以下、本発明に係る脱臭機の実施の形態について図面を参照して説明する。ここでは、自動車のドリンクホルダに載置し、車内の臭気成分や有害成分を除去する車載用の小型脱臭機として説明するが、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る脱臭機の外観斜視図であり、図2は、図1の脱臭機のA−A線断面図であり、図3は、図1の脱臭機のB−B線断面図であり、図4は、図1の脱臭機の電源基板回路の構成ブロック図であり、図5は、図1の脱臭機を図2のC−C線位置で輪切りにした横断面図であり、図6は、図1の脱臭機を図2のD−D線位置で輪切りにした横断面図であり、図7は、図1の脱臭機を図2のE−E線位置で輪切りにした横断面図であり、図8は、図1の脱臭機を図2のF−F線位置で輪切りにした横断面図であり、図9は、図1の脱臭機を図2のG−G線位置で輪切りにした横断面図である。図10は、図2の脱臭機の下部に挿入される基板ホルダと遮水板の一構成例を示す斜視図であり、図11は、図10の基板ホルダと遮水板を後ろ斜め下方向から見た斜視図であり、図12は、図10の基板ホルダと遮水板の平面図であり、図13は、図12の基板ホルダと遮水板のH−H線縦断面図である。図14は、ヒータユニットの構成を示す分解斜視図であり、図15は、フィルタ保持部材にフィルタ部とヒータユニットとを組み込む位置を示す分解斜視図であり、図16は、図15のフィルタ保持部材にフィルタ部とヒータユニットを組み込んだ後の斜視図であり、図17は、バックケーシング側に図16のフィルタ保持部材を組み込んだ状態を示す斜視図である。図18は、遮熱板を斜め下方向から見た斜視図であり、図19−1は、送風ファンユニットと防振ゴムの装着位置を示す斜視図であり、図19−2は、送風ファンユニットに防振ゴムを装着した後の斜視図であり、図20は、ケーシングの外周部に集塵フィルタと側面パネルと取り付ける位置を示す分解斜視図である。以下、図1〜図20を用いて、本実施形態の脱臭機の構成を説明する。
脱臭機10は、図1に示すように、筐体の径が下から上に行くに従って膨らみを持たせた略円筒状をしており、筒の側面を覆う側面パネル22の上方には、ドットマトリックス状に多数の孔が形成され、この孔から車内の空気を吸い込む空気吸込口11を構成している。また、脱臭機10の筐体の天井面には、空気吸込口11から吸い込まれた空気を上方へ排出する放射状にスリットが形成された天面パネル20が配置され、空気吹出口12を構成している。さらに、天面パネル20の中央部には、円形の操作パネル21が形成されており、脱臭機10の運転操作を行うボタンと、運転状況を知らせるLEDランプ等が配置されている。また、脱臭機10の側面パネル22には、車のシガーソケットから12Vや24Vの車用バッテリーのDC電力供給を受けるDCケーブル31が出ている。
脱臭機10の内部は、図2(図1のA−A線断面図)および図3(図1のB−B線断面図)のように構成されている。脱臭機10の筒の内側は、図2に示すように、右側半分が半円筒状のバックケーシング23a、左側半分が半円筒状のフロントケーシング23bから成り、2つのケーシングを結合することで、筒状の筐体が形成される。このバックケーシング23a、フロントケーシング23bおよび上記の側面パネル22の材質としては、例えば、ポリカーボネート(PC)とABS樹脂の複合材などを用いることができる。
筒内の下部には、板状物からなる基板ホルダ25が垂直方向に沿って配置され、その基板ホルダ25の両面(表側面25aと裏側面25b)を使って、脱臭機10の電力供給や制御を行うメイン基板26と、脱臭物質発生器の一つであるオゾン発生器としてのオゾナイザ18を動作させるオゾナイザ基板27とが垂直方向に設置されている。ここでは、脱臭物質発生器としてオゾン発生器を用いたが、これ以外に脱臭物質発生器としてイオン発生器を用いるか、両方を用いて実施しても良い。基板ホルダ25の断面図としては、図2のE−E線位置で輪切りにした横断面図が図7であり、図2のF−F線位置で輪切りにした横断面図が図8であり、図2のG−G線位置で輪切りにした横断面図が図9である。このように、垂直方向に沿って配置された基板ホルダ25の両面を使い、メイン基板26とオゾナイザ基板27とに分けて配置したため、一つの基板上に脱臭機10の電気回路部品を搭載する場合と比べて基板1枚当たりの面積が小さくて済むため、基板を効率的に配置して筐体内のスペースを有効利用することで、脱臭機10を小型化することができる。また、基板ホルダ25の上部に滴下する水滴がメイン基板26やオゾナイザ基板27にかかるのを遮る板状の遮水板24(図10参照)は、基板ホルダ25の蓋の役割をし、基板ホルダ25に配置されるメイン基板26やオゾナイザ基板27を水や埃から保護することができる。
メイン基板26には、図2に示すように、DCケーブル31から供給されるDC電力がDCプラグ30からDCジャック29を介して供給される。供給されるDC電力は、図3に示すように、脱臭機10の各部のコネクタ(表示コネクタ32a、ファンコネクタ33a、ヒータコネクタ34a、オゾナイザコネクタ35a)に振り分けられる。電力が振り分けられた各コネクタには、電力を供給する電線としてのハーネスが接続される。表示コネクタ32aは、表示ハーネス32を介して操作パネル21の表示部に電力を供給する。ファンコネクタ33aは、ファンモータハーネス33を介して送風ファン16aの図示しないファンモータに電力を供給する。ヒータコネクタ34aは、2本のヒータハーネス34を介してヒータユニット15の加熱ヒータ15aに電力を供給する。オゾナイザコネクタ35aは、メイン基板26からオゾナイザハーネス35を介して基板ホルダ25の反対側に設置されたオゾナイザ基板27に対し電力を供給している。
オゾナイザ基板27には、図2に示すように、オゾナイザ18の放電に必要な高電圧を発生させるためのトランス28が配置されている。トランス28で昇圧された高電圧は、高圧ケーブル18aを介してオゾン発生器としてのオゾナイザ18に供給される。この高圧ケーブル18aは、高電圧を供給するため径の太いケーブルが使われる。このため、遮水板24には、高圧ケーブル18aの引きまわしに必要な範囲で一部を盛り上げてダクト状としたケーブルダクト24aが形成されている(図10参照)。
脱臭機10の各部に電力を供給する電力基板回路の構成は、図2、4に示すように、DC電力がDCジャック29を介してメイン基板26に供給されると、CPU36がヒータユニット15、送風ファンユニット16、オゾナイザ18、操作パネル21、およびメモリ38にそれぞれ振り分けて電力供給が行われる。このうち、ヒータユニット15、送風ファンユニット16、操作パネル21、DCジャック29、CPU36、およびメモリ38に関連する電気回路部品は、メイン基板26に搭載されているが、オゾナイザ18に関連する電気回路部品は、基板ホルダ25の表面側25aで保持されるオゾナイザ基板27に搭載されている。そして、メイン基板26からオゾナイザ基板27へは、オゾナイザハーネス35を介して電力が供給される。
このように、オゾナイザ基板27は、オゾナイザ18の放電に必要な高電圧を発生させるトランス28を搭載する高圧電源基板であり、メイン基板26は、オゾナイザ18以外のヒータユニット15、送風ファンユニット16、操作パネル21、CPU36、およびメモリ38などを搭載する低圧電源基板であって、それぞれの基板を基板ホルダ25の両側面に分けて保持する。
基板ホルダ25は、少なくとも2枚の基板(メイン基板26とオゾナイザ基板27)を保持し、脱臭機10の電気回路部品を分けて搭載することにより、電気回路部品が増えたとしても、基板1枚当たりの面積が小さくて済むため、基板を効率的に配置して筐体内のスペースを有効利用することで、脱臭機10を小型化することができる。また、メイン基板26とオゾナイザ基板27の絶縁距離を容易に確保できる。
基板ホルダ25と遮水板24の具体的な構成は、図10および図11に示すように、板状物から成る基板ホルダ25の上部側に一体形成されている。基板ホルダ25には、表側面25aと裏側面25bとがあり、表側面25aにはオゾナイザ基板27を保持するための基板保持部25cが複数設けられ、裏側面25bにはメイン基板26を保持するための基板保持部25dが複数設けられている。基板ホルダ25は、この基板保持部25c,25dを用いることで、オゾナイザ基板27とメイン基板26を基板ホルダ25の表側面25aと裏側面25bにそれぞれ保持させることができる。なお、本実施例では基板ホルダ25と遮水板24とが一体形成されているが、本発明はこの実施例には限られない。従って、基板ホルダ25と遮水板24とは別体で形成しても良く、この場合には基板ホルダ25に遮水板24を接続できる構造を設けても良いし、あるいは、基板ホルダ25と遮水板24とを所定距離離した位置に配置しても良い。
また、基板ホルダ25の遮水板24は、図12および図13に示すように、垂直方向に沿って配置された板状物からなる基板ホルダ25の上部側に、水平方向に板状物を延在させたため、遮水板24の上部から落下する水滴が基板ホルダ25に保持される図示省略したオゾナイザ基板27とメイン基板26にかかるのを防ぐことができる。
さらに、遮水板24の上から遮水板24を通ってメイン基板26に搭載された表示コネクタ32a、ファンコネクタ33a、ヒータコネクタ34aなどの電気回路部品と接続される電線としての表示ハーネス32、ファンモータハーネス33、ヒータハーネス34は、図3に示すように、遮水板24を通って接続される電気回路部品としての各コネクタより低い位置まで引き回してから、それぞれのコネクタに接続するように配線している。これにより、遮水板からハーネスを伝って水が漏れても、漏れた水が各コネクタより低い位置で引き回されたハーネスの部分に留まるため、各コネクタへ直接水が進入するのを防ぐことができる。
遮水板24の上から遮水板24を通って、基板ホルダ25の裏側面25bに保持されるメイン基板26の表示コネクタ32a、ファンコネクタ33a、ヒータコネクタ34aに接続される表示ハーネス32、ファンモータハーネス33、ヒータハーネス34は、図3および図10に示すように、遮水板24のケーブルホルダ24bを通すことでハーネスを固定できることから、振動によるハーネスの断線を防ぐことができる。
次に、本実施の形態に係る脱臭機10のフィルタ部14と加熱ヒータ15aを含むヒータユニット15の配置構造について説明する。上述した遮水板24の上部には、図2に示すように、空気中の臭気成分を除去するフィルタ部14と、そのフィルタ部14を加熱して触媒による臭気成分の分解を促進する加熱ヒータ15aで構成されたヒータユニット15が配置されている。
図6に示すように、フィルタ部14は、ここでは半円状の脱臭触媒フィルタ141を左右に配置して構成されている。脱臭触媒フィルタ141は、心材部分に蜂の巣(ハニカム)構造を取り入れて板状に形成した通気性を有するハニカムコアボードから成り、ここではアルミ合金で構成されていて、その表面に、酸化マンガンなどの金属酸化物やプラチナなどの貴金属の触媒が所定の厚さに形成(触媒層)されている。なお、吸着材としては、無機の吸着材である各種セラミックス粉末などをさらに添加することが好ましい。さらには、抗菌剤や防かび剤などが添加されることも好ましい。ここで、脱臭触媒フィルタ141は、吸着した臭気成分の分解を、ハニカムコアボードに隣接配置されたヒータユニット15からの熱によって促進させる加熱再生構造としている。具体的には、アルミ合金で構成されるハニカムコアボードの側面、すなわち、図2に示すように、フィルタ部14である脱臭触媒フィルタ141を通過する空気の送風方向(矢印X方向)に対し、直交する方向にヒータユニット15を隣接させるように構成している。これにより、ヒータユニット15からの熱がハニカムコアボードの側面からハニカムコアボード全体に伝わり、ハニカムコアボードを所定温度まで上昇させることができる。触媒は、ハニカムコアボードを介して加熱され、臭気成分の分解を促進する。
また、フィルタ部14とヒータユニット15は、図2に示すように、ハニカムコアボードで構成されたフィルタ部14内を通る送風方向(矢印X方向)に対し平行に配置されている。これにより、本実施の形態に係る脱臭機10は、送風路13内の通風が加熱ヒータ15aを含むヒータユニット15によって妨げられる面積割合が少なくなり、通風抵抗を低減することができる。
図6に示すように、フィルタ部14は、ここでは半円状の脱臭触媒フィルタ141を左右に配置して構成されている。フィルタ部14とヒータユニット15の配置構造は、図6に示すように、通風抵抗の少ないハニカムコアボードから成るフィルタ部14の面積が80%以上あって、通風抵抗となるヒータユニット15の面積を20%以下に抑えることができる。このように、本実施の形態の脱臭機10は、従来例と比べると、ヒータユニット15による通風抵抗を大幅に低減することができる。さらに、ヒータユニット15とフィルタ部14のハニカムコアボードとは、脱臭触媒フィルタ141を通過する空気の送風方向に対し直交方向に隣接配置されているため(図2、図3および図6参照)、ヒータユニット15の両側面をフィルタ部14と接触することで、フィルタ部14とヒータユニット15の接触面積を大きくとることができ、ヒータユニット15からの熱を効率良くハニカムコアボード全体に伝熱することができる。特に、図6に示すフィルタ部14の配置構造では、ヒータユニット15がフィルタ部14の中央に位置しているため、ヒータユニット15からの熱が放射状に伝わることで、2つのフィルタ部14全体を満遍なく加熱することができる。
図14は、ヒータユニットの構成を示す分解斜視図であり、加熱ヒータ15aにPTCヒータ(Positive Temperature Coefficient:正温度係数)を用いている。このPTCヒータは、温度が上がるにつれて電気抵抗値が上がる特性を利用して自己の温度を制御する素子であるため、これまでヒータ温度を検出していたサーミスタが不要になることから、コストを低減することができる。PTCヒータから成る加熱ヒータ15aの両側面には、アルミナ板からなる伝熱板15bを貼り付けることにより、ハニカムコアボードからなるフィルタ部14との接触面積を広くして、伝熱効果を高めることができる。加熱ヒータ15aの下からは、ヒータ端子15cが伸び、図3に示すヒータハーネス34を介してヒータコネクタ34aに接続されている。
このように構成されたヒータユニット15は、図15に示すように、伸縮性のあるシリコンゴムを用いて構成されたフィルタ保持部材19の中央部の径方向に配置されたヒータホルダ19cの間に挿入される。また、ハニカムコアボードからなる半円状の2つの脱臭触媒フィルタ141に分割されたフィルタ部14は、フィルタ保持部材19の保持枠19aを撓ませてそれぞれ挿入する。そして、保持枠19aの上端部と下端部には、図15に示すように、挿入されたフィルタ部14の上下位置を保持するための保持位置規定リブ19bが形成されている。このため、フィルタ保持部材19の保持枠19aに挿入されたフィルタ部14は、図16に示すように、保持位置規定リブ19bによって上下位置がずれることなく保持することができる。フィルタ保持部材19に挿入された2つのフィルタ部14は、ヒータユニット15の伝熱板15bを間に挟んで隣接し、フィルタ保持部材19のシリコンゴムの伸縮性により、フィルタ部14とヒータユニット15の密着性が一層高まることから、伝熱効率が高まると共に、フィルタ部14とヒータユニット15とを確実に保持できる。また、フィルタ保持部材19は、シリコンゴムの断熱効果と絶縁効果により、ヒータユニット15の加熱時における熱がフィルタ部14を介して筐体側へ逃げないため、フィルタ部14を効率良く加熱できると共に、フィルタ保持部材19の周辺を通る他の配線に対して特に絶縁処理を施す必要が無くなる。
図16のフィルタ保持部材19に保持されたフィルタ部14とヒータユニット15は、図17に示すように、フィルタ保持部材19をバックケーシング23aの装着位置に水平方向に挿入して装着する。バックケーシング23aのフィルタ保持部材19の下側には、図10に示すような、メイン基板26とオゾナイザ基板27を保持する基板ホルダ25と基板ホルダ25の上部側に一体形成された遮水板24が装着される。オゾナイザ基板27とメイン基板26は、基板ホルダ25の表側面25aと裏側面25bの基板保持部25c,25dを使って保持した状態で挿入される。表示ハーネス32、ファンモータハーネス33、ヒータハーネス34は、これらのハーネスを束ねた状態で、遮水板24の端部に形成された切込み24bに這わせて固定した後、接続されるコネクタよりも低い位置まで引き回してからそれぞれのコネクタに接続するよう配線している。このような配線方法を採用する理由は、仮にハーネスを伝って遮水板24を越えて基板ホルダ25側に水滴が入り込んだとしても、ハーネスの垂れた部分で水滴が止まり、直接基板に水が進入しないようにするためである。また、基板ホルダ25は、メイン基板26とオゾナイザ基板27とを基板保持部25c,25dで保持した状態でバックケーシング23aとフロントケーシング23bの筐体に組み付けるだけで済むため、組立性が向上し、筐体内に保持構造を設ける必要がないことから筐体構造を簡素化することができる。
フィルタ部14とヒータユニット15を保持するフィルタ保持部材19と送風ファンユニット16との間には、図2および図3に示すように、ヒータユニット15から発生する熱が直接送風ファンユニット16に当たらないようにするため、熱を遮断する機能を持った遮熱板17を配置する。遮熱板17の材質としては、硬くて、耐衝撃性があり、熱に強い耐熱ポリカーボネート(PC)などを用いているが、これに限定されない。
また、本実施の形態に係る脱臭機10は、脱臭機能を有する脱臭成分発生器としてのオゾン発生器を備えている。オゾン発生器としてのオゾナイザ18は、図2または図3に示すように、脱臭触媒フィルタ141を通過する空気の送風方向(X方向)から見て遮熱板17の上流側にオゾナイザ18を配置するようにする。これは、オゾナイザ18が発生した高濃度のオゾンをそのまま空気吹出口12から車内へ放出すると、放出されるオゾンのオゾン濃度に偏りが生じる場合がある。このため、オゾナイザ18は、遮熱板17の上流側に配置し、発生したオゾンを遮熱板17に当てることで、オゾンを拡散させてオゾンによる脱臭を確実に行いながら下流に流れる間に希釈され、オゾンを所定の放出濃度に保つようにするものである。つまり、遮熱板17をオゾンの拡散板として利用するものである。オゾナイザ18を遮熱板17の上流側に配置する手段としては、図18に示す遮熱板17にオゾナイザ18を固定するオゾナイザホルダ17aを使い、図2に示すように、オゾナイザ18を遮熱板17の上流側に固定する。その際、オゾナイザ18の先端部は、図2に示すように、ヒータユニット15の直上を避けて固定するようにする。これにより、オゾナイザ18は、ヒータユニット15から発生する熱の影響を受けないようにすることができる。
また、遮熱板17には、図2および図18に示すように、アームの先端部にケーブルホルダ17bが取付けられている。このケーブルホルダ17bは、操作パネル21からの表示ハーネス32と送風ファン16からのファンモータハーネス33をバックケーシング23aの内側を引き回す際に、ハーネスを束ねて固定することにより、ハーネスの振動を抑えて振動によるハーネスの断線等を防ぐことができる。
遮熱板17の材質は、オゾンの拡散板としての機能を兼用する場合、耐オゾン性が求められるため、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、低密度ポリエチレン(LDPE)、架橋ポリエチレン(XLPE)などが用いられる。特に、耐熱性と耐オゾン性とを兼ねた材質としては、耐熱ポリカーボネート(PC)やポリプロピレン(PP)が好ましい。なお、遮熱板17の材質はこれらに限定されない。
遮熱板17の下流側には、図2に示すように、送風ファンユニット16が配置されている。ここでは、送風ファン16aとして、プロペラ形の羽根によって軸方向に風を送る軸流ファンが用いられ、図示しないファンモータが送風路13の中央に位置するハブ16bに内蔵されている。これを図1の脱臭機10を図2のC−C線位置で輪切りにした図5の横断面図で見ると、中央のハブ16b部分は風を通さないため、その周囲の送風ファン16aの部分を風が通る。このため、ハブ16b自体が通風抵抗となり、ハブ16bの上流側に対応する部分では送風量が少なく、ファンが回転するハブ16bの周囲の部分で送風量が多くなる。これを図6のフィルタ部14とヒータユニット15との配置で見ると、送風量の多いハブ16bの外周部にハニカムコアボードから成る通風抵抗の少ないフィルタ部14が配置され、送風量の少ないハブ16b付近の中央部に通風抵抗となるヒータユニット15が配置されていることがわかる。従って、図5のフィルタ部14とヒータユニット15の配置は、軸流ファンを採用した場合に、通風抵抗を低減できる配置と言える。プロペラファンを用いると、ヒータユニット15に風が当たらないので、ヒータユニット15が風で冷やされることがなく、ヒータユニット15の熱が無駄なくフィルタ部14に伝熱される。
また、送風ファン16aに軸流ファンを用いた場合は、ハブ16b付近の中央部であればその上流側あるいは下流側に関わらず、送風量が少なくなるため、通風抵抗となるヒータユニット15をハブ16b付近の中央部の上流側あるいは下流側の何れに配置する場合であっても、通風抵抗を低減することができる。
本実施の形態に係る軸流ファンを用いた送風ファンユニット16は、図3に示すように、ハブ16bにファンモータが内蔵されていて、プロペラ形の送風ファン16aを回転させて軸方向に送風する。送風ファンユニット16による風は、図3に示す送風路13に沿って流れる。フィルタ部14より下の空気吸込口11から吸い込まれた空気は、矢印X方向に流れ、ハニカムコアボードから成るフィルタ部14を通ることで臭気成分や有害成分を除去され、上方の送風路13へ抜ける。また、フィルタ部14と送風ファンユニット16の間の空気吸込口11から吸い込まれた空気は、矢印Y方向に流れ、遮熱板17で拡散されたオゾンを希釈しながら送風ファンユニット16を通って、空気吹出口12から吹き出される。
車載用の脱臭機10に軸流ファンを搭載する場合は、軸流ファンに振動が直接伝わらないようにする必要がある。このため、図17に示すバックケーシング23aの装着位置である切欠き孔23cに送風ファンユニット16を装着する場合は、図19−1に示す防振ゴム16cを四隅に装着し、図19−2の状態として、図20に示すように、送風ファンユニット16の四隅の突起部16dをバックケーシング23aとフロントケーシング23bの切欠き孔23cから突き出して固定する。このように、送風ファンユニット16とバックケーシング23aおよびフロントケーシング23bの間には、防振ゴム16cが介在しているため、脱臭機10に振動が加わったとしても、送風ファンユニット16に伝わる振動が減衰され、振動による軸流ファンへの影響を低減することができる。防振ゴム16cの材質としては、ここではクロロプレンゴム(CR)を用いて実施したが、必ずしもこれに限定されない。
このようにして組上げられた脱臭機10のバックケーシング23aとフロントケーシング23bの外周部は、図20に示すように、防塵フィルタ37で覆い、さらにその外側を側面パネル22で覆って固定する。そして、脱臭機10の天井面には、図1に示すような天面パネル20を装着することで完成する。
このように、本実施の形態に係る脱臭機10は、基板ホルダ25の表側面25aと裏側面25bとを使い、メイン基板26とオゾナイザ基板27とに分けて保持するように構成したため、一つの基板上に電気回路部品をまとめて搭載する場合と比べて基板の占有面積を1/2程度に縮小することができ、筐体内のスペースを有効利用することで、脱臭機10を小型化することができる。
また、本実施の形態に係る脱臭機10は、基板ホルダ25の上部に遮水板24を備えているため、基板ホルダ25に保持する基板を水滴から保護することができる。
また、本実施の形態に係る脱臭機10は、遮水板24の上から遮水板24を通ってメイン基板26に搭載された電気回路部品と接続されるハーネスは、接続される電気回路部品より低い位置まで引き回してからそれぞれの電気回路部品と接続するように配線したため、遮水板24からハーネスを伝って水が漏れても、水滴が電気回路部品より低い位置まで引き回したハーネスの部分で止まり、基板に直接水滴がかかるのを防ぐことができる。
また、本実施の形態に係る脱臭機は10、基板ホルダ25の表側面25aと裏側面25bに、高圧電源基板であるオゾナイザ基板27と、低圧電源基板であるメイン基板26とに分けて保持できるため、絶縁距離を容易に確保することができ、筐体内のスペースを有効利用することができる。
また、本実施の形態に係る脱臭機10は、自動車のドリンクホルダに載置する車載用とすると、筐体下部に空気吸込口を設けることができなくなるが、基板ホルダ25を筐体の下部に配置することで、基板の大型化を回避しつつ、筐体下部のスペースの有効利用を図ることができる。
なお、本実施の形態に係る脱臭機10の基板ホルダ25は、板状物の表側面25aと裏側面25bとを使って2枚の基板が保持できるように構成したが、これに限定されず、基板ホルダを構成する板状物を複数枚とし、各板状物の表側面と裏側面とを利用することで3枚以上の基板を保持できるように構成しても良い。
また、本実施の形態に係る脱臭機10の基板ホルダ25には、遮水板24を必ずしも備えている必要はなく、筐体側に遮水板に相当する仕切りを形成しても良い。