まず本発明をするに至った背景について説明する。図1は、画像読取装置1の構成を例示する構成図である。図1に示すように、画像読取装置1は、本体100内に、CCDリニアイメージセンサ(CCD)2を備えたセンサー基板(Sensor Board Unit:SBU)3、レンズユニット102、第1キャリッジ104及び第2キャリッジ106を有し、上面にコンタクトガラス116及び基準白板118が設けられている。第1キャリッジ104は、LED(Light Emitting Diode)光源108及びミラー110を有する。第2キャリッジ106は、ミラー1121,114を有する。
画像読取装置1は、読取動作において、第1キャリッジ104及び第2キャリッジ106が待機位置(ホームポジション)から副走査方向に移動しながらLED光源108が光を上方に向けて照射する。そして、第1キャリッジ104及び第2キャリッジ106は、原稿からの反射光をレンズユニット102を介してCCD2上に結像させる。CCD2は、クロックに同期して画素毎に光電変換したアナログ信号を出力する。CCD2が光電変換したアナログ電気信号は、SBU3の図示しないA/Dコンバータによりデジタル信号に変換される。
また、画像読取装置1は、電源ON時などには、基準白板118からの反射光を読取って基準を設定する。即ち、画像読取装置1は、第1キャリッジ104が基準白板118直下に移動し、LED光源108を点灯させて基準白板118からの反射光をCCD2上に結像させることによりゲイン調整を行う。
図2は、CCD2を備えたSBU3の構成を例示する構成図である。SBU3は、例えばタイミング制御部(TG:Timing Generator)30a、ドライバ32、アナログ信号処理部(AFE:Analog Front End)34a、LVDSトランストランスミッタ(LVDS)36、AC結合容量38及びCCD2を備える。
タイミング制御部30aは、PLL(Phase Locked Loop)300、第1クロック生成部302、第2クロック生成部304、第3クロック生成部306及び同期信号生成部308を有する。PLL300は、発振子(OSC)の出力を逓倍して基準クロックを生成し、第1クロック生成部302、第2クロック生成部304、第3クロック生成部306及び同期信号生成部308に対して出力する。
第1クロック生成部302は、ドライバ32を介してCCD2を駆動するCCDクロック(ccd_ck)を生成する。第2クロック生成部304は、アナログ信号処理部34aを駆動するAFEクロック(afe_ck)を生成する。第3クロック生成部306は、LVDS36を駆動するLVDSクロック(lv_ck)を生成する。同期信号生成部308は、画像読取装置1の主走査方向のライン同期信号(lsync)を生成し、LVDS36に対して出力する。
ドライバ32は、CCDクロックを受入れ、駆動クロック(CCD_CK)を供給することによってCCD2を駆動する。CCD2は、原稿からの反射光を光電変換してアナログ画像信号(アナログ信号:sig)を出力する。CCD2が出力したアナログ画像信号は、AC結合容量38を介してアナログ信号処理部34aに入力される。
ここで、例えばCCD2の電源電圧は10〜12Vであり、CCD2から出力された段階でのアナログ画像信号は、5Vのオフセット電圧にマイナスパルスのアナログ画像信号が重畳される。これに対して、例えばアナログ信号処理部34aの電源電圧は3.3Vであり、入力定格電圧は0〜2Vに設定され、オフセット電圧は2Vにされる。このように、アナログ信号処理部34aは、CCD2が出力するアナログ信号の最大電圧よりも低い電圧範囲のアナログ信号を処理する。
従って、CCD2の出力信号をそのままアナログ信号処理部34aへ入力することはできない。そこで、CCD2が出力するアナログ信号は、AC結合容量38によって2Vのオフセット電圧にマイナスパルスのアナログ画像信号が重畳された状態である信号に変換される。そして、変換後のアナログ信号がアナログ信号処理部34aへ入力される。なお、上記電圧値及び変換方式は一例であり、これらに限定されない。
アナログ信号処理部34aは、クランプ部340、サンプル・ホールド部(S/H)342、AD変換部(A/D)344を有する。クランプ部340は、アナログ信号の基準レベルをアナログ信号処理部34a内部の基準電圧に合わせ込むように、予め定められた電圧にアナログ信号をクランプする。サンプル・ホールド部342は、アナログ信号をサンプル・ホールドし、信号成分のみを抽出する。AD変換部344は、サンプル・ホールド部342を介して入力されるアナログ信号を例えば10bitのデジタルデータ(DATA)に変換し、LVDS36に対して出力する。なお、アナログ信号処理部34aは、他に信号増幅部(PGA:Programmable Gain Amplifier)や黒補正フィードバックループなどを有するが、本説明とは直接関係がないため、図1には示していない。
LVDS36は、PLL360及びデータ変換部362を有する。PLL360は、第3クロック生成部306が生成したLVDSクロックを受入れ、逓倍して生成した動作クロックをデータ変換部362に対して出力する。また、PLL360は、逓倍して生成した動作クロックを伝送クロック(LV_CK)として後段(図示しない画像処理部など)へ出力する。
データ変換部362は、AD変換部344が変換したデジタルデータを受入れて、同期信号生成部308が生成したライン同期信号と同じ信号にマッピングを行う。そして、データ変換部362は、マッピングした信号をシリアルデータに変換し、LVDSデータ(LV_DADA)として後段(図示しない画像処理部など)へ出力する。
上述したように、画像読取装置は、スキャン動作を行っている読取動作状態と、電源がオン(ON)にされていてもスキャン動作を行っていない待機状態(又は省電力状態)とがある。図2に示したSBU3は、読取動作状態及び待機状態のいずれの状態であっても通電しており、各部が通常動作をしている。即ち、SBU3は、待機状態ではスキャン動作を行っていないが、読取動作状態と同程度の無駄な電力を消費している。また、一般にスキャン動作を行っている時間よりも、電源がONにされてスキャン動作を行っていない時間の方が長いので、省電力化を行うためには待機状態での消費電力を低減することが重要となる。
図3は、消費電力の低減と、読取動作状態(又は動作可能状態)への短時間での復帰を可能にするように構成されたCCD2及びその周辺の構成を例示する構成図である。なお、図3においては、画像読取装置が待機状態である場合の各構成の状態が示されており、実線の信号線は読取動作状態と同じであり、点線の信号線は停止状態を示している。以下、実質的に同一の構成部分には、同一の符号が付してある。
図3に示したタイミング制御部30bには、図2に示したタイミング制御部30aに対して切替制御部310及びアナログスイッチ312が付加されている。切替制御部310(第1制御部)は、アナログスイッチ312のON/OFFを切替えることにより、PLL300から第1クロック生成部302及び第2クロック生成部304に対する基準クロックの供給と停止とを切替える。以下、アナログスイッチ312がONにされた状態を読取動作状態とし、アナログスイッチ312がOFFにされた状態を省電力状態(省電力モード)とする。なお、アナログスイッチ312のON/OFFの切替えは、切替制御部310による制御に限定されることなく、他の制御部によって制御されてもよい。
PLL300は、省電力状態であっても第3クロック生成部306及び同期信号生成部308に対して基準クロックを供給する。よって、LVDS36は、省電力状態であってもLVDSデータ及び伝送クロックを出力する。
省電力状態時には、第1クロック生成部302及び第2クロック生成部304が停止することによって、ドライバ32、CCD2及びアナログ信号処理部34aの動作が停止するので、図3に示した構成を有する画像読取装置の消費電力は低減される。一方、省電力状態であっても、第3クロック生成部306及び同期信号生成部308は動作している。従って、アナログスイッチ312がOFFであってもLVDS36が動作するので、LVDS36の後段(図示しない画像処理部など)は読取動作状態と同様に動作する。
画像読取装置の消費電力は、ドライバ32、CCD2及びアナログ信号処理部34aの消費電力が大半を占めている。次に、第1クロック生成部302の消費電力が占める割合が大きい。第3クロック生成部306、同期信号生成部308及びLVDS36などの消費電力が画像読取装置の全消費電力に対して占める割合は無視できるほど小さい。特に、LVDS36(3.5mA定電流駆動の場合)は、例えば数十mWの消費電力である。従って、LVDS36の消費電力は、大きくても画像読取装置全体の消費電力(数〜十数W)の1%程度である。このように、省電力状態において第3クロック生成部306、同期信号生成部308及びLVDS36が動作していても、画像読取装置の電力低減の効果が損なわれることはない。
一方、省電力状態において読取動作の指示があった場合、タイミング制御部30b内のPLL300及びLVDS36内のPLL360は動作し続けているので、アナログスイッチ312がONにされると、タイミング制御部30b及びLVDS36はPLL動作が安定するまでの時間を待つことなく動作する。
また、アナログスイッチ312がONにされると、第1クロック生成部302及び第2クロック生成部304が動作を即座に開始するので、後段のドライバ32、CCD2及びアナログ信号処理部34aも即座に動作を開始する。また、省電力状態と読取動作状態との切替がPLL300の後段に設けられたアナログスイッチ312の制御のみによって行われるので、タイミング制御部30b及びアナログ信号処理部34aに含まれるレジスタ(図示せず)の設定も維持される。さらに、省電力状態であってもLVDS36が後段(図示しない画像処理部など)に対してLVDSデータ及び伝送クロックを出力し続けるので、後段(図示しない画像処理部など)が復帰できない、又は異常読取動作状態で復帰してしまうことを回避することができる。
このように、省電力状態ではドライバ32、CCD2及びアナログ信号処理部34aなどの消費電力が大きい負荷駆動動作を停止し、消費電力が小さいLVDS36などを動作させる。よって、画像読取装置は、消費電力を低減しつつ、読取動作指示があった場合には確実かつ高速に読取動作状態へ復帰することができる。
次に、図3に示した構成を有する画像読取装置の動作について詳述する。図4は、画像読取装置が読取動作状態と省電力状態(クロック停止状態)とを切替える場合の動作例を示すフローチャートである。ここで、図4(a)は読取動作状態から省電力状態へ移行する移行制御例を示し、図4(b)は省電力状態から読取動作状態へ復帰する復帰制御例を示している。
図4(a)に示すように、ステップ100(S100)において、切替制御部310は、アナログスイッチ312をOFFにすることにより、CCDクロック(ccd_ck)をOFFにする。
また、ステップ102(S102)において、切替制御部310は、アナログスイッチ312のOFFにより、AFEクロック(afe_ck)をOFFにする。
このように、S100、S102の処理が実行されることにより、画像読取装置は、読取動作状態から省電力状態(クロック停止状態)へ移行する。
また、図4(b)に示すように、ステップ104(S104)において、切替制御部310は、アナログスイッチ312をONにすることにより、CCDクロック(ccd_ck)をONにする。
ステップ106(S106)において、切替制御部310は、アナログスイッチ312のONにより、AFEクロック(afe_ck)をONにする。
ステップ108(S108)において、例えばタイミング制御部30bは、予め定められた時間の経過を待つ(ウェイト)。ここで、タイミング制御部30bは、CCDクロック及びAFEクロックをONにした直後は、CCDクロック及びAFEクロックの動作がともに安定しないため、例えば100mS程度のウェイトをとる。
このように、S104、S106、S108の処理が実行されることにより、画像読取装置は、省電力状態(クロック停止状態)から読取動作状態への復帰制御が完了する。
なお、移行制御では特にウェイトが設けられていない。時間的な要求が高いのは一般に復帰時であるためである。また、クロック停止状態の期間が十分に長いためにウェイトが設けられていないが、移行制御においてウェイトが設けられてもよい。
図5は、画像読取装置における原稿読取時及び原稿サイズ検知時(プレスキャン時)の復帰時間への要求を示すフローチャートである。ここで、図5(a)は原稿読取時における復帰動作例を示し、図5(b)は原稿サイズ検知時における復帰動作例を示している。
画像読取装置の原稿サイズ検知機能は、ユーザーが原稿をコンタクトガラス116に置いてスキャンを行おうとするタイミングである圧板(図示せず)の閉動作をトリガにして動作するものとする。画像処理装置は、原稿サイズ検知動作が開始される前にも読取動作状態に復帰しておかなければならない。
まず、図5(a)に示すように、ステップ200(S200)において、例えばタイミング制御部30bは、クロック停止状態における原稿読取の開始を要求する復帰トリガ(原稿読取要求:第1信号)の入力があるか否かを判定する。タイミング制御部30bは、復帰トリガ(原稿読取要求:第1信号)の入力があると判定した場合(S200:Yes)には、S202の処理に進む。また、タイミング制御部30bは、復帰トリガ(原稿読取要求:第1信号)の入力がないと判定した場合(S200:No)には、S200の処理を継続する。なお、復帰トリガ(原稿読取要求:第1信号)は、例えばユーザーによる読取スタートキー押下(図示せず)などである。
ステップ202(S202)において、例えばタイミング制御部30bは、読取動作状態への復帰制御を行う。ここで、原稿読取時における読取動作状態への復帰時間の要求値は、例えば数百mS以下である。これはユーザーが不快に思わない程度の時間である。
ステップ204(S204)において、画像読取装置は、原稿読取を行う。
ステップ206(S206)において、例えばタイミング制御部30bは、省電力状態への移行制御を行う。
また、図5(b)に示すように、ステップ208(S208)において、例えばタイミング制御部30bは、クロック停止状態における原稿サイズ検知の開始を要求する復帰トリガ(原稿サイズ検知要求:第2信号)の入力があるか否かを判定する。タイミング制御部30bは、復帰トリガ(原稿サイズ検知要求:第2信号)の入力があると判定した場合(S208:Yes)には、S210の処理に進む。また、タイミング制御部30bは、復帰トリガ(原稿サイズ検知要求:第2信号)の入力がないと判定した場合(S208:No)には、S208の処理を継続する。なお、復帰トリガ(原稿サイズ検知要求:第2信号)は、例として画像読取装置の上部などに設けられて原稿を覆う厚板(図示せず)を閉める動作に対して設定されている。
ステップ210(S210)において、例えばタイミング制御部30bは、読取動作状態への復帰制御を行う。ここで、原稿サイズ検知時(例えば主走査方向サイズの検知)における読取動作状態への復帰時間の要求値は、例えば数十mS以下である。これは、ユーザーが圧板を閉める僅かな時間(100〜500mS程度)で原稿サイズ検知動作の全てを完了させる必要があるため(圧板の背景部を読み取ることにより原稿サイズの誤検知を防ぐ)である。よって、復帰時間に要求される時間は原稿読取時の数百mS以下に対して非常に短い時間である。
ステップ212(S212)において、画像読取装置は、原稿サイズ検知を行う。
ステップ206(S206)において、例えばタイミング制御部30bは、省電力状態への移行制御を行う。
図6は、比較例の画像読取装置における原稿読取時(a)及び原稿サイズ検知時(b)の復帰制御を示すフローチャートである。
まず、図6(a)に示すように、ステップ200(S200)において、例えばタイミング制御部30bは、クロック停止状態又は読取動作状態における原稿読取の開始を要求する復帰トリガ(原稿読取要求:第1信号)の入力があるか否かを判定する。タイミング制御部30bは、復帰トリガ(原稿読取要求:第1信号)の入力があると判定した場合(S200:Yes)には、S202の処理に進む。また、タイミング制御部30bは、復帰トリガ(原稿読取要求:第1信号)の入力がないと判定した場合(S200:No)には、S200の処理を継続する。なお、復帰トリガ(原稿読取要求:第1信号)は、例えばユーザーによる読取スタートキー押下(図示せず)などである。
ステップ202(S202)において、例えばタイミング制御部30bは、読取動作状態への復帰制御を行う。ここで、原稿読取時における読取動作状態への復帰時間の要求値は、例えば数百mS以下である。これはユーザーが不快に思わない程度の時間である。
ステップ204(S204)において、画像読取装置は、原稿読取を行う。
ステップ300(S300)において、例えばタイミング制御部30bは、原稿サイズ検知要求の可能性があるか否かを判定する。タイミング制御部30bは、原稿サイズ検知要求の可能性があると判定した場合(S300:Yes)には、処理を終了し、読取動作状態を継続する。また、タイミング制御部30bは、原稿サイズ検知要求の可能性がないと判定した場合(S300:No)には、S206の処理に進む。
ステップ206(S206)において、例えばタイミング制御部30bは、省電力状態への移行制御を行う。
また、図6(b)に示すように、ステップ302(S302)において、例えばタイミング制御部30bは、クロック停止状態における原稿サイズ検知の開始を要求する復帰トリガ(原稿サイズ検知要求:第2信号)の入力があるか否かを判定する。タイミング制御部30bは、復帰トリガ(原稿サイズ検知要求:第2信号)の入力があると判定した場合(S302:Yes)には、S212の処理に進む。また、タイミング制御部30bは、復帰トリガ(原稿サイズ検知要求:第2信号)の入力がないと判定した場合(S302:No)には、S302の処理を継続する。
ステップ212(S212)において、画像読取装置は、原稿サイズ検知を行う。
図6に示したように、比較例の画像読取装置では、原稿サイズ検知動作が入る可能性がある状況(例えば圧板が開いている状態など)ではクロック停止状態に入らずに読取動作状態のままにしておく。また、比較例の画像読取装置では、原稿サイズ検知動作が入る可能性がない状況(例えば圧板が閉まっている状態など)ではクロック停止状態に入るという制御を行っている。読取動作状態であれば、原稿サイズ検知要求があっても、画像読取装置は即座に原稿サイズ検知を行うことができる。この場合、復帰時間(要求があってから原稿サイズ検知を行うまでの時間)の制約がない。
しかし、上記のような比較例の画像読取装置では、圧板が閉まっている場合のみ省電力効果が得られ、圧板が開いている場合には得られない。すなわち、本来の目的であったはずの省電力が限定的となってしまい、十分な省電力効果を出すことができないという問題があった。
図7は、実施の形態にかかる画像読取装置における原稿読取時(a)及び原稿サイズ検知時(b)の復帰制御を示すフローチャートである。
まず、図7(a)に示すように、ステップ200(S200)において、例えばタイミング制御部30bは、クロック停止状態又は読取動作状態における原稿読取(第1動作モード)の開始を要求する復帰トリガ(原稿読取要求:第1信号)の入力があるか否かを判定する。タイミング制御部30bは、復帰トリガ(原稿読取要求:第1信号)の入力があると判定した場合(S200:Yes)には、S400の処理に進む。また、タイミング制御部30bは、復帰トリガ(原稿読取要求:第1信号)の入力がないと判定した場合(S200:No)には、S200の処理を継続する。
ステップ400(S400)において、例えばタイミング制御部30bは、読取動作状態への復帰制御を行う。ここで、画像読取装置は、画質優先モードとして設定されるシーケンスに沿った復帰制御を行う。
ステップ204(S204)において、画像読取装置は、原稿読取を行う。
ステップ206(S206)において、例えばタイミング制御部30bは、省電力状態への移行制御を行う。
また、図7(b)に示すように、ステップ208(S208)において、例えばタイミング制御部30bは、クロック停止状態における原稿サイズ検知(第2動作モード)の開始を要求する復帰トリガ(原稿サイズ検知要求:第2信号)の入力があるか否かを判定する。タイミング制御部30bは、復帰トリガ(原稿サイズ検知要求:第2信号)の入力があると判定した場合(S208:Yes)には、S402の処理に進む。また、タイミング制御部30bは、復帰トリガ(原稿サイズ検知要求:第2信号)の入力がないと判定した場合(S208:No)には、S208の処理を継続する。
ステップ402(S402)において、例えばタイミング制御部30bは、読取動作状態への復帰制御を行う。ここで、画像読取装置は、時間優先モードとして設定されるシーケンスに沿った復帰制御を行う。
ステップ212(S212)において、画像読取装置は、原稿サイズ検知を行う。
ステップ206(S206)において、例えばタイミング制御部30bは、省電力状態への移行制御を行う。
原稿サイズ検知を行う場合、原稿サイズが区別できる程度、具体的には任意の位置に原稿があるか否かを判別できる程度の画質で画像の読取りが行われればよい。つまり、原稿サイズ検知を行う場合、原稿読取を行う場合と比べると画質を抑えて復帰させることが可能である。
そこで実施の形態にかかる画像読取装置は、図7に示すように、原稿読取を行う場合には、復帰時間よりも画像データの安定を優先する「画質優先モード」で復帰する。また、実施の形態にかかる画像読取装置は、原稿サイズ検知を行う場合には、画像データの安定よりも復帰時間を優先する「時間優先モード」で復帰する。従って、原稿サイズ検知を行う可能性がある場合でも復帰時間と省電力効果の両立を図ることができる。
このように、原稿読取を行う場合、又は原稿サイズ検知を行う場合、画質優先又は時間優先の復帰制御を選択して行うことにより、いずれの場合でも同一の省電力状態に移行すること(省電力効果を得ること)ができる。また、原稿サイズ検知を行う場合にも、復帰時間を短くすることができ、十分な省電力効果を得ることができる。
図8は、画質優先モードでの復帰制御(a)と、時間優先モードでの復帰制御(b)とを示すフローチャートである。
まず、図8(a)に示すように、ステップ104(S104)において、切替制御部310は、アナログスイッチ312をONにすることにより、CCDクロック(ccd_ck)をONにする。
ステップ106(S106)において、切替制御部310は、アナログスイッチ312のONにより、AFEクロック(afe_ck)をONにする。
ステップ108(S108)において、例えばタイミング制御部30bは、予め定められた時間の経過を待つ(ウェイト1:第1期間)。ここで、タイミング制御部30bは、CCDクロック及びAFEクロックをONにした直後は、CCDクロック及びAFEクロックの動作がともに安定しないため、例えば100mS程度のウェイトをとる。
また、図8(b)に示すように、ステップ104(S104)において、切替制御部310は、アナログスイッチ312をONにすることにより、CCDクロック(ccd_ck)をONにする。
ステップ106(S106)において、切替制御部310は、アナログスイッチ312のONにより、AFEクロック(afe_ck)をONにする。
ステップ500(S500)において、例えばタイミング制御部30bは、予め定められた時間の経過を待つ(ウェイト2:第2期間)。ここで、画質優先モードではウェイト1を従来通りに画像データが安定するまでの時間とし、時間優先モードではウェイト1よりも短い時間のウェイト2が設定されている。
例えば、ウェイト1及びウェイト2は、以下のように設定される。
画質優先モード : ウェイト1 = 100mS
(復帰処理後、画像データが目標値に対して誤差±4LSBに収まるまで)
時間優先モード : ウェイト2 = 25mS
(復帰処理後、画像データが目標値に対して誤差±16LSBに収まるまで)
このとき、原稿サイズ検知時には、原稿読取時ほどのデータの安定性を必要としないため、安定性(目標誤差範囲)の制約を緩和し、ウェイト1>ウェイト2とすることができる。なお、ウェイト1及びウェイト2は、予め設定される。
図9は、画像読取装置それぞれに個体差があっても、復帰時間をそれぞれ最短にする復帰制御を示すフローチャートである。図9(a)は原稿読取時の復帰制御を示しており、図9(b)は原稿サイズ検知時の復帰制御を示している。
まず、図9(a)に示すように、ステップ104(S104)において、切替制御部310は、アナログスイッチ312をONにすることにより、CCDクロック(ccd_ck)をONにする。
ステップ106(S106)において、切替制御部310は、アナログスイッチ312のONにより、AFEクロック(afe_ck)をONにする。
ステップ600(S600)において、例えばタイミング制御部30bは、CCD2が読取った画像データが予め定められた誤差範囲1以内であるか否かを判定する。タイミング制御部30bは、画像データが予め定められた誤差範囲1以内であると判定した場合(S600:Yes)には、処理を終了して読取動作状態にする。また、タイミング制御部30bは、画像データが予め定められた誤差範囲1以内でないと判定した場合(S600:No)には、S600の処理を継続する。
また、図9(b)に示すように、ステップ104(S104)において、切替制御部310は、アナログスイッチ312をONにすることにより、CCDクロック(ccd_ck)をONにする。
ステップ106(S106)において、切替制御部310は、アナログスイッチ312のONにより、AFEクロック(afe_ck)をONにする。
ステップ602(S602)において、例えばタイミング制御部30bは、CCD2が読取った画像データが予め定められた誤差範囲2以内であるか否かを判定する。タイミング制御部30bは、画像データが予め定められた誤差範囲2以内であると判定した場合(S602:Yes)には、処理を終了して読取動作状態にする。また、タイミング制御部30bは、画像データが予め定められた誤差範囲2以内でないと判定した場合(S602:No)には、S602の処理を継続する。
誤差範囲1は、誤差範囲2よりも小さく設定されている。なお、画像データの安定時間(ウェイト1、ウェイト2)は、画像読取装置の個体それぞれのばらつきを含めた最悪値を用いて予め設定したものである。よって、ウェイト1、ウェイト2では、図9に示した復帰処理による復帰時間よりも長い復帰時間が設定されている。つまり、多くの場合、その個体での実力値よりも長い復帰時間となってしまうので、非効率的である。
そこで実施形態にかかる画像読取装置では、復帰時の画像データのレベルを検出し、目標値に対して予め定められた任意の誤差範囲に画像データの誤差が収まっているか否かによって復帰制御の完了を判定している。
例えば、上記の誤差範囲は以下のように設定される。
画質優先モード : 誤差範囲1 = ± 4LSB (目標値に対して)
時間優先モード : 誤差範囲2 = ±16LSB (目標値に対して)
図10は、画像読取装置が主走査方向の1ライン期間の画像を読取った場合に、CCD2及びアナログ信号処理部34aが出力する信号を示すタイミングチャートである。
CCD2は、無効画素、遮光画素、有効画素、空転送画素の信号を出力する。ここで、無効画素は、データとして未使用である画素、遮光画素は光が入らないように遮光がなされている画素、有効画素が光に応じた出力となる画素、空転送は全画素の転送が完了した後に出力される無出力の画素である。アナログ信号処理部34aは種々のアナログ処理を施すが、画像データの種類としてはCCD2と同じである。従って、アナログ信号処理部34aの出力には、内部の処理遅延分の遅れが生じる。画像データの検出は、アナログ信号処理部34aの出力データ、又は後段の画像処理部(図示せず)における画像データを用いる。
画像データのレベルを検出する場合、CCD2の有効画素(光に反応する画素)のデータでレベルを検出すると、光源を点灯させている場合や圧板が開いている場合の外光の影響などにより、適切にレベルを検出することができない可能性がある。そのため、実施形態にかかる画像読取装置は、遮光画素又は空転送(光が照射されていない画素)のデータによってレベルを検出する制御を行う。これにより、LED光源108を点灯させた状態でも復帰制御が可能となり、また外光等の影響も回避することができ精度の高い検出が可能となる。
なお、厳密には、CCD2から出力される信号はアナログ信号であり、アナログ信号処理部34aから出力される信号はデジタルデータであるが、ここでは区別して記載していない。このように、CCD2における遮光画素又は空転送画素のデータを用いることにより、CCD2に対する入射光に影響されないデータ検出が可能となる。
ところで、先述したように、原稿サイズ検知は圧板が閉まる時に動作を行うのが通常であり、割込み処理を用いて実施されるのが一般的である。また、図7(b)に示したように、原稿サイズ検知の動作は、復帰制御→原稿サイズ検知→移行制御の順番で処理が実施される。このとき、圧板の開閉が高速に繰り返されるような場合や原稿開閉動作と同時にスタートキーを押下される場合などには、復帰制御と移行制御それぞれの処理中にトリガ(割込み通知)が発生する可能性がある。この場合、例えば、復帰処理のトリガが入っているのに、直前に実施していた移行処理が完了していないために復帰処理が実施されないなど、システムとして異常状態に陥ってしまう場合がある。
そこで実施形態にかかる画像読取装置は、復帰制御と移行制御の間に優先関係を設定し、制御が重複した場合でも必ず復帰制御を優先して処理を完了するように制御を行う。これにより、復帰制御と移行制御が重複するタイミングで発生しても、必ず読取動作状態で終了することが可能となるため、画像読取装置が異常状態となることを回避できる。
図11は、原稿サイズ検知時の復帰制御と移行制御の優先関係を決める動作を示すフローチャートである。
図11に示すように、ステップ700(S700)において、例えばタイミング制御部30bは、まず移行制御の開始を要求するトリガを無効にする。
ステップ104(S104)において、切替制御部310は、アナログスイッチ312をONにすることにより、CCDクロック(ccd_ck)をONにする。
ステップ106(S106)において、切替制御部310は、アナログスイッチ312のONにより、AFEクロック(afe_ck)をONにする。
ステップ602(S602)において、例えばタイミング制御部30bは、CCD2が読取った画像データが予め定められた誤差範囲2以内であるか否かを判定する。タイミング制御部30bは、画像データが予め定められた誤差範囲2以内であると判定した場合(S602:Yes)には、S702の処理に進む。また、タイミング制御部30bは、画像データが予め定められた誤差範囲2以内でないと判定した場合(S602:No)には、S602の処理を継続する。
ステップ702(S702)において、例えばタイミング制御部30bは、まず移行制御の開始を要求するトリガを有効にする。
このように、例えばタイミング制御部30bは、復帰制御の最初に移行制御のトリガを無効にする処理を行い、処理終了時にそれを再び移行制御のトリガを有効にする。従って、復帰制御中は移行制御が無効になるため、移行制御よりも復帰制御の優先度が高くなり、また復帰制御と移行制御が重複することがなくなるために、画像読取装置が異常状態に陥いることを防止することができる。
図12は、スキャナのような画像読取装置以外の情報処理装置における動作例を示すフローチャートである。図12(a)は情報処理装置の通常動作時の復帰制御を示しており、図12(b)は予備動作時の復帰制御を示している。
まず、図12(a)に示すように、ステップ800(S800)において、情報処理装置は、省電力状態における通常動作の開始を要求する復帰トリガの入力があるか否かを判定する。情報処理装置は、復帰トリガの入力があると判定した場合(S800:Yes)には、S802の処理に進む。また、情報処理装置は、復帰トリガの入力がないと判定した場合(S800:No)には、S800の処理を継続する。
ステップ802(S802)において、情報処理装置は、通常状態への復帰制御を行う。ここで、情報処理装置は、性能優先モードとして設定されるシーケンスに沿った復帰制御を行う。
ステップ804(S804)において、情報処理装置は、通常動作を行う。
ステップ806(S806)において、情報処理装置は、省電力状態への移行制御を行う。
また、図12(b)に示すように、ステップ808(S808)において、情報処理装置は、省電力状態における予備動作の開始を要求する復帰トリガの入力があるか否かを判定する。情報処理装置は、復帰トリガの入力があると判定した場合(S808:Yes)には、S810の処理に進む。また、情報処理装置は、復帰トリガの入力がないと判定した場合(S808:No)には、S808の処理を継続する。
ステップ810(S810)において、情報処理装置は、通常状態への復帰制御を行う。ここで、情報処理装置は、時間優先モードとして設定されるシーケンスに沿った復帰制御を行う。
ステップ812(S812)において、情報処理装置は、予備動作を行う。
ステップ806(S806)において、情報処理装置は、省電力状態への移行制御を行う。
次に、実施の形態にかかる画像読取装置1aを備えた画像形成装置6について説明する。図13は、画像読取装置1aを備えた画像形成装置6の概要を示す構成図である。画像形成装置6は、画像読取装置1aと画像形成部7とを有する例えば複写機やMFP(Multifunction Peripheral)などである。
画像読取装置1aは、例えばタイミング制御部30b、ドライバ32、CCD2、アナログ信号処理部34b及びLVDS36を有する。画像形成部7は、処理部70とプリンタエンジン72とを有し、処理部70とプリンタエンジン72とがインターフェイス(I/F)74を介して接続されている。
処理部70は、LVDS700、画像処理部702及びCPU704を有する。CPU704は、タイミング制御部30bなどの画像形成装置6を構成する各部を制御する。
LVDS36は、後段のLVDS700に対して画像データ、ライン同期信号及び伝送クロックなどを出力する。LVDS700は、受入れた画像データ、ライン同期信号及び伝送クロックなどをパラレル10ビットデータに変換する。画像処理部702は、変換された10ビットデータを用いて画像処理を行い、画像データなどをプリンタエンジン72に対して出力する。プリンタエンジン72は、受入れた画像データを用いて印刷を行う。
よって、プレスキャンによる原稿サイズの検知を行う場合にも、省電力状態において十分に消費電力を低減できる画像形成装置を提供することができる。
なお、上記実施の形態では、本発明の情報処理装置についてスキャナ(画像読取装置)を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば本発明の情報処理装置は、CCDエリアセンサを用いて撮像及びAF(オートフォーカス)などを行うデジタルカメラや、AFのためにCCDリニアイメージセンサを用いたデジタルカメラなどであってもよい。また、デジタルカメラにおける静止画モードでの復帰を性能優先モードとし、動画モードでの復帰を時間優先モードとしてもよい。