JP6177011B2 - 導電性連通多孔質の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は導電性連通多孔質フィルム製造方法に関し、特に多孔質状の樹脂のフィルムにおいて導電性を確保した導電性連通多孔質フィルム製造方法に関する。
一般的な固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)では、水素を供給する燃料極(負極/アノード)と酸素を供給する空気極(正極/カソード)の双方側にセパレータが配され、両セパレータ間に膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)が挟持される。この膜電極接合体は、プロトン導電膜の両側に触媒層、撥水層、さらにその外側にガス拡散層を重ねて構成される。ガス拡散層は、セパレータ側から触媒層側に供給されるガスを拡散して濃度を均一化する。そこで、膜電極接合体におけるガス濃度は常に一定となり、反応のむらが解消され発電効率が高まる。
このようなガス拡散層に要求される性質として、1つ目にセパレータと触媒層間の電子の輸送を妨げないこと、すなわち、導電性が高いことである。2つ目にセパレータのガス流路から触媒層への水素、酸素の供給、さらには反応生成物である水(水蒸気)の排出の便宜から、良好なガス透過性を備えることである。3つ目に各層間の不用意な接触による短絡を防止するため、表面平滑性が求められる。4つ目に電池性能を持続させて耐用年数を長くするための耐食性、電気的安定性が求められる。5つ目に性能安定化のため、極力不純物を含まないことである。
前記の各特性を備えたガス拡散層の材料として、多孔質状の金属板等も提案されているものの、耐食性に劣る。そこで、炭素繊維とバインダを抄造して無作為な網目構造を形成したシート状物が提案されている(特許文献1,2,3,4等参照)。各特許文献に開示のガス拡散層の材料は、炭素繊維を用いているため導電性、耐食性に優れ、低不純物である。また、抄造による網目構造であるため、通気性も優れる。このことから、炭素繊維を抄造したシート状物は現状の固体高分子型燃料電池に用いるガス拡散層の材料として主流である。
しかしながら、前記の各特許文献に開示の炭素繊維を抄造したシート状物は、高い導電性を維持するためにバインダの添加量を抑制している。このため、0.1mm以下に形成した場合、シート状物は剪断力への耐性に乏しい。0.3mm以上に形成した場合、シート状物は柔軟性に乏しく巻き取り等が困難である。また、0.1ないし0.3mmに形成したシート状物であっても、折り曲げた場合に割れが生じやすい。加えて、シート状物から炭素繊維が脱離しやすい。このように、既存のガス拡散層の材料である炭素繊維を抄造したシート状物は、脆弱であることから、製造時の取り扱いにおける利便性は必ずしも高くない。
そこで、高導電性、良好なガス透過性、表面平滑性、耐食性、及び不純物の少なさを満たし、しかも、折り曲げに強くハンドリング性に優れた新たな導電性の多孔質体の材料が求められていた。
国際公開番号WO 01/022509 国際公開番号WO 01/056103 特開2004−288489号公報 特開2006−143478号公報
発明者は、以前から樹脂製の連通多孔質体のさらなる利用について鋭意検討を重ねてきた。その結果、樹脂製の連通多孔質体は、例えば、固体高分子型燃料電池に用いるガス拡散層に適用可能であることを見いだした。
本発明は、上記状況に鑑み提案されたものであり、良好な導電性、良好なガス透過性、均質な膜厚さ、耐食性、及び不純物の少なさを満たし、既存の炭素繊維のシート状物では得ることのできない折り曲げに強くハンドリング性に優れた新たな導電性を備えた導電性連通多孔質フィルムの製造方法を提供する。
すなわち、請求項の発明は、基材樹脂と、デンプン粒子である被除去粒状物と、互いの形態が異なる第1炭素材料及び第2炭素材料前記第1炭素材料及び前記第2炭素材料よりも微小な微小炭素材料の3種類の炭素材料を混練して樹脂混練物を得る混練工程と、前記樹脂混練物をフィルム状樹脂成形物に成形する成形工程と、前記フィルム状樹脂成形物より前記被除去粒状物が酵素分解により除去され空洞部が形成されるとともに、前記空洞部同士の連通により生じた多孔質状連通空隙部を有する空隙体を得る除去工程を有することを特徴とする導電性連通多孔質フィルムの製造方法に係る。
請求項2の発明は、基材樹脂と、水溶性粒子である被除去粒状物と、互いの形態が異なる第1炭素材料及び第2炭素材料と前記第1炭素材料及び前記第2炭素材料よりも微小な微小炭素材料の3種類の炭素材料と、を混練して樹脂混練物を得る混練工程と、前記樹脂混練物をフィルム状樹脂成形物に成形する成形工程と、前記フィルム状樹脂成形物より前記被除去粒状物が含水により除去されて空洞部が形成されるとともに、前記空洞部同士の連通により生じた多孔質状連通空隙部を有する空隙体を得る除去工程を有することを特徴とする導電性連通多孔質フィルムの製造方法に係る。
請求項3の発明は、前記第1炭素材料が炭素繊維であり、前記第2炭素材料が球状黒鉛であり、かつ、前記微小炭素材料がカーボンナノチューブである請求項1または2に記載の導電性連通多孔質フィルムの製造方法に係る。
請求項の発明は、前記成形工程において圧延が行われる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の導電性連通多孔質フィルムの製造方法に係る。
請求項の発明は、前記基材樹脂が熱可塑性樹脂である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の導電性連通多孔質フィルムの製造方法に係る。
請求項の発明は、前記多孔質状連通空隙部の一の空洞部の大きさが10μm〜50μmである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の導電性連通多孔質フィルムに係る。
請求項の発明は、前記空洞部が大きさの異なる2種類以上の空洞部を含む請求項に記載の導電性連通多孔質フィルムの製造方法に係る。
請求項の発明は、前記導電性連通多孔質フィルムの厚さが100μm以下である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の導電性連通多孔質フィルムの製造方法に係る。
請求項の発明に係る導電性連通多孔質フィルムの製造方法によると、基材樹脂と、デンプン粒子である被除去粒状物と、互いの形態が異なる第1炭素材料及び第2炭素材料前記第1炭素材料及び前記第2炭素材料よりも微小な微小炭素材料の3種類の炭素材料を混練して樹脂混練物を得る混練工程と、前記樹脂混練物をフィルム状樹脂成形物に成形する成形工程と、前記フィルム状樹脂成形物より前記被除去粒状物が酵素分解により除去され空洞部が形成されるとともに、前記空洞部同士の連通により生じた多孔質状連通空隙部を有する空隙体を得る除去工程を有するため、容易にデンプン粒子を除去することができ、既存の炭素繊維のシート状物では得ることのできない折り曲げに強くハンドリング性に優れた新たな導電性を備えた多孔質の材料の製造方法を確立することができる。
そこで、良好な導電性、良好なガス透過性、均質な膜厚さ、耐食性、及び不純物の少なさを満たし、既存の炭素繊維のシート状物では得ることのできない折り曲げに強くハンドリング性に優れた新たな導電性を備えた多孔質の材料を得ることができる。
請求項2の発明に係る導電性連通多孔質フィルムの製造方法によると、基材樹脂と、水溶性粒子である被除去粒状物と、互いの形態が異なる第1炭素材料及び第2炭素材料と前記第1炭素材料及び前記第2炭素材料よりも微小な微小炭素材料の3種類の炭素材料と、を混練して樹脂混練物を得る混練工程と、前記樹脂混練物をフィルム状樹脂成形物に成形する成形工程と、前記フィルム状樹脂成形物より前記被除去粒状物が含水により除去されて空洞部が形成されるとともに、前記空洞部同士の連通により生じた多孔質状連通空隙部を有する空隙体を得る除去工程を有するため、除去は非常に簡単であり、既存の炭素繊維のシート状物では得ることのできない折り曲げに強くハンドリング性に優れた新たな導電性を備えた多孔質の材料の製造方法を確立することができる。
そこで、良好な導電性、良好なガス透過性、均質な膜厚さ、耐食性、及び不純物の少なさを満たし、既存の炭素繊維のシート状物では得ることのできない折り曲げに強くハンドリング性に優れた新たな導電性を備えた多孔質の材料を得ることができる。
請求項の発明に係る導電性連通多孔質フィルムの製造方法によると、請求項1または2において、前記第1炭素材料が炭素繊維であり、前記第2炭素材料が球状黒鉛であり、かつ、前記微小炭素材料がカーボンナノチューブであるため、性能の安定化が容易となり、フィルム自体の抵抗率の低下に作用する
請求項の発明に係る導電性連通多孔質フィルムの製造方法によると、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記成形工程において圧延が行われるため、成形とともに樹脂混練物を簡単に薄くすることができる。
請求項の発明に係る導電性連通多孔質フィルムの製造方法によると、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記樹脂基材部が熱可塑性樹脂であるため、耐食性と柔軟性を備え、さらに、加熱溶融により流動性を高めることができる。
請求項の発明に係る導電性連通多孔質フィルムの製造方法によると、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記多孔質状連通空隙部の一の空洞部の大きさが10μm〜50μmであるため、ガスの透過及び拡散とフィルム自体の強度を維持することができる。
請求項の発明に係る導電性連通多孔質フィルムの製造方法によると、請求項の発明において、前記空洞部が大きさの異なる2種類以上の空洞部を含むため、多孔質に起因してガス等の透過性能に加えて拡散性能も向上する。
請求項の発明に係る導電性連通多孔質フィルムの製造方法によると、請求項1ないし7のいずれかの発明において、前記導電性連通多孔質フィルムの厚さが100μm以下であるため、薄膜化の要請に対応することができる。
本発明の製造方法による導電性連通多孔質フィルムの断面模式図である。 他の導電性連通多孔質フィルムの断面模式図である。 本発明の製造方法を説明する概略工程図である。 図3の除去工程をさらに説明する模式図である。
本発明の製造方法における導電性連通多孔質フィルム1は、図1の断面模式図から把握されるように、樹脂基材部10により形成される。樹脂基材部10の内部に連通部22を有する多孔質状連通空隙部20が形成される。多孔質状連通空隙部20は導電性連通多孔質フィルム1の表面と開口している。さらに、互いの形態や形状が異なる2種類の炭素材料として、第1炭素材料31及び第2炭素材料32と、両炭素材料よりも微小な微小炭素材料35が、樹脂基材部10に混入される。このフィルム1は、スポンジ状(海綿状)に発達した樹脂基材部10を備えるとともに、第1炭素材料31、第2炭素材料32、及び微小炭素材料35を樹脂基材部10の樹脂部分に埋設した形態である。従って、導電性連通多孔質フィルムは樹脂基材部に由来する柔軟性、フィルム両表面に開口する多孔質状連通空隙部の通気性を備えており、しかも、炭素材料に起因する導電性能も併せ持つ。
導電性連通多孔質フィルム1の構造材料となる樹脂基材部10は、熱可塑性樹脂から選択される。樹脂材料は耐食性を備え、当該フィルムに柔軟性を付与する点で好例である。さらに、熱可塑性樹脂とすることにより、加熱溶融されて流動性が高まる。このことから、後出の被除去粒状物25、第1炭素材料31、第2炭素材料32、及び微小炭素材料35との均一な分散が可能となり、さらには後出の成形も容易となる。
熱可塑性樹脂として、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の1種または2種以上のα−オレフィンとのランダム共重合体、あるいは前記組成のブロック共重合体等が挙げられる。さらに前記したこれら重合体の混合物等のポリオレフィン系樹脂、石油樹脂及びテルペン樹脂等の炭化水素系樹脂である。加えて、フッ素樹脂等の耐食性に優れた樹脂も選択される。列記の各種樹脂は導電性連通多孔質フィルムの製造方法における基材樹脂である。
例えば、固体高分子型燃料電池のガス拡散層を想定した場合、前記の熱可塑性のポリオレフィン樹脂やフッ素樹脂が好ましく用いられる。ポリエステル樹脂にはエステル結合が含まれ、ポリアミド樹脂にはアミド結合が含まれるため、触媒層のスルホン基等の酸性基の影響を受けて劣化しやすいと考えられるためである。
樹脂基材部10の内部に形成される多孔質状連通空隙部20は、適宜形状の粒状の複数の空洞部21同士が互いに接触してランダムに連続化した構造である。樹脂基材部10内に存在した個々の被除去粒状物25(後出の図4参照)が事後的に除去されて、複数の空洞部21は形成される。互いに接触し合う空洞部21同士の間に樹脂基材部10の存在しない連通部22が生じ、空洞部21同士は連続して多孔質状連通空隙部20は形成される。導電性連通多孔質フィルム1の表面に近接した被除去粒状物25の周りでは、樹脂基材部10が薄い部分や存在せず被除去粒状物25が露出する部分もある。このため、当該導電性連通多孔質フィルム1の表面において、空洞部21による開口が生じる。
空洞部21同士のランダムな連通により、当該導電性連通多孔質フィルム1の一面側から他面側への良好なガス透過性が確保される。同時に、ガスが当該フィルム1の空洞部21を通過することにより、ガスの拡散性も高まる。そこで、ガスの透過及び拡散とフィルム自体の強度維持を勘案して、多孔質状連通空隙部20の一の空洞部21の大きさは10μmないし50μmの大きさに形成される。
被除去粒状物25を樹脂基材部10から容易に除去する簡便な方法として、水への溶解がある。例えば、被除去粒状物25を含む樹脂基材部10は含水される。この場合、被除去粒状物25は水溶性粒子から選択される。具体的に、糖類の結晶、つまり、グルコースの結晶、氷砂糖、角砂糖(糖の凝固物)等である。塩類の結晶の場合、塩化ナトリウムの結晶、みょうばんの結晶、硝酸カリウムの結晶等である。他に、所定の粒子径に粉砕、分級された石灰岩や炭酸カルシウム結晶も挙げることができる。そこで、水への溶解に際しては、希塩酸を用いた溶解も加えられる。
前出の水溶性粒子では取り扱い時の摩耗や形状にばらつきが生じる場合もある。つまり、多孔質状連通空隙部20を形成する個々の空洞部21の大きさや形状は、なるべく均一であるほど良い。また、個々の空洞部について丸みを帯びた形状とすることが望まれる。この要求を満たすべく、デンプン粒子が被除去粒状物25として用いられる。デンプン粒子は植物が産生する糖鎖化合物の結晶であり、デンプン粒子の形態や粒径は植物種によって粒径は約1〜100μmである。植物の種類によるものの比較的粒径は揃っており、被除去粒状物を均質化する上で好都合である。例えば、馬鈴薯デンプン等の粒子は平均粒径約20〜40μmの楕円形であり、コーンスターチ、緑豆、タピオカデンプン等は平均粒径10〜15μm程度である。
導電性連通多孔質フィルムの厚さ、混入される炭素粒子の大きさや量等を考慮して、デンプン粒子の種類、配合量は規定される。なお、デンプン粒子は1種類のみ、あるいは複数種類のデンプン粒子を混合して用いることもできる。
ただし、デンプン粒子をそのまま水や湯に浸漬したのでは完全に除去することは難しい。そこで、樹脂基材部10から容易に除去するために、水や湯に酵素が加えられ、デンプン粒子の被除去粒状物25は酵素により分解され除去される。すなわち、被除去粒状物と酵素との対応は両者間の基質特異性に依存する。そのことから、酵素にはα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、加えてプルラナーゼ等が選択される。
樹脂基材部10に混入される個々の炭素材料について詳しく述べる。第1炭素材料31は炭素繊維33(Carbon fiber)であり、その断面直径は約5ないし15μmである。繊維長は概ね50ないし200μmであり、炭素繊維は適度に裁断されて混入される。第2炭素材料32は球状黒鉛34(Spherical graphite)であり、その直径(粒径)は約10ないし30μmである。このように、第1及び第2炭素材料の形態、形状、性質は異なる。さらに、微小炭素材料35はカーボンナノチューブ36(Carbon nanotube)であり、直径10nm以上、150nm前後以下の炭素化合物である。このように、いずれの炭素材料において互いの形状、形態、性状が全く異なる。
図1の模式図のとおり、第1炭素材料31(炭素繊維33)、第2炭素材料32(球状黒鉛34)、及び微小炭素材料35(カーボンナノチューブ36)は樹脂基材部10内にランダムに存在している。敢えて種類、大きさの異なる3種類の炭素材料を用いる理由は、後記する実施例における結果に基づく。
この理由について、おおよそ次のとおり推測される。微小炭素材料35(カーボンナノチューブ36)のみを樹脂基材部10内へ混入する場合、微小炭素材料35自体の表面積は大きいため基材樹脂との混練時に粘度は上昇しやすくなる。そのため、樹脂基材部の導電性向上を目的として微小炭素材料35の配合量を増加しようとしても難しい。
第1炭素材料31(炭素繊維33)または第2炭素材料32(球状黒鉛34)の相対的に質量の大きな炭素材料のみを樹脂基材部10内へ混入する場合、微小炭素材料35よりは重量当たりの配合量を増やすことは可能である。しかしながら、第2炭素材料32(球状黒鉛34)のみの混入によると、導電性連通多孔質フィルムを薄く仕上げた場合、粒状体が空洞部の中に独立して存在していることから、樹脂部分の量にむらが生じ曲げに対して脆弱となりやすい。第1炭素材料31(炭素繊維33)のみの混入の場合、繊維状物が導電性連通多孔質フィルム内に存在するため、薄くしても曲げへの耐性は向上する。しかし、繊維同士の絡まり合いは弱いため互いの間隔が広くなり、導電性に乏しい樹脂基材部10のみの部位がフィルム表面にも現れる。このため、導電性の向上の制約となる。
第1炭素材料31(炭素繊維33)と第2炭素材料32(球状黒鉛34)のみの配合とし、微小炭素材料35(カーボンナノチューブ36)を無配合とする場合、第1炭素材料31や第2炭素材料32の配合量を多くするとしても、各材料の間に不可避的に絶縁性の樹脂基材部10が存在する。そのため、フィルム全体では導電性能は低下し抵抗率を押し上げることになる。
そこで、第1炭素材料31(炭素繊維33)、第2炭素材料32(球状黒鉛34)、及び微小炭素材料35(カーボンナノチューブ36)の3種類全てを配合することにより、上記の諸問題への対処とした。導電性連通多孔質フィルム1において、第1炭素材料31(炭素繊維33)や第2炭素材料32(球状黒鉛34)は配合量によるものの互いに近接、接触し合うことができ、樹脂基材部内の導通部位として作用し、導電性を高めることができる。さらに、樹脂基材部10内に微小炭素材料35(カーボンナノチューブ36)が存在するため、樹脂基材部の導電性低下を抑制することができる。また、厚さを薄くしたフィルムに仕上げた際の曲げへの耐性をより高めることができる。従って、互いの形状、形態、性状が異なる炭素粒子の特性を活かしながら、樹脂基材部を有するフィルムにおいて、通気性とともに導電性を得ることができ、さらに薄膜化した際の曲げ等の取り扱いやすさも良好とすることができる。
図2は他の実施形態となる導電性連通多孔質フィルム1xの断面模式図である。図示例の樹脂基材部10xの内部構造のとおり、空洞部21と、同空洞部21よりも大きさ(空洞径)の小さな小空洞部23が形成されている。空洞部21と小空洞部23は、異なる粒径の被除去粒状物に由来する。例えば、粒径の異なるデンプン粒子の使用により実現することができる。空洞部21同士、小空洞部23同士、あるいは空洞部21と小空洞部23は互いに結合して連通部22が形成される。
導電性連通多孔質フィルム1xの樹脂基材部10xにも、互いの形状、形態、性状が異なった第1炭素材料31(炭素繊維33)、第2炭素材料32(球状黒鉛34)、及び微小炭素材料35(カーボンナノチューブ36)の3種類の炭素材料が混入される。導電性連通多孔質フィルム1xの導電性作用は前述の導電性連通多孔質フィルム1(図1参照)と同様である。
異なる大きさの空洞部を形成する利点は次のとおりと考えられる。導電性連通多孔質フィルム1x(樹脂基材部10x)の一面側から他面側へガスが透過する際、空洞部の大きさのばらつきにより、ガスのフィルム内の透過は複雑化する。例えば、ガスの移動時間や移動距離等である。このため、ガスはよりフィルム内に拡散しながら透過可能になる。従って、多孔質に起因したガス透過性能に加えてガス拡散性能も併せ持つことができる。
導電性連通多孔質フィルムの主な用途は固体高分子型燃料電池に組み込むガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)である。導電性連通多孔質フィルムのガス透過性能については、素早いガス通過または緩慢なガス通過のいずれの性能も求められる。求められる性能の違いは、ガス拡散層自体の材質や性質、固体高分子型燃料電池自体の構造、反応形態、ガス供給速度や量等の様々な要因に依存する。このような場合、空洞部の大きさや形状の均質性を保ちながら、しかも、要望に合わせた柔軟なガス透過性能の調整を実現しようとすると、異なる大きさの空洞部を備えることが容易かつ簡便である。
続いて、図3の概略工程図と図4の模式図を用い、主に図1に開示の導電性連通多孔質フィルム1について、その製造方法を説明する。なお、共通の名称は前述と同一物を示す。図2の導電性連通多孔質フィルム1xの製造方法も実質的に同一である。
はじめに、樹脂基材部となる基材樹脂に、被除去粒状物と、第1炭素材料31(炭素繊維33)、第2炭素材料32(球状黒鉛34)、及び微小炭素材料35(カーボンナノチューブ36)の3種類の炭素材料がそれぞれ所定量ずつ投入される。基材樹脂は、その溶融温度まで加熱されて流動化する。そして、被除去粒状物、第1炭素材料31(炭素繊維33)、第2炭素材料32(球状黒鉛34)、及び微小炭素材料35(カーボンナノチューブ36)は、溶融状態の基材樹脂中で均一に拡散するまで十分に混練され、樹脂混練物となる(「混練工程」)。混練では、加熱溶融可能な公知のブレンダーやニーダー等が用いられる。従って、基材樹脂は、加熱溶融の容易さから熱可塑性樹脂が選択され、特には、耐食性や柔軟性の点からポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂が選択される。
次に、樹脂混練物は適宜膜厚のフィルム状に成形されてフィルム状樹脂成形物に成形される(「成形工程」)。基材樹脂に微小炭素材料が混入されるため、樹脂混練物自体の粘度が高くなりやすい。そのことから、フィルム状にする成形方法として、押出成形、プレス成形、冷間静水圧プレス(CIP)、テープキャスティング法等の適宜樹脂加工分野の公知成形手法が採用される。例えば、Tダイ法、チューブラー法、カレンダー法である。
導電性連通多孔質フィルムについては、燃料電池等の小型化への要請からこれまで以上に薄膜化が求められている。具体的には、導電性連通多孔質フィルムは100μm以下、より好ましくは30ないし50μmの厚さである。この場合、樹脂混練物をフィルム状樹脂成形物に成形するに際し、圧延が加えられる。例えば、樹脂混練物は複数のカレンダーロールの間に通され、順次圧延が繰り返されて所望の厚さのフィルム状樹脂成形物に成形される。成形工程に圧延を含めることによって、成形とともに樹脂混練物を簡単に薄くすることができる。
そして、フィルム状樹脂成形物内に埋没している被除去粒状物が除去され、内部から消失することによって多孔質状連通空隙部を有する空隙体を得ることができる(「除去工程」)。その後、空隙体の洗浄、乾燥、裁断等を経ることにより、導電性連通多孔質フィルムは完成する。
被除去粒状物が糖類や塩類の結晶である場合、フィルム状樹脂成形物は散水や浸漬により被除去粒状物は溶解されて除去される。図4の除去工程の模式図を参照しながら、被除去粒状物がデンプン粒子である場合についてさらに説明する。
図4(a)は樹脂混練物を成形して得たフィルム状樹脂成形物11である。除去工程前であるため、同図では、被除去粒状物であるデンプン粒子26(被除去粒状物25)が存在している。フィルム状樹脂成形物11は、前出のアミラーゼ等のデンプンを分解する酵素を含む水浴中に浸漬される。水浴では酵素反応に適した温度域に加温されている。このため、図4(b)のように、酵素の作用によりデンプン粒子は分解されて次第に縮小する。そして、図4(c)のとおり、基質であるデンプンは完全に分解され被除去粒状物のデンプン粒子26が消失する。この結果、当初デンプン粒子26が存在していた場所は空洞部21となる。多孔質状連通空隙部20は空洞部21同士の連通により形成され、残余の部位が空隙体15となる。その後、洗浄、乾燥、裁断等を経ることにより、導電性連通多孔質フィルムは完成する。
個々の空洞部21を互いに接触させて、最終的に多孔質状連通空隙部20を形成される必要上、例えば被除去粒状物をデンプン粒子とした場合、デンプン粒子は基材樹脂重量の約30重量%ないし60重量%を占める程度添加される。
当該導電性連通多孔質フィルムにあっては、樹脂基材部(基材樹脂)の内部に多孔質状連通空隙部、導電化のための3種類の炭素材料が存在する構造である。このため、樹脂に起因してフィルムは折り曲げ変形に対してより強くなるとともに、取り扱いの利便性、加工性も格段に向上する。また、製造方法にも開示するように、比較的均一な大きさの被除去粒状物としてデンプン粒子を採用した際にも、酵素分解を利用して温和な条件下で多孔質を形成することができる。
発明者は、下記の原料を用い後出の表1ないし5に開示の配合に基づき試作例1ないし17の導電性連通多孔質フィルムを作成した。そして、各試作例のフィルムについて、表中の表記に従い〈1〉厚さ(μm)、〈2〉空孔率(%)、〈3〉ロール付着の良否(目視)、〈4〉曲げ耐性の良否(目視)、〈5〉通気度(sec)、〈6〉抵抗率(Ω・cm)、及び〈7〉導電率(電気伝導率)(S/cm)を測定し、導電性連通多孔質フィルムとして備えるべき性能の良否についても総合評価を付した。
[使用原料]
基材樹脂として下記原料を使用した。
ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製,FW4B(融点138℃)(以下、「PP」と略記する。)
直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社製,ユメリット 631J(融点121℃))(以下、「LLDPE」と略記する。)
各基材樹脂とも、樹脂のペレットを凍結粉砕して粉末にして用いた。
第1炭素材料として下記の炭素繊維を使用した。
三菱樹脂株式会社製,ダイアリードK223SE(繊維径:11μm,真密度:2.0g/cm3)(以下、「炭素繊維」と略記する。)
第2炭素材料として下記の2種類の球状黒鉛を使用した。
日本カーボン株式会社製,ニカビーズP25B−ZG(平均粒子径:25μm,真密度:2.17g/cm3)(以下、「球状黒鉛(1)」と略記する。)
同社製,ニカビーズP15B−ZG(平均粒子径:15μm,真密度:2.17g/cm3)(以下、「球状黒鉛(2)」と略記する。)
微小炭素材料として下記のカーボンナノチューブを使用した。
昭和電工株式会社製,VGCF−X(繊維径:10〜15nm)(以下、「カーボンナノチューブ」と略記する。)
その他の原料
被除去粒子として、松谷化学株式会社製,馬鈴薯デンプン(粒径約20〜40μm)(商品名:スタビローズ)と、東海澱粉株式会社製,タピオカデンプン(粒径約10〜15μm)(商品名:タピオカV)を用いた。
上記デンプン粒子を除去する酵素として、α−アミラーゼ(天野エンザイム株式会社製,クライスターゼT5)を用いた。
表中の配合割合(wt%)の表記は、「基材樹脂/第1炭素材料/第2炭素材料/微小炭素材料/被除去粒子」の順でそれぞれの重量%(合計100wt%)を示す。「0」の表記は無配合である。被除去粒子の表記に際し、例えば、試作例8の「39(=8+31)」は、語順に従い馬鈴薯デンプン8重量%(前者)とタピオカデンプン31重量%(後者)の混合であり、デンプンの合計として39重量%を意味する。なお、各試作例の調製においては、説明の便宜上、原料量の計量、配合に「重量部」とした。
[試作例1]
基材樹脂としてPPを凍結粉砕した粉末を用いた。Tダイを装備した二軸混練押出機に、PP21重量部、炭素繊維21重量部(第1炭素材料)、球状黒鉛は無配合(第2炭素材料)、カーボンナノチューブ12重量部(微小炭素材料)、及び馬鈴薯デンプン39重量部(被除去粒子)を投入し、170℃に加熱して基材樹脂を溶融し、各成分が均一に分散するまで混練し樹脂混練物とした。樹脂混練物を、線圧2.5t/cmに設定し130℃に加熱したカレンダーロール機に通して圧延して成形することにより、フィルム状樹脂成形物を得た。
α−アミラーゼを1重量%含みpH6.0に調整した90℃の熱水浴中に、フィルム状樹脂成形物を1時間浸漬した後、40℃の超音波浴中に5分間浸漬し、さらに1分間流水で洗浄した。水洗を終えた後、80℃の乾燥機内で24時間乾燥した。こうして、試作例1の導電性連通多孔質フィルム(厚さ40μm)を作成した。
[試作例2]
試作例2では、PP21重量部、炭素繊維20重量部、球状黒鉛(1)8重量部、カーボンナノチューブ12重量部、及び馬鈴薯デンプン39重量部の配合とした。試作例1と同様の条件下で混練し、試作例1と同様の条件によりカレンダーロール機に通して圧延しフィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例2の導電性連通多孔質フィルム(厚さ40μm)を作成した。
[試作例3]
試作例3では、PP21重量部、炭素繊維9重量部、球状黒鉛(1)19重量部、カーボンナノチューブ12重量部、及び馬鈴薯デンプン39重量部の配合とした。試作例1と同様の条件下で混練し、試作例1と同様の条件によりカレンダーロール機に通して圧延しフィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例3の導電性連通多孔質フィルム(厚さ40μm)を作成した。
[試作例4]
試作例4では、PP21重量部、炭素繊維3重量部、球状黒鉛(1)25重量部、カーボンナノチューブ12重量部、及び馬鈴薯デンプン39重量部の配合とした。試作例1と同様の条件下で混練し、試作例1と同様の条件によりカレンダーロール機に通して圧延しフィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例4の導電性連通多孔質フィルム(厚さ40μm)を作成した。
[試作例5]
試作例5では、PP21重量部、炭素繊維は無配合、球状黒鉛(1)28重量部、カーボンナノチューブ12重量部、及び馬鈴薯デンプン39重量部の配合とした。試作例1と同様の条件下で混練し、試作例1と同様の条件によりカレンダーロール機に通して圧延しフィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例5の導電性連通多孔質フィルム(厚さ40μm)を作成した。
[試作例6]
試作例6では、PP21重量部、炭素繊維9重量部、球状黒鉛(1)19重量部、カーボンナノチューブ12重量部、及び馬鈴薯デンプン39重量部の配合とした。樹脂混練物を、線圧2.5t/cmに設定し130℃に加熱したカレンダーロール機に通して圧延して成形することにより、フィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例6の導電性連通多孔質フィルム(厚さ30μm)を作成した。
[試作例7]
試作例7では、PP21重量部、炭素繊維9重量部、球状黒鉛(1)19重量部、カーボンナノチューブ12重量部、及び馬鈴薯デンプン39重量部の配合とした。樹脂混練物を、線圧2.5t/cmに設定し130℃に加熱したカレンダーロール機に通して圧延して成形することにより、フィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例7の導電性連通多孔質フィルム(厚さ50μm)を作成した。
[試作例8]
試作例8では、PP21重量部、炭素繊維9重量部、球状黒鉛(1)19重量部、カーボンナノチューブ12重量部、及び被除去粒子を馬鈴薯デンプン8重量部とタピオカデンプン31重量部の計39重量部の配合とした。試作例1と同様の条件下で混練し、試作例1と同様の条件によりカレンダーロール機に通して圧延しフィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例8の導電性連通多孔質フィルム(厚さ40μm)を作成した。
[試作例9]
試作例9では、PP21重量部、炭素繊維9重量部、球状黒鉛(2)25重量部、カーボンナノチューブ12重量部、及び馬鈴薯デンプン39重量部の配合とした。試作例1と同様の条件下で混練し、試作例1と同様の条件によりカレンダーロール機に通して圧延しフィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例9の導電性連通多孔質フィルム(厚さ40μm)を作成した。
[試作例10]
試作例10では、PP25重量部、炭素繊維10重量部、球状黒鉛(1)22重量部、カーボンナノチューブ14重量部、及び馬鈴薯デンプン29重量部の配合とした。試作例1と同様の条件下で混練し、試作例1と同様の条件によりカレンダーロール機に通して圧延しフィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例10の導電性連通多孔質フィルム(厚さ40μm)を作成した。
[試作例11]
試作例10では、PP25重量部、炭素繊維は無配合、球状黒鉛(1)32重量部、カーボンナノチューブ14重量部、及び馬鈴薯デンプン29重量部の配合とした。試作例1と同様の条件下で混練し、試作例1と同様の条件によりカレンダーロール機に通して圧延しフィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例11の導電性連通多孔質フィルム(厚さ40μm)を作成した。
[試作例12]
試作例12では、PP25重量部、炭素繊維10重量部、球状黒鉛(1)22重量部、カーボンナノチューブ14重量部、及び被除去粒子を馬鈴薯デンプン15重量部とタピオカデンプン14重量部の計29重量部の配合とした。線圧2.5t/cmに設定し130℃に加熱したカレンダーロール機に通して圧延して成形することにより、フィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例12の導電性連通多孔質フィルム(厚さ30μm)を作成した。
[試作例13]
試作例13では、PP18重量部、炭素繊維23重量部、球状黒鉛は無配合、カーボンナノチューブ10重量部、及び馬鈴薯デンプン49重量部の配合とした。試作例1と同様の条件下で混練し、試作例1と同様の条件によりカレンダーロール機に通して圧延しフィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例13の導電性連通多孔質フィルム(厚さ40μm)を作成した。
[試作例14]
試作例14では、PP18重量部、炭素繊維7重量部、球状黒鉛(1)16重量部、カーボンナノチューブ10重量部、及び馬鈴薯デンプン49重量部の配合とした。試作例1と同様の条件下で混練し、試作例1と同様の条件によりカレンダーロール機に通して圧延しフィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例14の導電性連通多孔質フィルム(厚さ40μm)を作成した。
[試作例15]
試作例15では、PP18重量部、炭素繊維は無配合、球状黒鉛(1)23重量部、カーボンナノチューブ10重量部、及び馬鈴薯デンプン49重量部の配合とした。試作例1と同様の条件下で混練し、試作例1と同様の条件によりカレンダーロール機に通して圧延しフィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例15の導電性連通多孔質フィルム(厚さ40μm)を作成した。
[試作例16]
試作例16では、基材樹脂としてLLDPEを凍結粉砕した粉末を用いた。Tダイを装備した二軸混練押出機に、LLDPE31重量部、炭素繊維5重量部、球状黒鉛11重量部、カーボンナノチューブ12重量部、及び馬鈴薯デンプン51重量部を投入し、140℃に加熱して基材樹脂を溶融し、各成分が均一に分散するまで混練し樹脂混練物とした。樹脂混練物を、線圧2.5t/cmに設定し100℃に加熱したカレンダーロール機に通して圧延して成形することにより、フィルム状樹脂成形物を得た。フィルム状樹脂成形物からの被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例16の導電性連通多孔質フィルム(厚さ80μm)を作成した。
[試作例17]
試作例17では、PP21重量部、炭素繊維12重量部、球状黒鉛(2)28重量部、カーボンナノチューブは無配合、及び馬鈴薯デンプン39重量部の配合とした。試作例1と同様の条件下で混練し、試作例1と同様の条件によりカレンダーロール機に通して圧延しフィルム状樹脂成形物を得た。被除去粒子の除去は試作例1と同様とした。こうして、試作例17の導電性連通多孔質フィルム(厚さ40μm)を作成した。
[〈1〉厚さ]
シチズン時計株式会社製:MEI−10 JIS式紙厚測定機により、各試作例のフィルムを10枚重ねて厚さを測定し、1枚当たりの厚さ(μm)を算出した。各フィルムの厚さは成形時の圧延において、カレンダーロールの線圧、距離等を制御して概ね表記のフィルムの厚さに設定した。
[〈2〉空孔率]
空孔率は、被除去粒子(デンプン)の添加重量を増減することにより、その重量から導電性連通多孔質フィルムの全体積に占める空洞部の体積を推定した。試作例1ないし9、及び17は約40%、試作例10ないし12は約30%、試作例13ないし16は約50%であった。
[〈3〉ロール付着の良否]
ロール付着の良否は、樹脂混練物をカレンダーロールへ供給した際、樹脂混練物がカレンダーロールに付着することなく安定してフィルム状物に加工できた例を「A」と評価した。樹脂混練物が圧延時にカレンダーロールに付着する等途中で破れてしまう等のフィルム状物への加工に障害が生じた例を「B」と評価した。
[〈4〉曲げ良否]
各試作例のフィルムを3cm×3cmに裁断し、当初の平板状から直角状になるまで折り曲げた。折り曲げて何も変化が生じない試作例を「A」と評価した。折り曲げた際にいくらか亀裂が生じた試作例を「B」と評価した。折り曲げ不可、もしくは破断が生じた試作例を「C」と評価した。
[〈5〉通気度]
JIS P 8117(2009){紙及び板紙−通気度及び通気抵抗度試験方法(中間領域)−ガーレー法}に準拠し、株式会社東洋精機製,ガーレー式デンソメーターG−B2C型を用いて測定した。そして、空気の透過に要した時間(秒)を計測した。数値が少ないほど通気度は高い。
[〈6〉抵抗率及び〈7〉導電率(電気伝導率)]
JIS K 7194(1994){導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法}に準拠し、株式会社三菱化学アナリテック製,低抵抗率計 ロレスタGP MCP−T610型,PSPプローブを使用した。当該測定器により抵抗率(Ω・cm)及び導電率(電気伝導率)(S/cm)を測定した。
[総合評価]
各測定項目と評価について総合的に考慮し、導電性連通多孔質フィルムとして適切な性能を有しているか否かを評価した。良好と認められる性能の試作例を「A」と評価し、普通と認められる試作例を「B」とし、不可の試作例を「C」と評価した。各試作例の原料、配合、物性、評価は次の表1ないし5となった。
Figure 0006177011
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[結果と考察]
一連の試作結果より、導電性連通多孔質フィルムの厚さは100μm以下、特には30ないし50μmにまで薄くすることができた。このことから薄膜化への要望に応えることができ、容積低減に大きく貢献できる。また、一般的な樹脂フィルムの製膜、成形方法を転用することができるため、容易にフィルムの厚さを一定にしながら薄膜化可能である。
試作例1ないし5は、第1炭素材料である炭素繊維と第2炭素材料である球状黒鉛の量を相互に増減した例である。第2炭素材料(球状黒鉛)の増加に伴い、導電率は上昇するためフィルムの導電化のためには必要といえる。第1炭素材料(炭素繊維)の配合量減少に伴いフィルムの通気度の向上に寄与する。しかしながら、ロールへの付着が目立つ等の成形上の不具合が生じる。
試作例10と11、試作例13,14,15の比較からも同様の傾向が成立する。このため、双方の利点を活かすことから、第1炭素材料である炭素繊維及び第2炭素材料である球状黒鉛のいずれもが必要である。次に、試作例17の微小炭素材料であるカーボンナノチューブを欠く場合、第1炭素材料及び第2炭素材料を含有したとしても抵抗率が上昇するため発明の目的を達し得ない。従って、3種類の異なる形態の炭素材料の配合は必須である。また、被除去粒子の配合は多孔質化のために必須である。
樹脂の種類を変更してもフィルムの作成は可能である。そのため、溶融に伴う混合、混練に簡便な樹脂である限り、広汎な種類の使用が可能である。圧延等の加工を勘案すると、熱可塑性樹脂が好ましいと考える。
試作例7と8、もしくは試作例10と12の比較によると、タピオカデンプンを含む例では通気度の数値は上昇した。すなわち、基材樹脂に混入する被除去粒子に着目すると、タピオカデンプンは馬鈴薯デンプンと比較して粒径が小さい。そのため、タピオカデンプンに由来する空洞部の内径、内容積は馬鈴薯デンプンから生じる空洞部と比較して小さくなる。つまり、通気の際の空気の流路は細かく複雑になる。その分、通気性は低下した。ただし、フィルム内におけるガス等の拡散性は向上する。そこで、どのような空洞部を形成するのかについて、適用場所や条件等により適切に選択することができる。
総合評価から判断すると、「A」評価の試作例の導電性連通多孔質フィルムは各指標について安定して優れており、これに「B」評価の試作例の導電性連通多孔質フィルムが続く。現実的な使用可能性から、「C」評価は不適となり、「A」及び「B」の評価から採用することができる。また、導電性連通多孔質フィルムについて、空孔率毎に各指標の均衡を判断した場合、空孔率40%では試作例3、4のフィルムの均衡が良い。空孔率30%では試作例10のフィルムの均衡が良く、空孔率50%では試作例14のフィルムの均衡が良い。むろん、需要者側の要望に応じた作り分けも可能であるため、良否は必ずしも一律ではなく、あくまでも目安として考えるべきである。
本発明の製造方法による導電性連通多孔質フィルムは、良好な導電性、良好なガス透過性、一定の膜厚、耐食性、及び不純物の少なさを満たし、しかも膜厚さを薄くしながらも折り曲げに強くハンドリング性に優れた新たな特性を備える。そこで、例えば、固体高分子型燃料電池に用いるガス拡散層を構成する材料として有望である。むろん、これ以外にも、本発明の特性を必要とする種々の用途にも当然使用することができる。
1,1x 導電性連通多孔質フィルム
10,10x 樹脂基材部
15 空隙体
20 多孔質状連通空隙部
21 空洞部
22 連通部
23 小空洞部
25 被除去粒状物
26 デンプン粒子
31 第1炭素材料
32 第2炭素材料
33 炭素繊維
34 球状黒鉛
35 微小炭素材料
36 カーボンナノチューブ

Claims (8)

  1. 基材樹脂と、デンプン粒子である被除去粒状物と、互いの形態が異なる第1炭素材料及び第2炭素材料前記第1炭素材料及び前記第2炭素材料よりも微小な微小炭素材料の3種類の炭素材料を混練して樹脂混練物を得る混練工程と、
    前記樹脂混練物をフィルム状樹脂成形物に成形する成形工程と、
    前記フィルム状樹脂成形物より前記被除去粒状物が酵素分解により除去され空洞部が形成されるとともに、前記空洞部同士の連通により生じた多孔質状連通空隙部を有する空隙体を得る除去工程を有する
    ことを特徴とする導電性連通多孔質フィルムの製造方法。
  2. 基材樹脂と、水溶性粒子である被除去粒状物と、互いの形態が異なる第1炭素材料及び第2炭素材料と前記第1炭素材料及び前記第2炭素材料よりも微小な微小炭素材料の3種類の炭素材料と、を混練して樹脂混練物を得る混練工程と、
    前記樹脂混練物をフィルム状樹脂成形物に成形する成形工程と、
    前記フィルム状樹脂成形物より前記被除去粒状物が含水により除去されて空洞部が形成されるとともに、前記空洞部同士の連通により生じた多孔質状連通空隙部を有する空隙体を得る除去工程を有する
    ことを特徴とする導電性連通多孔質フィルムの製造方法。
  3. 前記第1炭素材料が炭素繊維であり、前記第2炭素材料が球状黒鉛であり、かつ、前記微小炭素材料がカーボンナノチューブである請求項1または2に記載の導電性連通多孔質フィルムの製造方法。
  4. 前記成形工程において圧延が行われる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の導電性連通多孔質フィルムの製造方法。
  5. 前記基材樹脂が熱可塑性樹脂である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の導電性連通多孔質フィルムの製造方法
  6. 前記多孔質状連通空隙部の一の空洞部の大きさが10μm〜50μmである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の導電性連通多孔質フィルムの製造方法
  7. 前記空洞部が大きさの異なる2種類以上の空洞部を含む請求項に記載の導電性連通多孔質フィルムの製造方法
  8. 前記導電性連通多孔質フィルムの厚さが100μm以下である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の導電性連通多孔質フィルムの製造方法
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