JP6166989B2 - 車載エアコン用ウェーブルーバー - Google Patents

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Description

本発明は、車載エアコン用ウェーブルーバーに関し、詳しくは、剛性や耐衝撃性に優れ、離型性が良好で外観に優れるポリエステル系樹脂組成物からなり、剛性、耐衝撃性及び外観に優れた車載エアコン用ウェーブルーバーに関する。
自動車等の車両用の内外装部品は、軽量、高強度・高剛性及び優れた外観性状が要求され、また、コスト削減や省資源化等の目的で、薄肉化や小型化による軽量化が進んでいる。
そして、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性ポリエステル樹脂は、それ自体で機械的特性、電気特性等が優れているほか、耐薬品性、耐熱性等も優れているので、自動車等の車両用の各種部品にも広く使用されている。熱可塑性ポリエステル樹脂にガラス繊維や炭素繊維等の繊維状強化剤を配合した、いわゆる繊維強化ポリエステル樹脂は、機械的特性が大幅に向上するので車両用部品としても利用されている(特許文献1)。
繊維強化ポリエステル樹脂から得られる製品の強度や剛性を向上させるためには、ポリエステル樹脂に含有させる繊維状強化剤の量を増やす必要がある。しかし強化剤の配合量を増やすと、繊維強化ポリエステル樹脂組成物の成形性(流動性)が低下し、配合された繊維状強化剤が成形品表面に浮き出し易くなり、製品の外観が悪化するという傾向があった。
車両用部品の中でも、特に機械的特性(強度や剛性)や外観性が厳しく必要とされる部品としては、例えば、自動車用ドアーミラースティ、インナーミラースティ、車載エアコン用ウェーブルーバー等がある。自動車用ドアーミラースティはドアミラーを自動車本体に支持固定するための部品であるが、ミラーを開の状態のまま自動洗車機に進入させてしまった場合でもミラーが飛ばされないだけの極めて高い強度が要求される。このため、繊維状強化剤を50質量%以上もの多量に配合されることになり、この場合、樹脂組成物の流動性がさらに低下し、またせん断発熱が大きくなって樹脂温度が300℃程度まで上昇する等、繊維状強化剤量が50質量%未満の領域からは状態は急変し、離型剤成分と繊維状強化剤が複合的に寄与し、主に繊維状強化剤の浮き出しが著しくなり、表面外観が著しく悪化することが見出された。
また、熱可塑性ポリエステル樹脂は、結晶化に伴う収縮が大きく金型への張り付きが強いことから、特に、中〜大型の成形品を成形する際は、離型性を向上させるために表面滑性を付与する離型剤が幅広く用いられている。しかし、ポリエステル樹脂に含有させる繊維状強化剤量が50質量%を超える場合、表面外観のみならず、離型性も不十分となることが明らかとなった。
特許文献2には、イソフタル酸ユニットを5〜30モル%を含有する変性ポリブチレンテレフタレート(A)にポリカーボネート樹脂(B)を5〜45質量%を配合した樹脂成分に、ガラス繊維(C)、針状充填剤(D−1)及び粒子状もしくは板状充填剤(D−2)からなる混合充填剤(C+D)、炭素数26以上の脂肪族カルボン酸を主たる構成成分とするエステル化合物(E)を配合したポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の発明が記載されている。この発明では、イソフタル酸ユニットを導入することにより、ポリブチレンテレフタレート樹脂の結晶性を低下させて金型への転写性を良くし外観向上を図り、ポリカーボネート樹脂を配合することでひけ等を抑制し、充填剤を上記3種混合した混合充填剤とすることで強度や流動性を調整しようとするものである。しかしながら、その引張強度、曲げ強度及び曲げ弾性率は、上記した自動車用ドアーミラースティ等の要求スペックに対して必ずしも十分であるとは言い難い。
特開2008−280409号公報 特開2004−204170号公報
本発明の目的(課題)は、上記のような特殊な原料成分を要することなく又簡単な処方により、剛性や耐衝撃性に優れ、離型性が良好で外観に優れるポリエステル樹脂材料による剛性、耐衝撃性及び外観に優れた自動車用ドアーミラースティ、インナーミラースティ又は車載エアコン用ウェーブルーバーを提供することにある。
本発明者は、ガラス繊維充填剤を多量に配合する強化ポリエステル樹脂において、ポリエステル樹脂としてポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂を併用し、これに脂肪酸エステル又は脂肪酸アミドを配合することにより、上記した問題が解決され、剛性、耐衝撃性、離型性に優れ、外観の良好な自動車用ドアーミラースティ、インナーミラースティ又は車載エアコン用ウェーブルーバーが製造できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の車載エアコン用ウェーブルーバーを提供する。
[1]ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)50〜95質量%とポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)5〜50質量%からなるポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、ガラス繊維(B)120〜175質量部、脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸アミド(C)0.1〜1.0質量部を含有するポリエステル系樹脂組成物からなることを特徴とする車載エアコン用ウェーブルーバー。
[2]ガラス繊維(B)は、繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1.5〜8である扁平断面ガラス繊維である上記[1]に記載の車載エアコン用ウェーブルーバー。
[3]脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸アミド(C)は、示差走査型熱量計(DSC)による融点が120℃以上である上記[1]又は[2]に記載の車載エアコン用ウェーブルーバー。
本発明の自動車用ドアーミラースティ、インナーミラースティ又は車載エアコン用ウェーブルーバーは、剛性、耐衝撃性及び外観に優れる。
[発明の概要]
本発明の車載エアコン用ウェーブルーバーは、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)50〜95質量%とポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)5〜50質量%からなるポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、ガラス繊維(B)120〜175質量部、脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸アミド(C)0.1〜1.0質量部を含有するポリエステル系樹脂組成物からなることを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下に記載する説明は実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。
なお、本願明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[ポリエステル樹脂(A)]
本発明に用いるポリエステル系樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)とポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)からなるポリエステル樹脂(A)を含有する。
[ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)]
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)は、1,4−ブタンジオールとテレフタル酸又はその低級アルコールエステルとを重縮合して得られるポリマーであり、ポリブチレンテレフタレート単位を95モル%より多く含有する共重合体であってもよい。
共重合体の場合のコモノマーとしては、テレフタル酸又はその低級アルコールエステル以外の二塩基酸成分として、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、コハク酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の脂肪族、芳香族多塩基酸、又はそのエステル形成性誘導体、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロシキナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
又、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等、1,3−オクタンジオール等の低級アルキレングリコール、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族アルコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等のアルキレンオキサイド付加体アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物又はそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)は、1種を単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)としては、ポリブチレンテレフタレートの単独重合体が好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)の固有粘度([η])は、適宜選択して決定すればよいが、通常0.5〜2dl/gであることが好ましく、中でも樹脂組成物の成形性および機械的特性の観点から0.6〜1.5dl/gであることが好ましい。固有粘度が0.5dl/g以上のものを用いると、成形品の機械的強度が十分高くなる傾向にあり、2dl/g以下であると樹脂組成物の流動性が向上し、成形性が向上する傾向にある。
なお、本明細書中において、ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定した値である。
[ポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)]
ポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)は、エチレングリコールとテレフタル酸又はその低級アルコールエステルとを重縮合して得られるポリマーであり、ポリエチレンテレフタレート単位を95モル%より多く含有する共重合体であってもよい。
共重合体の場合のコモノマーとしては、テレフタル酸又はその低級アルコールエステル以外の二塩基酸成分として、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、コハク酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の脂肪族、芳香族多塩基酸、又はそのエステル形成性誘導体、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロシキナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
又、エチレングリコール以外のグリコール成分として、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等、1,3−オクタンジオール等の低級アルキレングリコール、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族アルコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等のアルキレンオキサイド付加体アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物又はそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)は、1種を単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)としては、ポリエチレンテレフタレートの単独重合体が好ましい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)の固有粘度は、適宜選択して決定すればよいが、通常0.5〜2dl/g、中でも0.6〜1.5dl/g、特には0.7〜1.0dl/gであることが好ましい。固有粘度を0.5dl/g以上、特には0.7dl/g以上とすることで、機械的特性や滞留熱安定性、耐湿熱性が向上する傾向にあり好ましい。逆に固有粘度を2dl/g未満、特には1.0dl/g未満とすることで樹脂組成物の流動性が向上する傾向にあり好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)とポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)の含有割合は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)50〜95質量%、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)5〜50質量%である。ポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)の含有割合が5質量%を下回ると、流動性が低下及び外観が悪化し、50質量%を超えると、固化速度の低下により成形性が悪化する。
好ましい含有割合は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)50〜90質量%、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)10〜50質量%であり、より好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)55〜85質量%、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)15〜45質量%であり、さらに好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)55〜80質量%、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)20〜45質量%である。
[ガラス繊維(B)]
本発明に用いるポリエステル系樹脂組成物は、ガラス繊維(B)を含有する。ガラス繊維(B)としては常用のものをいずれも用いることができる。
ガラス繊維(B)の平均繊維長は特に限定されないが、例えば0.1〜20mmの範囲で選ぶことが好ましく、0.3〜5mmであることがより好ましい。平均繊維長が0.1mm未満であると、補強効果が十分に発現しない恐れがあり、20mmを超えると、得られるポリエステル系樹脂組成物の成形が困難になる恐れがある。
ガラス繊維(B)の平均繊維径は特に制限されないが、例えば1〜100μmの範囲で選ぶことが好ましく、より好ましくは2〜50μm、更に好ましくは3〜30μm、特に好ましくは5〜20μmである。平均繊維径が1μm未満のガラス繊維は、製造が容易でなく、コスト高になる恐れがあり、一方100μmを超えると、ガラス繊維の引張強度が低下する恐れがある。
ガラス繊維(B)としては、長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1.5〜8である扁平断面ガラス繊維を用いるのが、曲げ強度や衝撃強度の点で、また製品の外観、反り等の寸法安定の良さの点でより好ましい。扁平断面ガラス繊維の繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値は、より好ましくは1.6〜7、さらに好ましくは1.7〜6、特に好ましくは1.8〜5である。
また、ガラス繊維(B)は、カップリング剤等の表面処理剤によって、表面処理されたものを用いることが好ましい。表面処理剤が付着したガラス繊維は、耐久性、耐湿熱性、耐加水分解性、耐ヒートショック性に優れる傾向にあり好ましい。
表面処理剤としては、従来公知の任意のものを使用でき、具体的には、例えば、アミノシラン系、エポキシシラン系、アリルシラン系、ビニルシラン系等のシラン系カップリング剤が好ましく挙げられる。
これらの中では、アミノシラン系表面処理剤が好ましく、具体的には例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい例として挙げられる。
また、表面処理剤として、ノボラック型等のエポキシ樹脂、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂等も好ましく挙げられる。中でも、ノボラック型のエポキシ樹脂がより好ましい。
シラン系表面処理剤とエポキシ樹脂は、それぞれ単独で用いても複数種で用いてもよく、両者を併用することも好ましい。
本発明においては、ガラス繊維(B)は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)50〜95質量%とポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)5〜50質量%からなるポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、120〜175質量部と通常より多くの量で含有することを特徴とし、このような製品外観が悪化しやすい状況においても外観性を良好にすることができる。含有量は、好ましくは120〜160質量部、さらに好ましくは120〜150質量部である。
ガラス繊維(B)の含有量がこのような範囲にあって、かつポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)とポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)と脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸アミド(C)をそれぞれ所定の量で含有することで、引張強度や曲げ強度や耐衝撃性が良好で、かつ離型性や外観性の良好な自動車用ドアーミラースティ、インナーミラースティ又は車載エアコン用ウェーブルーバーとすることができる。
[脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸アミド(C)]
本発明に用いるポリエステル系樹脂組成物は、脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸アミド(C)を含有する。
脂肪酸エステルとしては、飽和又は不飽和の脂肪族1価又は2価のカルボン酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類等の脂肪酸エステル類やその部分鹸化物等が挙げられる。中でも、炭素数11〜28、好ましくは炭素数17〜21の脂肪酸とアルコールで構成される脂肪酸エステルが好ましい。
脂肪族カルボン酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸等が挙げられる。また、脂肪族カルボン酸は、脂環式のカルボン酸であってもよい。
アルコールとしては、飽和又は不飽和の1価又は多価アルコールを挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが更に好ましい。ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステル化合物は、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
脂肪酸エステルの具体例としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンジベヘネート、グリセリン−12−ヒドロキシモノステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ぺンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリストールジステアレート、ペンタエリストールテトラステアレート、ステアリルステアレート、エチレングリコールモンタン酸エステル等が好ましく挙げられる。
脂肪酸エステルは一種または二種以上混合して用いてもよい。
脂肪酸エステルとしては、特にぺンタエリスリトールのエステルが好ましい。
脂肪酸アミドとしては、脂肪酸と脂肪族アミン又は脂肪族ジアミンとの反応により得られる脂肪酸アミド又は脂肪酸ビスアミドが挙げられる。
この際の脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和又は不飽和の脂肪族一価、二価又は三価カルボン酸を挙げることができ、ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価又は二価カルボン酸である。脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタン酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等が例示できる。
脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、及びトリデカメチレンジアミン等の炭素数2〜20の直鎖飽和脂肪族ジアミン等が好ましく挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、モンタン酸アミド、N−オレイルパルミトアミド、N−ステアリルエルカ酸アミドが好ましく例示できる。
脂肪酸ビスアミドとしては、炭素数6以上のアルキレンビス脂肪酸アミドが好ましい。メチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、エチレンビスラウルアミド、エチレンビスベヘニルアミド、ヘキサメチレンビスオレイルアミド、ヘキサメチレンビスステアリルアミド、ブチレンビスステアリルアミド等が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、ビスアミド化合物がより好ましく、中でも、エチレンビスステアリルアミドが特に好ましい。
脂肪酸アミドは一種または二種以上混合して用いてもよい。
脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸アミド(C)は、示差走査型熱量計(DSC)による融点が120℃以上であることが好ましい。
本明細書において、融点とは、示差走査型熱量測定(DSC)による融点をいい、融解のメインピークのピーク温度(℃)をいう。具体的には、30℃から予想される融点+40℃まで20℃/分で昇温した際に検出される発熱メインピークのピークトップの温度(℃)をいう。融点は好ましくは130℃以上、より好ましくは135℃以上、さらに好ましくは140℃以上である。
融点が120℃以上であることで、低分子量成分が少なく、成形時等の発生ガスが低減されるため、外観が向上しやすい傾向にあり好ましい。
脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸アミド(C)は、いずれかを単独でも或いは併せて含有してもよいが、その含有量(併用の場合は合計の量)は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)とポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)からなるポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、0.1〜2質量部である。好ましくは0.15質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、1.5質量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0質量部以下である。
0.1質量部未満であると、成形時の離型不良が発生し易く、一方、2質量部を超えると、溶融混練時のフィード不良や、脂肪酸エステルや脂肪酸アミド中に含まれる低分子量成分を由来とした外観不良が発生し易い。
[その他含有成分]
本発明に用いるポリエステル系樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)及びポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)以外の熱可塑性樹脂を、本発明の効果を損わない範囲で含有することができる。その他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えばポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
また、上記した以外の種々の添加剤を含有していてもよく、このような添加剤としては、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、タルク、ワラストナイト、マイカ等のガラス繊維(B)以外の強化充填材、安定剤、カーボンブラック、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、着色剤等が挙げられる。
[安定剤]
本発明に用いるポリエステル系樹脂組成物は、安定剤を含有することが、熱安定性改良や、機械的強度、透明性や色相の悪化を防止する効果を有するという点で好ましい。安定剤としては、リン系安定剤、イオウ系安定剤およびフェノール系安定剤が好ましい。
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物又は有機ホスホナイト化合物が好ましい。
有機ホスフェート化合物としては、好ましくは、下記一般式:
(RO)3−nP(=O)OH
(式中、Rは、アルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を示す。)
で表される化合物である。より好ましくは、Rが炭素原子数8〜30の長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物が挙げられる。炭素原子数8〜30のアルキル基の具体例としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。
長鎖アルキルアシッドホスフェートとしては、例えば、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、オクタデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。これらの中でも、オクタデシルアシッドホスフェートが好ましく、このものはADEKA社の商品名「アデカスタブ AX−71」として、市販されている。
有機ホスファイト化合物としては、好ましくは、好ましくは、下記一般式:
O−P(OR)(OR
(式中、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子数6〜30のアリール基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素原子数6〜30のアリール基である。)
で表される化合物が挙げられる。
有機ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
有機ホスホナイト化合物としては、好ましくは、下記一般式:
−P(OR)(OR
(式中、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基又は炭素原子数6〜30のアリール基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素原子数6〜30のアリール基である。)
で表される化合物が挙げられる。
有機ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。
イオウ系安定剤としては、従来公知の任意のイオウ原子含有化合物を用いることが出来、中でもチオエーテル類が好ましい。具体的には例えば、ジドデシルチオジプロピオネート、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、チオビス(N−フェニル−β−ナフチルアミン)、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルイソプロピルキサンテート、トリラウリルトリチオホスファイトが挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)が好ましい。
フェノール系安定剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−ネオペンチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等が挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
上記安定剤のうち、特に好ましいのは、フェノール系安定剤である。
安定剤の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)とポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)からなるポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.001〜1質量部である。安定剤の含有量が0.001質量部未満であると、樹脂組成物の熱安定性や相溶性の改良が期待しにくく、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、1質量部を超えると、過剰量となりシルバーストリークの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。安定剤の含有量は、より好ましくは0.001〜0.7質量部であり、更に好ましくは、0.005〜0.5質量部である。
[カーボンブラック]
本発明に用いるポリエステル系樹脂組成物は、カーボンブラックを含有することも好ましい。カーボンブラックを含有することで、自動車用ドアーミラースティ、インナーミラースティ又は車載エアコン用ウェーブルーバーの耐侯性や外観が向上する。
カーボンブラックは、その種類、原料種、製造方法に制限はなく、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のいずれをも使用することができる。その数平均粒子径には特に制限はないが、5〜60nmであることが好ましい。このように数平均粒子径が所定の範囲にあるカーボンブラックを用いることにより、高温下でブリスターが発生し難い組成物を得ることができる。なお、数平均粒子径は、ASTM D3849規格(カーボンブラックの標準試験法−電子顕微鏡法による形態的特徴付け)に記載の手順によりアグリゲート拡大画像を取得し、このアグリゲート画像から単位構成粒子として3,000個の粒子径を測定し、算術平均して求めることができる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(単位:m/g)は、通常1000m/g未満が好ましく、なかでも50〜400m/gであることが好ましい。窒素吸着比表面積を1000m/g未満にすることで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性や成形品の外観が向上する傾向にあり好ましい。なお、窒素吸着比表面積はJIS K6217に準拠して測定することができる。
またカーボンブラックのDBP(ジブチルフタレート)吸収量は、300cm/100g未満であることが好ましく、なかでも30〜200cm/100gであることが好ましい。DBP吸収量を300cm/100g未満にすることで、本発明に用いるポリエステル系樹脂組成物の流動性や成形品の外観が向上する傾向にあり好ましい。
なお、DBP吸収量(単位:cm/100g)はJIS K6217に準拠して測定することができる。また使用するカーボンブラックは、そのpHについても特に制限はないが、通常、2〜10であり、3〜9であることが好ましく、4〜8であることがさらに好ましい。
カーボンブラックは、一種を単独でまた2種以上併用して使用することができる。更にカーボンブラックは、バインダーを用いて顆粒化することも可能であり、他の樹脂中に高濃度で溶融混練したマスターバッチでの使用も可能である。溶融混練したマスターバッチを使用することによって、押出時のハンドリング性改良、樹脂組成物中への分散性改良が達成できる。上記樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
マスターバッチ中のカーボンブラックの含有量は10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%がさらに好ましい。
カーボンブラックの含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)とポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)からなるポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.01〜5質量部であり、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上、特に0.5質量部以上であり、また、より好ましくは2質量部以下、さらに好ましくは1.5質量部以下、特に好ましくは1.0質量部以下である。含有量が0.01質量部未満であると耐候性が不十分となる場合があり、5質量部を超えると、成形性、耐衝撃性等の機械的特性が低下しやすい傾向にある。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明に用いるポリエステル系樹脂組成物の製造方法としては、樹脂組成物調製の常法に従って行うことができる。通常は各成分及び所望により添加される種々の添加剤を一緒にしてよく混合し、次いで一軸又は二軸押出機で溶融混練する。また各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、樹脂組成物を調製することもできる。さらには、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)もしくはポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)、あるいは他の熱可塑性樹脂の一部に他の成分の一部を配合したものを溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りの他の成分を配合して溶融混練してもよい。
なお、ガラス繊維(B)等の繊維状の強化充填材は、押出機のシリンダー途中のサイドフィーダーから供給することも好ましい。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常220〜300℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、外観不良の原因になる場合がある。それ故、剪断発熱等に考慮したスクリュー構成の選定が望ましい。混練り時や、後行程の成形時の分解を抑制する為、酸化防止剤や熱安定剤の使用が望ましい。
[自動車用ドアーミラースティ、インナーミラースティ又は車載エアコン用ウェーブルーバー]
本発明のポリエステル系樹脂組成物を用いて自動車用ドアーミラースティ、インナーミラースティ又は車載エアコン用ウェーブルーバーを製造する方法は、特に限定されず、ポリエステル樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられる。中でも射出成形が好ましい。
成形品は、高い強度(剛性)及び耐衝撃性と耐衝撃性と外観性に優れるので、これらの特性が厳しく求められる自動車用ドアーミラースティ、インナーミラースティ又は車載エアコン用ウェーブルーバーとして使用される。
自動車用ドアーミラースティは、ドアミラーを自動車ドアに支持固定するための部品であり、自動車用インナーミラースティは、自動車室内のバックミラー等の為の支持固定部である。また、車載エアコン用ウェーブルーバー(wave louver)は、自動車室内向けの空調用エアーコンディショナーに使用される気流の風向き等の調節用部品である。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例および比較例において、使用した成分は、以下の表1の通りである。
Figure 0006166989
(実施例1〜4、比較例1〜6)
表1に示すガラス繊維類以外の各成分を表2〜表3に示す割合(質量部)にて、タンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30XCT」、L/D=42)を使用し、ガラス繊維類はサイドフィードし、シリンダー設定温度260℃、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練した樹脂組成物を、水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリエステル系樹脂組成物のペレットを得た。
[MVR]
タカラ工業(株)製メルトインデクサーを用いて、得られたペレットを265℃、荷重5kgfの条件で測定した単位時間当たりの溶融流動体積MVR(単位:cm/10min)を測定した。
[試験片の作製]
上記の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼社製射出成形機(型締め力85T)を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、ISO多目的試験片(4mm厚)を射出成形した。
[引張破断強度、引張破断伸び率]
ISO527に準拠して、、上記ISO多目的試験片(4mm厚)を用いて、引張破断強度(単位:MPa)、引張破断伸び率(単位:%)を測定した。
[曲げ最大強度、曲げ弾性率、]
ISO178に準拠して、上記ISO多目的試験片(4mm厚)を用いて、23℃の温度で、曲げ最大強度(単位:MPa)と曲げ弾性率(単位:MPa)を測定した。
[ノッチ付シャルピー衝撃強度]
ISO179に準拠して、厚さ4mmのノッチ付き試験片について、23℃の温度でノッチ付シャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
[離型抵抗]
上記の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製射出成形機(型締め力50T)を用い、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、冷却時間10secの条件にて、厚み1.5mmt、外寸30×50×15mm深さの箱型成形品を成形し、イジェクターピンの突出しで離型させた時の最大抵抗値を離型抵抗として評価した。
[外観の評価]
上記の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日精樹脂工業社製射出成形機(型締め力80T)を用い、シリンダー温度260℃、金型温度80℃の条件で成形した100×100×2mmtの射出成形試験片を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
不良:試験片表面全体に白い斑がある
良:試験片表面の一部に白い斑がある
最良:試験片表面に白い斑が殆ど観察されない
以上の評価結果を、以下の表2〜3に示す。
Figure 0006166989
Figure 0006166989
本発明の自動車用ドアーミラースティ、インナーミラースティ又は車載エアコン用ウェーブルーバーは、剛性、耐衝撃性、外観に優れるので、産業上の利用性は非常に高いものがある。

Claims (3)

  1. ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)50〜95質量%とポリエチレンテレフタレート樹脂(A2)5〜50質量%からなるポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、ガラス繊維(B)120〜175質量部、脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸アミド(C)0.1〜1.0質量部を含有するポリエステル系樹脂組成物からなることを特徴とする車載エアコン用ウェーブルーバー。
  2. ガラス繊維(B)は、繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1.5〜8である扁平断面ガラス繊維である請求項1に記載の車載エアコン用ウェーブルーバー。
  3. 脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸アミド(C)は、示差走査型熱量計(DSC)による融点が120℃以上である請求項1又は2に記載の車載エアコン用ウェーブルーバー。
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