JP6185540B2 - 抗体及びイムノコンジュゲートとこれらの使用方法 - Google Patents
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Description
前立腺癌及び膀胱癌の治療では、癌のステージに応じて、癌組織の除去、放射線療法、化学療法、及び前立腺癌の場合アンドロゲンの遮断(例えばホルモン療法)のうちの一つ又は組み合わせが行われる。外科的療法又は放射線療法が、疾病の早期にある患者の生存率を有意に向上させる一方、進行した症例、特にホルモン除去後に腫瘍が再発した場合の治療の選択肢は非常に限られている。ホルモン療法を受ける患者の大部分は、アンドロゲン非依存性疾病を発症するに至る。現在のところ、手術又は化学療法の後で疾病が再発した前立腺癌患者、又は診断時に癌が既に転移している前立腺癌患者の20〜40%には有効な治療法が無い。化学療法は、特に高齢の患者に、毒性の副作用を有する。前立腺細胞腫への取り組みにおいて、特にアンドロゲン遮断に不応性の疾病の新形態の治療法を開発することが急ぎ必要とされている。
抗体に基づく治療法は、様々な癌に非常に有効であることが示されている。例えば、ハーセプチン(登録商標)及びリツキサン(登録商標)は(共に本出願人、サウスサンフランシスコ)は、それぞれ乳癌及び非ホジキンリンパ腫の治療に成功裏に使用されている。ハーセプチン(登録商標)は、ヒト上皮増殖因子レセプター2(HER2)癌原遺伝子の細胞外ドメインに選択的に結合する組換えDNA由来のヒト化モノクローナル抗体である。原発性乳癌の25〜30%でHER2タンパク質の過剰発現が観察される。リツキサン(登録商標)は、正常な及び悪性のBリンパ球の表面に見られるCD20抗原を対象とする、遺伝子的に操作されたキメラマウス/ヒトモノクローナル抗体である。これらの抗体は共にCHO細胞中において産生される。
C末端にフェニルアラニンを有するアウリスタチンE(MMAE)の変異体であるモノメチルアウリスタチンMMAF(米国特許第5767237号;米国特許第6124431号)は、MMAEより弱いが、モノクローナル抗体にコンジュゲートした場合により強いことが報告されている(Senter等, Proceedings fo the American Association for Cancer Research, Volume 45, Abstract Number 623, presented March 28, 2004)。アウリスタチンFフェニレンジアミン(AFP);MMAEのフェニルアラニン変異体は、フェニレンジアミンスペーサーにより1F6のC末端を介して抗CD70mAbである1F6に連結した(Law等, Proceedings of the American Association for Cancer Research, Volume 45, Abstract Number 625, presented March 28, 2004)。
本出願中のすべての文献の引用は、この文献が本出願の先行技術であることを認めるものではない。特許、特許出願及び刊行物を含む本明細書中で引用したすべての文献は、出典明記によってこれらの全体を援用する。
一態様では、STEAP−1に結合する抗体であって、図2Aに示すアミノ酸配列(配列番号6)を含む軽鎖可変ドメイン、又は図2Bに示すアミノ酸配列(配列番号9)を含む重鎖可変ドメインを含んでなる抗体が提供される。一態様では、STEAP−1に結合する抗体であって、図2Aに示すアミノ酸配列(配列番号6)を含む軽鎖可変ドメイン、又は図2Bに示すアミノ酸配列(配列番号9)を含む重鎖可変ドメインを含んでなる抗体が提供される。
一態様では、抗体は、配列番号6のアミノ酸配列に、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含んでなる。一実施態様では、抗体は配列番号6の軽鎖可変ドメインを含んでなる。
一態様では、細胞の表面に発現されるSTEAP−1に結合する抗体が提供される。一実施態様では、抗体は、ヒト又はマウスのSTEAP−1の領域内のエピトープに結合する。一実施態様では、細胞は哺乳類の細胞である。一実施態様では、細胞はヒト細胞である。一実施態様では、細胞は癌細胞である。一実施態様では、細胞は前立腺、肺又は大腸細胞である。一実施態様では、癌細胞は前立腺癌細胞である。別の実施態様では、細胞は原発性の前立腺癌、肺癌又は大腸癌の転移由来の細胞である。
ある実施態様では、前記いずれかの抗体はモノクローナル抗体である。一実施態様では、抗体は、Fab、Fab'-SH、Fv、scFv又は(Fab')2断片から選択される抗体断片である。一実施態様では、抗体はヒト化抗体である。一実施態様では、抗体はヒト抗体である。
一態様では、STEAP−1の発現増加と関係している細胞増殖性疾患を診断する方法であって、前記いずれかの抗体に試験細胞を接触させ、STEAP−1への抗体の結合を検出することによってSTEAP−1の発現レベルを決定し、そして、試験細胞によるSTEAP−1の発現のレベルをコントロール細胞によるSTEAP−1の発現のレベルと比較することを含み、コントロール細胞と比較して試験細胞によるSTEAP−1の発現レベルが高い場合に、STEAP−1の発現増加と関係する細胞増殖性疾患の存在が示される方法が提供される。一実施態様では、試験細胞は、前立腺増殖性疾患などの細胞増殖性疾患があると疑われる患者のものである。一実施態様では、細胞増殖性疾患は、限定するものではないが、前立腺癌を含む前立腺の細胞異常から選択される。一実施態様では、前記方法は、試験細胞(例えば、前立腺癌細胞など)の表面上のSTEAP−1の発現レベルを決定して、試験細胞の表面上のSTEAP−1の発現レベルをコントロール細胞(例えば、異常増殖する前立腺細胞以外の正常な前立腺細胞)、の表面上のSTEAP−1の発現レベルと比較することを含んでなる。
一態様では、血液又は血清中の可溶性STEAP−1を検出する方法であって、前立腺細胞増殖性疾患に罹っていることが疑われる哺乳動物の血液又は血清の試験試料を本発明の抗STEAP−1抗体と接触させ、そして、正常哺乳動物の血液又は血清のコントロール試料と比べて試験試料中の可溶性STEAP−1が増加していることを検出することを含む方法が提供される。ある実施態様では、検出する方法は、哺乳動物の血液又は血清中の可溶性STEAP−1の増加と関連する前立腺細胞増殖性疾患を診断する方法として有用である。
本発明の抗体は、反応基が例えばマレイミド、ヨードアセトアミド、ピリジルジスルフィド、又は他のチオール反応性のコンジュゲートパートナーである場合に、他のチオール反応性剤にコンジュゲートされもよい(Haugland, 2003, Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals, Molecular Probes, Inc.;Brinkley, 1992, Bioconjugate Chem. 3:2; Garman, 1997, Non-Radioactive Labelling: A Practical Approach, Academic Press, London;Means (1990) Bioconjugate Chem. 1:2;Hermanson, G. in Bioconjugate Techniques (1996) Academic Press, San Diego, pp. 40-55, 643-671)。パートナーは、細胞障害性剤(例えばドキソルビシン又は百日咳毒素などの毒素)、蛍光体、例としてフルオレセイン又はローダミンのような蛍光色素、造影又は放射線治療用金属のためのキレート剤、ペプチジル又は非ペプチジル標識又は検出用タグ、又は様々なアイソフォームのポリエチレングリコールなどのクリアランス-改善剤、第三成分に結合するペプチド、又は他の炭水化物又は親油性剤であってもよい。
ラジオアイソトープ(放射性核種)、例えば3H、11C、14C、18F、32P、35S、64Cu、68Ga、86Y、99Tc、111In、123I、124I、125I、131I、133Xe、177Lu、211At、又は213Bi。放射性同位体標識抗体は、レセプター標的撮像実験において有用である。抗体は、Immunology, Volumes 1 and 2, Coligen等, Ed. Wiley-Interscience, New York, New York, Pubs. (1991)のCurrent Protocolsに記載される技術を用いて、リガンド試薬が抗体の改変システインチオールと反応性がある場合に、キレートを結合するか、あるいはラジオアイソトープ金属と複合化する該リガンド試薬により標識することができる。金属イオンを複合化しうるキレートリガンドには、DOTA、DOTP、DOTMA、DTPA及びTETA(Macrocyclics, Dallas, TX)が含まれる。放射性核種は、本発明の抗体−薬剤コンジュゲートとの複合体化によりターゲティングされうる(Wu等 (2005) Nature Biotechnology 23(9): 1137-1146)。
造影実験のための抗体標識として好適な金属-キレート複合体は以下に開示される。米国特許第5342606号、米国特許第5428155号、米国特許第5316757号、米国特許第5480990号、米国特許第5462725号、米国特許第5428139号、米国特許第5385893号、米国特許第5739294号、米国特許第5750660号、米国特許第5834456号、Hnatowich等 (1983) J. Immunol. Methods 65:147-157;Meares等 (1984) Anal. Biochem. 142:68-78;Mirzadeh等 (1990) Bioconjugate Chem. 1:59-65;Meares等 (1990) J. Cancer1990, Suppl. 10:21-26;Izard等 (1992) Bioconjugate Chem. 3:346-350;Nikula等 (1995) Nucl. Med. Biol. 22:387-90;Camera等 (1993) Nucl. Med. Biol. 20:955-62;Kukis等 (1998) J. Nucl. Med. 39: 2105-2110;Verel等 (2003) J. Nucl. Med. 44: 1663-1670;Camera等 (1994) J. Nucl. Med. 21: 640-646;Ruegg等 (1990) Cancer Res. 50: 4221-4226;Verel等 (2003) J. Nucl. Med. 44: 1663-1670;Lee等 (2001) Cancer Res. 61: 4474-4482;Mitchell,等 (2003) J. Nucl. Med. 44: 1105-1112;Kobayashi等 (1999) Bioconjugate Chem. 10:103-111;Miederer等 (2004) J. Nucl. Med. 45: 129-137;DeNardo等 (1998) Clinical Cancer Research 4:2483-90;Blend等 (2003) Cancer Biotherapy & Radiopharmaceuticals 18:355-363;Nikula等 (1999) J. Nucl. Med. 40: 166-76;Kobayashi等 (1998) J. Nucl. Med. 39: 829-36;Mardirossian等 (1993) Nucl. Med. Biol. 20:65-74;Roselli等 (1999) Cancer Biotherapy & Radiopharmaceuticals, 14:209-20。
(i) 基質として水素ペルオキシダーゼを有する西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、ここで水素ペルオキシダーゼが染料前駆(例えば、オルソフェニレン(orthophenylene)ジアミン(OPD)又は3,3',5,5'テトラメチルのベンジジン塩酸塩(TMB))を酸化する;
(ii) 色素生産性基質としてリン酸パラグラフ-ニトロフェニルを有するアルカリホスファターゼ(AP);及び
(iii) 色素生産性基質(例えばp-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシダーゼ)又は蛍光発生基質4-メチルウンベリフェリル(methylumbelliferyl)-β-D-ガラクトシダーゼを有するβ-D-ガラクトシダーゼ(β-D-Gal)。
多数の他の酵素基質の組合せは当業者にとって利用可能である。これらの一般的な概要については、米国特許第4275149号及び同第4318980号を参照。
検出標識は、結合又は認識事象を局所化し、視覚化して、数量化するために有用となりうる。本発明の標識抗体は細胞表面レセプターを検出しうる。検出可能に標識した抗体についての他の使用は、蛍光標識抗体とビーズをコンジュゲートさせ、リガンド結合時の蛍光シグナルを検出することを含む、ビーズに基づく免疫キャプチャの方法である。同様の結合検出方法論は、表面プラスモン共鳴(SPR)効果を利用して抗体-抗原相互作用を測定して検出するものである。
蛍光色素及び化学発光色素などの検出標識(Briggs等 (1997) "Synthesis of Functionalised Fluorescent Dyes and Their Coupling to Amines and Amino Acids," J. Chem. Soc., Perkin-Trans. 1:1051-1058)は検出可能なシグナルを提供し、通常、好ましくは以下のような特性により標識化抗体に応用することができる。(i) 標識抗体は、少量の抗体が無細胞アッセイ及び細胞に基づくアッセイにおいて敏感に検出されるように低いバックグランドで非常に高いシグナルを産生するものである、さらに、(ii) 標識抗体は、有意に写真を退色させることなく蛍光シグナルが観察され、モニターされ、記録されるように、光安定性を有するものである。膜又は細胞表面、特に生きている細胞への標識抗体の細胞表面結合を伴う用途では、標識は、(iii) 有効なコンジュゲート濃度と検出感度が達成されるように良好な水溶性であり、(iv) 細胞の正常な代謝過程が破壊されないか、又は早期に細胞死を引き起こさないように生きている細胞に対して毒性がないことが好ましい。
十分近接した蛍光レポーターとクエンチャーの2つの成分にて標識されたペプチドとタンパク質は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を受ける。レポーター基は、一般的に、特定の波長で光に励起され、エネルギーをアクセプター又はクエンチャーに転移して、その結果、最大の明るさで発光するための適切なストークスシフトが生じる蛍光色素である。蛍光色素には、広範な芳香族性を有する分子、例としてフルオレセイン及びローダミン、ないしこれらの誘導体が含まれる。蛍光レポーターは、完全なペプチドのクエンチャー成分によって部分的あるいは有意に失活されうる。ペプチダーゼ又はプロテアーゼによるペプチドの切断時に、蛍光の検出可能な増加が測定されうる(Knight, C. (1995) "Fluorimetric Assays of Proteolytic Enzymes", Methods in Enzymology, Academic Press, 248:18-34)。
標識化試薬は、一般的に、(i) 標識抗体を形成するためにシステイン改変抗体のシステインチオールと直接、(ii) リンカー-標識中間生成物を形成するためにリンカー試薬と、又は(iii) 標識抗体を形成するためにリンカー抗体と、反応しうる反応官能基を保持する。標識試薬の反応性官能基には、マレイミド、ハロアセチル、ヨードアセトアミドスクシンイミジルエステル(例えば、NHS、N-ヒドロキシスクシンイミド)、イソチオシアネート、スルホニルクロリド、2,6-ジクロロトリアジニル、ペンタフルオロフェニルエステル、及びホスホラミダイトが含まれるが、他の官能基も用いられてよい。
一態様では、本発明の抗体はアルブミン結合タンパク質に融合される。血漿タンパク質結合は、生存が短い分子の薬物動態学的性質を向上させる有効な手段となりうる。アルブミンは血漿中で最も多いタンパク質である。血清アルブミン結合ペプチド類(ABP)は、組織取り込み、浸透及び拡散の変更を含む、融合した活性なドメインタンパク質の薬物動態を変えうる。これらの薬物動態学的パラメータは、適切な血清アルブミン結合ペプチド配列を特異的に選別することによって調製されうる(米国特許公開20040001827)。一連のアルブミン結合ペプチドは、ファージディスプレイスクリーニングによって同定された(Dennis等 (2002) "Albumin Binding As A General Strategy For Improving The Pharmacokinetics Of Proteins" J Biol Chem. 277:35035-35043;国際公開第01/45746号)。本発明の化合物には、(i) Dennis等 (2002) J Biol Chem. 277:35035-35043 at Tables III and IV, page 35038、(ii) 米国特許公開20040001827の[0076] 配列番号9から22、及び(iii) 国際公開第01/45746号の12〜13頁に示されるABP配列が含まれ、これらの文献はすべて出典明記によって本明細書中に援用される。アルブミン結合(ABP)-Fabは、例えば、1:1の化学量比(1ABP/1Fab)で、Fab重鎖のC末端にアルブミン結合ペプチドを融合させることによって作製した。アルブミンとのこれらABP-Fabの会合により、抗体の半減期がウサギ及びマウスの25倍以上に増加したことが示された。したがって、上記の反応性のCys残基をこれらABP-Fabに導入し、細胞障害性剤と部位特異的にコンジュゲートさせた後にインビボ動物実験に用いることができる。
例示的なアルブミン結合ペプチド配列には、以下に列挙する配列番号80から84のアミノ酸配列が含まれるが、これらに限定されるものではない。
CDKTHTGGGSQRLMEDICLPRWGCLWEDDF 配列番号80
QRLMEDICLPRWGCLWEDDF 配列番号81
QRLIEDICLPRWGCLWEDDF 配列番号82
RLIEDICLPRWGCLWEDD 配列番号83
DICLPRWGCLW 配列番号84
他の態様では、本発明は、化学療法剤、薬剤、増殖阻害剤、毒素(例えば、細菌、糸状菌、植物又は動物由来の酵素活性性毒素、又はその断片)、又は放射性同位体(すなわち放射性コンジュゲート)などの細胞毒性剤にコンジュゲートした抗体を含む、抗体−薬剤コンジュゲート(ADC)を提供する。他の態様では、本発明はさらに、イムノコンジュゲートの使用方法を提供する。一態様では、イムノコンジュゲートは、細胞障害性剤又は検出可能な薬剤に共有結合して付着した前記いずれかの抗STEAP−1抗体を含む。
細胞障害性又は細胞分裂停止性の薬剤、すなわち癌治療における腫瘍細胞を殺す又は阻害するための薬剤の局部運搬に抗体−薬剤コンジュゲートを用いると(Syrigos及びEpenetos (1999) Anticancer Research 19:605-614; Niculescu-Duvaz and Springer (1997) Adv. Drg Del. Rev. 26:151-172;米国特許第4,975,278号)、腫瘍への薬剤成分の標的とする運搬とそこでの細胞内集積が可能となるものであり、この非コンジュゲート薬物作用剤の全身性投与により正常細胞並びに除去しようとする腫瘍細胞への毒性が容認できないレベルとなりうる(Baldwin等, (1986) Lancet pp. (Mar. 15, 1986):603-05; Thorpe, (1985) 「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review,」 in Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, A. Pincheraら. (ed.s), pp. 475-506)。これによって、最小限の毒性で最大限の効果を求める。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体はこの方策に有用であるとして報告されている(Rowland等, (1986) Cancer Immunol. Immunother., 21:183-87)。この方法に用いる薬物には、ダウノマイシン、ドキソルビジン、メトトレキサート及びビンデジンが含まれる(Rowland等, (1986)、上掲)。抗体−毒素コンジュゲートに用いる毒素には、ジフテリア毒素などの細菌性毒素、ゲルダナマイシン(Mandlerら(2000) Jour. of the Nat. Cancer Inst. 92(19):1573-1581;Mandlerら(2000) Bioorganic & Med. Chem. Letters 10:1025-1028;Mandlerら(2002) Bioconjugate Chem. 13:786-791)、メイタンシノイド(EP 1391213;Liu等, (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623)、及びカリケアマイシン(Lode等, (1998) Cancer Res. 58:2928;Hinman等, (1993) Cancer Res. 53:3336-3342)などのリシン、小分子毒素などの植物毒が含まれる。該毒素は、チューブリン結合、DNA結合又はトポイソメラーゼ阻害を含む機能によりその細胞障害性及び細胞分裂停止性の効果に影響しうる。ある種の細胞障害性剤は、大きな抗体又はタンパク質レセプターリガンドにコンジュゲートした場合に、不活性又は活性が低減する傾向がある。
抗体のコンジュゲートと一又は複数の小分子毒素、例えばカリケアマイシン、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウロスタチン、トリコセン(trichothene)及びCC1065、及び毒性活性を有するこれらの毒素の誘導体が、ここで考察される。
いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは一又は複数のメイタンシノイド分子にコンジュゲートしている本発明の抗体(完全長又は断片)を含んでなる。
メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害するように作用する分裂阻害剤である。メイタンシンは、最初、東アフリカシラブMaytenus serrataから単離されたものである(米国特許第3896111号)。その後、ある種の微生物がメイタンシノイド類、例えばメイタンシノール及びC-3メイタンシノールエステルを生成することが発見された(米国特許第4151042号)。合成メイタンシノール及びその誘導体及び類似体は、例えば米国特許第4137230号;同4248870号;同4256746号;同4260608号;同4265814号;同4294757号;同4307016号;同4308268号;同4308269号;同4309428号;同4313946号;同4315929号;同4317821号;同4322348号;同4331598号;同4361650号;同4364866号;同4424219号;同4450254号;同4362663号;及び同4371533号に開示されている。
メイタンシノイド薬剤成分は、(i) 発酵又は化学修飾、発酵産物の誘導体化によって調製するために相対的に利用可能である(ii) 抗体に対する非ジスルフィドリンカーによる共役に好適な官能基による誘導体化に従う、(iii) 血漿中で安定、そして(iv) 様々な腫瘍細胞株に対して有効であるため、抗体薬剤コンジュゲートの魅力的な薬剤成分である。
例示的なメイタンシノイド薬剤部分には、修飾した芳香族環を有するもの、例えば、C−19−デクロロ(米国特許第4256746号)(アンサマイトシンP2のリチウムアルミニウム水素化物の還元によって調製される);C−20−ヒドロキシ(又はC−20−デメチル) +/−C−19−デクロロ(米国特許第4361650号及び同第4307016号)(ストレプトミセス属ないしはアクチノミセス属を用いた脱メチル化又はLAHを用いた脱塩素により調製される);及びC−20−デメトキシ、C−20−アシロキシ(−OCOR)、+/−デクロロ(米国特許第4294757号)(アシル塩化物を用いたアシル化により調製される)、及び他の位置に修飾を有するものが含まれる。
また、例示的なメイタンシノイド薬剤部分には、修飾を有するもの、例えば、C−9−SH(米国特許第4424219号)(H2S又はP2S5を有するメイタンシノールの反応により調製される);C−14−アルコキシメチル(デメトキシ/CH2 OR)(米国特許第4331598号);C−14−ヒドロキシメチル又はアシロキシメチル(CH2OH又はCH2OAc) (米国特許第4450254号);C−15−ヒドロキシ/アシロキシ(米国特許第4364866号)(ストレプトミセス属によるメイタンシノールの変換によって調製される);C−15−メトキシ(米国特許第4313946号及び同第4315929号)(トレウィア ヌドロフローラ(Trewia nudlflora)より単離);C−18−N−デメチル(米国特許第4362663号及び第4322348号)(ストレプトミセス属によるメイタンシノールの脱メチル化により調製される);及び、4,5−デオキシ(米国特許第4371533号)(メイタンシノールの三塩化チタン/LAH還元により調製される)が含まれる。
ここで、波線は、抗体−薬剤コンジュゲートのリンカー(L)への薬剤の硫黄原子の共有結合を示す。DM1に対してSMCCにより連結したハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)が報告されている(国際公開第2005/037992号、これは出典明記によって本明細書中にその全体が特別に援用される)。本発明の抗体薬剤コンジュゲートは本明細書中に開示した手順に従って調製されうる。
DM1が抗体のチオール基にBMPEOリンカーにより連結されている例示的な抗体−薬剤コンジュゲートは、以下のような構造及び略記号を有する。
ここで、Abは抗体であり、nは0、1又は2であり、そして、pは1、2、3又は4である。
例えば、米国特許第5208020号、同第6441163号又は欧州特許第0425235号B1、Chari等, Cancer Research, 52:127-131(1992)、及び米国特許公開第2005/0169933号A1(これらの開示内容は出典明記により特別に援用される)に開示されているもの等を含め、抗体-メイタンシノイドコンジュゲートを作製するために、当該技術で公知の多くの結合基がある。リンカー成分SMCCを含んでなる抗体-メイタンシノイドコンジュゲートは、2005年5月31日に出願の米国特許第11/141344号, "Antibody-drug conjugates and Methods."に開示されるように調製されうる。リンカーグループには、上述した特許に開示されているようなジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定性基、光不安定性基、ペプチターゼ不安定性基、又はエステラーゼ不安定性基が含まれる。更なるリンカーグループを本願明細書中に記載し、例示する。
リンカーは結合の種類に応じて、種々の位置でメイタンシノイド分子に結合し得る。例えば、従来からのカップリング技術を使用してヒドロキシル基と反応させることによりエステル結合を形成することができる。反応はヒドロキシル基を有するC-3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14位、ヒドロキシル基で修飾されたC-15位、及びヒドロキシル基を有するC-20位で生じる。好適な実施態様では、結合はメイタンシノール又はメイタンシノールの類似体のC-3位で形成される。
一実施態様では、本発明のいずれかの抗体(完全長又は断片)は一又は複数のメイタンシノイド分子にコンジュゲートされる。イムノコンジュゲートの一実施態様では、細胞障害性剤DはメイタンシノイドDM1である。イムノコンジュゲートの一実施態様では、リンカーは、SPDP、SMCC、IT、SPDP、及びSPPからなる群より選択される。
いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは、ドラスタチン又はドロスタチンペプチジル類似体及び誘導体、アウリスタチン(auristatin) (米国特許第5635483号;同第5780588号)にコンジュゲートした本発明の抗体を含んでなる。ドラスタチン及びアウリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解及び核と細胞の分割を妨げ(Woyke 等 (2001) Antimicrob. Agents and Chemother. 45(12): 3580-3584)、抗癌活性(米国特許第5663149号)及び抗真菌性活性(Pettit 等 (1998) Antimicrob. Agents Chemother. 42:2961-2965)を有することが示されている。ドラスタチン又はアウリスタチン薬剤成分は、ペプチジル薬剤分子のN(アミノ)末端又はC(カルボキシル)末端により抗体に接着しうる(国際公開第02/088172号)。
例示的なアウリスタチンの実施態様には、N末端連結モノメチルアウリスタチン薬剤部分DE及びDFを含み、2004年3月28日に公開されたSenter等, Proceedings of the American Association for Cancer Research, Volume 45, Abstract Number 623に開示される。この開示内容は出典明記によってその全体が特別に援用される。
例示的なアウリスタチンの実施態様はMMAFである(ここで、波形の線は抗体薬剤コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す)(米国特許公開2005/0238649)。
他の実施態様では、イムノコンジュゲートは、一又は複数のカリケアマイシン分子と結合した本発明の抗体を含んでなる。抗生物質のカリケアマイシンファミリーはサブ-ピコモルの濃度で二重鎖DNA破壊を生じることができる。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、米国特許第5712374号、同5714586号、同5739116号、同5767285号、同5770701号、同5770710号、同5773001号、同5877296号(全て、American Cyanamid Company)を参照のこと。使用可能なカリケアマイシンの構造類似体には、限定するものではないが、γ1 I、α2 I、α3 I、N-アセチル-γ1 I、PSAG及びθI 1(Hinman等, Cancer Research, 53:3336-3342(1993)、Lode等 Cancer Research, 58:2925-2928(1998)及び上述したAmerican Cyanamidの米国特許)が含まれる。抗体が結合可能な他の抗腫瘍剤は、葉酸代謝拮抗薬であるQFAである。カリケアマイシン及びQFAは双方共、細胞内に作用部位を有し、原形質膜を容易に通過しない。よって抗体媒介性インターナリゼーションによるこれらの薬剤の細胞への取込により、細胞障害効果が大きく向上する。
本発明の抗体と結合可能な他の抗腫瘍剤には、BCNU、ストレプトゾイシン、ビンクリスチン及び5-フルオロウラシル、米国特許第5053394号、同5770710号に記載されており、集合的にLL-E33288複合体として公知の薬剤のファミリー、並びにエスペラマイシン(esperamicine)(米国特許第5877296号)が含まれる。
使用可能な酵素活性毒及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa))、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、アレウライツ・フォルディイ(Aleurites fordii)プロテイン、ジアンシン(dianthin)プロテイン、フィトラッカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)プロテイン(PAPI、PAPII及びPAP-S)、モモルディカ・キャランティア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン、サパオナリア(sapaonaria)オフィシナリスインヒビター、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコセセンス(tricothecenes)が含まれる。例えば、1993年10月28日公開の国際公開第93/21232号を参照のこと。
本発明は、抗体と核酸分解活性を有する化合物(例えばリボヌクレアーゼ又はDNAエンドヌクレアーゼ、例えばデオキシリボヌクレアーゼ;DNアーゼ)との間に形成されるイムノコンジュゲートをさらに考察する。
放射-又は他の標識が、公知の方法でコンジュゲートに導入される。例えば、ペプチドは生物合成されるか、又は水素の代わりにフッ素-19を含む適切なアミノ酸前駆体を使用する化学的なアミノ酸合成により合成される。標識、例えばtc99m又はI123、Re186、Re188及びIn111は、ペプチドのシステイン残基を介して結合可能である。イットリウム-90はリジン残基を介して結合可能である。IODOGEN法(Fraker等(1978) Biochem. Biophys. Res. Commun. 80:49-57)は、ヨウ素-123の導入に使用することができる。他の方法の詳細は、「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」(Chatal, CRC Press 1989)に記載されている。
本発明の化合物は、限定するものではないが、架橋剤:市販されている(例えば、Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL., U.S.Aより)BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、及びスルホ-SMPB、及びSVSB (スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)安息香酸塩)にて調製したADCが特に考えられる。2003-2004 Applications Handbook and Catalogの467-498頁を参照。
本発明の抗体薬剤コンジュゲート(ADC)において、抗体(Ab)を、リンカー(L)を介して、一つ以上の薬剤部分(D)、例えば抗体につき約1〜約20の薬剤部分にコンジュゲートする。一実施態様では、抗体一つ当たりの薬剤部分(D)の数が約1〜約5であり、別の実施態様では約2〜約6であり、別の実施態様では約2〜約5であり、別の実施態様では約3〜約4である。抗体一つ当たりの薬剤部分(D)の数は通常、抗体薬剤コンジュゲートの集団に含まれる全てのコンジュゲートの平均値であるので、抗体一つ当たりの薬剤部分(D)の数は整数でない場合もある。式IのADCはいくつかの手段、当業者に公知の有機化学反応、状態及び試薬を用いて調製されうる:(1) 共有結合の後に薬剤部分Dと反応してAb-Lを形成するための、二価のリンカー試薬を用いた抗体の求核基の反応;及び(2) 共有結合の後に抗体の求核基と反応してD-Lを形成するための、二価のリンカー試薬を用いた薬剤部分の求核基の反応、が含まれる。ADCを調製するための更なる方法は本願明細書中に記載される。
リンカーは、一つ以上のリンカー成分から成ってもよい。例示的なリンカー成分は、6-マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、バリン-シトルリン(「val-cit」)、アラニン-フェニルアラニン(「ala-phe」)、p-アミノベンジルオキシカルボンイル(「PAB」)、N-スクシンイミジル4(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(「SPP」)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(「SMCC」)、及びN-スクシンイミジル(4-イオド-アセチル)アミノ安息香酸エステル(「SIAB」)を含む。一実施態様では、リンカーはバリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(「vc−PAB」)である。更なるリンカー成分は当分野で公知であり、そのいくつかは本願明細書において、記述される。
抗体、イムノグロブリン又はこれらの断片などの細胞を標的とするタンパク質へリンカー-薬剤成分をコンジュゲートするための方法は、例えば米国特許第5208020号、米国特許第6441163号、国際公開第2005037992号、国際公開第2005081711号、及び国際公開第2006/034488号に見られ、これらのすべては出典明記によって本明細書中に援用される。
更なる他の実施態様では、腫瘍の事前ターゲティングに利用するために、「レセプター」(例えばストレプトアビジン)に抗体をコンジュゲートし、ここで抗体-レセプターコンジュゲートを患者に投与し、続いて清澄剤を使用して循環から非結合コンジュゲートを除去し、細胞障害剤(例えば放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートさせた「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。
このとき、R2及びR6それぞれがメチルであり、R3及びR4それぞれがイソプロピルであり、R7がsec−ブチルであり、それぞれのR8がCH3、O−CH3、OH及びHから別々に選択され、R9がHであり、R10がアリールであり、Zが−O−又は−NH−であり、R11がH、C1−C8アルキル、又は−(CH2)2−O−(CH2)2−O−(CH2)2−O−CH3であり、そして、R18が−C(R8)2−C(R8)2−アリールであり、
(d) pがおよそ1から8の範囲である。
を有し、このときAbは前記いずれかの抗STEAP−1抗体であり、Sは硫黄原子であり、pは2から5の範囲である。ある実施態様では、イムノコンジュゲートは、式
を有し、このときAbは前記いずれかの抗STEAP−1抗体であり、Sは硫黄原子であり、pはおよそ1からおよそ6、およそ2からおよそ5、およそ2からおよそ6、およそ2からおよそ4、およそ2からおよそ3、およそ3からおよそ4、およそ3からおよそ5、およそ3からおよそ6、およそ4からおよそ6の範囲である。
本発明の他の実施態様では、システイン改変抗体は、放射性核種、蛍光色素、バイオルミネセンスを誘発する基質成分、化学発光を誘発する基質成分、酵素、及び診断用、薬物動態用、治療用の適用の造影実験のための他の検出標識を有するシステインチオールによって標識されてもよい。一般に、標識されたシステイン改変抗体、すなわち「バイオマーカー」又は「プローブ」は、注入、灌流又は経口摂取によって生きている生物体、例えばヒト、げっ歯動物、又は他の小動物、灌流される臓器、又は組織試料に投与される。プローブの分布は経時的に検出され、画像に表される。
本発明の他の態様では、上記の疾患の治療に有用な物質を具備する製造品又は「キット」が提供される。該製造品は容器と該容器上又は該容器に付随するラベル又はパッケージ挿入物を具備する。好適な容器には、例えば、ビン、バイアル、シリンジ、ブリスター包装などが含まれる。容器は、様々な材料、例えばガラス又はプラスチックから形成されうる。容器は、症状を治療するために有効な抗体−薬剤コンジュゲート(ADC)組成物を収容し、滅菌アクセスポートを有しうる(例えば、容器は皮下注射針が貫通可能なストッパーを有するバイアル又は静脈内投与溶液バッグでありうる)。組成物中の少なくとも一つの活性薬剤はADCである。ラベル又はパッケージ挿入物は、組成物が癌などの選択された症状の治療に使用されることを示す。あるいは、もしくは付加的に、製造品は、薬学的に許容されるバッファー、例えば注射用の静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー液及びデキストロース溶液を含む第二の(又は第三の)容器を更に具備してもよい。さらに、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業上及び使用者の見地から望ましい他の材料を含んでもよい。
ある態様では、前記いずれかのイムノコンジュゲートと薬学的に許容される担体とを含有する製薬的組成物が提供される。ある態様では、製薬的組成物を個体に投与することを含む、前立腺、肺、大腸、膀胱、又は卵巣の細胞増殖性疾患、或いはユーイング肉腫の治療方法が提供される。一実施態様では、前立腺、肺、大腸、膀胱、又は卵巣の癌、並びにユーイング肉腫といった細胞増殖性疾患は、原発性の前立腺、肺、大腸、膀胱、又は卵巣の癌、或いはユーイング肉腫の転移である。一実施態様では、細胞増殖性疾患は、細胞の表面上のSTEAP−1の発現増加と関係している。
一態様では、STEAP−1へのイムノコンジュゲートの結合に許容される条件下で、前記いずれかのイムノコンジュゲートに細胞を曝すことを含む、細胞増殖の阻害方法が提供される。一実施態様では、前立腺、肺、大腸、膀胱、又は卵巣の細胞、或いはユーイング肉腫は腫瘍細胞である。一実施態様では、腫瘍細胞は、限定しないが、原発性の前立腺、肺、大腸、膀胱の癌性腫瘍、或いはユーイング肉腫の転移を含む、前立腺、肺、大腸、膀胱の細胞、或いはユーイング肉腫の増殖性疾患に罹っているか、又は罹っていることが疑われる哺乳動物の、前立腺、肺、大腸、膀胱又は卵巣の腫瘍細胞、或いはユーイング肉腫の細胞である。一実施態様では、前立腺、肺、大腸、膀胱の細胞、又はユーイング肉腫は異種移植である。一実施態様では、インビトロで曝す。一実施態様では、インビボで曝す。
一態様では、前立腺、肺、又は大腸の細胞増殖性疾患(又はそのような疾患の原発発生の転移)に罹っている哺乳動物の血清可溶性STEAP−1をアッセイし、該疾患の臨床進行又は退行を測定するため、又は腫瘍の負荷や再発を評価するための本発明の抗STEAP−1抗体の使用方法が提供される。
STEAP−1に結合する単離された抗体が提供される。さらに、抗STEAP−1抗体を含んでなるイムノコンジュゲートが提供される。本発明の抗体及びイムノコンジュゲートは、例えば、STEAP−1の発現の変更、例えば発現の増加と関係している疾患の診断又は治療に有用である。ある実施態様では、本発明の抗体又はイムノコンジュゲートは、腫瘍又は癌などの細胞増殖性疾患の診断又は治療に有用である。ある実施態様では、STEAP−1は、前立腺、肺又は大腸の組織の腫瘍又は癌に発現される。ある実施態様では、本発明の抗体又はイムノコンジュゲートは、STEAP−1、例えば細胞表面上に発現されるSTEAP−1の検出に有用である。ある実施態様では、本発明の抗体又はイムノコンジュゲートは、前立腺、肺又は大腸組織の、正常細胞及び/又は腫瘍又は癌細胞の表面におけるSTEAP−1発現の検出に有用である。
抗STEAP−1抗体をコードするポリヌクレオチドが提供される。抗STEAP−1抗体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターが提供され、さらに該ベクターを含む宿主細胞が提供される。また、本発明のポリヌクレオチド、抗STEAP−1抗体又はイムノコンジュゲートのいずれか一又は複数を含有する製剤を含む組成物が提供される。
本願明細書中に記載又は引用される技術及び手順は、一般に十分に理解されるものであり、当業者によって従来の方法論を用いて共通して実施されるものである。その例として、以下の文献に記載される方法論が広く利用されている。Sambrook 等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3rd. edition (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (F. M. Ausubel, 等 編集, (2003));the series METHODS IN ENZYMOLOGY (Academic Press, Inc.): PCR 2: A PRACTICAL APPROACH (M. J. MacPherson, B. D. Hames 及び G. R. Taylor 編集 (1995))、Harlow and Lane, 編集 (1988) ANTIBODIES, A LABORATORY MANUAL, and ANIMAL CELL CULTURE (R. I. Freshney, 編集. (1987));Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait, 編集, 1984);Methods in Molecular Biology, Humana Press; Cell Biology: A Laboratory Notebook (J. E. Cellis, 編集, 1998) Academic Press;Animal Cell Culture (R. I. Freshney), 編集, 1987);Introduction to Cell and Tissue Culture (J. P. Mather and P. E. Roberts, 1998) Plenum Press;Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures (A. Doyle, J. B. Griffiths, 及び D. G. Newell, 編集, 1993-8) J. Wiley and Sons;Handb
ook of Experimental Immunology (D. M. Weir 及び C. C. Blackwell, 編集);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J. M. Miller 及び M. P. Calos, 編集, 1987);PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis 等, 編集, 1994);Current Protocols in Immunology (J. E. Coligan 等, 編集, 1991);Short Protocols in Molecular Biology (Wiley 及び Sons, 1999);Immunobiology (C. A. Janeway 及び P. Travers, 1997);Antibodies (P. Finch, 1997);Antibodies: a practical approach (D. Catty., 編集, IRL Press, 1988-1989);Monoclonal antibodies: a practical approach (P. Shepherd 及び C. Dean, 編集, Oxford University Press, 2000);Using antibodies: a laboratory manual (E. Harlow 及び D. Lane (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999);The Antibodies (M. Zanetti 及び J. D. Capra, 編集, Harwood Academic Publishers, 1995);及び Cancer: Principles and Practice of Oncology (V. T. DeVita 等, 編集, J.B. Lippincott Company, 1993)。
定義
「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものである。その自然環境の汚染成分とは、抗体の研究、診断又は治療的な使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。ある実施態様では、タンパク質は、(1)例えばローリー法で測定した場合95%を超える抗体、ある実施態様では99重量%を超えるまで、(2)例えばスピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分なほど、あるいは、(3)例えばクーマシーブルーあるいは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEにより均一になるまで十分なほど精製される。抗体の自然環境の少なくとも一の成分が存在しないため、単離された抗体には、組換え細胞内のインサイツでの抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一の精製工程により調製される。
「精製」とは、分子が、含まれる試料中の重量にして少なくとも95%、又は重量にして少なくとも98%の濃度で試料中に存在することを意味する。
ここで用いる「実質的に減少」、又は「実質的に異なる」という句は、当業者が2つの数値(一般に、分子に関連するもの、及び参照/比較分子に関連する他のもの)の差異に、該値(例えばKd値)によって測定される生物学的性質上統計学的に有意であると認められるほど、2つの数値が有意に異なっていることを意味する。前記2つの値間の差異は、参照/比較分子の値の、例えば約10%より大きく、約20%より大きく、約30%より大きく、約40%より大きく、及び/又は約50%より大きい。
ここで使用される「オリゴヌクレオチド」とは、短く、一般的に単鎖であり、また必ずしもそうではないが、一般的に約200未満のヌクレオチド長さの、一般的に合成のポリヌクレオチドを意味する。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」なる用語は、相互に排他的なものではない。ポリヌクレオチドについての上述した記載はオリゴヌクレオチドと等しく、十分に適用可能である。
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2のA及びBのプログラムアラインメントによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。特に断らない限りは、ここでの全ての%アミノ酸配列同一性値は、直ぐ上のパラグラフに示したようにALIGN-2コンピュータプログラムを用いて得られる。
「抗体」及び「免疫グロブリン」なる用語は、最も広義で相互に交換可能に使用され、モノクローナル抗体(例えば、全長又は無傷のモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、一価抗体、多価抗体、多重特異性抗体(例えば、所望の生物活性を示す限り二重特異性抗体)が含まれ、さらにある種の抗体断片(ここに詳細に記載されるもの)も含まれ得る。抗体は、キメラ、ヒト、ヒト化及び/又は親和成熟したものであってよい。
「可変」という用語は、可変ドメインのある部位が、抗体の中で配列が広範囲に異なっており、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合性及び特異性に使用されているという事実を意味する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって一様には分布していない。軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方の相補性決定領域(CDR)又は高頻度可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに濃縮される。可変ドメインのより高度に保持された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、βシート構造を結合し、ある場合にはその一部を形成するループ結合を形成する、3つのCDRにより連結されたβシート配置を主にとる4つのFR領域をそれぞれ含んでいる。各鎖のCDRは、FRによって近接して結合され、他の鎖のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabatら, Sequence of Proteins ofImmunological Interest, 5th Ed. National Institutes of Health, BEthesda, MD. (1991))。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関連しているものではないが、種々のエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞毒性への抗体の関与を示す。
その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、抗体(免疫グロブリン)は異なるクラスが割り当てられる。免疫グロブリンには5つの主なクラスがある:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM、更にそれらは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2等のサブクラス(アイソタイプ)に分かれる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配位はよく知られており、例えば、Abbas等.Cellular and Mol. Immunology, 第4版(2000)に概説されている。抗体は、抗体と1以上の他のタンパク質又はペプチドとの共有結合性又は非共有結合性の会合により形成された融合大分子の一部であり得る。
「抗体断片」は完全な抗体の一部のみを含んでなるものであり、その一部は、完全な抗体に存在する場合のその一部に通常関連する機能の少なくとも一、及び多ければその殆ど又は全てを保持する。一実施態様では、抗体断片は完全な抗体の抗原結合部位を含んでなるために、抗原結合能を有する。他の実施態様では、抗体断片は、例えばFc領域を含んでなるものは、完全な抗体に存在する場合のFc領域に通常関連する生物学的な機能、例えばFcRn結合、抗体半減期の調節、ADCC機能及び補体結合の少なくとも一を保持する。一実施態様では、抗体断片は、完全な抗体と実質的に類似したインビボ半減期を有する一価性抗体である。例えば、このような抗体断片は、インビボ安定性を断片に与えることができるFc配列に結合した抗原結合アームを含んでもよい。
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含む最小抗体断片である。ある実施態様では、二本鎖Fv種は、堅固な非共有結合をなした一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。一本鎖Fv(scFv)種では、柔軟なペプチドリンカーによって1の重鎖及び1の軽鎖可変ドメインは共有結合性に連鎖することができ、よって軽鎖及び重鎖は、二本鎖Fv種におけるものと類似の「二量体」構造に連結することができる。この配置において、各可変ドメインの3つのCDRは相互に作用してVH-VL二量体表面に抗原結合部位を形成する。集合的に、6つのCDRが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。通常、scFvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはscFvが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。scFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)のPluckthunを参照のこと。
「モノクローナル」との形容は、抗体の、実質的に均一な抗体の集団から得られたものであるという特性を示し、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないことを意味するものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は様々な技術によって作製することができ、それらの技術には、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler等, Nature, 256:495 (1975);Harlow等, Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988);Hammerling等: Monoclonal Antibodies and T-Cell hybridomas 563-681 (Elsevier, N. Y., 1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4816567号参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson等, Nature, 352:624-628 (1991);Marks等, J. Mol. Biol. 222:581-597 (1992);Sidhu等, J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004);Lee等, J. Mol. Biol. 340(5);1073-1093 (2004);Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472 (2004);及びLee等, J. Immounol. Methods 284(1-2): 119-132 (2004))、並びに、ヒト免疫グロブリン座位の一部又は全部、或るいはヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子を有する動物にヒト又はヒト様抗体を生成する技術(例えば、国際公開第98/24893号;国際公開第96/34096号;国際公開第96/33735号;国際公開第91/10741号;Jakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 2551 (1993);Jakobovits等, Nature 362: 255-258 (1993);Bruggemann等, Year in Immunol. 7:33 (1993);米国特許第5545807号;同第5545806号;同第5569825号;同第5625126号;同第5633425号;同第5661016号; Marks等, Bio.Technology 10: 779-783 (1992);Lonberg等, Nature 368: 856-859 (1994);Morrison, Nature 368: 812-813 (1994);Fishwild等, Nature Biotechnol. 14: 845-851 (1996);Neuberger, Nature Biotechnol. 14: 826 (1996)及びLonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93 (1995)参照)が含まれる。
ここで使用される「高頻度可変領域」、「HVR」又は「HV」なる用語は、配列において高頻度可変であり、及び/又は構造的に定まったループを形成する抗体可変ドメインの領域を意味する。一般に、抗体は6つの高頻度可変領域を含み;VHに3つ(H1、H2、H3)、VLに3つ(L1、L2、L3)である。天然の抗体では、H3及びL3は6つの高頻度可変領域のうちで最も高い多様性を示す、特にH3は抗体に良好な特異性を与える際に特有の役割を果たすように思われる。Xu等 (2000) Immunity 13:37-45;Methods in Molecular Biology 248:1-25 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ)のJohnson and Wu (2003)。実際、重鎖のみからなる天然に生じるラクダ科の抗体は機能的であり、軽鎖が無い状態で安定である。Hamers-Casterman等 (1993) Nature 363:446-448;Sheriff等 (1996) Nature Struct. Biol. 3:733-736。
「フレームワーク」又は「FR」残基は、ここで定義する高頻度可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
「阻止(ブロック)」抗体又は「アンタゴニスト」抗体とは、結合する抗原の生物学的活性を阻害するか又は低下させる抗体である。特定の阻止抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を、ほぼ又は完全に阻害する。
本明細書において使用する「アゴニスト」抗体は、対象とするポリペプチドの機能活性の少なくとも一つを模倣する抗体である。
抗体の「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に帰する生物学的活性を意味し、抗体のアイソタイプにより変わる。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合及び補体依存性細胞障害;Fcレセプター結合性;抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC);貪食作用;細胞表面レセプター(例えば、B細胞レセプター)のダウンレギュレーション;及びB細胞活性化が含まれる。
また、「Fcレセプター」又は「FcR」なる用語には、母性IgGの胎児への移送と(Guyer等, J. Immunol. 117:587 (1976) Kim等, J. Immunol.24:249 (1994))、免疫グロブリンのホメオスタシスの調節を担う新生児性レセプターFcRnも含まれる。FcRnへの結合の測定方法は公知である(例としてGhetie 1997, Hinton 2004を参照)。インビボでのヒトFcRnへの結合とヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清半減期は、例えばヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウス又は形質転換されたヒト細胞株、又はFc変異形ポリペプチドを投与された霊長類動物においてアッセイすることができる。
国際公開公報00/42072(Presta) にFcRへの結合を向上又は減弱させた抗体変異型が述べられている。この特許公開の内容はここに出典明記により具体的に組み込まれる。Shields等, J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)も参照のこと。
Fc領域アミノ酸配列を変更してC1q結合能力が増大又は減少したポリペプチド変異体は、米特許第6194551号B1及び国際公開公報99/51642に記述される。それらの特許文献の内容は、出典明記によって、特別に本願明細書に組み込まれるものとする。またIdusogie 等 J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)を参照のこと。
本願明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークから得られるVL又はVHフレームワークのアミノ酸配列を含有するフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「から得られる」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含有するか、又は既存のアミノ酸配列変化を含有してもよい。ある実施態様では、既存のアミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下又は2以下である。既存のアミノ酸変化がVH中に存在する場合、好ましくは、それらの変化は位置71H、73H及び78Hの内の3つ、2つ又は1つのみ起こり、例えば、それらの位置のアミノ酸残基は、71A、73T及び/又は78Aであってよい。一実施態様では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(FR−H1、配列番号21)−HVR−H1−WVRQAPGKGLEWV(FR−H2、配列番号22)−HVR−H2−RFTISRDTSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(FR−H3、配列番号138)−HVR−H3−WGQGTLVTVSS(FR−H4、配列番号24)
「VLサブグループIコンセンサスフレームワーク」は、Kabat等の可変軽鎖κサブグループIのアミノ酸配列から得られたコンセンサス配列を含んでなる。一実施態様では、VHサブグループIコンセンサスフレームワークアミノ酸配列は、以下の配列のそれぞれの少なくとも一部又は全部を含む。
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(FR−L1、配列番号17)−HVR−L1−WYQQKPGKAPKLLIY(FR−L2、配列番号18)−HVR−L2−GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(FR−L3、配列番号19)−HVR−L3−FGQGTKVEIKR(FR−L4、配列番号20)
「分泌シグナル配列」又は「シグナル配列」とは、細胞膜、通常は原核生物の内側の膜又は内側と外側の両方の膜を通して、対象となる新しく合成されたタンパク質の方向付けに使用することのできる短いシグナルペプチドをコードする核酸配列を意図する。このようにして、対象となるタンパク質、例えば免疫グロブリン軽鎖又は重鎖ポリペプチドは、原核宿主細胞の周辺に、あるいは培地中に分泌される。分泌シグナル配列によってコードされるシグナルペプチドは、宿主細胞に内在しても、あるいはそれらは外因性でもよく、発現されるポリペプチドに本来あるシグナルペプチドを含む。分泌シグナル配列は、典型的には発現されるポリペプチドのアミノ末端に存在し、典型的にはポリペプチドの生合成と分泌の間に細胞質から酵素的に取り除かれる。従って、シグナルペプチドは、通常、成熟タンパク質産物には存在しない。
「チオール反応値」なる用語は、遊離したシステインアミノ酸の反応性の定量的特徴づけである。チオール反応値は、チオール反応試薬と反応するシステイン改変抗体の遊離したシステインアミノ酸の割合であって、1の最大値に変換される。例えば、ビオチン−マレイミド試薬などのチオール反応試薬と100%の収率で反応してビオチン標識抗体を形成するシステイン改変抗体の遊離システインアミノ酸はチオール反応値が1.0となる。チオール反応試薬と80%の収率で反応する同じ又は異なる親抗体内で改変された他のシステインアミノ酸はチオール反応値が0.8となる。チオール反応試薬と完全に反応しない同じ又は異なる親抗体内で改変された他のシステインアミノ酸はチオール反応値が0となる。特定のシステインのチオール反応値の測定は、ELISAアッセイ、質量分析、液体クロマトグラフィ、オートラジオグラフィ、又は他の定量的な分析試験によって行ってもよい。システイン改変抗体のキャプチャやシステイン反応性の比較及び定量化を可能にするチオール反応試薬には、ビオチン-PEO-マレイミド((+)-ビオチニル-3-マレイミドプロピオナミジル-3,6-dioxaoctainediamine、Oda等 (2001) Nature Biotechnology 19:379-382, Pierce Biotechnology, Inc.) ビオチン-BMCC、PEO-ヨードアセチル ビオチン、ヨードアセチル-LC-ビオチン、及びビオチン-HPDP (Pierce Biotechnology, Inc.))及びNα-(3-マレイミドイルプロピオンイル)ビオシチン(MPB, Molecular Probes, Eugene, OR)が含まれる。ビオチン化、二官能性及び多官能性リンカー試薬の他の商業的な供与源には、Molecular Probes, Eugene, OR、及びSigma, St. Louis, MOが含まれる。
「親抗体」は、一又は複数のアミノ酸残基が一又は複数のシステイン残基に置き換わっているアミノ酸配列を含む抗体である。親抗体は、天然の又は野生型の配列を含んでいてもよい。親抗体は、他の天然、野生型又は修飾した形態の抗体と比較して既存のアミノ酸配列修飾(例えば付加、欠失及び/又は置換)を有してもよい。親抗体は、対象の標的抗原、例えば生物学上重要なポリペプチドに対するものであってもよい。また、非ポリペプチド抗原(例えば腫瘍関連糖脂質抗原;米国特許第5091178号を参照)に対する抗体も考慮される。
他の実施態様によると、〜10反応単位(RU)の固定した抗原CM5チップを用いて25℃のBIAcoreTM-2000又はBIAcoreTM-3000(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)にて表面プラズモン共鳴アッセイを行ってKd又はKd値を測定する。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5, BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。抗原を10mM 酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入した。抗原の注入後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。動力学的な測定のために、2倍の段階希釈したFab(0.78nMから500nM)を25℃、およそ25μl/分の流速で0.05%Tween20(PBST)を含むPBSに注入した。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model) (BIAcore Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(kon)と解離速度(koff)を算出した。平衡解離定数(Kd)をkoff/kon比として算出した。例として、Chen, Y.,等, (1999) J. Mol Biol 293:865-881を参照。上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる結合速度が106M−1S−1を上回る場合、分光計、例えば、流動停止を備えた分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下にて、PBS(pH7.2)、25℃の、20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて結合速度を測定することができる。
また、本発明の「結合速度」又は「会合の速度」又は「会合速度」又は「kon」は、〜10反応単位(RU)の固定した抗原CM5チップを用いて25℃のBIAcoreTM-2000又はBIAcoreTM-3000(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)を用いた前述と同じ表面プラズモン共鳴アッセイにて測定される。
「細胞増殖性疾患(障害)」及び「増殖性疾患(障害)」なる用語は、異常な細胞増殖にある程度関連している疾患を意味する。一実施態様では、細胞増殖性疾患は癌である。
本明細書中の「腫瘍」とは、悪性か良性かにかかわらず、すべての腫瘍性細胞成長及び増殖と、すべての前癌性及び癌性細胞及び組織を意味する。「癌」」「癌性」「細胞増殖性疾患」、「増殖性疾患」及び「腫瘍」なる用語は、本明細書に参照されるように相互に限定的なものでない。
治療の成功及び疾病の改善を評価する上記パラメータは、医師のよく知る日常的な手順により容易に測定可能である。癌の治療法の効率は、例えば腫瘍増殖停止時間(TTP)の評価及び/又は反応率(RR)の決定により測定することができる。前立腺癌の場合、治療法の進行は常套的な方法、通常は血清PSA(前立腺に特異的な抗原)のレベルを測定することにより評価することができ、血中PSAのレベルが高い程、癌は重症である。PSAを検出するためのアッセイは市販されており、例えばHybitech Tandem-E及びTandem-R PSAアッセイキット、Yang ProsCheckポリクローナルアッセイ(Yang Labs、ワシントン州ベルビュー)、Abbott Imx(Abbott Labs、イリノイ州アボットパーク)等が入手可能である。転移の決定は、ステージ試験、骨のスキャン、並びにカルシウム及び骨への広がりを決定するその他酵素レベルの試験により行うことができる。領域内の骨盤及びリンパ節への広がりを探すためにCTスキャンを行うこともできる。胸部レントゲン及び既知の方法による肝臓の酵素レベルの測定を使用して、それぞれ肺及び肝臓への転移を探すこともできる。疾病をモニタリングするためのその他の常套的な方法には、経直腸的超音波検査(TRUS)及び経直腸的針生検(TRNB)が含まれる。
「有効量」とは所望の治療又は予防結果を達成するために必要な用量及び時間の効果的な量を意味する。本発明の物質/分子の「治療的有効量」は、例えば個体の疾病ステージ、年齢、性別、及び体重、並びに個体に所望の応答を誘発する物質/分子の能力などの因子に従って変わりうる。また、治療的有効量は、物質/分子の任意の毒性又は有害な影響よりも治療的に恩恵のある効果が上回る量を包含する。「予防的有効量」とは所望の予防結果を達成するために必要な用量及び時間の効果的な量を意味する。必須ではないが一般的に、予防的用量は疾患の初期ステージ又はその前の患者に用いるので、予防的有効量は治療的有効量よりも少ないであろう。癌の場合、薬剤の治療的有効量は、癌細胞の数を減らし、腫瘍の大きさを低減し、癌細胞の周辺器官への浸潤を抑制し(つまり、或る程度遅らせ、好ましくは止め)、腫瘍の転移を抑制し(つまり、或る程度遅らせ、好ましくは止め)、腫瘍の成長をある程度抑制し、及び/又は癌に関連する症状の一又は複数をある程度緩和することができる。薬剤が既存の癌細胞の増殖を防止及び/又は死滅させることができる範囲まで、薬剤の細胞分裂停止能及び/又は細胞障害性は許容される。
一又は複数の更なる治療的薬剤「との組合せ」投与には同時(併用)及びいずれかの順序での連続投与が含まれる。
本明細書中で用いられる「標識」なる用語は、抗体などの試薬に直接的又は間接的にコンジュゲートされて「標識された」抗体を生成する、検出可能な化合物又は組成物を指す。標識自体が検出可能なもの(例えば放射性標識又は蛍光性標識)であってもよく、酵素標識の場合、検出可能な基質化合物ないしは組成物の化学的変化を触媒するものであってもよい。
「小分子」とは、ここで、約500ダルトン未満の分子量を持つと定義される。
「パッケージ挿入物」という用語は、その治療薬の用途に関する効能、用途、服用量、投与方法、配合禁忌及び/又は警告についての情報を含む、治療薬の商業的包装に慣習的に含まれる指示書を指す。
「ベクター」は、シャトルベクター及び発現ベクターを含む。一般に、プラスミドコンストラクトも複製起源(例えば、ColE1複製起源)及び選択マーカー(例えば、アンピシリン又はテトラサイクリン耐性)を、それぞれ細菌内のプラスミドの複製及び選択を目的として含むであろう。「発現ベクター」は必要なコントロール配列又は本発明の抗体断片を含む抗体の発現の調節因子を、細菌又は真核細胞内に含むベクターを表す。好適なベクターを以下に示す。
本発明の抗STEAP−1抗体を生成する細胞は、親ハイブリドーマ細胞、例えばATCCに寄託されるハイブリドーマ、並びに当該抗体をコードする核酸が導入されている細菌及び真核宿主細胞を含む。好適な宿主細胞を以下に示す。
「毒素」は、細胞の成長又は増殖に対して有害な作用を有することができる任意の物質である。
「細胞内に切断される」及び「細胞内切断」なる用語は、抗体−薬剤コンジュゲート(ADC)に対する細胞内の代謝プロセス又は反応であって、これによって薬剤成分(D)と抗体(Ab)間の共有結合、すなわちリンカーが壊れ、その結果、細胞内の抗体から遊離した薬剤が分離される。ゆえに、ADCの切断された成分は細胞内代謝物である。
「細胞障害活性」なる用語は、抗体−薬剤コンジュゲート又は抗体−薬剤コンジュゲートの細胞内代謝物の細胞殺傷効果、細胞増殖抑制効果又は増殖阻害効果を指す。細胞障害活性は、細胞の半分が生存する単位容量当たりの濃度(モル又は質量)であるIC50値として表されてもよい。
「アルキニル」は、不飽和の少なくとも一部、すなわち炭素−炭素、sp三重結合を有するノルマル、第2級、第3級、又は環式の炭素原子を含むC2−C18炭化水素である。例には、限定するものではないが、アセチレン(−C≡CH)及びプロパルギル(−CH2C≡CH)などがある。
「アルキレン」は、1〜18の炭素原子であって、親のアルカンと同じ又は2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を取り除くことによって誘導される2つの一価基センターを有する飽和した、分岐鎖又は直鎖又は環式の炭化水素基を指す。典型的なアルキレン基には、限定するものではないが、メチレン(−CH2−) 1,2−エチル(−CH2CH2−)、1,3−プロピル(−CH2CH2CH2−)、1,4−ブチル(−CH2CH2CH2CH2−)などが含まれる。
「アルケニレン」は、2〜18の炭素原子であって、親のアルケンと同じ又は2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を取り除くことによって誘導される2つの一価基センターを有する不飽和の、分岐鎖又は直鎖又は環式の炭化水素基を指す。典型的なアルケニレン基には、限定するものではないが、1,2−エチレン(−CH=CH−)が含まれる。
「アルキニレン」は、2〜18の炭素原子であって、親のアルキンと同じ又は2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を取り除くことによって誘導される2つの一価基センターを有する不飽和の、分岐鎖又は直鎖又は環式の炭化水素基を指す。典型的なアルキニレン基には、限定するものではないが、アセチレン(−C≡C−)、プロパルギル(−CH2C≡C−)、及び 4−ペンチニル(−CH2CH2CH2C≡C−)が含まれる。
「アリール」は炭素環の芳香基を指す。アリール基の例には、限定するものではないが、フェニル、ナフチル及びアントラセニルが含まれる。炭素環の芳香基又はヘテロサイクリック芳香基は、置換されていなくてもよいし、限定するものではないが、−C1−C8アルキル、−O−(C1−C8アルキル)、−アリール、−C(O)R'、−OC(O)R'、−C(O)OR'、−C(O)NH2 、−C(O)NHR'、−C(O)N(R')2 −NHC(O)R'、−S(O)2R'、−S(O)R'、−OH、−ハロゲン、−N3 、−NH2、−NH(R')、−N(R')2、及び−CNを含む、一又は複数の基によって置換されていてもよく、各々のR'は、H、−C1−C8アルキル及びアリールから別々に選択される。
ここで、フェニル基は置換されていなくても、限定するものではないが、−C1−C8 アルキル、−O−(C1−C8 アルキル)、−アリール、−C(O)R'、−OC(O)R'、−C(O)OR'、−C(O)NH2 、−C(O)NHR'、−C(O)N(R')2 −NHC(O)R'、−S(O)2R'、−S(O)R'、−OH、−ハロゲン、−N3 、−NH2、−NH(R')、−N(R')2、及び−CNを含む最大4つの基にて置換されてもよく、それぞれのR'は、H、−C1−C8アルキル及びアリールから個々に選択される。
「アリールアルキル」は、炭素原子、典型的には末端又はsp3炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがアリール基に置換している非環式アルキル基を指す。代表的なアリールアルキル基には、限定するものではないが、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−phenylethen−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−naphthylethen−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが含まれる。アリールアルキル基は6〜20の炭素原子を含み、例えば、アルカニル、アルケニル又はアルキニル基を含む、アリールアルキル基のアルキル部分は1〜6の炭素原子であり、アリール部分は5〜14の炭素原子である。
「ヘテロアリールアルキル」は、炭素原子、典型的には末端又はsp3炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがヘテロアリール基に置換している非環式アルキル基を指す。典型的なヘテロアリールアルキル基には、限定するものではないが、2−ベンズイミダゾリルメチル、2−フリルエチルなどが含まれる。ヘテロアリールアルキル基は6〜20の炭素原子を含み、例えば、アルカニル、アルケニル又はアルキニル基を含む、ヘテロアリールアルキル基のアルキル部分は1〜6の炭素原子であり、ヘテロアリール部分は5〜14の炭素原子であり、1〜3のヘテロ原子はN、O、P及びSから選択される。ヘテロアリールアルキル基のヘテロアリール部分は3〜7員環を有するモノシクロ(2〜6の炭素原子)又は7〜10員環を有するビシクロ(4〜9の炭素原子とN、O、P及びSから選択される1〜3のヘテロ原子)、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]システムであってもよい。
複素環は、Paquette, Leo A.; "Principles of Modern Heterocyclic Chemistry" (W.A. Benjamin, New York, 1968)、特に第1, 3, 4, 6, 7及び9章;"The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A series of Monographs" (John Wiley & Sons, New York, 1950 to present)、特に13, 14, 16, 19及び28号;及び、J. Am. Chem. Soc. (1960) 82:5566に記載される。
複素環の例には、例示のためであって限定するものではなく、ピリジル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル (ピペリジル)、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、硫黄酸化型テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、ビス−テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス−テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾチニル、トリアジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チエニル、チアンスレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、チノリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナンスリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナンスロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシンドリル、ベンズオキサゾリニル、及びイサチノイルが含まれる。
例示的なものであって限定するものではなく、窒素結合複素環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドールないしはイソインドリンの2位、モルフォリンの4位、カルバゾールないしはβ−カルボリンの9位に結合する。さらにより典型的には、窒素結合複素環には、1−アジリジル、1−アゼテジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、及び1−ピペリジニルが含まれる。
「C3−C8ヘテロシクロ」は、複素環基の水素原子のうちの1つが結合に置換されている上記のC3−C8複素環基を指す。C3−C8ヘテロシクロは置換されていなくても、限定するものではないが、−C1−C8 アルキル、−O−(C1−C8 アルキル)、−アリール、−C(O)R'、−OC(O)R'、−C(O)OR'、−C(O)NH2 、−C(O)NHR'、−C(O)N(R')2 −NHC(O)R'、−S(O)2R'、−S(O)R'、−OH、−ハロゲン、−N3 、−NH2、−NH(R')、−N(R')2、及び−CNを含む最大6基に置換されていてもよく、各々のR'は、H、−C1−C8アルキル及びアリールからそれぞれ選択される。
「C3−C8炭素環」は、3-、4-、5-、6-、7-又は8-員の飽和ないしは不飽和非芳香族炭素環である。代表的なC3−C8炭素環には、限定するものではないが、−シクロプロピル、−シクロブチル、−シクロペンチル、−シクロペンタジエニル、−シクロヘキシル、−シクロヘキセニル、−1,3−シクロヘキサジエニル、−1,4−シクロヘキサジエニル、−シクロヘプチル、−1,3−シクロヘプタジエニル、−1,3,5−シクロヘプタトリエニル、−シクロオクチル、及び−シクロオクタジエニルが含まれる。C3−C8炭素環基は置換されていなくても、限定するものではないが、−C1−C8 アルキル、−O−(C1−C8 アルキル)、−アリール、−C(O)R'、−OC(O)R'、−C(O)OR'、−C(O)NH2 、−C(O)NHR'、−C(O)N(R')2 −NHC(O)R'、−S(O)2R'、−S(O)R'、−OH、−ハロゲン、−N3 、−NH2、−NH(R')、−N(R')2、及び−CNを含む一又は複数の基に置換されていてもよく、各々のR'は、H、−C1−C8アルキル及びアリールからそれぞれ選択される。
「C3−C8カルボシクロ」は、炭素環基の水素原子のうちの1つが結合に置換されている上記のC3−C8炭素環基を指す。
「キラル」なる用語は、鏡像パートナーの重ね合わすことができない特性を有する分子を指し、一方、「アキラル」なる用語は、鏡像パートナーの重ね合わすことができる分子を指す。
「立体異性体」なる用語は、同一の化学構造を有するが、空間の原子又は基の配列に関しては異なる化合物を指す。
「ジアステレオマー」はキラリティの2以上の中心を有し、その分子が互いの鏡像でない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物理的性質、例えば融点、沸点、分光特性及び反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動及びクロマトグラフィなどの高分解能解析手順により分離されうる。
「鏡像異性体」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。
「脱離基」は、他の官能基によって置換されうる官能基を指す。特定の脱離基は当分野で公知であり、例として、限定するものではないが、ハロゲン化物(例えば、クロライド、ブロマイド、イオジド)、メタンスルホニル (メシル)、p-トルエンスルホニル (トシル)、トリフルオロメチルスルホニル (トリフレート)、及びトリフルオロメチルスルホネートなどがある。
リンカー成分:
MC=6-マレイミドカプロイル
Val−Cit又は「vc」=バリン−シトルリン(プロテアーゼにより切断可能なリンカーの例示的なジペプチド)
シトルリン=2-アミノ-5ウレイドペンタン酸
PAB=p-アミノベンジルオキシカルボニル(「自己犠牲(self immolative)」リンカー成分の例)
Me−Val−Cit=N−メチル−バリン−シトルリン(リンカーペプチド結合が、カテプシンBによる切断を阻害するように修飾されているもの)
MC(PEG)6−OH=マレイミドカプロイル−ポリエチレングリコール(抗体システインに結合しうる)
SPP=N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート
SPDP=N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート
SMCC=スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート
IT=イミノチオラン
細胞障害性剤:
MMAE=モノメチルアウリスタチンE(MW718)
MMAF=薬剤のC末端にフェニルアラニンを有するアウリスタチンE(MMAE)の変異体(MW731.5)
MMAF−DMAEA=C末端のフェニルアラニンに対するアミド連結にDMAEA(ジメチルアミノエチルアミン)を有するMMAF(MW801.5)
MMAF−TEG=フェニルアラニンにエステル化したテトラエチレングリコールを有するMMAF
MMAF−NtBu=MMAFのC末端にアミドとして結合した、N-t-ブチル
DM1=N(2')-デアセチル-N(2')−(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン
DM3=N(2')-デアセチル-N2-(4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン
DM4=N(2')-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-メイタンシン
STEAP−1に結合する抗体が提供される。抗STEAP−1抗体を含んでなるイムノコンジュゲートが提供される。本発明の抗体及びイムノコンジュゲートは、例えば、STEAP−1の発現の増加などの発現の変更と関係する疾患の診断や治療に有用である。ある実施態様では、本発明の抗体又はイムノコンジュゲートは、癌などの細胞増殖性疾患の診断や治療に有用である。
一態様では、本発明はSTEAP−1に結合する抗体を提供する。いくつかの実施態様では、ヒト及びカニクイザル(cyno)のSTEAP−1の成熟形態に結合する抗体が提供される。そのような実施態様では、ヒトのSTEAP−1の成熟形態は配列番号1(図1)のアミノ酸配列を有する。cyno STEAP−1は配列番号3(図1)のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様では、STEAP−1に対する抗体は、細胞表面に発現されるSTEAP−1の成熟形態に結合する。いくつかの実施態様では、細胞表面に発現されるSTEAP−1の成熟形態に結合する抗体は、細胞の成長を阻害する。いくつかの実施態様では、抗STEAP−1抗体は、細胞表面に発現されるSTEAP−1の成熟形態に結合して、細胞増殖を阻害する。ある実施態様では、抗STEAP−1抗体は、細胞表面に発現されるSTEAP−1の成熟形態と結合して、細胞死を誘導する。いくつかの実施態様では、抗STEAP−1抗体は、癌細胞の表面に発現されるSTEAP−1の成熟形態に結合する。いくつかの実施態様では、抗STEAP−1抗体は、同じ組織起源の正常細胞と比較して癌細胞の表面に過剰に発現されるSTEAP−1の成熟形態に結合する。いくつかの実施態様では、抗STEAP−1抗体は、細胞毒素又は検出可能な標識にコンジュゲートされ、細胞表面上のSTEAP−1に結合する。いくつかの実施態様では、抗体-毒素コンジュゲートは細胞の成長を阻害する。いくつかの実施態様では、抗体-検出可能な標識コンジュゲートは、その表面上にSTEAP−1を発現する細胞をインビトロ又はインビボで検出可能にする。
ファージライブラリから得られる例示的なモノクローナル抗体は、本願明細書において提供される。ライブラリをスクリーニングするために用いられる抗原は、STEAP−1β及びαの細胞外ドメイン(ECD)に対応する、配列番号28又は配列番号30のアミノ酸配列の配列を有するポリペプチドとした。ライブラリスクリーニングから生じる抗体は親和性成熟される。
一態様では、マウス120.545、120グラフト(120 graft)、及びヒト化120v.24とSTEAP−1への結合について競合するモノクローナル抗体が提供される。また、マウス120.545、120グラフト及びヒト化120v.24と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体が提供される。
本発明の一態様では、抗STEAP−1抗体をコードするポリヌクレオチドが提供される。ある実施態様では、抗STEAP−1抗体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。ある実施態様では、前記のベクターを含む宿主細胞が提供される。本発明の他の態様では、抗STEAP−1抗体をコードする抗STEAP−1抗体又はポリヌクレオチドを含有する組成物が提供される。ある実施態様では、本発明の組成物は、本明細書中で列挙したものなどの細胞増殖性疾患の治療のための製薬的製剤である。
1.抗STEAP−1抗体の具体的な実施態様
一態様では、本発明は、図2Bの配列番号9又は10を含む重鎖可変ドメインを含んでなる抗STEAP−1抗体を提供する。一態様では、本発明は、図2Aの配列番号6を含む軽鎖可ドメインを含んでなる抗STEAP−1抗体を提供する。
一態様では、本発明は、カバット位置A24V、V37I、V48M、F67I、及びL78Fにおけるアミノ変更のうちの一又は複数を有する、配列番号9を含む重鎖を含んでなる抗STEAP−1抗体を提供する。一実施態様では、重鎖は、配列番号25、75、76、77、78、及び79から選択された重鎖フレームワーク領域を含む。本明細書で使用する重鎖フレームワーク領域は、「FR−H1−H4」又は「HC−FR1−FR4」と表記され、軽鎖フレームワーク領域は、「FR−L1−L4」又は「LC−FR1−FR4」と表記される。一態様では、本発明は、配列番号6を含む軽鎖を含んでなる抗STEAP−1抗体を提供する。
一態様では、本発明は、図2A及び2Bに示す抗体120.v24のHVR配列の1、2、3、4、5、又は6を含んでなる抗STEAP−1抗体を提供する。
いくつかの実施態様では、本発明は、アミノ酸配列配列番号9又は10に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含んでなる抗STEAP−1抗体を提供する。いくつかの実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列は、参照配列と比較して置換、挿入又は欠失を含有するが、そのアミノ酸配列を含む抗体はSTEAP−1に結合する能力を保持する。いくつかの実施態様では、合計1〜10のアミノ酸が、配列番号9、10、14、15、16、21、22、23、24、25、75、76、77、78、及び/又は79の配列において置換されているか、挿入されているか、又は欠失されている。いくつかの実施態様では、置換、挿入又は欠失はHVR以外の領域(すなわちFR)で起こる。いくつかの実施態様では、抗STEAP−1抗体は、配列番号9又は10から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含んでなる。
いくつかの実施態様では、本発明は、図2B(配列番号9又は10)に示す重鎖可変ドメインを含む抗STEAP−1抗体を提供する。
HVR−H1(GYSITSDYAWN、配列番号14)
HVR−H2(GYISNSGSTSYNPSLKS、配列番号15)
HVR−H3(ERNYDYDDYYYAMDY、配列番号16)
FR−H1(EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS、配列番号21)
FR−H1(EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVS、配列番号25)
FR−H2(WVRQAPGKGLEWV、配列番号22)
FR−H2(WIRQAPGKGLEWV、配列番号75)
FR−H2(WVRQAPGKGLEWM、配列番号76)
FR−H2(WIRQAPGKGLEWM、配列番号77)
FR−H3(RFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAR、配列番号23)
FR−H3(RITISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAR、配列番号78)
FR−H3(RFTISRDNSKNTFYLQMNSLRAEDTAVYYCAR、配列番号79)
FR−H4(WGQGTLVTVSS、配列番号24)
いくつかの実施態様では、軽鎖HVR配列は以下を含む。
HVR−L1(KSSQSLLYRSNQKNYLA、配列番号11)
HVR−L2(WASTRES、配列番号12)
HVR−L3(QQYYNYPRT、配列番号13)
いくつかの実施態様では、軽鎖FR配列は以下を含む。
FR−L1(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC、配列番号17);
FR−L2(WYQQKPGKAPKLLIY、配列番号18);
FR−L3(GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC、配列番号19)
FR−L4(FGQGTKVEIKR、配列番号20)
一態様では、本発明は、(a)配列番号9及び10から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、(b) アミノ酸配列の配列番号6に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含んでなる抗STEAP−1抗体を提供する。いくつかの実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列は、参照配列と比べて置換、挿入又は欠失を含有するが、そのアミノ酸配列を含む抗体はSTEAP−1への結合能を保持する。いくつかの実施態様では、合計1〜10のアミノ酸が、参照配列において置換されているか、挿入されているか、又は欠失されていおり、この参照配列は、配列番号9、10、14、15、16、21、22、23、24、25、75、76、77、78、79から選択される配列を含むがこれら限定されない。いくつかの実施態様では、置換、挿入又は欠失はHVR以外の領域(すなわちFR)で起こる。いくつかの実施態様では、抗STEAP−1抗体は、配列番号9又は10のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含んでなる。
一態様では、本発明は、(a)図2Bに示すものから選択される1、2又は3のVH HVR、及び/又は(b)図2Aに示すものから選択される1、2又は3のVL HVRを含んでなる抗STEAP−1抗体を提供する。一態様では、本発明は、図2Bに示すものから選択される重鎖可変ドメインと、図2Aに示すものから選択される軽鎖可変ドメインとを含んでなる抗STEAP−1抗体を提供する。
本発明は抗体断片を包含する。抗体断片は、酵素消化などの古典的な手段や組み換え技術によって生成されうる。特定の場合では、全抗体よりも抗体断片の利用に利点がある。より小さいサイズの断片によりクリアランスが速くなり、固形腫瘍へのアクセスが改善されうる。ある抗体断片の概説については、Hudson等 (2003) Nat. Med. 9:129-134を参照。
抗体断片を生産するために様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は、完全な抗体のタンパク分解性消化を介して誘導されていた(例えば、Morimoto等, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992)及びBrennan等, Science, 229:81(1985)を参照されたい)。しかし、これらの断片は現在は組換え宿主細胞により直接生産することができる。例えば、Fab、Fv及びScFv抗体断片はすべて、大腸菌で発現され、分泌されるため、この断片の大規模産生が容易となる。抗体断片は上述において検討した抗体ファージライブラリーから分離することができる。別法として、Fab'-SH断片は大腸菌から直接回収することができ、化学的に結合してF(ab')2断片を形成することができる(Carter等, Bio/Technology 10:163-167(1992))。他のアプローチ法では、F(ab')2断片を組換え宿主細胞培養から直接分離することができる。サルベージレセプター結合エピトープ残基を含有する、インビボ半減期が増加したFab及びF(ab')2断片は米国特許第5869046号に記載される。抗体断片の生産のための他の方法は当業者には明らかであろう。ある実施態様では、抗体は単鎖Fv断片(scFV)である。国際公開第93/16185号;米国特許第5571894号;及び米国特許第5587458号を参照のこと。Fv及びscFvは、定常領域が欠けている完全な結合部を有する唯一の種である;したがって、それらは、インビボでの使用の間の非特異的結合を減らすために適する。scFv融合タンパク質は、scFvのアミノ末端又はカルボキシ末端の何れかで、エフェクタータンパク質の融合物を得るために構築されうる。上掲のAntibody Engineering, ed. Borrebaeckを参照。また、抗体断片は、例えば米国特許第5641870号に記載されているような「直鎖状抗体」であってもよい。このような直線状の抗体は単特異的又は二重特異的であってもよい。
本発明はヒト化抗体を包含する。非ヒト抗体をヒト化する様々な方法は従来からよく知られている。例えば、ヒト化抗体には非ヒト由来の一又は複数のアミノ酸残基が導入されている。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と呼ばれる。ヒト化は、本質的にはヒト抗体の該当する高頻度可変領域配列を置換することによりウィンターと共同研究者の方法(Jonesほか, Nature, 321:522-525 (1986)、Riechmannほか, Nature, 332:323-327 (1988)、Verhoeyenほか, Science, 239:1534-1536(1988))を使用して実施することができる。よって、このような「ヒト化」抗体は、完全なヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の該当する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4816567号)である。実際には、ヒト化抗体は、典型的にはいくつかの高頻度可変領域残基及び場合によってはいくらかのFR残基が齧歯類抗体の類似部位からの残基によって置換されているヒト抗体である。
抗原性を低減するには、ヒト化抗体を生成する際に使用するヒトの軽重両方の可変ドメインの選択が非常に重要となりうる。「ベストフィット法」では、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリ全体に対してスクリーニングする。次に齧歯動物のものと最も近いヒト配列をヒト化抗体のヒトフレームワーク領域として受け入れる(Sims等, J. Immunol., 151:2296 (1993);Chothia等, J. Mol. Biol., 196:901(1987))。他の方法では、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列から誘導される特定のフレームワーク領域を使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用できる(Carter等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);Presta等, J. Immunol., 151:2623(1993))。
本発明のヒト抗STEAP−1抗体は、上記のように、ヒト由来のファージディスプレイライブラリから選択したFvクローン可変ドメイン配列を公知のヒト定常ドメイン配列と結合することによって構築することができる。あるいは、本発明のヒトモノクローナル抗STEAP−1抗体は、ハイブリドーマ法によって作製することができる。ヒトモノクローナル抗体の生産のためのヒトミエローマ及びマウス-ヒトヘテロミエローマ細胞株は、例えば、Kozbor, J. Immunol. 133, 3001(1984);Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp.51-63(Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);及びBoerner 等, J. Immunol., 147: 86 (1991)によって記載されている。
免疫化することで、内因性免疫グロブリンの生産なしに、ヒト抗体の完全なレパートリーを生産することが可能なトランスジェニック動物(例えばマウス)を生産することが現在は可能である。例えば、キメラ及び生殖細胞系変異体マウスでの抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合体欠失は、内因性抗体の生産の完全な阻害をもたらすことが記載されている。そのような生殖細胞系変異体マウスでのヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子配列の転移は、抗原の挑戦によってヒト抗体の生産を引き起こす。例えば、Jakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 2551(1993);Jakobovits等, Nature 362, 255(1993);Bruggermann等, Year in Immunol., 7: 33 (1993)を参照のこと。
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある実施態様では、二重特異性抗体はヒト又はヒト化の抗体である。ある実施態様では、結合特異性の一つはSTEAP−1に対するものであり、他方は任意の他の抗原に対するものである。ある実施態様では、二重特異性抗体は、STEAP−1の2つの異なるエピトープに結合しうる。また、二重特異性抗体はSTEAP−1を発現する細胞に細胞障害剤を局在化するためにも使用されうる。これらの抗体はSTEAP−1結合アーム及び細胞障害剤(例えば、サポリン(saporin)、抗インターフェロン-α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキセート又は放射性同位体ハプテン)と結合するアームを有する。二重特異性抗体は完全長抗体又は抗体断片(例えばF(ab')2二重特異性抗体)として調製することができる。
二重特異性抗体を作製する方法は当該分野において既知である。二重特異性抗体の伝統的な組み換え産生は二つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づき、ここで二つの重鎖は異なる特異性を持っている(Millstein等, Nature, 305:537-539(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖が無作為に取り揃えられているため、これらのハイブリドーマ(四部雑種)は10個の異なる抗体分子の可能性ある混合物を産生し、そのうちただ一つが正しい二重特異性構造を有する。通常、アフィニティークロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は、かなり煩わしく、生成物収率は低い。同様の方法が1993年5月13日に公開の国際公報第93/08829号及びTraunecker等、EMBO J. 10:3655-3659(1991)に開示されている。
このアプローチ法の一実施態様では、二重特異性抗体は、第一の結合特異性を有する一方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖と他方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第二の結合特異性を提供する)とからなる。二重特異性分子の半分にしか免疫グロブリン軽鎖がないと容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望の二重特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にすることが分かった。このアプローチ法は、国際公報第94/04690号に開示されている。二重特異性抗体を産生する更なる詳細については、例えばSuresh等, Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
他のアプローチ法によれば、一対の抗体分子間の界面を操作して組換え細胞培養から回収されるヘテロダイマーのパーセントを最大にすることができる。界面は抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの一又は複数の小さいアミノ酸側鎖がより大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置き換えられる。大きな側鎖と同じ又は類似のサイズの相補的「キャビティ」を、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)と置き換えることにより第2の抗体分子の界面に作り出す。これにより、ホモダイマーのような不要の他の最終産物に対してヘテロダイマーの収量を増大させるメカニズムが提供される。
抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennan等, Science, 229:81 (1985) は完全な抗体をタンパク分解性に切断してF(ab')2断片を産生する手順を記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルヒド形成を防止する。産生されたFab'断片はついでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に転換される。Fab'-TNB誘導体の一つをついでメルカプトエチルアミンでの還元によりFab'-チオールに再転換し、他のFab'-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。作られた二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作成し分離する様々な方法もまた記述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して生産された。Kostelny等, J.Immunol., 148(5):1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により二つの異なった抗体のFab'部分に結合させられた。抗体ホモダイマーはヒンジ領域で還元されてモノマーを形成し、ついで再酸化させて抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法はまた抗体ホモダイマーの生産に対して使用することができる。Hollinger等, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)により記述された「ダイアボディ」技術は二重特異性抗体断片を作成する別のメカニズムを提供した。断片は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするのに十分に短いリンカーにより軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)を結合してなる。従って、一つの断片のVH及びVLドメインは他の断片の相補的VL及びVHドメインと強制的に対形成させられ、2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーを使用する他の二重特異性抗体断片製造方策もまた報告されている。Gruber等, J.Immunol., 152:5368 (1994)を参照されたい。
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tutt等, J.Immunol. 147:60(1991)。
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞により、二価抗体よりも早くインターナリゼーション(及び/又は異化)されうる。本発明の抗体は、3又はそれ以上の結合部位を有する多価抗体(IgMクラス以外のもの)であり得(例えば四価抗体)、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現により容易に生成することができる。多価抗体は二量化ドメインと3又はそれ以上の抗原結合部位を有する。ある実施態様では、二量化ドメインはFc領域又はヒンジ領域を有する(又はそれらからなる)。このシナリオにおいて、抗体はFc領域と、Fc領域のアミノ末端に3又はそれ以上の抗原結合部位を有しているであろう。ある実施態様では、多価抗体は3からおよそ8の抗原結合部位を有する。このような一実施態様では、多価抗体は4つの抗原結合部位を含む(又はそれらからなる)。多価抗体は少なくとも1つのポリペプチド鎖(例えば2つのポリペプチド鎖)を有し、ポリペプチド鎖(類)は2又はそれ以上の可変ドメインを有する。例えば、ポリペプチド鎖(類)はVD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを有し、ここでVD1は第1の可変ドメインであり、VD2は第2の可変ドメインであり、FcはFc領域のポリペプチド鎖の一つであり、X1及びX2はアミノ酸又はポリペプチドを表し、nは0又は1である。例えば、ポリペプチド鎖(類)は:VH-CH1-柔軟なリンカー-VH-CH1-Fc領域鎖;又はVH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を有し得る。ここで多価抗体は、少なくとも2つ(例えば4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに有してもよい。ここで多価抗体は、例えば約2〜約8の軽鎖可変ドメインポリペプチドを有する。ここで考察される軽鎖可変ドメインポリペプチドは軽鎖可変ドメインを有し、場合によってはCLドメインを更に有する。
いくつかの実施態様では、本発明の抗体は単一のドメイン抗体である。単一のドメイン抗体は、抗体のすべてないしは一部の重鎖可変ドメイン又はすべてないしは一部の軽鎖可変ドメインを含んでなる単一ポリペプチドである。ある実施態様では、単一のドメイン抗体は、ヒトの単一のドメイン抗体である(Domantis, Inc., Waltham, MA;例として米国特許第6248516号B1を参照)。一実施態様では、単一のドメイン抗体は、抗体のすべてないしは一部の重鎖可変ドメインからなる。
いくつかの実施態様では、ここに開示する抗体のアミノ酸配列の修飾を考える。例えば、抗体の結合親和性及び/又は生物学的特性を向上することができれば望ましい。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードする核酸に適切な変化を導入して、又はペプチド合成により調製される。そのような修飾は、抗体のアミノ酸配列内の残基の、例えば、欠失型、又は挿入或いは置換を含む。最終構成物が所望する特徴を有していれば、欠失、挿入又は置換をどのように組合せてもよい。アミノ酸変化は、配列ができるときに被検体の抗体アミノ酸配列に導入されうる。
突然変異誘発に好ましい位置である抗体の特定の残基又は領域の同定に有益な方法は、Cunningham及びWellsによりScience, 244:1081-1085 (1989年)に開示されているように、「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。ここで、標的となる残基又は残基の組が同定され(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの荷電した残基)、中性の、又は負に荷電したアミノ酸(例えばアラニン又はポリアラニン)で置換され、アミノ酸の抗原との相互作用に影響を与える。次いで、置換に対する機能的感受性を示しているそれらアミノ酸位置を、置換の部位において、又は置換の部位のために、さらなる、又は他の変異体を導入することにより精製する。このように、アミノ酸配列変異体を導入する部位は予め決定されるが、突然変異自体の性質は予め決定する必要は無い。例えば、任意の部位における突然変異の機能を分析するために、標的コドン又は領域においてalaスキャンニング又はランダム突然変異誘発を実行し、発現した免疫グロブリンを所望の活性についてスクリーニングする。
ある実施態様では、本発明の抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加又は低減するために変更する。ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N結合又はO結合の何れかである。N結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を意味する。アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニン(ここでXはプロリンを除く任意のアミノ酸)のトリペプチド配列は、アスパラギン側鎖への糖鎖部分の酵素的結合のための認識配列である。従って、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列の何れかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位が作出される。O結合グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンに、糖類N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースの一つが結合することを意味するが、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンもまた用いられる。
抗体がFc領域を含有する場合、それに接着する炭水化物を変更してもよい。例えば、抗体のFc領域に接着するフコースを欠損する成熟炭水化物構造の抗体は、米国公開特許第2003/0157108号(Presta, L.)に記載される。米国公開特許第2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd.)も参照のこと。抗体のFc領域に接着した炭水化物内のN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を二分する抗体は、国際公報第03/011878号、Jean-Mairet 等、及び米国特許第6602684号、Umana 等に参照されている。抗体のFc領域に接着するオリゴサッカライド内の少なくとも一のガラクトース残基を有する抗体は、国際公報第97/30087号、Patel 等に報告される。また、抗体のFc領域に接着する変更された炭水化物を有する抗体については、国際公報第98/58964号(Raju, S.)及び国際公報第99/22764号(Raju, S.)も参照のこと。また、修飾されたグリコシル化を有する抗原結合分子については、米国公開特許第2005/0123546号(Umana 等)を参照。
他の型の変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、抗体分子において少なくとも一つのアミノ酸残基に異なる残基が挿入されている。置換突然変異について関心ある部位は高度可変領域を含むが、FR交互変化も考慮される。保存的置換は、「好ましい置換」と題して表1に示す。これらの置換が生物学的活性の望ましい変化をもたらす場合、表1に「例示的置換」と名前を付けた又はアミノ酸の分類を参照して以下に更に記載するような、より実質的な変化を導入して、生成物をスクリーニングしてよい。
(1) 無極性:Ala (A), Val (V), Leu (L), Ile (I), Pro (P), Phe (F), Trp (W), Met (M)
(2) 無電荷極性:Gly (G), Ser (S), Thr (T), Cys (C), Tyr (Y), Asn (N), Gln (Q)
(3) 酸性:Asp (D), Glu (E)
(4) 塩基性:Lys (K), Arg (R), His(H)
別法では、天然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいて群に分けてもよい:
(1) 疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2) 中性の親水性:cys、ser、thr、asn、gln;
(3) 酸性:asp、glu;
(4) 塩基性:his、lys、arg;
(5) 鎖配向に影響する残基:gly、pro; 及び
(6) 芳香族:trp、tyr、phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。このような置換された残基も、保存的置換部位か、残存する(非保存的)部位に、導入することができる。
本発明の抗体のFc領域内に一以上のアミノ酸修飾を導入してFc領域変異型を生成することが望ましい。Fc領域変異体は、ヒンジシステイン修飾を含む、一以上のアミノ酸位置でのアミノ酸修飾(例えば、置換)を有するヒトFc領域配列(例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4 Fc領域)を含みうる。
本発明の抗体は当該分野において知られ直ぐに利用できる更なる非タンパク質性部分を含むように更に修飾することができる。好ましくは、抗体の誘導体化に適した部分は水溶性ポリマーである。水溶性ポリマーの非限定的な例には、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーかランダムコポリマー)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール、及びそれらの混合物が含まれる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは水中におけるその安定性のために製造の際に有利であろう。ポリマーは任意の分子量であってよく、分枝状でも非分枝状でもよい。抗体に結合するポリマーの数は変化してもよく、一を超えるポリマーが結合する場合、それらは同じでも異なった分子でもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又はタイプは、限定されるものではないが、その抗体誘導体が定まった条件下での治療に使用されるかどうか、改善される抗体の特定の性質又は機能を含む考慮事項に基づいて決定することができる。
1.ハイブリドーマベースの方法
本発明の抗STEAP−1モノクローナル抗体は、Kohler等, Nature, 256:495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製でき、又は組換えDNA法(米国特許第4816567号)によって作製することができる。
ハイブリドーマ法においては、マウス又はその他の適当な宿主動物、例えばハムスターを免疫化し、免疫化に用いられるタンパク質と特異的に結合する抗体を生産するか又は生産することのできるリンパ球を誘導する。一般的に、STEAP−1への抗体は、STEAP−1とアジュバントを複数回皮下(sc)又は腹腔内(ip)に注射することにより動物内に生じる。STEAP−1は当分野で公知の方法を用いて調製されうる。その方法のいくつかは本明細書中でさらに記載される。例えば、STEAP−1は組み換えて産生されてもよい。一実施態様では、動物を、免疫グロブリン重鎖のFc部位に融合したSTEAP−1の細胞外ドメイン(ECD)を含有するSTEAP−1の誘導体で免疫化する。一実施態様では、動物を、STEAP−1-IgG1融合タンパク質で免疫化する。一実施態様では、動物は、一リン酸化リピドA(MPL)/トレハロースジクリノミコレート(trehalose dicrynomycolate)(TDM) (Ribi Immunochem. Research, Inc., Hamilton, MT)により溶液中のSTEAP−1の免疫原性誘導体にて免疫化され、該溶液は複数の部位の皮下に注射される。2週後に、動物を追加免役する。7〜14日後、動物から採血して、血清を抗STEAP−1力価について検定する。力価がプラトーになるまで動物を追加免役する。
このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、適当な培養培地、例えば融合していない親の骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する一又は複数の物質を含む培地に播き、増殖させる。例えば、親の骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニジンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠失するならば、ハイブリドーマのための培地は、典型的には、HGPRT欠失細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含有するであろう(HAT培地)。
ハイブリドーマ細胞が生育している培地を、STEAP−1に結合するモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降又はインビトロ結合検定、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着検定(ELISA)によって測定する。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunsonほか, Anal. Biochem., 107:220 (1980)のスキャッチャード分析法によって測定することができる。
所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が確定された後、該クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986))。この目的に対して好適な培地には、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地が包含される。加えて、該ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖させることができる。サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA-SEPHAROSE、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーのような常套的な免疫グロブリン精製法により、培地、腹水、又は血清から好適に分離される。
本発明の抗STEAP−1抗体は、所望の活性(一又は複数)を有する抗体についてスクリーニングするためにコンビナトリアルライブラリを用いて作製することができる。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成して、所望の結合特性を有する抗体についてこのライブラリをスクリーニングするためには当分野で様々な方法が公知である。このような方法は、一般にMethods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien等, ed., Human Press, Totowa, NJ)のHoogenboom等 (2001)に、ある実施態様では、Lee等 (2004) J. Mol. Biol. 340:1073-1093に記載される。
原則として、合成抗体クローンを、ファージコートタンパク質と融合した抗体可変領域(Fv)の種々の断片を表示するファージを有するファージライブラリをスクリーニングすることによって選択される。このようなファージライブラリは、所望される抗原に対するアフィニティークロマトグラフィーによって選別される。所望される抗原と結合することができるFv断片を発現するクローンは抗原へ吸収され、それによって、ライブラリの非結合クローンから分離される。次いで、この結合クローンは、抗原から溶出させることが可能であり、抗原吸収/溶出の付加的サイクルによってさらに濃縮することができる。本発明の任意の抗STEAP−1抗体は、興味の対象であるファージクローンを選択するために適切な抗原スクリーニング手法を設計し、続いて、興味の対象であるファージクローンからのFv配列、及びKabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda MD (1991), vols. 1-3に記載の適切な定常領域(Fc)配列を用いての全長抗STEAP−1抗体クローンの構築によって得ることができる。
VH及びVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって分離してクローンし、ファージライブラリにおいてランダムに組み換えられることが可能であり、それは、Winter等,Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455(1994)に記載のように抗原結合クローンについて探索することが可能である。免疫化したソースからのライブラリは、ハイブリドーマを構成する必要がなく、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、天然レパートリーをクローニングして、Griffiths等,EMBO J, 12: 725-734(1993)に記載のようにどんな免疫化もせずに、幅広い非自己及びまた自己抗原に対するヒト抗体の単一のソースを提供することが可能である。最終的には、天然ライブラリは、また、Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol. 227: 381-388(1992)に記載のように、幹細胞からの再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、及びランダム配列を有するPCRプライマーを利用して高度可変CDR3領域をコードし、インビトロでの再配列を完成させることによって合成的に作製することができる。
一般的に、抗体遺伝子断片をコードする核酸は、ヒト又は動物から収集した免疫細胞から得られる。抗STEAP−1クローンに有利になるように偏ったライブラリが望ましい場合には、検体をSTEAP−1で免疫化して抗体応答を生成させ、そして、脾臓細胞及び/又は他の末梢血リンパ球(PBL)である循環B細胞を、ライブラリ構築のために回収する。好ましい実施態様では、STEAP−1免疫化により、STEAP−1に対するヒト抗体を産生するB細胞が生じるように、抗STEAP−1クローンに好ましいヒト抗体遺伝子断片ライブラリは、機能的ヒト免疫グロブリン遺伝子アレイを有する(及び、機能的な内因性抗体産生系を欠く)トランスジェニックマウスにおける抗STEAP−1抗体応答を生成することによって得られる。ヒト抗体産生トランスジェニックマウスの作製は以下に記載する。
あるいは、非免疫化供与体からの脾臓細胞及び/又はB細胞又は他のPBLの利用によって可能性のある抗体レパートリーのより良い表示が提供され、また、STEAP−1が免疫原ではない任意の動物(ヒト又は非ヒト)種を利用した抗体ライブラリの構築が可能となる。インビトロの抗体遺伝子コンストラクトを取り込むライブラリに関しては、幹細胞を被検体から収集して非再配列の抗体遺伝子セグメントをコードする核酸を提供する。対象の免疫細胞は、種々の動物種、例えばヒト、マウス、ラット、ウサギ目、オオカミ、犬科、ネコ科、ブタ、ウシ、ウマ、及びトリ種等から得ることができる。
別法として、このレパートリーは、例えばBarbas等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 7978-7982(1991)に記載のように同じベクターへ連続してクローニング、又は、Clakson等, Nature, 352: 624-628(1991)に記載のようにPCR後に、クローニングすることでアセンブリすることができる。PCRアセンブリは、また、柔軟なペプチドスペーサーをコードしているDNAとVH及びVL DNAを連結させて、単鎖のFv(scFv)レパートリーを形成することに利用することができる。さらに他の技術では、「細胞内でのPCRアセンブリ」は、Embleton等, Nucl. Acids Res., 20: 3831-3837(1992)に記載のように、PCRによってリンパ球内のVH及びVL遺伝子を組み合わせて、その後、連結した遺伝子のレパートリーをクローニングするのに利用される。
ライブラリのスクリーニングは当分野で公知の様々な技術によって達成されうる。例えば、STEAP−1は、吸収プレートのウェルをコーティングするために利用すること、吸収プレートへ付着させた宿主細胞上で発現させるか又はセルソーティングで利用すること、又はストレプトアビジンでコーティングしたビーズによる捕獲のためにビオチンとコンジュゲートすること、又はファージディスプレイライブラリをパニングするためのあらゆる他の方法において利用することが可能である。
選択の効率は多くの要因に依存し、それには、洗浄の間の解離の動力学、そして単一のファージ上の複数の抗体断片が同時に抗原と関われるかどうかということが含まれる。一次解離定数(及び弱い結合親和性)を有する抗体は、短い洗浄、多価ファージディスプレイ及び固相の抗原の高いコーティング密度の利用によって保持することが可能である。高い密度は、多価相互作用を介してファージを安定化するだけでなく、解離したファージの再結合に有利に作用する。遅い解離動力学(及び良好な結合親和性)を有する抗体の選択は、Bass等, Proteins, 8: 309-314(1990)及び国際公開第92/09690号に記載されているような長い洗浄と単価ファージディスプレイの利用、そしてMarks等, Biotechnol., 10: 779-783(1992)に記載されているような抗原の低度のコーティング密度によって促進することが可能である。
抗STEAP−1クローンは活性を元に選択されうる。ある実施態様では、本発明は、STEAP−1を天然に発現する生細胞に結合する抗STEAP−1抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、STEAP−1リガンドとSTEAP−1との結合をブロックするが、STEAP−1リガンドと第二タンパク質との結合をブロックしない抗STEAP−1抗体を提供する。このような抗STEAP−1抗体に対応するFvクローンは、(1) 上記のようなファージライブラリから抗STEAP−1クローンを単離して、場合によって、好適な宿主細胞で個体集団を成長させることによって、ファージクローンの単離した母集団を増幅する、(2) 望ましいブロック活性及び非ブロック活性のそれぞれについてSTEAP−1と第二タンパク質を選択する、(3) 固定されたSTEAP−1に抗STEAP−1ファージクローンを吸着する、(4) 過剰量の第二タンパク質を用いて、第二タンパク質の結合決定基と共有するかオーバーラップするSTEAP−1-結合決定基を認識する任意の望ましくないクローンを溶出する、そして、(5) 工程(4)の後に吸着されたまま残ったクローンを溶出する、ことによって選別できる。場合によって、所望のブロック/非ブロック特性を有するクローンを、本明細書に記載の選別手順を一又は複数回繰り返すことによって、さらに濃縮できる。
本発明のFvクローンをコードするDNAは、重鎖及び/又は軽鎖定常領域をコードする公知のDNA配列(例えば好適なDNA配列は上掲のカバット等から得ることができる)と組み合わせて、完全長ないし一部の重鎖及び/又は軽鎖をコードするクローンを形成できる。このために、何れかのアイソタイプの定常領域、例えばIgG、IgM、IgA、IgD及びIgE定常領域を用いることができることが理解されるであろう。このような定常領域は任意のヒト又は動物種から得ることができる。ある動物(例えばヒト)種の可変ドメインDNAから得て、次いで「ハイブリッド」である完全長重鎖及び/又は軽鎖のコード配列を形成するために他の動物種の定常領域DNAに融合したFvクローンは、本明細書で用いられる「キメラ」及び「ハイブリッド」抗体の定義に含まれる。ある実施態様では、ヒト可変DNAから得たFvクローンをヒト定常領域DNAに融合して、完全長ないし一部のヒト重鎖及び/又は軽鎖のコード配列を形成する。
本発明の抗体の組み換え生成のために、コードする核酸を単離して、更なるクローニング(DNAの増幅)又は発現のために複製ベクターに挿入する。抗体をコードするDNAは従来の手順で簡単に単離し、配列決定される(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いて)。多くのベクターが利用可能である。用いる宿主細胞にある程度依存してベクターを選択する。一般的に、宿主細胞は原核生物又は真核生物(一般的に哺乳動物)由来の細胞である。IgG、IgM、IgA、IgD及びIgE定常領域を含め、任意のアイソタイプの定常領域がこの目的のために使われてもよく、このような定常領域はヒト又は動物種の何れかから得られうることは理解されるであろう。
ベクターの構築
本発明の抗体のポリペプチド成分をコードしているポリヌクレオチド配列は標準的な組換え技術を使用して得ることができる。所望のポリヌクレオチド配列はハイブリドーマ細胞のような抗体産生細胞から単離し配列決定することができる。あるいは、ポリヌクレオチドはヌクレオチド合成機又はPCR法を使用して合成することができる。ひとたび得られると、ポリペプチドをコードしている配列は原核生物宿主中で異種ポリヌクレオチドを複製し、発現することが可能な組換えベクター中に挿入される。当該分野において入手でき知られている多くのベクターを本発明の目的のために使用することができる。適切なベクターの選択は、主として、ベクターに挿入される核酸のサイズとベクターで形質転換される特定の宿主に依存する。各ベクターは、機能(異種性ポリヌクレオチドの増幅又は発現ないしその両方)及び属する特定の宿主細胞への適合性に応じて、様々な成分を含む。一般的に、限定するものではないが、ベクター成分には複製起源、選択マーカー遺伝子、プロモータ、リボゾーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種性核酸挿入及び転写終末配列が含まれる。
また、レプリコン及び宿主微生物と適合性のあるコントロール配列を含んでいるファージベクターを、これらの宿主との関連でトランスフォーミングベクターとして使用することができる。例えば、λGEM.TM.-11のようなバクテリオファージを、大腸菌LE392のような感受性の宿主細胞を形質転換するために使用できる組換えベクターを作製する際に利用することができる。
様々な潜在的宿主細胞によって認識されるプロモータが非常にたくさん公知となっている。選択したプロモーターを、制限酵素消化によって供給源DNAからプロモータを除去し、本発明のベクター内に単離したプロモータを挿入することによって軽鎖又は重鎖をコードするシストロンDNAに作用可能に連結することができる。天然プロモーター配列と多くの異種プロモーターの双方を、標的遺伝子の増幅及び/又は発現を生じさせるために使用することができる。ある実施態様では、天然の標的ポリペプチドプロモーターと比較して、一般的に発現する標的遺伝子をより多く転写させ、効率をよくするので、異種プロモーターが有用である。
本発明の一態様では、組換えベクター内の各シストロンは、膜を貫通して発現されるポリペプチドの転写を誘導する分泌シグナル配列成分を含む。一般に、シグナル配列はベクターの成分でありうるか、ベクター中に挿入される標的ポリペプチドDNAの一部でありうる。この発明の目的のために選択されるシグナル配列は宿主細胞によって認識されプロセシングされる(つまりシグナルペプチダーゼにより切断される)ものでなければならない。異種ポリペプチドに天然のシグナル配列を認識せずプロセシングする原核生物宿主細胞に対しては、シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ippあるいは熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpA及びMBPからなる群から選択される原核生物シグナル配列によって置換される。一実施態様では、発現系の双方のシストロンに使用されるシグナル配列はSTIIシグナル配列又はその変異体である。
また、本発明の抗体は、発現されるポリペプチド成分の量的な比を変更することにより、分泌されて適切に集合体化(アセンブル)される本発明の抗体の産出を最大化することができる発現系を用いても生成することができる。このような変更は、少なくとも部分的にはポリペプチド成分の翻訳強度を同時に変更することにより行われる。
一実施態様では、含有される各シストロンについて一定の範囲のTIR強度を有する一組のベクターを生成する。この限定された組により、各鎖の発現レベル、及び種々のTIR強度の組み合わせにおける所望の抗体産物の産出を比較することができる。TIR強度は、Simmons等による米国特許第5840523号に詳細に記載されているレセプター遺伝子の発現レベルを定量化することにより決定することができる。翻訳強度の比較に基づいて、所望の個々のTIRを選択し、本発明の発現ベクターコンストラクトと組み合わせる。
上述した発現ベクターで宿主細胞を形質転換又は形質移入し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適するように修飾された通常の栄養培地中で培養する。
形質転換とは、DNAを原核生物宿主中に導入し、そのDNAを染色体外要素として、又は染色体組込みによって複製可能にすることを意味する。使用される宿主細胞に応じて、形質転換はそのような細胞に適した標準的技術を使用してなされる。塩化カルシウムを用いるカルシウム処理は実質的な細胞壁障害を含む細菌細胞のために一般に使用される。形質転換のための他の方法はポリエチレングリコール/DMSOを用いる。さらに別の方法はエレクトロポレーションである。
本発明のポリペプチドを生産するために使用される原核生物細胞は当該分野で知られ、選択された宿主細胞の培養に適した培地中で増殖させられる。好適な培地の例には、ルリア培地(LB)プラス必須栄養分サプリメントが含まれる。ある実施態様では、培地は発現ベクターを含む原核生物細胞の増殖を選択的に可能にするために、発現ベクターの構成に基づいて選択される選択剤をまた含む。例えば、アンピシリンがアンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞の増殖用培地に加えられる。
原核生物宿主細胞は適切な温度で培養される。ある実施態様では、例えば、大腸菌の増殖に対しては、温度は約20℃から約39℃、約25℃から約37℃の範囲、又は約30℃である。培地のpHは、主として宿主生物に応じて、約5から約9の範囲の任意のpHでありうる。ある実施態様では、大腸菌に対しては、pHは好ましくは約6.8から約7.4、又は約7.0である。
一実施態様では、発現された本発明のポリペプチドは宿主細胞の細胞膜周辺中に分泌され、そこから回収される。タンパク質の回収は、一般的には浸透圧ショック、超音波処理又は溶解のような手段によって典型的には微生物を破壊することを含む。ひとたび細胞が破壊されると、細胞片又は全細胞を遠心分離又は濾過によって除去することができる。タンパク質は、例えばアフィニティー樹脂クロマトグラフィーによって更に精製することができる。あるいは、タンパク質は培養培地に輸送しそこで分離することができる。細胞を培養物から除去することができ、培養上清は濾過され、生成したタンパク質の更なる精製のために濃縮される。発現されたポリペプチドを更に単離し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)及びウェスタンブロットアッセイ法のような一般的に知られている方法を使用して同定することができる。
発酵法では、タンパク質の発現の誘導は、典型的には、細胞が適切な条件下にて、初期定常期に細胞があるステージで、所望の密度、例えば約180−220のOD550まで増殖したところで開始される。当該分野で知られ上述されているように、用いられるベクターコンストラクトに応じて、様々なインデューサーを用いることができる。細胞を誘導前の短い時間の間、増殖させてもよい。細胞は通常約12−50時間の間、誘導されるが、更に長い又は短い誘導時間としてもよい。
発現された異種タンパク質(特にタンパク分解を受けやすいもの)のタンパク質分解を最小にするために、タンパク質分解酵素を欠くある種の宿主株を本発明に用いることができる。例えば、原核生物宿主細胞株を改変して、プロテアーゼIII、OmpT、DegP、Tsp、プロテアーゼI、プロテアーゼMi、プロテアーゼV、プロテアーゼVI及びその組合せのような既知の細菌プロテアーゼをコードしている遺伝子に遺伝子突然変異を生じさせることができる。幾つかの大腸菌プロテアーゼ欠損株が利用でき、例えば、上掲のJoly等 (1998);Georgiou等, 米国特許第5264365号;Georgiou等, 米国特許第5508192号;Hara等 (1996) Microbial Drug Resistance 2:63-72に記載されている。
ある実施態様では、タンパク質溶解性酵素を欠損した、一以上のシャペロンタンパク質を過剰発現するプラスミドで形質転換した大腸菌株を本発明の発現系の宿主細胞として用いる。
一実施態様では、本明細書中で産生した抗体タンパク質は、更なるアッセイや使用のために実質的に均一である調製物を得るためにさらに精製される。当分野で公知の標準的なタンパク質精製方法を用いることができる。以下の方法は好適な精製手順の例である:免疫親和性又はイオン交換カラムによる分画化、エタノール沈降法、逆相HPLC、シリカ又はDEAEなどの陽性交換樹脂によるクロマトグラフィ、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈降法及び、例えばSephadex G-75を用いたゲル濾過法。
一態様では、固形層に固定したプロテインAを本発明の抗体産物の免疫親和性精製法に用いる。プロテインAは抗体のFc領域に高い親和性で結合する黄色ブドウ球菌から単離した41kDの細胞壁タンパク質である。Lindmark等 (1983) J. Immunol. Meth. 62:1-13。プロテインAを固定した固形層は、ガラス又はシリカ表面、又は孔を調節したガラスカラム又はケイ酸カラムを含むカラムでありうる。ある方法では、カラムは非特異的な混入物の接着を防ぐ可能性があるグリセロールなどの試薬でコートされている。
精製の初めの工程では、上記に記載のように細胞培養物からの調製物をプロテインA固定固形層に適応し、プロテインAに対象とする抗体を特異的に結合させる。ついで、固形層を洗浄して、固形層に非特異的に結合した混入物を除去してもよい。最後に、対象とする抗体を溶出により固形層から除去する。
一般的に、真核生物宿主細胞で用いるためのベクターは、以下の非限定的な成分の一以上を含む:シグナル配列、複製起点、一以上のマーカー遺伝子、エンハンサー因子、プロモータ及び転写終末因子。
真核生物の宿主細胞に用いるベクターは、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいは対象とするポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドを含んでいてもよい。選択された異種シグナル配列は宿主細胞によって認識され加工される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものであってもよい。哺乳動物細胞での発現においては、哺乳動物のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが利用できる。このような前駆体領域のDNAは、多価抗体をコードするDNAに読み取り枠を一致させて結合される。
一般には、哺乳動物の発現ベクターには複製開始点成分は不要である。例えば、SV40開始点は典型的にはただ初期プロモーターを有しているために用いられる。
発現及びクローニングベクターは、選択可能マーカーとも称される選択遺伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他の毒素に耐性を与え、(b)必要があれば栄養要求性欠陥を補い、又は(c)複合培地から得られない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。
選択方法の一例では、宿主細胞の成長を抑止する薬物が用いられる。異種性遺伝子で首尾よく形質転換した細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を生産し、よって選択工程を生存する。このような優性選択の例は、薬剤ネオマイシン、ミコフェノール酸及びハイグロマイシンを使用する。
例えば、DHFR選択遺伝子によって形質転換された細胞は、先ず、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトリキセート(Mtx)を含む培地において形質転換物の全てを培養することで同定される。野生型DHFRを用いた場合の好適な宿主細胞は、DHFR活性に欠陥のあるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)株化細胞である(例として、ATCC CRL-9096)。
あるいは、抗体をコードするDNA配列、野生型DHFRタンパク質、及びアミノグリコシド3'-ホスホトランスフェラーゼ(APH)のような他の選択可能マーカーで形質転換あるいは同時形質転換した宿主細胞(特に、内在性DHFRを含む野生型宿主)は、カナマイシン、ネオマイシンあるいはG418のようなアミノグリコシド抗生物質のような選択可能マーカーの選択剤を含む培地中での細胞増殖により選択することができる。米国特許第4965199号を参照のこと。
発現及びクローニングベクターは通常は宿主生物体によって認識され対象のポリペプチド(例えば抗体)をコードする核酸に作用可能に結合しているプロモーターを含む。真核生物のプロモーター配列が知られている。例えば、実質的に全ての真核生物の遺伝子が、転写開始部位からおよそ25ないし30塩基上流に見出されるATリッチ領域を有している。多数の遺伝子の転写開始位置から70ないし80塩基上流に見出される他の配列は、Nが任意のヌクレオチドであるCNCAAT領域である。大部分の真核生物遺伝子の3'末端には、コード配列の3'末端へのポリA尾部の付加に対するシグナルであるAATAAA配列がある。ある実施態様では、これらの配列のいずれか又は全ては真核生物の発現ベクターに適切に挿入される。
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点を更に含むSV40制限断片として簡便に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは、HindIIIE制限断片として簡便に得られる。ベクターとしてウシ乳頭腫ウイルスを用いて哺乳動物宿主中でDNAを発現させる系が、米国特許第4419446号に開示されている。この系の変形例は米国特許第4601978号に開示されている。また、単純ヘルペスウイルスからのチミジンキナーゼプロモーターの制御下でのマウス細胞におけるヒトβ-インターフェロンcDNAの発現を記載している、Reyes等, Nature 297:598-601 (1982)を参照。あるいは、ラウス肉腫ウイルス長末端反復をプロモーターとして使用することができる。
より高等の真核生物によるこの発明の抗体をコードしているDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによってしばしば増強される。哺乳動物遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインスリン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100−270塩基対)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウイルスエンハンサーが含まれる。また、真核生物プロモーターの活性化のためのエンハンサー要素を記載している、Yaniv, Nature, 297:17-18 (1982)も参照のこと。エンハンサーは、抗体ポリペプチドコード配列の5'又は3'位でベクター中にスプライシングされうるが、一般にはプロモーターから5'位に位置している。
また、真核生物宿主細胞に用いられる発現ベクターは、典型的には、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列を含みうる。このような配列は、真核生物又はウイルスのDNA又はcDNAの5'、時には3'の非翻訳領域から一般に取得できる。これらの領域は、抗体をコードしているmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。一つの有用な転写終結成分はウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。国際公開第94/11026号とそこに開示された発現ベクターを参照のこと。
ここに記載のベクター中のDNAをクローニングあるいは発現させるために適切な宿主細胞は、脊椎動物の宿主細胞を含む本明細書中に記載の高等真核生物細胞を含む。培養(組織培養)中での脊椎動物細胞の増殖は常套的な手順になっている。有用な哺乳動物宿主株化細胞の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7, ATCC CRL1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Graham等, J. Gen Virol., 36:59 (1977));ハムスター乳児腎細胞(BHK, ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980));マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1980));サルの腎細胞 (CV1 ATCC CCL70); アフリカミドリザルの腎細胞(VERO-76, ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞 (HELA, ATCC CCL2);イヌ腎細胞 (MDCK, ATCC CCL34);バッファローラット肝細胞 (BRL3A, ATCC CRL1442);ヒト肺細胞 (W138, ATCC CCL75);ヒト肝細胞 (Hep G2, HB8065);マウス乳房腫瘍細胞 (MMT060562, ATCC CCL51);TRI細胞(Mather等, Annals N.Y. Acad. Sci., 383:44-68 (1982));MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌株(HepG2)である。
宿主細胞は、抗体生産のために上述の発現又はクローニングベクターで形質転換され、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードしている遺伝子を増幅するために適切に修飾された常套的栄養培地で培養される。
本発明の抗体を産生するために用いられる宿主細胞は種々の培地において培養することができる。市販培地の例としては、ハム(Ham)のF10(シグマ)、最小必須培地((MEM),(シグマ)、RPMI-1640(シグマ)及びダルベッコの改良イーグル培地((DMEM),シグマ)が宿主細胞の培養に好適である。また、Ham等, Meth. Enz. 58:44 (1979), Barnes等, Anal. Biochem. 102:255 (1980), 米国特許第4767704号;同4657866号;同4927762号;同4560655号;又は同5122469号;国際公開第90/03430号;国際公開第87/00195号;又は米国再発行特許第30985号に記載された何れの培地も宿主細胞に対する培地として使用できる。これらの培地には何れもホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインシュリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、GENTAMYCINTM薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は等価なエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について過去に用いられているものであり、当業者には明らかであろう。
組換え技術を用いる場合、抗体は細胞内で生成され、又は培地内に直接分泌される。抗体が細胞内に生成された場合、第1の工程として、宿主細胞か溶解された断片の何れにしても、粒子状の細片が、例えば遠心分離又は限外濾過によって除去されうる。抗体が培地に分泌された場合は、そのような発現系からの上清を、一般的には先ず市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmicon又はPelliconの限外濾過装置を用いて濃縮してもよい。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を上記の任意の工程に含めて、タンパク質分解を阻害してもよく、また抗生物質を含めて外来性の汚染物の成長を防止してもよい。
細胞から調製した抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製でき、アフィニティクロマトグラフィーが従来の技術である。アフィニティーリガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体中に存在する免疫グロブリンFc領域の種及びアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ1、γ2、又はγ4重鎖に基づく抗体の精製に用いることができる(Lindmark等, J. immunol. Meth. 62: 1-13 (1983))。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3に推奨されている(Guss等, EMBO J. 5: 16571575 (1986))。アフィニティーリガンドが結合されるマトリクスはアガロースであってもよく、他の材料も使用可能である。孔制御ガラスやポリ(スチレンジビニル)ベンゼン等の機械的に安定なマトリクスは、アガロースで達成できるものより早い流速及び短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABXTM樹脂(J.T. Baker, Phillipsburg, NJ)が精製に有用である。イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンでのクロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換樹脂上でのSEPHAROSETMクロマトグラフィー(ポリアスパラギン酸カラム)、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿法も、回収される多価抗体に応じて利用可能である。
予備的精製工程に続いて、目的の抗体及び混入物を含む混合液を、例えばpH約2.5−4.5、好ましくは低塩濃度(例として、約0−0.25M塩)の溶出緩衝液を用いた低pH疎水性作用クロマトグラフィによってさらに精製してもよい。
一般に、研究、試験及び臨床において使用するための抗体を調製するために、上記の方法と一致しており、及び/又は当業者が対象の特定の抗体にふさわしいと思われる、様々な方法が当分野で確立されている。
また、本発明は、化学療法剤、薬剤、増殖阻害剤、毒素(例えば、細菌、糸状菌、植物又は動物由来の酵素活性性毒素、又はその断片)、又は放射性同位体(すなわち放射性コンジュゲート)などの一又は複数の細胞毒性剤にコンジュゲートした本発明の何れかの抗STEAP−1抗体を含む、イムノコンジュゲート(「抗体−薬剤コンジュゲート」又は「ADC」と交換可能に称される)を提供する。
ある実施態様では、イムノコンジュゲートは抗STEAP−1抗体と化学療法剤又は他の毒素とを含む。イムノコンジュゲートの生成に有用な化学治療薬を本明細書中(例えば、上記)に記載した。酵素活性毒素及びその断片も用いられてもよく、本明細書中に記載する。
ある実施態様では、イムノコンジュゲートは抗STEAP−1抗体と一又は複数の小分子毒素、限定するものではないが、例えばカリケアマイシン、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウロスタチン、トリコセン(trichothene)及びCC1065、及び毒性活性を有するこれら薬剤の誘導体などの小分子薬剤とを含む。このようなイムノコンジュゲートの例は以降にさらに詳細に検討される。
本発明のイムノコンジュゲート(又は「抗体−薬剤コンジュゲート」(「ADC」))は、以下の式Iのものであり、任意のリンカー(L)を介して、一又は複数の薬剤部分(D)に抗STEAP−1抗体がコンジュゲート(すなわち共有結合)しているものである。
Ab−(L−D)p 式I
したがって、抗STEAP−1抗体は直接又はリンカーを介して薬剤にコンジュゲートしうる。式Iでは、pは抗体当たりの薬剤部分の平均数であり、例えば1抗体当たりおよそ1〜およそ20の薬剤部分、ある実施態様では、抗体当たり1〜およそ8の薬剤部分の範囲でありうる。
例示的なリンカーと薬剤成分を本明細書中において開示する。リンカーは、一又は複数のリンカー成分を含みうる。例示的なリンカー成分には、6-マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、バリン-シトルリン(「val-cit」又は「vc」)、アラニン-フェニルアラニン(「ala-phe」)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(「PAB」)、N-スクシンイミジル4(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(「SPP」)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(「SMCC」)、N-スクシンイミジル(4-イオド-アセチル)アミノ安息香酸エステル(「SIAB」)、及び一又は複数の反復単位(「EO」又は「PEO」)としてのエチレンオキシ−CH2CH2O−が含まれる。様々なリンカー成分が当分野で公知であり、そのいくつかを以下に記載する。
リンカーは、細胞内での薬剤の放出を容易にする「切断可能なリンカー」でもよい。例えば、酸に弱いリンカー(例えばヒドラゾン)、プロテアーゼ感受性(例えばペプチダーゼ感受性)リンカー、感光性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari等,Cancer Research 52:127-131[1992];米国特許第5208020号)を使用してもよい。
このとき、
−A−は、抗体(Ab)のシステインチオールに共有結合にて付着したストレッチャーユニットであり、
aは0又は1であり、
各々の−W−は、独立したアミノ酸ユニットであり、
wはそれぞれ、0から12の整数であり、
−Y−は、薬剤成分に共有結合にて付着したスペーサーユニットであり、そして、yは0、1又は2である。
ストレッチャユニット(−A−)は、存在する場合には、抗体ユニットをアミノ酸ユニット(−W−)に連結することができる。この点に関しては、抗体(Ab)は、ストレッチャーの求電性の官能基と結合することができる遊離システインチオール基を有する。天然ないし化学的操作のいずれにかによって抗体に存在することができる有用な官能基には、スルフヒドリル(−SH)、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシ、炭水化物のアノマー水酸基及びカルボキシルが含まれるがこれらに限定されるものではない。一態様では、抗体官能基はスルフヒドリル又はアミノである。スルフヒドリル基は、抗体の分子内ジスルフィド結合の還元によって生成されうる。あるいは、2-イミノチオラン(トラウトの試薬)又は他のスルフヒドリル生成試薬を用いて、抗体のリジン成分のアミノ基を反応させることによって、スルフヒドリル基を生成することができる。一実施態様では、抗体(Ab)は、ストレッチャーユニットの求電子性の官能基と結合することができる遊離したシステインチオール基を有する。式Iのコンジュゲートの例示的なストレッチャーユニットは、式II及び式IIIで示すものであり、このときAb、−W−、−Y−、−D、w及びyは前記に定義した通りであり、R17は、(CH2)r、C3−C8 カルボシクリル、O−(CH2)r、アリーレン、(CH2)r−アリーレン、−アリーレン−(CH2)r−、(CH2)r−(C3−C8 カルボシクリル)、(C3−C8 カルボシクリル)−(CH2)r、C3−C8 ヘテロシクリル、(CH2)r−(C3−C8 ヘテロシクリル)、−(C3−C8 ヘテロシクリル)−(CH2)r−、−(CH2)rC(O)NRb(CH2)r−、−(CH2CH2O)r−、−(CH2CH2O)r−CH2−、−(CH2)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−、−(CH2)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−CH2−、−(CH2CH2O)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−、−(CH2CH2O)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−CH2−、及び−(CH2CH2O)rC(O)NRb(CH2)r−から選択される二価の基であり、RbはH、C1−C6アルキル、フェニル又はベンジルであり、そして、rはそれぞれ、1から10の範囲の整数である。
ヘテロシクリル基には、一又は複数の環原子がヘテロ原子、例えば窒素、酸素及び硫黄である環式システムが含まれる。複素環基は、1〜20の炭素原子とN、O、P及びSから選択される1〜3のヘテロ原子を含む。複素環は、3〜7員環を有するモノシクロ(2〜6の炭素原子とN、O、P及びSから選択される1〜3のヘテロ原子)又は7〜10員環を有するビシクロ (4〜9の炭素原子とN、O、P及びSから選択される1〜3のヘテロ原子)、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]システムであってもよい。複素環は、Paquette, Leo A.; "Principles of Modern Heterocyclic Chemistry" (W.A. Benjamin, New York, 1968)、特に第1, 3, 4, 6, 7及び9章;"The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A series of Monographs" (John Wiley & Sons, New York, 1950 to present)、特に13, 14, 16, 19及び28号;及び、J. Am. Chem. Soc. (1960) 82:5566に記載される。
「カルボシクリル基(Carbocyclyl)」には、単環として3〜7の炭素原子又は二環として7〜12の炭素原子を有する飽和ないしは不飽和の環が含まれる。単環の炭素環は3〜6の環状原子、より一般的には5又は6の環状原子を有する。二環式の炭素環は、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]又は[6,6]システムとして配置した7〜12の環状原子、又はビシクロ[5,6]又は[6,6]システムとして配置した9又は10の環状原子を有する。単環の炭素環の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペント−1−エニル、1−シクロペント−2−エニル、1−シクロペント−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキス−1−エニル、1−シクロヘキス−2−エニル、1−シクロヘキス−3−エニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが含まれる。
図示する式IIのストレッチャーユニットは、R17が−(CH2)5−である、マレイミド−カプロイル(MC)から得られる。
図示する式IIのストレッチャーユニットは、R17が−(CH2)2−である、マレイミド−プロパノイル(MP)から得られる。
他の図示する式IIのストレッチャーユニットは、R17が−(CH2)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−CH2−であり、RbがHであり、各々のrが2である。
図示する式IIIのストレッチャーユニットは、R17が−(CH2)5−である。
さらに他の実施態様では、ストレッチャーの反応基は、抗体の遊離したシステインチオールと結合することができるチオール反応性の官能基を含む。チオール反応性の官能基の例には、限定するものではないが、マレイミド、α−ハロアセチル、活性エステル、例として、スクシンイミドエステル、4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、無水物、酸クロリド、塩化スルホニル、イソシアネート及びイソチオシアネートが含まれる。この実施態様の代表的なストレッチャーユニットは、式Va及びVbに表され、このとき、−R17−、Ab−、−W−、−Y−、−D、w及びyは前記に定義した通りである。
他の実施態様では、リンカーは、分岐した多機能性リンカー成分を介して一より多い薬剤成分を抗体へ共有結合的に付着させるために樹枝状型である(Sun等 (2002) Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 12:2213-2215;Sun等 (2003) Bioorganic & Medicinal Chemistry 11:1761-176;King (2002) Tetrahedron Letters 43:1987-1990)。樹枝状のリンカーは抗体に対する薬剤のモル比を増やす、すなわち負荷することができ、これはADCの力価に関連がある。したがって、システイン改変抗体は1つの反応性のシステインチオール基のみを有する場合、多くの薬剤成分が樹枝状のリンカーを介して付着されうる。
リンカーはアミノ酸残基を含んでいてもよい。アミノ酸ユニット(−Ww−)は、存在する場合には、抗体(Ab)を本発明のシステイン改変抗体−薬剤コンジュゲート(ADC)の薬剤成分(D)に連結する。
−Ww−は、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド、ウンデカペプチド又はドデカペプチドのユニットである。アミノ酸ユニットを含むアミノ酸残基には、天然に生じるもの、並びにシトルリンなどの微量アミノ酸及び天然に生じないアミノ酸類似体が含まれる。各々の−W−ユニットはそれぞれ、以下の角括弧で示す式を有し、wは、0から12の範囲の整数である。
このとき、R19は、ヒドロゲン、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、ベンジル、p-ヒドロキシベンジル、−CH2OH、−CH(OH)CH3、−CH2CH2SCH3、−CH2CONH2、−CH2COOH、−CH2CH2CONH2、−CH2CH2COOH、−(CH2)3NHC(=NH)NH2、−(CH2)3NH2、−(CH2)3NHCOCH3、−(CH2)3NHCHO、−(CH2)4NHC(=NH)NH2、−(CH2)4NH2、−(CH2)4NHCOCH3、−(CH2)4NHCHO、−(CH2)3NHCONH2、−(CH2)4NHCONH2、−CH2CH2CH(OH)CH2NH2、2-pyridylmethyl−、3−ピリジルメチル−、4-ピリジルメチル−、フェニル、シクロヘキシル、
であり、
R19が水素以外である場合に、R19が付着される炭素原子はキラルである。R19が付着される各々の炭素原子は、独立して(S)又は(R)配位又はラセミ混合物にある。したがって、アミノ酸ユニットは、鏡像異性的に純粋であるか、ラセミ性であるか、又はジアステレオ異性であってもよい。
アミノ酸ユニットは、腫瘍関連プロテアーゼを含む一又は複数の酵素によって切断され、薬剤成分(−D)を遊離する。この薬剤成分は、一実施態様では、薬剤(D)を提供するために、放出時にインビボでプロトン化される。アミノ酸リンカー構成成分は、特定の酵素、例えば腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C及びD、又はプラスミンプロテアーゼによって酵素的に切断されるために設定し、その選択性が最適化されうる。
スペーサユニット(−Yy−)は、存在する場合(y=1又は2)には、アミノ酸ユニットが存在する(w=1〜12)場合に、アミノ酸ユニット(−Ww−)を薬剤部分(D)に連結する。あるいは、アミノ酸ユニットがない場合には、スペーサーユニットはストレッチャーユニットを薬剤成分に連結する。アミノ酸ユニット及びストレッチャーユニットがともにない(w、y=0)場合には、スペーサーユニットも薬剤成分を抗体ユニットに連結する。スペーサーユニットは、自己犠牲型及び非自己犠牲型の2つの一般的なタイプである。非自己犠牲的なスペーサーユニットは、抗体−薬剤コンジュゲート又は薬剤成分−リンカーからアミノ酸ユニットが切断、特に酵素的に切断された後に、スペーサーユニットの一部ないしはすべてが薬剤成分に結合したままとなるものである。グリシン−グリシンスペーサーユニット又はグリシンスペーサーユニットを含むADCが腫瘍細胞関連プロテアーゼ、癌細胞関連プロテアーゼ又はリンパ球関連プロテアーゼによって酵素切断される場合、グリシン−グリシン−薬剤成分又はグリシン−薬剤成分がAb−Aa−Ww−から切断される。一実施態様では、独立した加水分解反応が標的細胞の中で起こり、グリシン−薬剤成分の結合が切断され、薬剤が遊離される。
他の実施態様では、−Yy−は、フェニレン部分がQmに置換しているp-アミノベンジルカルバモイル(PAB)ユニットであり、このときQは−C1−C8アルキル、−O−(C1−C8アルキル)、−ハロゲン、−ニトロ、又は−シアノであり、そして、mは0〜4の範囲の整数である。
一実施態様では、スペーサーユニットがない(y=0)、又は薬学的に許容可能な塩ないしはその溶媒和化合物である、薬剤成分−リンカー又はADCが提供される。
あるいは、自己犠牲的なスペーサーユニットを含むADCは−Dを放出しうる。一実施態様では、−Y−はPABグループのアミノ窒素原子を介して−Ww−に連結されるPABグループであり、カルボナート、カルバメート又はエーテル基を介して−Dに直接連結しており、このときADCは以下のような例示的な構造を有する。
このとき、Qは、−C1−C8アルキル、−O−(C1−C8アルキル)、−ハロゲン、−ニトロ、又は−シアノであり、mは0〜4の範囲の整数であり、そして、pは1から4の範囲である。
例示的なスペーサーユニット(−Yy−)を式X〜XIIに示す。
他の実施態様では、リンカーLは、分岐状の、多機能リンカー成分により一又は複数の薬剤成分が抗体に共有結合するために樹枝型のリンカーであってもよい(Sun等 (2002) Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 12:2213-2215;Sun等 (2003) Bioorganic & Medicinal Chemistry 11:1761-1768)。樹枝状のリンカーは抗体に対する薬剤のモル比を増す、すなわち負荷することができ、これはADCの力価に関連がある。したがって、システイン改変抗体は1つの反応性のシステインチオール基のみを有する場合、多くの薬剤成分が樹枝状のリンカーを介して付着されうる。分岐状の、樹枝状リンカーの例示的な実施態様には、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-p-クレゾール及び2,4,6-トリス(ヒドロキシメチル)-フェノールデンドリマーユニット(国際公開2004/01993;Szalai等 (2003) J. Amer. Chem. Soc. 125: 15688-15689;Shamis等 (2004) J. Amer. Chem. Soc. 126: 1726-1731;Amir等 (2003) Angew. Chem. Int. Ed. 42: 4494-4499)が含まれる。
一実施態様では、スペーサーユニットは分岐状ビス(ヒドロキシメチル)スチレン(BHMS)であり、これを用いて複数の薬剤を取り込み、放出することができ、以下の構造を有し、
2-(4-アミノベンジリデン)プロパン1,3-ジオールデンドリマーユニットを含み(国際公開2004/043493;de Groot等 (2003) Angew. Chem. Int. Ed. 42: 4490-4494)、Qは、−C1−C8アルキル、−O−(C1−C8アルキル)、−ハロゲン、−ニトロ、又は−シアノであり、mは0〜4の範囲の整数であり、nは0又は1であり、そして、pは1から4の範囲である。
このとき、Xは以下のものであり、
Yは以下の通りであり、
そして、RはそれぞれH又はC1−C6アルキルであり、そして、nは1〜12である。
一般的に、ペプチド−タイプのリンカーは、2以上のアミノ酸及び/又はペプチド断片間でペプチド結合を形成することによって調製されうる。このようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学の分野では周知である液相合成方法(E. Schroder and K. Lubke (1965) "The Peptides", volume 1, pp 76-136, Academic Press)に従って調製されうる。リンカー中間生成物は、スペーサー、ストレッチャー及びアミノ酸ユニットを含む反応のいずれかの組合せ又は連続によってアセンブリされてもよい。スペーサー、ストレッチャー及びアミノ酸ユニットは、天然で求電子性、求核性、又は遊離の基である反応性官能基を用いうる。反応性官能基には、カルボキシル、ヒドロキシル、パラ-ニトロフェニルカルボネート、イソチオシアネート、及びO−メシル、O−トシル、−Cl、−Br、−Iなどの脱離基、又はマレイミドが含まれるが、これらに限定されるものではない。
他の実施態様では、リンカーは、溶解性又は反応性を変更した基に置換されてもよい。例えば、ADCを調製するために用いる合成手段に応じて、スルホン酸(−SO3 −)又はアンモニウムなどの荷電性の置換基は、試薬の水溶性を増し、抗体又は薬剤成分とリンカー試薬とのカップリング反応を容易にしうるか、又はDとAb−L(抗体−リンカー中間生成物)とのカップリング反応、又はAbとD−L(薬剤−リンカー中間生成物)とのカップリング反応を容易にしうる。
メイタンシン及びメイタンシノイド
いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは一又は複数のメイタンシノイド分子と結合している本発明の抗体(完全長又は断片)を含んでなる。メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害するように作用する分裂阻害剤である。メイタンシンは、最初、東アフリカシラブMaytenus serrataから単離されたものである(米国特許第3896111号)。その後、ある種の微生物がメイタンシノイド類、例えばメイタンシノール及びC-3メイタンシノールエステルを生成することが発見された(米国特許第4151042号)。合成メイタンシノール及びその誘導体及び類似体は、例えば米国特許第4137230号;同4248870号;同4256746号;同4260608号;同4265814号;同4294757号;同4307016号;同4308268号;同4308269号;同4309428号;同4313946号;同4315929号;同4317821号;同4322348号;同4331598号;同4361650号;同4364866号;同4424219号;同4450254号;同4362663号;及び同4371533号に開示されている。
メイタンシノイド薬剤成分は、(i) 発酵又は化学修飾、発酵産物の誘導体化によって調製するために相対的に利用可能である(ii) 抗体に対する非ジスルフィドリンカーによる共役に好適な官能基による誘導体化に従う、(iii) 血漿中で安定、そして(iv) 様々な腫瘍細胞株に対して有効であるため、抗体薬剤コンジュゲートの魅力的な薬剤成分である。
メイタンシノイド薬剤部分としての使用に適切なメイタンシン化合物は当分野で周知であり、公知の方法に従って天然の供給源から単離してもよいし、又は遺伝子工学技術を用いて産生してもよい(Yu等 (2002) PNAS 99:7968-7973を参照)。また、マイタンシノール及びマイタンシノール類似体は、公知の方法に従って合成して調製されてもよい。
メイタンシノイド薬剤部分の例示的な実施態様には、本明細書中において開示した構造を有するDM1;DM3;及びDM4が含まれる。
いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは、ドラスタチン又はドロスタチンペプチジル類似体ないしは誘導体、例えばアウリスタチン(auristatin) (米国特許第5635483号;同第5780588号)にコンジュゲートした本発明の抗体を含んでなる。ドラスタチン及びアウリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解及び核と細胞の分割を妨げ(Woyke 等 (2001) Antimicrob. Agents and Chemother. 45(12): 3580-3584)、抗癌活性(米国特許第5663149号)及び抗真菌性活性(Pettit 等 (1998) Antimicrob. Agents Chemother. 42:2961-2965)を有することが示されている。ドラスタチン又はアウリスタチン薬剤成分は、ペプチジル薬剤分子のN(アミノ)末端又はC(カルボキシル)末端により抗体に接着しうる(国際公開第02/088172号)。
例示的なアウリスタチンの実施態様には、N末端連結モノメチルアウリスタチン薬剤部分DE及びDFを含み、2004年3月28日に公開されたSenter等, Proceedings of the American Association for Cancer Research, Volume 45, Abstract Number 623に開示される。この開示内容は出典明記によってその全体が特別に援用される。
ここで、DE及びDFの波線は、独立して各々の位置で、抗体又は抗体−リンカー成分への共有結合部位を示す。
R2は、H及びC1−C8アルキルから選択され、
R3は、H、C1−C8アルキル、C3−C8炭素環式化合物、アリール、C1−C8アルキル-アリール、C1−C8アルキル−(C3−C8炭素環式化合物)、C3−C8ヘテロ環及びC1−C8アルキル−(C3−C8ヘテロ環)から選択され、
R4は、H、C1−C8アルキル、C3−C8炭素環式化合物、アリール、C1−C8アルキル−アリール、C1−C8アルキル−(C3−C8炭素環式化合物)、C3−C8ヘテロ環及びC1−C8アルキル−(C3−C8ヘテロ環)から選択され、
R5は、H及びメチルから選択され、
又はR4及びR5は共同で環状炭素を形成し、Ra及びRbがH、C1−C8アルキル及びC3−C8炭素環式化合物からそれぞれ選択される式−(CRaRb)n−を有し、nは2、3、4、5及び6から選択され、
R6は、H及びC1−C8アルキルから選択され、
R7は、H、C1−C8アルキル、C3−C8炭素環式化合物、アリール、C1−C8アルキル−アリール、C1−C8アルキル−(C3−C8炭素環式化合物)、C3−C8ヘテロ環及びC1−C8アルキル−(C3−C8ヘテロ環)から選択され、
各々のR8は、H、OH、C1−C8アルキル、C3−C8炭素環及びO−(C1−C8アルキル)からそれぞれ選択され、
R9は、H及びC1−C8アルキルから選択され、
R10は、アリール又はC3−C8ヘテロ環から選択され、
ZはO、S、NH、又はR12がC1−C8アルキルであるNR12であり、
R11は、H、C1−C20アルキル、アリール、C3−C8ヘテロ環、−(R13O)m−R14、又は−(R13O)m−CH(R15)2から選択され、
mは、1〜1000の範囲の整数であり、
R13はC2−C8アルキルであり、
R14は、H又はC1−C8アルキルであり、
各々のR15の発生は、独立してH、COOH、−(CH2)n−N(R16)2、−(CH2)n−SO3H、又は−(CH2)n−SO3−C1−C8アルキルであり、
各々のR16の発生は、独立してH、C1−C8アルキル、又は−(CH2)n−COOHであり、
R18は、−C(R8)2−C(R8)2−アリール、−C(R8)2−C(R8)2(C3−C8ヘテロ環)、及び−C(R8)2−C(R8)2(C3−C8炭素環式化合物)から選択され、そして、nは0から6の範囲の整数である。
さらに他の実施態様では、R2及びR6はそれぞれメチルであり、R9は−Hである。
さらに他の実施態様では、各々のR8の発生は-OCH3である。
例示的な実施態様では、R3及びR4は各々イソプロピルであり、R2及びR6はそれぞれメチルであり、R5は-Hであり、R7はsec−ブチルであり、各々のR8の発生は−OCH3であり、そしてR9は−Hである。一実施態様では、Zは−O−又は−NH−である。
一実施態様では、R10はアリールである。
ある例示的な実施態様では、R10は−フェニルである。
ある例示的な実施態様では、Zが−O−の場合、R11は−H、メチル又はt−ブチルである。
一実施態様では、Zが−NHである場合に、R11は−CH(R15)2である。このR15は−(CH2)n−N(R16)2であり、R16は−C1−C8アルキル又は−(CH2)n−COOHである。
他の実施態様では、Zが−NHである場合に、R11は−CH(R15)2である。このR15は−(CH2)n−SO3Hである。
式DFの例示的なアウリスタチンの実施態様はMMAFである。ここで、波線は抗体−薬剤コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す(米国特許公開第2005/0238649号及びDoronina等 (2006) Bioconjugate Chem. 17:114-124)を参照)。
アウリスタチン/ドラスタチン又はその誘導体を含む式IのADCの例示的な実施態様は、米国特許公開第2005-0238649号A1及びDoronina等 (2006) Bioconjugate Chem. 17:114-124に記載されており、これは出典明記によってここに明確に援用される。MMAE又はMMAFと様々なリンカー成分を含む式IのADCの例示的な実施態様は、以下の構造及び略記号を有する(ここで、「Ab」は抗体であり、pは1〜およそ8であり、「Val−Cit」はバリン-シトルリンジペプチドであり、そして「S」は硫黄原子である。
一般的に、ペプチドベースの薬剤部分は、2以上のアミノ酸及び/又はペプチド断片間でペプチド結合を形成することによって調製されうる。このようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学の分野において周知の液相合成方法に従って調製することができる(E. Schroder and K. Lubke, "The Peptides", volume 1, pp 76-136, 1965, Academic Pressを参照)。アウリスタチン/ドラスタチン薬剤部分は、米国特許公開第2005-0238649号A1;米国特許公開第5635483号;米国特許第5780588号;Pettit 等 (1989) J. Am. Chem. Soc. 111: 5463-5465;Pettit 等 (1998) Anti-Cancer Drug Design 13:243-277;Pettit, G.R., 等 Synthesis, 1996, 719-725;及びPettit 等 (1996) J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 5:859-863;及びDoronina (2003) Nat. Biotechnol. 21(7): 778-784の方法に従って調製されうる。
特に、式DFのアウリスタチン/ドラスタチン薬剤部分、例えばMMAF及びその誘導体は、米国特許公開第2005-0238649号A1及びDoronina等 (2006) Bioconjugate Chem. 17:114-124に記載の方法を用いて調製されうる。式DEのアウリスタチン/ドラスタチン薬剤部分、例えばMMAE及びその誘導体は、Doronina等 (2003) Nat. Biotech. 21:778-784に記載の方法を用いて調製されうる。薬剤−リンカー部分であるMC-MMAF、MC-MMAE、MC-vc-PAB-MMAF、及びMC-vc-PAB-MMAEは、例えばDoronina等 (2003) Nat. Biotech. 21:778-784、及び米国特許公開第2005/0238649号A1に記載のような常套的な方法によって都合よく合成され、その後対象の抗体にコンジュゲートされてもよい。
薬剤ローディングは、式Iの分子において、抗体当たりの薬剤部分の平均数であり、pによって表される。薬剤ローディングは抗体当たり1〜20の薬剤部分(D)の範囲であってもよい。式IのADCには、1から20の薬剤部分の範囲でコンジュゲートされる抗体の集まりが含まれる。コンジュゲート反応からのADCの調製において抗体当たりの薬剤部分の平均数は、質量分析、ELISAアッセイ及びHPLCなどの従来の方法によって特徴付けられうる。pに関するADCの定量的分布も決定されうる。いくつかの場合では、pが他の薬剤ローディングを有するADCの一定の値である場合の均質なADCの分離、精製及び特徴づけは、逆相HPLC又は電気泳動などの手段によって達成されうる。
ある抗体−薬剤コンジュゲートでは、pは抗体上の結合部位の数によって限定されうる。例えば、結合がシステインチオールである場合、上記の例示的な実施態様のように、抗体はたった1つ又は複数のシステインチオール基を有してもよいし、結合しうるリンカーによってたった1つ又は複数の十分に活性なチオール基を有してもよい。ある実施態様では、薬剤ローディングが高いと、例えばp>5であると、特定の抗体−薬剤コンジュゲートの凝集、難溶性、毒性又は細胞透過性の喪失が起こりうる。ある実施態様では、本発明のADCの薬剤ローディングは、1からおよそ8、およそ2からおよそ6、およそ3からおよそ5、およそ3からおよそ4、およそ3.1からおよそ3.9、およそ3.2からおよそ3.8、およそ3.2からおよそ3.7、およそ3.2からおよそ3.6、およそ3.3からおよそ3.8、又はおよそ3.3からおよそ3.7の範囲である。実際、あるADCでは、抗体当たりの薬剤部分の適切な比は、8未満であってもよいし、およそ2〜およそ5であってもよい。米国特許公開第2005-0238649号A1(出典明記によってこの全体が本明細書中に援用される)を参照。
ADCのローディング(薬剤/抗体比率)は、例えば、(i) 抗体に対して薬剤−リンカー中間体又はリンカー試薬のモル過剰量を限定する、(ii) コンジュゲートの反応時間又は温度を限定する、(iii) システインチオール修飾のための還元条件を限定する、(iv) システイン残基がリンカー−薬剤接着の数及び/又は位置の制御のために変更されるように、抗体のアミノ酸配列を組み換え技術によって改変する(例えば、本明細書及び国際公開第2006/034488号(出典明記によって本明細書中に全体が援用される)において開示されるように調製したthioMab又はthioFab)ことによるなど、異なる方法で制御しうる。
式IのADCは、当業者に公知の有機化学的反応、条件及び試薬を用いた様々な手段、例えば、(1) 共有結合によってAb−Lを形成するための二価のリンカーと抗体の求核基との反応とその後の薬剤部分Dとの反応、及び(2) 共有結合によってD−Lを形成するための二価のリンカーと薬剤部分の求核基との反応とその後の抗体の求核基との反応などによって調製されてもよい。後者の手段による式IのADCを調製するための例示的な方法は米国特許公開第2005-0238649号A1に記載されており、出典明記によって本明細書中に明確に援用される。
抗体の求核基には、限定するものではないが、(i) N末端アミン基、(ii) 側鎖アミン基、例えばリジン、(iii) 側鎖チオール基、例えばシステイン、及び(iv) 抗体がグリコシル化される糖水酸基又はアミノ基が含まれる。アミン、チオール及び水酸基は、求核であり、反応して、リンカー部分及びリンカー試薬上の求電子性基により共有結合を形成することができる。このリンカー部分及びリンカー試薬には、(i) 活性エステル類、例えばNHSエステル類、HOBtエステル類、ハロギ酸類及び酸ハロゲン化物;(ii) アルキル及びベンジルハロゲン化物、例えばハロアセトアミド類;(iii) アルデヒド類、ケトン類、カルボキシル及びマレイミド基、が含まれる。特定の抗体は、還元しうる鎖間ジスルフィド、すなわちシステイン架橋を有する。抗体は、抗体が完全ないしは部分的に還元されるように、還元剤、例えばDTT(ジチオトレイトール)又はトリカルボニルエチルホスフィン(TCEP)による処置によって、リンカー試薬を用いたコンジュゲート反応を行ってもよい。ゆえに、各々のシステイン架橋は、理論的には、2つの反応性のチオール求核基を形成する。あるいは、リジン残基の修飾によって、例えば、チオールにアミンを転換させる2-イミノチオラン(トラウトの試薬)を用いてリジンを反応させることによって、抗体にスルフヒドリル基を導入することができる。反応性のチオール基は、1、2、3、4又はそれ以上のシステイン残基を導入する(例えば、一又は複数の非天然のシステインアミノ酸残基を含んでなる変異体抗体を調製する)ことによって抗体に導入されてもよい。
薬剤部分上の求核基には、限定するものではないが、反応して、リンカー部分及びリンカー試薬上の求電子性の基と共有結合することができるアミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボン酸エステル及びアリールヒドラジド基が含まれる。このリンカー部分及びリンカー試薬には、(i) 活性エステル類、例えばNHSエステル類、HOBtエステル類、ハロギ酸類及び酸ハロゲン化物;(ii) アルキル及びベンジルハロゲン化物、例えばハロアセトアミド類;(iii) アルデヒド類、ケトン類、カルボキシル及びマレイミド基、が含まれる。
また、抗体と細胞障害性剤のイムノコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等, Science 238:1098(1987)に記載されているようにして調製することができる。炭素-14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレン-トリアミン五酢酸(MX-DTPA)が抗体に放射性ヌクレオチドをコンジュゲートするためのキレート剤の例である。国際公開第94/11026号を参照されたい。
更なる他の実施態様では、腫瘍の事前ターゲティングに利用するために、「レセプター」(例えばストレプトアビジン)に抗体をコンジュゲートし、ここで抗体-レセプターコンジュゲートを患者に投与し、続いて清澄剤を使用して循環から非結合コンジュゲートを除去し、細胞障害性剤(例えば放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートする「リガンド」(例えばアビジン)を投与してもよい。
本発明の設定、選別及び調製方法により、さらに、求電子性の官能性と反応するシステイン改変抗STEAP−1抗体が可能である。これらの方法によりさらに、所定の設定した選択した部位に薬剤分子を有する抗体−薬剤コンジュゲート(ADC)化合物などの抗体複合体化合物が可能である。抗体表面上の反応性のシステイン残基により、マレイミド又はハロアセチルなどのチオール反応基を介した薬剤成分の特異的なコンジュゲートが可能である。マレイミド基に対するCys残基のチオール官能基の求核反応性は、リジン残基のアミノ基又はN-末端アミノ基などのタンパク質内の任意の他のアミノ酸官能性の、およそ1000倍である。ヨードアセチル及びマレイミド試薬のチオール特異的官能性はアミン基と反応するが、より高いpH(>9.0)とより長い反応時間が必要である(Garman, 1997, Non-Radioactive Labelling: A Practical Approach, Academic Press, London)。タンパク質内の遊離チオールの量は、標準的なエルマンのアッセイによって推定されてもよい。免疫グロブリンMはジスルフィド結合五量体の例であるのに対し、免疫グロブリンGは、サブユニットを一緒に結合している内部ジスルフィド架橋を有するタンパク質の例である。このタンパク質では、ジチオトレイトール(DTT)又はselenol(Singh等 (2002) Anal. Biochem. 304:147-156)などの試薬によるジスルフィド結合の還元は、反応性の遊離チオールを生成するために必要である。この手法により、抗体立体構造及び抗原結合特異性が失われうる。
PHESELECTORアッセイにより、抗体の反応性のチオール基のスクリーニングが可能である。この方法によるA121C変異の同定は一例である。完全なFab分子は、反応性チオール基を有するThioFab変異体をより多く同定するために、効果的に検索されうる。パラメーターである断片的な表面のアクセス容易性を用いて、ポリペプチド内のアミノ酸残基に対する溶媒のアクセスしやすさを同定して、定量化した。表面のアクセス容易性は、溶媒分子、例えば水が接触することができる表面積(Å2)として表されうる。水が占める面積は1.4Å半径球として概算される。アルゴリズムを用いて公知のX線結晶学由来の座標によりタンパク質の各アミノ酸の表面アクセス容易性を算出する結晶学プログラムのCCP4 Suiteとして("The CCP4 Suite: Programs for Protein Crystallography" (1994) Acta. Cryst. D50: 760-763)、ソフトウェアは入手自由であるか許可されている(Secretary to CCP4, Daresbury Laboratory, Warrington, WA4 4AD, United Kingdom, Fax: (+44) 1925 603825, or by internet: www.ccp4.ac.uk/dist/html/INDEX.html)。B.Lee and F.M.Richards (1971) J.Mol.Biol. 55:379-400のアルゴリズムに基づいて、表面アクセス容易性の算出を実行する2つの例示的なソフトウェアモジュールは、「AREAIMOL」及び「SURFACE」である。AREAIMOLは、タンパク質のヴァンデルワールス表面を転がるので、プローブ球(溶媒分子を表す)の中心の座標としてタンパク質の溶媒にアクセスする表面を定義する。AREAIMOLは、各原子の周りの拡がった球上(原子とプローブの半径の合計に等しい原子中心からの距離)に表面ポイントを生成して、周囲の原子と関連する同等の球内にあるものを除くことによって溶媒にアクセス容易な表面を算出する。AREAIMOLは、PDB座標ファイルに原子の溶媒にアクセス容易な領域を見つけ、残基、鎖、及び全分子がアクセス容易な領域をまとめる。個々の原子がアクセス容易な領域(又は、領域の相違)は、偽PDB出力ファイルに書き込まれる。AREAIMOLは各エレメントについて単一の半径を仮定し、限られた数の異なるエレメントを認識するのみである。
システイン改変抗体をコードするDNAを容易に単離し、従来の手順を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)配列決定される。ハイブリドーマ細胞はこのようなDNAの供与源として役立つ。単離した後、DNAを発現ベクターに入れ、ついでそれを、大腸菌、サルのCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は他の哺乳動物の宿主細胞、例えば抗体タンパク質を産生しない骨髄腫細胞(米国特許第5807715号;米国公開特許第2005/0048572号;米国公開特許第2004/0229310)などの宿主細胞に形質移入して、組み換え宿主細胞内でモノクローナル抗体の合成を得てもよい。
改変されたCysチオール基は、求電子性リンカー試薬及び薬剤−リンカー中間生成物と反応して、システイン改変抗体薬剤コンジュゲート及び他の標識したシステイン改変抗体を形成する。親抗体に存在し、鎖内及び鎖間のジスルフィド結合を形成するシステイン改変抗体Cys残基は、反応性チオール基を全く持っておらず(還元剤で処理されない限り)、求電子性のリンカー試薬又は薬剤−リンカー中間生成物と反応しない。新規に改変されたCys残基は対形成せずに、反応することができる。すなわち求電子性のリンカー試薬又は薬剤−マレイミドなどの薬剤−リンカー中間生成物にコンジュゲートすることができる。例示的な薬剤−リンカー中間生成物には、MC−MMAE、MC−MMAF、MC−vc−PAB−MMAE及びMC−vc−PAB−MMAFが含まれる。重鎖及び軽鎖の改変したCys残基の構造位置は連続する番号付けシステムに従って番号付けする。この連続する番号付けシステムは、N末端から始まるカバット番号付けシステム(Kabat等, (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD)に関連しており、a、b、cで示す挿入がカバット番号付けスキーム(下列)とは異なる。カバット番号付けシステムを用いると、実際の直鎖のアミノ酸配列は、可変ドメインのFRないしCDRが短くなっているアミノ酸か、又はFRないしCDRに挿入を含むアミノ酸を含みうる。システイン改変重鎖変異体部位は連続する番号付け及びカバット番号付けスキームによって同定される。
(a) システインによって親抗STEAP−1抗体の一又は複数のアミノ酸残基を置換する、そして、
(b) チオール反応性の試薬とシステイン改変抗体を反応させることによって、システイン改変抗STEAP−1抗体のチオール反応性を決定する
ことを含む方法によって調製される。
システイン改変抗体は親抗体よりチオール反応性の試薬との反応性が高くてもよい。
遊離システインアミノ酸残基は、重鎖ないし軽鎖、又は定常ドメインないし可変ドメインに位置してもよい。また、抗体断片、例えばFabは、抗体断片のアミノ酸を置換する一又は複数のシステインアミノ酸によって改変して、システイン改変抗体断片を形成してもよい。
本発明の他の実施態様は、
(a) 一又は複数のシステインアミノ酸を親抗STEAP−1抗体に導入して、システイン改変抗STEAP−1抗体を生成する、そして、
(b) チオール反応性の試薬によりシステイン改変抗体のチオール反応性を決定する
ことを含み、
このとき、システイン改変抗体は親抗体よりもチオール反応性の試薬と反応性が高いものである、システイン改変抗STEAP−1抗体を調製する(作製する)方法を提供する。
(i) システイン改変抗体をコードする核酸配列を突然変異誘発する、
(ii) システイン改変抗体を発現させる、そして、
(iii) システイン改変抗体を単離して、精製する
ことを含む。
システイン改変抗体を調製する方法の工程(b)は、ファージ又はファージミド粒子から選択されるウイルス粒子上にシステイン改変抗体を発現させることを含んでもよい。
また、システイン改変抗体を調製する方法の工程(b)は、
(i) システイン改変抗体をチオール反応性の親和性試薬と反応させ、親和性標識した、システイン改変抗体を生成させる、そして、
(ii) 親和性標識したシステイン改変抗体のキャプチャ培地への結合を測定する
ことを含んでもよい。
本発明の他の実施態様は、
(a) 親抗体に一又は複数のシステインアミノ酸を導入して、システイン改変抗体を生成する、
(b) システイン改変抗体をチオール反応性の親和性試薬と反応させ、親和性標識した、システイン改変抗体を生成させる、そして、
(c) 親和性標識したシステイン改変抗体のキャプチャ培地への結合を測定する、そして、
(d) チオール反応性の試薬によりシステイン改変抗体のチオール反応性を決定する
ことを含む、チオール反応のために高い反応性を有し、対形成をしないシステインアミノ酸を有するシステイン改変抗体をスクリーニングする方法である。
(i) システイン改変抗体をコードする核酸配列を突然変異誘発する、
(ii) システイン改変抗体を発現させる、そして、
(iii) システイン改変抗体を単離して、精製する
ことを含んでもよい。
システイン改変抗体をスクリーニングする方法の工程(b)は、ファージ又はファージミド粒子から選択されるウイルス粒子上にシステイン改変抗体を発現させることを含んでもよい。
また、システイン改変抗体をスクリーニングする方法の工程(b)は、
(i) システイン改変抗体をチオール反応性の親和性試薬と反応させ、親和性標識した、システイン改変抗体を生成させる、そして、
(ii) 親和性標識したシステイン改変抗体のキャプチャ培地への結合を測定する
ことを含んでもよい。
システイン改変抗STEAP−1抗体は部位特異的であり、チオール反応性の試薬と効率よくカップリングしうる。チオール反応性の試薬は、多機能性リンカー試薬、キャプチャ、すなわち親和性、標識試薬(例えばビオチン-リンカー試薬)、検出標識(例えば蛍光体試薬)、固相固定化試薬(例えばSEPHAROSETM、ポリスチレン又はガラス)、又は薬剤−リンカー中間生成物であってもよい。チオール反応性試薬の一例はN-エチルマレイミド(NEM)である。ある例示的な実施態様では、ビオチン-リンカー試薬とのThioFabの反応によりビオチン化されたThioFabが生じ、これによって改変されたシステイン残基の存在及び反応性が検出され、測定されうる。多機能リンカー試薬とのThioFabの反応により、薬剤成分試薬又は他の標識とさらに反応しうる官能化されたリンカーを有するThioFabが生じる。薬剤−リンカー中間生成物とのThioFabの反応により、ThioFab薬剤コンジュゲートが生じる。
本明細書中で記述される例示的な方法は一般に、抗体の同定及び産生、さらに一般的には、本明細書中に記載の設定及びスクリーニングの工程によって他のタンパク質に応用されてもよい。
システイン改変抗STEAP−1抗体とそのコンジュゲートは治療用及び/又は診断用の薬剤としての使用が明らかにされうる。本発明はさらに、STEAP−1関連疾患と関係する一又は複数の症状を予防するか、管理するか、治療するか又は、寛解する方法を提供する。特に、本発明は、癌、例えば前立腺癌、肺癌、大腸癌、膀胱癌、卵巣癌、及びユーイング肉腫などの細胞増殖性疾患と関係する一又は複数の症状を予防するか、管理するか、治療するか又は、寛解する方法を提供する。本発明はまた更に、STEAP−1関連の疾患又はこのような疾患を発達させる素因を診断するための方法、並びに好ましくは細胞関連のSTEAP−1ポリペプチドを結合する抗体、及び抗体の抗原結合断片を同定するための方法を提供する。
本発明の他の実施態様は、STEAP−1関連の疾患に応答する状態の治療において有用な医薬の調製のためのシステイン改変抗STEAP−1抗体の使用に関する。
式IのADCは、当業者に公知の有機化学的反応、条件及び試薬を用いた様々な手段、例えば、(1) システイン改変抗体のシステイン基をリンカー試薬と反応させて、共有結合によって抗体−リンカー中間生成物Ab−Lを形成させ、その後に薬剤成分Dと反応させる、及び(2) 薬剤成分の求核基をリンカー試薬と反応させて、共有結合によって薬剤−リンカー中間生成物D−Lを形成させ、その後にシステイン改変抗体のシステイン基と反応させる、などによって調製されてもよい。コンジュゲート方法(1)及び(2)は、様々なシステイン改変抗体、薬剤成分及びリンカーを用いて行い、式Iの抗体−薬剤コンジュゲートを調製してもよい。
抗体システインチオール基は求核基であり、反応して、リンカー試薬及び薬剤−リンカー中間生成物の求電子基と共有結合することができる。このリンカー試薬及び薬剤−リンカー中間生成物には、(i) 活性エステル類、例えばNHSエステル類、HOBtエステル類、ハロギ酸類及び酸ハロゲン化物、(ii) アルキル及びベンジルハロゲン化物、例えばハロアセトアミド類、(iii) アルデヒド類、ケトン類、カルボキシル及びマレイミド基、及び(iv) スルフィド交換による、ピリジルジスルフィドを含むジスルフィドが含まれる。薬剤成分の求核基には、リンカー成分及びリンカー試薬の求電子基と共有結合するために反応することができる、アミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボン酸エステル及びアリールヒドラジド基が含まれるが、これらに限定されるものではない。
図15は、アウリスタチン薬剤成分が、改変されたシステイン基の軽鎖(LC−ADC)、重鎖(HC−ADC)、及びFc領域(Fc−ADC)に付着している、システイン改変抗STEAP−1抗体薬剤コンジュゲート(ADC)の実施態様を示す。
抗体薬剤コンジュゲートの投与
本発明の抗体−薬剤コンジュゲート(ADC)は、治療される症状に適切な任意の手段によって投与されてもよい。典型的にADCは、非経口的に、すなわち注入、皮下、筋肉内、静脈内、皮内、くも膜下腔内及び硬膜外投与される。
前立腺、肺及び/又は大腸等の癌を治療するために、一実施態様では、抗体−薬剤コンジュゲートは静脈内注入により投与される。注入により投与される用量は、1用量当たりおよそ1μg/m2からおよそ10000μg/m2の範囲で、一般に週1回、合計1、2、3又は4回の用量である。あるいは、用量範囲は、およそ1μg/m2からおよそ1000μg/m2、およそ1μg/m2からおよそ800μg/m2、およそ1μg/m2からおよそ600μg/m2、およそ1μg/m2からおよそ400μg/m2、およそ10μg/m2からおよそ500μg/m2、およそ10μg/m2からおよそ300μg/m2、およそ10μg/m2からおよそ200μg/m2、及びおよそ1μg/m2からおよそ200μg/m2である。投薬は、1日1回、1週間に1回、1週間に複数回(1日1回より少ない)、1か月に複数回(1日1回より少ない)、1か月に複数回(1週間に1回より少ない)、1か月に1回又は疾患の症状が寛解又は緩和するように間欠的に投与されてもよい。投与は、腫瘍又はリンパ腫の症状、治療される白血病が寛解するまで開示したいずれかの間隔で継続されてもよい。このような寛解又は軽減がこのような継続的な投与によって延長される症状の寛解又は軽減が達成される後に、投与を続けてもよい。
また、本発明は、前立腺癌、肺癌、又は大腸癌に罹っている患者に、治療的に有効な量の前記実施態様のいずれか一のヒト化120v.24抗体であって、細胞障害性分子や検出可能な分子にコンジュゲートされている抗体を投与することを含む、前立腺癌、肺癌、又は大腸癌、及び/又はそれら癌の転移を緩和する方法を提供する。抗体は一般的に、およそ1μg/m2からおよそ1000mg/m2の用量範囲で投与される。
本発明の抗体ないしイムノコンジュゲート又は本発明の抗体−薬剤コンジュゲートを含んでなる治療用製剤は、所望の純度を持つ抗体又は抗体−薬剤コンジュゲートと、場合によっては生理学的に許容される担体、賦形剤又は安定化剤を混合することにより(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))、水溶液又は凍結乾燥又は他の乾燥製剤の形態に調製されて保存される。許容される担体、賦形剤又は安定化剤は、用いられる用量と濃度でレシピエントに非毒性であり、ホスフェート、シトレート、ヒスチジン及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンズエトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。インビボ投与に用いられる薬学的製剤は一般に滅菌されている。これは滅菌濾過メンブレンによる滅菌によって容易に達成される。
徐放性調合物を調製してもよい。徐放性調合物の好ましい例は、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートを含む疎水性固体ポリマーの半透性マトリクスを含み、そのマトリクスは成形物、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリクスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOTTM(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシブチル酸が含まれる。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸等のポリマーは、分子を100日以上かけて放出することを可能にするが、ある種のヒドロゲルはタンパク質をより短い時間で放出する。カプセル化された抗体ないしイムノコンジュゲートが体内に長時間残ると、37℃の水分に暴露された結果として変性又は凝集し、生物活性を喪失させ免疫原性を変化させるおそれがある。合理的な戦略を、関与するメカニズムに応じて安定化のために案出することができる。例えば、凝集機構がチオ-ジスルフィド交換による分子間S-S結合の形成であることが見いだされた場合、安定化はスルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥させ、水分含有量を制御し、適当な添加剤を使用し、また特定のポリマーマトリクス組成物を開発することによって達成されうる。
本発明の抗体−薬剤コンジュゲート(ADC)を用いて、例えば腫瘍抗原の過剰発現に特徴がある様々な疾患ないしは疾病を治療することが考慮される。例示的な症状又は過剰増殖性疾患には、良性ないし悪性の腫瘍;白血病及びリンパ系の悪性腫瘍が含まれる。他には、神経系、神経膠、星状性、視床下部、腺性、マクロファージ性、上皮性、間質性、胚盤胞性、炎症性、血管形成性、及び、自己免疫性を含む免疫性の疾患が含まれる。他にも、前立腺癌、肺癌、及び大腸癌が含まれる。
動物モデル及び細胞に基づくアッセイにおいて同定されるADC化合物はさらに、腫瘍を有する高次霊長類及びヒトの臨床試験で試験されうる。ヒトの臨床試験は、前立腺、肺又は大腸の細胞増殖性疾患、例えば限定するものではないが、前立腺癌、肺癌及び大腸癌、並びにこれら癌の転移を経験する患者において、本発明の抗STEAP−1モノクローナル抗体ないしイムノコンジュゲートの有効性を試験するために設定されうる。臨床試験は、公知の治療的投薬計画、例えば放射線及び/又は公知の化学療法剤及び/又は細胞障害性剤を伴う化学療法と組み合わせてADCの有効性を評価するように設定されてもよい。
疾患の予防又は治療のために、ADCの好適な用量は、上記のように、治療する疾患のタイプ、疾患の重症度及び経過、分子を予防目的で投与するか治療目的で投与するか、以前の治療法、患者の病歴及び抗体への応答性、及び担当医師の判断に依存するであろう。分子は一時的又は一連の治療にわたって好適に患者に投与される。疾患のタイプ及び重症度に応じて、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば0.1〜20mg/kg)の分子が、例えば一以上の分割投与又は連続注入による患者投与の初回候補用量である。ある典型的な1日量は、上記の要因に応じて、約1μg/kg〜約100mg/kg以上の範囲であろう。患者に投与されるADCの例示的な用量は、およそ0.1からおよそ10mg/患者体重kgの範囲である。
症状に応じて、数日間以上にわたる繰り返し投与は、所望の疾患症状の抑制が得られるまで持続する。例示的な用量投薬計画は、およそ4mg/kgの初回負荷投与量の後に、およそ2mg/kgの抗STEAP−1抗体の維持用量を毎週投与することを含む。他の投与計画も有用でありうる。この治療の経過は従来技術及びアッセイにより容易にモニターされる。
本発明の抗体−薬剤コンジュゲート(ADC)は、薬学的組合せ製剤又は併用療法としての用量投薬計画において、抗癌性質を有する少なくとも一つの追加の化合物を組み合わされてもよい。薬学的併用製剤又は用量投薬計画の少なくとも一つの追加の化合物は、それらが互いに悪影響を与えないように、併用のADCに対して相補的な活性を有するのが好ましい。
少なくとも一つの追加の化合物は、化学療法剤、細胞障害性剤、サイトカイン、増殖阻害性剤、抗ホルモン剤及び/又は心臓保護剤であってもよい。このような分子は、意図する目的のために有効である量で好適に組み合わされる。また、本発明のADCを含有する製薬的組成物は、治療的に有効な量の化学療法剤、例えばチューブリン形成インヒビター、トポイソメラーゼインヒビター又はDNA結合剤を有してもよい。
一実施態様では、ADCによる治療は、本明細書において同定される抗癌剤、及び異なる化学療法剤の混合物の同時投与を含む一又は複数の化学療法剤又は増殖阻害性剤の併用投与を伴う。化学療法剤には、タキサン(例えばパクリタキセル及びドセタキセル)及び/又はアンスラサイクリン抗生物質が含まれる。このような化学療法剤のための調製や投薬計画は、製造業者の指示に従って使われてもよいし、又は経験的に熟練した専門家によって測定されうる。このような化学療法の調製や投薬計画は、"Chemotherapy Service", (1992) Ed., M.C. Perry, Williams & Wilkins, Baltimore, Md.にも記載される。
併用療法により「相乗効果」が生じ得、「相乗的」、すなわち、同時に用いた活性成分が別々に該化合物を用いて生じる効果の合計よりも多い場合に生じる効果が生じうる。活性成分が、(1) 組み合わせた単位用量製剤に同時に製剤化され、投与されるか、又は同時に送達される場合、(2) 別々の製剤として交互に又は同時に送達される場合、又は、(3) いくつかの他の投薬計画によってなされる場合に、相乗効果が達成されうる。交替療法で送達される場合、例えば異なる注射器での異なる注入によって、化合物が投与されるか又は順次送達される場合に、相乗効果が達成されてもよい。通常は、交替療法の間、各々の活性成分の有効用量は順次、すなわち連続的に投与されるのに対して、併用療法では、2以上の活性成分の有効用量は一緒に投与される。
代謝産物が先行技術に対して新規性及び非自明性を有する限りにおいて、本明細書中に記載のADC化合物のインビボ代謝産物も、本発明の権利内である。このような生成物は、投与された化合物の、例えば酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化、酵素切断などから生じうる。したがって、本発明は、代謝産物が生じるために十分な時間、本発明の化合物を哺乳動物と接触させることを含む方法によって生成される新規の自明でない化合物を包含する。
典型的には、代謝産物は、放射性標識した(例えば14C又は3H)ADCを調製して、ラット、マウス、モルモット、サルなどの動物又はヒトに検出可能な用量(例えば、およそ0.5mg/kg以上)で非経口投与し、代謝が生じるために十分な時間(典型的にはおよそ30秒から30時間)をおいて、尿、血液又は他の生体試料から変換生成物を単離することによって同定される。標識されているので、これら生成物は容易に単離される(他のものは、代謝産物中に残っているエピトープを結合することができる抗体を用いて単離される)。代謝産物の構造は従来の様式、例えばMS、LC/MS又はNMR分析によって決定される。通常、当分野の技術者に周知の従来の薬物代謝研究と同じ方法で代謝産物の分析が行われる。インビボで見られない限り、変換生成物は本発明のADC化合物の治療的投薬のための診断検査法において有用である。
診断法と検出の方法
一態様では、本発明の抗STEAP−1抗体及びイムノコンジュゲートは、生体試料中のSTEAP−1の存在を検出するために有用である。本明細書中で用いる「検出する」なる用語は、定量的又は定性的な検出を包含する。ある実施態様では、生体試料は、細胞又は組織を含む。ある実施態様では、このような組織には、他の組織、例えば前立腺、肺及び大腸と比較して高いレベルでSTEAP−1を発現する正常及び/又は癌性組織が含まれる。
一態様では、本発明は、生体試料中のSTEAP−1の存在を検出する方法を提供する。ある実施態様では、前記方法は、STEAP−1への抗STEAP−1抗体の結合に許容される条件下で抗STEAP−1抗体と生体試料を接触させ、抗STEAP−1抗体とSTEAP−1との間に複合体が形成されるか否かを検出することを含む。
本発明の抗体を用いて診断されうる例示的な細胞増殖性疾患には、前立腺癌、肺癌及び大腸癌、又はこれら癌の転移が含まれる。
ある他の方法は、STEAP−1に対する抗STEAP−1抗体の結合を検出するために用いてもよい。前期の方法には、限定するものではないが、当分野で周知である抗原-結合アッセイ、例えばウェスタンブロット、放射性免疫アッセイ、ELISA(抗体結合免疫吸着検定)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、及び免疫組織化学(IHC)が含まれる。
ある実施態様では、抗STEAP−1抗体は標識される。標識には、限定するものではないが、直接検出される標識又は分子(例えば、蛍光、発色、高電子密度、化学発光、及び放射性標識)、並びに、例えば酵素反応又は分子相互作用によって間接的に検出される酵素ないしはリガンドなどの分子が含まれる。例示的な標識には、限定するものではないが、放射性同位体である32P、14C、125I、3H及び131I、フルオロフォア、例えば希有土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、例えばホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4737456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタルアジネジオン(dihydrophthalazinediones)、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リソチーム、サッカライドオキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、複素環のオキシダーゼ、例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ、HRP、ラクトペルオキシダーゼ又はマイクロペルオキシダーゼなどの色素前駆体を酸化するために水素ペルオキシダーゼを用いる酵素とカップリングさせたもの、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定した遊離基などが含まれる。
診断ないし検出の上記いずれかの実施態様は、抗STEAP−1抗体の代わりに、ないしは抗STEAP−1抗体に加えて本発明のイムノコンジュゲートを用いて行われうる。
本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートは、例えばインビトロ、エクスビボ、及びインビボの治療法で使われてもよい。一態様では、本発明は、STEAP−1へのイムノコンジュゲートの結合が許容される条件下で抗STEAP−1抗体ないしはそのイムノコンジュゲートに細胞を曝すことを含む、インビボ又はインビトロでの細胞の成長ないしは増殖を阻害するための方法を提供する。「細胞成長又は増殖を阻害する」ことは、細胞の成長ないしは増殖を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%低減することを意味し、細胞死を誘導することを含む。ある実施態様では、細胞は腫瘍細胞である。ある実施態様では、細胞は前立腺、肺、大腸、膀胱、又は卵巣の細胞、或いはユーイング肉腫の細胞である。ある実施態様では、細胞は、例えば本明細書中に例示したような異種移植片である。
一態様では、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートは、前立腺癌、肺癌、大腸癌、膀胱癌、又は卵巣癌の細胞、或いはユーイング肉腫の細胞の増殖性疾患を治療するか又は予防するために用いる。ある実施態様では、細胞増殖性疾患は、STEAP−1の発現及び/又は活性の増加と関係している。例えば、ある実施態様では、前立腺、肺、大腸、膀胱、又は卵巣の細胞、或いはユーイング肉腫の細胞増殖性疾患は、前立腺、肺、大腸、膀胱、又は卵巣の細胞、或いはユーイング肉腫の細胞の表面上のSTEAP−1の発現増加と関係している。ある実施態様では、前立腺、肺、大腸、膀胱、又は卵巣の細胞、或いはユーイング肉腫の細胞増殖性疾患は腫瘍又は癌、或いはこれら癌の転移である。
一態様では、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートの少なくともいくつかは、ヒト以外の種のSTEAP−1を結合しうる。したがって、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートは、例えば、STEAP−1を含む細胞培養物において、ヒトにおいて、又は、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートが交差反応するSTEAP−1を有する他の哺乳動物(例えばチンパンジー、ヒヒ、マーモセット、カニクイザル及びアカゲザル、イヌ、ブタ、ラット又はマウス)においてSTEAP−1を結合するために用いてもよい。一実施態様では、抗STEAP−1抗体ないしイムノコンジュゲートは、イムノコンジュゲートのコンジュゲートした細胞毒素が細胞内部に送達するように、STEAP−1を抗体ないしイムノコンジュゲートと接触させて抗体ないしイムノコンジュゲート-抗原複合体を形成させることによって、前立腺、肺又は大腸の細胞上のSTEAP−1をターゲティングするために使われてもよい。一実施態様では、抗STEAP−1抗体が結合するSTEAP−1はヒトSTEAP−1である。一実施態様では、抗STEAP−1抗体が結合するSTEAP−1はカニクイザルSTEAP−1である。一実施態様では、ヒト化抗STEAP−1抗体はヒト及び/又はカニクイザルSTEAP−1に結合する。
抗STEAP−1抗体ないしイムノコンジュゲートは、治療目的のためにヒトに投与されうる。さらに、抗STEAP−1抗体ないしイムノコンジュゲートは、獣医学の目的のため又はヒト疾患の動物モデルとして、抗体が交差反応するSTEAP−1を発現する非ヒト哺乳動物(例えば、霊長類、イヌ、ブタ、ラット又はマウス)に投与されうる。後者に関して、このような動物モデルは、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートの治療有効性を評価するため(例えば、投与の用量及び時間経過の試験する)に有用となりうる。
本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートは、非経口的、皮下、腹膜内、肺内、及び鼻腔内、そして、必要に応じて局所の治療のために、病巣内投与を含む任意の好適な手段によって投与することができる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹膜内、又は皮下的な投与を含む。加えて、抗体ないしイムノコンジュゲートを、特に抗体ないしイムノコンジュゲートの用量を減少して、パルス注入によって好適に投与する。投与が短期のものであるか長期のものであるかにある程度依存して、任意の好適な経路、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射によって投与することができる。
本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートは、医学的実用性に合わせた様式で調製し、1回分に分けて、投与される。ここで考慮する要因は、治療する特定の疾患、治療する特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の運搬部位、投与の方法、投与の日程計画、及び医師が知る他の因子を含む。必要ではないが場合によっては、問題の疾患を予防するか又は治療するために一般に用いられる一つ以上の作用剤と抗体ないしイムノコンジュゲートとを調製する。そのような他の作用剤の有効量は、製剤中の抗体ないしイムノコンジュゲートの量、疾患の型又は治療、及び上記の他の因子に依存する。これらは、一般的に、ここに記載されるものと同じ用量及び投与経路で、又はここに記載される用量の1〜99%で、或いは経験的/臨床的に適切と判断される任意の用量及任意の投与経路で、用いられる。
本発明の抗STEAP−1抗体及びイムノコンジュゲートは、当分野で公知の様々なアッセイによって、それらの物理的/化学的な性質及び/又は生物活性について特徴付けされうる。
一態様では、アッセイは、生物学的な活性を有する抗STEAP−1抗体ないしそのイムノコンジュゲートを同定するために提供される。生物学的な活性には、例えば、細胞成長又は増殖の阻害能(例えば「細胞殺傷」活性)、又はプログラムされた細胞死(アポトーシス)を含む細胞死誘導能が含まれうる。また、インビボ及び/又はインビトロでのこのような生物学的な活性を有する抗体ないしイムノコンジュゲートが提供される。
ある実施態様では、抗STEAP−1抗体又はそのイムノコンジュゲートは、インビトロでの細胞成長又は増殖を阻害する能力について試験される。細胞成長又は増殖の阻害のためのアッセイは当分野で周知である。本明細中に記載の「細胞殺傷」アッセイにて例示した細胞増殖のためのあるアッセイは、細胞生存度を測定する。このようなあるアッセイは、Promega (Madison, WI)から市販されているCellTiter-GloTM発光細胞生存率アッセイである。このアッセイは、代謝活性のある細胞の指標であるATPの存在の量に基づいて生細胞数を決定する。Crouch等 (1993) J. Immunol. Meth. 160:81-88、米国特許第6602677号を参照。アッセイは、自動ハイスループットスクリーニング(HTS)に用いられるように96-又は384-ウェルフォーマットで行ってもよい。Cree等 (1995) AntiCancer Drugs 6:398-404を参照。アッセイ手順は、単一の試薬(CellTiter-Glo(登録商標)試薬)を直接培養細胞に加えることを伴う。この結果細胞溶解が生じ、ルシフェラーゼ反応によって生産される発光シグナルが生成される。この発光シグナルは、培養物中に存在する生細胞の数に直接比例している、ATPの存在の量に比例する。データは、ルミノメーター又はCCDカメラ画像デバイスによって記録することができる。発光の結果は相対的な光の単位(RLU)として表す。
一態様では、抗STEAP−1抗体は、インビトロでの細胞死を誘導する能力について試験される。細胞死の誘導についてのアッセイは当分野で周知である。いくつかの実施態様では、このようなアッセイは、例えば、プロピジウムヨウ素(PI)トリパンブルー(Moore等 (1995) Cytotechnology, 17:1-11を参照)、又は7AADの取り込みによって示される膜統合性の喪失を測定する。例示的なPI取り込みアッセイでは、細胞は、10%の熱不活性化FBS(Hyclone)と2mMのL-グルタミンを添加した、ダルベッコ変更イーグル培地(D-MEM):ハムF-12(50:50)中で培養する。したがって、このアッセイは、補体と免疫エフェクター細胞の非存在下で行う。100×20mmのディッシュにディッシュ当たり3×106の密度で細胞を播き、終夜接着させる。培地を取り除き、新鮮な培地のみ、又は様々な濃度の抗体ないしイムノコンジュゲートを含む培地と交換する。細胞を3日間インキュベートする。処置後、単層をPBSにて洗浄し、トリプシン処理によって脱離させる。次いで、1200rpmで4℃で5分間遠心して、ペレットを3mlの冷却Ca2+結合バッファ(10mM Hepes、pH7.4、140mM NaCl、2.5mM CaCl2)に再懸濁し、細胞凝集塊を取り除くために35mmのストレーナーを取り付けた12×75mmチューブ(チューブ当たり1ml、1処理群につき3チューブ)に分注する。次いで、チューブにPI(10μg/ml)を加える。試料は、FACSCANTMフローサイトメーター及びFACSCONVERTTMCellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて分析される。次いで、PI取り込みによって定まる統計学的に有意なレベルの細胞死を誘導する抗体ないしイムノコンジュゲートを同定する。
上記いずれかのインビトロアッセイに用いるための細胞には、天然でSTEAP−1を発現する又はSTEAP−1を発現するように操作された細胞ないしは細胞株が含まれる。このような細胞には、同じ細胞起源の正常細胞と比べてSTEAP−1を過剰発現する腫瘍細胞が含まれる。また、このような細胞には、STEAP−1を発現する細胞株(腫瘍細胞株を含む)や、正常にSTEAP−1を発現しないがSTEAP−1をコードする核酸を形質移入してある細胞株が含まれる。
一態様では、抗STEAP−1抗体はその抗原結合活性について試験される。例えば、ある実施態様では、抗STEAP−1抗体は、細胞の表面に発現される外来性又は内在性のSTEAP−1に結合する能力について試験される。FACSアッセイが前記の試験に用いられてもよい。
一態様では、競合アッセイを用いて、STEAP−1への結合について、120v.24抗体を含むがこれに限定されない、120グラフト又はそのヒト化変異体と競合するモノクローナル抗体を同定してもよい。ある実施態様では、前記の競争する抗体は、変異1220v.24ヒト化抗STEAP−1抗体を含む、120グラフト抗体、又はヒト化120グラフト抗体が結合する同じエピトープ(例えば線形エピトープペプチド又は細胞表面上のSTEAP1の発現により形成される立体のエピトープ)に結合する。例示的な競合アッセイには、限定するものではないが、Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual ch.14 (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)に挙げられるものなどの常套的アッセイが含まれる。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的な方法は、Methods in Molecular Biology vol. 66 (Humana Press, Totowa, NJ)のMorris (1996) "Epitope Mapping Protocols,"に示される。2つの抗体のそれぞれが50%以上他の結合をブロックする場合、これらの抗体は同じエピトープに結合すると言える。
一態様では、精製した抗STEAP−1抗体はさらに、限定するものではないが、N末端配列決定法、アミノ酸分析、非変性サイズ排除高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)、質量分析、イオン交換クロマトグラフィ及びパパイン消化を含む、一連のアッセイによって特徴付けることができる。
抗体、抗体断片、VLドメイン又はVHドメインのアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子を、当分野で公知の様々な方法によって調製する。これらの方法には、限定するものではないが、天然源からの単離(天然に生じるアミノ酸配列変異体の場合)又は初期に調製された抗体、抗体断片、VLドメイン又はVHドメインの変異体ないしは非変異体の、オリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、及びカセット突然変異誘発による調製が含まれる。例えば、キュンケル法を用いた変異アミノ酸を有するアミノ酸置換のために、VH内、場合によって一又は複数のCDR内のVLの利用可能なアミノ酸位置をターゲットとすることによってライブラリを作製することができる。例えば、Kunkel等, Methods Enzymol. (1987), 154:367-382及び本明細書中の実施例を参照のこと。また、ランダム化配列の生成も以下の実施例に記載する。
IUBコード
G グアニン
A アデニン
T チミン
C シトシン
R(A又はG)
Y(C又はT)
M(A又はC)
K(G又はT)
S(C又はG)
W(A又はT)
H(A又はC又はT)
B(C又はG又はT)
V(A又はC又はG)
D(A又はG又はT)H
N(A又はC又はG又はT)
オリゴヌクレオチド又はプライマーのセットは、標準の方法を使って合成できる。一組のオリゴヌクレオチドは、例えば、コドンセットによって提供されるヌクレオチドトリプレットの可能な組合せのすべてを代表し、所望のアミノ酸群をコードする配列を含む固相法によって合成することができる。ある位置での選ばれたヌクレオチド「縮退」を有するオリゴヌクレオチドの合成は、当技術分野で公知である。そのようなある種のコドンセットを有しているヌクレオチドのセットは、市販の核酸シンセサイザー(Applied Biosystems, Foster City, CAなどから入手可能)を使って合成することができ、又は市販品を入手することができる(例えば、Life Technologies, Rockville, MDから)。したがって、特定のコドンセットを有する合成オリゴヌクレオチドセットは、一般的に異なる配列の複数のオリゴヌクレオチドを含み、この相違は配列全体の中のコドンセットによるものである。本発明で使用されるように、オリゴヌクレオチドは可変ドメイン核酸鋳型へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有し、また、クローニングに役立つ制限酵素部位を含むこともできる。
通常、長さが少なくとも25ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドが使われる。最適オリゴヌクレオチドは、突然変異体をコードするヌクレオチドの両側が鋳型と完全に相補性である12から15個のヌクレオチドを持つ。これにより、オリゴヌクレオチドが正しく一本鎖DNA鋳型分子にハイブリダイズするようになる。オリゴヌクレオチドは、当技術分野で公知の手法、例えばCrea等, Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA, 75:5765頁(1978)に記載の手法を使って容易に合成される。
天然のDNA配列を変えるために、オリゴヌクレオチドが適当なハイブリダイゼーション条件の下で一本鎖鋳型にハイブリダイズされる。DNA重合酵素、通常、T7DNAポリメラーゼ又はDNAポリメラーゼIのクレノー断片を次に加え、合成のためのプライマーとしてオリゴヌクレオチドを使って鋳型の相補鎖を合成する。こうしてDNAの1つの鎖は遺伝子1の突然変異した形態をコードし、他の鎖(元の鋳型)は遺伝子1の未変性、未変更の配列をコードするようにヘテロ二本鎖分子が形成される。このヘテロ二本鎖分子は、次に適当な宿主細胞、通常大腸菌JM101のような原核生物に形質転換される。細胞を増殖させた後にアガロースプレートの上へプレートし、突然変異したDNAを含む細菌コロニーを同定するために32リン酸塩で放射性標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを使ってスクリーニングする。
前に示したように、オリゴヌクレオチドセットの配列の長さは鋳型核酸にハイブリダイズするために十分な長さであり、また、必須ではないが制限部位を含むこともできる。DNA鋳型はバクテリオファージM13ベクターに由来するベクター、又はViera等((1987), Meth.Enzymol.153:3頁)に記載されている一本鎖ファージ複製起点を含むベクターによって生成される。このように、突然変異させるべきDNAは、一本鎖鋳型を生成するためにこれらのベクターの1つに挿入する必要がある。一本鎖鋳型の生産は、上掲Sambrook等のセクション4.21〜4.41で記載されている。
オリゴヌクレオチドセットは、核酸カセットを作製するための鋳型として可変ドメイン核酸鋳型配列を使ってPCR法で使うことができる。可変ドメイン核酸鋳型配列は、対象核酸配列(すなわち、置換の対象となるアミノ酸をコードしている核酸配列)を含む免疫グロブリンの軽鎖又は重鎖のいかなる部分でもよい。可変ドメイン核酸鋳型配列は、第1の核酸鎖及び相補性の第2の核酸鎖を有する二本鎖DNA分子の一部である。可変ドメイン核酸鋳型配列は、少なくとも可変ドメインの一部を含み、また少なくとも1つのCDRを持つ。場合によっては、可変ドメイン核酸鋳型配列は複数のCDRを含む。可変ドメイン核酸鋳型配列の上流部及び下流部は、上流域のオリゴヌクレオチドセット及び下流域のオリゴヌクレオチドセットの構成メンバーによるハイブリダイゼーションの対象とすることができる。
上流域及び下流域のオリゴヌクレオチドセットは、オリゴヌクレオチド配列内に制限部位を含むように合成することもできる。これらの制限部位は、さらなる抗体配列を有している発現ベクターへの核酸カセット(すなわちPCR反応生成物)の挿入を容易にする。一実施態様では、制限部位は外来の核酸配列を導入することなく、又は元のCDR又はフレームワーク核酸配列を取り除くことなく核酸カセットのクローニングを容易にするようになっている。
特定の変異体アミノ酸の組合せが発現される場合、核酸カセットは、重鎖又は軽鎖の可変ドメインのすべて又は一部をコードすることができ、また変異体アミノ酸の組合せをコードすることができる配列を含む。ライブラリーの場合のようにこれらの変異体アミノ酸又は変異体アミノ酸の組合せを含んでいる抗体の作製のために、核酸カセットは、さらなる抗体配列、例えば軽鎖及び重鎖可変部の可変又は定常ドメインのすべて又は一部を含んでいる発現ベクターに挿入することができる。これらのさらなる抗体配列は他の核酸配列、例えばウイルスコートタンパク質をコードする配列と融合することができ、したがって融合タンパク質の生産を可能にする。
ここでは、マウス抗ヒトSTEAP−1抗体のヒト化について記載する。
残基番号はカバットに従う(Kabat et al., Sequences of proteins of immunological interest, 5th Ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。一文字アミノ酸略記号を用いる。DNA縮重はIUBコードを用いて表す(N=A/C/G/T、D=A/G/T、V=A/C/G、B=C/G/T、H=A/C/T、=G/T K、M=A/C、R=A/G、S=G/C、W= A/T、=C/T Y)。
標準的な方法を用いて、M2−120.545を産生するハイブリドーマ細胞(本明細書において「マウス120」又は「mu120」と称する)から総RNAを抽出した。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)ドメインを、重鎖および軽鎖に対する変性プライマーによるRT−PCRを用いて増幅した。フォワードプライマーは、VLおよびVHの領域のN末端アミノ酸配列に特異的とした。それぞれLCおよびHCのリバースプライマーは、種間で高度に保存されている定常軽鎖(CL)および定常重鎖ドメイン1(CH1)の領域にアニールするように設定した。増幅されたVLおよびVHは、哺乳動物発現ベクタにクローンをつくられた。インサートのポリヌクレオチド配列は、慣例的な配列決定法を用いて決定した。M2−120.545(「mu120」) VLおよびVHのアミノ酸配列はそれぞれ図2Aおよび2Bに示す。
マウス120キメラの生成−ヒトIgGの定常ドメインに、マウス120の可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)の領域を融合させることによって、キメラ抗STEAP−1を調製した。結果として生じる抗体を本明細書において「120キメラ」、「キメラ120」、「キメラ120IgG」又は「Fcキメラ」と称する。
マウス120のヒト化の間に構築された変異体を、IgGの形態のタンパク質として又はファージ上にディスプレイされるFabとして評価した。
この試験に用いるファジミドは、一価性Fab−g3ディスプレイベクターであって、phoAプロモーターの制御下にある2つのオープンリーディングフレームからなる。第一オープンリーディングフレームは、アクセプター軽鎖のVL及びCH1ドメインに融合したstIIシグナル配列からなり、第二オープンリーディングフレームは、微量ファージコートタンパク質P3が続くアクセプター重鎖のVH及びCH1ドメインに融合したstIIシグナル配列からなる。
マウス120のVLおよびVHドメインを、ヒトVLκI(huKI)およびヒトVHサブグループIII(huIII)コンセンサス配列と配列比較した。CDRグラフトを作製するために、マウス120抗体の高頻度可変領域を、huKIおよびhuIIIアクセプターフレームワークに移植した。
ファージ上にディスプレイされるFabとして又はIgGとして発現される直接グラフト変異体は、各々の高頻度可変領域のために異なるオリゴヌクレオチドを用いたキュンケル突然変異誘発によって生成した。DNA塩基配列決定法によって正しいクローンを評価した。
キュンケル突然変異誘発によってファージにディスプレイされるFabとして、ヒト化120変異体を生成した。リン酸化オリゴヌクレオチドを、50mM Tris pH7.5、10mM MgCl2中の300ngのキュンケルテンプレートに添加して、終体積を10μlにした。混合物を90℃で2分、50℃で5分アニールさせ、次いで氷上で冷ました。次いで、アニールさせたテンプレートに、0.5μlの10mM ATP、0.5μlの10mM dNTP(各々10mMのdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、1μlの100mM DTT、1μlの 10×TMバッファ(0.5M トリスpH7.5、0.1M MgCl2)、80UのT4リガーゼ、及び4UのT7ポリメラーゼを添加して充填し、総量20μlにし、室温に2時間置いた。次いで充填してライゲートさせた生成物にてXL1−ブルー細胞(Stratagene)を形質転換した。DNA塩基配列決定法によって正しいクローンを同定した。
正しいファージクローンを50μg/mlのカルベニシリン及びM13/KO7ヘルパーファージ(MOI 10)を含む25mlの2YT中で37℃で終夜生育させた。
IgGとして発現されるヒト化変異体を、Steap1ポジティブ(293Steap1 NT LB50)及びネガティブ(293ベクターS408)細胞株を用いたFACS分析によって評価した。
また、ファージにディスプレイされるFabとして発現されるヒト化変異体を、FACS分析によって評価した。まずFab変異体を発現するファージを、Fabの軽鎖に融合されるflag−tagを検出するために使用するファージELISAを用いてそれらのFabディスプレイレベルについて評価した。MaxiSorpマイクロタイタープレートを、PBS中10μg/mlの抗gD1766にて終夜をかけてコートし、その後カゼインブロッカーにてブロックした。培養物上清からのファージを、組織培養マイクロタイタープレート中で0.5%BSAを含むPBSTにて段階的に希釈し、コートしたウェルに移し、1時間おいて、Fabディスプレイファージを捕獲した。PBSTにてプレートを洗浄し、HRPコンジュゲート抗M13(Amersham Pharmacia Biotech)を添加して40分間置いた(0.5%BSAを含むPBSTに1:5000)。PBSTにてプレートを洗浄し、テトラメチルベンジジン基質(Kirkegaard and Perry Laboratories, Gaithersburg, MD)を添加して反応させた。405nmの吸光度を、ファージの表面上のFabディスプレイレベルの推量として用いた。ファージ調製物を、希釈によってディスプレイについて正規化した。低ディスプレイファージ(例えばキメラ)をFACS分析のために適切に用いた。
FACSによるIgGの分析のために、ファージFACSなどの目的で細胞を調製した。5μg/mlの各IgGを加え、氷上に1時間おいた。遠心分離法によって試料をFACSバッファにて2回洗浄し、抗ヒトPEコンジュゲート(R-フィコエリトリンヤギ抗ヒトIgG Fcy断片、Jackson Immunoresearch)の1:200希釈物を加え、30分間おいた。遠心分離法によって試料をFACSバッファにて再度2回洗浄し、FACSにて分析した。
プロテインG親和性クロマトグラフィにてIgGを精製した。親和性測定は、293STEAP-1 NT LB50細胞上のスキャッチャード分析によって行った。
マウス120可変ドメイン配列およびCDRアサインメントグラフト設定−
M2−120.545のヒト化のために用いるヒトアクセプターフレームワークは、コンセンサスヒトκIVLドメインおよびヒトサブグループIIIコンセンサスVHドメインに基づく。マウスM2−120.545のVLおよびVHドメインを、ヒトκIおよびサブグループIIIドメインとそれぞれ配列比較した。各々の相補性領域(CDR)を同定し、ヒトアクセプターフレームワークに移植して、ファージ上のFabとしてディスプレイされ、IgGとして発現されうるCDRグラフトを生成した。ヒト化抗STEAP-1抗体バージョン24可変領域の配列を図2Aおよび2Bに示す。ファージ上にディスプレイされる120−グラフトFab及び120−グラフトIgGを、FACS分析によって外因性STEAP-1発現細胞(293STEAP-1 NT LB50)への結合について試験した。120−グラフトIgGはSTEAP-1発現細胞に特異的に結合したが、120−グラフトIgGについて観察されるFACSシグナルは、結合親和性に欠損を示すキメラ120IgGについて観察されるシグナルよりも小さかった。また、120−グラフトIgGをディスプレイするファージは、STEAP-1発現細胞上でのみ観察されたFACSシグナルを生成した。この変化は、キメラ120IgGについて観察される変化よりも小さかった。120−グラフトIgGのスキャッチャード分析からも、結合親和性の有意な(およそ50倍)欠失が示された(120v.78についてはKD=36nM、120グラフトについてはKD=260nM)。
CDR構造及びVL:VHドメインパッキングに影響するおよそ30バーニア位置が同定されており、抗体のヒト化の際にはドナーとヒトフレームワーク間の位置での変化を考慮しなくてはならない(Foote, J. and Winter, G., J. Mol. Biol.224(2): 487-499 (1992))。マウスM2−120.545とコンセンサスヒトκI VLドメイン及びヒトサブグループIIIコンセンサスVHドメインとの配列比較を評価すると、VHドメイン内の6つの重要なバーニヤ位置:24、37、48、67、73、78での配列相違が明らかとなった(図2Bを参照)。これらの位置の影響を評価するために、マウスの残基を、ファージ上のFabのヒトコンセンサスサブグループIII VHドメインに、別々に導入した。ファージ上にディスプレイされる120−グラフトFabに対して以下の突然変異をそれぞれ行った:A24V(120.v24)、V37I(120.v37)、V48M(120.v48)、F67I(120.v67)およびL78F(120.v78)。N73Tは試験しなかった。各ファージ変異体は、ファージ上にディスプレイされる軽鎖に融合されるエピトープタグの力価によって決定される等量Fabディスプレイレベルに対して希釈により正規化し、STEAP−1発現細胞(293 STEAP−1 NT LB50)及び非発現(293ベクターS408)細胞のFACS分析によってSTEAP−1への結合について評価した。「2°」なる用語はFACS分析の二次抗体を指す。「α−120」なる用語はマウス120抗STEAP-1抗体を指す。「α−10H1」なる用語はコントロール抗体を指す。「24ファージ」、「37ファージ」などの用語は、ファージにディスプレイされる本明細書において開示されるヒト化抗STEAP-1変異体を指す。「Ch120ファージ」はファージ上にディスプレイされる120キメラを指し、「120.グラフトファージ」はファージにディスプレイされる120グラフトを指す。(図6)。それらのFabディスプレイレベルによる正規化したファージクローンの重要性は、異なるファージ力価(図6の7×1012ファージ/mlおよび図6の2×1011ファージ/ml)の120−グラフトのFACS分析により例証される。いったん低いファージ濃度に希釈すると、120−グラフトファージは観察可能なFACS変化を示さない。したがって、それらディスプレイレベルの異なるファージクローンの正規化は、Steap1についてのそれらの親和性相違を評価するための重要な処置であった。
表2:細胞表面STEAP−1に対する抗STEAP−1抗体結合親和性(Kd(nM))
抗STEAP−1ネイキッド抗体、マウス120およびキメラ120の結合活性も、FACS分析を用いて試験した。結合は、293安定性STEAP−1 NT LB50、PC3安定性STEAP−1 PS5.4における外因性STEAP−1、およびLNCaP細胞における内因性STEAP−1について比較した。図7D−Fに結果を示す。細胞表面上に外因性ヒトSTEAP−1を発現するNT LB50細胞は、ヒトSTEAP−1 DNAにより安定して293細胞(ATCC CRL−1573)を形質転換することによって調製した。細胞表面上に外因性ヒトSTEAP−1を発現するPS5.4細胞は、ヒトSTEAP−1 DNAにより安定してPC3(ATCC CLL−1435)を形質転換することによって調製した。LNCaP細胞(ATCC CRL−1740)は内因的にSTEAP−1を発現する。
抗STEAP−1抗体(本明細書において開示されるネイキッド抗体および抗体薬剤コンジュゲート)を特徴付けた、または、標準的な方法によって特徴付けてもよい。
ELISAに基づくアッセイ:ELISAによる抗STEAP−1抗体のスクリーニングを以下のように行い、すべて室温でインキュベートする。試験プレート(Nunc Immunoplate)を、精製したSTEAP−1を含む50mM 炭酸ナトリウムバッファpH9.6にて2時間かけてコートし、その後、0.5%ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて30分間かけてブロックし、その後0.05%ツイーン20を含むPBS(PBST)にて4回洗浄する。試験抗体上清を加え、振とうしながら2時間インキュベートし、その後PBSTにて4回洗浄する。25mlのリン酸クエン酸バッファ, pH5.0中に10mgのo-フェニレンジアミンジヒドロクロライド(Sigma, #P8287)と10μlの30%過酸化水素溶液を含む溶液を100μl/ウェル添加して15分間インキュベートしてプレートを反応させる。2.5M 硫酸を100μl/ウェル添加して反応を止める。自動ELISAプレート読み取り機にてプレートの490nmの吸光度を読み取ってデータを得る。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、関連分野において公知の標準的な技術を用いて、Munson et al., Anal. Biochem., 107:220 (1980)において記述されるスキャッチャード分析によって決定されうる。またScatchard, G., Ann. N.Y. Acad. Sci. 51: 660 (1947)も参照のこと。
抗STEAP−1アウリスタチンADCの産生−抗STEAP−1抗体マウス120.545、120キメラ、120グラフト、及びヒト化120フレームワーク変異体を以下の薬剤リンカー成分:spp−DM1、smcc−DM1、MC−vc−PAB−MMAE;MC−vc−PAB−MMAF;MC−MMAE、MC−MMAF、vc−MMAEおよびvc−MMAFにコンジュゲートさせることによって抗STEAP−1ADCを生成した。この薬剤とリンカー成分及び接着方法は、本明細書中、並びに2004年2月5日に公開の国際公開2004/010957、2005年9月9日公開の国際公開2006/034488、及びDoronina, S.O. et al., Nature Biotechnol. 21:778-784 (2003)において開示されている(これらの文献は出典明記によってその全体が援用される)。国際公開2004/010957に記載の方法論に従って標準的な方法を用いて、結合の前に、抗体をTCEPにて部分的に還元した。Doronina et al. (2003) Nat. Biotechnol. 21:778-784および米国公開特許2005/0238649A1に記載の方法論に従って標準的な方法を用いて、部分的に還元した抗体を上記の薬剤-リンカー成分にコンジュゲートした。簡単に言うと、部分的に還元した抗体を薬剤リンカー成分と組み合わせて、該成分をシステイン残基にコンジュゲートさせた。コンジュゲート反応を止め、ADCを精製した。各々のADCについての薬剤負荷(抗体当たりの薬剤成分の平均数)をHPLCにて測定した。本明細書中で用いる、ADCのリンカー−薬剤構成成分である 「−MC−vc−PAB−MMAE」又は「−MC−vc−PAB−MMAF」は「−vcMMAE」又は「−vcMMAF」と略されることもあり、構成成分である「−MC−MMAF」は「MCMMAF」又は「mcMMAF」と略されることもある。
抗STEAP−1メイタンシノイドADCの産生−抗STEAP−1抗体、マウス120、120キメラ、120グラフト及びヒト化120フレームワーク変異体をリンカー薬剤成分−smcc−DM1にコンジュゲートさせることによって抗STEAP−1ADCを生成した。ハーセプチン(登録商標)抗HER2抗体のコンジュゲートについては、国際公開2005/037992において開示される方法に従って前記のコンジュゲートを行ってもよい。
インビボ及びインビトロでの腫瘍体積低減能についての毒素コンジュゲート抗STEAP−1モノクローナル抗体又は非コンジュゲート抗STEAP−1モノクローナル抗体の有効性を試験するために、以下のプロトコールを用いた。
哺乳類細胞株およびヒト腫瘍異種移植片:293はヒト不死化胎仔腎臓細胞株(ATCC参照CRL1573)であり、PC−3はヒト前立腺腺癌細胞株(ATCC参照CRL1435)であり、LNCaPは前立腺カルチノーマ細胞株(ATCC CRL1740)である。すべての細胞は、50/50ダルベッコ変更イーグル高グルコース培地、10%ウシ胎児血清(FBS)、2mM グルタミン、1%ペニシリン−ストレプトマイシンを添加したハムF12中で生育させ、5%CO2下、37℃で培養した。293およびPC−3安定性細胞株は、完全長STEAP1のいずれか(それぞれLB50およびPS5.4)をコードするサイトメガロウイルス作動性ベクター又は空のベクターによる形質移入(Fugene, Roche)によって生成し、400μg/mlのG418(Geneticin, Life Technologies)において選択した。ヒト前立腺の外植片モデルであるLuCAP77およびLuCAP35Vは、シアトル大学から得た。
細胞表面上の外因性及び内因性のSTEAP−1の発現は、以下の通りに免疫組織化学(IHC)およびFACS分析によって示した。ヒツジおよびマウスの抗STEAP−1抗体(Agensys, Inc., Santa Monica, CA)は、STEAP−1の細胞内アミノ末端ペプチドに対して生成した(Hubert, R.S., Vivanco, I. et al., PNAS 25:14523-14528 (1999)を参照)。STEAP−1(Agensys, Inc.)の細胞外ドメインに対するモノクローナル抗体は、STEAP−1によって過渡的に形質移入した293T細胞によってマウスを免疫化して生成した。IHC分析のために、一次ヒツジ抗STEAP−1抗体を検出に用いた。FACS分析のために、細胞を90%集密度まで生育させ、2mM EDTAを含むPBSを用いてプレートから取り除いた。細胞を洗浄して、FACSバッファ(1%BSAを含むPBS)に再懸濁し、抗STEAP−1抗体と室温で60分間インキュベートした後、フィコエリトリンにコンジュゲートさせた適切な二次抗体と60分間インキュベートした。分析はFACSscan(BD Biosciences)にて行った。免疫蛍光法のために、細胞をチャンバースライドにて終夜生育させ、その後一次抗体と37℃で60分間インキュベートした。細胞をパラホルムアルデヒドに固定し、1%BSAにてブロックし、蛍光にコンジュゲートさせた適切な二次抗体とインキュベートした。
3mg/kgのマウス抗STEAP−1 120−MC−vc−PAB−MMAEの投与は、前立腺腫瘍(LNCaP−Ner細胞)異種移植片モデルに有効であった。PBS及び抗gp120−MC−vc−PAB−MMAE(3mg/kg)をコントロールとして用いた。0、7および14日目に投与を行った。図8Aを参照。
ヒト化抗STEAP−1抗体120v.24−MC−vc−PAB−MMAE(3mg/kg)、120v.24−MC−MMAF(6mg/kg)、120v.24−MC−MMAF(12mg/kg)、及び抗STEAP−1 120キメラ−MC−vc−PAB−MMAE(3mg/kg)の、LNCap−Ner腫瘍を移植したSCIDベージュマウスへの投与は、有効であることが示された。ベヒクル、抗ブタクサ−MC−vc−PAB−MMAE(3mg/kg)及び抗ブタクサ−MC−MMAF(12mg/kg)をコントロールとして用いた。図8に示す日に投与を行った。図8Bに結果を示す。
抗STEAP−1抗体120キメラ−MC−vc−PAB−MMAE(3mg/kg)の投与は、LuCap 77細胞を移植したSCIDベージュ雄マウス(アンドロゲン依存性)の前立腺癌異種移植片モデルにおいて有効であったことが示された。ベヒクル及び抗ブタクサ−MC−vc−PAB−MMAEをコントロールとした。3mg/kgの試験抗体およびコントロール抗体の3用量を投与した。図10を参照。
3mg/kgのヒト化抗STEAP−1抗体120v.24−MC−vc−PAB−MMAE、6mg/kg及び12mg/kgの抗STEAP−1抗体120v.24−MC−MMAFの、LuCap35V前立腺腫瘍を移植した去勢したSCIDベージュマウスへの投与は、コントロールと比較して有効であることが示された。薬剤負荷は1抗体につき3.1であった。コントロール抗体は、12mg/kgで投与した抗ブタクサ−MC−MMAFと、6mg/kgで投与した抗gp120−MC−vc−PAB−MMAEとした。図11を参照。
インビトロ細胞殺傷アッセイを行って、抗STEAP−1薬剤コンジュゲートの、STEAP−1を発現する細胞の増殖の阻害及び/又は殺傷についての有効性を評価した。簡単に言うと、STEAP−1を発現する細胞を、96ウェルプレートにおよそ2,000個の細胞/ウェルで播き、2通り、抗体薬剤コンジュゲートにて24時間後に処理した。プレートは、37℃で5〜7日間インキュベートし、CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率測定キット(Promega, Madison, WI, USA)にて反応させた。試験細胞には、PS5.4(外因性STEAP−1を発現するPC3細胞)、LB50(外因性STEAP−1を発現する293細胞)、ベクターのみを形質移入したPC3細胞、ベクターのみを形質移入した293細胞、および内因性STEAP−1を発現するLNCaP細胞が含まれる。試験された抗体薬剤コンジュゲートには、コントロール抗体−MC−MMAF、コントロール抗体−vc−MMAE、抗STEAP−1抗体120キメラ−vc−MMAE、抗STEAP−1抗体120−キメラ−MC−MMAF(2つの異なるロットの材料)、および抗STEAP-1抗体キメラ−vc−MMAFが含まれる。図14A−Eに結果を示す。
CHO細胞に発現する完全長のシステイン改変抗STEAP−1モノクローナル抗体(ThioMab)を、およそpH8.0の500mM ホウ酸ナトリウム及び500mM 塩化ナトリウムに溶解し、およそ50〜100倍過剰な1mM TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンハイドロクロライド;Getz et al (1999) Anal. Biochem. Vol 273:73-80;Soltec Ventures, Beverly, MA)にて37℃でおよそ1〜2時間かけて還元する。還元したThioMabを希釈し、10mM 酢酸ナトリウム、pH5にてHiTrap Sカラムに流し、0.3M 塩化ナトリウムを含むPBSにて溶出する。溶出した還元ThioMabをpH7の2mMデヒドロアスコルビン酸(dhAA)にて3時間、又は2mM 硫酸銅水溶液(CuSO4)にて室温で終夜をかけて処理する。外気酸化も有効であるかもしれない。Sephadex G25樹脂に溶出することによってバッファを交換し、1mM DTPAを有するPBSにて溶出する。この溶液の280nmの吸光度から還元した抗体の濃度を決定し、DTNB(Aldrich, Milwaukee, WI)と反応させて412nmの吸光度を決定することによってチオールの濃度を決定することによってチオール/Ab値を確認する。
実施例5の還元及び再酸化の手順の後に、システイン改変抗STEAP抗体をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)バッファに溶解し、氷上で冷却する。マレイミドなどのチオール反応性官能基を有する、アウリスタチン薬剤リンカー中間生成物、例としてMC−MMAE (マレイミドカプロイル−モノメチル アウリスタチンE)、MC−MMAF、MC−val−cit−PAB−MMAE、又はMC−val−cit−PAB−MMAFの抗体当たりの改変システインと比較したときのおよそ1.5モル等価物をDMSOに溶解し、アセトニトリルと水にて希釈し、PBS中の冷却した還元、再酸化抗体に加える。およそ1時間後、過剰のマレイミドを加えて、反応を止め、任意の反応していない抗体チオール基をキャップする。遠心限外濾過によって反応混合物を濃縮し、システイン改変抗STEAP−1抗体薬剤コンジュゲートを精製し、PBSのG25樹脂により溶出して脱塩し、滅菌条件下にて0.2μmフィルターにより濾過し、貯蔵のために凍結する。
軽鎖V205Cthio hu120およびMC−MMAFのコンジュゲートによるthio human120−MC−MMAF;
重鎖A118Cthio hu120およびMC−MMAFのコンジュゲートによるthio human120−MC−MMAF;
軽鎖V205C thio hu120及びMC−val−cit−PAB−MMAEのコンジュゲートによるthio human120−MC−val−cit−PAB−MMAE;重鎖A118C thio hu120及びMC−val−cit−PAB−MMAEのコンジュゲートによるthio human120−MC−val−cit−PAB−MMAE。
上記のように調製したシステイン改変抗STEAP−1抗体薬剤コンジュゲート(TDC)をアッセイして、インビトロで親抗体の活性を保持したことを確認した。抗STEAP−1 TDC thio−human120−vc−PAB−MMAE(LCV205C)(huSteap1 TDC(L205C)vcEと略す)及びthio−human120−vc−PAB−MMAE(HCA118C)(huSteap1 TDC(HCA118C)vcEと略す)を、STEAP−1発現細胞(293 STEAP−1 NT LB50)及び非発現細胞(293ベクターS408)のFACS分析によって、STEAP−1への結合について評価した。「2nd only」なる用語はFACS分析の二次抗体を指す。TDCコントロール(vcE)及びADC stdコントロール(vcE)をそれぞれコントロール抗体thio及び非-thio vc-PAB-MMAE薬剤コンジュゲートとした。huSteap1 ADC(std)は、親ヒト抗STEAP−1抗体由来のvc-PAB-MMAE薬剤コンジュゲートである。示すように、TDCは、親huSteap1 ADCの変化と類似のFACS変化を示した。
インビボ前立腺癌異種移植片モデルを用いて、システイン改変抗STEAP−1 ADCの有効性を試験した。これらのモデル及び用いた試験プロトコールは、実施例4に記載のものと対応する。
抗STEAP−1 TDC thio−human120−vc−PAB−MMAE(HCA118C)(huSteap1 HC TDC vcEと略す)(3mg/kg)の、LNCap−Ner腫瘍を移植した(本明細書中に記載のようにテストステロンペレットにて処理した)SCIDベージュマウスへの投与は、有効であることが示された。ベヒクル(PBS)、コントロール抗体−vc−MMAE (ADC std ctrl vcE)及びコントロールthio抗体−vc−MMAE (TDC HC ctrl vcE)をコントロールとして用いた。また、抗STEAP−1 TDCの効果を、ポジティブコントロールとしてのヒト抗STEAP−1抗体120−MC−vc−PAB−MMAE (hu Steap1 std ADC vcE)と比較した。0日目に単回用量を投与した。すべての抗体は3mg/kgで投与した。図20に結果を示す。
図22は、3mg/kgの抗STEAP−1 TDC thio−human120−vc−PAB−MMAE (HCA118C) (huSteap1 HC TDC vcEと略す)及び3又は6mg/kgの抗STEAP−1 TDC thio−human120−MC−MMAF (HCA118C) (huSteap1 HC TDC mcFと略する)の投与は、LuCap 35V細胞を移植したSCIDベージュ雄マウス(アンドロゲン依存性)の前立腺癌異種移植片モデルにおいて有効であったことが示されたことを示す。0日目に、0.3、1又は3mg/kg(huSteap1 HC TDC vcE)又は1、3又は6mg/kg(huSteap1 HC TDC mcF)の単回用量をマウスに投与した。ベヒクル(PBS)、コントロール抗体−vc−MMAE(ADC std ctrl vcE)およびコントロールthio抗体−vc−MMAE(TDC HC ctrl vcE)をコントロールとして用いた。
改善した抗体発現レベルを得るように軽鎖及びフレームワーク領域がさらに修飾されている他のLC抗STEAP−1抗体変異体を調製した。
材料と方法
残基番号はカバットに従った(Kabat et al., Sequences of proteins of immunological interest, 5th Ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。一文字アミノ酸略号を用いる。DNA縮重はIUBコードを用いて表す(N=A/C/G/T、D=A/G/T、V=A/C/G、B=C/G/T、H=A/C/T、K=G/T、M=A/C、R=A/G、S=G/C、W=A/T、Y=C/T)。
修正した軽鎖変異体の調製:120.v24抗体の変異体(「シモンズIV」又は単に「SGIV」と称する)を生成して特徴付けた。SGIV軽鎖のアミノ酸配列は配列番号:90に示す。この配列はmu120抗体の対応する領域(配列番号:5)及び120.v24抗体の対応する領域(配列番号:91)と整列配置して、図23に示す。
SGIVおよび120.v24抗体をIgGとして発現させ、内因性STEAP−1を発現する、安定形質転換Steap1ポジティブ細胞株293Steap1 NT LB48、293Steap1 NT LB50、及び293Steap1 NT LB53、並びにLNCaP細胞を用いたFACS分析によって評価した(図28)。実施例1に記載のように細胞を調製した。5μg/mlの各IgGを加え、氷上に1時間置いた。遠心分離法によって試料をFACSバッファにて2回洗浄し、抗ヒトPEコンジュゲート(R-フィコエリトリンヤギ抗ヒトIgG Fcy断片、Jackson Immunoresearch)の1:200希釈物を加え、30分間置いた。遠心分離法によって試料をFACSバッファにて再度2回洗浄し、試料をFACSにて分析した。
STEAP−1に対する120.v24およびシモンズIV(「SGIV」)抗体の結合親和性を、標準的な方法に従ってスキャッチャード分析を用いて決定した。プロテインG親和性クロマトグラフィにてIgGを精製した。親和性測定は、2通りのPC−3−PS5.4、293−LB50およびLNCaP−BR細胞のスキャッチャード分析によって行った。LNCaP BR細胞および293.LB50細胞における120.v24およびSGIVのスキャッチャードプロットは、それぞれ図25および26に示す。PC−3−PS5.4、293−LB50及びLNCaP−BR細胞、並びに過渡的にSTEAP−1を発現する293細胞における、mu1789、mu120、Fcキメラ、ヒト化120.v24、thio−120.v24及びthio−SGIVについての平均結合親和性を比較した表を図27に示す。
(1) LS.VLVH1、残基42(「Q」)及び43(「P」)をそれぞれ「K」及び「A」に修飾した(配列番号:92)。
(2) LS.VLVH2、残基3(「V」)を「Q」に修飾し、残基42(「Q」)及び43(「P」)をそれぞれ「K」及び「A」に修飾し、残基85(「V」)を「T」に修飾した(配列番号:93)。
(3) LS.Q、残基3(「V」)を「Q」に修飾した(配列番号:94)。
(4) LS.CH1、残基15(「L」)を「V」に修飾し、残基83(「V」)を「F」に修飾した(配列番号:95)。
(1) ED.FW1、残基3(「Q」)を「V」に修飾し、残基9(「S」)を「D」に修飾し、残基12(「S」)を「A」に修飾し、残基13(「A」)を「V」に修飾し、残基15(「V」)を「L」に修飾し、残基17(「D」)を「E」に修飾し、残基19(「V」)を「A」に修飾し、そして残基22(「T」)を「N」に修飾した(配列番号:96)。
(2) ED.FW2、120.v24の残基42(「K」)及び43(「A」)をそれぞれ「Q」及び「P」に修飾した(配列番号:97)。
(3) ED.FW3、残基60(「S」)を「D」に修飾し、残基80(「P」)を「A」に修飾し、残基83(「F」)を「V」に修飾し、そして、残基85(「T」)を「V」に修飾した(配列番号:98)。
(4) ED.all、残基3(「Q」)を「V」に修飾し、残基9(「S」)を「D」に修飾し、残基12(「S」)を「A」に修飾し、残基13(「A」)を「V」に修飾し、残基15(「V」)を「L」に修飾し、残基17(「D」)を「E」に修飾し、残基19(「V」)を「A」に修飾し、残基22(「T」)を「N」に修飾し、120.v24の残基42(「K」)及び43(「A」)をそれぞれ「Q」及び「P」に修飾し、残基60(「S」)を「D」に修飾し、残基80(「P」)を「A」に修飾し、残基83(「F」)を「V」に修飾し、そして、残基85(「T」)を「V」に修飾した(配列番号:99)。
(5) ED.Pro、残基43(「A」)を「P」に修飾し、残基80(「P」)を「A」に修飾した(配列番号:100)。
(6) ED.pl、残基9(「S」)を「D」に修飾し、残基42(「K」)を「Q」に修飾し、残基60(「S」)を「D」に修飾した(配列番号:101)。
SGIV抗体の調製−
抗STEAP−1抗体バージョン24(120.v24)の可変領域の配列を図23および24(配列番号:91)に示す。部位特異的突然変異誘発を使用して、「シモンズIV」又は単に「SGIV」と称する他の変異体を、上記の標準的な突然変異誘発プロトコールを用いて調製した。図23および24は、SGIV軽鎖の配列をmu120抗体および120.v24の配列と整列配位させて示す。SGIV抗体の様々な生成物の力価を図29に示す。
細胞表面に発現されるSTEAP−1に対する両抗体(120.v24およびSGIV)の結合能を、FACを用いて測定した。外因性STEAP−1(293STEAP−1 LB48、293STEAP−1 LB50および293STEAP−1 LB53)又は内因性STEAP−1(LNCaP.Br)のいずれかを発現する細胞株に対する抗体結合を、2通り測定した。結果を図28にまとめる。図28に示すように、両抗体は、4つすべての細胞株のSTEAP-1を結合することが可能であった。
STEAP-1に対するSGIV及び120.v24の結合親和性を、スキャッチャード分析を用いて調べた。LNCaP BR細胞および293.LB 50細胞における120.v24およびSGIVのスキャッチャードプロットをそれぞれ図25および26に示す。PC−3−PS5.4、293−LB50およびLNCaP−BR細胞、並びに過渡的にSTEAP−1を発現する293細胞における、mu1789、mu120、Fcキメラ、ヒト化120.v24、thio−120.v24およびthio−SGIV抗体の平均結合親和性を比較する表を、図27に示す。結果から、293−LB50およびLNCaP.BR細胞における120.v24抗体の結合親和性がSGIV変異体の結合親和性のおおよそ1.5倍であることが示される。
Claims (52)
- 治療的有効量の薬学的組成物と薬学的に許容される担体を含む、細胞増殖性疾患を治療するための医薬であって、
薬学的組成物がイムノコンジュゲートを含み、
イムノコンジュゲートが、STEAP−1に結合し細胞毒性剤に共有結合するヒト化モノクローナル抗体を含み、
抗体が、
(1)配列番号25のアミノ酸配列を含むHC−FR1;
(2)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H1;
(3)配列番号22のアミノ酸配列を含むHC−FR2;
(4)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H2;
(5)配列番号138のアミノ酸配列を含むHC−FR3;
(6)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H3;及び
(7)配列番号24のアミノ酸配列を含むHC−FR4;
を含む、重鎖可変ドメインを含む(a)重鎖(HC)と
(1)配列番号17のアミノ酸配列を含むLC−FR1;
(2)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−L1;
(3)配列番号18のアミノ酸配列を含むLC−FR2;
(4)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L2;
(5)配列番号19のアミノ酸配列を含むLC−FR3;
(6)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L3;及び
(7)配列番号20のアミノ酸配列を含むLC−FR4;
を含む、軽鎖可変ドメインを含むか、又は
(1)配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(2)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(3)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(4)配列番号94のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(5)配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(6)配列番号96のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(7)配列番号97のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(8)配列番号98のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(9)配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(10)配列番号100のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、又は
(11)配列番号101のアミノ酸配列を含む軽鎖領域
を含む、(b)軽鎖(LC)とを含み、
イムノコンジュゲートが、式Ab−(L−D)pを有し、
(a)Abが抗体であり、
(b)Lがリンカーであり、
(c)Dが薬剤成分であり、そして
(d)pがおよそ1から20である、医薬。 - イムノコンジュゲートを含む前立腺、肺、大腸、膀胱、卵巣、又はユーイング肉腫の細胞増殖を阻害するための医薬であって、
イムノコンジュゲートが、STEAP−1に結合し細胞毒性剤に共有結合するヒト化モノクローナル抗体を含み、
抗体が、
(1)配列番号25のアミノ酸配列を含むHC−FR1;
(2)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H1;
(3)配列番号22のアミノ酸配列を含むHC−FR2;
(4)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H2;
(5)配列番号138のアミノ酸配列を含むHC−FR3;
(6)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H3;及び
(7)配列番号24のアミノ酸配列を含むHC−FR4;
を含む、重鎖可変ドメインを含む(a)重鎖(HC)と
(1)配列番号17のアミノ酸配列を含むLC−FR1;
(2)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−L1;
(3)配列番号18のアミノ酸配列を含むLC−FR2;
(4)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L2;
(5)配列番号19のアミノ酸配列を含むLC−FR3;
(6)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L3;及び
(7)配列番号20のアミノ酸配列を含むLC−FR4;
を含む、軽鎖可変ドメインを含むか、又は
(1)配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(2)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(3)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(4)配列番号94のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(5)配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(6)配列番号96のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(7)配列番号97のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(8)配列番号98のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(9)配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、
(10)配列番号100のアミノ酸配列を含む軽鎖領域、又は
(11)配列番号101のアミノ酸配列を含む軽鎖領域
を含む、(b)軽鎖(LC)とを含み、
イムノコンジュゲートが、式Ab−(L−D)pを有し、
(a)Abが抗体であり、
(b)Lがリンカーであり、
(c)Dが薬剤成分であり、そして
(d)pがおよそ1から20であり、
STEAP−1へのイムノコンジュゲートの結合が許容される条件下でイムノコンジュゲートを細胞に曝すことを含む、医薬。 - 前立腺、肺、大腸、膀胱、卵巣、ユーイング肉腫の細胞が異種移植片である、請求項2に記載の医薬。
- イムノコンジュゲートをインビトロで細胞に曝す、請求項2に記載の医薬。
- イムノコンジュゲートをインビボで細胞に曝す、請求項2に記載の医薬。
- イムノコンジュゲートが、増殖細胞中に発現される抗原に結合する、請求項5に記載の医薬。
- 増殖細胞が、前立腺、肺、大腸、膀胱、卵巣、又はユーイング肉腫由来のものである、請求項6に記載の医薬。
- 細胞障害性剤が、毒素、化学療法剤、薬剤成分、抗生物質、放射性同位体及び核酸分解酵素から選択される、請求項1から7の何れか一項に記載の医薬。
- 抗体がFab、Fab'-SH、Fv、scFv又は(Fab')2断片から選択される抗体断片である、請求項1から8の何れか一項に記載の医薬。
- 抗体が、重鎖定常ドメイン又は軽鎖定常ドメイン中の天然に生じるアミノ酸残基が、0.6から1.0の範囲のチオール反応値を有する遊離したシステインアミノ酸で置換された、重鎖定常ドメイン及び/又は軽鎖定常ドメインを含む、請求項1から9の何れか一項に記載の医薬。
- システインアミノ酸残基が軽鎖定常ドメイン中に位置する、請求項10に記載の医薬。
- システインアミノ酸残基が重鎖定常ドメイン中に位置する、請求項10に記載の医薬。
- 抗体が、カバット番号付け法による軽鎖定常ドメインの110、144、168及び205から選択される位置又は、EU番号付け法による重鎖定常ドメインの115、118、120、171、172、282、375及び400から選択される位置でシステインに置換された、重鎖定常ドメイン又は軽鎖定常ドメイン中の天然に生じるアミノ酸残基を含む、請求項10に記載の医薬。
- システインが、軽鎖の位置205に位置する、請求項13に記載の医薬。
- システインが、重鎖の位置118に位置する、請求項13に記載の医薬。
- 抗体が二重特異性抗体である、請求項1から15の何れか一項に記載の医薬。
- Lが、6-マレイミドカプロイル(MC)、マレイミドプロパノイル(MP)、バリン−シトルリン(val−cit)、アラニン−フェニルアラニン(ala−phe)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)、N-スクシンイミジル4(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(SMCC)、N-スクシンイミジル(4-イオド-アセチル)アミノ安息香酸エステル(SIAB)、及び6−マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(MC−vc−PAB)から選択される、請求項1から16の何れか一項に記載の医薬。
- Lが、val−cit、MC、PAB、及びMC−vc−PABから選択される、請求項17に記載の医薬。
- Lが、SPP、SMCC、及びSIABから選択される、請求項17に記載の医薬。
- Lが抗体上のチオール基によって抗体に付着される、請求項1から19の何れか一項に記載の医薬。
- イムノコンジュゲートが、以下の式を有し、
このときPABがパラ-アミノベンジルカルバモイルであり、R17が、(CH2)r、C3−C8カルボサイクリル、O−(CH2)r、アリーレン、(CH2)r−アリーレン、−アリーレン−(CH2)r−、(CH2)r−(C3−C8カルボサイクリル)、(C3−C8カルボサイクリル)−(CH2)r、C3−C8ヘテロサイクリル、(CH2)r−(C3−C8ヘテロサイクリル)、−(C3−C8ヘテロサイクリル)−(CH2)r−、−(CH2)rC(O)NRb(CH2)r−、−(CH2CH2O)r−、−(CH2CH2O)r−CH2−、−(CH2)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−、−(CH2)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−CH2−、−(CH2CH2O)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−、−(CH2CH2O)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−CH2−、及び−(CH2CH2O)rC(O)NRb(CH2)r−から選択される二価のラジカルであり、RbがH、C1−C6アルキル、フェニル又はベンジルであり、そして、rはそれぞれ1から10の整数である、請求項21に記載の医薬。 - WWがバリン−シトルリンである、請求項21に記載の医薬。
- R17が(CH2)5又は(CH2)2である、請求項21に記載の医薬。
- Dがアウリスタチン及びドラスタチンから選択される、請求項1から16の何れか一項に記載の医薬。
- イムノコンジュゲートが式Ab−(L−MMAF)pを有し、このときLはリンカーであり、pは1から8である、請求項1から16のの何れか一項に記載の医薬。
- イムノコンジュゲートが式Ab−(L−MMAE)pを有し、このときLはリンカーであり、pは1から8である、請求項1から16のの何れか一項に記載の医薬。
- Dがメイタンシノイドである、請求項1から16のの何れか一項に記載の医薬。
- DがDM1、DM3及びDM4から選択される、請求項1から16のの何れか一項に記載の医薬。
- pは2から6である、請求項1から16の何れか一項に記載の医薬。
- pは2である、請求項1から16の何れか一項に記載の医薬。
- 増殖性疾患が、前立腺、肺、大腸、膀胱、卵巣、及びユーイング肉腫の細胞増殖性疾患から選択される、請求項1から33の何れか一項に記載の医薬。
- 患者に、化学療法的酸、放射性核種、CHOP、裸の抗体、抗体−薬剤コンジュゲート、及びイムノコンジュゲートから選択される、少なくとも1つの追加の治療化合物を投与される、請求項1から33の何れか一項に記載の医薬。
- 細胞培地中の哺乳類の腫瘍細胞を抗体−薬剤コンジュゲートによって処置することを含み、それによって腫瘍細胞の増殖が抑制される、インビトロで細胞の増殖を抑制する方法であって、
抗体−薬剤コンジュゲートが抗体を含み、
抗体が、
(1)配列番号25のアミノ酸配列を含むHC−FR1;
(2)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H1;
(3)配列番号22のアミノ酸配列を含むHC−FR2;
(4)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H2;
(5)配列番号138のアミノ酸配列を含むHC−FR3;
(6)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H3;及び
(7)配列番号24のアミノ酸配列を含むHC−FR4;
を含む、重鎖可変ドメインを含む(a)重鎖(HC)と
(1)配列番号17のアミノ酸配列を含むLC−FR1;
(2)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−L1;
(3)配列番号18のアミノ酸配列を含むLC−FR2;
(4)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L2;
(5)配列番号19のアミノ酸配列を含むLC−FR3;
(6)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L3;及び
(7)配列番号20のアミノ酸配列を含むLC−FR4;
を含む、軽鎖可変ドメインを含む(b)軽鎖(LC)とを含み、
抗体が、重鎖定常ドメイン又は軽鎖定常ドメイン中の天然に生じるアミノ酸残基が、0.6から1.0の範囲のチオール反応値を有する遊離したシステインアミノ酸で置換された、重鎖定常ドメイン及び/又は軽鎖定常ドメインを含み、
抗体−薬剤コンジュゲートが、式Ab−(L−D)pを有し、
(a)Abが抗体であり、
(b)Lが遊離システインアミノ酸に結合するリンカー成分であり、
(c)Dが薬剤成分であり、そして
(d)pが1から4である、方法。 - 抗体−薬剤コンジュゲートが、
以下の式を有し、
このときPABがパラ-アミノベンジルカルバモイルであり、R17が、(CH2)r、C3−C8カルボサイクリル、O−(CH2)r、アリーレン、(CH2)r−アリーレン、−アリーレン−(CH2)r−、(CH2)r−(C3−C8カルボサイクリル)、(C3−C8カルボサイクリル)−(CH2)r、C3−C8ヘテロサイクリル、(CH2)r−(C3−C8ヘテロサイクリル)、−(C3−C8ヘテロサイクリル)−(CH2)r−、−(CH2)rC(O)NRb(CH2)r−、−(CH2CH2O)r−、−(CH2CH2O)r−CH2−、−(CH2)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−、−(CH2)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−CH2−、−(CH2CH2O)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−、−(CH2CH2O)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−CH2−、及び−(CH2CH2O)rC(O)NRb(CH2)r−から選択される二価のラジカルであり、RbがH、C1−C6アルキル、フェニル又はベンジルであり、そして、rはそれぞれ1から10の整数である、請求項37に記載の方法。 - WWがバリン−シトルリンである、請求項38に記載の方法。
- R17が(CH2)5又は(CH2)2である、請求項38に記載の方法。
- 哺乳類の腫瘍細胞が、前立腺、肺、大腸、膀胱、卵巣、又はユーイング肉腫の細胞である、請求項36から40の何れか一項に記載の方法。
- 哺乳類の腫瘍細胞が、哺乳類の癌性B細胞である、請求項36から40の何れか一項に記載の方法。
- 抗体−薬剤コンジュゲートがインビトロ又はインビボの細胞殺傷活性を有する、請求項36から40の何れか一項に記載の方法。
- 抗体−薬剤コンジュゲートと薬学的に許容可能な希釈液、担体又は賦形剤を含有してなる製薬的製剤を含む癌治療のための医薬であって、
抗体−薬剤コンジュゲートが抗体を含み、
抗体が、
(1)配列番号25のアミノ酸配列を含むHC−FR1;
(2)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H1;
(3)配列番号22のアミノ酸配列を含むHC−FR2;
(4)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H2;
(5)配列番号138のアミノ酸配列を含むHC−FR3;
(6)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H3;及び
(7)配列番号24のアミノ酸配列を含むHC−FR4;
を含む、重鎖可変ドメインを含む(a)重鎖(HC)と
(1)配列番号17のアミノ酸配列を含むLC−FR1;
(2)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−L1;
(3)配列番号18のアミノ酸配列を含むLC−FR2;
(4)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L2;
(5)配列番号19のアミノ酸配列を含むLC−FR3;
(6)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L3;及び
(7)配列番号20のアミノ酸配列を含むLC−FR4;
を含む、軽鎖可変ドメインを含む(b)軽鎖(LC)とを含み、
抗体が、重鎖定常ドメイン又は軽鎖定常ドメイン中の天然に生じるアミノ酸残基が、0.6から1.0の範囲のチオール反応値を有する遊離したシステインアミノ酸で置換された、重鎖定常ドメイン及び/又は軽鎖定常ドメインを含み、
抗体−薬剤コンジュゲートが、式Ab−(L−D)pを有し、
(a)Abが請求項23に記載の抗体であり、
(b)Lが遊離システインアミノ酸に結合するリンカー成分であり、
(c)Dが薬剤成分であり、そして
(d)pが1から4である、医薬。 - 薬剤成分がアウリスタチン又はメイタンシノイド薬剤成分である、請求項44に記載の医薬。
- 抗体−薬剤コンジュゲートが、
以下の式を有し、
このときPABがパラ-アミノベンジルカルバモイルであり、R17が、(CH2)r、C3−C8カルボサイクリル、O−(CH2)r、アリーレン、(CH2)r−アリーレン、−アリーレン−(CH2)r−、(CH2)r−(C3−C8カルボサイクリル)、(C3−C8カルボサイクリル)−(CH2)r、C3−C8ヘテロサイクリル、(CH2)r−(C3−C8ヘテロサイクリル)、−(C3−C8ヘテロサイクリル)−(CH2)r−、−(CH2)rC(O)NRb(CH2)r−、−(CH2CH2O)r−、−(CH2CH2O)r−CH2−、−(CH2)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−、−(CH2)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−CH2−、−(CH2CH2O)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−、−(CH2CH2O)rC(O)NRb(CH2CH2O)r−CH2−、及び−(CH2CH2O)rC(O)NRb(CH2)r−から選択される二価のラジカルであり、RbがH、C1−C6アルキル、フェニル又はベンジルであり、そして、rはそれぞれ1から10の整数である、請求項44に記載の医薬。 - WWがバリン−シトルリンである、請求項47に記載の医薬。
- R17が(CH2)5又は(CH2)2である、請求項47に記載の医薬。
- 癌が、前立腺癌、肺癌、大腸癌、膀胱癌、卵巣癌、及びユーイング肉腫からなる群より選択される、請求項44から50の何れか一項に記載の医薬。
- 患者に、抗体−薬剤コンジュゲート化合物と組み合わせた化学療法剤が投与され、化学療法剤が、レトロゾール、シスプラチン、カルボプラチン、タキソール、パクリタキセル、オキサリプラチン、ドセタキセル、5−FU、ロイコボリン、ラパチニブ、及びゲムシタビンから選択される、請求項44から51の何れか一項に記載の医薬。
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