JP6173809B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに係り、タイヤ重量の増加を抑えつつ、カーカスコードを補強して耐久性を確保することのできる空気入りタイヤに関する。
縁石の乗り上げ時にリムフランジと縁石との間でタイヤが座屈するとカーカスコードに大きな剪断方向の圧縮力を受けることがある。そこで、タイヤ内面にクッションゴム体を設け、タイヤが縁石に乗り上げてタイヤ内面同士が接触した場合にクッションゴム体で衝撃を吸収緩和する思想に基づいた技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008―290540号公報。
しかしながら、上記従来技術は、タイヤ内腔側のバットレス領域、及びビード領域の比較的広い範囲に渡って縁石乗り上げ時の衝撃を吸収緩和するクッションゴム体を設けているため、カーカスコードの耐久性を向上するためにクションゴム体を厚くすると、タイヤ重量が更に増加することになる。
また、タイヤ側部におけるカーカスの枚数、カーカスコードの打ち込み数を増やすことでカーカスコードの耐久性を向上することも考えられるが、タイヤ重量が増加し、また、タイヤの縦ばね定数が高くなり乗心地が悪化する。
本発明は上記事実を考慮し、タイヤ重量の増加を抑えつつ、カーカスコードを補強して耐久性を向上することのできる空気入りタイヤの提供を目的とする。
請求項1に記載の発明は、ビードコアが埋設された一対のビード部と、複数本のカーカスコードを含んで構成され、一対のビードコアを跨りトロイダル状に形成されたカーカスプライと、前記カーカスプライのタイヤ径方向外側に配置されたトレッド部と、前記トレッド部と前記ビードコアとの間に配置され、前記カーカスプライのタイヤ幅方向外側に配置されたタイヤサイド部と、前記タイヤサイド部よりタイヤ幅方向内側で前記カーカスプライに沿って配設された補強材を有した空気入りタイヤにおいて、前記空気入りタイヤが標準リムに装着され規定内圧が張られた状態で、前記空気入りタイヤが接地する路面よりも高く形成された段部に押し付けられてタイヤ最大幅端で折り返されることにより、前記タイヤ最大幅端から前記ビードコアまでのタイヤ内面が対向する他のタイヤ内面と接触するとき、前記補強材は、前記ビードコアの中心から前記タイヤ最大幅端までの水平方向距離Lに対して、一端は前記ビードコアの中心を通る鉛直線上にあり、他端は0.58〜0.62Lの位置に配設される。
請求項1に記載の空気入りタイヤは、ビードコアの中心からタイヤ最大幅端までの水平方向距離をLとしたときに、一端がビードコアの中心を通る鉛直線上にあり、他端が0.58〜0.62Lの位置に配設された補強材を設けている。
このため、ビード部、タイヤサイド部、及びトレッド部がリムと段部との間に挟まれてタイヤ幅方向外側に突出する変形を生じた際の、リム及び段部からの剪断方向の圧縮力が作用する部分、即ち、ビードコアの中心を通る鉛直線からタイヤ軸方向外側へ0.58〜0.62Lまでの範囲内の剛性を向上してカーカスコードを補強することができる。
カーカスコードは、ビードコアの中心を通る鉛直線からタイヤ軸方向外側へ0.58〜0.62Lまでの範囲内で剪断方向の圧縮力を受け易いため、補強材の水平方向の長さがビードコアの中心を通る鉛直線からタイヤ軸方向外側へ0.58〜0.62Lであればカーカスコードの補強には十分である。補強材の長さが上記範囲よりも長くなると、無用に補強材を使用することとなり、タイヤの縦ばね定数が増加して乗心地が悪化したり、タイヤの重量増加に繋がる。一方、補強材の長さが上記範囲よりも短くなると、カーカスコードの補強には不十分となる。
また、請求項1の記載の空気入りタイヤでは、カーカスコードの補強を行うためにカーカスの枚数やカーカスコードの打ち込み数を増やさないので、タイヤ重量が増加するとは無い。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記補強材は、前記ビード部、前記タイヤサイド部、及び前記トレッド部を折り重ねられた部分のタイヤ径方向外側部分に配置される径方向外側補強材と、前記ビード部、前記タイヤサイド部、及び前記トレッド部を折り重ねられた部分のタイヤ径方向内側部分に配置される径方向内側補強材と、を含んで構成されている。
ビード部、タイヤサイド部、及びトレッド部がリムと段部との間に挟まれて折り重ねられタイヤ幅方向外側へ突出する変形を生じた際、タイヤの変形に伴って屈曲し、カーカスコードは、折り重ねられた部位のタイヤ径方向外側の部分とタイヤ径方向内側の部分の2箇所が、リムと段部との間に挟まれることになる。
請求項2の空気入りタイヤでは、折り重ねられた部位のタイヤ径方向外側部分に配置されるカーカスコードが径方向外側補強材によって抑制され、折り重ねられた部位のタイヤ径方向内側のカーカスコードが径方向内側補強材によって抑制される。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記補強材は、前記カーカスプライの外面または内面に密着して設けられている。
補強材をカーカスプライの外面または内面に密着して設けることで、カーカスコードの補強が効果的に高まる。
なお、カーカスプライの外面に補強材を配置することで、圧縮力の入力側に補強材が配置されることになるので、カーカスコードよりも先に補強材が段部及びリムからの圧縮力を受け止めることができ、カーカスコードをより効果的に補強することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記補強材は、有機繊維コードを含んで構成されている。
補強材に含まれる有機繊維コードは、タイヤを構成するゴムよりも剛性が高いため、カーカスコードを効果的に補強することができる。
請求項5に記載の発明は、前記補強材は、タイヤサイド部を形成するサイドゴムよりも硬いゴムから形成されている、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
補強材は、タイヤサイド部を形成するサイドゴムよりも硬いゴムから形成されているため、カーカスコードを効果的に抑制することができる。
請求項6に記載の空気入りタイヤの補強材の設定方法は、複数本のカーカスコードを含んで構成され、一方のビードコアから他方のビードコアへ跨るカーカスプライを備えた空気入りタイヤの補強材の設置方法であって、前記空気入りタイヤが標準リムに装着され規定内圧が張られた状態で、前記空気入りタイヤが接地する路面よりも高く形成された段部に押し付けられてタイヤ最大幅端で折り返されることにより、前記タイヤ最大幅端から前記ビードコアまでのタイヤ内面が対向する他のタイヤ内面と接触した状態において、前記ビードコアの中心を通る第1の鉛直線とタイヤ最大幅端を通る第2の鉛直線との水平距離をLとしたときに、一端が前記ビードコアの中心を通る鉛直線上にあり、他端が前記第1の鉛直線から前記第2の鉛直線に向けて水平方向に0.58〜0.62Lの位置に設定されるように前記カーカスコードの補強を行う補強材を前記カーカスプライに沿って配置する。
請求項6に記載の空気入りタイヤの補強材の設定方法では、先ず、空気入りタイヤをリムに装着して規定の内圧が張られた状態で荷重を負荷し、空気入りタイヤが接地する路面よりも高く形成された段部に押し付けてタイヤ最大幅端で折り返し、タイヤ最大幅端からビードコアまでのタイヤ内面が対向する他のタイヤ内面と接触した状態とする。
そして、ビード部、タイヤサイド部、及びトレッド部をリムと段部との間に挟んで折り重ねタイヤ幅方向外側へ突出するように変形させた状態において、ビードコアの中心を通る第1の鉛直線とタイヤ最大幅端を通る第2の鉛直線との水平距離をLとしたときに、一端がビードコアの中心を通る鉛直線上にあり、他端が第1の鉛直線から第2の鉛直線に向けて水平方向に0.58〜0.62Lの位置に設定されるようにカーカスコードの補強を行う補強材を前記カーカスプライに沿って配置する。
カーカスコードは、第1の鉛直線から第2の鉛直線に向けて0.58〜0.62Lまでの範囲内で剪断方向の圧縮力を受け易いため、この範囲内に第1の鉛直線から第2の鉛直線に向けて水平方向の長さが0.58〜0.62Lに設定された補強材を配置すれば、上記の剪断方向の圧縮力を受け易い範囲の剛性を向上して無用にタイヤ重量を増加させること無くカーカスが補強された空気入りタイヤを得ることができる。
請求項7に記載の空気入りタイヤは、一対のビード部と、前記ビード部のタイヤ径方向外側に連なるタイヤサイド部と、一方のタイヤサイド部と他方のタイヤサイド部を跨るトレッド部と、複数本のカーカスコードを含んで構成され、一方の前記ビード部に埋設されるビードコアから他方の前記ビード部に埋設されるビードコアへ跨るカーカスプライと、前記カーカスプライのタイヤ径方向外側に配置されるベルト層と、前記ベルト層の何れの端部からタイヤ赤道面側と前記タイヤサイド部側に向けて前記カーカスプライに沿って前記ベルト層と前記カーカスプライとの間に配置され前記カーカスコードの補強を行う径方向外側補強材と、前記径方向外側補強材とは離れて前記カーカスプライに沿って配置され、前記ビードコア側からタイヤサイド部側に向けて延び、タイヤ回転軸に沿った断面で見たときの前記カーカスプライに沿った長さが、タイヤ回転軸に沿った断面で見たときの前記カーカスプライに沿った前記径方向外側補強材の長さと同一長さを有して前記カーカスコードの補強を行う径方向内側補強材と、を有する空気入りタイヤであって、前記空気入りタイヤが標準リムに装着され規定内圧が張られた無負荷状態において、前記カーカスプライに沿って計測する前記径方向外側補強材の長さをL1、前記カーカスプライに沿って計測する前記径方向内側補強材の長さをL2、前記カーカスプライに沿って計測する前記径方向内側補強材のタイヤ径方向内側端から前記カーカスプライのタイヤ最大幅位置までの長さをL3、前記カーカスプライに沿って計測する前記径方向外側補強材のタイヤ径方向外側端から前記カーカスプライのタイヤ最大幅位置までの長さをL3としたときに、L1及びL2が0.62〜0.66L3に設定されており、前記径方向内側補強材のタイヤ径方向内側端は、前記ビードコアの中心を通る第1の鉛直線上にあり、前記径方向外側補強材のタイヤ径方向外側端は、前記タイヤ最大幅位置から前記カーカスプライに沿って径方向外側へL3離れた位置にある
請求項7に記載の空気入りタイヤでは、縁石等の突起に乗り上げ、ビード部、タイヤサイド部、及びトレッド部がリムと縁石等の突起との間に挟まれてタイヤ幅方向外側に突出する変形を生じた際、リム及び突起からの剪断方向の圧縮力が作用する部分の剛性を径方向外側補強材、及び径方向内側補強材の存在により高くすることができるので、カーカスコードの補強を行うことができる。
径方向外側補強材が、ベルト層の端部を中心としてタイヤ赤道面側とタイヤサイド部側に向けてカーカスプライに沿って配置されているため、径方向外側補強材の配置された部分の剛性が向上し、径方向外側補強材の配置された部分のカーカスプライの補強を行うことができる。
一方、径方向内側補強材が、ビードコア側からタイヤサイド部側に向けてカーカスプライに沿って配置されているため、径方向内側補強材の配置された部分の剛性が向上し、径方向内側補強材の配置された部分のカーカスコードの補強を行うことができる。
なお、カーカスにおいて、リム及び突起からの剪断方向の圧縮力が作用する部分は、ビード部、タイヤサイド部、及びトレッド部がリムと突起との間に挟まれてタイヤ幅方向外側に突出する変形を生じた部分のタイヤ径方向外側のカーカスコードとタイヤ径方向内側のカーカスコードにおいて、タイヤ軸方向の同じ領域に発生するため、請求項7に記載の空気入りタイヤでは、径方向内側補強材の長さと径方向外側補強材の長さを同一としている。このため、径方向内側補強材、及び径方向外側補強材の材料使用量を必要最小限とすることができ、タイヤ重量の増加を抑えることができる。
径方向外側補強材の長さをL1、径方向内側補強材の長さをL2、前記径方向内側補強材のタイヤ径方向内側端から前記カーカスプライのタイヤ最大幅位置までの長さをL3、前記径方向外側補強材のタイヤ径方向外側端から前記カーカスプライのタイヤ最大幅位置までの長さをL3としたときに、剪断力方向の圧縮力を受け易い領域は、径方向外側補強材のタイヤ径方向外側端からカーカスプライに沿って0.62〜0.66L3の範囲、及び内側補強層のタイヤ径方向内側端からカーカスプライに沿って0.62〜0.66L3の範囲であるため、その範囲に0.62〜0.66L3の長さを有する径方向外側補強材及び径方向内側補強材を配置すれば良く、0.66L3よりも長い径方向外側補強材及び径方向内側補強材は必要ない。
これにより、請求項7に記載の空気入りタイヤでは、カーカスコードを補強する径方向外側補強材及び径方向内側補強材の材料使用量を最小限にすることができる。
なお、径方向外側補強材の長さL1、及び径方向内側補強材の長さL2が、上記範囲よりも短くなると、カーカスコードの抑制効果が低下する。
一方、径方向外側補強材の長さL1、及び径方向内側補強材の長さL2が、上記範囲よりも長くなると、無用に径方向外側補強材、及び径方向内側補強材を使用することとなり、タイヤの縦ばね定数が増加して乗心地が悪化したり、タイヤの重量増加に繋がる。
以上説明したように請求項1に記載の空気入りタイヤによれば、タイヤ重量の増加を抑えつつ、カーカスコードの補強を行うことができる、という優れた効果を有する。
請求項2に記載の空気入りタイヤによれば、折り重ねられた部位のタイヤ径方向外側部分に配置されるカーカスコードが径方向外側補強材によって補強され、折り重ねられた部位のタイヤ径方向内側のカーカスコードが径方向内側補強材によって補強される。
請求項3に記載の空気入りタイヤによれば、カーカスコードの補強をより効果的に抑制することができる。
請求項4に記載の空気入りタイヤによれば、径方向外側補強材、及び径方向内側補強材に有機繊維コードを含ませるという簡単な構成でカーカスコードの補強をより効果的に抑制することができる。
請求項5に記載の空気入りタイヤによれば、径方向外側補強材、及び径方向内側補強材をサイドゴムよりも硬いゴムから形成するという簡単な構成でカーカスコードの補強をより効果的に抑制することができる。
請求項6に記載の空気入りタイヤの補強材の設定方法によれば、タイヤ重量の増加を抑えつつ、カーカスコードの補強を行うことができる、という優れた効果を有する。
請求項7に記載の空気入りタイヤによれば、タイヤ重量の増加を抑えつつ、カーカスコードの補強を行うことができる、という優れた効果を有する。
また、請求項7に記載の空気入りタイヤによれば、径方向外側補強材、及び径方向内側補強材の材料使用量を最小限にすることができる。
本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤをリムに装着した状態を示すタイヤ軸線に沿った断面図である。 本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤに用いられるカーカスプライの断面図である。 本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤに用いられる径方向外側補強材の断面図である。 本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤが段部に乗り上げた際の状態を示すタイヤ軸線に沿った断面図である。 本発明の変形例に係る空気入りタイヤをリムに装着した状態を示すタイヤ軸線に沿った断面図である。
図1〜図4を用いて、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ10について説明する。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10は乗用車用であり、一対のビード部12と、ビード部12に連続するタイヤサイド部14と、ショルダー部15を介して両タイヤサイド部14に跨るトレッド部16とを備えている。
各々のビード部12には、ビードコア18が埋設されており、一方のビードコア18から他方のビードコア18には、本実施形態では一枚のカーカスプライ20からなるカーカス22が跨っている。なお、カーカス22は、2枚以上のカーカスプライ20から構成されていても良い。
図2に示すように、本実施形態のカーカスプライ20は、一般の空気入りタイヤのカーカスプライと同様に、複数本の有機繊維からなるカーカスコード21Aを互いに平行に並べてゴム21Bでコーティングした構成である。なお、本実施形態のカーカスコード21Aに用いた有機繊維はレーヨンであるが、カーカスコード21Aはタイヤのカーカスコードとして一般的に用いられている他の有機繊維であっても良い。
図1に示すように、カーカスプライ20は、一方のビードコア18から他方のビードコア18に至る本体部20Aと、ビードコア18をタイヤ径方向(矢印A方向)内側から外側へ折り返される折返し部20Bとを有している。
本体部20Aと折返し部20Bとの間には、ビードコア18からタイヤ径方向外側に向けて延びるビードフィラー24が設けられている。ビードフィラー24はタイヤ径方向外側に向けて厚さが漸減している。
カーカスプライ20の折返し部20B、ビードフィラー24、カーカスプライの本体部20Aのタイヤ径方向外側には、タイヤサイド部14、及びビード部12の外面側を構成するサイドゴム26が配置されている。
また、カーカスプライ20のタイヤ径方向外側にはベルト28が配置されており、ベルト28のタイヤ径方向外側にはトレッド部16を構成するトレッドゴム30が配置されている。
なお、トレッド部16には、排水用の主溝31が形成されている。
本実施形態の空気入りタイヤ10のショルダー部15付近では、カーカスプライ20の本体部20Aに沿うように本体部20Aの外面に密着して径方向外側補強層34が設けられている。なお、本実施形態の径方向外側補強層34は、ベルト28の端部からタイヤ赤道面CL側とタイヤサイド部14側に向けて配置されている。
また、ビード部12付近では、カーカスプライ20の本体部20Aに沿うように本体部20Aの外面に密着してビードコア18側からタイヤサイド部14側に向けて延びるように径方向内側補強層36が設けられている。
また、本実施形態の径方向内側補強層36は、本体部20Aとビードフィラー24との間に配置され、ビードフィラー24にも密着している。
図3に示すように、本実施形態の径方向外側補強層34は、複数本の有機繊維コード35Aを互いに平行に並べてゴム35Bでコーティングしたプライ様のものである。なお、図示は省略するが、径方向内側補強層36も径方向外側補強層34と同様の構成である。本実施形態の径方向外側補強層34、及び径方向内側補強層36には、有機繊維コード35Aとしてナイロンコードが用いられているが、ナイロン以外の材質のコードであっても良い。
以下に、径方向外側補強層34、及び径方向内側補強層36の設けられている位置を詳細に説明する。
図4に示すように、リム38に空気入りタイヤ10を装着し、タイヤ回転軸を水平とした状態で、空気入りタイヤ10の片側のトレッド部16を、空気入りタイヤ10が接地して走行する路面41よりも凸とされた上面40Aが水平とされた段部40に乗り上げ、リム38を介して空気入りタイヤ10に荷重を負荷させて、ビード部12、タイヤサイド部14、及びトレッド部16間を、リム38においてビード部12が接触している部分(以後、リムフランジ42付近と呼ぶ)と段部40との間に挟んで折り重ね、かつタイヤ幅方向外側へ突出するように変形させる。
なお、図4に示すように、段部40の上面40Aの路面41からの高さHは、ビード部12からトレッド部16までの間を、リムフランジ42と段部40との間に挟んで折り重ね、かつタイヤ幅方向外側へ突出するように変形させることのできる寸法であれば良く、特に寸法に制限は無い。
ビード部12からトレッド部16までの間を、リムフランジ42付近と段部40との間に挟んで折り重なり、かつタイヤ幅方向外側へ突出するように変形させる場合、段部40の側面40B(図4の裏表方向に延びる)に対して、タイヤ赤道面CLが平行になるように空気入りタイヤ10が乗り上げた状態で計測しても良く、段部40の側面(図4の裏表方向に延びる)に対して、タイヤ赤道面CLが角度を有するように空気入りタイヤ10が乗り上げた状態で計測しても良い。
このように、ビード部12からトレッド部16までの間を変形させる場合、空気入りタイヤ10に規定の内圧となるように空気を充填していても良く、空気バルブを付けた状態で空気バルブ(図示せず)からタイヤ内の空気を抜いて内圧を規定の内圧よりも減じても良く(空気圧を零としても良い。)、リム38から空気バルブ(図示せず)を取り外して内圧を零(即ち、タイヤ内腔部と大気と連通させる)としても良い。なお、空気入りタイヤ10に規定の内圧を充填する場合に比較して、内圧を規定の内圧よりも減じたり、リム38から空気バルブを取り外した方が、ビード部12からトレッド部16までの間を変形させる荷重は少なくて済む。
なお、ここでのリム、及び内圧は、規格にて定めるタイヤのサイズに対応する標準リム(または、"Approved Rim" 、"Recommended Rim" )であり、内圧とは下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことである。なお、規格とは、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では "The Tire and Rim Association Inc. のYear Book" で、欧州では"The European Tire and Rim Technical Organization の Standards Manual"で、日本では日本自動車タイヤ協会の“JATMA Year Book" にて規定されている。
そして、本実施形態の空気入りタイヤ10では、図4に示すように、片側のビード部12からトレッド部16までの間をリムフランジ42付近と段部40との間で折り重なるように変形させてタイヤ径方向内側のタイヤ内周面と、タイヤ径方向外側のタイヤ内周面とを接触させた状態で、径方向外側補強層34と径方向内側補強層36の配置される位置を規定する。
このように、径方向外側補強層34と径方向内側補強層36の配置される位置を規定する際、図4に示すように、少なくともビードコア18が段部40の水平な上面40Aの上方に位置させた状態で上記規定を行う。
このように、ビード部12、タイヤサイド部14、及びトレッド部16がリムフランジ42付近と段部40との間で折り重なるように変形させた場合、折り重なった部分のタイヤ径方向内側部分に径方向内側補強層36が配置され、折り重なった部分のタイヤ径方向外側部分に径方向外側補強層34が配置される。
ここで、ビードコア18の中心(本実施形態では図心)を通る第1の鉛直線をVL1とし、折り重ねたタイヤサイド部14のタイヤ最大幅端Pを通る第2の鉛直線をVL2とする。
そして、第1の鉛直線VL1と第2の鉛直線VL2との水平方向(矢印B方向)に計測する距離をLとしたときに、径方向外側補強層34、及び径方向内側補強層36は、共に第1の鉛直線VL1からタイヤ軸方向外側に向けて水平方向に計測する長さを0.58〜0.62Lに設定する。本実施形態では、径方向外側補強層34、及び径方向内側補強層36は、同じ長さに設定されている。
なお、リム38に装着して上記規格の空気圧を充填した空気入りタイヤ10の無負荷状態では、図1に示すように、径方向内側補強層36のタイヤ径方向内側端は、ビードコア18の中心(図心)を通る鉛直線VL1上に位置している。そして、カーカスプライ20に沿った径方向外側補強層34の長さをL1、カーカスプライ20に沿った径方向内側補強層36の長さをL2、前記カーカスプライ20のタイヤ最大幅位置20Cから径方向外側補強層34のタイヤ径方向外側端までのカーカスプライ20に沿った長さ、及びタイヤ最大幅位置20Cから径方向内側補強層36のタイヤ径方向内側端までの長さをL3としたときに、L1及びL2が、L1=L2かつ0.62〜0.66L3となる。
(作用)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用を説明する。
空気入りタイヤ10のトレッド部16が段部40に乗り上げ、図4に示すように、一方のビード部12からトレッド部16の間がリムフランジ42付近と段部40の上面40Aとの間に挟まれて折り重なりタイヤ幅方向外側へ突出する変形を生じた際、本体部20Aのカーカスコード21A(図4では図示せず)は、ビード部12からトレッド部16の間の変形に伴って屈曲して折り曲げられ、折り重ねられた部分のタイヤ径方向外側の部分とタイヤ径方向内側の部分の2箇所でリムフランジ42付近と段部40の上面40Aとの間に挟まれる。
カーカスコード21Aに作用する剪断方向の圧縮力は、第1の鉛直線VL1から第2の鉛直線VL2に向けて0.58〜0.62Lまでの範囲内で生じ易い。本実施形態の空気入りタイヤ10では、第1の鉛直線VL1から第2の鉛直線VL2に向けて0.58〜0.62Lの長さの径方向外側補強層34、及び径方向内側補強層36を配置して、剪断方向の圧縮力を受け易い領域のカーカスコード21A付近の剛性(本実施形態では剪断剛性)を高めているため、空気入りタイヤ10が縁石や路面上の突起等に乗り上げた際に剪断方向の圧縮力を受け易い領域のカーカスコード21Aを必要最小限の材料でもって効果的に補強することができる。
カーカスコード21Aは、折り重ねられた部位のタイヤ径方向外側の部分とタイヤ径方向内側の部分の2箇所が、リムフランジ42付近と段部40の上面40Aとの間に挟まれることになるため、折り重ねられた部位のタイヤ径方向外側部分に配置されるカーカスコード21Aは径方向外側補強層34によって補強され、折り重ねられた部位のタイヤ径方向内側のカーカスコード21Aは径方向内側補強層36によって補強される。
なお、空気入りタイヤ10が縁石に乗り上げる際には、車両を平面視した際に、空気入りタイヤ10のタイヤ赤道面CLが縁石の長手方向に対して傾斜(例えば、45°)するように乗り上げる場合、空気入りタイヤ10のタイヤ赤道面CLが縁石の長手方向に対して直角に乗り上げる場合がある。本実施形態の空気入りタイヤ10の径方向外側補強層34、及び径方向内側補強層36によるカーカスコード21の補強効果は、縁石に乗り上げる形態が上記の何れの場合であっても発揮される。
ここで、径方向外側補強層34、及び径方向内側補強層36の第1の鉛直線VL1から第2の鉛直線VL2に向けての水平方向の長さL1及びL2が上記範囲よりも長くなると、タイヤサイド部14の剛性が高くなり、空気入りタイヤ10の縦ばね定数が上昇する方向となり、乗心地の悪化に繋がる。
即ち、本実施形態の空気入りタイヤ10では、乗心地に対して影響の大きい通常時(図1参照)のカーカス22タイヤ最大幅20C付近に剛性の高い径方向外側補強層34、及び径方向内側補強層36が配置されないので、通常走行時において従来タイヤと同等の乗心地を得ることが出来る。
一方、径方向外側補強層34、及び径方向内側補強層36の第1の鉛直線VL1から第2の鉛直線VL2に向けての水平方向の長さL1及びL2が上記範囲よりも短くなると、カーカスコード21Aの補強効果が不十分となる。
なお、空気入りタイヤ10の扁平率が55%以下の場合には、タイヤ最大幅端Pよりもタイヤ径方向内側のカーカスコード21Aの方が、タイヤ最大幅端Pよりもタイヤ径方向外側のカーカスコード21Aよりも剪断方向の圧縮力を受け易い傾向にあり、空気入りタイヤ10の扁平率が60%以上の場合には、タイヤ最大幅端Pよりもタイヤ径方向外側のカーカスコード21Aの方が、タイヤ最大幅端Pよりもタイヤ径方向内側のカーカスコード21Aよりも剪断方向の圧縮力を受け易い傾向にある。
そのため、空気入りタイヤ10が扁平率55%以下の場合には、径方向内側補強層36の剛性を、径方向外側補強層34の剛性よりも高く設定することが好ましく、空気入りタイヤ10の扁平率が60%以上の場合には、径方向外側補強層34の剛性を、径方向内側補強層36の剛性よりも高く設定することが好ましい。
上記のように、径方向外側補強層34の剛性と径方向内側補強層36の剛性とに差を付ける場合には、剛性の差を30%以上とすることが、空気入りタイヤ10の扁平率に対応してカーカスコード21Aの補強効果を高めることができる。
一例として、径方向外側補強層34、及び径方向内側補強層36にナイロンコードを用いる場合、剛性を相対的に高くする方に強力が194Nのナイロンコードを用い、剛性を相対的に低くする方に強力が131Nのナイロンコードを用いることができる(強力としては約32%の差がある。)。
なお、径方向外側補強層34、及び径方向内側補強層36に用いる有機繊維コード35Aを、カーカスコード21Aよりも剪断剛性の高いものとすることで、カーカスコード21Aの補強効果を更に向上させることができる。
また、カーカスコード21Aに対して、径方向外側補強層34、及び径方向内側補強層36の有機繊維コード35Aを交差させる方が、カーカスコード21Aに対して、径方向外側補強層34、及び径方向内側補強層36の有機繊維コード35Aを平行に設ける場合よりも、カーカスコード21Aの補強効果を高めることができる。
なお、上記実施形態では、径方向外側補強層34及び径方向内側補強層36をカーカスプライ20の外面に密着するように設けたが、図5に示すように、径方向外側補強層34及び径方向内側補強層36をカーカスプライ20の本体部20Aの内面に密着するように設けても良い。本実施形態においても、剪断方向の圧縮力を受け易い領域に配置されるカーカスコード21A付近の剛性が径方向外側補強層34及び径方向内側補強層36の存在によって高まるので、カーカスコード21の補強効果を高める効果がある。
また、上記図1、及び図5に示す空気入りタイヤ10では、径方向外側補強層34及び径方向内側補強層36が有機繊維コードを含んで構成されおり、ていたが、図示は省略するが、径方向外側補強層34及び径方向内側補強層36がサイドゴム26よりも硬いゴムから構成されていても良い。
本実施形態においても、剪断方向の圧縮力を受け易い領域に配置されるカーカスコード21A付近の剛性が、硬いゴムからなる径方向外側補強層34及び径方向内側補強層36の存在によって高まるので、カーカスコード21Aを必要最小限の材料使用量で効果的に補強することが出来る。
[試験例1]
発明者らは、径方向外側補強層及び径方向内側補強層の設けられていない一般的に用いられている種々の乗用車用空気入りタイヤを、一般に用いられているタイヤサイド部の損傷試験機(押切試験機とも呼ばれる。一例として、特開2005−114592に開示の装置)に取り付け、ピンチカットが生じてタイヤサイド部から空気が抜けるまで荷重を増加させ、カーカスコードのピンチカットの発生した位置を調べた。以下の表1の試験結果が示す様に、第1の鉛直線から第2の鉛直線に向けて0.58〜0.62Lまでの範囲内でカーカスコードのピンチカットが生じ易いことが分かった。
なお、試験は、各タイヤサイズについて10本で試験を実施した。以下の表1内の数値はピンチカットの生じた本数を表している。また、表内の「外」「内」はピンチカットを生じた位置を示しており、「外」はビード部、タイヤサイド部、及びトレッド部が折り重なった部分のタイヤ径方向外側のカーカスプライでピンチカットを生じたことを示しており、「内」は上記折り重なった部分のタイヤ径方向内側のカーカスプライでピンチカットを生じたことを示している。
なお、表内のピンチカットの発生位置の欄において、「0」は第1の鉛直線をVL1の位置を示している。また、「−0.1L以上0未満」は、第1の鉛直線をVL1よりもタイヤ赤道面側の位置を意味している。
Figure 0006173809
試験結果から、径方向外側補強層34及び径方向内側補強層36は、第1の鉛直線VL1から第2の鉛直線VL2に向けて0.58〜0.62Lの長さに設定配置すれば、ピンチカット対策には十分であることが分かる。
さらに、扁平率が55%以下のタイヤではタイヤ最大幅端よりも内側のカーカスにピンチカットが発生し易く、扁平率が60%以上のタイヤでは、タイヤ最大幅端よりも外側のカーカスにピンチカットし易い傾向が分かった。このことから、扁平率が55%以下のタイヤでは径方向内側補強層36の剛性を径方向外側補強層34の剛性よりも高くすることが有効であり、扁平率が60%以上のタイヤでは径方向外側補強層34の剛性の剛性を径方向内側補強層36よりも高くすることが有効であることが分かる。
[試験例2]
タイヤサイズ185/60R15の空気入りタイヤをタイヤサイド部の損傷試験機に取り付け、27kNの荷重で空気入りタイヤ10をタイヤサイド部の損傷試験機の突起に押し付けてタイヤサイド部の変形を確認し、変形した状態で、ビードコアの中心を通る第1の鉛直線VL1からタイヤ軸方向外側へ0.6Lまでの範囲でタイヤ内面同士が接触することを確認した。
ゴム(厚さ:0.7mm。硬さ:JIS K6523 タイプAで97度。長さ:0.6L)からなる径方向外側補強層及び径方向内側補強層をカーカスプライ外面に備えた本発明の適用された実施例1の空気入りタイヤ(第3実施形態の構造)、有機繊維コードを含んで構成された径方向外側補強層(材質PET。強力:151N。打ち込み本数:54。長さ:0.6L)及び径方向内側補強層(材質PET。強力:151N。打ち込み本数:54。長さ:0.6L)をカーカスプライ外面に備えた本発明の適用された実施例2の空気入りタイヤ(第1実施形態の構造)、及び径方向外側補強層及び径方向内側補強層を備えていない従来例の空気入りタイヤの3種類の供試タイヤを用意し、タイヤサイド部の損傷試験機に供試タイヤを取り付けてカーカスコードにピンチカットが生じてタイヤサイド部が破壊されて空気が抜けるまで荷重を増加させ、荷重を負荷してから空気が抜けるまでの間の最大荷重を計測した。最大荷重の値は以下の表2に示す通りであった。なお、最大荷重は、従来例の空気入りタイヤの最大荷重を100とする指数表示とし、数値が大きいほど最大荷重が大きく、ピンチカットが生じ難いことを示している。
Figure 0006173809
試験結果から、径方向外側補強層及び径方向内側補強層を備えた本発明の適用された実施例1,2の空気入りタイヤは、従来例の空気入りタイヤに比較してピンチカットを生じ難いことが分かる。
[試験例3]
扁平率が50%、55%、60%、及び65%の空気入りタイヤについて、各扁平率に対して径方向外側補強層と径方向内側補強層の剛性差が異なる4種類の空気入りタイヤを用意し、ピンチカットの発生位置と剛性差との関係を調べた。試験は、ピンチカットを生じてタイヤサイド部から空気が抜けるまで荷重を増加させ、その後、ピンチカットの生じた位置を調べた。以下の表1内の数値はピンチカットの生じた本数を表している。また、表内の「外」「内」はピンチカットを生じた位置を示しており、「外」は折り重なった部分のタイヤ径方向外側のカーカスプライでピンチカットを生じたことを示しており、「内」は折り重なった部分のタイヤ径方向内側のカーカスプライでピンチカットを生じたことを示している。
なお、外側補強層、及び内側補強層は、共に有機繊維コードを含んで構成されたものを用いた。
また、扁平率が50%、55%の空気入りタイヤに関しては、径方向内側補強層の剛性を径方向外側補強層の剛性を高くしており、扁平率が60%、65%の空気入りタイヤに関しては、径方向外側補強層の剛性を径方向内側補強層の剛性よりも高く設定している。
Figure 0006173809
試験結果から、扁平率60%以上の空気入りタイヤでは折り重なった部分の径方向外側のカーカスコードに生じ易いが、径方向外側補強層と径方向内側補強層の剛性差を30%以上とすることで、折り重なった部分の径方向外側のカーカスコードに生じるピンチカットを抑制できることが分かる。
また、扁平率55%以下の空気入りタイヤでは折り重なった部分の径方向外側のカーカスコードに生じ易いが、径方向外側補強層と径方向内側補強層の剛性差を30%以上とすることで、折り重なった部分の径方向外側のカーカスコードに生じるピンチカットを抑制できることが分かる。
[試験例4]
発明者らは、試験例1と同様の試験を行い、カーカスコードのピンチカットの発生した位置を調べた。以下の表4の試験結果で示す様に、径方向外側補強層のタイヤ径方向外側端からカーカスプライに沿ってタイヤサイド部側へ0.62〜0.66L3までの範囲、及びビードコア18の中心を通る鉛直線VL1とカーカスコードが交差する点からカーカスプライに沿ってタイヤサイド部側へ0.62〜0.66L3の範囲にカーカスコードの補強を設ければ良いことが分かる。
以下の表4内のピンチカットの発生位置の欄において、「0」はカーカスプライ20のタイヤ最大幅位置20Cからカーカスプライ20に沿ってタイヤ赤道面CL側へL3の位置を示している。また、「0未満」は、上記L3の位置よりもタイヤ赤道面側の位置を意味している。
Figure 0006173809
以下の表5内のピンチカットの発生位置の欄において、「0」は、カーカスプライ20のタイヤ最大幅位置20Cからカーカスプライ20に沿ってビードコア側へL3の位置を示している。「0未満」は上記L3の位置よりもビードコア側(タイヤ径方向内側)を意味している。
Figure 0006173809
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
上記実施形態では、径方向外側補強層34及び径方向内側補強層36が有機繊維コードを含んで構成された例、径方向外側補強層34及び径方向内側補強層36がサイドゴムよりも硬いゴムから構成した例を説明したが、本発明はこれに限らず、径方向外側補強層34及び径方向内側補強層36は少なくともサイドゴムよりも剛性が高い部材であれば、上記実施形態で記載した材料以外、例えば、無機繊維コードを含んでいても良く、繊維等の補強材を含んだゴム等を用いても良く、有機繊維や無機繊維等で織られた織物や不織布、合成樹脂シート等を用いても良い。
上記実施形態では、径方向外側補強層34及び径方向内側補強層36をカーカスプライ20に沿って配置したが、カーカスコード21Aの補強が十分であれば何れか一方だけを配置しても良い。
10 空気入りタイヤ
12 ビード部
14 タイヤサイド部
16 トレッド部
18 ビードコア
20 カーカスプライ
20C カーカスプライのタイヤ最大幅位置
21A カーカスコード
VL1 第1の鉛直線
VL2 第2の鉛直線
26 サイドゴム
34 径方向外側補強層(径方向外側補強材)
35A 有機繊維コード
36 径方向内側補強層(径方向内側補強材)
38 リム
40 段部
40A 上面
42 リムフランジ
P タイヤ最大幅端
L 水平距離
L1 径方向外側補強層の長さ(径方向外側補強材の長さ)
L2 径方向内側補強層の長さ(径方向内側補強材の長さ)
L3 径方向内側補強層のタイヤ径方向内側端からカーカスプライのタイヤ最大幅位置までの長さ、及び径方向外側補強層のタイヤ径方向外側端からカーカスプライのタイヤ最大幅位置までの長さ

Claims (7)

  1. ビードコアが埋設された一対のビード部と、
    複数本のカーカスコードを含んで構成され、一対のビードコアを跨りトロイダル状に形成されたカーカスプライと、
    前記カーカスプライのタイヤ径方向外側に配置されたトレッド部と、
    前記トレッド部と前記ビードコアとの間に配置され、前記カーカスプライのタイヤ幅方向外側に配置されたタイヤサイド部と、
    前記タイヤサイド部よりタイヤ幅方向内側で前記カーカスプライに沿って配設された補強材を有した空気入りタイヤにおいて、
    前記空気入りタイヤが標準リムに装着され規定内圧が張られた状態で、前記空気入りタイヤが接地する路面よりも高く形成された段部に押し付けられてタイヤ最大幅端で折り返されることにより、前記タイヤ最大幅端から前記ビードコアまでのタイヤ内面が対向する他のタイヤ内面と接触するとき、
    前記補強材は、前記ビードコアの中心から前記タイヤ最大幅端までの水平方向距離Lに対して、一端は前記ビードコアの中心を通る鉛直線上にあり、他端は0.58〜0.62Lの位置に配設される空気入りタイヤ。
  2. 前記補強材は、前記ビード部、前記タイヤサイド部、及び前記トレッド部を折り重ねられた部分のタイヤ径方向外側部分に配置される径方向外側補強材と、前記ビード部、前記タイヤサイド部、及び前記トレッド部を折り重ねられた部分のタイヤ径方向内側部分に配置される径方向内側補強材と、を含んで構成されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記補強材は、前記カーカスプライの外面または内面に密着して設けられている、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記補強材は、有機繊維コードを含んで構成されている、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記補強材は、タイヤサイド部を形成するサイドゴムよりも硬いゴムから形成されている、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 複数本のカーカスコードを含んで構成され、一方のビードコアから他方のビードコアへ跨るカーカスプライを備えた空気入りタイヤの補強材の設置方法であって、
    前記空気入りタイヤが標準リムに装着され規定内圧が張られた状態で、前記空気入りタイヤが接地する路面よりも高く形成された段部に押し付けられてタイヤ最大幅端で折り返されることにより、前記タイヤ最大幅端から前記ビードコアまでのタイヤ内面が対向する他のタイヤ内面と接触した状態において、前記ビードコアの中心を通る第1の鉛直線とタイヤ最大幅端を通る第2の鉛直線との水平距離をLとしたときに、一端が前記ビードコアの中心を通る鉛直線上にあり、他端が前記第1の鉛直線から前記第2の鉛直線に向けて水平方向に0.58〜0.62Lの位置に設定されるように前記カーカスコードの補強を行う補強材を前記カーカスプライに沿って配置する、空気入りタイヤの補強材の設置方法。
  7. 一対のビード部と、
    前記ビード部のタイヤ径方向外側に連なるタイヤサイド部と、
    一方のタイヤサイド部と他方のタイヤサイド部を跨るトレッド部と、
    複数本のカーカスコードを含んで構成され、一方の前記ビード部に埋設されるビードコアから他方の前記ビード部に埋設されるビードコアへ跨るカーカスプライと、
    前記カーカスプライのタイヤ径方向外側に配置されるベルト層と、
    前記ベルト層の何れの端部からタイヤ赤道面側と前記タイヤサイド部側に向けて前記カーカスプライに沿って前記ベルト層と前記カーカスプライとの間に配置され前記カーカスコードの補強を行う径方向外側補強材と、
    前記径方向外側補強材とは離れて前記カーカスプライに沿って配置され、前記ビードコア側からタイヤサイド部側に向けて延び、タイヤ回転軸に沿った断面で見たときの前記カーカスプライに沿った長さが、タイヤ回転軸に沿った断面で見たときの前記カーカスプライに沿った前記径方向外側補強材の長さと同一長さを有して前記カーカスコードの補強を行う径方向内側補強材と、
    を有する空気入りタイヤであって、
    前記空気入りタイヤが標準リムに装着され規定内圧が張られた無負荷状態において、前記カーカスプライに沿って計測する前記径方向外側補強材の長さをL1、前記カーカスプライに沿って計測する前記径方向内側補強材の長さをL2、前記カーカスプライに沿って計測する前記径方向内側補強材のタイヤ径方向内側端から前記カーカスプライのタイヤ最大幅位置までの長さをL3、前記カーカスプライに沿って計測する前記径方向外側補強材のタイヤ径方向外側端から前記カーカスプライのタイヤ最大幅位置までの長さをL3としたときに、L1及びL2が0.62〜0.66L3に設定されており、
    前記径方向内側補強材のタイヤ径方向内側端は、前記ビードコアの中心を通る第1の鉛直線上にあり、
    前記径方向外側補強材のタイヤ径方向外側端は、前記タイヤ最大幅位置から前記カーカスプライに沿って径方向外側へL3離れた位置にある空気入りタイヤ。
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