JP6169196B2 - 表層超電導体の製造方法および表層超電導体 - Google Patents

表層超電導体の製造方法および表層超電導体 Download PDF

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Description

本発明は、表層の超電導転移温度を内部の超電導転移温度より高くした表層超電導体の製造方法および表層超電導体に関する。例えば、本発明は、表層を加工して超電導回路を生成することにより、ジョセフソン素子、電圧標準器、高周波素子、演算素子、高感度磁気センサー、高感度電磁波センサー、超電導バンドパスフィルター等の超電導デバイス、超電導エレクトロニクスに利用できる技術に関する。
超電導デバイスは他のデバイスを超越した機能(量子干渉性、高感度、高精度)を有するため、実用化への期待が高いデバイスとして知られている。基板上に超電導薄膜を作製し(特許文献1参照)薄膜および基板を加工することによって、超電導デバイス、超電導エレクトロニクスを実現する方法が模索されてきた。しかしながら、半導体と比較すると、一般に超電導体は化学組成が複雑であるとともに、基板との格子定数のミスマッチの問題がある。したがって、組成が正確で配向性と結晶性が良好な薄膜を製造することは困難である。更にデバイス特性の再現性と安定性に問題がある。更に製造工程が非常に複雑であり、薄膜蒸着装置は非常に高価で取扱が難しい。更に基板も高価である。このため、超電導デバイスの普及の妨げとなっている。また、化学反応を利用して表層超電導体を製造する方法も提案されている(特許文献2および3参照)。
しかしながら、金属元素や酸素原子を制御性良く拡散させて、超電導デバイスを再現性良く安定に動作させることは困難である。これらの技術の他に超電導体の表面加工方法についても研究されている(特許文献4および5参照)。
しかしながら、これら文献の表面加工技術で表層超電導は観測されていない。
特許文献1には、レーザアブレーションを用いた酸化物超電導薄膜の製造方法が記載されている。また、特許文献1の技術の他にもスパッタリング、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの様々な薄膜製造方法が多くの特許で提案されている。
特許文献2には、Biが不足気味の状態において半導体状態を呈するBiSrCaCu系酸化物薄膜に、不足気味のBiを供給するBi薄膜を被着し、熱処理を行うことにより、化学反応を利用して超電導薄膜(表層超電導体)を形成する方法が示されている。
特許文献3には、還元処理により絶縁体となった高温超電導単結晶に対し、部分的な酸化処理という化学反応により表層のみ超電導を復活させて超電導体層にする方法が示されている。
特許文献4には、酸化物超電導体の表面を超電導特性を維持して清浄化することができる方法が示されている。しかしながら、この方法は、表層にだけ超電導を誘起する技術ではない。
特許文献5には、超電導体の表面を研磨する技術が示されている。しかしながら、この技術は、超電導体自体の交流損失を大幅に減少させることが目的であり、表層にだけ超電導を誘起する技術ではない。
特許第3188912号公報 特許第3015408号公報 特許第5207271号公報 特開平7−14900号公報 特開昭52−133586号公報
本発明の一態様は、特性にばらつきのない表層超電導体とその表層超電導体を安定的に再現性よく製造する方法を提供する。更に、本発明の一態様は、製造工程が簡単で、コストが低く、量産化が可能で、その工程が簡便に実現できる表層超電導体を提供する。また、表層超電導体の製造方法の要点も説明する。
本発明の一態様によると、表層超電導体の製造方法が提供される。この方法は、超電導を抑制するストライプ秩序の存在する超電導体の結晶体に対し、表面を取り除いて新たな加工面を露出させる処理を行なうことによって、新たに露出させた加工面の表層超電導転移温度結晶体内部の超電導転移温度よりも高い表層超電導体を製造することを含む。
本発明の他の態様によると、表層超電導体の製造方法が提供される。この方法は、超電導を抑制するストライプ秩序(ホールが多い一方向電荷ストライプへの電荷キャリア(ホール)の分離であり、ホールが少ない反強磁性的に秩序化されたスピンドメイン間の逆位相の境界を形成する)の存在する組成範囲のペロブスカイト型銅酸化物系高温超電導体の結晶体に対する処理を行うことにより加工面を形成することを含む。この方法は、結晶体のc軸と交差する面を露出させ、この加工面の表層超電導転移温度が結晶体の内部の超電導転移温度よりも高い表層超電導体を製造する。
前記表層超電導体の製造方法は、前記結晶体のc軸と交差する前記加工面を、c軸との交差角度60゜以上120゜以下の加工面とすることが好ましい。
前記表層超電導体の製造方法は、前記加工面の少なくとも一部が銅酸素二次元面を構成することが好ましい。
前記表層超電導体の製造方法は、超電導を抑制する前記ストライプ秩序の存在する前記組成範囲の前記銅酸化物系高温超電導体として、組成式La2−xBaCuO(0.10≦x≦0.15)で表される銅酸化物系高温超電導体を用いることが好ましい。
前記表層超電導体の製造方法は、前記加工面を形成する方法が、研磨、劈開、分割、切断、エッチングのいずれかであることが好ましい。
前記表層超電導体の製造方法は、前記加工面を、前記結晶体の表面の劣化した部分を取り除いて露出させた表面とすることが好ましい。
本発明の更に他の態様によると、表層超導電体を取り入れる。前記超電導体は、超電導を抑制するストライプ秩序の存在する組成範囲のペロブスカイト型銅酸化物系高温超電導体の結晶体から形成される。前記超電導対は、この結晶体のc軸と交差する面を露出させる処理により生成された加工面を有する。この加工面の表層超電導転移温度が、前記加工面以外の前記結晶体の内部の超電導転移温度よりも高い表層超電導体に関する。
前記表層超電導体は、前記結晶体のc軸と交差する加工面が、前記c軸との交差角度60゜以上120゜以下の加工面であることが好ましい。
前記表層超電導体は、前記加工面の少なくとも一部が銅酸素二次元面を構成することが好ましい。
前記表層超電導体は、超電導を抑制する前記ストライプ秩序の存在する前記組成範囲の前記銅酸化物系高温超電導体が、組成式La2−xBaCuO(0.10≦x≦0.15)で表される銅酸化物系高温超電導体であることが好ましい。
前記表層超電導体は、前記加工面が、研磨によって加工された面、劈開によって加工された面、分割によって加工された面、切断によって加工された面、エッチングによって加工された面のいずれかであることが好ましい。
前記表層超電導体は、前記加工面が、前記結晶体の表面の劣化した部分を取り除いて露出された表面であることが好ましい。
本発明の一態様を用いれば、高価な膜成長装置や基板を使用することなく、基板との格子定数のミスマッチの問題を回避して、組成が正確で配向性と結晶性が良好で、特性にばらつきのない表層超電導体を安定的に再現性よく製造することが可能になる。しかも、化学反応を用いずに劣化した表面を取り除いて新たに加工面を露出させる処理だけで表層超電導体が得られるため、成膜過程が簡略化されて製造工程が非常に簡単になる。
このような表面処理は通常基板を製造する際に行なわれている表面処理と同等であり、新たな複雑な工程を要しない。したがって、コストが下がり、量産化が可能になり、簡便に高品質な表層超電導体が得られるようになる。
第1実施形態に係る表層超電導体に表層電気抵抗測定用の電圧端子を設定した斜視図。 第1実施形態に係る表層超電導体に内部電気抵抗測定用の電圧端子を設定した斜視図。 第1実施形態に係る表層超電導体に表層熱起電力測定用の端子を設定した斜視図。 第1実施形態に係る表層超電導体に内部熱起電力測定用の端子を設定した斜視図。 La2−xBaCuO(x=0.115)なる組成比の表層超電導体の加工面と内部の電気抵抗率の温度依存性を示すグラフ。 La2−xBaCuO(x=0.120)なる組成比の表層超電導体の加工面と内部の電気抵抗率の温度依存性を示すグラフ。 La2−xBaCuO(x=0.120)なる組成比の表層超電導体の加工面と内部の熱起電力の温度依存性を示すグラフ。 La2−xBaCuO(x=0.139)なる組成比の表層超電導体の加工面と内部の電気抵抗率の温度依存性を示すグラフ。 La2−xBaCuO(x=0.076)なる組成比の超電導体の加工面と内部の電気抵抗率の温度依存性を示すグラフ。 La2−xBaCuO(x=0.092)なる組成比の超電導体の加工面と内部の電気抵抗率の温度依存性を示すグラフ。 La2−xBaCuOなる組成比の表層超電導体の加工面と内部の電気抵抗率から決めた超電導転移温度のBa濃度(x)依存性を示すグラフ。 La2−xBaCuO(x=0.120)なる組成比の表層超電導体の表層(銅酸素面から30度の傾斜)と内部の電気抵抗率の温度依存性を示すグラフ。 La2−xBaCuO(x=0.120)なる組成比の表層超電導体の加工面(へき開による加工面)と内部の電気抵抗率の温度依存性を示すグラフ La2−xBaCuO(x=0.120)なる組成比の表層超電導体の加工面(切断加工面)と内部の電気抵抗率の温度依存性を示すグラフ。 La2−xBaCuO(x=0.120)なる組成比の表層超電導体の加工面(P800研磨紙による加工面)と内部の電気抵抗率の温度依存性を示すグラフ。 La2−xBaCuO(x=0.120)なる組成比の表層超電導体の加工面(アルミナ研磨粉による研磨加工面)と内部の電気抵抗率の温度依存性を示すグラフ。 La2−xBaCuO(x=0.120)なる組成比の表層超電導体の加工面(プラズマエッチング加工面)と内部の電気抵抗率の温度依存性を示すグラフ。 La2−xSrCuO(x=0.105)なる組成比の表層超電導体の加工面と内部の電気抵抗率の温度依存性を示すグラフ。
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は以下に説明する実施形態に制限されるものではない。
本実施形態の表層超電導体は、超電導を抑制した超電導体に対して、劣化した表面を取り除いて新たな加工面を新たに露出させる処理を行なうことによって、新たに露出した加工面の表層超電導転移温度をその内部の超電導転移温度よりも向上させて、得ることができる。
超電導を抑制した超電導体としては、不純物、欠陥、電子相関を導入した金属系超電導体、酸化物超電導体、鉄系超電導体、その他の超電導体等の各種のものが使用できる。しかしながら、好適には、超電導を抑制するストライプ秩序の存在する超電導体を用いてよい。
図1Aは、第1実施形態に係る表層超電導体の斜視図である。
本実施形態の表層超電導体Aは、ストライプ秩序の存在する組成範囲のペロブスカイト型銅酸化物系高温超電導体の結晶体1からなり、この結晶体1のc軸と交差する面を露出させる処理により生成された加工面1aを有する。この加工面1aの表層超電導転移温度が、前記加工面以外の結晶体の内部の超電導転移温度よりも高い。
本実施形態の結晶体1は図1Aに示すように4角チップ型であり、その上面に上述の処理による加工面1aが形成されている。この加工面1aとは、本実施形態では結晶体1を製造後、結晶体1のc軸に直角な面に沿って、後に詳述する研磨加工、切断加工、劈開などの加工方法により形成した加工面である。
なお、結晶体1の側面1b、1cと底面1dは特に意図した処理による加工面にはされていない。本実施形態において“加工面として形成されていない面”とは、加工面を形成するための上述の加工がなされていないか、あるいは、加工されていたとしても、加工後に大気中に放置して表面に大気中の不純物が付着された面、あるいは、大気中の水分や二酸化炭素などの化学物質と反応した反応層を有する面、あるいは歪の入った面とされることにより、結晶体1の内部の転移温度よりも転移温度が高くなっていない面を意味する。あるいは、“加工面として形成されていない面”とは、加工面を形成するための処理がなされていても結晶方位が異なるなど、何らかの原因により結晶体1の内部の転移温度よりも転移温度が高くなっていない面を意味する。
結晶体1の結晶方位と加工面の関係、並びに、結晶体1の内部の超電導転移温度よりも超電導転移温度が高くなるか否かについての関連性については後に説明する。
以下、結晶体1について説明する。
超電導を抑制するストライプ秩序の存在する超電導体の結晶体1としては、YBaCu6+x、La2−xSrCuO、La2−x(Sr,Ba)CuO、(La,Nd)2−xSrCuO、(La,Sm)2−xSrCuO、(La,Eu)2−xSrCuO、(La,Gd)2−xSrCuOあるいは(La,Tb)2−xSrCuO、(La,Nd)2−xBaCuO、(La,Sm)2−xBaCuO、(La,Eu)2−xBaCuO、(La,Gd)2−xBaCuOあるいは(La,Tb)2−xBaCuO、(La,Nd)2−x(Sr,Ba)CuO、(La,Sm)2−x(Sr,Ba)CuO、(La,Eu)2−x(Sr,Ba)CuO、(La,Gd)2−x(Sr,Ba)CuOあるいは(La,Tb)2−x(Sr,Ba)CuO、BiSrCaCu等の組成式で示される各種の超電導体が使用されてよい。しかしながら、好適には、La2−xBaCuOなる組成式で示す超電導体を用いてよい。このLa2−xBaCuOなる組成式で示すペロブスカイト型の銅酸化物系高温超電導体は、0.10≦x≦0.15の範囲で超電導を抑制するストライプ秩序の存在することが知られている。
本実施形態における超電導体の結晶体1は、任意の製造方法で製造された超電導体でよい。しかしながら、結晶体1は、例えば、焼結法、フラックス法、引き上げ法、成膜法等の方法で製造されてよい。好適には、レーザ加熱あるいはランプ加熱によるフローティングゾーン法を用いてよい。
本実施形態における超電導を抑制した超電導体の結晶体1は、任意の形状を有してよい。また、結晶体1は、図1Aに示したチップ型の他に、正方形、長方形、円、楕円(長円)、六角形等の任意の形状を有してよい。また、結晶体1は、成膜法により基板上に形成した薄膜であってよい。
ペロブスカイト型の銅酸化物超電導体の場合、全体として、あるいは、部分的に銅酸素二次元面から構成される面を加工面1aとすることが望ましい。好適には、表層超電導の効果が発揮されやすい銅酸素二次元面に平行な表面そのものを加工面1aとすることが好ましい。また、この加工面1aは、銅酸素二次元面に多少傾斜していてもよい。例えば、この加工面1aは、ペロブスカイト型銅酸化物系高温超電導体の結晶のc軸に対し60゜以上、120゜以下程度傾斜した面であってもよい。加工面が、上面1aに代えて、底面1dであってもよい。
図1Aに示すようにペロブスカイト型銅酸化物系高温超電導体の結晶体1のa軸、b軸、c軸を規定した場合、c軸に直角なab面を加工面1aとすることが望ましい。ここで便宜的にa軸、b軸の方向を図1Aに示してある。ストライプ秩序の下ではa軸とb軸は等価であるので、a軸とb軸をc軸の周りで回転させた向きの結晶体1を用いても効果は変わらない。
更に、c軸に対し60゜以上120゜以下傾斜した加工面(換言すると、c軸に対しab面が90゜で交差する面であるので、加工面は、ab面に対し±30゜の範囲で傾斜する)であっても、加工面に沿って近接するab面が露出した微結晶どうしで近接効果が発揮され、従って、加工面は、結晶体1の内部でストライプ秩序を示す部分よりも高い超電導転移温度を示してよい。
本発明における劣化した表面を取り除いて新たな加工面1aを新たに露出させる処理は、劈開や切断のように、全く新しい面を露出させてもよいし、また、表面付近を除去して新たな表面を露出させてもよい。表面付近を除去して新たな加工面1aを新たに露出させる処理および加工の例として、特に限定するものではないが、例えば、やすりがけ、ラッピングなどを含む研磨加工、エッチング、イオンミリング、プラズマエッチング、電解研磨等を挙げることができる。好適には、処理、加工操作の容易性と、その効果から、研磨加工やプラズマエッチングによる加工面を採用することが好ましい。
これらの劣化した表面を取り除いて新たな表面としての加工面を新たに露出させる処理は、1種類だけでも良いが、表層における超電導転移温度の向上効果をより確実にするために、複数の加工を組み合わせて行ってもよい。
研磨の場合であれば、例えば、P240〜P2500の範囲の研磨紙を用いてよい。プラズマエッチングの場合、例えば、10W〜1kWの範囲の条件を採用してよい。また、これらの処理を併用して加工面1aを作製してもよい。
次に、銅酸化物高温超電導体におけるストライプ秩序について説明する。銅酸素二次元面が積層した構造を持ち、高い超電導転移温度を示す銅酸化物超電導体において、ホール濃度が1/8=0.125近傍で特異的に超電導が抑制されるという異常を示すことが知られ、この異常は、1/8異常と呼ばれている。この異常の原因として、以下の説が有力視されている。銅酸素二次元面内でホールがストライプ状(縞状)に整列してホールの運動が制限されることにより、超電導が抑制される。このようにホールが整列した秩序状態をストライプ秩序と呼んでいる。
近年の研究により、本発明者は、結晶体の全体でストライプ秩序が形成されて、超電導が抑制されていても、劣化した表面を取り除いて加工面とすることでこの加工面の超電導転移温度をその他の部分(結晶体の内部)よりも高くできることを発見した。即ち、結晶体に対し、全体としてあるいは部分的に銅酸素二次元面を含むように新たな表面(加工面)を新たに露出させる処理を行なうことにより、新たな加工面の超電導転移温度をその結晶体の内部の超電導転移温度よりも向上させた表層超電導体が得られることを見出した。
この技術を利用すれば、高度な技術は要せず簡単な処理を行なって加工面を作製することにより、結晶体の表面に超電導薄膜と同等の機能を再現性よく実現できる。
図1Aに示す構造の表層超電導体Aは、結晶体1の上面を加工面1aとしている。ここで、この加工面1a上に互いに離間するように一対の電圧端子(電極)2および3が取り付けられる。次に、これらの端子に電圧計5を接続し、側面1cおよび1cに電流源6を接続する。これらの試験的な設定条件下において、加工面1aの表層超電導転移温度を4端子法に基づき測定してよい。
また、図1Bに示すように、結晶体1の側面1bに一対の電圧端子(電極)7および8を取り付け、これらの端子に電圧計9を接続し、側面1cおよび1cに電流源6を接続することで、結晶体1の内部の超電導転移温度(側面1bに沿う超電導転移温度)を測定してよい。なお、側面1bおよび1cは上述のような加工を施していない面とする。
図1Aに示す状態の結晶体1を冷凍機等で冷却し、この温度を低下させてゆくと、何れかの温度において抵抗が0となって超電導電流が流れ始める。これにより、加工面1aの超電導転移温度を測定してよい。また、同様に図1Bに示す状態の結晶体1の温度を低下させて、側面1bの超電導転移温度を測定してよい。
本実施形態の表層超電導体Aでは、加工面1aの超電導転移温度が側面1bの超電導転移温度よりも高くなる。これは、加工面1aを形成するための処理により、結晶体1の表面状態を変更したことによる。
結晶体をフローティングゾーン法、焼結法、フラックス法、引き上げ法を含む上述の方法で製造した後、そのまま大気中に放置しておくと、表面が変化する。
例えば、この変化の原因は以下のとおりである。製造後、結晶体の表面に大気中の異物が付着して汚れる。また、大気中の水分や二酸化炭素などの反応性のある化学物質と反応して結晶体の表面に反応生成物が生成する。更には、歪の影響により、変化が生じる。製造後の結晶体を調べても超電導転移温度が特定の面のみ高くなることはない。
これに対し、ストライプ秩序を有するペロブスカイト型銅酸化物系高温超電導体の結晶体に対し、銅酸素二次元面を含むように新たな加工面を新たに露出させると、上記の異物や反応物、歪などを除去できる。この結果、超電導転移温度が特定の面のみ高くなる現象を誘起できると推定できる。ストライプ秩序は、結晶構造相転移に起因して起こることが知られているので、ストライプ秩序と歪の間には何らかの相関があると考えられる。従って、以下のメカニズムが生じているものと推定される。歪が除去された面は何らかの原因でストライプ秩序が抑制される。以上説明のように、特定の結晶面に沿った汚れや付着物の影響あるいは歪の影響を任意の手段で除去するか変更することで、ストライプ秩序を抑制した面を得ることができる。これにより超電導転移温度を加工面1aにおいて高くすることができたと推定できる。なお、このようなメカニズムは過去において報告されておらず、本発明者が初めて発見した。
以上説明のように図1に示す表層超電導体Aは、加工面1aが示す超電導転移温度より低い温度であって、結晶体1の側面1bが示す超電導転移温度、換言すると、結晶体1の内部が示す超電導転移温度より高い温度に冷却して使用する。
この冷却条件ならば、結晶体1は、加工面1aに沿った表層にのみ超電導特性を得る。従って、結晶体1は、加工面1aを含む表層部分に必要な回路を形成しておくならば、ジョセフソン素子、電圧標準器、高周波素子、演算素子、高感度磁気センサー、高感度電磁波センサー、超電導バンドパスフィルター等の電子デバイスに利用されてよい。
なお、これらの回路や素子を加工面1aの表層部分に成形した後、これらの回路や素子を保護層で覆って、大気との接触で変質しないようにしておくことが好ましい。
以上説明のように得られた表層超電導体Aは、結晶体1のc軸に垂直なab面に沿ってあるいはc軸に60゜以上120°以下程度まで傾斜した面となるような加工面1aを形成する単純な処理で得られる。従って、表層超電導体Aは、極めて容易に製造できる。また、加工面1aを形成するために行う処理は、研磨加工(研磨粉を用いた研磨、やすりがけ、ラッピング等を含む)、エッチング加工、イオンミリング加工、プラズマエッチング加工、電解研磨加工等の加工方法である。これらは、いずれも特別な方法ではなく、関連分野において知られた加工方法である。従って、表層超電導体Aの製造を容易に実施できる。
以下に表層超電導体を実現する具体的な方法を詳述するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
主としてBa濃度xが0.10以上0.15以下の範囲で超電導を抑制するストライプ秩序が存在するLa2−xBaCuOを用いて実施した。特許5046101号公報、特許5181396号公報に記載のレーザ加熱によるフローティングゾーン法によりLa2−xBaCuOなる組成比で示される酸化物超電導体の単結晶を作製した。
La2−xSrCuOの単結晶についてはランプ加熱によるフローティングゾーン法により育成した。その単結晶に対して研磨、エッチングなどによる新たな表面を露出させる処理と加工を行なった。
市販のQuantum Design社製のPPMS(物理特性評価装置)を用いて、図1Aおよび1Bに示す電極配置(四端子法)で電気抵抗率を測定した。図1Cおよび1Dに示す配置構成で熱起電力(ゼーベック係数)の測定を行った。図1Cおよび1Dに示す構成において、結晶体1の加工面1aと側面1bには、図1Aおよび1Bの場合と同様の電極端子と電圧計をそれぞれ設けている。また、図1Cおよび1Dに符号10で示すものは結晶体1の一側の側面1cに接触された熱浴、符号11で示すものは他側の側面1cに接触されたヒーター、符号12で示すものは電流源である。
電圧端子は隣の面からの影響を受けないよう各面の十分内部に取り付け、即ち、加工面1aに取り付けた電圧端子2および3が側面1bおよび1cに接触しないように電圧端子を取り付けた。銅酸素二次元面(ab面)に平行な(c軸に垂直な)あるいは多少傾いた表面と銅酸素二次元面に垂直な(c軸に平行な)表面での超電導転移温度を求めた。
超電導転移温度は表層の超電導転移温度および内部の超電導転移温度、TcsおよびTの各々に相当する。具体的には、均一に電流あるいは熱を流して表面の電圧(V)あるいは内部の電圧(Vab)を測定した。以下、表面の電気抵抗率をρ、内部の電気抵抗率をρab、表面の熱起電力をS、内部の熱起電力をSabと表記する。
なお、図1Cに示す2つの電圧端子2および3の位置、あるいは図1Dに示す2つの電圧端子7および8の位置での温度差(ΔT)を示差熱電対で測定し、熱起電力(ゼーベック係数S)を“S=ΔV/ΔT”として計算することで、熱起電力を得てよい。定常的な温度勾配(定常的な熱流)の下で起電力(ΔV)の測定を行う定常法を用いた。
La2−xBaCuO(x=0.115)の単結晶を以下の手順で作製し、電気抵抗率を測定した。
(1)原料棒の作製:乾燥したLa、BaCO、CuO(いずれも純度99.9%)を原料として、モル比でLa:Ba:Cu=1.88:0.12:1.05の割合で総量が10gになるように秤量した。次に、これらの原料を混合し、950℃、12時間反応させた。得られた反応体を粉砕し、直径7mmのラバーチューブに密に詰めた。次に、静水圧プレスを行ない、得られた丸棒を950℃から1100℃まで12時間かけて温度上昇させながら焼結した。得られた焼結棒を原料棒とし、結晶育成炉の上軸に取り付けた。
(2)種結晶の作製:(1)と同様の手順で焼結棒を作製し、それを種結晶とし、結晶育成炉の下軸に取り付けた。
(3)ソルベントの作製:乾燥したLa、BaCO、CuO(いずれも純度99.9%)を原料として、モル比でLa:Ba:Cu=1:1:5の割合で総量が10gになるように秤量した。次に、これらの原料を混合し、850℃にて12時間反応させた。得られた反応体を粉砕し、直径7mmのラバーチューブに密に詰めた。次に、静水圧プレスを行ない、得られた丸棒を850℃にて12時間焼結した。得られた焼結棒から0.26gの円盤形状に切り出してソルベントとして使用した。このソルベントを種結晶の上端に取り付けた。
(4)結晶育成:酸素3気圧を印加してレーザ加熱によりソルベントを溶融させ、原料棒と種結晶を接合させた。次に、上軸と下軸をそれぞれ逆方向に30rpmで回転させながら、0.5mm/hでフローティングゾーン法による結晶育成を行なった。育成時のレーザパワーは13.0Wであった。育成初期は多結晶状であったが、徐々に結晶方位がそろい、最終的には単結晶になった。
(5)結晶の加工:ラウエ写真により結晶方位を決定し、図1のチップ形状に結晶をダイヤモンドソー(刃厚0.3mm、回転速度5rpm)を用いて切断速度2μm/秒で切り出し、表面全体をP1200の研磨紙とエタノール(潤滑剤)を用いて手作業で1分間かけて磨いて、新たな表面(加工面)を新たに露出させて表層超電導体を得た。
図1に示す電極配置で銀ペースト(DuPont 6838)を塗布し、酸素気流中で450℃にて10分加熱した。
(6)電気抵抗率の測定:図2に示したように表面(加工面)および内部の電気抵抗率の温度依存性を測定した。零抵抗になる温度から決定した超電導転移温度は表面(Tcs)が33Kであるのに対し、内部(T)が26Kであった。2つの転移温度の間の領域(温度差7K)では表層超電導体が形成された。内部では、ストライプ秩序の存在により超電導が抑制されて転移温度が下がっている。表層では、劣化した表面を取り除いて新たな表面を新たに露出させる処理と加工を行なった結果、新たに露出した表面の表層超電導転移温度がその内部の超電導転移温度よりも高い。
La2−xBaCuO(x=0.120)の単結晶を以下の方法および順番で作製し、電気抵抗率を測定した。
(1)原料棒の作製:混合モル比をLa:Ba:Cu=1.87:0.13:1.05の割合にする以外は実施例1と全く同じ手順で原料棒を作製した。
(2)種結晶の作製:(1)と同様の手順で焼結棒を作製し、焼結棒を種結晶とし、結晶育成炉の下軸に取り付けた。
(3)ソルベントの作製:実施例1で得られたソルベントの焼結棒から0.26gの円盤形状に切り出してソルベントとした。このソルベントを種結晶の上端に取り付けた。
(4)結晶育成:レーザパワーを13.6Wにする以外は実施例1と同じ手順で結晶育成を行なった。育成初期は多結晶状であったが、徐々に結晶方位がそろい、最終的には単結晶になった。
(5)結晶の加工:実施例1と同様の手順で結晶を加工し、電極の取り付けを行った。
(6)電気抵抗率の測定:図3に示したように表面および内部の電気抵抗率の温度依存性を測定した。零抵抗になる温度から決定した超電導転移温度は表面(Tcs)が36Kであるのに対し、内部(T)が22Kであった。2つの転移温度の間の領域(温度差14K)では表層超電導体が形成された。内部では、ストライプ秩序の存在により超電導が抑制されて転移温度が下がっている。表層では、劣化した表面を取り除いて新たな表面を新たに露出させる処理と加工を行なった結果、新たに露出した表面の表層超電導転移温度がその内部の超電導転移温度よりも高い。
La2−xBaCuO(x=0.120)の単結晶を用いて、以下の手順で熱起電力を測定した。
(1)〜(5):実施例2と同様である。
(6)熱起電力の測定:図4に示したように表層および内部の熱起電力の温度依存性を測定した。零起電力になる温度から決定した超電導転移温度は表面(Tcs)が36Kであるのに対し、内部(T)が22Kであった。これは、実施例2での電気抵抗率の結果と同じである。2つの転移温度の間の領域(温度差14K)では表層超電導体が形成された。内部では、ストライプ秩序の存在により超電導が抑制されて転移温度が下がっている。表面では、劣化した表面を取り除いて新たな表面を新たに露出させる処理と加工を行なった結果、新たに露出した表面(加工面)の表層超電導転移温度がその内部の超電導転移温度よりも高い。
La2−xBaCuO(x=0.139)の単結晶を以下の方法および順番で作製し、電気抵抗率を測定した。
(1)原料棒の作製:混合モル比をLa:Ba:Cu=1.85:0.15:1.05の割合にする以外は実施例1と同じ手順で原料棒を作製した。
(2)種結晶の作製:(1)と同様の手順で焼結棒を作製し、その焼結棒を種結晶とし、結晶育成炉の下軸に取り付けた。
(3)ソルベントの作製:実施例1で得られたソルベントの焼結棒から0.26gの円盤形状に切り出してソルベントとして使用した。このソルベントを種結晶の上端に取り付けた。
(4)結晶育成:レーザパワーを15.0Wにする以外は実施例1と同じ手順で結晶育成を行なった。育成初期は多結晶状であったが、徐々に結晶方位がそろい、最終的には単結晶になった。
(5)結晶の加工:実施例1と同様の手順で結晶を加工し、電極の取り付けを行った。
(6)電気抵抗率の測定:図5に示したように表面および内部の電気抵抗率の温度依存性を測定した。零抵抗になる温度から決定した超電導転移温度は表面(Tcs)が34Kであるのに対し、内部(T)が21Kであった。2つの転移温度の間の領域(温度差13K)では表層超電導体が形成された。内部では、ストライプ秩序の存在により超電導が抑制されて転移温度が下がっている。表面では、劣化した表面を取り除いて新たな表面を新たに露出させる処理と加工を行なった結果、新たに露出した表面(加工面)の表層超電導転移温度がその内部の超電導転移温度よりも高い。
(比較例1)
La2−xBaCuO(x=0.076)の単結晶を以下の方法および順番で作製し、電気抵抗率を測定した。
(1)原料棒の作製:混合モル比をLa:Ba:Cu=1.82:0.08:1.05の割合にする以外は実施例1と同じ手順で原料棒を作製した。
(2)種結晶の作製:(1)と同様の手順で焼結棒を作製し、その焼結棒を種結晶とし、結晶育成炉の下軸に取り付けた。
(3)ソルベントの作製:実施例1で得られたソルベントの焼結棒から0.31gの円盤形状に切り出してソルベントとして使用した。このソルベントを種結晶の上端に取り付けた。
(4)結晶育成:レーザパワーを13.0Wにする以外は実施例1と同じ手順で結晶育成を行なった。育成初期は多結晶状であったが、徐々に結晶方位がそろい、最終的には単結晶になった。
(5)結晶の加工:実施例1と同様の手順で結晶を加工し、電極の取り付けを行った。
(6)電気抵抗率の測定:図6に示したように表面および内部の電気抵抗率の温度依存性を測定した。零抵抗になる温度から決定した超電導転移温度は表面(Tcs)、内部(T)ともに22Kで一致した。表層超電導体は形成されなかった。ストライプ秩序が存在しないため、内部で超電導が抑制されず、表面と内部の超電導の違いが存在しない。
(比較例2)
La2−xBaCuO(x=0.092)の単結晶を以下の方法および順番で作製し、電気抵抗率を測定した。
(1)原料棒の作製:混合モル比をLa:Ba:Cu=1.90:0.10:1.05の割合にする以外は実施例1と同じ手順で原料棒を作製した。
(2)種結晶の作製:(1)と同様の手順で焼結棒を作製し、その焼結棒を種結晶とし、結晶育成炉の下軸に取り付けた。
(3)ソルベントの作製:実施例1で得られたソルベントの焼結棒から0.36gの円盤形状に切り出してソルベントとして使用した。このソルベントを種結晶の上端に取り付けた。
(4)結晶育成:レーザパワーを13.2Wにする以外は実施例1と同じ手順で結晶育成を行なった。育成初期は多結晶状であったが、徐々に結晶方位がそろい、最終的には単結晶になった。
(5)結晶の加工:実施例1と同様の手順で結晶を加工し、電極の取り付けを行った。
(6)電気抵抗率の測定:図7に示したように表面および内部の電気抵抗率の温度依存性を測定した。零抵抗になる温度から決定した超電導転移温度は表面(Tcs)、内部(T)ともに30Kで一致した。表層超電導体は形成されなかった。ストライプ秩序が存在しないため、内部で超電導が抑制されず、表面と内部での超電導の違いが存在しない。
以上の実施例1〜4並びに比較例1および、2における表面と内部の超電導転移温度を組成xの関数として図8にまとめて示す。表面の超電導転移温度よりも高温域では、表面、内部のいずれにも超電導は存在しない。内部の超電導転移温度よりも低温域では表面、内部共に超電導になっており、通常の超電導体と同じである。
これら二種類の転移温度の間の中間温度域では、表面のみが超電導になっており、超電導薄膜(表層超電導体)として使用が可能である。図8中の各温度域に、チップ状の結晶体において有限抵抗を有する通常状態部分を灰色で、零抵抗を有する超電導部分を白色で、模式的に示している。
中間温度域では、内部はストライプ秩序の存在により超電導が抑制されて転移温度が下がっている。表面は新たな表面を露出させる処理と加工を行なうことによって表面のみ超電導転移温度が向上し、内部よりも高くなっている。特にストライプ秩序が最も強固なx=0.125付近では、両転移温度の差が大きく、また表層超電導が出現し始める温度が高いため、表層超電導体として利用するのに有利である。
以上、銅酸素二次元面(ab面)に平行な表面に付随する表層超電導について述べた。しかしながら、表面がab面から傾いた場合でも表層超電導体を利用できる。
La2−xBaCuO(x=0.120)の単結晶を以下の方法および順番で作製し、銅酸素二次元面から30度傾いた表面を露出させて、電気抵抗率を測定した。
(1)〜(4):実施例2と同様である。
(5)結晶の加工:実施例2と同様の手順で結晶を加工し、電極の取り付けを行った。ただし銅酸素二次元面から30度傾いた表面が部分的に露出するようにダイヤモンドソー(刃厚0.1mm、回転速度3600rpm)を用いて切断速度50μm/秒で結晶を切断した。表面研磨にはP800の研磨紙を用いて潤滑剤なしで手作業で1分間かけて表面研磨を行なった。他の表面の研磨には粒径1μmのアルミナ研磨粉とエタノール(潤滑剤)を用いて手作業で30分間かけて研磨を行なった。電極は金ペースト(田中貴金属製TR−1301)を塗布し、酸素気流中で900℃にて10分加熱した。
(6)電気抵抗率の測定:図9に示したように表面および内部の電気抵抗率の温度依存性を測定した。零抵抗になる温度から決定した超電導転移温度は表面(Tcs)が26Kであるのに対し、内部(T)が16Kであった。2つの転移温度の間の領域(温度差10K)では表層超電導体が形成された。内部では、ストライプ秩序の存在により超電導が抑制されて転移温度が下がっている。表面では、劣化した表面を取り除いて新たな表面を新たに露出させる処理と加工を行なった結果、新たに露出した表面の表層超電導転移温度がその内部の超電導転移温度よりも高い。
傾いた表面においても原子スケールでは段差(階段)状にab面が現れ、近接効果によってそれぞれのab面の断片が結合され、表面層の全体が超電導体になる。表面は必ずしも平面である必要はなく、曲面であってもよい。しかしながら、表面がab面に垂直で平滑性のよい平面の場合には、部分的にもab面は現れないから表層超電導は現れない。この性質を利用することによって内部の超電導転移温度(T)を決定してよい。
以上の多くの実施例での表面処理はP1200の研磨紙による研磨を用いたが、新たな表面を露出させる処理と加工はその方法に限定されるものではない。以下にその他の表面を露出させる処理と加工法について詳述する。
La2−xBaCuO(x=0.120)の単結晶を以下の方法および順番で作製し、劈開させて銅酸素二次元面に平行な表面を露出させた後、電気抵抗率を測定した。
(1)〜(4):実施例2と同様である。
(5)結晶の加工:実施例2と同様の手順で結晶を加工し、電極の取り付けを行った。ただし銅酸素二次元面に平行な表面は劈開によって露出した。この実施例では偶然劈開した表面を利用したが、マイナスの時計ドライバーなどの鋭い金属を用いて意図的に劈開を行ってもよい。銅酸素二次元面に垂直な表面はダイヤモンドソー(刃厚0.1mm、回転速度3600rpm)を用いて切断速度50μm/秒で切り出し、粒径1μmのアルミナ研磨粉とエタノール(潤滑剤)を用いて手作業で30分間かけて磨いた。電極は金ペースト(田中貴金属製TR−1301)を塗布し、酸素気流中で900℃にて10分加熱した。
(6)電気抵抗率の測定:図10に示したように表面および内部の電気抵抗率の温度依存性を測定した。零抵抗になる温度から決定した超電導転移温度は表面(Tcs)が32Kであるのに対し、内部(T)が16Kであった。2つの転移温度の間の領域(温度差16K)では表層超電導体が形成された。内部では、ストライプ秩序の存在により超電導が抑制されて転移温度が下がっている。表面では、劣化した表面を取り除いて新たな表面を新たに露出させる処理と加工を行なった結果、新たに露出した表面の表層超電導転移温度がその内部の超電導転移温度よりも高い。
La2−xBaCuO(x=0.120)の単結晶を以下の方法および順番で作製し、切断によって表面を露出させた後、電気抵抗率を測定した。
(1)〜(4):実施例2と同様である。
(5)結晶の加工:実施例2と同様の手順で結晶を加工し、電極の取り付けを行った。ただし表面はダイヤモンドソー(刃厚0.1mm、回転速度3600rpm)を用いて切断速度50μm/秒で切断することにより得られた。電極は金ペースト(田中貴金属製TR−1301)を塗布し、酸素気流中で900℃にて10分加熱した。
(6)電気抵抗率の測定:図11に示したように表面および内部の電気抵抗率の温度依存性を測定した。零抵抗になる温度から決定した超電導転移温度は表面(Tcs)が31Kであるのに対し、内部(T)が19Kであった。2つの転移温度の間の領域(温度差12K)では表層超電導体が形成された。内部では、ストライプ秩序の存在により超電導が抑制されて転移温度が下がっている。表面では、劣化した表面を取り除いて新たな表面を新たに露出させる処理と加工を行なった結果、新たに露出した表面の表層超電導転移温度がその内部の超電導転移温度よりも高い。
La2−xBaCuO(x=0.120)の単結晶を以下の順番で作製し、表面をP800の研磨紙で研磨した後、電気抵抗率を測定した。
(1)〜(4):実施例2と同様である。
(5)結晶の加工:実施例2と同様の手順で結晶を加工し、電極の取り付けを行った。ただし銅酸素二次元面に平行な表面の研磨にはP800の研磨紙を用いて潤滑剤なしで手作業で1分間かけて研磨を行った。銅酸素二次元面に垂直な表面の研磨には粒径1μmのアルミナ研磨粉とエタノール(潤滑剤)を用いて手作業で30分間かけて研磨を行った。電極は金ペースト(田中貴金属製TR−1301)を塗布し、酸素気流中で900℃にて10分加熱した。
(6)電気抵抗率の測定:図12に示したように表面および内部の電気抵抗率の温度依存性を測定した。零抵抗になる温度から決定した超電導転移温度は表面(Tcs)が35Kであるのに対し、内部(T)が16Kであった。2つの転移温度の間の領域(温度差19K)では表層超電導体が形成された。内部では、ストライプ秩序の存在により超電導が抑制されて転移温度が下がっている。表面では、劣化した表面を取り除いて新たな表面を新たに露出させる処理と加工を行なった結果、新たに露出した表面の表層超電導転移温度がその内部の超電導転移温度よりも高い。
La2−xBaCuO(x=0.120)の単結晶を以下の方法および順番で作製し、表面を粒径1μmのアルミナ研磨粉で研磨した後、電気抵抗率を測定した。
(1)〜(4):実施例2と同様である。
(5)結晶の加工:実施例2と同様の手順で結晶を加工し、電極の取り付けを行った。ただし全表面の研磨には粒径1μmのアルミナ研磨粉とエタノール(潤滑剤)を用いて手作業で30分間かけて研磨を行った。電極は金ペースト(田中貴金属製TR−1301)を塗布し、酸素気流中で900℃にて10分加熱した。
(6)電気抵抗率の測定:図13に示したように表面および内部の電気抵抗率の温度依存性を測定した。零抵抗になる温度から決定した超電導転移温度は表面(Tcs)が37Kであるのに対し、内部(T)が16Kであった。2つの転移温度の間の領域(温度差21K)では表層超電導体が形成された。内部では、ストライプ秩序の存在により超電導が抑制されて転移温度が下がっている。表面では、劣化した表面を取り除いて新たな表面を新たに露出させる処理と加工を行なった結果、新たに露出した表面の表層超電導転移温度がその内部の超電導転移温度よりも高い。
La2−xBaCuO(x=0.120)の単結晶を以下の方法および順番で作製し、表面をプラズマでエッチングした後、電気抵抗率を測定した。
(1)〜(4):実施例2と同様である。
(5)結晶の加工:実施例2と同様の手順で結晶を加工し、電極の取り付けを行った。ただし銅酸素二次元面に平行な表面処理にはプラズマ(アルゴン流量6.4sccm、1mTorr、400W、イオン電流1.4mA、30秒間)によるエッチングを用い、銅酸素二次元面に垂直な表面の研磨には粒径1μmのアルミナ研磨粉とエタノール(潤滑剤)を用いて手作業で30分間かけて研磨を行った。電極は金ペースト(田中貴金属製TR−1301)を塗布し、酸素気流中で900℃にて10分加熱した。
(6)電気抵抗率の測定:図14に示したように表面および内部の電気抵抗率の温度依存性を測定した。零抵抗になる温度から決定した超電導転移温度は表面(Tcs)が27Kであるのに対し、内部(T)が19Kであった。2つの転移温度の間の領域(温度差8K)では表層超電導体が形成された。内部では、ストライプ秩序の存在により超電導が抑制されて転移温度が下がっている。表面では、劣化した表面を取り除いて新たな表面を新たに露出させる処理と加工を行なった結果、新たに露出した表面の表層超電導転移温度がその内部の超電導転移温度よりも高い。
以上の実施例1〜10より、劣化した表面を取り除いて新たな表面を新たに露出させる処理と加工としては、研磨、エッチングなど、新たな表面を露出させることができれば任意の方法であってよい。
超電導を抑制するストライプ秩序はLa2−xBaCuO以外にLa2−x(Sr,Ba)CuO、(La,Nd)2−xSrCuO、(La,Sm)2−xSrCuO、(La,Eu)2−xSrCuO、(La,Gd)2−xSrCuOあるいは(La,Tb)2−xSrCuO、(La,Nd)2−xBaCuO、(La,Sm)2−xBaCuO、(La,Eu)2−xBaCuO、(La,Gd)2−xBaCuOあるいは(La,Tb)2−xBaCuO、(La,Nd)2−x(Sr,Ba)CuO、(La,Sm)2−x(Sr,Ba)CuO、(La,Eu)2−x(Sr,Ba)CuO、(La,Gd)2−x(Sr,Ba)CuOあるいは(La,Tb)2−x(Sr,Ba)CuOでも存在し、La2−xSrCuO、YBaCu6+x、BiSrCaCuでも弱いストライプ秩序の見られることが良く知られている。これらの物質群でも、超電導を抑制するストライプ秩序に起因する表層超電導が出現する。これらの中でLa2−xSrCuOについて表層超電導を実現する具体的な方法を詳述する。
La2−xSrCuO(x=0.105)の単結晶を以下の方法および順番で作製し、電気抵抗率を測定した。
(1)原料棒の作製:乾燥したLa、SrCO、CuO(いずれも純度99.9%)を原料として、モル比でLa:Sr:Cu=1.895:0.105:1.05の割合で総量が10gになるように秤量した。次に、これらの原料を混合し、950℃にて12時間反応させた。得られた反応体を粉砕し、直径7mmのラバーチューブに密に詰めた。次に、静水圧プレスを行ない、得られた丸棒を1180℃にて12時間焼結した。得られた焼結棒を原料棒とし、結晶育成炉の上軸に取り付けた。
(2)種結晶の作製:(1)と同様の手順で焼結棒を作製し、その焼結棒を種結晶とし、結晶育成炉の下軸に取り付けた。
(3)ソルベントの作製:乾燥したLa、SrCO、CuO(いずれも純度99.9%)を原料として、モル比でLa:Sr:Cu=71:13:116の割合で総量が10gになるように秤量した。次に、これらの原料を混合し、950℃にて12時間反応させた。得られた反応体を粉砕し、直径7mmのラバーチューブに密に詰めた。次に、静水圧プレスを行ない、得られた丸棒を950℃にて12時間焼結した。得られた焼結棒から0.12gの円盤形状に切り出してソルベントとして使用した。このソルベントを種結晶の上端に取り付けた。
(4)結晶育成:酸素2気圧を印加してランプ加熱によりソルベントを溶融させ、原料棒と種結晶を接合させた。次に、上軸と下軸をそれぞれ逆方向に20rpmで回転させながら、0.5mm/hでフローティングゾーン法による結晶育成を行なった。育成時のランプパワーは557Wであった。育成初期は多結晶状であったが、徐々に結晶方位がそろい、最終的には単結晶になった。
(5)結晶の加工:ラウエ写真により結晶方位を決定し、図1のチップ形状に結晶をダイヤモンドソー(刃厚0.3mm、回転速度5rpm)を用いて切断速度2μm/秒で切り出し、表面全体をP1200の研磨紙とエタノール(潤滑剤)を用いて手作業で1分間かけて磨いて、新たな表面を新たに露出させた。図1の電極配置で銀ペースト(DuPont 6838)を塗布し、酸素気流中で450℃にて10分加熱した。
(6)電気抵抗率の測定:図15に示したように表面および内部の電気抵抗率の温度依存性を測定した。零抵抗になる温度から決定した超電導転移温度は表面(Tcs)が32Kであるのに対し、内部(T)が27Kであった。2つの転移温度の間の領域(温度差5K)では表層超電導体が形成された。内部では、ストライプ秩序の存在により超電導が抑制されて転移温度が下がっている。表面では、劣化した表面を取り除いて新たな表面を新たに露出させる処理と加工を行なった結果、新たに露出した表面の表層超電導転移温度がその内部の超電導転移温度よりも高い。
La2−x(Sr,Ba)CuO、(La,Nd)2−xSrCuO、(La,Sm)2−xSrCuO、(La,Eu)2−xSrCuO、(La,Gd)2−xSrCuOや(La,Tb)2−xSrCuOは、弱いストライプ秩序の見られるLa2−xSrCuOに添加物のBa、Nd、Sm、Eu、GdあるいはTbを加えることによってストライプ秩序を安定化させた物質である。また、(La,Nd)2−xBaCuO、(La,Sm)2−xBaCuO、(La,Eu)2−xBaCuO、(La,Gd)2−xBaCuOあるいは(La,Tb)2−xBaCuO、(La,Nd)2−x(Sr,Ba)CuO、(La,Sm)2−x(Sr,Ba)CuO、(La,Eu)2−x(Sr,Ba)CuO、(La,Gd)2−x(Sr,Ba)CuOあるいは(La,Tb)2−x(Sr,Ba)CuOは、既にストライプ秩序の見られるLa2−xBaCuO、La2−x(Sr,Ba)CuOに添加物のNd、Sm、Eu、GdあるいはTbを加えることによってストライプ秩序をより安定化させた物質である。従って、それらの銅酸化物高温超電導体においても超電導を抑制するストライプ秩序に起因する表層超電導がより安定化される。YBaCu6+x、BiSrCaCu等のストライプ秩序でも当然のことながら表層超電導が安定化される。更には、ストライプ秩序以外にも超電導を抑制する原因がある場合に、劣化した表面を取り除く処理と加工によって、新たな表面を露出させ、その結果として表層超電導転移温度をその内部の超電導転移温度よりも向上させることが可能となる。
A 表層超電導体
1 結晶体
1a 加工面
1b、1c 側面
1d 底面
2、3 電圧端子(電極)
5 電圧計
6 電流源
7、8 電圧端子(電極)
9 電圧計
10 熱浴
11 ヒーター
12 電流源

Claims (13)

  1. 超電導を抑制するストライプ秩序の存在する超電導体の結晶体に対し、表面を取り除いて新たな加工面を形成する処理と加工を行なうことによって、前記新たな加工面の表層超電導転移温度前記結晶体の内部の超電導転移温度よりも高い表層超電導体を製造することを含む、表層超電導体の製造方法。
  2. 超電導を抑制するストライプ秩序の存在する組成範囲のペロブスカイト型銅酸化物系高温超電導体の結晶体に対し、前記結晶体のc軸と交差する面を露出させる処理または加工により加工面を形成することにより、前記加工面の表層超電導転移温度前記加工面以外の前記結晶体の内部の超電導転移温度よりも高い表層超電導体を製造することを含む、表層超電導体の製造方法。
  3. 前記結晶体のc軸と交差する前記加工面を、c軸との交差角度60゜以上120゜以下の加工面とする、請求項1または2に記載の表層超電導体の製造方法。
  4. 前記加工面の少なくとも一部を銅酸素二次元面から構成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の表層超電導体の製造方法。
  5. 超電導を抑制する前記ストライプ秩序の存在する前記組成範囲の前記銅酸化物系高温超電導体として、組成式La2−xBaCuO(0.10≦x≦0.15)で表される銅酸化物系高温超電導体を用いる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の表層超電導体の製造方法。
  6. 前記加工面を形成する方法が、研磨、劈開、分割、切断、エッチングのいずれかである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の表層超電導体の製造方法。
  7. 前記加工面を、前記結晶体の表面の劣化した部分を取り除いて露出させた表面とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の表層超電導体の製造方法。
  8. 超電導を抑制するストライプ秩序の存在する組成範囲のペロブスカイト型銅酸化物系高温超電導体の結晶体からなり、前記結晶体のc軸と交差する面を露出させる処理または加工により生成された加工面を有し、前記加工面の表層超電導転移温度が、前記加工面以外の前記結晶体の内部の超電導転移温度よりも高い、表層超電導体。
  9. 前記結晶体のc軸と交差する加工面が、前記c軸との交差角度60゜以上120゜以下の加工面である、請求項8に記載の表層超電導体。
  10. 前記加工面の少なくとも一部が銅酸素二次元面から構成される、請求項8または9に記載の表層超電導体。
  11. 超電導を抑制する前記ストライプ秩序の存在する前記組成範囲の前記銅酸化物系高温超電導体が、組成式La2−xBaCuO(0.10≦x≦0.15)で表される銅酸化物系高温超電導体である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の表層超電導体。
  12. 前記加工面が、研磨によって加工された面、劈開によって加工された面、分割によって加工された面、切断によって加工された面、エッチングによって加工された面のいずれかである、請求項8〜11のいずれか一項に記載の表層超電導体。
  13. 前記加工面が、前記結晶体の表面の劣化した部分を取り除いて露出された表面である、請求項8〜11のいずれか一項に記載の表層超電導体。
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