JP6167523B2 - 計算装置 - Google Patents

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本発明は、管群に直交して流れる流体により発生する管群の振動を予測する管群振動予測方法およびこのような振動を計算する計算装置に関する。
従来、加圧水型原子炉(PWR)に備えられる蒸気発生器(SG)においては、原子炉から供給される一次冷却水を流す伝熱管を並列配置して管群とし、この管群を伝熱面としてこの管群の軸方向と直交する向きに二次冷却水を流して熱交換している。このような蒸気発生器においては、熱交換の効率化を図るため、管群に直交した流れの流速を高めることが求められている。
このような管群において、この直交流の流速がある値に達すると、不安定振動が発生することが知られている(下記非特許文献1参照)。原子炉の安全性を確保するためにはこのような不安定振動を制御することが必要であり、不安定振動を引き起こす臨界流速を予測する研究がなされてきた。
この臨界流速の予測には、CFD(数値流体力学)による数値シミュレーション(下記非特許文献2参照)が提供されている。また、1本の管の振動によって隣接する複数の管に作用する力を実験により求め、この実験データに基づいて不安定振動解析モデルを作成する方法が提供されている(下記非特許文献3参照)。
日本機械学会編、事例に学ぶ流体関連振動、p.66 市岡丈彦、川田裕、中村友道、泉元、小林敏雄、高松洋、「流動解析を用いた管群の流力弾性振動に関する研究(第1報、並列2円柱および1列管群の解析)」、日本機械学会論文集(B編)、1995年、61巻、582号、p.145−151 田中博喜、「円柱群の流力弾性振動に関する研究(流水中の円柱群)」、昭和56年、日本機械学会論文集(B編)、47巻、419号、p.1224−1233
しかしながら、CFDによるシミュレーションは、モデルの入力、計算処理等に多くの時間とコストを要し、多数のパラメータについて臨界流速を予測することは困難であった。また、実験データに基づいて不安定振動解析モデルを作成する方法についても、多数のパラメータについて臨界流速を予測することは困難であった。
この出願に係る発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、多くの時間とコストを要することなく、多数のパラメータについて臨界流速を予測することができるような管群振動予測方法及び計算装置を提供することを目的とする。
この発明に係る管群振動予測方法は、所定径の管が所定間隔にて周期的に配置されてなる管群において、この管群の軸方向に直交して流れる流体により当該管群に発生する振動を予測する管群振動予測方法であって、前記管群の軸方向に直交する面内において、前記管群を含む領域について各管をそれぞれ含む正多角形のセルに分割するステップと、前記正多角形のセルにおいて、この正多角形のセルの外周と、この正多角形のセルに含まれる管との境界をなす内周とについて、未知量をモード展開するステップと、前記正多角形のセルにおいて、管の中心を始点として前記外周と前記内周を結ぶ動径上で未知量をモード展開するステップとを有するものである。
また、この発明に係る管群振動予測方法は、所定径の管が所定間隔にて周期的に配置されてなる管群において、この管群の軸方向に直交して流れる流体により当該管群に発生する振動を予測する管群振動予測方法であって、前記管群の軸方向に直交する面内において、前記管群を含むセルについて各管をそれぞれ含む正多角形のセルに分割するステップと、前記正多角形のセルにおいて、この正多角形のセルの外周と、この正多角形のセルに含まれる管との境界をなす内周とについて、未知量をモード展開するステップと、前記正多角形のセルにおいて、管の中心を始点として前記外周と前記内周を結ぶ動径上で未知量をモード展開するステップと、前記モード展開した未知量についてガレルキン法を適用するステップとを有するものである。
前記未知量は前記流体の流速及び圧力であり、これら流速及び圧力についてナビエ・ストークスの式及び連続条件に基づいて、前記流速及び圧力の一般化座標の時間に関する常微分方程式を導き、この常微分方程式に基づいて前記流体の定常流による流れ場を決定することが好ましい。前記未知量として前記流速及び圧力にそれぞれ振動外乱を重畳し、これら流速、圧力及び振動外乱についてナビエ・ストークスの式、連続条件及び前記定常流による流れ場に基づいて、前記振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式を導き、この常微分方程式に基づいて前記管群の振動を予測することが好ましい。前記振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式に基づいて、前記管群の不安定振動が発生する前記流体の臨界流速を決定することが好ましい。
前記管は円柱形状であり、前記管は4回回転対称性を有するように配置され、前記正多角形は正方形であることが好ましい。前記管群は加圧水型原子炉の蒸気発生器における伝熱管群を構成し、前記流体は前記蒸気発生器における二次冷却水であることが好ましい。
この発明に係る計算装置は、前記管群振動予測方法を適用したものであって、前記流速及び圧力の一般化座標の時間に関する常微分方程式と前記振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式の表現を含む所定のプログラムを格納した記憶手段と、前記管の径、前記管を配置した間隔、前記管の単位長さ当たりの質量、前記管の固有振動数、前記流体の密度、前記流体の粘性係数の少なくとも1つの値を入力する入力手段と、前記記憶手段に格納された前記プログラムを読み込んで実行し、前記入力手段に入力された前記少なくとも1つの値に基づいて前記臨界流速を計算し、この値が閾値を越えたかどうかを判定する演算手段と、前記演算手段で計算した前記臨界流速と前記判定の結果を出力する出力手段とを含むものである。
この発明は、管を含む正多角形のセルについてのモード展開により解析的に得られた常微分方程式を使用しているので、多くの時間とコストを要することなく、多数のパラメータについて臨界流速を予測することができる。
流れを受ける管群を示す図である。 1セルにおける座標設定を示す図である。 流体密度の大きい領域における換算流速の臨界値の質量減衰パラメータ依存性を示す図である。 レイノルズ数2.29×10における流れ場を示す図である。 流体密度の小さい領域における換算流速の臨界値の質量減衰パラメータ依存性を示す図である。 式(24)における粘性力の導出を示す図である。 管群振動を予測する計算装置の構成を示す図である。 計算装置における一連の動作の流れを示す図である。
以下、本発明に係る管群振動予測方法及び計算装置について、図面を参照して詳細に説明する。
〔1.まえがき〕
従来、加圧水型原子炉(PWR)の蒸気発生器において、管群が管の軸と直交する方向の流れを受け、その流速がある値に達すると不安定振動が発生することがよく知られている(非特許文献1)。このため、不安定振動を引き起こす流速(臨界流速)を予測することは、原子力機器の安全性を確保するために、非常に重要な問題となっている。
従来、臨界流速の予測法として、CFD数値シミュレーション(非特許文献2)、1本の管の振動によって隣接する複数の管に作用する力を実験により求め、この実験データを下に不安定振動解析モデルを作成する方法(非特許文献3)が用いられている。しかし、管群に対する流体支配方程式系を解析的手法で解く方法は、研究されていない。本実施の形態は、このような方法を提案したものである。
〔2.方法の概要〕
CFD解析では、百万オーダの膨大自由度を要し、膨大な計算時間、コストがかかる。従って、設計のパラメータスタディのために多くのパラメータについて流速を少しずつ上げて臨界流速を決定することは、実際上困難となる。また、隣接管に作用する力係数を実験で求めることによって解析モデルを作成する方法においても、多数のパラメータスタディを行う上での不便が生じる。
このような問題を解決するため本実施の形態は、解析的手法による高速計算法を開発することを目的とする。本実施の形態では、有限要素法など従来の多くの数値解法が領域全体を小要素に多数分割するのと対照的に、比較的大きい領域(各管を含む多角形の領域)に分割し、それらの境界での未知量をモード展開する。そして、これらのモード座標で各領域内での未知量を表わすことによって自由度を低減する、境界モード展開法を提案する。このような準解析的方法による自由度低減、計算効率化の可能性は、従来看過されているようである。提案する高速解析法により、従来データに近い臨界流速が高速算定できることを確かめる。
〔3.解析方法〕
図1のように流れを受ける管群10について、不安定振動が発生する臨界流速を求める。この管群10は、それぞれ半径aの第1の管11から第9の管11までの9本の管11〜11が、軸間の間隔(ピッチ)をpとして、X方向及びY方向にそれぞれ3列に、各管11〜11の軸が延びるz方向について4回回転対称になるように配置されている。以下では簡単のため、各管11〜11を特定する添字1〜9を省略する。
管11の軸方向に流速、圧力、管の変位の変化しない2次元問題を考え、この軸に直交する2次元平面を想定する。この面内において、最初に各管11の静止条件下での定常(平均)流れ場を決定し(3.1節)、次に振動外乱を重畳させて安定性解析を行う(3.2節)。
〔3.1 流れ場の決定〕
〔3.1.1 解の表示〕
各管11を含む正方形領域であるセル12の頂点の番号を定義し、頂点iでのx,y方向の流速、圧力をそれぞれ、
Figure 0006167523
とする。
図2のような1セル12に着目する。各外周辺に沿って、xまたはyが増す方向に座標sを設定し、各辺上でのx,y方向の流速、圧力を、辺の両端i,jでの値の直線補間項に精度向上のためのモード展開項を付加して、次のように表わす。
Figure 0006167523
ここで
Figure 0006167523
は、次のような直線補間関数およびモード関数
Figure 0006167523
であり、
Figure 0006167523
は、i,jを結ぶ辺上で定義された一般化座標であり、cは辺の番号であり、
Figure 0006167523
は、辺の両端の周方向角
Figure 0006167523
であり、
Figure 0006167523
とsの関係は各外周辺で次式によって与えられる。
Figure 0006167523
ここで
Figure 0006167523
流体運動解析は、図2のような、各セル12に関する極座標を用いて行う。このため、式(1)の流速成分を、次のように極座標に変換する。
Figure 0006167523
ここで、方向余弦は
Figure 0006167523
である。
周方向座標
Figure 0006167523
での内周と外周を結ぶ動径上での流速、圧力を、次のように表す。
Figure 0006167523
ここで
Figure 0006167523
である。
式(6)右辺第1項は、内周r=a、外周r=rmaxでそれぞれ0,1となり、外周で解(4)に等しくなるための項である。式(6)右辺第2項は、精度向上のための直交関数展開項で、
Figure 0006167523
である。内周での流速は、境界層が非常に薄いため、法線方向成分のみが0となる境界条件を満たすように設定している。
ここで、数(6)の第1項は、外周r=rmaxにおいて
Figure 0006167523
となって外周での解(式(4))に接続、帰着させることができる。内周r=aでは消える。
数(6)の第2項は、外周r=rmaxでは消え、内周r=aで半径方向流速が0、周方向流速と圧力は0でないという条件を満たしながら、動径上
Figure 0006167523
における解をsin,cosの直交関数系でフーリエ展開したものである。ここで、動径座標は管11の中心を始点とすることができる。
式(4)に式(1)を代入した結果を、式(6)右辺第1項に代入することにより、各セル12内の任意位置での流速と圧力が、頂点でのx,y方向の流速と圧力、式(1)右辺第3項のモード展開係数、式(6)右辺第2項のモード展開係数とで表される。すなわち、流体の無限自由度が、これらの時間変数に縮小する。そこで、このようにして得た式を自由度縮小式と称する。
〔3.1.2 ガレルキン法〕
自由度縮小式を、下記の連続条件とナビエ・ストークス方程式の変分重み付き表示式に代入して、未知の時間変数に関する常微分方程式を導く。
Figure 0006167523
Figure 0006167523
Figure 0006167523
ここで
Figure 0006167523
である。
常微分方程式は、次のマトリックス方程式の形に導く。
Figure 0006167523
ここで
Figure 0006167523
である。
式(11)を時間積分し、時間変動の小さい定常近似解に達した解によって流れ場を決定する。このとき数値計算の安定化を行った。多用されている人工粘性は流れ場を変えてしまうので使わず、運動方程式の時間微分を陽に含む非定常慣性項について係数ρ
Figure 0006167523
とする人工慣性を導入した。粘性項と異なり非定常慣性項は定常状態で0に近づくため、求めるべき定常近似解への影響は小さいことに留意した工夫である。
〔3.2 振動解析〕
〔3.2.1 解の表示〕
解を次のように設定する。
Figure 0006167523
これは、前節で求めた定常成分
Figure 0006167523
に振動外乱
Figure 0006167523
が重畳した形である。
3.1.1節の自由度低減手法を、振動成分に関する方程式系の導出にも用いる。まず、セル12の外周辺上でのx,y方向の流速、圧力に関する振動成分を、辺の両端i,jでの値
Figure 0006167523
の直線補間と、モード展開項の和で表し、式(1)に対応して次式を得る。
Figure 0006167523
流体運動解析は、図2のような、各セル12に関する極座標を用いて行うため、流速成分を極座標に変換し、周方向座標
Figure 0006167523
での内周と外周を結ぶ動径上での流速、圧力(振動成分)を、式(6)に対応して次のように表す。
Figure 0006167523
このようにして、各セル12内の任意位置での流速と圧力(振動成分)を、頂点でのx,y方向の流速と圧力、式(13)右辺第3項のモード展開係数、式(14)右辺のモード展開係数で表す。すなわち、流体の無限自由度を、これらの時間変数に縮小する。
〔3.2.2 ガレルキン法〕
ナビエ・ストークス方程式は、変分重み付きの形で次のように表される。
Figure 0006167523
Figure 0006167523
運動学的条件は、管11表面のx,y方向の速度q,qの法線方向成分を管11表面での湧出しと考え、湧出し項を流体連続条件式に導入することによって、次のようになる。
Figure 0006167523
各管の運動方程式は、次式によって与えられる。
Figure 0006167523
ここで
Figure 0006167523
である。
式(14)を式(15),(16),(17),(18)に代入することにより、未知の時間変数に関する常微分方程式系を下記のマトリックス方程式の形に導く。
Figure 0006167523
ここで
Figure 0006167523
は一般化座標によって構成される列ベクトルであり、マトリックス
Figure 0006167523
の固有値を求めることによって安定性を判定する。
〔4.計算結果〕
〔4.1 計算条件〕
次のパラメータについて計算を行った。
Figure 0006167523
流れ場の決定では、粘性係数の代わりに乱流粘性係数をμの60倍の値に設定した(CFDにおいては20〜100倍の値を用いることに基づく)。
管群10の問題では、管11が多数あるため、図1で、次の3個の領域
Figure 0006167523
での流れ場は同じである。そこで、1個のセル12のみについて、流れ場を決定する計算を行った。次に、X方向についても管11が多数であるため周期対称な問題である。そこで、出入り口での湧出し、吸込みの影響の少ない次の領域
Figure 0006167523
で求まった流れ場を9本の管11の周りのセル12に設定して安定性解析を行った。
〔4.2 臨界流速の従来データとの比較〕
質量減衰パラメータと呼ばれる次の量(無次元)
Figure 0006167523
を、減衰比ζを変えることによって変え、換算流速(reduced velocity)と称されている下記の量(無次元)の臨界値を求めた。
Figure 0006167523
ここで、Vは管11の間の隙間の流速で、流れ場を決めるときの式(10)中の湧出し、吸込みソースの強さVsrcのp/(p−2a)倍である。臨界値を従来データ(非特許文献1)と比較した結果を図3に示す。図中の“□”は従来データであり、図中の折線は本解析により得られた値である。本解析により従来データに近い値が得られていることが確かめられる。
図4に流れ場の計算例を示す。この計算例においてレイノルズ数
Figure 0006167523
である。
本解析のV=2.8はV=0.84m/sに相当する。図4でX=0.06mでの隣接管との隙間での最大流速は0.9m/sであり、数値計算上の精度限界によりV=0.84m/sを超えているが、隙間に渡る平均ではVの0.8倍程度になる。従って、計算結果として生ずる隙間での平均的流速によって臨界流速を求めると、図4に示されている臨界流速の0.8倍となり、より保守的な評価となる。
上記は、流体密度の大きい液体の場合を対象とした、質量減衰パラメータの小さい範囲の結果である。しかし工学上は、蒸気発生器(SG)のように、ボイド率90%、すなわち流体密度が1/10に低下し、式(20)の質量減衰パラメータがより大きい場合が重要になる。
図5は、この場合の計算結果を示す。図中の“□”は従来データ(非特許文献1)であり、図中の折線は本解析による値である。本解析では、減衰を一般的な値ζ=0.04に固定し、管11の単位長さ当りの質量を変えることによって、質量減衰パラメータを変えている。この場合も、本解析により、従来データに近い値が得られていることが確かめられる。従来データは、質量減衰パラメータが1を超えると、換算流速の臨界値の質量減衰パラメータに対する変化が不連続的に大きくなる。この傾向が、本解析においても現れている。
〔4.3自由度低減効果〕
本解析では、自由度数がCFDに比べると少なくて済むことを確かめる。解の表示式(13),(14)より、流体解析に関する自由度数Nは次式によって求められる。
Figure 0006167523
ここで、Nは頂点の個数、Nは辺の個数、N13は管の個数(セルの個数)であり、係数3は、x,y方向の流速成分と圧力とで3個の変数があることによる。図1の3×3配列の管群10の場合について自由度数を求めると、N=16,N=24,N=9であり、nmax=2,mmax=1,kmax=1で上のように従来データを説明し得る解析結果が得られる。
この場合の自由度数はN=219である。CFDの数百万オーダに比べるとかなり少なくて済む。安定判別の固有値を求めるために要する計算時間は1ケースについて2分程度である(ただし臨界流速を求めるためには、固有値計算を10回程度繰り返す必要がある)。このような低次元の固有値問題に帰着できることは、CFD使用の際に流体と管11の周波数差により流体解析に合わせて時間きざみを非常に小さくして時間積分する必要が生じる問題の回避に有効である。
〔5.計算装置〕
前述したような臨界流速の予測は、図7に示すような計算装置20によって実現することができる。この計算装置20は、CPU、DSPの如き演算部21、RAM、ROM、ハードディスクの如き記憶部22、LCD、プリンタの如き出力部23、キーボード、マウスの如き入力部24を含み、例えばパーソナルコンピュータを利用することができる。
図8に示す計算装置20の一連の動作は、記憶部22に格納された臨界流速算定プログラム22aを演算部21が読み出して実行することにより実現される。この臨界流速算定プログラム22aは、前述のような手順によって得られた流速及び圧力の一般化座標の時間に関する常微分方程式と振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式の表現を含んでいる。
最初のステップS1においては、モデルを設定する。ここでは、前述したような管群10のモデルを設定するものとする。入力部14は、このモデルについて、管11の径a、管11を配置した間隔p、管11の単位長さ当たりの質量、管11の固有振動数、流体の密度、流体の粘性係数の少なくとも1つの値を入力値として受け取る。演算部21は、入力部24が受け取った入力値を記憶部22に格納する。
ステップS2においては、演算部21は、記憶部22に格納された入力値を読み出し、その数値計算部21aにおいて、この入力値に基づいて前記常微分方程式の表現を用いてこの管群における臨界流速について数値計算する。演算部21は、得られた臨界流速の値を記憶部22に格納する。
ステップS3においては、演算部21は、記憶部22に格納された臨界流速の値と、同じく記憶部22に格納された所定の閾値22bとを読み出す。演算部21は、その判定部21bにおいて、臨界流速値が閾値22bを超えた場合にはOKと判定して一連のステップを終了する。一方、臨界流速が閾値を越えない場合にはNGとして判定して前のステップS1のモデル設定に手順を戻す。なお、閾値22bは、入力部24を介して設定することができる。
このような一連の工程において、臨界流速の値が所定の閾値を超えるまでモデル設定、数値計算、判定のループを繰り返すことにより、臨界流速が閾値を超えるようなモデル設定を可能としている。また、前述のような常微分方程式の表現を利用することにより、精度の高いモデル設定を可能としている。なお、これに限られず、臨界流速が閾値内に収まるようにモデル設定することもできる。
なお、このような臨界流速の算定は、記憶部22に格納した臨界流速算定プログラム22aのような、前述の常微分方程式の表現を含み、モデル設定、数値計算、判定のステップを有するプログラムによっても提供することができる。
〔6.付録:式(18)における粘性力の導出〕
図6に示すように液体とz=0の平面21で接する物体22のx方向の速度が次式
Figure 0006167523
のようにある周波数ωで振動する場合の境界層流れを考える。x方向の流速をv、圧力をpとし、これらの境界層のすぐ外側の主流での値を、上添字(m)を付けて表わす。
主流に関する運動方程式は
Figure 0006167523
となる。
この運動方程式の解を
Figure 0006167523
とおき、式(A2)に代入すると、次式が得られる。
Figure 0006167523
境界層内流れを解析するため、z方向の流速は非常に小さいと仮定すると、z方向のナビエ・ストークス方程式は
Figure 0006167523
に帰着する。
従って、条件
Figure 0006167523
によって次式が要求される。
Figure 0006167523
境界層は非常に薄いので、近似
Figure 0006167523
をx方向のナビエ・ストークス方程式に適用できる。このようにして次式が得られる。
Figure 0006167523
式(A7)を下記の境界条件の下で解く。
Figure 0006167523
Figure 0006167523
解を
Figure 0006167523
と表わし、式(A10)と式(A3)の第2式を式(A7)〜(A9)に代入すると、次のようになる。
Figure 0006167523
Figure 0006167523
Figure 0006167523
式(A4)を式(A11)に代入して次式を得る。
Figure 0006167523
式(A14)に関する同次方程式の特性根αは、
Figure 0006167523
によって定まり、解が有限である条件より、
Figure 0006167523
となる。
従って、式(A14)の一般解は次のようになる。
Figure 0006167523
(x)は任意関数で、式(A13)の条件を課すことにより、次のように物体速度と主流速度で表わせる。
Figure 0006167523
式(A16)を式(A15)に代入すると、
Figure 0006167523
となる。粘性によってz=0で接線方向に作用する力は、
Figure 0006167523
である。
本文の円筒管の問題では、xを周方向とみて、周方向に下記の力が作用する。
Figure 0006167523
虚数単位を陽に含むので
Figure 0006167523
と変形し、第2項目ではiωを時間微分作用素とみなす。また、ωには近似的に流体付加質量を考慮しない管の固有振動数を与える。
なお、上述の実施の形態は、本発明の一具体例を示すものであり、本発明を限定するものではない。例えば、管の配置は4回回転対象に限らず、例えば6回回転対象とすることがであってもよく、正多角形は正方形に限らず、例えば正六角形であってもよい。
また、この管群振動の予測が適用されるのは加圧水型原子炉の蒸気発生器に限らず、例えば一般の熱交換器やボイラに適用することもできる。また、管は中空なものに限らず、一般の構造物に適用することができ、例えば建物を風が通過する際の振動の予測にも適用することができる。
10 管群
11 管
12 セル
20 計算装置

Claims (2)

  1. 管群振動予測方法を適用した計算装置であって、
    所定径の管が所定間隔にて周期的に配置されてなる管群において、この管群の軸方向に直交して流れる流体により当該管群に発生する振動を予測するように
    前記管群の軸方向に直交する面内において、前記管群を含む領域について各管をそれぞれ含む正多角形のセルに分割するステップと、
    前記正多角形のセルにおいて、この正多角形のセルの外周と、この正多角形のセルに含まれる管との境界をなす内周とについて、未知量をモード展開するステップと、
    前記正多角形のセルにおいて、管の中心を始点として前記外周と前記内周を結ぶ動径上で未知量をモード展開するステップと
    を有し、
    前記未知量は前記流体の流速及び圧力であり、これら流速及び圧力についてナビエ・ストークスの式及び連続条件に基づいて、前記流速及び圧力の一般化座標の時間に関する常微分方程式を導き、この常微分方程式に基づいて前記流体の定常流による流れ場を決定し、
    前記未知量として前記流速及び圧力にそれぞれ振動外乱を重畳し、これら流速、圧力及び振動外乱についてナビエ・ストークスの式、連続条件及び前記定常流による流れ場に基づいて、前記振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式を導き、この常微分方程式に基づいて前記管群の振動を予測し、
    前記振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式に基づいて、前記管群の不安定振動が発生する前記流体の臨界流速を決定する管群予測方法を適用し、
    計算装置は、
    前記流速及び圧力の一般化座標の時間に関する常微分方程式と前記振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式の表現を含む所定のプログラムを格納した記憶手段と、
    前記管の径、前記管を配置した間隔、前記管の単位長さ当たりの質量、前記管の固有振動数、前記流体の密度、前記流体の粘性係数の少なくとも1つの値を入力する入力手段と、
    前記記憶手段に格納された前記プログラムを読み込んで実行し、前記入力手段に入力された前記少なくとも1つの値に基づいて前記臨界流速を計算し、この値が閾値を越えたかどうかを判定する演算手段と、
    前記演算手段で計算した前記臨界流速と前記判定の結果を出力する出力手段と
    を含むことを特徴とする計算装置。
  2. 管群振動予測方法を適用した計算装置であって、
    所定径の管が所定間隔にて周期的に配置されてなる管群において、この管群の軸方向に直交して流れる流体により当該管群に発生する振動を予測するように、
    前記管群の軸方向に直交する面内において、前記管群を含む領域について各管をそれぞれ含む正多角形のセルに分割するステップと、
    前記正多角形のセルにおいて、この正多角形のセルの外周と、この正多角形のセルに含まれる管との境界をなす内周とについて、未知量をモード展開するステップと、
    前記正多角形のセルにおいて、管の中心を始点として前記外周と前記内周を結ぶ動径上で未知量をモード展開するステップと、
    前記モード展開した未知量についてガレルキン法を適用するステップと
    を有し、
    前記未知量は前記流体の流速及び圧力であり、これら流速及び圧力についてナビエ・ストークスの式及び連続条件に基づいて、前記流速及び圧力の一般化座標の時間に関する常微分方程式を導き、この常微分方程式に基づいて前記流体の定常流による流れ場を決定し、
    前記未知量として前記流速及び圧力にそれぞれ振動外乱を重畳し、これら流速、圧力及び振動外乱についてナビエ・ストークスの式、連続条件及び前記定常流による流れ場に基づいて、前記振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式を導き、この常微分方程式に基づいて前記管群の振動を予測し、
    前記振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式に基づいて、前記管群の不安定振動が発生する前記流体の臨界流速を決定する管群予測方法を適用し、
    計算装置は、
    前記流速及び圧力の一般化座標の時間に関する常微分方程式と前記振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式の表現を含む所定のプログラムを格納した記憶手段と、
    前記管の径、前記管を配置した間隔、前記管の単位長さ当たりの質量、前記管の固有振動数、前記流体の密度、前記流体の粘性係数の少なくとも1つの値を入力する入力手段と、
    前記記憶手段に格納された前記プログラムを読み込んで実行し、前記入力手段に入力された前記少なくとも1つの値に基づいて前記臨界流速を計算し、この値が閾値を越えたかどうかを判定する演算手段と、
    前記演算手段で計算した前記臨界流速と前記判定の結果を出力する出力手段と
    を含むことを特徴とする計算装置。
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