JP6183871B2 - お金の大切さを気付かせるシステム及びその方法 - Google Patents

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Description

本発明は、お金の大切さを気付かせるシステム及びその方法に関する。特に、金融機関のシステムおいて実現するお金の大切さを気付かせるシステム及びその方法に関する。
昨今、口座振り込みや口座振り替えの一般化、電子マネーカードやクレジットカード等の普及等、お金の電子化により、現金を所持する機会が減り、お金の大切さやありがたみを実感できる機会が少なくなってきている。特に、子供達の金銭感覚が欠如してきている。例えば、お金はATMからいつでも出てきて、ネット上であちこちに動かせるもの、と思い込んでいる子供達が増えているというような話もよく耳にする。このような背景には、少子化が進み、子供にかけられるお金の額が増えており、いわゆる「シックスポケット」(一人の子どもに対して、両親、祖父母4人の計6人分の財布の口が開かれていることを指す)とよばれる社会現象も関係しているものと思われる。
このため、子供達にものやお金を大切にする金銭教育の必要性が提唱されている。例えば、下記の非特許文献1の「What’s 金銭教育」においては、「金銭教育とは、幼児・児童・生徒を対象に、ものやお金を大切にし、資源の無駄使いを避ける心配りを身につけさせ、それを通じて望ましい人格の形成を目指す教育のことを言う」と述べられている。
日本銀行 金融公報中央委員会、"What’s 金銭教育"、[online]、[平成24年9月20日検索]、インターネット、<URL:http://www.shiruporuto.jp/teach/kako/what/>
金銭教育、特にお金の大切さを知る機会を多く持つことは、子供達のみならず、大人にとっても必要なことである。大人でも、高校生くらいの世代から、大学生、遅くとも社会人になる頃までに適切な金銭感覚を持っていないと、社会人になってから、病気や怪我などで多額の出費が必要となったとき等、初めてお金の大切さが身に染みるといったことも多い。あるいは、自活して、初任給で手元に残った金額がわずかなものとなったとき、自分の給料と親が支払ってくれていた授業料等の金額を比較して、稼ぐ大変さを痛感することも多い。しかしながら、上記の「金銭教育」の対象は、幼児・児童・生徒であり、学生のような社会人になる前の大人を対象とするものではない。学生(高校生含む)や青年期の大人向けに、金融知識の取得や金融投資を教育するようなシステムはあっても、このようなお金の大切さを知るといった金銭教育を支援するシステムはいまだ存在しない。
本発明では、このような課題に鑑み、親や祖父母が子供達に対する日々の入出金を金融機関のシステムを利用して管理することを通して、子供達が社会人となる頃までに、お金の大切さを、できるだけ早い時期に、気付かせる機会を与えることを支援するための金融機関システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の金融機関システムは、以下のような解決手段を提供する。
請求項1に記載の発明は、金融機関システムにおける入出金管理サーバであって、前記入出金管理サーバは、口座名義人が指定した対象人の情報と、前記対象人に関連するイベントの発生日を含むイベント情報を受け付け、前記口座名義人の口座管理情報を格納した顧客契約DBに前記イベント情報を前記対象人ごとに登録するイベント登録受付部と、前記口座名義人から前記勘定系システムに対する入出金の要求を受け付けた際に、前記口座名義人に対して、前記入出金と前記登録されたイベントとを関連づけるキーワードを含むコメントを入力させ、イベント入出金管理DBに前記入出金と前記コメントを紐づけて記録するイベント入出金記録部と、前記対象人が入出金の操作をする際に、前記イベント入出金管理DB及び前記顧客契約DBから前記対象人に関する入出金記録を抽出し、前記口座名義人によって予め設定された特定イベントが発生した際に、前記対象人に関連する出金及び/又は入金の総額を表示するイベント入出金抽出部と、を備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、口座名義人(親や祖父母など)が指定した対象人(子供、孫、その他養育対象者など)に対して、対象人の人生において発生するであろうイベントの情報を金融機関のシステムに予め登録しておく。金融機関のシステムは、口座名義人が対象人のために費やしたお金又は対象人のために受け取ったお金を対象人の各種イベントに関連付けて記録する。この関連付けのために、イベントに関連するキーワードを含むコメントを口座名義人に入力させる手段を提供する。そして、特定のイベントの際に(例えば、成人となった日や社会人として初給料をもらったときなど)、金融機関のシステム内に記録された、口座名義人が対象人に対して費やしたお金又は受け取ったお金の総額を、対象人に対して提示する。
このようにすることで、口座名義人が定めた特定のイベント、すなわち、お金の大切さを気付かせるのに最も効果的なイベントのタイミングで、対象人に対して今までに費やされたお金や頂いたお金の総額を提示することができる。このような提示を受けた対象人が、自らはもちろん、今度は自分が親になった時に、子供達が幼いうちから正しい金銭教育を行ってくれることを期待するからである。
請求項2に記載の発明は、ATM又はインターネットバンキングから前記コメントを入力させる手段として、文字入力部、画像入力部、音声入力部を有し、前記イベント入出金記録部は、文字、画像、音声を含むコメント情報を記録することを特徴とする。
上記の構成によれば、入出金を受け付けるATM又はインターネットバンキングにおいて、文字だけでなく、画像や音声入力を受け付ける機能をもたせ、キー操作による文字入力の苦手な者であっても上記のコメント入力を容易にすることができる。
請求項3に記載の発明は、前記イベント入出金抽出部は、前記対象人が前記ATMから前記口座名義人が振り込んだお金を現金で引き出した際に、又は前記対象人がインターネットバンキングから、前記口座名義人が振り込んだ直後の所定期間内に第三者に所定金額以上の振込みを行った際に、前記口座名義人に対してメール通知を送信することを特徴とする。
上記の構成によれば、口座名義人が対象人の口座に振り込んだ場合に、対象人がそのお金を現金で引き出したことを口座名義人に対して自動的又は半自動的にメール通知する。このことによって、口座名義人は対象人がそのお金を確かに受け取ったこと、及び現金に触れたことを確認することができる。あるいは、対象人が現金で引き出さずに、直後に、インターネットバンキングで、口座名義人が振り込んだお金を元に、第三者に所定金額以上(振込みを受ける前の口座残高以上)の支払を行ったこと(すなわち、振込金が確かに受け取られたことの証し)を確認することができる。
請求項4に記載の発明は、前記入出金管理サーバは、前記対象人の画像をATM又はインターネットバンキングから受信し、前記メール通知に前記画像を含ませるメール生成部を備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、対象人が現金とともに写った写真等を写メールのようなかたちで金融機関に設置された専用のATMブースなどから通知することができるので、対象人が口座名義人に対して気軽に連絡をとる動機付けとなり、口座名義人にとっても対象人が元気で過ごしていることを知る機会を提供することができる。
請求項5に記載の発明は、下記の通り、請求項1に記載の入出金管理サーバを、金融機関システムにおける口座名義人の入出金管理方法の発明と捉えたものであり、請求項1に記載の発明と同様な作用効果を奏する。
金融機関システムにおける入出金管理サーバによる入出金管理方法であって、口座名義人が指定した対象人の情報と、前記対象人に関連するイベントの発生日を含むイベント情報を受け付け、前記口座名義人の口座管理情報を格納した顧客契約DBに前記イベント情報を前記対象人ごとに登録するイベント登録段階と、前記口座名義人から入出金の要求を受け付けた際に、前記口座名義人に対して、前記入出金と前記登録されたイベントとを関連づけるキーワードを含むコメントを入力させ、イベント入出金管理DBに前記入出金と前記コメントを紐づけて記録するイベント入出金記録段階と、前記対象人が入出金の操作をする際に、前記イベント入出金管理DB及び前記顧客契約DBから前記対象人に関する入出金記録を抽出し、前記口座名義人によって予め設定された特定イベントが発生した際に、前記対象人に関連する出金及び/又は入金の総額を表示するイベント入出金抽出段階と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、親や祖父母が子供達に対する日々の入出金を金融機関のシステムで管理することを通して、子供達が社会人になる頃までに、お金の大切さをできるだけ早い時期に、気付かせる機会を与えることを支援する金融機関のシステムを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る金融機関システムの全体像を示す図である。 顧客契約DB19aに格納される口座管理情報100及びイベント登録テーブル110の具体例を示した図である。 イベント入出金管理DB19bに格納されるイベント入出金管理テーブル120の具体例を示した図である。 イベント入出金抽出部15が実行するイベント抽出処理のフローを示した図である。 高機能ATM30のイメージを示した図である。 ATM20又は高機能ATM30に表示されるATMメインメニューの一例を示した図である。 振り込み画面210及びコメント入力画面220の一例を示した図である。 総額表示画面の一例を示した図である。 総額表示画面の別の一例を示した図である。 親名義又は子供名義のWEB総合口座通帳の一例である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
図1は、本発明の一実施形態に係る金融機関システム(以下、「本システム」と呼ぶ)の全体像を示す図である。本システムでは、銀行などの金融機関の店舗に設置される一般的なATM20、操作者とのユーザインターフェース機能が拡張された高機能ATM30、各ATMを制御し、金融機関のホストコンピュータ(勘定系システム50)やインターネットバンキングとの連携を行なう入出金管理サーバ10、及びインターネットバンキングを司るEB(Electronic Banking)システム40が金融機関内の専用ネットワークを介して接続される。特に、本システムが提供するサービスの中核となる入出金管理サーバ10(以下、単に「サーバ10」と呼ぶことがある)については、その内部構成(機能ブロック)の詳細を示している。
サーバ10は、サーバ内の各機能部を連携させ、各機能部の制御を行う制御部11と、各機能部12〜18と、それぞれの処理に必要なデータを一時的又は永続的に格納するデータベース(DB)19a〜19bとから構成される。各機能部及びデータベースについて以下、順に説明する。
サーバ10のATM通信部12は、ATM20又は高機能ATM30上で操作者が選択した内容に応じて、ATM内で完結できる処理を除いて、必要な要求データを受信し、制御部11に受け渡し、制御部11を介して必要な応答データを取得後、該当ATMに返信する。ATM20は、振り込み、預け入れ、振り替え、通帳記入などの一般的な機能を備えたATMであるが、高機能ATM30は、通常のATMの機能に加え、ATMの操作者とのユーザインターフェースを拡張し、画像入力部31、音声入力部32、文字入力部33等を備えたATMである。また、高機能ATM30は、顧客が所持する携帯電話やスマートフォン等の顧客端末60との近距離無線通信手段からなる顧客端末通信部34を備え、顧客の携帯電話等とデータの交信を行うことができる。
勘定系システム連携部13は、金融機関の勘定系のホストコンピュータを中心とする勘定系システム50とのインターフェースを制御し、サーバ10と勘定系システム50を連携させる。勘定系システム50は、勘定系システム連携部13やEBシステム40から受信した電文を受け付ける電文受付部51と、顧客の口座情報を格納した口座情報マスタDB53を参照し、取引トランザクションごとに入出金明細を元帳データとして取引マスタDB54に格納する入出金処理部52とを備えている。
イベント登録受付部14は、本システムが提供するサービス(「イベント管理サービス」と呼ぶ)のユーザ登録を受け付け、顧客契約DB19aにその登録情報を格納する(イベント登録段階)。顧客契約DB19aには、一般的な口座管理情報の他、本システムが提供するイベント管理サービスに加入しているか否かを示すフラグがセットされる。顧客契約DB19aに格納されるデータについては図2で後述する。
イベント入出金抽出部15は、登録された対象人ごとに定義されたイベントに関連する入出金情報を格納するイベント入出金管理DB19bを参照し、口座名義人等(対象人が自己の口座を持っている場合はその対象人も含む)がATMやインターネットバンキングから行ったイベントに関連する入出金記録を抽出する(イベント入出金抽出段階)。ここで、「対象人」とは、口座名義人の子供又はその他保護責任のある養育対象者を指す。このイベント抽出処理については図4で後述する。
イベント入出金記録部16は、口座名義人等が、振り込み、預け入れ、振り替えなどの入出金を伴う操作時に、その目的やイベントに関連したコメントをATM20又は高機能ATM30等から受け付け、イベント入出金管理DB19bに記録する(イベント入出金記録段階)。この入出金操作時のコメント情報については、図3で具体的に説明する。
メール生成部17は、ATM等からの入出金操作の情報を顧客契約DB19aに登録されたメールアドレスに、メールを自動的あるいは半自動的に送信する機能を有する。入出金操作の情報には、入出金の明細の他、前述のコメント情報を含めることができる。また、コメント情報には文字だけでなく画像や音声を付加することも可能とする。
なお、サーバ10において、一般的なATMを制御する以外に本システムが提供するイベント管理サービスを実現するための機能、すなわち、イベント登録受付部14、顧客契約DB19a、イベント入出金抽出部15、イベント入出金記録部16、メール生成部17、及びイベント入出金管理DB19bを、特に、「イベント管理機能部」(図1中の点線で囲んだ部分)と呼ぶことにする。
EBシステム連携部18は、いわゆるインターネットバンキングを制御するEBシステム40とのインターフェースを備え、インターネットバンキングと本システムのサービスを連携させる役割を果たす。インターネットバンキングにおいては、ATMと同様に、現金の取り扱い以外は、振り込み、振り替えなどの機能を有するので、入出金ごとに関連するイベントやコメント情報を付加することが可能である。すなわち、上記したイベント管理機能部をEBシステム40側にも備えるか、又は、イベント管理機能部を独立したサーバ上に構築し、入出金管理サーバ10とEBシステム40それぞれから、イベント管理機能部を呼び出せるようなシステム構成をとってもよい。
上記の入出金管理サーバ10等の機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能部を更に分割したり、複数の機能部をまとめて一つの機能部として構成してもよい。各機能部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)又はハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わない。
図2は、顧客契約DB19aに格納される口座管理情報100及びイベント登録テーブル110の具体例を示した図である。ただし、イベント登録テーブル110は、イベント入出金管理DB19bに格納してもよい。
口座管理情報100は、口座名義人が金融機関内に保持する口座に対する口座情報、すなわち、銀行の支店番号、口座番号、口座科目、名義人名、連絡先等の情報に加えて、既に述べたように、イベント管理サービスに加入しているか否かの情報(フラグ)が格納されている。イベント管理サービスに加入していれば、口座名義人は、一又は複数のメールアドレスを登録することができる。また、口座名義人の口座(親口座)だけでなく、対象人の口座(子供口座)を作成している場合には、同じ口座管理情報100に、それらの口座の関係がわかるように記載しておく。
登録メールアドレスを宛先として、ATMで現金の入出金操作時に、コメント情報を自動的に又は半自動的に通知することができる。例えば、学生が、高機能ATM30を使って、親から出してもらった仕送りを現金で引き出したような場合には、メール生成部17は、設定によって、自動的に親のメールアドレスに通知するようにする。このようにすることで、親は子供が確かに仕送りを引き出したことを認識できる。また、子供が現金に触れることを促すため、高機能ATM30の画像入力手段を利用して、現金と共に子供が写った写真などを写メールとして親に送ってもらうようにしてよい。もちろん、登録メールアドレスは、インターネットバンキング上からも登録でき、インターネットバンキングからも同様のことが行える。例えば、子供が仕送りを現金でATMから引き出さずに、そのお金で直後にネットで買い物をし、インターネットバンキングで代金を振り込むような場合に、その振込みのタイミングを捉えて、すなわち、仕送り直後の所定期間内(例えば1週間以内)の第三者への所定金額以上(例えば口座残高以上)の振込みのタイミングを捉えて、コメント情報を送信を促すように振込画面を構成してもよい。仮に、仕送り金が10万円で、仕送り前の子供の口座残高が1万円未満であったとすると、仕送り直後の所定期間内の1万円以上の支払いは、仕送り金を元に行ったことが容易に判断できる。すなわち、子供が仕送り金を確かに受け取ったことが確認できる。また、このようなときにも、インターネットバンキング上から、子供の携帯電話等で撮った写真、音声等を受け付け、コメント情報に含ませてもらうようにしてもよい。このようにすることで、現金での引き出し時だけでなく、ネットでも入出金時にもお金のありがたみを感じさせる機会を提供することができる。
図2(b)で示すイベント登録テーブル110は、イベント管理サービスが「有り」の口座の場合、対象人情報111a(対象人ID、氏名、性別、生年月日等)を登録しておき、その親口座又は子供名義の口座からの入出金に対して、対象人ごとに、複数のイベント情報112a,112b・・・(イベントID、イベント名称、発生日等)を登録し、イベントに関するコメント情報を、入出金明細に付加するためのテーブルである。
ここで、登録するイベントには、子供(対象人)の幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、各種学校等の入学/入園及び卒業/卒園、成人式、就職、初給料/初ボーナス、結婚、第一子誕生、住宅購入などのシステムが予め用意した人生において多くの人が経験するイベントの他、口座名義人が任意に指定したイベントをキーワードで登録できる(例えば、○○記念日など)。各イベントには、少なくともイベントID、イベント名称と共に、イベントの発生日又は発生予定日を登録する。ただし、入学/卒業、成人式など、対象人の生年月日から自動的に求められるものはデフォルトとして予めセットされる。
また、入学と卒業など始まりと終わりがあるイベント、言い換えると、期間が存在するイベントには、関連するイベントIDが割り振られるものとする。例えば、高校入学のイベントIDが「001s」(start)とすると、高校卒業のイベントIDは「001e」(end)などとする。このように期間のあるイベントに対しては、そのイベントの期間中の入出金を個別に管理することができる。このようにすることで、例えば、高校在学中や大学在学中に支払った授業料の総額などを容易に計算することができる。また、登録されたイベントの中から、後で説明するような、「特定イベント」を口座名義人が設定することができる。特定イベントとして設定されたイベントは、イベント登録テーブル110にそのことを示すフラグがセットされる。なお、イベント登録テーブル110の内容は、口座名義人がイベント登録受付部14を介していつでも変更可能とする。
図3は、イベント入出金管理DB19bに格納されるイベント入出金管理テーブル120の具体例を示した図である。イベント入出金管理テーブル120は、イベント登録テーブル110で定義した対象人ごとに、口座名義人からの対象人に対する入出金を管理するためのテーブルである。対象人名義の口座がある場合には、その入出金内容も記録されるが、ここでは、説明を簡単にするため、口座名義人の口座からの入出金の記録からイベントに関連する取引を抽出し、このテーブルが作成される場合を示している。
既に述べたように、本システムにおいては、各入出金に対して、通常の入金先、出金先の情報とともに、イベントに関連するキーワードを含んだコメント情報を付加できる手段が提供される。キーワードとして考えられるものは、対象人の名前、愛称、通学先の名称、お金の仕様目的を表す言葉等が考えられる。イベント入出金管理テーブル120には、実際に、金融機関での入出金の他、本サービスの提供を受ける前の、過去の入出金データが通帳や家計簿などから確認できる場合は、口座名義人がその入出金データを追加できるものとする。例えば、口座名義人は、「1996年から2010年までに子供が受け取ったお年玉の総額」や「2001年−2010年の間に支払った塾の月謝の総額」等をイベント入出金管理テーブル120に追加できる。
例えば、口座名義人がATMやインターネットバンキングで子供が通う学校の授業料を振り込んだ場合、通常、通帳に印字される入出金明細には、振り込み日、振り込み人、振り込み先(学校名)、振り込み金額が記録されるのみであるが、本システムでは、この振り込み時には振り込み内容を示すためのコメント情報が追加される。ATM操作者が、振り込み画面から、振り込み先、振り込み金額と共に、例えば、「○○子 XX高校 授業料」などのキーワードを含んだコメント情報を入力することができる(ここで「○○子」は子供の名前とする)。このようなコメント情報は、音声や画像も含むこともでき、一般的な紙の通帳に印字することが困難であるので、インターネットバンキング上のWEB通帳にリンク情報で記載する。登録されたイベントには、イベントIDとともにイベント名称が定義されているので、このイベント名称に含まれるキーワードと同じ又は実質同一のキーワードを含むコメント情報から入出金に関連するイベントを特定することができる。
なお、入出金データに付加されたコメント情報は、勘定系システム50の元帳データである取引マスタDB54に格納される必要はなく、イベント入出金管理DB19bにイベントに関連する入出金の取引IDに紐づけされて別途格納される。このようにすることで、勘定系システム50の元帳データの変更なしに本システムのサービスを実現することができる。
図4は、イベント入出金抽出部15が実行するイベント抽出処理のフローを示した図である。イベント抽出処理は、本サービスに加入した口座名義人がATMやインターネットバンキングから入出金操作を行う際に、自動的に起動される。
イベント抽出処理では、まずステップS10において、口座名義人のイベント登録テーブル110が読み出される。そして、ステップS11において、イベント登録テーブル110中に対象人が登録されているか否かをチェックし、対象人が登録されていれば、入出金日が登録されたイベント発生日又は発生日予定日の所定期間内かどうかがチェックされる(ステップS12)。所定期間内であれば、ステップS13において、イベント関連処理を実行する。所定期間内かどうかをチェクするのは、入出金がイベントの日に行われるとは限らないからである。
イベント関連処理とは、イベント発生日が所定期間内に近づいているか、又は、イベント発生日は既に過ぎているがまだ所定期間内である場合に、口座名義人や対象人に、イベント発生をなんらかの形で通知する処理をいう。例えば、口座名義人に対して子供に対する毎月の仕送り日をメールで通知したり、逆に、仕送りがあったことを子供にメール通知する。メール通知を受けた子供が、高機能ATM30を使ってその仕送りを現金で引き出す際に、その場面を写メールにして送信することもできる。このようにすることで、子供が現金に触れる機会を増やすことに役立つ。
また、口座名義人が、対象人に対して、又は対象人に代わって、お金を振り込むような場合、ATMやインターネットバンキングの操作画面に、近いうちに発生するイベント又は発生したイベントを表示する。このようにすることによって、口座名義人は、振り込みに対して、コメント情報を付加する必要性をリマインドすることができる。例えば、子供の入学金を振り込む場合、イベント関連処理は、振り込み先の学校名をコメント欄に入力するように促したりする。また、コメントを付加した振り込みが完了すると、子供にそのコメントを自動的に通知するようにしてもよい。もちろん、イベントに関係ない振り込みであってもコメントを付加してもよい。
このようにして、イベント入出金抽出部15は、すべての対象人の処理が終わるまで上記のイベント関連処理を繰り返した後(ステップS14)、処理を終了する。なお、上記の説明では、イベント抽出処理は、入出金操作の際に起動されるとしたが、一定の間隔で起動されるようにしてもよい。
図5は、高機能ATM30のイメージを示した図である。高機能ATM30には、通常のATM20の機能に加えて、文字、画像、音声の入力を容易にするための機能を追加したものである。図示するように、高機能ATM30は、操作者を撮影するためのカメラ31(図1の画像入力部31に対応)、音声入力を受け付けるためのマイク32、(図1の音声入力部32に対応)、ATMのボタン操作や文字入力をするための第一のタッチパネル33(図1の文字入力部33に対応)、音声応答のためのスピーカ35、カメラ31で撮像した画像を表示するための表示画面(第二のタッチパネル36)を備えている。また、顧客の携帯電話等と無線通信を可能とする顧客端末通信部34を備えている。さらに、高機能ATM30は、入力された音声をテキストに変換する音声認識部を備えることが望ましい。
操作者(口座名義人又は対象人)は、イベントに関連する振り込みを行う際や、振込金を現金で受け取る際に、文字入力だけでなく、高機能ATM30の画像入力、音声入力機能を用いてコメント情報を入力する。また、その時、メール通知を行うこともできる。文字入力の際、タッチパネルのキー操作が苦手な高齢者等であっても音声認識により容易に入力することができる。
高機能ATM30は、専用ブース内に設置され、ある程度のプライバシーが保たれるものとする。また、その場で写真撮影もできるので、ブース内に照明37を備えていることが望ましい。入力される画像は、静止画であっても動画であってもよい。これらの画像はブース内で撮影することもできるし、予め操作者のスマートフォンや携帯電話から近距離無線通信で高機能ATM30に取り込むこともできる。携帯電話やスマートフォンを顧客端末通信部34にかざすと、指定した画像がATM内に取り込まれる。取り込んだ画像をその場でタッチパネル36から加工することもできる。また、例えば、図右下で示すように、現金とともに子供が写った写真などを入力して、写メールとして親に通知するようにしてもらえば、子供が親に対して気軽に連絡をとれる動機付けとなり、親にとっても子供が元気で過ごしていることを知れる機会を提供することができる。
高機能ATM30を使えば、画像、音声を含むコメント情報を容易に入力することができ、お金のありがたさを実感するために、現金に触れる機会を多く提供することができるが、用途はそれだけではない。例えば、目の不自由な人や手の不自由な人が利用できるATMとして役立つし、子供でも手軽に操作できるATMとして、冒頭で挙げた金銭教育にも役立てることもできる。また、発明者らが既に出願した「想い出バンク・システム」における「メッセージ入力端末」や「想い出情報登録機」としても利用できる(特開2012−84101、特開2012−84102参照)。
図6は、ATM20又は高機能ATM30に表示されるATMメインメニュー200の一例を示した図である。ATMメインメニュー200には、現金の引き出し、預け入れ、振り込み等の各種操作ボタンが並んでいるが、本システムで制御されるATMには総額表示ボタン201が用意されている。総額表示ボタン201は、口座名義人が対象人に対して送金した金額や対象人に代わって振り込んだ金額の総額を表示するためのボタンである。総額表示ボタン201は、本システムが提供するイベント管理サービスに加入した口座に対してのみ機能するので、口座名義人又は対象人がキャッシュカードをATMに挿入した時点で表示されるようにしてもよい。
対象人又は口座名義人が総額表示ボタン201を押すと、総額表示画面が表示され、この総額表示画面には、口座名義人が対象人のために費やした費用、又は、対象人が過去に受け取った金額の総額及びその内訳が表示される。対象人に対しては、総額表示ボタン201は、「特定イベント」の所定期間中にしか表示されないが、口座名義人に対しては、いつのタイミングでも総額表示ボタン201が表示されるものとする。総額表示画面の具体例については、後述の図8及び図9に示す。
ATM20又は高機能ATM30は、イベント管理サービスに加入する口座のキャッシュカードが挿入されると、入出金管理サーバ10に通知し、入出金管理サーバ10は、イベント入出金管理DB19bを読み出し、当該カードに登録された「特定イベント」が近々発生するか、又は既に発生したかを検索する。「特定イベント」とは、登録されたイベントのうち、口座名義人が、対象人が総額表示を見るタイミングとして最も好ましいと考えて設定したイベントのことである。この特定イベントには、例えば、成人式、高校又は大学卒業、就職、初給料/初ボーナスなど社会人としてのスタートとなるようなイベントを設定するのが効果的である。
特定イベントは、必ずしも一つでなくともよいが、複数の特定イベントを設定するときには、あまり時期が近いイベントはなるべく避け、1度目と2度目では総額表示画面に表示されるメッセージや内容が異なるように工夫する。ATMやインターネットバンキングの画面では、近々、特定イベントがある場合には、総額表示ボタンを点滅させたりして、対象人が総額表示を見るように促してもよいし、対象人が自分のキャッシュカードをATMに挿入し、現金を引き出した際などに、自動的に総額表示が現れるようにしてもよい。
図7は、振り込み画面210及びコメント入力画面220の一例を示した図である。操作者が前図のATMメインメニュー200から「お振り込み」を選択すると、振り込み画面210が表示される。この振り込み画面210には、振り込み先、振り込み金額を入力する欄に加えて、コメント入力ボタン211が設けられる。操作者がこのコメント入力ボタン211を押すと、コメント入力画面220が表示される。
コメント入力画面220では、この振り込みの目的や内容をキーワードで入力する。もちろん、キーワードなく文章で入力してもよいし、振り込み先に対するメッセージを加えてもよい。図の例では、子供の誕生を記念し、子供名義の口座を作成した後、誕生祝金をその子供名義の口座に振り込み、コメントとして子供の名前と誕生祝というキーワードを入力している。キーワードやメッセージの入力は、第一のタッチパネル33に表示されたキーボードから行ってもよいし、高機能ATM30の場合には、音声入力ボタン221が表示されるので、音声で入力することができる。入力された音声は、文字に変換されてコメント欄に表示されるが、音声データのままコメント情報として記録して後日再生できるようにしてもよい。
高機能ATM30の場合には、コメントに画像を追加することもできる。画像取り込みボタン222を押すと、画像入力の手段として、「ATM内蔵カメラボタン223」と「携帯から取り込みボタン224」が表示される。ATM内蔵カメラを選択すると、高機能ATM30の正面に立ち、所定のシャッターボタン等を押すことによって、操作者の写真や動画をコメント情報に自動的に付加することができる。「携帯から取り込み」を選んだ場合は、操作者の所持する携帯電話やスマートフォンを高機能ATM30の読み取り部にかざすと、写真や動画が高機能ATM30に取り込まれる。取り込まれた画像は第二のタッチパネル36に表示されるので操作者はその中から最も適切なものを選択することができる。もちろん、ATM内蔵カメラで撮影した画像を携帯電話等に転送することもできる。
図8は、総額表示画面の一例を示した図である。図6の総額表示ボタン201を操作者が押すと、あるいはATMやインターネットバンキングのイベント入出金抽出部15が特定イベントの所定期間内であることを検知すると、図のような総額表示画面230が対象人に表示される。
この例では、対象人が初給料日にATMからお金を引き出す際に、親が自分のためにいままで支出したお金の総額と、その内訳が表示されている。総額表示画面で示されるのは、出金総額に限るわけではない。図9は、総額表示画面の別の一例を示した図であり、ここでは、対象人に対して送られた入金総額を表示している。
図10は、親名義又は子供名義のWEB総合口座通帳の一例である。イベント管理サービスを登録した口座には、今まで説明したコメント情報がイベントに関連した入出金ごとに記録されるので、通帳のコメント欄に表示することができる。紙の通帳にはスペースの関係で表示するのが困難であるが、インターネットバンキング上でのWEB通帳に、図示するようにコメント内容が表示される。符号301で示すコメント欄には、子供の名前と共に入力された出金又は入金のキーワードが表示されている。
親名義の口座ではなく、子供ごとに作成している子供名義の口座に対して振り込むような場合には、符号311で示すように、子供の名前をキーワードとして入力することを省略することができる。子供名義の口座を作成しておくと、総額表示のための入出金の特定が容易になるので、本システムの利用の際には推奨される。現在、子供名義の口座を作成するのは、親と子供がそろって銀行に出向く必要があり、本人確認も厳格であり面倒であるが、子供名義の口座を幼いうちから作ることで、子供に、「お金はATMからいつでも出てきて、ネット上であちこちに動かせる」というだけではない現実の銀行体験をさせ、金銭感覚を育てることに役立つ。
上記の実施形態においては、入出金管理サーバ10内にイベント管理機能を設けた場合について主に説明したが、EBシステム40にイベント管理機能を持たせた場合、あるいは、イベント管理機能を別のサーバ上で独立させ、ATMとインターネットバンキング双方から呼び出されるようにした場合であっても得られる効果は同様である。
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10 入出金管理サーバ
11 制御部
12 ATM通信部
13 勘定系システム連携部
14 イベント登録受付部
15 イベント入出金抽出部
16 イベント入出金記録部
17 メール生成部
18 EBシステム連携部
19a 顧客契約DB
19b イベント入出金管理DB
20 ATM
30 高機能ATM
31 画像入力部(カメラ)
32 音声入力部(マイク)
33 文字入力部(第一のタッチパネル)
34 顧客端末通信部
35 スピーカ
36 表示画面(第二のタッチパネル)
37 照明
40 EBシステム
50 勘定系システム
51 電文受付部
52 入出金処理部
53 口座情報マスタDB
54 取引マスタDB
60 顧客端末
100 口座管理情報
110 イベント登録テーブル
120 イベント入出金管理テーブル
200 ATMメインメニュー
201 総額表示ボタン
210 振り込み画面
220 コメント入力画面
230、240 総額表示画面
231、241 総額内訳
300 総合口座通帳
301,311 通帳コメント欄
310 子供名義の口座通帳

Claims (5)

  1. 金融機関システムにおける入出金管理サーバであって、
    前記入出金管理サーバは、
    口座名義人が指定した対象人の情報と、前記対象人に関連するイベントの発生日を含むイベント情報を受け付け、前記口座名義人の口座管理情報を格納した顧客契約DBに前記イベント情報を前記対象人ごとに登録するイベント登録受付部と、
    前記口座名義人から入出金の要求を受け付けた際に、前記口座名義人に対して、前記入出金と前記登録されたイベントとを関連づけるキーワードを含むコメントを入力させ、イベント入出金管理DBに前記入出金と前記コメントを紐づけて記録するイベント入出金記録部と、
    前記対象人が入出金の操作をする際に、前記イベント入出金管理DB及び前記顧客契約DBから前記対象人に関する入出金記録を抽出し、前記口座名義人によって予め設定された特定イベントが発生した際に、前記対象人に関連する出金及び/又は入金の総額を表示するイベント入出金抽出部と、
    を備えることを特徴とする入出金管理サーバ。
  2. ATM又はインターネットバンキングから前記コメントを入力させる手段として、文字入力部、画像入力部、音声入力部を有し、前記イベント入出金記録部は、文字、画像、音声を含むコメント情報を記録することを特徴とする請求項1に記載の入出金管理サーバ。
  3. 前記イベント入出金抽出部は、前記対象人が前記ATMから前記口座名義人が振り込んだお金を現金で引き出した際に、又は前記対象人がインターネットバンキングから、前記口座名義人が振り込んだ直後の所定期間内に第三者に所定金額以上の振込みを行った際に、前記口座名義人に対してメール通知を送信することを特徴とする請求項2に記載の入出金管理サーバ。
  4. 前記入出金管理サーバは、前記対象人の画像を前記ATM又はインターネットバンキングから受信し、前記メール通知に前記画像を含ませるメール生成部を備えることを特徴とする請求項3に記載の入出金管理サーバ。
  5. 金融機関システムにおける入出金管理サーバによる入出金管理方法であって、
    口座名義人が指定した対象人の情報と、前記対象人に関連するイベントの発生日を含むイベント情報を受け付け、前記口座名義人の口座管理情報を格納した顧客契約DBに前記イベント情報を前記対象人ごとに登録するイベント登録段階と、
    前記口座名義人から入出金の要求を受け付けた際に、前記口座名義人に対して、前記入出金と前記登録されたイベントとを関連づけるキーワードを含むコメントを入力させ、イベント入出金管理DBに前記入出金と前記コメントを紐づけて記録するイベント入出金記録段階と、
    前記対象人が入出金の操作をする際に、前記イベント入出金管理DB及び前記顧客契約DBから前記対象人に関する入出金記録を抽出し、前記口座名義人によって予め設定された特定イベントが発生した際に、前記対象人に関連する出金及び/又は入金の総額を表示するイベント入出金抽出段階と、
    を含むことを特徴とする入出金管理方法。
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