JP6184236B2 - モータ駆動装置及び洗濯機 - Google Patents

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本発明は、モータ駆動装置及び該モータ駆動装置を備える洗濯機に関する。
現在、上側に開口を有する有底円筒形の洗濯脱水槽(回転ドラム)の底部にパルセータが設けられた洗濯機、いわゆる縦型洗濯機が普及している。この縦型洗濯機では、洗濯物が投入された回転ドラムに洗濯水又は濯ぎ水を供給した後に、パルセータを回転させることによって洗い又は濯ぎを行う。また、縦型洗濯機では、洗濯物が投入された回転ドラムの底面に出力端が連結してあるドラムモータを一方向に高速に回転させることによって、回転ドラムを回転させ、回転ドラムの回転によって洗濯物を脱水する。この縦型洗濯機には、回転ドラムを回転させるドラムモータを駆動するモータ駆動装置が搭載されている。
ドラムモータでは、端部が回転ドラムの底面の中央に連結してある出力軸の周面に沿って永久磁石のロータが周設されており、更に、円筒状のステータがロータを、間隔を隔てて、囲繞している。ステータの内周面には、内周面に垂直な方向に突出する複数の突出部が周方向に等配されている。複数の突出部夫々にはコイルが巻回されており、各コイルの一方の端子は他のコイルの一方の端子と接続されている。
モータ駆動装置は、商用電源から出力される交流電圧を整流して平滑化した直流電圧を、パルス状の交流電圧に変換して、変換した交流電圧をドラムモータの端子間、即ち、複数のコイル夫々の他方の端子間に印加する。交流電圧の印加によって複数のコイル夫々に発生する磁極が周期的に変化し、ロータの周辺に回転磁界が形成され、ロータが周方向に回転し、ロータの回転と共に出力軸が周方向に回転する。これにより、出力軸の端部が連結してある回転ドラムが回転する。
洗濯物を洗う場合に高トルクかつ低速度で回転ドラムを回転させ、洗濯物を脱水する場合に低トルクかつ高速度で回転ドラムを回転させる必要があり、ドラムモータはこれらの要求を満たすように構成してある。
モータ駆動装置は、例えば、洗濯物を脱水するためにモータの回転数を加速する場合、目標回転数を所定周期での数値の加算により更新する。モータ駆動装置は、所定周期ごとに、直流電圧を、更新された目標回転数に応じた交流電圧に変換し、変換した交流電圧をドラムモータの端子間に印加することによって、トルクを発生させ、ドラムモータの回転数を目標回転数まで加速させる。
しかしながら、交流電圧への変換に用いる直流電圧が低い場合には、ドラムモータに印加するパルス状の交流電圧の振幅が低い。この交流電圧の振幅が想定以上に低い場合、ドラムモータの回転数を目標回転数まで加速させることが可能な交流電圧をドラムモータの端子間に印加することができず、ドラムモータの回転数が目標回転数に追従できない虞がある。
また、回転ドラムが大きく振動している場合、回転ドラムの底面に端部が連結してある出力軸の回転によって生じる摩擦が大きく、ドラムモータの端子間への交流電圧の印加によって発生したトルクにおいて、ドラムモータの回転数の加速に寄与するトルクが小さい。回転ドラムの振動が想定以上に大きい場合、ドラムモータの回転数を目標回転数まで加速させることが可能なトルクを発生させることができず、ドラムモータの回転数が目標回転数に追従できない虞がある。
以上のように、交流電圧への変換に用いる直流電圧の大きさ、又は、回転ドラムの振動の大きさ等の使用状態によっては、ドラムモータの回転数が、所定周期での数値の加算により更新される目標回転数に追従できなくなり、時間経過と共にドラムモータの回転数と目標回転数との差が大きくなる。
ドラムモータの回転数と目標回転数との差分が所定回転数を超えた場合、交流電圧の印加によってロータの周辺に形成させる回転磁界にロータが追従して回転することができず、ドラムモータは脱調する。
特許文献1には、縦型洗濯機に搭載されており、目標回転数を所定周期での数値の加算によって更新してドラムモータの回転数を加速させている間にドラムモータの回転数が予め設定された回転数を超えた場合に、目標回転数に加算する数値を低減するモータ駆動装置が開示されている。
これにより、ドラムモータの回転数と目標回転数との差分の拡大が防止され、ドラムモータが脱調する確率が低い。
特許第3171568号公報
しかしながら、特許文献1に記載のモータ駆動装置では、目標回転数に加算する数値は、ドラムモータの回転数が、予め設定された回転数を超えた場合に低減される。従って、特許文献1に記載のモータ駆動装置では、ドラムモータの回転数と目標回転数との差が大きくて目標回転数に加算する数値を低減すべき状態であっても、ドラムモータの回転数が、予め設定された回転数に到達しない限り、目標回転数に加算する数値は低減されない。
このため、特許文献1に記載のモータ駆動装置には、ドラムモータの回転数と目標回転数との差分が所定回転数を超えてドラムモータが脱調する確率が依然として高いという問題点がある。
また、パルセータを備えずに、軸心が水平方向又は斜め方向に傾けられている有底円筒体の回転ドラムを備える洗濯機も普及しており、この洗濯機では、洗濯物が投入された回転ドラムに洗濯水又は濯ぎ水を供給した後に回転ドラムを回転させることによって洗い及び濯ぎを行う。軸心が水平方向又は斜め方向に傾けられている回転ドラムを備える洗濯機においても、縦型洗濯機と同様に、洗濯物を脱水する場合、回転ドラムに洗濯物を投入し、回転ドラムの底面の出力端が連結してあるドラムモータを一方向に高速に回転させることによって、回転ドラムを回転させる。この洗濯機においても、軸心が水平方向又は斜め方向に傾けられている回転ドラムはドラムモータによって回転され、ドラムモータを駆動するモータ駆動装置が設けられている。
従って、上述した問題点は、特許文献1に記載のモータ駆動装置のように、上側に開口を有する有底円筒形の回転ドラムを回転させるドラムモータを駆動するモータ駆動装置だけではなく、軸心が水平方向又は斜め方向に傾けられている有底円筒形の回転ドラムを回転させるドラムモータを駆動するモータ駆動装置にも存在する。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、モータ(ドラムモータ)が脱調する確率が低いモータ駆動装置及び該モータ駆動装置を備える洗濯機を提供することにある。
本発明に係るモータ駆動装置は、夫々の一方の端子が接続してある複数のコイルを有するモータの目標回転数を所定周期での数値の加算により更新する更新手段と、直流電圧を、前記更新手段が更新した目標回転数に応じた交流電圧に変換するインバータ回路とを備え、該インバータ回路が変換した交流電圧を前記複数のコイル夫々における他方の端子間に印加することによって前記モータを駆動するモータ駆動装置において、前記インバータ回路が前記他方の端子間に前記交流電圧を印加することによって、前記複数のコイル夫々に印加される交流電圧の歪み度合が所定レベルよりも大きいか否かを判定する歪み度合判定手段と、該歪み度合判定手段が前記所定レベルよりも大きいと判定した場合に、前記更新手段が加算する数値を低減する数値低減手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記直流電圧の値を検出する電圧検出手段と、前記更新手段が更新した目標回転数を含む前記モータの回転に係る値から、前記他方の端子間に印加すべき交流電圧の振幅値を演算する振幅値演算手段とを更に備え、前記歪み度合判定手段は、前記電圧検出手段が検出した直流電圧値と、前記振幅値演算手段が演算した振幅値とに基づき、前記歪み度合が所定レベルよりも大きいか否かを判定するように構成してあることを特徴とする。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記歪み度合判定手段は、前記振幅値演算手段が演算した振幅値が、前記電圧検出手段によって検出された直流電圧値に係る値のk(k:正の実数)倍よりも大きい場合に前記歪み度合が所定レベルよりも大きいと判定するように構成してあることを特徴とする。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記歪み度合が、前記所定レベルよりも高い第2の所定レベルよりも大きいか否かを判定する第2の歪み度合判定手段を更に備え、前記更新手段は、該第2の歪み度合判定手段が前記第2の所定レベルよりも大きいと判定した場合に、前記目標回転数の更新を停止するように構成してあることを特徴とする。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記歪み度合が、前記所定レベルよりも高い第2の所定レベルよりも大きいか否かを判定する第2の歪み度合判定手段と、該第2の歪み度合判定手段が前記第2の所定レベルよりも大きいと判定した場合に前記モータの回転を停止する回転停止手段とを更に備えることを特徴とする。
本発明に係る洗濯機は、前述のモータ駆動装置と、洗濯物を投入されて回転する回転ドラムとを備え、前記モータは前記回転ドラムを回転させるように構成してあることを特徴とする。
本発明によればモータが脱調する確率が低い。
実施の形態1に係る洗濯機の外観を略示する斜視図である。 実施の形態1に係る洗濯機の内部構成を略示する縦断面図である。 実施の形態1に係る洗濯機の制御系の構成を示すブロック図である。 ドラムモータの制御に係る制御装置の要部構成を示すブロック図である。 目標回転数、及び、ドラムモータの回転数夫々の推移を示すグラフである。 回転数決定部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。 実施の形態2における目標回転数、及び、ドラムモータの回転数夫々の推移を示すグラフである。 回転数決定部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。 実施の形態3に係る洗濯機の制御系の構成を示すブロック図である。 ドラムモータの制御に係る制御装置の要部構成を示すブロック図である。 回転数決定部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。 回転数決定部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。 目標回転数の推移を示すグラフである。 実施の形態4における回転数決定部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。 実施の形態4における回転数決定部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。 目標回転数の推移を示すグラフである。
以下、軸心が斜め方向に傾けられている有底円筒形の回転ドラムを備える洗濯機に本発明に係るモータ駆動装置を搭載した場合を例に挙げ、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
なお、本発明に係るモータ駆動装置が搭載される洗濯機は、軸心が斜め方向に傾けられている有底円筒形の回転ドラムを備える洗濯機に限定されず、回転ドラムを回転することによって洗濯物を脱水する洗濯機であればよい。従って、本発明に係るモータ駆動装置を、軸心が水平方向に傾けられている有底円筒形の回転ドラムを備える洗濯機、更には、特許文献1に記載の洗濯機のように、上側に開口を有する有底円筒形の回転ドラムの底部にパルセータが設けられた洗濯機にも搭載してもよい。
また、本発明に係るモータ駆動装置については、洗濯機に限定されず、高速で回転するモータを備える電気機器に搭載することができる。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る洗濯機の外観を略示する斜視図であり、図2は、実施の形態1に係る洗濯機の内部構成を略示する縦断面図である。図2に示すように実施の形態1に係る洗濯機は、外装を構成する外箱1の内部に水槽2及び回転ドラム3を備えている。水槽2は、一側に開口20を備える大径の有底円筒体であり、外箱1の底面に立設された複数本の支持脚21(1本のみ図示)により、開口20の側を上とし、水平面に対して軸心を傾けた傾斜姿勢を保って弾性的に支持されている。
外箱1の前面(図2の左側面)には、水槽2の開口20を臨む位置に、蓋体10によって開閉自在に洗濯物の投入口11が開設されており、投入口11と水槽2の開口20との間は、ベローズ12によって液密に封止されている。
水槽2の内部には、回転ドラム3が収容されている。回転ドラム3は、水槽2よりもやや小径の有底円筒体であり、一側の開口30を水槽2の開口20の内側に臨ませ、水槽2内で回転する。回転ドラム3は、開口30の外側に周設された流体バランサ31を備えている。流体バランサ31は、回転ドラム3が回転した場合に、この回転に伴う振動を吸収して緩和する作用をなす。
水槽2の底部中央にはドラムモータ4が固設されており、ドラムモータ4は、水槽2の底板の外側に連設されたモータ室41の内部に構成してある。ドラムモータ4の出力軸40は、水槽2の底板を液密に貫通し、該底板の中央に突出しており、出力軸40の端部は回転ドラム3の底板の中央に連結してある。ドラムモータ4は水槽2内の回転ドラム3を回転させる。
図2に示すように、回転ドラム3の周壁には、多数の小孔32が全面に亘って貫通形成されており、また、回転ドラム3の内面には、軸長方向に延びる複数のバッフル33が周方向に等配をなして突設されている。なお、図2には、図面の煩雑化を避けるべく、小孔32の一部と1つのバッフル33のみとを図示している。
図1に示すように、外箱1の前面には、蓋体10の近傍にドア開ボタン13が設けてある。また、蓋体10には、蓋体10の閉止時に押圧操作するための押圧部14が設けてある。蓋体10は、ドア開ボタン13の操作によって開放され、また周縁部を把持して閉操作し、押圧部14を外側から押すことにより閉止される。外箱1の前面に設けた投入口11は、水槽2及び回転ドラム3の開口20,30に臨ませてある。
外箱1の前面上部には操作パネル15が設置されている。操作パネル15は、運転内容を設定するための複数の操作ボタンと、運転内容及び運転状況等を表示する表示部とを有する。操作パネル15は、外箱1の内部における前下部に設けられている制御装置16に接続してあり、操作パネル15が有する複数の操作ボタンの中で押圧された操作ボタンを示す操作情報が制御装置16に与えられる。
制御装置16は、操作パネル15から与えられた操作情報が示す操作ボタンに基づいて運転内容を設定し、設定した運転内容に従って、後述する洗濯運転を行う。また、操作パネル15は、表示部に表示すべき内容を示す表示情報を制御装置16から受け付け、受け付けた表示情報が示す内容を表示部に表示する。
外箱1の後部上面には、給水源、例えば水道への接続端となる給水口17が設けてあり、給水口17は、外箱1の内側に設けられた給水弁18に接続されている。給水弁18の給水出口は、給水管19を介して水槽2の底板近傍の上部周面に接続されている。
給水弁18が開放された場合、給水源から給水口17に流入した水は、給水弁18及び給水管19を経て水槽2の内部に供給され、洗い用の洗濯水、又は、濯ぎ用の濯ぎ水として使用される。なお、給水管19の中途に、公知のように洗剤ケースを配置し、給水と共に適量の洗剤が導入されるように構成することができる。
また、水槽2には、最下位置となる底板近傍の周面に導水管22が接続されており、導水管22は、外箱1の内側における前下部に固定支持された筒形のフィルタケース23に接続されている。フィルタケース23の内部には、繊維屑等の異物を捕捉するリントフィルタ24が収容されている。フィルタケース23の下部は、排水弁25を介して外箱1の底面に沿って敷設された排水管26に接続されている。
排水弁25が開放された場合、水槽2内の洗濯水又は濯ぎ水は、導水管22及びフィルタケース23を経て排水管26に排出される。水槽2内の洗濯水又は濯ぎ水に含まれる異物は、フィルタケース23内のリントフィルタ24によって捕捉され、洗濯水又は濯ぎ水から除去される。従って、異物が排水管26を経て下水管に排出される虞がないため、環境負荷の軽減を図ることができる。
洗濯機の洗濯運転では、洗濯物の洗い、濯ぎ及び脱水が行われる。洗濯物の洗いは、外箱1前面の蓋体10により投入口11を開放して洗濯物を投入し、蓋体10を閉止した後に給水弁18を開放することによって水槽2の内部に洗濯水を供給し、ドラムモータ4を回転させることによって回転ドラム3を回転せしめて実施される。
前述したように回転ドラム3の周壁には、多数の小孔32が貫通した状態で形成されており、回転ドラム3の内面には、複数のバッフル33が突設されている。このため、回転ドラム3の内部の洗濯物は、小孔32を経て回転ドラム3内に流入する洗濯水に浸され、バッフル33の作用による持ち上げ及び落下を含めて洗濯水と共に撹拌されて洗われる。洗濯物の洗いが終了した後、排水弁25が開放され、水槽2内の洗濯水は排水管26に排出される。
洗濯物の濯ぎは、排水弁25を閉鎖した状態で、給水弁18を開放することによって水槽2の内部に、洗剤を含まない濯ぎ水を供給し、ドラムモータ4を回転させることによって回転ドラム3を回転せしめて実施される。洗濯物は、回転ドラム3内に溜まる濯ぎ水に浸され、洗い運転時と同様に、回転ドラム3内での持ち上げ及び落下を繰り返すことで濯がれる。
洗濯物の脱水は、排水弁25の開放によって濯ぎ水を排水管26に排出して濯ぎを終了した後、排水弁25を開放した状態で、ドラムモータ4を一方向に高速に回転させることによって回転ドラム3を高速に回転せしめて実施される。回転ドラム3内の洗濯物は、回転ドラム3の内周面に張り付いた状態で回転し、洗濯物に含まれる水は、遠心力の作用により洗濯物から離脱して、回転ドラム3の周壁に設けた小孔32から導水管22及びフィルタケース23を経て排水管26に排出される。
通常、回転ドラム3内で洗濯物はある程度不均一に分布してある。このため、ドラムモータ4が回転ドラム3を回転させた場合、回転ドラム3が振動する。
図3は、実施の形態1に係る洗濯機の制御系の構成を示すブロック図である。実施の形態1に係る洗濯機は、操作パネル15、制御装置16、給水弁18、排水弁25及びドラムモータ4の他に、整流回路50、インバータ回路51、駆動回路52及びコンデンサC1,C2を備える。ドラムモータ4は、コイルLu,Lv,LwとホールセンサHu,Hv,Hwとを有し、インバータ回路51は、入力端子S1,S2と、出力端子T1,T2,T3と、NPN型のバイポーラトランジスタ60,61,・・・,65とを有する。
以下に実施の形態1に係る洗濯機の制御系における接続関係を説明する。整流回路50は、入力端子対及び出力端子対を有し、入力端子対間には、50Hz又は60Hzの交流電圧を出力する交流電源7が接続されている。整流回路50の出力端子対について、一方の端子は、コンデンサC1の一方の端子と、インバータ回路51の入力端子S1とに接続され、他方の端子は、コンデンサC2の一方の端子と、インバータ回路51の入力端子S2とに接続されている。コンデンサC1の他方の端子は、コンデンサC2の他方の端子に接続している。
インバータ回路51内では、入力端子S1は、バイポーラトランジスタ60,61,62夫々のコレクタに、入力端子S2は、バイポーラトランジスタ63,64,65夫々のエミッタに接続されている。また、バイポーラトランジスタ60のエミッタは、出力端子T1と、バイポーラトランジスタ63のコレクタとに、バイポーラトランジスタ61のエミッタは、出力端子T2と、バイポーラトランジスタ64のコレクタとに、バイポーラトランジスタ62のエミッタは、出力端子T3と、バイポーラトランジスタ65のコレクタとに接続されている。
また、バイポーラトランジスタ60,61,・・・,65夫々のゲートは駆動回路52に各別に接続されている。出力端子T1はコイルLuの一方の端子に、出力端子T2はコイルLvの一方の端子に、出力端子T3はコイルLwの一方の端子に接続されている。コイルLuの他方の端子は、コイルLv,Lw夫々の他方の端子に接続されている。コイルLu,Lv,Lw夫々は、ドラムモータ4が有する図示しないステータに各別に巻回されている。
制御装置16は、駆動回路52と、ドラムモータ4が有するホールセンサHu,Hv,Hw夫々と、操作パネル15と、給水弁18と、排水弁25とに接続されている。
以下に実施の形態1に係る洗濯機の制御系における作用を説明する。整流回路50は、図示しない4つのダイオードからなるダイオードブリッジであり、交流電源7によって入力端子対間に印加された交流電圧を直流電圧に整流し、整流した直流電圧を出力端子対から出力する。
整流回路50が出力端子対から出力した直流電圧は、コンデンサC1,C2の直列回路によって平滑化され、コンデンサC1,C2の直列回路は、平滑化した直流電圧を入力端子S1,S2間に印加する。
バイポーラトランジスタ60,61,・・・,65夫々は、半導体スイッチとして機能する。バイポーラトランジスタ60,61,・・・,65夫々は、駆動回路52によって所定電圧以上の電圧がベースに印加された場合、電流がコレクタからエミッタへ流れることが可能となり、オンになる。バイポーラトランジスタ60,61,・・・,65夫々は、ベースに電圧が印加されない場合、電流がコレクタからエミッタへ流れることはなく、オフになる。
インバータ回路51は、駆動回路52によるバイポーラトランジスタ60,61,・・・,65夫々のオン/オフによって、入力端子S1,S2間に印加された直流電圧を、パルス幅が変調されたパルス状のPWM(Pulse Width Modulation)電圧に変換する。PWM電圧は3相の交流電圧に相当する。従って、インバータ回路51は、入力端子S1,S2間に印加された直流電圧を、交流電圧に相当するPWM電圧に変換する。インバータ回路51は、変換したPWM電圧を出力端子T1,T2,T3夫々からドラムモータ4の端子間、即ち、コイルLu,Lv,Lw夫々の一方の端子間に印加する。
ドラムモータ4では、出力軸40の周面に、円筒状をなす永久磁石の図示しないロータが周設されており、ロータの外側を円筒状のステータが間隔を隔てて囲繞している。ステータの内周面には、該内周面に垂直な方向に突出した複数の突出部が等配をなして設けられており、コイルLu,Lv,Lw夫々は複数の突出部に巻回している。
PWM電圧がコイルLu,Lv,Lw夫々の一方の端子間に印加された場合、コイルLu,Lv,Lw夫々に発生する磁極が周期的に変化し、回転磁界が形成され、ロータが周方向に回転する。ロータと共に出力軸も周方向に回転する。このようにドラムモータ4は回転する。
ホールセンサHu,Hv,Hwは、ロータの外側においてロータの周方向に等配されており、ロータから発生する磁界の大きさを検出し、ロータの磁極が切り替わった場合に出力電圧が大きく変化する。ホールセンサHu,Hv,Hw夫々の出力電圧は制御装置16に出力される。
制御装置16は、マイクロコンピュータを用いてなり、ホールセンサHu,Hv,Hwの出力電圧を用いて、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加すべき交流電圧の値Vu,Vv,Vwを演算し、演算した交流電圧の値Vu,Vv,Vwを駆動回路52に与える。
駆動回路52は、制御装置16に与えられた交流電圧の値Vu,Vv,Vwに応じてバイポーラトランジスタ60,61,・・・,65をオン/オフする。これにより、インバータ回路51は、入力端子S1,S2間に印加された直流電圧を、交流電圧の値Vu,Vv,Vwに応じたPWM電圧に変換し、変換したPWM電圧をドラムモータ4の端子間に印加する。
制御装置16は、目標回転数を記憶しており、所定周期で目標回転数を更新し、更新した目標回転数でドラムモータ4が回転する交流電圧の値Vu,Vv,Vwを演算する。制御装置16は、洗濯物を脱水する場合、ドラムモータ4の回転数を加速させ、ドラムモータ4を一方向に高速に回転させる。これにより、回転ドラム3が一方向に高速に回転し、洗濯物が脱水される。制御装置16は、ドラムモータ4の回転数を加速させる場合、目標回転数を所定周期での数値Nの加算によって更新し、更新した目標回転数で回転する交流電圧の値Vu,Vv,Vwを演算し、演算した交流電圧の値Vu,Vv,Vwを駆動回路52に与える。
駆動回路52は、制御装置16によって所定周期ごとに与えられる交流電圧の値Vu,Vv,Vwに応じて、バイポーラトランジスタ60,61,・・・,65をオン/オフする。これにより、インバータ回路51は、入力端子S1,S2間に印加された直流電圧を、数値Nが加算された目標回転数で回転する交流電圧の値Vu,Vv,Vwに応じたPWM電圧に変換し、変換したPWM電圧を出力端子T1,T2,T3からドラムモータ4の端子間に印加し、ドラムモータ4は回転させる。
しかしながら、更新された目標回転数で回転する交流電圧の値Vu,Vv,Vwに応じたPWM電圧の印加によって、ドラムモータ4が、更新された目標回転数で回転するとは限らない。
交流電源7が実施の形態1に係る洗濯機以外の図示しない電気機器の電源としても機能しており、入力端子S1,S2間の直流電圧が低い場合、出力端子T1,T2,T3からドラムモータ4の端子間に印加されるPWM電圧の振幅が低い。ドラムモータの端子間に印加されるPWM電圧の振幅が想定以上に低い場合、該PWM電圧の印加によって、ドラムモータ4の回転数を、数値Nの加算によって更新された目標回転数まで加速させる十分なトルクを発生されることができず、ドラムモータ4の回転数は、更新された目標回転数よりも遅くなる。
また、ドラムモータ4が回転させる回転ドラム3の振動が大きい場合、ドラムモータ4が回転した場合に生じる摩擦が大きく、ドラムモータ4の端子間へのPWM電圧の印加によって発生したトルクにおいて、ドラムモータ4の回転数の加速に寄与するトルクが小さい。回転ドラム3の振動が想定以上に大きい場合、ドラムモータ4の端子間へのPWM電圧の印加によってドラムモータ4の回転数を、数値Nの加算によって更新された目標回転数まで加速させる十分なトルクを発生することができず、ドラムモータ4の回転数は、更新された目標回転数よりも遅くなる。
ドラムモータ4の回転数と目標回転数との差分が大きくなって所定回転数を超えた場合、目標回転数に応じたPWM電圧の印加によってロータの周りに形成される回転磁界にロータが追従できず、ドラムモータ4が脱調する。
制御装置16は、ドラムモータ4の回転の他に、給水弁18及び排水弁25夫々の開閉を制御する。制御装置16は、操作パネル15から操作情報を受け付けて、受け付けた操作情報に基づいて運転内容を設定し、設定した運転内容に従って、給水弁18及び排水弁25夫々の開閉、並びに、ドラムモータ4の回転を制御し、洗濯運転を実施する。更に、制御装置16は、表示情報を操作パネル15に与え、操作パネル15に表示情報が示す内容を表示する。
なお、実施の形態1に係るモータ駆動装置は、制御装置16、整流回路50、インバータ回路51、駆動回路52及びコンデンサC1,C2を備える。
図4は、ドラムモータ4の制御に係る制御装置16の要部構成を示すブロック図である。制御装置16は、回転数推定部80、位置推定部81、記憶部82、回転数決定部83、電流読出部84、減算部85、電流演算部86、ベクトル演算部87及び変換部88を有する。
回転数推定部80は、ロータの磁極が切り替わった場合に生じるホールセンサHu,Hv,Hw夫々の出力電圧の大きな変化を検出し、出力電圧の大きな変化を検出した時間間隔からドラムモータ4の回転数を所定周期ごとに推定する。回転数推定部80は、推定した回転数ωを位置推定部81、回転数決定部83、減算部85及びベクトル演算部87夫々に与える。回転数推定部80は推定手段として機能する。
位置推定部81は、ホールセンサHu,Hv,Hw夫々の出力電圧と回転数推定部80が推定した回転数ωとからロータの回転位置を所定周期ごとに推定する。具体的には、位置推定部81は、ホールセンサHu,Hv,Hw夫々の出力電圧の大きな変化から、ロータのS極及びN極の切り替わり位置を検出する。位置推定部81は、切り替わり位置を検出した時点からの経過時間と回転数推定部80が推定した回転数ωとの積に基づいて、ロータの切り替わり位置から回転した角度を演算する。位置推定部81は、検出した切り替わり位置と、演算したロータの回転角度とからロータの回転位置を推定する。位置推定部81は、推定したロータの回転位置θを変換部88に与える。
記憶部82は、現在設定してある目標回転数と、目標回転数に加算する数値Nと、ドラムモータ4の上限回転数と、目標回転数を維持すべきか否かを示すフラグとを記憶している。フラグは“ゼロ”又は“1”にセットされ、“ゼロ”は目標回転数に数値を加算すべきであることを示し、“1”は目標回転数を維持すべきであることを示す。
記憶部82は、更に、ドラムモータ4の端子間に流すべき界磁電流の値を目標回転数に対応付けて記憶している。界磁電流は、d軸電流と呼ばれ、界磁磁束を発生させてドラムモータ4の逆起電力に寄与する電流である。記憶部82では、各目標回転数について、最もドラムモータ4の効率が良い界磁電流の値を記憶している。
回転数決定部83は、回転数推定部80が推定したドラムモータ4の回転数ωと、記憶部82の記憶内容とに基づいて目標回転数を所定周期ごとに決定し、決定した目標回転数を電流読出部84及び減算部85に与える。回転数決定部83の詳細な動作については後述する。
電流読出部84は、回転数決定部83が決定した目標回転数に対応する界磁電流の値を読み出し、読み出した界磁電流の値Idをベクトル演算部87に与える。
減算部85は、回転数決定部83が決定した目標回転数から、回転数推定部80が推定した回転数ωを減算し、減算した回転数Δωを電流演算部86に与える。
電流演算部86は、減算部85が減算した回転速度Δωを下記の(1)式に代入することによって、ドラムモータ4の端子間に流すべきトルク電流の値Iqを算出する。
Iq=(Kp×Δω)+(Ki×∫Δωdt) (1)
ここで、Kp及びKi夫々は、比例ゲイン及び積分ゲインと呼ばれる定数である。
トルク電流Iqは、q軸電流と呼ばれ、界磁磁束に直交する磁束を発生させてドラムモータ4のトルクに寄与する電流である。
電流演算部86は、算出したトルク電流の値Iqをベクトル演算部87に与える。
ベクトル演算部87は、回転数推定部80が推定した回転速度ω、電流読出部84が読み出した界磁電流の値Id、及び、電流演算部86が演算したトルク電流の値Iqを下記(2)式及び(3)式夫々に代入することによって、界磁電圧の値Vd及びトルク電圧の値Vqを演算する。
Vd=Ra×Id−ω×Lq×Iq (2)
Vq=ω×Ld×Id+Ra×Iq+ω×Φa (3)
ここで、Ra及びΦa夫々はドラムモータ4の巻線抵抗値及び鎖交磁束値であり、Ld及びLq夫々はドラムモータ4のインダクタンスである。Ra、Φa、Ld及びLq夫々は、ドラムモータ4の構成により決まる定数である。
界磁電圧及びトルク電圧夫々は界磁電流及びトルク電流流すための電圧である。
ベクトル演算部87は、演算した界磁電圧の値Vd及びトルク電圧の値Vqを変換部88に与える。
変換部88は、位置推定部81が推定したロータの回転位置θと、ベクトル演算部87が演算した界磁電圧の値Vd及びトルク電圧の値Vqとを用いて、ドラムモータ4のコイルLu,Lv,Lw夫々に印加すべき交流電圧の値Vu,Vv,Vwを演算する。変換部88は、演算した交流電圧の値Vu,Vv,Vwを駆動回路52に与える。
以上のようにして、ドラムモータ4が回転数決定部83で決定した目標回転数で回転する交流電圧の値Vu,Vv,Vwが駆動回路52に与えられる。
次に、回転数決定部83の詳細な動作を説明する。回転数決定部83は、洗濯物の脱水を開始し、ドラムモータ4の回転を加速させた場合、目標回転数を所定周期での数値Nの加算によって更新し、更新した目標回転数を電流読出部84及び減算部85に与える。数値Nとして、所定の第1数値N1と、第1数値N1よりも低い所定の第2数値N2とが設けられており、第1数値N1及び第2数値N2の中でいずれか一方が用いられる。回転数決定部83は更新手段として機能する。
回転数決定部83は、まず、所定周期で、フラグが“1”にセットされているか否かを判定する。回転数決定部83は、フラグが“ゼロ”にセットされており、目標回転数に数値を加算してドラムモータ4の回転数を加速させるべきであると判定した場合、現在設定してある目標回転数、即ち、更新前の目標回転数を記憶部82から読み出し、回転数推定部80が推定した回転数ωを回転数推定部80から読み込む。
ここで、回転数決定部83が回転数推定部80から読み込んだ回転数ωは、更新前の目標回転数に応じた交流電圧の値Vu,Vv,Vwを駆動回路52に与えることによって回転したドラムモータ4の回転数である。
次に、回転数決定部83は、記憶部82から読み出した更新前の目標回転数と、回転数推定部80から読み込んだ回転数ωとの差分を所定周期で算出する。回転数決定部83は算出手段としても機能する。
回転数決定部83は、目標回転数に加算すべき数値Nが第1数値N1であるか否かを判定する。洗濯物の脱水を開始した当初においては、数値Nは第1数値N1に設定されている。数値Nが第1数値N1である場合、更新前の目標回転数と、回転数推定部80から読み出した回転数ωとの差分が閾値d1以上であるか否かを所定周期で判定する。回転数決定部83は判定手段としても機能する。
回転数決定部83は、更新前の目標回転数と、回転数推定部80から読み出した回転数ωとの差分が閾値d1未満であると判定した場合、記憶部82から読み出した更新前の目標回転数に第1数値N1を加算し、目標回転数を、第1数値N1が加算された目標回転数に更新する。回転数決定部83は、更新した目標回転数を電流読出部84及び減算部85に与える。これにより、変換部88は、更新した目標回転数でドラムモータ4が回転する交流電圧の値Vu,Vv,Vwを駆動回路52に与え、ドラムモータ4の回転数が加速される。
回転数決定部83は、記憶部82から読み出した目標回転数と、回転数ωとの差分が閾値d1以上となるか、又は、記憶部82から読み出した目標回転数が上限回転数以上となるまで、目標回転数を所定周期での第1数値N1の加算によって更新する。これにより、ドラムモータ4の回転数は加速し続ける。ここで、上限回転数は、洗濯物を脱水する場合に回転ドラム3を回転させるドラムモータ4の回転数の上限値である。
目標回転数を所定周期での第1数値N1の加算によって更新してドラムモータ4の回転数を加速している間に、入力端子S1,S2間の直流電圧の大きさ、又は、回転ドラム3の振動の大きさ等の前述した使用状態によって、更新前の目標回転数と回転数ωとの差分が閾値d1以上となる可能性がある。
回転数決定部83は、更新前の目標回転数と回転数ωとの差分が閾値d1以上であると判定した場合、目標回転数に加算する数値Nを第1数値N1から第2数値N2に低減する。このように回転数決定部83は低減手段としても機能する。
回転数決定部83は、数値Nが第2数値N2に低減されたことにより、目標回転数に加算すべき数値Nが第1数値N1であるか否かの前述の判定で、目標回転数に加算すべき数値Nが第1数値N1ではないと判定する。回転数決定部83は、目標回転数に加算すべき数値Nが第1数値N1ではないと判定した場合、更新前の目標回転数と、回転数推定部80から読み出した回転数ωとの差分が閾値d2以上であるか否かを所定周期で判定する。閾値d2は閾値d1以上の値である。閾値d1は特許請求の範囲における閾値に該当する。
回転数決定部83は、更新前の目標回転数と、回転数推定部80から読み出した回転数ωとの差分が閾値d2未満であると判定した場合、記憶部82から読み出した更新前の目標回転数に第2数値N2を加算し、目標回転数を、第2数値N2が加算された目標回転数に更新する。回転数決定部83は、更新した目標回転数を電流読出部84及び減算部85に与える。これにより、変換部88は、更新した目標回転数でドラムモータ4が回転する交流電圧の値Vu,Vv,Vwを駆動回路52に与え、ドラムモータ4の回転数が加速される。
回転数決定部83は、記憶部82から読み出した目標回転数と、回転数ωとの差分が閾値d2以上となるか、又は、記憶部82から読み出した目標回転数が上限回転数以上となるまで、第2数値N2の加算によって目標回転数を更新し続ける。これにより、ドラムモータ4の回転数は加速し続ける。
以上のように、回転数決定部83は、数値Nが第1数値N1である場合に、更新前の目標回転数と、回転数推定部80が推定したドラムモータ4の回転数との差分が閾値d1であるか否かを判定する。そして、回転数決定部83は、差分が閾値d1以上である適切な場合に、目標回転数に加算する数値Nを第1数値N1から第2数値N2に低減する。このため、目標回転数とドラムモータ4の回転数との差分が大きくなってドラムモータ4が脱調する確率が低い。
回転数決定部83は、更新前の目標回転数と、回転数推定部80が推定した回転数との差分が閾値d2以上であると判定した場合、又は、記憶部82に記憶してある目標回転数が上限回転数以上であると判定した場合、フラグを“1”にセットする。回転数決定部83は、フラグが“1”にセットされているか否かの判定で、フラグが“1”にセットされており、目標回転数を維持すべきであると判定した場合、記憶部82に記憶してある目標回転数をそのまま電流読出部84及び減算部85に与え、目標回転数の更新を停止する。
これにより、目標回転数と、ドラムモータ4の回転数との差分が拡大することはないため、ドラムモータ4の脱調が確実に防止される。
その後、回転数決定部83は、例えば、制御装置16が有する図示しないタイマが計測している計測時間が脱水時間を経過したか否かを判定することによって洗濯物の脱水が終了したか否かを判定する。回転数決定部83は、洗濯物の脱水が終了したと判定した場合、動作を終了する。
図5は、目標回転数、及び、ドラムモータ4の回転数夫々の推移を示すグラフである。図5では、目標回転数の推移は太線で示され、ドラムモータ4の回転数の推移は細線で示されている。図5では、本発明の特徴を顕著に示す目標回転数、及び、ドラムモータ4の回転数夫々の推移の一例が示されている。
制御装置16は、洗濯物の脱水を開始した場合、アンバランスセンシングと、ドラムモータ4の回転数を水槽2及び回転ドラム3が共振する共振回転数を超える回転数に急速に上昇させる立上げ制御を実施する。
アンバランスセンシングでは、制御装置16は、駆動回路52に指示して、ドラムモータ4の回転数を一定期間、低い一定の回転数に維持する。制御装置16は、ドラムモータ4の回転数を低い一定の回転数に維持している間、ホールセンサHu,Hv,Hw夫々の出力電圧からドラムモータ4の回転数を推定する。制御装置16は、推定した回転数ωの変動から、回転ドラム3内に分布する洗濯物の不均一性の度合を確認する。制御装置16は、低い一定の回転数で回転させている間に推定したドラムモータ4の回転数ωの変動が許容範囲内に収まって、洗濯物の不均一性の度合がある程度低くなった場合にアンバランスセンシングの工程を終了する。
従って、目標回転数、及び、ドラムモータ4の回転数は、アンバランスセンシングでは、ゼロから低い一定の回転数、例えば100rpmに加速し、その後、一定に維持される。
制御装置16は、アンバランスセンシングを実施した後、立上げ制御を行う。これにより、目標回転数、及び、ドラムモータ4の回転数夫々は、水槽2及び回転ドラム3が共振する共振回転数(例えば300rpm)を超える回転数(例えば400rpm)に急速に上昇されて維持される。その後、制御装置16は、前述したように、数値Nの加算によって目標回転数を更新してドラムモータ4の回転数を加速させる。
目標回転数は、立上げ制御が行われた後、第1数値N1の加算によって上昇し、目標回転数の上昇と共に、ドラムモータ4の回転数が加速する。その後、前述した使用状態によって、ドラムモータ4の回転数が目標回転数に追従できなくなると、時間の経過と共に目標回転数とドラムモータ4の回転数との差分が大きくなる。
更新前の目標回転数とドラムモータ4の回転数との差分が閾値d1以上となった場合、目標回転数に加算される数値Nが第1数値N1から第2数値N2に低減される。これにより、目標回転数とドラムモータ4の回転数との差分が閾値d1未満となる。
目標回転数を第2数値N2の加算により更新している状態で、再び、使用状態によって、更新前の目標回転数とドラムモータ4の回転数との差分が閾値d2以上となった場合、目標回転数の更新は停止されて、目標回転数は維持される。その後、更新前の目標回転数とドラムモータ4の回転数との差分は閾値d2を超えることなく、ドラムモータ4の回転によって洗濯物が脱水される。
図6は、回転数決定部83が実行する動作の手順を示すフローチャートである。図6には、アンバランスセンシング及び立上げ制御が実施された後に回転数決定部83が実行する前述の動作の手順が示されている。
回転数決定部83は、記憶部82に記憶してあるフラグが“1”にセットされているか否かを判定する(ステップS1)。なお、回転数決定部83が動作を開始した段階では、フラグは“ゼロ”に設定されている。
回転数決定部83は、フラグが“1”にセットされていない、即ち、“ゼロ”にセットされていると判定した場合(ステップS1:NO)、記憶部82に記憶してある更新前の目標回転数を読み出す(ステップS2)。
次に、回転数決定部83は、ステップS2で読み出した目標回転数が上限回転数以上であるか否かを判定する(ステップS3)。回転数決定部83は、目標回転数が上限回転数未満であると判定した場合(ステップS3:NO)、回転数推定部80が推定した回転数ωを回転数推定部80から読み込み(ステップS4)、ステップS2で読み出した更新前の目標回転数と、ステップS4で読み込んだ回転数ωとの差分を算出する(ステップS5)。
次に、回転数決定部83は、ステップS2で読み出した目標回転数に加算する数値Nが第1数値N1であるか否かを判定する(ステップS6)。回転数決定部83は、記憶部82に記憶されている数値Nが第1数値N1であるか、又は、第2数値N2であるかを参照することによってステップS6の判定を行う。
回転数決定部83は、数値Nが第1数値N1であると判定した場合(ステップS6:YES)、ステップS5で算出した差分が閾値d1以上であるか否かを判定する(ステップS7)。回転数決定部83は、差分が閾値d1以上であると判定した場合(ステップS7:YES)、数値Nを第1数値N1から第2数値N2に低減する(ステップS8)。具体的には、回転数決定部83は、記憶部82に記憶している数値Nを第1数値N1から第2数値N2に書き換える。
回転数決定部83は、数値Nが第1数値N1ではない、即ち、第2数値N2であると判定した場合(ステップS6:NO)、ステップS5で算出した差分が閾値d2以上であるか否かを判定する(ステップS9)。
回転数決定部83は、差分が閾値d1未満であると判定した場合(ステップS7:NO)、ステップS8を実行した後、又は、差分が閾値d2未満であると判定した場合(ステップS9:NO)、ステップS2で読み出した目標回転数に数値N、即ち、第1数値N1又は第2数値N2を加算する(ステップS10)。
次に、回転数決定部83は、記憶部82に記憶してある目標回転数を、ステップS10で加算した目標回転数に更新する(ステップS11)。
回転数決定部83は、ステップS2で読み出した目標回転数が上限回転数以上であると判定した場合(ステップS3:YES)、又は、ステップS5で算出した差分が閾値以上であると判定した場合(ステップS9:YES)、記憶部82に記憶してあるフラグを“1”にセットする(ステップS12)。
回転数決定部83は、フラグが“1”にセットされていると判定した場合(ステップS1:YES)、又は、ステップS11若しくはS12を実行した後、記憶部82に記憶してある目標回転数を電流読出部84及び減算部85に与える(ステップS13)。これにより、変換部88は、ステップS13で与えた目標回転数で回転する交流電圧の値Vu,Vv,Vwを駆動回路52に与え、ドラムモータ4が回転する。
回転数決定部83は、ステップS13を実行した後、洗濯物の脱水が終了したか否かを判定する(ステップS14)。回転数決定部83は、脱水が終了していないと判定した場合(ステップS14:NO)、処理をステップS1に戻す。回転数決定部83は、所定周期で処理をステップS13からステップS1に戻す。
回転数決定部83は、脱水が終了したと判定した場合(ステップS14:YES)、処理を終了する。
(実施の形態2)
実施の形態2に係る洗濯機は、実施の形態1に係る洗濯機と比較して、目標回転数を所定周期での第2数値N2の加算によって更新している間に、更新前の目標回転数と、回転数推定部80が推定した回転数ωとの差分が閾値d2以上となった場合に、回転数決定部83が実行する動作が異なる。
以下では、更新前の目標回転数と、回転数推定部80が推定した回転数ωとの差分が閾値d2以上である場合に、実施の形態2における回転数決定部83が実行する動作を説明する。実施の形態2の構成は、実施の形態1の構成(図1から図4参照)と同様であるため、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
実施の形態2における回転数決定部83は、目標回転数に加算する数値Nが第2数値N2である場合、所定周期で、更新前の目標回転数と、回転数推定部80が推定した回転数ωとの差分を算出し、算出した差分が閾値d2以上であるか否かを判定する。回転数決定部83は、目標回転数が上限回転数に到達していない状態で、算出した差分が閾値d2未満であると判定した場合、記憶部82に記憶してある目標回転数を所定周期での第2数値N2の加算により更新し、ドラムモータ4の回転数を加速させる。
回転数決定部83は、更新前の目標回転数と、回転数推定部80が推定した回転数ωとの差分が閾値d2以上であると判定した場合、動作を終了する。これにより、回転数決定部83は、目標回転数を電流読出部84及び減算部85に与えず、ドラムモータ4の回転を停止する。
以上のように、現在の目標回転数と、回転数推定部80が推定した回転数ωとの差分が閾値d2以上である場合にドラムモータ4の回転が停止するので、ドラムモータ4の脱調が未然に防止される。
回転数決定部83はドラムモータ4の回転を停止した後、制御装置16は再びアンバランスセンシング及び立上げ制御を実施し、回転数決定部83はドラムモータ4の回転数を再び加速させる。
図7は、実施の形態2における目標回転数、及び、ドラムモータ4の回転数夫々の推移を示すグラフである。図7では、目標回転数の推移は太線で示され、ドラムモータ4の回転数の推移は細線で示されている。図7では、本発明の特徴を顕著に示す目標回転数、及び、ドラムモータ4の回転数夫々の推移の一例が示されている。
洗濯物の脱水が開始された場合、アンバランスセンシングの実施によって、目標回転数、及び、ドラムモータ4の回転数夫々は、低い一定の回転数に上昇し、その後、一定に維持される。アンバランスセンシングを実施した後の立ち上げ制御の実施によって、目標回転数、及び、ドラムモータ4の回転数夫々は、水槽2及び回転ドラム3が共振する共振回転数を超える回転数に急速に上昇されて維持される。
目標回転数は、立上げ制御が行われた後、第1数値N1の加算によって上昇し、目標回転数の上昇と共に、ドラムモータ4の回転数が加速する。その後、実施の形態1で述べた使用状態によって、ドラムモータ4の回転数が目標回転数に追従できなくなると、時間の経過と共に目標回転数とドラムモータ4の回転数との差分が大きくなる。
目標回転数とドラムモータ4の回転数との差分が閾値d1以上となった場合、目標回転数に加算される数値Nが第1数値N1から第2数値N2に低減される。これにより、目標回転数とドラムモータ4の回転数との差分が閾値d1未満となる。
目標回転数を第2数値N2の加算により更新している状態で、再び、使用状態によって、更新前の目標回転数とドラムモータ4の回転数との差分が閾値d2以上となった場合、ドラムモータ4の回転が停止され、目標回転数、及び、ドラムモータ4の回転数はゼロとなる。その後、再び、アンバランスセンシング及び立上げ制御が実施され、脱水がやり直される。
なお、ドラムモータ4の回転が停止されて目標回転数、及び、ドラムモータ4の回転数がゼロとなった後に洗濯物の脱水をやり直さなくてもよい。
図8は、回転数決定部83が実行する動作の手順を示すフローチャートである。図8には、アンバランスセンシング及び立上げ制御が実施された後に実施の形態2における回転数決定部83が実行する動作の手順が示されている。実施の形態2における回転数決定部83が実行するステップS21からS28、ステップS30,S31及びステップS33,S34夫々は、実施の形態1における回転数決定部83が実行するステップS1からS8、ステップS10,S11及びステップS13,S14と同様であるため説明を省略する。
回転数決定部83は、ステップS22で読み出した目標回転数に加算する数値Nが第1数値N1でない、即ち、第2数値N2であると判定した場合(ステップS26:NO)、ステップS25で算出した差分が閾値d2以上であるか否かを判定する(ステップS29)。
回転数決定部83は、差分が閾値d2未満であると判定した場合(ステップS29:NO)、ステップS30を実行する。回転数決定部83は、差分が閾値d2以上であると判定した場合(ステップS29:YES)、動作を終了する。これにより、回転数決定部83は目標回転数を電流読出部84及び減算部85に与えることはないため、ドラムモータ4の回転は停止する。
回転数決定部83の動作がステップS25で算出した差分が閾値d2以上であるために終了した場合、再びアンバランスセンシング及び立上げ制御が実施されて、回転数決定部83は図8に示す動作の手順を再びステップS21から開始する。
また、回転数決定部83は、ステップS22で読み出した目標回転数が上限回転数以上であると判定した場合(ステップS23:YES)、記憶部82に記憶してあるフラグを“1”にセットし(ステップS32)、ステップS33を実行する。なお、回転数決定部83が動作を開始した段階では、記憶部82に記憶してあるフラグは“ゼロ”にセットされている。
実施の形態2における回転数決定部83は、実施の形態1における回転数決定部83と同様に、更新前の目標回転数と回転数推定部80が推定する回転数ωとの差分が閾値d1以上である適切な場合、目標回転数に加算する数値Nを第1数値N1から第2数値N2に低減する。このため、目標回転数とドラムモータ4の回転数との差分が大きくなってドラムモータ4が脱調する確率が低い。
なお、実施の形態1及び2において、回転数決定部83が数値Nを第1数値N1から第2数値N2に低減した後、更新前の目標回転数と、回転数推定部80が推定した回転数ωとの差分が閾値d2以上であるか否かを所定周期で判定しなくてもよい。この場合、回転数決定部83は、数値Nを第2数値N2に低減した後、目標回転数が上限回転数以上となるまで、目標回転数に第2数値N2を所定周期で加算する。
回転数決定部83が、更新前の目標回転数と、回転数推定部80が推定した回転数ωとの差分が閾値d2以上であるか否かを所定周期で判定しない場合であっても、該差分が閾値d1以上である場合に数値Nが第1数値N1から第2数値N2に低減される。このため、目標回転数とドラムモータ4の回転数との差分が大きくなってドラムモータ4が脱調する確率が低い。
また、目標回転数に加算する数値Nを低減するか否かを決定するための判定に用いられる閾値d1の数は、1つに限定されず、2つ以上であってもよい。この場合、回転数決定部83は、複数の閾値夫々について、更新前の目標回転数と回転数推定部80が推定した回転数ωとの差分が閾値を超える都度、目標回転数に加算する数値Nを低減する。
また、制御装置16、整流回路50、インバータ回路51、駆動回路52及びコンデンサC1,C2を備える実施の形態1及び2に係るモータ駆動装置が駆動するモータは、洗濯機の回転ドラム3を回転させるドラムモータに限定されず、インバータ回路によって回転数が調整されるモータであればよい。
(実施の形態3)
図9は、実施の形態3に係る洗濯機の制御系の構成を示すブロック図である。実施の形態3に係る洗濯機は、実施の形態1に係る洗濯機と比較して、目標回転数に加算する数値を低減する構成が異なる。
以下では、実施の形態3に係る洗濯機について、実施の形態1における洗濯機と異なる点を説明する。実施の形態1,2と共通する実施の形態3の構成には同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
実施の形態3に係る洗濯機は、実施の形態1に係る洗濯機と同様に、操作パネル15、制御装置16、給水弁18、排水弁25、ドラムモータ4、整流回路50、インバータ回路51、駆動回路52及びコンデンサC1,C2を備え、これらは、実施の形態1と同様に接続されている。整流回路50の入力端子間には、実施の形態1と同様に、交流電源7が接続されている。
実施の形態3に係る洗濯機は、更に、電圧検出部53及び抵抗R1,R2を備える。抵抗R1の一方の端子はインバータ回路51の入力端子S1に接続され、抵抗R2の他方の端子はインバータ回路51の入力端子S2に接続されている。抵抗R1の他方の端子は、抵抗R2の他方の端子に接続されている。電圧検出部53は、抵抗R2の一方及び他方の端子に各別に接続されている。電圧検出部53は、更に制御装置16に接続されている。
実施の形態3に係る洗濯機では、実施の形態1と同様に、整流回路50は、交流電源7が入力端子対間に印加した交流電圧を直流電圧に整流し、整流した直流電圧は、コンデンサC1,C2の直列回路によって平滑化される。コンデンサC1,C2の直列回路によって平滑化された直流電圧は、インバータ回路51の入力端子S1,S2間に印加されると共に、抵抗R1,R2夫々の一方の端子間にも印加される。
抵抗R1,R2は、インバータ回路51の入力端子S1,S2間に印加された直流電圧を分圧する。抵抗R1及びR2夫々の抵抗値をr1及びr2とした場合、抵抗R1,R2は、インバータ回路51の入力端子S1,S2間に印加される直流電圧をr2/(r1+r2)倍の直流電圧に分圧する。電圧検出部53は、抵抗R1,R2が分圧した直流電圧の値を(r1+r2)/r2倍することによって、入力端子S1及びS2間の直流電圧値Vdcを検出する。電圧検出部14は、検出した直流電圧値Vdcを制御装置15に与える。
以上のように、電圧検出部53は、インバータ回路51が交流電圧に変換する直流電圧の値Vdcを検出し、電圧検出手段として機能する。
インバータ回路51は、実施の形態1と同様に、駆動回路52によるバイポーラトランジスタ60,61,・・・,65夫々のオン/オフによって、入力端子S1,S2間に印加された直流電圧を、3相の交流電圧に相当するパルス状のPWM電圧に変換する。インバータ回路51が変換したPWM電圧を、ドラムモータ4の端子間、即ち、ドラムモータ4が有するコイルLu,Lv,Lw夫々における一方の端子間に印加することによってドラムモータ4が駆動する。コイルLu,Lv,Lw夫々における他方の端子は互いに接続してある。コイルLu,Lv,Lw夫々における一方の端子は、特許請求の範囲における他方の端子に該当し、コイルLu,Lv,Lw夫々における他方の端子は、特許請求の範囲における一方の端子に該当する。
なお、実施の形態3に係るモータ駆動装置は、制御装置16、整流回路50、インバータ回路51、駆動回路52、電圧検出部53、コンデンサC1,C2及び抵抗R1,R2を備える。
図10は、ドラムモータ4の制御に係る制御装置16の要部構成を示すブロック図である。実施の形態3における制御装置16は、実施の形態1における制御装置16と同様に、回転数推定部80、位置推定部81、記憶部82、回転数決定部83、電流読出部84、減算部85、電流演算部86、ベクトル演算部87及び変換部88を有する。実施の形態3における制御装置16は、更に、電圧演算部89、低減部90及び減算部91,92を有する。
回転数推定部80及び位置推定部81は実施の形態1と同様に作用する。ただし、実施の形態3における回転数推定部80は、推定した回転数ωを位置推定部81、減算部85及びベクトル演算部87夫々に与える。
記憶部82は、実施の形態1と同様に、現在設定してある目標回転数、目標回転数に加算すべき数値N、ドラムモータ4の上限回転数、及びフラグを記憶している。実施の形態3では、記憶部82は、目標回転数に加算すべき数値Nとして、数値No,Ns,Ntを記憶しており、数値Noは数値Nsよりも大きく、数値Nsは数値Ntよりも大きい。また、記憶部82は、実施の形態1と同様に、ドラムモータ4の端子間に流すべき界磁電流の値を目標回転数に対応付けて記憶している。
回転数決定部83は、目標回転数を所定周期ごとに決定し、決定した目標回転数を電流読出部84及び減算部85に与える。具体的には、回転数決定部83は、実施の形態1と同様に、洗濯物の脱水を開始してドラムモータ4の回転を加速させた場合、目標回転数を所定周期での数値Nの加算によって更新し、更新した目標回転数を電流読出部84及び減算部85に与える。回転数決定部83は更新手段として機能する。実施の形態3における回転数決定部83の詳細な動作については後述する。
電流読出部84は、回転数決定部83が決定した目標回転数に対応する界磁電流値Id1を読み出し、読み出した界磁電流値Id1を減算部91へ与える。ここで、界磁電流値Id1はゼロ以下の実数である。
以上のように、電流読出部84は、回転数決定部83が決定した目標回転数、即ち、回転数決定部83が更新した目標回転数に基づいてドラムモータ4に流すべき界磁電流の値Id1を決定する。
減算部91は、電流読出部84が読み出した界磁電流値Id1から低減部90によって与えられた正の電流値を減算し、正の電流値を減算した界磁電流値Id2をベクトル演算部87に与える。
減算部85及び電流演算部86夫々は実施の形態1と同様に作用する。電流演算部86は、(1)式を用いて算出したトルク電流値Iqをベクトル演算部87に与える。
ベクトル演算部87は、回転数推定部80が推定した回転数ω、電流演算部86が演算したトルク電流値Iq、及び、減算部91が算出した界磁電流値Id2を下記(4)式、(5)式及び(6)式夫々に代入することによって、界磁電圧値Vd、トルク電圧値Vq及び交流電圧の振幅値Vaを演算する。
Vd=Ra×Id2−ω×Lq×Iq (4)
Vq=ω×Ld×Id2+Ra×Iq+ω×Φa (5)
Va=√(Vd2 +Vq2 ) (6)
ここで、Ra及びΦa夫々はドラムモータ4の巻線抵抗値及び鎖交磁束値であり、Ld及びLq夫々はドラムモータ4のインダクタンスである。Ra、Φa、Ld及びLq夫々は、ドラムモータ4の構成により決まる定数である。
以上のように、ベクトル演算部87は、夫々の値がVd及びVqであるトルク電圧及び界磁電圧をドラムモータ4の端子間に印加した場合にドラムモータ4の端子間に印加される正弦波状の交流電圧の振幅値Vaを演算している。トルク電流値Iq及び界磁電流値Id2は、回転数決定部83が更新した目標回転数に基づく値であり、界磁電流値Id2は、電流読出部84が決定した界磁電流値Id1に基づく値である。
従って、下記のようにベクトル演算部87の処理を言い換えることができる。ベクトル演算部87は、回転数決定部83が更新した目標回転数を含むドラムモータ4の回転に係る値から、コイルLu,Lv,Lw夫々の一方の端子間に印加すべき交流電圧の振幅値Vaを演算する。更に、言い換えると、ベクトル演算部87は、電流読出部84が決定した界磁電流値Id1を含むドラムモータ4の回転に係る値から、コイルLu,Lv,Lw夫々の一方の端子間に印加すべき交流電圧の振幅値Vaを演算する。ベクトル演算部87は振幅値演算手段として機能する。
巻線抵抗値Raがゼロである場合における振幅値Vaは下記の(7)式のようになる。
Va=√((ω×Lq×Iq)2
+(ω×Ld×Id2+ω×Φa)2 ) (7)
(7)式は、(4)式、(5)式及び(6)式から界磁電圧値Vd及びトルク電圧値Vqを消去することによって算出される。
(7)式から、ドラムモータ4の端子、即ち、コイルLu,Lv,Lw夫々における一方の端子間に印加すべき交流電圧の振幅値Vaは、界磁電流の値Id2が−(Φa/Ld)以上の範囲で減少すると共に小さくなることがわかる。巻線抵抗値Raがゼロでない場合における交流電圧の振幅値Vaも同様に界磁電流の値Id2の減少と共に小さくなる。従って、界磁電流の値Id2を低くすることによって、ドラムモータ4の端子間に印加すべき交流電圧の振幅値Vaを低くすることができる。
ベクトル演算部87は、界磁電圧値Vd及びトルク電圧値Vqを変換部88に与え、交流電圧の振幅値Vaを回転数決定部83及び減算部92夫々に与える。
変換部88は、位置推定部81が推定したロータの回転位置θと、ベクトル演算部87が演算した界磁電圧値Vd及びトルク電圧値Vqとを用いて、ドラムモータ4のコイルLu,Lv,Lw夫々に印加すべき正弦波状の交流電圧の値Vu,Vv,Vwを演算する。変換部88は、演算した交流電圧値Vu,Vv,Vwを駆動回路52に与える。
これにより、インバータ回路51は、入力端子S1,S2間に印加された直流電圧を、変換部88が演算した交流電圧値Vu,Vv,Vw、に応じたPWM電圧に変換する。交流電圧値Vu,Vv,Vwは、前述した内容からわかるように、回転数決定部83が更新した目標回転数に応じた値であるため、インバータ回路51は、言い換えると、入力端子S1,S2間に印加された直流電圧を、回転数決定部83が更新した目標回転数に応じたPWM電圧に変換する。PWM電圧は前述したように3相の交流電圧に相当する。
電圧演算部89は、電圧検出部53が検出した直流電圧値Vdcから、直流電圧値Vdcに係る値である基準値Vrを演算する。電圧演算部89は、演算した基準値Vrを回転数決定部83及び減算部92に与える。
電圧演算部89は、一例として、電圧検出部53が検出した直流電圧値Vdcを(8)式に代入することによって基準値Vrを演算することができる。
Vr=Vdc/√2 (8)
(8)式からわかるように、基準値Vrは、直流電圧値Vdcの大小に応じて大小となる値である。
減算部92は、電圧演算部89が演算した基準値Vrから、ベクトル演算部87が演算した交流電圧の振幅値Vaを減算し、算出した減算値を低減部90に与える。
低減部90は、減算部92が算出した減算値が負である場合、即ち、ベクトル演算部87で演算した振幅値Vaが電圧演算部89で演算した基準値Vrを超えている場合、正の電流値を減算部91に与え、電流読出部84が読み出した界磁電流値Id1を低減する。
記憶部82には、前回、低減部90が減算部91に与えた正の電流値が記憶してある。低減部90は、減算部92が算出した減算値が負である場合に、記憶部82に記憶してある正の電流値に一定の電流値ΔIを加算した正の電流値を減算部91に与え、与えた正の電流値を記憶部82に記憶する。
低減部90は、減算部92が算出した減算値がゼロ又は正である場合、即ち、ベクトル演算部87で演算した振幅値Vaが電圧演算部89で演算した基準値Vr以下である場合、記憶部82に記憶してある正の電流値を減算部91に与える。
図11及び図12は、回転数決定部83が実行する動作の手順を示すフローチャートである。図11及び図12には、洗濯物の脱水を開始してドラムモータ4の回転を加速させた場合において、実施の形態1と同様にアンバランスセンシング及び立上げ制御が実施された後に回転数決定部83が実行する動作の手順が示されている。
なお、回転数決定部83が動作を開始した段階では、記憶部82に記憶してあるフラグは“ゼロ”にセットされており、回転数決定部83が目標回転数を更新する場合に目標回転数に加算する数値Nは、数値No,Ns,Nt(No>Ns>Nt)の中で最も大きい数値Noに設定されている。
回転数決定部83は、記憶部82に記憶してあるフラグが“1”にセットされているか否かを判定する(ステップS41)。回転数決定部83は、フラグが“1”にセットされていない、即ち、“ゼロ”にセットされていると判定した場合(ステップS41:NO)、記憶部82に記憶してある更新前の目標回転数を読み出す(ステップS42)。
次に、回転数決定部83は、ステップS42で読み出した目標回転数が上限回転数以上であるか否かを判定する(ステップS43)。上限回転数は、実施の形態1で述べたように、洗濯物を脱水する場合に回転ドラム3を回転させるドラムモータ4の回転数の上限値である。
回転数決定部83は、目標回転数が上限回転数未満であると判定した場合(ステップS43:NO)、ベクトル演算部87が演算した交流電圧の振幅値Vaをベクトル演算部87から読み込み(ステップS44)、電圧演算部89が演算した基準値Vrを電圧演算部89から読み込む(ステップS45)。ステップS44で読み込む交流電圧の振幅値Vaは、回転数決定部83が前回決定した目標回転数に基づいて、ベクトル演算部87が演算した振幅値である。
次に、回転数決定部83は、ステップS44で読み込んだ振幅値Vaが、ステップS45で読み込んだ基準値Vrの定数ks倍よりも大きいか否かを判定する(ステップS46)。定数ksは1以上の正の実数であり、例えば1.3である。
ドラムモータ4の回転数と目標回転数との間に差分が生じた場合、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧が歪み、この歪みはドラムモータ4の回転数と目標回転数との差分が大きい程、大きい。PWM電圧の歪みは、PWM電圧をローパスフィルタ等で積分することによって生成された電圧の波形の歪みである。
そして、ベクトル演算部87が演算した振幅値Vaが、インバータ回路51の入力端子S1,S2間に印加される直流電圧の値に係る値である基準値Vrよりも大きい場合、インバータ回路51が直流電圧から変換したPWM電圧は歪む。具体的には、インバータ回路51が変換したPWM電圧は、ベクトル演算部87が演算した界磁電圧値Vd及びトルク電圧値Vdに対応する交流電圧に完全に相当しない。このため、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧も歪む。即ち、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧をローパスフィルタ等で積分することによって生成された電圧の波形が歪む。従って、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧の歪み度合は、振幅値Vaと基準値Vrとの差が大きい程、大きい。
回転数決定部83は、ステップS46を実行することによって、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧の歪み度合が第1基準レベルよりも大きいか否かを判定する。コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧は、インバータ回路51がコイルLu,Lv,Lw夫々の一方の端子間にPWM電圧を印加することによって印加されるPWM電圧である。第1基準レベルは所定レベルに該当し、回転数決定部83は歪み度合判定手段として機能する。
回転数決定部83は、振幅値Vaが基準値Vrのks倍よりも大きい場合に歪み度合が第1基準レベルよりも大きいと判定し、振幅値Vaが基準値Vrのks倍以下である場合に歪み度合が第1基準レベル以下と判定する。
基準値Vrは、前述したように、直流電圧値Vdcを(8)式に代入することによって算出される値である。従って、回転数決定部83は、ステップS46において、電流検出部53が検出した直流電圧値Vdcと、ベクトル演算部87が演算した振幅値Vaとに基づき、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧の歪み度合が第1基準レベルよりも大きいか否かを判定する。
回転数決定部83は、振幅値Vaが基準値Vrの定数ks倍よりも大きいと判定した場合(ステップS46:YES)、ステップS44で読み込んだ振幅値Vaが、ステップS45で読み込んだ基準値Vrの定数kt倍よりも大きいか否かを判定する(ステップS47)。ここで、定数ktは定数ksよりも大きい正の実数であり、例えば1.5である。
回転数決定部83は、ステップS47を実行することによって、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧の歪み度合が第1基準レベルよりも高い第2基準レベルよりも大きいか否かを判定する。第2基準レベルも所定レベルに該当する。
回転数決定部83は、振幅値Vaが基準値Vrのkt倍よりも大きい場合に歪み度合が第2基準レベルよりも大きいと判定し、振幅値Vaが基準値Vrのkt倍以下である場合に歪み度合が第2基準レベル以下と判定する。
回転数決定部83は、振幅値Vaが基準値Vrの定数kt倍以下であると判定した場合、即ち、歪み度合が第1基準レベルよりも大きくて第2基準レベル以下であると判定した場合(ステップS47:NO)、目標回転数に加算する数値Nを数値Nsに設定する(ステップS48)。回転数決定部83は、洗濯物の脱水を開始してからステップS48を最初に実行した場合において、目標回転数に加算する数値Nを、数値Noから、数値Noよりも小さい数値Nsに低減する。
回転数決定部83は、数値低減手段としても機能する。
回転数決定部83は、振幅値Vaが基準値Vrの定数kt倍よりも大きいと判定した場合(ステップS47:YES)、振幅値Vaが基準値Vrの定数ku倍よりも大きいか否かを判定する(ステップS49)。定数kuは、定数ktよりも大きい正の実数であり、例えば1.8である。
回転数決定部83は、ステップS49を実行することによって、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧の歪み度合が第2基準レベルよりも高い第3基準レベルよりも大きいか否かを判定する。第3基準レベルは第2の所定レベルに該当し、回転数決定部83は、第2の歪み度合判定手段としても機能する。
回転数決定部83は、振幅値Vaが基準値Vrのku倍よりも大きい場合に歪み度合が第3基準レベルよりも大きいと判定し、振幅値Vaが基準値Vrのku倍以下である場合に歪み度合が第3基準レベル以下と判定する。
回転数決定部83は、振幅値Vaが基準値Vrの定数ku倍以下であると判定した場合、即ち、歪み度合が第2基準レベルよりも大きくて第3基準レベル以下であると判定した場合(ステップS49:NO)、目標回転数に加算する数値Nを数値Ntに設定する(ステップS50)。回転数決定部83は、洗濯物の脱水を開始してからステップS50を最初に実行した場合において、目標回転数に加算する数値Nは、数値Nsから、数値Nsよりも小さい数値Ntに低減される。
回転数決定部83は、振幅値Vaが基準値Vrの定数ks倍以下であると判定した場合、即ち、歪み度合が第1基準レベル以下である場合(ステップS46:NO)、又は、ステップS48若しくはステップS50を実行した後、ステップS42で読み出した目標回転数に数値Nを加算する(ステップS51)。
次に、回転数決定部83は、記憶部82に記憶してある目標回転数を、ステップS51で数値Nを加算した目標回転数に更新する(ステップS52)。
回転数決定部83は、ステップS42で読み出した目標回転数が上限回転数以上であると判定した場合(ステップS43:YES)、又は、振幅値Vaが基準値Vrの定数ku倍よりも大きいと判定した場合(ステップS49:YES)、記憶部82に記憶してあるフラグを“1”にセットする(ステップS53)。
従って、回転数決定部83は、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧の歪み度合が第3基準レベルよりも大きいと判定した場合、フラグを“1”にセットする。
回転数決定部83は、フラグが“1”にセットされていると判定した場合(ステップS41)、又は、ステップS53若しくはステップS52を実行した後、記憶部82に記憶してある目標回転数を電流読出部84及び減算部85に与える(ステップS54)。これにより、変換部88はステップS11で更新した目標回転数に応じた交流電圧値Vu,Vv,Vwを駆動回路52に与え、インバータ回路51は、入力端子S1,S2間に印加された直流電圧を、ステップS11で更新した目標回転数に応じたパルス状のPWM電圧に変換する。
回転数決定部83は、ステップS54を実行した後、洗濯物の脱水が終了したか否かを実施の形態1と同様に判定する(ステップS55)。回転数決定部83は、脱水が終了していないと判定した場合(ステップS55:NO)、処理をステップS41に戻す。回転数決定部83は、脱水が終了されるまで、ステップS41からステップS55の処理を所定周期で繰り返す。
回転数決定部83は、コイルLu,Lv,Lw夫々の一方の端子間に印加するPWM電圧の歪み度合が、第1及び第2基準レベルよりも高い第3基準レベルよりも大きいと判定してステップS53でフラグを“1”に設定した場合、以後、ステップS52が実行されて目標回転数が更新されることはない。従って、回転数決定部83は、ステップS53でフラグを“1”に設定することによって、目標回転数の更新を停止する。
回転数決定部83は、脱水が終了したと判定した場合(ステップS55:YES)、処理を終了する。
図13は目標回転数の推移を示すグラフである。図13では、実施の形態3に係るモータ駆動装置の特徴を顕著に示す目標回転数の推移の一例が示されている。回転数決定部83は、洗濯物の脱水を開始した場合、実施の形態1と同様に、アンバランスセンシング及び立上げ制御を順に実行する。
回転数決定部83は、立上げ制御を実行した後、ベクトル演算部87によって演算された交流電圧の振幅値Vaが、電圧演算部89によって演算された基準値Vrの定数ks倍を超えるまで、所定周期で目標回転数に数値Noを加算し、目標回転数の更新を繰り返す。これにより、目標回転数が一定の加速度で上昇する。
洗濯物の脱水が開始されてから時間t1が経過した時点で、交流電圧の振幅値Vaが基準値Vrの定数ks倍を超え、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧の歪み度合が第1基準レベルを超えたとする。このとき、回転数決定部83は、目標回転数に加算する数値Nを数値Noから、数値Noよりも小さい数値Nsに低減する。
そして、回転数決定部83は、ベクトル演算部87によって演算された交流電圧の振幅値Vaが、電圧演算部89によって演算された基準値Vrの定数kt倍を超えるまで、所定周期で目標回転数に数値Nsを加算し、目標回転数の更新を繰り返す。これにより、立上げ制御が行われてから時間t1が経過するまでの目標回転数の加速度よりも低い一定の加速度で目標回転数が上昇する。
洗濯物の脱水が開始されてから時間t2が経過した時点で、交流電圧の振幅値Vaが基準値Vrの定数kt倍を超え、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧の歪み度合が第2基準レベルを超えたとする。このとき、回転数決定部83は、目標回転数に加算する数値Nを数値Nsから、数値Nsよりも小さい数値Ntに低減する。
そして、回転数決定部83は、ベクトル演算部87によって演算された交流電圧の振幅値Vaが、電圧演算部89によって演算された基準値Vrの定数ku倍を超えるまで、所定周期で目標回転数に数値Ntを加算し、目標回転数の更新を繰り返す。これにより、時間t1が経過してから時間t2が経過するまでの目標回転数の加速度よりも低い一定の加速度で目標回転数が上昇する。
洗濯物の脱水が開始されてから時間t3が経過した時点で、交流電圧の振幅値Vaが基準値Vrの定数ku倍を超え、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧の歪み度合が第3基準レベルを超えたとする。このとき、回転数決定部83はフラグを“1”にセットする。これにより、回転数決定部83は、目標回転数の更新を停止し、洗濯物の脱水が終了するまで、目標回転数を歪み度合が第3基準レベルを超えたときの目標回転数に維持する。
回転数決定部83は、交流電圧の振幅値Vaが基準値Vrの定数ks倍を超えない場合、即ち、歪み度合が第1基準レベルを超えない場合、目標回転数が上限回転数以上となるまで、所定周期での数値Noの加算に目標回転数を更新し続ける。そして、回転数決定部83は、目標回転数が上限回転数以上となった場合、フラグを“1”にセットし、目標回転数の更新を停止する。回転数決定部83は、洗濯物の脱水が終了するまで、上限回転数以上の目標回転数を維持する。
回転数決定部83は、交流電圧の振幅値Vaが基準値Vrの定数ks倍を超えるが基準値Vrの定数kt倍を超えない場合、所定周期での数値Noの加算と、所定周期での数値Nsの加算とによって目標回転数が上限回転数以上となるまで目標回転数を更新し続ける。同様に、回転数決定部83は、交流電圧の振幅値Vaが基準値Vrの定数kt倍を超えるが基準値Vrの定数ku倍を超えない場合、所定周期での数値Noの加算と、所定周期での数値Nsの加算と、所定周期での数値Ntの加算によって目標回転数が上限回転数以上となるまで目標回転数を更新し続ける。
回転数決定部83は、目標回転数が上限回転数以上となった場合、フラグを“1”にセットし、目標回転数の更新を停止する。回転数決定部83は、洗濯物の脱水が終了するまで、上限回転数以上の目標回転数を維持する。
以上のように構成された実施の形態3に係るモータ駆動装置では、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧の歪み度合が第1又は第2基準レベルよりも大きくなって、ドラムモータ4の回転数と目標回転数との差分が所定値以上となった場合に、目標回転数に加算される数値Nが低減される。このため、ドラムモータ4が脱調する確率は低い。
また、電圧検出部53が検出した直流電圧値Vdcと、ベクトル演算部87が演算した交流電圧の振幅値Vaとに基づいて、歪み度合が第1又は第2基準レベルよりも大きいか否かを容易に判定することができる。更に、ベクトル演算部87が演算した振幅値Vaが基準値Vrのks又はkt倍よりも大きいか否かを判定することによって、更に容易に歪み度合が第1又は第2基準レベルよりも大きいか否かを判定することができる。
また、歪み度合が第3基準レベルよりも大きく、ドラムモータ4が脱調する可能性が高い場合、目標回転数の更新が停止されるので、ドラムモータ4の回転数が増加することがなく、ドラムモータ4の脱調が確実に防止される。
更に、ベクトル演算部87が演算した振幅値Vaが基準値Vrを超えている場合に界磁電流値が低減される。このため、インバータ回路51は、直流電圧をコイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧の歪み度合がより小さくなるPWM電圧に変換する。
(実施の形態4)
実施の形態4に係る洗濯機は、実施の形態3に係る洗濯機と比較して、目標回転数を所定周期での数値Nuの加算によって更新している間に、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧の歪み度合が第3基準レベルを超えた場合に、回転数決定部83が実行する動作が異なる。
以下では、歪み度合が第3基準レベルを超えた場合、具体的には、ベクトル演算部87が演算した振幅値Vaが電圧演算部89によって演算された基準値Vrのku倍よりも大きい場合に、実施の形態4における回転数決定部83が実行する動作を説明する。実施の形態4の構成は、実施の形態3の構成と同様であるため、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
従って、実施の形態4に係るモータ駆動装置も、制御装置16、整流回路50、インバータ回路51、駆動回路52、電圧検出部53、コンデンサC1,C2及び抵抗R1,R2を備える。
図14及び図15は、実施の形態4における回転数決定部83が実行する動作の手順を示すフローチャートである。図14及び図15には、洗濯物の脱水を開始してドラムモータ4の回転を加速させた場合において、実施の形態1と同様にアンバランスセンシング及び立上げ制御が実施された後に実施の形態4に係る回転数決定部83が実行する動作の手順が示されている。
なお、回転数決定部83が動作を開始した段階では、実施の形態3と同様に、記憶部82に記憶してあるフラグは“ゼロ”にセットされており、回転数決定部83が目標回転数を更新する場合に目標回転数に加算する数値Nは、数値Noに設定されている。
実施の形態4における回転数決定部83が実行するステップS61からS72及びステップS74,S75夫々は、実施の形態3における回転数決定部83が実行するステップS41からS52及びステップS54,S55と同様であるため説明を省略する。
回転数決定部83は、ステップS62で読み出した目標回転数が上限回転数以上であると判定した場合(ステップS63:YES)、記憶部82に記憶してあるフラグを“1”にセットする(ステップS73)。回転数決定部83は、ステップS73を実行した後、ステップS74を実行する。
また、回転数決定部83は、ステップS64で読み込んだ振幅値Vaが、ステップS65で読み込んだ基準値Vrの定数ku倍よりも大きいと判定した場合、即ち、歪み度合が第3基準レベルよりも大きいと判定した場合(ステップS69:YES)、処理を終了する。処理の終了により、回転数決定部83は、目標回転数を電流読出部84及び減算部85に与えず、ドラムモータ4の回転を停止する。回転数決定部83は、回転停止手段としても機能する。
ステップS69で振幅値Vaが基準値Vrの定数ku倍よりも大きいために回転数決定部83が処理を終了した場合、再びアンバランスセンシング及び立上げ制御が実施されて、回転数決定部83は図13及び図14に示す動作の手順を再びステップS61から開始する。
図16は目標回転数の推移を示すグラフである。実施の形態4における目標回転数は、洗濯物の脱水が開始されてから時間t3が経過するまで、実施の形態3と同様に推移する。
洗濯物の脱水が開始されてから時間t3が経過した時点で、交流電圧の振幅値Vaが基準値Vrの定数ku倍を超え、コイルLu,Lv,Lw夫々に印加されるPWM電圧の歪み度合が第3基準レベルを超えたとする。このとき、回転数決定部83は、動作を終了し、ドラムモータ4の回転が停止され、目標回転数はゼロとなる。その後、再び、アンバランスセンシング及び立上げ制御が実施され、脱水がやり直される。
なお、ドラムモータ4の回転が停止されて目標回転数がゼロとなった後に洗濯物の脱水をやり直さなくてもよい。
以上のように構成された実施の形態4に係るモータ駆動装置は、コイルLu,Lv,Lw夫々における一方の端子間に印加されるPWM電圧の歪み度合が第3基準レベルよりも大きく、ドラムモータ4が脱調する可能性が高い場合、ドラムモータ4の回転が停止されるため、ドラムモータ4の脱調が未然に防止される。
実施の形態4に係るモータ駆動装置は、歪み度合が第3基準レベルを超えた場合に、回転数決定部83が実行する動作以外の他の動作については、実施の形態3に係るモータ駆動装置と同様に動作する。このため、実施の形態4に係るモータ駆動装置においても、ドラムモータ4が脱調する確率が低く、歪み度合が第1又は第2基準レベルよりも大きいか否かを容易に判定することができ、インバータ回路51は直流電圧を、歪み度合がより小さくなるPWM電圧に変換する。
なお、実施の形態3及び4において、回転数決定部83が数値Nを数値Nsから数値Ntに低減した後、コイルLu,Lv,Lw夫々における一方の端子間に印加されるPWM電圧の歪み度合が第3基準レベルを超えるか否かを所定周期で判定しなくてもよい。この場合、回転数決定部83は、数値Nを数値Ntに低減した後、目標回転数が上限回転数以上となるまで、目標回転数に数値Ntを所定周期で加算する。
回転数決定部83が歪み度合が第3基準レベルを超えるか否かを所定周期で判定しない場合であっても、歪み度合が第1又は第2基準レベルを超えた場合に数値Nが低減される。このためドラムモータ4が脱調する確率が低い。
また、実施の形態3及び4に係るモータ駆動装置は、電流読出部84が決定した界磁電流値Id1を界磁電流値Id2に低減する構成を有していなくてもよい。具体的には、制御装置16は、低減部90及び減算部91,92を有していなくてもよい。この場合であっても、歪み度合が第1又は第2基準レベルを超えた場合に数値Nが低減されるので、ドラムモータ4が脱調する確率が低い。
また、目標回転数に加算する数値Nを低減するか否かを決定するための判定に用いられる歪み度合の基準レベルの数は、2つに限定されず、1つ又は3つ以上あってもよい。この場合、回転数決定部83は、歪み度合が基準レベルを超える都度、目標回転数に加算する数値Nを低減する。
また、制御装置16、整流回路50、インバータ回路51、駆動回路52、電圧検出部53、コンデンサC1,C2及び抵抗R1,R2を備える実施の形態3及び4に係るモータ駆動装置が駆動するモータは、洗濯機の回転ドラム3を回転させるドラムモータ4に限定されず、インバータ回路によって回転数が調整されるモータであればよい。
本発明に係るモータ駆動装置は、夫々の一方の端子が接続してある複数のコイル(Lu,Lv,Lw)を有するモータ(4)の目標回転数を所定周期での数値の加算により更新する更新手段(83)と、直流電圧を、前記更新手段(83)が更新した目標回転数に応じた交流電圧に変換するインバータ回路(51)とを備え、該インバータ回路(51)が変換した交流電圧を前記複数のコイル(Lu,Lv,Lw)夫々における他方の端子間に印加することによって前記モータ(4)を駆動するモータ駆動装置において、前記インバータ回路(51)が前記他方の端子間に前記交流電圧を印加することによって、前記複数のコイル(Lu,Lv,Lw)夫々に印加される交流電圧の歪み度合が所定レベルよりも大きいか否かを判定する歪み度合判定手段(83)と、該歪み度合判定手段(83)が前記所定レベルよりも大きいと判定した場合に、前記更新手段(83)が加算する数値を低減する数値低減手段(83)とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、所定周期で数値を加算することによってモータ(4)の目標回転数を更新する。モータ(4)が有する複数のコイル(Lu,Lv,Lw)夫々の一方の端子は接続してある。インバータ回路(51)は、直流電圧を、更新した目標回転数に応じた交流電圧に変換する。インバータ回路(51)が変換した交流電圧を、複数のコイル(Lu,Lv,Lw)夫々における他方の端子間に印加することによってモータ(4)を駆動する。インバータ回路(51)が複数のコイル(Lu,Lv,Lw)夫々における他方の端子間に交流電圧を印加することによって、複数のコイル(Lu,Lv,Lw)夫々に印加される交流電圧の歪み度合が所定レベルよりも大きいか否かを判定する。歪み度合が所定レベルよりも大きいと判定した場合、所定周期ごとに目標回転数に加算する数値を低減する。
モータ(4)の回転数と目標回転数との間に差分が生じた場合、モータ(4)が有する複数のコイル(Lu,Lv,Lw)夫々に印加される交流電圧が歪み、この歪み度合は、モータ(4)の回転数と目標回転数との差分が大きい程、大きい。従って、モータ(4)の回転数が予め設定された回転数を超えた場合ではなく、歪み度合が所定レベルよりも大きくなってモータ(4)の回転数と目標回転数との差分が所定値以上となった場合に、目標回転数に加算される数値が所定値から低減されるので、モータ(4)が脱調する確率が低い。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記直流電圧の値を検出する電圧検出手段(53)と、前記更新手段(83)が更新した目標回転数を含む前記モータ(4)の回転に係る値から、前記他方の端子間に印加すべき交流電圧の振幅値を演算する振幅値演算手段(87)とを更に備え、前記歪み度合判定手段(83)は、前記電圧検出手段(53)が検出した直流電圧値と、前記振幅値演算手段(87)が演算した振幅値とに基づき、前記歪み度合が所定レベルよりも大きいか否かを判定するように構成してあることを特徴とする。
本発明にあっては、インバータ回路(51)が交流電圧に変換する直流電圧の値を検出すると共に、更新された目標回転数を含むモータ(4)の回転に係る値から、複数のコイル(Lu,Lv,Lw)夫々の他方の端子間に印加すべき交流電圧の振幅値を演算する。そして、検出した直流電圧値と、演算した振幅値とに基づき、歪み度合が所定レベルよりも大きいか否かを判定する。
以上のように判定を行うことによって、モータ(4)が有する複数のコイル(Lu,Lv,Lw)夫々に印加される交流電圧の歪み度合が所定レベルよりも大きいか否かが容易に判定される。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記歪み度合判定手段(83)は、前記振幅値演算手段(87)が演算した振幅値が、前記電圧検出手段(53)によって検出された直流電圧値に係る値のk(k:正の実数)倍よりも大きい場合に前記歪み度合が所定レベルよりも大きいと判定するように構成してあることを特徴とする。
本発明にあっては、演算した振幅値が、検出した直流電圧値に係る値のk(k:正の実数)倍よりも大きい場合に、歪み度合が所定レベルよりも大きいと判定する。直流電圧値に係る値は、例えば直流電圧値の大小に応じて大小となる値である。
以上のように、演算した振幅値が直流電圧値に係る値のk倍よりも大きいか否かを判定することによって、より容易に歪み度合が所定レベルよりも大きいか否かが判定される。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記歪み度合が、前記所定レベルよりも高い第2の所定レベルよりも大きいか否かを判定する第2の歪み度合判定手段(83)を更に備え、前記更新手段(83)は、該第2の歪み度合判定手段(83)が前記第2の所定レベルよりも大きいと判定した場合に、前記目標回転数の更新を停止するように構成してあることを特徴とする。
本発明にあっては、モータ(4)が有する複数のコイル(Lu,Lv,Lw)夫々の他方の端子間に印加される交流電圧の歪み度合が、所定レベルよりも高い第2の所定レベルよりも大きいと判定した場合に目標回転数の更新を停止する。歪み度合が第2の所定レベルよりも大きく、モータ(4)が脱調する可能性が高い場合、目標回転数の更新が停止されるため、モータ(4)の回転数が増加することはなく、モータ(4)の脱調が確実に防止される。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記歪み度合が、前記所定レベルよりも高い第2の所定レベルよりも大きいか否かを判定する第2の歪み度合判定手段(83)と、該第2の歪み度合判定手段(83)が前記第2の所定レベルよりも大きいと判定した場合に前記モータ(4)の回転を停止する回転停止手段(83)とを更に備えることを特徴とする。
本発明にあっては、モータ(4)が有する複数のコイル(Lu,Lv,Lw)夫々の他方の端子間に印加される交流電圧の歪み度合が、所定レベルよりも高い第2の所定レベルよりも大きいと判定した場合にモータ(4)の回転を停止する。歪み度合が第2の所定レベルよりも大きく、モータ(4)が脱調する可能性が高い場合、モータ(4)の回転が停止されるため、モータ(4)の脱調が未然に防止される。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記更新手段(83)が更新した目標回転数に基づいて前記モータ(4)に流すべき界磁電流の値を決定する決定手段(84)と、前記直流電圧の値を検出する電圧検出手段(53)と、前記決定手段(84)が決定した界磁電流値を含む前記モータ(4)の回転に係る値から、前記他方の端子間に印加すべき交流電圧の振幅値を演算する振幅値演算手段(87)と、前記振幅値演算手段(87)が演算した振幅値が、前記電圧検出手段(53)によって検出された直流電圧値に係る値を超えている場合に、前記決定手段(84)が決定した界磁電流値を低減する電流値低減手段(90)とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、更新された目標回転数に基づいてモータ(4)に流すべき界磁電流の値を決定し、決定した界磁電流値を含むモータ(4)の回転に係る値から、モータ(4)が有する複数のコイル(Lu,Lv,Lw)夫々における他方の端子間に印加すべき交流電圧の振幅値を演算する。インバータ回路(51)が交流電圧に変換する直流電圧の値を検出する。演算した振幅値が直流電圧値に係る値を超えている場合に、決定された界磁電流値を低減する。直流電圧値に係る値は、例えば直流電圧値の大小に応じて大小となる値である。
振幅値が直流電圧値に係る値を超えている場合、界磁電流値が低減される。これにより、インバータ回路(51)は、直流電圧を、モータ(4)が有する複数のコイル(Lu,Lv,Lw)夫々に印加される交流電圧の歪み度合がより小さくなる交流電圧に変換する。
本発明に係るモータ駆動装置は、モータ(4)の目標回転数を所定周期での数値の加算により更新する更新手段(83)と、直流電圧を、前記更新手段(83)が更新した目標回転数に応じた交流電圧に変換し、変換した交流電圧を前記モータの端子間に印加するインバータ回路(51)とを備えるモータ駆動装置において、前記モータ(4)の回転数を推定する推定手段(80)と、前記所定周期で、更新前の目標回転数、及び、前記推定手段(80)が推定した回転数の差分を算出する算出手段(83)と、前記更新手段(83)が加算する数値が所定値である場合に、前記算出手段(83)が算出した差分が閾値以上であるか否かを前記所定周期で判定する判定手段(83)と、前記判定手段(83)が閾値以上であると判定した場合に、前記更新手段(83)が加算する数値を前記所定値から低減する低減手段(83)とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、モータ(4)の目標回転数を所定周期での数値の加算により更新し、インバータ回路(51)は、直流電圧を、所定周期で、更新した目標回転数に応じた交流電圧に変換し、変換した交流電圧をモータ(4)の端子間に印加することによってモータを駆動する。所定周期で、更新前の目標回転数と、推定したモータ(4)の回転数との差分を算出する。目標回転数に加算する数値が所定値である場合に、算出した差分が閾値以上であるか否かを所定周期で判定し、算出した差分値が閾値以上であると判定した場合に、目標回転数に加算する数値を所定値から低減する。
従って、モータ(4)の回転数が予め設定された回転数を超えた場合ではなく、更新前の目標回転数とモータ(4)の回転数との差分が閾値以上である適切な場合に、目標回転数に加算される数値が所定値から低減されるので、モータ(4)が脱調する確率が低い。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記低減手段(83)が数値を低減した後に、前記算出手段(83)が算出した差分が前記閾値以上である第2の閾値以上であるか否かを所定周期で判定する第2の判定手段(83)を備え、前記更新手段(83)は、前記第2の判定手段(83)が第2の閾値以上であると判定した場合に目標回転数の更新を停止するように構成してあることを特徴とする。
本発明にあっては、目標回転数に加算する数値を低減した後に、更新前の目標回転数と、推定した回転数との差分が、閾値以上である第2の閾値以上であるか否かを所定周期で判定する。差分が第2の閾値以上であると判定した場合に、目標回転数の更新を停止する。
目標回転数の更新の停止によって、目標回転数とモータ(4)の回転数との差分が拡大することはないため、モータ(4)の脱調が確実に防止される。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記低減手段(83)が数値を低減した後に、前記算出手段(83)が算出した差分が前記閾値以上である第2の閾値以上であるか否かを所定周期で判定する第2の判定手段(83)と、該第2の判定手段(83)が第2の閾値以上であると判定した場合に前記モータ(4)の回転を停止する停止手段(83)とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、目標回転数に加算される数値を低減した後に、更新前の目標回転数と、推定した回転数との差分が、閾値以上である第2の閾値以上であるか否かを所定周期で判定する。差分が第2の閾値以上であると判定した場合にモータ(4)の回転を停止する。
モータ(4)の回転を停止することによって、モータ(4)の脱調が未然に防止される。
本発明に係る洗濯機は、前述のモータ駆動装置と、洗濯物を投入されて回転する回転ドラム(3)とを備え、前記モータ(4)は前記回転ドラム(3)を回転させるように構成してあることを特徴とする。
本発明にあっては、モータ駆動装置はモータ(4)を駆動することによって、洗濯物が投入された回転ドラム(3)を回転させる。これにより、洗濯物が脱水される。
4 ドラムモータ
16 制御装置
50 整流回路
51 インバータ回路
52 駆動回路
53 電圧検出部
80 回転数推定部
83 回転数決定部
84 電流読出部
87 ベクトル演算部
90 低減部
C1,C2 コンデンサ
Lu,Lv,Lw コイル

Claims (6)

  1. 夫々の一方の端子が接続してある複数のコイルを有するモータの目標回転数を所定周期での数値の加算により更新する更新手段と、直流電圧を、前記更新手段が更新した目標回転数に応じた交流電圧に変換するインバータ回路とを備え、該インバータ回路が変換した交流電圧を前記複数のコイル夫々における他方の端子間に印加することによって前記モータを駆動するモータ駆動装置において、
    前記インバータ回路が前記他方の端子間に前記交流電圧を印加することによって、前記複数のコイル夫々に印加される交流電圧の歪み度合が所定レベルよりも大きいか否かを判定する歪み度合判定手段と、
    該歪み度合判定手段が前記所定レベルよりも大きいと判定した場合に、前記更新手段が加算する数値を低減する数値低減手段と
    を備えることを特徴とするモータ駆動装置。
  2. 前記直流電圧の値を検出する電圧検出手段と、
    前記更新手段が更新した目標回転数を含む前記モータの回転に係る値から、前記他方の端子間に印加すべき交流電圧の振幅値を演算する振幅値演算手段と
    を更に備え、
    前記歪み度合判定手段は、前記電圧検出手段が検出した直流電圧値と、前記振幅値演算手段が演算した振幅値とに基づき、前記歪み度合が所定レベルよりも大きいか否かを判定するように構成してあること
    を特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
  3. 前記歪み度合判定手段は、前記振幅値演算手段が演算した振幅値が、前記電圧検出手段によって検出された直流電圧値に係る値のk(k:正の実数)倍よりも大きい場合に前記歪み度合が所定レベルよりも大きいと判定するように構成してあること
    を特徴とする請求項2に記載のモータ駆動装置。
  4. 前記歪み度合が、前記所定レベルよりも高い第2の所定レベルよりも大きいか否かを判定する第2の歪み度合判定手段を更に備え、
    前記更新手段は、該第2の歪み度合判定手段が前記第2の所定レベルよりも大きいと判定した場合に、前記目標回転数の更新を停止するように構成してあること
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のモータ駆動装置。
  5. 前記歪み度合が、前記所定レベルよりも高い第2の所定レベルよりも大きいか否かを判定する第2の歪み度合判定手段と、
    該第2の歪み度合判定手段が前記第2の所定レベルよりも大きいと判定した場合に前記モータの回転を停止する回転停止手段と
    を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のモータ駆動装置。
  6. 請求項1からのいずれか1つに記載のモータ駆動装置と、
    洗濯物を投入されて回転する回転ドラムと
    を備え、
    前記モータは前記回転ドラムを回転させるように構成してあること
    を特徴とする洗濯機。
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