JP6189120B2 - 伝熱管構造 - Google Patents
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Description
排熱回収ボイラの内部には多数の伝熱管が配設され、伝熱管内部を流れる水と伝熱管外側を流れる燃焼排ガスとの熱交換により、伝熱管内部の水が加熱を受けて蒸気となる。
従来のセレーテッドフィン3を備えたフィン付伝熱管1は、例えば図9に示すように、鋸歯状としたフィン外周側のフィン先端部3bに局所熱伝達率の高い領域Hが存在する。一方、セレートされずに連続する板状となっているフィン内周側のフィン根元部3aは、全体として局所熱伝達率がそれほど高くない。特に、ガス流れ方向においてフィン付伝熱管1の下流側となる位置に取り付けられたフィン根元部3aには、すなわち、流れ方向から見て伝熱管本体2の裏側となる範囲に取り付けられているフィン根元部3aには、他の領域と比較して熱伝達率の低い領域Lが存在する。
このような剥離を生じる領域は死水領域と呼ばれ、加熱側の燃焼排ガスがセレーテッドフィン3の周囲をほとんど流れていない状況にある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、セレーテッドフィンやソリッドフィンを備えたフィン付伝熱管の死水領域を低減し、伝熱管全体の熱伝達率向上を達成できる伝熱管構造を提供することにある。
本発明の参考例に係る伝熱管構造は、ガス流れ方向と交差する直線上にフィン付伝熱管の管軸を所定の軸間ピッチ(ST)に配列してなる第1の伝熱管列と、前記フィン付伝熱管の管軸を前記第1の伝熱管列から前記ガス流れ方向と交差する方向にずらして所定の軸間ピッチ(ST)に配列してなる第2の伝熱管列とを備え、1または複数の前記第1の伝熱管列及び前記第2の伝熱管列を前記ガス流れ方向へ所定の流れ方向軸間ピッチ(SL)で交互に配列して前記フィン付伝熱管を千鳥配置にするとともに、前記フィン付伝熱管のフィン外周直径(df)を基準とする前記軸間ピッチ(ST)の比(ST/df)及び前記千鳥配置における千鳥軸間ピッチ(SD)の比(SD/df)が、1以上1.28未満の範囲内に設定されていることを特徴とするものである。
なお、フィン付伝熱管のフィン外周直径(df)を基準とする軸間ピッチ(ST)及び千鳥軸間ピッチ(SD)の比(ST/df,SD/df)は、1未満の小さな値になると隣接するフィンが互いに干渉することになり、反対に、1.28より大きな値になると千鳥配置のフィン付伝熱管密度が粗くなり、従って、死水領域の低減に有効なガス流れの乱れは小さくなる。
すなわち、高さ(WA)が0.7hfより小さいとガス流路が狭められて圧力損失を増し、反対に高さ(WA)が1.3hfより大きいと閉塞板としての機能が低下して死水領域にガス流れを導くことができなくなる。
また、高さ(WB)がhf以下に設定されることにより、閉塞板としての機能を確保して死水領域にガス流れを導くことができる。
なお、この場合に有効なガイド部としては、例えばフィンの一部を切り欠いて折曲したものや、フィンの端部を折曲したものがある。
図1に示す第1参考例の伝熱管構造は、排熱回収ボイラの内部に多数配列されることにより、伝熱管内部を流れる水と伝熱管外部を流れる高温の燃焼排ガスとの熱交換に使用される。なお、伝熱管内部を流れる水は、燃焼排ガスによる加熱を受けて蒸気となり、排熱回収ボイラから蒸気タービンへ供給される。
なお、図示の伝熱管列Pa,Pbには2本または1本のフィン付伝熱管1を示しているが、多数のフィン付伝熱管1よりなる管列の一部を示すものであり、管列の本数が特に限定されることはない。
ここで使用するフィン付伝熱管1は、伝熱管本体2の外周面にセレーテッドフィン3を巻き付けるようにして取り付けたものである。なお、図示のセレーテッドフィン3は、鉄系材料の板材であり、フィン内周側で連続する板状のフィン根元部3aと、フィン外周側を円周方向に分割して鋸歯状としたフィン先端部3bとにより構成される。
さらに、ガス流れ方向においては、伝熱管列Paのガス流れ方向と直交する直線及び伝熱管列Pbのガス流れ方向と直交する直線が流れ方向軸間ピッチ(直線間距離)SLに設定され、互いに平行となっている。
このような千鳥配置において、伝熱管列Pa及び伝熱管列Pbの隣接するフィン付伝熱管1の軸間距離は、すなわち千鳥配置における千鳥軸間ピッチはSDとなる。
本参考例では、上述した軸間ピッチST及び千鳥軸間ピッチSDについて、フィン外周直径dfを基準とする軸間ピッチSTの比(ST/df)及び千鳥軸間ピッチSDの比(SD/df)が、1以上1.28未満の範囲内に設定されている。すなわち、軸間ピッチST及び千鳥軸間ピッチSDは、フィン外周直径df以上1.28df未満の範囲内に設定される。
すなわち、千鳥配置のフィン付伝熱管1が密に配置されたことにより、後流側のフィン付伝熱管1がガス流れの障害物となり、この結果、ガス流れが後流側のフィン付伝熱管1に衝突するなどして死水領域を形成していたガス流れに乱れを生じさせる。このようなガス流れの乱れは、従来の死水領域に対するガス流れを生じさせるので、上流側に位置するフィン付伝熱管1の死水領域を低減することができる。
反対に、上述した軸間ピッチST及び千鳥軸間ピッチSDの比(ST/df,SD/df)は、軸間ピッチST及び千鳥軸間ピッチSDが1.28dfより大きな値になると、千鳥配置のフィン付伝熱管ピッチが大きくなる。このため、千鳥配置のフィン付伝熱管1は配置の密度が粗くなり、後流側のフィン付伝熱管1が上流側のフィン付伝熱管周辺を通過するガス流れ与える影響は低下する。この結果、死水領域の低減に有効なガス流れの乱れが小さくなり、十分な死水領域低減ができなくなるため好ましくない。
図2に示すように、ガス流れ方向と交差するように管軸を千鳥配置された複数のフィン付伝熱管1Aには、ガス流れ方向の下流側となるフィン外周部に、ガス流路の一部を塞ぐ閉塞板10が設けられている。この閉塞板10は、図4に示すように、管軸方向へ延在して設けられ、円周方向においてガス流路の一部を塞いでいる。なお、図2〜図4は、セレーテッドフィン3を備えたフィン付伝熱管1Aを示している。図5には、閉塞板10を、ソリッドフィン3Aを備えたフィン付伝熱管1Bに適用した第2参考例を示している。
円形断面を有するフィン付伝熱管1Aにおいて、点Aは、ガス流れ方向の中心線Chからガス流れ方向と直交する方向へ高さWAの位置にあり、点Bは、ガス流れ方向と直交する中心線Cvからガス流れ方向へ高さWBの位置にある。
この場合、圧力損失の増大を抑制して死水領域を低減するための最適値として、閉塞板10を設ける点Aの高さWAは、フィン高さhfを基準として、0.7hf〜1.3hfの範囲内に設定され、かつ、点Bの高さWBは、同じくフィン高さhfを基準として、hf以下に設定されている。
反対に、点Aの高さWAが1.3hfより大きいと、ガス流れを中心部に導く閉塞板10としての機能が低下するので、死水領域にガス流れを導くことができなくなる。
また、点Bの高さWBがhf以下に設定されていれば、閉塞板10としての機能を確保して死水領域にガス流れを導くことができる。
図6に示すフィン付伝熱管1Cは、管軸がガス流れ方向と交差するように配置されている。本実施形態では、フィン付伝熱管1Cに対して、ガイド部20が設けられている。このガイド部20は、ソリッドフィン3Bに対して、ガス流れ方向において伝熱管本体2より下流側のガス流れを、管軸を通るガス流れ方向の中心線方向へ向けて、すなわち、伝熱管本体2のガス流れ方向下流側において、管軸を通るガス流れ方向の中心線の周辺に形成されていた死水領域へ向けて導くように設けられている。なお、このようなガイド部20は、セレーテッドフィン3のフィン根元部3aに設けてもよい。
このようなガイド部20を設けたことにより、フィン付伝熱管1Cの下流側では、伝熱管本体2の外周部を通過したガス流れがガイド部20のガイド面21に導かれて強制的に流れ方向を変化させる。この結果、フィン付伝熱管1Cの下流側では、ガス流れが死水領域へ流入するようになるので、死水領域を確実に低減することができる。
このようなガイド部20Aを備えたフィン付伝熱管1Dとしても、フィン付伝熱管1Dの下流側では、ガス流れが死水領域へ流入するようになるので、死水領域を確実に低減することができる。
この結果、フィン付伝熱管1,1A〜1Dは、全体としての熱伝達率向上を達成することができるので、複合発電設備を構成する排熱回収ボイラの熱回収効率向上に伴って、複合発電設備の高効率化が可能になる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
2 伝熱管本体
3 セレーテッドフィン
3a フィン根元部
3b フィン先端部
3A〜3C ソリッドフィン
10 閉塞板
20,20A ガイド部
21,21A ガイド面
Claims (1)
- ガス流れ方向と交差するように管軸を千鳥配置された複数のフィン付伝熱管が、
フィン内周側で連続する板状のフィン根元部、及びフィン外周側を円周方向に分割して鋸歯状としたフィン先端部を備えたフィンと、
前記ガス流れ方向の下流側となるフィン外周部に管軸方向へ延在してガス流路の一部を塞ぐ閉塞板と、を備え、
前記閉塞板は、前記ガス流れ方向及び該ガス流れ方向と直交する方向とにより4分割される前記フィン外周部の円周方向に対して、前記ガス流れ方向の中心線から前記ガス流れ方向と直交する方向へ高さ(WA)の位置から、前記ガス流れ方向と直交する中心線から前記ガス流れ方向へ高さ(WB)の位置まで、円弧断面形状の範囲に設けられ、
前記高さ(WA)は、前記フィン先端部の高さであるフィン高さ(hf)を基準として、0.7hf〜1.3hfの範囲内に設定され、かつ、前記高さ(WB)は、前記フィン高さ(hf)を基準としてhf以下に設定されていることを特徴とする伝熱管構造。
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