JP6163527B2 - 微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法 - Google Patents

微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法 Download PDF

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Description

本発明は、微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法に関し、具体的には、オイル含有量が高い微生物からのオイル抽出工程及びバイオディーゼル変換工程を1つの反応器で統合して同時に行う、バイオディーゼルを製造する方法に関する。
近年、バイオディーゼルの原料として従来の原料(大豆油又はパーム油)の代わりにオイル含有微生物を活用する技術が「次世代バイオディーゼル技術」として関心を集めており、オイル含有微生物からオイルを抽出する技術に関する研究が続けられてきた(非特許文献1)。従来のオイル含有微生物からオイルを抽出する方法としては、溶媒抽出法(微生物の様々な成分から、オイルがよく溶解する抽出溶媒を用いて、微生物からオイルを溶媒相に分離する方法)、マイクロ波利用法(マイクロ波が微生物の細胞壁を破壊することにより細胞内容物が外に排出されると、それからオイル成分を分離する方法)、熱水処理法(微生物が噴射された水溶液の温度を水の沸点以上に上げると高温、高圧状態となり細胞壁が崩れて細胞内容物が外に出ることによって、オイル成分を分離する方法)、酵素処理法(酵素を用いて微生物の細胞壁を分解することによりオイルを得る方法)、圧搾法(微生物を圧搾してオイルを搾り出す方法)などの様々な方法が用いられる。前述したオイル抽出法のほとんどは、微生物の細胞壁を一部破壊することにより細胞壁の内部にあるオイルを外に出す機序を含み、破壊した細胞壁の内部や外部に存在するオイルの回収のためには、一般に有機溶媒を用いる。
前記溶媒抽出法は、乾燥させた試料に適用できるのでよく用いられる方法であり、効率は高いが、水分により抽出率が低下するので、試料を乾燥させるエネルギーコストが高いという欠点がある。また、マイクロ波装置は、抽出時間を短縮できるという利点があるが、初期設備投資を必要とし、熱水抽出法の場合、細胞壁が薄い微生物の処理には適当であるが、クロレラのように細胞壁が厚い種の処理では、細胞壁が崩れにくいので、効率が低いという欠点がある。また、酵素は、コストが高いので処理後の再使用を必要とし、圧搾法は、微細藻類の大きさによって効率が左右されるという欠点がある。
よって、産業的に利用できるバイオディーゼル生産のためには、試料を乾燥させずに水分のある状態で適用することができ、設備費や材料費を最小限に抑えることにより、複雑な工程や高コストを要することなく、高い効率で細胞壁を破壊してオイルを回収することのできる工程を開発する必要がある。一般に、微生物からバイオディーゼルを生産する工程は、細胞破砕、オイル回収及びバイオディーゼル変換の複数ステップの工程で行われる。このような複数ステップの工程は、複数のステップを行うので過程が複雑であり、ステップを経る度に回収物の損失が起こり得る(図1の左)。
一方、オイル含有微生物から抽出されたオイルは、一般にトリグリセリドと遊離脂肪酸を共に含有している。バイオディーゼル変換の際に、トリグリセリドは、エステル化/エステル交換によりバイオディーゼルに変換されるが、副産物としてグリセリンが生成されてオイルの損失を引き起こし、バイオディーゼル層と水層の分離を妨げる。それに対して、遊離脂肪酸は、少量の酸触媒で容易にバイオディーゼルに変換され、副産物として水が生成される(図2)。よって、後工程の単純化及び産業的活用性の向上のためには、トリグリセリドと遊離脂肪酸が混合物として存在するオイルを用いる代わりに、オイル成分を遊離脂肪酸成分に単一化する必要がある。
特許文献1は、微生物から酸触媒と界面活性剤を用いて遊離脂肪酸を高効率で抽出する方法に関するものであり、水分のある状態のオイル含有微生物から酸触媒及び界面活性剤を用いて遊離脂肪酸の形態でオイルを高効率で抽出する方法を開示しているが、上記発明は、微生物からオイルを抽出し、その後抽出されたオイルをバイオディーゼルに変換するために別途の変換工程をさらに行うという欠点がある。また、上記発明において抽出されたオイルのバイオディーゼル変換率は約70%であり、触媒の添加量を増加してもバイオディーゼル変換率はそれ以上向上しないという問題がある。
韓国登録特許第10−1531842号公報
Lee SH et al., Appl. Chem. Eng., 2013b, 24, 285 Xin Meng et al., Renewable Energy, 2009, 34, 1-5
こうした背景の下、本発明者らは、微生物を用いて高収率でバイオディーゼルを製造するために鋭意努力した結果、バイオディーゼル変換工程の複数ステップにおける反応を1つの反応器で統合して行い、オイル含有微生物、酸触媒、アルコールなどの反応物を同時に添加して反応を行うことにより、工程が単純化し、生成物の損失を最小限に抑えて容易にバイオディーゼルを製造できることを確認し、本発明を完成するに至った。
本発明は、オイル含有微生物又はそれを含む培養液に酸触媒、有機溶媒及びSDBSを添加して加熱するステップを含み、前記ステップは、オイル抽出とバイオディーゼル変換反応を同時に行う、微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法を提供する。
また、本発明は、酸触媒、有機溶媒及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を含むバイオディーゼル製造用組成物であって、前記組成物は、オイル含有微生物と混合され、前記ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)は、反応物全体の100重量部に対して0.1〜1.0重量部の量で含まれる、微生物からのバイオディーゼル製造用組成物を提供する。
さらに、本発明は、酸触媒、有機溶媒、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)、及びオイル含有微生物又はそれを含む培養液を含むバイオディーゼル製造用組成物であって、前記ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)は、組成物全体の100重量部に対して0.1〜1.0重量部の量で含まれる、微生物からのバイオディーゼル製造用組成物を提供する。
本発明の微生物からバイオディーゼルを製造する方法は、1つの反応器でオイル含有微生物及び反応物質を同時に添加して反応させることにより、設備費や材料費を低減することができ、単純化された工程により生成されるバイオディーゼルの損失を最小限に抑えることができ、バイオディーゼルが水層と層分離して存在するので容易にバイオディーゼルを回収することができる。
また、オイル含有微生物からオイルを抽出するために必要なコスト上昇問題を解決することにより、経済的にバイオディーゼルを生産することができ、国内の原料を用いたバイオディーゼルの普及が可能になる。
オイル含有微生物からのバイオディーゼル製造過程を示す模式図である。 一般的なオイルのバイオディーゼル変換反応式を示す図である。 本発明のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)及び酸触媒を用いたバイオディーゼル製造統合工程におけるバイオディーゼル変換率を示す図である。 本発明のバイオディーゼル製造統合工程において100g/Lの微細藻類を用いた場合の酸触媒添加量によるバイオディーゼル変換率の変化を示す図である。 本発明のバイオディーゼル製造統合工程において400g/Lの微細藻類を用いた場合の酸触媒添加量によるバイオディーゼル変換率の変化を示す図である。 本発明のバイオディーゼル製造統合工程におけるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)及びアルコール添加量によるバイオディーゼル変換率の変化を示す図である。 本発明のバイオディーゼル製造統合工程における温度、時間及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)の有無によるバイオディーゼル変換率の変化を示す図である。 本発明のバイオディーゼル製造統合工程においてopen pond mix種の微細藻類を用いた場合のバイオディーゼル変換率を示す図である。 本発明のバイオディーゼル製造統合工程における微細藻類種によるバイオディーゼル変換率の変化を示す図である。 本発明のバイオディーゼル製造統合工程における界面活性剤の種類によるバイオディーゼル変換率の変化を示す図である。 複数ステップのバイオディーゼル製造工程において湿潤微細藻類から抽出されたオイルのバイオディーゼル変換率を示す図である。 複数ステップのバイオディーゼル製造工程において乾燥微細藻類から抽出されたオイルのバイオディーゼル変換率を示す図である。 バイオディーゼル変換反応におけるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)及び水の有無によるバイオディーゼル変換率の変化を示す図である。
上記目的を達成するために、本発明の第1態様は、オイル含有微生物又はそれを含む培養液に酸触媒、有機溶媒及びSDBSを添加して加熱するステップを含み、前記ステップは、オイル抽出とバイオディーゼル変換反応を同時に行う、微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法を提供する。
本発明の第2態様は、酸触媒、有機溶媒及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を含むバイオディーゼル製造用組成物であって、前記組成物は、オイル含有微生物と混合され、前記ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)は、反応物全体の100重量部に対して0.1〜1.0重量部の量で含まれる、微生物からのバイオディーゼル製造用組成物を提供する。
本発明の第3態様は、酸触媒、有機溶媒、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)、及びオイル含有微生物又はそれを含む培養液を含むバイオディーゼル製造用組成物であって、前記ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)は、組成物全体の100重量部に対して0.1〜1.0重量部の量で含まれる、微生物からのバイオディーゼル製造用組成物を提供する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明では、オイル含有微生物からのバイオディーゼル変換工程において、オイル抽出ステップ及びオイルのバイオディーゼル変換ステップを分離して行う複数ステップの変換反応を1つの反応器で統合して行い、オイル含有微生物と有機溶媒、酸触媒及びSDBSの反応物質とを同時に添加した状態で行うことにより、80%以上の高いバイオディーゼル変換率を示し、効率的にバイオディーゼルを製造できることが見出された。本発明はそれに基づいたものである。
本発明の微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法は、オイル含有微生物又はそれを含む培養液に酸触媒、有機溶媒及びSDBSを添加して加熱するステップを含み、前記ステップは、オイル抽出とバイオディーゼル変換反応を同時に行うことを特徴とする。
具体的には、オイル含有微生物を含む培養液に酸触媒、有機溶媒及び界面活性剤を同時に添加して混合物を準備し、その後前記混合物を加熱する反応により微生物内のオイルを単一ステップでバイオディーゼルに変換することができる。
前記混合物の加熱反応は、80〜150℃で1時間〜3時間行ってもよい。
前述した加熱温度が80℃より低い温度では、エステル交換反応速度が遅くなるためバイオディーゼル変換率が低下することがあり、150℃より高い温度では、酸触媒による反応器の腐食が加速化し、有機溶媒による圧力が増加することがある。また、界面活性剤によるトリグリセリドの遊離脂肪酸変換は、常温より加熱時に活発になり、前述した温度条件ではトリグリセリドの遊離脂肪酸変換を促進することができる。
一方、加熱時間が前述した時間より短縮されると、反応物質間の接触時間が短いためバイオディーゼル変換率が低下することがあり、前述した時間より加熱時間が延長されると、可逆反応によりバイオディーゼル変換率が低下することがある。
本発明の微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法は、バイオディーゼル変換統合反応を行い、その後微生物の残骸が含まれる層からバイオディーゼルが含まれる層を別途に分離して有機溶媒を除去する過程をさらに行ってもよい。
バイオディーゼル変換反応において、アルコール以外にヘキサン、クロロホルムなどの有機溶媒を含む場合は、生成されたバイオディーゼルがそれらの溶媒に溶解し、ヘキサン、クロロホルムなどの有機溶媒を含まない場合は、バイオディーゼルが比重差により水層の上に浮かんで存在する。バイオディーゼルは有機溶媒層に移動し、酸触媒、界面活性剤及び微生物の残骸は水層に移動して存在し、これら二層は密度差によって層が分離する特性があるので、重力沈降により層分離してもよく、層分離効率を向上させるために遠心分離を行ってもよい。また、バイオディーゼルが含まれる層を回収して有機溶媒を蒸発させると、最終的にバイオディーゼルを得ることができる。
本発明に用いられるオイル含有微生物は、微細藻類、バクテリア、酵母、真菌又はそれらの混合物であってもよい。
微細藻類は、水、二酸化炭素及び日光を用いて成長させることができ、荒地、海岸、海など、どこでも培養することができるので、従来の陸上作物と土地や空間の面で相互に競争しない。また、微細藻類は、培養条件に応じて生体内に多量のオイル(最大70%)を蓄積することができ、単位面積当たりのオイル生産量が大豆などの従来の食用作物に比べて50〜100倍以上多く、代替生物原油としての可能性が非常に高い。よって、バイオディーゼルの原料として従来の原料(大豆油又はパーム油)の代わりに微細藻類を活用する技術が「次世代バイオディーゼル技術」として多くの関心を集めている(表1参照)。
微細藻類及び従来のエネルギー作物のオイル生産量(出所:第3次新再生エネルギー技術開発及び利用普及基本計画)
また、本発明は、一般に周知の微細藻類だけでなく、バクテリア、酵母、真菌などのオイルを含有する微生物からバイオディーゼルを生産することができる。オイルを含有する代表的な微生物とそれぞれのオイル含有量を表2に示す(非特許文献2)。
表2に示すオイル含有微生物以外に微細藻類の例として、アナシスティス・ニデュランス(Anacystis nidulans)、アンキストロデスムス属(Ankistrodesmus sp.)、ビドゥルフィア・オリタ(Biddulphia aurita)、キートケロス属(Chaetoceros sp.)、クラミドモナス・アプラナタ(Chlamydomonas applanata)、クラミドモナス・レインハルディ(Chlamydomonas reinhardtii)、クロレラ属(Chlorella sp.)、クロレラ・エリプソイデア(Chlorella ellipsoidea)、クロレラ・エメルソニイ(Chlorella emersonii)、クロレラ・プロトセコイデス(Chlorella protothecoides)、クロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)、クロレラ・ソロキニアナ(Chlorella sorokiniana)、クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、クロレラ・ミヌティッシマ(Chlorella minutissima)、クロロコックム・リトラーレ(Chlorococcum littorale)、シクロテラ・クリプティカ(Cyclotella cryptica)、ドナリエラ・バーダウィル(Dunaliella bardawil)、ドナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)、ドナリエラ・テルチオレクタ(Dunaliella tertiolecta)、ドナリエラ・プリモレクタ(Dunaliella primolecta)、ギムノディニウム属(Gymnodinium sp.)、ヒメノモナス・カルテレ(Hymenomonas carterae)、イソクリシス・ガルバナ(Isochrysis galbana)、イソクリシス属(Isochrysis sp.)、ミクロキスティス・エルギノーサ(Microcystis aeruginosa)、ミクロモナス・プシラ(Micromonas pusilla)、モノダス・サブテラネウス(Monodus subterraneus)、ナンノクロリス属(Nannochloris sp.)、ナンノクロロプシス属(Nannochloropsis sp.)、ナンノクロロプシス・アトムス(Nannochloropsis atomus)、ナンノクロロプシス・サリナ(Nannochloropsis salina)、ナビクラ・ペリクロサ(Navicula pelliculosa)、ニッチア属(Nitzschia sp.)、ニッチア・クロステリウム(Nitzschia closterium)、ニッチア・パレア(Nitzschia palea)、オーキスティス・ポリモルファ(Oocystis polymorpha)、オウロコッカス属(Ourococcus sp.)、オシラトリア・ルベセンス(Oscillatoria rubescens)、パブロバ・ルテリ(Pavlova lutheri)、フェオダクチラム・トリコルヌツム(Phaeodactylum tricornutum)、ピクノコッカス・プロバソリ(Pycnococcus provasolii)、ピラミモナス・コルダータ(Pyramimonas cordata)、スピルリナ・プラテンシス(Spirulina platensis)、ステファノディスクス・ミヌツルス(Stephanodiscus minutulus)、スティココッカス属(Stichococcus sp.)、シネドラ・ウルナ(Synedra ulna)、セネデスムス・オブリクス(Scenedesmus obliquus)、セレナストルム・グラキレ(Selenastrum gracile)、スケレトネマ・コスタツム(Skeletonema costatum)、テトラセルミス・チュイ(Tetraselmis chui)、テトラセルミス・マクラタ(Tetraselmis maculata)、テトラセルミス属(Tetraselmis sp.)、テトラセルミス・スエシカ(Tetraselmis suecica)、タラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)、アナベナ属(Anabaena sp.)、カロスリックス属(Calothrix sp.)、カマエシフォン属(Chamaesiphon sp.)、クロオコッキディオプシス属(Chroococcidiopsis sp.)、シアノセイス属(Cyanothece sp.)、キリンドロスペルムム属(Cylindrospermum sp.)、デルモカルペラ属(Dermocarpella sp.)、フィッシェレラ属(Fischerella sp.)、グロエオカプサ属(Gloeocapsa sp.)、ミクソサルキナ属(Myxosarcina sp.)、ノストック属(Nostoc sp.)、オシラトリア属(Oscillatoria sp.)、フォルミディウム・コリウム(Phormidium corium)、プレウロカプサ属(Pleurocapsa sp.)、プロクロロコッカス属(Prochlorococcus sp.)、シュードアナベナ属(Pseudanabaena sp.)、シネココッカス属(Synechococcus sp.)、シネコシスティス属(Synechocystis sp.)、トリポスリックス属(Tolypothrix sp.)、クセノコックス属(Xenococcus sp.)又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、バクテリア種の例として、表2に示すもの以外にも、大腸菌(E. coli)、ロドシスタ・センテナリア(Rhodocista centenaria)、ロドスピラ・トゥルーペリ(Rhodospira trueperi)、ロドスピリラム・フルブム(Rhodospirillum fulvum)、ロドスピリラム・モリシアナム(Rhodospirillum molischianum)、ロドスピリラム・フォトメトリカム(Rhodospirillum photometricum)、ロドスピリラム・ラブラム(Rhodospirillum rubrum)、ロドスピリラム・サレキシゲンス(Rhodospirillum salexigens)、ロドスピリラム・サリナルトン(Rhodospirillum salinarutn)、ロドスピリラム・ソドメンセ(Rhodospirillum sodomense)、ロドスピリラム・メディオサリナム(Rhodospirillum mediosalinum)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas sp.)、ロドシュードモナス・アシドフィラ(Rhodopseudomonas acidophila)、ロドシュードモナス・カプスラタス(Rhodopseudomonas capsulatus)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、ロドシュードモナス・スフェロイデス(Rhodopseudomonas sphaeroides)、ロドバクター・カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の微生物からバイオディーゼルを製造する方法におけるオイル含有微生物の濃度は50〜500g/Lであってもよい。前記オイル含有微生物の濃度が50g/L未満では、微生物量に対する水分含有量が非常に高く、酸触媒と界面活性剤が希釈されてバイオディーゼル変換率が低下することがある。それに対して、前記オイル含有微生物の濃度が500g/Lを超えると、性状が流動性の少ないフィルターケーキの形態となり、酸触媒及び界面活性剤との均質な反応が困難になってオイル抽出率が低下することがあり、また、前述した濃度の微生物を生産するための脱水コストが急激に増加することがある。
本発明の酸触媒は、強酸である硫酸、塩酸、硝酸又はそれらの混合物であってもよい。
バイオディーゼルを製造する方法において、酸触媒は、微生物の細胞壁を弱くすることにより溶媒が細胞内に侵入してオイルを効率的に回収できるようにし、また、反応触媒としての役割も果たす。さらに、酸触媒は、オイルと水の間に生成されるエマルジョンを破壊してバイオディーゼル層と水層の分離を容易にする機能も有する。
本発明の微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法は、オイル含有微生物、アルコール、酸触媒などの反応物質を同時に添加して1つの反応器でバイオディーゼルを生産する方法であり、オイルが微生物細胞内に存在するのでオイルと反応物質を接触させることが困難であるためバイオディーゼル変換率が低くなるが、酸触媒の添加により微生物の細胞壁破砕及び反応物間の物質伝達効率を増加させることができ、また、酸触媒反応により微生物から抽出されたオイルのバイオディーゼルへの変換が容易に行える。
本発明のバイオディーゼルを製造する方法における酸触媒の量は、反応物全体の100重量部に対して5〜30重量部であってもよい。前記酸触媒の量が反応物全体の100重量部に対して5重量部未満では、細胞壁を弱くすることによりエステル化反応に用いられる酸触媒の量が少ないので、バイオディーゼル変換率が低下することがあり、30重量部を超えると、反応器の腐食を招いて微生物を変形させるので、かえってバイオディーゼル変換率が低下することがある。
前記反応物全体とは、本発明のバイオディーゼル製造反応のために反応する物質の全部をいうものであり、前記反応物は、オイル含有微生物又はそれを含む培養液と共に酸触媒、有機溶媒及びSDBSを含むものであってもよい。
本発明のバイオディーゼルを製造する方法における有機溶媒は、アルコールを含み、ヘキサン、クロロホルム、トルエン、アセトン、ヘプタン、ジクロロメタン、四塩化炭素、ベンゼン又はそれらの混合物をさらに含んでもよい。具体的には、前記アルコールは、C〜C10アルコールであってもよく、より具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール又はそれらの混合物であってもよい。
微生物の細胞壁内に存在するオイルは有機溶媒を用いて効率的に回収することができ、特に、酸触媒によりオイル含有微生物の細胞壁が弱くなるか、又は破壊されるので、有機溶媒を用いたオイル抽出が容易になる。
また、バイオディーゼル製造反応に用いられる有機溶媒に含まれるアルコールは、細胞壁を破砕し、微細藻類オイルを効率的に回収する役割を果たす。それと共に、反応物間の物質伝達及びオイルと酸触媒の接触を容易にし、エステル交換反応の反応物としても用いられて多機能の役割を果たす。本発明の一実施例におけるメタノールは、水と混合しやすいため相分離が生じないので、バイオディーゼル層とアルコールを含む水層の分離を容易にすることにより、バイオディーゼルの回収効率を向上させることができる。
本発明のバイオディーゼルを製造する方法における有機溶媒は、アルコールを含み、ヘキサンをさらに含んでもよい。本発明の一実施例においては、有機溶媒であるヘキサンを用いることにより、約80%の高いバイオディーゼル変換率が得られた(図9及び表9)。
本発明のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)は、スルホン酸基とベンゼン基とを有する陰イオン界面活性剤であり、前記スルホン酸基及びベンゼン基がトリグリセリドのカルボキシ基部分を攻撃することにより遊離脂肪酸の形態に分離することができる。
一般に、微生物から抽出されたオイルは、遊離脂肪酸(free fatty acid)とトリグリセリド(triglyceride)の混合物として存在する。本発明のバイオディーゼルを製造する方法は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を添加して酸触媒と反応させることにより、トリグリセリドが遊離脂肪酸に分解され、遊離脂肪酸高含有オイルを生成することができる。遊離脂肪酸高含有オイルは、エステル交換反応の際にトリグリセリドが酸触媒により遊離脂肪酸に分解される過程を省略することができるので、酸触媒の効率を向上させ、バイオディーゼル変換率を向上させることができる。
本発明のバイオディーゼルを製造する方法におけるSDBSの量は、反応物全体の100重量部に対して0.1〜1.0重量部であってもよい。前記SDBSの量が反応物全体の100重量部に対して0.1重量部未満では、遊離脂肪酸への変換率が非常に低下することがあり、1.0重量部を超えると、親水性と疎水性を同時に有するSDBSが混合物に多量に含まれているのでエマルジョンを形成することにより、オイル抽出を阻害してオイル抽出率を低下させ、また、バイオディーゼルの層分離を困難にし、結果としてバイオディーゼル変換率及び収率を低下させることがある。
本発明のバイオディーゼル製造反応は、「攪拌可能でコンデンサ付きのガラス反応器」又は「攪拌機能がない高圧反応器」で行うことができる。前述した2種類の反応器を用いると、最終的なバイオディーゼル変換率は同じ結果となるが、反応器の種類によってバイオディーゼルの製造にかかる反応時間が異なることがある。前記「攪拌可能でコンデンサ付きのガラス反応器」を用いるとバイオディーゼル製造反応時間が3時間であり、「攪拌機能がない高圧反応器」を用いると反応時間が1.5時間であるので、「攪拌機能がない高圧反応器」を用いると反応時間を短縮することができる。前記「攪拌可能でコンデンサ付きのガラス反応器」は、有機溶媒がコンデンサにより上昇し、その後下降する過程により有機溶媒の反応物への接触量が減少するのに対して、「攪拌機能がない高圧反応器」は、有機溶媒が継続して反応物と接触した状態で反応が進められるので反応時間を短縮することができる。反応器内での攪拌が可能であるかどうか、コンデンサ装着の有無、高圧であるかどうかは当業界で必要に応じて調節し使用することができる。
本発明の他の態様は、酸触媒、有機溶媒及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を含むバイオディーゼル製造用組成物であって、前記組成物は、オイル含有微生物と混合され、前記ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)は、反応物全体の100重量部に対して0.1〜1.0重量部の量で含まれる、微生物からのバイオディーゼル製造用組成物を提供する。
前記微生物からのバイオディーゼル製造用組成物に含まれる酸触媒、有機溶媒及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)は、オイル含有微生物又はそれを含む培養液に同時に添加してもよい。
本発明の他の態様は、酸触媒、有機溶媒、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)、及びオイル含有微生物又はそれを含む培養液を含むバイオディーゼル製造用組成物であって、前記ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)は、組成物全体の100重量部に対して0.1〜1.0重量部の量で含まれる、微生物からのバイオディーゼル製造用組成物を提供する。
前記組成物に含まれる酸触媒、有機溶媒、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)及びオイル含有微生物又はそれを含む培養液は前述のとおりである。
本発明の組成物におけるSDBSの量は、反応物全体の100重量部に対して0.1〜1.0重量部であってもよい。前記SDBSの量が反応物全体の100重量部に対して0.1重量部未満では、遊離脂肪酸への変換率が非常に低下することがあり、1.0重量部を超えると、親水性と疎水性を同時に有するSDBSが混合物に多量に含まれているのでエマルジョンを形成することにより、オイル抽出を阻害してオイル抽出率を低下させ、また、バイオディーゼルの層分離を困難にし、結果としてバイオディーゼル変換率及び収率を低下させることがある。
本発明の微生物からバイオディーゼルを製造する方法は、1つの反応器でオイル含有微生物及び反応物質を同時に添加して反応させる統合工程により、高いバイオディーゼル変換率を得ることができる。具体的には、本発明のバイオディーゼル製造統合工程は、微生物からのオイル抽出ステップを行うことなく、単一ステップで乾燥過程を経ない湿潤微細藻類から効率的にバイオディーゼルを製造することができ、有機溶媒、酸触媒、SDBSなどの反応物質が同時に存在する状態で80%以上のバイオディーゼル変換率が得られる(図5及び図7)。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)及び酸触媒下におけるバイオディーゼル変換率の分析
培養されたChlorella vulgarisを遠心分離して水分を一部除去しておき、50g/Lの湿潤微細藻類溶液を準備した。前記微細藻類溶液を攪拌可能でコンデンサ付きのガラス反応器に添加し、ヘキサン:メタノール、SDBS及び硫酸を混合し、その後100℃で3時間反応させた。具体的な反応条件を表3に示す。前述した反応により湿潤微細藻類からバイオディーゼルを抽出し、バイオディーゼルを含む溶媒層を分離して蒸発、濃縮し、回収されたバイオディーゼルの変換率を測定した。前記バイオディーゼル変換率は、脂肪酸メチルエステル(fatty acid methyl ester, FAME)標準分析法(EN 14103)に従ってガスクロマトグラフィー(Agilent 6890 Gas Chromatography)を用いて分析した。
その結果、SDBSを添加した場合、SDBS未処理区に比べてバイオディーゼル変換率が向上し、添加された硫酸量の増加に応じてバイオディーゼル変換率が増加した(図3)。上記結果から、SDBS及び硫酸が統合バイオディーゼル変換工程における変換率の向上に影響を与えることが確認された。
実施例2:酸触媒量によるバイオディーゼル変換率の変化の分析
微細藻類濃度、ヘキサン:メタノール、SDBS及び硫酸の反応条件以外は実施例1と同じ条件で反応を行って湿潤微細藻類からバイオディーゼルを変換し、FAME標準分析法(EN 14103)に従ってガスクロマトグラフィー(Agilent 6890 GC)を用いてバイオディーゼル変換率を分析した。具体的な反応条件を表4に示す。
SDBSを添加した条件下における硫酸量によるバイオディーゼル変換率の変化を分析した結果、硫酸量の増加によりバイオディーゼル変換率も継続して向上する傾向を示した(図4)。
また、微細藻類溶液の濃度を400g/Lに増加した上で、硫酸量によるバイオディーゼル変換率の変化を比較分析した。具体的な反応条件を表5に示す。
その結果、10g以下の硫酸を添加した場合は、硫酸の添加量が増加するに伴ってバイオディーゼル変換率が向上し、10gの硫酸添加によるバイオディーゼル変換率は83%と高い数値を示した(図5)。それに対して、10g以上の過剰量の硫酸条件では、バイオディーゼル変換率がわずかに低下したが、60%以上のバイオディーゼル変換率を示した。
一方、特許文献1においても硫酸触媒及びSDBSを用いて微生物から抽出したオイルのバイオディーゼルへの変換率を測定しているが、上記発明においては、硫酸量の増加にもかかわらずバイオディーゼル変換率の増加傾向は観察されず、その変換率は継続して約70%を維持している。それに対して、本発明におけるバイオディーゼル変換率は、硫酸添加量の増加により向上する傾向を示し、その値が80%以上と上記特許に比べてバイオディーゼル変換率が大幅に向上することが確認された。
実施例3:SDBS及びメタノール条件によるバイオディーゼル変換率の変化の分析
微細藻類濃度、ヘキサン:メタノール、SDBS及び硫酸の反応条件以外は実施例1と同じ条件で反応を行って湿潤微細藻類からバイオディーゼルを変換し、FAME標準分析法(EN 14103)に従ってガスクロマトグラフィー(Agilent 6890 GC)を用いてバイオディーゼル変換率を分析した。具体的な反応条件を表6に示す。
メタノールは、微細藻類の細胞壁を破砕する役割を果たし、バイオディーゼル変換過程において反応物として用いられ、また、触媒とオイルの接触を容易にする役割を果たす。
メタノールの添加量の変化によるバイオディーゼル変換率の変化を分析した結果、メタノールの添加量増加によるバイオディーゼル変換率の向上は観察されなかった(図6のA〜C)。
一方、SDBSの添加量の変化によるバイオディーゼル変換率の変化を分析した結果、0.4g及び0.8gのSDBSを添加した場合は同程度のバイオディーゼル変換率を示したが、1gのSDBSでは約20%向上したバイオディーゼル変換率が観察された。上記結果から、SDBS添加量の増加によりバイオディーゼル変換率が向上することが確認された(図6のD〜F)。しかし、界面活性剤が過剰量で添加されると、界面活性剤によるエマルジョン形成によりバイオディーゼル収率が急激に低下し、SDBS 0.4g、0.8g及び1gの条件においてバイオディーゼル収率はそれぞれ23%、17%及び15%と測定された。また、界面活性剤を過剰量で添加するとバイオディーゼル変換反応の反応性が低下することがあるので、本発明においては0.4gのSDBSを用いてバイオディーゼル製造工程を行った。
実施例4:温度、時間、SDBSの有無によるバイオディーゼル変換率の変化の分析
微細藻類濃度、温度、時間及びSDBSの反応条件以外は実施例1と同じ条件で反応を行って湿潤微細藻類からバイオディーゼルを変換し、攪拌機能がない高圧反応器で反応工程を行った。具体的な反応条件を表7に示す。バイオディーゼル変換率は、FAME標準分析法(EN 14103)に従ってガスクロマトグラフィー(Agilent 6890 GC)を用いて分析した。
その結果、100℃から120℃への温度上昇により、バイオディーゼル変換率は低下する傾向を示した(図7のA〜B)。それに対して、反応時間の変化によるバイオディーゼル変換率の変化は現れず、1.5及び3時間の反応時間で同程度のバイオディーゼル変換率を示した(図7のC〜D)。
一方、SDBSを添加した場合、SDBSを用いない場合に比べてバイオディーゼル変換率が50%以上増加した(図7のE〜F)。この結果は実施例1の結果に一致する。上記結果は、界面活性剤であるSDBSが統合工程による微細藻類からのバイオディーゼル変換に効果的に作用することを示唆する。
実施例5:微細藻類種によるバイオディーゼル変換率の変化の分析
培養されたopen pond mix種を遠心分離して水分を一部除去しておき、350g/Lの湿潤微細藻類溶液を準備し、前記微細藻類溶液を用いて下記表8に示す反応条件下でバイオディーゼルに変換した。微細藻類種以外は実施例1と同じ条件で反応を行い、バイオディーゼル変換率は、FAME標準分析法(EN 14103)に従ってガスクロマトグラフィー(Agilent 6890 GC)を用いて分析した。
その結果、SDBSの添加条件におけるopen pond mix種のバイオディーゼル製造工程においては、10g以下の硫酸を添加した場合、添加量に関係なく60%以上のバイオディーゼル変換率を示した(図8)。
また、Chlorella vulgaris以外のChlorella種及びNannochloropsis種を用いてバイオディーゼル変換率を比較分析した。バイオディーゼル変換工程は下記表9に示す反応条件下で行い、ヘキサンの代わりにクロロホルムを用いて溶媒の種類によるバイオディーゼル変換率の変化も分析した。
その結果、Chlorella種はChlorella vulgarisと同程度の約80%の高いバイオディーゼル変換率を示し、Nannochloropsis種は約60%のバイオディーゼル変換率を示した(図9)。上記結果から、微細藻類種に関係なく、本発明のバイオディーゼル製造工程により60%以上のバイオディーゼル変換率が得られることが確認された。
一方、有機溶媒としてヘキサンの代わりにクロロホルムを用いた場合、低いバイオディーゼル変換率を示した(図9)。上記結果からクロロホルムよりはヘキサンがバイオディーゼル変換工程に適することが確認された。
実施例6
界面活性剤の種類によるバイオディーゼル変換率の変化の分析
界面活性剤の種類以外は実施例1と同じ条件で反応を行って湿潤微細藻類からバイオディーゼルを変換し、攪拌機能がない高圧反応器で反応工程を行った。具体的な反応条件を表10に示す。バイオディーゼル変換率は、FAME標準分析法(EN 14103)に従ってガスクロマトグラフィー(Agilent 6890 GC)を用いて分析した。
界面活性剤の種類によるバイオディーゼル変換率の変化を比較分析した結果、界面活性剤のうちSDBSが他の5種の界面活性剤に比べて本発明のバイオディーゼル製造工程において高効率性を示すことが確認され、約80%の高いバイオディーゼル変換率を示し、統合工程におけるバイオディーゼル変換率の向上に最も効果的であることが確認された(図10)。
比較例1:複数ステップのバイオディーゼル変換反応
1−1:湿潤微細藻類からのオイル抽出後のバイオディーゼル変換率の分析
培養されたChlorella vulgarisを遠心分離して水分を一部除去しておき、湿潤微細藻類溶液を準備し、湿潤条件で硫酸・熱水抽出法により微細藻類オイルを抽出した。前記抽出反応は、SDBS及び硫酸を混合し、その後120℃で1時間行った。
抽出した微細藻類オイルは、攪拌可能でコンデンサ付きのガラス反応器にて、メタノール及び硫酸を添加し、その後100℃で1時間反応させてバイオディーゼルに変換した。回収されたバイオディーゼル変換率は、FAME標準分析法(EN 14103)に従ってガスクロマトグラフィー(Agilent 6890 GC)を用いて分析した。具体的な反応条件を表11に示す。
硫酸・熱水抽出法を用いたオイル抽出ステップにより湿潤微細藻類からオイルを抽出し、その後抽出したオイルをバイオディーゼル変換反応に適用した結果、バイオディーゼル変換ステップにおいて約70%のバイオディーゼル変換率を示し、硫酸添加量の増加によるバイオディーゼル変換率の向上は観察されなかった(図11)。
それに対して、本発明は、オイル抽出ステップ及び抽出されたオイルのバイオディーゼルへの変換ステップを区分することなく、1つの反応器にて単一ステップで湿潤微細藻類からバイオディーゼルを生産し、その結果、比較例1−1における硫酸添加量と同程度の量である10gの硫酸添加によっても80%以上のバイオディーゼル変換率を示した。上記結果から、複数ステップのバイオディーゼル変換工程に比べて本発明の統合工程がバイオディーゼル生産においてより効率的であることが確認された。
1−2:乾燥微細藻類からの抽出オイルのバイオディーゼル変換率の分析
培養されたChlorella vulgarisを凍結乾燥により乾燥させ、その後ヘキサン・メタノール溶媒を用いた溶媒抽出法により常温で微細藻類オイルを抽出した。抽出した微細藻類オイルは、攪拌可能でコンデンサ付きのガラス反応器にて、メタノール及び硫酸を添加し、その後100℃で1時間反応させてバイオディーゼルに変換した。回収されたバイオディーゼル変換率は、FAME標準分析法(EN 14103)に従ってガスクロマトグラフィー(Agilent 6890 GC)を用いて分析した。具体的な反応条件を表12に示す。
凍結乾燥させた微細藻類から溶媒抽出法により抽出したオイルをバイオディーゼル変換反応に適用した結果、硫酸の添加量増加によりバイオディーゼル変換率が向上する傾向を示したが、バイオディーゼル変換ステップにおいて0.06g以下の硫酸を添加した場合は40%以下の低い変換率を示し、0.1gの硫酸を添加した場合も70%以下のバイオディーゼル変換率を示した(図12)。
一般に、培養された微細藻類から回収した微細藻類は湿潤状態であり、湿潤状態のままバイオディーゼル生産工程に用いるとバイオディーゼル生産性が著しく低下する。よって、湿潤微細藻類からのオイル抽出効率を向上させるためには、乾燥工程を経るか、さらなるマイクロウェーブ(microwave)、超臨界メタノール、又は高温や高圧を用いて行わなければならないという欠点がある。しかし、本発明の統合工程は、培養された微細藻類を湿潤状態のまま反応に用いることができ、オイル抽出効率を向上させるための過程を追加しないにもかかわらず、80%以上の高いバイオディーゼル変換率を示す(図5及び図7)。
比較例2:バイオディーゼル変換反応におけるSDBS及び水の影響の分析
統合工程による微細藻類オイルからのバイオディーゼル変換反応において、オイル以外に存在する反応物質による影響を調べるために、水の有無によるバイオディーゼル変換率の変化を分析した。具体的には、微細藻類から抽出された遊離脂肪酸の形態のオイルの代わりにオレイン酸を用いて反応を行った。オレイン酸を攪拌可能でコンデンサ付きのガラス反応器に添加し、その後下記表13に示す反応条件下でバイオディーゼル変換反応を行い、FAME標準分析法(EN 14103)に従ってガスクロマトグラフィー(Agilent 6890 GC)を用いてバイオディーゼル変換率を分析した。
オイル抽出ステップとオイルのバイオディーゼル変換ステップを分離して行う複数ステップのバイオディーゼル変換工程の場合は、微細藻類からオイルを抽出し、その後抽出したオイルのみ存在する状態でバイオディーゼル変換反応を行うのに対して、本発明の統合工程によりバイオディーゼルを変換する場合は、オイル以外に水などが混合した状態でバイオディーゼル変換反応を共に進める。よって、オイルからバイオディーゼルへの変換過程における水の影響を把握すると共に、SDBSの存在有無による変換率の変化を観察した。
その結果、バイオディーゼル変換反応において水が添加されないと、約90%の高いバイオディーゼル変換率を示し、ここで、SDBSを添加することにより変換率がわずかに向上する結果が現れた。それに対して、水が添加されると、未添加の場合に比べてバイオディーゼル変換率が約20%低下したが、これはSDBS添加により再び向上する傾向を示した(図13)。上記結果から、水が存在するバイオディーゼル変換反応において、界面活性剤であるSDBSの親水性基及び疎水性基の作用によりオイルとメタノールの接触が容易になり、水の阻害作用にもかかわらずバイオディーゼル変換率が増加することが確認された。
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、上記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は、明細書ではなく特許請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態を含むものであると解釈すべきである。

Claims (7)

  1. オイル含有微生物又はそれを含む培養液に全体の100重量部に対して5〜30重量部の量で添加される酸触媒と、全体の100重量部に対して0.1〜1.0重量部の量で添加されるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)と、アルコールを含んだ有機溶媒とを添加して1〜3時間加熱するステップを含み、
    前記ステップは、オイル抽出とバイオディーゼル変換反応を同時に行う、微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法。
  2. 前記オイル含有微生物が、微細藻類、バクテリア、酵母、真菌から選択されるいずれか1つ以上である、請求項1に記載の微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法。
  3. 前記酸触媒が、硫酸、塩酸、硝酸から選択されるいずれか1つ以上である、請求項1に記載の微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法。
  4. 前記有機溶媒が、ヘキサン、クロロホルム、トルエン、アセトン、ヘプタン、ジクロロメタン、四塩化炭素及びベンゼンからなる群から選択されるいずれか1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法。
  5. 前記有機溶媒が、ヘキサンをさらに含む、請求項1に記載の微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法。
  6. 前記アルコールが、C〜C10アルコールからなる群から選択されるいずれか1つ以上である、請求項4に記載の微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法。
  7. 前記オイル含有微生物の濃度が50〜500g/Lである、請求項1に記載の微生物からバイオディーゼルを高効率で製造する方法。
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