JP6168769B2 - 栽培装置および栽培方法 - Google Patents
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Description
前記培地の下方に配置され、前記シートおよび前記培地を下方より支持する培地支持手段と、
前記シートを支持するシート支持手段と、が備えられ、
平面視における前記培地の外側位置に、前記培地から滲出される排液を前記シートにより排水するための排水路が形成されており、
平面視における前記培地支持手段の外側位置に、前記培地よりも低い箇所で前記排水路を通す溝部が備えられ、
前記培地支持手段と前記溝部とが、栽培ベッドの一部として同一素材により一体的に形成されている点を特徴とする。
よって、排水路により培養液の排液が排出され、培養液の排液が淀まずに、培養液の排液に藻、苔、病害虫等が発生することを防止でき、作物の周辺の衛生状態を良好に保つことができる。
また、培地から浸出された培養液の排液が排水路により排出されるため、培地が培養液の排液に浸かることが防止され、作物に適度な量の培養液を供給でき、作物の果実が裂果してしまう等の不都合が生じることを防止できる。
さらに、排水路が培地支持手段とは異なる位置に形成されているので、排水路の状態を確認し易くなり、例えば排水路が汚れていないか否か等の確認を目視で行い易くできる。
したがって、作物に供給される培養液の排液の処理を適切に行うことができる。
さらに、排水路が、平面視において、培地の外側位置に形成されており、排水路において培養液の排液が培地の外側位置を導かれるので、排水路の状態を上方側から目視で確認し易くなり、衛生状態の維持管理を行い易くできる。
前記延出部が、前記排水路を覆うように形成されていると好適である。
前記排水路が、前記排水口側へ向けて下り傾斜となるように構成されていると好適である。
培地支持手段によって前記培地の下方より前記シートおよび前記培地が支持される培地支持工程と、
前記シートが支持されるシート支持工程と、
前記培地から滲出される排液が、平面視における前記培地の外側位置に形成された前記シートの排水路から排出される排水工程と、が含まれ、
前記排水工程で、平面視における前記培地支持手段の外側位置に備えられる溝部により前記培地よりも低い箇所で前記排水路を通すようにされ、
前記培地支持手段と前記溝部とが、栽培ベッドの一部として同一素材により一体的に形成されている点を特徴とする。
よって、排水路により培養液の排液が排出され、培養液の排液が淀まずに、培養液の排液に藻、苔、病害虫等が発生することを防止でき、作物の周辺の衛生状態を良好に保つことができる。
また、培地から浸出された培養液の排液が排水路により排出されるため、培養液の排液に培地が浸かることが防止され、作物に適度な量の培養液を供給でき、作物の果実が裂果することを防止できる。
さらに、培地から滲出される排液が、シートおよび培地が支持される位置とは異なる位置に形成されたシートの排水路から排出されるので、排水路の状態を確認し易くなり、例えば排水路が汚れていないか否か等の確認を目視で行い易くできる。
したがって、作物に供給される培養液の排液の処理を適切に行うことができる。
さらに、排水路が、平面視において、培地の外側位置を導かれるので、排水路の状態を上方側から目視で確認し易くなり、衛生状態の維持管理を行い易くできる。
〔栽培装置〕
図1、図2(a)、図2(b)に示すように、栽培装置は、トマト、キュウリ、ナス、イチゴ等の果菜類の作物Cを培地Mに植え、その培地Mに培養液を供給することにより作物を生育するものである。この栽培装置は、側壁及び天井を透光性部材で構成された不図示の温室内に配置されている。栽培装置は、圃場の上にシート等を敷いて形成された比較的軟弱な床面上に設置されている。栽培装置には、架台11と、栽培ベッド12と、シート13と、シート13を架台11に支持する挟持具14と、培養液の供給システム15と、培養液の排液の回収システム16と、が備えられている。この栽培装置に、培地M、育苗ポットR等が組み込まれて作物Cの栽培が行われる。
図1、図2(a)、図2(b)に示すように、架台11は、全体が直方体状の枠形状となるように、円筒状断面を有するパイプ材が組まれて構成されている。以下、横方向のうち、架台11の長手方向側を前後方向と称し、架台11の前後方向に直交する方向を左右方向と称する。架台11には、前後方向に複数配設された左右方向に一対の支柱19と、支柱19の下部間に左右方向に横架された下横材20と、支柱19の上部間に左右方向に横架された上横材21と、支柱19における下横材20よりも下方箇所間に左右方向に横架された沈下防止横材22と、前後方向に並んだ支柱19の上部間に横架された左右方向に一対の紐吊り材23と、前後方向に並んだ下横材20間に横架されて支持された左右方向に一対の培地支持材24と、前後方向に並んだ支柱19の中央部間に横架された左右一対のシート支持材25(「シート支持手段」の一例)と、が備えられている。支柱19の下端部には、高さ調節機構が設けられた支持具19aが備えられている。紐吊り材23は、作物Cが成長した際に、作物Cの茎に誘引紐を結んで、作物Cを上方から吊るためのものである。なお、本実施形態では、図2(a)、図2(b)に示すように、架台11が二つ設置され、すなわち、作物Cが2列設置されているものを一例として示している。
図1に示すように、栽培ベッド12は、発泡スチロール等の樹脂材からなり、一対の培地支持材24の上に載置されている。栽培ベッド12は、シート13および培地Mの下方に配置され、シート13および培地Mを下方より支持する。栽培ベッド12は、前後方向に長く形成されており、栽培ベッド12には、正面視において、第一壁部26と、第一壁部26に隣接する溝部27と、溝部に隣接する培地支持部28(「培地支持手段」の一例)と、培地支持部28に隣接する第二壁部29と、培地支持部28の中央部側に設けられた挿通部30と、が備えられている。第一壁部26および第二壁部29は、培地支持部28の上端部よりも高くなるようにされている。培地支持部28は、溝部27側へと緩やかな下り傾斜となるように構成されている。溝部27の底面は、培地支持部28の下端部よりも低くなるようにされており、培地支持部28と溝部27との間には段差が形成されている。挿通部30は、培地Mの下方に位置する位置に配置され、挿通部30には、冬季等の寒い時に培地Mの温度を上昇させて作物Cの根を寒さから守るための温湯管31が挿通される。前述のシート支持材25は、栽培ベッド12の培地支持部28よりも高い位置でシート13を支持する。
シート13は、防水性と、遮光性とを有し、適宜に折り曲げ可能な柔軟性を有する素材で構成されている。シート13の遮光性により、培養液や培地Mにおける藻や苔の繁殖を抑制できる。図1に示すように、架台11に支持された状態のシート13には、正面視において、培地接触部32と、排水部33と、排水部33により形成された排水路34と、折り曲げ部35と、延出部36と、が形成されている。排水路34は、栽培ベッド12の培地支持部28とは異なる位置に、培地Mから滲出される培養液の排液をシート13により排水するように形成されている。なお、排水路34は、栽培装置の設置当初から形成されている。また、排水路34は、平面視において、培地Mの外側位置に形成されている。シート13には、排水路34に存在する排液をシート13の外側へと排出する排水口37が設けられている。シート13の培地接触部32は、作物Cを定植した培地Mの下面側に介在される。シート13は、栽培ベッド12の溝部27に、培地接触部32よりも低い位置に位置する排水部33を形成するようにして緩められた状態で、図1、図2(b)、図3に示すように、その左右両端で挟持具14によりシート支持材25にそれぞれ固定され、その固定された部分が折り曲げ部35とされている。挟持具14は、断面が半円状に形成されており、シート13をシート支持材25の半径方向の外側から挟み込むようにして固定している。
図2(a)、図2(b)に示すように、培養液の供給システム15には、液肥タンク38と、給液ポンプ39と、フィルター40と、第一バルブ41と、第二バルブ42と、第三バルブ43と、供給管44と、栽培される作物C毎に供給管44から分岐された点滴具45と、が備えられている。液肥タンク38は、作物Cに供給する培養液を貯留するものであり、培養液が日光に晒されることを防止するため、床面下に埋設されている。給液ポンプ39は、液肥タンク38から供給管44を介して点滴具45へ培養液を送出する。フィルター40は、液肥タンク38から吸い上げられた培養液を漉して、供給管44や点滴具45の目詰まりを防止する。第一バルブ41は、一列目の作物Cへの培養液の供給を制御するものである。第二バルブ42は、二列目の作物Cへの培養液の供給を制御するものである。第三バルブ43は、液肥タンク38へと培養液を適宜戻すものである。点滴具45は、作物Cの株元に培養液が滴下されるように支持ピン46で固定されている。給液ポンプ39、第一バルブ41、第二バルブ42、第三バルブ43、適時に作動させて、作物Cへの培養液の供給が行われる。
図2(a)、図2(b)に示すように、培養液の排液の回収システム16には、シート13により形成された排水路34と、シート13に形成された排水口37と、排水管47と、中継タンク48と、排液ポンプ49と、排液タンク50と、が備えられている。排水路34は、作物Cが並べられた方向に排水口37へ向けて培養液の排液を流すように構成されている。排水管47は、シート13の排水口37から中継タンク48へ培養液の排液を導くものである。なお、シート13の排水口37と排水管47との接続部には、不図示のホースニップル等の液漏れを防止する部材が用いられている。中継タンク48は、シート13の排水口37よりも液面レベルが低い高さとなるように設けられており、シート13の排水口37から排出された培養液の排液が排水管47を介して自然に中継タンク48へ流下するように構成されている。排液ポンプ49は、中継タンク48から排液タンク50へと排液を汲み上げるものである。排液タンク50は、遮光性部材から構成されており、培養液の排液を回収して貯留するものである。なお、排液タンク50を、液肥タンク38と同様に、床面下に埋設してもよく、この場合、中継タンク48や排液ポンプ49が不要となる。このように、用いられた培養液の排液は、最終的に排液タンク50に全て回収されるので、培養液の排液を外部に垂れ流しにする場合のような環境負荷を発生させることがない。
図1、図2(a)、図2(b)に示すように、培地Mは、天然有機物のヤシ殻に由来するヤシ殻培地(「有機培地」の一例)であり、長手方向に長く形成され、防水性のフィルムFで覆われている。ヤシ殻培地を用いることにより、作物Cの根圏環境における液相と気相のバランスが良くなり、つまり、作物Cに供給される培養液を適度に培地Mに保水しながら作物Cの根に供給される酸素を保持されるので、作物Cの生育に好適となる。フィルムFには、培地Mの底側で排水路34に近い側の部位に、前後方向に3箇所の抜き孔dが形成されており、抜き孔dから培地Mに供給された培養液の余剰分が滲出され、排水路34側へ排出される。また、フィルムFには、上側箇所に、作物C毎の育苗ポットRが載置され、育苗ポットRに植えられた作物Cの苗の根の通過を許す通過孔hが形成されている。
図1に示すように、育苗ポットRは、作物Cの苗を生育するための培土Sの側面を覆う側壁部wと、作物Cの根が下方へ通過するための孔部Pとが備えられている。このような孔部Pを設けた育苗ポットRに育苗ポットRの孔部Pよりも小さな液排出孔が形成されたのみの不図示の汎用ポットを外嵌したものに、作物Cの種子を播き、苗まで育てる。そして、汎用ポットから育苗ポットRを抜き出して、作物Cの苗が植えられた育苗ポットRを培地Mの通過孔hに載置することで、培地Mに対する作物Cの定植が行われる。
圃場の上にシート13を敷いて床面としている場合、大雨が降った後等には、床面が軟化して架台11等の重みで沈下する場合がある。このような場合、シート13の左右方向の傾斜角度やシート13の排水路34の前後方向の傾斜角度が変化する。栽培装置には、このようなシート13の左右方向の傾斜角度またはシート13の排水路34の前後方向の傾斜角度を調節可能な調節手段が備えられている。具体的には、前述した挟持具14が調節手段に相当する。
図4に示すように、上述の栽培装置を用いた際の栽培方法に含まれる工程は、以下の通りである。
まず、作物Cを定植した培地Mの下面側に防水性を有するシート13が介在される介在工程が行われる(ステップ♯1)。培地Mとしては、前述のように、有機培地が用いられる。
(1)上記実施形態では、上横材21、沈下防止横材22が備えられた架台11を一例として示したが、これに限られない。例えば、図5に示すように、上横材や沈下防止横材が無く、シート支持材25と同程度の高さの支柱69が備えられた他の架台71であってもよく、これにより、部品点数を減らすことができ、栽培装置の製造コストを削減できる。
14 :挟持具(「調節手段」)
25 :シート支持材(「シート支持手段」)
28 :培地支持部(「培地支持手段」)
34 :排水路
36 :延出部
37 :排水口
C :作物
M :培地
R :育苗ポット
S :培土
P :孔部
w :側壁部
Claims (14)
- 作物を定植した培地の下面側に介在される防水性を有するシートと、
前記培地の下方に配置され、前記シートおよび前記培地を下方より支持する培地支持手段と、
前記シートを支持するシート支持手段と、が備えられ、
平面視における前記培地の外側位置に、前記培地から滲出される排液を前記シートにより排水するための排水路が形成されており、
平面視における前記培地支持手段の外側位置に、前記培地よりも低い箇所で前記排水路を通す溝部が備えられ、
前記培地支持手段と前記溝部とが、栽培ベッドの一部として同一素材により一体的に形成されている栽培装置。 - 前記シートに、前記シート支持手段から延出された延出部が備えられており、
前記延出部が、前記排水路を覆うように形成されている請求項1に記載の栽培装置。 - 前記延出部が、前記培地を覆うように形成されている請求項2に記載の栽培装置。
- 前記シートが、前記排水路側へ向けて下り傾斜となるように前記培地支持手段により支持されている請求項1ないし3のいずれか一項に記載の栽培装置。
- 前記シートに、前記排水路に存在する排液を前記シートの外側へと排出する排水口が設けられ、
前記排水路が、前記排水口側へ向けて下り傾斜となるように構成されている請求項1ないし4のいずれか一項に記載の栽培装置。 - 前記シートの傾斜角度または前記排水路の傾斜角度を調節可能な調節手段が備えられている請求項1ないし5のいずれか一項に記載の栽培装置。
- 作物を定植した培地の下面側に防水性を有するシートが介在される介在工程と、
培地支持手段によって前記培地の下方より前記シートおよび前記培地が支持される培地支持工程と、
前記シートが支持されるシート支持工程と、
前記培地から滲出される排液が、平面視における前記培地の外側位置に形成された前記シートの排水路から排出される排水工程と、が含まれ、
前記排水工程で、平面視における前記培地支持手段の外側位置に備えられる溝部により前記培地よりも低い箇所で前記排水路を通すようにされ、
前記培地支持手段と前記溝部とが、栽培ベッドの一部として同一素材により一体的に形成されている栽培方法。 - 前記シートの部分から延出された延出部により前記排水路が覆われる被覆工程が含まれる請求項7に記載の栽培方法。
- 前記被覆工程で、前記延出部により前記培地が覆われるようにされている請求項8に記載の栽培方法。
- 前記排水工程で、前記排液が、前記排水路側へ導かれるようにされている請求項7ないし9のいずれか一項に記載の栽培方法。
- 前記排水工程で、前記排液が、前記排水路に存在する排液を前記シートの外側へと排出する排水口に導かれるようにされている請求項7ないし10のいずれか一項に記載の栽培方法。
- 前記シートの傾斜角度または前記排水路の傾斜角度が調節される調節工程が含まれる請求項7ないし11のいずれか一項に記載の栽培方法。
- 前記培地として、有機培地が用いられる請求項7ないし12のいずれか一項に記載の栽培方法。
- 培土の側面を覆う側壁部と、前記作物の根が下方へ通過するための孔部とが備えられた育苗ポットにより育苗された前記作物が用いられ、前記育苗ポットの孔部側を前記培地の上に載置することにより、前記作物が前記培地へと定植される定植工程が含まれる請求項7ないし13のいずれか一項に記載の栽培方法。
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