JP6163360B2 - 地盤改良管理方法 - Google Patents
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Description
例えば、複数の管体により地中に複数の温度センサを配置して、当該温度センサにより固化材(例えば、セメントミルク)の水和反応における反応熱を検知して、固化材の到達径を計測する技術(例えば、特許文献1参照)が本出願人によって提案されている。
この技術は有用であるが、温度センサが温度上昇を検知している場合でも、実際には固化材が温度センサの位置まで到達していない場合が存在するという問題を有している。
また、複数の温度センサ設置箇所毎に削孔が必要となり、削孔のためのコストを考慮しなければならないという問題も有している。
複数種類の土を水と固化材(セメント)を混合して温度上昇勾配を求め、施工現場の土の種類を特定し、特定された土の種類と求められた温度上昇勾配に基づいて温度上昇勾配のしきい値を決定する工程と、
造成されるべき地中固結体の中心から半径方向外方へ離隔した位置に温度測定装置(例えば、K熱電対1K)を配置する工程(S2)と、
地中固結体を造成する工程(S3)と、
温度測定装置により地中温度を計測する地中温度計測工程(S4)と、
地中温度計測工程(S4)の計測結果から温度上昇勾配を演算する温度上昇勾配演算工程(S6)と、
温度上昇勾配演算工程(S6)で求めた温度上昇勾配と施工現場の土質毎に異なる前記しきい値を比較する工程(S7)と、
前記温度上昇勾配が前記しきい値以上であれば、造成された地中固結体の造成径が温度計測装置を配置した箇所まで到達していると判断する工程(S8)を有している。
また、温度計測装置(1K)は管体(測定管)に設けられているのが好ましい。
さらに、温度計測装置(1K)を設けた管体(測定管)を複数本配置する場合には、造成されるべき地中固結体の同一半径上には配置しないことが好ましい。
これに加えて、本発明において、温度上昇勾配演算工程(S6)は、温度上昇勾配が安定した後に行なわれることが好ましい。
地中固結体を造成した後、最も高くなった地中温度(ピーク温度)と地中固結体を造成する以前の地中温度の温度差を演算する温度差演算工程(S39)と、
前記温度上昇勾配が温度上昇勾配の前記しきい値以上であり、且つ、温度差演算工程(S39)で演算された温度差が温度差のしきい値以上であれば、造成された地中固結体の造成径が温度計測装置を配置した箇所まで到達していると判断する工程(S41)を有しているのが好ましい。
あるいは、複数種類の土を水と固化材(セメント)を混合して温度勾配を求め、施工現場の土の種類を特定し、特定された土の種類と求められた温度勾配に基づいて温度勾配のしきい値を決定するのが好ましい。
上述する構成を具備する本発明によれば、温度上昇勾配演算工程(S6)で求めた温度上昇勾配がしきい値以上(閾値)であれば、造成された地中固結体の造成径は温度計測装置(1K)を配置した箇所まで到達していると判断し、温度上昇勾配がしきい値よりも小さければ、造成された地中固結体の造成径は温度計測装置(1K)を配置した箇所まで到達していないと判断する。
或いは、固化材(セメント)の添加量が少なく発熱量が小さければ、造成径が温度計測装置(1K)を配置した箇所まで到達していても、到達していないと誤判断する可能性がある。
本発明で温度上昇のしきい値を決定するに際しては、施工現場の土の性質を考慮して行なう。そのため本発明では、施工現場の土質を考慮した判断が常に行なわれる。
本発明において、温度上昇勾配を(温度上昇勾配の)しきい値と判断することに加えて、地中固結体を造成する以前の地中温度と、地中固結体を造成した後に最も高くなった地中温度(ピーク温度)の温度差を、当該温度差のしきい値と比較することにより、造成された地中固結体の造成径が温度計測装置(1K)を配置した箇所まで到達しているか否かが、より正確に判断される。
先ず、図1〜図10を参照して第1実施形態を説明する。
図1において、地中固結体の直径をD(半径はD/2)とすれば、地中固結体を造成する施工領域の地盤Gにおける改良用ボーリング孔(図示では明示していない)の中心軸Lcから(D/2)±(0.1〜0.2D)の地点に、測定管用ボーリング孔Hbを複数個所削孔する。
なお、図示の実施形態において、測定管と、測定管の内部に装備された熱電対(いわゆるK熱電対)を同じ符号1Kで示してある。
これは、同一の直線上(地中固結体の同一半径上)に測定管1を配置した場合、中心点に近い側の測定管1Kdによって固化材(例えば、セメント、セメントミルク)噴流が遮られてしまい、その外側の測定管1Kcの計測結果の精度が低くなるからである。
測定管1Kの内部には温度センサであるK熱電対が挿入されており、当該K熱電対はラインLhによって地上の制御装置10に接続されている。
パッカ2を設けているので、測定管用ボーリング孔Hbの底部Hbbと下段のパッカ2の間の領域に最下段の開口1oが位置し、下段のパッカ2と中段のパッカ2の間の領域に中間の開口1oが位置し、上段のパッカ2と中段のパッカ2の間の領域に上段の開口が位置している。
以下、図3のフローチャートに基づいて、施工領域が改良されたか否かを判断する制御について説明する。
そしてステップS2に進み、改良体(地中固結体)の半径方向中心軸(改良体造成の際に切削されるボーリング孔の中心軸)から半径方向について、計画改良径の±10〜20%程度離隔した複数の箇所に測定管用ボーリング孔Hbを切削し、測定管用ボーリング孔Hb内に測定管1Kを配置する。
次のステップS3では、公知の工法によって地中に固化材を噴射して改良体を造成する。そしてステップS4に進み、ステップS2において配置された測定管1KのK熱電対によって、測定管1Kの開口oにおける深度の地中温度を測定し、その測定値を記録する。
K熱電対で計測された温度が上昇したならば(ステップS5がYES)、ステップS6に進む。ステップS6では、K熱電対で計測された温度の変化(例えば、温度上昇勾配)が安定するまで、K熱電対で計測された温度を測定し、記録する。そして、K熱電対で計測された温度変化(例えば、温度上昇勾配)が安定した後、その後の(温度変化が安定した後の)温度上昇勾配を演算する。
発明者の実験によれば、24時間までの温度上昇勾配については、セメントの添加量よりも土質の違いによるところが大きい。例えば、砂地盤での測定値よりも、粘性土地盤の方が温度の上昇が早くなる(図9参照)。したがって、土質により温度上昇勾配が異なるため、予め土質を調べておくことで、温度上昇勾配から水和反応が十分に進行しているか否かが判断でき、造成の可否判断が可能となる。
温度上昇勾配がしきい値以上であれば(ステップS7がYES)、固化材が測定管1Kまで到達しており、測定管1Kにおいては固化材の水和反応が十分に進行していると判断して、「造成完了」と判断する(ステップS8)。
一方、温度上昇勾配がしきい値未満であれば(ステップS7がNO)ステップS9に進み、固化材が測定管1Kまで到達しておらず、測定管1Kにおいては固化材の水和反応が十分に進行していないと判断して、「造成は未完了」と判断する(ステップS9)。
例えば、図2で示す半径方向内方の測定管用ボーリング孔Hbaに挿入されたK熱電対1Kaで計測した温度上昇勾配がしきい値以上であり、半径方向外方の測定管用ボーリング孔Hbbに挿入されたK熱電対1Kbで計測した温度上昇勾配がしきい値未満であれば、噴射された固化材の改良体の中心点Oからの距離(半径方向到達距離)が、測定管用ボーリング孔Hbaと中心点Oの半径方向距離以上で、測定管用ボーリング孔Hbbと中心点Oの半径方向距離未満であることが判明する。
次に、図4及び図5に基づいて、温度上昇勾配のしきい値を決定する制御について説明する。
図4で示す温度上昇勾配のしきい値を決定する制御においては、図4のステップS11で施工現場の土を採取し、ステップS12で採取した施工現場の土を固化材であるセメント及び水と混合する。そしてステップS13では、施工現場の土とセメントと水の混合物の温度を計測し、当該温度の特性(温度−時間特性:温度特性)を記録する。とその計時を開始する。そしてステップS14に進む。
ステップS14では、施工現場の土とセメントと水の混合物の温度特性から、当該施工現場の土の温度上昇勾配を演算する。そしてステップS15では、ステップS14で演算された温度上昇勾配に基づいて、施工現場の土における温度上昇勾配のしきい値を決定する。温度上昇勾配のしきい値を決定するに際しては、ステップS14で演算された温度上昇勾配をそのまま適用しても良いし、施工条件その他を考慮して異なる値にしても良い。
図5のステップS21では、複数種類の土(例えば、砂質土と粘土)を選択し、各々の種類の土とセメントと水を混合する。ステップS22では、それぞれの土とセメントと水の混合物の温度を計測し、各々の温度特性を記録する。
ステップS23では、記録された温度特性から、ステップS21で選択された複数種類の土(例えば、砂質土と粘土)の各々における温度上昇勾配を演算する。そしてステップS24では、施工現場の土がステップS21で選択された複数種類の土の何れに該当するかを決定し、該当する種類の土についてステップS23で求めた温度上昇勾配に基づいて温度上昇勾配のしきい値を決定する(ステップS25)。温度上昇勾配のしきい値を決定するに際しては、ステップS23で演算された温度上昇勾配をそのまま適用しても良いし、施工条件その他を考慮して異なる値にしても良い。
図6は、施工例における熱電対の配置を示しており、大きな円で示した改良範囲RFに対して、2箇所(A箇所、B箇所)のK熱電対を配置している。
図7は、施工例において、上記A箇所、B箇所に設けた熱電対の計測結果を示している。図7において、A箇所、B箇所の何れにおいても、噴射完了までは地中温度は顕著に上昇している。しかし、噴射完了後であっても、改良範囲RF内であるA箇所では、地中温度は上昇し続けている。それに対して、改良範囲RFよりも半径方向外方に位置している(改良範囲RF外にある)B箇所では、噴射完了直後から温度上昇は僅かである。
図8によれば、A箇所における噴射完了時の地中温度は30℃で、5時間後の値は39℃、したがって、1時間当たりの温度上昇率は1.8℃/hとなっている。一方、B箇所における噴射完了時の地中温度は30℃で、5時間後の値は28℃、したがって、1時間当たりの温度上昇率は−0.4℃/hとなっている。
図6〜図8の施工例では、粘性地盤の施工現場が対象であり、図9を参照して述べるように、温度上昇勾配のしきい値は1.0℃/hに設定されている。
その結果、A箇所においては固化材が到達しており、改良体は造成されている(完成している)と判断される。一方、B箇所においては固化材は到達しておらず、改良体は造成されていない(未完成)と判断される。
図9において、上方の実線が粘性土地盤の温度上昇勾配ΔT/Δtを示し、下方の破線が砂地盤の温度上昇勾配ΔT/Δtを示している。
図6〜図8の施工例における粘性地盤の温度上昇勾配のしきい値は1.0℃/hは、図9の温度特性図から決定されている。
なお図9では、粘性土地盤の温度上昇勾配(上方の実線:ΔT/Δt=1.0℃hr程度)が、砂地盤の温度上昇勾配(下方の点線:ΔT/Δt=0.4℃/hr程度)の約2.5倍となっている。
図10は図3〜図5の制御を自動化した場合における制御機構100の一例を示している。
図10において、制御機構100は、制御手段であるコントロールユニット10と、熱電対(図10では1本のみ示すが、複数本であってもよい)1Kと、入力装置3と、モニタ画面4とを備えている。
コントロールユニット10は、第1の比較ブロック12と、温度上昇勾配演算ブロック13と、第2の比較ブロック14と、判定ブロック17と、記憶装置18と、計時装置であるタイマ19とを備えている。
そして、第1の比較ブロック12は、記憶装置18に記憶された改良前の地中温度と、計測結果が安定した時点で熱電対1から送られた地中温度とを比較して、熱電対1で計測した地中温度が上昇しているか否かを判断する。
そして、温度上昇勾配演算ブロック13は、熱電対1Kからの地中温度の計測結果と、熱電対1Kで計測された地中温度が安定してからの経過時間(タイマ19で計時)から、温度上昇勾配を演算する。
そして、第2の比較ブロック14は、記憶装置18から得た温度上昇勾配のしきい値と、温度上昇勾配演算ブロック13で演算した温度上昇勾配とを比較する。
そして、判定ブロック17は、第1の比較ブロックの比較結果から、固化材噴射後も地中温度が上昇しない場合には「造成は未完了」と判断する。そして、固化材噴射後に地中温度が上昇した場合には、第2の比較ブロック14で比較した結果、温度上昇勾配がしきい値以上であれば、「造成は完了した」と判断し、温度上昇勾配がしきい値未満であれば、「造成は未完了」と判断する。
判定ブロック17の判定結果は、ラインL74経由で、モニタ4に送られる。
或いは、固化材の添加量が少なく発熱量が小さければ、造成径がK熱電対1Kを配置した箇所まで到達していても、到達していないと誤判断する可能性がある。
ここで図示の第1実施形態では、温度上昇のしきい値を決定するに際しては、施工現場の土の性質を考慮して行なう。そのため、施工現場の土質を考慮した判断が常に行なわれる。
最初に図11に基づいて、第2実施形態において、K熱電対1Kを配置した箇所まで固化材が到達しているか否か(改良体の造成が完了しているか否か)の判断を行う制御について説明する。
図11のステップS31では、柱状図等から施工現場の土質を決定し、ステップS32に進む。ステップS32では、改良体(地中固結体)の半径方向中心軸(改良体造成の際に切削されるボーリング孔の中心軸)から半径方向について、計画改良径の±10〜20%程度離隔した複数の箇所に測定管用ボーリング孔Hbを切削し、測定管用ボーリング孔Hb内に測定管1Kを配置する。
そしてステップS33では、K熱電対1Kによって改良体造成前の地中温度を測定し、この測定値を記録する。ここで、改良体造成前の地中温度を測定する工程は、ステップS33以前のどの段階で行なっても良い。例えば、ステップS31に先行して、改良体造成前の地中温度を測定することも可能である。
ステップS36では、K熱電対の温度が上昇したか否かを判断する。K熱電対1Kの温度が上昇しなければ(ステップS36がNO)、K熱電対1Kを配置した箇所までは改良体が到達していないと判断する(ステップS42)。一方、K熱電対1Kの温度が上昇したならば(ステップS36がYES)、ステップS37に進む。
ステップS37では、温度上昇勾配が安定するまで温度を測定・記録し、温度上昇勾配が安定した後の温度上昇勾配を演算する。そしてステップS38に進む。
温度上昇勾配がしきい値未満であれば(ステップS38がNO)、ステップS42まで進み、K熱電対1Kを配置した箇所までは改良体が到達しておらず、K熱電対1Kを配置した箇所は造成が未完了であると判断する。
一方、温度上昇勾配がしきい値以上であれば(ステップS38がYES)、ステップS39に進む。
改良前の地中温度とピーク温度の温度差がしきい値(第2のしきい値)以上であれば(ステップS40がYES)、ステップS41に進み、K熱電対1Kを配置した箇所まで改良体が到達し、K熱電対1Kを配置した箇所まで造成が完了していると判断する。
図12は、図11の制御を自動化した場合における制御機構の一例を示している。
以下、第2実施形態の制御機構100Aが第1実施形態の制御機構100(図10参照)とは異なる部分について、主に説明する。
そして、ピーク温度と改良前地中温度との温度差演算ブロック15は、第2の比較ブロック14で比較した結果として温度上昇勾配がしきい値以上である場合に、固化材が噴射される以前(改良前)の地中温度と、ピーク温度(固化材噴射後、最も高温となった地中温度)との温度差を演算する。
第3の比較ブロック16は、第1の比較ブロック12で固化材噴射後に地中温度が上昇した旨の判断が行なわれ、且つ、第2の比較ブロック14で温度上昇勾配がしきい値以上である旨の判断が為された場合に、ブロック15(ピーク温度と改良前地中温度との温度差演算ブロック)で演算したピーク温度との温度差と、記憶装置18に記憶されたピーク温度と改良前地中温度との温度差のしきい値を比較して、改良前の地中温度とピーク温度の温度差がしきい値以上か否かを判断する機能を有している。そして、改良前の地中温度とピーク温度の温度差がしきい値以上であれば、K熱電対1Kが配置された箇所まで固化材が到達しており、造成が完了していると判断する機能を有している。
図11、図12の第2実施形態のその他の構成及び作用効果は、図1〜図10の第1実施形態と同様である。
3・・・入力手段
4・・・モニタ
10・・・コントロールユニット
12・・・第1の比較ブロック
13・・・温度上昇勾配演算ブロック
14・・・第2の比較ブロック
17・・・判定ブロック
18・・・記憶装置
Claims (2)
- 複数種類の土を水と固化材を混合して温度上昇勾配を求め、施工現場の土の種類を特定し、特定された土の種類と求められた温度上昇勾配に基づいて温度上昇勾配のしきい値を決定する工程と、
造成されるべき地中固結体の半径方向中心から半径方向外方へ離隔した位置に温度測定装置を配置する工程と、
地中固結体を造成する工程と、
温度測定装置により地中温度を計測する地中温度計測工程と、
地中温度計測工程の計測結果から温度上昇勾配を演算する温度上昇勾配演算工程と、
温度上昇勾配演算工程で求めた温度上昇勾配と施工現場の土質毎に異なる前記しきい値を比較する工程と、
前記温度上昇勾配が前記しきい値以上であれば、造成された地中固結体の造成径が温度計測装置を配置した箇所まで到達していると判断する工程を有していることを特徴とする地盤改良管理方法。 - 地中固結体を造成する以前の地中温度を計測する工程と、
地中固結体を造成した後、最も高くなった地中温度と地中固結体を造成する以前の地中温度の温度差を演算する温度差演算工程と、
前記温度上昇勾配が温度上昇勾配の前記しきい値以上であり、且つ、温度差演算工程で演算された温度差が温度差のしきい値以上であれば、造成された地中固結体の造成径が温度計測装置を配置した箇所まで到達していると判断する工程を有している請求項1の地盤改良管理方法。
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