JP6165187B2 - メイクアップの評価方法、メイクアップの評価システム、及びメイクアップ製品の推奨方法 - Google Patents
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Description
顔をメイクアップする準備工程と、
メイクアップ後の顔の画像を取得する画像取得工程と、
頬、フェイスライン、及び首の各位置において、L*a*b*空間に基づく色情報を抽出する色情報抽出工程と、
前記フェイスラインから前記頬への色方向と、前記フェイスラインから前記首への色方向との三次元上の角度に関する情報を求める角度演算工程と、
前記角度に関する情報に基づいて、メイクアップの仕上がりを評価する評価工程と、
を包含することにある。
そこで、本発明者らは、顔や首の色そのものではなく、頬から首にかけての色の変化に着目して研究を行った。その結果、L*a*b*空間におけるフェイスラインから頬への色の方向、及びフェイスラインから首への色の方向がなす三次元上の角度が重要であり、この角度に関する情報によって、ファンデーションの色が使用者に合っているかの評価が可能となることを突き止めた。そのような評価方法として具体的には、使用者の顔にファンデーションを塗布し(準備工程)、塗布した後の顔の画像を取得する(画像取得工程)。次に、頬、フェイスライン、及び首の各位置において、L*a*b*空間に基づく色情報を抽出し(色情報抽出工程)、フェイスラインから頬への色方向と、フェイスラインから首への色方向との三次元上の角度に関する情報を求める(角度演算工程)。このような手順で求められた角度に関する情報に基づいて、ファンデーションの仕上がりを評価することができる(評価工程)。このように、本発明のファンデーションの評価方法は、頬、フェイスライン、及び首の色のみを対象としてファンデーションの色を選択するのではなく、頬、フェイスライン、及び首の各位置における色情報から求められるL*a*b*空間において色の方向がなす三次元上の角度によって評価を行う。このため、日常の照明環境下(つまり、人が実際に見る場面)における、頬、フェイスライン、及び首の色の関係に基づいて、使用者に塗布したファンデーションの色が合っているか(すなわち、美しい仕上がりであるか)について評価をすることができる。また、感覚的に色を選択することがない定量的な評価方法であるため、化粧品販売員等の経験や能力によらず、評価にばらつきが生じ難くなる。
前記準備工程において、L*a*b*空間に基づく下記式(1)
∠H°=tan−1(b*/a*) ・・・ (1)
(ここで、a*≧0、b*≧0である。)
で表される色相角(∠H°)が、0〜90°の範囲に設定されるように前記顔をメイクアップすることが好ましい。
前記画像取得工程において、前記画像は、前記頬から前記首にかけて5以上の領域に分割された細分画像として取得されることが好ましい。
前記画像取得工程において、前記画像は平滑化処理されることが好ましい。
前記色情報抽出工程において、眉間を始点とする口角方向の直線である第一直線と、眉間を始点とする耳垂先端方向の直線である第二直線とが角度領域を形成し、
前記頬、前記フェイスライン、及び前記首の各位置が前記角度領域内に存在し、且つ、同一直線上に位置し、さらに、前記頬に位置する点を始点とし、前記首に位置する点を終点とする基準線が設定されるように前記頬、前記フェイスライン、及び前記首の各位置が選択されることが好ましい。
前記色情報抽出工程において、前記フェイスラインは、前記基準線上の最も暗い位置にあり、前記頬、及び前記首の位置は、前記フェイスラインの位置から1〜5cmの範囲内に夫々位置するように設定されることが好ましい。
前記角度演算工程において、前記角度に関する情報として前記角度の常用対数値を求めることが好ましい。
前記評価工程において、前記角度の常用対数値が所定の閾値以下となる場合を仕上がり良好と判定することが好ましい。
顔に施したメイクアップを評価するメイクアップの評価システムであって、
メイクアップ後の顔の画像を取得する画像取得手段と、
頬、フェイスライン、及び首の各位置において、L*a*b*空間に基づく色情報を抽出する色情報抽出手段と、
前記フェイスラインから前記頬への色方向と、前記フェイスラインから前記首への色方向との三次元上の角度に関する情報を求める角度演算手段と、
前記角度に関する情報に基づいて、メイクアップの仕上がりを評価する評価手段と、
を備えることにある。
上記の何れか一つに記載のメイクアップの評価方法を利用して、使用者に適したメイクアップ製品を推奨するメイクアップ製品の推奨方法であって、
前記準備工程は、コンピュータ又はネットワーク上で行われる仮想的なメイクアップとして実行され、
前記評価工程による評価に基づいて、使用者に適したメイクアップ製品を選択することにある。
[メイクアップの仕上がりに対する目視的評価と2つの色方向がなす角度との相関性]
上記の「背景技術」にて説明したとおり、従来のファンデーションの色の選択方法は顔や首の色に重点を置いていたが、信頼性に欠けるものであった。本発明者らは、色は、L*a*b*表色系で表され、このL*a*b*表色系は三次元空間であることから、顔や首の色そのものではなく、三次元空間上における色方向が、ファンデーションの色の選択に関係するのではないかとの予測を立て、以下の検証を行った。
人が「美しい」と感じることは、人の主観に依るところが大きいと考えられる。そのため、他人のメイクアップの仕上がりを評価する際、直接見て感覚的に「合っている、又は合っていない」と判定することは重要である。そこで、本発明に係るメイクアップの評価に関する検証では、まず、メイクアップの仕上がりに対して目視での評価を行った。メイクアップ製品としてファンデーションを使用した。
(イ)ファンデーションの色が被験者に合っている(つまり、美しい仕上がりである):+1点
(ロ)ファンデーションの色が被験者に合っていない(つまり、美しい仕上がりでない)」:−1点
(ハ)どちらとも言えない:0点
34名の評価者の点数を集計し、各画像に対する点数の平均値(これを「美肌スコア」と称する。)を求めた。
図1は、頬、フェイスライン、及び首の各位置における色情報の抽出に関する説明図である。本発明者らは、顔や首の色の測定位置を次のように定めた。まず、図1に示すように、眉間Aを始点として左右どちらかの口角B(図1では、顔の左側を例示している)の方へ直線を引き、この直線を第一直線1とする。次に、眉間Aを始点として口角Bと同じ側にある耳垂先端C(図1では、顔の左側の口角方向に第一直線1を設けたので、耳垂先端Cは顔の左側を選択している)の方へ直線を引き、この直線を第二直線2とする。図1に示すように、第一直線1、及び第二直線2は角度領域Rを形成する。この角度領域R内にあり、且つ、同一直線上にある頬、フェイスライン、及び首の各位置を選択する。そして、この直線上にあって、頬Dに位置する点を始点とし、首Fに位置する点を終点とする基準線3を設定する。このとき、フェイスラインEは、基準線3上の最も暗い点に位置し、フェイスラインEと頬Dとの距離L、及びフェイスラインEと首Fの距離L´が夫々1〜5cmの範囲内となるように選択される。従来のファンデーションの選択方法による評価が信頼性に欠ける理由の一つとして、フェイスラインには陰影が生じ易く、これを考慮して色の測定を行っていないことが挙げられる。そこで、本発明者らは、フェイスラインを上記のように特定し、この後における色の測定に影響を及ぼさないようにした。このように、頬D、フェイスラインE、及び首Fの各位置を選択した後、各位置におけるL*a*b*空間に基づく色情報(後に詳述する)を抽出した。
上記の検証試験によって、美肌スコア、及び三次元上の角度の常用対数値には相関性があることが分かった。次に、この結果を踏まえて、フェイスラインから頬への色方向と、フェイスラインから首への色方向との三次元上の角度によって、メイクアップの美しさが決定されるのかについて検証した。
上記と同様に、メイクアップ製品としてファンデーションを使用した。まず、4名の被験者に色の異なる3種のファンデーションを塗布し、顔(首も含む)をデジタルカメラで撮影し、合計12枚(4名×3種=12枚)の撮影画像を用意し、これを基準画像とした。この各基準画像に対して、次の二通りの操作を加えた。一つは、基準画像における首の色を変えて、フェイスラインから頬への色方向、及びフェイスラインから首への色方向がなす角度を変更する操作(つまり、各基準画像におけるフェイスラインから頬への色方向、及びフェイスラインから首への色方向がなす角度を狭める、又は、広げる操作を意味する。)であり、もう一つは、基準画像における頬の色を明るくする、または、暗くする操作(つまり、色方向のベクトルの長さを変更することを意味する。)である。この二通りの操作を組み合わせた画像を作成した。上記の二通りの操作により、1つの基準画像につき9種の画像が得られるため、合計で108枚(12枚×9種=108枚)の画像が得られる。これらの画像を被験者以外の6名の評価者が評価し、点数をつけた。回答項目と点数とは以下のように設定した。
(イ)ファンデーションの色が被験者に合っている(つまり、美しい仕上がりである):+1
(ロ)ファンデーションの色が被験者に合っていない(つまり、美しい仕上がりでない)」:−1
(ハ)どちらとも言えない:0
6名の評価者の点数を集計し、各画像に対する点数の平均値(美肌スコア)を求めた。
操作を加えた画像を2つの観点から以下のようにグループ分けした。1つ目は、角度の変化に着目した場合のグループ分けである。
(A1):フェイスラインから頬への色方向と、フェイスラインから首への色方向とが一致する傾向にあった画像。つまり、フェイスラインから頬への色方向と、フェイスラインから首への色方向とがなす三次元上の角度が小さかった画像。
(A2):フェイスラインから頬への色方向と、フェイスラインから首への色方向とが乖離する傾向にあった画像。つまり、フェイスラインから頬への色方向と、フェイスラインから首への色方向とがなす三次元上の角度が大きかった画像。
(A3):(A1)及び(A2)のどちらとも言えない画像。
(B1):ベクトルの長さが基準画像より長くなった画像。つまり、明るい画像。
(B2):ベクトルの長さが基準画像より短くなった画像。つまり、暗い画像。
(B3):(B1)及び(B2)のどちらとも言えない画像。
図6は、本発明のメイクアップの評価システム100(以下、単に「評価システム100」と称する。)のブロック図である。評価システム100は、メイクアップ後の顔の画像を取得する画像取得手段10と、頬、フェイスライン、及び首の各位置において、L*a*b*空間に基づく色情報を抽出する色情報抽出手段20と、フェイスラインから頬への色方向と、フェイスラインから首への色方向との三次元上の角度に関する情報を求める角度演算手段30と、角度に関する情報に基づいて、メイクアップの仕上がりを評価する評価手段40とを備える。また、任意の構成要件として、評価手段40による評価に基づいて使用者に最適なメイクアップ製品を推奨する際、その内容が表示される表示手段50を備えることができる。
評価システム100を使用する際、使用者が評価を希望するメイクアップ製品を用いて、予め使用者にメイクを施す。本実施形態では、メイクアップ製品としてファンデーションを使用する。ここで、使用者に塗布するファンデーションの色は、L*a*b*空間に基づく下記式(1)
∠H°=tan−1(b*/a*) ・・・ (1)
で表される色相角(∠H°)が、0〜90°の範囲に設定されるものを使用する。上記式(1)において、a*≧0、b*≧0と設定される。このように設定した場合、使用者に塗布されるファンデーションの色は、人の肌色(素肌の色)に近い赤〜黄系統の色が選択されることとなる。このため、使用者に塗布したファンデーションの色が使用者に合っているかについて正確に評価することができる。
画像取得手段10は、メイクアップ後の顔の画像を取得する。画像取得手段は、カメラ11からの画像情報を受け取るように構成されており、カメラ11により撮影された使用者の画像を取得する。まず、ファンデーションを塗布した後の使用者の顔(首も含む)をカメラ11で撮影し、評価システム100内に取り込む。カメラ11は、評価の際に使用する頬、フェイスライン、及び首が明確に判別することが可能な解像度を有するものであれば特に限定されず、例えば、デジタルカメラや、スマートフォン等のようなカメラ機能を有する電子機器が挙げられる。撮影を行う環境については、使用者に合うファンデーションかどうかを評価することが目的であるから、できるだけ日常の環境に近いことが望ましいが、照度と演色性とがある程度あれば、色温度等の影響を考慮せず実施可能である。また、光源の位置は日常的な照明環境に近づけるため、顔よりも高い位置にあるか、若しくは顔と同じ高さになるように調整される。
色情報抽出手段20は、頬、フェイスライン、及び首の各位置において、L*a*b*空間に基づく色情報を抽出する。頬、フェイスライン、及び首の各位置は、図1を参照して説明したとおりの手順にて選択する。頬、フェイスライン、及び首の各位置が適切に選択されたら、色情報抽出手段20は、各位置におけるL*a*b*空間に基づく色情報を抽出する。すなわち、頬、フェイスライン、及び首の各位置の明度L*、及び色度a*、b*の値を抽出する。
角度演算手段30は、色情報抽出手段20によって得られた頬、フェイスライン、及び首の各位置におけるL*a*b*空間に基づく色情報から、フェイスラインから頬への色方向と、フェイスラインから首への色方向との三次元上の角度に関する情報を求める。このとき、求めた三次元上の角度をそのまま評価に用いることは可能であるが、より正確な評価を得るため、三次元上の角度から常用対数値を夫々求める。ここで、角度演算手段30によって求められる常用対数値を「評価値」と称することとする。
評価手段40は、角度(三次元上の角度)に関する情報に基づいて、メイクアップの仕上がりを評価する。評価手段40は、角度演算手段30によって求められた角度に関する情報(評価値)を閾値と比較する。本実施形態の場合、閾値として1.2が設定され、評価値が1.2以下であれば、使用者に塗布したファンデーションの色は使用者に合っている(つまり、美しい仕上がりである)と評価される。一方、評価値が1.2より大きい場合、使用者に塗布したファンデーションの色は使用者に合っていない(つまり、美しい仕上がりではない)と評価される。閾値は、メイクアップの条件、評価方法等により、適切な値が選択される。評価値は、評価システム100に接続されたディスプレイ等の表示手段50に表示することができる。
評価手段40によって、ファンデーションの色が使用者に合っていないと評価された場合(つまり、評価値が1.2より大きい場合)、使用者に最適なメイクアップ製品が推奨される。この推奨は、化粧品販売員等によるカウンセリングの他、評価システム100がアクセス可能なデータベース60、あるいは、ネットワーク上のクラウドデータ70等を参照して行うことができる。使用者に最適なファンデーションを推奨する際には、上記の評価値と合わせて、その内容を表示手段50に表示することができる。このように、本発明の評価システム100であれば、感覚的に色を選択することがない定量的な評価方法であるため、化粧品販売員等の経験や能力によらず、客観的に正確な評価がなされるため、評価の信頼性が向上し、最適なメイクアップ製品を顧客に推奨することができる。
本発明のメイクアップの評価方法は、上記のメイクアップの評価システムを用いて、正確なメイクアップの評価をするものである。図7は、本発明のメイクアップの評価方法のフローチャートである。図7中に示す記号「S」はステップを意味する。以下、ステップ毎に詳細に説明する。
最初に、使用者が評価を希望するメイクを使用者に施す(ステップ1)。本実施形態では、メイクアップ製品としてファンデーションを使用する。ここで、使用者に塗布するファンデーションの色は、L*a*b*空間に基づく下記式(1)
∠H°=tan−1(b*/a*) ・・・ (1)
で表される色相角(∠H°)が、0〜90°の範囲に設定されるものを使用する。上記式(1)において、a*≧0、b*≧0と設定される。このように設定した場合、使用者に塗布されるファンデーションの色は、人の肌色(素肌の色)に近い赤〜黄系統の色が選択されることとなる。このため、ファンデーションの色が使用者に合っているかについて正確に評価することができる。ステップ1の工程を「準備工程」とする。
次に、画像取得手段10でメイクアップ後の顔の画像を取得する。まず、使用者の顔(首も含む)をカメラ11で撮影し、評価システム100内に取り込む(ステップ2)。撮影画像は、頬から首にかけて5以上の領域に分割された細分画像であることが好ましい。細分画像は、必要に応じて平滑化処理が行われる(ステップ3)。ステップ3の工程により、ファンデーションの色が使用者に合っているかについての評価を容易に行うことができ、且つ、より正確な評価をすることができる。ステップ2〜3(又は、ステップ2のみ)の工程を「画像取得工程」とする。
次に、色情報抽出手段20で頬、フェイスライン、及び首の各位置において、L*a*b*空間に基づく色情報を抽出する。まず、図1を参照して説明したとおり、使用者の眉間Aと口角Bとを結ぶ第一直線1と、眉間Aから耳垂先端Cを結ぶ第二直線2とを設定し、第一直線1と第二直線2とによって角度領域Rを形成する(ステップ4)。続いて、頬D、フェイスラインE、及び首Fの各位置が、角度領域R内に存在するように、頬D、フェイスラインE、及び首Fを選択する(ステップ5)。このとき、頬D、フェイスラインE、及び首Fの各位置が同一直線上にあるか判断する(ステップ6)。頬D、フェイスラインE、及び首Fの各位置が同一直線上にない場合(ステップ6;NO)、ステップ5へ戻り、再び頬D、フェイスラインE、及び首Fの各位置を選択する。頬D、フェイスラインE、及び首Fの各位置が同一直線上にある場合(ステップ6;YES)、この直線上にあって、頬Dに位置する点を始点とし、首Fに位置する点を終点とする基準線3を設定する(ステップ7)。次に、フェイスラインEが基準線3において最も暗い位置であるか判断する(ステップ8)。フェイスラインEが基準線3において最も暗い位置でない場合(ステップ8;NO)、ステップ5へ戻り、再び頬D、フェイスラインE、及び首Fの各位置を選択する。フェイスラインEが基準線3において最も暗い位置である場合(ステップ8;YES)、フェイスラインEと頬Dとの距離L、及びフェイスラインEと首Fとの距離L´が夫々1〜5cmの範囲内であるか判断する(ステップ9)。フェイスラインEと頬Dとの距離L、及びフェイスラインEと首Fとの距離L´が夫々1〜5cmの範囲内でない場合(ステップ9;NO)、ステップ5へ戻り再び頬D、フェイスラインE、及び首Fの各位置を選択する。フェイスラインEと頬Dとの距離L、及びフェイスラインEと首Fの距離L´が夫々1〜5cmの範囲内である場合(ステップ9;YES)、頬D、フェイスラインE、及び首Fの各位置において、L*a*b*空間に基づく色情報を抽出し(ステップ10)、次の角度演算工程へと進む。ステップ4〜10の工程を「色情報抽出工程」とする。
上記の色情報抽出工程(ステップ4〜10)で得られた頬D、フェイスラインE、及び首Fの各位置におけるL*a*b*空間に基づく色情報に基づいて、角度演算手段30は、フェイスラインEから頬Dへの色方向と、フェイスラインEから首Fへの色方向との三次元上(L*a*b*空間)の角度を求める(ステップ11)。ステップ11で得られたフェイスラインEから頬Dへの色方向と、フェイスラインEから首Fへの色方向との三次元上の角度は、そのまま評価の対象として用いることは可能であるが、より正確な評価をするため、常用対数値に変換される(ステップ12)。この常用対数値が評価値となる。ステップ11〜12の工程を「角度演算工程」とする。
最後に、評価手段40によりメイクアップの仕上がりを評価する。角度演算工程(ステップ11〜12)で得られた評価値を閾値と比較する(ステップ13)。評価値が閾値以下の場合(ステップ13;YES)、準備工程(ステップ1)で使用者に塗布したファンデーションの色が使用者に合っている(つまり、美しい仕上がりである)と評価され、一連の評価工程は終了する。評価値が閾値以下でない場合(ステップ13;NO)、使用者に塗布したファンデーションの色は使用者に合っていない(つまり、美しい仕上がりではない)と評価される。ステップ13を「評価工程」とする。この評価結果は、表示手段50に表示することができる。
本発明のメイクアップ製品の推奨方法は、上記のメイクアップの評価方法を用いて、使用者に適した(つまり、使用者を美しくメイクアップすることができる)メイクアップ製品を選択し、推奨するものである。図8は、本発明のメイクアップ製品の推奨方法を実行するシステムのブロック図である。以下、詳細に説明する。
本発明のメイクアップ製品の推奨方法において、上記「メイクアップの評価方法」で説明した準備工程は、コンピュータ又はネットワーク上で行われる仮想的なメイクアップとして実行される。本実施形態では、メイクアップ製品としてファンデーションを使用する。初めに、使用者の顔(首も含む)をカメラ等(図示せず)で撮影し、撮影画像を評価システム100に接続されたコンピュータ80に取り込む。コンピュータ80は、評価システム100を構成するコンピュータと同一のものであってもよい。準備工程は、化粧品販売店等で直接使用者を撮影し、その画像をコンピュータ80に取り込むようにしても良く、また、使用者が自宅等で撮影した自分の顔の画像を電子メールで化粧品販売店等に送信し、その画像をコンピュータ80に取り込むようにしても良い。次に、仮想的なメイクアップとして、使用者が希望する、あるいは、化粧品販売員等が推奨するファンデーションの色を用いて使用者の画像を処理(着色)する。すなわち、使用者のシミュレーション画像を作成する。
上記にて説明したメイクアップの評価方法を利用して、この仮想的なメイクアップが使用者に適しているかについて評価する。上記の準備工程で得られた仮想的なメイクアップを使用者に施したシミュレーション画像が画像取得手段10に取り込まれる。次に、色情報抽出手段20によって、使用者の頬、フェイスライン、及び首の各位置におけるL*a*b*空間に基づく色情報が抽出される。続いて、角度演算手段30によって、色情報抽出手段20が抽出した色情報により、フェイスラインから頬への色方向と、フェイスラインから首への色方向との三次元上の角度を求め、当該角度から常用対数値(評価値)を求める。そして、評価手段40によって、上記の仮想的なメイクアップが使用者に合っているか否か(つまり、美しい仕上がりであるか否か)を評価する。
評価手段40によって、仮想的なメイクアップが使用者に合っていないと評価された場合、使用者に最適なメイクアップ製品が推奨される。この推奨は、化粧品販売員等によるカウンセリングの他、評価システム100がアクセス可能なデータベース60、あるいは、ネットワーク上のクラウドデータ70等を参照して行うことができる。使用者に最適なファンデーションを推奨する際には、上記の評価結果と合わせて、その内容を表示手段50に表示することができる。
2 第二直線
3 基準線
10 画像取得手段
11 カメラ
20 色情報抽出手段
30 角度演算手段
40 評価手段
100 メイクアップの評価システム
A 眉間
B 口角
C 耳垂先端
D 頬
E フェイスライン
F 首
M 三次元上の角度
R 角度領域
Claims (10)
- 顔をメイクアップする準備工程と、
メイクアップ後の顔の画像を取得する画像取得工程と、
頬、フェイスライン、及び首の各位置において、L*a*b*空間に基づく色情報を抽出する色情報抽出工程と、
前記フェイスラインから前記頬への色方向と、前記フェイスラインから前記首への色方向との三次元上の角度に関する情報を求める角度演算工程と、
前記角度に関する情報に基づいて、メイクアップの仕上がりを評価する評価工程と、
を包含するメイクアップの評価方法。 - 前記準備工程において、L*a*b*空間に基づく下記式(1)
∠H°=tan−1(b*/a*) ・・・ (1)
(ここで、a*≧0、b*≧0である。)
で表される色相角(∠H°)が、0〜90°の範囲に設定されるように前記顔をメイクアップする請求項1に記載のメイクアップの評価方法。 - 前記画像取得工程において、前記画像は、前記頬から前記首にかけて5以上の領域に分割された細分画像として取得される請求項1又は2に記載のメイクアップの評価方法。
- 前記画像取得工程において、前記画像は平滑化処理される請求項1〜3の何れか一項に記載のメイクアップの評価方法。
- 前記色情報抽出工程において、眉間を始点とする口角方向の直線である第一直線と、眉間を始点とする耳垂先端方向の直線である第二直線とが角度領域を形成し、
前記頬、前記フェイスライン、及び前記首の各位置が前記角度領域内に存在し、且つ、同一直線上に位置し、さらに、前記頬に位置する点を始点とし、前記首に位置する点を終点とする基準線が設定されるように前記頬、前記フェイスライン、及び前記首の各位置が選択される請求項1〜4の何れか一項に記載のメイクアップの評価方法。 - 前記色情報抽出工程において、前記フェイスラインは、前記基準線上の最も暗い位置にあり、前記頬、及び前記首の位置は、前記フェイスラインの位置から1〜5cmの範囲内に夫々位置するように設定される請求項1〜5の何れか一項に記載のメイクアップの評価方法。
- 前記角度演算工程において、前記角度に関する情報として前記角度の常用対数値を求める請求項1〜6の何れか一項に記載のメイクアップの評価方法。
- 前記評価工程において、前記角度の常用対数値が所定の閾値以下となる場合を仕上がり良好と判定する請求項7に記載のメイクアップの評価方法。
- 顔に施したメイクアップを評価するメイクアップの評価システムであって、
メイクアップ後の顔の画像を取得する画像取得手段と、
頬、フェイスライン、及び首の各位置において、L*a*b*空間に基づく色情報を抽出する色情報抽出手段と、
前記フェイスラインから前記頬への色方向と、前記フェイスラインから前記首への色方向との三次元上の角度に関する情報を求める角度演算手段と、
前記角度に関する情報に基づいて、メイクアップの仕上がりを評価する評価手段と、
を備えるメイクアップの評価システム。 - 請求項1〜8の何れか一項に記載のメイクアップの評価方法を利用して、使用者に適したメイクアップ製品を推奨するメイクアップ製品の推奨方法であって、
前記準備工程は、コンピュータ又はネットワーク上で行われる仮想的なメイクアップとして実行され、
前記評価工程による評価に基づいて、使用者に適したメイクアップ製品を選択するメイクアップ製品の推奨方法。
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