JP6163832B2 - 振動片、振動片の製造方法、振動子、発振器、電子機器および移動体 - Google Patents

振動片、振動片の製造方法、振動子、発振器、電子機器および移動体 Download PDF

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Description

本発明は、振動片、振動片の製造方法、振動子、発振器、電子機器および移動体に関するものである。
水晶等の圧電材料を用いた圧電デバイスは、圧電振動子、共振器、フィルターといった電子部品として多くの分野で用いられている。
このうち、圧電振動子は、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等として、電子機器類に多用されている。圧電振動子は、圧電振動片と、圧電振動片の振動領域の両主面に設けられた励振電極と、を備えている。この励振電極にはバンプ等が接合され、このバンプ等を介して励振電極に電圧が印加されることにより、圧電振動片が励振する。
特許文献1には、水晶からなる圧電基板の表面にクロムやニッケルからなる下地電極を設け、その上に銀やチタンからなるバリア層を設け、さらにその上に金からなる主電極を設けた3層構造の電極を備えた振動子が開示されている。このようなバリア層を設けたことにより、下地電極の材料が主電極表面に析出するのを防止し、主電極とバンプとの間を安定して接合することを試みている。
特開2006−101244号公報
しかしながら、バリア層に用いられる銀やチタンといった金属元素も、加熱処理によって主電極の表面に析出するおそれがある。この析出とともに酸化反応が生じるため、それによって主電極とバンプとの間の安定的な接合が阻害されるおそれがある。
また、圧電振動子の製造においては、励振電極の一部を除去するといった加工を施すことにより、圧電振動片の共振周波数を変化させることが行われる。これにより、圧電振動片の共振周波数を所望の値に調整することができる。
ところが、下地電極の材料が主電極表面に析出してしまうと、加工の際に除去される対象物の比重にばらつきが生じ、意図した質量減少を図ることができなくなる。その結果、圧電振動片の共振周波数を正確に調整することが困難になる。
本発明の目的は、接合相手に対する優れた接合強度を有するとともに、周波数を正確に調整し得る振動片、かかる電極構造を備えた振動片を容易に製造可能な振動片の製造方法、前記振動片の電極構造を備えた信頼性の高い振動子、発振器、電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[形態1]
本発明の振動片は、振動基板と、
前記振動基板の表面から、下地層、中間層、および上層が順に積層されている電極層と、
を含み、
前記下地層は、主成分を含み、
前記中間層は、前記主成分の酸化物を主材料とするとともに、前記上層側の酸素含有率が、前記下地層側の酸素含有率よりも大きくなっており、
前記中間層の縦断面から求められる、前記中間層の前記上層側の面の粗さ曲線は、最大高さ粗さRzが10nm以下であることを特徴とする。
これにより、中間層において下地層主成分が上層側に拡散するのを抑制するため、接合相手に対する優れた接合強度を有するとともに、下地層主成分が上層側に拡散するのを抑制することによって電極層の質量の変更量を厳密に制御することが可能になるため、振動片の周波数を正確に調整し得る振動片が得られる。また、これにより、上層側の面における酸素含有率が相対的に大きいことから、下地層主成分が上層側へ拡散するのをより確実に防止する一方、下地層側の面における酸素含有率が相対的に小さいことから、中間層と下地層との間の密着性がより大きくなる。
また、これにより、接合相手に対する優れた接合強度を有するとともに、振動片の周波数を正確に調整し得るという効果がより強化される。また、上層の表面粗さが十分に平滑性が高いものになるため、上層の一部を除去することで振動片の共振周波数を調整する際、除去する量をより厳密に制御することができるようになるので、共振周波数をより正確に調整することができる。
[形態
本発明の振動片では、前記中間層は、前記主成分の酸化物を50質量%以上含むことが好ましい。
これにより、前述した効果をより確実に奏することができる。
[形態
本発明の振動片では、前記中間層の厚さは、前記下地層の厚さの0.05倍以上、1倍以下であることが好ましい。
これにより、前述した効果を十分に発揮しつつ、電極層の厚さ方向における十分な電気伝導性を確保することができる。
[形態
本発明の振動片では、前記主成分は、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、銀、およびアルミニウムのうち、1つ以上を含み、
前記上層は、金、および白金のうち、1つ以上を含むことが好ましい。
これにより、前述の効果を発揮しつつ、振動基板との密着性がよく、電気伝導度が高い電極層が得られる。
[形態
本発明の振動片では、前記中間層は、前記下地層の側面にも配置されていることが好ましい。
これにより、電極層の側面から酸化が進行するのを抑制することができるので、電極層の質量が増加するのを抑制し、もって振動片の共振周波数が経時的にずれてしまうのを抑制することができる。
[形態
本発明の振動片の製造方法は振動基板と、
前記振動基板の表面から、下地層、中間層、および上層が順に積層されている電極層と、
を含み、前記下地層は、主成分を含む振動片を製造する方法であって、
前記振動基板の表面に前記主成分を含む仮層を形成する工程と、
酸化雰囲気中で加熱処理を施すことにより、前記仮層の表面側の一部を酸化させ、前記下地層と、前記上層側の酸素含有率が前記下地層側の酸素含有率よりも大きい前記中間層と、を形成する工程と、
前記中間層の表面に前記上層を形成する工程と、
を有し、
前記中間層の縦断面から求められる、前記中間層の前記上層側の面の粗さ曲線は、最大高さ粗さRzが10nm以下であることを特徴とする。
これにより、接合相手に対する優れた接合強度を有するとともに、周波数を正確に調整し得る電極構造を備えた振動片を容易に製造することができる。
[形態
本発明の振動片の製造方法では、前記加熱処理の条件は、温度が200℃以上600℃以下、時間が10分以上10時間以下であることが好ましい。
これにより、振動基板の特性が熱により劣化するのを防止しつつ、均質な中間層を形成することができる。その結果、中間層によって下地層主成分の拡散を抑制するという作用が増強され、本発明の効果がより顕著なものとなる。
[形態
本発明の振動子は、本発明の振動片と、前記振動片を収納するパッケージと、を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い振動子が得られる。
[形態
本発明の発振器は、本発明の振動片と、前記振動片を発振させる発振回路と、を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い発振器が得られる。
[形態10
本発明の電子機器は、本発明の振動片を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
[形態11
本発明の移動体は、本発明の振動片を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い移動体が得られる。
[適用例1]
本発明の振動片の電極構造は、振動基板と、
前記振動基板の表面から下地層、中間層および上層が順に積層されている電極層と、
を含み、
前記中間層は、前記下地層の表層における前記下地層の主成分に対して、酸化雰囲気中で加熱処理を施すことにより、前記表層の表面側の一部が酸化してなる層であることを特徴とする。
これにより、中間層において下地層主成分が上層側に拡散するのを抑制するため、接合相手に対する優れた接合強度を有するとともに、下地層主成分が上層側に拡散するのを抑制することによって電極層の質量の変更量を厳密に制御することが可能になるため、振動片の周波数を正確に調整し得る振動片の電極構造が得られる。
[適用例2]
本発明の振動片の電極構造では、前記中間層は、前記上層側の面における酸素含有率が、前記下地層側の面における酸素含有率より大きくなるよう構成されていることが好ましい。
これにより、上層側の面における酸素含有率が相対的に大きいことから、下地層主成分が上層側へ拡散するのをより確実に防止する一方、下地層側の面における酸素含有率が相対的に小さいことから、中間層と下地層との間の密着性がより大きくなる。
[適用例3]
本発明の振動片の電極構造では、前記中間層の縦断面から求められる、前記中間層の前記上層側の面の粗さ曲線において、最大高さ粗さRzが10nm以下であることが好ましい。
これにより、接合相手に対する優れた接合強度を有するとともに、振動片の周波数を正確に調整し得るという効果がより強化される。また、上層の表面粗さが十分に平滑性が高いものになるため、上層の一部を除去することで振動片の共振周波数を調整する際、除去する量をより厳密に制御することができるようになるので、共振周波数をより正確に調整することができる。
[適用例4]
本発明の振動片の電極構造では、前記中間層は、前記下地層の側面に回り込むよう構成されていることが好ましい。
これにより、電極層の側面から酸化が進行するのを抑制することができるので、電極層の質量が増加するのを抑制し、もって振動片の共振周波数が経時的にずれてしまうのを抑制することができる。
[適用例5]
本発明の振動片の製造方法は、振動基板と、
前記振動基板の表面から下地層、中間層および上層が順に積層されている電極層と、
を含む振動片を製造する方法であって、
前記振動基板の表面に前記下地層の主成分を含む仮層を形成する工程と、
酸化雰囲気中で加熱処理を施すことにより、前記仮層の表面側の一部を酸化させ、前記下地層と前記中間層とを形成する工程と、
前記中間層の表面に前記上層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
これにより、接合相手に対する優れた接合強度を有するとともに、周波数を正確に調整し得る電極構造を備えた振動片を容易に製造することができる。
[適用例6]
本発明の振動片の製造方法では、前記加熱処理の条件は、温度が200℃以上600℃以下、時間が10分以上10時間以下であることが好ましい。
これにより、振動基板の特性が熱により劣化するのを防止しつつ、均質な中間層を形成することができる。その結果、中間層によって下地層主成分の拡散を抑制するという作用が増強され、本発明の効果がより顕著なものとなる。
[適用例7]
本発明の振動子は、本発明の振動片の電極構造を有する振動片と、前記振動片を収納するパッケージと、を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い振動子が得られる。
[適用例8]
本発明の発振器は、本発明の振動子と、前記振動片を発振させる発振回路と、を備えていることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い発振器が得られる。
[適用例9]
本発明の電子機器は、本発明の振動子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
[適用例10]
本発明の移動体は、本発明の振動子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い移動体が得られる。
本発明の振動子の実施形態を示す平面図である。 図1中のA−A線断面図である。 図1に示す振動子が有する振動片の平面図である。 図2の一部を拡大して示す部分拡大図である。 本発明の発振器の実施形態を示す断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。 本発明の移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。 実施例1で得られた振動片の電極層の縦断面の電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の振動片の電極構造、振動片の製造方法、振動子、発振器、電子機器および移動体について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
[振動子]
まず、本発明の振動子の実施形態および本発明の振動片の電極構造の実施形態について説明する。
図1は、本発明の振動子の実施形態を示す平面図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図1に示す振動子が有する振動片の平面図である。なお、以下の説明では、図2中の上側を「上」、下側を「下」として説明する。
図1、2に示すように、振動子1は、パッケージ110と、パッケージ110内に収容された振動片190と、を有している。
(振動片)
図3(a)、(b)に示すように、振動片190は、平面視形状が長方形(矩形)の板状をなす圧電基板191と、圧電基板191の表面に形成された導電性を有する一対の電極層193、195と、を有している(本発明の振動片の電極構造)。なお、図3(a)は、振動片190の上面を上方から見た平面図であり、図3(b)は、振動片190の下面を上方から見た透過図(平面図)である。
圧電基板191は、主として厚み滑り振動をする水晶素板である。
本実施形態では、圧電基板191としてATカットと呼ばれるカット角で切り出された水晶素板を用いている。なお、ATカットとは、水晶の結晶軸であるX軸とZ軸とを含む平面(Y面)をX軸回りにZ軸から反時計方向に約35度15分程度回転させて得られる主面(X軸とZ’軸とを含む主面)を有するように切り出されていることをいう。
また、圧電基板191は、その長手方向が水晶の結晶軸であるX軸と一致している。
電極層193は、圧電基板191の上面に形成された励振電極193aと、圧電基板191の下面に形成されたボンディングパッド193bと、励振電極193aとボンディングパッド193bとを電気的に接続する配線193cと、を有している。
一方、電極層195は、圧電基板191の下面に形成された励振電極195aと、圧電基板191の下面に形成されたボンディングパッド195bと、励振電極195aおよびボンディングパッド195bを電気的に接続する配線195cと、を有している。
励振電極193aおよび励振電極195aは、圧電基板191を介して互いに対向して設けられ、互いにほぼ同じ形状をなしている。すなわち、圧電基板191を平面視したとき(圧電基板191の厚さ方向からみたとき)、励振電極193aおよび励振電極195aは、互いに重なるように位置し、かつ、互いの輪郭が一致するように形成されている。
また、ボンディングパッド193b、195bは、圧電基板191の下面の図3中右側の端部に互いに離間して形成されている。
このような電極層193、195は、それぞれ下地層と中間層と上層とで構成された3層構造を有している。なお、この電極層193、195については、後に詳述する。また、上記説明では、ATカットの水晶素板を例に説明しているが、このカット角は特に限定されるものではなく、ZカットやBTカット等であってもよい。また、圧電基板191の形状は、特に限定されず、二脚音叉、H型音叉、三脚音叉、くし歯型、直交型、角柱型等の形状であってもよい。すなわち、本発明に係る振動片の電極構造は、振動し得る切片とそれに設けられた電極層とを備える電極構造であれば、いかなるものにも適用可能である。
(パッケージ)
図1および図2に示すように、パッケージ110は、上面に開放する凹部121を有するベース120と、凹部121の開口を塞ぐリッド130(蓋体)とを有している。このようなパッケージ110では、リッド130により塞がれた凹部121の内側が前述した振動片190を収納する収納空間Sとして用いられる。
ベース120は、板状の基部123と、基部123の上面に設けられた枠状の側壁124と、を有し、これによりベース120の上面の中央部に開放する凹部121が形成されている。
ベース120の構成材料としては、絶縁性を有していれば特に限定されず、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等の酸化物系セラミックス、窒化珪素、窒化アルミ、窒化チタン等の窒化物系セラミックス、炭化珪素等の炭化物系セラミックス等の各種セラミックス等を用いることができる。
基部123の上面には、一対の接続電極141、151が形成されている。一方、基部123の下面には、一対の外部実装電極142、152が形成されている。そして、基部123には、その厚さ方向に貫通する貫通電極143、153が形成されており、貫通電極143を介して接続電極141と外部実装電極142とが電気的に接続され、貫通電極153を介して接続電極151と外部実装電極152とが電気的に接続されている。
接続電極141、151、外部実装電極142、152および貫通電極143、153の構成材料としては、特に限定されず、例えば、金(Au)、金合金、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロム合金、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属材料を用いることができる。
また、側壁124の上面には、枠状のメタライズ層170が設けられている。このメタライズ層170は、後述するろう材180との密着性を高めるものである。これにより、ろう材180によるベース120とリッド130との接合強度を高めることができる。
メタライズ層170の構成材料としては、ろう材180との密着性を高めることができるものであれば、特に限定されないが、例えば、前述した接続電極141、151等の構成材料で挙げたような金属材料を用いることができる。
リッド130は、金属平板を加工したものであって、主に平板状をなしている。
また、リッド130の構成材料(金属材料)としては、特に限定されないが、ベース120の構成材料と線膨張係数が近似する金属材料を用いることが好ましい。したがって、例えば、ベース120をセラミックス基板とした場合には、リッド130の構成材料としてはコバール等のFe−Ni−Co系合金、42アロイ等のFe−Ni系合金等の合金を用いることが好ましい。
リッド130をベース120に対して接合する方法としては、特に限定されないが、例えば、リッド130をベース120上に載置した状態で、リッド130の縁部にレーザーを照射し、メタライズ層170およびろう材180を加熱、溶融させ、これにより、リッド130をベース120に接合する方法が挙げられる。
このようなリッド130の下面には、ろう材180が設けられている。本実施形態では、ろう材180は、リッド130の下面の全域に亘って設けられている。なお、ろう材180は、リッド130の下面の外周部のみに設けられていてもよい。
そして、リッド130は、ろう材180とメタライズ層170との溶着によりベース120に接合されている。
ろう材180としては、特に限定されず、例えば、金ろう、銀ろうなどを用いることができるが、銀ろうを用いるのが好ましい。また、ろう材180の融点としては、特に限定されないが、例えば、800℃以上1000℃以下程度であるのが好ましい。
このようなパッケージ110の収納空間Sには、前述した振動片190が収納されている。収納空間Sに収納された振動片190は、一対の導電性接着剤161、162を介してベース120に片持ち支持されている。
導電性接着剤161は、接続電極141とボンディングパッド193bとに接触して設けられており、これにより、接続電極141とボンディングパッド193bとを電気的に接続している。同様に、導電性接着剤162は、接続電極151とボンディングパッド195bとに接触して設けられており、これにより、接続電極151とボンディングパッド195bとを電気的に接続している。
なお、導電性接着剤161、162は、それぞれ導電性金属材料で代替することもできる。導電性金属材料としては、特に限定されないが、例えば、前述した接続電極141、151等の構成材料で挙げたような金属材料が挙げられる。また、導電性接着剤161、162に代えてボンディングワイヤーを用いるようにしてもよい。
(電極層)
図4は、図2の一部を拡大して示す部分拡大図である。なお、図4では、図2とは上下を反転させている。
図4(a)に示す振動片190の電極層193は、それぞれ、圧電基板191の表面に形成された下地層196と、下地層196の表面に形成された中間層197と、中間層197の表面に形成された上層198と、で構成された3層構造を有している。また、電極層195も、電極層193と同様の構成を有している。
このうち、中間層197は、下地層196の主成分である下地層主成分の酸化物を主材料として構成されている。これにより、中間層197は、下地層196に対して高い密着性を示すこととなり、電極層193、195の機械的特性、具体的には電極層193、195が接合相手と接合されたときの接合強度を高めることができる。また、中間層197が設けられることにより、下地層196中の構成成分が上層198に拡散することが防止される。これにより、上層198と接合相手との接合が拡散した成分によって阻害されるのを防止し、接合強度をより高めることができる。
また、上層198に下地層196の構成成分が拡散し難くなることから、共振周波数が経時的に安定した振動片190が得られる。これは、電極層193、195の質量が、振動片190の振動特性を決定する要素の1つであることに起因する。
すなわち、電極層193、195の質量を適宜変更することにより、振動片190の共振周波数を所望の値に調整することができるが、周波数の調整後、電極層193、195の化学組成が経時的に変化してしまうと、振動片190の共振周波数も経時的に変化してしまい、目的とする値から外れてしまうこととなる。
また、下地層196からの拡散により上層198の表面へ析出した金属が酸化することによる質量増加によって、振動子の周波数は低下し、振動子の周波数が経時的に変動してしまうことに繋がる。また、拡散による金属の表面への析出の度合いによっても質量増加の程度が異なるため、大量に製造される振動子間で共振周波数のバラツキを生ずることにもなる。
これに対し、前述した3層構造を有する電極層193、195では、中間層197を設けることにより、下地層主成分が上層198側に拡散することが抑制される。これにより、上層198において下地層主成分が酸化することが抑制され、酸化に伴う質量増加が抑制される。これは、下地層主成分が上層主成分に比べて比較的酸化し易いため、仮に下地層主成分が上層198の表面まで拡散してしまうと、上層198の表面に下地層主成分が露出することとなり、この露出部において酸化が進行し易くなるため、結果的に電極層193の質量が経時的に増加するおそれを免れないが、中間層197において下地層主成分の拡散を止めることにより、このような酸化による質量増加を抑制することができることによる。これにより、経時的な共振周波数の変化(周波数ドリフト)を防止し得る振動片190が得られる。
また、電極層193の質量を適宜変更することで、振動片190の振動特性を所望の範囲に調整し得ることは前述の通りであるが、共振周波数の調整量は、電極層193、195の質量の変更量に対して非常に敏感である。したがって、共振周波数の調整にあたっては、電極層193、195の質量の変更量を厳密に制御することが必要となる。
上層198の一部を除去するには、まず、除去対象となる材料の比重をあらかじめ把握しておき、減少させるべき質量とこの比重のデータとに基づいて、除去すべき体積を算出し、その体積の上層198を除去する。したがって、質量の変更量を厳密に制御するには、除去対象となる材料の比重を厳密に把握しておくことが重要である。しかしながら、上層198の構成材料が均質でない場合、この把握が困難になる。例えば、上層198に下地層主成分が拡散している場合、上層198では上層主成分と下地層主成分とが混在した状態となる。この混在状態を制御することは非常に多くの困難を伴うことから、必然的に質量の変更量を厳密に制御することも困難になる。
これに対し、電極層193、195によれば、下地層主成分の上層198への拡散を抑制することができる。このため、上層198を構成する材料は均質であって、かつその比重は形成時の比重からほとんど変化しない。したがって、上層198を構成する材料の比重を容易に把握することができ、上層198の質量を変更する際には、質量の変更量に対する共振周波数の調整量の関係(レート)を厳密に制御することが可能になる。よって、本発明によれば、目的とする共振周波数を有する振動片190を容易に得ることができる。
下地層196の構成材料である下地層主成分としては、圧電基板191に対して密着性を有する材料が挙げられ、具体的には、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)等が挙げられる。したがって、下地層196の構成材料には、これらの金属元素の1種または2種以上の混合物(合金を含む。)が用いられる。また、下地層196の構成材料には、クロムまたはニッケルの単体またはこれらのいずれかを含む混合物(合金を含む。)が好ましく用いられる。なお、下地層196の構成材料には、下地層主成分の他に上記とは別の金属元素および非金属元素(例えば、Si、C、B等)を含んでいてもよいが、その場合、下地層196における下地層主成分の含有率は50質量%以上であるのが好ましい。
下地層196の平均厚さは、特に限定されないが、3nm以上300nm以下程度であるのが好ましく、5nm以上250nm以下程度であるのがより好ましい。下地層196の平均厚さを前記範囲内に設定することにより、圧電基板191に対して十分な密着性が確保される。
一方、上層198の構成材料である上層主成分としては、電気伝導性が特に高い材料が挙げられ、具体的には、金(Au)、白金(Pt)のような貴金属元素が挙げられる。したがって、上層198の構成材料には、これらの貴金属元素の1種または2種以上を含む混合物(合金を含む。)が用いられる。なお、上層198の構成材料には、上層主成分の他に上記とは別の金属元素および非金属元素(例えば、Si、C、B等)を含んでいてもよいが、その場合、上層198における上層主成分の含有率は50質量%以上であるのが好ましい。
上層198の平均厚さは、特に限定されないが、10nm以上1000nm以下程度であるのが好ましく、20nm以上800nm以下程度であるのがより好ましい。上層198の平均厚さを前記範囲内に設定することにより、電極層193、195と導電性接着剤161、162との接触抵抗を抑え、両者間の電気伝導性を高めることができる。また、導電性接着剤161、162に代えて導電性金属材料を用いた場合、電極層193、195と導電性金属材料との接合強度をより高めることができる。
中間層197は、前述したように、下地層196の主成分である下地層主成分の酸化物を主材料とするものである。中間層197における下地層主成分の酸化物の含有率は50質量%以上であるのが好ましく、60質量%以上であるのがより好ましい。これにより、中間層197は、前述したような効果をより確実に奏することができる。
また、中間層197は、上層198側の面における酸素含有率が、下地層196側の面における酸素含有率より大きくなるよう構成されているのが好ましい。このような中間層197では、上層198側の面における酸素含有率が相対的に大きいため、下地層主成分が上層198側へ拡散するのがより確実に防止されるとともに、下地層196側の面における酸素含有率が相対的に小さいため、中間層197と下地層196との間の密着性がより大きくなる。
また、中間層197の酸素含有率は、中間層197の厚さ方向において上層198側から下地層196側に向かって徐々に低下するよう分布しているのが好ましい。中間層197中の組成分布が連続的になることから、中間層197に構造上の連続性が高くなる。このため、中間層197自体の機械的特性が高くなり、ひいては電極層193、195と接合相手との接合強度をより高めることができる。
なお、中間層197の酸素含有率の分布は、電極層193の断面について定性定量分析の線分析または面分析を行ったり、あるいは、電極層193を厚さ方向に少しずつ除去しながら定性定量分析を行うことで特定することができる。定性定量分析としては、例えばX線光電子分光分析法、2次イオン質量分析法、電子線マイクロ分析法、オージェ電子分光分析法、蛍光X線分析法等が用いられる。
中間層197の平均厚さは、下地層196の平均厚さの0.05倍以上1倍以下程度であるのが好ましく、0.1倍以上0.5倍以下程度であるのがより好ましい。このような中間層197は、前述したような効果を十分に発揮しつつ、電極層193、195の厚さ方向における十分な電気伝導性を確保することができる。すなわち、中間層197の平均厚さが前記下限値未満である場合、中間層197は、下地層主成分が上層198へ拡散するのを抑制する効果や、上層198と接合相手との接合強度が低下するのを抑制する効果が失われるおそれがある。一方、中間層197の平均厚さが前記上限値を上回る場合、電極層193、195において厚さ方向における電気伝導性が低下するおそれがある。
また、中間層197の縦断面から求められる、中間層197の上層198側の面の粗さ曲線において、最大高さ粗さRzが10nm以下であるのが好ましく、5nm以下であるのがより好ましい。中間層197の上層198側の表面粗さが前記範囲内に収められていることにより、中間層197は、前述したような効果をより確実に奏することができる。また、中間層197の上層198側の表面粗さが前記範囲内に収められていることにより、上層198の表面粗さも十分に平滑性が高いものとなる。このため、上層198の一部を除去することで振動片190の共振周波数を調整する際、除去する量をより厳密に制御することができるようになるので、共振周波数をより正確に調整することができる。これは、例えばイオンミリング等の方法で上層198の一部を除去する際、上層198の表面粗さが十分に小さいことで、処理時間と除去量との相関性が強くなるため、除去量を正確に制御し得ることによるものである。
なお、中間層197の上層198側の面の粗さ曲線は、中間層197の縦断面に現れる断面曲線から低周波成分(うねり成分)を除去することにより求められる。低周波成分は、表面粗さ測定器で取得した断面曲線にフィルターをかける計算を行うことで除去することができる。また、粗さ曲線の最大高さ粗さRzは、JIS B 0601−2001に規定されている。
また、中間層197を設けることにより、上層198に対する下地層主成分の拡散が抑えられることから、上層198の表面では下地層主成分の含有率を小さく抑えることができる。具体的には、上層198の上面について定性定量分析を行ったとき、下地層主成分の含有率が8原子%以下であるのが好ましく、5原子%以下であるのがより好ましい。このような上層198は、接合相手との間で金属溶融を伴う接合が施されたとき、十分に高い接合強度を得るのに寄与する。このときの定性定量分析には、X線光電子分光分析やオージェ電子分光分析のような表面敏感な分析法が好ましく用いられる。
ここで、このような中間層197は、下地層196の主成分を含む仮層に対して、酸化雰囲気中で加熱処理(酸化処理)を施すことにより、仮層の表面側の一部を酸化させてなる層である。この酸化処理により、仮層の表面側の一部が中間層197となり、仮層の残る部分が下地層196となる。
このような酸化処理によれば、均質でかつ厚さが均一な中間層197を形成することができる。このため、得られる中間層197は、下地層主成分の酸化物が比較的緻密に成膜されたものとなり、下地層主成分の拡散を遮蔽する機能が特に優れたものとなる。
また、このような酸化処理を経て得られた中間層197は、下地層主成分を酸化させる際、酸化状態を一定にし易い。例えば下地層主成分がCrである場合、酸化物におけるCrの価数をエネルギー的により安定な価数に揃えることができる。このため、化学的により安定な電極層193、195を得ることができ、共振周波数の経時的なずれを抑制し得る振動片190が得られる。
また、仮層に対して酸化処理を施すことにより、仮層の表面のみならず、側面についても酸化が進み、中間層197が形成される。したがって、形成される中間層197は、仮層の表面だけでなく、側面にも回り込むように形成される。このような中間層197によれば、電極層193、195の側面から酸化が進行するのを抑制することができるので、電極層193、195の質量が増加するのを抑制し、もって振動片190の共振周波数が経時的にずれてしまうのを抑制することができる。
なお、中間層197を上記のように形成するのではなく、下地層196の表面に下地層主成分の酸化物を直接供給して中間層197を成膜するようにした場合は、緻密性に劣るとともに、表面の平滑性が低下する。このため、下地層主成分の拡散を抑制する機能が低下するとともに、振動片190の共振周波数の調整における精度が低下することとなる。
[振動片の製造方法]
次に、図4に示す振動片190を製造する方法(本発明の振動片の製造方法の実施形態)について説明する。
振動片190を製造する方法は、圧電基板191の表面に下地層主成分を含む仮層1970を形成する工程と、酸化雰囲気中で加熱処理を施すことにより、仮層1970の表面側の一部を酸化させ、下地層196と中間層197とを形成する工程と、中間層197の表面に上層198を形成する工程と、を有する。以下、各工程について順次説明する。
[1]
まず、圧電基板191の表面に仮層1970を形成する。仮層1970は、下地層主成分を主材料として構成されている。このとき、仮層1970の厚さは、形成しようとする下地層196の厚さと中間層197の厚さとの和になるようにする。
仮層1970の形成方法は、特に限定されないが、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法のような気相成膜法、めっき法、塗布法、印刷法といった各種成膜方法が挙げられる。また、これらの成膜方法で成膜した後、必要に応じてフォトリソグラフィーおよびエッチングを用いて、所望の形状にパターニングするようにしてもよい。
[2]
次に、仮層1970に対し、酸化雰囲気中で加熱処理(酸化処理)を施す。これにより、仮層1970に含まれる下地層主成分では、仮層1970の表面側から徐々に酸化が進行する。その結果、仮層1970の表面側(表層)が中間層197となり、残る部分が下地層196となる。
酸化処理の条件は、温度が200℃以上600℃以下、時間が10分以上10時間以下であるのが好ましく、温度が225℃以上500℃以下、時間が30分以上4時間以下であるのがより好ましい。酸化処理の条件を前記範囲内に設定することで、圧電基板191の特性が熱により劣化するのを防止しつつ、均質な中間層197を形成することができる。これにより、中間層197によって下地層主成分の拡散を抑制するという作用が増強され、本発明の効果がより顕著なものとなる。
また、酸化雰囲気は、酸素を含む雰囲気であれば特に限定されないが、好ましくは空気が用いられ、より好ましくは乾燥空気が用いられる。空気を用いることにより、多くのコストをかけることなく、酸化処理を施すことができる。また、酸素濃度が適当なので、酸化反応を制御し易い、安全性が高いという利点もある。
なお、酸化処理の条件を適宜変更することにより、仮層1970において下地層主成分がどの程度酸化するか、すなわち下地層196と中間層197の比率がどの程度になるかを調整することができる。例えば、加熱温度を高くしたり加熱時間を長くしたりすることで、中間層197の厚さを厚くすることができる。一方、加熱温度を低くしたり加熱時間を短くしたりすることで、中間層197の厚さを薄くすることができる。
[3]
次に、中間層197の表面に上層198を形成する。これにより、電極層193が形成される。上層198の形成方法も、特に限定されず、上述した下地層196の形成方法と同様の方法とされる。
<発振器>
次に、本発明の発振器の実施形態について説明する。
図5は、本発明の発振器の実施形態を示す断面図である。
以下、発振器について説明するが、以下の説明では振動子との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図5に示す発振器10は、振動片190と、振動片190を駆動するためのICチップ(チップ部品)80と、を有している。以下、発振器10について、前述した振動子との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、前述した振動子と同様の構成には、同一符号を付してある。
パッケージ9は、凹部911を有する箱状のベース91と、凹部911の開口を塞ぐ板状のリッド92と、を有している。
ベース91の凹部911は、ベース91の上面に開放する第1凹部911aと、第1凹部911aの底面の中央部に開放する第2凹部911bと、第2凹部911bの底面の中央部に開放する第3凹部911cとを有している。
第1凹部911aの底面には、接続端子95が形成されている。また、第3凹部911cの底面には、ICチップ80が配置されている。ICチップ80は、振動片190の駆動を制御するための駆動回路(発振回路)を有している。ICチップ80によって振動片190の駆動を制御することにより、振動片190から所定の周波数の信号を取り出すことができる。
また、第2凹部911bの底面には、ワイヤーを介してICチップ80と電気的に接続された複数の内部端子93が形成されている。これら複数の内部端子93には、ベース91に形成された図示しないビアを介してパッケージ9の底面に形成された外部端子(実装端子)94に電気的に接続された端子と、図示しないビアやワイヤーを介して接続端子95に電気的に接続された端子とが含まれている。
なお、図5の構成では、ICチップ80が収納空間内に配置されている構成について説明したが、ICチップ80の配置は、特に限定されず、例えばパッケージ9の外側(ベースの底面)に配置されていてもよい。
[電子機器]
次いで、本発明の電子機器について、図6〜図8に基づき、詳細に説明する。
図6は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、フィルター、共振器、基準クロック等として機能する振動子1が内蔵されている。
図7は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。このような携帯電話機1200には、フィルター、共振器等として機能する振動子1が内蔵されている。
図8は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなディジタルスチルカメラ1300には、フィルター、共振器等として機能する振動子1が内蔵されている。
なお、本発明の電子機器は、図6のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図7の携帯電話機、図8のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター等に適用することができる。
[移動体]
次に、本発明の振動子を備える移動体(本発明の移動体)について説明する。
図9は、本発明の移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。自動車1500には、振動子1が搭載されている。振動子1は、キーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
また、本発明においては、上述した実施形態に任意の構成物が付加されていてもよく、各実施形態が適宜組み合わされていてもよい。
また、本発明に係る電極構造を備える振動片は、前記実施形態において説明した振動子以外の振動子、例えば、表面弾性波素子等であってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.振動片の製造
(実施例1)
[1]まず、ATカットの水晶基板を用意し、その上に蒸着法によりクロムを成膜した。これにより仮層を得た。
[2]次いで、仮層に対し、大気下において275℃×2時間の加熱処理を施した。これにより、下地層と中間層とを形成した。
[3]次いで、中間層上に蒸着法により金を成膜した。これにより上層を得た。
このようにして3層構造の電極層を備えた振動片を製造した。なお、電極層の構造は、以下の通りである。
<電極層の構造>
・下地層主成分 :クロム
・下地層の平均厚さ:15nm
・中間層の構成成分:酸化クロム(Cr
・中間層の平均厚さ:3nm
・上層主成分 :金
・上層の平均厚さ :200nm
また、電極層の縦断面を透過型電子顕微鏡により観察した。そして、観察像から中間層の上層側の面の断面曲線を求めた。
次いで、求めた断面曲線から低周波成分を除去することにより粗さ曲線を求めた。そして、この粗さ曲線から、JIS B 0601−2001に基づき、最大高さ粗さRzを求めた。求めた最大高さ粗さRzは1.2nmであった。
(実施例2)
加熱処理の条件を450℃×1時間に変更した以外は、実施例1と同様にして振動片を製造した。なお、得られた電極層の構造は、以下の通りである。
<電極層の構造>
・下地層主成分 :クロム
・下地層の平均厚さ:30nm
・中間層の構成成分:酸化クロム(Cr
・中間層の平均厚さ:10nm
・上層主成分 :金
・上層の平均厚さ :250nm
・最大高さ粗さRz:2.5nm
(実施例3)
加熱処理の条件を375℃×0.5時間に変更した以外は、実施例1と同様にして振動片を製造した。なお、得られた電極層の構造は、以下の通りである。
<電極層の構造>
・下地層主成分 :クロム
・下地層の平均厚さ:10nm
・中間層の構成成分:酸化クロム(Cr
・中間層の平均厚さ:2nm
・上層主成分 :金
・上層の平均厚さ :150nm
・最大高さ粗さRz:0.8nm
(実施例4)
上層主成分を白金(Pt)に変更した以外は、実施例1と同様にして振動片を製造した。
(実施例5)
下地層主成分をニッケル(Ni)に変更した以外は、実施例1と同様にして振動片を製造した。
(比較例)
水晶基板上に仮層を形成した後、加熱処理をそれぞれ省略し、2層構造の電極層を形成するようにした以外は、実施例1と同様にして振動片を製造した。なお、得られた電極層の構造は、以下の通りである。
<電極層の構造>
・下地層主成分 :クロム
・下地層の平均厚さ:15nm
・上層主成分 :金
・上層の平均厚さ :200nm
・最大高さ粗さRz:6.3nm
(参考例)
水晶基板上に上層を形成することにより、単層構造の電極層を形成するようにした以外は、実施例1と同様にして振動片を製造した。なお、得られた電極層の構造は、以下の通りである。
<電極層の構造>
・上層主成分 :金
・上層の平均厚さ :200nm
2.振動片の評価
各実施例、比較例および参考例で得られた振動片について、275℃×2時間の加熱処理(アニール処理)を施した。
2.1 電極層縦断面の定性定量分析
次いで、加熱処理後の振動片の電極層の縦断面について、エネルギー分散型X線分光法(EDX)により定性定量分析を行った。その結果、実施例1〜3で得られた振動片の電極層のうち、下地層の分析結果では、Crの含有率が90±2原子%、Oの含有率が10±4原子%の範囲内に収まっていた。また、中間層の分析結果では、Crの含有率が71±3原子%、Oの含有率が29±6原子%の範囲内に収まっていた。
なお、図10は、実施例1で得られた振動片の電極層の縦断面の電子顕微鏡写真である。図10に示す電子顕微鏡写真では、各層の存在が、濃淡の程度の差によって認められる。
このような電子顕微鏡写真からも、実施例1で得られた振動片の電極層が、下地層、中間層および上層の3層構造を有していることが認められる。
2.2 電極層の厚さ方向の元素分布
次いで、加熱処理後の振動片の電極層について、スパッタリングを行いながら、X線光電子分光法(XPS)により定性定量分析を行った。その結果、各実施例で得られた振動片では、いずれも中間層の上層側から下地層側に向かって酸素含有率が徐々に低下する濃度分布が形成されていることが認められた。
2.3 電極層表面の定性定量分析
次いで、加熱処理後の振動片の電極層の表面について、X線光電子分光法(XPS)により定性定量分析を行った。その結果、各実施例で得られた振動片では、いずれも電極層表面におけるCrの含有率が検出限界以下であったのに対し、比較例および参考例で得られた振動片では、いずれもCrの含有率が5原子%以上であった。したがって、実施例で得られた振動片の電極層では、Crの拡散が抑制されていたのに対し、比較例および参考例で得られた振動片では、Crが電極層の表面まで拡散していることが認められた。
2.4 共振周波数の変化
各実施例、比較例および参考例で得られた振動片について、290℃×2時間の加熱処理を行い、加熱処理前後の周波数変化を評価した。
その結果、実施例1で得られた振動片では、加熱処理後の周波数が加熱処理前の周波数に比べて1.7ppm小さくなった。また、加熱処理後の周波数の標準偏差σは1.2ppmであった。また、その他の実施例で得られた振動片についても、これと同程度の評価が得られた。
一方、比較例で得られた振動片では、加熱処理後の周波数が加熱処理前の周波数に比べて24.7ppm小さくなった。また、加熱処理後の周波数の標準偏差σは2.2ppmであった。
以上のことから、比較例で得られた振動片では、加熱処理によって周波数が大幅にずれるとともに、周波数のばらつきも大きくなることが認められた。これは、比較例で得られた振動片では、加熱処理に伴い電極層の酸化が進行し、電極層の質量が増加することにより共振周波数が大幅に低下したためと考えられる。これに対し、各実施例で得られた振動片では、電極層がほとんど酸化しなかったことから、共振周波数もほとんど変化しなかったと考えられる。
以上のことから、本発明によれば、接合相手に対する優れた接合強度を有するとともに、周波数を正確に調整し得る振動片の電極構造が得られることが明らかとなった。
1……振動子 10……発振器 110……パッケージ 120……ベース 121……凹部 123……基部 124……側壁 130……リッド 141……接続電極 142……外部実装電極 143……貫通電極 151……接続電極 152……外部実装電極 153……貫通電極 161……導電性接着剤 162……導電性接着剤 170……メタライズ層 180……ろう材 190……振動片 191……圧電基板 193……電極層 193a……励振電極 193b……ボンディングパッド 193c……配線 195……電極層 195a……励振電極 195b……ボンディングパッド 195c……配線 196……下地層 197……中間層 1970……仮層 198……上層 80……ICチップ 9……パッケージ 91……ベース 911……凹部 911a……第1凹部 911b……第2凹部 911c……第3凹部 92……リッド 93……内部端子 94……外部端子 95……接続端子 100……表示部 1100……パーソナルコンピューター 1102……キーボード 1104……本体部 1106……表示ユニット 1200……携帯電話機 1202……操作ボタン 1204……受話口 1206……送話口 1300……ディジタルスチルカメラ 1302……ケース 1304……受光ユニット 1306……シャッターボタン 1308……メモリー 1312……ビデオ信号出力端子 1314……入出力端子 1430……テレビモニター 1440……パーソナルコンピューター 1500……自動車 S……収納空間

Claims (11)

  1. 振動基板と、
    前記振動基板の表面から、下地層、中間層、および上層が順に積層されている電極層と、
    を含み、
    前記下地層は、主成分を含み、
    前記中間層は、前記主成分の酸化物を主材料とするとともに、前記上層側の酸素含有率が、前記下地層側の酸素含有率よりも大きくなっており、
    前記中間層の縦断面から求められる、前記中間層の前記上層側の面の粗さ曲線は、最大高さ粗さRzが10nm以下であることを特徴とする振動片。
  2. 前記中間層は、前記主成分の酸化物を50質量%以上含む請求項に記載の振動片。
  3. 前記中間層の厚さは、前記下地層の厚さの0.05倍以上、1倍以下である請求項1または2に記載の振動片。
  4. 前記主成分は、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、銀、およびアルミニウムのうち、1つ以上を含み、
    前記上層は、金、および白金のうち、1つ以上を含む、
    請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動片。
  5. 前記中間層は、前記下地層の側面にも配置されている請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動片。
  6. 振動基板と、
    前記振動基板の表面から、下地層、中間層、および上層が順に積層されている電極層と、
    を含み、前記下地層は、主成分を含む振動片を製造する方法であって、
    前記振動基板の表面に前記主成分を含む仮層を形成する工程と、
    酸化雰囲気中で加熱処理を施すことにより、前記仮層の表面側の一部を酸化させ、前記下地層と、前記上層側の酸素含有率が前記下地層側の酸素含有率よりも大きい前記中間層と、を形成する工程と、
    前記中間層の表面に前記上層を形成する工程と、
    を有し、
    前記中間層の縦断面から求められる、前記中間層の前記上層側の面の粗さ曲線は、最大高さ粗さRzが10nm以下であることを特徴とする振動片の製造方法。
  7. 前記加熱処理の条件は、温度が200℃以上600℃以下、時間が10分以上10時間以下である請求項に記載の振動片の製造方法。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動片と、前記振動片を収納するパッケージと、を備えることを特徴とする振動子。
  9. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動片と、前記振動片を発振させる発振回路と、を備えることを特徴とする発振器。
  10. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動片を備えることを特徴とする電子機器。
  11. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動片を備えることを特徴とする移動体。
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