以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<電気化学キャパシタ用電極>
本発明の一実施形態は、ミクロポーラス炭素材料を含み、前記ミクロポーラス炭素材料のエッジ部分に官能基としてキノンまたは酸無水物を有する、電気化学キャパシタ用電極である。
本実施形態の電極で用いられるミクロポーラス炭素材料は、ナノサイズのミクロ孔(ミクロ空孔)を有している多孔性炭素である。なお、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry:国際純正及び応用化学連合)では直径2nm以下の細孔をミクロ孔(micropore)と呼んでいる。直径2nm〜50nmの細孔をメソ孔(mesopore)、そして50nm以上のものをマクロ孔(macropore)と定義し、ミクロ孔を持つ物質を総称して「ミクロポーラスマテリアル」(microporous materials)と呼んでいる。
ミクロポーラス炭素材料としては、ミクロ孔を有するものであれば特に制限はなく、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子、高活性炭素繊維などが用いられうる。
しかしながら、電気化学キャパシタの電極材料としては、電気二重層容量の向上のために比表面積が大きいことが好ましく、また、内部抵抗低減のために電解質イオンの移動抵抗の小さい、均一な細孔構造であることが好ましい。このような炭素材料として、近年、ゼオライト鋳型炭素(ZTC)などの、鋳型材を用いて合成されたミクロポーラス炭素材料が開発されている。
ゼオライト鋳型炭素は、積層の無い湾曲したグラフェンシートにより構成される。また、均一サイズの細孔(1.2nm)が三次元的に規則配列し、相互に連結しており、極めて高い表面積と細孔容積を有する(最大で表面積が4000m2/g、細孔容積が1.8cc/g)ことが知られている。
このようなゼオライト鋳型炭素は、活性炭などの他の多孔質炭素材料と比較して、重量および体積当たりの表面積が大きい。そのため、電気二重層キャパシタ用電極に適用した場合、高いエネルギー密度の電極が得られうる。
一般に、細孔径が小さい炭素材料であれば、重量あたり、または体積当たりの比表面積が大きくなり、電気二重層キャパシタ用電極のエネルギー密度が高くなる傾向にある。しかしながら、非水系電解液を用いた電気二重層キャパシタの場合、細孔径が約2nmよりも小さくなるとレート特性が低下してしまう。例えば活性炭などの炭素材料を用いた電極では、充放電速度を上げるにつれて容量が低下する傾向にある。特に細孔径が2nm以下のミクロ孔の割合が多い炭素材料は、メソ孔の割合が多い炭素材料と比較して、充放電速度(電流密度)の増加に伴う容量の低下が大きくなってしまう。これは、ミクロ孔のような小さい細孔では、電解質の陽イオンの移動抵抗が大きくなるためであると考えられている。
ゼオライト鋳型炭素は、細孔の大部分が約1.2nmのミクロ孔であるにもかかわらず、ゼオライト鋳型炭素を用いた電極では、充放電速度を高くしても容量の低下が起こりにくい。ゼオライト鋳型炭素のミクロ孔は三次元に規則的に配列しているため、同程度の細孔径であっても、不規則な細孔構造を有する炭素材料と比較して電解質の陽イオンの移動抵抗が小さく、そのため、充放電速度を増加させても容量が低下しにくい。したがって、内部抵抗が小さく、急速充電が可能なキャパシタ用電極が得られうる。
このようにゼオライト鋳型炭素は、高エネルギー密度、高出力密度を有する電気二重層キャパシタ用電極材料として期待されており、非水系電解液を用いた電気二重層キャパシタにおいて、約180F/gの重量比容量が得られている。
しかしながら、近年、電気自動車の電源用二次電池の補助電源、または二次電池の負荷を平滑化する目的で高容量の電気化学キャパシタが求められている。そのため、さらなる高容量化が求められている。
ミクロポーラス炭素材料は、通常、そのエッジ部分の少なくとも一部に水素原子や酸素含有基を有している。そのため、これを電極材料として用いた電気化学キャパシタにおいて充放電の電位幅を広くしすぎると、酸素含有基の分解によって酸化還元劣化が生じ、耐久性が低下してしまうおそれがある。特にゼオライト鋳型炭素を用いた場合、ゼオライト鋳型炭素はエッジ部分が比較的多く、多くの水素原子や酸素含有基を有していると考えられる。そのため、酸素含有基の分解による酸化還元劣化の懸念を排除するために、比較的狭い電位幅で充放電を行っていた。
しかしながら、電位幅を大きくするほどエネルギー密度が高くなり、より多くの電荷を蓄えることができるため、キャパシタの劣化に繋がる不可逆的な酸化や還元が起こらない条件で充放電の電位範囲を拡大することが重要である。
本発明者らは、充放電の電位幅を拡大するための検討を行った。その過程で、非水系電解液を用いた電気化学キャパシタにおいて、正電位側または負電位側(好ましくは正電位側)の所定の電位まで電位範囲を拡大することによって、ミクロポーラス炭素材料のエッジ部分の少なくとも一部に特定の官能基が導入されうることを見出した。加えて、この特定の官能基が、従来よりも正電位側または負電位側に拡大された電位範囲での充放電に伴って、電解質の陽イオンと可逆的に化学反応することによって陽イオンが電極に配位するため、擬似容量を示すことを見出した。
すなわち、本実施形態の電気化学キャパシタ用電極によれば、特定の官能基を導入したミクロポーラス炭素材料を用いることで、電気二重層容量に加えて擬似容量によって電荷が蓄積されるため、電極材料の重量比容量が向上しうる。
具体的には、本実施形態の電極は、電極材料であるミクロポーラス炭素材料のエッジ部分の少なくとも一部に、末端官能基としてキノンまたは酸無水物を有することを特徴とする。
本明細書中、キノンは、炭素材料末端に存在する炭素六員環もしくは炭素五員環の任意の2つの炭素原子上、好ましくは隣合う2つの炭素原子上にそれぞれケトン構造を有する官能基である。好ましくは、上記の2つの炭素原子はいずれも炭素材料の末端に結合して六員環を形成する。
酸無水物は、無水酢酸の形態で、2つのカルボニルの炭素原子がいずれも炭素材料の末端に結合して五員環または六員環を形成する構造である。好ましくは、2つのカルボニルの炭素原子はいずれも炭素材料の末端に結合して五員環を形成する。
本実施形態の電極は、ミクロポーラス炭素材料がキノンまたは酸無水物のいずれか一方の官能基を含んでいればよいが、好ましくは、キノンおよび酸無水物の両方の官能基を有する。
このような末端官能基を有するミクロポーラス炭素材料を用いた電極によれば、電気二重層容量の他に、これらの官能基の酸化還元反応による擬似容量を利用できる。その結果、高い容量のキャパシタが得られうる。
キノンまたは酸無水物の官能基は、非水系電解液中に含まれる電解質に由来する陽イオンR+と下記のように可逆的に反応しうる。下記化学式は、キノンまたは酸無水物のカルボニル部分における反応を表す。
末端官能基と電解質の陽イオンとの化学反応によって、陽イオンがミクロポーラス炭素材料に配位できるため、電極容量が向上しうる。
本実施形態のミクロポーラス炭素材料は、上記の官能基を有することにより、非水電解質を用いた電気化学キャパシタの電極材料として用いた場合、充放電に伴って官能基と電解液中の電解質に由来する陽イオンとが化学的に反応する。加えて、本発明者らは、上記の反応が可逆的に、安定に繰り返し進行しうることを見出した。本発明の電極によれば、通常の電気化学的な反応による容量に加えて、上記の反応による擬似容量を利用することができるため、電極材料の重量あたりの容量が向上しうる。
ミクロポーラス炭素材料は、その製造方法にもよるが、末端官能基として一定量の酸素含有基を含みうる。末端官能基として、例えば水酸基(フェノール基)、カルボキシル基、カルボニル基などを数重量%程度までの範囲で有しうる。
しかしながら、水酸基(フェノール基)、カルボキシル基、カルボニル基などの酸素含有基は、電気化学キャパシタの充放電時に分解したり、電解液と反応しうる。これらの酸素含有基の分解や電解液との反応に伴うガスの発生によって電気抵抗の増加が生じ、キャパシタの耐久性が低下してしまう。
一方、キノンおよび酸無水物のような官能基は非水系電解液中で可逆的に酸化還元反応が生じうる。加えて、この酸化還元反応は充放電を繰り返しても安定に可逆的に進行しうるため、電極材料の重量比容量の向上に寄与しうる。
本実施形態の電極において、ミクロポーラス炭素材料にキノンまたは酸無水物の官能基が導入されていることは赤外吸収スペクトルによって確認することができる。本実施形態の電極におけるミクロポーラス炭素材料は、赤外吸収(IR)スペクトルにおいて、キノンのカルボニル基に由来する1674cm-1のピークが明瞭に観察される。または、酸無水物のカルボニル基に由来する1743cm-1のピークが明瞭に観察される。このような形態であれば、高い容量を有する電気化学キャパシタが得られうる。
また、本実施形態の電極におけるミクロポーラス炭素材料に含まれる酸素含有基の量は昇温脱離質量分析(TPD−MS)測定から見積もることができる。本実施形態の電極のミクロポーラス炭素材料の酸素原子含有量は、特に限定されないが、例えば4000〜20000μmol/gである。上記範囲であれば、高い容量を有する電気化学キャパシタが得られうる。
本実施形態の電極に用いられる炭素材料は、構造内部に空孔を持つミクロポーラス炭素材料であるが、内部の空孔において、直径が2nm以下の空孔、いわゆるミクロ孔の容量が0.5cm3/g以上、ある場合には0.75cm3/g以上、好ましくは1.00cm3/g以上、より好ましくは1.10cm3/g以上であることが好ましい。また、直径が2から50nmの空孔、いわゆるメソ孔の容量が1cm3/g以下、ある場合には0.75cm3/g以下、または0.60cm3/g以下、あるいは0.40cm3/g以下であることが好ましく、ゼロであることがさらに好ましい。
本実施形態の電極に用いられるミクロポーラス炭素材料は、BET表面積が2000cm2/g以上であることが好ましい。これは、電気二重層容量を大きくするためには、電極材料である炭素材料の有効比表面積を大きくすることが重要であるためである。本実施形態のミクロポーラス炭素材料のBET表面積は、より好ましくは2500m2/g以上であり、さらに好ましくは、BET表面積は3000m2/g以上であり、特に好ましくは3500m2/g以上である。BET表面積は窒素吸脱着測定によって求めることができる。
本実施形態の電極に用いられるミクロポーラス炭素は、好ましくは、0.34〜2nmのナノグラフェンシートからなる。このような形態であれば、エッジ部が電気化学的に酸化され易く、かつキノンおよび酸無水物が高選択に導入される。
上述のように本実施形態の電極に用いられるミクロポーラス炭素材料としては、鋳型材を用いて合成されたミクロポーラス炭素材料が好ましく用いられうる。
鋳型材としては、ナノレベルの三次元規則構造を有する多孔質材料、またはMgOナノ粒子などが用いられ、鋳型材を用いて合成されたミクロポーラス炭素材料は、その製造にあたり使用した鋳型材である特定の三次元規則構造を有する多孔質材料の有していた構造的特徴を反映したものであり、ナノサイズのミクロ孔を有している多孔性炭素である。該炭素材料は、典型的には、0.5nmから100nmの3次元長周期規則構造を有すると共に、内部に空孔を持っているミクロポーラス炭素材料である。
本実施形態の電極においては、三次元長周期規則構造とミクロ孔とを有することにより高比表面積を有することから、ミクロポーラス炭素材料としてゼオライト鋳型炭素(ZTC)を用いることが好ましい。ゼオライト鋳型炭素は積層の無い湾曲したグラフェンシートにより構成される。また、均一サイズの細孔(1.2nm)が三次元的に規則配列し、相互に連結しており、極めて高い表面積と細孔容積を有する。加えて規則的な細孔構造を有するためイオンの移動抵抗が小さく高いレート特性が得られうる。
図1に、ゼオライト鋳型炭素の一例を模式的に示す。ゼオライト鋳型炭素2は、ゼオライト1を鋳型として得られた炭素材料である。より詳細には、ゼオライト鋳型炭素2の作製には、まず、図1(a)に示すゼオライト1のミクロ孔1aに炭素源である有機化合物を導入した後に加熱処理して図2(b)に示すゼオライト1と炭素2’との複合体3を調製する。その後にゼオライト1のみを除去することによって、ゼオライト鋳型炭素2が得られる(図1(c))。ゼオライト鋳型炭素2は、鋳型として用いたゼオライト1の構造的特徴が反映された、3次元の長周期規則構造と内部にミクロ孔2aとを有する。
ゼオライト鋳型炭素2は、その製造にあたり、使用する鋳型材である特定の3次元規則構造を有するゼオライト1が備える構造的特徴を反映した多孔性炭素材料である。ゼオライト鋳型炭素2は、直径が0.1〜2nmの範囲内にある細孔(ミクロ孔2a)が網目状に連結した構造を有する。具体的には、ゼオライト鋳型炭素2は、0.5〜100nmの範囲内の3次元長周期規則構造を有すると共に、ミクロ孔2aを有する。より具体的には、ゼオライト鋳型炭素2は、3次元長周期規則構造を構成する炭素鎖と炭素鎖の間の距離が、好ましくは0.5〜100nmであり、より好ましくは0.7〜50nmであり、さらに好ましくは0.7〜2nmである。このように、ゼオライト鋳型炭素2は、炭素鎖と炭素鎖の間の距離が任意の間隔で3次元的に長周期にわたって規則的に繰り返した構造を有する炭素材料である。
ゼオライト鋳型炭素材料は、高比表面積であり規則的な細孔構造を有することによって高い電気二重層容量を与えることに加え、キノンまたは酸無水物の官能基がそれぞれの細孔に安定に保持されうる。したがってキノンまたは酸無水物の官能基の酸化還元反応が可逆的に繰り返して進行しやすく、この酸化還元反応による容量の増加が得られやすいため好ましい。
本実施形態の電極は、電極材料としてエッジ部分の少なくとも一部にキノンまたは酸無水物が導入されたミクロポーラス炭素材料を含む。このような官能基が導入されたミクロポーラス炭素材料は、高い重量比容量を有する。電極材料の重量比容量は、例えば、Ag/Ag+を参照電極とする三極式のセルを構築して確認することができる。
本実施形態の電極は、非水系電解液を用いた電気化学キャパシタにおいて、正極または負極の少なくとも一方の電極に用いられる。本実施形態の電極を正極、負極の両方に用いてもよい。本実施形態の電極を用いることにより、高容量の電気化学キャパシタが得られうる。
<電気化学キャパシタ用電極の製造方法>
本実施形態の電気化学キャパシタ用電極は、ミクロポーラス炭素材料を準備する段階と、前記ミクロポーラス炭素材料のエッジ部分に官能基としてキノンまたは酸無水物を導入する段階と、を含み、前記ミクロポーラス炭素材料のエッジ部分に官能基としてキノンまたは酸無水物を導入する段階は、前記ミクロポーラス炭素材料を有機電解質を含む電解液中で前記官能基の酸化電位以上、または還元電位以下で電気化学的賦活化する工程を含む、方法によって製造することができる。
以下、本実施形態の電気化学キャパシタの製造方法を工程ごとに説明する。
(ミクロポーラス炭素材料を準備する段階)
ミクロポーラス炭素材料の入手経路については特に制限はない。商業的に入手可能な商品を用いてもよいし、自ら調製してもよい。以下、ゼオライト鋳型炭素などの、多孔質の鋳型を用いて合成される炭素材料を用いる場合を説明する。
まず、構造内部に空孔を有し、この空孔が網目状に連結した構造を有する多孔質材料を鋳型として用いる。そして、この多孔質材料の表面及びミクロ孔内部に加熱条件下で有機化合物を導入し、加熱することによって有機化合物を炭化し、多孔質材料に炭素を堆積させる。有機化合物の炭化・炭素の堆積は、例えば化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法により行う。次に、鋳型である多孔質材料を除去する。この方法により、鋳型の三次元構造を反映した炭素材料を容易に製造することができる。
鋳型として用いる多孔質材料は、ミクロ孔内部に有機化合物が導入できること、CVD法の際に元の構造を安定に保つこと、生成した炭素材料と分離できることが必要である。このため、例えば多孔質酸化物等の耐熱性に優れ、且つ、酸やアルカリで溶解する材料が望ましい。また、既に述べたように、この炭素材料は鋳型の形態を転写した状態で合成される。このため、鋳型として用いる多孔質材料は、結晶(構造)が十分に発達し、粒径の揃った構造及び組成が均一な材料であることが望ましい。多孔質材料の備えるべき材料物性と、得られる炭素材料の物性を考慮すると、多孔質材料としてゼオライトを用いることが好ましい。ゼオライトは、シリカ構造のケイ素(Si)の一部がアルミニウム(Al)で置換されたアルミノケイ酸塩であり、骨格自体が負電荷を持つことから構造内にカチオンが分布した構造を有する。また、ゼオライトは、Si/Alモル比、カチオンの種類や量、及びカチオンに水和した水分子の数によって多様な結晶構造を有し、例えば細孔が2次元的に連結した構造や3次元的に連結した構造等の、多様な大きさの細孔を有する多孔質材料である。代表的なゼオライトとしては、ケージ又はスーパーケージといった空隙構造を有するものが挙げられ、ゼオライトの中でもFAU型ゼオライト、FAU型ゼオライトの中でもY型ゼオライトを用いることが望ましい。多孔質材料の除去は、生成した炭素材料を分離できる方法であれば如何なる方法を用いても良い。例えば、ゼオライトは酸で溶解可能であり、例えば、塩酸やフッ化水素酸を用いることで容易に溶解できる。
有機化合物を炭化して炭素を堆積するために用いるCVD法は、鋳型等の基板上に特定の元素又は元素組成からなる薄膜(例えば炭素からなる薄膜)を作る工業的手法である。通常、原料物質を含むガスに熱や光によってエネルギーを与えたり、高周波でプラズマ化することにより、化学反応や熱分解によって原料物質がラジカル化して反応性に富むようになり、基板上に原料物質が吸着して堆積することを利用する技術である。温度を上げて原料物質を堆積させるものを熱CVD法、化学反応や熱分解を促進させるために光を照射するものを光CVD法、ガスをプラズマ状態に励起する方法をプラズマCVD法と区別することもある。
CVD法で用いる有機化合物は、常温で気体であるか、又は気化できるものが好ましい。気化の方法は、沸点以上に熱する方法や雰囲気を減圧にする方法等がある。用いる有機化合物は、当業者に知られた炭素源物質の中から適宜選択して使用できる。特に、加熱により熱分解する化合物が好ましい。例えば、CVD法で鋳型として用いる多孔質材料の骨格上(例えばシリカゲル骨格上)に炭素を堆積することができる化合物が好ましい。
また、用いる有機化合物は、水素や窒素を含む有機化合物でも良い。この有機化合物は、不飽和又は飽和の有機化合物でも良く、これらの混合物でも良い。用いる有機化合物は、二重結合及び/又は三重結合を有する不飽和直鎖又は分枝鎖の炭化水素、飽和直鎖又は分枝鎖の炭化水素等が含まれて良く、飽和環式炭化水素や芳香族炭化水素等を含んでいても良い。有機化合物は、例えば、アセチレン、メチルアセチレン、エチレン、プロピレン、イソプレン、シクロプロパン、メタン、エタン、プロパン、ベンゼン、ビニル化合物、エチレンオキサイド、アセトニトリル、アクリロニトリル等があげられる。中でも、用いる有機化合物は、多孔質のミクロ孔内に入り込むことが可能なもの、例えばアセチレン、エチレン、メタン、エタン等を用いることが望ましい。有機化合物は、より高温でのCVDに用いるものと、より低温でCVDに用いるものとでは互いに同一のものであっても異なっていても良い。例えば、低温でのCVDではアセチレン、エチレン等を使用し、高温でのCVDにはプロピレン、イソプレン、ベンゼン等を使用しても良い。
ゼオライトなどの多孔質材料のミクロ孔内部に有機化合物を導入する際は、多孔質材料を予め減圧にしても良く、系自体を減圧下にしても良い。多孔質材料は安定であるので、CVDにより炭素が堆積する方法であれば如何なる方法を用いても良い。通常は、多孔質材料の骨格上に有機化合物の化学反応又は熱分解で生成した炭素を堆積(又は吸着)させ、多孔質材料と炭素材料とからなる複合体を得る。CVDを行う際は、加熱温度は、使用する有機化合物によって適宜適切な温度を選択できる。通常は、400〜1500℃であることが好ましい。加熱温度は、450〜1100℃であることがより好ましく、500〜900℃であることが更に好ましい。また、550〜800℃であることがより好ましく、575〜750℃、更には600〜700℃の範囲内にすることが望ましい。加熱温度はCVD処理時間及び/又は反応系内の圧力に応じて適宜適切な温度を選択することもできる。CVDの処理時間は、十分に炭素堆積が得られる時間とすることが好ましく、使用する有機化合物や温度によって適宜適切な時間を選択できる。
CVDは、減圧又は真空下、加圧下、若しくは不活性ガス雰囲気下で行うことができる。不活性ガス雰囲気下で行う場合には、不活性ガスとしては例えばN2ガス、ヘリウム、ネオン、アルゴン等があげられる。CVD法では、通常、気体状の有機化合物をキャリアガスと共に多孔質材料に接触させるように流通させながら加熱し、容易に気相で多孔質材料上に炭素を堆積させることができる。キャリアガスの種類、流速、流量及び加熱温度は使用する有機化合物や多孔質材料の種類によって適宜調節する。キャリアガスは、例えば上記の不活性ガス等があげられる。爆発限界を考慮して、酸素ガス又は水素ガスとの混合物等であっても良い。
CVD法によりゼオライトなどの多孔質材料のミクロ孔内部に炭素を堆積させる条件として、ミクロ孔中の炭素の充填量は10〜40wt%の範囲内であることが好ましい。また、炭素の充填量は多孔質材料の重量を基準として15〜30wt%の範囲内に制御することがより好ましい。炭素の充填量が10wt%以上であれば、炭素骨格形成に必要な量の炭素が導入されるため、安定な規則性構造が得られうる。炭素の充填量が40wt%以下であれば、必要以上の炭素が付着することなく、ミクロ孔容積及びBET表面積が維持されうる。
CVDによる炭素の堆積(吸着)後、ゼオライトなどの多孔質材料と炭素材料との複合体を、CVD温度より高い温度で更に加熱しても良い。この加熱温度は、使用する有機化合物によって適宜選択できるが、通常は700〜1500℃である。加熱温度は、750〜1200℃であることが好ましく、800〜1100℃であることがより好ましい。また、825〜1000℃であることが好ましく、850〜950℃、更には875〜925℃の範囲内にすることが好ましい。また、加熱温度は、加熱時間及び/又は反応系内の圧力に応じて適宜選択することもできる。また、加熱時間は生成物を分析し、その結果に基づいて十分な炭素堆積に要求される時間を設定することができる。
また、ゼオライトなどの多孔質材料と炭素材料との複合体に更に有機化合物を導入して加熱し、更に炭素を堆積させても良い。この場合には、CVD法により得られた炭素材料の構造がより安定する。炭化は、CVD法によって行っても良く、他の加熱方法で行っても良い。また、加熱温度はCVD温度より高温であっても良く、低温であっても良い。また、導入する有機化合物は、CVD法で導入した有機化合物と同じであっても良く、異なっていても良い。この操作は、複数回行っても構わない。
ゼオライトなどの多孔質材料の表面及びミクロ孔内に有機化合物を導入してCVDを行う前に、有機化合物を含浸して炭化しても良い。含浸する有機化合物は、多孔質材料のミクロ孔の細孔径より小さな分子サイズを有する有機化合物であれば使用できる。具体的には、有機化合物は、炭化歩留まりの高いフルフリルアルコール等の熱重合性モノマーを用いることが好ましい。有機化合物の含浸方法は、モノマーが液体であればそのまま、固体であれば溶媒に溶解して多孔質材料と接触させる等、公知の手段を採用することができる。なお、多孔質材料の表面に残った過剰なモノマーは、予め洗浄等で除去することが好ましい。例えば、多孔質材料を室温減圧下でフルフリルアルコールと接触させた後、混合物を大気圧に戻すことにより、多孔質材料のミクロ孔内にフルフリルアルコールを導入することができる。また、多孔質材料の表面に付着した余分なアルコールは、有機溶剤による洗浄で除去できる。
用いる有機化合物は、ゼオライトなどの多孔質材料のミクロ孔内に挿入可能な大きさを有し、且つ、炭化時に炭素としてミクロ孔内に残留するものであれば特に制限は無く用いることができる。例えば、有機化合物として、シクロヘプタジエン等の環状炭化水素、酢酸ビニル・アクリロニトリル・塩化ビニル等のビニル化合物、塩化ビニリデン・メタクリル酸メチル等のビニリデン化合物、無水マレイン酸等のビニレン化合物、エチレンオキサイド等のエポキシ誘導体があげられる。また、グルコース・サッカロース等の糖類、脂肪族多価アルコール類、レゾルシノール・カテコール、ジヒドロキシナフタレン等の芳香族多価アルコール(ジオール)類、チオフェン等の含窒素複素環化合物、ピリジン・ピリミジン等の含窒素複素環化合物も利用することができる。
次いで、例えばゼオライト鋳型炭素の場合、多孔質材料としての鋳型ゼオライトの表面及び空孔内部に炭素材料が形成された炭素−ゼオライト複合体から、フッ化水素酸などを用いて鋳型ゼオライトを除去することで、ゼオライト鋳型炭素が得られうる。
(ミクロポーラス炭素材料のエッジ部分に官能基としてキノンまたは酸無水物を導入する段階)
ミクロポーラス炭素材料のエッジ部分に官能基としてキノンまたは酸無水物を導入する段階は、前記ミクロポーラス炭素材料を電解液中で前記官能基の酸化電位以上で電気化学的賦活化する工程を含む。
ミクロポーラス炭素材料のエッジ部分にキノンまたは酸無水物の官能基を導入するためには、例えば、ミクロポーラス炭素材料を含む電極を作製し、電気化学的賦活化処理を行う。電気化学的賦活化処理は、電極の電位を前記官能基の酸化電位以上までの範囲にわたって少なくとも1回掃引することによって行われうる。この際、好ましくは上限電位が前記官能基の酸化電位以上の電位である。
前記電気化学的賦活化処理として、好ましくは、前記電極を用いて電気化学キャパシタのセルを作製し、これらの官能基の酸化電位以上までの電位範囲で、少なくとも1回、充電処理を行う(初充電処理)。好ましくは上限電位が前記官能基の酸化電位以上である電位範囲で初充電処理を行う。このような電気化学的賦活化処理によって、炭素材料のエッジ部分が電気化学的に酸化されてキノンまたは酸無水物の官能基が導入される。電気化学的賦活化処理の際に用いる電解液としては特に制限されず、水系電解液、非水系電解液のいずれも用いることができる。電解質の種類も特に制限されない。
電気化学的賦活化処理の際、ミクロポーラス炭素材料が電解液に接するようにすることが好ましい。このようにすることで、エッジ部分が効率的に酸化されてキノンまたは酸無水物の官能基が導入されうる。例えば、ミクロポーラス炭素材料としてゼオライト鋳型炭素を用いた場合、酸化された状態のゼオライト鋳型炭素は下記式のような構造を有しうる。下記式(a)は酸化される前のゼオライト鋳型炭素のモデル図であり、エッジ部分に水素原子や水酸基、エーテルなどの酸素含有基を有する。(b)は酸化された状態のゼオライト鋳型炭素のモデル図であり、ゼオライト鋳型炭素の水素原子で終端された部位の酸化、ダングリングボンドとなっている部位の酸化、エーテルなどの酸素含有基の酸化が生じ、キノンまたは酸無水物が導入される。
この初充電処理は、+0.8V以上の範囲で行うことが好ましい。好ましくは、初充電処理は、上限電位が+0.8V以上の電位範囲で行う。上記範囲であれば、ミクロポーラス炭素材料のエッジ部分が効率的に酸化され、キノンまたは酸無水物が導入されうる。より好ましくは、初充電処理を、−2.0V〜+1.5Vの範囲で行う。上記範囲で行うと、特にミクロポーラス炭素材料としてゼオライト鋳型炭素を用いた場合、高い容量が得られうる。
初充電処理の際の充電速度についても特に制限されない。
なお、電気化学キャパシタを作製し、キノンまたは酸無水物の官能基の酸化電位以上の電位で初充電することで上記官能基が導入されるが、官能基が導入された炭素材料を有する電極の容量を確認するためには充電および放電を行う必要がある。
電気化学的賦活化処理後のミクロポーラス材料は、好ましくは、電気化学的賦活化処理前の試料と比較して、IRスペクトルにおけるキノンのカルボニル基に由来する1674cm-1のピークの強度が増加する。または、酸無水物のカルボニル基に由来する1743cm-1のピークの強度が増加する。より好ましくは、これらの双方のピーク強度が増加する。この際、これらのピークの(電気化学的賦活化処理後の強度)/(電気化学的賦活化処理後の強度)の比が、他の酸素含有基に由来するIRスペクトルのピークの電気化学的賦活化処理前後の強度比よりも大きいことが好ましい。他の酸素含有基に由来するIRスペクトルのピークとしては、フェノールのOHの3200〜3400cm-1のピーク、エーテルに由来する1100cm-1付近のピークなどがある。
この際、試料中の官能基の含有量については特に制限はないが、電気化学的賦活化処理後のミクロポーラス材料は、電気化学的賦活化処理前の試料と比較して、試料中の酸素原子含有量が多い、または酸素含有基の量が多いことが好ましい。
酸素原子含有量および酸素含有基の量は、昇温脱離質量分析(TPD−MS)測定から見積もることができる。具体的には、COの放出量を測定することにより、水酸基(フェノール基)、カルボニル基(キノン類を含む)、エーテル、酸無水物などの官能基の存在量の総計が得られる。一方、CO2放出量を測定することにより、カルボキシル基、ラクトン、酸無水物などの官能基の存在量の総計が得られる。さらにH2Oの放出量を求め、CO、CO2、H2Oの放出量を合わせることで酸素原子含有量を見積もることができる。
電気化学的賦活化処理後のミクロポーラス炭素材料は、好ましくは、電気化学的賦活化処理前の材料と比較して、TPD−MS測定によって求められる試料中のCOとして放出される酸素含有基の量、またはCO2として放出される酸素含有基の量のいずれか、または両方が増加する。
ミクロポーラス炭素材料を含む電極の作製法は、特に限定されない。従来知られている電極の製造手法をそのまま使用することができ、当該分野で様々な形態の電極が知られているのでそれらと同様な手法で作製することができる。例えば、(1)予めミクロポーラス炭素材料の分散液を作製し、この分散液にバインダ、各種添加剤を加え更に分散させ、集電体に塗布後乾燥する方法が挙げられる。また、(2)ミクロポーラス炭素材料、バインダ、各種添加剤を同時に溶液に分散させ、集電体に塗布後乾燥する方法が用いられる。また、(3)ミクロポーラス炭素材料、バインダ、各種添加剤を乾式混合機により分散させ、圧縮成形等加圧により集電体に結着させる方法などが用いられる。本発明のミクロポーラス炭素材料は、公知のカーボンブラック、活性炭などのその他の炭素材料と混合して使用することもできる。分散溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)などを使用できる。分散に使用する分散機としては、ボールミル、サンドミル、三本ロール、高速ディスパーザー等塗料作製時に使用される分散機や、ヘンシェルミキサー、遊星ボールミル等の乾式混合機等公知の分散機が使用できる。
典型的な電極作製法では、例えば、ミクロポーラス炭素材料の粉末にポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のバインダを添加して、加圧ロール成型してシート状或いは板状にし、電極層とすることが可能である。バインダの使用量は特に制限されないが、電極層に対して、例えば0.5〜15質量%であり、好ましくは1〜10質量%である。
この時、導電助剤として黒鉛粉、アセチレンブラック等のカーボンブラック、気相成長炭素繊維などの炭素材料を添加することも可能である。導電助剤は、電極層の導電性を向上させるために配合され、例えば、電極層に対して、0.5〜15質量%であり、好ましくは1〜10質量%の量で用いられうる。
ミクロポーラス炭素材料の使用量は、特に限定されないが、電極層の総質量100質量部に対して、例えば0.01〜99.9質量部であり、好ましくは0.1〜100質量部であり、好ましくは10〜98.0質量部であり、さらに好ましくは50〜95質量部である。
集電体としては、導電性材料で構成されるものであれば特に制限されず、導電性金属製のものや導電性樹脂製のものが挙げられる。特にアルミニウム製、アルミニウム合金製、白金製のものが好ましく用いられうる。集電体の形状も特に限定されず、シート状のものやメッシュ状のものが好ましく用いられうる。
また、マット、フェルト状に成形した電極層に集電性を向上させるためにアルミニウム等の導電材を蒸着し電極とすることも可能である。さらに、ペーパー化した後電極とすることも可能である。
セルの構成も特に制限されないが、例えば、Ag/Ag+を参照電極とした三極式セルを用いることができる。この場合、対極としては、特に制限されないが、例えば、高活性炭素繊維、活性炭などの炭素材料を用いることができる。
上述のように、電気化学的賦活化処理の際の電解液は特に制限されず、水系電解液、非水系電解液のいずれも用いることができる。
水系電解液としては、例えば、硫酸水溶液、水酸化カリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液などが用いられる。
非水系電解液は、電解質が非水系溶媒に溶解されたものであって、非水系溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、エチリソプロピルスルホン(EiPS)等の非水系溶媒か、もしくは1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(EMI)や1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(BMI)などの有機カチオンとBF4 -、BF6 -などのアニオンから成るイオン液体が用いられうる。電気化学的安定性、化学的安定性から、プロピレンカーボネート、アセトニトリルがより好ましい。これらの非水系溶媒は2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
また、電解質としては、R1R2R3R4Nで表される陽イオン(R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基またはアリル基であり、R1とR2は結合して環を形成していてもよく、R3とR4は結合して環を形成していてもよい)と、陰イオンとからなる電解質が用いられうる。R1R2R3R4Nで表される陽イオンとしては、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、スピロビピロリジニウムイオンなどが挙げられる。陰イオンとしては、ClO4 -、BF4 -、PF4 -、PF6 -、AsF6 -等が挙げられる。
<電気化学キャパシタ>
本実施形態による電気化学キャパシタは、非水系電解液に浸された一対の分極性電極の間にセパレータが配置された構成を有する。
本実施形態の電気化学キャパシタは、少なくとも一方の電極として、本実施形態の特定の官能基を有するミクロポーラス炭素材料を含む電極を用いることを特徴とする。
本実施形態の電気化学キャパシタは、両極に特定の官能基を有するミクロポーラス炭素材料を含む電極を用いてもよい。この際、両極に同じ種類の炭素材料を用いて作製した電極を用いてもよく、ゼオライト鋳型炭素を用いた電極と活性炭を用いた電極のように、異なる種類の炭素材料を用いた電極を組み合わせてもよい。例えば、ゼオライト鋳型炭素を用いて作製した負極と、活性炭を用いて作製した正極とを組み合わせることができる。
好ましくは、電気化学キャパシタの充放電において、官能基である酸無水物またはキノンを下記式のように可逆的に酸化還元反応させる。下記式は官能基のカルボニル部分における反応を表す。式中、R+は非水系電解液中の電解質に由来する陽イオンである。このような可逆的な酸化還元反応に伴って電荷が貯蔵されるため、容量が向上しうる。
この際、ミクロポーラス炭素材料中の酸無水物またはキノンの官能基のうち、少なくとも一部が電解液に接していることが好ましい。このような形態であれば官能基の可逆的な酸化還元反応が効率的に進行しうる。
本実施形態の電気化学キャパシタは、好ましくは、前記ミクロポーラス炭素材料の官能基であるキノンまたは酸無水物の酸化電位以上まで、または還元電位以下までの電位範囲で充放電を行う。好ましくは、上限電位が官能基の酸化電位以上である電位範囲、または、下限電位が官能基の還元電位以下である電位範囲で充放電を行う。官能基の酸化電位以上、または還元電位以下までの電位範囲で充放電を行うことで、上記官能基の酸化還元反応が生じ、これによる擬似容量が得られるため、容量が向上しうる。前記官能基の酸化電位および還元電位の両方が包含される電位範囲で充放電を行うことがより好ましい。
具体的には、+0.8V以上まで、または−1.8V以下まで、特には、+0.8V以上まで、かつ、−1.8V以下までの範囲で充放電を行うことが好ましい。上記範囲であれば、キノンまたは酸無水物の可逆的な酸化還元反応が効率的に進行し、高い擬似容量が得られ、高容量化に寄与しうる。特にミクロポーラス炭素材料としてゼオライト鋳型炭素を用いた場合、−2.0V〜+1.5Vの電位範囲で充放電を行うと、官能基の可逆的な酸化還元反応が効率的に進行し、官能基の分解が生じにくいため、特に高い容量が得られうる。
充放電の際の電流密度についても特に制限されず、例えば、20〜3000mA/gで行われうる。
本実施形態の電極を適用した電気化学キャパシタの電解液としては、非水系溶媒に電解質塩が溶解した形態の非水系電解液が用いられる。水系溶媒を含む電解液を用いた場合、酸無水物、またはキノンの官能基と電解質の陽イオンとの酸化還元反応が生じる電位において水の電気分解が生じてしまい、耐久性が低下しうる。また、非水系電解液は、キャパシタの体積当たりの蓄電エネルギー量を上げることができることが知られており、容積当たりのエネルギーの高密度化という観点から有利である。
非水系溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、エチリソプロピルスルホン(EiPS)等の非水系溶媒か、もしくは1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(EMI)や1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(BMI)などの有機カチオンとBF4 -、BF6 -などのアニオンから成るイオン液体が用いられうる。電気化学的安定性、化学的安定性から、プロピレンカーボネート、アセトニトリルがより好ましい。これらの非水系溶媒は2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
また、電解質としては、R1R2R3R4Nで表される陽イオン(R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基またはアリル基であり、R1とR2は結合して環を形成していてもよく、R3とR4は結合して環を形成していてもよい)と、陰イオンとからなる電解質が用いられうる。R1R2R3R4Nで表される陽イオンとしては、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、スピロビピロリジニウムイオンなどが挙げられる。陰イオンとしては、ClO4 -、BF4 -、PF4 -、PF6 -、AsF6 -等が挙げられる。
具体的な電解質としては、例えば、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(Et4NBF4)、スピロビピロリジニウムテトラフルオロボレート、Bu4NClO44等が挙げられる。
非水系電解液中の電解質濃度は特に制限されないが、電気化学キャパシタの特性が十分引き出せるように、0.3〜2.0Mであることが好ましく、0.7〜1.5Mであることがより好ましい。上記範囲であれば、高い電気伝導度が得られうる。
具体的な電解液としては、例えばテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(Et4NBF4)をプロピレングリコールに溶解させた電解液、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートをアセトニトリルに溶解させた電解液、スピロビピロリジニウムテトラフルオロボレート(SBP−BF4)をエチリソプロピルスルホン(EiPS)に溶解させた電解液などが挙げられる。
セパレータとしては、様々なものを使用できるが、例えば、ポリエチレン製セパレータ、ナイロン不織布製セパレータ、ポリプロピレン製不織布セパレータなどを好適に使用できる。
本実施形態の電気化学キャパシタは、一対の分極性電極の間にセパレータを介して電解質液と共に金属ケースに収納したコイン型、一対の電極をセパレータを介して巻回してなる巻回型、セパレータと電極とを複数積み重ねた積層型などのいずれの構成のものであってもよい。電気化学キャパシタは、ステンレス鋼製又はアルミニウム製容器により封口されていることが好ましい。また、発熱時においても電解質液の揮発等を生じないようにするという観点から、また電気化学キャパシタの高温安定性を確保する目的から耐熱性の高い絶縁材料を容器のシール部に用いるのが好ましく、特にポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、およびガラスからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
本実施形態の電気化学キャパシタは、高出力密度、高エネルギー密度の電気化学キャパシタとして、電気自動車、燃料電池車のバックアップ電源として適用されうる。
本発明の作用効果を以下の実施例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<実施例1>
鋳型として粉末Na−Y型ゼオライト(東ソー製HSZ-320NAA、SiO2/Al2O3=5.6)を用いた。このゼオライトにフルフリルアルコールを含浸し、150℃で8時間熱処理を行い、フルフリルアルコールをゼオライト細孔内で重合しポリフルフリルアルコールとした。次にポリフルフリルアルコール−ゼオライト複合体を窒素雰囲気中700℃まで5℃/minの速度で加熱し、700℃に到達すると同時に雰囲気ガスを7vol%のプロピレンを含む窒素ガスに切り替え、CVDを2時間行った。その後、窒素雰囲気中900℃まで5℃/minの速度で加熱し、900℃に達してから3時間の熱処理を行い、冷却することで炭素−ゼオライト複合体を準備した。この炭素−ゼオライト複合体を、フッ酸を用いて室温で6時間超音波洗浄し、ゼオライト鋳型を除去し、高比表面積(BET表面積3600m2/g)のミクロポーラス炭素材料であるゼオライト鋳型炭素(ZTC)を得た。このゼオライト鋳型炭素の全細孔容積(Vtotal)、ミクロ孔容積(Vmicro)、およびメソ孔容積(Vmeso)は、それぞれ、1.68cm3/g、1.56cm3/g、および0.13cm3/gであった。
このゼオライト鋳型炭素のBET表面積の測定は、窒素吸脱着測定によって行った。日本ベル製BELSORP miniを用いて行い、−196℃の温度で、多点法で行った。0.01<P/P0<0.05の相対圧の範囲での吸着等温線よりBET表面積を求めた。ミクロ孔容積(Vmicro)をそれぞれの窒素吸着等温線のデータを使用してDubinin−Radushkevich(DR)方程式で算出した。メソ孔容積(Vmeso)は、0.95の相対圧における吸着N2の容積からミクロ孔容積(Vmicro)を差し引いて決めた。
また、上記のゼオライト鋳型炭素について、粉末X線回折測定を行い、2θ=6°付近の長周期規則構造を示すピークが明確に観察され、また2θ=20〜30°に炭素網面の積層に由来するピークはほとんどみられないことがわかった。このことから、ゼオライト鋳型炭素が鋳型ゼオライトの構造特性を反映した規則的な構造を有していることが確認された。
得られたミクロポーラス炭素材料としてのゼオライト鋳型炭素の電気化学性能を評価するため、以下のように三極式測定セルを作製した。電気化学的測定として、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定、次いで、定電流充放電(GC)測定を行った。
作用極用の電極シートは、上記で得られたゼオライト鋳型炭素を、バインダであるポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製 PTFE 6−J)およびカーボンブラック(電気化学工業株式会社製デンカブラック(登録商標)に混合し、加圧成形して調製した。ゼオライト鋳型炭素:PTFE:カーボンブラックの重量比は、90:5:5であった。この電極シート(8mg)を白金メッシュ(80メッシュ)に挟み、数秒間、250kgf/cm2で挟圧した。対極は、高活性炭素繊維(A20)を用いて作用極と同様に調製した。作用極と対極との間に2枚のセルロースセパレータを配置し、電極間距離を1mmとし、これら全体をガラスホルダーで固定した。Ag/Ag+を参照電極とし、参照電極電解液には0.1MのAgClO4と1MのEt4NBF4を溶解させたプロピレンカーボネートを用いた。セルの電解液には1MのEt4NBF4を溶解させたプロピレンカーボネートを用いた。
<上限電位の拡張>
はじめに、参照電極Ag/Ag+に対して、負電位側を−1.5Vに固定して、正電位側を+0.5Vから+1.4Vまで、電位範囲を変化させてCV測定を実施した。
図2(a)に、従来使用されてきた−1.5V〜+0.5Vの電位範囲で測定したCV図を示す。掃引速度は1mV/sであり、1サイクル目から4サイクル目までの結果を示した。
図2(a)はゼオライト鋳型炭素に特有な、OCV(−0.1V)付近で容量が低下するCV曲線を示す。これは、炭素骨格の半導体的性質によるものである。酸化還元反応によるピークは見られないことから、上記で作製されたキャパシタは、通常の電気二重層のメカニズムで電荷が蓄積され、測定中の副反応などがみられないことがわかる。
次に、正電位側を+1.0Vまでの範囲に変更して、CV測定を行った。結果を図2(b)に示す。図2(b)のCV曲線において、1サイクル目で大きな酸化電流がみられる。また、2〜4サイクル目では、+0.4V付近にピークが存在している。これは、+1.0Vまで電位を掃引することによって、+0.5Vまでの範囲の掃引では生じなかった電気化学反応が生じたことを示唆している。さらに、2〜4サイクル目でCV曲線の形状が変化せず、酸化還元劣化が生じないことがわかる。これらの結果から、ゼオライト鋳型炭素が1サイクル目で酸化されて官能基が導入され、この官能基の可逆的な酸化還元反応によって擬似容量がもたらされていると考えられる。
図3(a)に、通常用いられている電位範囲である−1.5V〜+0.5Vの電位範囲で測定した定電流充放電(GC)測定の結果を示す。図3の測定では、はじめに初期電位(−0.7V)から50mA/gで+1Vまで充電し、その後+1V〜−1.5V〜+1Vの充放電サイクルを4回、50mA/gで繰り返し、さらにその後同じ電位範囲での充放電サイクルを4回、100mA/gで繰り返した。充放電に伴って、電解質の陰イオンの電極への吸着、陰イオンの脱着、陽イオンの吸着、陽イオンの脱着が進行し、電位が直線的に変化しており、典型的な電気二重層の定電流充放電特性を示している。
これに対して、正電位側を+1.0Vまでの範囲に変更した図3(b)の定電流充放電(GC)曲線は、特に1サイクル目の範囲で、特に正電位側の傾きが直線的ではなく、このことからゼオライト鋳型炭素が正電位側の掃引時に酸化された可能性が示唆され、図2(b)の結果と一致する。
次いで、それぞれの定電流充放電曲線から、重量比容量(Cg)(Fg-1)を計算した。各GC曲線に対して、電解質の陽イオンであるEt4N+の脱離過程から下記式に従って計算した。
式中、Iは電流(A)であり、Wはミクロポーラス炭素材料(ゼオライト鋳型炭素)の重量(g)である。Tは時間(秒)であり、Vは電位(V)である。ΔV、ΔTはそれぞれ時間および電位の変化量であり、ΔV/ΔTはGC曲線の−1.3〜−0.7Vの範囲で直線近似した傾きから求めた。
この重量比容量(Cg)(Fg-1)について、電流密度を50〜2000mA/gの範囲で変化させて求めた。図4(a)に、負電位側を−1.5V、正電位側を+0.5Vの範囲で充放電を行った場合の重量比容量のプロットを示す。図4(b)に、負電位側を−1.5V、正電位側を+1.0Vの範囲で充放電を行った場合の重量比容量のプロットを示す。図4(a)と図4(b)の比較から、図4(b)では、最大で250F/gの容量が得られ、図4(a)の最大168F/gと比較して、容量が大きく向上した。加えて、官能基を導入していない炭素材料の場合と同様、電流密度を2000mA/g以上まで高くしても大きな容量の低下はみられなかった。
同様に、充放電の負電位側の電位を参照電極Ag/Ag+に対して−1.5Vに固定し、正電位側の上限電位を段階的に変化させてCV測定および定電流充放電測定を実施した。上限電位を+0.6V以上にした場合に擬似容量が示されることがわかった(図示せず)。また、上限電位を+0.8V以上にすると高い重量比容量が得られた。上限電位を変化させて測定したときの電極材料の重量比容量を、後述の負電位側の電位を変化させた場合の結果と併せて図9に示す。
<官能基の同定>
次いで、上記で得られたゼオライト鋳型炭素について、−1.5V〜+1.0Vの電位範囲での充放電測定の前後で、TPD−MS、FTIR分析を行った。
充放電測定後の試料は、電極シートをアセトンに浸漬し、30分間超音波洗浄して電解液を除去し、濾過してゼオライト鋳型炭素を取り出した。この洗浄工程を2回繰り返し、得られたゼオライト鋳型炭素を減圧下で6時間、60℃で乾燥した。
TPD−MS分析は、高真空中、サンプルを室温から1500℃まで昇温し、発生ガスを質量分析計(Transpector 2 H100m、 INFICON)に通して、質量数別に検出されたシグナルからCOおよびCO2の脱離速度曲線を求めた。結果を図5に示す。充放電測定の前と比較して、充放電測定後の試料は、COおよびCO2の脱離速度が大幅に増加していることがわかった。ここで、COの放出量は、試料中に含まれるフェノール基、キノン類を含むカルボニル基、エーテル基、酸無水物の酸素含有基の総量に対応する。また、CO2の放出量は、試料中に含まれるカルボキシル基、ラクトン、酸無水物などの酸素含有基の総量に対応する。図5のスペクトルから計算される充放電測定前後のCO放出量およびCO2放出量を下記表に示す。同様にしてH2O放出量を求めた。CO、CO2およびH2O放出量を合わせて、試料中に含まれる酸素原子含有量を計算した。
これらの結果から、所定の電位での充放電によって、ゼオライト鋳型炭素にカルボニル酸素やカルボキシル酸素を含む酸素含有基が導入されていることがわかる。
FT−IR分析は、島津製FTIR−8900を用いて行った。
充放電測定後のゼオライト鋳型炭素のFT−IRスペクトルでは、充放電測定前のスペクトルと比較してキノンのカルボニル基に由来する1674cm-1のピーク強度が増加した。また、酸無水物のカルボニル基に由来する1743cm-1のピークの強度が増加した(図6)。一方、フェノールのOHの3200〜3400cm-1のピークについては測定前後のいずれもほとんど観測されず、エーテルに由来する1100cm-1付近のピークについては、測定前後で強度の変化はほとんどみられなかった。
上記のFT−IR測定の結果から、本実施形態の電極のミクロポーラス炭素材料としてのゼオライト鋳型炭素に導入された酸素含有基が、主にキノンまたは酸無水物であることが明らかになった。
<下限電位の拡張>
次に、充放電の正電位側の電位を参照電極Ag/Ag+に対して+0.5Vに固定し、負電位側を−1.5V、−1.8V、−2.0V、−2.2Vに電位範囲を変化させてCV測定を実施した。次に、それぞれの電位範囲で充放電したときの重量比容量を求めた。電位範囲を変更したことを除いては、CV測定および充放電測定は上限電位の拡張の際と同様の手順で行った。CV測定の結果(4サイクル目のCV曲線)を図7に示す。図7の結果から、負電位側の電位が−1.5Vの場合は典型的な電気二重層の酸化還元特性を示すが、下限電位を−1.8V以下にした場合に擬似容量が示されることがわかる。また、−1.2V付近に電気化学的反応の存在を示す新たなピークが観察された。定電流充放電測定の結果を図8に示す。図8から、負電位側の電位を−2.0Vにしたとき、最大で242F/gの重量比容量が得られ、−1.5Vのときの約180F/gと比較して大幅に容量が向上した。また、充放電の際の負電位側の電位を−2.0Vにしたときであっても、電流密度を増加させたときに大きな容量の低下はみられなかった。
これらの結果をまとめたものを図9に示す。
<官能基を導入していない炭素材料との容量の比較>
次に、充放電の電位範囲を−2.0V〜+1.5Vとして、CV測定および定電流充放電測定を行い、重量比容量を求めた。電位範囲を変更したことを除いては、測定は上限電位の拡張の際と同様の手順で行った。(a)CV測定の結果および(b)電流密度を変化させたときの重量比容量を図10にそれぞれ示す。CV測定の結果から擬似容量が示された。また、最大で330F/gという極めて高い重量比容量が得られた。これは、従来の官能基を導入していないゼオライト鋳型炭素を電極材料として用いた場合の、実測の最大容量である172F/gと比較して大幅に改善されていることがわかる。活性炭を用いた場合の電気二重層容量が195F/g前後であることからも、本実施例の電極は非常に高い容量を示すことがわかる。なお、下記表中、「比容量(F/m2)は、単位表面積あたりの容量である。本実施例の電極は単位表面積当たりの容量も従来の電極と比較して改善されていることが確認された。
<実施例2>
電解液として、Et4NBF41Mをアセトニトリルに溶解させたものを用いたことを除いては、実施例1と同様にしてセルを作製し、電気化学的測定を行った。
負電位側を−1.5Vに固定し、正電位側を+0.5Vから+0.6Vに拡大した電位範囲でCV測定を行ったところ、−1.5V〜+0.5Vで酸化還元を行った場合に擬似容量を示すことが確認された(図示せず)。
<実施例3>
電解液として、スピロビピロリジニウムテトラフルオロボレート(SBP−BF4)1Mをエチリソプロピルスルホン(EiPS)に溶解させたものを用いたことを除いては、実施例1と同様にしてセルを作製し、電気化学的測定を行った。
負電位側を−1.5Vに固定し、正電位側を+0.5Vから+1.2Vに段階的に拡大した電位範囲でCV測定を行ったところ、正電位側が+0.6V以上で酸化還元を行った場合に擬似容量を示すことが確認された(図示せず)。電極材料の重量比容量は、−1.5V〜+1.4Vの電位範囲で充放電を行ったときに、最大で240F/gであった。
以上の結果から、本発明の電極によれば可逆的な酸化還元反応による容量の向上が得られることがわかった。