JP6163285B2 - 3次元複合機 - Google Patents
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また、測定対象物を測定する装置や、コンピューターや、立体物の造形のための装置といった複数の装置からなるシステムによって、立体物のコピーを実現する技術が知られている(特許文献7,8参照)。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、いわゆる演算処理の負担を軽減することで装置を安価にして普及しやすくすることが可能な3次元複合機を提供する。
すなわち、スキャン対象である一つの立体物全体を表す造形データを処理するのではなく、層毎に造形データを処理することになるので、演算処理の負担が軽くなる。
例えば、スキャン対象に水平の面があり、その水平の面が層の区切れであるとすると、水平面までの層毎の造形をしていたときに、その次の層で、突然、外周の壁面がずれることになる。造形物を中空の構造としていたとすると、次ぎの層が小さく、現在形成中の層の中空領域に納まる大きさであれば、本来であればこの面に水平の壁面を形成しなければならない。このため、造形部で所定の層の造形を開始する前に、同層よりも一つ上の上層を立体スキャンさせる。そして、当該層と上層のスキャン結果に基づき、外周の壁面の変化がある部分では、その変化によっては水平の面を形成する様に造形データを作成する。
外来ノイズ等があるので、立体スキャンの結果が必ずしも正確とは限らない。一つの立体物全体を表す造形データを処理するときは、周囲のデータを参照して立体造形面としての修正は可能であるが、層毎に処理するときに高度な演算で修正をすることで演算処理の負荷が大きくなるようでは層毎に処理するメリットが無くなる。このため、相重なる基準層と中層の二層の立体スキャンの結果を比較し、その差異が所定の許容値の範囲内かを判定する。そして、許容値の範囲外であれば所定の誤差対応処理を実行することにして演算の負荷の低減を図っている。
ところで、造形に加えて着色を同時に行う構成とすることができる。この場合、上記スキャナー部は、上記スキャン対象に対して側面から立体スキャンするのに加えて、同スキャン対象の画像を上方から写すことが可能としてあり、上記造形部は、立体物の形状の造形に加えて着色が可能とする。そして、上記制御部は、上方から写した画像データに基づいてスキャン対象における水平面に現れる模様を上記造形部にて着色するように制御する。
また、当該層と上層のスキャン結果に基づいて天井壁の要否を判断し、必要であれば天井壁を形成する造形データを作成するようにしてもよい。
この他、各種の造形にあたり、造形物の高さは予測上のものと一致するとは限らず、周囲の環境の影響を受けることがある。一つの立体物全体を表す造形データに基づいて造形した場合、下層において予期したとおりの高さの造形物が得られないと全体の高さは縮んでしまう。むろん、高さが足りないということは全体的な形状が根本的にずれてくることになる。しかし、上記制御部は、上記造形部にて造形した高さの情報を上記スキャナー部による立体スキャンの高さ情報としてフィードバックして立体スキャンを行わせることで、造形している層毎に確実にスキャン対象の寸法と一致することになるので、正確な3次元複写を実現できる。
なお、これらは、3次元複写方法・3次元プログラムとしても実現可能である。
また、層毎の処理を前提として、簡易な構成で正確な造形を実現することができるようになる。
1.複合機の構成
図1は、本実施形態にかかる3次元複合機10の外観例を斜視図により示している。3次元複合機10は、装置全体を覆う筺体11の前面側に扉12a,12bを有している。また、筺体11の内部には、処理用空間としてのチャンバー13a,13bが形成されている。すなわち、図面上の左方側がスキャン対象(測定対象物)の立体スキャンを行う測定側のチャンバー13aとその扉12aが備えられ、右方側が造形物を形成する造形側でのチャンバー13bとその扉12bが備えられている。ユーザは、扉12a,12bを開けることで、チャンバー13a,13b内にアクセス可能であり、測定側のチャンバー13a内に測定対象物Mとしての立体物を載置したり、載置した測定対象物Mを取り出したりする。また、チャンバー13b内で造形された立体物(造形物R)を扉12bを開けて取り出したりすることができる。3次元複合機10は、筺体11表面の所定位置に、ユーザに対する表示部としての表示装置11a(液晶パネル等)や、ユーザからの操作を受け付ける操作受付部11bとしてのスイッチやボタンやタッチパネル等を適宜備える。
測定部20は、例えば、照射光を発する光源21、光源21から照射された照射光の測定対象物Mからの反射光を読み取るイメージセンサー22、イメージセンサー22による読み取り結果に基づいて所定のフォーマットの3次元モデルデータを生成するファイル生成部23などを備える。また、本測定部20は測定対象物Mを上方から下方に対面して撮影するためのイメージセンサー24も備えている。従って、このイメージセンサー24は測定対象物Mを上方から見下ろすように撮影した撮影データを生成する。
次に、上記構成からなる本実施形態の動作を説明する。
図4は、本発明の3次元複合機10における層ごとに測定と造形を繰り返して造形を実現するための処理(3次元複合機の処理:1)の流れをフローチャートにより示している。なお、後述するように一部は簡略化して全体の流れを把握しやすくしている。
ステップS100では、それぞれの造形法に応じた造形準備が行われる。演算処理のための初期値の設定に加え、材料の準備に伴うセンサーの結果の待機なども含まれる。粉末結合法であれば、最初の粉末層を用意することを含めることが可能である。また、底を開口とするか閉じるかをユーザーから選択することも可能である。
ステップS108では、測定部(スキャナー部)20のスキャナーを最下層へ移動させる。本実施例ではスキャナーを構成するのがイメージセンサー22である。イメージセンサー22は光源21と伴って測定対象物Mの側面で最下層から最上層へ至るまで、一層ごとに高さを変えながら、層ごとの立体スキャンを行う。なお、このとき、形状のみの測定ではなく、測定対象物Mの外表面の模様も得ておく。そして、これらを実現するイメージセンサー22などを最下層に移動させる。最下層の位置では、ステップS110にて、測定部(スキャナー部)20により3次元測定であるスキャン対象の現在の層での立体スキャンをする。以下、各層ごとの立体スキャンと造形を繰り返し行なうに先立ち、ステップS112では、スキャナーが最上層にあるか否かを判断する。これは立体スキャンの結果を利用しており、現在の層に測定対象がない場合には層ごとの処理を終えるというものである。ステップS118にて徐々に上層へと移動させられており、測定対象物の高さを超えたところまで移動させられた時点で最上層にあると判断されることになる。
そして、ステップS134では、今回の造形の層(基準層)と上層の層(中層)の立体スキャンのスキャン結果から天井壁部に該当する部分があるかないか確認する。すなわち、今回の造形の層と上層の層の立体スキャンのスキャン結果に基づいて今回の造形の層が上層の層よりも所定の閾値以上に大きいと判断された場合に、今回の造形の層におけるスキャン結果が大きく異なる部分には天井壁部の存在を確認できるといえる。また、今回の造形の層(基準層)が最上層であり上層の層(中層)が存在しない場合には、今回の造形の層(基準層)全体が天井壁部であると言える。逆に、今回の造形の層と上層の層の立体スキャンのスキャン結果に基づいて今回の造形の層が上層の層よりも所定の閾値以上に小さいと判断された場合に、上層の層におけるスキャン結果が大きく異なる部分には天井壁部の存在を確認できるといえる。そして、ステップS136では、天井壁部がある場合は、側壁に加えて少なくとも天井壁部がある部分に天井壁部を形成する造形データを作成する。
さらに、ステップS138では、ステップS112の場合と同様に、最上層か否かを判断する。ここでは、今回の造形の層よりも一つ上の上層(中層)に測定対象がなければ最上層と判定する。そして、最上層であればステップS120へ進むことになる。なお、この際上層階中の判断はS130の後であっても構わない。その場合は現在の層のデータに基づいて判定する。
図6はこの場合にS114で行う処理をフローチャートにより示している。
ステップS140では、今回の造形の層(基準層)と上層の層(中層)の立体スキャンの差異が所定の許容値の範囲内かを判定する。壁面だけに注目し、水平面(天井壁部)が存在しないとすれば、各層ごとに徐々に変化することはあっても突然急に変化するということはないはずである。もし、許容値の範囲外であるときには、ステップS142以下で<所定の誤差対応処理>を実施する。具体的には、ステップS144では、もう一層上の最上層の立体スキャンを実施する。この状態で、三層(基準層、中層、最上層)の立体スキャン結果が得られている。基準層に対して中層が大きくずれたことが正しいのか否かを判断するとき、さらにその上の最上層を見てみる。この立体スキャン結果が基準層に近づいたなら、中層のデータが誤っていただけの可能性が高い。しかし、そうでなく最上層と中層とが近い場合には中層の立体スキャン結果は正しい可能性が高い。このような判定方針の下で、ステップS146では、差異の大きい部分が基準層と最上層とで所定の許容値の範囲内にあるか否かを判断する。この差異が所定の許容値の範囲内であるというのであれば、中層の立体スキャン結果は誤りということである。このため、上記判断に基づいて、ステップS148(範囲内)では、中層の立体スキャンの結果を誤りとみなした処理を実行する。その一例として、ステップS148Aであれば、再度中層の立体スキャンを実行させる処理を行うし、ステップS148Bであれば、もう一層上の最上層の立体スキャンの結果(上述したように実施済み)を利用し、差異の大きい部分では基準層と最上層との補間演算によって中層の立体スキャン結果を修正する。むろん、ステップS148AとステップS148Bの処理はいずれか一方だけでよい。ここで、ステップS148Aでは、再度のスキャン結果が、差異が所定の許容値の範囲内になるものであればその再度のスキャン結果を基準層のスキャン結果とし、所定回数(1回以上の任意の回数)立体スキャンを繰り返しても、差異が所定の許容値の範囲内にならなければ、天井壁部が存在していて中層の立体スキャン結果は正しい可能性が高い。よって、最後にスキャンした結果を基準層のスキャン結果とする。
造形だけであれば天井壁部などは上下の層の立体スキャン結果だけに基づいて生成できるが、模様の再現を行うためには、何らかの画像データが必要である。立体スキャン結果には側面からの測定だけの場合も多いので、これだけでは不足が生じる。
同図に示すように、ステップS160では、測定対象物Mを上方から撮影する。なお、この処理は先に示したステップS106の処理である。これにより、測定部(スキャナー部)20は、スキャン対象に対して側面から立体スキャンするのに加えて、同スキャン対象の画像を上方から写すことができたことになる。ステップS162では、制御部40は、上方から写した画像データに基づいてスキャン対象における水平面に現れる模様を造形部30にて着色させる。
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
Claims (6)
- スキャン対象を立体スキャンするスキャナー部と、
積層によって立体物を造形する造形部と、
立体スキャン結果から造形データを作成する制御部と
を備え、
上記制御部は、上記立体スキャンと上記造形データの作成と上記造形と、をi層目(iは1以上の整数)のスキャンとi+1層目のスキャンとを行った後に上記i層目と上記i+1層目のスキャン結果に基づいてi層目の造形を開始し、i層目の造形の開始とi+1層目の造形の開始との間に上記立体スキャンと上記造形データの作成とを行うように制御することを特徴とする3次元複合機。 - 上記制御部は、m層目(mは1以上の整数)とm+1層目の二層の立体スキャンの差異が所定の許容値の範囲内かを判定し、許容値の範囲外であれば所定の誤差対応処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の3次元複合機。
- 上記制御部は、上記誤差対応処理として、m+2層目の立体スキャンを実施し、m層目とm+2層目との間の差異が所定の許容値の範囲内にある場合に、m+1層目の立体スキャンの結果を誤りとみなした処理を実行し、上記差異がm層目とm+2層目とで所定の許容値の範囲を超える場合に、m+1層目の立体スキャンの結果を正常と見なした処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の3次元複合機。
- 上記制御部は、上記誤差対応処理として、再度m+1層目の立体スキャンを実行させることを特徴とする請求項2に記載の3次元複合機。
- 上記制御部は、上記誤差対応処理として、下からm+2層目の立体スキャンを実施し、差異の大きい部分ではm層目とm+2層目との補間演算によってm+1層目の立体スキャン結果を修正することを特徴とする請求項2に記載の3次元複合機。
- 上記制御部は、n層目とn+1層目のスキャン結果に基づいて天井壁の要否を判断し、必要であれば天井壁を形成するn層目の造形データを作成することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の3次元複合機。
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