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GPSレシーバが、位置決定を達成するために十分な衛星までの測定距離を用いる三角測量または三辺測量によりユーザ位置を計算する。各GPS(アメリカ)衛星(SV)は、特に1575.42MHzの搬送周波数で、50HzレートでPNコードをBPSK変調することによって、1msの期間で1023の長さのPNコード化されたビットを20ms毎に繰り返し伝送する(すなわち、データビットにつき20PN疑似コードの繰り返しである)。
グロナスレシーバもまた、位置決定を達成するために十分な衛星までの測定距離を用いる三角測量や三辺測量によりユーザ位置を計算する。各グロナス(ロシア)衛星(SV)は、1.602GHz+/−562.5KHz×N(ここでNはSVのFDMAスロットである)の搬送周波数で、1msの期間で511の長さのPNコードを繰り返し伝送する。衛星は50HzレートでPNコードをBPSK変調することによって20ms毎にビットを伝送する。(すなわち、データビットにつき20PNコードの繰り返しであるが、マンチェスタコード化される。)図9に示されるように、1、0、1・・・というビットのシーケンスが伝送され、各ビットは20msを占有する。マンチェスタコード化が各ビット(例えば「0」)で実行され、ビットの中間で(すなわち、図9における矩形波で示すように、10ms後に)ビットの極性を反転させる。
図5および図7では、レシーバは相関を介してこれらのPNコードの存在を探索する。従って、衛星を検出するためには、レシーバは、相関および蓄積、またはドエルのプロセスを介して、受信された信号のPNコードの存在を探索する。相関ピークが発見された場所(コードラグおよびドップラー周波数の次元を有する仮説空間内)は、衛星SVとレシーバとの間の伝搬遅延に関する情報を有する。この情報は、ユーザの位置を計算するために用いられる。(後述の、それらのプロセスに関するより展開された説明を参照されたい。)
レシーバ100へ向かう方向またはレシーバ100から離れる方向の衛星の動きは、ドップラーと呼ばれる周波数シフトをもたらす。レシーバには、概して、衛星の動き、ユーザの動き、および衛星の原子時計時間基準からのレシーバクロックのオフセットのため、ドップラー効果が表れる。衛星の動きに因るドップラー周波数シフトの量は、おおよそ−5KHzから5KHzの範囲にあり得る。レシーバは、ドップラーおよびコードラグにいわゆる仮説探索を実行して、信号の存在を検出する。衛星の動きが原因で、PNコードの探索は、コードラグと同様に複数の周波数で実行され、相関プロセスがピークであるドップラーシフトされた周波数fdを見つける。
図7において、レシーバ100は、種々のPNシーケンスを局所的に生成することと、利用可能な衛星からの受信とそれらを電子的に相関させるかまたは同期させることによって衛星を発見する。衛星の各々は、それぞれに割り当てられた固有のPNシーケンスを有している。レシーバの処理において、異なるコードラグでのPNシーケンスの相間よりも前に、ドップラー周波数の除去(ワイプオフ)が各衛星に対して実行されるので、相関関係はより高い強度を有するより狭い単一のピークを生成し、コードラグもまた同様に探索される。レシーバは、互いに異なる衛星の衛星信号を個々に受信(かつ識別)するため、高い相関関係を監視する。所定の受信された衛星信号で変調された情報データはその後復調されて、伝送時間、衛星クロック補正パラメータおよびエフェメリスデータを含む情報を得る。相関ピークから派生したデータは、ユーザの位置を計算するために用いられる。
従来のアプローチとは対照的に、図6および図7による本出願のプロセスの実施例の1つのタイプは、2つ(またはそれ以上)の相関プロセスを異なる仮説周波数で実行し、相関出力を結合させ、その後、仮説周波数の平均値としてドップラーシフトされた周波数fdを決定する。これらの仮説周波数に実行される結合された相関は、周波数fdで、ピークになる。
仮説ドップラー周波数で相関を実行する、または積分時間を延長するのではなく、いくつかの開示される実施例は、実際のドップラー仮説から+/−kFs(例えば、+/−37.5Hz)オフセットされる2つの異なるドップラー周波数で相関を実行する。(Fsは、例えば50Hzのマンチェスタ矩形波の繰り返し率であり、kは一定であり、例えば0.75または1.0である。)このように、2つの仮説周波数は、繰り返し率を近似する予め決められた量kFsを平均値からプラス/マイナスする周波数においてオフセットされる。これらの相関結果を共に組み合わせることで、非同期ネットワーク(すなわち、ビットエッジが少なくとも初期では未知であるもの)におけるグロナス探索の感度性能が改善する。
それゆえ、様々な実施例が、グロナス捕捉感度を著しく改善させる方法を提供し、当該方法は微弱な信号状態で位置決定を得る成功率を改善し得、初回位置算出時間を減少させ得る。このようにして、優れた性能と感度試験マージンのための機会が与えられる。
高感度のGNSSレシーバを実現するために、20msの長さのコヒーレント積分を実行することが望ましい。しかしながら、そのようなタイプの積分は、既知のビットエッジ境界を必要とする。非同期補助GNSSのような重要な使用例において、ビットエッジ境界は初めは未知である。従って、ビット境界が少なくとも初めは未知であるとき、さらに、グロナスマンチェスタコード化における周期反転という複雑な事態を考慮すると、これらの環境は、GPS、グロナス、またはその他のGNSS捕捉感度をどのように改善させるかという問題を提起する。
これまで、旧来のGPS設計においては、ビットエッジが未知であるとき19ms秒のPreDが用いられる。これは、19という数字が20と互いに素であり、それゆえ、ビットエッジ遷移による損失が長いドエルタイムで平均するためである。19msのPreDに起因する平均的なデセンスは、20msの理想的なビット整列されたPreDと比較すると、おおよそ1.6dBである。互いに素という概念をグロナスに拡大適用すると、マンチェスタコード化が20msの信号ビット間隔の中間の10msで反転するためのグロナスの蛇行シーケンスおよびそれに伴う信号損失に起因して、9msまたはそれよりも少ないPreDを用いることとなり、かつ使用を制限する。残念なことに、理想的な20msのコヒーレント積分と比較すると、グロナスにとってこの損失は、性能ではおよそ4dBである。
それゆえ、グロナスおよびその他のGNSS捕捉感度が、所定の積分時間に対して可能な最も長いコヒーレント積分期間(PreD)によって制限されることが問題である。グロナスにとって、旧来の設計の通り、マンチェスタコードが20msの期間のデータビットの10ms毎に反転を生じさせるため、各ビットエッジのインスタントが未知であるか、または初期では未知であるとき、最大のPreDは、たった9ミリ秒である。上述の通り、9msのPreDの未知のビットエッジによる平均的なデセンスは、グロナス用の20msの理想的にビット整列されたPreDと比較すると、〜4dBである。しかしながら、様々な実施例が、ビット境界が未知である場合のグロナス捕捉感度を著しく改善する。
ビット境界が未知である場合に、GPS/ガリレオ/グロナスまたはその他のGNSSレシーバの捕捉感度をさらに改善させるために、様々な方法が本明細書において提供される。後述されるいくつかの実施例では、多数のコヒーレント積分が実行され、かつコヒーレント積分間隔内でスタガーされる。この積分間隔は、データビット期間よりも長くても、短くても、同じであっても良い。そのような多数のスタガードコヒーレント積分は、信号を蓄積する一方でノイズを部分的にキャンセリングし、それゆえ感度を改善する。スタガーすること(スタガリング)は、データビット期間を超えてもよく、例えば、GPSでは20ms以上、およびグロナスでは10msのマンチェスタコード間隔以上となり、それによりビットエッジをまたぐ損失もまた減少し、それゆえ感度が改善する。スタガリングは、ビットエッジについての知識がない状況にも適用可能である。さらに、ビットエッジのインスタントが既知であろうとなかろうと、データビット期間にわたって、およびさらに長きにわたって、スタガーされる多数のコヒーレント積分を実行する様々な実施例が、コヒーレント積分期間PreDの期間の制限をなくすことができ、感度の上昇をもたらすことができる。クロックまたはユーザダイナミクスの状況での改善された感度は、最も望ましい重大な効果である。ここでのスタガー(スタガリング)は、ビット期間のスタガリングのためだけでなく、同様に全般的についても効果的である。
後述される実施例の特定のカテゴリーにおいて、グロナスのマンチェスタコードの電力スペクトラル分布(PSD)についての洞察が、追加または変更の出発点として取られる。
この点での実施例のそのようなカテゴリーついての説明は、まず、グロナスのマンチェスタコードの周期的な反転に向けられる。通常、グロナスに適用される19msのPreDは、10msのマンチェスタコードビット境界をまたぐ積分となり、受信された信号エネルギーの重大な損失となる。図10において、電力スペクトラル分布(PSD)は、周波数領域においてエネルギーのこの損失が次のように説明され得ることを示す。すなわち、GPSのNRZ(非ゼロ復帰)のための単一の主ローブと比較すると、グロナスのマンチェスタコードの信号エネルギーは、〜75Hz離れた2つの主ローブにスプリットされる。図10は、エネルギー損失を示す周波数領域の解釈であり、ドップラー仮説周波数f=fdが単一の相関関係に用いられるとき、19msのコヒーレント処理が直接的にグロナスに適用される場合を表している。特に図10は、20msのビットエッジ整列されたコヒーレント積分PreDの曲線を表す。様々な実施例が、種々の処理方法を用いることにより、このエネルギー損失を克服する。それらの方法においては、これらの2つのローブからのエネルギーが、代わりに結合されて、検出性能を上昇させるために効果的に用いられる。
ドップラー周波数fdでグロナス衛星を探索するために、従来のアプローチはfdで相関を実行し得、最大およそ9msのコヒーレント積分を実行し得る。図3および図6では、その他の顕著な特性の中でもとりわけ、本出願におけるレシーバの実施例は、ドップラー周波数fdそれ自体で1つの相関を実行し用いる代わりに、(fd−kFs)Hzのドップラーと、(fd+kFs)Hzで2つの相関を実行しかつ組み合わせる。ここで、Fs=50Hzマンチェスタコードレートである。別の言い方をすれば、図7の仮説探索エンジン220および相関器120は、ドップラー周波数として各々を直接的に解釈することなく、相関のために発行される様々な仮説周波数で動作する。その後、そのようなレシーバの実施例は、これらの相関結果を非コヒーレントに加算することによって、プラス/マイナス離間のオフセットされた仮説周波数の相関結果を組み合わせ、それゆえ、およそ0.5dBから0.75dBの検出感度またはおおよそ1dBの感度ゲインを提供する。
図11において、シミュレーション結果は、PreD=9msのみと比較すると、おおよそ1dBの感度の改善を示す。これは、グロナス用の9msのPreDのみを用いる方法と比較すると、おおよそ2dBのSNRゲインとなる。図6と図10の相関結果を組み合わせると、仮説周波数間の中間の周波数fの関数としてピークが提供され、受信ピークが生じるそのような中間周波数fは、グロナス衛星送信機のドップラーシフトされた周波数f=fdとして解釈される。この解釈は、グロナス伝送が図10にあるようなPSDにより20msのBPSKで50Hzのマンチェスタコード化されるという既存の知識に基づく。
SNRの改善がおおよそ2dBである場合に、おおよそ1dBの感度改善が生じる理由は、感度改善が所定のSNRの信号電力のデルタ変化として測定されるためである。すなわち、SNRの改善は、除去されるか一定に保たれる。言い換えると、感度改善は、図11において、所定の検出確率での曲線に表された水平方向の幅の差である。対照的に、SNR改善は、図11において、所定の信号電力での同じ曲線の検出確率の垂直方向の高さの差に単調に関係する。感度改善のおおよそ2倍であるdBのSNR改善は、特に、非コヒーレント積分を用いて(例えば、絶対値abs積分または二乗積分を用いて)信号を合計する間の重要な低いSNRの入力信号で概ね当てはまる。SNR改善が感度改善を上回る主な理由は、信号を積分する間の非コヒーレント演算が原因の二乗損失であると考えられる。しかし、高いSNRの入力信号では、感度改善はSNR改善と一致するか、または本質的に等しい。(ヒューリスティックには、S2(t)/(2S(t)N(t))の比およびsqrt(S2(t)/N2(t))の間の項の相対寄与と因数「2」とが、信号+ノイズの二乗(S(t)+N(t))2の非コヒーレントな蓄積から展開されることを考慮されたい。)厳密に言えば、二乗すると位相情報を失い、それゆえコヒーレント積分は、コヒーレント積分が成すよりもSNR改善への寄与が少ない。
感度の式(1)は、
である。ここで、Sは、レシーバが特定の検出確率(図11および図12と、図14および図15におけるようなもの)または特定の信号対ノイズ比SNRを伝える、dBmでの最小の信号電力である。デセンスは、理想的なレシーバ処理状況または参照として用いられるいくつかのレシーバ処理状況で享受され得る感度に対して減少された感度のdB数を指す。
デシベル(dB)での信号対ノイズ比SNRの式(2)は、
である。ここでSは信号電圧であり、Nは、例えばマイクロボルトでの、ノイズ電圧である。
感度およびSNRのこれらの式を踏まえてシミュレーション結果を考慮すると、おおよそ1dBの感度改善およびおおよそ2dBのSNR改善が導かれる。
グロナス(すなわち、マンチェスタコード化されたSV信号)のための上記の感度改善についての洞察を与える別の方法では、ノイズのより高い非相関のためにノイズよりも高くなるような2kFs離れた信号の追加による信号エネルギーの上昇を考察する。これはSNR改善をもたらすか、あるいは少なくともその一因となり、それゆえ感度改善をもたらす。
図10にさらに注目すると、マンチェスタコードの分割ローブを示すPSDの比較は、例えば、図8の上部のGPSのNRZコード化されたデータ(例えば、「11110000111」)と比較した、図8の下部の、グロナスマンチェスタコード化されたデータの電力スペクトラル分布PSDを指す。(双方のケースにおける各ローブの幅は、概ね、例えば図8の上部の、実際のNRZデータにおける毎秒のゼロ交差の数と共に変化し、図10の説明図が概ね代表的である。)
1つの例示的な実施例は、例えば並行して、fd+/−kFsで9msのウィンドウを用いて2つのコヒーレント積分を実行し、その後、その結果を非コヒーレントに加算する。周波数Fsは、グロナス衛星SViから来る情報の20msのデータストリームに特徴付け(impressed)される50Hzのマンチェスタコードのレートである。ここでは、そのビットレートのk倍の定数に等しい値が、仮説探索回路または各々の最新の仮説が成された周波数fを生成するファームウェアにおける所定の仮説が成されたドップラーに対する予め決められたオフセットとして用いられる。それゆえ、f=(fd+/−kFs)という表現が意味するのは、コードラグおよびドップラーでの従来の仮説探索は、仮説が成されたコードラグおよび周波数仮説対、すなわち、2つの周波数(fd+kFs)および(fd−kFs)、の仮説探索で置き換えられることである。
図10を図6と比較すると、2つの仮説が成された周波数は、コードラグ/周波数空間にわたり実質的に並列に探索処理をされ、かつ、従来のドップラー仮説周波数を有する、仮説が成されたこの周波数対(fd+kFs)および(fd−kFs)で置き換えらなければ、ドップラー仮説f=fdになるであろうものが、その平均、すなわち仮説が成された周波数の中間、として周波数fdを有する。図7にあるようないくつかの実施例では、仮説探索は順次実施され、グロナス衛星のピークは、図5のチャンネルプロセッサ320を改変すること、および/または、相関出力メモリ325に記憶されるコードラグ/周波数仮説の相関のペアの非コヒーレント加算を含むように動作の処理を改変することによって発見される。そのようにして、エリア310における相関が適切に確立され、実際に、いくつかの実施例では付加的な相関は関与すらしないかもしれない。さらに式(3)にあるような非コヒーレント加算は、マンチェスタコード化されたグロナス衛星信号のための図10の組み合わされた相関のピークを見つけるために、チャンネル処理エリア320において許容できる追加の処理を表す。
図8のマンチェスタ位相逆は10ms毎(図8の波形の中間の、50Hz、20ms毎1サイクル)であるが、f=fd(すなわち、図10ではf−fd=0)に隣接する2つの主ローブは、75Hz離間されていることに留意されたい。ヒューリスティックには、マンチェスタコードレートのk=3/4でのパルス変調周波数が、ドップラー周波数fdでのキャリア(搬送波)を変調し、50Hzの+/−3/4、または1.5×50Hz=75Hz離間された一対のサイドローブを含む周波数領域において対称的なサイドローブを生じさせるかの如くである。2つのローブは、ドップラー周波数fdから+/−37.5Hzのオフセットでピークに達し、fdで深いヌルに隣接する。(+/−37.5Hzのピークは、それらは別の意味では実際には情報伝送データであるのだが、ドエルにわたる20msのデータビットのここでの目的のために、ほぼランダムなまたは非周期的な性質に基づく。)これは、sinc2θ2sin2θによって表される、ここでの処理の前のマンチェスタコードの電力スペクトル現象であり、fd+/−kFs仮説探索プロセスの実施例によって引き起こされるのではない。そうではなく、そのような電力スペクトラル現象は、衛星検出に関連するものとしてここでは認識され、fd+/−kFs仮説探索プロセスの実施例は、感度が高いグロナス衛星の検出に際立って提供され、かつマンチェスタコードのそのような電力スペクトル現象に応答する。ここで発見された応答プロセスの実施例により、入力信号からのエネルギーはより良く捕捉されて、9msのコヒーレント積分を用いる従来技術からは考えられなかったような、SNRの増加(およそ2dBまたはそれ以上)と、結果として生じる感度の改善(およそ1dBまたはそれ以上)とを提供する。
(Sinc(θ)はsin(θ)/θを意味し、ここでθは(π/2)(f−fd)/Fsである。)マンチェスタ最小値は、θ=nπである地点で2Fs=100Hz毎に離間されて見られる。図10では、GPSのNRZコードの電力スペクトラル分布PSDは、sinc2(2θ)に比例し、NRZ遷移が20msまたは数倍での定義によって生じるのみであるため、50Hz毎の最小値でf−fd=0でピークに達し、最大値は最小値のほぼ中間に位置する。
2つの周波数ローブに対応する、仮説が成されたキャリアドップラー周波数に基づくコヒーレント相関は、図6および図10に非コヒーレントに加算される。これは、仮説が成されたキャリアドップラーからの実際のキャリアドップラーの周波数オフセットが、衛星を捕捉する間に存在し得るためである。その結果、2つの仮説が成されたキャリアドップラー周波数でのエネルギーの追加が非コヒーレントに実行される。これは、衛星捕捉中に残りのドップラーが存在し得るためであり、この残りのドップラーは、+/−kFsでのコヒーレント相関を組み合わせる図10もまたコヒーレントである場合、ドエルにわたる衛星に対する検出可能なピークの累積を防止し得る。また、図6および図10の回路および処理は、提供される特定されたビットエッジ時間インスタントを有する必要はない点で有利であり、言い換えれば、ビットエッジ情報には左右されない。それゆえ、コヒーレント積分ウィンドウの位置(例えば、Pred=19ms、またはPred=9、等)は、連続したビット期間をまたぐことができる。
いくつかのより複雑な実施例では、対称的なサイドローブの他のペアが、並列に探索される4つの仮説周波数を有する仮説探索を実行するなどによって処理され得る。例えば、第1のペアfd+/−3/4、第2のペアfd+/−3Fs。ヒューリスティックに言えば、図10の分割ローブの複数のペアは、矩形波50Hzのマンチェスタコード「キャリア」に特徴付けされるNRZデータビットスペクトラムの二重のサイドバンド変調スペクトラムのようなものである。マンチェスタコードが矩形波であるので、マンチェスタコードは、50Hzの奇数の高調波でのみ正弦派の高調波「キャリア」成分を有する。主ローブは、互いにいくらか変位され、かつ50Hzから37.5Hz、内に向かう。というのも、ヒューリスティックに言えば、50Hzは、マンチェスタコード150Hzの第3の高調波「キャリア」成分から周波数が100Hz低下したNRZのヌルだからである。それぞれの対称的に位置したローブのペアの平均周波数がドップラー周波数fdであることに注意されたい。また、周波数fd+/−3Fsにおける第2のつまり外側のローブのペアが第1のローブのペアからおおよそ10dB低下し、それゆえリターンが減少しかつ追加の処理負担の検討が関連してくるということにも注意されたい。
図12では、約1dBの感度上昇が以下のテスト条件により生じる:コヒーレント積分=9ms、トータル積分=16秒である。(図11に対して水平軸上で図12のグラフが逆転していることは、単に外見上のものである。)
非同期ネットワークにおけるグロナス捕捉のための感度は、それゆえ、約0.5dBから約1.0dB改善される。GPSおよびグロナスの性能値は、製造者およびユーザにとって重要な関心事である。0.5dB毎の感度は重要な要因である。本明細書で教示されるGNSSレシーバは、優れた性能を提供し得る。
入力グロナス信号r(t)は、下記の因数の乗算積である。
(i) マンチェスタコードの50Hzの矩形波(図9)
(ii) 20ミリ秒毎に変化し得るNRZ信号ビット(50Hz)
(iii) −5kHzから+5kHz程度の範囲のドップラーシフト
(iv) 実際のコードラグc1の影響を受けるスペクトラム拡散疑似ランダムコード(ゴールドコード)
いくつかの実施例は、入力グロナス信号r(t)が、次に列挙するような因数の乗算積ABCDを蓄積することによる、9ミリ秒にわたる積分(積和演算により実行される)である、相関のプロセスを用いる。積分の結果は、NRZ信号ビット(上記「ii」)および幾分のノイズを戻す。
(A) 入力グロナス信号r(t)
(B) マンチェスタコードのためのaFs=50Hzの矩形波
(C) −5kHzから+5kHzのドップラーの範囲にあるドップラー仮説
(D) コードラグ仮説cによるスペクトラム逆拡散(ゴールドコードと同様)
因数A、B、C、Dが乗算積にあるので、それらの因数は、種々の実施例の実装による積の因数の任意の順序またはサブセットで適用され得、その後相関され、その相関によって、全体の積ABCDが形成および蓄積され、その後、ドエルにわたる非コヒーレント(大きさまたは二乗)蓄積が続く。従って、いくつかの実施例の実装は、下記の包括的でないリストによって表される。このリストは、丸括弧および角括弧によって図7の回路の様々な変形を示す。
(1) A×[(B×C)×D]:ゴールドコードで特徴付けられた、図6および図10のアプローチ(ドップラーのオフセットペア)を用い、r(t)で相関する。
(2) A×[C×(B×D)]:10個の1msのゴールドコードの繰り返しを発し、次いで、10個の符号反転(negation)等を発行する。すべてはコードラグ仮説cを有し、ドップラー仮説に同じものを特徴付けし、その後、r(t)で相関する。
(3) (A×C)×(B×D):r(t)からドップラーを取り除き(ワイプオフ)、その後、結果を、10個の1msのゴールドコードの繰り返しを発行し、次いで、10個の符号反転(negation)等を発行するブロックで相関する。すべてはコードラグ仮説cを有する。衛星通信の観点では、ドップラー効果はキャリアおよびコードの双方に見られる。下記の注記を参照のこと。
(4) ABCDの副組み合わせの他の組み合わせ。
注記:ドップラーはキャリアおよびコードの双方に存在する。コードドップラーは、コードチップレートに対するキャリア周波数の比によって除されたキャリアドップラーである。(GPSでは、そのような比は1540=1575.42MHz/1.023Mchpsであり、それゆえ、GPSキャリアドップラーを1540で除算する。この比は、どの特定のGNSSのSVが受信されようとも、任意の他のキャリア周波数および/または任意の他のチップレートに同様に構成される。)従って、上記のゴールドコードの因数「D」は、それに特徴付けされる、仮説が成されたコードドップラーで生成され、また、仮説が成されたキャリアドップラー「C」の例えば、1/1540倍に等しい。例えば、上記のサブパラグラフ(3)および図7において、レシーバは、入力信号r(t)からキャリアドップラーを除去し、それに特徴付けされたコードドップラーを有する、局所的に生成されたゴールドコードで相関する。このようにして、相関は、コードドップラーを除去するためにも効果的である。
次に図13を参照すると、上記で既に紹介された実施例の別のカテゴリーが、GPS、グロナスおよび/またはその他のGNSSにおいて複数のスタガーされたコヒーレント積分を実行及び非コヒーレントに組み合わせることにより、感度改善をもたらす。例えば、GPSで、19ms(または20ms)の複数のコヒーレント積分が顕著に提供され、実行される。それらの積分のそれぞれは、時間にして数ミリ秒、シフトまたはスタガーされる。(このGPSの例では、事前の仮説探索は、直接的にコードラグおよびドップラー周波数に成される。)図13は、20ms幅のデータビット・・・、1、0、1、1、0・・・の入力(I/P)データストリームを表す。アライメントスロットPreD1、PreD2、PreD3が、19ms幅で確立されて、相互にかつ入力データに関してスタガーされる。これらの複数のスタガードコヒーレント積分の1つまたは複数の結果が、SNRを増大させ、すべてのコヒーレント積分が次に非コヒーレントに組み合わせられる。
非コヒーレントな組み合わせが含まれることで、プロセスの実施例は、簡潔に、どのコヒーレント積分が性能に最も貢献したのかを決定する必要がなく、非コヒーレントに組み合わされた結果は、SNRおよび感度の上昇をもたらす。ノイズサンプルが、スタガードアライメントに基本的に同じであるとしても、二乗損失は減少され、それにより感度の上昇がもたらされる。すなわち、複数のコヒーレント積分をスタガーすることは、非コヒーレントな蓄積に強く蓄積する複数のコヒーレント信号の合計を供給する。なぜなら、少なくとも1つまたは2つのコヒーレント積分が、実際の20msの信号ビットウィンドウ内にほぼ、または完全に収まるためである。その後、非コヒーレントな蓄積において、信号蓄積はノイズの蓄積を実質的に上回る。なぜならば、ノイズはそれ自体で無視できる程度に相関し、コヒーレント積分からのノイズ成分の非コヒーレントな蓄積は、それゆえ、ノイズに関してそれ自体を部分的にキャンセルするためである。さらに、複数のウィンドウのこのようなスタガリングを伴う実施例は、単一のウィンドウよりも多くの蓄積を提供し、これによりノイズを部分的にキャンセルし、それ故、ビットエッジに関連する損失に対処するためだけでなく、全体の感度を改善させるためにも有効である。
19msの単一のPreDを実行する代わりに、19msの複数のPreDが図13において実行され、複数のPreDのそれぞれは、19ms間隔以内でまたは19ms間隔にわたって数ミリ秒シフトされる。PreDは、ウィンドウの数mで除算されるビット長さ、例えば、GPSでは〜20/m ms、におおよそ等しい時間間隔だけスタガーされる。これらの複数のPreDは、その後、SNRを上昇させるために、または、コヒーレント積分の増加されたSNRを提供するために、非コヒーレントに組み合わされる。図13に示すように、PreD1単独では、ビットエッジをまたぎ、信号の損失を引き起こさせるであろう。データビットの境界内でまたは境界にわたって互いに時間シフトされた複数のPreDを並列に実行することによって、少なくとも1つまたはいくつかのPreDは、別のPreDよりもよりも良好に機能する。プロセッサブロック320がこれらのスタガーされる並列のPreDを非コヒーレントに合計するとき、全体のSNRおよび感度が従来の単一のPreDと比べて改善される結果または出力が形成される。スタガーされる並列のPreDおよび非コヒーレントとの組み合わせ(◆または+で表される)のこのプロセスは、スタガーされる19msのPreDの連続した3つまたはグループを視覚的に区切る斜めの線で図13に示されるように、ドエルにわたって繰り返し実行される。図14では、従来の単一のPreDと比較して図13の1つのプロセスの実施例において約1dBの感度の改善が確認され得る。
この感度改善の理由を見る別の方法は、複数のスタガードウィンドウに起因する非コヒーレント積分の数が、同じ長さの入力データ、および同じコヒーレント積分期間PreDの従来の単一ウィンドウの手法と比較して、増加されていることである。非コヒーレント積分の各々のノイズサンプルは、完全に非相関ではないが、SNRを改善しそれゆえレシーバの感度を改善するために役立つ良好なノイズの平均化に寄与する。
本明細書で述べられるとおり、様々な実施例が、衛星レシーバの検出感度を改善するために、積分時間(PostD、dwell TD)を単に増加させるのと比較して、大きく異なる高性能構造およびプロセスを、GPS/ガリレオ/グロナスおよび測位衛星検出のその他のシステムに提供する。衛星検出の処理方法の一実施例において、1つのコヒーレント積分アライメントのみの相関を実行するのではなく、PreD1、PreD2等のような複数のスタガードアライメントのために、相関が実行される。これらの相関関係を互いに組み合わせることにより、ビットエッジの情報なしに、GNSSの検出感度の性能が著しく改善される。相関結果は、1つの同じメモリ空間内に非コヒーレントに組み合わされ、または組み合わされ得、それゆえ、メモリのオーバヘッドとならず、かつGPSまたはGNSSレシーバのコアエリアの大きな節約となる。ビットエッジの時間インスタント(例えば、20ミリ秒のビットが終了し、別の20ミリ秒のデータビットが開始する時間インスタント)が不明な非同期ネットワークにおいて、この実施例は、GNSS捕捉のための感度の改善に寄与する。
図13Aにおいて、いくつかの実施例が、グロナスのようなGNSS信号のための組み合わせ構造/プロセスの実施例をさらに提供する。プロセスの第1の部分は、周波数において離間された(例えば75Hz)相関を実行する仮説探索の実施例を含み、かつ実行する。プロセスの第2の部分は、複数のスタガードコヒーレント積分を実行し、複数のスタガード積分の演算は各々異なる周波数仮説について実行され、各コヒーレント積分は、SV信号のマンチェスタコード(例えば10ms)のためにビット長さの半分と互いに素であるウィンドウ幅(例えばグロナスでは9ms)を有する。SVを検出/捕捉するためのドエルにわたる積分において、9個の1msのグロナスゴールドコードの繰り返しのスタガーされる複数組を用いる実施例が、マンチェスタコードのどちらの10ミリ秒(+/−)の部分が現在適応可能であるにせよ、これを検出することなく、またはそれと同期することなく、動作可能である。コヒーレント積分のサブプロセスは、信号を蓄積し、かつノイズを部分的にキャンセルし、また、非コヒーレント積分に関与する二乗または絶対値は、マンチェスタコードのどちらの10ミリ秒の部分(+/−)が現在適用可能であるかとは無関係に、非コヒーレント積分のサブプロセスが結果を蓄積することを可能にする。9msのウィンドウは、コヒーレント積分PreDのウィンドウの数mにより除された、例えばグロナス用の〜10/m ms、ビット長さの半分とおおよそ等しい時間間隔だけスタガーされる。最終的な結果は、周波数で離間された(例えば75Hz)相関のそのような複数のスタガード積分を組み合わせる仮説探索実施例を用いることによって得られ、それは、複合ピークを発見し、かつ、このような複合ピークをドップラー周波数の中間に対応するものとして報告する。スタガードコヒーレント積分の結果は、非コヒーレントに組み合わされて、非コヒーレントに蓄積されたサンプルの出力ストリームを生成する。プロセッサブロック320がこれらのスタガーされる並列のPreDを非コヒーレントに加算するとき、全体のSNRおよび感度が従来の単一のPreDに比べて改善される結果または出力が形成される。スタガーされる並列のPreDおよび非コヒーレントの組み合わせ(◆または+により示される)のこのプロセスは、ドエルにわたって繰り返し実行される。これは、スタガーされる9ミリ秒のPreDの連続的なトリオ(PreD1、PreD2、PreD3)またはグループ、およびドエルにわたって連続的に繰り返されるグループを視覚的に区切る、おおよそ2倍の傾斜した作図線によって、図13Aで例示および図示される通りである。
図14においては、約0.5から1dBのオーダーでの感度改善でさえ重要であり、様々な実施例が、少なくともそれだけの改善を提供する。例えば、本明細書で開示される実施例が、例えばGPS用等の5つのスタガードコヒーレント積分について、約1.0dBの感度ゲインを与える。さらに、マンチェスタコード化されたグロナスでは、周波数+/−37.5Hzの組み合わされた探索プロセスの実施例は、上記で既に述べた通り、追加の感度ゲインをグロナスに与えることができる。いくつかの他の実施例は、他のPreD値に対するスタガードコヒーレント積分を適用することができる。異なる実施例が、3GPPテストおよびオペレータ/サービス提供者テスト用のパイロットSV感度のマージンの改善を可能にする。
図13Bないし図13Dにおいて、更なる組み合わせの構造/プロセスの実施例が、スタガーされる複数のウィンドウの多数のシナリオを提供し、図13ないし図13Dは、それらがどのように動作するかを図示する。図13ないし図13Dは、スタガーされる複数のウィンドウを有するこれらのプロセスおよび構造の実施例が、衛星レシーバにおける非同期または同期の動作モードのどちらかに有益に役立つこと、かつ、非同期及び/または同期通信およびネットワークに概して有益に役立つことを示すことに注意されたい。
図13Bにおいて、1つの実施例が、複数のスタガードウィンドウを用いて、20msのデータビット期間よりも短く、かつ20msと互いに素でない、PreDコヒーレント積分間隔(例えば5ms)にわたって、入力される信号を蓄積し、かつノイズを部分的にキャンセルする。例示される実施例では、3つの5msのウィンドウが、0ms、1.67ms、および3.33msのウィンドウのうちの最初の1つに対する時間で開始される。より一般的には、図13Bのウィンドウを離間する1つの方法は、ウィンドウの長さを、構成されたPreDと同等に、かつデータビット期間よりも短く設定し、Pred/mのスタガー間隔でそれらの離間を確立する。ここで、mは、構成されたスタガードウィンドウの数である。m個のスタガードウィンドウのそれぞれを開始するインスタントは、このようなウィンドウの最初の1つに対して、時間0、Pred/m、Pred×(2/m)、・・・Pred×(m−1)/mである。実際には、ウィンドウの正確な位置は、互いに対してさほど重要でない。ウィンドウの長さは、いくつかの実施例においては互いに異なることもある。ウィンドウ位置は、データビットエッジとは無関係であり得、この実施例は、データビットエッジを決定する前に適用され得る。
図13Cにおいて、一実施例が複数のスタガードウィンドウを用いて、20msのデータビット期間を超える任意の望ましい長さのPreDコヒーレント積分間隔(例えば、80ms)にわたり、入力信号を蓄積し、かつノイズを部分的にキャンセルする。図示される例では、4つの80msのウィンドウが、ウィンドウの最初の1つに対して、0ms、20ms、40ms、60msの時間で、4つの連続したビットの開始ビットエッジから始まる。より一般的には、図13Cのウィンドウを離間する1つの方法は、ウィンドウの長さを構成されたPreDと同等に設定し、PreD/mのスタガー間隔でそれらの離間を確立する。ここで、mは、構成されたスタガードウィンドウの数であり、各スタガー間隔PreD/mは、整数のウィンドウ期間(1つまたは複数)と適切に同等である。m個のスタガードウィンドウのそれぞれを開始するインスタントは、このようなウィンドウの最初の1つに対して、時間0、Pred/m、Pred×(2/m)、・・・Pred×(m−1)/mである。
この図13Cの実施例は、ビットのシーケンスが既知である場合に、このような間隔の間のレシーバ動作での使用に適用可能である。レシーバは、過去にビットのシーケンスがレシーバによってデコードされたとき、あるいは、外部ソースからレシーバへ投入されたときなどに、少なくともいくつかのデータビットの事前情報を有する。例えば、補助GNSSシステムが、ビットの既知のシーケンスを提供かつ更新し得る。この実施例は、本明細書の他の部分で説明するように、適用可能な局所的に生成されたゴールドコードを、衛星からの入力信号r(t)と適切に相関させる。補助GNSSデータからの既知のビットのサインかどうかに応じて、レシーバ回路が、局所的に生成されたコードの符号を反転させる(または反転させない)。そのようにして、非常に弱い衛星信号でさえも捕捉および追跡が改善される。
図13Cの実施例は、特定のGNSSシステムの衛星伝送のデータ構造の既有知識に基づいて、非補助レシーバ実施例にも適用可能である。例えば、GPSは12.5秒毎に何らかのデータを繰り返す。衛星信号が適度に強い場合に衛星が捕捉され、その結果、追跡が始まり、その後、衛星位置に応じて徐々に、もしくは、都市または自然環境の局所的な受信状態および物理的幾何学によって一時的に、衛星信号は弱くなる。衛星信号が微弱でない場合に受信されるデータは、これは引き続き繰り返されることが知られているデータであるが、この長いPreDの複数のスタガードウィンドウのレシーバおよびプロセスによって用いられるための既知のデータを構成する。さらに、GNSSシステムが、ガリレオにおけるような既知のパイロットコードを伝送するか、または、長い連続的な同一ビットを伝送する場合には、捕捉および追跡は、陸上の補助GNSS情報がなくても、この種の長いPreDの複数のスタガードウィンドウの実施例により容易になる。
粗い時間補助の実施例では、ビットエッジのタイミングが確定される前に、衛星信号を敏感に検出し得る。この実施例は、ビットエッジのタイミングが確定されると、ビット同期された積分に切り替わる。より細かい(ファイン)時間補助の実施例では、衛星が捕捉される前に、コードラグが例えば30ミリ秒(〜34チップまたは〜1/33ms)内で既知であることによって、局所的に利用可能なデータを持つことができる。
図13Dは、例えば1msの非常に短いコヒーレント積分間隔PreDを用いる、複数のスタガードウィンドウの実施例を示す。ここでは、Predはミリ秒の単位で表される。コヒーレント積分ウィンドウは各々、例えば、PNコード期間の整数(1つまたは複数)と幅が等しい。コヒーレント積分ウィンドウは、1msのPNコード期間に対して、またはウィンドウ幅に対してスタガーされる。図示された例において、4つの1msのウィンドウが、0ms、0.25ms、0.50ms、0.75msのウィンドウの初めの1つに対する時間で始まる。より一般的には、図13Dでは、構成は、構成されたPreDに等しい長さを設定する。ウィンドウを離間する1つの方法は、それらの間隔が、特定の整数チップインスタントであり、おおよそ1023×Pred/mのチップ間隔でスタガーされて設定することである。ここで、mは、構成されたスタガードウィンドウの数である。m個のスタガードウィンドウの各々を開始するインスタントは、第1の整数小なりイコール0に等しいチッピング時間であり、このようなウィンドウの最初の1つに対して1023×Pred/m、1023×Pred×(2/m)、・・・1023×Pred(1/m)である。整数チップにおけるウィンドウの正確な位置は、包含するノイズが比較的に非相関され、かつウィンドウにわたり部分的にキャンセルされ得る限りは、相互に対して重要でない。ウィンドウの長さは、いくつかの実施例では相互に幾分異なってもよい。各PreDは、例えばPreD1=1ms、1ms、1msであるが、Pred1=Pred3=1ms、2ms、1ms、2ms等で、PreD2=PreD4=2ms、1ms、1ms、2ms等であってもよい。この図13Dは、正確な1msのPNコードエッジの知識を有することなく、かつデータビットエッジを決定する前に、適用され得る。
図13Dにおいて、チップ合計の相関式
が、例えば0,256,512,768チップで、またはm個のスタガードウィンドウに対し互いに対しておおよそ1022/mの間隔離間する(m−1)整数チップでそれぞれ開始するウィンドウについて蓄積され得る。この実施例は、PN(ゴールド)コードg(i)が、各相関がどのチップと開始するかに関わらずに各1msを繰り返す、拡張された持続時間にわたり、PreDウィンドウの繰り返されるコヒーレント積分の結果を非コヒーレントに組み合わせることによって適切に動作する。持続時間は、ゴールドコードが継続してそれ自体を繰り返す(または任意のビット反転が既知である)限り設定され得る。このように、ウィンドウはスタガーされ得、各ウィンドウについて同一のコードラグcでも相関ピークを構築することができる。
図15では、ドエルのための受信のモンテカルロ・シミレーションが独立して複数回(例えば、Ndwell=100)行われて、従来の19msの単一Predの検出感度を、それぞれが19msのPreDを有する、2つ、4つ、または5つのスタガードコヒーレント積分ウィンドウを用いた実施例の検出感度と比較した。それぞれが19msのPreDを有する5つのスタガードコヒーレント積分ウィンドウでは、19msのウィンドウは、互いに対して例えば4ミリ秒シフトされ、非コヒーレントに組み合わされる。結果が示すのは、4つまたは5つのスタガードウィンドウでの実施例は、各々おおよそ0.9〜1.0dBの感度ゲインを与えるということである。また、2つのみがスタガーされたウィンドウでも、感度ゲインはおおよそ0.6dBである。1.0dBの性能改善は、GPSの状況においては非常に顕著であり、すべての0.5dBは重要な関心事であり、ウィンドウが1つ追加された0.6dBの実施例もまた、かなり有益で一層経済的な結果をもたらす。このタイプのプロセスの実施例は、図13Aと同様にグロナスのように他のGNSSシステムに適用され得る。さらに、このプロセスの実施例は、メモリ領域を追加することなく実装され得る。すべての結果が非コヒーレントに同じメモリに加算される、または加算され得るので、既存の衛星捕捉システムと比較して追加のメモリを用いる必要はない。
図15において、異なる数のスタガード積分の相対的な性能がグラフにされ、結果は下記のように要約される。
(A) ビットエッジ情報が既知かのようにPreD=20ms:理想的。
(B) 従来のPreD=19mの単一ウィンドウは、理想的なものと比べて、1.8dBの感度の損失を受ける。
(C) 各々10ms時間シフトされた2つのスタガードコヒーレント積分は、理想的なものに対し1.2dBの感度損失である(すなわち、(B)よりも0.6dB良好である)。
(D) 各々5ms時間シフトされた4つのスタガードコヒーレント積分は、理想的なものに対し0.9dBの感度の損失である(すなわち(B)よりも0.9dB良好である)。
(E) 各々1ms時間シフトされた20個のスタガードコヒーレント積分は、理想的なものに対し0.9dBの感度の損失である。(すなわち、(D)と同様であり、(B)よりも0.9dB良好である)。
4つのスタガードコヒーレント積分(D)以上は、予期される通り減少する利益が生じる。
関連する式をいくつか次に示す。式(4A)の「A」は、10msのコヒーレント蓄積の後の受信されたRx信号の信号振幅とする。N(k)は、10ms用の、対応する複合のAWGN(加法性ホワイトガウスノイズ、複合の同相および直交独立生成乱数(complex in phase and quadrature independently-generated random number))サンプルとする。これらの式は、16秒の積分の全体の期間を仮定する。これは、感度レベルで信号を検出するときレシーバにより実行される長いドエルの一例である。
式(5)の「legacy_metric」は、1600×10ms=16秒のドエルの積分の全体の期間を仮定する。ここで、PreD=20msおよびPostD=800である。PreDが20msであるのは、2つの10msのコヒーレント積分が、それらの大きさ、すなわち絶対値、を決定する前に、コヒーレントに加算されるためである。そして、非コヒーレント積分は、16秒のドエルにおいて800ビットについて800の大きさを加算する。
式(6)の「new_metric」は、当該ケースが2つの異なる20msのコヒーレント積分ウィンドウを有することを除いて、1600×10ms=16秒のドエルの積分の全体の期間とここでも仮定する。第1のウィンドウは、PreD1=20msであり、2つのコヒーレントに加算された項[r(2i−1)+r(2i)]を有する。第2のウィンドウはPred2=20msであり、第1のウィンドウから10msスタガーされ、[r(2i)+r(2i+1)]で示される、2つのコヒーレントに加算された項を有する。これは、簡潔にするために2つのウィンドウのみを用いる例であり、また、実際にはビットエッジが未知であると認識する例である。PostD=800である。次に、非コヒーレント積分は、それぞれが16秒のドエルにおいて800ビットに整合する試みを示す2つのウィンドウPred1およびPred2の各々について800の大きさまで加算する。この例は、ウィンドウPreD1が整合において一層成功し、PreD2がさほど成功していないかのように動作する。著しくかつ有利に、一層良好に整合するウィンドウである方のウィンドウが、他方のウィンドウよりも、ビットエッジの位置がわからない場合であっても、感度およびSNRに一層貢献する。また、各ウィンドウが同程度にビットと不整合であっても、このような不整合は、起こり得る最悪の不整合と比べると良好である。それゆえ、このプロセスの実施例New_Metricのためのドエルにわたる平均的な整合は、単一ウィンドウlegacy_metricよりも性能が優れていると予期され得る。追加の被加数は、式(6)における最後の総和
に起因して、許容可能に追加されるプロセスを容易に正当化する感度およびSNR改善をもたらす。
スタガードウィンドウのより大きな数Nwでは、式(6)は適切に一般化される。この例は特別な場合を表すが、より一般的なSNRの利点が、スタガリングによって、かつビットエッジとは無関係に、一般にどのよう生じるか、ということを提示および示唆する。別の式では、ビットエッジが未知である場合を表し得、様々なPreD値のうちの任意のものを用いることができる。
話を簡単にするために、様々な互いに素のPreDの事例のためのビットエッジの効果は、このような事例に適用され得る上記の式(6)または付属コードでは完全には考慮されない。それでもなお、式(6)は、プロセスの実施例に重要なシナリオおよび洞察を与える。表1の例示的なコードは、いくつかの利益をさらに表すために、かつ人間の理解のために行われ得る。
基本的に、手順は、信号がPreDのウィンドウ幅毎に所与のSNRで存在すると仮定して、式(5)のlegacy_metricをA+N(k)のために計算し、その後、ノイズ専用のN(k)のためにlegacy_metricを再び計算する。その後、各ドエルのための第1の検出メトリックが、zスコアで計算される。このzスコアとは、legacy_metricから、legacy_metricを生成するときに含まれたノイズの平均を減算した逸脱または差であり、この差はノイズの標準偏差によって除算される。その後、信号がPreDのウィンドウ幅毎に所与のSNRで存在するとここでも仮定して、この手順は、式(6)のA+N(k)のためにNew_Metricを計算し、その後、ノイズ専用のN(k)のためにNew_Metricを計算する。その後、各ドエルのための第2の検出メトリックが、そのzスコアとして、すなわち、New_Metricから、New_Metricを生成するときに含まれたノイズの平均を除算した差として、計算され、その差は、後者のノイズの標準偏差によって除算される。100個のドエルでは、各メトリックのzスコアは、参照電圧「eps」に対してdBの単位で20×log10(DetMetric/eps)に集中したおおよそ釣鐘状の曲線で分布する。これらの累積分布関数(CDF)は、検出可能性対電力レベルdBのS字曲線として図15に描かれる。第1および第2の検出メトリックは、19ms(従来型)のための、および図15において「20ms‐2位相」と表示された2ウィンドウの事例のための、2つの特定のS字曲線として表れるそれぞれのCDFを生成するために処理される特定の事例である。
電力レベルの関数としてのCDFは、各所与の電力レベルに対応する所与の最大zスコアを下回るzスコアの数(Ndwell=100により除算される)である。zスコアがゼロを上回るときに信号が+1として検出され、zスコアがゼロを下回るときに信号が−1として検出されると仮定すると、CDF値は、検出可能性として解釈されるか、または、検出可能性に相当する。言い換えれば、ノイズに加えられる信号レベルの存在は、すべてのzスコアに付加し、かつ、信号を正確に検出する確率(CDF)を増加させる。それゆえ、図15において、152dBmでの信号検出の可能性は、1つの19msのウィンドウを用いるとおおよそ1/2(50%)であるが、2つのスタガードウィンドウを用いる実施例では可能性は約80%まで上昇し、また、それ以上のスタガードウィンドウを用いると90%に達する。従って、様々な実施例が、検出の可能性を大幅に上昇させ得る。理想的な20msのウィンドウを用いると、信号を検出する可能性は約98%である。
構造およびプロセスの開示された実施例が存在し、なおかつ動作されること、ならびに、その性能レベルが期待通りのものであることを判断するために、GNSSレシーバの実施例が適切に検証された。テストプロセスの実施例を以下で説明する。
テストプロセスの実施例1
レシーバに、マンチェスタコードのない、ラボで生成された人工的なGNSS信号を入力する。マンチェスタコード(蛇行シーケンス)がないので、周波数領域において単一のピークが生じる。レシーバは、そのような蛇行シーケンスが存在するという前提で蛇行シーケンスを処理するように動作する場合、このメインピークとノイズとを〜75Hz間隔で結合して、2つの中間にある、すなわち、メインのピーク位置からおおよそ37Hz離れた、ドップラー周波数を誤って報告する。入力信号に対してマンチェスタコードをイネーブルする際、または導入する際、レシーバは、期待通りの正しいドップラー周波数の報告を開始すべきである。また、レシーバによって報告される信号対ノイズ比SNRは、マンチェスタコードが人工的にディスエーブルされると悪化(減少)する。
テストプロセスの実施例2
テスト2Aを説明する。合成されたGPS信号を、データビットが遷移することなく、かつ、各20msのデータビット期間と相関する(または同一の)ノイズを有して、レシーバに入力する。最初の10msのノイズが次の10msのノイズと同一であるように、雑音の多いGPS信号を投入する。後者はラボにおいて便宜上生成することができ、試験用レシーバにRFで再生され得る。上記信号に対する、加法性ホワイトガウスノイズ(AWGN)を伴う通常のGPS信号のためのレシーバ感度の変化を監視する。感度の差は、レシーバ実施例の適切な動作、または試験用レシーバの適切な動作からの偏差を検出するために用いられる。期待される動作をしないレシーバでは、20msのPreDを用いる間、感度に3dBのデセンスが見られる。これは、AWGNを有する信号に対する感度と比較して、人工的なテストノイズの相関の性質によるものである。これに対し、適切に動作するレシーバの実施例では、大幅に低い、またはごく少量のデセンス値が見られる。
テスト2Aでは、言い換えると、各ビット期間の半分の10msで単に繰り返されるノイズの第1の事例において、図13のレシーバが、10msの半分の各々の部分をまたぐ複数のスタガーされる19msのウィンドウの少なくとも1つまたは別の1つを有し、その結果、1つまたは別の1つのスタガードウィンドウにおけるノイズのコヒーレント積分が、全体的に一貫して、ドエルにわたる複数のスタガードウィンドウを共に用いて、部分的にキャンセルする。これに対し、単一の19msのウィンドウを有する従来型レシーバは、このような部分的なキャンセルをするための機会を一貫して有することははるかに少なく、それゆえ、約3dBデセンスされることが予期される。このタイプのラボテストの実施例は、間接的かつ便宜上、複数のスタガードウィンドウを用いたレシーバの実施例における動作が有効であり成功することを示す。
テスト2Bを説明する。さらに、テストプロセスの実施例2において、試験用レシーバ(RUT)のフロントエンドから適切な性能の比較レシーバ(CR)へのデジタルサンプルを、構成可能な単一のウィンドウまたは構成可能な複数のスタガードウィンドウに結合する。図15と同様に、比較レシーバCRのウィンドウの構成された数を調整して、レシーバRUTの性能にほぼ適合させる。CRと同様の、既知のRUTの構成およびアーキテクチャでは、RUTにおいてアクティブであるように構成されるウィンドウの数は、CRが比較可能な性能をRUTに運んでいる場合、CRにおけるアクティブなウィンドウの構成された数と等しくあるべきである。しかしながら、RUTが、例えば、アクティブであるように構成される4つのスタガードウィンドウを有しながら、例えば1つのウィンドウのみがアクティブな状態で構成されるこのようなCRに相当する機能をする場合、そのRUTの試験は失敗である。別の例では、CRが4つのスタガードウィンドウがアクティブな状態で構成され、未知のRUTがこのCRと本質的に同一または同様に実行すると仮定する。すると、RUTは、少なくともいくつかのスタガードウィンドウを用いており、それらの動作がアクティブであると推測され、また、そのように推察される可能性が高い。
本明細書で開示されるアプリケーションおよびシステムブロックの実施例は、固定型、携帯型、可動式、自動車用、水上輸送または海上輸送、空輸用、通信、制御、セットトップボックス、テレビ(受信機TVまたは双方向TV)、PCおよびその他の装置において適切に実装される。パーソナルコンピュータ(PC)は、例えば、デスクトップ、ラップトップ、パームトップ、オーガナイザ、携帯電話機、PDA携帯情報端末、インターネット家電、ウェアラブルコンピュータ、コンテンツ再生機、パーソナルエリアネットワーク、またはその他のタイプのフォームファクタにおいて適切に実装され、例えば、光ディスク、フラッシュドライブ、およびその他のメディアと共に使用可能である。
図16は、GPSレシーバ2200の実施例を表し、位置エンジン2270をフィード(feeding)する測定エンジン2260を有するBPS2250を含む。位置エンジン2270は、ホストプロセッサでおよび/または専用のマイクロプロセッサで実行されるベースバンドプロセッサBPSの機能またはBPSにおける動作を指し、位置エンジン2270はGPS出力を供給する。測定エンジン2260は、デジタルフロントエンド2230に結合され、それによりフィードされる。測定エンジン2260は、図5におけるようなGPSチップの構造、機能または動作を含む。パワーセーブコントローラ2290が、5つの主要ブロックへの電圧供給2280制御する。すなわち、RF2210、IF2220、デジタルフロントエンド2230、PLL2240、およびBPS2250である。PLL2240は、電力制御されたクロックスライサ2245を介して、タイムベースとして温度補償水晶発振器TCXOを有するクロック回路によって動作される。電圧供給2280は、パワーセーブコントローラ2290によって制御されるパワーゲーティング回路(例えば、パワー管理ブロックへの供給電圧ラインにおけるFETをゲーティングする)に対する電圧を供給および制御する。フロントエンド2230およびパワー管理回路2289、2290は、信号を供給し電力およびエネルギーをセーブすることによって、本明細書に添付の図面で詳述する他のレシーバの構造よびプロセスを補助する。
パワーセーブコントローラ2290は、他の個々の構成要素の任意のものに直接的に接続されて、例えば、パワーセーブコントローラ2290から測定エンジン2260への接続により図示するように、これらの構成要素を直接的にオン/オフする。パワー接続および/またはパワー制御イネーブルは、図2、図5および図16ないし図18の各ブロックにおける任意の適切なブロックまたは構成要素(明確または完全に図示しているか否かを問わない)に提供される。レシーバ2200のパワー制御ブロックにパワー制御デューティサイクルならびにパワー制御イネーブル信号およびディスエーブル信号を伝達するために、パワーセーブコントローラ2290のいくつかまたはそのすべてを動作可能かつアクティブに保つ方式で、パワーセーブコントローラ2290は、デジタルDLOまたは別の方法によって、パワーソースに結合される。
ここで簡潔さのために、また、本明細書で特に説明されない限りは、図16から図18の様々な番号および説明は、次の3つ文献における対応する図面の説明と同等である。すなわち、2009年7月2日に公開された米国特許出願公開US2009/0168843の「パワーセービングレシーバ回路、システムおよびプロセス」、2012年2月12日に公開された米国特許出願公開US2012/0026039の「GPS、ガリレオ、およびグロナスナビゲーションシステム、およびその他の回路、システムおよびプロセスのための単一RFレシーバチェーンアーキテクチャ」、および/または、2011年5月5日に公開された米国特許出願公開US2011/0103432の「改良された相互相関検出または緩和回路、プロセス、デバイス、レシーバ、およびシステム」であり、これらのすべては参照により本明細書に援用され、これらに記載された通信システムにおいて用いられる。
図17Aおよび図17Bを参照する。GPS、ガリレオ、およびグロナスのレシーバアーキテクチャに関する背景の幾つかについては、2012年2月2日に公開された米国特許公開公報US2012/0026039の「GPS、ガリレオ、グロナスナビゲーションシステム、およびその他の回路、システムおよびプロセスのための単一RFレシーバチェーンアーキテクチャ」を参照されたい。この公報は全体が参照により本明細書に援用される。図17Aでは、単一のレシーバRFチェーンが、GPS、ガリレオ、およびグロナスのすべてをRF(〜1573MHzから〜1607MHz)で、それらの間の周波数(例えば〜1590MHz)にある単一のLOによってヘテロダインすることについてほとんど画像排除することなく包含し、その後、単一の低電力広帯域IF(−20MHzから+20MHz)が続き、また、LPADCはIFでGPS、ガリレオ、およびグロナスのすべてを包含し、さらに、図17Bにおいて、その後、ソフトウェアベース、ハードウェアベース、または複合デジタル信号処理220〜226が続いて、IFにおけるGPS、ガリレオ、およびグロナスを相互に分離する。後続の処理が、並列または連続で、選択された1つ、2つまたはすべてのGNSSからのそれぞれの衛星信号における情報を復調する。デジタル処理は3つの部分を有する。すなわち、共通(共有)デジタル部分、GPS特定部分、およびグロナス特定部分である。共通部分は、AGD、DCオフセット、およびIQミスマッチ校正論理を含む。フィルタチェーンのGPS特定およびグロナス特定の構成要素は、デシメーションフィルタ、デローテータ、およびリサンプラを含む。レシーバがGPS専用モードでプログラムされるとき、共通部分およびGPS特定部分はアクティブであり、グロナス特定部分は電力をセーブするように適切にクロックゲートされる。レシーバがグロナス専用モードでプログラムされるとき、共通部分およびグロナス特定部分がアクティブであり、GPS特定部分は適切にクロックゲートされて電力をセーブする。本明細書に添付の他の図面(特に、例えば図6ないし図10、図13および図13A)による著しい改善は、図17Aないし図17Bのレシーバに適切に適用され、特に、図17Bのハイブリッド相関器ユニット、ハイブリッドチャンネルプロセッサユニット、およびトラッキングチャンネルユニット(これらは本明細書の他の部分で説明された図5におけるブロックに関連する)に適切に適用される。
衛星レシーバに関する本明細書における実施例は、上記のGNSS信号および他のGNSS信号を受信および分離することが企図される。このような他のGNSS信号は、Beiduo‐2(コンパス、中国)のコード分割衛星信号や、IRNSS(インド地域航法衛星システム1176および2492MHz)、QZSS(準天衛星システム、日本、GPSと関連)、および、地上設置のトランスミッタや他の補強物を含み得る。補強物の例はSBASであり、例えば、北アメリカのWAAS(広域補強システム)、EGNOS(ヨーロッパのグローバルナビゲーション・オーバーレイ・サービス)、東アジアに関連するMSAS(多機能衛星補強システム)のような衛星ベースの補強システムである。また、実施例には、デジタル信号処理チェーンを追加してCOMPASSを受信し、グロナスやGPS/ガリレオのそれぞれのための本明細書で既に述べたデジタル信号処理チェーンと同様の方式で構成されかつ動作するものもある。それゆえ、複数のGNSS信号および他の信号を同様にかつ安価に処理するための様々な他の実施例が、示された例とは異なる周波数帯域および範囲、異なるLO周波数、および異なるIFおよびADC帯域幅を有し得る。GNSSにおける「G」は地球システムのみに限定しないことが強調される。
図2、図4、図5、図7および図16ないし図18に関して、本明細書における顕著な実施例に従って、更なる詳細を説明する。レシーバ100は、異なるGNSSタイプからであり得る4つまたはそれ以上の衛星(図1)を追跡し、それぞれからの伝達された情報を回復し、位置エンジン(2270、図16)として機能するようにマイクロプロセッサまたはその他のソリューションブロックを動作させてナビゲーション式を解き、地球上または地球上空の位置に関与する、ユーザアプリケーション用の図1におけるレシーバの位置XRを得る。衛星SVj(j=1,2,3,4・・・)からの信号に基づいて同時に解される、3つの位置座標x indexed i=1,2,3におけるナビゲーション式の単純な例が、式(7)により直角座標で与えられる。
言葉では、式(7)は、衛星からレシーバまでの距離の二乗は、距離をトラバースするための伝搬時間かける光の速さの積の二乗に等しいことを意味する。パラメータxijは、エフェメリスデータによって伝達された衛星jのそれぞれの(既知の)座標位置iを表す。変数xiRは、レシーバそれ自体のそれぞれの(未知の)座標位置iを表す。時間tjは、データ信号で受信された衛星jからの伝達時間であり、レシーバRの現地時間tRjに対応する。レシーバの現地時間は、適用可能なGNSSシステムの原子時ベースに対して偏り誤差eを有しており、それゆえ、レシーバでのGNSS時間はtRj+eである。光の速さcLかける伝搬と受領との間のGNSS時間の差は、cL((tRj+e)−tj)で表され、これは衛星jまでの距離と等しい。例えば4つまたはそれ以上の衛星からの十分な情報があると仮定すると、ナビゲーション式は、位置座標の未知数xjRおよび未知の偏り誤差eのために解される。球面座標では、ナビゲーション式における3つのパラメータxijおよび3つの変数xiRが、3つの表現rcosθcosφ、rcosθsinφ、rsinθ(適宜下付き文字にされる)で、かつ、明確に記載される3つの座標軸に対する総和で、それぞれ置き換えられる。
図4において、各衛星SV1、SV2等からの既知の搬送周波数は、一般に、異なる量f1、f2等でドップラーシフトされる。図4が示すのは、2つの衛星、即ち、低い電力信号を有するSV1および高い電力信号を有するSV2、のための、信号レベル対ドップラーシフトの仮説スペクトラムである。図4において、所与のGPS SViのためのドップラーシフトfiは、すべてのSVにより名目上共有される1.575GHzのGPSシステム周波数(図4における「0」)と、1.575GHzから離れるドップラーシフトに起因する特定のSV搬送波の実際の搬送周波数との間の差である。ドップラーシフトはまた、レシーバR(100)のクロックオフセットによっても生じる。信号のヌルからヌルへの帯域幅(null to null bandwidth)はおおよそ2MHzであり、それに対してドップラーの差は最大で10KHz程度である。それゆえ、SV1の周波数スペクトラムおよびSV2の周波数スペクトラムは、概して大部分が重複しており(RFでの拡散スペクトラム信号である)、一方で相関(120、310)の観点からは、図4はそれらを被重複の相関ピークとして示す。
図5は、新たなSVを識別するために集約計算を実行する探索部310と、いくつかの既に識別されたSVを追跡し続けるための計算を実行する追跡部330とを示す。コンバータ335が、一連の並行の相関器(乗加算チャンネルフィルタ)310を有する高速相関エンジン310に向かうタップ付き遅延ライン305にフィードする。相互相関緩和ハードウェア400は、探索および追跡機能の両方を補助する。2011年5月5日に公開された米国特許出願公開公報US2011/0103432「改良された相互相関検出または緩和回路、プロセス、デバイス、レシーバ、およびシステム」を参照されたい。この出願は参照により全体が本出願に援用される。
図2、図3B、図5、図6、および図7においては、ブロック310における各相関器120は、SV1またはSV2のような衛星の1msの特性のPNシーケンスにわたって動作し、レシーバの記憶された一連の衛星特有の独自のPNシーケンスから局所的に選択かつ生成されたPNシーケンスで乗加算して、拡散スペクトラム衛星信号を逆拡散する。仮説探索エンジンブロック220(図7)が、異なるコードラグ値cと仮説周波数fとをPNコード発行ブロック210に対して繰り返し発行し、その結果、レシーバは、すべてのラグで相関を実行し、複数ミリ秒にわたる相関結果を蓄積して信号を検出する。(仮説周波数fは、GPS f=fd(ドップラー)の場合と、図5、図6および図10の実施例におけるグロナスとでは異なって用いられることに留意されたい。)グロナス用またはGPS用のそれぞれの適用可能な仮説探索の実施例によって、生成されたPNシーケンスは、レシーバ時間ベースに対するそれぞれのコードラグcで適切にタイムシフトされて、対応する衛星SV1またはSV2から受信された特徴的なPNシーケンスを有するピークと同期し、かつこのピークを生成するということが分かった。識別されるべきSV1のための仮説周波数の除去(グロナス用)またはドップラー周波数の除去(例えば、GPSやガリレオ用)は、図7におけるブロック210によって、適切な方式で「ワイプオフ」として提供される。1つの方法では、様々なSVのための受信された信号(およびノイズ)の集合r(t)を、仮説周波数f1関数exp(j2π(−f1)(t+(n/1023)))で予め乗算し、SV1のためのゴールドコードP1との相関を提供する。別の代替的かつ等価の方法では、exp(j2π(f1)(t+(n/1023)))で予め乗算することにより、SV1のためのゴールドコードP1で仮説周波数を特徴付けし、受信された信号(およびノイズ)の集合r(t)を様々なSVに対して提供する。
図5および図6においては、探索部は、多数の相関器310およびチャンネルプロセッサ320を並列に繰り返し動作させる。ここでは、SV1のような所与の衛星のための仮説探索が可能である。対応する数のチャンネルプロセッサ320が設けられて、グロナス用またはGPS/ガリレオ用に、本明細書でそれぞれ説明されたように相関器310の出力を処理し、局所的に生成されたPNシーケンスが相関器によりうまく逆拡散されるときの所与の衛星のピークを識別し、捕捉された衛星からGNSS情報を得る。
図6においては、仮説探索空間が、図5および図7におけるレシーバの構造およびプロセスによって用いるための、ドップラーおよびコードラグ(コード位相)用の2つの次元を適切に有する。仮説探索は、すべての起こり得るドップラーシフトf1およびコードラグcを網羅することができ、または、通信ネットワークからのエフェリメスデータおよび/または補助GPSデータを用いて時間およびエネルギーを節約するよう適切に縮小され得る。この探索は、例えば、各ミリ秒における総和(8)に従った、起こり得るドップラーシフトf1およびコードラグcの値のそれぞれの所与の(仮説が成された)ペアに各々基づいた、多数の相関を提供する。
20/mミリ秒でスタガーされる複数の19msのウィンドウを有するGPS受信の実施例では、式(8)が一般化され、電子的な実施例が式(8.1)で示される。式(8.1)は、連続的な1m間隔での相関の19個のコヒーレントな蓄積の大きさ(縦棒|x|)の合計(非コヒーレントな合計)を表す。(20i/mを最も近い整数に丸めることに留意されたい。また、インデックスiの外側の総和は、無制限に、PreDウィンドウの奇数mと仮定し、数mが偶数の場合には、プロセスは、例えばi=1−m/2から最大m/2までの総和に調整される。)ドエルの更に外側の合計が、式(8.1)にも適切に適用され、簡潔さのために、式(8.1)から省略されるが、式(8E)および(8F)を参照されたい。
グロナスレシーバの実施例に関する図6および図10においては、式(8)により表される電子処理がここでは大幅に改変される。ここでは、f1はドップラー周波数であり、Fsは例えば50Hzのマンチェスタレートである。各コードラグ値cには、2つの仮説周波数が生成される。1つは(f1+kFs)で生成され、もう1つは(f1−kFs)で生成される。ここで、Fs=50Hzであるとき、k=0.75であり、kFsは37.5Hzである。別の実施例では、Fs=50Hzであるとき、k=1.0であり、kFs=50Hzである。各1ミリ秒の間隔において、相関は式(8A)および(8B)によって得られる。これらのそれぞれの相関は、適用可能なPreD間隔(例えば、9ms)にわたってコヒーレントに蓄積され、次いで、式(8C)におけるように非コヒーレントに加算される。
4msでスタガーされる2つの9msのウィンドウがグロナス受信用のレシーバの実施例で用いられる場合、これらは例えば式(8D)によって表される。この式(8D)は、このようなより多くのウィンドウのために簡単に一般化され得る。式(8.1)を参照されたい。
別の実施例では、式(8E)に示す通り、9ms逆拡散コードと、その後に続く9msの否定形の逆拡散コードとの18msの積分ウィンドウの数j=0,1,2・・・PostD−1を用い、外側の合計によって示す通り、ドエルにわたってそれらを非コヒーレントに蓄積する。
GPS受信用の別のレシーバの実施例では、4msでスタガーされる18msのウィンドウを用いる。これらは、例えば、式(8F)によって示され、この式(8F)はこのようなより多くのウィンドウのために簡単に一般化される。式(8.1)を参照されたい。これらのウィンドウは、正確に同じ長さである必要はなく、それゆえ、(プラス:9ms、マイナス:10ms)、または(プラス:10ms、マイナス:9ms)のような変形は、式(8E)および(8F)の変形実施例である。
本明細書における式は説明を目的とするものであり、本明細書における教示に適用される、またはこれらの教示に基づく工学的技能を普通に用いることによって、所望の性能のために実施例においる様々な変形例が可能である。
SV1が視覚可能(受信可能)である場合、受信された信号r(t)は、ドップラーシフトされたゴールドコードP1(n+c1)×exp(−j2π(f1)t)を含む。相関は、上記の積の和を実行する。この和は、ドップラーをキャンセルまたはワイプオフし、相関が(9)が最大となるところで、すなわち、仮説コードラグcがSV1用の実際のコードラグc1と等しいとき合計(8)〜(8F)のいずれかで示されるSV1の相関ピークで、SV1からの受信されたゴールドコードのコードラグc1を発見する。
図4においては、高出力信号SV2および低出力信号SV1のピークが受信される。SV2は、その衛星IDをレシーバに送信し、レシーバ100はこの衛星IDに特有のゴールドコードを識別する予めプログランされた情報を有する。このように、レシーバ100は、このように識別された内部生成されたゴールドコードを用いて、ブロック210(図7)からフィードされる相関器120において信号相関を実行する。相関器120はまた、フロントエンド110からの受信されたSV2のPNコードによってフィードされる。式(10A)および(10B)に示すように、コードラグcjは、PN符号がブロック210によって発行された時間tRjと、同じPNコードが発行された衛星SVj時間tjとの間の受信時間の差を表す。
相関ピークの時間tの位置は、相関器120によって決まり、必須の位置情報を提供する。というのも、各1msのPNシーケンスの開始が、衛星においては時間tjを維持する衛星時間基準に固定され、レシーバにおいては時間tRを維持するレシーバ時間基準に固定されるためである。したがって、衛星SVjのための所望の有効な受信されたピークである、レシーバでの自己相関ピークのコードラグ位置は、ナビゲーション式(7)における真の時間tRj+eを確立するために役立つ位置である。各1msのPN局所シーケンスの開始(レシーバが提供するPNシーケンスまたはゴールドコード)は、レシーバ時間基準に固定され、または、レシーバ時間基準に対する既知の量cを仮説探索において探索シフトされる。相関器120からピークを発見するために、図7の回路を用いて仮説探索することにより測定されるコードラグの値cjは、レシーバから、衛星のシステムの原子時基準に対するレシーバ100の時間基準のバイアスeを引いた差を得るために衛星信号が要する真の時間のずれとなる。衛星時間の値が、この衛星のための有効に受信されたピークが検出された後にのみ、衛星により送信されるデータから引き続き復調される場合でも、レシーバ時間基準は、そのインスタントに対しレシーバ時間値tRjによって示された同じインスタントを表す値tjに対する衛星時間の値をバックトラックするか或いは他の方式で提供するために必要とされる任意の時間間隔の値を非常に正確に測定することができる。その結果、例えば4つまたはそれ以上の衛星からの、いくつかの自己相関ピークの位置を用いて、位置エンジン2270はレシーバ位置(x1R、x2R、x3R)を得るだけでなく、ナビゲーション式(7)を解することによって偏り誤差eをも得る。上記の説明は、本明細書における様々な実施例に役立つ、多くの可能な代替的なGNSSのアプローチのうちの一例に関するものであり、コードラグが、時間、信号伝搬遅延、および偏り誤差と密接に関連することを指摘するために役立つことが、理解されるべきである。
図5においては、逆拡散された変調がコヒーレントに蓄積されてメモリ325にダンプされて、本明細書の他の所で説明される信号対ノイズ比を上昇させる。図5におけるメモリ325のブロックが、多くのメモリセクションを、各チャンネルプロセッサ320および非コヒーレント合計結果に提供する。このようにして、コヒーレントおよび非コヒーレントな合計からの積算された情報が記録および維持される。ハードウェアカウンタブロック350が、チップおよび/またはサイクルをカウントし、ブロック375および380と共に、レシーバ100の時間tRを維持する。(文脈に依存する「チップ」とは、図3BにおけるようなPN拡散シーケンスビットを意味するか、またはそれに関連するものであり、あるいは、例えば1チップ=(1/1.023)ミリ秒の時間単位としてチップに表されるコードラグの量に関連する。そのため、その意味は、集積回路チップとしてのチップの意味とは異なる。)また、カウンタブロック350はカウンタおよびレジスタと、所望の場合に電力管理デューティサイクルを構成および確立するための関連回路とを含む。
さらに図5においては、ベースバンドコンバータ335が、一連の追跡DLLチャンネル330を有する追跡部に出力を提供し、この追跡DLLチャンネル330は出力をDLLポストプロセッサ340に供給する。これらのチャンネルは、少なくとも適切な数の受信目的のための衛星を収容するための、遅延ロックループSVピーク追跡チャンネルである。追跡部は、探索部によりうまく探索されたSV信号を処理する。追跡部はまた、追跡DLLチャンネル330においてそれ自体の相関を有することができ、追跡DLLチャンネル330は、式(8)〜(8F)の合計に応じて追跡部における相関器に適用するための起こり得るドップラーシフトf1およびコードラグcの値のより少ない数の仮説が成されたペアを伝達するように最適化される。DLLは、ピークを計算し、または追跡し続けて、それぞれの所与の既得の低電力SV1および高電力SV2信号のPNシーケンスの時間遅延またはコードラグc2を追跡し、かつ、このプロセスにおいてこのような各SVのためのドップラーを追跡することができる。それぞれの利用可能なドップラーシフトされた衛星搬送波信号を追尾すること、及び、得られた各衛星のドップラーシフトDおよび時差ドップラー(delta−D)を決定することによって、ドップラー周波数をより正確に推定するように、周波数ロックループ(FLL)もまた適切に提供される。
図5のシステムの態様では、システムバス360が、マイクロプロセッサMPU370ならびにその関連メモリRAMおよびROMに、探索/追跡用ブロック120を結合する。このシステムはまた、参照時間カウンタおよびGPS/GNSSクロックカウンタを含むクロック校正ブロック375と、時間メンテナンスブロック380と、リアルタイムクロックカウンタ385とを有する。通信用周辺機器390は、第1および第2のUART(汎用非同期送受信機としても知られる並列−直列インターフェース)と、直列I2Cインターフェースと、直列I2Cを用いるセンサインターフェースとを含む。センサインターフェースは、データを提供するためのチルト(傾き)センサおよび/または加速度計を含み、このデータによってMPU370はユーザの動きのGPS位相トラッキング推定を計算または補強する。(いくつかの背景に関して、2011年11月22日に出願された米国特許出願番号13/301913「モバイルアプリケーションにおける低コストMEMS加速度計を用いた歩行ナビゲーション用の姿勢推定、処理方法、装置およびシステム」を参照されたい。この出願は、その全体が参照することによって本明細書に援用される。)PPSパルス/秒ジェネレータ395がさらに、システムバス360を介してMPU370に接続され、正確な1秒間隔を確立する。
補助GNSSレシーバの実施例を参照すると、可能であれば、任意の適切な手順が図6の2−D探索空間を減少させるために用いられる。外部補助データは、コード位相cの推定差と、検出された衛星SViと残りの衛星SVjとの間のドップラー周波数オフセットとを表す情報メッセージを含み得る。ネットワークサービス、携帯電話ネットワーク、無線ネットワーク、有線および無線ネットワークの組み合わせ、および/またはインターネットサービスプロバイダによって外部補助が提供される。粗い時間を補助する実施例では、レシーバ100は、携帯電話の中継塔またはネットワークデバイスのような基準点から、このような補助が提供される。この補助は、基準点からのレシーバ位置、エフェリメスデータおよび/または時間情報の形態である。エフェリメスデータは、時間関数としての衛星位置情報を含む。一部の背景に関しては、2011年6月16日に出願された米国特許出願番号13/161,692「GPS信号検出を改善するためのビット同期積分への動的スイッチング」を参照されたい。この出願はその全体が参照することにより本明細書に援用される。
ここで、本明細書の他の部分で説明された感度改善のための重要な構造およびプロセスの実施例を、粗い時間を補助する実施例に組み合わせる。粗い時間を補助する実施例は、ビットエッジのタイミングを確認する前に衛星信号を敏感に検出することができ、次いで、ビットエッジのタイミングを確認する際にビット同期積分に切り替わる。
例えば、GSMの携帯電話基地局が、2つのGPS衛星SV2およびSV1の位置を示唆するエフェリメスデータをレシーバ100に提供する。例えば、衛星SV2がGPSレシーバから20000km(およそ天頂にある)であり、SV1が所定の時間でレシーバから20000kmから25000km(空中の低い場所)であると仮定する。(グロナス衛星は、地球の中間の軌道において幾分低い高度の場所にあり、同様の見解が当てはまる。)GMSの携帯電話基地局はまた、GMS携帯電話基地局から例えば+/−10kmの精度で、レシーバ100の現在位置情報を提供する。レシーバ100は、GMSの携帯電話基地局から受信する補助データから、2つの衛星間の距離(例えば、1000km)を得る。レシーバ100が衛星SV2のPNコードの開始を検出すると、レシーバ100は、光の速度cL=300,000km/秒で除算した1000km+/−10kmである衛星SV1のPNコードのおおよその開始を算出することができる。レシーバ100は、低電力衛星SV1のPNコードの開始時間を電子的に推定し、その結果は3.33ms+/−0.033ms、すなわち(1000km+/−10km)/(300km/ms)となる。これによって、仮説探索は減少され、かつ、本明細書の実施例の向上した感度を用いて、図7(および/または、グロナスのための本明細書における教示としての図6、図7および図10)におけるGPS用に狭域で電子的に実施される仮説探索による低電力衛星SV1の捕捉および実際のコードラグの決定が容易となる。実際のコードラグを所与として、SV1で各1msのPNコードが始まる時間位置は、素早く計算される。そこから、既に利用可能な高電力衛星SV2のデータビットエッジの時間位置に基づいて、低電力衛星SV1の20msのデータビットもまた計算または決定される。衛星SV1のビットエッジがいったん計算されると、利用可能な最大のドエル時間が消費される前であっても、例えばGPSの19ms(グロナスの場合は9ms)ウィンドウ探索から、例えば、PreD=20msでビットエッジ整合された探索または同期探索に、探索が切り替わる。ビット同期積分動作モードへの切り替えは、ビットエッジに関連する損失を取り除き、さらに一層効率的に衛星の捕捉を維持して持続させ、衛星追跡を容易にする。
ソフトウェア相互通信の受信、および例えば補助動作用の情報の更新は、本明細書における教示によるいくつかの実施例では、有線または無線の発信源および図2のレシーバから提供される。これは例えば、2009年2月26日に公開された米国特許出願公開公報US2009/0054075の「非同期ネットワークにおけるセルラー端末用の衛星(GPS)補助クロック装置、回路、システムおよびプロセス」において説明された主題に基づいており、この出願は本明細書において参照することによりその全体が援用される。このような相互通信および更新は、例えば、GPSポジショニング、セルラーモデム、WLAN、Bluetooth、ウェブサイト、または、有線または無線モデムプロセッサ、デジタルテレビおよび物理レイヤー(PHY)用の別の回路等などのためのレシーバ100を有するモバイル機器で、別のプロセッサを介して適切に生じる。
ドエルにわたる積分プロセスの一般的な概観は、下記の通りである。図3の1msのPNコード境界が、ピークが図7で発見されたときに、仮説探索回路およびプロセスにおいて固定される。しかしながら、どの1msの境界が図3Cの20msのビット境界であるかは、この時点では依然として未知であると認識すると想定されたい。例えば19msにわたるコヒーレント積分は、電子的な相関120(310)によって各ミリ秒でPreD=19の加数を電子的に生成する。これらの加数は、たいていは正の項であり、わずかな負の項があることもあり得る(または、逆の場合もある)。SNRが低い場合、または、コヒーレント積分が、図3Cにおけるように、反対符号(+1ならば−1、または−1ならば+1)のビット間にあるビット境界をまたぐ場合、これらの項はすべてが同じ符号を有していない。コヒーレント積分結果は単数であり、この単数とは、任意の所与のPreD=19msウィンドウにわたるこれらの19個の加数の合計である。非コヒーレント積分の場合、この単数の二乗または大きさが、各19msで、かつドエルの全PsotD時間で蓄積されて、非コヒーレント積分によって蓄積されるコヒーレント積分を組み合わせた結果から生じる、ドエルにわたる合計として電子的な形態で単数を生成する。この合計を最大化するために、コードラグの値およびドップラーfdの値を発見することを、本明細書では「ピーク発見」と呼び、このようにして、所与のゴールドコードを有する衛星がレシーバ100によって捕捉される。このピーク発見のプロセスは、図6および図10の実施例の二重周波数カテゴリーによって、グロナスの場合に本明細書において著しく改善される。これらの実施例は、ドップラー仮定周波数からの所定の+/−kFsオフセットとPreD=9msとを有する、少なくとも一対のワイプオフ周波数を提供するものである。実施例によれば、図13または図13Aにおけるようなスタガーされる互いに素のPreDウィンドウに複数のコヒーレント積分を導入することによって、GPS、グロナスまたはGNSSのためのピーク発見プロセスが、代替的に、または付加的に著しく改善される。
このように捕捉された信号の信号強度(図14のSV電力dBmにより示す)が十分である場合、所定の1つ(またはスタガーされる1組の)コヒーレント積分PreDウィンドウにおけるコヒーレント積分から、このPreDウィンドウまたはスタガーされる組のためのコヒーレント積分結果の符号によって、それぞれ個別の入力信号ビットの各々の符号が確実に決定され得る。これは、それ自体と相関したゴールドコードの蓄積された積が正であるためであり、または、その負数(−1、符号逆転)と相関したゴールドコードの蓄積された積が負であるためである。また、元の変調としての信号ビットの符号は、衛星SViからの入力されるゴールドコードが反転符号であるか否かを決定するためである。PreDウィンドウのためのコヒーレント積分の出力の符号(+1、−1)は、衛星SViにおける元の変調に対応する、レシーバ100の復調された出力である。
実際の20msのビット境界が、仮に、レシーバにおける後続の処理により、または粗い時間を補助する処理により決定される前に、図13および図13Aが示すのは、複数のスタガーされる互いに素のウィンドウが、GPS/ガリレオ(図13)およびグロナス(図13A)のためのコヒーレント積分プロセスの実施例にどのように適合されるのか、またはこれらの実施例のための複合制御としてどのように用いられるのかである。さらに、グロナス受信は、図6および図10のそれぞれの実施例の二重周波数カテゴリーによってさらに向上される。
いくつかの実施例では、チャンネルプロセッサ320における更なるチャンネル処理が実際のビット境界を決定し、コヒーレント積分が、その後、GPS/ガリレオまたはグロナスのいずれかのための20msのウィンドウで正確に実施され得る。図15を参照されたい。ビット境界がいったん発見されると、GPS/ガリレオの場合、ゴールドコードおよびブロック210からのワイプオフは、20msのためのゴールドコードに関与するコヒーレント積分の各20msのウィンドウのための相関器に適用され、また、ワイプオフは、ゴールドコードに特徴付けされる単一の周波数fdである。
グロナスの場合、所与のグロナス衛星を捕捉した後、ゴールドコードおよび図7のブロック210からのワイプオフは、下記のように2つの捕捉後プロセスおよび構造の実施例のうちのどちらかに適用される。
捕捉後グロナス実施例Aを説明する。1msのゴールドコード(反転符号でない)の20回の繰り返しが、PreDウィンドウ毎に適用される。ワイプオフは、2つの周波数fd+3/4Fsおよびfd−3/4Fsである。各20msのビットウィンドウにおいて、1msのゴールドコードの20個のインスタンスがワイプオフ周波数に特徴付けされ、並列に捕捉された衛星信号と相関される。グロナスの場合は、20msの信号のための2つの相関結果の合計の符号は、最新の+1または−1の信号ビットを提供する。
捕捉後グロナス実施例Bを説明する。ここでは図7の回路210の変形形態が、10msの間にSV特有の1msのゴールドコードの10個のインスタンスを発行し、次いで、図9におけるような別の10msの間に上記の1msのゴールドコードの反転符号の10個のインスタンスを、相関器120へ発行する。ワイプオフは、ゴールドコードシーケンス(1msの正の符号の10個のインスタンス、1msの負の符号の10個のインスタンス)を特徴付けする単一周波数fdである。20msの信号のためのグロナス用に捕捉された衛星信号との合計20msの相関は、相関(コヒーレント積分)結果の符号として、最新の+1または−1信号を提供する。
図18は、チップ1100、1200、1300、1400、1500を含む集積回路チップと、通信システムのブロックのうちの1つか、そのうちのいくつか、あるいはそのすべてで用いられるGPS1190(1495)を説明する。当業者は、意図される機能に適切なように通信システムの特定の部分に、積分回路を使用および適用する。図18の携帯電話機の回路ブロックは、ポジショニングおよび位置ベースのアプリケーションにおいてGPSまたは補助GPSを協働するか、サポートするか、または協力して用いる。また、この回路ブロックは、図2、図5、図16〜図17Bおよび本明細書の他の図面のポジショニングレシーバと共に用いられるか、またはそれを含む。
ここで話を簡潔にするために、また、本明細書において特段説明されない限り、図18の様々な番号および説明は、2009年7月2日に公開された米国特許出願公開US2009/0168843「節電レシーバ回路、システム、およびプロセス」における対応する図面の説明と同等である。この出願は参照により本明細書にその全体が援用される。
図18では、レシーバハードウェアは、図18のデバッガを用いた連続スキャンの検査容易性および検証のためのスキャンインパス(経路)およびスキャンアウトパスを有する。スキャンパスは、JTAG1149.1または1149.7のテストアクセスポート(TAP)コントローラ回路に、またはこのような検査容易性を支援するシステムの実施例に結合され、TAPコントローラは試験時間にデバッガに結合される。図2、図5、図7、および図16〜図18における他のスキャン可能なブロックはまた、所望とされるようにスキャンチェーンに含まれる。
様々な実施例が、基地局、ゲートウェイ、送受話器、および可動式、携帯用、および/または固定用途に適用可能な任意のデバイスでの拡散スペクトラム通信システムのために提供された。このようなシステムは、全地球測位システムGPS、グロナス、および他の位置決定またはポジショニングシステム、携帯音声およびデータ、符号分割多重アクセス方式CDMA、ワイヤレスローカルエリアネットワークWLAN、工業用、科学用、医用用通信、およびその他のスペクトラム拡散通信システムのうちの1つまたは複数を補助する。実施例といくぶん重複するカテゴリーが、スペクトラム拡散またはその他のタイプの通信システムにおいてコヒーレント信号蓄積を用いるレシーバに提供される。
様々な実施例が、1つまたは複数のマイクロプロセッサと共に用いられ、マイクロプロセッサは、次のようなパイプラインを有し得る。すなわち、1)縮小命令セットコンピューティング(RISC)、2)デジタル信号処理(DSP)、3)複合命令セットコンピューティング(CISC)、4)スーパースカラー、5)歪んだ(skewed)パイプライン、6)イン・オーダー、7)アウト・オブ・オーダー、8)超長命令語(VLIW)、9)単一命令複数データ(SIMD)、10)複数命令複数データ(MIMD)、11)前記のうちの1つまたは複数を用いる複数コア、および12)マイクロプロセッサパイプライン、周辺制御、および、前記のうちの1つまたは複数を用いるマイクロ制御ブロック、である。
単一ゲートまたはマルチゲート電界効果トランジスタ(MUGFET)のような様々なタイプのトランジスタと共に、かつ、単一電子トランジスタと共に、または他のナノエレクトロニクスおよび他の構造と共に、異なるタイプのMOS、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)、SOI(シリコン・オン・インシュレーター)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、有機トランジスタのような、任意の集積回路の製造方法において、様々な実施例が実行される。フォトニック集積回路ブロック、構成要素、または相互接続もまた、様々な実施例に適切に用いられる。
本明細書で説明された集積回路のシステムおよびプロセスの様々な実施例は、適切な製造プロセスに従って製造される。そのプロセスとは、所望の実施例のためのRTL(レジスタ転送言語)、ネットリスト、および/またはその他の集積設計情報を用意し、それらの1つまたはそれぞれが、1つまたは複数の集積回路、蓄積およびダンプレシーバおよび/または前述の節電モードコントローラを有する拡散スペクトラムレシーバを含むものである。これらの実施例は、RTLおよびネットリスト上で電子的にシミュレーションにおいて検証される。場所および経路の演算が実行されて、各集積回路の物理的なレイアウトを確立し、かつこのレイアウトが検証される。このようにして、メモリの内容及びタイミング、レシーバ及びプロセッサハードウェアの内容及びタイミングが検証される。本明細書における構造の所望のシーケンスおよびパラレリズムと、所望の通信ユニットおよびGNSSユニットの他の演算に関連して、これらの演算が検証される。検証評価は、検証結果が現状満足のいくものかどうかを決定し、本明細書における実施例を形成する様な構造を有する集積回路チップの検証された設計が、ウエハ製造構造で製造され、結果的に製造された集積回路を生産するようパッケージされる。第1シリコンおよび製品サンプルは、チップが満足のいくものとなるまで、スキャンチェーンを用い、かつハードウェア上の方法をトレースするようなやり方によって検証される。システムの実施例のプリント配線基板(PWB)は集積回路を用いる。本明細書における様々な図面で説明されたソフトウェアおよびパラメータは、フラッシュまたはシステム用の他の不揮発性メモリに搭載されて、検証される。このシステムの電源を入れて、衛星シミュレーションで、様々な信号電力状況における実際の衛星および/または他の受領によって、性能が検査および検証される。
いくつかの例示的な実施形態がこれまで詳細に説明されてきた。本発明の範囲は、これらの記述および記載された実施例とは異なる実施例を、本発明の範囲内にありながら、包含することを理解すべきである。マイクロプロセッサとマイクロコンピュータは、本明細書では同義である。処理回路には、デジタル、アナログ、および混合信号(デジタル/アナログ)集積回路、ASIC回路、PAL、PLA、デコーダ、メモリ、非ソフトウェアベースのプロセッサ、マイクロコントローラ、および他の回路が含まれ、また、デジタルコンピュータには、マイクロプロセッサや、任意のアーキテクチャのマイクロコンピュータ、またはそれらの組み合わせが含まれる。内部および外部の結合ならびに接続は、介在回路を介し、または所望の他の方法で、抵抗性、静電性、誘電性、フォトニック、および直接的または間接的なものであり得る。任意の材料系統(マテリアルファミリー)およびそれらの組み合わせで、個別部品または完全に集積された回路において実施されることが予期される。本発明の様々な実施例は、ハードウェア、ソフトウェアまたはファームウェアを用いる。本明細書におけるプロセス図およびブロック図は、ハードウェアであれ、ソフトウェア、ファームウェア、およびその製造プロセスであれ、これらの任意の実施例の動作のためのフローおよび/または構造を表す。