〔第1実施形態〕
以下、図1等を参照しつつ、本発明に係る虚像表示装置の第1実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の虚像表示装置100は、眼鏡のような外観を有するヘッドマウントディスプレイであり、この虚像表示装置100を装着した観察者又は使用者に対して虚像による画像光を視認させることができるとともに、観察者に外界像をシースルーで視認又は観察させることができる。虚像表示装置100は、観察者の眼前を透視可能に覆う第1及び第2光学部材101a,101bと、両光学部材101a,101bを支持する枠部102と、枠部102の左右両端から後方のつる部分(テンプル)104にかけての部分に付加された第1及び第2像形成本体部105a,105bとを備える。ここで、図面上で左側の第1光学部材101aと第1像形成本体部105aとを組み合わせた第1表示装置100Aは、右眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも虚像表示装置として機能する。また、図面上で右側の第2光学部材101bと第2像形成本体部105bとを組み合わせた第2表示装置100Bは、左眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも虚像表示装置として機能する。なお、虚像表示装置100は、撮像動作可能な小型のカメラCAを第1表示装置100Aの側方部分に有している。また、虚像表示装置100は、上記のほか、眼前部分において着脱可能なシェード装置を有しているが、図1等では、シェード装置を外した状態を示しており、シェード装置の図示を省略している。シェード装置についての詳細は、後述する。なお、ここでは、シェードのない状態すなわちシェード装置を取り付ける前の状態にある虚像表示装置100を装置本体部と呼ぶものとする。
図2(A)は、虚像表示装置100の表側の外観を説明する斜視図であり、図2(B)は、虚像表示装置100を部分的に分解した表側の斜視図である。
図示のように、虚像表示装置100に設けた枠部102は、上側に配置されるフレーム107と下側に配置されるプロテクター108とを備える。枠部102のうち、図2(A)に示す上側のフレーム107は、XZ面内でU字状に折れ曲がった細長い板状の部材であり、左右の横方向(X方向)に延びる正面部107aと、前後の奥行き方向(Z方向)に延びる一対の側面部107b,107cとを備える。フレーム107、すなわち正面部107aと側面部107b,107cとは、アルミダイカストその他の各種金属材料で形成された金属製の部分(アルミフレーム部)を主体として含んで構成されている。フレーム107がアルミフレーム部を含むことで、フレーム107を小型かつ軽量としつつ、十分な剛性を維持して装置全体としての耐久性を確保できる。なお、フレーム107は、一部に分解可能な樹脂製部分を有するものとしてもよい。フレーム107に分解可能な箇所が設けられれば、例えば、カメラCA等のためのハーネス等を組み込む際の作業性を向上させることができる。正面部107aの奥行き方向(Z方向)の幅は、第1及び第2光学部材101a,101bに対応する導光装置20の厚み又は幅よりも十分に厚いものとなっている。フレーム107の左側方、具体的には正面部107aにおける向かって左端部から側面部107bにかけての部分である側方端部65aには、第1光学部材101aと第1像形成本体部105aとがアライメントされネジ止めによって直接固定されることにより、支持されている。また、フレーム107の右側方、具体的には正面部107aにおける向かって右端部から側面部107cにかけての部分である側方端部65bには、第2光学部材101bと第2像形成本体部105bとがアライメントされネジ止めにより直接固定されることによって、支持されている。なお、第1光学部材101aと第1像形成本体部105aとは、嵌合によって互いにアライメントされ、第2光学部材101bと第2像形成本体部105bとは、嵌合によって互いにアライメントされる。また、光学系ユニットを構成する第1及び第2像形成本体部105a,105bは、カバー状の外装部材105dによってそれぞれ覆われている。言い換えると、外装部材105dは、光学系ユニットを構成する第1及び第2像形成本体部105a,105bを収納して保護する収納ケースとして機能している。
図2(A)及び2(B)に示すプロテクター108は、アンダーリム状の部材であり、図2(A)に示すフレーム107の下方に配置されて固定されている。プロテクター108の中央部108gは、フレーム107の中央部107gに嵌合及びネジ止めによって固定される。プロテクター108は、2段のクランク状に折れ曲がった細長い板状の部材であり、金属材料又は樹脂材料から一体的に形成されている。プロテクター108の第1先端部108iは、第1像形成本体部105aを覆う外装部材105dのうち外部材105eに設けた凹部105iに嵌合した状態で固定される。また、プロテクター108の第2先端部108jは、第2像形成本体部105bを覆うカバー状の外装部材105dのうち外部材105eに設けた凹部105jに嵌合した状態で固定される。
フレーム107は、第1及び第2像形成本体部105a,105bを支持する。また、フレーム107は、外装部材105dと協働して第1及び第2像形成本体部105a,105bの内部を保護する役割も有している。なお、フレーム107及びプロテクター108は、第1及び第2像形成本体部105a,105bに連結される根元側を除いた導光装置20の長円状の周囲部分と離間するか又は緩く接している。このため、中央の導光装置20と、フレーム107及びプロテクター108を含む枠部102との間に熱膨張率の差があっても、枠部102内での導光装置20の膨張が許容され、導光装置20に歪み、変形、破損が生じることを防止できる。
フレーム107に付随して、鼻受部40が設けられている。鼻受部40は、観察者の鼻に当接することによって枠部102を支持する役割を有する。つまり、枠部102は、鼻に支持される鼻受部40と耳に支持される一対のテンプル部104とによって、観察者の顔前に配置されることになる。鼻受部40は、枠部102を構成する一方のフレーム107の正面部107aの中央部107gにおいて、枠部102を構成する他方のプロテクター108の中央部108gに挟まれるようにして、ねじ止めによって固定されている。
以下、虚像表示装置100の光学系の構成について説明する。なお、図1に示す第2表示装置100Bは、第1表示装置100Aと同様の構造を有し、第1表示装置100Aを左右対称に反転させただけであるので、第2表示装置100Bの構造、機能、組立て等についての説明は省略する。
まず、図3(A)に示すように、第1表示装置100Aは、投影用の光学系である投射透視装置70と、映像光を形成する画像表示装置80とを備えると見ることができる。投射透視装置70は、第1像形成本体部105aによって形成された画像を虚像として観察者の眼に投射する役割を有する。投射透視装置70は、導光及び透視用の導光部材10と、透視用の光透過部材50と、結像用の投射レンズ30とを備える。つまり、第1光学部材101a又は導光装置20は、導光部材10と光透過部材50とで構成され、第1像形成本体部105aは、画像表示装置80と投射レンズ30とで構成される。なお、この場合、投射レンズ30は、収納ケースである外装部材105dに収納されていることになる。
以下、図3(B)、4等を参照して、第1像形成本体部105aを構成する画像表示装置80と投射レンズ30とについて説明する。
画像表示装置80は、照明光を射出する照明装置81と、透過型の空間光変調装置である映像表示素子82と、照明装置81及び映像表示素子82の動作を制御する駆動制御部84とを有する。
画像表示装置80の照明装置81は、赤、緑、青の3色を含む光を発生する光源81aと、この光源からの光を拡散させて矩形断面の光束にするバックライト導光部81bとを有する。映像表示素子82は、例えば液晶表示デバイスで形成され、照明装置81からの照明光を空間的に変調して動画像等の表示対象となるべき画像光を形成する。駆動制御部84は、光源駆動回路84aと、液晶駆動回路84bとを備える。光源駆動回路84aは、照明装置81に電力を供給して安定した輝度の照明光を射出させる。液晶駆動回路84bは、映像表示素子82に対して画像信号又は駆動信号を出力することにより、透過率パターンとして動画や静止画の元になるカラーの映像光又は画像光を形成する。なお、液晶駆動回路84bに画像処理機能を持たせることができるが、外付けの制御回路に画像処理機能を持たせることもできる。
投射レンズ30は、構成要素として3つの光学素子31〜33を備える投射光学系であり、これらの光学素子31〜33を収納して支持する鏡筒39を含む。光学素子31〜33は、例えば非球面レンズであり、導光部材10の一部と協働して導光部材10の内部に映像表示素子82の表示像に対応する中間像を形成する。鏡筒39は、前端側に矩形枠状の係合部材39aを有する。係合部材39aは、導光部材10の第2導光部分12側の先端部と嵌合することで、鏡筒39に対する導光部材10の位置決めを可能にしている。
なお、映像表示素子82は、筐体状の素子用ケース88の内部に収納され、移動しないように保持されている。素子用ケース88は、嵌合によって映像表示素子82の第1基板82aを支持する第1支持部分88aと、映像表示素子82の第2基板82bを覆う第2支持部分88bとを含む。両支持部分88a,88bは、遮光性の樹脂材料で形成された成形品である。
以下、図4を参照して、投射透視装置70等の機能、動作等の詳細について説明する。投射透視装置70のうち、導光装置20の一部である導光部材10は、平面視において顔面に沿うように湾曲した円弧状の部材である。導光部材10のうち、第1導光部分11は、鼻に近い中央側つまり光射出側に配置され、光学的な機能を有する側面として、第1面S11と、第2面S12と、第3面S13とを有し、第2導光部分12は、鼻から離れた周辺側つまり光入射側に配置され、光学的な機能を有する側面として、第4面S14と、第5面S15とを有する。このうち、第1面S11と第4面S14とが連続的に隣接し、第3面S13と第5面S15とが連続的に隣接する。また、第1面S11と第3面S13との間に第2面S12が配置され、第4面S14と第5面S15とは大きな角度を成して隣接している。
導光部材10において、第1面S11は、Z軸に平行な射出側光軸AXOを中心軸とする自由曲面であり、第2面S12は、XZ面に平行な基準面(図示の断面)に含まれZ軸に対して傾斜した光軸AX1を中心軸とする自由曲面であり、第3面S13は、射出側光軸AXOを中心軸とする自由曲面である。第4面S14は、XZ面に平行な上記基準面に含まれZ軸に対して傾斜した一対の光軸AX3,AX4の2等分線に平行な光軸AX5を中心軸とする自由曲面であり、第5面S15は、XZ面に平行な上記基準面に含まれるとともにZ軸に対して傾斜した一対の光軸AX4,AX5の2等分線又はこれに対して小角度をなす線を中心軸とする自由曲面である。なお、以上の第1〜第5面S11〜S15は、水平(又は横)に延びXZ面に平行で光軸AX1〜AX5等が通る基準面(図示の断面)を挟んで、鉛直(又は縦)のY軸方向に関して対称な形状を有している。
導光部材10のうち本体10sは、可視域で高い光透過性を示す樹脂材料で形成されており、例えば金型内に熱可塑性樹脂を注入・固化させることにより成形する。なお、本体10sの材料としては、例えばシクロオレフィンポリマー等を用いることができる。本体10sは、一体形成品とされているが、導光部材10は、既に説明したように機能的に第1導光部分11と第2導光部分12とに分けて考えることができる。第1導光部分11は、映像光GLの導波及び射出を可能にするとともに、外界光HLの透視を可能にする。第2導光部分12は、映像光GLの入射及び導波を可能にする。
第1導光部分11において、第1面S11は、映像光GLを第1導光部分11外に射出させる屈折面として機能するとともに、映像光GLを内面側で全反射させる全反射面として機能する。第1面S11は、眼EYの正面に配されるものであり、観察者に対し凹面形状を成している。なお、第1面S11は、本体10sの表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
第2面S12は、本体10sの表面であり、当該表面にハーフミラー層15が付随している。このハーフミラー層15は、光透過性を有する反射膜(すなわち半透過反射膜)である。ハーフミラー層(半透過反射膜)15は、第2面S12の全体ではなく、第2面S12を主にY軸に沿った鉛直方向に関して狭めた部分領域PA上に形成されている(図7(A)参照)。ハーフミラー層15は、本体10sの下地面のうち部分領域PA上に、金属反射膜や誘電体多層膜を成膜することにより形成される。ハーフミラー層15の映像光GLに対する反射率は、シースルーによる外界光HLの観察を容易にする観点で、想定される映像光GLの入射角範囲において10%以上50%以下とする。具体的な実施例のハーフミラー層15の映像光GLに対する反射率は、例えば20%に設定され、映像光GLに対する透過率は、例えば80%に設定される。
第3面S13は、映像光GLを内面側で全反射させる全反射面として機能する。第3面S13は、眼EYの正面に配されるものであり、第1面S11と同様に観察者に対し凹面形状を成しており、第1面S11と第3面S13とを通過させて外界光HLを見たときに、視度が略0になっている。なお、第3面S13は、本体10sの表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
第2導光部分12において、第4面S14は、映像光GLを内面側で全反射させる全反射面として機能する。第4面S14は、映像光GLを第2導光部分12内に入射させる屈折面としても機能する。なお、第4面S14は、本体10sの表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
第2導光部分12において、第5面S15は、既述のように、本体10sの表面上に無機材料で形成される光反射膜RMを成膜することで形成され、反射面として機能する。
光透過部材50は、既述のように導光部材10と一体的に固定され1つの導光装置20となっている。光透過部材50は、導光部材10の透視機能を補助する部材(補助光学ブロック)であり、光学的な機能を有する側面として、第1透過面S51と、第2透過面S52と、第3透過面S53とを有する。ここで、第1透過面S51と第3透過面S53との間に第2透過面S52が配置されている。第1透過面S51は、導光部材10の第1面S11を延長した曲面上にあり、第2透過面S52は、当該第2面S12に対して接着層CCによって接合され一体化されている曲面であり、第3透過面S53は、導光部材10の第3面S13を延長した曲面上にある。このうち第2透過面S52と導光部材10の第2面S12とは、薄い接着層CCを介しての接合によって一体化されるため、略同じ曲率の形状を有する。
光透過部材(補助光学ブロック)50は、可視域で高い光透過性を示し、光透過部材50の本体部分は、導光部材10の本体10sと略同一の屈折率を有する熱可塑性樹脂材料で形成されている。なお、光透過部材50は、本体部分を導光部材10の本体10sに接合した後、接合された状態で本体10sとともにハードコートによる成膜がなされて形成されるものである。つまり、光透過部材50は、導光部材10と同様、本体部分の表面にハードコート層27が施されたものとなっている。第1透過面S51と第3透過面S53とは、本体部分の表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
以下、虚像表示装置100における映像光GL等の光路について説明する。映像表示素子(映像素子)82から射出された映像光GLは、投射レンズ30によって収束されつつ、導光部材10に設けた正の屈折力を有する第4面S14に入射する。
導光部材10の第4面S14を通過した映像光GLは、収束しつつ進み、第2導光部分12を経由する際に、比較的弱い正の屈折力を有する第5面S15で反射され、第4面S14に内側から再度入射して反射される。
第2導光部分12の第4面S14で反射された映像光GLは、第1導光部分11において、比較的弱い正の屈折力を有する第3面S13に入射して全反射され、比較的弱い負の屈折力を有する第1面S11に入射して全反射される。なお、映像光GLは、第3面S13を通過する前後において、導光部材10中に中間像を形成する。この中間像の像面IIは、映像表示素子82の像面OIに対応するものである。
第1面S11で全反射された映像光GLは、第2面S12に入射するが、特にハーフミラー層15に入射した映像光GLは、このハーフミラー層15を部分的に透過しつつも部分的に反射されて第1面S11に再度入射して通過する。なお、ハーフミラー層15は、ここで反射される映像光GLに対して比較的強い正の屈折力を有するものとして作用する。また、第1面S11は、これを通過する映像光GLに対して負の屈折力を有するものとして作用する。
第1面S11を通過した映像光GLは、観察者の眼EYの瞳又はその等価位置に略平行光束として入射する。つまり、観察者は、虚像としての映像光GLにより、映像表示素子(映像素子)82上に形成された画像を観察することになる。
一方、外界光HLのうち、導光部材10の第2面S12よりも−X側に入射するものは、第1導光部分11の第3面S13と第1面S11とを通過するが、この際、正負の屈折力が相殺されるとともに収差が補正される。つまり、観察者は、導光部材10越しに歪みの少ない外界像を観察することになる。同様に、外界光HLのうち、導光部材10の第2面S12よりも+X側に入射するもの、つまり、光透過部材50に入射したものは、これに設けた第3透過面S53と第1透過面S51とを通過する際に、正負の屈折力が相殺されるとともに収差が補正される。つまり、観察者は、光透過部材50越しに歪みの少ない外界像を観察することになる。さらに、外界光HLのうち、導光部材10の第2面S12に対応する光透過部材50に入射するものは、第3透過面S53と第1面S11とを通過する際に、正負の屈折力が相殺されるとともに収差が補正される。つまり、観察者は、光透過部材50越しに歪みの少ない外界像を観察することになる。なお、導光部材10の第2面S12と光透過部材50の第2透過面S52とは、略同一の曲面形状をともに有し、略同一の屈折率をともに有し、両者の隙間が略同一の屈折率の接着層CCで充填されている。つまり、導光部材10の第2面S12や光透過部材50の第2透過面S52は、外界光HLに対して屈折面として作用しない。
ただし、ハーフミラー層15に入射した外界光HLは、このハーフミラー層15を部分的に透過しつつも部分的に反射されるので、ハーフミラー層15に対応する方向からの外界光HLは、ハーフミラー層15の透過率に弱められる。その一方で、ハーフミラー層15に対応する方向からは、映像光GLが入射するので、観察者は、ハーフミラー層15の方向に映像表示素子(映像素子)82上に形成された画像とともに外界像を観察することになる。
導光部材10内で伝搬されて第2面S12に入射した映像光GLのうち、ハーフミラー層15で反射されなかったものは、光透過部材50内に入射するが、光透過部材50に設けた不図示の反射防止部によって導光部材10に戻ることが防止される。つまり、第2面S12を通過した映像光GLが光路上に戻されて迷光となることが防止される。また、光透過部材50側から入射してハーフミラー層15で反射された外界光HLは、光透過部材50に戻されるが、光透過部材50に設けた上述の不図示の反射防止部によって導光部材10に射出されることが防止される。つまり、ハーフミラー層15で反射された外界光HLが光路上に戻されて迷光となることが防止される。
本実施形態では、以上のような構成を有する虚像表示装置100の眼前側において外界光の一部又は全部を遮光することで、外界光の透過度を調整可能とするシェードの着脱が可能となっている。図5は、遮光性又は吸光性を有する樹脂材料等で形成されるシェード装置90を取り付けた状態の虚像表示装置100の正面図であり、シェード装置90を構成する各部について説明するための図である。また、図6(A)は、図5において破線で示す中央側の領域D1についてのAA矢視断面に対応する図であり、6(B)は、図5のBB矢視断面に対応する図であり、シェード装置90の着脱を可能にするための取付部ATをそれぞれ示している。なお、図7(A)は、シェード装置90を取り付けていない状態の虚像表示装置100、すなわち装置本体部の正面図であり、図7(B)は、シェード装置90を取り付けた状態の虚像表示装置100の正面図であり、導光装置20の表面のうち導光に関与する領域について示す図である。具体的には、図7(A)において、導光装置20の表側面20hのうち斜線で示す領域は、上述した映像光の導光に際して光学的機能を果たす光学有効領域ESであり、図7(B)においてシェード装置90のうち光学有効領域ESに対応する領域をES1としている。この場合、シェード装置90のうち、導光装置20の光学有効領域ESに対向して近接する部分である領域ES1が、光学有効領域ESに接触しない状態を維持することが重要となる。シェード装置90は、虚像表示装置100の最外部に取付けられる部材であり、見た目のフォルムの一部を構成する。従って、シェード装置90の有無で外観があまり変化しないようにして見た目のフォルムを維持しようとすると、図示のように、シェード装置90を導光装置20に近づけた形状及び構造とすることが望ましい。しかしながら、着脱可能なシェード装置90を設けるにあたって、映像光の導光を行う導光装置20の光学的機能がシェード装置90との接触により損なわれないようにすることは、大前提である。
以上に対して、本実施形態では、取付部ATによってシェード装置90を眼前において着脱可能に支持固定するに際して、導光装置20の光学有効領域ESにシェード装置90が接触することを回避することで、虚像表示装置100の光学的機能の劣化や損傷を回避可能なものとしている。
シェード装置90は、本体部分である板状のシェード91と、シェード91を虚像表示装置100の本体部分の眼前に配置した状態で支持固定するための取付部ATとを備える。
シェード91は、図示のように、取り付けられた状態において導光装置20(図7(A)等参照)に対向して眼前側に配置された板状の部材であり、虚像表示装置100の眼前部分の形状に沿った輪郭形状を有するシェード装置90の本体部分である。より具体的には、シェード91は、中央側に配置され括れた形状を形成する括れ部分91cと、左右の眼の形状に合わせて左右対称に括れ部分91cから拡がるように形成される一対の第1板状部分91a及び第2板状部分91bを有する。これにより、シェード91は、虚像表示装置100の眼前部分を構成する導光装置20に沿った輪郭形状となっている。また、図6(A)及び図6(B)に示すように、板状のシェード91において、導光装置20の表側面20hに対向する裏側の面を裏側面91tとし、裏側面91tの反対側である表側の面を表側面91hとする。また、図示のように、板状のシェード91は、導光装置20の表側面20hによって形成される曲面形状に沿うように曲がった形状となっている。
取付部ATは、上述した板状のシェード91を導光装置20に近接させつつ、光学有効領域ESへの接触を回避させた状態を維持して支持固定するための部材であり、中央側に配置される係合爪EPと、周辺側の四隅に配置される4つの突起部PTとを備える。
以下、取付部ATのうち、中央側に配置される係合爪EPについて、図5のAA矢視断面に相当する図6(A)を参照して、より具体的に説明する。係合爪EPは、鼻受部40の近くに配置される部材であり、シェード91を含むシェード装置90の導光装置20に対する位置決めを行う部材である。図に示すように、シェード装置90の係合爪EPとして、左右一対の導光装置20を繋ぐブリッジ部BWであるプロテクター108の中央部108gに設けた支持部8と嵌合するスナップフィット型の連結部4hが設けられている。連結部4hは、一対の突起4eを有し、各突起4eの先端には、内向きの爪4fが形成されている。連結部4hの一対の爪4fは、プロテクター108の中央部108gに設けた支持部8に形成された一対の溝状の凹部8vと係合している。ここで、一対の爪4fを先端に支持する一対の突起4eは、可撓性を有し、適当な応力を与えることで両爪4fの横方向の間隔を増減させて、爪4fを凹部8vから外すことができる。この結果、取付け前の状態のシェード装置90の連結部4hをプロテクター108の支持部8と位置合わせして係合爪EPを支持部8側に押し付けることで、支持部8の凹部8vに連結部4hの突起4eが入り込み連結部4hによって支持部8を挟むようにして両者が嵌合し、シェード装置90がプロテクター108に固定される。逆に、取付け後の状態のシェード装置90の係合爪EPを支持部8から引き離すように引っ張ることで、連結部4hが支持部8から外れ、シェード装置90の固定が解除されプロテクター108から分離される。つまり、シェード装置90を手で自在に着脱することができる。なお、係合爪EPを形成する連結部4hやこれに設けられた爪4f、さらに、支持部8やこれに設けられている凹部8v等を、鼻受部40(図5等参照)のように下方に向かって広がるような形状とすることで、上述のような着脱を行う位置が自然と一定の箇所に定まるようにしてもよい。
以下、取付部ATのうち、複数の突起部PTについて、図5のBB矢視断面に相当する図6(B)等を参照して、より具体的に説明する。複数(4つ)の突起部PTは、例えば図5及び図6(B)に示すように、シェード91の裏側面91t上の四隅の箇所にそれぞれ形成されている。ここで、各突起部PTは、図6(B)に示すように、シェード91の裏側面91tから導光装置20の表側面20hに向かって延びるように突起して形成され、表側面20hに当接している。また、例えば図7(B)に示すように、各突起部PTは、シェード91のうち光学有効領域ESに対応する領域ES1外の領域に形成されている。従って、各突起部PTは、シェード装置90の取付けに際して、表側面20hのうち、光学有効領域ESの外側に位置する周辺面SSに当接するものとなっている。これにより、各突起部PTの先端が光学有効領域ESに接しないものとなっており、かつ、各突起部PTが導光装置20の表側面20hに向かって出っ張ることで、シェード91の裏側面91tと表側面20hの光学有効領域ESとの間にある程度以上の隙間SPを設けた状態でシェード91の位置決めをすることができる。つまり、シェード91が導光装置20の光学有効領域ESに接触することを回避できる。
シェード装置90の本体部分であるシェード91が上記のような板状である場合、仮に、突起部PTを設けておらず、シェード91に可撓性が大きいものであるとあるとすると、たとえシェード91が光学有効領域ES触れないように各部の形状や配置を設計してあったとしても、シェード装置90の取り外し時や虚像表示装置100の使用中等においてシェード91が変形して、光学有効領域ESに接触し、損傷を与え劣化させてしまうおそれがある。特に、中央側に配置した係合爪EPの1か所のみで支持固定を行う場合、てこの原理によって周辺側は撓みやすくなる。
以上に対して、本実施形態の虚像表示装置100では、シェード装置90の取付部ATによるシェード91の位置の規制に関して、眼前のうち中央側を係合爪EPによって規制し、周辺側を四隅に配置された突起部PTで規制する、すなわち突起部PTと係合爪EPとが協働して、中央と周辺の合計5か所で位置規制をすることができる。また、この場合、薄板状のシェード91が仮に撓みやすい材料で形成されたものであったとしても、光学有効領域ESに対してシェード91を離隔した位置で固定することができる。また、この場合、中央部の一箇所に配置された係合爪EPによってシェード装置90の着脱をすることができるので、取付け、取外しの動作が容易となる。
以上のように、本実施形態では、上述のような取付部ATを有する構成とすることによって、シェード装置90の取付けや取外しに際して、シェード装置90の本体部分であるシェード91が導光装置20のうち光学的機能を有する光学有効領域ESに接触しないようにすることで、シェード91によって導光装置20の光学的機能が損なわれることを回避できる。また、この場合、シェード91の使用中には、シェード91によって導光装置20の光学有効領域ESを保護することも可能となる。
また、上記において、取付部ATを構成する複数の突起部PT(図6(B)等参照)は、シェード装置90のうち四隅の部分に形成されるものとしているが、突起部PTを形成する位置や形状、個数については、光学有効領域ESに接触することがなく、かつ、係合爪EPと協働してシェード91の位置固定を行うのに十分なものとなる位置に配置されるものであれば、これに限らず種々の配置とすることが可能である。例えば突起部PTが上記の四隅の部分全ての位置を含み、かつ、光学有効領域ESに接触しない位置に配置される1つの細長い形状の部材とすることも可能である。
〔第2実施形態〕
以下、図8(A)〜8(C)等により、第2実施形態に係る虚像表示装置について説明する。なお、本実施形態の虚像表示装置は、第1実施形態の虚像表示装置100の変形例であり、シェード装置のタイプが異なること以外については、同様であり、例えば光学的な構成等については同一であるので、全体の構成等についての説明を省略する。
以下、上記シェード装置90を含む種々のタイプのシェード装置について説明する。図8(A)及び8(B)に示す虚像表示装置100におけるシェード装置190,290は、第1実施形態に示したタイプ(第1タイプ)のシェード装置90の変形例である。図8(A)は、第2タイプのシェード装置190を取り付けた状態の正面図であり、8(B)は、第3タイプのシェード装置290を取り付けた状態の正面図である。なお、図8(C)は、比較例として、上述した第1実施形態のタイプ(第1タイプ)のシェード装置90を取り付けた状態の正面図である。
図8(A)に示す第2タイプのシェード装置190は、虚像表示装置100の眼前部分の形状に沿った輪郭形状を有している点において第1タイプのシェード装置90(図8(C)参照)と共通している。しかし、第1タイプのシェード装置90よりも左右方向(横方向)についてさらに広い範囲を覆っている点において、第2タイプのシェード装置190は、第1タイプのシェード装置90と異なっている。すなわち、シェード装置190の本体部分であるシェード191のうち外側の端部191eが、外装部材105dの一部まで覆うような形状となっている。また、括れ部分191cも第1タイプのシェード装置90の括れ部分91cよりも若干太くなっている。第2タイプのシェード装置190の場合、周辺側からの外界光の侵入をより制限できることになるため、観察者は画像により集中しやすいものとなる。なお、図示のように、向かって左側(観察者にとって右側)の周辺部分において、配置されるカメラCAに合せて切欠きCTが設けられている。つまり、シェード装置190を取り付けた状態であっても、カメラCAによる撮像動作を行うことが可能である。
図8(B)に示す第3タイプのシェード装置290は、左右一対の導光装置20の形状にそれぞれ沿った輪郭形状を有する左右一対の構成となっている点において、第3タイプのシェード装置290は、第1及び第2タイプのシェード装置90,190と異なっている。この場合、図8(A)や8(C)に示す場合に比べて、シェード装置290を取り付けた状態の虚像表示装置100の外観が、シェード装置290を取り付けていない状態の外観に、より近づいたものとなる。つまり、シェード装置の有無によって外観をあまり変えることなく、見た目のフォルムをすっきりした印象となるように維持することができる。遮光の機能としては、他の2つのタイプに比べて、外界光が入りやすい態様となる。なお、シェード装置290を取り付けた状態であっても、シェード装置290はカメラCAに干渉せず、カメラCAによる撮像動作を行うことが可能である。
なお、以上各タイプのシェード装置90,190,290は、虚像表示装置100において、どれか1つのタイプだけを採用可能としてもよいが、虚像表示装置100において、全てのタイプのシェード装置を採用することもできる。つまり、全てのタイプのシェード装置について着脱可能とすることもできる。この場合、観察者は、各タイプのシェード装置90,190,290のうちから、自己の使用態様に最も適したものを選択することが可能になる。
以下、図9を参照して、第2タイプのシェード装置190及び第3タイプのシェード装置290における取付部ATの構造についてそれぞれ説明する。
図9(A)は、図8(A)に示す第2タイプのシェード装置190における取付部ATを示す図である。この場合、図示のように、虚像表示装置100には、収納ケースである外装部材105dと導光装置20との間に隙間SDが形成されている。なお、図示のように、外装部材105dは、側頭部側に配置される投射レンズ30(すなわち鏡筒39)と、眼前に配置される導光装置20のうち光入射側の一部とを覆いつつ収納する収納ケースとして機能している。外装部材105dと導光装置20との間には、隙間SDが形成されている。
これに対して、シェード装置190の取付部ATは、シェード191の端部191eであって裏側面191tから延びるように形成される差込部PPを有している。差込部PPは、シェード191の取付けに際して、外装部材105dと導光装置20との隙間SDに差し込まれる。これにより、シェード191は、虚像表示装置100(装置本体部)に固定される。また、図示を省略するが、取付部ATは、第1実施形態と同様に複数の突起部PT(図6(B)等参照)を有しているものとすることができ、複数の突起部PTは、差込部PPと協働してシェード191と導光装置20との隙間を保った状態を維持できる位置に適宜配置することができる。この場合、導光装置20の光学有効領域ESから離間した側頭部側において、取付部ATとしての差込部PPによってシェード191を固定することで、導光装置20の光学有効領域に対してシェード191を離隔した状態にすることが可能となる。なお、図示のように、シェード191の端部191eを差込部PPの位置からさらに外側に向かって延ばした形状とすることによって、シェード191の形状を、図8(A)に示すような左右方向(横方向)について外装部材105dの一部までの広い範囲を覆ったものにできる。また、この際、シェード191の表裏側面191h,191tのうち導光装置20に対向する裏側面191tを近接させつつ接触させない程度に離間した状態を維持することができる。
図9(B)は、図8(B)に示す第3タイプのシェード装置290における取付部ATを示す図である。この場合、図示のように、虚像表示装置100には、導光装置20と導光装置20を支持するフレーム107(すなわち枠部102)との間に隙間SKが形成されている。
シェード装置290の取付部ATは、シェード291の外縁部291sから延びるように形成される挿入部IPを有している。挿入部IPは、フレーム107や隙間SKの形状等に応じて様様な形状となり得るが、ここでは、フレーム107に導光装置20を規制するための凹部107vのほか、シェード装置290を規制するための凹部107uが設けられているものとし、挿入部IPは、凹部107uに対応して設けた第1突起部Q1と、隙間SKに対応して設けた第2突起部Q2とを有するものとする。挿入部IPは、シェード291の取付けに際して、導光装置20と導光装置20を支持するフレーム107との隙間SKに挿入される。これにより、シェード291は、虚像表示装置100(装置本体部)に固定される。また、図示を省略するが、取付部ATは、第1実施形態と同様に複数の突起部PT(図6(B)等参照)を有しているものとすることができ、複数の突起部PTは、差込部PPと協働してシェード291と導光装置20との隙間を保った状態を維持できる位置に適宜配置することができる。この場合、導光装置20の光学有効領域ESから離間した虚像表示装置100の上端側において、取付部ATとしての挿入部IPによってシェード291を固定することで、導光装置20の光学有効領域ESに対してシェード291を離隔した状態にすることが可能となる。すなわち、シェード291の表裏側面291h,291tのうち導光装置20に対向する裏側面291tを近接させつつ接触させない程度に離間した状態を維持することができる。なお、以上では、枠部102のうち上端側の支持体であるフレーム107に、取付部ATの挿入部IPを挿入するものとしているが、枠部102のうち下端側の支持体であるプロテクター108の一部に、挿入部IPを挿入する構成とすることも可能である。この場合、例えばプロテクター108の一部が開閉可能なものとなっており、挿入部IPの挿入をプロテクター108の一部を開閉することによって行うものとしてもよい。また、枠部102の上端側と下端側の双方に挿入部IPを挿入する構成とすることもできる。
なお、虚像表示装置100は、第1タイプのシェード装置90を取り付けるための凹部8vや、第2タイプのシェード装置190を取り付けるための外装部材105dと導光装置20との隙間SD、さらには、第3タイプのシェード装置290を取り付けるための導光装置20とフレーム107との隙間SKを設けていることによって、全てのタイプのシェード装置を採用することができる。
以上のように、本実施形態の場合も、上述のような取付部ATを有する構成とすることによって、導光装置20の光学的機能が損なわれることを回避できる。また、この場合、観察者の目的、用途に応じて異なるタイプのシェード91,191,291から一のタイプのシェードを適宜選択することも可能となる。
〔第3実施形態〕
以下、図10(A)〜10(D)等により、第3実施形態に係る虚像表示装置について説明する。なお、本実施形態の虚像表示装置200は、第1実施形態等の虚像表示装置100の変形例であり、例えば映像光の導光に関する光学的な構成は同様であるので、全体の構成等についての説明を省略する。
図10(A)は、本実施形態に係る虚像表示装置200において、シェード装置を取り付けていない状態を示す斜視図であり、10(B)は、第4タイプのシェード装置390を取り付けた状態の斜視図であり、10(C)は、第5タイプのシェード装置490を取り付けた状態の斜視図であり、10(D)は、第6タイプのシェード装置590を取り付けた状態の斜視図である。また、図11は、図10(D)に示す第6タイプのシェード装置590における取付部ATを模式的に示す図である。
図10(A)等に示すように、本実施形態に係る虚像表示装置200は、カメラCAを、眼前の中央側に配置している、すなわち左右一対の導光装置20の間の中央部に配置されて導光装置20を繋ぐブリッジ部BWにカメラCAが搭載されている点において、第1実施形態の場合と異なっている。この場合、周辺側に配置された場合に比べて、より観察者の目線にあった画像の形成が可能となる。
本実施形態の場合も、種々のタイプのシェード装置の取付けが可能であり、例えば図10(B)に示す第4タイプのシェード装置390のように、左右一対の導光装置20の形状にそれぞれ沿った輪郭形状を有する左右一対の構成とすることができる。つまり、一対の第1シェード装置390a及び第2シェード装置390aによってシェード装置390が構成されており、第1シェード装置390aの本体部分である第1シェード391aによって観察者の右眼部分が遮光され、第2シェード装置390bの本体部分である第2シェード391bによって観察者の左眼部分が遮光されるものとなっている。この構成における取付部については、第1実施形態において図8(B)に示す第3タイプのシェード装置290とほぼ同様の構造とすることができる。なお、この場合、ブリッジ部BWには、シェード装置390が形成されないため、シェード装置390の有無に関わらず、カメラCAを動作させることができる。
また、図10(C)に示す第5タイプのシェード装置490のように、シェード装置490の本体部分であるシェード491が、装置本体部すなわちシェード装置490がない状態の虚像表示装置200の眼前部分の形状に沿った輪郭形状を有しているものとしてもよい。この構成における取付部については、第1実施形態において図8(C)又は図8(A)に示す第1タイプ又は第2タイプのシェード装置90,190とほぼ同様の構造とすることができる。ここでは、シェード491の中央部において、ブリッジ部BWのうちカメラCAの配置位置及びサイズに対応して孔部HPが形成されている。シェード491が孔部HPを有することで、シェード装置490を取り付けている場合であっても、カメラCAがシェード491の影響を受けることがなく、カメラCAを動作させることができる。
また、図10(D)に示す第6タイプのシェード装置590のように、シェード装置590の本体部分であるシェード591が、虚像表示装置200の眼前部分のほか、周辺側まで覆うような形状を有しているものとしてもよい。つまり、シェード591が、装置本体部(虚像表示装置200)の横方向に関して眼前側から側頭部側にかけての範囲を覆うとともに、装置本体部(虚像表示装置200)の縦方向に関して上端側から下端側にかけての範囲の全面を覆うようなものとなっていてもよい。このようなシェード装置590の構成における取付部については、種々の形状が考えられるが、図11において模式的に一例を示すように、虚像表示装置200のうち側頭部側の部分を構成する左右一対の外装部材105dの上端側と下端側とに係合爪EPu,EPdを有して構成されるものとすることができる。具体的に説明すると、まず、シェード装置590の取付部ATは、シェード591のうち側頭部側に対応する位置において、上端側の外縁部591uから延びるように形成される上側係合爪EPuと、下端側の外縁部591dから延びるように形成される下側係合爪EPdとを有している。シェード装置590は、樹脂材料等で形成され、シェード装置590の一部である取付部ATとしての上側係合爪EPu及び下側係合爪EPdは、可撓性を有し、適当な応力を与えることで両爪EPu,EPdの間隔が増減する。シェード装置590の取付けに際して、両爪EPu,EPdの間隔を増減させることで、装置本体部(虚像表示装置200)の一部である外装部材105dの上端側に上側係合爪EPuを係合させるとともに、装置本体部(虚像表示装置200)の一部である外装部材105dの下端側に下側係合爪EPdを係合させる。なお、図示の例では、断面視において上側係合爪EPuがU字形状を有するものとなっており、下側係合爪EPdがL字形状を有しているものとなっている。また、外装部材105dには、上側係合爪EPuに対応して凹部REが設けられている。外装部材105dの凹部REに、U字形状の上側係合爪EPuの先端部EPtを挿入させ、係合した状態を維持しつつ、可撓性を利用して両爪EPu,EPdの間隔が増減させてL字形状の下側係合爪EPdを係合させることで、シェード装置590を取り付けることができる。なお、同じく両爪EPu,EPdの可撓性を利用することで、取り外しも可能となる。シェード装置590を利用する場合、他のシェード装置に比べて、より外界光の遮蔽を確実にできるため、観察者が画像に集中しやすい状態にできる。なお、図示の例では、シェード装置590を利用する観察の場合、映像に集中することを前提とするため、他のタイプと異なり、カメラCAを動作させることを想定しておらず、カメラCAの位置に応じた孔部等は設けない構成としているが、孔部を設けることも可能である。
なお、上記各態様において、シェード装置の透過率について種々調整するものとしてもよい。例えば、図10(D)に示すシェード装置590において、透過率0%sとする、すなわち、外界光を通過させない完全クローズの状態とすることで、映像光のみに集中できるものとする一方、他の態様のシェード装置においては、例えば透過率10%程度とすることで、外界光を一部透過可能にすることができる。
〔その他〕
上記の他にも、種々の態様が考察される。例えば、図12に一例を示すように、シェードを眼前部分から退避させた位置に移動させる移動機構として、はね上げ式の装置を有するものとしてもよい。具体的には、図12(A)に示すシェード装置690において、矢印A1に示すような回動の動作をさせるために、例えば図12(B)に示すばね式の蝶番HGを設け、シェード691をはね上げる動作を可能とすることで、眼前部分から退避させることができる。なお、この場合も、カメラCAの配置位置(例えば中央側)に応じて孔部HPを設けるものとすることができる。ただし、孔部HPと蝶番HGとが干渉しないように例えば孔部HPよりも上側に蝶番HGを構成したり、孔部HPのない周辺側に蝶番HGを構成したりするものとする。
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態では、取付部がシェード装置の一部であり、シェード装置の本体部分である板状のシェードを支持固定するものとしている。しかし、これに限らず、例えば、取付部の一部又は全部が、虚像表示装置のうちシェード以外の本体部分側すなわち装置本体部側に形成されるものとしてもよい。例えば、第1実施形態における係合爪EPを枠部102のブリッジ部に形成させ、シェードの中央部分を係合するものとしてもよい。また、例えば突起部PTを導光装置20の表側面20hのうち四隅の領域であって光学有効領域ES以外の領域の面上に形成するものとしてもよい。また、取付部がシェードや装置本体部とは、別体に存在するものとしてもよい。なお、取付部が装置本体部側に取り付けられる場合や別体で存在する場合、シェード装置は、本体部分であるシェードそのものと捉えることができる。また、取付部としてクリップ等を含むことで、シェードを装置本体部側に固定するような構成も可能である。この場合、シェードの着脱を簡易に行うことができる。
また、上記実施形態では、導光装置20は、眼前側において眼の全体を覆うように配置されているが、これに限らず、導光装置20が眼前側において眼EYの一部のみを覆い、覆わない部分も存在する小型の構成としてもよい。さらに、導光装置20が眼EYの正面の前方に限らず、眼EYの正面より上方または下方に配置されるものとしてもよい。なお、このように導光装置20が眼EYの全体を覆わないような場合においても、シェード装置は、眼前側において眼EYの全体を覆う態様とすることで、シェード装置を取り付けた状態において眼EYに入射する外光の全体を弱めることが可能となる。
上記実施形態では、画像表示装置80において、透過型の液晶表示デバイス等からなる映像表示素子82を用いているが、画像表示装置80としては、透過型の液晶表示デバイス等からなる映像表示素子82に限らず種々のものを利用可能である。例えば、反射型の液晶表示デバイスを用いた構成も可能であり、液晶表示デバイス等からなる映像表示素子82に代えてデジタル・マイクロミラー・デバイス等を用いることもできる。また、画像表示装置80として、LEDアレイやOLED(有機EL)などに代表される自発光型素子を用いることができる。
枠部102については、実施形態に例示した形状又は眼鏡のフレームに似た外観に限らず、投射レンズ30と導光装置20とを橋渡しすることができる様々な形状とできる。
上記実施形態では、フレーム107と投射レンズ30とが別体でネジ止めによって投射レンズ30をフレーム107に固定しているが、投射レンズ30の鏡筒39をフレーム107と一体成形することもできる。鏡筒39をフレーム107と一体成形する方法として、アウトサート成形、ダイカスト一体成形後の鏡筒部削り出し等の手法がある。
導光装置20又は投射レンズ30については、ネジ止めによる締結に限らず、様々な手法でフレーム107に固定することができる。
上記実施形態では、投射レンズ30の鏡筒39に導光装置20との係合部材39aを設けているが、導光装置20側に例えば鏡筒39を挟むように鏡筒39と嵌合する係合部材を設けることができる。
上記実施形態では、ハーフミラー層(半透過反射膜)15が横長の矩形領域に形成されるとしたが、ハーフミラー層15の輪郭は用途その他の使用に応じて適宜変更することができる。また、ハーフミラー層15の透過率や反射率も用途その他に応じて変更することができる。
上記実施形態では、ハーフミラー層15が単なる半透過性の膜(例えば金属反射膜や誘電体多層膜)であるとしたが、ハーフミラー層15は、平面又は曲面のホログラム素子に置き換えることができる。
上記実施形態では、映像表示素子82における表示輝度の分布を特に調整していないが、位置によって輝度差が生じる場合等においては、表示輝度の分布を不均等に調整することができる。
上記の説明では、一対の表示装置100A,100Bを備える虚像表示装置100について説明しているが、単一の表示装置とできる。つまり、右眼及び左眼の双方に対応して、一組ずつ投射透視装置70及び画像表示装置80を設けるのではなく、右眼又は左眼のいずれか一方に対してのみ投射透視装置70及び画像表示装置80を設け、画像を片眼視する構成にしてもよい。この場合、フレーム107やテンプル部104は、例えば図1等に示すままで左右対称に配置する形状とする。
上記実施形態では、導光部材10の第1面S11及び第3面S13において、表面上にミラーやハーフミラー等を施すことなく空気との界面により映像光を全反射させて導くものとしているが、本願発明の虚像表示装置100における全反射については、第1面S11又は第3面S13上の全体又は一部にミラーコートや、ハーフミラー膜が形成されてなされる反射も含むものとする。例えば、映像光の入射角度が全反射条件を満たした上で、上記第1面S11又は第3面S13の全体又は一部にミラーコート等が施され、実質的に全ての映像光を反射する場合も含まれる。また、十分な明るさの映像光を得られるのであれば、多少透過性のあるミラーによって第1面S11又は第3面S13の全体又は一部がコートされていてもよい。
上記の説明では、導光部材10等が眼EYの並ぶ横方向に延びているが、導光部材10を縦方向に延びるように配置することもできる。この場合、導光部材10は、例えば上部での片持ち状態によって支持される。
また、対向して配置される第1面S11と第3面S13は、観察者に対し凹面形状を成しているものとしているが、第1面S11及び第3面S13が平行な平面形状であるものとしてもよい。この場合、観察者が第1面S11及び第3面S13を透過して外界を見た場合に視度を0とすることができる。また、第1面S11及び第3面S13が平行な平面形状である場合において、例えば第1面S11及び第3面S13以外の他の面については曲面を持たせることで、中間像を形成させるものとしてもよく、中間像を形成しない構成の画像形成であるものとすることも可能である。