(第1の実施形態)
以下に、図1及至図15を参照して、本発明に係るプリンタ本体とインクリボンカセットの第1の実施例を説明する。
図1は、本実施形態のプリンタ本体とインクリボンカセットの全体を示した斜視図である。
100はプリンタ本体であり、200はインクリボンカセット、300は用紙トレイである。プリンタ本体100の側面にはインクリボンカセット200を装着可能にするためのインクリボンカセット挿入口101があり、インクリボンカセット200は矢印A方向に着脱可能である。矢印Aは、インクリボンカセット200内に収納される供給ボビン205および巻き取りボビン207の回転軸と平行な方向である。105は、インクリボンカセット挿入口101のための蓋であり、開閉可能とするために回転自在に取り付けられている。
プリンタ本体100の前面には用紙トレイ300を装着可能にするための用紙トレイ挿入口102があり、用紙トレイ300は矢印B方向に着脱可能である。
103は表示部、104は操作部でありプリンタ本体100の天面に配されている。表示部103はLCD等の表示手段から構成され、表示部103に印画する画像や画像処理情報などを表示し、操作部104を操作することにより画像を選択し、適宜画像の加工を行い印画することができる。
図2はインクリボンカセット200の斜視図であり、図2(a)はインクリボンカセット200を天面から見た時の斜視図、図2(b)はインクリボンカセット200を底面から見た時の斜視図である。図3(a)はインクリボンカセットの分解斜視図、図3(b)は第1の下ケース202と第2の下ケース203の斜視図、図4供給ボビン(巻き取りボビン)の斜視図である。
インクリボンカセット200の筺体部分は、図2、図3に示すように上ケース201と第1の下ケース202、第2の下ケース203から構成されている。上ケース201と第1の下ケース202、第2の下ケース203は樹脂で形成されている。
図2(a)及び図3(b)に示すように第1の下ケース202は第1の底面202a及び第1の側壁202bから構成されている。第1の側壁202bはインクリボンカセット200における、ボビンの回転軸と略直交する面である側面の一部を形成する凸形状である。第1の側壁202bの反対側には第1の角部202cを有する。
同様に第2の下ケース203は第2の底面203a及び第2の側壁203bから構成されており、第2の側壁203bはインクリボンカセット200における、ボビンの回転軸と略直交する面である側面の一部を形成しており、凸形状である。第2の側壁203bの反対側には第2の角部203cを有する。
インクリボンカセット200は、インクリボン204を供給する供給ボビン205を収納する供給ボビン収納部206とインクリボン204を巻き取る巻き取りボビン207を収納する巻き取りボビン収納部208を有している。供給ボビン収納部206と巻き取りボビン収納部208は両端部を連結部209により連結され、所定の間隔をあけて互いに回転軸が平行となるように配置される。
ここで、第1の下ケース202の第1の底面202a、および、第2の下ケース203の第2の底面203aは、供給ボビン205および巻き取りボビン207の回転軸と略平行に設けられている面である。そして、第1の下ケース202の第1の側壁202b、および、第2の下ケース203の第2の側壁203bは、供給ボビン205および巻き取りボビン207の回転軸と略直交する面である。
図3(a)に示すように第1の下ケース202は供給ボビン収納部206を備えており、また供給ボビン収納部206の内部には供給ボビン205を回転可能に支持する供給ボビン軸受部210を備えている。また第1の下ケース202は上ケース201と係合するために両端部にそれぞれ1対の係合爪部211a、211bを備えている。第2の下ケース203は巻き取りボビン収納部208を備えており、また巻き取りボビン収納部208の内部には巻き取りボビン207を回転可能に支持する巻き取りボビン軸受部212を備えている。また第2の下ケース203は上ケース201と係合するために両端部にそれぞれ1対の係合爪部213a、213bを備えている。
図3(a)、図4(a)、図4(b)に示すように供給ボビン205及び巻き取りボビン207はともに同一形状をしており、樹脂製である。供給ボビン205及び巻き取りボビン207は、それぞれ、中央に設けられた筒状の基部205a、207a、基部205a、207aの一端に設けられた小径部205b、207bと他端に設けられた大径部205c、207cとを有している。小径部205b、207bはそれぞれ第1の下ケース202の供給ボビン軸受部210、第2の下ケース203の巻き取りボビン軸受部212に回転自在に保持され、供給ボビン205、巻き取りボビン207が回転自在に保持される。
小径部205b、207bと基部205a、207aの境には第1のフランジ部205d、207d、大径部205c、207cと基部205a、207aの境には第2のフランジ部205e、207eが設けられている。第1のフランジ部205d、207dの外側面に複数の凸形状をした回転規制部205f、207fがそれぞれ形成され、軸の円周方向に均等な間隔で配置されている。
図3(a)に示すようにインクリボン204は第1のフランジ部205dと第2のフランジ部205eの間に巻かれている。
大径部205c、207cの内壁面に凸部205g、207gが設けられておりプリンタ本体100に設けられた不図示のボビン回転駆動部と係合し、供給ボビン205及び巻き取りボビン207を回転駆動することができる。
図5(a)は上ケース201の斜視図、図5(b)は上ケース201の部分拡大図であり、図6は上ケース201に供給ボビン205、巻き取りボビン207を組み込んだときの上面図である。
図5(a)のように、上ケース201の内壁部から弾性係合片214a、214bが一体的に形成されている。また弾性係合片214a、214bは、略同一形状である。図5(b)では、弾性係合片214aについて記載しているが、略同一形状である214bも同様の形状をしているため、括弧内に214bに対応する符号も記載している。
図5(b)のように、弾性係合片214a(214b)は、弾性変形可能な腕部215a(215b)と中間部216a(216b)と係合部217a(217b)と先端当接部218a(218b)から形成されている。腕部215a(215b)は二股形状をしており腕部215a(215b)の間に中央空間部219a(219b)を形成している。また、腕部には、第1の屈曲部226a(226b)と、第2の屈曲部227a(227b)が設けられている。このように屈曲点を複数設けることで、弾性変形した際の応力が複数の屈曲点に分散するため、曲げられた形状への塑性変形が抑制される。さらに屈曲形成することで、はりを成す腕の長さ自体も長くなり、よりクリープし難い効果もある。
弾性係合片214a(214b)は、中央空間部219a(219b)を中心として左右対称形状をしている。
弾性係合片214a(214b)は、上ケース201の一部であり、上ケース201の一部として樹脂で一体成型されている。そして、供給ボビン収納部206(ボビン収納部208)を形成する、供給ボビン205(巻き取りボビン207)の軸と平行な面である上面206a(208a)から、供給ボビン収納部206(ボビン収納部208)の内側に略直角に立ち上がった状態で、弾性係合片214a(214b)が形成されている。従って、弾性変形する場合は、腕部215a(215b)の、上面206a(208a)からのたちあがり部分である根本部215a´(215b´)を中心として、先端当接部218a(218b)が円弧を描くように移動することになる。
図2(b)は、上ケース201に第1の下ケース202、第2の下ケース203を組み付けた状態である。この状態では、第1の下ケース202、第2の下ケース203に設けられた開口部222、223から、それぞれ、弾性係合片214a、214bの先端当接部218a、218bが突出している。また開口部222、223はインクリボンカセット200の一端側側面に配置されている。
図6に示すように上ケース201に供給ボビン205を組み付けた際には供給ボビン205の回転軸である小径部205bが中央空間部219aに入り込む。同様に、上ケース201に巻き取りボビン207を組み付けた際には巻き取りボビン207の回転軸である小径部207bが中央空間部219bに入り込む。そして、上ケース201の係合部217a、217bが、それぞれ供給ボビン205と巻き取りボビン207に設けられた回転規制部205f、207fと係合し、供給ボビン205及び巻き取りボビン207の回転を規制する。
図5および図6のように、弾性係合片214aを二股形状にしたため、弾性係合片214aの長さを長くすることができる。また、二股形状の腕部215aの間の中央空間部219aに供給ボビン205の回転軸が配置されるように構成したため、供給ボビン205がどちらの方向に回転しても、供給ボビン205の回転に対する弾性係合片214の強度を保つことができる。
図7はプリンタ本体100のインクリボンカセット挿入口101の部分拡大図である。
インクリボンカセット挿入口101にはインクリボンカセット200がプリンタ本体100に装填された際にインクリボンカセット200の先端当接部218a、218bが当接する当接面110a、110bが設けられている。
図8はプリンタ本体100の側面図である。図8(a)はインクリボンカセット200が未装填のときのプリンタ本体100の側面図である。図8(b)はプリンタ本体100にインクリボンカセット200を装填する直前の側面図である。図8(c)はインクリボンカセット200が装填されたときのプリンタ本体100の側面図である。
107はカセットロック、110a及び110bは当接面である。インクリボンカセット挿入口101にはカセットロック107が配されており図8(a)に示す位置から図8(b)に示す位置に移動可能に構成されている。また、カセットロック107は常に下方向、つまり、第1の側壁202bや、先端当接部218aが設けられている方向に付勢されている。
図8(b)に示すようにインクリボンカセット200をプリンタ本体100に装填するとインクリボンカセット200によりカセットロック107が押し上げられる。そして、インクリボンカセット200をプリンタ本体100に装填すると図8(c)に示すようにカセットロック107とインクリボンカセット200の本体係合部201aが係合しインクリボンカセット200はプリンタ本体100に装填された状態で維持される。
インクリボンカセット200をプリンタ本体100から取り出す場合は、カセットロック107を図8(c)に示すロック位置から図8(b)に示す解除位置まで押し上げることでインクリボンカセット200をプリンタ本体100から取り出すことができる。
当接面110a、110bはインクリボンカセット200がプリンタ本体100に装填された際にインクリボンカセットの先端当接部218a、218bが当接する面である。
図9はプリンタ本体100にインクリボンカセット200を装填するときの動作を説明する断面図である。図9(a)はプリンタ本体100にインクリボンカセット200を装填する直前の断面図である。図9(b)はプリンタ本体100にインクリボンカセット200を装填した後の断面図である。図9(c)はプリンタ本体100にインクリボンカセット200の弾性係合片214aに外部からの力が加わったときの断面図である。
図9(a)に示すようにインクリボンカセット200がプリンタ本体100に装填される前の状態では、供給ボビン205の回転規制部205fと上ケース201の係合部217aが係合しており、供給ボビン205の回転が規制されている。
次にインクリボンカセット200をプリンタ本体100に装填すると、図9(b)に示すように第1の下ケースの開口部222から突出した先端当接部218aがプリンタ本体100の当接面110aと当接する。そのため、弾性係合片214aが図中矢印C方向(スラスト方向)側に弾性変形し、係合部217aと供給ボビン205の回転規制部205fの係合が解除され、供給ボビン205は回転自在となる。巻き取りボビン207も同様に、インクリボンカセット200をプリンタ本体100に装填すると、回転の規制が解除される。
つまり、プリンタ本体100にインクリボンカセット200を装填すると供給ボビン205及び巻き取りボビン207の回転規制が解除されるためインクリボンカセット200内のインクリボン204を搬送させることができる。ここで、矢印C方向は、供給ボビン205のスラスト方向、つまり、回転軸方向である。
このように、回転規制が解除された状態では、弾性係合片214aが図9の矢印C方向への弾性変形しているため、インクリボンカセット200に図9(b)の矢印D方向の反力が発生し、インクリボンカセット200が上方向に押し上げられる。インクリボンカセット200の外形はスムーズにプリンタ本体100に装填可能にするために、図8(c)に示すようにインクリボンカセット挿入口101に対して小さい形状をしている。そのため、インクリボンカセット200とインクリボンカセット挿入口101は隙間を有している。また、当接面110a、110bは、挿入口101の下側、インクリボンカセット200は挿入口101の上側、つまり、当接面110a、110bとインクリボンカセット200は、挿入口101の対向する側に設けられている。そのため、インクリボンカセット200を上方向、(プリンタ本体100のカセットロック107側の方向)に押し上げることで、インクリボンカセット200の本体係合部201aがプリンタ本体100のカセットロック107に近づく。そのため、本体係合部201aとカセットロック107の係合が外れることを防止することができる。
弾性係合片214aの弾性変形による反力の本体係合部201aの方向への成分を大きくするために、弾性係合片214aおよび本体係合部201aは、それぞれ、当接する部分の形状を斜め形状にしている。そのため、先端当接部218aは、側壁202b側に斜めに傾いた状態で面202dから突出している。反力の本体係合部201aの方向への成分を大きくすすることで、本体係合部201aがカセットロック107に近づきやすくなり、本体係合部201aとカセットロック107の係合が外れにくくなり、インクリボンカセットのロックが安定する。
図9(c)は、弾性係合片214aに外部からの力が発生し、図9(b)に示すプリンタ本体100に装填した時の位置より、更に図中矢印C方向に弾性係合片214aが撓んだ場合を示している。この場合、第1の下ケース202の開口部222の外周の一部を形成している第1の側壁202bと弾性係合片214aが当接する。第1の側壁202bが、弾性係合片214aの過剰な変形を規制するため、弾性係合片214aの破損、変形を抑制することができる。また、第1の側壁202bは、第1の下ケース202の開口部222を有する面202dよりも突出しているため、同じく面202dよりも突出している先端当接部218aと確実に当接する。そして、先端当接部218aよりも、第1の側壁202bのほうが突出しているため、先端当接部218aは、第1の側壁202bより外側には移動できない。そのため、インクリボンカセット200をプリンタ本体100に装填し、蓋105を閉じるときに、先端当接部218aが蓋105と当接して蓋が閉じられなくなるようなことはないような構成になっている。
また、回転規制が該叙された状態では、弾性係合片214aは、上ケース201から延出した根本部215a’と、第1の屈曲部226a、第2の屈曲部227bの、合わせて3つの屈曲点を主な起点として変形する。
弾性係合片214aは、第1の屈曲部220a、第2の屈曲部221aを設けずに、上ケース201から鉛直状に伸びただけの形状であった場合、図9(b)や図9(c)のような変形を受けた場合、その変形に伴う応力は、根本部分に集中してしまう。それに対し、本実施例の弾性係合片214aは、3つの屈曲点に応力が分散するため、曲げられた形状への塑性変形が抑制される。
図9に示すように、開口部222は、供給ボビン収納部206において、根本部215a’が設けられている側の面と、供給ボビン205を介して対向する側の面に配置されている。そのため、弾性係合片214aにおいて、はりを成す腕の長さを長くすることができる。さらに、弾性係合片214aの係合部217aが設けられている位置よりも215a’側に複数の屈曲部を設けたため、はりを成す腕の長さを更に長くすることができ、よりクリープし難いという効果がある。
図9では、供給ボビン205側の回転規制機構について説明したが、巻き取りボビン207側も同様の構成を有している。
図10はインクリボンカセット200の断面図である。
図10に示すように供給ボビン205に外部から回転力が加わると供給ボビン205の回転規制部205fと上ケース201の係合部217aが係合しているため弾性係合片214aが図中矢印Eの方向(供給ボビン205の回転方向)に揺動する。この時、中間部216aの側面が第1の下ケース202の開口部222の内部に設けられた開口部側壁224と当接することにより弾性係合片214aの揺動が規制される。そのために供給ボビン205に外部から大きな回転力が加わった場合においても供給ボビン205の回転を規制し、弾性係合片214aの破損等を防ぐことができる。本実施形態では、開口部側壁224が、弾性係合片214aのボビンの回転方向への変形を規制するための弾性係合片の規制部として機能しているが、他の部材により弾性係合片214aのボビンの回転方向への移動を規制してもよい。
同様に巻き取りボビン207に外部から回転力が加わると巻き取りボビン207の回転規制部207fと上ケース201の係合部217bが係合しているため弾性係合片214bが図中矢印Fの方向(巻き取りボビン207の回転方向)に揺動する。この時、中間部216bの側面が第2の下ケース203の開口部223の内部に設けられた開口部側壁225と当接することにより弾性係合片214bの揺動が規制される。そのために巻き取りボビン207に外部から大きな回転力が加わった場合においても巻き取りボビン207の回転を規制することができる。
上ケース201には、第1の下ケース202の係合爪部211bと係合する被係合部220が弾性係合片214aの側面外側に配置されている。同様に上ケース201に第2の下ケース203の係合爪部213bと係合する被係合部221が弾性係合片214bの側面外側に配置されている。これらの、上ケース201と第1の下ケース202の係合部分や、上ケース201と第2の下ケース203の係合部分は、係合により強化されている部分である。そのため、弾性係合片214aが弾性変形しても、上ケース201、第1の下ケース202、第2の下ケース203は変形しにくい構成になっている。つまり、係合爪部211b、213b、被係合部220、221を、弾性係合片214a、214bの近傍に配置することにより、弾性係合片が弾性変形した場合に、他の部分も変形してしまうことを防いでいる。
図11(a)はインクリボンカセット200が床面400にあるときの側面図であり、図11(b)はインクリボンカセット200が床面400にあるときの断面図である。
図11(a)に示すようにインクリボンカセット200を平面である床面400に置いたときは第1の下ケース202の第1の側壁202bと第1の角部202cが床面400と接触する。第1の下ケース202の第1の側壁202bは、床面400と接触するが、先端当接部218aは、床面400と接触しない。これは、先端当接部218aよりも、第1の下ケース202の第1の側壁202bのほうが、矢印I方向(供給ボビン205の回転軸と直交する方向)に突出した形状になっているためである。
第1の側壁202bが第1の下ケース202の供給ボビン205の回転軸と平行な面から突出していない場合、インクリボンカセット200を床面400等の平面においた場合、床面400と先端当接部218aが接触してしまう。接触すると、インクリボンカセット200の自重により、上ケース201の係合部217aが弾性変形し、供給ボビン205の回転規制部205fと係合部217aの係合が解除され、供給ボビン205の回転の規制が解除されてしまう。回転が解除されると、供給ボビン205は自由回転可能となり、インクリボンが巻きゆるんでしまう。そして、巻きゆるんだ状態でプリンタ本体100のインクリボンカセット挿入口101に装着されると、インクリボンが傷んでしまったり、印刷動作でエラーが発生したりしてしまう。そこで、本実施形態のインクリボンカセット200では、先端当接部218aが床面400と接触することがなく供給ボビン205の回転規制が解除されることを防ぐために、このような第1の側壁202bを設けている。
また、第1の側壁202bと第1の角部202cでインクリボンカセット200が支持されているため、第1の底面202aが床面400と接触することを抑制することができる。そのため、床面400に堆積している埃等の異物が第1の底面202aに付着することを防止できる。
また第2の下ケース203においても同様に第2の側壁203bと第2の角部203bが床面400と接触するため、先端当接部218bが床面400と接触することがなく巻き取りボビン207の回転規制が解除されることはない。また、第2の側壁203bと第1の角部203cの2点でインクリボンカセット200が支持されているため、第2の底面203bが床面400と接触することを抑制することができる。そのため、床面400に付着している埃等の異物が第2の底面203bに付着することを防止できる。図11では床面400にインクリボンカセット200を置いたときを例に説明したが、床面400だけではなく机などの他の平面においた場合も同様である。
図12〜図14はプリンタ本体100の印画動作を説明する断面図である。
図12(a)は待機状態のときの様子を示す断面図、図12(b)は用紙301を給紙したときの様子を示す断面図である。図13(a)は用紙301が印画開始位置にある様子を示す断面図、図13(b)は印画開始前の様子を示す断面図である。図14(a)は印画動作中の様子を示す断面図、図14(b)は印画終了時の様子を示す断面図である。
図12(a)に示すように120はサーマルヘッド、121はサーマルヘッド支持アーム、122は放熱板、130はプラテンローラである。サーマルヘッド支持アーム121は不図示の回動軸を中心に回動可能に支持されている。サーマルヘッド120はサーマルヘッド支持アーム121に支持されており、図12(a)に示す位置から図13(b)に示す位置に回動可能であり、プラテンローラ130との間で圧接力を生じさせることができる。放熱板122はサーマルヘッド120に取り付けられており、サーマルヘッド120で発生した熱を放熱板122に移動することができるように構成されている。プラテンローラ130はプリンタ本体100に回転自在に配置されており、用紙301の搬送に合わせて回転するように構成されている。
131は搬送ローラ、132は従動ローラである。搬送ローラ131は不図示の用紙搬送モータにより駆動され回転駆動することができる。従動ローラ132は搬送ローラ131に対向している従動ローラであり、搬送ローラ131の回転に追従して回転を行うように構成されている。
133は給紙ローラ、134は排紙ローラである。給紙ローラ133は不図示の給紙駆動モータにより駆動され回転駆動することができる。排紙ローラ134は給紙ローラ133に対向している従動ローラであり、給紙ローラ133の回転に追従して回転を行うように構成されている。
150は用紙ガイドであり、給紙時に用紙301により持ち上げられ図12(a)に示す位置から図12(b)に示す位置に回動可能に支持されている。また、用紙ガイド150は常に下方向に付勢されており、図12(a)に示す位置にある。151は加圧板であり不図示の駆動源により回動駆動され図12(a)に示す位置から図12(b)に示す位置まで回動可能に構成されている。
以下、プリンタ本体100の印画動作を説明する。
プリンタ本体100のインクリボンカセット挿入口101からインクリボンカセット200を装填すると、図9(b)のようにプリンタ本体100の当接面110a、110bとインクリボンカセット200の先端当接部218a、218bがそれぞれ当接する。弾性係合片214a、214bが図9(b)に示す位置まで撓むことでインクリボンカセット200の係合部217a、217bと供給ボビン205の回転規制部205f、巻き取りボビン207の回転規制部207fとの係合が解除される。係合が解除されることにより、供給ボビン205及び巻き取りボビン207は回転可能となり、供給ボビン205及び巻き取りボビン207がプリンタ本体に設けられた回転駆動機構(不図示)によって回転駆動可能となる。
そして、操作部104を操作し印画指示がなされると図12(b)に示すように加圧板151が不図示の駆動源により回動駆動され用紙トレイ300に収納された用紙301が給紙ローラ133と当接する。そして、給紙ローラ133が不図示の給紙駆動源により回転駆動されることにより用紙301が用紙トレイ300から給紙される。この際に、用紙301の先端が用紙分離部302に当接することで最表面の用紙301の1枚のみを分離し給紙することができる。そして、用紙301は用紙ガイド150を押し上げながら搬送される。
そして用紙301が図12(b)に示す搬送ローラ131と従動ローラ132のニップ位置まで搬送されると不図示の用紙搬送モータが回転して搬送ローラ131を駆動する。搬送ローラ131は、用紙301を、サーマルヘッド120とプラテンローラ130の間を通過するように図12(b)の矢印G方向に搬送する。
次に、用紙301が図13(a)に示すようにインクリボンカセット200の第1の底202aに接触しガイドされながら印画開始位置まで搬送される。印画開始位置まで搬送されると、印画を行うため、まずは、イエロー印画が開始される。
まず、図示しない駆動源によりサーマルヘッド支持アーム121が回動しサーマルヘッド120を図13(a)の退避位置から図13(b)の印画位置で静止させ、サーマルヘッド120とプラテンローラ130で用紙301を圧接する。その後、搬送ローラ131により用紙301が図13(b)の矢印H方向に搬送され、制御装置(不図示)からの印画信号によりサーマルヘッド120の発熱体が発熱し、インクリボン204上のイエローの染料を用紙301へ熱転写させ、イエロー印画を行う。
印画動作中の用紙301は、図14(a)に示すようにインクリボンカセット200の第1の底面202a及び第2の底面203aに用紙301の印画面が接触しガイドされながら搬送される。
印画動作中のインクリボン204は図示しない駆動源により巻き取りボビン207が回転駆動され、用紙301と共に同じ搬送速度で図14(a)の矢印H方向に搬送が行われる。インクリボンカセット200に回転自在に保持されているシャフト230に、インクリボン204が当接しながら搬送されるため、インクリボン204の搬送抵抗を小さくすることができ、インクリボン204の搬送不良による皺等の印画不良を防ぐことができる。
そしてイエロー印画が完了すると次のマゼンタ印画を行うため、リターン動作を行う。まず、サーマルヘッド支持アーム121を回動させ、サーマルヘッド120とプラテンローラ130の圧接を解除し、図14(b)に示す退避位置に静止させる。サーマルヘッド120がプラテンローラ130から離間させることにより、用紙301とインクリボン204とを個別に搬送することが可能となる。そして、搬送ローラ131により、インクリボンカセット200の第1の底面202aに接触させガイドしながら用紙301を矢印G方向に搬送し、図13(a)の印画開始位置まで搬送する。
また、同時に、次のマゼンタ印画を開始するためにサーマルヘッド120と対向する位置にインクリボン204のマゼンタ印画開始位置が合うように、巻き取りボビン207を回転させ、インクリボン204を供給ボビン205から引き出す。
そして用紙301が印画開始位置まで搬送されインクリボン204のマゼンタ印画開始位置の頭出しを行われるとリターン動作が終了しマゼンタ印画を開始する。
マゼンタ印画は前述したイエロー印画と同様に、図示しない駆動源によりサーマルヘッド支持アーム121が回動しサーマルヘッド120を図13(b)の位置で静止させ、サーマルヘッド120とプラテンローラ130で用紙301とインクリボン204を圧接する。その後、搬送ローラ131により用紙301を図13(b)の矢印H方向に搬送しながら制御装置(不図示)からの印画信号によりサーマルヘッド120の発熱体を発熱させ、インクリボン204のマゼンタの染料を用紙301へ熱転写させてマゼンタ印画を行う。
その後、イエロー印画後と同様にリターン動作を行い、そして次に、イエロー印画、マゼンタ印画と同様に、シアン印画を行うことで用紙301にカラー画像を印刷することができる。
本実施形態のプリンタ本体100は3色の印画を行った後に用紙301に印画された画像が外的な要因により劣化することを低減するために、オーバーコート印画を行う。
オーバーコート印画に関しても前述したイエロー印画と同様にまずはリターン動作を行い、用紙301を印画開始位置まで搬送させる。そして、インクリボン204のオーバーコート印画開始位置への頭出し搬送が行われるとリターン動作が終了しオーバーコート印画を開始する。
オーバーコート印画は前述したイエロー印画と同様に行う。まず、駆動源によりサーマルヘッド支持アーム121を回動させてサーマルヘッド120を図13(b)の位置で静止させ、サーマルヘッド120とプラテンローラ130で用紙301とインクリボン204を圧接する。その後、搬送ローラ131により用紙301を図13(b)の矢印H方向に搬送させながら、制御装置(不図示)からの印画信号によりサーマルヘッド120の発熱体を発熱させてインクリボン204上のオーバーコート層を用紙301へ熱転写させる。
オーバーコート印画(転写)が終了すると、プリンタ本体100は用紙301を排紙するために給紙ローラ133を回転駆動し、用紙301を給紙ローラ133と排紙ローラ134でニップして矢印H方向に搬送させ、プリンタ本体100の外部へ排出する。
このようにプリンタ本体100の印画動作においてインクリボンカセット200の第1の底面202aと第2の底面203aが用紙301の搬送経路の一部となる。そのため、第1の底面202a及び第2の底面203aに埃等の異物が付着していると印画動作中に用紙301の印画面に埃等の異物が付着してしまい用紙301に染料が転写されず、色ぬけ等が発生してしまうことがある。
しかしながら、前述した通り、本実施形態のインクリボンカセット200は、床面400に置いたときに第1の底面202a及び第2の底面203aが床面400と接触することが無く埃等の異物が付着することを防ぐことができる。
(第2の実施形態)
以下に、図15乃至図17を参照して第2の実施形態について説明する。
基本的な構成は第1の実施形態と同じであるため、異なる部分のみを説明する。
図15は第2の実施形態におけるインクリボンカセット200の斜視図、図16は第2の実施形態における上ケース201の斜視図、図17は第二の実施例におけるインクリボンカセット200の断面図である。また、図16及び図17は説明を簡略化するために弾性係合片214a、214bを省略している。
なお、説明を簡略化するため同一箇所については第一の実施例と同じ符号を付与している。
インクリボンカセット200は図15に示すように上ケース201の側壁には第1の凸部201bと第2の凸部201cを有する。上ケース201には図16及び図17に示すように供給ボビン205及び巻き取りボビン207を軸支する軸受部231、232を有する。軸受部231、232は、供給ボビン205及び巻き取りボビン207の第1の凸部201bと第2の凸部201c側を支持している。
また、上ケース201の第1の凸部201bと第2の凸部201c軸受部231、232係合爪部211b、213b、の近傍には、被係合部220、221が設けられている。被係合部220、221は、第1の下ケース202の係合爪部211b、第2の下ケース203の係合爪部213bとそれぞれ係合して、インクリボンカセット200が形成される。
次に、インクリボンカセットが落下した場合について説明する。
インクリボンカセット200が図中矢印I方向に落下した場合、インクリボンの自重を受ける軸受部231、232や、床面と当接する凸部201b、201cは大きな荷重を受ける。そのため、落下した際には、軸受部231、232や凸部201b、201cの近傍に設けられている係合爪部や被係合部も荷重を受けやすく、特に、係合爪部は変形しやすい構成のため、大きな荷重を受けてしまうと、係合が外れやすくなってしまう。そこで、本実施形態のインクリボンカセットは、落下した際に、係合爪部にかかる荷重が小さくなり、係合が外れにくくなる構成としている。
図17を参照して、落下した際に、係合爪部にかかる荷重を小さくするための構成を説明する。
落下した場合、上ケース201の第1の凸部201bと第2の凸部201cが床面と当接する。この際に、インクリボン204の荷重が、供給ボビン205、巻き取りボビン207の軸の凸部201b、201c側を支持している軸受部231、232に図中矢印I方向に発生する。このインクリボン204による荷重は、軸受部231、232にと同じ部材に設けられている、第1の凸部201bと第2の凸部201cに伝わる。軸受部231、232は上ケース201に設けられているため、第1の下ケース202の係合爪部211b及び第2の下ケース203の係合爪部213bに生じる荷重を小さくすることができる。
また、インクリボンカセット200が落下した際には、第1の凸部201bと第2の凸部201cが床面に当接し、インクリボンカセットの荷重を受けることになる。第1の凸部201bと第2の凸部201cについても、上ケース201に設けられているため、第1の下ケース202の係合爪部211b及び第2の下ケース203の係合爪部213bに生じる荷重を小さくすることができる。
このように、本実施形態では、荷重を受けることになる凸部201b、201cや軸受部231、232を、係合爪部211b、213bが設けられているケースとは別のケースに設けた。そのため、係合爪部211b、213bに発生する荷重を小さくすることができ、上ケース201と第1の下ケース202及び第2の下ケース203の係合が外れることを抑制することができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
上述の実施形態では、上ケース201と第1の下ケース202及び第2の下ケース203を係合させることによりインクリボンカセット200を形成したが、これに限定されない。例えば、第1の下ケース202と第2の下ケース203を一体的構成した下ケースと上ケース201とによりインクリボンカセット200を形成してもよい。