以下、添付図面を参照して、超音波診断装置の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。図1に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10とを有する。
超音波プローブ1は、例えば、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送受信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ1は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
例えば、装置本体10は、2次元走査用の超音波プローブ1として、複数の圧電振動子が一列で配置された1Dアレイプローブと接続される。或いは、例えば、装置本体10は、3次元走査用の超音波プローブ1として、メカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブと接続される。メカニカル4Dプローブは、1Dアレイプローブのように一列で配列された複数の圧電振動子を用いて2次元走査が可能であるとともに、複数の圧電振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで3次元走査が可能である。また、2Dアレイプローブは、マトリックス状に配置された複数の圧電振動子により3次元走査が可能であるとともに、超音波を集束して送信することで2次元走査が可能である。
第1の実施形態は、超音波プローブ1により、被検体Pが2次元走査される場合であっても、3次元走査される場合であっても適用可能である。
入力装置3は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体10に対して受け付けた各種設定要求を転送する。例えば、入力装置3は、操作者から超音波造影剤の還流動態を解析するための解析領域の設定を受け付ける。なお、第1の実施形態で設定される解析領域については、後に詳述する。
モニタ2は、超音波診断装置の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像データ等を表示したりする。
装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。図1に示す装置本体10は、超音波プローブ1が受信した2次元の反射波データに基づいて2次元の超音波画像データを生成可能な装置である。また、図1に示す装置本体10は、超音波プローブ1が受信した3次元の反射波データに基づいて3次元の超音波画像データを生成可能な装置である。以下、3次元の超音波画像データを「ボリュームデータ」と記載する場合がある。
装置本体10は、図1に示すように、送受信部11と、Bモード処理部12と、ドプラ処理部13と、画像生成部14と、データ処理部15と、画像メモリ16と、内部記憶部17と、制御部18とを有する。
送受信部11は、パルス発生器、送信遅延部、パルサ等を有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束し、且つ、送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
なお、送受信部11は、後述する制御部18の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信部11は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、加算器等を有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネルごとに増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
送受信部11は、被検体Pを2次元走査する場合、超音波プローブ1から2次元の超音波ビームを送信させる。そして、送受信部11は、超音波プローブ1が受信した2次元の反射波信号から2次元の反射波データを生成する。また、送受信部11は、被検体Pを3次元走査する場合、超音波プローブ1から3次元の超音波ビームを送信させる。そして、送受信部11は、超音波プローブ1が受信した3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
なお、送受信部11からの出力信号の形態は、RF(Radio Frequency)信号やIQ信号と呼ばれる位相情報が含まれる信号である場合や、包絡線検波処理後の振幅情報である場合等、種々の形態が選択可能である。
Bモード処理部12は、送受信部11から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、各点(各サンプル点)の信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
また、Bモード処理部12は、フィルタ処理により、検波周波数を変化させることで、映像化する周波数帯域を変えることができる。このBモード処理部12の機能を用いることにより、造影エコー法、例えば、コントラストハーモニックイメージング(CHI:Contrast Harmonic Imaging)を実行可能である。すなわち、Bモード処理部12は、超音波造影剤が注入された被検体Pの反射波データから、フィルタ処理により、微小気泡(マイクロバブル)を反射源とする反射波データ(高調波成分又は分周波成分)と、被検体P内の組織を反射源とする反射波データ(基本波成分)とを分離することができる。これにより、Bモード処理部12は、被検体Pの反射波データから高調波成分又は分周波成分を抽出して、造影画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。また、Bモード処理部12は、被検体Pの反射波データから基本波成分を抽出して、組織画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。造影画像データを生成するためのBモードデータは、造影剤を反射源とする反射波の信号強度を輝度で表わしたデータとなる。
また、このBモード処理部12のフィルタ処理機能を用いることにより、ティッシュハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)において、被検体Pの反射波データから、高調波データ又は分周波データを分離することで、ノイズ成分を除去した組織画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。なお、CHIやTHIのハーモニックイメージングを行なう際、Bモード処理部12は、上述したフィルタ処理を用いた方法とは異なる方法により、ハーモニック成分(高調波成分)を抽出することができる。ハーモニックイメージングでは、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)法や位相変調(PM:Phase Modulation)法、AM法及びPM法を組み合わせたAMPM法と呼ばれる映像法が行なわれる。AM法、PM法及びAMPM法では、同一の走査線に対して振幅や位相が異なる超音波送信を複数回(複数レート)行なう。これにより、送受信部11は、各走査線で複数の反射波データを生成し出力する。そして、Bモード処理部12は、各走査線の複数の反射波データを、変調法に応じた加減算処理することで、高調波成分を抽出する。そして、Bモード処理部12は、高調波成分の反射波データに対して包絡線検波処理等を行なって、Bモードデータを生成する。
例えば、PM法が行なわれる場合、送受信部11は、制御部18が設定したスキャンシーケンスにより、例えば(−1,1)のように、位相極性を反転させた同一振幅の超音波を、各走査線で2回送信させる。そして、送受信部11は、「−1」の送信による反射波データと、「1」の送信による反射波データとを生成し、Bモード処理部12は、これら2つの反射波データを加算する。これにより、基本波成分が除去され、2次高調波成分が主に残存した信号が生成される。そして、Bモード処理部12は、この信号に対して包絡線検波処理等を行なって、THIのBモードデータやCHIのBモードデータを生成する。CHIのBモードデータは、造影剤を反射源とする反射波の信号強度を輝度で表わしたデータとなる。また、CHIでPM法が行なわれる場合、Bモード処理部12は、例えば、「1」の送信による反射波データをフィルタ処理することで、組織画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。
ドプラ処理部13は、送受信部11から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
なお、本実施形態に係るBモード処理部12及びドプラ処理部13は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理部12は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理部13は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
画像生成部14は、Bモード処理部12及びドプラ処理部13が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成部14は、Bモード処理部12が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成部14は、ドプラ処理部13が生成した2次元のドプラデータから移動体情報を表す2次元ドプラ画像データを生成する。2次元ドプラ画像データは、速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらを組み合わせた画像である。
ここで、画像生成部14は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成部14は、超音波プローブ1による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成部14は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成部14は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成部14が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
更に、画像生成部14は、Bモード処理部12が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成部14は、ドプラ処理部13が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元ドプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成部14は、「3次元のBモード画像データや3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)」として生成する。
更に、画像生成部14は、ボリュームデータをモニタ2にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行なう。画像生成部14が行なうレンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行なってボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成部14が行なうレンダリング処理としては、ボリュームデータに対して「Curved MPR」を行なう処理や、ボリュームデータに対して「Maximum Intensity Projection」を行なう処理がある。また、画像生成部14が行なうレンダリング処理としては、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。
なお、例えば、CHIが実行されている場合、画像生成部14は、Bモード処理部12が上述した高調波成分抽出処理により生成したBモードデータ(以下、造影Bモードデータ)から、造影剤を反射源とする反射波の信号強度を輝度で表した2次元造影画像データや3次元造影画像データを生成する。また、CHIが実行されている場合、画像生成部14は、造影画像データとともに、Bモード処理部12が上述した基本波成分抽出処理により生成したBモードデータ(以下、組織Bモードデータ)から、組織の形態が描出された2次元組織画像データや3次元組織画像データを生成することも可能である。
画像メモリ16は、画像生成部14が生成した表示用の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ16は、Bモード処理部12やドプラ処理部13が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ16が記憶する表示用の画像データは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能である。また、画像メモリ16が記憶するBモードデータやドプラデータも、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成部14を経由して表示用の超音波画像データとなる。また、画像メモリ16は、送受信部11から出力されたデータを記憶することも可能である。
データ処理部15は、コンピュータ支援診断(Computer-Aided Diagnosis:CAD)を行なうために、装置本体10に設置される。データ処理部15は、画像メモリ16に格納されたデータを取得して、診断支援のためのデータ処理を行なう。そして、データ処理部15は、データ処理結果を、画像メモリ16や後述する内部記憶部17に格納する。なお、データ処理部15が行なう処理については、後に詳述する。
内部記憶部17は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶部17は、必要に応じて、画像メモリ16が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、内部記憶部17が記憶するデータは、図示しないインターフェースを経由して、外部装置へ転送することができる。なお、外部装置は、例えば、各種医用画像診断装置、画像診断を行なう医師が使用するPC(Personal Computer)や、CDやDVD等の記憶媒体、プリンター等である。
制御部18は、超音波診断装置の処理全体を制御する。具体的には、制御部18は、入力装置3を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部17から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信部11、Bモード処理部12、ドプラ処理部13、画像生成部14及びデータ処理部15の処理を制御する。また、制御部18は、画像メモリ16や内部記憶部17が記憶する画像データをモニタ2にて表示するように制御する。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、造影剤の還流動態の解析を目的とする造影エコー法を行なう。そして、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、造影剤が投与された被検体Pを超音波走査して収集された時系列データから、超音波走査領域内に設定された解析領域における造影剤の還流動態を解析することができるデータを生成し、操作者に提供する。
ここで、観察対象部位の還流動態に関する性状の評価は、マイクロバブル由来の信号強度の経時的変化(以下、バブル強度変化)を分析することで、行なわれる。近年、バブル強度変化に適用可能な様々な数理モデルが提案されており、かかる数理モデルに基づいて算出したバブル強度変化のフィッティングカーブ(近似曲線)を医師に提示することが行なわれている。また、バブル強度変化を定量的に表現する特徴量を、フィッティングカーブから算出して、医師に提示することが行なわれている。
ここで、上記の定量化精度を保つためには、定量化解析を行なう解析領域を、常に、超音波走査により観察する観察領域の中に維持することが前提となる。このため、操作者は、被検体Pに静止状態を保つように要求し、操作者自身も超音波プローブによる走査断面を調整して、観察領域を観察できるように姿勢を維持する必要がある。
一般的に、画面上で造影剤が観測可能となる時点から、画面上で造影剤が全部消える時点まで、数分間〜十数分間かかる。このため、数分間〜十数分間に渡ってデータを収集する期間、被検体P及び操作者は、姿勢を維持する必要がある。
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置には、造影撮影でのデータ収集時における操作者及び被検体Pの負担を軽減するために、図1に例示するデータ処理部15が設置される。第1の実施形態に係るデータ処理部15は、図1に例示するように、追跡部151と、収集部152と、解析部153と、判定部154とを有する。
以下、収集部152及び解析部153それぞれが有する機能について説明し、その後、追跡部151及び判定部154それぞれが有する機能について説明する。
まず、収集部152は、造影剤が投与された被検体Pの超音波走査領域内に設定された解析領域におけるハーモニック成分の信号強度を、時系列に沿って収集する。上記の解析領域は、操作者が還流動態を観察するための設定される関心領域(ROI:Region Of Interest)である。以下では、解析領域を「ROI」と記載する場合がある。図2は、解析領域の一例を示す図であり、図3は、収集部が収集するデータの一例を示す図である。
例えば、操作者は、図2に示すように、造影剤注入前に組織Bモードデータから生成された「組織画像データF(0)」を参照する。そして、操作者は、図2に示すように、「組織画像データF(0)」に描出された肝臓内で確認した腫瘍部位に、マウス等を用いて、解析領域である「ROI100」を設定する。そして、収集部152は、例えば、造影剤注入後から、ROI100におけるハーモニック成分の信号強度を、時系列に沿って収集する。なお、収集部152がデータ収集を行なうために設定される情報については、後に詳述する。
ここで、収集部152が収集するデータは、ROI100内を還流する造影剤を反射源とする反射波の信号強度を示すデータである。収集部152は、造影剤を反射源とする反射波の信号強度に対応するデータが収集できるのであれば、任意のデータを用いることができる。例えば、収集部152は、造影期間中にBモード処理部12が生成した「時系列に沿った2次元又は3次元の造影Bモードデータ」を、信号強度の収集対象とする。或いは、例えば、収集部152は、造影期間中に画像生成部14が「時系列に沿った2次元又は3次元の造影Bモードデータ」から生成した「時系列に沿った2次元又は3次元の造影画像データ」を、信号強度の収集対象とする。
以下では、収集部152が、被検体Pを2次元走査して時系列に沿って収集された造影Bモードデータの時系列データから、2次元走査領域内に設定された2次元の解析領域(例えば、図2に示すROI100)における信号強度の時系列データを収集する場合について説明する。
ここで、画像生成部14の制御を行なう制御部18は、造影Bモードデータをスキャンコンバートした「組織画像データF(0)」におけるROI100の位置と、「組織画像データF(0)」をスキャンコンバートする前の造影Bモードデータ」におけるROI100の位置との対応関係を取得可能である。収集部152は、かかる対応関係を制御部18から取得して、造影BモードデータにおけるROI10の位置を取得する。そして、収集部152は、1フレーム分の造影BモードデータにおけるROI100内に含まれる複数のサンプル点の信号強度を取得し、取得した複数のサンプル点の信号強度の平均強度を算出する。そして、収集部152は、算出した平均強度を、収集対象の造影Bモードデータの収集時間「t(単位:秒(second)」におけるROI100内の信号強度「I(AU:Arbitrary Unit)」とする。なお、解析領域内にサンプル点が1つの場合、収集部152は、当該サンプル点の信号強度を、ROI100における信号強度として収集する。
例えば、収集部152は、かかる信号強度の収集処理を、造影剤注入開始時点から、1フレーム分の造影Bモードデータが生成されるごとに行なう。なお、収集部152が信号強度を収集する時間間隔は、操作者により任意の値に変更可能である。
これにより、収集部152は、図3に例示する信号強度の時系列データを収集する。図3に示す横軸は、造影剤注入後の経過時間(t、単位:秒)であり、図3に示す縦軸は、信号強度(I、単位:AU)である。また、図3は、造影剤注入時点から3分間(180秒間)に渡って、収集部152が収集した信号強度をプロットしたグラフである。図3では、例えば、ソナゾイド(登録商標)を用いて「血管造影」を行なう際に、ソナゾイド(登録商標)の造影プロトコルで推奨されている期間(造影剤注入から3分間)に渡って収集された信号強度のプロットを示している。
図1に戻って、解析部153は、収集部152が収集した信号強度の時系列データを解析して、解析領域における信号強度の経時的変化を特徴的に示す変化パターンを算出する。具体的には、解析部153は、所定の数理モデルを用いて時系列データを近似した近似曲線(フィッティングカーブ)を算出する。更に、解析部153は、解析領域における造影過程を定量的に特徴付ける特徴量を近似曲線(フィッティングカーブ)から算出する。図4〜図6は、解析部を説明するための図である。
例えば、解析部153は、上記の数理モデルとして、「IGRモデル」と呼ばれるモデルや、「Random Walkモデル」等、予めシステムに初期的に設定された数理モデルや、操作者が指定した数理モデルを用いる。
以下では、解析部153が、以下の式(1)で定義されるIGRモデルを用いて、信号強度の時系列データから近似曲線を算出する場合について説明する。
式(1)において、「t」は、造影剤注入後の時間を示し、「I(t)」は、時間(t)における解析領域の信号強度を示す。また、式(1)において、「a0」は、解析領域に造影剤が到達する前の信号強度を示し、「a1」は、解析領域での信号強度の最大値を示す。また、式(1)において、「a2」は、造影剤注入後から「a1」となるまでの時間を示す。また、式(1)において、「p」は、「a1」に到るまでの信号強度の増加係数を示し、解析領域での造影剤の流入過程を表わすパラメータである。また、式(1)において、「q」は、「a1」となった時点以降での信号強度の下降係数を示し、解析領域での造影剤の流出過程を表わすパラメータである。また、式(1)において、「A」及び「B」は、任意のパラメータである。
解析部153は、収集部152が収集した時系列データ「I(t)」が、式(1)の関数で表わされる曲線に最も近づく「a0、a1、a2、p、q、A、B」の7つの係数を算出する。これにより、解析部153は、図4に例示する近似曲線を得る。図4に示す近似曲線は、造影剤注入から180秒間に渡って収集された時系列データの近似曲線である。
そして、解析部153は、図5に示すように、近似曲線を用いた定量的な解析を行なう。図5に示す信号強度「I0」は、上述した「a0」であり、解析領域に造影剤が到達する前の信号強度である。また、図5に示す信号強度「Imax」は、上述した「a1」であり、解析領域での信号強度の最大値である。また、図5に示す時間「Tmax」は、上述した「a2」であり、造影剤注入後から「a1」となるまでの時間である。
そして、図5に示す「PI」は、「Imax−I0(=a1−a0)」であり、解析領域に流入した造影剤の最大量を示すピーク強度(PI:Peak Intensity)である。また、図5に示す時間「TL」は、造影剤が解析領域に到達するまでの潜伏(Latency)期間を示す時間であり、近似曲線が「I0」から立ち上がる時間である。また、図5に示す時間「TP」は、時間「TL」から時間「Tmax」までの時間であり、近似曲線が立ち上がってピーク強度となるまでに要する時間「Time to Peak」である。
また、図5に示す「MTT」は、造影剤が流入して信号強度「Imax/2」となった時点から、「PI」となった後に、造影剤が流出して信号強度「Imax/2」となる時点までの時間である。すなわち、図5に示す「MTT」は、所謂、平均通過時間(Mean Transit Time)である。
解析部153は、図4に示す近似曲線を解析して、「PI」、「TP」及び「MTT」を特徴量として算出する。図6に示す一例では、解析部153が、図4に示す近似曲線から、「PI:313.1(単位:10−5AU)」、「TP:9.9(単位:second)」及び「MTT:10.9(単位:second)」を算出したことを示している。
また、解析部153は、上記の特徴量以外にも、例えば、造影剤流入中に、信号強度「Imax/2」となった時点での近似曲線の傾き(Slope)を特徴量として算出可能である。図6に示す一例では、解析部153が、図4に示す近似曲線から、「Slope:34.1(単位:10−5AU/second)」を算出したことを示している。
また、解析部153は、近似曲線の信号強度を、積分期間(例えば、t=TL〜180)で積分した面積値「Area Under Curve」を、解析領域における造影過程の特徴量として算出可能である。「Area Under Curve」は、造影剤の流入時点から流出時点までに解析領域に存在した造影剤の総量を示す値となる。
また、解析部153は、近似曲線の信号強度を、積分期間(例えば、t=TL〜Tmax)で積分した面積値「Area Wash in」を、解析領域における造影過程の特徴量として算出可能である。「Area Wash in」は、造影剤の流入期間内に解析領域に存在した造影剤の総量を示す値となる。
また、解析部153は、近似曲線の信号強度を、積分期間(例えば、t=Tmax〜180)で積分した面積値「Area Wash out」を、解析領域における造影過程の特徴量として算出可能である。「Area Wash out」は、造影剤の流出期間内に解析領域に存在した造影剤の総量を示す値となる。
図6に示す一例では、解析部153が、図4に示す近似曲線から、「Area Under Curve:7179.1(単位:10−5AU*second)」、「Area Wash in:1931.0(単位:10−5AU*second)」及び「Area Wash out:5248.1(単位:10−5AU*second)」を算出したことを示している。
従来では、例えば、造影剤注入から3分間に渡って収集部152が収集した時系列データから、解析部153は、図4〜図6で説明した定量化解析を行なう。そして、例えば、制御部18は、図4及び図6に示す解析部153の解析結果を、操作者に提示している。しかし、上述したように、造影撮影でのデータ収集時に、操作者及び被検体Pが姿勢を維持することは、操作者及び被検体Pにとって負担となる場合がある。
しかし、データ収集中の姿勢が維持されているならば、解析領域の信号強度の時系列データから算出された近似曲線で定まる各時点の信号強度の推定値と、実際の入力データ(観測値)との残差(誤差)は、小さい。理想的な状態では、観測データは、完全に数理モデルと一致する。すなわち、理想的な撮影状態、又は、理想的な撮影状態に近い撮影状態であるならば、解析領域内で造影剤の存在を示す信号が造影画像データから消失するまでデータ収集を行なわなくても、消失前の一部の観測データだけでフィッティングを行なって、診断に利用可能な特徴量を算出することが可能である。これについて、図7及び図8を用いて説明する。
図7及び図8は、第1の実施形態に係る処理の概念を説明するための図である。図7は、図3に示す「t=0〜180」の信号強度のプロットのうち、「t=0〜120」までのプロットを用いて、解析部153が算出した近似曲線を示している。また、図8の「120秒」の列は、解析部153が図7に示す近似曲線から算出した各種の特徴量の値を示している。なお、図8では、「180秒」の列に、図6に示す各種の特徴量の値も併せて示している。
図8では、「120秒」の近似曲線から算出された「PI」が「315.3(単位:10−5AU)」であり、「TP」が「10.0(単位:second)」であり、「MTT」が「10.7(単位:second)」であることを示している。また、図8では、「120秒」の近似曲線から算出された「Slope」が「33.8(単位:10−5AU/second)」であることを示している。
また、図8では、「t=TL〜180」の積分区間での「Area Under Curve」が「7984.8(単位:10−5AU*second)」であり、「t=0〜TL」の積分区間での「Area Wash in」が「1973.0(単位:10−5AU*second)」であり、「t=TL〜180」の積分区間での「Area Wash out」が「6011.7(単位:10−5AU*second)」であることを示している。
ここで、図8に示すように、180秒間のデータをフィッティングした結果で得られたMTTが「10.9秒」であるのに対し、120秒間のデータをフィッティングした結果で得られたMTTは、「10.7秒」であり、これらの値の差異は、「0.2秒」と小さい。例えば、「差異:0.2秒」が、造影剤の還流動態に関する性状の評価を行なう場合の許容範囲内であるとする。かかる場合、120秒間で収集された信号強度の時系列データを用いた解析結果の信頼性は、180秒間で収集された信号強度の時系列データを用いた解析結果の信頼性と略同等であると判断することが可能である。
上記のことから、第1の実施形態では、造影撮影を実施する際、現時点までの観測データを数理モデルに基づいて頻繁に順次フィッティングし、これにより順次得られる近似曲線から特徴量を順次算出する。そして、第1の実施形態では、順次算出した特徴量の値が安定した値になれば、当該特徴量により、解析領域の性状を十分に評価することができると判断する。換言すれば、第1の実施形態では、順次算出した特徴量の値が一定の値に収束すれば、プロトコルで推奨されているデータ収集期間の前でも、データ収集が終了可能であると判定する。
上記の回顧的な解析に基づく判定処理について、図1に示す追跡部151及び判定部154の処理を説明しながら、詳細に説明する。ここで、超音波走査領域内で初期設定された解析領域の位置は、被検体Pの呼吸動や拍動等の要因で、動く可能性がある。そこで、第1の実施形態では、回顧的な解析に基づく判定処理を確実に行なうために、図1に示す追跡部151の処理が行なわれる。
追跡部151は、超音波走査領域から受信した反射波データに基づいて順次生成される超音波画像データ間の類似度に基づいて、超音波走査領域における解析領域(ROI)の位置を追跡する。具体的には、追跡部151は、超音波走査領域から受信した反射波データから抽出された基本波成分(組織Bモードデータ)に基づいて順次生成される超音波画像データを用いて、解析領域の位置を追跡する。
すなわち、第1の実施形態では、制御部18の制御により、Bモード処理部12は、造影Bモードデータとともに、組織Bモードデータを時系列に沿って生成し、画像生成部14は、造影画像データとともに、組織画像データも時系列に沿って生成する。図9は、追跡部を説明するための図である。
図9の左図は、ROI100が初期設定された組織画像データF(0)を示し、図9の中図は、造影剤注入後に生成された第1フレームの組織画像データF(1)を示し、図9の右図は、造影剤注入後に生成された第2フレームの組織画像データF(2)を示している。図9では、組織画像データF(0)に描出された肝臓の位置が、組織画像データF(1)及び組織画像データF(2)それぞれで、若干移動している。
まず、追跡部151は、組織画像データF(0)にて設定されたROI100の位置を初期位置として取得する。そして、追跡部151は、組織画像データF(1)で初期位置に対応する領域を含み、当該領域より大きい探索範囲で、ROI100との類似度が最も高くなる領域を探索する。類似度は、相互相関法等、公知の技術により算出される。これにより、追跡部151は、組織画像データF(1)におけるROI100の位置を取得する。そして、組織画像データF(2)が生成されると、追跡部151は、組織画像データF(2)で、組織画像データF(1)におけるROI100の位置に対応する領域を含み、当該領域より大きい探索範囲で、ROI100との類似度が最も高くなる領域を探索する。これにより、追跡部151は、組織画像データF(2)におけるROI100の位置を取得する。
追跡部151は、新規の組織画像データが生成されるごとに、上記の追跡処理を行なう。なお、第1の実施形態では、例えば、組織画像データ間だけでなく、造影画像データ間においてもROI100の類似度を算出して、追跡処理を行なっても良い。また、第1の実施形態では、組織画像データ間及び造影画像データ間の双方で類似度に基づく追跡を行ない、高い類似度が得られている追跡結果の位置をROIの位置としても良い。
このような追跡が行なわれている場合、収集部152は、追跡部151が解析領域として追跡した位置の領域における信号強度を時系列に沿って収集する。そして、第1の実施形態に係る解析部153は、追跡部151が解析領域として追跡した位置の領域における信号強度の時系列データを用いて、変化パターンの算出を行なう。これにより、データ収集の信頼性を向上することができる。なお、本実施形態は、追跡部151の追跡処理を用いない場合であっても適用可能である。
そして、上記の回顧的な解析に基づく判定処理を判定部154が行なうために、第1の実施形態に係る解析部153は、上述したように、データ収集中においても、解析処理を行なう。具体的には、解析部153は、予め設定された開始時点及び時間間隔で定まる各解析時点で、当該解析時点までに収集された信号強度の時系列データから変化パターンを算出する。図10は、解析時点の設定例を示す図である。
図10では、解析処理の開始時点が、造影剤注入時点から「Tp(秒)」経過した時点に設定されていることを示している。また、図10では、解析部153の解析処理が「dt(秒)」間隔で行なわれるように、設定されていることを示している。
具体的には、「Tp」は、経験的に得られる値を参照して設定される値である。例えば、「Tp」は、造影剤の種類に応じて得られている平均的なピーク時間である。また、上記のIGRモデルを用いる場合、近似曲線を定義するために必要なパラメータが7つであることから、「Tp」は、7つの時点の信号強度が収集されるまでに要する時間に設定される場合であっても良い。また、「dt(秒)」は、例えば、2秒である。なお、本実施形態は、「Tp」や「dt」の値は、処理負荷等に応じて、任意の値に設定可能である。例えば、「dt」は、1フレームごとに解析を行なうように、フレームレートの逆数の時間であっても良い。
かかる設定により、解析部153は、造影剤注入時点「t=0」から「Tp(秒)」経過した時点「t(a1)」までに収集された時系列データの変化パターンを算出する。同様に、解析部153は、「t=0」から「t(a2)=t(a1)+dt」経過した時点までに収集された時系列データの変化パターンを算出し、「t=0」から「t(a3)=t(a2)+dt」経過した時点までに収集された時系列データの変化パターンを算出する。同様に、解析部153は、「t=0」から「t(a4)=t(a3)+dt」経過した時点までに収集された時系列データの変化パターンを算出し、「t=0」から「t(a5)=t(a4)+dt」経過した時点までに収集された時系列データの変化パターンを算出する。
ここで、解析部153は、上述したように、数理モデルを用いて算出した近似曲線を変化パターンとして判定部154に出力する。更には、解析部153は、上述した特徴量を近似曲線から算出し、算出した特徴量を変化パターンとして判定部154に出力する。図11は、解析部が判定部に出力する特徴量の一例を示す図である。
図11では、特徴量の種類としてMTTが設定されている場合を例示している。かかる場合、解析部153は、図11に示すように、「t(a1)」の近似曲線から「MTT(a1)」を算出し、「t(a2)」の近似曲線から「MTT(a2)」を算出し、「t(a3)」の近似曲線から「MTT(a3)」を算出する。同様に、解析部153は、図11に示すように、「t(a4)」の近似曲線から「MTT(a4)」を算出し、「t(a5)」の近似曲線から「MTT(a5)」を算出する。解析部153は、造影剤注入時点から「Tp」経過した時点から、「dt」間隔で、MTTを算出して、判定部154に出力する。
そして、図1に示す判定部154は、現時点より過去の時点までに収集された時系列データから算出された変化パターンに基づいて、現時点の時系列データを用いた解析結果の信頼性を求める。そして、判定部154は、求めた信頼性に基づいて、信号強度の収集を完了可能な状態であるか否か、又は、被検体Pにおける解析領域の位置が変化したか否かを判定し、判定結果を操作者に通知する。第1の実施形態では、判定部154は、上記の信頼性に基づいて、信号強度の収集を完了可能な状態であるか否かを判定する。すなわち、判定部154は、現時点までに収集された時系列データを用いた解析結果の信頼性を、当該時点より過去の時点までに収集された時系列データから算出された変化パターンに基づいて求めて、判定処理を行ない、判定結果を操作者に通知する。具体的には、判定部154は、最新の解析時点までに収集された時系列データから算出された近似曲線(最新曲線)と、過去の解析時点までに収集された時系列データから算出された近似曲線(過去曲線)との変動の度合いが所定の範囲内である場合、信号強度の収集を完了可能な状態であると判定する。
より具体的には、判定部154は、最新曲線から算出された特徴量と、過去曲線から算出された特徴量との差分が所定の閾値より小さい場合、信号強度の収集を完了可能な状態であると判定する。以下では、MTTを用いて造影剤の還流動態に関する性状の評価を行なう場合の許容範囲としての閾値が「TH(MTT)」に設定されているとして、説明する。図12は、判定部が行なう判定処理の一例を示す図である。
図12では、解析時点「t(ak)」までに収集された時系列データの近似曲線から算出されたMTTが「MTT(ak)」であり、解析時点「t(ak+1)」までに収集された時系列データの近似曲線から算出されたMTTが「MTT(ak+1)」であり、解析時点「t(ak+2)」までに収集された時系列データの近似曲線から算出されたMTTが「MTT(ak+2)」であることを示している。
例えば、判定部154は、解析時点「t(ak+1)」において、「MTT(ak+1)」から「MTT(ak)」を差し引いた値の絶対値「|MTT(ak+1)−MTT(ak)|」と「TH(MTT)」との大小関係を判定する。そして、判定部154は、図12に示すように、「|MTT(ak+1)−MTT(ak)|≧TH(MTT)」であることから、特徴量の差分が閾値以上であると判定する。
続いて、判定部154は、解析時点「t(ak+2)」において、「MTT(ak+2)」から「MTT(ak+1)」を差し引いた値の絶対値「|MTT(ak+2)−MTT(ak+1)|」と「TH(MTT)」との大小関係を判定する。そして、判定部154は、図12に示すように、「|MTT(ak+2)−MTT(ak+1)|<TH(MTT)」であることから、特徴量の差分が閾値より小さいと判定する。かかる場合、判定部154は、例えば、図12に示すように、「データ収集完了可能です」とのメッセージを判定結果として、モニタ2に表示させる。なお、本実施形態は、判定結果が、音声出力や、所定のマーク表示により通知される場合であっても良い。
なお、判定部154は、特徴量の差分が閾値以上である場合に、判定結果として、「データ収集を継続する必要があります」とのメッセージ等を、モニタ2に表示させて良い。しかし、操作者が不用意にモニタ2を注視して姿勢が変化することを回避するために、本実施形態では、特徴量の差分が閾値以上である場合には、判定結果を通知しないことが好適である。
ここで、判定処理の変形例として、判定部154は、特徴量の差分が所定の閾値より小さいと判定した解析時点が所定の回数連続した場合、信号強度の収集を完了可能な状態であると判定する場合であっても良い。図13は、判定部が行なう判定処理の別の一例を示す図である。図13では、解析時点「t(ak+3)」までに収集された時系列データの近似曲線から算出されたMTTが「MTT(ak+3)」であることを示している。また、図13では、上記の所定の回数が「2」に設定されている場合を示している。
そして、図13では、解析時点「t(ak+1)」で、特徴量の差分が閾値以上であったことを示している。また、図13では、解析時点「t(ak+2)」で「|MTT(ak+2)−MTT(ak+1)|<TH(MTT)」であり、更に、解析時点「t(ak+3)」で「|MTT(ak+3)−MTT(ak+2)|<TH(MTT)」であったことを示している。かかる場合、判定部154は、特徴量の差分が閾値より小さいと判定した解析時点が2回連続したことから、図13に示すように、「データ収集完了可能です」とのメッセージを判定結果として、モニタ2に表示させる。かかる処理により、判定結果の信頼性を向上させることができる。
そして、上記の判定結果を操作者に通知する際に、制御部18は、以下の制御処理を行なっても良い。例えば、制御部18は、判定部154が判定結果を通知した場合、当該通知を行なった時点での超音波画像データに、当該超音波画像データにおいて追跡部151が解析領域として追跡した領域の位置を示す情報が重畳された画像データをモニタ2に表示させる。更に、制御部18は、解析領域が初期設定された超音波画像データに、当該超音波画像データにおける解析領域の位置を示す情報が重畳された画像データもモニタ2に表示させる。
図14は、第1の実施形態に係る制御部の表示制御の一例を示す図である。例えば、制御部18の制御により、モニタ2は、図14に示すように、組織画像データF(0)にROI100の位置を示す枠線が重畳された画像データを、表示領域200の左側に表示する。また、例えば、制御部18の制御により、モニタ2は、図14に示すように、解析時点「t(ak+2)」での組織画像データF(ak+2)にROI100として追跡された領域の位置を示す枠線が重畳された画像データを、表示領域200の右側に表示する。また、制御部18を介した判定部154の制御により、モニタ2は、図14に示すように、組織画像データF(ak+2)の上部に「データ収集完了可能です」とのメッセージを表示する。
上記の表示制御により、操作者は、「データ収集完了可能です」との判定結果が、解析領域が正しく追跡された結果に基づく判定結果であるのか否かを判断することができる。なお、本実施形態においては、データ収集中においても、解析領域の追跡結果を示す画像データを動画表示させても良い。
以下、上記で説明した判定処理の別の様々な変形例について説明する。上記では、例えば、ソナゾイド(登録商標)を用いて「血管造影」を行なう際に、開始時点及び時間間隔で定まる解析区間が設定されて、回顧的な解析結果を用いた判定処理を行なう場合について説明した。しかし、上記の判定処理は、例えば、ソナゾイド(登録商標)によるクッパー(Kupffer)細胞の造影過程が得られる期間(例えば、造影剤注入10分後以降の期間)において、開始時点及び時間間隔で定まる解析区間が設定されて、行なわれる場合であっても良い。また、上記の判定処理は、例えば、「血管造影」及び「クッパー細胞造影」の双方の期間で、行なわれる場合であっても良い。すなわち、上記の判定処理は、解析区間が複数設定される場合であっても良い。更に、上記の判定処理は、解析領域が複数設定される場合でも適用可能である。
また、第1の実施形態は、MTT以外の特徴量が上記の判定処理に用いられる場合であっても良い。また、第1の実施形態は、複数の特徴量を用いた判定処理が行なわれる場合であっても良い。例えば、第1の実施形態は、MTT及びPIそれぞれに対して閾値を設定し、最新曲線から算出されたMTTと過去曲線から算出されたMTTとの差分が閾値より小さく、且つ、最新曲線から算出されたPIと過去曲線から算出されたPIとの差分が閾値より小さい場合に、信号強度の収集を完了可能な状態であると判定する場合であっても良い。
更に、第1の実施形態は、特徴量を用いずに、判定部154が判定処理を行なう場合であっても良い。例えば、判定部154は、最新曲線の形状と過去曲線の形状との類似度が、類似度に対して設定された閾値より大きくなった場合に、信号強度の収集を完了可能な状態であると判定する場合であっても良い。また、第1の実施形態は、判定部154が、近似曲線の形状を特徴付けるパラメータを用いて、上記の判定処理を行なっても良い。例えば、IGRモデルを用いる場合、操作者は、上記の7つの係数それぞれに閾値を設定する。そして、判定部154は、最新曲線の7つの係数それぞれと、過去曲線の7つの係数それぞれとの7つ差分が全て、該当する閾値より小さい場合に、信号強度の収集を完了可能な状態であると判定する。
また、複数の特徴量それぞれの差分を用いる場合や、近似曲線間の類似度を用いる場合、近似曲線の推定に用いたパラメータ間の差分を用いる場合にも、図13を用いて説明した判定処理を適用することができる。
次に、図15を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置が行なう処理の一例について説明する。図15は、第1の実施形態に係る超音波診断装置が行なう処理の一例を示すフローチャートである。なお、図15は、判定部154が、近似曲線から得られた1つの特徴量を用いて図12に例示した判定処理を行なう場合の処理を示すフローチャートである。
図15に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置の制御部18は、造影前の組織画像データにROIが設定されたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、ROIが設定されていない場合(ステップS101否定)、制御部18は、ROIが設定されるまで待機する。一方、ROIが設定された場合(ステップS101肯定)、制御部18の指示により、追跡部151は、ROIの追跡を開始する(ステップS102)。そして、制御部18は、造影剤が注入されたか否かを判定する(ステップS103)。ステップS103の判定処理は、例えば、図1に図示していない造影剤のインジェクターに対して、操作者が入力装置3を用いて造影剤注入開始指示を入力したか否かにより行なわれる。
ここで、造影剤が注入されていない場合(ステップS103否定)、制御部18は、造影剤が注入されるまで待機する。一方、造影剤が注入された場合(ステップS103肯定)、制御部18の指示により、収集部152は、信号強度のデータ収集を開始する(ステップS104)。なお、収集部152は、追跡部151の追跡結果に基づいて、信号強度のデータ収集を行なう。
そして、解析部153は、開始時点(最初の解析時点)となったか否かを判定する(ステップS105)。ここで、開始時点でない場合(ステップS105否定)、解析部153は、開始時点となるまで待機する。一方、開始時点となった場合(ステップS105肯定)、解析部153は、開始時点までに収集された信号強度の時系列データから、近似曲線を算出し(ステップS106)、近似曲線から特徴量を算出する(ステップS107)。
そして、解析部153は、解析時点となったか否かを判定する(ステップS108)。ここで、解析時点でない場合(ステップS108否定)、解析部153は、解析時点となるまで待機する。一方、解析時点となった場合(ステップS108肯定)、解析部153は、当該解析時点までに収集された信号強度の時系列データから、近似曲線を算出し(ステップS109)、近似曲線から特徴量を算出する(ステップS110)。
そして、判定部154は、現時点での解析時点での特徴量と、前回の解析時点での特徴量の差分値が閾値より小さいか否かを判定する(ステップS111)。ここで、差分値が閾値以上である場合(ステップS111否定)、制御部18は、データ収集の終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS113)。
一方、差分値が閾値より小さい場合(ステップS111肯定)、判定部154は、データ収集完了可能であることを通知する(ステップS112)。なお、ステップS112の処理とともに、上記の表示制御が行なわれても良い。その後、制御部18は、データ収集の終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS113)。
ここで、データ収集の終了要求を受け付けない場合(ステップS113否定)、制御部18の指示により、解析部153は、ステップS108に戻って、解析時点となったか否かを判定する。一方、データ収集の終了要求を受け付けた場合(ステップS113肯定)、制御部18は、処理を終了する。
上述したように、第1の実施形態では、現時点までの信号強度の観測データを数理モデルに基づいて頻繁に順次フィッティングし、これにより順次得られる近似曲線から特徴量を順次算出する。そして、第1の実施形態では、順次算出した特徴量の値が安定した値になれば、当該特徴量により、解析領域の性状を十分に評価することができると判断して、データ収集が完了可能であると通知する。すなわち、第1の実施形態では、従来、予め設定されていたデータ収集期間より短い期間で、操作者は、データ収集を終了することができる。従って、第1の実施形態では、造影撮影でのデータ収集時における操作者及び被検体Pの負担を軽減することができる。
また、第1の実施形態では、造影過程の定量的解析精度を維持した状態で、データ収集期間を短縮することができるので、造影検査の効率を向上させることができる。また、第1の実施形態では、造影過程の定量的解析精度を維持した状態で、データの収集量を低減することができるので、超音波診断装置でのデータ保存量を節約することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、回顧的な解析に基づいて、撮影状態の適正を判定する場合について、図16及び図17を用いて説明する。図16及び図17は、第2の実施形態を説明するための図である。
第2の実施形態に係る超音波診断装置は、図1に例示した第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様に構成される。ただし、第2の実施形態に係る判定部154は、以下の判定処理を行なう。
第2の実施形態に係る判定部154は、現時点より過去の時点までに収集された時系列データから算出された変化パターンに基づいて、現時点の時系列データを用いた解析結果の信頼性を求める。そして、判定部154は、求めた信頼性に基づいて、被検体Pにおける解析領域の位置が変化したか否かを判定し、判定結果を操作者に通知する。すなわち、判定部154は、最新の解析時点までに収集された時系列データの中で、過去の解析時点以降に収集された信号強度のデータ列と、過去の解析時点までに収集された時系列データから算出された近似曲線との差異が、所定の値より大きいか否かを判定する。そして、判定部154は、上記の差異が、所定の値より大きい場合、過去の解析時点から最新の解析時点までの間に撮影状態、すなわち、被検体Pにおける解析領域の位置が変化したと判定する。具体的には、判定部154は、上記の差異が、所定の値より大きい場合、操作者や被検体Pの姿勢が維持されずに、現時点で解析領域(ROI)とされている領域が、真の解析領域ではない可能性があると判定する。
例えば、判定部154は、図16に示すように、解析時点「t(ak+1)」での判定処理では、直前の解析時点「t(ak)」での近似曲線C(ak)と、解析時点「t(ak)」から解析時点「t(ak+1)」までに収集された信号強度のデータ列とを照合する。すなわち、判定部154は、上記の信号強度のデータ列が、近似曲線C(ak)で定まる信号強度の推定値のデータ列からどの程度乖離しているかを判定する。例えば、判定部154は、図16に示すように、上記の信号強度のデータ列と近似曲線C(ak)で定まる信号強度の推定値との差異(ずれ)の最大値「dI」が、閾値「TH(diff)」より大きいか否かを判定する。なお、図16では、照合対象のデータ列が、3つの信号強度であると示しているが、実際には、3つ以上の信号強度のデータ列が照合対象となる。
ここで、図16に示すように、「dI>TH(diff)」である場合、判定部154は、「ROIが外れている可能性があります」とのメッセージを、判定結果としてモニタ2に表示させる。なお、判定部154は、上記のメッセージとともに、「姿勢を調整して下さい」とのメッセージを、判定結果としてモニタ2に表示させても良い。また、本実施形態は、判定結果が、音声出力や、所定のマーク表示により通知される場合であっても良い。
ここで、上記の判定結果を操作者に通知する際には、制御部18は、第1の実施形態で図14を用いて説明した表示制御と同様の表示制御を行なっても良い。例えば、制御部18の制御により、モニタ2は、図17に示すように、組織画像データF(0)にROI100の位置を示す枠線が重畳された画像データを、表示領域200の左側に表示する。また、例えば、制御部18の制御により、モニタ2は、図17に示すように、解析時点「t(ak+1)」での組織画像データF(ak+1)にROI100として追跡された領域の位置を示す枠線が重畳された画像データを、表示領域200の右側に表示する。また、制御部18を介した判定部154の制御により、モニタ2は、図17に示すように、組織画像データF(ak+1)の上部に「ROIが外れている可能性があります」とのメッセージを表示する。
これにより、操作者は、「ROIが外れている可能性があります」とのメッセージが表示された場合、上記の表示制御により、組織画像データF(ak+1)を参照する。そして、操作者は、実際には、組織画像データF(ak+1)に描出された肝臓の位置が、超音波走査領域の中心から大幅にずれており、且つ、ROI100として追跡された領域が肝臓外の組織に位置していることを視認することができる。その結果、操作者は、超音波走査領域の調整を、速やかに行なうことができる。
なお、上記の判定処理は、例えば、解析時点「t(ak)」での近似曲線C(ak)と、解析時点「t(ak+1)」での近似曲線C(ak+1)との類似度が、類似度の下限値より小さいか否かに基づいて行なわれても良い。また、上記の判定処理は、例えば、近似曲線C(ak)から算出された1つ又は複数の特徴量と、近似曲線C(ak+1)から算出された1つ又は複数の特徴量との差分値が、差分値の上限値より大きいか否かに基づいて行なわれても良い。
更に、第1の実施形態で説明した内容は、判定処理の内容が異なる点以外、第2の実施形態においても適用可能である。例えば、解析領域や解析区間は、第1の実施形態と同様に、複数設定されている場合であって良い。
次に、図18を用いて、第2の実施形態に係る超音波診断装置が行なう処理の一例について説明する。図18は、第2の実施形態に係る超音波診断装置が行なう処理の一例を示すフローチャートである。
図18に例示するように、第2の実施形態に係る超音波診断装置の制御部18は、造影前の組織画像データにROIが設定されたか否かを判定する(ステップS201)。ここで、ROIが設定されていない場合(ステップS201否定)、制御部18は、ROIが設定されるまで待機する。一方、ROIが設定された場合(ステップS201肯定)、制御部18の指示により、追跡部151は、ROIの追跡を開始する(ステップS202)。そして、制御部18は、造影剤が注入されたか否かを判定する(ステップS203)。
ここで、造影剤が注入されていない場合(ステップS203否定)、制御部18は、造影剤が注入されるまで待機する。一方、造影剤が注入された場合(ステップS203肯定)、制御部18の指示により、収集部152は、信号強度のデータ収集を開始する(ステップS204)。なお、収集部152は、追跡部151の追跡結果に基づいて、信号強度のデータ収集を行なう。
そして、解析部153は、開始時点(最初の解析時点)となったか否かを判定する(ステップS205)。ここで、開始時点でない場合(ステップS205否定)、解析部153は、開始時点となるまで待機する。一方、解析時点となった場合(ステップS205肯定)、解析部153は、開始時点までに収集された信号強度の時系列データから、近似曲線を算出する(ステップS206)。
そして、解析部153は、解析時点となったか否かを判定する(ステップS207)。ここで、解析時点でない場合(ステップS207否定)、解析部153は、解析時点となるまで待機する。一方、解析時点となった場合(ステップS207肯定)、解析部153は、前回の解析時点から現在の解析時点までに収集された信号強度のデータ列と、前回の解析時点で算出された近似曲線で定まる推定値とのずれ(差異)が閾値より大きいか否かを判定する(ステップS208)。
ここで、ずれが閾値以下である場合(ステップS208否定)、制御部18は、データ収集の終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS211)。
一方、ずれが閾値より大きい場合(ステップS208肯定)、判定部154は、「ROIが外れている可能性があります」等の警告を通知する(ステップS210)。なお、ステップS210の処理とともに、上記の表示制御が行なわれても良い。その後、制御部18は、データ収集の終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS211)。
ここで、ステップS208で否定と判定した後、又は、ステップS210の処理の後、データ収集の終了要求を受け付けない場合(ステップS211否定)、制御部18の指示により、解析部153は、次の判定処理のために、ステップS207での解析時点までに収集された信号強度の時系列データから、近似曲線を算出する(ステップS209)。そして、解析部153は、ステップS207に戻って、次の解析時点となったか否かを判定する。
一方、ステップS208で否定と判定した後、又は、ステップS210の処理の後、データ収集の終了要求を受け付けた場合(ステップS211肯定)、制御部18は、処理を終了する。
上述したように、第2の実施形態では、直前の解析時点から最新の解析時点までに収集された信号強度のデータ列が、直前の解析時点までに得られていた近似曲線から大きく逸脱している場合、要望する解析領域ではない領域の超音波走査が行なわれている可能性があると判断して、警告を通知する。これにより、操作者は、自身や被検体Pの姿勢を調整して、造影検査を継続することができる。従って、第2の実施形態では、造影検査の効率を向上させることができる。
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した判定処理は、3次元超音波走査領域に設定された3次元の解析領域の造影過程を解析する場合であっても適用可能である。
また、第1の実施形態で説明した判定処理(第1判定処理)と、第2の実施形態で説明した判定処理(第2判定処理)とは、並列して実行される場合であっても良い。例えば、判定部154は、最新の解析時点の特徴量と直前の解析時点の特徴量とを比較して第1判定処理を行なうとともに、直前の解析時点の近似曲線と、最新の解析時点までに新規に収集された信号強度のデータ列とを比較して、第2判定処理を行なっても良い。
また、上記の説明で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、第1及び第2の実施形態で説明した判定方法は、予め用意された判定プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この判定プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この判定プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD、USBメモリ及びSDカードメモリ等のFlashメモリ等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって非一時的な記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上、説明したとおり、第1及び第2の実施形態によれば、造影撮影でのデータ収集時における操作者及び被検体の負担を軽減することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。