JP6162451B2 - 超音波センサ - Google Patents
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Description
物があるかどうかの判定(障害物センサ)にも使用可能である。このような超音波センサでは、低いエネルギーで高い音圧の音波を出す、高感度な受信、ノイズ環境の耐性の高い検出手段、小型化、が要求される。
信号の受信では受発信の時間差の異なる複数の受信信号が得られたり、測定対象物が測定範囲内から移動してしまう等の理由により放射信号の数より受信信号の数が少なくなって、測定に誤差が生じたり、ノイズとして処理されて対象物を検知しない等の問題があった。
を少なくとも有しており、前記振動板および前記枠体の一体的な振動が複数の共振周波数を有しており、前記複数の共振周波数が存在する周波数領域内に前記圧電素子の共振周波数が位置しており、前記圧電素子、前記振動板および前記枠体の一体的な振動が有する複数の共振周波数の超音波を同時に使用してセンシングすることを特徴とするものである。
図1は、本発明の実施の形態の第1の例の超音波センサを模式的に示す断面図である。
電素子10が振動板20の枠体30によって覆われる側の中央近辺に接合されて一体になって振動するもので、枠体30の底部を樹脂で封止して基部40を形成してある。枠体30や振動板20の材質は、その取り扱いやすさやコスト等を考慮して、典型的な材料としてはアルミニウム等の、加工性の容易な材料が望ましい。枠体30及び振動板20は、振動板20の厚みや枠体30の支持壁の厚みを独立に設計できる場合において、一体で成形されることも可能である。また振動板20は平板である必要は特に無く、図2に本発明の別の実施形態として示すよ
うに、すり鉢状であってもよい。基部40は樹脂でなく、金属材料や枠体30と同じ材質で作られていてもよい。これら模式図には明示しないが、枠体30の内部には送信時の振動残響等の受信信号検知に与える影響を小さくする目的で、枠体30内の音波を吸収するスポンジ等が配置する等の工夫もするものである。圧電素子10の伸縮振動の共振周波数は振動板20の1次と3次の撓み振動の共振周波数の間にあると効果的であるが、棒状の圧電素子10の共振周波数の調整は圧電素子10の長さを調整することによって容易に行うことができる。図1、図2では圧電素子10の上端は振動板20に固定され、下端も基部40等に固定されていている場合を示しているが、このようにすると圧電素子10の伸縮変形をそのまま振動板20に伝えることができる。図3に示すような圧電素子10の下端を固定しない場合でも、自由端を
もった圧電素子10の伸縮振動の反作用として振動板20及び枠体30と一体になって振動を励起することができる。圧電素子10の振動として1次の共振振動を用いる場合には、下端部
を固定しない場合は固定する場合に比べて圧電素子10を略2倍の長さにすることで同等の共振周波数を実現できる。また、図1、図2には明示していないが基部40と振動部の接合部に調整部材を設けることで圧電素子10の周波数調整や温度特性の調整を可能とする構造も考えられる。
に相当する共振周波数を持つ共振モードを利用することが更に望ましい。基本的には振動板20の振動形態が1次、3次、5次等の振動モードに相当するものまで含めた複数の共振周波数のモードを用いることは可能であるが、より望ましくは枠体30と一体になって振動する振動板20の振動モードが1次振動モードに相当する振動の節のない振動モードを用いるのがよい。図6、7に示すように、振動板20が枠体30及び圧電素子10と一体になって振動する場合に、振動板20においては1次振動モードに相当した複数の共振周波数の共振モードを得る設計が可能となる。一方で、図5に1次モードと3次モードで放射された超音波の音圧分布を、放射方向を含む平面上に示す。3次モードでは同一周波数における超音波同士の干渉がおこり、障害物等を検知しない領域が出る可能性があるが、1次モードではそのような干渉領域は発生しない。このことが1次モードを用いるのがより望ましいとする理由であるが、1次モードの音圧分布と3次モードの音圧分布の違いが障害物による反射音圧の違いをもたらし、障害物等の大きさや配置の検出を可能にするセンシング機能設計の更なる発展形を考慮すれば、3次以上のモードの使用を排除するものではない。
設計を可能にするため、小型で作製容易であると同時に、積層した圧電層による圧電変形が高い変位力を生み、空気に限らず水などの媒体を振動させるために必要とする負荷に耐えられる圧電素子10を可能とする。また、電極が多層に積層されていることにより、受信時の圧電素子10の振動によって発生する電荷を大きくすることができ、受信信号としての電流を大きくして受信感度を高めることができる特徴がある。圧電素子10に要求される共振周波数は振動板20と枠体30が一体になって振動する複数の共振周波数との関係で決まるが、これは特定の圧電材料や内部電極材料のもとでは主に圧電素子10の長さによってきまる。他の積層数、棒状の長手方向から見た積層方向、極性の異なる電極の重なる面積等は、音響媒体や超音波の設計到達距離に応じた必要パワー、受信感度に関わる回路設計に従って変更するものである。従って、図1、図2、図3の圧電素子10における積層圧電体の積
層方向は長手方向であっても、これに垂直であってもかまわない。
はAgやCuを主体とした金属を含有するものが望ましい。図1、図2、図3には明示されてい
ないが、積層圧電体の端子電極及び外部への取出し電極は金属で構成される可能性のある枠体30や振動板20との絶縁性を保って樹脂製の基部40から引き出されることが望ましい。
空な柱状の枠体30と、を少なくとも有しており、振動板20および枠体30の一体的な振動が複数の共振周波数を有しており、複数の共振周波数が存在する周波数領域内に圧電素子10の共振周波数が位置しており、圧電素子10、振動体および枠体30の一体的な振動が有する複数の共振周波数の超音波を同時に使用してセンシングする。これにより、一度の超音波信号の放射で対象物の存在検知や距離測定を高い精度で行うことができる超音波センサを得ることができる。
図2は、本発明の実施の形態の第2の例の超音波センサ超音波センサを模式的に示す断面図である。なお、本例においては、上述した実施の形態の第1の例と異なる部分について説明し、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図3は、本発明の実施の形態の第3の例の超音波センサ超音波センサを模式的に示す断面図である。なお、本例においては、上述した実施の形態の第1の例と異なる部分について説明し、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
り、枠体30が円筒状であり、圧電素子10が円柱状である場合)の本発明の超音波センサの数値計算のモデルと結果を示す。図4では、振動板20を含む枠体30、及び圧電素子10それぞれの振動モードと共振周波数、並びにそれらが合成された超音波センサ全体の振動モードと共振周波数を示す。また圧電素子10に電圧を印加して振動させた場合の、センサから15cm離れた位置での音圧の周波数依存性を示す。音圧の出力位置および音圧分布は図5に
示す。モデルは軸対称であり、振動板は円板である。圧電素子10の材質はPZT、長さは9.0mm、断面積(長手方向に垂直な断面の面積)は4mm2である。また枠体30と振動板20の材質はアルミニウムであり、枠体30は直径15.6mm、厚さは0.3mmであり、振動板20の厚さは0.6mmである。基部40の樹脂の厚みは1.4mmであり、下面は完全に固定してある。
の結果を示す。1次の伸縮の共振周波数は53.5kHzであった。図4右上には振動板20、枠体30と基部40の樹脂のみでの固有振動解析の結果を示す。振動板20の1次、3次の撓み振動の
共振周波数はそれぞれ17.9、68.4kHzであった。圧電素子10単独の1次の伸縮振動の共振周波数は、振動板20の1次、3次の撓み振動の共振周波数の間にある。なお、17.9kHzは可聴
域であり、所定の周波数範囲から外れているが圧電素子10と組み合わせることで後述のよ
うに有効な周波数領域に移動するため、特に問題はない。振動板20の外周は枠体30の側壁に固定されているが、その側壁も振動板20の振動に伴って一体的に振動している。図4中
央にセンサ(枠体30、圧電素子10、基部40)の固有振動解析の結果を示す。圧電素子10の伸縮の1次振動と、振動板20の撓みの1次、3次振動が合成されて39.5、61.6kHzの複数の共振モードが発現した。合成された複数の共振モードの共振周波数は、振動板20の共振周波数の間に設定できている。
に放射エネルギーが集中していることを示す。振動板20の3次の撓み振動を利用した61.6kHzのモードでは、3次共振の周辺部の反転位相に起因した音波による干渉が起こり、振動
板20に垂直な方向の放射の幅が狭くなっていることがわかる。このような干渉は、高次の振動モードになるほど多くなって振動板20に垂直な方向への放射の幅が狭くなるため、なるべく3次共振程度の低次のモードまでの利用で抑えておくのが望ましい。
るが、圧電素子10の振動モードと合成させることでセンサ全体の共振周波数は所定の範囲内に収まるようにしたものであって、圧電素子10の共振周波数を振動板20の1次の撓み振
動と3次の撓み振動の共振周波数の間に配置させて、振動板20と枠体30と圧電素子10が一
体となって合成された複数の共振周波数が所定の周波数範囲内に収まるように形成した超音波センサである。
、圧電素子10の共振に対する駆動能力には特段の差はなく、圧電素子10の共振周波数を設定する上での長さの調整に支障がなければ、基部40との接合等の製造上の手間が省ける、周波数調整の容易性等のメリットが考えられ、圧電素子10底面と基部40を固定しない設計を排除するものではない。
素子10の周波数を調整する必要性等から、圧電素子10の伸縮振動は1次に限らず3次以上の高次振動モードを利用してもかまわないが、高次になれば共振周波数における振動振幅は小さくなるため、できるだけ1次等の低次の共振モードを用いるのが望ましい。
板20の主面の形状を円ではなく正方形とした場合の超音波センサの振動モードと共振周波数を示す。モデルは3次元である。x、y方向に半分ずつの1/4対称性をもった3次元モデル
を数値計算に用いた。図6に振動板20が正方形である場合の固有振動解析の結果を示す。
材質や枠体30・樹脂の厚みは図4における軸対称モデル計算と同じものを用いており、振
動板20のxy面内の寸法はフルモデルで15.6×15.6mm、圧電素子10のサイズは2.0×2.0×9.0mmである。44.0kHzの振動モードではx方向とy方向の撓み振動の次数が異なっているものが得られた。
長さが異なる長方形状である場合)の超音波センサの振動モードと共振周波数を固有振動解析で求めた結果である。モデルは3次元である。振動板20のxy面内の寸法は、フルモデ
ルで19.5×15.6mmである。振動板20を円形から正方形、更に長方形にして非対称性を大きくすると、振動板20の共振モードが増え、振動板20と枠体30の一体的な振動により所定の周波数範囲内に共振周波数を多数持たせることができる。また、枠体30との一体振動により3次の撓み振動の周波数領域においても、振動板20の一方向に1次の撓み振動を発生させることが可能になり、方位によって異なる放射幅の超音波ビームを放射でき、対象物形状の認識に用いることができる。なお、この非対称性は例えば枠体30の側面の厚さを部分的に変化させる等、振動板20以外の構造に持たせてもよく、同様の効果が得られる。
20:振動板
30:枠体
40:基部
Claims (3)
- 電気信号と第1の方向の伸縮振動とを変換する、前記第1の方向に沿って圧電層と内部電極層とが積層された圧電素子と、
該圧電素子の前記第1の方向における一方端に中央部が接合された振動板と、
前記第1の方向における一方端が前記振動板の周縁に接合された中空な柱状の枠体と、
該枠体の前記第1の方向における他方端に設けられ、前記圧電素子の前記第1の方向における他方端に中央部が固定された基部と、
を少なくとも有しており、
前記振動板および前記枠体の一体的な振動が複数の共振周波数を有しており、
前記複数の共振周波数が存在する周波数領域内に前記圧電素子の共振周波数が位置しており、
前記圧電素子、前記振動板および前記枠体の一体的な振動が有する複数の共振周波数の超音波を同時に使用してセンシングすることを特徴とする超音波センサ。 - センシングに使用する複数の周波数の超音波の少なくとも1つは、前記圧電素子の共振モードが、前記振動板および前記枠体の一体的な共振モードのうちの、前記振動板の部分の振動が1次の撓み振動となっている共振モードと結合されて生じる共振モードの振動によって生じる超音波であることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
- 前記第1の方向から俯瞰したときの前記振動板の形状が、縦横の長さが異なる長方形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波センサ。
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