JP6169061B2 - 分電盤 - Google Patents

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本発明はブレーカが設置されたブレーカユニットを個別に挿抜するように構成された、例えば直流給電用として用いられる分電盤に関するものである。
従来の分電盤として、例えば、交流用分電盤ユニットおよび直流用分電盤ユニットを収容するラック本体と、このラック本体内の背面側に配置された交流用ブスバーおよび直流用ブスバーと、交流用ブスバーに接続される交流用接続部と、直流用ブスバーに接続される直流用接続部と、を備え、交流用分電盤ユニットをラック本体内に押し込むと交流用接続部に接続された状態で収容され、また、直流用分電盤ユニットをラック本体内に押し込むと直流用接続部に接続された状態で収容されるようにした分電盤ユニットがある(特許文献1参照)。
実用新案登録第3113266号公報(第1頁、図1)
上記のように構成された分電盤では、分電盤ユニットをラック本体に差し込むだけで対応するブスバーに電気的に接続されるため、増設作業が容易であるなどの効果が得られるものの、1台のユニットに装置された複数のブレーカで負荷の系統が異なる場合、特定のブレーカのみ点検・交換などの作業をしたいときに無関係の系統まで止める必要があるという問題があった。
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、1ユニット1ブレーカの構造を実現し、メンテナンス性の向上を図った分電盤を提供することを目的としている。
発明に係る分電盤は、筐体の内部奥側に上下方向に延在するように設置された垂直母線に対して前記筐体の手前側から前後方向に挿抜可能に設けられ、挿抜動作により前記垂直母線に対する電気的な接離が行われる複数のブレーカユニットを備えた分電盤において、前記ブレーカユニットは、水平方向に並設され、かつ個別に挿抜可能な第1のブレーカユニットと第2のブレーカユニットとを備えて成り、前記垂直母線は、前記第1のブレーカユニットに対応する第1垂直母線と、前記第2のブレーカユニットに対応する第2垂直母線とを備え、前記第1垂直母線は、前記第1のブレーカユニット及び第2のブレーカユニットが共用するように水平方向中央部に設置された直流給電用の共通N相母線と、該共通N相母線の一側部に設置されたP相母線とからなり、前記第2垂直母線は、前記共通N相母線と、該共通N相母線の他側部に設置されたP相母線とからなるものである。

本発明によれば、水平方向に並設されかつ個別に挿抜可能な第1のブレーカユニットと第2のブレーカユニットとを備えると共に、前記第1のブレーカユニットに対応する第1垂直母線と、前記第2のブレーカユニットに対応する第2垂直母線とを備えるようにしたことにより、任意のブレーカユニットのみの点検や交換などを行うことが可能となり、メンテナンスの作業性が向上し作業時間が短縮されると共に、メンテナンスの対象外のブレーカユニットとその負荷系統には手を加えたり稼働を停止する必要がないため、無駄なロスタイムの発生を回避できる。
本発明の実施の形態1に係る直流給電用分電盤の全体構成を示す図である。 図1に示す直流給電用分電盤における要部構成を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る直流給電用分電盤の要部構成を示す図である。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る直流給電用分電盤の全体構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。図2は図1に示す直流給電用分電盤における要部構成を示す図であり、(a)は左右各1台のブレーカユニットの実装部分を示す要部正面図、(b)はその平面図、(c)はその斜視図、(d)は図2(a)のIId−IId線における矢視断面構成を概略的に示す図、(e)は図2(d)の丸で囲むA部詳細図である。図において、直流給電用分電盤は、前面側に扉1aを有する筐体1と、筐体1の内部奥側に上下方向に延在するように絶縁支持された第1垂直母線2Aと第2垂直母線2Bとからなる垂直母線2と、その垂直母線2に対して筐体1の手前側から前後方向に個別に挿抜し得るように設けられ、その挿抜動作によって対応する垂直母線2に対する電気的な接続または切断が行われるように構成された第1のブレーカユニット3Aと第2のブレーカユニット3Bを備えるように構成されている。
なお、図1の例では外観的に左右で対をなす如く形成された第1のブレーカユニット3Aと第2のブレーカユニット3Bとが1つの筐体1内に上下方向に多数設置され、さらに同一構成の2台の筐体1を背中合わせに結合して、背面側にも複数のブレーカユニットを装着するように構成されている。ブレーカユニット3に電源を供給する垂直母線2は、図2の左側の第1のブレーカユニット3A用の第1垂直母線2Aを構成するN相母線(「N」と表示)、及びP相母線(「P」と表示)と、右側の第2のブレーカユニット3B用の第2垂直母線2Bを構成するN相母線、及びP相母線の合計4本が設置されている。なお、垂直母線2として、断面形状がクランク状(Z形状)のものを用いると、水平方向に4本並べたときに絶縁距離の確保が困難となるため、ここでは図2(b)に示すように平導体の母線が採用されている。また、ブレーカユニット3の挿入動作によってブレーカ31の一次側と垂直母線2とを接続する母線接続部材である電源グリップ32は、単相用のものをブレーカユニット1台につき2個取り付け、図2(b)に示すように垂直母線2に噛み込む構造にしている。
なお、第1のブレーカユニット3Aと第2のブレーカユニット3Bとは、電源グリップ32の極性の配置及びブレーカ31の取付方向を除いて面対称的に構成されており、実質的に左右同様であるので、特に区別の必要がない場合に単に「ブレーカユニット3」と言う。また、第1垂直母線2Aと第2垂直母線2Bについても区別の必要がない場合に単に「垂直母線2」と言う。
ブレーカユニット3は互いに独立しており、各個別に挿抜し得るように構成され、1つのブレーカユニット3に1つのブレーカ31が設けられている。ブレーカ31の1次側は図示省略しているケーブルにより電源グリップ32に接続され、2次側は何れも図示省略しているケーブルにより盤内の配線ダクトを介して盤外の所要の分岐回路に接続されている。なお、前記1次側のケーブルは導体としても良い。
筐体1の内部の盤中央部には前方側から挿入されたブレーカユニット3の中央部側を固定するためのフレーム11が設置されている。ブレーカユニット3の中央部側の固定については、ブレーカ31の一次側になるため、ねじの落下防止機能を有する固定手段として市販のパネルファスナー33を用いている。パネルファスナー33は、組み込まれたねじのねじ頭部軸心部にプラスドライバーに係合する十字状の係合穴(図示省略)が設けられ、ねじ頭部に連なる軸部におねじ33aが螺設され、そのねじのまわりを遊嵌状に保持する本体(リテーナ)はユニットベース30に対して図2(e)の斜線Dで示す部分でかしめ固定されているため、ユニットベース30から外れることはない。
そのパネルファスナー33は、リテーナに対してねじが軸方向に所定範囲でスライドする機構になっており、ねじ頭部を前方に押しながら回すと、パネルファスナー33のおねじ33aがフレーム11に螺設されためねじ11aに螺合され、ユニットベース30をフレーム11の固定部に固定できるようになっている。なお、ブレーカユニット3の二次側は盤内の固定フレーム12に設けられた固定箇所にねじ34で固定される。
ブレーカユニット3の前方側には塗装された板金で形成された保護カバー35が設けられ、保護カバー35は、挿抜時の中央部側の取っ手を兼ねた止め金具36に設けられたヒンジ36aに対してスライド移動かつ回動可能に係止されている。なお、保護カバー35は透視した状態で図示している。また、ブレーカユニット3の二次側には挿抜時の外側の取っ手を兼ねた止め金具37が設けられ、保護カバー35の反ヒンジ側を固定している。止め金具36、37は図2(c)に楕円Eで囲んで示す部分が取っ手の機能を果たすように指先を掛け易い形状にされており、手でブレーカユニット3の両端部を保持できるため挿抜時に安定する。なお、止め金具36、37は何れもユニットベース30に対して固定されている。また、ブレーカ31の一次側と二次側の充電部には、図2(c)に示すようにそれぞれ透明カバー39が設けられており、充電部を保護して安全性を確保すると共に、点検時等に端子の変色などを目視により容易に確認できるように構成されている。
上記のように、実施の形態1は図2に示すようにユニットベース30を左右に2分割すると共に、ブレーカユニット3をブレーカ31毎に個別に挿抜できる第1のブレーカユニット3Aと第2のブレーカユニット3Bとで構成したものである。そして、左右のブレーカユニット3のN相、P相を分断するために、4本の垂直母線2を設置している。左側のN相、P相母線は左側の第1のブレーカユニット3Aへ、右側のN相、P相母線は右側の第2のブレーカユニット3Bへそれぞれ電源を供給する。また、盤中央にフレーム11を取り付け、左右のブレーカユニット3の一次側を固定する一方、各ブレーカユニット3の両端部に取っ手になる部品としての止め金具36、37を取り付けることで、挿抜時に安定して保持できる構造にした。
上記のように構成された実施の形態1によれば、特定のブレーカのみの点検や交換などの作業を行うことが可能となるため、メンテナンス時の作業性が向上する。また、メンテナンスの対象外のブレーカユニットやその負荷系統には手を加えたり稼働を停止する必要がないため、無駄なロスタイムの発生などを回避することができるなど、メンテナンス作業による二次的影響が減少する。さらに、メンテナンスに要する作業時間が短縮され機器や部品の交換も最小限に抑えることができるなどの顕著な効果が得られる。
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2に係る直流給電用分電盤の要部構成を示す図であり、(a)は左右各1台のブレーカユニットを実装した部分を示す要部正面図、(b)はその平面図、(c)はその斜視図、(d)は図3(a)の正面図におけるユニットベースとグリップの位置関係を示すため、その他の部材を非表示にして示す図、(e)は図3(a)の丸で囲むB部詳細図、(f)は図3(b)の丸で囲むC部詳細図である。なお、実施の形態2は左右のブレーカユニット3A、3Bの個別化を実現すると共に、垂直母線2の断面形状がクランク状(Z形状)のものが使えるようにしたものである。図において、第1垂直母線2A及び第2垂直母線2Bは、第1のブレーカユニット3A及び第2のブレーカユニット3Bが共に用いるように水平方向中央部に設置された共通N相母線2Nと、前方から見て共通N相母線2Nの左側部に設置された第1垂直母線2Aを構成するP相母線と、共通N相母線2Nの右側部に設置された第2垂直母線2Bを構成するP相母線の合計3本の垂直母線からなっている。
左側の第1のブレーカユニット3Aを構成するユニットベース30Aは、図3(d)に示すように前方から見て右下部が階段状に所定寸法切欠かれ、右側のユニットベース30Bは左上部が前述のユニットベース30Aの切欠き部に対応する寸法に階段状に切欠かれ、一方の上半部と他方の下半部とが段違いで重合するように形成されている。そして、切欠いたスペースに位置する相手側のユニットベース30の背面側にそれぞれN相グリップ32Nが設置され、中央部に設けられた1本の共通N相母線2Nを共用するように構成されている。左右のブレーカユニット3A、3Bからなるブレーカユニット1対につき、N相グリップ32Nはブレーカユニット3の1段分のスペースに上下に2個分必要になるため、図3(d)に示すように中央のフレーム11には2個分に対応する上下2つの通し穴11bを設ける一方、VB(垂直母線)カバー13にも通し穴11bに対応する位置に通し穴13aを上下に一対設けている。
また、図3(e)、図3(f)に示すようにブレーカユニット3から奥行き方向に飛び出す固定用のねじ38と、中央のフレーム11が重なるポイントがある。フレーム11を取り付ける時にドライバー4の通し穴11cをねじ38の位置に合わせることで、フレーム11とねじ38の干渉を回避している。その他の構成は実施の形態1と同様である。
上記のように実施の形態2は、筐体1の水平方向中央部に第1のブレーカユニット3Aと、第2のブレーカユニット3Bとが共用するように直流給電用の共通N相母線2Nを設置する一方、第1垂直母線2Aを前記共通N相母線2Nと、その左側部に設置されたP相母線とで構成し、第2垂直母線2Bは、前記共通N相母線2Nと、該共通N相母線2Nの右側部に設置されたP相母線とから構成すると共に、第1のブレーカユニット3Aと第2のブレーカユニット3Bとの対向部を、一方の上半部と他方の下半部とが段違いで重なるように階段状に切り欠くように形成し、重合部分の上半部(突出部)の背面側と下半部の背面側にそれぞれ共通N相母線2Nに接離される母線接続部材であるN相グリップ32Nを設置したものである。
上記のように構成された実施の形態2によれば、中央の共通N相母線2Nを左右のブレーカユニット3で共有することで、従来の母線構造(Z形状3本)を維持することができるので材料費を削減できる。また、従来の垂直母線構造を使用できるため、部品の統一化と組立工数の削減が図れる。また、従来の筐体構造を変更することなく、任意のブレーカユニットのみの点検・交換などの作業が可能となり、メンテナンス性が向上する。そして、その他のブレーカユニットには手を加える必要がないため、作業時間が短縮され機器や部品の交換も最小限に抑えることができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態の一部または全部を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。例えば、実施の形態では直流給電用の分電盤として構成したが、交流給電用として構成することもできる。
1 筐体、1a 扉、11 フレーム、11a めねじ、11b 通し穴、
11c 通し穴、12 固定フレーム、13 VB(垂直母線)カバー、
13a 通し穴、2 垂直母線、2A 第1垂直母線、2B 第2垂直母線、
2N 共通N相母線、3 ブレーカユニット、3A 第1のブレーカユニット、
3B 第2のブレーカユニット、30 ユニットベース、30A ユニットベース、
30B ユニットベース、31 ブレーカ、32 電源グリップ、
32N N相グリップ、33 パネルファスナー、33a おねじ、34 ねじ、
35 保護カバー、36 止め金具、36a ヒンジ、37 止め金具、38 ねじ、
39 透明カバー、4 ドライバー。

Claims (4)

  1. 筐体の内部奥側に上下方向に延在するように設置された垂直母線に対して前記筐体の手前側から前後方向に挿抜可能に設けられ、挿抜動作により前記垂直母線に対する電気的な接離が行われる複数のブレーカユニットを備えた分電盤において、前記ブレーカユニットは、水平方向に並設され、かつ個別に挿抜可能な第1のブレーカユニットと第2のブレーカユニットとを備えて成り、前記垂直母線は、前記第1のブレーカユニットに対応する第1垂直母線と、前記第2のブレーカユニットに対応する第2垂直母線とを備え、前記第1垂直母線は、前記第1のブレーカユニット及び第2のブレーカユニットが共用するように水平方向中央部に設置された直流給電用の共通N相母線と、該共通N相母線の一側部に設置されたP相母線とからなり、前記第2垂直母線は、前記共通N相母線と、該共通N相母線の他側部に設置されたP相母線とからなることを特徴とする分電盤。
  2. 前記共通N相母線、前記第1垂直母線を構成するP相母線、及び前記第2垂直母線を構成するP相母線は、何れも断面がクランク状に形成されていることを特徴とする請求項記載の分電盤。
  3. 前記第1のブレーカユニットと前記第2のブレーカユニットとの対向部は、一方の上半部と他方の下半部とが段違いで重合し得るように階段状に切り欠く如く形成されてなり、前記共通N相母線に接離される母線接続部材は、その重合された部分における前記上半部の背面側と前記下半部の背面側にそれぞれ設置されていることを特徴とする請求項または請求項記載の分電盤。
  4. 前記ブレーカユニットを構成するブレーカの一次側と二次側の充電部にはそれぞれ透明カバーが設置さされていることを特徴とする請求項1から請求項の何れかに記載の分電盤。
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