JP6175616B1 - トレモロユニット用のスタッド - Google Patents

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【課題】 ギターに取り付けられるトレモロユニット用のスタッドを提供する。【解決手段】 スタッド1は、ギター2の複数の弦24に接続されるブリッジ部31と、ブリッジ部31に接続されるスプリング部33と、ブリッジ部31から突出したナイフエッジ部34と、を有するトレモロユニット用のスタッド1であって、ギター2のボディ21の表面板21aから突出した支持部12bと、一端が支持部12bと接続され、表面板21aから裏面板21bに向けて形成された貫通孔21eに挿入された挿入部12a、13aと、挿入部12a、13aの他端と接続され、裏面板21bから突出した係止部13bと、を備え、支持部12bは、ナイフエッジ部34が支持部12bに沿って摺動した際に、表面板11aから引き抜かれるような力を受ける形状を有しており、係止部13bは、貫通孔21eよりも大きな面積を有している。【選択図】図2

Description

本発明は、ギターに取り付けられるトレモロユニット用のスタッドに関する。
従来より、ギターから出力される音を揺らすための装置として、ギターの弦に接続されるブリッジ部と、ブリッジ部に接続されるスプリング部と、ブリッジ部から突出したナイフエッジ部と、を備え、ナイフエッジ部をギターのボディにネジ止めや圧入されたスタッドに当接させることにより、弦にテンションを付与するトレモロユニットが知られている。
このようなトレモロユニットでは、スプリング部が弾性力を有していることにより、ブリッジ部を移動させることができ、これにより弦のテンションを変化させることが可能である。詳細には、ナイフエッジ部をスタッドに沿って摺動させることでブリッジ部が移動し、これにより、弦のテンションが変化し、ギターから出力される音を揺らすことが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−20067号公報
しかしながら、上記技術では、スタッドはギターのボディにネジ止めや圧入されているだけであるため、ナイフエッジ部の摺動により、スタッドの固定が緩んでしまったり、最悪の場合には、スタッドが抜けてしまうという問題が生じていた。
そこで、本発明は、ナイフエッジ部の摺動によっても固定が緩むことのないトレモロユニット用のスタッドを提供することを目的としている。
本発明は、ギターの複数の弦に接続されるブリッジ部と、前記ブリッジ部に接続されるスプリング部と、前記ブリッジ部から突出したナイフエッジ部と、を有するトレモロユニット用のスタッドであって、前記ギターのボディの表面板から突出した支持部と、一端が前記支持部と接続され、前記ボディの表面板から裏面板に向けて形成された貫通孔に挿入された挿入部と、前記挿入部の他端と接続され、前記ボディの裏面板から突出した係止部と、を備え、前記支持部は、前記ナイフエッジ部が前記支持部に沿って摺動した際に、前記表面板から引き抜かれるような力を受ける形状を有しており、前記係止部は、前記貫通孔よりも大きな面積を有していることを特徴とするスタッドを提供している。
このような構成によれば、支持部が表面板から引き抜かれるような力を受けた場合であっても、係止部の働きにより、スタッドがボディから抜けてしまうことや固定が緩むことが防止されている。
また、前記支持部と前記表面板の間、及び、前記係止部と前記裏面板の間の少なくとも一方に挿入されたブロック部を更に備えたことが好ましい。
このような構成によれば、スタッドは、ブロック部と係止部でボディを挟むようにして固定されるので、木材の膨張・収縮による影響が少なく、スタッドの安定した固定が確保される。また、支持部と表面板との間にブロック部が挿入されているため、ボディとスタッドとの間の接地面積が多くなり、力が分散される。このことによっても、ボディが割れてしまうことも抑制されている。更に、スタッドは、ブロック部と係止部でボディを挟むようにして固定されるので、ボディとの密着度が高まり、音質の向上が期待できる。
また、前記挿入部は、少なくとも一対の挿入部を備えており、前記ブロック部には、前記一対の挿入部がそれぞれ挿通される少なくとも一対の挿通孔が形成されており、前記一対の貫通孔の外縁間の最遠距離は、前記弦の配列方向における前記貫通孔の両端間の距離と一致することが好ましい。
このような構成によれば、一対の挿通孔の外縁間の最遠距離に対応した一の貫通孔を形成するだけでよく、一対の挿通孔のために個別に貫通孔を形成する必要がないので、ボディにスタッド用の貫通孔を形成する際の位置ずれが抑制される。
また、前記表面板と前記裏面板の少なくとも一方には、前記ブロック部が嵌合可能な嵌合穴が形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、ブロック部の表面板(または、裏面板)からの突出量を少なくすることができるので、ギターの美観や使い勝手が損なわれることが抑制される。また、ボディとブロック部との間の接地面積が更に多くなるため、音質の向上が更に期待できる。
本発明のトレモロユニット用のスタッドによれば、ナイフエッジ部の摺動によって固定が緩むことが防止される。
本発明の実施の形態によるギターの平面図 本発明の実施の形態によるギターのボディの断面図 本発明の実施の形態によるスタッドの取り付けの説明図 本発明の実施の形態によるブロック部の平面図 本発明の実施の形態による表側部材の側面図 本発明の実施の形態による裏側部材の側面図 本発明の変形例によるブロック部を説明するための断面図 本発明の変形例によるブロック部を説明するための斜視図
以下、本発明の実施の形態によるトレモロユニット用のスタッド1について、図1〜図6を参照して説明する。
図1に示すように、スタッド1は、ギター2に設けられるもので、ギター2に取り付けられたトレモロユニット3を支持するためのものである。
まず、ギター2の構造について説明する。
図1に示すように、ギター2は、ボディ21と、ネック22と、ヘッド23と、複数の弦24と、を備えている。
図2に示すように、ボディ21は、表面板21aと、裏面板21bと、を備えている。
また、ボディ21には、トレモロユニット3を収容するための空洞21c及び21dが形成されている。空洞21cは、表面板21aから裏面板21b側に向けて形成され、空洞21dは、空洞21cの下部からネック22側に向けて形成されている。
また、空洞21c及び21dよりもネック22側には、スタッド1を取り付けるための貫通孔21e(図3参照)が形成されている。貫通孔21eの詳細については後述する。
ネック22は、ボディ21から延出し、その先端には、ヘッド23が設けられている。
複数の弦24は、ヘッド23と、空洞21cに収容されたトレモロユニット3と、の間に張架される。
なお、以下では、複数の弦24の配列方向を幅方向X、表面板21aから裏面板21bへ向かう方向を厚み方向Y、と称する。
続いて、トレモロユニット3の構造について説明する。
トレモロユニット3は、いわゆるシンクロナイズド・トレモロユニットであり、図2に示すように、ブリッジ部31と、連結部32と、スプリング部33と、ナイフエッジ部34と、アーム部35と、を備えている。
ブリッジ部31は、略平板形状を有しており、表面板21aと略水平となるように、表面板21aから僅かに浮いた状態、又は、表面板21aに密着した状態で配置される。上記した複数の弦24は、ヘッド23と、ブリッジ部31と、の間に張架される。
連結部32は、空洞21c内に収容されており、ブリッジ部31の下面と連結されている。
スプリング部33は、空洞21d内に収容されており、空洞21dのネック22側端部と、連結部32の下部と、の間に張架されている。
ナイフエッジ部34は、ブリッジ部31からネック22側に突出している。ナイフエッジ部34を後述するスタッド1に当接させることで、スプリング部33の張力と釣り合いがとれた状態で弦24にテンションが付与されることとなる。
アーム部35は、ブリッジ部31から延出している。アーム部35を表面板21aに近づける(または、遠ざける)ことにより、ブリッジ部31を傾けることができる。これにより、弦24のテンションが変化し、ギター2から出力される音を揺らすことが可能となる。
続いて、スタッド1について説明する。本実施の形態では、一対のスタッド1が用いられるものとする。
各スタッド1は、貫通孔21eに挿通された上でボディ21に固定されるものであり、図2及び図3に示すように、ブロック部11と、表側部材12と、裏側部材13と、を備えている。なお、本実施の形態では、貫通孔21eは、幅方向Xに延び、かつ、ボディ21を表面板21aから裏面板21bまで貫通している。
ブロック部11は、貫通孔21e上に配置されるものであって、貫通孔21e内に落ち込まないように、貫通孔21eよりも大きめのサイズに形成されている。
ブロック部11の幅方向Xにおける両端部には、図4に示すように、一対の挿通孔11aがそれぞれ形成されており、一対の挿通孔11aの内周には、ネジが切られている。一対の挿通孔11aの外縁間の最遠距離は、貫通孔21eの幅方向Xにおける両端間の距離と略一致する。
表側部材12は、第1挿入部12aと、支持部12bと、を備えている。
第1挿入部12aは、円筒形状を有しており、その外周面には、ブロック部11に形成された挿通孔11aと嵌合可能なネジが切られている。
第1挿入部12aは、回転させることにより挿通孔11aの下部から突出し、この突出した部分が、表面板21a側から貫通孔21e内に挿入される。
また、第1挿入部12aは、その内周面にもネジが切られている。
支持部12bは、トレモロユニット3のナイフエッジ部34が当接する部分であり、厚み方向Yにおける中間部分が凹んだ形状を有している。
裏側部材13は、第2挿入部13aと、係止部13bと、を備えている。
第2挿入部13aは、円筒形状を有しており、その外周面には、第1挿入部12aの内周面に形成されたネジと嵌合可能なネジが切られている。
係止部13bは、第2挿入部13aの下端に設けられており、貫通孔21eよりも大きな直径を有している。
このような構成により、第2挿入部13aを回転させていくことにより、第2挿入部13aが第1挿入部12a内に挿入されていき、ブロック部11と係止部13bの間の距離がボディ21の厚みと一致した時に、スタッド1は、ボディ21に固定されることとなる。
ここで、ギター2から出力される音を揺らすためには、アーム部35を表面板21aに近づけてナイフエッジ部34を支持部12bの形状に沿って摺動させるが、支持部12bは、凹形状を有しているため、表面板21aから引き抜かれるような力を受けることとなる。
しかしながら、本実施の形態によるスタッド1は、ボディ21を貫通しており、裏面板21b側には、貫通孔21eよりも大きな面積を有する係止部13bが設けられている。
このような構成により、支持部12bが表面板21aから引き抜かれるような力を受けた場合であっても、係止部13bの働きにより、スタッド1がボディ21から抜けてしまうことや固定が緩むことが防止されている。
また、木材から構成されたボディ21は、温度や湿度に応じて膨張・収縮する。そのため、従来のネジ止めするタイプのスタッドでは、木材の膨張・収縮に伴い、スタッドの固定の緩みや、スタッド部分での木材の割れが生じていた。しかしながら、本実施の形態では、スタッド1は、ブロック部11と係止部13bでボディ21を挟むようにして固定されるので、木材の膨張・収縮による影響が少なく、スタッド1の安定した固定が確保される。
また、本実施の形態によるスタッド1では、支持部12bと表面板21aとの間にブロック部11が挿入されているため、ボディ21とスタッド1との間の接地面積が多くなり、力が分散される。このことによっても、ボディ21が割れてしまうことも抑制されている。
更に、スタッド1は、ブロック部11と係止部13bでボディ21を挟むようにして固定されるので、ボディ21との密着度が高まり、音質の向上が期待できる。
また、本実施の形態では、ブロック部11に形成された一対の挿通孔11aの外縁間の最遠距離は、貫通孔21eの幅方向Xにおける両端間の距離と略一致する。このような構成によれば、一対の挿通孔11aの外縁間の最遠距離に対応した一の貫通孔21eを形成するだけでよく、一対の挿通孔11aのために個別に貫通孔を形成する必要がないので、ボディ21にスタッド1用の貫通孔を形成する際の位置ずれが抑制される。
尚、本発明のスタッド1は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
例えば、上記実施の形態では、表面板21a側にのみブロックを設けたが、裏面板側21bにも設けてもよい。
また、上記実施の形態では、支持部12bは、厚み方向Yにおける中間部分が凹んだ形状を有していたが、少なくとも、アーム部35の操作により、スタッド1が表面板21aから引き抜かれるような形状を有していればよい。
また、上記実施の形態では、第1挿入部12aと第2挿入部13aは、ネジにより嵌合されたが、その他の方法によって嵌合されてもよい。また、第1挿入部12aと第2挿入部13aは、少なくとも、いずれか一方があればよい。例えば、第1挿入部12aのみが存在し、係止部13bにネジ孔を形成して両者を嵌合するような構成であってもよい。
また、本発明の“挿入部”と“係止部”をアンカーとして設け、その上に“支持部”を取り付けたような、“挿入部”及び“係止部”と、“支持部”と、が別体であるものも本発明のスタッドに含まれる。
また、上記実施の形態では、一対のスタッド1を採用したが、単一のスタッド1が採用されてもよく、また、3以上のスタッドが採用されてもよい。
また、上記実施の形態では、ブリッジ部31と連結部32を別の部材として説明したが、一体の部材であってもよい。
また、上記実施の形態では、スタッド1は、シンクロナイズド・トレモロユニットに対して用いられたが、シンクロナイズド・トレモロユニットには限定されず、スプリング部の弾性力を用いてナイフエッジ部をスタッドに沿って摺動させるタイプのトレモロユニットに対して用いることができる。
また、上記実施の形態では、ブロック部11は、貫通孔21e内に落ち込まないように、表面板21aに形成された貫通孔21e上に配置されたが、図7及び図8に示すように、表面板21a上に嵌合穴21fを形成し、嵌合穴21fにブロック部11を嵌めこむ構成であってもよい。このような構成によれば、ブロック部11の表面板21a(または、裏面板21b)からの突出量を少なくすることができるので、ギター2の美観や使い勝手が損なわれることが抑制される。また、ボディ21とブロック部11との間の接地面積が更に多くなるため、音質の向上が更に期待できる。
1 スタッド
2 ギター
3 トレモロユニット
11 ブロック部
11a 挿通孔
12 表側部材
12a 第1挿入部
12b 支持部
13 裏側部材
13a 第2挿入部
13b 係止部
21 ボディ
21a 表面板
21b 裏面板
21c 空洞
21d 空洞
21e 貫通孔
22 ネック
23 ヘッド
24 弦
31 ブリッジ部
32 連結部
33 スプリング部
34 ナイフエッジ部
35 アーム部

Claims (4)

  1. ギターの複数の弦に接続されるブリッジ部と、前記ブリッジ部に接続されるスプリング部と、前記ブリッジ部から突出したナイフエッジ部と、を有するトレモロユニット用のスタッドであって、
    前記ギターのボディの表面板から突出した支持部と、
    一端が前記支持部と接続され、前記ボディの表面板から裏面板に向けて形成された貫通孔に挿入された挿入部と、
    前記挿入部の他端と接続され、前記ボディの裏面板から突出した係止部と、
    を備え、
    前記支持部は、前記ナイフエッジ部が前記支持部に沿って摺動した際に、前記表面板から引き抜かれるような力を受ける形状を有しており、
    前記係止部は、前記貫通孔よりも大きな面積を有していることを特徴とするスタッド。
  2. 前記支持部と前記表面板の間、及び、前記係止部と前記裏面板の間の少なくとも一方に挿入されたブロック部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のスタッド。
  3. 前記挿入部は、少なくとも一対の挿入部を備えており、
    前記ブロック部には、前記一対の挿入部がそれぞれ挿通される少なくとも一対の挿通孔が形成されており、
    前記一対の貫通孔の外縁間の最遠距離は、前記弦の配列方向における前記貫通孔の両端間の距離と一致することを特徴とする請求項2に記載のスタッド。
  4. 前記表面板と前記裏面板の少なくとも一方には、前記ブロック部が嵌合可能な嵌合穴が形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のスタッド。
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