JP6185865B2 - 低温曲げ加工性に優れた非磁性鋼およびその製造方法 - Google Patents

低温曲げ加工性に優れた非磁性鋼およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、強磁界にさらされるリニアモーターカーや発電・送電設備などの構造部材、微弱磁界が問題となる医療設備などの構造部材、または電磁制御部品の非磁性部を構成する材料等に関するものである。
磁界環境にさらされる構造部材などにおいて、設備本体の性能へ悪影響が許されないものには、通常、外部磁界によって磁化されない非磁性材料が用いられる。代表的な非磁性材料としては、従来からSUS304やSUS316等のオーステナイト系ステンレスが知られている。しかしオーステナイト系ステンレスは、NiやCrといった希少合金を多く含有するため部材の製造コストの増加を招くという問題がある。また、加工歪みが付与されるとオーステナイト組織が加工誘起マルテンサイト組織に変態して強磁性を示すため、加工歪みの増加に伴って透磁率が増加し、非磁性材料としての特性が低下するという問題もあった。
上記オーステナイト系ステンレス以外の非磁性材料として、オーステナイト組織を安定化させるC、Mnを増量した高Mn非磁性鋼が開発されている。例えば、本出願人は、特許文献1に、合金元素を適切に制御し、ミクロ組織がオーステナイト組織である非磁性鋼を開示している。合金元素のうち、Cは0.5〜0.8%、Mnは8〜14.6%、Niは0.1%以下(0%を含まない)、Crは1.8〜3.0%に制御している。しかしこの非磁性鋼は、近年要求されている高強度化(特に高耐力)には十分に対応できておらず、未だ改善の余地があった。また、曲げ加工性についても考慮していなかった。
そこで本出願人は、高耐力と低透磁率を省合金で両立させ、曲げ加工性にも優れた非磁性鋼を特許文献2に提案している。この非磁性鋼は、各種成分組成を適切に制御した上で、特にC、Si、Mn、CrおよびNの含有量から定まるP値を所定以上にし、かつMn量を5.0〜12%の範囲とし、ミクロ組織の99面積%以上をオーステナイト組織としたものである。この文献には、上記非磁性鋼の製造方法として、化学成分を適切に調整した鋼を、溶製、鋳造、熱間圧延する工程において、特に熱間圧延条件(加熱温度、熱間圧延後の冷却速度)を適切に制御することが記載されている。具体的には、熱間圧延前の加熱温度を一定以上として合金成分を母相に完全に固溶させる一方で、該加熱温度を高くしすぎないことによって結晶粒の粗大化を抑制できること、また、熱間圧延後の所定温度範囲での冷却速度を所定以上にすることによって、炭化物等の析出を抑制することが記載されている。
特開2011−111666号公報 特開2012−107325号公報 特開2001−240942号公報
上記特許文献2では、室温で押し曲げ(3点曲げ)を行い、曲げ角度180°での破断の有無と、表面性状を確認することによって非磁性鋼の加工性を評価している。このように、従来の高Mn非磁性鋼では、常温での塑性加工を想定しており、例えば、冬期の寒冷地などで曲げ加工等を行うことは考慮していなかった。しかし−20℃程度の低温状態で曲げ加工を行うと、割れが発生するという問題が生じることが新たに判明し、低温での曲げ加工性の面で改善の余地があった。
高Mn非磁性鋼のオーステナイト相を低温領域まで安定化する技術として、例えば、特許文献3が知られている。この文献には、高Mn非磁性鋼板の極低温における透磁率は、Mnを増量させることよってオーステナイト相をより一層安定させて一段と低くできることが記載されており、Mnを26.0〜30.0%、Crを5.0〜10.0%含有する極低温用高Mn非磁性鋼継目無鋼管が開示されている。MnやCrなどの合金元素を添加することによってオーステナイト相の安定領域を拡大することは、部品成形後の使用環境中で非磁性を維持するのに有効に作用することが期待できるが、その一方で、素材の延性低下を招き、塑性加工時におけるマイクロクラックの抑制や加工誘起マルテンサイトの抑制には充分な効果を発揮できず、低温での曲げ加工性を低下させる可能性があった。即ち、この文献で提案されている極低温用高Mn非磁性鋼継目無鋼管は、超電導マグネットの巻枠など、例えば液体ヘリウム温度(4.2K)のような極低温環境下で電磁応力にさらされる部品を想定したものであり、鋼管形状に成形される際の歪み量は小さく、例えば鉄筋のように曲げ加工や冷間鍛造により部品形状に成形されるときに導入される歪み量の大きい塑性変形を想定したものではなかった。
ところで上記特許文献2に記載されているように、熱間圧延後の鋼表面には酸化スケールが生成しており、鋼部分の表層部には脱炭層が形成される。脱炭層が存在している非磁性鋼に曲げ加工を施すと、脱炭層を起点として割れが発生しやすくなる。この割れの発生は、常温で曲げ加工を施したときよりも、低温で曲げ加工を施したときの方が顕著になる。そのため曲げ加工したときの割れ発生を防止するには、脱炭層を切削加工等により除去するのが望ましい。しかし一方で脱炭層の除去にはコストがかかるため、熱間圧延ままで、鋼表面に酸化スケールが生成し、鋼部分の表層部に脱炭層が存在しているものをそのまま使用することが望まれている。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、高強度、高耐力および低透磁率を達成し、且つ常温での曲げ加工性に優れ、更に低温での曲げ加工性に優れており、しかも脱炭層が存在していても低温での曲げ加工性に優れた非磁性鋼を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記非磁性鋼の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するため鋭意検討を重ねてきた結果、オーステナイト相を安定化させる元素であっても適量値を超えて添加すると、加工硬化の増加に起因するマイクロクラックの発生や、粒界炭化物の生成に伴うオーステナイト相の安定化元素の欠乏を招き、オーステナイト相の延性が低下して特に低温での曲げ加工性が低下することが明らかとなった。そこで更に検討を重ねた結果、成分組成を適切に制御してオーステナイト相を安定化したうえで、オーステナイト組織の面積率を99.0%以上とし、オーステナイト結晶粒度番号を8.0〜10.5とすれば、高強度、高耐力および低透磁率を達成でき、更には常温での曲げ加工性も改善でき、しかも低温での曲げ加工性も改善できることを見出した。
また、鋼部分の表面に脱炭層が存在すると、表面のC量が減るため、オーステナイト相が不安定となるが、表面にCの代わりにNを所定量以上含有させれば、鋼部分の表面に脱炭層が存在していても、低温での曲げ加工性を改善できることが明らかとなった。そこで更に検討を重ねた結果、脱炭層における平均N量を0.05%以上とすれば、脱炭層が存在していても低温での曲げ加工性を改善できることを見出した。
即ち、上記課題を解決することのできた本発明に係る低温曲げ加工性に優れた非磁性鋼とは、C:0.8〜1.2%(質量%の意味。以下、化学成分について同じ。)、Si:0.1〜0.6%、Mn:13%超、20%以下、Al:0.001%以上、0.02%未満、P:0.040%以下(0%を含まない)、S:0.045%以下(0%を含まない)およびN:0.025〜0.05%を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなり、ミクロ組織の99.0面積%以上がオーステナイト組織で、オーステナイト結晶粒度番号が8.0〜10.5である鋼であり、母材に含まれるC量に対する差で0.05%以上C量が減少している領域を脱炭層としたとき、該脱炭層における平均N量が0.05%以上である点に要旨を有している。
上記脱炭層の厚みは0.15mm未満で、且つ該脱炭層における平均C量は0.40%以上であることが好ましい。
上記非磁性鋼は、更に、
(a)Cr:1.5%以下(0%を含まない)、
(b)Cu:0.1%以下(0%を含まない)およびNi:0.1%以下(0%を含まない)の少なくとも1種、
(c)B:0.006%以下(0%を含まない)、
(d)V:0.2%以下(0%を含まない)、
等の元素を含有してもよい。
本発明に係る上記非磁性鋼は、上述した成分組成を満足する鋼材を、酸素ガス濃度が1.5〜4.0体積%である酸化性雰囲気下、1000〜1250℃の範囲の加熱温度T(℃)で加熱し、下記式(1)で表されるZ値が1800〜2300となるように保持した後、熱間圧延し、仕上げ圧延後の750〜500℃の温度域における平均冷却速度を100℃/分以上として冷却することによって製造できる。下記式(1)中、tは加熱温度T(℃)における保持時間(分)を意味する。
Z値=T×log(t) ・・・(1)
本発明によれば、オーステナイト安定化元素として作用するC、Si、Mn、Nを適切に制御したうえで、ミクロ組織の99.0面積%以上をオーステナイト組織とし、オーステナイト結晶粒度番号を所定の範囲に制御しているため、非磁性相であるオーステナイト相の延性を損なうことなく、低温でもオーステナイト相を安定化させることができる。その結果、高強度、高耐力および低透磁率を達成でき、更には常温での曲げ加工性が良好で、しかも低温での曲げ加工性にも優れた非磁性鋼を提供できる。また、脱炭層における平均N量を所定値以上に制御しているため、脱炭層が存在していても低温での曲げ加工性に優れた非磁性鋼を提供できる。
図1は、グリーブル試験に用いた試験片の形状を示す模式図である。 図2は、グリーブル試験におけるヒートパターンを示す模式図である。 図3は、鋼部分の最表面から深さ方向に向けて測定したN量のプロファイルの一例である。 図4は、鋼部分の最表面から深さ方向に向けて測定したC量のプロファイルの一例である。
本発明に係る非磁性鋼は、Cを0.8〜1.2%、Siを0.1〜0.6%、Mnを13%超、20%以下、Alを0.001%以上、0.02%未満、Pを0.040%以下(0%を含まない)、S:0.045%以下(0%を含まない)およびNを0.025〜0.05%の範囲で含有している。このような範囲を規定した理由は次の通りである。
Cは、非磁性相であるオーステナイト相の安定化に有効な元素であり、0.8%を下回ると、非磁性特性が損なわれる。また、常温または低温で曲げ加工したときにオーステナイト相が不安定となり、曲げ加工部に加工誘起マルテンサイトが生成して割れを発生する。従ってC量は0.8%以上と定めた。C量は、好ましくは0.83%以上であり、より好ましくは0.85%以上である。しかしC量が過剰になると粗大な炭窒化物が生成するため、非磁性特性の低下および靭性の劣化を招く。また、オーステナイト相の加工硬化性を増大させ、鍛造性や被削性が大幅に低下する。従ってC量は1.2%以下と定めた。C量は、好ましくは1.1%以下であり、より好ましくは1.0%以下である。
Siは、溶製時に脱酸剤として作用し、またオーステナイトがマルテンサイトに変態する温度(Ms点)を下げる効果を有することから、Crを代替するオーステナイト相安定化元素として有効である。またオーステナイト相の固溶強化元素として作用し、0.2%耐力の向上にも寄与する元素である。そこで本発明では、Si量は0.1%以上と定めた。Si量は、好ましくは0.15%以上であり、より好ましくは0.2%以上である。しかしSi量が過剰になると熱間加工性を損ない、鋼材の製造性が大幅に低下するとともに、脱炭層の生成を招き、比透磁率が増加する。また、過剰に添加すると、鋼材の積層欠陥エネルギーが減少し、延性低下に伴い常温での曲げ加工性および低温での曲げ加工性の悪化を招く。従ってSi量は0.6%以下と定めた。Si量は、好ましくは0.50%以下であり、より好ましくは0.4%以下である。
Mnは、オーステナイト相形成元素として重要な元素であり、常温での曲げ加工性および低温での曲げ加工性を改善するために必要な元素である。そこで本発明では、Mn量は、13%超とし、好ましくは13.5%以上、より好ましくは14.0%以上とする。しかしMnを過剰に含有させると、Mn3P化合物や粗大なMnSが粒界に析出して熱間延性が著しく低下し、鋼材の製造性が著しく悪化する。また、εマルテンサイト変態が生じやすくなるため、曲げ加工時における亀裂発生源の増加に繋がり、割れが発生する。従ってMn量は20%以下と定めた。Mn量は、好ましくは18.0%以下であり、より好ましくは16.0%以下である。
Alは、オーステナイト中のCの拡散速度を低減し、熱間圧延時における表層脱炭による悪影響を軽減する作用を有している。こうした作用を発揮させるため本発明では、Al量は0.001%以上とする必要があり、好ましくは0.002%以上、より好ましくは0.003%以上とする。しかしAl量が過剰になると、オーステナイト相の安定化に有効な固溶NがAlNとして析出するため、オーステナイト相が不安定となり、比透磁率が高くなる。またAlは、マルテンサイト変態が開始する温度(Ms点)を高める作用を有しているため、曲げ加工部に加工誘起マルテンサイトが生成し、特に低温曲げ加工性を改善できない。従ってAl量は0.02%未満と定めた。Al量は、好ましくは0.015%以下であり、より好ましくは0.010%以下である。
Pは、不可避不純物であり、過剰に含有すると、Mn3Pがオーステナイト粒界に析出し、熱間加工性が著しく低下するため鋼材の製造性が悪くなる。また、鋼材の溶接性や曲げ加工性も損なう。従ってP量は極力低減することが望ましいが、経済性を考慮して、0.040%以下とする。P量は、好ましくは0.035%以下、より好ましくは0.030%以下である。P量は極力低減することが望ましく、下限は特に限定されないが、通常0.003%程度である。
Sは、不可避不純物であり、過剰に含有すると、熱間加工性が著しく低下するため鋼材の製造性が悪くなる。また、熱間圧延後にMnSとして析出すると、オーステナイト相の安定化に有効な固溶Mnを減少させるため、比透磁率が高くなる。従ってS量は極力低減することが望ましいが、経済性を考慮して、0.045%以下とする。S量は、好ましくは0.03%以下であり、より好ましくは0.015%以下、特に好ましくは0.010%以下である。S量は極力低減することが望ましく、下限は特に限定されないが、通常0.001%程度である。
Nは、Cと同様にオーステナイト相の安定化に有効な元素であり、高強度化にも有効に作用する。N量が0.025%を下回ると、曲げ加工時に加工誘起マルテンサイトが生成しやすくなり、常温での曲げ加工および低温での曲げ加工の両方で、曲げ部に割れが発生する。そこでN量は0.025%以上と定めた。N量は、好ましくは0.028%以上、より好ましくは0.030%以上である。しかしN量が過剰になると、鋼中にブローホール等の欠陥が生成しやすくなり、鋼材の製造性が著しく低下する。また、曲げ加工性や冷間加工性の低下をもたらす。従ってN量は0.05%以下とし、好ましくは0.045%以下、より好ましくは0.04%以下とする。
上記非磁性鋼の残部は、鉄およびP、S以外の不可避不純物である。
上記非磁性鋼は、更に、(a)Cr、(b)CuおよびNiの少なくとも1種、(c)B、(d)V、を含んでもよい。
(a)Cr:1.5%以下(0%を含まない)
Crは、オーステナイト相の安定化に有用な元素である。また、微細炭化物を析出してこれが分散することで、0.2%耐力の向上にも有効である。こうした作用を有効に発揮させるには、Crは0.2%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.3%以上、更に好ましくは0.4%以上である。しかしCrを1.5%を超えて含有させても0.2%耐力向上効果は飽和する。また、過剰に含有すると、δフェライト相や粗大な炭化物が生成し易くなり、0.2%耐力が却って低下する。また、非磁性特性や、常温および低温における曲げ加工性も低下する。従ってCr量は1.5%以下とすることが好ましく、より好ましくは1.3%以下、更に好ましくは1.0%以下である。
(b)Cu:0.1%以下(0%を含まない)およびNi:0.1%以下(0%を含まない)の少なくとも1種
CuおよびNiは、オーステナイト相の安定化に寄与する元素であり、靭性の向上にも作用する。CuとNiは、単独で使用または併用できる。こうした作用を有効に発揮させるには、Cu、Niともに、0.01%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.03%以上である。しかしCuを0.1%を超えて過剰に含有すると、熱間加工性が著しく低下するため鋼材の製造性が悪くなる。従ってCu量は0.1%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.09%以下、更に好ましくは0.08%以下である。一方、Niを0.1%を超えて過剰に含有すると、オーステナイト相を過剰に安定化して0.2%耐力を低下させる。従ってNi量は0.1%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.09%以下、更に好ましくは0.08%以下である。
(c)B:0.006%以下(0%を含まない)
Bは、オーステナイト組織の粒界強度を高め、鋼材の製造性を改善するのに有用な元素である。こうした作用を有効に発揮させるには、B量は0.0010%以上であることが好ましく、より好ましくは0.0011%以上、更に好ましくは0.0012%以上である。しかし過剰に含有すると、Fe2Bがオーステナイト粒界に沿って析出し、粒界強度が低下して鋼材の製造性が悪化する。また、0.2%耐力が低下すると共に、常温および低温における曲げ加工性が劣化する。従ってB量は0.006%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.005%以下、更に好ましくは0.004%以下である。
(d)V:0.2%以下(0%を含まない)
Vは、炭化物生成元素であり、0.2%耐力の向上に有効に作用する元素である。また、V炭化物は、結晶粒内と粒界の双方に析出するため、結晶粒界の炭化物残存に伴う粒界強度低下の影響を軽減できる。こうした作用を有効に発揮させるには、Vは0.02%以上含有することが好ましく、より好ましくは0.03%以上、更に好ましくは0.04%以上である。しかし過剰に含有すると、熱間加工性が著しく低下するため鋼材の製造性が悪くなる。従ってV量は0.2%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下、更に好ましくは0.08%以下である。
本発明に係る非磁性鋼は、上記成分組成を満足したうえで、ミクロ組織の99.0面積%以上がオーステナイト組織である。オーステナイト組織の面積率を99.0%以上とすることによって、非磁性特性を確保できる。即ち、オーステナイト組織の面積率が99.0%未満となり、例えば粒界炭化物が過剰に生成すると、常温での曲げ加工性および低温での曲げ加工性が劣化する。そこで本発明では、オーステナイト組織の面積率は99.0%以上とし、好ましくは99.5%以上、より好ましくは99.9%以上、最も好ましくは100.0%である。
上記オーステナイト結晶粒度番号は、8.0〜10.5である。オーステナイト結晶粒度番号が8.0を下回ると、引張強度および0.2%耐力を確保できず、また粒界強度が低下し、常温および低温での曲げ加工性が劣化する。そこで本発明では、結晶粒度番号は、8.0以上とし、好ましくは8.3以上、より好ましくは8.5以上である。しかし結晶粒度番号が大きくなり過ぎるとオーステナイト相が微細化し過ぎるため、炭化物の生成核となる結晶粒界の面積が増加して熱間圧延後の冷却時に粒界炭化物が生成しやすくなり、低温曲げ加工性が低下する。従って結晶粒度番号は、10.5以下とし、好ましくは10.0以下、より好ましくは9.5以下である。
ミクロ組織に占めるオーステナイト組織の面積率および結晶粒度番号の算出方法は、後述する実施例の項で説明する。
本発明に係る非磁性鋼は、母材に含まれるC量に対する差で0.05%以上C量が減少している領域を脱炭層としたとき、該脱炭層における平均N量が0.05%以上である。脱炭層における平均N量を0.05%以上とすることによって、脱炭層におけるオーステナイトを安定化させることができるため、鋼の表面に脱炭層が存在していても曲げ加工したときに脱炭層を起点とする割れは発生しなくなる。即ち、鋼の表面に脱炭層が形成されると、表面のC量が減少し、オーステナイト相が不安定となる。そこで本発明では、鋼表面におけるオーステナイト相を安定化させるために、該表面に所定量以上のNを存在させている。Nを存在させることで、オーステナイト相が安定化するため、曲げ加工したときに割れが発生するのを防止できる。こうした効果は、常温で曲げ加工を行ったときに享受できる他、低温で曲げ加工を施しても発揮される。上記平均N量は、0.055%以上であることが好ましく、より好ましくは0.060%以上である。上記平均N量の上限は特に限定されないが、好ましくは0.200%以下、より好ましくは0.150%以下である。
上記鋼部分の表面に存在する脱炭層は、厚みが0.15mm未満であり、且つ該脱炭層における平均C量は0.40%以上であることが好ましい。即ち、上記脱炭層における平均N量を所定値以上としても脱炭層が厚過ぎると、曲げ加工したときに割れが発生するのを防止することは困難となる。そこで脱炭層の厚みは0.15mm未満であることが好ましく、より好ましくは0.14mm以下、更に好ましくは0.10mm以下である。脱炭層の厚みは0mmであることが最も好ましいが、通常、0.05mm程度は生成している。なお、上記脱炭層とは、母材に含まれるC量に対する差で、C量が0.05%以上減少している領域を意味している。
上記脱炭層における平均C量は、0.40%以上であることが好ましく、より好ましくは0.50%以上、更に好ましくは0.60%以上である。上記平均C量の上限は特に限定されないが、好ましくは(母相のC量−0.10%)以下であり、より好ましくは(母相のC量−0.06%)以下である。
上記脱炭層における平均N量および平均C量を測定する方法、並びに上記脱炭層の厚みを測定する方法は、後述する実施例の項で説明する。
次に、本発明に係る非磁性鋼の製造方法について説明する。本発明に係る非磁性鋼は、上述した成分組成を満足する鋼材を常法に従って溶解、鋳造した後、酸素ガス濃度が1.5〜4.0体積%である酸化性雰囲気下、1000〜1250℃の範囲の加熱温度T(℃)で加熱し、下記式(1)で表されるZ値が1800〜2300となるように保持した後、熱間圧延し、仕上げ圧延後の750〜500℃の温度域における平均冷却速度を100℃/分以上として冷却することによって製造できる。下記式(1)中、tは加熱温度T(℃)における保持時間(分)を意味する。
Z値=T×log(t) ・・・(1)
以下詳述する。
(加熱温度T:1000〜1250℃)
加熱温度Tを1000℃以上とすることによって、合金成分を母相に完全に固溶させることができ、且つ鋳造後の冷却過程で生成した粒界炭化物を再固溶させることができるため、オーステナイト組織を確保できる。加熱温度Tは、好ましくは1050℃以上であり、より好ましくは1060℃以上である。しかし加熱温度Tが1250℃を超えると、加熱コストの経済性低下に加え、Mn系化合物の粒界析出とオーステナイト結晶粒の粗大化を招き、高温延性の低下と低温曲げ加工性の著しい低下を招く。従って加熱温度Tは1250℃以下とし、好ましくは1200℃以下、より好ましくは1150℃以下とする。
(Z値:1800〜2300)
本発明では、加熱温度Tを上記範囲に制御したうえで、該加熱温度T(℃)と、該加熱温度Tにおける保持時間t(分)に基づいて算出されるZ値が1800〜2300の範囲となるように加熱温度Tと保持時間tを制御する必要がある。上記Z値は、本発明者らが種々の実験を繰り返して設定したパラメータである。
上記Z値を1800〜2300の範囲に制御することによって、粒界脆化や熱間圧延後の脱炭を抑制したうえで、鋳造時に生成した粒界炭化物を再固溶させることができる。即ち、Z値が1800を下回ると、上記粒界炭化物の再固溶が不充分となり、オーステナイト組織を所定量以上確保できず、比透磁率が低下する。また、炭化物が粒界に多く生成し、0.2%耐力が低下する。また、粒界炭化物が多く生成することにより、オーステナイト組織を安定化させるのに寄与する固溶C量が減少するため、常温で曲げ加工したとき、および低温で曲げ加工したときの両方において、曲げ加工部に加工誘起マルテンサイトが生成して亀裂発生の原因となり、割れが発生する。従って上記Z値は1800以上とする必要があり、好ましくは1900以上、より好ましくは2000以上である。しかし上記Z値が2300を超えると、オーステナイト組織の生成量を確保できないため、非磁性特性が劣化する。また、熱間圧延後に脱炭を生じ、引張強度および0.2%耐力が目標未達成となる。また、粒界脆化を起こし、靭性が低下するため、特に低温で曲げ加工したときに割れが発生する。従って上記Z値は2300以下とする。Z値は、好ましくは2250以下、より好ましくは2200以下である。
なお、上記Z値は、上記加熱温度T(℃)として、保持期間中における平均温度を上記式(1)に代入して算出すればよい。
(加熱雰囲気)
上記加熱温度Tでの加熱は、酸素ガス濃度が1.5〜4.0体積%である酸化性雰囲気下で行う必要がある。加熱雰囲気における酸素ガス濃度が1.5体積%を下回ると、鋼表面は殆ど酸化されず、酸化スケールは殆ど形成されない。その反面、鋼表面では脱炭が起こり、鋼表面からの脱窒素も生じる。そのため脱炭層における平均N量を所定値以上に制御できず、脱炭層が存在した状態での低温曲げ性を改善できない。そこで本発明では、加熱雰囲気における酸素ガス濃度を1.5体積%以上とし、好ましくは1.8体積%以上、より好ましくは2.0体積%以上とする。しかし加熱雰囲気における酸素ガス濃度が高くなり、4.0体積%を超えると、鋼表面に形成される酸化スケールが厚くなり過ぎ、鋼表面に存在しているNが酸化スケールに吸収される。その結果、脱炭層におけるN量を所定値以上に制御できず、脱炭層が存在した状態での低温曲げ加工性を改善できない。従って本発明では、加熱雰囲気における酸素ガス濃度を4.0体積%以下とし、好ましくは3.5体積%以下、より好ましくは3.0体積%以下とする。
上記加熱雰囲気に含まれる水素ガスは、2体積%以下であることが好ましい。加熱雰囲気に含まれる水素ガス量が増加すると、熱間圧延後に割れが発生したり、加工誘起変態の核となる積層欠陥が生成しやすくなる。従って本発明では、上記加熱雰囲気に含まれる水素ガスは、2体積%以下であることが好ましく、より好ましくは1体積%未満、更に好ましくは0.5体積%未満、最も好ましくは0体積%である。
(熱間圧延)
上記Z値が1800〜2300を満足するように保持した後、常法に従って熱間圧延を行う。オーステナイト組織は、熱間圧延終了後、室温まで維持されるため、組織変態の観点からは、熱間圧延時における仕上げ圧延温度は特に限定されないが、粒界炭化物の生成を抑制すると共に、圧延ロールへの負荷を低減するため、仕上げ圧延温度は800℃以上とすることが好ましい。仕上げ圧延温度は、より好ましくは850℃以上である。上限も特に限定されないが、例えば、900℃である。
仕上げ圧延後に冷却するに際して、本発明では、750〜500℃の温度域における平均冷却速度を100℃/分以上として冷却する必要がある。高Mn非磁性鋼におけるオーステナイト相は、準安定相であるため、700〜500℃の温度域で一定時間以上保持すると、粒界炭化物が析出してオーステナイト組織の生成量を確保できず、非磁性特性が低下する。また、粒界炭化物が析出することにより、曲げ加工性(特に、低温での曲げ加工性)を改善できない。よって仕上げ圧延後における750〜500℃の温度域における平均冷却速度は100℃/分以上とする。平均冷却速度は、好ましくは110℃/分以上であり、より好ましくは120℃/分以上である。上限は特に限定されないが、通常、180℃/分程度である。
500℃まで冷却した後は、常法に従って冷却すればよく、例えば、室温まで冷却すればよい。
本発明に係る非磁性鋼は、強磁界にさらされるリニアモーターカーや発電・送電設備などの構造部材、微弱磁界が問題となる医療設備などの構造部材、または電磁制御部品の非磁性部を構成する材料等に用いることができる。また、本発明の非磁性鋼は、熱間圧延して得られたままの状態(熱間圧延まま)で、コンクリートに埋め込んで鉄筋として用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限を受けるものではなく、前記および後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記表1に示す成分組成(残部は、鉄およびP、S以外の不可避不純物)の鋼を150kg真空炉で溶製し、得られた鋼塊を鍛伸加工してφ20mm×1mの線材と、155mm×155mmの角材を製造した。
まず、上記線材(φ20mm×1m)を用いてグリーブル試験を行い、製造性を評価した。具体的には、上記φ20mm×1mmの線材から、図1に示す試験片を採取し、富士電波工機製の加工フォーマスター試験機で熱間引張試験を行った。
試験条件は、連続鋳造を模擬して図2に示すヒートパターンで行った。即ち、平均昇温速度10℃/秒で1300℃に加熱し、この温度で5分間保持した後、平均冷却速度5℃/秒で所定の試験温度T1まで冷却し、この試験温度T1で2分間保持した。保持後、引張速度を0.01mm/秒として絞り値を測定し、破断後、ガス急冷した。試験温度T1は、700℃、800℃、900℃、1000℃および1100℃の5水準とした。
上記5水準の試験温度全てにおいて、絞り値が20%以上であった場合を製造性が良好(合格)と評価し、下記表2のグリーブル絞りの欄に○印を示し、実機設備において量産性を有すると判断した。一方、上記5水準のうち少なくとも一つの試験温度において絞り値が20%未満であった場合は製造性が悪い(不合格)と評価し、下記表2のグリーブル絞りの欄に×印を示し、実機設備において量産できないと判断した。グリーブル試験における絞り値が20%未満であった場合は、以降の試験は行わなかった。
製造性が良好(合格)と評価されたものについて、上記φ20mm×1mの線材とは別に製造した155mm×155mmの角材を用い、以下の試験を行った。即ち、155mm×155mmの角材をダミービレットに溶接した後、下記表2に示す加熱温度T(℃)に加熱し、この温度で下記表2に示す保持時間t(分)保持し、仕上げ圧延温度を875℃として熱間圧延してφ16mmの線材とし、冷却コンベア上で500℃以下に冷却した後、コイル状に巻き取って室温まで冷却した。上記加熱温度T(℃)で保持する際の雰囲気は、下記表2に示す量の酸素ガス(体積%)および水素ガス(体積%)を含有し、残部は非酸化性ガス(窒素ガス、CO2ガスなど)の雰囲気とした。
下記表2には、加熱温度Tと保持時間tに基づいて算出したZ値(=T×log(t))および750〜500℃の温度域における平均冷却速度(℃/分)を示す。なお、下記表2に示した加熱温度Tは、保持期間における平均温度を意味している。
冷却して得られたコイル状のφ16mmの線材表面には、酸化スケールが付着していた。得られた線材について、以下の方法でミクロ組織の同定、オーステナイト分率、オーステナイトの結晶粒度を測定した。なお、得られた線材の一部は、酸化スケールが付着したまま保存しておいた。
(ミクロ組織の同定およびオーステナイト面積率)
上記線材(φ16mmの線材)を、横断面を露出させた状態で支持基材内に埋め込み、研磨後、ナイタール液に浸漬して腐食させた後、光学顕微鏡でD/4位置(Dは直径)を観察倍率100倍および400倍で撮影し、炭化物などの析出物の有無を調べると共に、ミクロ組織の同定を行った。ナイタール液で腐食することによって、炭化物などの析出物の有無以外に、オーステナイトの結晶粒界や双晶、マルテンサイト組織がその形状と色調から判定できる。
オーステナイト組織の分率は、上記観察倍率100倍で撮影した写真を用い、炭化物などの析出物の面積率と、マルテンサイト組織の面積率との合計面積率を100%から引いた値とした。上記オーステナイトの結晶粒界や双晶は、低温曲げ加工性には悪影響を及ぼさず、また目視にて炭化物などの析出物とマルテンサイトとは区別できるため、オーステナイトの結晶粒界や双晶の面積率は、画像解析による色調変化に基づいて予め除去した。なお、オーステナイトの結晶粒界と粒界炭化物との区別が難しい場合には、判断の参考として上記観察倍率400倍で撮影した写真を用いた。
また、観察倍率100倍で撮影した写真では同定できない粒径が0.2μm以下の微細析出物は、曲げ加工性に悪影響を及ぼさないため、オーステナイト組織の面積率を算出する際には無視した。
オーステナイト組織の面積率を算出した手順を具体的に説明すると次の通りである。まず、観察倍率100倍で撮影した写真をAdobe社製のPhotoshop(ver5.1)で開き、目視にてオーステナイトの結晶粒界や双晶、研磨疵、腐食時の汚れを同定し、これらを除去すべき部分とした。除去すべき部分と粒界炭化物との区別が難しい場合には、観察倍率400倍で撮影した写真を参考にした。次に、Photoshopの自動選択ツールで上記除去すべき部分の一部を選択し、連続した部分を自動選択させ、これを除去した。除去した後の残部が析出物等でないことを確認しながら、この工程を繰り返し、オーステナイトの結晶粒界、双晶、研磨疵、腐食時の汚れ等を除去した写真を作成した。得られた写真を画像解析により2値化して白黒写真とし、黒色で示される部分の面積率を炭化物などの析出物およびマルテンサイト組織の合計面積率と定めた。この合計面積率を100%から引いた値をオーステナイト組織の面積率とした。算出したオーステナイトの面積率(%)を下記表3、表4に示す。
(オーステナイトの結晶粒度番号)
オーステナイトの結晶粒度番号は、JIS G0551に従って上記ナイタール液に浸漬して腐食させた後のD/4位置を光学顕微鏡で4視野について測定し、測定した4視野の平均値を求めた。求めたオーステナイトの結晶粒度番号を下記表3、表4に示す。
次に、熱間圧延でコイル状に巻き取られた線材(φ16mm)をロール矯正機で直線矯正したもの(以下、直線矯正材という。)からJIS標準試験片を採取し、引張試験を行った。また、直線矯正材の磁気特性および曲げ加工性を評価した。なお、直線矯正材の表面に形成されているスケールおよび脱炭層は、引張試験、磁気特性の評価、曲げ加工性の評価に用いる試験片形状に加工した時点で除去されている。
(引張試験)
上記直線矯正材から、軸心が試験片の長手方向となるようにJIS 14A号試験片を採取し、JIS Z2241に従って引張強さおよび0.2%耐力を常温で測定した。引張強さおよび0.2%耐力の測定結果を下記表3、表4に示す。本発明では、JIS G3112に規定されているSD345に基づき、引張強さが490MPa以上で、0.2%耐力が345〜440MPaである場合を合格とし、引張強さまたは0.2%耐力の少なくとも一方が基準から外れる場合を不合格とした。
(磁気特性)
上記直線矯正材の磁気特性は、比透磁率に基づいて評価した。比透磁率は、上記直線矯正材から5mm角の立方体を採取し、振動試料型磁化自動測定装置(理研電子株式会社製BHV−3.5)を用いて測定した。比透磁率の測定結果を下記表3、表4に示す。本発明では、比透磁率が1.1未満の場合を「非磁性鋼」と評価し、比透磁率が1.1以上の場合を「磁性鋼」と評価した。
(曲げ加工性)
上記直線矯正材の曲げ加工性は、JIS Z2248に従って採取したφ14mmの2号試験片を用い、押し曲げ(3点曲げ)試験を行い、曲げ角度を180°としたときの破断(割れ)の有無と、表面性状を確認して評価した。押し曲げ試験は、20℃および−20℃の2基準で行った。破断がなく、表面性状に異常がなかった場合を合格(表3、表4に○印で示す。)、破断したか、或いは表面にしわ等の欠陥が観察された場合を不合格(表3、表4に×印で示す。)とした。本発明では、−20℃で試験したときに合格した場合を「低温曲げ加工性に優れる」と評価した。
なお、下記表3に示したNo.7、8については、−20℃における曲げ加工性は評価したが、引張強さおよび0.2%耐力は測定せず、また磁気特性および20℃における曲げ加工性も評価しなかった。
次に、上記押し曲げ試験を−20℃で行い、合格と判定された例(表3のNo.1〜8、15〜22、表4のNo.25、33)について、予め保存しておいた酸化スケール付き線材を準備し、以下の試験を行った。
酸化スケール部分と鋼部分との境界が観察できるように断面を露出させ、鋼部分の最表面から深さ0.20mm位置までの領域におけるN量とC量を0.002mm(2μm)間隔で鋼の内部方向に向かって測定した。N量とC量の測定には、日本電子株式会社製のJXA−8100EPMA装置を用い、加速電圧は15kV、照射電流は3×10-7Aとして測定した。鋼部分の最表面から深さ方向に向けて測定したN量のプロファイルの一例を図3に、C量のプロファイルの一例を図4に夫々示す。図3、図4は、いずれも下記表3に示したNo.15の結果を示している。
上記C量プロファイルを測定した結果に基づいて、脱炭層の厚みを次の手順で測定した。即ち、C量を測定した各位置において、母材に含まれるC量(即ち、下記表1に示したC量)との差を求めた。このときEPMA(Electron Probe MicroAnalyser:電子線マイクロアナライザ)での検出精度等によるばらつき影響を考慮して差が0.05%以上となる測定位置が3箇所以上連続しなくなった位置を抽出し、鋼部分の最表面からこの抽出した位置までを脱炭層と定義し、鋼部分の最表面からこの抽出した位置までの距離(深さ)を脱炭層の厚みとして測定した。また、脱炭層において測定されたN量とC量の結果に基づいて、脱炭層における平均N量および平均C量を算出した。脱炭層における平均N量、平均C量、脱炭層の厚みを下記表3、表4に示す。
次に、酸化スケールが付着したままの線材(φ16mm)を加工して得られた2号試験片を用い、上記と同じ条件で押し曲げ試験を行い、−20℃における低温曲げ加工性を評価した。評価結果を下記表3、表4に示す。
下記表3、表4から次のように考察できる。No.1〜6、15〜22は、いずれも本発明で規定している要件を満足する例であり、所望とする引張強さおよび0.2%耐力を有し、且つ比透磁率を所定値未満に低減したうえで、常温における曲げ加工性および低温における曲げ加工性を改善できることが分かる。また、熱処理ままで、表面に酸化スケールが付着し、鋼部分には脱炭層が存在している状態であっても、低温における曲げ加工性に優れていることが分かる。
一方、No.7〜14、23〜31、36、38、39は、いずれも本発明で規定している要件を満足しない例である。これらのうちNo.7〜14は、いずれも本発明で規定している製造条件を満足しない例である。No.7は、加熱温度Tでの保持を酸素ガス過多の雰囲気で行ったため、鋼表面に酸化スケールが過剰に生成した結果、鋼部分の表層における脱炭が大幅に進行するとともに、鋼部分の脱炭層における平均N量が0.05%を下回った。その結果、酸化スケールおよび脱炭層が存在したまま低温で曲げ加工を行うと、割れが発生した。
No.8は、加熱温度Tで保持したときの雰囲気に含まれる酸素ガス量が少な過ぎた例であり、鋼表面に酸化スケールが殆ど生成せず、鋼表面において脱窒素が生じたため、鋼部分の脱炭層における平均N量が0.05%を下回った。その結果、酸化スケールおよび脱炭層が存在したまま低温で曲げ加工を行うと、割れが発生した。
No.9は、加熱温度が高過ぎた例であり、オーステナイト組織の結晶粒度番号が7.5となり、結晶粒が粗大化したため、引張強さおよび0.2%耐力が目標未達成となった。また、Mn系化合物(例えば、Mn3PやMnSなど)が粒界に生成し、粒界強度が低下したため、20℃で曲げ加工したとき、および−20℃で曲げ加工したときの両方において割れが発生した。
No.10は、保持時間tが長く、加熱温度Tと保持時間tのバランスが悪かった例であり、Z値が2300を超えた。そのためオーステナイト組織の生成量を確保できなかった。また、Mn−P−S系化合物が生成して粒界脆化を起こしたり、熱間圧延後に脱炭を生じたため、引張強さおよび0.2%耐力が目標未達成となった。また、粒界脆化を起こしたため、靭性が低下し、−20℃で曲げ加工したときに割れが発生した。
No.11と12は、熱間圧延後、750〜500℃の温度域における平均冷却速度が本発明で規定する範囲を下回り、小さ過ぎた例である。その結果、炭化物が粒界に多く生成し、オーステナイト組織の生成量を確保できず、比透磁率が高くなった。また、炭化物が粒界に多く生成したため、0.2%耐力が目標未達成となった。また、粒界炭化物が多く生成することにより、オーステナイト組織を安定化させるのに寄与する固溶C量が減少したため、−20℃で曲げ加工したとき、曲げ加工部に加工誘起マルテンサイトが生成して亀裂発生の原因となり、割れが発生した。No.11については、20℃で曲げ加工したときにも割れが発生した。
No.13は、加熱温度Tと保持時間tのバランスが悪く、Z値が1800を下回った例である。そのため熱間圧延終了後においても炭化物が残存し、オーステナイト組織の生成量を確保できなかったため、比透磁率が高くなった。また、炭化物が粒界に多く生成したため、0.2%耐力が目標未達成となった。また、粒界炭化物が多く生成することにより、オーステナイト組織を安定化させるのに寄与する固溶C量が減少したため、20℃で曲げ加工したとき、および−20℃で曲げ加工したときの両方において、曲げ加工部に加工誘起マルテンサイトが生成して亀裂発生の原因となり、割れが発生した。
No.14は、加熱温度Tが低く、また加熱温度Tと保持時間tのバランスが悪く、Z値が1800を下回った例である。熱間圧延終了後においても炭化物が残存し、オーステナイト組織の生成量を確保できなかったため、比透磁率が高くなった。また、炭化物が粒界に多く生成したため、引張強さおよび0.2%耐力が目標未達成となった。また、粒界炭化物が多く生成することにより、オーステナイト組織を安定化させるのに寄与する固溶C量が減少したため、20℃で曲げ加工したとき、および−20℃で曲げ加工したときの両方において、曲げ加工部に加工誘起マルテンサイトが生成して亀裂発生の原因となり、割れが発生した。
No.23〜31、36、38、39は、いずれも本発明で規定している成分組成を満足していない例である。
No.23は、C量が多かった例であり、オーステナイト組織の生成量を確保できなかったため、比透磁率が高くなった。また、粒界炭化物が多く生成し、20℃で曲げ加工したとき、および−20℃で曲げ加工したときの両方で割れが発生した。No.24は、C量が少なかった例であり、比透磁率が高くなった。また、オーステナイト組織が不安定となり、20℃で曲げ加工したとき、および−20℃で曲げ加工したときの両方において曲げ加工部に加工誘起マルテンサイトが生成して割れが発生した。
No.25は、Si量が少なかった例であり、オーステナイト組織の強度が不足したため、0.2%耐力が目標未達成となった。No.26は、Si量が多かった例であり、熱間圧延時に脱炭層の生成を招き、比透磁率が高くなった。また、20℃で曲げ加工したとき、および−20℃で曲げ加工したときの両方において曲げ加工部に加工誘起マルテンサイトが生成して割れが発生した。
No.27は、Mn量が多かった例であり、Mn3P化合物や粗大なMnSが粒界に析出して熱間加工性が著しく悪くなり、鋼材の製造性が悪化した。No.28は、Mn量が少なかった例であり、オーステナイト組織が不安定となり、20℃で曲げ加工したとき、および−20℃で曲げ加工したときの両方において曲げ加工部に加工誘起マルテンサイトが生成して割れが発生した。No.29は、Mn量が少なかった例であり、比透磁率が高くなった。また、オーステナイト組織が不安定となり、−20℃で曲げ加工したときに曲げ加工部に加工誘起マルテンサイトが生成して割れが発生した。
No.30は、P量が多かった例であり、Mn3P化合物が粒界に析出して熱間加工性が著しく悪くなり、鋼材の製造性が悪化した。No.31は、S量が多かった例であり、MnSが粒界に析出して粒界脆化を起こし、熱間加工性が著しく悪くなり、鋼材の製造性が悪化した。
No.36は、Al量が多かった例であり、オーステナイト組織の安定化に寄与する固溶NがAlNとして析出したため、比透磁率が高くなった。また、Alは、マルテンサイト変態開始温度(Ms点)を高め、曲げ加工部に加工誘起マルテンサイトを生成させるため、特に−20℃で曲げ加工を行ったときに割れが発生し、低温曲げ加工性を改善できなかった。
No.38は、N量が少なかった例であり、オーステナイト組織が不安定となり、20℃で曲げ加工を行ったとき、および−20℃で曲げ加工を行ったときの両方で、曲げ加工部に誘起マルテンサイトが生成して割れが発生した。No.39は、N量が多かった例であり、鋼材中にブローホール等の欠陥が生成して鋼材の製造性が悪化した。
No.32〜35、37は、本発明で推奨する範囲を外れている参考例である。
No.32は、本発明で推奨する範囲を超えてCuを過剰に含有した例であり、熱間加工性が著しく悪くなり、鋼材の製造性が悪化した。No.33は、本発明で推奨する範囲を超えてNiを過剰に含有した例であり、オーステナイトが過度に安定化し、0.2%耐力が目標未達成となった。No.34は、本発明で推奨する範囲を超えてVを過剰に含有した例であり、炭化物が粒径に析出して粒界脆化を起こし、熱間加工性が著しく悪くなり、鋼材の製造性が悪化した。
No.35は、本発明で推奨する範囲を超えてCrを過剰に含有した例であり、粒界に粗大な炭化物が生成し、オーステナイト組織の生成量を確保できなかったため、比透磁率が高くなった。また、粗大な炭化物が粒界に生成したことによって、0.2%耐力が目標未達成となり、20℃で曲げ加工を行ったとき、および−20℃で曲げ加工を行ったときの両方で割れが発生した。
No.37は、本発明で推奨する範囲を超えてBを過剰に含有した例であり、Fe2Bがオーステナイト粒界に沿って析出し、粒界強度が低下したため、0.2%耐力が目標未達成になった。また20℃で曲げ加工を行ったとき、および−20℃で曲げ加工を行ったときの両方で割れが発生した。
Figure 0006185865
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Claims (7)

  1. C :0.8〜1.2%(質量%の意味。以下、化学成分について同じ。)、
    Si:0.1〜0.6%、
    Mn:13%超、20%以下、
    Al:0.001%以上、0.02%未満、
    P :0.040%以下(0%を含まない)、
    S :0.045%以下(0%を含まない)および
    N :0.025〜0.05%を含有し、
    残部が鉄および不可避不純物からなり、
    ミクロ組織の99.0面積%以上がオーステナイト組織で、
    オーステナイト結晶粒度番号が8.0〜10.5である鋼であり、
    母材に含まれるC量に対する差で0.05%以上C量が減少している領域を脱炭層としたとき、該脱炭層における平均N量が0.05%以上であることを特徴とする低温曲げ加工性に優れた非磁性鋼。
  2. 前記脱炭層の厚みが0.15mm未満であり、且つ
    前記脱炭層における平均C量が0.40%以上である請求項1に記載の非磁性鋼。
  3. 更に、Cr:1.5%以下(0%を含まない)を含む請求項1または2に記載の非磁性鋼。
  4. 更に、Cu:0.1%以下(0%を含まない)および
    Ni:0.1%以下(0%を含まない)の少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれかに記載の非磁性鋼。
  5. 更に、B:0.006%以下(0%を含まない)を含む請求項1〜4のいずれかに記載の非磁性鋼。
  6. 更に、V:0.2%以下(0%を含まない)を含む請求項1〜5のいずれかに記載の非磁性鋼。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載された非磁性鋼の製造方法であって、請求項1〜6のいずれかに記載された成分組成を満足する鋼材を、酸素ガス濃度が1.5〜4.0体積%である酸化性雰囲気下、1000〜1250℃の範囲の加熱温度T(℃)で加熱し、下記式(1)で表されるZ値が1800〜2300となるように保持した後、熱間圧延し、仕上げ圧延後の750〜500℃の温度域における平均冷却速度を100℃/分以上として冷却することを特徴とする低温曲げ加工性に優れた非磁性鋼の製造方法。
    Z値=T×log(t) ・・・(1)
    [上記式(1)中、tは加熱温度T(℃)における保持時間(分)を意味する。]
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