、他の実施態様を用いることができ、本発明の範囲を逸脱することなく論理的な変更を実施できることは理解される。従って、例となる実施態様の以下の説明は、限定的な意味でとるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
技術的開示の性質及び主旨を迅速に確認できるよう要約を提供する。特許請求の範囲についての範囲又は意味の解釈又は限定に用いないという理解のもとに要約を提示する。
本発明者らは、組織特異的内皮細胞の適用及び/又は活性化によって器官再生を誘導又は強化できることを発見した。制限されることを望むわけではないが、これらの組織特異的内皮細胞は、例えば、酸素及び養分の交換に必要な血管系を発生させることによって、そしてさらに血管新生を促進し、器官特異的組織細胞を刺激して罹患器官の失われた組織を増殖させて再配置させる「アンギオクリン(angiocrine)」増殖因子を放出することによって、器官形成を促進すると仮定される。
内皮細胞及び組織特異的内皮細胞。「内皮細胞」及び「毛細血管内皮細胞」(EC)という用語は、本明細書では同じ意味で用いられ、血管又はリンパ管又は毛細血管の内表面を覆い、器官の微小血管系を形成し、器官特異的表現型の特徴、例えば細胞表面発現又は特異的タンパク質の発現欠如を有し、かつ器官特異的機能活性を発揮する、内皮の細胞のことである。一般に、内皮細胞は、血管内皮増殖因子受容体−2(VEGFR2+)及びVE−カドヘリン+の発現を特徴とする。ECは、CD62E/E−セレクチン(細胞接着分子)、VEGFR1(Flt1)、VEGFR3(Flt4)、フォン・ウィルブランド因子(vWF;第VIII因子の担体)、CD31(FL−3又はPECAM−1)、lyve−1、及びTie−2の1つ又はそれ以上の発現を場合によりさらに促進できる。
「組織特異的内皮細胞」(TSEC)は、特定の器官に特異的な内皮細胞である。TSECは、他の器官特異的細胞の増殖の誘導と、さらに再生組織の新たな血管系を形成する自己増殖との両方によって、器官組織の再増殖源を提供する。TSECは、本明細書に開示された組織に特異的なさらなるマーカーを加えたECマーカーの発現によって同定できる。本開示は、他の細胞からTSECを分離するのに使用できる組織特異的マーカーの同定によって、そして本明細書に記載された培養方法によって、本発明に従って使用するための組織特異的ECを単離及び増大させる方法を提供する。
例えば、肝特異的類洞EC(LSEC)は、VEGFR2+、VE−カドヘリン+、VEGFR3+、CD34-、及び第VIII因子+を特徴とする。LSECは、Sca−1-、ポドプラニン+(ムチン型膜貫通糖タンパク質)、lyve−1+(ヒアルロナン受容体)、prox−1-、及びスタビリン−1+(ヒアルロナン受容体)の1つ又はそれ以上のさらなるマーカーを特徴としてもよい。
さらなる例として、肺特異的毛細血管EC(PCEC)は、VEGFR2+、VE−カドヘリン+、CD34+、CD31+、及びFGFR1+(FGF−2受容体)を発現する。PCECのさらなる任意選択のマーカー特性には、c−kit+、cxcr4+、及びCD45-の1つ又はそれ以上が含まれる。
別の例として、骨髄特異的類洞ECは、特性マーカー:VEGFR2+、VE−カドヘリン+、VEGFR3+、及びCD34-を特徴とする。骨髄特異的類洞ECのさらなる任意選択のマーカー特性には、c−kit+、cxcr4+、CD45-、及びSca−1-の1つ又はそれ以上が含まれる。
さらなる例として、膵島TSECは、VEGFR2+、VE−カドヘリン+、及びCD34+を発現する。脳TSECは、VEGFR2+、VE−カドヘリン+、及びCD133+を発現し、場合によりさらにNotchリガンド+及びIGFBP1+(インスリン様増殖因子−結合タンパク質−1)+を発現する。
EC及びTSECの単離。本開示は、本発明の方法に使用するための単離されたEC及びTSECを提供する。「単離された」及び「精製された」という用語は、本明細書では同じ意味で用いられ、実質的に又は本質的に、その本来の環境から取り出された又はその中で濃縮された物質のことである。例えば、細胞が、通常、対象中で近くに見いだされる、他の内因性細胞タイプ、組織、及び物質から実質的に取り出される場合、細胞は単離される。細胞表面マーカーの発現に従った細胞タイプの精製及び単離の方法は、実証された方法論である。「実質的に単離された」細胞又は細胞集団は、対象の組織中に見いだされる他の細胞タイプ、組織、又は物質から少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、又はそれ以上単離された細胞又は細胞集団である。また、細胞又は細胞集団は、細胞サンプル中の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、又はそれ以上の細胞が、興味の細胞表面マーカーを発現するときに、「実質的に精製される」。
EC及びTSECは、適当なソース器官又は組織からのサンプルを解離させることによって単離できる。「ソース器官又は組織」とは、細胞を採取する器官又は組織を意味する。解離は、当業者に知られた技術を用いて容易に実施できる。このような技術の例としては、隣接する細胞間の結合を弱める、消化酵素及び/又はキレート剤を用い、それによって、ほとんど細胞を破損することなく、組織を個別細胞の懸濁液に分散させることが可能になる、機械的解離及び/又は処理が含まれるが、これらに限定されるわけではない。具体的には、酵素的解離は、組織を切り刻み、切り刻まれた組織を、単独の又は組み合わせた任意の多くの消化性酵素により処理することによって実施できる。適した酵素には、トリプシン、キモトリプシン、コラゲナーゼ、エラスターゼ、ヒアルロニダーゼ、DNase、プロナーゼ、及び/又はディスパーゼが含まれるが、それらに限定されるわけではない。機械的破壊(mechanical disruption)は、グラインダー、混合機、篩、ホモジナイザー、圧力セル、超音波破砕機(insonators)又は摩砕の使用を含むが、それらに限定されない多くの方法によって実施できる。Freshney, Culture of Animal Cells. A Manual of Basic Technique, 2d Ed., A. R. Liss, Inc., New York, 1987, Ch. 9, pp. 107 26.を参照のこと。
ソース組織を個々細胞の懸濁液にしたら、懸濁液を部分集団に分別して、そこからEC及びTSECを回収できる。分別は、特定細胞タイプのクローニング及び選択、望ましくない細胞の選択的破壊(負の選択(negative selection))、混合個体群中での細胞凝集性の差(differential cell agglutinability)に基づく分離、凍結融解法、混合個体群中での細胞の接着性差(differential adherence properties)、濾過、通常の及びゾーン遠心分離、遠心水簸(centrifugal elutriation)(向流遠心分離(counter-streaming
centrifugation))、ユニット重力分離(unit gravity separation)、向流分配、電気泳動及び蛍光活性化細胞分類を含むが、それらに限定されない細胞分離用の標準技術を用いて実施できる。Freshney, Culture of Animal Cells. A Manual of Basic Techniques,
2d Ed., A. R. Liss, Inc., New York, 1987, Ch. 11 and 12, pp. 137 68.を参照のこと。
EC及びTSEC単離のさらなる工程として、細胞選択を用いる。選択は、EC及びTSECの特性若しくはマーカー用いて細胞を選択するという点で「正(positive)」もよく、又は組織若しくは遠心分離された沈殿物内の他の細胞タイプの特性を用いて、EC及びTSECからそれらの他の細胞タイプを排除若しくは除去するという点では、「負(negative)」でもよい。分類方法のタイプとしては、磁気ビーズ単離(MAC)、蛍光活性化細胞分類(FACS)及び水簸が含まれる。選択に使用できる内皮特異的マーカーは、ECについて上で議論されており、TSEC選択は、所望のTSECの発現パターンによって変化する。
培養、分化、及び増大。本発明に従って単離されたEC及びTSECは、さまざまな供給源から培養して分化させることができる。例えば、EC及びTSECは、人工多能性細胞(induced pluripotent cell)(IPC)(Yu et al, 2007)、造血幹細胞(HSC)又は当分野で知られた方法を用いて処置される対象の他の細胞サンプルから誘導されたさまざまな他の幹細胞から分化させることができる。同様に、EC及びTSECは、非自己である、さまざまなこのような幹細胞の分化によって入手できる。さらに、EC及びTSECは、ヒト胚幹細胞(HESC)(Butler, Cell stem cell 6:251-264 (2010b))から分化させることができる。入手したEC及びTSECを、E4ORF1(Seandel, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 105:19288-93 (2008))でさらにトランスフェクトしてその寿命を延ばすことができる。
本開示は、例えばTSEC活性化のため、又は器官再生を誘導若しくは強化する移植のため、単離された細胞集団としてEC及びTSECを培養する方法を提供する。EC及びTSECは、上記のように組織サンプルから単離し、培養で増大させることができる。
例えば、EC又はTSECを、ソース組織又は器官の血管から単離し、PBS(Ca2+、Mg2+を含まない)で洗浄し、製造者の標準プロトコールに従って内皮細胞増殖培地(例えば、EGM内皮増殖培地、Lonza, Inc.;又は内皮細胞培地、Becton Dickenson)を含むゼラチンコーティングされた組織培養皿へ移すことができる。滅菌#10外科用メスの刃を用いて、血管の長さに沿って1mm断面切断を行う。より大きな血管は、3つの切り目を入れて最初に縦方向に切断し、血管を開いて平らにしてから、血管内腔を組織培養皿の表面に向けて反転させる。切開後すぐに、さらなる内皮細胞培地を各皿に加えることができる。培地は、培地要素、例えば、血清1%、2%、3%、5%、8%、又は10%又はそれ以上の培地中の濃度が得られるウシ血清のような血清;増殖因子、例えばEGF、VEGF、FGF及び/又はIGF;及びさらなる薬剤、例えばヒドロコルチゾン、アスコルビン酸、トリプシンインヒビター、抗生物質、及び/又はヘパリンを場合により含むことができる。培養物を、加湿された37℃.5%CO2雰囲気に置く。
5〜21日の培養でECコロニーを確認できる。集密単層が確立された後(最適には30日以内)、使用済みの培地を集め、内皮細胞単層をPBS(Ca++、Mg++を含まない)で十分に洗浄し、トリプシン処理し(トリプシン0.25mg/mL、5mmol/L EDTA、37℃、10分;GIBCO)、そして20mLの内皮細胞培地を含む、ゼラチンコーティングされた75cm2のフラスコ(Costar, Cambridge, Mass.)中に継代培養する。EC単層を、培地と共に毎週供給し、初代細胞のいくつかの継代を確立し、そして場合により保存できる。特定の実施態様では、肝特異的EC(肝類洞EC又はLSEC)形態のTSECを単離する。LSECの単離及び精製は、例えば、「マウス細胞の単離及び培養」下で、実施例1に記載したように、肝組織のコラゲナーゼ消化、続いてLSECマーカーに特異的な結合磁気ビーズにおけるLSECの分離によって実施できる。単離されたLSECの培養は、「内皮細胞を用いた共培養における肝細胞増殖の測定」下で実施例1に記載したように実施できる。LSECは、VEGFR3+CD34-を特徴とするのに対して、非類洞ECは、VEGFR3-CD34+を特徴とする。LSECは、LSECマーカーVEGFR3+CD34-VEGFR2+VE−カドヘリン+第VIII因子+に特異的な磁気ビーズの使用によってソース組織から単離してもよい。
単離されたLSECの培養は、「内皮細胞を用いた共培養における肝細胞増殖の測定」下で、実施例1に記載されたように本質的に実施できる。例えば、LSECは、血管内皮増殖因子−A(VEGF−A164)(例えば5ng ml-1)、そしていくつかの実施態様では、ウシ胎児血清(FBS、例えば、1%)で補充された、ECの培養に適した培地(例えばウィリアムズE培地(Invitrogen))で培養できる。さらなる適した補充物としては、L−グルタミン(例えば2mmol l-1)、デキサメタゾン(例えば、10-9mol l-1)、ストレプトマイシン(100U ml-1)及びペニシリン(100U ml-1)が含まれる。細胞を数日から数週間、例えば、少なくとも5日、2又は3週間まで培養して、所望の数の細胞を生成させることができる。培地が、培地中にVEGF−A及び/又はVEGF−Eを含むような、所望のLSEC培養を維持する要素を含むならば、培養条件の変更が許容されることは、当業者によって理解される。
別の特定の実施態様では、肺特異的EC形態のTSEC(肺毛細血管EC、すなわちPCEC)を単離する。PCECの単離及び精製、並びに初代PCECの培養は、PCECマーカーVE−カドヘリン+VEGFR2+FGFR1+CD34+CD31+に特異的な磁気ビーズの使用によるPCECの分離を用いて、上記の肝組織に関するように実施できる。
初代PCECの培養は、FGF、VEGF−A及び/又はVEGF−Eを培地に添加してVE−カドヘリン+VEGFR2+FGFR1+CD34+PCECを生成させて、上記の肝組織に関するように実施できる。
誘導TSEC及び内皮前駆細胞。本開示は、誘導TSECをさらに提供する。「誘導」TSECとは、1つ又はそれ以上の器官発生活性を誘導するTSECのことである。このような器官発生活性には、例えば、血管系の形成、組織特異的パラクリンの増殖因子である「アンギオクリン因子」の産生及び放出、並びに組織特異的な細胞有糸分裂及び/又は増殖の誘導が含まれる。一般に、誘導TSECは、上に記載されたTSECのマーカー特
性のほとんど又はすべて、並びに1つ又は複数のさらなるマーカーを発現する。例えば、誘導LSECは、VEGFR2+VE−カドヘリン+VEGFR3+CD34-第VIII因子+wnt2+及びHGF+(肝細胞増殖因子)+の発現によって定義することができる。誘導PCECは、VEGFR2+VE−カドヘリン+CD34+CD31+FGFR1+MMP14+の発現によって定義することができる。
誘導TSECを産生するため、組織特異的発現パターンに従って、TSECを上記の組織から単離し、組織特異的増殖因子を用いた培養によって活性化できる。例えば、LSECは、VEGF−A及び/又はVEGF−Eを用いた培養によって活性化され、LSEC
VEGFR2/Id1経路を活性化して誘導LSECを生成させることできるのに対して、PCECは、VEGF−A、FGF−2、EGF及び/又はMMP14を用いた培養によって活性化され、PCEC VEGFR2/FGFR1/MAPK経路を活性化して誘導PCECを生成させることができる。
別法として、誘導TSECは、誘導マーカーを担持するTSECの単離によって、例えば特異的マーカーの磁気ビーズ単離(MAC)又は蛍光活性化細胞分類(FACS)による、誘導マーカーを担持するTSECの正の選択によって、外科的に切除された組織から単離できる。器官喪失は、TSECによって感知され、TSEC活性化を導き、失われた組織質量を再生する。従って、誘導TSECは、損傷を受けた又は切除された組織から直接単離できる。特定の例として、誘導LSECは、外科的に除去された肝組織からVEGFR2+VE−カドヘリン+VEGFR3+CD34-第VIII因子+wnt2+HGF+細胞の単離によって、これらの方法において直接選択できる。さらなる例として、PCECは、外科的に除去された肺組織からVEGFR2+VE−カドヘリン+CD34+CD31+FGFR1+MMP14+細胞の単離によって直接選択できる。
本発明によるEC、TSEC、及び誘導TSECは、器官再生を必要とする対象に対して自己由来、同種異系、又は異種でもよい。最も好ましくは、本発明に用いる細胞タイプは、自己由来である。異種細胞は、例えば適当な細胞マーカーを発現するトランスジェニック動物から単離できる。
TSECと他の非内皮組織特異的細胞との相互作用は、器官質量を再生する。本開示は、in vivo及びin vitroの両方で非内皮組織特異的細胞と相互作用して組織増殖を促進する誘導TSECを提供する。TSECの活性化は、有糸分裂及び非内皮組織特異的細胞の増殖を誘導する。非内皮組織特異的細胞の増殖は、器官質量及び機能の修復に必要であり、TSEC介在性アンギオクリンシグナル及び細胞間接触によって部分的に引き起こされる。肝特異的非内皮細胞の例は、肝細胞であり、肺特異的非内皮細胞の例としては、肺胞上皮前駆細胞(AEC、例えばAECII細胞)及びBASCが含まれる。
例えば、肝臓では、誘導LSECが、「誘導血管新生」過程により肝細胞増殖を刺激する。すなわち、LSECは、肝細胞増殖因子(HGF)及びWnt2のアンギオクリン産生を介して肝細胞増殖を促進する。この誘導血管新生の後、LSEC自体は、「増殖血管新生(proliferative angiogenesis)」を受けて再生している肝組織の血液供給における増加した需要を満たす。
さらなる例として、誘導PCECは、肺中の機能的肺胞毛細血管嚢をまとめて再構築する肺上皮前駆細胞の増殖を刺激する。肺再生の初期には、PCEC中のVEGFR2の活性化によりMMP14が上方制御され、肺上皮前駆細胞の増大が起こる。VEGFR2活性化の後に、PCEC FGFR1発現レベルが、誘導される。その時、MMP14生成の増大させるにあたって、FGFR1は、VEGFR2と共同作用し、それによって、肺胞の再生を持続させる。従って、PCECにおけるVEGFR2及びFGFR1の逐次的活性化は、肺上皮前駆細胞の増殖に至るMMP14産生によって、部分的に機能的肺胞の毛細血管ユニットの再生を誘導する。
さらに、本開示は、TSECと他の非内皮組織特異的細胞とを共培養して器官再生を強化又は誘導する方法を提供する。非内皮組織特異的細胞とTSECとの共培養は、培養中の非内皮組織特異的細胞及びTSECの両方の細胞数を増加させることができる。例えば、TSECと非内皮組織特異的細胞との共培養では、TSECの数を、培養液中に播種されたTSECの最初の数から、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%又はそれ以上増加させることが期待される。別法として、又はさらに、TSECと非内皮組織特異的細胞との共培養では、非内皮組織特異的細胞の数を、培養液中に播種された非内皮組織特異的細胞の最初の数から少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%又はそれ以上増加させることが期待される。in vitroで細胞数を決定する方法は、当分野で知られている。
一実施態様において、本開示は、肝細胞を肝類洞内皮細胞と共培養することによって、培養中の前記肝細胞を増大させる方法を提供する。LSECと肝細胞との共培養のため、I型コラーゲンでコーティングされた100mmの皿で10,000個の単離された初代肝細胞を培養し、500,000個のLSECを播種した。培養条件は、L−グルタミン(2mmol l-1)、1%ウシ胎児血清(FBS)、血管内皮増殖因子−A(VEGF−A164)(5ng ml-1)、10-9mol l-1のデキサメタゾン、ストレプトマイシン(100U ml-1)及びペニシリン(100U ml-1)で補充されたウィリアムズE培地(Invitrogen)を含む。2週間のインキュベーション後、細胞を集めた。単離された肝細胞をLSECと共インキュベーション(co-incubation)すると、肝細胞数を2倍、3倍、5倍、7倍、又は9倍又はそれ以上増加させることができる。
従って、本開示は、肝細胞を肝類洞内皮細胞と共培養することによって培養中の肝細胞を増大させる方法を提供する。本発明者らは、肝細胞とLSECとの共培養が、肝細胞の増大を導くと確定した。その場合、このような肝細胞は、肝再生を必要とする対象に投与するために産生できる。
別の実施態様において、本開示は、肺上皮前駆細胞を肺毛細血管内皮細胞と共培養することによって、培養中の前記肺上皮前駆細胞を増大させる方法を提供する。PCEC及び肺特異的SPC+AECII及びBASC上皮前駆細胞の共培養では、上記の培養条件下で、培地にc−Rafを添加し、単離された上皮前駆細胞を、10倍多いPCECと共に播種してMAPK活性化EC(Akt+MAPK PEC)を生成させる。共培養のため、単離されたSPC+AECII及びBASCを非付着性の皿で培養し、10倍多いAkt+MAPK−PCECを播種する。Akt+MAPK−ECからの馴化培地をAECに加える。共培養の後、例えば、フローサイトメトリー分析によってAECII、BASC、及びPCECを定量できる。
培養中の増大後、器官再生を必要とする対象へ導入するため、TSEC及び他の非内皮組織特異的細胞を作ることができる。培養されたTSEC及び/又は非内皮組織特異的細胞は、例えば、非動物源から誘導された成分を含む培地を用いて、ヒト対象へ再導入するための細胞の増殖と一致した培地中で培養し、再導入された細胞に対する免疫原性反応を最小限にできる。このような特殊な培地及び培地成分は、商業的に入手可能であり(例えば、Lonza, Inc.から)、生産者のプロトコール従って使用できる。対象へ導入する前に、細胞を洗浄して残留培地を除去し、対象に投与するための細胞製剤に処方する。本明細書に用いる「細胞製剤」とは、対象に投与できる、誘導TSEC、EPC及び/又は非内皮組織特異的細胞を含む、TSECの組成物のことである。細胞製剤を、場合によりさらなる賦形剤と合わせて対象に導入するための医薬組成物を形成できる。
器官再生。本開示は、器官再生の強化又は開始を必要とする対象において器官の再生を強化するか又は開始させる方法であって、前記器官に特異的な内皮細胞又は前記器官に特異的な誘導内皮細胞を、器官再生を強化するか又は開始させるために十分な量で、前記対象中の器官再生が望まれる体の領域に投与することを含む、器官の再生を強化するか又は開始させる方法を提供する。
本明細書に用いる「対象」は、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他の齧歯動物、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、又は霊長類の動物、そして最も好ましくはヒトを含む、任意の動物を含む。本発明の方法及び組成物は、哺乳動物、例えばヒトに投与できるが、また、他の哺乳動物、例えば獣医学的処置を必要とする動物、例えば、家庭用動物(例えば、イヌ、ネコ、及び同類のもの)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、及び同類のもの)及び実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、及び同類のもの)にも投与できる。本発明の方法において処置される対象は、器官再生が望ましい対象である。
本明細書に用いる「器官再生」という用語は、器官又は器官の一部の増殖又は再増殖のことである。器官再生の好ましい結果は、器官機能の改善又は修復である。器官再生は、例えば、処置前の器官特異的細胞、器官特異的組織、及び/又は器官特異的機能の量と比較して器官特異的細胞、器官特異的組織及び/又は器官特異的機能の増加を特徴とすることができる。器官特異的細胞又は器官特異的組織における増加は、例えば、本発明の方法及び組成物で処置した後、器官特異的細胞の数を測定するか、又は組織量を質量若しくは体積で測定し、このような測定値を、処置前の器官特異的細胞又は組織の測定値と比較することによって決定できる。器官質量又は体積の測定は、in vivoで、例えば、MRIのような撮像技術を用いることにより算出してもよい。本発明の方法による処置後の器官の細胞数、質量、又は体積における増加は、処置前に推定された又は実際の前記器官の細胞数、質量、又は体積と比較して、細胞数、質量、又は体積の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%又はそれ以上の増加であることができる。
同様に、器官特異的機能の増加は、本発明の方法及び組成物で処置した後の器官機能の1つ又はそれ以上の態様を測定し、このような測定値を処置前の器官機能の測定値と比較することによって決定できる。本発明の方法による処置後の器官特異的機能の増加は、処置前の器官機能の1つ又はそれ以上の態様と比較して、器官機能の前記1つ又はそれ以上の態様における、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%又はそれ以上の増加であることができる。このような測定を実施する方法は、当分野で知られている。
本明細書に用いる器官再生を「強化する」とは、再生を必要とする器官の細胞数、質量、体積、又は機能の量を高めること、又は若干の器官再生が自然に発生するかもしれないが、このような自然に発生する器官再生では、再生の量若しくは速度が不十分である対象において、器官再生速度を高めることである。不十分な再生の量又は速度は、例えば、90日の期間で、器官特異的細胞の数、質量、体積、又は機能が1%、2%、5%、10%、又は20%より少ない増加である。器官再生を「開始する」とは、再生を必要とする器官の細胞数、質量、又は体積の量を高めること、又は器官再生が明らかに生じていない対象において器官再生の速度を高めることである。
さらに、本開示は、組織特異的EC及び誘導TSECを、場合により生物学的に許容しうる担体と組み合わせて、さらに場合により非内皮組織特異的細胞と組み合わせて含む、細胞製剤及び組成物を提供する。例えば、本明細書に開示された細胞は、投与に適した医薬組成物に組み込むことができる。このような組成物は、細胞製剤及びさらなる許容しうる担体を含むことができる。本明細書に用いる「生物学的に許容しうる担体」は、生物学的製剤投与と適合しうる、任意の及びすべての溶媒、分散培地、コーティング、抗菌剤、及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、並びに同類のものを含むものとする。適した担体は、当分野の標準参照テキスト、Remington's Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されており、それは参照により本明細書に組み込まれている。
このような担体又は希釈剤の好ましい例には、水;生理食塩水;デキストロース溶液;ヒト血清アルブミン;HBSS及び関連分野の熟練技術者に知られた他の緩衝液(Ca++及びMg++を含むもの及びそれらを含まないもの);及び基本培地が含まれるが、それらに限定されるわけではない。また、リポソーム及び非水性媒体、例えば固定油を用いもよい。薬学的活性物質のためのこのような培地及び薬剤の使用は、当分野でよく知られている。任意の通常の培地又は薬剤が活性化合物と適合しない以外は、組成物中のその使用が考えられる。また、補助活性化合物を組成物に組み込むことができる。例えば、医薬組成物は、増殖因子、例えばVEGF−A、VEGF−E、FGF−2、EGF、又はMMP14を場合によりさらに含んでもよい。
肝再生のため、特定の実施態様の医薬組成物は、VEGFR3+CD34-VEGFR2+VE−カドヘリン+第VIII因子+Prox−1-CD45-細胞を含む。肺再生のため、特定の実施態様の医薬組成物は、VE−カドヘリン+VEGFR2+FGFR1+CD34+細胞を含む。
本発明による細胞製剤は、TSEC及び誘導TSECを、場合により非内皮組織特異的細胞と組み合わせて、そしてさらに支持する生物学的又は合成細胞外マトリックス又はマトリックス物質(ECM)と混合して又は合わせて含むことができる。当業者にとっては明らかであるが、「ECM」という用語は、多細胞生物の体の至るところに分布している非細胞性物質のことである。このような混合物は、器官組織の増殖の足場を提供できる。ECMは、多様な成分、例えば糖タンパク質、プロテオグリカン、複合体炭水化物、及び他の分子を含む。ECMの主な機能としては、構造的支持、引張強さ、又は緩衝作用を提供すること;細胞接着及び細胞移動のための基質(substrates)及び経路を提供すること;並びに細胞分化及び代謝的機能を調節すること、が含まれるが、それらに限定されるわけではない。ECMタンパク質には、例えば、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、ビトロネクチン、トロンボスポンジン、テネイシン(サイトアクチン(cytoactin))、エンタクチン(ニドジェン)、オステオネクチン(SPARC)、アンコリンCII、コンドロネクチン、結合タンパク質、オステオカルシン、骨シアロタンパク質、オステオポンチン、エピネクチン(epinectin)、ヒアルロネクチン、アミロイドP成分、フィブリリン、メロシン、s−ラミニン、ウンダリン(undulin)、エピリグリン(epilligrin)、及びカリニンが含まれる。本発明による使用に好ましいECMタンパク質には、コラーゲン、アルギナート、アガロース、フィブリン、フィブリン糊、フィブリノーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、HSP、キトサン、ヘパリン及び/又は他の合成ポリマー又はポリマーの足場が含まれる。
組成物又は製剤は、注射、例えばボーラス注射、又は持続注入による非経口投与のために処方できる。組成物は、油性又は水性媒体中の懸濁液、溶液又は乳濁液のような形態をとることができ、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤のような製剤化剤(formulatory agents)を含んでもよい。別法として、組成物又は製剤は、例えば、外科手術中に、例えば、罹患した器官又はその一部を除去した直後、患部に投与される移植片として、作製してもよい。
本発明による組成物の投与は、患者の種、年齢、体重、性別、及び医学的状態;再生が望まれる、損傷を受けた又は罹患した器官のタイプ及び重症度;投与経路;及び使用する特定の細胞を含む、さまざまな因子に従って実施される。通常の知識を有する医師又は獣医は、器官再生の強化又は誘導に必要な有効量を容易に決定し、処方できる。
本明細書に用いる「十分な量」は、上に定義された、器官特異的細胞、器官特異的組織及び/又は器官特異的機能における増加を達成するため、対象に投与する細胞又は医薬組成物の量である。例えば、本発明の方法又は組成物による処置は、処置前の器官特異的細胞の数、質量、体積、又は機能の量と比較して、180日の期間にわたって、器官特異的細胞の数、質量、体積、又は機能を、1%より多く、2%より多く、5%より多く、10%より多く、又は20%より多く高めることができる。
本発明のTSEC、誘導TSEC、又は組成物は、受療体(patients)の処置に十分な量で受療体に投与され、それは、熟練した専門家によって決定できる。処置に必要な細胞数は、器官のタイプ、MRIのような医用撮像技術を用いて決定される、失われた又は損傷を受けた器官成分のサイズ(又は領域)、受療体の年齢及び/又は体重などを含む多くの因子によって決まる。一般に、1×106〜10×106、より好ましくは2×106〜8×106の範囲の細胞数を受療体に投与できることが期待される。従って、特定の受療体及び処置する器官に応じて、投与する細胞数は、約2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、又は8×106であることができる。これらの量は、例えば、LSEC及び肝細胞の肝共投与におけるように、TSECを、他の非内皮組織特異的細胞と共投与する場合、TSECの総数、又は対象に投与するすべての細胞の合計のことであってもよい。さらなる実施態様では、TSEC増殖因子、例えばLSEC活性化にはVEGF、又はPCEC活性化にはEGFを、対象へのTSECの投与中か又はその後に投与する。
本発明による細胞又は組成物の投与後、器官再生は、上記のように、細胞数、器官質量、又は体積、及び/又は器官機能における増加によって測定できる。
本発明の実施態様では、本発明の医薬組成物又は細胞製剤を、器官の外科的切除中か又はその後に、例えば、肝切除若しくは肺切除中か又はその後に投与する。
肝特異的再生。本開示は、肝再生を強化する方法を提供する。本発明の一実施態様は、肝再生の強化を必要とする哺乳動物において肝再生を強化する方法であって、肝特異的内皮細胞又は誘導肝特異的内皮細胞の肝内投与を含む、肝再生を強化する方法を提供する。
肝変性に至る肝疾患は、肝細胞がん、肝硬変、肝線維症及び肝炎でありうる。肝線維症は、慢性アルコール乱用;薬物(例えば、アセトアミノフェン、アミオダロン、アスピリン、アザチオプリン、イソニアジド、メチルドパ、メトトレキセート、ミトルフラントイン、プロピルチオウラシル、スタチン、及びスルホンアミド)の慢性暴露;特定の化学薬品(例えば、四塩化炭素、ジメチルニトロソアミン、塩化ビニル、ポリ塩化ビフェニル、アフラトキシン、及び農薬)の慢性暴露;マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)による感染;糖尿病;自己免疫障害(例えば、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、ルポイド肝炎)、及び炎症性腸疾患;並びに他の状態を含むが、それらに限定されない、さまざまな慢性毒性傷害のいずれかに起因する、肝臓中の瘢痕組織の増殖のことである。肝硬変は、肝実質が悪化し、小葉が脂肪で浸潤され、密集した小葉辺縁性結合組織が形成される、変性状態である。結果として、残存する細胞への血液供給が低下して門脈亢進症、そして最終的に死亡に至る。さらに、いくつかの遺伝性疾患、例えばウイルソン病、HHC、及びα1抗トリプシン欠損症があり、それらは肝臓に機能障害を生じ、肝硬変又は慢性肝炎を生じることがある。
さらに、本開示は、VEGFを単独で又はLSECの投与と組み合わせて投与することを含む、肝再生を強化するか又は開始させる方法を提供する。本発明者らは、LSECが肝臓中でVEGFR2及びVEGFR3を発現し、そしてVEGF−A及び/又はVEGF−Eの投与により、LSEC活性化、肝細胞増殖のLSEC介在性刺激、LSEC増殖、肝再生、及び肝血管再生が誘導されることを発見した。
さらに、本開示は、肝再生の強化又は誘導を必要とする対象にVEGF−A、VEGF−E、又はFGF−2、及び/又はId1アゴニストを投与することによって、肝再生を強化又は誘導する方法を提供する。本発明者らは、これらの増殖因子が、組織再生における肝細胞及びLSEC生成の誘導並びに血管新生によって肝器官形成を促進し、このように正常な肝機能を促進することを確定した。
さらに、本開示は、LSECの肝内投与によって肝再生を強化又は誘導する方法を提供する。本発明者らは、LSECが、肝細胞の増殖を誘導して新たな組織を形成することを見いだした。肝細胞増殖の誘導後、LSEC自体は、増殖して組織を再生する血管を支持する。
また、本開示は、肝機能低下を患っている対象において乏血管性(hepatovascular)機能を改善する方法であって、肝細胞とLSEC、特にVEGFR2+Id1+LSECとの肝内同時移植を含む、乏血管性機能を改善する方法を提供する。
本明細書に用いる「肝機能」という成句は、タンパク質合成、例えば血清タンパク質[例えば、アルブミン、凝固因子、アルカリホスファターゼ、アミノトランスフェラーゼ(例えば、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ)、5'−ヌクレオシダーゼ、ガンマ−グルタミニルトランスペプチダーゼ、など]、ビリルビンの合成、コレステロールの合成、及び胆汁酸の合成;炭水化物代謝、アミノ酸及びアンモニア代謝、ホルモン代謝、並びに脂質代謝を含むが、それらに限定されない肝代謝機能;外因性薬物の解毒;コレステロール、胆汁酸、リン脂質及びビリルビンの排泄(excertion)機能;並びに内臓及び門脈血流動態を包含する血流力学的機能を含むが、それらに限定されない肝臓の機能のことである。
肺特異的再生。本開示は、肺再生を強化又は誘導する方法を提供する。一実施態様において、本開示は、肺又は肺胞の再生を必要とする哺乳動物における肺又は肺胞の再生を誘導する方法であって、肺再生の強化又は誘導に十分な量での肺毛細血管内皮細胞(PCEC)又は誘導PCECの静脈内又は気管内投与を含む、肺又は肺胞の再生を誘導する方法を提供する。
本発明の別の実施態様は、MMP14を発現するPCEC又はECの静脈内又は気管内投与によって、肺胞形成を必要とする哺乳動物において肺胞形成を誘導する方法を提供する。
本発明のさらなる実施態様は、MMP14を投与することによって、肺胞形成を必要とする哺乳動物において肺胞形成を誘導する方法を提供する。
また、本発明は、肺胞形成を必要とする哺乳動物において肺胞形成を誘導する方法であって、ラミニン5γ2からのHB−EGF及びEGF様フラグメントを含む、上皮増殖因子(EGF)又はEGF受容体リガンドを発現するPCECの静脈内又は気管内投与による、肺胞形成を誘導する方法を提供する。
本発明のさらなる実施態様は、EGFを投与することによって、肺胞形成を必要とする哺乳動物において肺胞形成を誘導する方法を提供する。
本発明の別の実施態様は、PCECで発現されたVEGFR2又はFGFR1の活性化のため、VEGF−A、VEGF−E、又はFGF−2の投与によって、肺胞形成を必要とする哺乳動物において肺胞形成を誘導する方法を提供する。
本発明の方法によって誘導される肺再生は、肺機能が損なわれるか又は肺気量が低下する、さまざまな肺疾患及び損傷の処置に有用である。これらの方法は、損傷した、罹患した又はがんにかかった肺組織の外科的切除後の肺組織の再生に有用である。これらの方法は、例えば、炎症及び/又は内皮細胞の早期死滅(premature death)を含む肺疾患にさらに有用である。これらの方法で処置できる肺疾患には、成人呼吸窮迫症候群(ARD)、外傷性ARD、気腫、慢性閉塞性肺窮迫症候群(COPD)、慢性気管支炎、喘息、気腫、肺形成不全、肺高血圧症、嚢胞性線維症、肺がん、喘息、肺外傷、又は他の遺伝的若しくは先天的肺異常、例えば、気管支性嚢胞、肺無形成及び形成不全、多肺胞葉、肺胞毛細血管異形成、動静脈奇形(AVM)及び三日月刀症候群を含む分画症、肺リンパ管拡張症、又は先天性大葉性肺気腫が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
肺損傷は、化学的に誘発された肺損傷であることができる。肺損傷は、肺疾患によって生じることがある。肺損傷は、肺線維症、サルコイドーシス、石綿症、アスペルギルス腫、アスペルギルス症、肺炎、肺結核、リウマチ様肺疾患、気管支拡張症、気管支炎、気管支肺異形成又は間質性肺疾患からなる群から選択される少なくとも1つの状態によって生じることがある。
本明細書に用いる「肺機能」及び「肺の機能」という成句は、呼吸、酸素摂取量、CO呼出、呼吸、ガス交換、並びに粘液及び気管支分泌物の産生を含む、それらに限定されない、肺及び/又は肺系統の機能のことである。
本説明を、以下の実施例によってさらに例示するが、それらはなんら制限するものとして解釈すべきではない。すべての引用文献(本願に引用された、参照文献、発行された特許、公開された特許出願を含む)の内容は、参照により本明細書によって明白に組み込まれる。
〔実施例1〕
肝再生
トランスジェニックレポーター及び遺伝子標的化動物
C57BL/6Jマウスは、Jackson Laboratoriesから得た。VEGFR2−GFPマウスは、J. Rossant (Ema, Blood 107:111-117 (2006))から入手した。Id1-/-マウスを、以前に記載されたとおり(Nam, Cell Stem Cell 5:515 -526 (2009))生成させ、そしてR. Benezra and D. Lyden.から得た。
VEGFR2loxP/loxPマウスを、T.N. Satoによって生成させて、内皮特異的誘導性VEGFR2ノックアウトマウスを用いた実験を、以前に記載されたとおり実施した(Hooper, Cell Stem Cell 4:263-274 (2009))。簡潔には、潜在的Cre介在性毒性を説明するため、VEGFR2loxP/loxPマウスと、それからRosaCre−ERT2トランスジェニックマウスとを交配させてRosaCre−ERT2VEGFR2loxP/loxP系統及び対照ROSA−CreERT2VEGFR2loxP/+を確立した。また、VEGFR2の内皮特異的ノックダウンを誘導するため、L. Iruela-Arispaによって提供されたVE−カドヘリン−CreERT2マウスを、VEGFR2loxP/loxPマウスと交雑させてVE−カドヘリン−CreERT2VEGFR2loxP/loxPマウスを生成させた。VEGFR2遺伝子除去(gene ablation)を誘導するため、6〜8週齢の雄マウスを、タモキシフェン250mg kg-1ヒマワリ油の用量で6日間、腹腔内処置し、第3の投与(the third dose)後、3日間中断した。3日休止後、第4の投与(fourth dose)をさらに3日間再開して、両方の対立遺伝子でVEGFR2が欠損したROSA−CreERT2VEGFR2flox/flox(VEGFR2fl/fl)マウス、内皮細胞特異的VEGFR2ノックダウンを有した、対照ROSA−CreERT2VEGFR2fl/+マウス又はVE−カドヘリン−CreERT2VEGFR2fl/flマウスを生成させた。すべての動物実験は、動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)によって設定されたガイドラインの下で実施した。
70%部分肝切除モデルを用いてマウスの生理学的肝再生を誘導した。肝質量の70%を構成する、3つのほとんどの前葉(右葉内側、左葉内側及び左葉外側)を、尾状葉及び右葉への血液供給を損傷することなく切除した。100mg kg-1の腹腔内ケタミン及び10mg kg-1のキシラジンによってマウスに麻酔をかけた。正中線開腹術(midline
laparotomy)を、麻酔下のマウスで実施した。上腹部を開いて肝臓を露出させた後、切除する左葉を静かに持ち上げると同時に、5−0絹製縫合糸の結び目(silk suture tie)(Roboz)を葉の下側に置き、葉の起点のできるだけ近くに配置した。下大静脈近くの葉底部から肝葉の上部にかけて縫合糸の両端を結んだ。3つの結び目をつくり、顕微解剖用はさみ(microdissecting)を用いて縫合糸に対してちょうど遠位で結ばれた葉を切断した。この過程を、他の中葉について繰り返して70%の部分肝切除を行った。その次に、腹膜を、連続した(running)5−0絹製縫合糸で再接合し、皮膚を連続した4−0絹製縫合糸で閉じた。
シャム手術マウス(Sham-operated mice)には、肝切除なしに開腹術を行った。肝質量及び機能の再生を特徴づけるため、残存肝葉の質量を測定して、部分肝切除後のさまざまな日数の時点でマウス体重に対して標準化し、そしてそれぞれ、70%部分肝切除後の血漿ビリルビンレベルを評価した(Genzyme Diagnostics)。部分肝切除モデルをCCl4誘導肝損傷モデルと比較するため、以前に記載されたとおり(LeCouter, Science 299:890-893 (2003))、CCl4を腹腔内に注射した。VEGF−A又はPlGFによって促進された肝再生を試験するため、マウスを、15μg kg-1の組換え型VEGF164(Biovision)及び同量のPlGF(Biovision)で、手術12時間前、そしてその後1日2回処置した。また、Id1-/-マウス及び野生型同腹子にも、手術の前及び後に同様のVEGF164及びPBS処置を施した。
肝免疫蛍光検査及びGFPの検出
VEGFR2−GFP、VEGFR2fl/fl、Id1-/-及び同腹子対照マウスを部分肝切除又はシャム手術にかけ、4%パラホルムアルデヒドで灌流させ、低温保護し(cryoprotected)、そしてOCT中で瞬間凍結させた。肝微小血管系の分析のため、以前に記載されたとおり(Hooper, Cell Stem Cell 4:263 -274 (2009))、殺す5分前に、マウスに2mg kg-1のGriffonia simplicifoliaレクチン(イソレクチンB4、Invitrogen)を静脈注射した。免疫蛍光顕微鏡検査のため、肝切片(10μm)をブロックし(5%ロバ血清/0.3%トライトンX−100)、そして一次抗体:抗VEGFR3モノクローナル抗体(mAb、mF4−31C1、10μg ml-1、ImClone)、抗VE−カドヘリンポリクローナルAb(pAb、2μg ml-1、R&D Systems)、抗CD34mAb(553731、5μg ml-1、BD Biosciences)、抗ホスホ−ヒストンH3(Millipore)及び抗HNF4A抗体(Abcam)中にインキュベートした。フルオロフォア結合二次抗体(2.5μg ml-1、Jackson ImmunoResearch)中でインキュベーション後、切片をTOPRO3又はDAPI(Invitrogen)で対比染色した。
in vivo肝細胞増殖をBrdU取り込みによって測定した。簡潔には、マウスに、死亡60分前に腹腔内へのBrdU(Sigma)の単回投与(50mg kg-1動物体重の用量で)を行った。死亡時に、マウスには麻酔がかかっており、血液を下大静脈から採取し、残存する肝葉を取り出し、計量し、そしてさらに処理した。BrdU Detection System(BD Biosciences)及びフルオロフォア結合二次抗体(2.5μg ml-1、Jackson ImmunoResearch)を用いて凍結切片を染色した。
画像収集及び画像分析
オリンパス(Olympus)BX51顕微鏡(Olympus America)に装備されたAxioVisionソフトウェア(Zeiss)を用いて、肝切片の免疫組織化学画像を得た。免疫蛍光検査画像は、AxioVert LSM510、又は710共焦点顕微鏡(Zeiss)で得た。Image J(National Institutes of Health)を用いて、デジタル画像を内皮マーカー(VE−カドヘリン+)及び機能的灌流血管(イソレクチン+)の密度について分析した。血管密度は、それぞれ強拡大視野×400中の全領域に対する正の成分のパーセンテージによって表した。
マウス細胞の単離及び培養
変更を伴う二段階コラゲナーゼ灌流技術によって、シャム手術及び部分肝切除を受けたマウスから、肝細胞、LSEC、星細胞及びクッパー細胞を単離した(Tam, Nature Med.
12:793-800 (2006);Passino, Science 315:1853-1856 (2007) ; Kumar, J. Clin. Invest. 116:512-520 (2006) ; Winau, Immunity 26:117-129 (2007) ; Kreamer, In Vitro Cell. Dev. Biol. 22:201-211 (1986))。簡潔には、下大静脈にカニューレを挿入して門脈を切断した後、肝臓に、下大静脈を通してLiver Perfusion Medium(Invitrogen)を37℃、5ml分-1で10分間灌流させ、続いて、Liver Digest Medium(Invitrogen)を、さらに10分間灌流させた肝臓を、Hepatocyte Wash medium(Invitrogen)中で解離させ、70μmの孔を有するダクロンファブリックを通過させ、そして低速遠心分離(50g×5分)によって非実質性肝細胞減損画分(NPC)から分離させ、それを、以前に記載されたとおり(Kreamer, In Vitro Cell. Dev. Biol. 22:201-211 (1986))、ストックパーコール溶液を用いたパーコール勾配遠心分離によってさらに精製した。NPCを含む上清を集め、50gで5分間、2回洗浄し、350gで7分間沈殿させ(pelleted)、そして以前に記載されたとおり(Kreamer, In Vitro Cell. Dev. Biol. 22:201-211 (1986))、75%ストックパーコール溶液及び35%ストックパーコール溶液を用いたパーコール勾配遠心分離(900g×20分)で分別した。LSECを含む画分を富化し、等量のPBSと混合し、そして900gで7分間遠心分離した。沈殿物をDMEM(Invitrogen)により350gで7分間洗浄し、そしてマウスLSEC結合磁気ビーズ(Miltenyi)によってさらに標識した。LSECの精製は、製造者のプロトコールに従って実施した。星細胞及びクッパー細胞の精製は、以前に記載されたとおり実施した(Passino, Science 315:1853-1856 (2007); Kumar, J. Clin. Invest. 116:512-520 (2006); Winau, Immunity 26:117-129 (2007))。
LSECのフローサイトメトリー分析、同定及び定量
精製されたモノクローナル抗体を、生産者のプロトコール(Molecular Probes/Invitrogen)に従ってAlexa Fluor色素又はQdotsに結合させた。精製された肝細胞減損NPC(hepatocyte-depleted NPC)をLSRIISORP(BD)で分析した。データをFACSDiva 6.1ソフトウェア(BD)で処理した。FSC−W×FSC−H及びSSC−W×SSC−H分析によってダブレット(doublets)を排除し、補正のため単一染色チャネルを用い、フルオロフォアマイナスワン(fluorophore minus one)対照をゲーティング(gating)に用いた。モノクローナル抗体は、注釈された場合を除いて、BDから購入した:VE−カドヘリン(BV13、ImClone);VEGFR3(mF4−31C1、ImClone);VEGFR2(DC101、ImClone);CD45(30−F11、BD Biosciences);CD34(14−0341、eBioscience)。
LSECの定量のため、肝臓を上のように機械的に調製し、VEGFR2、VEGFR3、VE−カドヘリン、CD34に対する結合抗体を用いた共染色によってSEC数を定量した。SEC数は、VEGFR3+CD34-VEGFR2+VE−カドヘリン+細胞の数に等しい。VEGFR3-CD34+VEGFR2+VE−カドヘリン+細胞を非SECとして評価した。
内皮細胞との共培養における肝細胞増殖の測定
ヒトLSECは、ScienCell Research Laboratoriesから得た。LSEC中でId1を選択的にノックダウンするため、Fugene 6(Roche Applied Science)によって、293T細胞中に、Id1/スクランブルshRNA、pENV/VSV−G 3μg、pRRE5μg及びpRSVRev 2.5μgを含むシャトルレンチウイルスベクター15μgを、同時形質移入することによって、Id1/スクランブル低分子ヘアピン型RNA(Scrambled short hairpin RNA)(shRNA)を生成させた。ウイルス性の上清を、超遠心分離によって濃縮した。これらの濃縮ウイルス性製剤を用いてLSEC又は肝細胞に形質導入した。
共培養研究のため、10,000個の単離された初代肝細胞をI型コラーゲンでコーティングされた100mmの皿中で培養し、それぞれ、500,000個のLSEC、又はId1/スクランブルshRNAレンチウイルスで処理されたLSECを播種した。培養条件は、L−グルタミン(2mmoll-1)、1%ウシ胎児血清(FBS)、血管内皮増殖因子−A(VEGF−A164)(5ng ml-1)、10-9mol l-1のデキサメタゾン、ストレプトマイシン(100U ml-1)及びペニシリン(100U ml-1)で補充されたウィリアムズE培地(Invitrogen)からなる。各群からの細胞を2週後に集めた。LSEC及び肝細胞を視覚化するため、上記のように、LSECをmCherryレンチウイルス(pCCL主鎖中)によって標識し、肝細胞をGFPレンチウイルスで感染させた。また、2週間培養した500,000個のLSECから馴化培地を集め、0.22μmフィルターを通して濾過し、そしてLSEC共培養がない場合、1:2の希釈度で10,000個の肝細胞に加えた。LSEC及び肝細胞の数を、mCherry及びGFPシグナルのフローサイトメトリー分析によって評価した。回収した肝細胞数を、最初に播種した肝細胞数と比較することによって肝細胞増殖を定量した。
アフィメトリクス分析及び定量的リアルタイムPCR分析
RNeasy(Qiagen)を用いて肝臓からRNAを新たに単離し、Superscript II(Invitrogen)を用いて相補的DNAに変換した。マイクロアレイは、Mouse U133 2.0(Affymetrix)を用いて実施した。RNA品質、サンプル標識化、ハイブリダイゼーション及び発現分析の方法の詳細は、Affymetrix Microarray Kitのマニュアルに従った。定量的PCRは、マウスVEGFR2、VEGFR3、Id1、HGF、Wnt2、Wnt9B及びTM(Applied Biosystems)のTaqman遺伝子発現システムを用いて実施した。
再生LSECの肝移植
野生型(Id1+/+)マウス並びに週齢及び性別がマッチしたId1-/-マウスにおいて多小葉70%の部分肝切除を実施した。部分肝切除の48時間後、LSECを、野生型マウス(Id1+/+再生LSEC)から単離し、上記のようにGFPレンチウイルス(pCCL主鎖中)形質導入によって標識化した。移植方法は、以前に記載されたものから改良した(Follenzi, J. Clin. Invest:118, 935 -945 (2008))。簡潔には、部分肝切除の48時間後、Id1-/-マウスに麻酔かけ、右側臥位に配置した。左側腹部をベタジンでスクラブし、皮膚及び腹壁を縦方向に(脊椎と並行に)切開した。脾臓を体外に出した後、Id1+/+再生LSECを、27ゲージ注射針によって脾実質に注射した。注射後、脾摘出を実施した。また、Id1+/+再生LSECの救済効果を比較するため、Id1-/-及び野生型マウスを、部分肝切除(シャム移植(sham transplant))の2日後、PBSの脾内注射及び脾摘出にかけた。LSEC中のWnt2及びHGF発現を導入するため、Wnt2及びHGF相補DNAをOpen Biosystemsから購入し、上記のようにレンチウイルスベクターにクローニングした。Wnt2若しくはHGFをコードするウイルス、又は同量の混合型Wnt2及びHGFによるLSECの感染を、GFPレンチウイルス感染により実施した。
データ分析
すべてのデータは、少なくとも3つの別々の実験の平均±s.e.m.として示した。スチューデントt検定又は分散分析を用いて、統計的有意性について群間の違いを試験した。統計的有意性をP<0.05に設定した。
部分肝切除及び肝再生。
本発明者らは、肝再生の仲介におけるLSECの指示的役割を解明するため、生理学的に関連した部分肝切除モデルを用いた(図1A)。LSECの組織化を損ない、組織低酸素、細胞死及び炎症を生じる肝毒性化学物質の投与(Lee, Hepatology 45:817-825 (2007);LeCouter, Science 299:890-893 (2003);Friedman, Physiol. Rev. 88:125-172 (2008))と対照的に、部分肝切除モデルにおいて、肝質量の70%切除は、残存肝血管系の完全性を乱すことなく(Greene, Ann. Surg. 237:530-535 (2003))、肝細胞再生を活性化する(Fausto, Hepatology 43:S45-S53 (2006); Michalopoulos, Science 276:60-66 (1997); Greenbaum, J. Clin. Invest. 102:996-1007 (1998))。このように、本モデルは、肝再生の支持における構造的かつ機能的に無傷のLSECの役割を調べるための有益なモデルを提供する。
VEGFは、肝再生に関与する。
VEGFファミリーが、骨髄SECの再生における役割を果たすため(Hooper, Cell Stem Cell 4:263-274 (2009) ; Ferrara, Nature Med. 9:669-676 (2003) ; Carmeliet, Nature 438:932-936 (2005) ; Alitalo, Nature 438:946-953 (2005))、本発明者らは、VEGFR2又はVEGFR3を含むVEGF受容体も、またLSEC機能を調節すると仮定した。従って、本発明者らは、VEGFR2及びVEGFR3が、肝内皮細胞中で排他的に発現されることを示すため、緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現がVEGFR2の天然プロモーター(native promoter)によって誘発される、VEGFR2−GFPマウスを用いた。これに対して、本発明者らは、他の肝細胞タイプ、例えば肝細胞核因子4α(HNF4A)+肝細胞では、VEGFR2及びVEGFR3が発現されないことを見いだした(図2A)。特に、VEGFR3発現の分布は、CD34+VEGFR3-大血管から分岐したVEGFR2+LSECに制限される。VEGFR3発現は、体中に血液を運ぶ動脈及び静脈のようなより大きな血管系を形成するECについては典型的ではない。従って、LSEC中のVEGFR3の発現により、LSECは、器官特異的でないECと区別される(図2B)。
LSECの独特な発現表現型の同定により細胞特異的定量、精製及び分子プロファイリングが可能である。
本発明者らは、非造血性VEGFR3+VEGFR2+CD45-LSECでの内皮特異的マーカーVE−カドヘリンの発現を示すため、非実質細胞(NPC)における多変性フローサイトメトリー分析を実施した。本発明者らは、これらの細胞の97.6%が、凝固第VIII因子を発現するProx1-CD34-内皮細胞であることを見いだした(図2C、D)。Prox1-CD34-細胞は、非リンパ細胞である(Alitalo, Nature 438:946 -953 (2005))。これは、VEGFR3+CD34-VEGFR2+VE−カドヘリン+第VIII因子+Prox−1-CD45-血管として成体マウスのLSECの独特な表現型の特徴及び操作上の特徴(operational signature)が、VEGFR3-CD34+VEGFR2+VE−カドヘリン+CD45-非類洞内皮細胞及びVEGFR3+CD34+Prox−1+第VIII因子-CD45-リンパ管内皮細胞からのものとは区別されることを示している。VEGFR3+CD34-としてのLSEC及びVEGFR3-CD34+としての非類洞内皮細胞の同定は、非類洞ECからLSECの定量、精製、及び分子プロファイリングに十分である。
肝細胞とLSECとの間の再生相互作用の同定
LSECが肝臓増殖を調節する機構を確定するため、本発明者らは、部分肝切除後の肝細胞及びLSECの再生動態を試験した。本発明者らは、VE−カドヘリン、上皮肝細胞マーカー(E)−カドヘリン及び有糸分裂マーカーリン酸化ヒストン−3を用いた染色によって示されるように、部分肝切除の2日後、P−H3+E−カドヘリン+有糸分裂肝細胞が、非増殖LSECの近位にあることを見いだした(P−H3;図2E)。これは、LSECが血管新生増殖シグナルを放出して、肝細胞の有糸分裂及び増殖を誘導することを示唆している。本発明者らは、部分肝切除後のLSEC血管新生シグナル伝達の初期段階の後、LSEC増殖が日4で認められ、日8にプラトーに達することを見いだした(図2F)。LSEC増殖と対照的に、本発明者らは、P−H3+HNF4A+肝細胞の定量によって示されるように、肝細胞増殖が最初の4日でピークに達し、日8に安定になることを確定した(図2G)。
これらの結果は、肝再構築の仲介におけるLSECの経時的二段階寄与(chronologically biphasic contribution)を示している。部分肝切除の初期段階(部分肝切除の後日1〜3)で、非増殖LSEC中の誘導血管新生は、例えばアンギオクリン因子の放出によって肝再生を刺激する。肝細胞増殖の初期段階後、このモデルでは部分肝切除の4日後、LSECが増殖して、再生している肝臓のために増加した血液供給の需要を満たす。
従って、本発明者らは、部分肝切除後、肝SEC(LSEC)が、「誘導血管新生」の過程により肝細胞増殖を刺激し、すなわち、LSECが、肝細胞増殖因子及びWnt2のアンギオクリン産生を介して肝細胞増殖を促進することを確定した。さらに、本発明者らは、この誘導血管新生後に、LSEC自体が「増殖血管新生」を受けて、再生している肝組織の血液供給における増加した需要を満たすことを確定した。
肝増殖を開始及び維持するためにLSECを刺激するには、Pl−GF/VEGFR1ではなく、VEGF−A/VEGFR2の活性化が重要である。
LSEC誘発性肝再生中のVEGF受容体の有意性を研究するため、VEGFR2loxP/loxPマウスをROSA−CreERT2マウスと交雑させて条件つきでVEGFR2遺伝子を欠失させ、誘導性VEGFR2欠損VEGFR2flox/flox(VEGFR2fl/fl)マウスを生成させるように実験を設計した(図3J)(Hooper, Cell Stem Cell 4:263-274
(2009))。肝中のVEGFR2の内皮細胞特異的発現のために、VEGFR2fl/flマウスでは肝内皮細胞だけでなく、非内皮細胞も、また機能的欠陥を呈すると考えられる。対照マウスは、VEGFR2遺伝子(VEGFR2fl/+)のヘテロ接合欠失を有した。部分肝切除の48時間後、ブロモデオキシウリジン+肝細胞増殖(BrdU+HNF4A+細胞数)は、VEGFR2fl/flマウスで67%減少した(図3A、B)。特に、この初期段階でVE−カドヘリン+イソレクチン+潅流血管の開存性にもかかわらず、VEGFR2fl/flマウスでは、肝質量の再生が弱められた(図3C)。従って、肝再生の初期段階(部分肝切除日1〜3)では、VEGFR2を標的設定すると、主に肝細胞再生を誘導する内皮由来のアンギオクリン因子の効果が損なわれるが、血管灌流能力は損なわれない。従って、VEGFR2は、肝再生の初期段階でアンギオクリンシグナルに反応して肝細胞増殖を誘導するのに重要である。
さらに、本発明者らは、VEGFが増殖血管新生及び正常な器官機能の修復にも重要であることを確定した。本発明者らは、肝再生の後期段階(部分肝切除日4〜8)で、VEGFR2fl/flマウスでは増殖血管新生が不完全であり(図3C)、開存性VE−カドヘリン+イソレクチン+血管系の構築を妨げ(図3D、E)、それによって、少なくとも28日間、肝質量の修復を弱めることを見いだした。さらにまた、VEGFR2fl/flマウスでは、血漿ビリルビンレベルの上昇によって明らかなように、部分肝切除後の肝機能が異常であった。肝再生の仲介における内皮特異的VEGFR2機能を確認するため、VEGFR2loxP/loxPマウスをVE−カドヘリン−CreERT2マウスとも交雑させてVEGFR2の内皮選択的欠失を誘導した(図3K)。VE−カドヘリン-CreERT2VEGFR2fl/flマウスにおける肝質量及び灌流血管の形成は、いずれも、部分肝切除後に低下し、それは肝再生の仲介におけるVEGFR2の有意性を強調している。
本発明者らは、VEGF−A/VEGFR2経路が、LSEC誘発性肝再生を促進する場合、VEGF−Aが肝再生を誘導又は強化するはずであると仮定した。本発明者らは、VEGF−Aの投与が、肝再生を促進することを見いだした。本発明者らは、VEGF−A164の効果を、VEGFR1だけを選択的に活性化する胎盤増殖因子(Pl−GF)と比較した(Carmeliet, Nature 438:932-936 (2005))。部分肝切除後、VEGF164は、肝質量及びVEGFR3+CD34-LSECの数の両方の再生を促進し、それは少なくとも28日間持続したが、PlGFでは、そうならなかった(図3F、G)。従って、部分肝切除後、Pl−GF/VEGFR1ではなく、VEGF−A/VEGFR2の活性化が、肝増殖を開始及び維持するためにLSECを刺激するのに重要である。
Id1の上方制御によるVEGF−A/VEGFR2経路の活性化は、肝再生を誘発する。
肝再生を刺激するアンギオクリンシグナルを同定するためにマイクロアレイ分析を用いた。内皮特異的遺伝子の中で、転写因子Id1は、部分肝切除によって活性化された内皮細胞中で特異的に上方制御された(Lyden, Nature 401:670-677 (1999))。venus−YFP発現がId1プロモーターによって誘発される、Id1venusYFPレポーターマウス(Nam, Cell Stem Cell 5:515-526 (2009))を用いて、部分肝切除の48時間後に、LSEC中でId1上方制御が排他的に見いだされ(図3H)、それは、VEGFR2fl/flマウスにおいて有意に弱められた(図3I)。注目すべきことに、部分肝切除後のId1欠損(Id1-/-)マウスの肝質量回復は、28日間損なわれ、そしてVEGF−A164投与しても変わらなかった(図4A、J)。さらにまた、部分肝切除後、Id1-/-マウスは、有糸分裂BrdU+HNF4A+肝細胞数の有意な減少、機能性VE−カドヘリン+イソレクチン+血管形成の破壊、VEGFR3+CD34-LSECの増殖の低下、及び血漿ビリルビンレベルの増加によって立証される肝機能異常を示した(図4B、C、K)。従って、Id1の上方制御によるVEGF−A/VEGFR2経路の活性化は、肝再生を誘発する。
LSEC−肝細胞共培養は、肝細胞再生の機能的LSEC誘導にId1が必要であることを示す。
また、肝細胞増殖におけるLSECのアンギオクリン機能を仲介する際のId1上方制御の役割を、LSEC−肝細胞共培養系によって試験した。単離された肝細胞と、初代LSECとの共インキュベーションでは、肝細胞数が9倍増加し、これを、LSEC中のId1のノックダウンによって選択的に除去した(図4D、E)。LSECからの馴化培地は、肝細胞増殖の支持に失敗し、LSECから誘導されたアンギオクリン機能における細胞接触の重要性を強調している。従って、Id1の欠如は、LSECの誘導機能不全を生じ、肝細胞再生を損なう。
Id1+/+LSECの移植は、Id1-/-肝臓における肝再生を修復する。
Id1+/+LSECのin vivoアンギオクリン効果が、Id1-/-マウスで肝細胞再生を開始できるかどうかを決定するため、部分肝切除後の日2に、脾内移植アプローチを用いてId1-/-肝血管系にLSECを移植した(図4F)(Follenzi, J. Clin. Invest:118, 935-945 (2008))。GFP標識Id1+/+LSECをVEGFR3+類洞血管内腔に選択的に組み込むと、肝質量の再生及びLSEC増大が修復された(図4G)。対照的に、移植されたId1-/-LSECは、Id1-/-肝臓の再生の修復に失敗した。さらに、Id1-/-肝臓では、部分肝切除後の日2にGFP+Id1+/+LSECを移植すると、そのすぐ近位で肝細胞の増殖が開始された(図4H、I)。従って、Id1コンピテントLSEC(Id1-competent LSECs)の組み込みによってもたらされた部分的血管性キメリズムは、Id1-/-肝臓中の肝増殖を開始するのに十分な内皮細胞由来の誘導シグナルを生成させる。
LSEC中のId1上方制御は、Wnt2及びHGF発現の誘導により肝細胞増殖を開始する。
肝再生を誘導する内皮由来アンギオクリン因子を同定するため、部分肝切除の48時間後に野生型及びId1-/-マウスから精製されたLSECを分析した。知られている肝トロフォゲン(Klein, Hepatology 47:1018-1031 (2008); Huh, Proc. Natl Acad. Sci. USA 101:4477-4482 (2004) ; Goessling, Cell 136:1136-1147 (2009); Ober, Nature 442:688-691 (2006) ; Thompson, Hepatology 45:1298-1305 (2007)では、Wnt2及びHGFの発現が、Id1-/-LSECにおいて急激に弱められたが、Wnt9B及びトロンボモジュリンのようなLSECによって発現される他のトロフォゲンでは、弱められなかった(図5A)。これらの結果は、LSEC中のId1上方制御が、Wnt2及びHGF発現の誘導により肝細胞増殖を開始することを本発明者らに示唆した。
LSECの脾内移植は、Id1/Wnt2/HGFを通して肝切除後の肝再生を誘導する。
肝再生におけるId1及びWnt2/HGFシグナル伝達の効果を試験するため、Wnt2、HGF、又は両方で形質導入されたId1-/-LSECを、部分肝切除後の日2に、脾内移植によってId1-/-肝血管系に移植した。Wnt2及びHGF(Id1-/-Wnt2+HGF+)を担持するId1-/-LSECのみ、Id1-/-肝臓中の質量の再生及びLSEC増大を修復し(図5B)、それはHGFとWnt2との間の共同効果を示唆している。特に、Id1-/-Wnt2+HGF+LSEC又はId1+/+LSECをId1-/-マウスに移植すると、有糸分裂BrdU+HNF4A+肝細胞数が非常に増加した(図5C)。有糸分裂肝細胞は、移植されたId1-/-Wnt2+HGF+GFP+LSECに隣接して配置されていることがわかった(図5D)。従って、Id1活性化LSECは、Wnt2及びHGFの合成により並置された肝細胞の増殖を誘導する(図5E)。
従って、条件つきのVEGFR2ノックアウトId1-/-マウス及び内皮細胞移植の使用は、部分肝切除によって誘導された生理学的肝再生を組織化する際に、VEGFR3+CD34-VEGFR2+VE−カドヘリン+第VIII因子+Prox1-CD45-LSECとして操作上定義される、特定の器官特異的血管性ニッチ細胞の不可欠なアンギオクリンの役割を示した。血管新生腫瘍血管中のId1の上方制御(Lyden, Nature 401:670-677 (1999))と同様に、Id1発現は、正常なLSECでは最小限であるが、部分肝切除後に、VEGFR2の活性化は、血管新生LSEC中のId1の排他的上方制御を誘導する。
さらに、部分肝切除後の最初の3日に、VEGFR2-Id1経路の活性化により非増殖VEGFR3+CD34-VEGFR2+Id1+LSECにおける誘導血管新生プログラムのスイッチが入り、これにより、アンギオクリン因子Wnt2及びHGFの産生を通して、肝増殖が惹起されることが示された。その後、再生している肝臓がさらなる血液供給を必要とするため、LSECのVEGFR2-Id1介在性増殖血管新生が、肝血管性質量を再構成する。理論によって拘束されることなく、このデータは、LSECが二相機構を通して肝再生を支持することを示唆している。すなわち、部分肝切除直後の初期段階で、誘導血管新生LSECがアンギオクリン因子の放出を通して、器官形成を促進するのに対して、増殖血管新生LSECは、増大する肝質量を血管新生化して持続させる。
本研究は、Id1-/-マウスへのId1-/-Wnt2+HGF+LSECの移植が、肝再生を誘導及び強化することを示す。この発見、並びにVEGFR2及びId1欠損マウスにおいて肝増殖がひどく弱められるという観察は、LSECには、アンギオクリン因子を合成することによって肝増殖を開始するために誘導血管性ニッチを確立する能力が与えられていることを示している。さらに、別法として、肝再生を開始及び修復するため、肝臓以外の組織から誘導された内皮前駆細胞(EPC)を、LSECの代わりに代用できる。特に、VEGFR2+Id1+EPCは、構造的に血管壁に組み込むよりはむしろアンギオクリン因子の放出を通して血管新生を開始できる。このように、EPCの肝内移植は、肝再生を促進する細胞療法の新たな方法を切り開く。
本研究に用いる部分肝切除モデルでは、残存肝葉の血管完全性は、最小限の炎症性反応で維持され、それによって、内皮依存性肝再生を研究するための理想的なモデルを確立している。しかし、化学的に誘発された肝損傷において、重度の血管損傷及び細胞死では、肝再生を支持するため、星細胞を含む他の非内皮細胞(Friedman, Physiol. Rev. 88:125-172 (2008))及び血管新生促進造血細胞(pro-angiogenic haematopoietic cells)、例えばCXCR4+VEGFR1+造血前駆細胞(hemangiocytes)(Jin, Nature Med. 12:557-567 (2006))の補充が必要となることがある。
部分肝切除後の肝臓の迅速な再生には、多くの肝細胞の集合的かつ包括的な増殖が必要である。実際に、各肝細胞がLSECに隣接して存在するため、肝細胞のこの著しく調和のとれた活性化は、部分肝切除後の残存肝臓を通して成熟肝細胞の増殖を誘導するアンギオクリン依存性再生プログラムのスイッチを入れることによって達成される。また、アンギオクリン因子は、成熟肝細胞に加えて、肝前駆細胞の増殖も促進できる(Zaret, Science 322:1490-1494 (2008))。
本研究において、Wnt2及びHGFは、肝再生を誘発する肝特異的アンギオクリン因子として認められた。また、本発明は、肝再生を調節するため、Wnt2及びHGFと共同作用できる他のアンギオクリン因子の存在、例えば内皮特異的細胞外マトリックス成分、プロテアーゼ、接着分子及びケモカインを提供する。
さらに、本開示は、発生的器官形成及び成体の器官形成の調節における血管系の特異性を解明できる、定義されたアンギオクリン因子の組織特異的発現を提供する。
これまで、肝細胞移植による肝再生の試みは、限定的に成功している(Follenzi, J. Clin. Invest:118, 935-945 (2008))。ここに示された研究は、肝細胞又はその前駆細胞(Zaret, Science 322:1490-1494 (2008))とVEGFR2+Id1+LSEC又はEPCとの同時移植は、現在、外傷性又は感染性の肝損傷を負った受療体において乏血管性機能を救うための有効な戦略のデザインをもたらすことを示している。
〔実施例2〕
肺再生
トランスジェニックレポーター及び遺伝子標的化動物
内皮特異的Vegfr2及びFgfr1誘導性ノックアウトマウスの生成を、
記載されたとおり(Hooper, Cell stem cell 4:263-274 (2009);Wang, Nature 465:483-486 (2010))実施した。簡潔には、Vegfr2loxP/loxP及びFgfr1loxP/loxPマウスを、VE−カドヘリン−CreERT2トランスジェニックマウスと交配させてVE−カドヘリン−CreERT2+Vegfr2LoxP/LoxP及びVE−カドヘリン−CreERT2+Vegfr2loxP/loxPFgfr1loxP/+マウスを確立した。これらのマウスを、タモキシフェンで腹腔内処置して、Vegfr2及びFgfr1の内皮特異的欠失を導いた。
SPC及びCCSPプロモーター誘発性rtTA(SPC−rtTA、CCSPrtTA)及び(tetO)7CMV誘発性cre((tetO)7−cre)を有するマウス(Perl, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 99:10482-10487 (2002))を、記載されたようなRosa26R−eYFPマウス(Rawlins, Cell stem cell 4:525-534 (2009))と交雑させ、テトラサイクリン処置してSPC−YFP及びCCSP−YFPレポーターマウスを得た。すべての実験は、動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)によって設定されたガイドラインの下で実施した。
PNXモデル及び肺機能の生理学的測定
PNX法を、記載されたように(Nolen-Walston, Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 294:L1158-1165 (2008))適合させた。簡潔には、麻酔して機械的に通気させたマウスに経口気管内挿管を施した。左肺葉を、門のまわりに結びつけた縫合糸で持ち上げて切除した。シャムマウスには、葉切除することなく開胸術を施した肺質量及び体積を測定し、PNX後の体重に対して標準化した。PCECの単離並びにリン酸化及びVEGFR2及びFGFR1のタンパク質レベルの試験は、実施例1に記載したように、そしてMurakami, The Journal of clinical investigation 121 (2011)のように実施した。深吸気量は、Flexiventソフトウェア(Scireq)を用いて、肺気量(TLC)と機能的残気量(FRC)とのプラトー圧測定値間で決定した。静的コンプライアンスは、圧力−体積曲線から決定した。
免疫蛍光検査(IF)及びフローサイトメトリー分析
IF研究を実施するため、低温保存された切片を、VE−カドヘリン(R&D)、CD34(BD)、E−カドヘリン(eBiosciences)、及びSPC(Abcam)を認識する抗体、並びにフルオロフォア結合第二抗体、(Jackson Immuno Research)中でインキュベートした。移行細胞増幅(transit cell amplification)を、BrdU取り込みによって測定した(Ding, Nature 468:310-315 (2010))。増殖するBASC様細胞を追跡するため、飲用水中にBrdUを入れた(Nolen-Walston, Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 294:L1158-1165 (2008))。AxioVert LSM710顕微鏡(Zeiss)で画像をとらえた。肺胞数及び平均肺胞隔壁間距離(mean linear intercept)の形態学的分析を実施した(DeLisser, The Journal of biological chemistry 281:8724-8731 (2006))。全肺細胞を単離し、LSRII−SORP(BD)で分析した(Ding, Nature 468:310-315 (2010))。AEC及びPCECを、それぞれ、SPC+Eカドヘリン及びVE−カドヘリン+CD34に対する結合抗体を用いた染色によって定量した。
EGFの薬理学的投与及びMMP14に対するmAbの中和
マウスに、PNXの12時間前、そして1日おきに、マウスMMP14に対するmAb(MMP14 mAb、50mg/kg、Abcam)及びIgG対照を注射した。肺胞再生における組換え型のEGFの役割を決定するため、マウスに、PNX後、毎日500μg/kgのEGF(Abcam)を静脈注射した。マウスに、1日おきに100μg/kgのEGF(50μl中)を気管内注射してEGFの局所的効果を試験した。
初代ECとの共培養におけるAECII及びBASC増殖の測定
Akt活性化を維持するため、初代ECをE4ORF1遺伝子と共に形質導入した(Seandel, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 105:19288-93 (2008))。MAPKinase経路を同時活性化するため、c−Rafを初代E4ORF1+ECに導入した。生成したMAPK+Akt EC(Kobayashi, Nature cell biology 12:1046-1056 (2010))を、SPC及びCCSP−YFPマウスから単離されたAECII及びBASCと共培養した(Kim, Cell 121:823-835 (2005))。Mmp14又はスクランブルshRNAを用いて、MAPK+Akt EC又はAEC中のMmp14をノックダウンした(Ding, Nature 468:310-315 (2010))。共培養研究のため、単離されたSPC+AECII及びBASCを非付着性の皿中で培養し、10倍多いMAPK+Akt ECを播種した。MAPK+Akt ECからの馴化培地をAECに加えた。共培養後、AECII及びBASCを、フローサイトメトリー分析によって定量した。
qPCR、ELISA、及び免疫ブロット分析
PNX後、全RNAをマウス肺から単離し、Taqman発現システム(Applied Biosystems)を用いてqPCRを行った。抗HB−EGF抗体(Santa Cruz)を用いて、サンドイッチELISA及びウェスタンブロットによってBALF中のHB−EGF濃度を調べ、そしてγ2鎖に対する抗体(Santa Cruz)を用いてラミニン5γ2鎖の切断を試験した。
データ分析
すべてのデータを、平均±semとして示した。スチューデントt検定、又は分散分析(ANOVA)を用いて、統計的有意性について群間の違いを試験した。統計的有意性を、P<0.05に設定した。
PNXは、上皮前駆細胞の増大を誘導する。
PNX後15日以内に、残存する右肺葉の質量及び体積において劇的な再生があった(図6A、B)。クラーラ細胞(Clara cell)によって同定されたBASCのサブセットを含む、肺上皮前駆細胞は、タンパク質(CCSP)+pro−サーファクタント・プロテインC(SPC)+Sca−1+(CCSP+SPC+Sca1+)細胞を分泌し、そしてSPC+E−カドヘリン+細胞によってII型AEC(AECII)は、肺胞上皮形成に寄与する(Beers, The Journal of clinical investigation 121: 2065-2073 (2011)。上皮前駆細胞の肺再生への寄与を決定するため、PNX後、本発明者らは、飲用水中にBrdUを入れて、ゆっくり分裂する細胞(slow-cycling cells)を検出した。PNX後の日3に、本発明者らは、気管支肺胞管接合部(BADJ)でBrdU+CCSP+細胞の増幅を認めた(図6C)。BrdU+CCSP+細胞の増大を追跡するため、本発明者らは、CCSP及びSPCプロモーターがYFP発現を誘発するレポータートランスジェニックマウス(CCSP−YFP及びSPC−YFPマウス)(Perl, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 99:10482-10487 (2002))を用いた(図6D、E)。本発明者らは、PNX後、日3に、再生している肺中のすべての単核細胞の多変性フローサイトメトリー分析を実施した。BADJ領域に局在化したCCSP+BrdU+細胞は、BASCにおいて観察される表現型の特徴、CCSP+SPC+Sca−1+VE−カドヘリン-CD31-細胞であった(Kim, Cell 121:823-835 (2005))。この初期の時点で、本発明者らは、SPC+Sca−1-CCSP-AECII又はVE−カドヘリン+CD31+PCECの増殖を検出しなかった。従って、PNXは、AEC及びPCECの増殖が最小限である場合、肺再生の初期段階で、ゆっくり分裂する(slow cycling)CCSP+SPC+Sca−1+BASC様細胞の増大を誘導する。
PNXは、肺胞毛細血管界面で共存しているPCEC及びAECの増大を誘導する。
AEC及びPCECが有意な増殖を受けるときのPNX後の時点を特定するため、本発明者らは、残存する葉における腹腔内に注射されたBrdUの取り込みの動態を調べて、PNX後の日7でピークに達した移行増殖細胞(TAC)の全体的な様相を見いだした(図7A)。シャム手術されたマウス肺では、BrdUの取り込みが少なかった。PNX後の日7でのTAC中の細胞タイプを特徴づけるため、本発明者らは、SPC−YFPレポーターマウスにおいてPNXを実施した。プロ−サーファクタントタンパク質D(SPD)及びE−カドヘリン、AECIIを表すマーカーを同時発現するSPC+細胞の増殖が増加した(Beers, The Journal of biological chemistry 269:20318-20328 (1994);Whitsett, Annual review of medicine 61:105-119 (2010))(図7B)。
残存するSPC-TACは、CCSP+気道クラーラ細胞(Rawlins, Cell stem cell 4:525-534 (2009))及びVE−カドヘリン+PCECの小画分からなる。BrdU取り込みの分析は、PNX後の日7に、増殖しているVE−カドヘリン+CD34+FGFR1+VEGFR2+CD45-PCECが単核細胞の7%を占め(図7C)、それらがSPC+AECII付近に局在化していることを示した(図7D)。AECII及びPCECの操作上のマーカーとして、それぞれSPC+E−カドヘリン+及びVE−カドヘリン+CD34+を用いて、本発明者らは、PNX後の日15に、AECII及びPCECの両集団で3倍の増加があることを見いだした(図7E)。従って、PNX後、肺質量及び体積における増加は、PCEC及び上皮前駆細胞の増殖のためであり、BASC様の細胞が初期の時点(日3)で増大するのに対して、AECIIは、後期の時点で増殖する。
PCEC中のVEGFR2及びFGFR1の逐次的活性化は、機能的肺胞再生に不可欠である。
PNXは、PCECの活性化を通して肺再生を開始して上皮活性アンギオクリン因子を産生する。VEGF−Aの主要なチロシンキナーゼ受容体は、VEGFR2として、アンギオクリン因子の誘導において重要な役割を果たしているため(Ding, Nature 468:310-315 (2010);Hooper, Cell stem cell 4:263-274 (2009))、本発明者らは、PNX後のPCEC中のVEGFR2の活性化を分析した。PCEC中のVEGFR2タンパク質レベルが変わらないにもかかわらず、PNX後、リン酸化されたVEGFR2の範囲は広がり、右葉を再生するEC中のこのVEGF−A受容体の活性化を示している(図8A)。
FGFR1は、PCEC中で発現され、VEGFR2の発現及び活性化状態を相互に調節して(Murakami, The Journal of clinical investigation 121 (2011);White, Development 134:3743-3752 (2007))アンギオクリン因子産生を誘発できるため、本発明者らは、PCECによってFGFR1の発現を研究した。PNX後、FGFR1タンパク質は、時間依存的に上方制御された。従って、肺再生の初期段階では、PCEC中のVEGFR2の活性化が肺胞形成を開始するのに対して、後期段階では、FGFR1とVEGFR2との同時活性化が、共同作用して再生上皮形成を持続させると考えられる。
肺中のVEGFR2及びFGFR1の内皮特異的機能を解明するため、本発明者らは、VE−カドヘリンプロモーターがタモキシフェン反応性Cre(VE−Cad−CreERT2)の発現を誘発するトランスジェニックマウス(Wang, Nature 465:483-486 (2010))を用いて、成体マウスEC中で選択的にVegfr2遺伝子を欠失させる誘導性ノックアウト戦略を用いた(図8B)。タモキシフェン処置は、EC中のVegfr2(Vegfr2iΔEC/iΔECマウス)を選択的に欠失させる。CreERT2による標的でない毒性を説明するため、本発明者らは、対照としてヘテロ接合Vegfr2欠損マウス(Vegfr2iΔEC/+)を用いた。また、本発明者らは、EC中でVegfr2及びFgfr1が欠失したマウスを生成させた。しかし、これらのマウスは、血管の不安定性のため、外科的処置を許容できなかったので、本発明者らは、EC中の誘導性Vegfr2及び部分的Fgfr1欠失(Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウス)によって、肺胞形成の支持におけるFGFR1及びVEGFR2の同時活性化の役割を研究した。
PNX前に、Vegfr2iΔEC/iΔEC及びVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスは、肺質量又は機能における変化を示さなかった。対照的に、Vegfr2iΔEC/iΔECマウスでは、PNX後の日3に、CCSP+Sca1+BASC様細胞の増殖が止まったが(図3C)、PNX後のVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスのこれらの細胞の増大には、さらなる阻害がなかった。これらのデータは、肺再生の初期段階での上皮形成の支持におけるVEGFR2活性化の重要な役割を確立している。
そこで、本発明者らは、PCEC及びAECIIの増幅におけるVEGFR2及びFGFR1同時活性化の役割を研究した。再生している肺を、日7に、BrdU、VE−カドヘリン及びSPCで同時染色したところ、マウスにおけるVegfr2の内皮特異的ノックダウン(Vegfr2iΔEC/iΔEC)は、PCEC及びAECIIの両方の増殖を抑止することがわかった(図8D、E)。特に、Vegfr2及びFgfr1(Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+)の内皮特異的ノックダウンは、この時点でPCEC及びAECIIの増殖をさらに止めており、そのことは、PCECを刺激する際、FGFR1がVEGFR2と共同作用してAECII増幅及び血管新生を支持することを示唆している。
PCEC中のVegfr2及びFgfr1の欠失は、肺胞構造及び機能の修復を損なう。
VEGFR2及びFGFR1の同時活性化が肺機能の改善において役割を果たすかどうかを決定するため、本発明者らは、PNXの前及び後に、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+及び対照マウスにおいて吸気量及び静的コンプライアンスを調べた。これらの肺機能のパラメーターは、呼吸容量(respiratory capacity)の生理学的に関連した指数を提供する。Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスでは、対照マウスが完全回復を示した時点で、PNX後の肺機能の修復は、有意に損なわれた(図8F)。同様に、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスでは、PNX後の肺質量、体積、及び細胞増大の修復が、すべて損なわれた(図8G)。これらのデータは、PNX後、非増殖VE−カドヘリン+ECが、VEGFR2活性化を介してBASC様細胞の初期増大を誘導することを示している。PNX後の後期段階で、VEGFR2と連携したFGFR1の上方制御は、PCECを活性化して上皮形成及び血管の発芽(vascular sprouting)を指示して、呼吸容量を修復する(図1B)。従って、PCECは、アンギオクリン因子を産生し、機能的呼吸器の肺胞ユニットの生成を促進する血管新生に関与する。
PNXは、上皮前駆細胞を増大させるPCECにおいてMMP14の特異的上方制御を誘導する。
上皮形成を開始する誘導アンギオクリンのキュー(cue)を同定するため、本発明者らは、再生肺の遺伝子発現プロファイルを比較して、肺胞形成因子の中で、膜タイプ1のマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP14)は、野生型のPCECにおいて特異的に上方制御されるが、Vegfr2iΔEC/iΔEC又はVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスは、そうならないことを見いだした(図9A)。肺切除された肺中のMMP14タンパク質レベルの分析は、その一時的な上方制御が、日7でピークに達し、その後、横ばいになることを示した(図10A)。免疫染色及びフローサイトメトリー分析は、PNX後のMMP14のPCEC特異的局在化を説明しており、それはVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+肺中で弱められる(図10B、C)。MMP14は、肝臓、心臓、脾臓、及び腎臓を含む他の血管の豊富な器官では上方制御されず(図9B、C)、それは、PNX後、MMP14が、VEGFR2及びFGFR1誘導PCEC中で選択的に上方制御されることを示している。
MMP14のアンギオクリン発現が上皮前駆細胞の増殖を促進する機構を明確にするため、本発明者らは、SPC−Y FP及びCCSP−YFPマウスから、それぞれAEC
II及びBASCを単離して、初代ECと共培養した。YFP発現を用いて共培養中のその結末(fate)を追跡した。Akt経路の活性化を通してアンギオクリンの能力を維持するE4ORF1遺伝子を、初代ECに導入した(Seandel, Proceedings of the National
Academy of Sciences of the United States of America, 105:19288-93 (2008), Kobayashi, Nature cell biology 12:1046-1056 (2010))。MMP14がMAP−キナーゼ活性化EC中で上方制御されたので、本発明者らは、c−Rafも導入してE4ORF1+EC(MAPK+Akt EC)中のMAP−キナーゼを構成的に刺激した(Kobayashi, Nature cell biology 12:1046-1056 (2010))。次に、3次元(3D)アンギオスフェアアッセイ(3-dimensional (3D) angiosphere assay)において、MAPK+Akt ECを、AECII/BASCと共培養した。MAPK+Akt ECとの共培養は、SPC+AECII及びCCSP+Sca−1+CD31-BASCの最も有意な増大を導き(図10D〜G、図9D、E)、3Dアンギオスフェアが形成され、ECが、増大する上皮細胞を取り囲んでおり、それは肺胞毛細血管嚢の構造に似ている。MAPK+Akt EC中のMMP14ノックダウンは、BACS及びAECIIの増大を止める(図10D、F)。MAPK+Akt ECからの馴化培地(CM)は、AECII及びBASC増殖の促進におけるごくわずかな効果を示し、ECと上皮細胞との間の細胞間接触の必要性を強調している(図10E、G)。従って、左肺の切除は、MMP14産生を誘発するPCECにおいてVEGFR2及びFGFR1を活性化し、順に、上皮前駆細胞の増殖を刺激する。
PNX後、MMP14阻害は、AECの再構築を抑止するが、PCECの再構築を抑止しない。
肺胞形成の調節におけるMMP14の生理学的有意性を決定するため、本発明者らは、MMP14に対する中和モノクローナル抗体(mAb)をWTマウスに注射した。PNX後、MMP14 mAbは、WTマウスの残存肺の質量及び体積の増加を弱めたが、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスでは、そうならず、それは、MMP14が、VEGFR2及びFGFR1誘導PCECから誘導されることを示している(図11A)。MMP14阻害は、VE−カドヘリン+PCECの再構築を損なうことなく、E−カドヘリン+AECの増大を阻止する(図11B)。MMP14阻害後のAEC及びPCECの不適当な増大は、MMP14が、PCEC増殖(増殖血管新生)を促進するよりむしろAEC(誘導血管新生)の増殖を誘導することを示している。
さらにMMP14中和によるAECの弱められた増大が、フローサイトメトリー分析によって示されたが、PCECでは示されなかった(図11C、D)。さらにまた、MMP14に対するmAbで注射されるマウスにおいて、形態学的試験は、肺胞数の減少及び平均肺胞隔壁間距離(mean alveolar intercept)によって測定された肺胞サイズの増加によって明らかなように、肺胞再増殖の阻害を示した(図11E、F)。コラーゲン合成は、MMP14に対するmAbで注射されたマウスにおいて変わらないままであった。従って、PCEC由来のMMP14は、新たな肺胞増殖(neoalveolarization)を刺激し、正常な成体肺胞に似た肺胞嚢を形成する。
MMP14は、潜在性EGF様リガンド(cryptic EGF-like ligand)のアンマスキング(unmasking)を介して肺胞形成を刺激する。
次に、本発明者らは、MMP14が再生肺胞増殖を調節する機構を解明しようとした。MMP14は、EGF様増殖因子(HB−EGF)を結合するヘパリンの外部ドメインを切断することがわかっている(Koshikawa, Cancer research 70:6093-6103 (2010); Stratman, Blood 116:4720-4730 (2011))。さらに、MMP14は、ラミニン5γ2鎖を切断して上皮増殖因子受容体(EGFR)を活性化するEGF様のフラグメントを生成させる(( Schenk, The Journal of cell biology 161:197-209 (2003))。本発明者らは、PNX後の日3及び7に、気管支肺胞洗浄液(BALF)中のHB−EGFが増加したことを見いだした(図12A、B)。PNX後の日7で、再生している肺中にラミニン5γ2鎖の切断されたフラグメントが現れた(図12C)。しかし、これらのEGFRリガンドのレベルは、MMP14に対するmAbで処置された対照マウス及びVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスの両方で低下し、その際、MMP14の発現は、弱められた。また、BASC及びAECと3D内皮共培養におけるMAPK+Akt EC中のMMP14のノックダウンは、培養上清へのEGFRリガンドの放出を抑止した(図12J)。従って、PNX後、PCEC中のVEGFR2及びFGFR1の活性化は、MMP14のアンギオクリン産生を導き、それは、次に、肺胞再生を刺激する、潜在性EGFRリガンドをマンマスギングする。
EGFは、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて肺胞形成を修復する。
切断されたHB−EGF及び切断されたラミンン5γ2鎖の両方は、上皮形成を誘発するEGFRを活性化する。これらの所見は、PNX後、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおける肺の肺胞増殖不全は、EGFRリガンドのバイオアベイラビリティの減少のためであることを示唆しており、EGFの注射が、上皮形成を強化することによって、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおける肺胞増殖を修復しうることを意味している。組換え型EGFの静脈注射は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウス及びMMP14に対するmAbで処置されたマウスにおいて肺質量及び体積を修復した(図12D)。気管内注射による気管支肺胞上皮へのEGFの直接導入は、肺胞再生の救済における同様の効果を示した(図12K)。従って、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおけるAECの不完全な再生は、EGFRリガンドのバイオアベイラビリティを弱めるPCECによるMMP14産生の減少によって生じる。
特に、EGFで注射されたVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスでは、E−カドヘリン+AECとVE−カドヘリン+PCECとの細胞結合が強化され(図12E)、肺機能を修復した(図12F)。Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスへのEGF注射は、AECの再生を刺激したが、PCECの再生を刺激せず、それは、EGFが、血管新生の誘発効果に乏しく、上皮形成の誘発により有効であることを示唆している。この仮説を試すため、本発明者らは、PNX後の日7で細胞増幅におけるEGF投与の効果を分析した。EGFの注射は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+肺中でEGFRリン酸化を強化した(図12G)。BrdU取り込み分析は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおいて、EGFが、AECIIの増殖を修復するが、PCECの増殖を修復しないことを示した(図12H、I)。従って、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスの肺胞形成欠陥は、再生している肺への血管灌流障害よりはむしろ上皮活性なアンギオクリン因子の生成障害のためである。
WT PCECの移植は、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスにおける肺胞増殖を修復する。
CreERT2のPan−内皮VE−カドヘリンプロモーター誘発性発現は、他の血管床のEC中のVegfr2及びFgfr1を欠失させるはずである。肺再生に対する誘導PCECの特異的寄与を研究するため、本発明者らは、肺EC移植モデルを設計した。肺切除されたWT同腹子マウスの肺又は肝臓のいずれかからECを精製し、Vegfr2iΔEC/iΔEC及びVegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスの頸静脈に注入した(図13A)。また、肺切除されたWTマウスから血漿を採取し、レシピエントノックアウトマウスに注射して、肺再生に対する全身の可溶性増殖因子の寄与を調べた。
移植されたGFP+ECを、レシピエントマウスの肺毛細血管の約26%中に組み込んだ(図13B)。重要なことに、肺切除された肺から得た移植ECは、上皮細胞の増幅を修復したが、肝臓からのものは修復しなかった(図13C〜F)。増殖しているBrdU+CCSP+BASC様細胞及びBrdU+SPC+AECIIは、移植されたGFP+PCECの近位に位置しており、それは、注入されたWT PCECから誘導された誘導シグナルが肺再生を修復することを示している。従って、肺機能は、PCECの移植によって改善されたが、しかし、肺切除されたWTマウスから入手した血漿の注射では、改善されなかった(図13G)。従って、PNXは、PCECの肺特異的活性化を誘導して、再生肺の肺胞増殖を支持するアンギオクリン因子を生成する(図13H)。
肺切除モデルシステム及び結果
成体肺再生に関与する経路を確定するため、本発明者らは、残存する無傷の肺中の再生肺胞増殖を促進する片肺切除(PNX)モデルを用いた。本発明者らは、片肺切除(PNX)モデルを用いて肺胞再生の支持におけるPCECの役割を研究した。左肺の外科的切除は、残存する右葉の血管完全性を乱すことなく、これらの残存葉の再増殖を誘導する。本発明者らは、PNXが、VEGFR2及びFGFR1の活性化を通して、残存する右葉のPCECを誘導してアンギオクリンマトリックスメタロプロテアーゼMMP14を産生することを確定した。次に、MMP14は、上皮前駆細胞の増殖を刺激する、潜在性上皮増殖因子(EGF)様リガンドのアンマスキングによって再生肺胞増殖を促進する。従って、PCECは、肺障害の処置のために治療上活用できる。
本研究は、PNXが肺毛細血管内皮細胞(PCEC)を刺激して、肺胞形成を支持する上皮前駆細胞の増殖を誘導するアンギオクリン増殖因子を産生することを示している。さらに、内皮細胞は、MMP14発現を通して、上皮増殖を促進し、肺胞毛細血管嚢に似た3次元アンギオスフェア(3Dimensional angiospheres)を形成する。PNX後、マウス中のVegfr2及びFgfr1の内皮特異的誘導性の遺伝子除去(genetic ablation)は、MMP14の産生を阻害し、肺胞増殖を損なった。MMP14は、EGF受容体(EGFR)を活性化する、潜在性EGF様外部ドメインのアンマスキングによって上皮前駆細胞の増大を促進する。これと一致して、MMP14の中和は、EGFR介在性肺胞再生を損なうが、肺切除されたVegfr2/Fgfr1欠損マウスへのEGFの投与又はMMP14+PCECの血管内移植は、肺胞形成及び肺吸気量及びコンプライアンス機能を修復する。従って、PCEC中のVEGFR2及びFGFR1活性化は、EGFRリガンドのMMP14依存性バイオアベイラビリティを高めて肺胞形成を開始して持続させる。
PNX後、PCECの活性化は、上皮前駆細胞の増大を支持する。
PNXに誘導された肺胞再生モデル、Vegfr2及びFgfr1の内皮特異的ノックダウン、並びに3次元内皮−上皮共培養アンギオスフェアバイオリアクターを用いて、本発明者らは、再生肺胞形成の促進におけるPCECの必須の役割を確立した。本明細書に記載された研究は、HB−EGFの切断及びラミニン5γ2鎖からEGF様フラグメントの生成が、BASC及びAECのサブセットを含む肺上皮前駆細胞の増幅を刺激し、肺胞増殖を支持する、MMP14のアンギオクリン役割を明らかにした。肺胞形成の促進におけるMMP14/EGFR活性化の役割は、PNX後、Vegfr2iΔEC/iΔECFgfr1iΔEC/+マウスへのEGF投与が肺胞再生を修復する研究で確認された。さらに、本発明者らは、新たな肺胞増殖を行う能力が損なわれたマウスの上皮形成の修復において、機能的に組み込まれたPCECの必須の役割を定義するための肺PCEC移植モデルを確立した。まとめると、本発明者らは、PNX後、PCECが、新たな血管の形成によって及び上皮活性なアンギオクリン因子の指示的産生を通して再生肺胞増殖を組織化することを示した。
PNXは、上皮前駆細胞の増幅を介して肺胞再生を誘導する。
初期段階(日0〜3)で、PNXは、BADJに局在化されたCCSP+SPC+Sca−1+CD31-VE−カドヘリン-BASC様細胞の増大を誘導する。後期段階(日7〜
15)で、SPC+E−カドヘリン+AECII及びPCECは、増大し、機能性肺胞毛細血管ユニットを再構築する。MMP14阻害すると、立方体様SPC+E−カドヘリン+だけでなく、また鱗状SPC−E−カドヘリン+AECの肺胞被覆率(alveolar coverage)の損失は、一時的に増幅されたSPC+E−カドヘリン+AECIIがSPC-E−カドヘリン+タイプI AECを潜在的に生成し(Beers, The Journal of clinical investigation 121: 2065-2073 (2011); Morrisey, Developmental cell 18:8-23 (2010); Rock,
Annual review of cell and developmental biology (2011))、PNX後の肺胞表面の十分な再構築を導くことを意味している。従って、誘導PCECは、機能性肺胞毛細血管嚢をまとめて再構築する、特定の肺上皮細胞の再生を誘発する。
PCECは、EGFRリガンドのMMP14介在性放出を通して肺胞形成を開始する。
PCEC由来のMMP14は、上皮細胞の増大並びに肺胞構造及び肺機能の修復に必要である。マウス胎児肺では、MMP14は、上皮増殖及び移動の惹起(Chun, Cell 125:577-591 (2006); Hiraoka, Cell 95:365-377 (1998); Stratman, Blood 114:237-247 (2009); Yana, Journal of cell science 120:1607-1614 (2007))によって肺胞形成を調節する(Atkinson, Dev Dyn 232:1079-1090 (2005); Irie, Medical molecular morphology 38:43-46 (2005); Oblander, Developmental biology 277:255-269 (2005))。出生後、MMP14欠損マウスは、不完全な肺胞増殖、異常な小嚢形成、及びAECによる血管統合障害(impaired vascular integration)を示し、MMP14が肺胞毛細血管クロストークを仲介することを示唆している(Lee, Nature medicine 10:1095-1103 (2004); Li, Cell 111:635-646 (2002); Morris, Nature 422:169-173 (2003); Page-McCaw, Nature reviews 8:221-233 (2007))。従って、本発明者らは、PNX後、MMP14の阻害は、肺胞再増殖だけでなく内皮増殖を妨げ、肺胞サイズを拡大することを示した。MMP14は、増殖血管新生に不必要かもしれないが、再生肺胞増殖の誘導において重要な役割を果たす。本研究は、MMP14が肺胞形成を調節する機構には、肺胞腔へのHB−EGFの切断及びラミニン5γ2鎖からのEGF様フラグメントの生成が含まれることを示している。その後、生物学的に利用可能なEGFR−リガンドの増加は、上皮前駆細胞の再生を開始する。これに関して、MMP14は、再生肺胞増殖を誘発するPCEC特異的アンギオクリンキューとして作動する。
MMP14のPCEC特異的誘導は、肺血管系の独特な機能的特徴を明らかにする。
各器官は、独特な表現型の、機能的及び構造的特質によって同定される、毛細血管ECの特定集団によって血管新生される。骨髄SEC(Butler, Cell stem cell 6:251-264 (2010b); Hooper, Cell stem cell 4: 263-274 (2009))と肝SECとは、VEGFR2+VEGFR3+VE−カドヘリン+血管によって区別され、器官再生を誘発するアンギオクリン因子の確定されたセットを発現する。上記のように、部分肝切除後、VEGFR2誘導肝SEC及びId1誘導肝SECは、HGF及びWNT2を産生して肝細胞増殖を誘導する。対照的に、骨髄VEGFR2誘導SECは、Notchリガンド及びIGFBP(Butler, Cell stem cell 6:251-264 (2010b); Kobayashi, Nature cell biology 12:1046-1056 (2010))を発現して造血細胞の再構築を誘導する。
PCECは、VEGFR2+FGFR1+CD34+VE−カドヘリン+血管として同定される明瞭な表現型の特徴を有する。注目すべきことに、PNX後、MMP14の産生は、他の血管の豊富な器官ではなく、VEGFR2活性化PCEC及びFGFR1活性化PCECに制限され、肺胞再生におけるPCECの独特な機能的特徴を強調している。肺胞形成の修復における、肺切除されたWTマウスから得られた血漿のごくわずかな効果は、肺胞形成の仲介における非肺血管系からの全身の可溶性増殖因子の寄与が最小限であることを示した。これらのデータは、PNXがPCEC特異的プログラムを起動して肺胞再生を促進する概念を明確に説明している。
VEGFR2及びFGFR1の逐次的活性化は、肺胞再生中にPCECを刺激する。
PNXの後、PCECがMMP14の発現を誘導する機構は、VEGFR2及びFGFR1の階層的な活性化及び上方制御によって仲介される。PNXの初期段階で、BASC様細胞の増大は、主にPCEC中のVEGFR2の活性化に依存しており、それは、EC増殖を誘導することなくMMP14の上方制御を生じる。PNX後のVEGFR2の初期の活性化及び安定発現と対照的に、FGFR1発現レベルは、その後に誘導され、日7にピークに達する。FGFR1は、MMP14生成の増大においてVEGFR2と共同作用し、それによって肺胞の再生を持続させる。従って、PCEC中のVEGFR2及びFGFR1の逐次的活性化は、MMP14産生を誘導し、機能的肺胞毛細血管ユニットの再生を促進する。
PCEC由来のアンギオクリン因子のPCEC移植及び投与は、呼吸器疾患の処置の新たなアプローチを提供する。
肺障害を有する受療体において呼吸容量を修復する治療的な戦略の開発は、肺再生機構があまり理解されてないたま不利な立場に置かれている(Jiang, Nature medicine 11:1173-1179 (2005); Kajstura, The New England journal of medicine 364:1795-1806 (2011); Matthay, Annual review of pathology 6:147-163 (2011); Morris, Nature 422:169-173 (2003); Petrache, Nature medicine 11:491-498 (2005); Whitsett, Annual review of medicine 61:105-119 (2010))。本明細書に記載された本研究は、吸気量及び静的コンプライアンスによって測定されるように、PNX後、誘導PCECが、呼吸容量の修復に有望な役割を果たすことを示している。特に、EGFの投与又は誘導PCECの移植は、マウスの呼吸器の機能を改善した。従って、適当に活性化されたPCECの移植又は肺特異的アンギオクリンメディエーターの注射は、肺障害を有する受療体のサブセットにおいて肺機能を改善できる。
実施例2に記載された研究は、PCECは、MMP14のような誘導アンギオクリン増殖シグナルを伝達することによって再生肺胞形成を組織化することを示している。VEGFR2及びFGFR1の選択的活性化、又はMMP14だけでなく、本明細書に記載された他のアンギオクリン因子の産生における増加は、肺の肺胞増殖を促進でき、それによって消耗性肺疾患を有する受療体の低酸素血を改善する。