JP6170958B2 - 光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents
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Description
ガス供給管3は、供給側シールボックス4に接続されており、供給側シールボックス4を介して石英管2にガスを供給できる。ガス供給管3には、差圧計3aが設けられ、差圧計3aによりガス供給管3内のガスの圧力を測定できる。
ガス排出管6は、排出側シールボックス5に接続されており、ガス排出管6の出口に接続された排気装置(図示略)により石英管2内のガスを排出側シールボックス5を介して排出できる。
加熱源9としては、酸水素バーナなどのバーナ、電気炉、誘導コイルと加熱媒体とを備える誘導加熱炉、抵抗加熱によって加熱される発熱体等が使用できる。加熱源9は、位置aと位置bとの間を石英管2の長手方向(図1における左右方向)に沿って移動可能である。図1の例において、位置aは石英管2の第一端2aの近傍に、位置bは石英管2の第二端2bの近傍に設定されている。
以下に説明する光ファイバ母材の製造方法は、石英管2の内面を清浄化する清浄化工程と、石英管2内面にガラスを堆積させるデポジション工程と、石英管2内を縮径させる予備コラプス工程と、ガラス層内面を清浄化するエッチング工程と、石英管2を加熱し中実化させて光ファイバ母材を得る本コラプス工程と、を有する。
図2に示すように、SF6やC2F6などのエッチング用ガスを、O2やHeなどのキャリアガスとともにガス供給管3を通して供給側シールボックス4に供給し、石英管2に第一端2aから流入させ、石英管2内に流通させる。石英管2内のガスは、第二端2b、排出側シールボックス5及びガス排出管6を通して系外に排出する。エッチング用ガスの供給は、石英管2を略全長にわたって加熱しながら行う。すなわち、旋盤によって石英管2を軸回りに回転させながら、加熱源9を石英管2の長手方向に沿って移動させることによって、石英管2を略全長にわたって加熱する。これによって、石英管2内面の表層部分が除去され、石英管2の内面は清浄化される。
デポジション工程では、内付け気相成長(MCVD)法により石英管2内面にガラスを堆積させる。
図3に示すように、SiCl4やGeCl4などの原料ガスを、O2やHeなどのキャリアガスとともにガス供給管3を通して供給側シールボックス4に供給し、石英管2に第一端2aから流入させ、石英管2内に流通させる。石英管2内のガスは、第二端2b、排出側シールボックス5、及びガス排出管6を通して排出する。
これによって、原料ガスは酸化され、石英管2内面にSiO2、GeO2などを主成分とするガラスが堆積し、ガラス層10(スート)が形成される。ガラス層10(スート)は、加熱源9よって加熱され、石英管2と一体化するとともに、焼結され透明化される。
石英管中央部において、原料ガスにおけるGeCl4等のドーパントの比率を高めることにより、石英管中央部において、ドーパント比率の高い部分を有する光ファイバ母材を得ることができる。
透明化されたガラス層10Aの厚さは、例えば0.5mm〜5.0mmとすることができる。石英管2の内径は、例えば10mm〜40mmとすることができる。
予備コラプス工程では、加熱により石英管2を縮径させることができる。前記加熱は、石英管2の内径および外径が所定の径(例えば内径2mm〜15mm)となるまで行うことができる。本工程は、石英管2を縮径させるため、縮径工程と呼ぶこともできる。
より具体的には、位置aと位置bとの間を往復する加熱源9について、位置aと位置bとの間の中点cから位置a又は位置bに向かって加熱源9が移動する際に加熱源9の移動速度を増加させ(増速工程)、位置a又は位置bから中点cに向かって加熱源9が移動する際に加熱源9の移動速度を減少させる(減速工程)。
より詳細には、図6に示すように、加熱源9は、位置a及び位置bにおいてその移動方向を反転するために、それぞれ位置a及び位置bに到達する直前の位置a’及び位置b’において減速を開始する。したがって、前記増速工程では中点cから位置a’又は位置b’に向かって加熱源9が移動する際に加熱源9の移動速度が増加し、前記減速工程では位置a’又は位置b’から中点cに向かって加熱源9が移動する際に加熱源9の移動速度が減少する、ということができる。
なお、石英管2の略全長が加熱されるように加熱源9を往復動させる場合には、位置aを石英管2の第一端2aの近傍に、位置bを石英管2の第二端2bの近傍に設定することができる。また、石英管2の一部のみが加熱されるように加熱源9を往復動させる場合には、位置aを当該対象部分の一端の近傍に、位置bを当該対象部分の他端の近傍に設定することができる。
加熱源9の移動速度プロファイルは図6に例示したものに限られない。例えば、中点cから位置a又は位置bに向かって加熱源9が移動する際の加熱源9の移動速度プロファイルと、位置a又は位置bから中点cに向かって加熱源9が移動する際の加熱源9の移動速度プロファイルと、は互いに異なっていてもよい。
前記増速工程及び前記減速工程の少なくとも一方により、石英管の長手方向における表面温度をより均一にすることができる。加熱帯域Xは、加熱動作を行っている加熱源9において、有効な温度上昇が認められる領域をいう。加熱帯域Xの幅は、40mm〜90mmであることが好ましい。
SF6やC2F6などのエッチング用ガスを、O2やHeなどのキャリアガスとともにガス供給管3を通して供給側シールボックス4に供給し、石英管2に流通させて排出側シールボックス5、ガス排出管6を通して排出する。エッチング用ガスの供給は、石英管2を軸回りに回転させるとともに、加熱源9を石英管2の長手方向に沿って移動させて石英管2を略全長にわたって加熱しながら行う。これによって、エッチングによりガラス層10Aの表層部分が除去されるため、ガラス層10Aの表面に付着した水分を除去するとともに、揮発したGeを除去することができる。
石英管2の内圧は、石英管2へのガス供給量および石英管2からのガス排出量の調整に
より設定できる。石英管2の内圧は、差圧計3aにより確認できる。
石英管2の内圧を外気圧以上とすることによって、石英管2の非円率の悪化を防ぐこと
ができる。
予備コラプス工程およびエッチング工程は、加熱工程と呼ぶこともできる。
Cl2などの脱水用ガスを、O2やHeなどのキャリアガスとともにガス供給管3を通して供給側シールボックス4に供給し、石英管2に流通させ、排出側シールボックス5、ガス排出管6を通して排出する。
石英管2の内圧を外気圧よりも低く保ったまま、石英管2を軸回りに回転させながら、位置aと位置bとの間を往復する加熱源9により加熱すると、当該加熱により軟化が進んだ部分が石英管2の内圧と外気圧との差によって閉塞して初期閉塞部分10aを得ることができる。
石英管2内のガラス層10Aは十分に厚く形成されており、また予備コラプス工程により内径が小さくなっているため、本コラプス工程において石英管2の内圧が外気圧より小さくなっても非円化は起こらない。
初期閉塞部分10aの周辺部分10b,10cを中実化させる際には、初期閉塞部分10aから閉塞部分が連続するように、すなわち閉塞部分が石英管2の長手方向に沿って伸長するように加熱源9の速度や位置等を調整することができる。これによって、長さ方向にわたって完全に中実化した光ファイバ母材が得られる。
より具体的には、位置aと位置bとの間を往復する加熱源9について、位置aと位置bとの間の中点cから位置a又は位置bに向かって加熱源9が移動する際に加熱源9の移動速度を増加させ(増速工程)、位置a又は位置bから中点cに向かって加熱源9が移動する際に加熱源9の移動速度を減少させる(減速工程)。
より詳細には、図6に示すように、加熱源9は、位置a及び位置bにおいてその移動方向を反転するために、それぞれ位置a及び位置bに到達する直前の位置a’及び位置b’において減速を開始する。したがって、前記増速工程では中点cから位置a’又は位置b’に向かって加熱源9が移動する際に加熱源9の移動速度が増加し、前記減速工程では位置a’又は位置b’から中点cに向かって加熱源9が移動する際に加熱源9の移動速度が減少する、ということができる。
なお、石英管2の略全長が加熱されるように加熱源9を往復動させる場合には、位置aを石英管2の第一端2aの近傍に、位置bを石英管2の第二端2bの近傍に設定することができる。また、石英管2の一部のみが加熱されるように加熱源9を往復動させる場合には、位置aを当該対象部分の一端の近傍に、位置bを当該対象部分の他端の近傍に設定することができる。
加熱源9の移動速度プロファイルは図6に例示したものに限られない。例えば、中点cから位置a又は位置bに向かって加熱源9が移動する際の加熱源9の移動速度プロファイルと、位置a又は位置bから中点cに向かって加熱源9が移動する際の加熱源9の移動速度プロファイルと、は互いに異なっていてもよい。
前記増速工程及び前記減速工程の少なくとも一方により、石英管の長手方向における表面温度をより均一にすることができる。
図1に示す光ファイバ母材の製造装置を使用して、以下のように光ファイバ母材を製造した。
外形27mm、全長1000mmの石英管2を用意し、図2に示すように、加熱源9(酸水素バーナ)を石英管2の長手方向に沿って移動させて石英管2を略全長にわたって加熱しながら、エッチング用ガス(C2F6)をキャリアガス(O2)とともにガス供給管3から供給し、石英管2に流通させ、石英管2の内面を清浄化した。
図3に示すように、加熱源9(酸水素バーナ)で石英管2を加熱しながら、原料ガス(SiCl4およびGeCl4)をキャリアガス(O2)とともにガス供給管3から供給し、石英管2に流通させ、石英管2内面にガラス層10(スート)を形成した。石英管2の内径(ガラス層10の内径)は25mmとなった。
位置aと位置bとの間を石英管2の長手方向に沿って往復する加熱源9(酸水素バーナ)により、石英管2を加熱しながら、脱水用ガス(Cl2)をキャリアガス(O2)とともにガス供給管3から供給し、石英管2に流通させた。加熱により石英管2は縮径し、石英管2の内径(ガラス層10Aの内径)は5mmとなった。加熱源9による加熱帯域の幅(X)は、80mmであった。石英管2の両端2a及び2bの近傍において、位置aと位置bとの間の中点cから位置a又は位置bに向かって加熱源9が移動する際に加熱源9の移動速度を増加させ(増速工程)、位置a又は位置bから中点cに向かって加熱源9が移動する際に加熱源9の移動速度を減少させた(減速工程)。その際、石英管の両端2a及び2bの近傍における、加熱源9の最高速度vtを、石英管2の長手方向中央部における加熱源9の速度vcの140%に設定した(図6参照)。また、全長1000mmの石英管2において、増速工程及び減速工程を行う領域の幅(L)を160mmとした。
加熱源9(酸水素バーナ)で石英管2を加熱しながら、エッチング用ガス(C2F6)をキャリアガス(O2)とともにガス供給管3から供給し、石英管2に流通させ、ガラス層10A内面を清浄化した。加熱源9を石英管2の長手方向に沿って往復動させ続けることにより、石英管の加熱を続けた。
ガス供給管3から、脱水用ガス(Cl2)をキャリアガス(O2)とともに石英管2に供給した(図5参照)。ガス供給管3から分岐するバイパス管(図示略)にもガス供給管3内のガスが流通できるようにしておいた。
本コラプス工程終了後に得られた光ファイバ母材の平均直径は15mmであり、長手方向において外径の最大値と最小値との差は、0.10mmであった。
増速工程又は減速工程を行う領域の幅(L)を100mmとした以外は、実施例1と同様に光ファイバ母材の製造を行った。
本コラプス工程終了後に得られた光ファイバ母材の平均直径は15mmであり、長手方向において外径の最大値と最小値との差は、0.14mmであった。
増速工程、及び、減速工程のいずれも行わないこと以外は実施例1と同様に光ファイバ母材の製造を行った。得られた光ファイバ母材では、長手方向の中央部付近と比較して両端部付近において大きな縮径がみられ、長手方向のうねりも確認され、長手方向において外径の最大値と最小値との差は5mmであった。また、製造された光ファイバ母材では、長手方向において添加したゲルマニウムの分布の不均一性が観察された。
Claims (8)
- 第一端、第二端、及び、長手方向に沿った空洞を有する円筒形状の石英管を用いて光ファイバ母材を製造する方法であって、
前記石英管の空洞内にガス供給管より原料ガスを供給しつつ、前記石英管の内面にガラスを堆積させてガラス層を形成するデポジション工程と、
前記ガラス層の内側の空洞内に、前記ガス供給管よりガスを供給しつつ、前記石英管の第一端近傍の位置aと第二端近傍の位置bとの間を前記長手方向に沿って往復する加熱源により前記石英管を加熱し中実化して光ファイバ母材を得るコラプス工程と、を有し、
前記コラプス工程は、前記位置aと前記位置bとの間の中点cから前記位置a又は前記位置bに向かって前記加熱源が移動する際に前記位置a又は前記位置bの近傍で前記加熱源の移動速度を増加させる増速工程と、前記位置a又は前記位置bから前記中点cに向かって前記加熱源が移動する際に前記位置a又は前記位置bの近傍で前記加熱源の移動速度を減少させる減速工程と、を含むことを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。 - 前記増速工程又は前記減速工程において前記加熱源が移動する距離は、前記加熱源による加熱帯域の幅の2倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 前記コラプス工程は、徐々に前記石英管の外径を小さくしていく予備コラプス工程、又は、前記石英管を完全に中実化する本コラプス工程であることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 前記コラプス工程は、前記石英管を回転しながら行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 前記増速工程において、前記加熱源が前記位置a又は前記位置bに近づくにつれて前記加熱源の移動速度をより増加させ、
前記減速工程において、前記加熱源が前記位置a又は前記位置bから離れるにつれて前記加熱源の移動速度をより減少させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。 - 前記加熱源は、誘導コイルと加熱媒体とを備える誘導加熱炉であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 前記加熱源は、抵抗加熱によって加熱される発熱体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 前記加熱源は、バーナであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
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