JP6183090B2 - ヒートパイプ及びヒートパイプの製造方法 - Google Patents

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Description

本件は、ヒートパイプ及びヒートパイプの製造方法に関する。
従来、管の内部に揮発性の冷媒を封入したヒートパイプが知られている。このヒートパイプとは、冷媒の蒸発,凝縮(気液相変化)による潜熱の吸収,放出を利用して熱輸送を行う熱交換デバイスである。近年では、見かけ上の熱伝導率が金属の千倍以上に達する低損失のヒートパイプも開発されている。
ヒートパイプの内部構造をその機能で分類すると、ヒートパイプの内部には、冷媒が流通する順に、蒸発部,気相移動部,凝縮部,液相移動部の各部が設けられる。蒸発部は、外部から吸熱して液体冷媒を気化させる部位であり、気相移動部は気体冷媒を凝縮部に供給するための通路である。また、凝縮部は外部に放熱して気体冷媒を液化させる部位であり、液相移動部は液体冷媒を蒸発部に供給するための通路である。液相移動部や蒸発部には、毛細管状の流路が設けられる。これにより、冷媒が毛管作用で輸送され、ヒートパイプ内を循環する。
ところで、毛細管の表面を伝って移動する冷媒に作用する毛細管力の大きさは、冷媒と毛細管表面との接触角の余弦に比例する。そこで、ヒートパイプ内での冷媒の循環性を向上させるべく、毛細管内部の濡れ性を毛細管外部よりも高めることが提案されている。例えば、液体冷媒が通過する部位の表面に親水化処理を施し、気体冷媒が通過する部位の表面に疎水化処理を施すことが検討されている(特許文献1参照)。このような構成により毛細管内部で生じうる毛細管力が増大し、あるいは、毛細管力の低下が抑制されて、冷媒の循環性が向上する。
特表2006-526128号公報
しかしながら、従来のヒートパイプ及びその製造方法では、親水化処理及び疎水化処理を施す際の施工誤差により、親水面及び疎水面の境界を適切に設定することは困難であり、その境界が毛細管の縁端に必ずしも一致しない場合がある。特に、毛細管力を増大させるべく毛細管を微細化した場合には、親水面及び疎水面の境界と毛細管の縁端とのずれが大きくなりやすい。このような毛細管の形状と濡れ性との不一致により、毛細管における冷媒の輸送性が低下し、あるいは、冷媒の輸送性が阻害されるという課題がある。
例えば、毛細管の外部から内部に向かって疎水面がはみ出して形成された場合には、疎水面に生じる毛細管力が親水面に生じる毛細管力を弱める方向に作用する。これにより、毛細管の内部に生じうるトータルの毛細管力が減少し、冷媒の輸送性が低下する。
また、毛細管の内部から外部に向かって親水面がはみ出して形成された場合には、冷媒が毛細管の外部まで濡れ広がりやすくなり、毛細管の出口端部に液体冷媒が滞留しやすくなる。このような冷媒の滞留は、冷媒の輸送性,循環性を阻害する要因となる。
本件の目的の一つは、このような課題に鑑み創案されたもので、ヒートパイプにおける冷媒の輸送性を改善することである。
また、前記目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置付けることができる。
開示のヒートパイプは、内部を流れる冷媒の気液相変化により外部から吸熱する通路と、前記通路の下流端外縁に沿って前記通路を拡幅してなり、内面が疎水性を有する拡幅部と、前記拡幅部の一部をなし前記通路の内面と交差する面状に形成された段差面とを備える。また、親水性を有し、前記通路の内面と前記段差面との交差線よりも上流側における前記通路の内面を被覆する親水膜を備える。
開示の技術によれば、ヒートパイプにおける冷媒の輸送性を改善することができる。
実施形態に係るヒートパイプの構成を例示する図である。 図1のヒートパイプの要部を拡大して示す図である。 図1のヒートパイプにおける蒸発部の形状を例示する斜視図である。 図3の蒸発部に形成された通路における下流端の断面図である。 (a),(b)は、通路の下流端の断面図である。 図1のヒートパイプの製造手順を例示するフローチャートである。 (a)は製造過程における通路形成部材の上面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図、(d)は(a)のC−C断面図である。 (a)は製造過程における通路形成部材の上面図、(b)は(a)のD−D断面図、(c)は(a)のE−E断面図である。 通路形成部材へのプラズマ処理を説明するための図であり、(a)はイオンミリング装置の概念図、(b)は通路形成部材の上面図、(c)は(b)のF−F断面図、(d)は(b)のG−G断面図である。 通路内を流れる冷媒の状態を説明するための断面図であり、(a),(b)は従来のヒートパイプにおける状態を示し、(c),(d)は図1のヒートパイプにおける状態を示す。 (a)〜(e)は、通路の下流端形状の変形例を示す断面図である。
以下、図面を参照してヒートパイプ及びヒートパイプの製造方法に係る実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本実施形態をその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(実施形態及び各変形例を組み合わせる等)して実施することができる。
[1.ヒートパイプ]
金属管の内部に揮発性の液体冷媒を封入したヒートパイプ10を図1に例示する。このヒートパイプ10は、冷媒が流通する管状の経路が形成されたループ型ヒートパイプ(ループヒートパイプ)である。冷媒の具体例としては、水,エタノール,代替フロン等の作動流体が挙げられる。ヒートパイプ10の内部には、冷媒が流通する順に蒸発部11,気相移動部12,凝縮部13,液相移動部14が設けられる。
蒸発部11は、外部の熱源15から吸熱して液体冷媒を気化させる部位であり、気相移動部12は気体冷媒を凝縮部13に供給するための通路である。また、凝縮部13は外部に放熱して気体冷媒を液化させる部位であり、液相移動部14は液体冷媒を蒸発部11に供給するための通路である。
蒸発部11の内部には、図2に示すように、毛細管状に形成された複数の通路1(微細チャネル)が設けられる。液体冷媒は、例えば通路1の内部を通過する過程で吸熱して気化する。また、冷媒が気化した部位には液体冷媒が濡れ広がり、液相移動部14側の液体冷媒が蒸発部11の通路1内へと補充される。一方、気化冷媒は蒸発部11から気相移動部12へと移動し、凝縮部13側に供給される。これらの一連の動作により、毛管作用を利用した冷媒の循環が達成される。
以下、通路1の内部表面のことを内面1aと呼び、通路1の下流側の開口部が形成された面(気相移動部12の内面となる面)のことを端面1bと呼ぶ。
[2.通路の構造]
通路1の出口端部の構造を図3に例示する。ここでは、複数の通路1が形成された蒸発部11の内部を部分的に示す。通路1は、表面に凹溝7aが形成された二枚の通路形成部材7を貼り合わせて形成される。各々の通路形成部材7には、例えば断面形状が矩形の凹溝7aが刻設され、凹溝7aの刻設面が向かい合わせとなるように接着される。凹溝7aの溝幅は例えば0.1[mm]程度である。また、凹溝7a間のピッチ(隣接する凹溝7aとの距離)は0.1[mm]程度であり、それぞれの凹溝7aは互いに平行に配置される。
通路1の下流端の断面形状を図4に例示する。通路形成部材7は、基材2,疎水膜3,親水膜4を備える。基材2は、通路形成部材7の基になる板状部材であり、例えば合成樹脂やガラス,繊維強化プラスティック,金属等で形成される。基材2の一方の表面には、凹溝7aに対応する溝2aが形成される。溝2aの形成手法としては、例えばサンドブラストやエッチング(ドライエッチング,ウェットエッチング,光エッチング等)が適用可能であり、あるいは機械的に切削,除去してもよい。
疎水膜3(疎水層,疎水性の部位)は、疎水性物質で形成されたコーティング層であり、例えばPTFE(Poly-tetra-fluoro-ethylene)や、FEP(Fluorinated Ethylene Propylene)等のフッ素樹脂を基材2の表面に蒸着して形成される。疎水膜3は、少なくとも通路1の内面1a(溝2aの内面)に形成され、好ましくは、通路1の下流端側(出口側)の開口部が形成された端面1b(基材端面2b)にも形成される。これらのうち、疎水膜3が通路1の表面に露出している部位は、図4に示すように、通路1の内面1a以外の部位である。通路1の内面1aでは、疎水膜3が親水膜4の下層に形成される。
疎水膜3の膜厚T1は、後述する切削部6を形成するための余裕代に応じて設定される。これは、疎水膜3の膜厚T1を増大させるほど、後述する切削部6を形成するための余裕代が増大するからである。本実施形態では、疎水膜3の膜厚T1が1000[nm]程度(1[μm]程度)に設定される。なお、疎水膜3が露出する端面1bにおいて、その表面に疎水性の特性を付与することのみを考慮して、疎水膜3の膜厚T1をより薄くすることも可能である。一方、本実施形態では、切削部6の施工性等を考慮して、疎水膜3の膜厚T1をやや厚く設定している。
親水膜4(親水層)は、親水性物質で形成されたコーティング層であり、例えば二酸化ケイ素,二酸化チタン等の酸化物を疎水膜3の表面に蒸着して形成される。親水膜4は、通路1の内面1aに形成され、端面1bには形成されない。また、図4に示すように、通路1の内面1aが親水膜4の露出面となる。
親水膜4の膜厚T2は、例えば10[nm]程度である。この膜厚T2は、例えば通路1の内面1aに親水性の特性を付与するために必要十分な厚みに設定される。つまり、疎水膜3が機能上の望ましい厚みに比してやや厚めに形成されるのに対し、親水膜4は機能上の望ましい厚みに形成される。なお、親水膜4の膜厚T2を大きくするほど、後述する切削部6を形成する際の切削深さ(除去深さ)が増大する。
図4に示すように、通路1の出口が形成された端面1bには、切削部6(拡幅部)が設けられる。切削部6とは、通路1の出口側の開口部における外縁(下流端外縁)に沿って、その外縁の全周にわたって、通路1の内法寸法を拡幅(拡張,拡大,拡径)した部位である。切削部6の内面には、疎水性を有する部位が設けられる。なお、この疎水性の部位は、切削部6(拡幅部)の内面から、通路1の内面1aにおける親水膜4の下層にわたって形成される。
切削部6の形成手法としては、例えば後述するように、物理的に切削することや、化学的に分解,除去すること等が考えられる。あるいは、開口端の外縁の形状が段差形状(しゃくりのある面取り形状)となるように、疎水膜3の形状を成型してもよい。いずれにしても、通路1の出口側の端面1bにおいて、通路1を拡幅するように形成された部位が切削部6であり、切削以外の形成手法を通じて形成された部位を除外する意図はない。
本実施形態の切削部6は、段差面6a,拡張面6bを有する。段差面6aは、通路1を拡張する方向に傾斜して、通路1の内面1aと交差する面状の部位である。図4に示す例では、段差面6aが平面状であって通路1に対する傾斜角が略90°であり、通路1の内面1aに対して略垂直に交差している。段差面6aには、図5(a)に示すように、その表面に疎水膜3が露出する。また、段差面6aの表面のうち通路1の内面1a側の端部Y(立体的には端辺)が、親水膜4の端部(端辺)に一致する。つまり、疎水膜3と親水膜4との境界が、通路1の内面1aと段差面6aとの交差位置に一致する。
なお、厳密にいえば、疎水膜3と親水膜4との境界は、図5(a)中に点Xで示す位置となる。つまり、図5(a)中における疎水膜3と親水膜4との境界は、通路1の内面1aと段差面6aとの交差位置から親水膜4の膜厚T2に対応する寸法分だけ、通路1の内面1aよりも下方にずれた位置となる。一方、図5(a),(b)では、親水膜4の膜厚T2がデフォルメされ、実際の状態よりも極端に厚く表現されている。親水膜4の膜厚T2は、実際には十分に薄いため、点Xの位置は通路1の内面1aと段差面6aとの交差位置に一致するものとみなせる。
拡張面6bは、段差面6aと端面1bとを接続する面状の部位である。図4に示す例では、拡張面6bが通路1の内面1aに対して平行に配置されている。拡張面6bには、図5(a)に示すように、その表面に疎水膜3が露出する。拡張面6bの面勾配や面形状は任意に設定可能である。
ここで、切削部6の寸法に関して、段差面6aによって拡張された通路1の幅寸法〔図5(a)中の上下方向の寸法〕のことを、切削部6の高さHと呼ぶ。また、段差面6aによって拡張された部位について、流路方向の寸法〔図5(a)中の左右方向の寸法〕のことを切削部6の幅Wと呼ぶ。
本実施形態の切削部6は、高さH及び幅Wがそれぞれ、疎水膜3の膜厚T1と親水膜4の膜厚T2とを加算した値(T1+T2)よりも小さい値に設定される。高さHが膜厚の加算値(T1+T2)未満であれば、幅Wの大小に関わらず、切削部6の表面に基材2が露出することが防止される。同様に、幅Wが膜厚の加算値(T1+T2)未満であれば、高さHの大小に関わらず、切削部6の表面に基材2が露出することが防止される。したがって、これらの二重の寸法設定により、基材2の表面露出がより確実に防止される。
また、切削部6の形状は、疎水膜3の濡れ性に応じて設定される。ここで、図5(b)に示すように、疎水膜3における液体冷媒との接触角をθ[rad](0≦θ≦π)とおき、通路1の内面1aと段差面6aとのなす角をφ[rad](0≦θ≦π)とおく。切削部6の幅W及び高さHは、以下の式1の関係を満たすように設定される。このような設定により、通路1の内部を伝わる冷媒が内面1aと段差面6aとの交差位置まで達したとしても、冷媒と拡張面6bとの接触が防止される。なお、親水膜4の膜厚T2は高さHに比して十分に小さいことから、T2=0とみなしてもよい。
Figure 0006183090
[3.製造方法]
図6は、上記のヒートパイプ10に内蔵される蒸発部11の通路1を形成するための製造プロセスを例示するフローチャートである。
ステップA10(疎水膜の積層工程)では、基材2の表面に疎水膜3が形成される。疎水膜3を形成する手法としては、真空蒸着やスパッタリング,プラズマ重合等の手法を適用することが可能である。例えば、真空蒸着を用いる場合には、成膜装置の真空槽の内部に基材2を載置し、真空槽内を減圧する。また、真空槽内でフッ素樹脂を加熱して蒸発させ、基材2の表面に付着させることによって疎水膜3を成膜する。
疎水膜3は、基材2の表面全体を覆って積層形成される。ただし、切削部6を形成する上では、少なくとも通路1の出口が形成された端面1bと通路1の内面1aとの双方に疎水膜3が形成されていればよい。
ステップA20(親水膜の積層工程)では、疎水膜3が形成された基材2の表面に親水膜4が形成される。親水膜4を形成する手法も、疎水膜3の形成手法と同様に、真空蒸着やスパッタリング,プラズマ重合等の手法を適用することが可能である。親水膜4は、疎水膜3の表面全体を覆って積層形成される。親水膜4は、少なくとも通路1の内面1aにおける疎水膜3の上に形成されればよいが、基材2の表面全体に積層形成されてもよい。
図7(a)〜(d)は、ステップA20が完了した時点の通路形成部材7を例示する図である。ここでは、基材2の表面が疎水膜3によって覆われ、さらにその表面が親水膜4によって覆われている。
ステップA30(保護層の被覆工程)では、少なくとも、通路1の内面1aに相当する部位を被覆するレジストマスク5が形成される。レジストマスク5は、親水膜4を次工程のプラズマ処理から保護するための保護層として機能するものである。本実施形態では、凹溝7aの内外を問わず、通路形成部材7の上面視において端面1bからの距離が所定寸法V未満の部分を除く全ての親水膜4が、レジストマスク5で保護される。本実施形態でのマスキング範囲を、図8(a)〜(c)に例示する。これにより、後の工程で貼り合わされる二枚の通路形成部材7における接合面7bも保護される。
また、通路1の内面1aにおいてレジストマスク5が形成される範囲は、図8(c)に示すように、屈曲面1cを避けて設定される。屈曲面1cとは、通路1の内面1aと端面1bとを接続する曲面状の面であり、通路1の下流端外縁に沿って、通路1の全周を囲むように形成されている。図8(c)中に符号5aで示すレジストマスク5の先端位置は、この後の工程で形成される段差面6aと通路1の内面1aとの交差位置に一致することになる。
具体的なレジストマスク5の形成手法としては、ドライフィルムレジスト(DFR)を通路形成部材7に貼着して露光,現像する手法や、液体レジストに通路形成部材7を浸漬する手法、スピンコートする手法等が適用可能である。DFRとは、光感光性を持つレジストマスク(フォトレジスト)の一例であり、硬化させる部位を露光させるネガ型のフォトレジストや、硬化させない部位を露光させるポジ型のフォトレジスト等を含む。
ネガ型のDFRを用いる場合には、通路形成部材7の全体に対してDFRをローラーで貼り付け、マスキング範囲を紫外線等で露光させることにより、マスキング範囲のDFRを変成硬化させる。DFRの膜厚は、例えば10[μm](10000[nm])程度とされる。なお、レジストマスク5は、親水膜4をプラズマ処理から保護することを目的としたものであることから、DFRの膜厚をさらに厚く設定してもよい。また、貼着部位によって膜厚を相違させてもよく、あるいは膜厚にばらつきが生じてもよい。レジストマスク5の膜厚は、均一でなくてもよい。
マスキング範囲の位置合わせには、例えばマスクアライナーが使用される。この場合、光学顕微鏡を用いて、ガラスマスク越しに通路1の形状や端面1bの位置を確認しながら、マスキングの対象とする位置を調整することが好ましい。本実施形態では、レジストマスク5の先端位置5aから端面1bまでの距離が、疎水膜3の膜厚T1と親水膜4の膜厚T2との加算値(T1+T2)未満の値に設定される。これにより、次工程で形成される切削部6の幅Wが、加算値(T1+T2)未満となる。
その後、露光していない部分のDFRを弱アルカリ溶剤で現像処理して除去すれば、所望の位置を保護するレジストマスク5が完成する。なお、ネガ型のDFRの代わりにポジ型のDFRを用いる場合には、露光範囲を上記の場合と反転させればよい。
ステップA40(切削部の形成工程)では、レジストマスク5が施された通路形成部材7に切削部6が形成される。ここでは、例えばイオンミリング装置16を用いたプラズマ処理により、通路1の出口の縁に沿って切削部6が切削される。この工程では、図9(a)に示すように、通路形成部材7の表面に対して加速したイオンビーム8が照射される。これにより、通路形成部材7の表面がイオンによって機械研磨され、レジストマスク5で保護されていない部位の疎水膜3及び親水膜4が物理的に除去(物理エッチング)される。また、端面1bに親水膜4が形成されている場合には、これも併せて除去される。
切削部6は、図3に示すように、通路1の出口の縁に沿って開口部の全周にわたって設けられる。したがって、イオンビーム8の照射方向が一方向に固定されたイオンミリング装置16を使用する場合には、通路形成部材7をイオンビーム8の照射方向に対して傾斜させた状態で回転させることが好ましい。例えば、図9(a)に示すように、イオンビーム8の照射方向に対して通路形成部材7の板面(例えば、接合面7b)の法線Kを傾斜させ、この法線Kを中心軸として通路形成部材7の全体を回転させる。
これにより、図9(b)〜(d)に示すように、通路形成部材7の表面に対するイオンビーム8の照射方向を歳差運動のように変化させることができ、通路1の内面1aの全体を切削することが可能となる。通路形成部材7の接合面7bに対するイオンビーム8の入射角は、イオンビームの照射方向に対する法線Kの傾斜角κと通路形成部材7の回転角ψに応じて変化する。例えば傾斜角κをπ/6〜π/4[rad] 程度の範囲内に設定すれば、凹溝7aの形状や深さにもよるものの、通路形成部材7が一回転する間に概ね凹溝7aの内面全体に対してイオンビーム8を照射することができる。また、イオンビーム8は、図9(d)に示すように通路形成部材7の凹溝7aの内部だけでなく、図9(c)に示すように通路1の端面1bにも照射される。したがって、親水膜4が端面1bに形成されている場合には、この工程で除去される。
イオンミリング装置16による部材の切削方向はイオンビーム8の照射方向に依存し、部材の切削深さ(除去深さ)はイオンビーム8の照射時間に比例する。したがって、イオンビーム8の照射時間を調節することで、切削深さを制御することができる。あるいは、イオンビーム8に対する通路形成部材7の傾斜角度や回転速度に応じてイオンビーム8の照射時間を補正することで、切削深さを制御することができる。本実施形態では、切削部6の高さHが上記の加算値(T1+T2)未満となるように、イオンビーム8の照射時間が設定される。
ステップA50(保護層の除去工程)では、ステップA30で形成されたレジストマスク5が除去される。この工程では、例えば強アルカリ溶剤で通路形成部材7が洗浄され、DFRが剥離除去される。これにより、図4に示すような端部構造が通路1の出口側に形成された通路形成部材7が完成する。
その後、ステップA60(貼合工程)では、図3に示すように二枚の通路形成部材7が貼り合わされる。これにより、内壁面が親水膜4で覆われ、疎水膜3と親水膜4との境界が内面1aと段差面6aとの交差位置に一致するように形成された通路1が完成する。ここで完成した部品は、例えば図1に示すような構造のヒートパイプ10に内蔵されて、蒸発部11として機能する。
[4.作用]
従来のヒートパイプにおける冷媒の状態を図10(a),(b)に例示し、上記のヒートパイプ10における冷媒の状態を図10(c),(d)に例示する。
図10(a)は、通路1の内面1aに親水膜4が形成され、かつ、通路1の外部(端面1b側)から内部に向かって疎水膜3がはみ出して形成されたものである。図中の破線は、通路1の親水膜4に沿って液体冷媒が充填された状態の液面を示す。ここで、蒸発部11の昇温により液体冷媒が膨張し、液体冷媒の液面が実線で示す位置まで下流側へと移動したとする。このとき、液体冷媒と疎水膜3との間には、図10(a)中に黒矢印で示すように、液体冷媒を通路1の入口側へと押し戻す方向に作用する。したがって、通路1内に生じうるトータルの毛細管力が減少し、冷媒の輸送性が低下する。
図10(b)は、通路1の内面1aから親水膜4が端面1bまではみ出し、拡径方向に親水膜4が広がって形成されたものである。図中の破線は、通路1の内面1aの親水膜4に沿って液体冷媒が充填された状態の液面を示す。この場合、液体冷媒が膨張すると、液体冷媒が端面1b側の親水膜4に沿って濡れ広がり、通路1の下流端において滞留する。液体冷媒の滞留形状は、図中に実線で示すように、端面1bに裾野を広げた山形状となる。このとき、液体冷媒と端面1bの親水膜4との間に作用する毛細管力は、図10(b)中に黒矢印で示すように、端面1bに沿った方向へと作用するため、通路1の内面1aに沿った方向への毛細管力は増加しない。また、通路1の内面1aよりも端面1bの方が低温であれば、通路1の下流端に滞留した液体冷媒の気化効率が低下する。その結果、液体冷媒の輸送性,循環性が阻害される。
一方、上記のヒートパイプ10では、通路1の下流端外縁に沿って切削部6が形成されるとともに、段差面6aが通路1の内面1aと交差する面状に形成される。つまり、図10(c)に示すように、通路1の内面1aから段差面6aと交差する位置までの範囲に親水膜4が形成される。したがって、図10(a)に示すように、疎水膜3が通路1の内面1aまではみ出して形成されることがなく、冷媒の輸送性の低下が回避される。
また、図中の破線は、通路1の親水膜4に沿って液体冷媒が充填された状態の液面を示す。この場合、液体冷媒が膨張したとしても、段差面6aの表面には疎水膜3が露出しているため液体冷媒の濡れ広がりが阻止される。液体冷媒の滞留形状は、図中に実線で示すように小粒状となる。したがって、図10(b)に示す場合と比較して、滞留する液体冷媒の体積が僅かとなる。
さらに、液体冷媒が膨張した場合には、図10(d)に示すように、液体冷媒が端面1bに沿って濡れ広がる前に表面張力で通路1から離脱し、気相移動部12側へと飛散する。このとき、図中に実線で示すように、通路1の内面1aと段差面6aとの交差位置に液体冷媒の液面が形成され、通路1の親水膜4に沿って液体冷媒が充填された状態となる。これにより、冷媒の輸送性,循環性が回復する。
なお、切削部6の形状は、疎水膜3の濡れ性(接触角)に応じて設定されるため、滞留した液体冷媒と拡張面6bとの接触も阻止される。通路1から弾き出された球形の液体冷媒は、気相移動部12の内部でより小さな粒子に分割され、あるいは気化される。
[5.効果]
(1)上記のヒートパイプ10では、蒸発部11の内部に形成される通路1の下流端外縁に切削部6が形成され、通路1の内面1aと交差する面状の段差面6aが設けられる。また、通路1の内面1aと段差面6aとの交差線よりも通路1の上流側に親水膜4が形成され、切削部6の内面に疎水膜3が形成される。このような構造により、通路1の内面1aでの毛管作用を維持しつつ、出口近傍での液体冷媒の濡れ広がりを抑制することができる。つまり、液体冷媒の濡れ広がりによって生じるフロー(流動性)の低下を抑制することができる。したがって、濡れ広がりが生じうる従来のヒートパイプ10と比較して、冷媒の輸送性を改善することができる。
(2)上記のヒートパイプ10では、図4に示すように、通路1の内面1aから切削部6にかけての範囲に疎水膜3が形成され、親水膜4は通路1の内面1aにおいて疎水膜3の表面に積層して形成される。このような疎水膜3及び親水膜4の二層構造により、通路1の下流端外縁に沿って疎水膜3及び親水膜4を取り除くことで切削部6を容易に形成することができる。例えば、イオンミリング装置16を用いたプラズマ処理を施して物理的に切削するだけで、切削部6の形状を容易に形成することができる。したがって、冷媒の輸送性が改善される通路形状の加工性,施工性を向上させることができる。
(3)上記のヒートパイプ10では、通路1の幅方向(通路1の流路方向に対する垂直方向)についての段差面6aの寸法、すなわち、切削部6の高さHが疎水膜3の膜厚T1と親水膜4の膜厚T2とを加算した値(T1+T2)よりも小さい値に設定される。このような寸法設定により、切削部6の幅Wの大小に関わらず、拡張面6bの表面に基材2が露出することを防止することができる。つまり、拡張面6bの表面に疎水膜3を露出させることができ、拡張面6bへの液体冷媒の濡れ広がりを抑制することができる。
(4)上記のヒートパイプ10では、通路1の流路方向に沿った切削部6の寸法、すなわち、切削部6の幅Wが疎水膜3の膜厚T1と親水膜4の膜厚T2とを加算した値(T1+T2)よりも小さい値に設定される。このような寸法設定により、切削部6の高さHの大小に関わらず、段差面6aの表面に基材2が露出することを防止することができる。つまり、段差面6aの表面に疎水膜3を露出させることができ、段差面6aへの液体冷媒の濡れ広がりを抑制することができる。
(5)上記のヒートパイプ10では、切削部6の幅W及び高さHが上記の式1の関係を満たすように設定される。式1の左辺と右辺とが一致するとき、通路1の下流端に滞留した液体冷媒と段差面6aの疎水膜3との接触角がθであれば、その冷媒と拡張面6bとが接触する。一方、式1の関係が満たされていれば、液体冷媒と拡張面6bとが接触することはない。したがって、拡張面6bへの液体冷媒の濡れ広がりを抑制することができる。
(6)上記のヒートパイプ10では、図4に示すように、切削部6の段差面6aの断面形状が通路1の内面1aに対して垂直に形成されるとともに、拡張面6bの断面形状が通路1の内面1aに対して平行に形成される。このように、切削部6の形状設定をシンプルにすることで、切削部6の加工,形成作業を容易にすることができ、加工性,施工性を向上させることができる。
(7)上記のヒートパイプ10の製造方法では、通路1の内面1aに疎水膜3が積層され、その疎水膜3の上に親水膜4が形成される。その後、段差面6aが形成されるように、通路1の下流端外縁に沿って疎水膜3,親水膜4が切削される。これらの製造工程を通して、通路1の内面1aに形成された親水膜4をそのまま残存させつつ、通路1の下流側外縁において疎水膜3が露出した切削部6を形成することができる。これにより、通路1の下流端における液体冷媒の濡れ広がりが抑制された通路形成部材7を製造することができる。また、この通路形成部材7を用いてヒートパイプ10が製造されるため、従来のヒートパイプ10と比較して冷媒の輸送性,循環性を改善することができ、熱輸送効率を向上させることができる。
(8)上記のヒートパイプ10の製造方法では、通路1の下流端外縁を切削する前に、親水膜4の上にレジストマスク5(保護層)が形成される。これにより、切削される部位と切削されない部位との境界をレジストマスク5の端辺で設定することが可能となる。例えば、図8(b)に示すように、段差面6aと通路1の内面1aとの交差位置をレジストマスク5の先端位置5aで設定することができる。したがって、切削部6の切削精度を向上させることができる。
(9)上記のヒートパイプ10の製造方法では、通路1の端面1bからレジストマスク5の先端位置5aまでの距離が、疎水膜3の膜厚T1と親水膜4の膜厚T2との加算値(T1+T2)未満の値に設定される。これにより、切削される部位(切削部6)の幅Wを加算値(T1+T2)未満とすることができる。したがって、切削部6の高さHの大小に関わらず、段差面6aの表面に基材2が露出することを防止することができる。つまり、段差面6aの表面に疎水膜3を露出させることができ、段差面6aへの液体冷媒の濡れ広がりを抑制することができる。
(10)上記のヒートパイプ10の製造方法では、通路1の下流端外縁に沿って疎水膜3,親水膜4を切削する際の切削深さ(切削部6の高さH)が、上記の加算値(T1+T2)未満とされる。これにより、切削部6の幅Wの大小に関わらず、拡張面6bの表面に基材2が露出することを防止することができる。つまり、拡張面6bの表面に疎水膜3を露出させることができ、拡張面6bへの液体冷媒の濡れ広がりを抑制することができる。
(11)上記のヒートパイプ10の製造方法において、レジストマスク5としてDFRを使用した場合には、フォトレジストの現像処理を施すことで容易にレジストマスク5形成することができる。一方、フォトレジストの剥離処理を施すことで容易にレジストマスク5を除去することができる。
例えば、図6に示すように、切削部6の形成前にレジストマスク5を形成し、切削部6の形成後にそのレジストマスク5を除去することができる。このように保護層の形成及び除去が容易なDFRを用いることで、親水膜4を一時的に保護することができる。したがって、通路形成部材7の加工性,施工性を向上させることができ、ひいてはヒートパイプ10の生産性を向上させることができる。
[6.変形例]
開示の実施形態の一例に関わらず、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成及び各処理は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、切削部6の段差面6aが通路1の内面1aに対して垂直な平面状に形成されたものを例示したが、段差面6aの形状,面勾配,曲率等はこれに限定されない。切削部6の拡張面6bについても同様である。
例えば、図11(a)に示すように、内面1aに対する垂直断面において、段差面6aと内面1aとのなす角を鋭角に形成してもよいし、これとは反対に、鈍角に形成してもよい。また、図11(b)に示すように、拡張面6bと端面1bとのなす角を鋭角に形成してもよいし、反対に鈍角に形成してもよい。なお、上記のイオンミリング装置16を用いて切削部6を切削形成する場合には、通路形成部材7の回転軸の向きを法線Kとは異なる向きに変更することで切削方向を調節可能である。
また、上述の実施形態では、切削部6の段差面6aと拡張面6bとが略垂直に交差したものを例示したが、これらの面は明確に分離されていなくてもよい。すなわち、図11(c)に示すように、段差面6aと拡張面6bとが屈曲面で接続された形状であってもよい。また、図11(d)に示すように、拡張面6bが段差面6aと略同一平面状に形成されてもよい。つまり、拡張面6bは省略することができ、少なくとも段差面6aが拡幅部6に形成されていればよい。
また、上述の実施形態では、イオンミリング装置16を使って切削部6を形成する手法を示した。一方、これ以外の物理的な切削手法としては、単結晶ダイヤモンドやナノ多結晶ダイヤモンドで形成された切削工具によるマイクロ切削,マイクロ研削等が適用可能である。あるいは、マイクロ放電加工,マイクロレーザー加工等を適用してもよい。段差面6a,拡張面6bの面形状は、加工方法によって種々考えられるが、例えば図11(e)に示すように、曲面状や凹凸面状であってもよい。なお、前述の通り、切削部6の形成手法は切削によるものに限定されない。例えば、化学的に分解,除去する手法を適用してもよいし、疎水膜3の形状を成形することによって切削部6を形作ってもよい。
[7.付記]
以上の実施例及び変形例に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
内部を流れる冷媒の気液相変化により外部から吸熱する通路と、
前記通路の下流端外縁に沿って前記通路を拡幅してなり、疎水性を有する拡幅部と、
前記拡幅部の一部をなし前記通路の内面と交差する面状に形成された段差面と、
親水性を有し、前記通路の内面と前記段差面との交差線よりも上流側における前記通路の内面を被覆する親水膜と、
を備えたことを特徴とする、ヒートパイプ。
(付記2)
前記疎水性の部位が、前記拡幅部の内面から、前記通路の内面における前記親水膜の下層にわたって形成される
ことを特徴とする、付記1記載のヒートパイプ。
(付記3)
前記通路の幅方向についての前記段差面の寸法が、前記親水膜の厚みと前記疎水性の部位の厚みとを加算した値未満である
ことを特徴とする、付記1又は2記載のヒートパイプ。
(付記4)
前記通路の流路方向についての前記拡幅部の寸法が、前記親水膜の厚みと前記疎水性の部位の厚みとを加算した値未満である
ことを特徴とする、付記1〜3の何れか1項に記載のヒートパイプ。
(付記5)
内部を流れる冷媒の気液相変化により外部から吸熱する通路を備えたヒートパイプの製造方法において、
前記通路の内部に疎水性を持つ疎水膜を積層し、
前記通路の内部における前記疎水膜の上に親水性を持つ親水膜を積層し、
前記通路の内面と交差する面状の段差面が形成されるように、前記通路の下流端外縁に沿って前記通路を拡幅する方向に向かって前記親水膜及び前記疎水膜の一部を除去する
ことを特徴とする、ヒートパイプの製造方法。
(付記6)
前記親水膜及び前記疎水膜を除去する前に、前記親水膜を保護する保護層で前記親水膜の表面を被覆する
ことを特徴とする、付記5記載のヒートパイプの製造方法。
(付記7)
前記通路の下流端外縁から前記保護層の端辺までの距離が、前記疎水膜の厚みと前記親水膜の厚みとを加算した値未満となるように、前記保護層を被覆する
ことを特徴とする、付記6記載のヒートパイプの製造方法。
(付記8)
前記親水膜の表面からの除去深さが、前記疎水膜の厚みと前記親水膜の厚みとを加算した値未満となるように、前記親水膜及び前記疎水膜を除去する
ことを特徴とする、付記5〜7の何れか1項に記載のヒートパイプの製造方法。
(付記9)
前記保護層としてフォトレジストを使用するとともに、
前記親水膜及び前記疎水膜を除去した後に前記フォトレジストを除去する
ことを特徴とする、付記5〜8の何れか1項に記載のヒートパイプの製造方法。
1 通路
1a 内面
1b 端面
3 疎水膜
4 親水膜
5 レジストマスク(保護層)
6 切削部(拡幅部)
6a 段差面
6b 拡張面
7 通路形成部材
10 ヒートパイプ

Claims (6)

  1. 内部を流れる冷媒の気液相変化により外部から吸熱する通路と、
    前記通路の下流端外縁に沿って前記通路を拡幅してなり、内面が疎水性を有する拡幅部と、
    前記拡幅部の一部をなし前記通路の内面と交差する面状に形成された段差面と、
    親水性を有し、前記通路の内面と前記段差面との交差線よりも上流側における前記通路の内面を被覆する親水膜と
    を備えたことを特徴とする、ヒートパイプ。
  2. 前記疎水性の部位が、前記拡幅部の内面から、前記通路の内面における前記親水膜の下層にわたって形成される
    ことを特徴とする、請求項1記載のヒートパイプ。
  3. 前記通路の幅方向についての前記段差面の寸法が、前記親水膜の厚みと前記疎水性の部位の厚みとを加算した値未満である
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のヒートパイプ。
  4. 前記通路の流路方向についての前記拡幅部の寸法が、前記親水膜の厚みと前記疎水性の部位の厚みとを加算した値未満である
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のヒートパイプ。
  5. 内部を流れる冷媒の気液相変化により外部から吸熱する通路を備えたヒートパイプの製造方法において、
    前記通路の内部に疎水性を持つ疎水膜を積層し、
    前記通路の内部における前記疎水膜の上に親水性を持つ親水膜を積層し、
    前記通路の内面と交差する面状の段差面が形成されるように、前記通路の下流端外縁に沿って前記通路を拡幅する方向に向かって前記親水膜及び前記疎水膜の一部を除去する
    ことを特徴とする、ヒートパイプの製造方法。
  6. 前記親水膜及び前記疎水膜を除去する前に、前記通路の内面に相当する部位の前記親水膜を保護する保護層で前記親水膜の表面を被覆する
    ことを特徴とする、請求項5記載のヒートパイプの製造方法。
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