JP6187127B2 - 内接歯車ポンプ - Google Patents

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この発明は作動音を低減した内接歯車ポンプに関する。
近年、アイドルストップ機構を備えた車両が増加しており、信号待ち等で車両が停止しているときにはエンジンが停止するので、油圧を確保するために電動モータで作動する電動油圧ポンプを搭載している。
このアイドルストップ機構は信号待ちなどで車両が停止しているときは、エンジンが停止して従来よりも車室内騒音が低下するので、このような車両に搭載される電動油圧ポンプには静粛性が要求されるようになってきている。
電動油圧ポンプの送油ポンプとしては、内接歯車ポンプが広く使用されている。
内接歯車ポンプは、外歯を有するインナーロータと内歯を有するアウターロータとが互いに偏心して組み合わされていて、そのインナーロータがモータで駆動されて、この内歯と外歯が噛み合って油を送る機構になっている。電動油圧ポンプの作動音を低減するためには、この内歯と外歯との噛み合い音を低減することが有効である。
一方、この内接歯車ポンプは、電動油圧ポンプに組み込むときの作業を容易にするために、シャフトとインナーロータの軸穴とが隙間を持って嵌め合わされる。このとき、シャフトに対してインナーロータが回り止めされるように、シャフトの外周面とインナーロータの軸穴にそれぞれ軸心に平行な平坦面が設けられて、いわゆる「Dカット形状」や「2面幅カット形状」にする方法がよく使用される(特許文献1参照)。
特開2008−151065号公報
本発明の出願人らは、上記のような「Dカット形状」や「2面幅カット形状」にしてインナーロータとモータシャフトを連結した電動油圧ポンプについて作動音の発生状況を調査したところ、周期的な歯打ち音が発生し、シャフトおよび軸穴の平坦面がポンプの吐出ポートの側に向いているときに歯打ち音が大きくなることがわかった。
説明を簡単にするため、「Dカット形状」の場合について説明する。内接歯車ポンプでは、インナーロータが、吐出ポートと吸入ポートにおけるオイルの圧力差によって、吐出ポート側から吸入ポート側に向けて付勢される。インナーロータとモータのシャフトをDカット形状で結合する場合(以下この結合を「Dカット結合」という)のように、その嵌め合い部に隙間があると、インナーロータはその隙間の分だけ吸入ポートの側に位置ずれをして、アウターロータと近接することになる。インナーロータおよびモータシャフトを同軸に配置したとき、軸穴およびシャフト間の径方向の隙間は、Dカット面で大きく、円弧の部分で小さい。
上記の圧力差によってインナーロータが位置ずれする量は、インナーロータがDカット面に垂直な方向に付勢されるときの方が、平行な方向に付勢されるときよりも大きくなりやすい。この結果、Dカット面が吐出ポートの方向を向いたときに、インナーロータが最も大きく吸入ポート側に位置ずれをして、Dカット面と反対側(吸入ポート側)でインナーロータの外歯とアウターロータの内歯とが強く歯当たりすることになり、歯打ち音も大きくなっていると考えられる。
上記の事情に鑑み、本発明は、インナーロータとモータシャフトとを「Dカット形状」や「2面幅カット形状」を利用して、嵌め合い部に隙間を持たせて連結した場合において、インナーロータとアウターロータとの歯打ち音を効果的に低減して、騒音の小さい内接歯車ポンプを提供することを目的としている。
請求項1の内接歯車ポンプは、ハウジングの内部に形成された円筒形状のロータ収容部と、環状で、内周面に複数の内歯が形成されて、前記ロータ収容部に回転自在に保持されたアウターロータと、前記ハウジングに回転可能に支持されて、当該ロータ収容部の軸心と偏心した位置で前記ロータ収容部内に突出した軸端部を有するシャフトと、前記内歯と順次噛み合う複数の外歯が外周面に形成されていて、軸心部に形成された軸穴が前記軸端部に嵌め合わされて、前記ロータ収容部に回転自在に保持されたインナーロータとで構成され、前記軸穴と前記軸端部は、その断面形状が、互いの軸心を同軸に保持する円弧と、互いに係合して回転方向に回り止めする弦とからなる内接歯車ポンプにおいて、前記外歯のうち、前記インナーロータの軸心を挟んで前記弦と反対の方向にある一の外歯は、その歯先部とこの歯先部に隣接する両歯元部のうち少なくとも一方とをつなぐ部分の輪郭形状が、他の外歯の輪郭形状より小さく形成されていることを特徴としている。
請求項1によれば、軸心に対して、断面形状における弦(すなわちDカット面)と反対の側にあるインナーロータの外歯の輪郭形状を小さくしているので、インナーロータの位置ずれ量が最も大きくなる位相のときに、インナーロータの外歯とアウターロータの内歯との当たりを小さくすることが出来て、歯打ち音を低減することが出来る。
請求項2の内接歯車ポンプは、請求項1の内接歯車ポンプにおいて、前記一の外歯は、歯先から歯元までの輪郭形状のうち、歯先から歯元までの道程の1/10から3/10の範囲が、前記他の外歯の輪郭形状より小さく形成されていることを特徴としている。
請求項2によれば、インナーロータが上記の位置ずれをしたときに、インナーロータとアウターロータの歯面が最も近接する部分の輪郭形状を小さくしているので、歯打ち音をより効果的に低減することが出来る。
本発明によれば、インナーロータとモータシャフトとを「Dカット形状」や「2面幅カット形状」を利用して、嵌め合い部に隙間を持たせて連結した場合において、インナーロータとアウターロータとの歯打ち音を効果的に低減して、騒音の小さい内接歯車ポンプを提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる内接歯車ポンプを組み込んだ電動油圧ポンプの断面構造図である。 本発明の一実施形態にかかる図1のA−A断面におけるポンプロータの組み込み状態図である。 本発明の一実施形態にかかるインナーロータ外歯の輪郭形状図である。 本発明の一実施形態にかかるポンプロータに作用する力の方向と、軸穴およびシャフトの嵌め合い状態との関係を説明する説明図である。 本発明の一実施形態にかかる回転角度と変位量の変化を示すグラフである。 インナーロータとアウターロータの動作を説明する図である。
図1、図2を用いて本発明にかかる内接歯車ポンプの実施形態を説明する。
図1は、本発明にかかる内接歯車ポンプを組み込んだ電動油圧ポンプ1の断面構造図であって、電動油圧ポンプ1は、油を吐出するポンプ部40と、ポンプ部40を駆動するモータ部90とで構成され、ポンプ部40とモータ部90とが軸方向に一体に結合された構成となっている。
ポンプ部40は、内接歯車ポンプであり、ポンプハウジング5と、ポンプハウジング5とで内部にロータ収容部10を形成するポンププレート7と、ロータ収容部10に収納されたポンプロータ2とで構成されている。
ポンプハウジング5は、平滑に研削仕上げされた側面5aを有しており、側面5aには、ロータ収容部10を構成する有底円筒形状の凹部51が、側面5aと垂直に形成されている。凹部51の底面5bには、駆動用穴18が、底面5bと垂直に貫設されている。駆動用穴18の軸心は凹部51の軸心と偏心して設けられていて、その偏心量は、アウターロータ21に対するインナーロータ22の偏心量と等しい大きさとなっている。
ポンププレート7は、平滑に研削仕上げされた側面7aを有しており、側面7aには、吐出ポート71と吸入ポート72が、所定の深さで形成されている。吐出ポート71と吸入ポート72は、図2に点線で示すように、それぞれポンプロータ2と対向する所定の位置に、三日月形状の輪郭で形成されている。そして、この吐出ポート71と吸入ポート72にそれぞれ開口する送油穴と還流穴が、それぞれポンププレート7を貫通して設けられており、図示を省略した無段変速機へ油が送られるようになっている。
上記凹部51にポンプロータ2を挿入した後、ポンプハウジング5とポンププレート7とをそれぞれの側面5aと側面7aが互いに向き合うように組み合わせることによって、凹部51の開口部が塞がれて、ロータ収容部10が形成されている。ポンプハウジング5とポンププレート7の間には、ロータ収容部10を囲むようにOリング11が組み込まれていて、側面5aと側面7aとの合わせ面から油が漏れるのを防止している。
次に図2によって、ポンプロータ2について説明する。ポンプロータ2は、凹部51に嵌め込まれるアウターロータ21と、アウターロータ21の内周に配置されるインナーロータ22とで構成されている。
アウターロータ21は、鉄系の焼結材料で作られていて、軸方向に一様な形状で、一様な厚さを有する略リング形状である。その外周面21bは円筒形状で、内周には8枚の内歯21aが形成されている。
この8枚の内歯21aの輪郭形状はすべて同一であって、その形状には一般にトロコイド曲線が使用されている。そして歯底(内周面の輪郭形状において、歯と歯の間で半径方向に最も外側にある点)をつないで得られる歯底円と、歯先(内周面の輪郭形状における歯の先端で最も内側にある点)をつないで得られる歯先円は、それぞれ外周面21bと同軸になっている。
インナーロータ22は、鉄系の焼結材料で作られていて、軸方向に一様な形状で、一様な厚さを有する略円板形状である。外周に7枚の外歯22aが形成されており、軸方向に貫通する軸穴3が軸心と同軸に設けられている。
軸穴3は、円筒面3aと平坦面3bとで形成されていて、軸心と直角方向の断面形状は、軸心と同軸でかつ半周以上の長さを持つ円弧と、ひとつの弦をもった形状となっている。
7枚の外歯22aのうち、軸穴3の平坦面3bと軸心に対して反対の方向にある外歯22zは、その輪郭形状が他の6枚の外歯の輪郭形状より小さくなっている。外歯22zを除く6枚の外歯の輪郭形状は、すべて同一に形成されていて、その形状には一般にトロコイド曲線が使用されている。そして歯底(外周面の輪郭形状において、歯と歯の間で半径方向に最も内側にある点)をつないで得られる歯底円と、歯先(外周面の輪郭形状における歯の先端で最も外側にある点)をつないで得られる歯先円は、それぞれ軸心と同軸になっている。
図3によって、外歯22zの輪郭形状について詳細に説明する。歯先から歯底にかけての輪郭形状は、歯の両側において同等であるので、その一方について説明する。
歯先から歯元までの輪郭形状は、図3に示したX1からX2にかけて、他の歯の輪郭形状より小さくなっている。X1の位置は、歯先から歯元までの道程の1/10程度の位置にあり、X2は道程の3/10程度の位置にある。このX1とX2の点はそれぞれ図5における噛み合い点AまたはCに概ね対応する点である。
このX1とX2の間の輪郭形状が、他の6枚の外歯の輪郭形状より歯面に直行する方向に小さくなっている程度(以下、「減少量」という)について、歯の更に詳細に述べると、歯先からX1までの減少量はゼロで、X1からX2に向かうにつれて減少量が漸増し、X1とX2との中央部で最大10〜50μm程度の減少量となり、その後X2に向かうにつれて減少量が漸減して、X2から歯元までの減少量はゼロとなっている。
次にモータ部90について説明する。
モータ部90は、軸端に永久磁石93を備えたシャフト4と、このシャフト4を回転支持する軸受装着部52と、永久磁石93の外周に配置され、ハウジング8に固定されたステータ91とで構成されている。
軸受装着部52は、前述の凹部51と一体にポンプハウジング5に設けられていて、凹部51と反対の側に開口する有底円筒形状となっている。その底面には上記の駆動用穴18が開口している。軸受装着部52は、内周が駆動用穴18と同軸に設けられた2段の円筒形状になっていて、奥側の内周に軸シール19が圧入され、入り口側の内周に2個のラジアル玉軸受17が組み込まれている。
シャフト4は、軸方向中央部がラジアル玉軸受17によって回転支持されていて、シャフト4の一端に永久磁石93を保持するヨーク92が固定されている。
ヨーク92は、軸受装着部52を囲むように断面形状が略コの字の円筒形状に形成されていて、その内周がシャフト4の軸端部に圧入して固定されている。ヨーク92の外周に極性の異なる永久磁石93が円周方向に交互に配置されて保持されている。
ハウジング8に固定されたステータ91は、円周方向に複数のコイルを有する。この複数のコイルに順次通電し、回転磁界を発生させることによって、シャフト4に回転力が付与される。
シャフト4の他端はインナーロータ22と係合するシャフト軸端部6となっていて、駆動用穴18を通してロータ収容部10内に突出している。
図2に示すように、シャフト軸端部6は、外周の一部が軸線に平行に面取りされていて、円筒面6aと平坦面6bとで形成されていて、軸心に直角方向の断面形状は、軸心と同軸でかつ半周以上の長さを持つ円弧と、ひとつの弦をもった形状となっている。
軸シール19は、そのリップが、シャフト4の外周面であってシャフト軸端部6より軸方向内側に設けた円筒形状の外周面に摺接するように設けられていて、ロータ収容部10の油がモータ部90に流入しないようになっている。
次に、ポンプロータ2がロータ収容部10に組付けられている状態について説明する。
上述したようにシャフト4のシャフト軸端部6がロータ収容部10内に突出しており、インナーロータ22の軸穴3とシャフト軸端部6とが、それぞれの平坦面3bと平坦面6bの位相をあわせて嵌め合わせられて、ポンプロータ2とシャフト4とが連結される。
このとき、軸穴3とシャフト軸端部6とは、隙間を持って嵌めあわせられているので、圧入等の作業が不要であり、インナーロータ22をシャフト軸端部6に容易に組み付けることが出来る。
より具体的には、インナーロータ22およびシャフト4を同軸にかつ同位相に配置したとき、軸穴3およびシャフト軸端部6間の径方向に隙間は、平坦面3bおよび平坦面6b間で100μm程度あり、円筒面3aおよび円筒面6a間で40μm程度ある。
平坦面3bおよび平坦面6b間の隙間が大きくなるのは、機械加工するときの加工方式に違いによるもので、円筒面が研削加工によって精度よく加工されるのに対して、平坦面は一般にフライス盤等によって切削加工されるので、寸法精度を確保しにくいためである。
次にアウターロータ21を挿入する。アウターロータ21は、インナーロータ22に外接させながら、インナーロータ22の位相に合わせて適宜円周方向に向きを修正しながら、ロータ収容部10の円筒面に内嵌するように挿入する。こうして、インナーロータ22とアウターロータ21が互いに偏心した状態で組み合わせられて、ロータ収容部10に収容される。アウターロータ21の外周面21bとロータ収容部10の円筒面との間にはわずかな隙間が設けられていて、アウターロータ21はロータ収容部10の円筒面に沿って容易に回転することが出来る。
こうして、ポンプロータ2がロータ収容部10に組付けられたあと、ポンプハウジング5にポンププレート7が取り付けられて、ポンプ部40の組み立てが完了する。このとき、凹部51の深さは、アウターロータ21並びにインナーロータ22の軸方向の厚さよりわずかに大きくなっているので、ポンプロータ2は、ポンププレート7の側面7aとロータ収容部10の底面5bとの間に僅かな隙間を持って組み込まれて、ロータ収容部10の中で容易に回転することが出来る。
次に、図2によってポンプロータ2の動作を詳細に説明する。ここでは、ロータ収容部10は油で満たされており、ポンプロータ2が時計方向に回転して油を吐出する場合について説明する。
アウターロータ21の内周面とインナーロータ22の外周面は、図6に示すように円周方向に異なるA〜Hのポイントで互いに近接しており、アウターロータ21の内周面とインナーロータ21の外周面とで挟まれた空間が上記の近接点A〜Hのうち2つの近接点で仕切られて、ポンプ空間a〜hが形成されている。
以下の説明のために、インナーロータ22に対するアウターロータ21の偏心方向と、軸穴3の回転方向の位相とが、図6に示す関係になっているときのインナーロータ22の位相角を0°とする。
位相角が0°のときは、図6の最上部にあるポンプ空間aは容積が最小になっており、ポンプ空間eは容積が最大になっている。この状態からインナーロータ22が回転すると、ポンプ空間e,f,g,hの容積が減少し、これらのポンプ空間e,f,g,hにある油は吐出ポート71を介して無段変速機に圧送される。同時に、ポンプ空間a,b,c,dの容積が増加し、無段変速機から戻ってきた油が、吸入ポート72を介してそれぞれのポンプ空間a,b,c,dに流入する。
このとき、吐出ポート71のほうが吸入ポート72より油圧が高くなるため、インナーロータ22には図6に2重矢印で示した方向の荷重Fが作用する。前述したように、軸穴3とシャフト軸端部6との間には僅かな隙間が設けられているので、この荷重Fによってインナーロータ22がシャフト4に対して吸入ポート72の側に変位する。
次に、回転角度が変化することに伴って、この荷重Fによるインナーロータ22の変位量が変化するようすを、図4(a)〜(d)及び図5を用いて説明する。
図4(a)は、位相角が0°で、ポンプロータ2の軸穴3とシャフト軸端部6とが嵌め合わされている状態を表わしている。図4(b)〜(d)は、その状態からインナーロータ22が時計回りに回転したときの、90°毎の軸穴3とシャフト4の嵌め合い状態を表わしている。いずれも軸穴3とシャフト軸端部6の接触状態を説明するために、円弧部分の曲率は実際のものと異なった表示となっている。
位相角が0°のときは、図4(a)に示したように、シャフト軸端部6の弦の端部が、点Rにおいて軸穴3の弦と当接して、モータの回転トルクがインナーロータ22に伝達される。このとき、前述の荷重Fが負荷されて、軸穴3が点Rを支点にして時計回りに変位し、軸穴3とシャフト軸端部6とは、点Qで当接する。
このときのシャフト4に対するインナーロータ22の変位量の計算値は、概ね30μm程度となる。ここでは、嵌め合い部の隙間が最大となる組み合わせ、すなわちインナーロータ22の軸穴3とシャフト軸端部6の寸法が、それぞれ前述のばらつき範囲での最大または最小となったときの値で検討しており、弦の部分の半径方向隙間を50μm、円弧の部分の半径方向隙間を19μmとした。
そしてシャフトの回転と共に、位相角が90°、180°、270°と変化するとき、いずれの位相角においても軸穴3は、円弧の部分が吐出ポート71の方に向いており、インナーロータ22の変位量は、円弧部分の隙間の大きさにほぼ等しく、19μm程度となる。
インナーロータ22の変位量の変化を図5のグラフに示す。インナーロータ22は、その回転と共に周期的に中心位置が変位しており、位相角が0°のとき、すなわち軸穴3の弦の部分が吐出ポート71の側に向いたときに、インナーロータ22の変位量が最大になる。
そこで図6によって、軸心に対して弦の反対方向にある外歯22zに着目して、アウターロータ21とインナーロータ22との接触状態の変化を、更に詳細に説明する。
図6は、以下の説明のために、図2の位相から外歯22aの二歯分戻った状態を(a)に図示し、ここから回転方向に一歯ずつ進んだ状態をそれぞれ(b)(c)(d)に順に示している。
図6(a)の位相では、外歯22zは図の上方に位置しており、この外歯22zは、GとHの位置でアウターロータ内歯21aと対向し、インナーロータ22の回転力は、Hの点でアウターロータ21に伝達されている。このとき軸穴3の円弧の部分が、吐出ポート71の方向に向いている。
その後インナーロータ22が一歯分正回転(時計方向)すると、図6(b)に示すように、外歯22zはAの位置でアウターロータ内歯21aと対向するようになるとともに、インナーロータ22からアウターロータ21に回転力を伝達するポイントは、外歯22zの左側にある外歯22bのHに移ってゆく。
更にインナーロータ22が正回転すると、外歯22zはアウターロータ内歯21aと対向しながら回転し、図6(c)および(d)に示す位相になると、それぞれB,Cの各点でアウターロータ内歯21aと対向する。そして図示を省略したが、外歯22zが図の最も下方に向いたときは、外歯22zの歯先部分がアウターロータ内歯21aと対向する。
前述したように、インナーロータ22は、弦の位置が吐出ポート71の側に向いたとき(図6(c)の状態)に最も大きく吸入ポート72の側に変位して、Bの位置でアウターロータ21と最も接近する。そして、図6(b)や図6(d)の位相のときは、インナーロータ22の変位量が小さく、点Aや点Cでの接近量は小さい。こうして、主にBの位置において、外歯22zがアウターロータ内歯21aと当接して歯打ち音を発生していると考えられる。
この外歯22zは、図6(a)に示す位相にあるときは、Hの位置でアウターロータ21と接触して回転力を伝達しているので、荷重Fによる位置ずれの問題は生じないし、外歯22zが図6の最下方に位置したときは、外歯22zとアウターロータ内歯21aは荷重Fと直角方向に対向しているので、荷重Fによる位置ずれによって歯当たりが強くなるという問題は生じない。このため、概ね図6(b)に示すAから図6(d)に示すCの領域で、外歯22zとアウターロータ内歯21aとの当たりを小さくすればよい。
そして、上述したようにBの点でインナーロータの外歯22zとアウターロータの内歯21aとが最も接近するので、インナーロータの外歯22zの輪郭形状を小さくする程度は、Bの点が最も大きく、AまたはCの点はこれよりやや小さくてよい。
本実施形態にかかる内接歯車ポンプでは、外歯22zについて、歯先から歯元までの輪郭形状のうち、歯先から歯元までの道程の1/10から3/10の範囲が、他の外歯22aの輪郭形状より小さく形成されていて、概ね図6(b)に示すAから図6(d)に示すCの領域で、インナーロータ22の外歯22zの輪郭形状が小さくなっている。
この結果、荷重Fに伴って、インナーロータ22が吸入ポート72の側に大きく変位したときの、アウターロータ21との強い歯当たりを防止することが出来て、インナーロータ22とアウターロータ21の歯打ち音を効果的に軽減することが出来る。
本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
上述した実施形態では、内接歯車ポンプが時計方向に回転し、外歯22zの進行方向の歯面(外歯22zの輪郭形状のうち、歯先より下側の面)がアウターロータ21の内歯21aと接触する。したがって、外歯22zの当該部分を小さく形成すれば、本発明の目的を達成することが出来る。
しかし、外歯22zの大きさの減少量が極めて小さいことから、当該ポンプロータ2を裏返したときに、その表裏を判別することは困難である。そのため、他の実施形態の組立工程においては、その表裏を厳密に管理する方法に変えて、外歯22zの歯先から両隣の歯元にかけての輪郭形状を、同程度に小さくした形状に形成しておくことによって、表裏を区別することなく組み込むことが出来る。
上述した実施形態では、Dカット形状について説明した。他の実施形態として、2面幅カット形状も同様に考えることが出来る。すなわち、断面形状におけるそれぞれの弦に対して軸心を挟んで反対の側にあるインナーロータの外歯について、それぞれの輪郭形状を小さくすればよい。
1:電動油圧ポンプ、 2:ポンプロータ、 3:軸穴、 3a:円筒面、 3b:平坦面、 4:シャフト、 5:ポンプハウジング、 6:シャフト軸端部、 6a:円筒面、6b:平坦面、 7:ポンププレート、 8:ハウジング、 10:ロータ収容部、 11:Oリング、 17:ラジアル玉軸受、 19:軸シール、 21:アウターロータ、 21a:内歯、 22:インナーロータ、 22a:外歯、 22z:外歯(輪郭形状が小)、 52:軸受装着部、 71:吐出ポート、 72:吸入ポート、 91:ステータ、92:ヨーク

Claims (2)

  1. ハウジングの内部に形成された円筒形状のロータ収容部と、
    環状で、内周面に複数の内歯が形成されて、前記ロータ収容部に回転自在に保持されたアウターロータと、
    前記ハウジングに回転可能に支持されて、当該ロータ収容部の軸心と偏心した位置で前記ロータ収容部内に突出した軸端部を有するシャフトと、
    前記内歯と順次噛み合う複数の外歯が外周面に形成されていて、軸心部に形成された軸穴が前記軸端部に嵌め合わされて、前記ロータ収容部に回転自在に保持されたインナーロータとで構成され、
    前記軸穴と前記軸端部は、その断面形状が、互いの軸心を同軸に保持する円弧と、互いに係合して回転方向に回り止めする弦とからなる内接歯車ポンプにおいて、
    前記外歯のうち、前記インナーロータの軸心を挟んで前記弦と反対の方向にある一の外歯は、その歯先部とこの歯先部に隣接する両歯元部のうち少なくとも一方とをつなぐ部分の輪郭形状が、他の外歯の輪郭形状より小さく形成されていることを特徴とする内接歯車ポンプ。
  2. 前記一の外歯は、歯先から歯元までの輪郭形状のうち、歯先から歯元までの道程の1/10から3/10の範囲が、前記他の外歯の輪郭形状より小さく形成されていることを特徴とする請求項1の内接歯車ポンプ。
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