JP6182445B2 - 点火装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、一次コイルと二次コイルを備える点火コイルと、前記一次コイルに第1電気エネルギを印加する第1電気エネルギ印加手段を具備し、前記第1電気エネルギが前記一次コイルに与えられた状態で前記一次コイルの通電を断続することで、前記二次コイルに通常二次電流を発生させるエンジン点火装置において、このエンジン点火装置は、前記第1電気エネルギ印加手段とは別に、前記通常二次電流より多い大二次電流を前記二次コイルに発生させることが可能な第2電気エネルギ印加手段を備えることを特徴とするエンジン点火装置が開示されている。
本発明者等は、点火コイルの一次コイルに流れる電流の大きさと、点火プラグに流れる電流の大きさとは、比例する関係にあり、一次コイルに流れる電流の大きさを制御することで、点火プラグに流れる電流の大きさの制御が可能となる点に着目した。
さらに、点火コイルの一次側に流れる電流を検出する際に、一次側に印加される電圧を検出して電流換算することも考えられる。
このため、筒内気流によってアーク放電が引き延ばされることによって、二次電圧が上昇し、その影響で一次電圧が高くなった場合に、一次電流が大きいと誤判断されて補助電源からの放電を停止してしまうと、一次電圧が低下し、補助電源からの放電が必要と判断され、補助電源からの放電を再開しようとしたときには、放電経路が消滅し、放電維持が困難となるおそれがあることが判明した。
燃焼室内に流れる気流の影響により、放電アークが引き延ばされ、二次電圧(V2)が上昇し、これに比例して一次電圧(V1)も上昇することがある。
しかし、本発明では、内燃機関の燃焼条件の影響を受ける一次電圧(V1)ではなく、一次電流(I1)を検出することで、精度良く一次電流(I1)を目標範囲内に維持し、さらに、放電維持に必要な放電エネルギを過不足なく供給することができ、安定した着火を実現できる。
点火装置6は、内燃機関7の気筒毎に設けられ、図略の燃焼室内に導入された燃料と空気の混合気に火花放電を発生させて点火を行うものである。
本発明は、直流電源1と、直流電源からの通電の遮断によって一次側コイル20の電流を増減して二次側コイル21に高電圧を発生する点火コイル2と、内燃機関の運転状況に応じて発信された点火信号IGtにしたがって一次側コイル20への電流の供給と遮断を切り換える点火スイッチ4と、二次側コイル21に接続され、二次側コイル21からの高い二次電圧V2の印加により、内燃機関7の燃焼室内に火花放電を発生させる点火プラグ3と、点火プラグ3からの火花放電を開始した後に一次側コイル20の下流側に重畳的に電気エネルギを投入する補助電源5と、を具備する点火装置6に関するものである。
放電スイッチ駆動制御回路52は、点火信号IGtの立下りから所定の遅延時間τdだけ遅れて補助電源5から所定の期間だけ放電を行うための放電期間信号IGwを生成する放電期間信号生成手段521と、一次電流検出手段54によって検出した一次電流I1を閾値判定する一次電流判定手段522と、一次電流判定手段の判定結果を二値で示したフィードバック信号SFBと、放電期間信号IGtとの論理積を算出する論理積回路520とを具備する。
また、直流電源1として、バッテリ電圧をDC−DCコンバータ等によって昇圧したものを用いることもできる。
点火コイル2は、直流電源1からの通電の遮断によって一次側コイル20の電流を増減したときに二次側コイル21に高電圧を発生する。
一次側コイル20は、図略の中心コアの周囲を取り囲むように設けた一次側ボビンに、公知の絶縁被覆を施した一次巻線を所定の巻回数N1(自己インダクタンス:L1≒N1 2)だけ巻回して構成されている。
二次側コイル21は、一次側コイル20の外周を覆うように設けた図略の二次側ボビンに公知の絶縁被覆を施した二次巻線を所定の巻回数N2(自己インダクタンス:L2≒N2 2)だけ巻回して構成されている。
整流素子22は、ダイオードが用いられ、二次側コイル21に流れる電流の向きを整流する。
さらに、一次側コイル20の下流側には、補助電源5が接続されている。
点火コイル2の一次コイル20と点火スイッチ4とを接続する一次電流配線WR1には、一次電流検出手段54が設けられている。
二次側コイル21は、図略の高圧タワー等を介して、内燃機関9に設けられた点火プラグ3の中心電極に接続されている。
本発明において、点火コイル2には、プラグホール内に収容可能な、いわゆるスティック型の点火コイルと、プラグホールの上部に固定されたハウジング内に収容可能な、いわゆるプラグトップ型の点火コイルとのいずれも採用可能である。
点火プラグ3は、点火コイル2から高い二次電圧V2の印加によって、燃焼室内に火花放電を発生する。
点火スイッチ4の上流側端子(エミッタ:E)は、一次電流配線WR1を介して点火コイル2の一次側コイル20の下流側に接続されている。
点火スイッチ4の駆動端子(ゲート:G)には、内燃機関9の運転状況に応じて、エンジン制御装置(ECU)8から発信された点火信号IGtが入力されている。
点火スイッチ4は、点火信号IGtの立ち上がりに同期してONとなり、点火信号IGtの立ち下がりに同期してOFFとなる。
補助電源5は、点火コイル2の一次コイル20の下流側に接続されている。
放電スイッチ51には、n−MOSFET、FET等のパワートランジスタが用いられている。
放電スイッチ駆動制御回路52に設けられた放電期間信号生成手段521は、点火信号IGtの立ち下がりから、所定の遅延時間τdだけ遅れて、所定の放電期間だけ、放電を維持するための放電期間信号IGwを生成する。
放電期間信号IGwがオンとなっている間は、補助電源5から放電エネルギの供給が可能となる。
なお、実際の回路では、電流値の比較ではなく、電圧変換した値で閾値判定される。
AND回路520は、放電期間信号IGwと一次電流判定手段522の出力SFBとの論理積を算出し、その結果に応じてオンオフが切り換えられ、所定のゲート電圧Vgに調整した駆動パルスを放電スイッチ51のゲートGに印加する。
したがって、一次電流I1が所定の一次電流上限閾値I1Hを上回るときには、放電スイッチ51が開かれ、第2の直流電源50からの放電エネルギの投入は停止され、一次電流I1が所定の一次電流下限閾値I1Lを下回るときには、放電スイッチ51が閉じられ、第2の直流電源50からの放電エネルギの投入が開始される。
一次電流検出手段54は、少なくとも、一次電流I1の変化の伴い発生する磁束を吸収するトロイダルコア540と、トロイダルコア540に設けた間隙に配設され、磁界の変化を検出する磁気素子541と、磁気素子541の検出結果を増幅する増幅器542を含み、一次電流I1の流れる一次電流配線WR1と非接触状態で電流を検出するものである。
本実施例においては、一次電流I1の流れる一次電流配線WR1に非接触状態で配設されるドーナツ環状に形成したトロイダルコア540と、その一部を切り欠いた間隙に配設された磁気素子541と、磁気素子541の出力を増幅する増幅器542によって構成された磁気比例方式の電流センサが用いられている。
この磁界をホール素子やGMR素子等の公知の磁気素子541によって電圧変換し、これを増幅器542によって増幅し、一次電流検出電圧VI1とし、一次電流判定手段522、又は、後述する一次電流判定手段522bに出力する。
本実施形態では、一次電流I1の変化によって生じた磁界が常にゼロになるように二次巻線543にフィードバック電流を流し、フィードバック電流を電流検出抵抗544によって電圧変換して、一次電流I1に比例する一次電流検出電圧VI1を得ることができる。これを一次電流判定手段522に、又は、一次電流判定手段522b出力する。
前記実施形態における一次電流判定手段522では、閾値生成回路523で別途形成した上限閾値I1Hと下限閾値I1Lとを用いた例を示したが、本実形態においては、一次電流検出手段522bとして、ヒステリシスコンパレータを用いることで、外部からの閾値の入力を必要とせず自己完結的に閾値判定できる構成としてある。
比較器525の反転入力(−)には、一次電流検出手段54、又は、54aによって検出した一次電流I1を電圧変換した一次電流検出電圧VI1が入力されている。
比較器525の非反転入力(+)には、制御電圧+Bを所定の分圧抵抗R1Ω、R2Ωで案分した上限閾値VI1Hと、所定の下限閾値分圧抵抗526(R3Ω)を介して出力Voutを帰還させて下限閾値VI1Lとが入力されている。
一次電流検出電圧VI1が上限閾値VI1Hを上回ると、比較器525の出力はHとなり、同時に非反転入力(+)には、下限閾値VI1Lが入力される。
比較器525の出力VOUTは、プルアップ抵抗527(R4Ω)によって制御電圧+Bに引き上げられた状態で、H、Lの二値を取るフィードバック信号SFBとして、トランジスタなどの開閉素子529のベースに入力されている。
一次電流I1を閾値判定の結果は、ハイ・ローが切り替わる二値のフィードバック信号SFBとして出力され、開閉素子529が開閉駆動され、その結果、フィードバック信号SFBが反転した駆動パルスPFBを生成する。
なお、AND回路520の出力は、適宜、放電スイッチ51の開閉駆動が可能なゲート電圧に変換されて放電スイッチ51のゲートに入力される。
本図(a)に示すように、点火信号IGtが所定のタイミングでオンオフする。
すると、本図(f)に示すように点火信号IGtの立ち下がりに同期して、直流電源1から点火コイル2の一次コイル20に流れていた一次電流I1が遮断される。
すると、点火プラグ3の中心電極と接地電極と間の放電空間において絶縁破壊がおこり、火花放電を伴い、本図(h)に示すように大きな二次電流I2が流れる。
さらに、一次電流検出手段522においては、一次電流I1と上限閾値I1H、下限閾値I1Lとの閾値判定がなされ、本図(c)に示すようなフィードバック信号SFBが出力される。
その結果、二次電流I2の放電開始から、所定の遅延時間τdが経過した後、フィードバックパルスPFBにしたがって、放電スイッチ51が開閉駆動される。
本図(h)に示すように、放電開始から徐々に二次電流I2が低下すると、これに比例して、本図(f)に示すように、一次電流I1も低下する。
本図(f)に示すように、一次電流I1が上限閾値I1Hを超えると、補助電源5からの放電が停止され、一次電流I1が低下する。
これに伴い、本図(h)に示すように、二次電流I2も低下する。
これに追従して、本図(h)に示すように、二次電流I2も、一次電流I1に比例して上昇に切り替わる。
これに追従して、本図(h)に示すように、二次電流I2も、一次電流I1に比例して下降に切り替わる。
なお、補助電源5にエネルギ蓄積手段としてコンデンサを用いた場合、本図(g)に示すように、放電電圧Vdcが徐々に低下していく。
また、本図(e)に示すように二次電圧V2は、昇降を繰り返しながら時間の経過と共に徐々に上昇し、さらに、燃焼室内に流れる気流によって引き延ばされると、急激に上昇することになり、これに比例して、一次電圧V1も変化することになるが、本発明では、一次電流I1を用いて補助電源5からの放電制御を行っているので、二次電圧V2や一次電圧V1の変化に影響されることなく、放電期間内において、安定して二次電流I2を流し続けることができる。
図5に示すように、一次電流I1が上昇しているときには、一次電流検出電圧上限閾値VI1Hが閾値として選択され、一次電流検出電圧VI1が上限閾値VI1Hを上回ると、補助電源5からの放電が停止され、若干のオーバーシュートがあるものの、一次電流I1及び一次電流検出電圧VI1は、下降に転じる。
このとき、比較器525の非反転入力(+)に入力される閾値は、下限閾値VI1Lが入力される。
このように、一次電流I1は上昇と下降を繰り返しながら一定の範囲に維持されることになる。
その結果、本実施形態においても、安定した着火を実現することができる。
2 点火コイル
20 一次側コイル
21 二次側コイル
22 整流素子
3 点火プラグ
4 点火スイッチ
5 補助電源
50 直流電源(Dc−Dcコンバータ)
51 放電スイッチ
52 放電スイッチ駆動ドライバ
520 AND回路
521 放電期間信号生成手段
522 一次電流判定手段
522b 一次電流判定手段
523 閾値生成回路
53 整流素子
54 一次電流検出手段
540 トロイダルコア
541 磁気素子
542 増幅器
543 巻線
6 点火装置
7 内燃機関
8 エンジン制御装置
IGt 点火信号
IGw 放電期間信号
I1 一次電流
I1H 一次電流上限閾値
I1L 一次電流下限閾値
Ith 放電維持電流閾値(吹き消え限界閾値)
VI1 一次電流検出電圧
VI1H 一次電流検出電圧上限閾値
VI1L 一次電流検出電圧下限閾値
SFB フィードバック信号
PFB フィードバックパルス
WR1 一次電流配線
Claims (3)
- 少なくとも、直流電源(1)と、該直流電源からの通電の遮断によって一次側コイル(20)の電流を増減して二次側コイル(21)に高電圧を発生する点火コイル(2)と、内燃機関の運転状況に応じて発信された点火信号(IGt)にしたがって前記一次側コイルへの電流の供給と遮断を切り換える点火スイッチ(4)と、前記二次側コイルに接続され、前記二次側コイルからの高い二次電圧(V2)の印加により、内燃機関(7)の燃焼室内に火花放電を発生させる点火プラグ(3)と、前記点火プラグからの火花放電を開始した後に前記一次側コイルの下流側に重畳的に電気エネルギを投入する補助電源(5)と、を具備する点火装置であって、
前記補助電源(5)が、
前記点火コイルへの放電と停止とを切り換える放電スイッチ(51)と、該放電スイッチを開閉駆動する放電スイッチ駆動制御回路(52、52a、52b)と、前記補助電源から放電される電流の方向を整流する整流素子(53)と、前記点火コイルからの放電期間中に前記一次側コイルに流れる一次電流(I1)を検出する一次電流検出手段(54、54a)と、を具備し、
前記放電スイッチ駆動制御回路が、
前記点火信号の立下りから所定の遅延時間(τd)だけ遅れて前記補助電源から所定の期間だけ放電を行うための放電期間信号(IGw)を生成する放電期間信号生成手段(521)と、
前記一次電流検出手段によって検出した一次電流(I1)を閾値判定する一次電流判定手段(522、522b)と、
該一次電流判定手段の判定結果を二値で示したフィードバック信号(SFB)と、前記放電期間信号(IGt)との論理積を算出する論理積回路(520)とを具備して、
検出した一次電流(I1)の判定結果を前記放電スイッチ(51)の開閉に反映させたフィードバック制御を実行することを特徴とする点火装置(6、6a、6b) - 前記一次電流検出手段が、
少なくとも、
一次電流I1の変化の伴い発生する磁束を吸収するトロイダルコア(540)と、
該トロイダルコアに設けた間隙に配設され、磁界の変化を検出する磁気素子(541)と、
該磁気素子(541)の検出結果を増幅する増幅器(542)を含み、
一次電流I1の流れる一次電流配線(WR1)と非接触状態で電流を検出する請求項1に記載の点火装置(6、6a、6b) - 前記一次電流判定手段(522b)が、
比較器(525)を具備し、
該比較器(525)の反転入力(−)には、前記一次電流検出手段(54)によって検出した一次電流I1を電圧変換した一次電流検出電圧VI1を入力し、
制御電圧(+B)を所定の分圧抵抗(R1、R2)で案分した上限閾値(VI1H)と、所定の下限閾値分圧抵抗(R3)を介して出力(Vout)を帰還させた下限閾値(VI1L)と、を非反転入力(+)に入力してヒステリシスを形成するようにして、
前記一次電流検出電圧が上昇しているときには、前記上限閾値によって閾値判定し、
前記一次電流検出電圧が下降しているときは、前記下限閾値によって閾値判定して、
前記一次電流検出電圧が前記上限閾値を超えると判断されたときには、前記補助電源からの放電を停止し、
前記一次電流検出電圧が前記下限閾値を下回ると判断されたときには、前記補助電源からの放電を行う請求項1又は2に記載の点火装置(6b)
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