JP6164640B2 - 塩化揮発法による金の回収方法及び回収システム - Google Patents

塩化揮発法による金の回収方法及び回収システム Download PDF

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Description

本発明は、塩化揮発法を利用した新規な金の回収方法及び回収システムに関する。
原料に含まれる金を分離回収する方法としては、シアン化アルカリ溶液を用いたシアン化法や水銀を用いたアマルガム法等が知られている。しかしながら、これらの方法はいずれも毒性の高い薬品を使用するため、残渣や排水処理が大きな課題となっている。
一方、原料から所定の元素を分離回収する技術の一つに、化学的揮発法を用いた乾式の分離回収方法がある。乾式法は廃棄液処理量が少なく、設備規模を小さくすることができ、また、処理時間を短縮することができるといった種々の利点を有している。この中でも、特に塩化揮発法が有望である。塩化揮発法は、高沸点化合物であっても、塩化物とすることによって低温で揮発させることを可能とするものであり、省エネルギーにて金属元素を分離回収可能である。
塩化揮発法に関する技術として、本発明者らは、金属を含む原料を塩素気流中で加熱し、塩化揮発させる場合において、固体炭素を混合することで揮発温度を低下させ、例えばタンタル、クロム及びチタン等を低温で揮発させて分離回収する技術を開示した(特許文献1)。
特許第5223085号
上記の塩化揮発法による金属回収技術は金の回収にも適用可能と考えられる。この場合、金の揮発制御や揮発させた金を如何にして効率的に回収するかが課題となる。
塩化揮発法による金の回収について鋭意研究を進めた結果、本発明者らは、以下の意外な知見を得た。
(1)固体炭素共存下で金を塩化揮発に供した場合、金の少なくとも一部が気相中に放出されることなく固体炭素に選択的に捕捉される。温度を制御することによって、金の大部分を固体炭素に捕捉させることができ、金を濃縮して分離回収することができる。
(2)固体炭素共存下で鉄等の金以外の金属を塩化揮発に供しても、そのほとんどは固体炭素に捕捉されることなく気相中に放出される。すなわち、原料中に金以外の金属が含まれていたとしても、金を選択的に分離回収することができる。
(3)熱力学平衡計算上、炭素の存在の有無は金の塩化揮発に対して影響を及ぼさないという結果が得られたにもかかわらず、複数の金属が含まれる原料においては、固体炭素を存在させることで金の揮発温度を低下させることが可能である。
本発明は上記知見に基づいてなされたものである。すなわち、
第1の本発明は、金と金以外の金属と固体炭素とを含む混合物を加熱して塩素雰囲気下で塩化揮発処理に供する第1工程、及び、第1工程の後で、固体炭素に捕捉された金を回収する第2工程を備える、金の回収方法である。
本発明において、混合物に含まれる「金」とは、金元素を含むものであればよく、純金、金の合金或いは金の化合物が挙げられる。
「金以外の金属」とは、金以外の金属元素を含むものであればよく、純金属、合金或いは金属化合物等が挙げられる。
「混合物を加熱して塩素雰囲気下で塩化揮発処理に供する」とは、所定の到達温度にて塩素雰囲気下で混合物の塩化揮発処理を行うことを意味する。すなわち、到達温度に達するまでの昇温過程においては必ずしも塩素雰囲気とする必要はない。
「塩化揮発処理」とは、混合物に含まれる金属を塩化物として揮発させる処理を意味する。
「固体炭素に捕捉された金を回収する」とは、例えば、混合物から固体炭素を分離回収した後で固体炭素を燃焼・灰化させて除去することで金を回収する形態、固体炭素を酸洗する形態の他、混合物から固体炭素を分離回収せずに、第1工程を経た混合物そのものを燃焼・灰化させたり、酸洗する形態等も含まれる。尚、本発明者らの知見によれば、第1工程を経て固体炭素に捕捉された金は酸洗によっても流出し難い。一方、固体炭素に金以外の金属が捕捉された場合、当該金以外の金属は酸洗によって容易に流出する。すなわち、金と金以外の金属を比較すると、金のほうが固体炭素への溶解度が高いと考えられる。このことを利用して、第1工程を経て固体炭素に金と金以外の金属とが捕捉された場合は、固体炭素中の金以外の金属を酸洗で選択的に流出させ、固体炭素中に金を選択的に濃縮させることができる。
固体炭素に捕捉された「金」とは、混合物由来の金であり、その形態としては、純金、金の合金、塩化金、金と金以外の金属との複合塩化物等が挙げられる。
第1の本発明において、第1工程における到達温度が400℃以上1000℃以下であることが好ましい。
第1の本発明に係る第1工程において、不活性ガス雰囲気にて混合物を到達温度にまで昇温させたのち、混合物の温度を保持しながら雰囲気を塩素雰囲気に切り替えることが好ましい。この場合は、到達温度を600℃以上1000℃以下とすることが好ましく、600℃以上800℃以下とすることがより好ましい。
第1の本発明において、固体炭素はアモルファスであることが好ましい。
第1の本発明において、金と金以外の金属とを含む原料に固体炭素を混合することによって上記の混合物を得る混合工程をさらに備えることが好ましい。
第2の本発明は、塩素供給源、加熱手段及び回収手段を備え、塩素供給源は加熱手段と接続されており、加熱手段は、金と金以外の金属と固体炭素とを含む混合物を加熱して塩素雰囲気下で塩化揮発処理に供する手段であり、回収手段は、加熱手段における塩化揮発処理によって固体炭素に捕捉された金を回収する手段である、金の回収システムである。
本発明において、「金と金以外の金属と固体炭素とを含む混合物を加熱して塩素雰囲気下で塩化揮発処理に供する手段」とは、所定の到達温度にて塩素雰囲気下で混合物の塩化揮発処理を行うために混合物を加熱する手段を意味する。すなわち、所定の到達温度に達するまでの昇温過程においては必ずしも塩素雰囲気である必要はない。
「加熱手段における塩化揮発処理によって固体炭素に捕捉された金を回収する手段」とは、加熱手段における塩化揮発処理後、加熱手段内から固体炭素を回収し、固体炭素を燃焼・灰化させて金を回収する形態、固体炭素を酸洗する形態の他、加熱手段内から混合物を回収し、混合物に対して燃焼・灰化処理を行う形態、混合物を酸洗する形態等も含む。
第2の本発明において、加熱手段における到達温度が400℃以上1000℃以下であることが好ましい。
第2の本発明において、さらに不活性ガス供給源を備え、塩素供給源と不活性ガス供給源とが、加熱手段に切り替え可能に接続されていることが好ましい。
第2の本発明において、固体炭素がアモルファスであることが好ましい。
第2の本発明において、金と金以外の金属とを含む原料に固体炭素を混合する混合手段をさらに備えることが好ましい。
本発明によれば、固体炭素共存下で金を塩化揮発に供することで、金を固体炭素に選択的に捕捉させて回収することができ、複数の金属元素を含む混合物から金を選択的に濃縮分離・回収することができる。
一実施形態に係る本発明の方法を説明するための図である。 一実施形態に係る本発明のシステムを説明するための概略図である。 実施例において用いた装置を説明するための図である。 試料からの金の塩化揮発挙動及び固体炭素混合の影響を示すデータである。 所定条件における塩化揮発処理後の金の所在分布を示すデータである。 実験条件を説明するための図である。 所定条件における塩化揮発処理後の金の所在分布を示すデータである。 塩化揮発処理後の固体炭素に捕捉された元素の組成を示すデータである。 固体炭素による各元素の回収率を示すデータである。
<金の回収方法>
図1に一実施形態に係る本発明の金の回収方法S10を示す。図1に示すように、方法S10は、金と金以外の金属を含む原料に固体炭素を混合して混合物とする混合工程S0、混合物を加熱して塩素雰囲気下で塩化揮発処理に供する第1工程S1、及び、第1工程S1の後で、固体炭素に捕捉された金を回収する第2工程S2を備えている。
(工程S0)
工程S0は、金と金以外の金属を含む原料に固体炭素を混合して混合物とする工程である。
「金と金以外の金属を含む原料」とは、金及びその他金属が元素として含まれていれば特に限定されるものではなく、金及びその他金属が元素として含まれた一次資源(鉱石等)や二次資源(廃棄物等)が挙げられる。金以外の金属としては、特に限定されるものではなく、例えば、金以外の貴金属、卑金属、希土類金属等が挙げられる。尚、原料中には、これら金属元素以外の元素が含まれていてもよい。例えばリンや硫黄等である。ただし、これら元素が存在することによって、条件によっては、塩化揮発によらない金の揮発が生じる虞がある。このような塩化揮発によらない金の揮発を防ぐ観点からは、これら元素は予め除去されることが好ましい。
混合に際し、原料は粒子状とされることが好ましい。塩化揮発処理のムラを抑制し、原料から金及び金以外の金属を効率的に揮発させることが可能だからである。例えば、原料が塊状である場合は、粒径が0.1mm以下、好ましくは0.05mm以下となるまで粉砕しておくことが好ましい。或いは、混合物としたうえで、固体炭素とともに粉砕処理に供してもよい。
「固体炭素」とは、粒子状或いは塊状の炭素であり、固体状であれば特に限定されるものではない。ただし、金を一層効率的に捕捉可能とする観点からは、固体炭素はアモルファスであることが好ましい。例えば、フェノールフタレイン等の有機化合物を不活性雰囲気で加熱処理することで、アモルファスな固体炭素を容易に得ることができる。
尚、混合物とするにあたって、固体炭素の形態(粒径等)は特に限定されるものではない。例えば、粉砕後の上記原料と同程度の粒径を有するものとすることが可能である。
混合物における固体炭素の添加量は特に限定されるものではなく、混合物に含まれる金の含有量に応じて適宜調整可能である。
或いは、一の原料に対して、後述の工程S1、S2を繰り返し行うことが有り得るが、この場合、各工程の合間に固体炭素を混合物中に補足添加したり、或いは、工程S2の後に依然として原料中に残存する金を回収するため、新たに固体炭素を混合して再び工程S1に供することも可能である。
尚、工程S0は任意工程である。原料中に炭素源(有機化合物等)が含まれている場合、例えば、熱処理によって原料中の炭素源を固体炭素に変換させ得る。すなわち、新たに固体炭素を混合することなく、当該炭素源を固体炭素として機能させることが可能である。例えば廃電子基板を処理する場合は基板中の炭素源を利用できる。
(工程S1)
工程S1は、混合物を加熱し塩素雰囲気下で塩化揮発処理に供する工程である。すなわち、工程S1は、所定の到達温度で混合物の塩化揮発処理を行う工程であり、昇温過程においては必ずしも塩素雰囲気とする必要はない。むしろ、後述するように、昇温過程においては不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
工程S1により混合物中の金及び金以外の金属が塩化揮発に供されるが、例えば温度や雰囲気等を制御することで、金を選択的に固体炭素に補足させることが可能である。金が選択的に固体炭素に補足される理由としては、金と金以外の金属とを比較した場合、金のほうが固体炭素との親和性(炭素における溶解度)が高く、固体炭素に取り込まれやすいためと考えられる。
工程S1における到達温度は、金を塩化揮発させることが可能な温度であればよい。例えば、400℃以上1000℃以下とすることが好ましい。到達温度の下限は、より好ましくは500℃以上、特に好ましくは600℃以上であり、上限は、より好ましくは900℃以下、特に好ましくは800℃以下である。温度が低過ぎると、混合物における金の塩化揮発速度が小さくなり過ぎ、混合物において全量の金を固体炭素に捕捉させるために長時間を要することとなる。また、固体炭素による金の捕捉温度には比較的高温域に適性温度が存在するため、到達温度をあまりに低温とすると、一部の金が固体炭素に捕捉されないまま気相中に放出される虞もある。一方、到達温度が高過ぎると、混合物における金の塩化揮発速度が大きくなり過ぎ、固体炭素に捕捉されないまま、他の金属元素とともに気相中に放出される虞や、固体炭素に一度捕捉された金が再び塩化揮発して気相中に放出される虞がある。
ただし、工程S1において金が気相中に放出された場合は、系内下流側に所定温度(例えば600℃以上1000℃以下)に加熱された固体炭素を設置して金を選択的にトラップすることが可能である。
工程S1は、少なくとも塩素が流通している雰囲気にて行われ、好ましくは塩素99vol%以上、より好ましくは99.4vol%以上の雰囲気にて行われることが望ましい。塩素濃度が高ければ高いほど、塩素化反応速度を大きくすることができる。工程S1の際は、塩素ガスを系内の上流から下流へと連続的に流通させることが好ましい。この場合の塩素の流通速度は特に限定されるものではない。塩素を流通させることで、塩化揮発によって気相中に放出された金以外の金属を、下流側で回収することが可能となる。
工程S1においては、系内を予め塩素雰囲気としたうえで、混合物を所定の到達温度まで昇温させて、到達温度を保持して塩化揮発処理に供してもよいが、固体炭素への金の捕捉回収率を一層向上させる観点から、系内を不活性ガス雰囲気としたうえで、混合物を所定の温度まで昇温させた後、到達温度を保持しつつ、雰囲気を塩素雰囲気に切り替える(流通させるガスを不活性ガスから塩素に切り替える)ことが好ましい。この場合、到達温度は600℃以上1000℃以下とすることが好ましく、600℃以上800℃以下とすることが特に好ましい。固体炭素による捕捉反応に関しては比較的高温域に適正温度が存在するため、このような形態とすることで、昇温の段階(低温域)で金が気相中に塩化揮発してしまうことを抑えることができる。この場合の不活性ガスとしては、窒素やアルゴン等が挙げられ、特に窒素が好ましい。
工程S1における加熱保持時間については、混合物に含まれる金の含量、処理すべき混合物の量等に応じて、適宜調整可能である。例えば800℃であれば60分程度とすることができる。
(工程S2)
工程S2は、工程S1の後で、固体炭素に捕捉された金を回収する工程である。固体炭素に捕捉された金を回収する形態としては、例えば、混合物から固体炭素を回収したうえで、固体炭素を焼却・灰化させることで金を回収する形態、固体炭素に対して酸洗処理等を施すことによって金以外の捕捉金属を除去し、固体炭素に捕捉された金のみを回収する形態等、種々の形態が挙げられる。例えば、固体炭素に捕捉された金は酸洗によっても流出し難い一方、金以外の金属は酸洗によって容易に流出するため、炭素に捕捉された金以外の成分を酸洗によって除去し、その後炭素を灰化させることで、高濃度の金を回収できる。尚、プロセスを簡易とする観点からは、工程S1にて使用した加熱手段をそのまま利用して固体炭素を焼却・灰化させることが好ましい。
或いは、上記工程S1において、金は固体炭素に捕捉される一方で、金以外の金属は大部分が気相中に塩化揮発されるため、工程S1後の混合物には、金が濃縮されていることとなる。すなわち、工程S1後、混合物から固体炭素を回収することなく、混合物全体に対して焼却・灰化処理や酸洗処理等を施すことで、金を濃縮回収することも可能である。
以上のように、本発明に係る金の回収方法によれば、固体炭素共存下で金を塩化揮発に供することで、金を固体炭素に沈着させて回収することができ、複数の金属元素を含む混合物から金を選択的に濃縮分離・回収することができる。
<金の回収システム>
図2に一実施形態に係る本発明の金の回収システム10を示す。図2に示すように、システム10は、塩素供給源1、加熱手段2及び回収手段3を備えている。
システム10において、塩素供給源1は加熱手段2と接続されている。例えば、塩素ガスボンベ及び当該ボンベと加熱手段2とを接続する配管によって塩素供給源1が構成され得る。これにより塩素供給源1から加熱手段2へと塩素を流通させることが可能である。塩素供給源1からの塩素供給速度や濃度等については上述した通りであり、ここでは説明を省略する。
システム10において、加熱手段2は、金と金以外の金属と固体炭素とを含む混合物を加熱して塩素雰囲気下で塩化揮発処理に供する手段として機能する。すなわち、システム10においては、塩素供給源1から加熱手段2内に塩素を流通させながら、混合物を塩化揮発に供する。加熱手段2における加熱の条件等については上述した通りであり、ここでは説明を省略する。
システム10において、回収手段3は、加熱手段2における塩化揮発処理によって、固体炭素に捕捉された金を回収する手段として機能する。例えば、塩化揮発処理の後、加熱手段2において引き続き混合物や固体炭素の焼却・灰化処理が行われた場合は、当該焼却処理後に加熱手段2内に残留する金の濃縮物を回収する手段とすることができ、或いは、塩化揮発処理の後、加熱手段2から混合物或いは固体炭素を回収して酸洗等を施す手段とすることもできる。
尚、図2に示すように、システム10においては、金と金以外の金属とを含む原料に固体炭素を混合して混合物とする混合手段5が備えられており、加熱手段2内へと混合物を逐次供給する形態とされている。これにより、混合物を効率的に処理可能である。
また、システム10においては、不活性ガス供給源4が備えられており、塩素供給源1と不活性ガス供給源4とが、加熱手段2に切り替え可能に接続されている。このような形態とすることで、加熱手段2において混合物を塩化揮発処理に供するにあたって、まず、加熱手段2内に不活性ガスを流通させて系内を不活性ガス雰囲気としつつ、加熱手段2内を所定の温度まで昇温させた後、到達温度を保持しながら、流通させるガスを不活性ガスから塩素に切り替えることができる。これにより、固体炭素への金の捕捉回収率を一層向上させることができる。
さらに、システム10においては、第2の回収手段6が備えられている。上述したように、混合物を塩化揮発処理に供することで、金が固体炭素に捕捉される一方で、金以外の金属はその大部分が気相中に放出される。この場合、気相中に放出された金属を第2の回収手段6に誘導することで、混合物中の金以外の金属を効率的に回収することができる。尚、塩化揮発処理によって気相中に放出された金属塩化物は、金属種毎に沈着温度(凝固点)が異なる。このことを利用して、例えば、第2の回収手段6において、上流側から下流側にかけて温度が低下するように温度勾配を設けることで、加熱手段2から誘導された金属塩化物を、凝固点の高いものから順に沈着させることができる。すなわち、混合物中に金以外の金属が複数含まれていた場合でも、それぞれを分離回収することが可能である。
或いは、第2の回収手段6の上流側に固体炭素を設置することで、塩化揮発処理によって固体炭素に捕捉されずに気相中に放出された金を、第2の回収手段6の上流側でトラップすることができる。上述の通り、固体炭素によって金が選択的に捕捉されるため、第2の回収手段6の上流側において、金とその他の金属とを分離することができる。
ただし、本発明において、上記手段4〜6は任意である。当該手段がなくとも、混合物から金を分離回収することは可能である。
以上のように、本発明に係る金の回収システムによれば、加熱手段内で、固体炭素共存下で金を塩化揮発に供することで、金を固体炭素に沈着させて、回収手段を介して金を回収することができ、複数の金属元素を含む混合物から金を選択的に濃縮分離・回収することができる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳述するが、本発明は以下の実施例に記載された具体的な形態に限定されるものではない。
本実施例では、試料として長野県諏訪湖流域の下水汚泥焼却灰由来のダストを使用した。この下水汚泥焼却灰は高濃度で金を含有しており、減容化プロセスにて金は、ダストやフライアッシュなどの灰中にさらに高濃度で濃縮される。下水汚泥中の金の由来は、諏訪湖がグリーンタフに位置しており、貴金属を含む地層から下水に金が溶け込んだことが原因ではないかと推測されている。ダストの元素分析値(重量%濃度)を下記表1に示す。
また、本実施例では、固体炭素として、フェノールフタレインを窒素雰囲気で500℃に加熱して得られるものを使用した。
本実施例においては、図3に示した装置を用いて、ダスト或いは炭素混合試料(混合物)に対して塩化揮発処理を行った。混合物は、ダストと固体炭素との重量比が1:1となるように物理混合して調製した。実験条件は、塩素ガスを100mL/minで供給し、塩素ガス気流中にて最終到達温度まで昇温速度10℃/minで加熱するものとした。
図4に固体炭素未添加のダスト及び固体炭素添加試料(混合物)のそれぞれについて、各温度で塩素化実験を行った際の試料中の金の放出挙動を示す。尚、ここでの金の放出率は、下記式(1)に基づいて算出した。
図4に示す結果から明らかなように、固体炭素を添加しない場合、金の揮発は600℃以上で生じ、1000℃で大部分の金が揮発した。一方、固体炭素を添加した場合は、400℃から金の揮発が確認でき、700℃にて大部分の金が揮発した。この結果より、固体炭素の添加は、金の揮発に対して促進作用があるように見える。しかしながら、塩素ガス雰囲気における金と炭素についての熱力学平衡計算をHSC chemistry 5.0(Outokumpu社製)で行ったところ、炭素の存在の有無は金の揮発挙動に影響を及ぼさないという結果が得られた。
このように、本実施例において熱力学平衡計算からは予想できない金の揮発温度の低温化が生じた理由としては、以下のように考えている。すなわち、上記表1に示したように、ダスト中には金以外にも複数の元素が共存している。特に鉄に関しては、塩素雰囲気での熱処理によって生じたFeClと金とが、FeAuClの複合塩を形成し、200℃〜300℃で揮発することが報告されている。このことを考慮すると、本実施例において固体炭素の添加によって金の揮発が促進されたのは、試料中に酸化物形態で存在している鉄の揮発開始温度が、固体炭素によって低下し、鉄と金との複合塩の生成が促進されたためであると考えられる。
塩化揮発処理後における金の分布を図5に示す。図5に示す結果から明らかなように、処理温度の上昇に伴い、ダスト(Sample)中に残存する金の割合が減少する一方で、炭素に捕捉された金並びに気相中に移行した金の割合が増加している。本実施例条件下では、気相中に移行した金の量は500℃から増加している。
この結果から、金と固体炭素とを含む混合物を塩化揮発処理に供することで、金の少なくとも一部を固体炭素に捕捉させて濃縮回収できることが分かった。
しかしながら、より具体的にみると、低温域で塩化揮発する金に関しては、固体炭素では捕捉されずに気相へと放出されてしまう傾向にあり、固体炭素による捕捉反応に関しては比較的高い適正温度が存在することが示唆された。そこで、昇温過程を窒素気流中で行い、所定の温度に達し次第塩素気流に切り換えることで、固体炭素による金の捕捉反応の適正温度を調べた。図6に、本実験における温度プロファイルを、図7に、到達温度600℃、800℃、1000℃のそれぞれの場合について、塩化揮発処理後の金の分布を示す。
図7に示す結果から明らかなように、600℃では、図5で見られた金の気相への移行が見られず、全量がダスト並びに固体炭素の固相中に移行している。800℃では、ダスト中の金のほぼ全量が固体炭素中に移行している。しかしながら、1000℃では、固体炭素による金回収量が20%未満と低下し、大部分が気相に移行してしまった。これは以下の理由によるものと考えられる。すなわち、硫黄が存在する場合、金は硫化物の形態で800℃付近から揮発することが平衡計算結果より明らかになっていることから、試料中に存在する硫黄と金との反応により、窒素雰囲気での昇温過程で大部分が揮発してしまったと考えられる。
以上のように、本実施例条件下においては、800℃にてダスト中の金の全量を固体炭素に捕捉させて回収できることが明らかになった。
次に、回収した固体炭素を灰化処理して得られた灰中の元素組成について調べた。灰中の元素は、塩化揮発処理中に固体炭素によって捕捉された元素である。結果を図8に示す。尚、図8に示す値は、固体炭素を灰化して得られた灰化試料を基準とした重量分率である。固体炭素により捕捉された成分の46%を金が占めていることが分かる。
図9に、各元素についての固体炭素による回収率を示す。上述の通り、金は塩化揮発処理温度を800℃とすることでダスト中の全量を固体炭素により濃縮回収可能である。その他の元素について見てみると、固体炭素による回収率は銅が66%、鉄が5%、カリウムが3%、並びに亜鉛が15%である。すなわち、他の元素に比べて金及び銅の回収率が高くなっている。固体炭素によって金は元のダスト中の濃度の約53倍に、銅は約32倍に濃縮回収された。
以上のように、固体炭素による金属の捕捉は、金について優先的に生じることがわかる。すなわち、本発明によれば、複数の金属を含む試料から、金を選択的に濃縮回収できることがわかった。本実施例では、焼却灰を試料としたが、塩化揮発した金を炭素粒子で濃縮回収する技術として、鉱石などの一次資源はじめ電子基板などの二次資源からの金の回収にも有効と言える。
以上、現時点において、最も実践的であり、且つ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う金の回収方法及び回収システムもまた本発明の技術範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明は、複数の金属を含む一次資源(鉱石等)や二次資源(廃棄物等)から金を選択的に分離回収する技術として広く利用可能である。

Claims (6)

  1. 金と金以外の金属と固体炭素とを含む混合物を加熱して塩素雰囲気下で塩化揮発処理に供する第1工程、及び
    前記第1工程の後で、前記固体炭素に捕捉された金を回収する第2工程
    を備え
    前記第1工程における前記混合物の到達温度が600℃以上800℃以下であり、
    前記第1工程において、不活性ガス雰囲気にて前記混合物を前記到達温度にまで昇温させたのち、前記混合物の温度を保持しながら雰囲気を塩素雰囲気に切り替える、
    金の回収方法。
  2. 前記固体炭素がアモルファスである、請求項1に記載の方法。
  3. 金と金以外の金属とを含む原料に固体炭素を混合することによって前記混合物を得る混合工程をさらに備える、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 塩素供給源、加熱手段及び回収手段を備え、
    前記塩素供給源は前記加熱手段と接続されており、
    前記加熱手段は、金と金以外の金属と固体炭素とを含む混合物を加熱して塩素雰囲気下で塩化揮発処理に供する手段であり、
    前記回収手段は、前記加熱手段における塩化揮発処理によって、前記固体炭素に捕捉された金を回収する手段であり、
    前記加熱手段における到達温度が600℃以上800℃以下であり、
    さらに不活性ガス供給源を備え、前記塩素供給源と該不活性ガス供給源とが、前記加熱手段に切り替え可能に接続されており、
    前記不活性ガス供給源から前記加熱手段へと不活性ガスを供給し、不活性ガス雰囲気にて前記加熱手段によって前記混合物を前記到達温度にまで昇温させたのち、前記塩素供給源と前記不活性ガス供給源とを切り替え、前記混合物の温度を保持しながら前記塩素供給源から前記加熱手段へと塩素を供給して、前記加熱手段における雰囲気を塩素雰囲気に切り替える、
    金の回収システム。
  5. 前記固体炭素がアモルファスである、請求項に記載のシステム。
  6. 金と金以外の金属とを含む原料に固体炭素を混合して前記混合物とする混合手段をさらに備える、請求項4又は5に記載のシステム。
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