JP6178981B2 - 冷却システム - Google Patents

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本発明は、ノート型パーソナルコンピュータ等に用いられる冷却システムに関するものである。
近年ノート型パーソナルコンピュータ等の携帯機器のさらなる高性能化に伴い、機器の中での発熱量は非常に大きくなってきている。一方機器の小型化、省電力化を目的として、冷却ファンをなくしたいという要望も強くなってきている。そのため内部に熱伝導流体を封入したヒートパイプを用いて、発熱部品で発生した熱を、機器の中の低温部に逃がすことが行われている。またヒートパイプに曲げ部や分岐部を設けることにより、機器の中で効率的に熱を運ぶことも行われている。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2004−12011号公報
機器の中で効率的に配置するために、曲げ部や分岐部を設けたヒートパイプでは、その曲げ部や分岐部で熱伝導流体の流れが悪くなることにより冷却効率が悪くなったり、ヒートパイプのコストが高くなるという課題があった。
本発明はこの課題に対して設計自由度が高く、冷却効率が高いとともに、低コスト化が可能な冷却システムを提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するために、発熱部品と熱的に接続された第1のヒートパイプと、第1のヒートパイプと熱的に接続された複数個の第2のヒートパイプと、複数個の第2のヒートパイプの一部を覆い、複数個の第2のヒートパイプを相互に連結する樹脂層と、を備えたものである。
上記構成により、ヒートパイプをほぼ直線状に構成することができるため、熱伝導流体の流れを妨げることなくヒートパイプを効率的に動作させることができ、複数個の第2のヒートパイプに伝わった熱を樹脂層に拡散させることにより、さらに冷却効果を高めることができる。
本発明の一実施の形態における冷却システムを用いた電子機器の上面図 本発明の一実施の形態における冷却システムを用いた電子機器の断面図
以下、本発明の一実施の形態における冷却システムについて、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施の形態の冷却システムを用いた電子機器の上面図、図2は同断面図であって、実装基板16上に実装されたIC等の発熱部品11に第1のヒートパイプ12が熱的に接続されている。第1のヒートパイプ12は、幅約10mm、高さ約1.5mm、長さ約150mmのほぼ直方体形状であり、外側は銅で構成され、内部にはハイドロフルオロエーテル等の所定の温度で気化、凝縮するような熱伝導流体が封入されている。またこの第1のヒートパイプ12の内部は、熱伝導流体が毛細管現象により移動できるような構造となっている。発熱部品11の天面と第1のヒートパイプ12とを当接させることにより、熱的に接続されている。さらにこの熱的接続を効率的にするため、この間にシリコングリースあるいはサーマルインタフェイスマテリアル等を介して熱的接続させることがより好ましい。
さらに第1のヒートパイプ12に対して、3個の第2のヒートパイプ13が熱的に接続されている。第2のヒートパイプ13も第1のヒートパイプ12と同様の形状、構成となっており、第1のヒートパイプ12と第2のヒートパイプ13とは、ろう付けあるいはシリコングリース、サーマルインタフェイスマテリアル等により熱的に接続されている。
さらに第2のヒートパイプ13の第1のヒートパイプ12と接合された部分とは反対側の部分は、スチレンポリマーからなる樹脂層14で覆われ、お互いが連結された状態となっている。
このように構成することにより、発熱部品11で発生した熱は、第1のヒートパイプ12に伝わり、全体に拡散される。さらにそれぞれ第2のヒートパイプ13に熱的に接続された部分より、第2のヒートパイプ13に拡散される。さらに第2のヒートパイプ13に伝わった熱は、樹脂層14に拡散される。樹脂層14の一方の面は、電池等の比較的低温の他の部品17に当接されており、他の部品17の方にも熱が伝えられる。以上のようにして、発熱部品11の温度を効率的に下げることができる。
この効果をより得るためには、樹脂層14の熱伝導率を高めることが効果的である。一般的に樹脂の熱伝導率は、0.1W/m・K程度であるが、これにアルミナ等の熱伝導に優れたフィラーを混ぜることにより、熱伝導率を高めることができる。本発明の効果をより得るためには、樹脂層14の熱伝導率を1W/m・K以上にすることがより望ましい。
また、第2のヒートパイプ13の樹脂層14に覆われている部分の長さを、第2のヒートパイプ13の長さの半分以上、望ましくは2/3以上とすることにより、樹脂層14への熱の拡散をより効率的に行うことができる。
さらに、樹脂層14は第2のヒートパイプ13の上下面および側面を覆っていることが望ましく、たとえばスチレンポリマーの中の可塑剤の量を多くすることにより、圧力により塑性変形することができるシートを作ることができる。このようなシートを第2のヒートパイプ13の上下にはさんで、圧力を加えることによりシートを塑性変形させ、第2のヒートパイプ13の周囲全体を覆うようにすることができる。このように塑性変形させる場合、樹脂層14を常温で0.5MPa以下の圧力で塑性変形可能なシートとしておくことが望ましい。
また、図1のように、発熱部品11の位置で第1のヒートパイプ12と第2のヒートパイプ13とを熱的に接続することがより好ましい。このようにすることにより、発熱部品11で発生した熱をより第2のヒートパイプ13の方に伝導させることができる。
また、樹脂層14の一面に、この樹脂層14の熱伝導率よりもはるかに熱伝導率の高い高熱伝導シート15を貼りあわせることが望ましい。この高熱伝導シート15としては、面方向に大きな熱伝導性を有するグラファイトシートを用いることが望ましく、さらには熱分解グラファイトシートを用いることが好ましい。
本実施の形態では、高熱伝導シート15として厚さ約25μmの熱分解グラファイトシートを用い、両面テープを介して樹脂層14に貼りあわせしている。このシートは面方向に、約1600W/m・Kの熱伝導率を有しているために、樹脂層14に伝わった熱を速やかに全体に広げることができる。このように、高熱伝導シート15には、樹脂層14の100倍以上の熱伝導率を有するものを用いることが望ましい。
また、第2のヒートパイプ13の上下における樹脂層14の厚さを、高熱伝導シート15側で約0.2mm、実装基板16側で約0.5mmとなるようにしている。このように高熱伝導シート15側の方の樹脂層14の厚さをより薄くすることにより、より効率的に熱を拡散するとともに、放熱量を実装基板16と反対側の方をより多くすることができる。
なお、図1では発熱部品11が1個となっているが、複数個の発熱部品に第1のヒートパイプ12が熱的に接続されるようにしてもかまわない。この場合には、最も温度が高くなる発熱部品の両側に第2のヒートパイプ13を配置するようにすることが望ましい。このようにすることにより、より冷却効果を高めることができる。
以上のように構成することにより、ヒートパイプの形状を単純な形にすることができ、ヒートパイプの効率を最大限に利用することができるとともに、コスト的にも非常に有利なものとなり、さらに設計自由度も大きくすることができる。また第2のヒートパイプ13を樹脂層14により連結しているため取り扱いが容易なものとすることができる。さらにあらかじめ第1のヒートパイプ12と第2のヒートパイプ13とをろう付けしたものを用いると、ひとつの冷却ユニットとして構成できるため、機器に実装する場合に工程を簡略化することができる。
本発明に係る冷却システムは、設計自由度が高く、冷却効率が高いとともに、低コスト化が可能となり、産業上有用である。
11 発熱部品
12 第1のヒートパイプ
13 第2のヒートパイプ
14 樹脂層
15 高熱伝導シート
16 実装基板
17 他の部品

Claims (5)

  1. 発熱部品である第1の部品と熱的に接続された第1のヒートパイプと
    前記第1のヒートパイプと熱的に接続された複数個の第2のヒートパイプと
    前記複数個の第2のヒートパイプの一部を覆い、前記複数個の第2のヒートパイプを相互に連結する樹脂層と、を備え
    前記第1のヒートパイプおよび前記複数個の第2のヒートパイプは略直線状に構成された、冷却システム。
  2. 前記第1のヒートパイプに接続された放熱先は、前記複数個の第2のヒートパイプのみである、請求項1に記載の冷却システム。
  3. 前記冷却システムはさらに、
    前記樹脂層の第1の面に貼りあわせられたグラファイトシートと、
    前記樹脂層の第2の面に当接された第2の部品と、を備え、
    前記第2のヒートパイプの前記第1の面の側における前記樹脂層の厚さを、
    前記第2のヒートパイプの前記第2の面の側における前記樹脂層の厚さよりも薄くした、請求項1または請求項2に記載の冷却システム。
  4. 前記第1のヒートパイプと前記第2のヒートパイプとは、ろう付けにより接続されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷却システム。
  5. 前記樹脂層は常温で0.5MPa以下の圧力で塑性変形可能である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の冷却システム。

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