JP6161162B2 - 発泡樹脂成形金型 - Google Patents

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本発明は発泡樹脂成形金型に係り、更に詳しくは、品質が均一で強度に優れた発泡成形体を提供するとともに、成形サイクルを短縮して製造効率を向上させ、エネルギーの利用効率を高めることができる発泡樹脂成形金型に関する。
発泡樹脂成形体を製造する方法としては、金型内の成形室内に、ブタンやペンタンなどの低沸点炭化水素を含浸させ所定の発泡倍率で発泡させてなる熱可塑性樹脂のビーズ(以下、単に樹脂ビーズと称する)を充填し、蒸気により樹脂を軟化させると共に低沸点炭化水素を熱膨張させ、樹脂ビーズ同士を融着させた後、冷却し、離型させる、所謂ビーズ法が広く用いられている。
ビーズ法により発泡樹脂成形体を製造する際に用いられる蒸気、冷却水、圧縮空気、真空冷却、吸引排気操作(以下、これらを総称して「用役」と称することがある)を導入・排出するために、金型の一部にドリルで孔を開け、その孔にコアベントと呼ばれる多孔性でキャップ状の金属片を嵌め込み、このコアベントを通して用役を供給、排出する方法が一般に採用されている。なお、コアベントには、用役は通過できるが樹脂ビーズが通過できない大きさの小孔やスリットが穿設されており、この小孔やスリットから用役を供給、排出するように構成されている。これらのコアベントの特徴は、多様な凹凸や狭小部や扁平肉厚や貫通孔等を有する複雑な形状からなる型物成形金型の各部位毎に、最適径(6〜12mmφ)のコアベントを最密状に配設できる不可欠の部材であって、代替品はなく、ほぼ100%の金型に採用されている。
しかしながら、このようなコアベントを用いた金型では一般には開口が小さいため、例えば成形室内に樹脂ビーズを充填するする際に圧縮空気の排出や真空排気が十分でなく、そのため樹脂ビーズの充填が不均一となったり、また、成形室内に充填された樹脂ビーズを蒸気で加熱する際には、蒸気が金型内に均一に導入されにくく、加熱ムラや溶着ムラによる、成形体の品質のばらつきが生じ易く、また加熱や冷却に長時間を要するため成形サイクルが長くなり製造効率の低下を招く。
即ち、樹脂ビーズは充填ノズル内を圧縮空気により搬送されて成形室内に充填され、その後、圧縮空気のみが成形室外に排出されるが、圧縮空気は蒸気の3000倍ほどコアベントの開口や充填ビーズが充填された成形空間を通過しにくいので、コアベントの小孔やスリットからだけでは金型内に導入された圧縮空気を十分に排出することができず、樹脂ビーズを十分且つ均一に充填できない。
そのため、金型を囲む外フレームの蒸気室の空気を真空ポンプで引くことにより、金型内の圧縮空気を急速に排出することも行われているが、開口の小さなコアベントは排気抵抗が大きく、わずかな充填時間内(3〜5sec/ショット)に大量の圧縮空気を排出することができず、樹脂ビーズの充填不良の問題は十分に解決されていない。
そこで、従来は樹脂ビーズの充填の際において、金型を構成するコア型とキャビティ型の間を一時的に、樹脂ビーズが排出されない程度の隙間を設け圧縮空気だけを排出する、いわゆるクラッキング成形が使用されている。しかしながら、成形中に金型を開いたり閉じたりする操作が煩雑なだけでなく、広いクラッキング幅にすれば金型を開いた隙間分だけ樹脂ビーズが過充填するため材料のロスも大きくなる。また、樹脂ビーズの充填が不均一となったり、成形体の強度の不均一や寸法誤差を生じさせる原因にもなる。一方、狭いクラッキング幅にした場合は空気の排出が十分でないため、特に薄肉部、壁や間仕切り等立ち上がり部の頂部等において樹脂ビーズの充填が不足し、不均一な充填密度により成形体強度の不均一や低下の原因になっている。
冷却工程に至っては、コアベントの小孔やスリットから金型内に導入できる冷却水の量や真空冷却効果はごく微量であるので、金型の外面側に冷却水をかけることにより内部の成形体を二次的に冷却することが行われている。
しかしながら、金型の外面側に大量の冷却水をかけるだけでは、内部の成形体が冷却するまでに長時間が必要で、成形サイクルが長くなり製造効率が更に悪化する。また、冷却時間を長くすると、金型を囲む外フレームまで冷却してしまう。従って、連続して発泡樹脂成形体を製造する場合には、成形ごとに外フレームから加熱しなおす必要が生じる。この結果、加熱しなおすための時間とエネルギーが必要になり、成形サイクルが長くなり製造効率が低下するだけでなく、エネルギーの利用効率も悪化する。
かかる課題を解決するためコアベントの配設数を増加する方法もあるが、現在、すでに、金型の成形耐圧強度の限界とされる一辺25mmの格子状に配設されている型物成形金型においては、開口率の高い新たな用役供給孔の開発と、ノン・クラッキング成形へのニーズはさらに高まっている。
また、樹脂ビーズの均一充填を実現させるため、現行の充填空気圧よりさらに高圧の加圧充填法が提案されているが、その高圧空気の排出不足は解消されず、クラッキング成形技術と併用させているのが実情である。
かかる現状において、近年、スリット溝が多数設けられ開口率を大きくした金型が提案されている(例えば特許文献1、図1、図3参照)。特許文献1は、単純な4面体金型からなるブロック成形金型の技術であって、本技術そのものは、上記した課題解決策とはなりえないが、用役の導入、排出については、ある程度の改善が期待されるものである。
また、蒸気穴に連通する細溝状の蒸気スリットを設け、蒸気穴痕による外観価値の低下を回避し、高級感のある表面を有する発泡樹脂成形体を成形するための発泡樹脂成形型が提案されている(例えば特許文献2、図2(a)、(b)参照)。
特開2002−264163号公報 特開2004−230590号公報
ところで、特許文献1に記載されたスリット溝は、図11に示すように、スリット溝10が断続的に遮断する仕切壁11により仕切られている。即ち、スリット溝10は両側の仕切壁11により仕切られた非連通のスリット溝からなるため、例えば、スリット溝10から成形室12内に導入された蒸気は、実線で矢示するように、スリット溝10近傍の樹脂ビーズ14aは加熱するが、仕切壁11近傍の樹脂ビーズ14bは加熱しない。即ち、蒸気が樹脂ビーズ14に届かないデッド・エリアが形成される。この結果、樹脂ビーズ14には加熱される樹脂ビーズ14aと加熱されない樹脂ビーズ14bが混在したり、加熱の程度が異なる樹脂ビーズが混在することになり、成形体の密度や強度が不均一となり易い。また、この不均一な問題を解消せんとして、長時間蒸気を導入すると、成形サイクルが長くなり製造効率が低下するばかりでなく、エネルギーも過大に消費することになり、エネルギー利用効率も低下することになる。
他方、例えば、樹脂ビーズ14の成形室12内への充填は、一般に樹脂ビーズ14を圧縮空気に搬送されて充填する方法が採用される。この場合の圧縮空気の流れは、実線で矢示した方向とは逆で、破線で矢示するように、成形室12側から蒸気室13側に向かうことになるが、スリット溝10内は阻害物がないのでスムーズに通過し蒸気室13側に排出されるものの、仕切壁11の部分では圧縮空気はこの仕切壁11によって阻害される。従って、スリット溝10近傍の樹脂ビーズ14aは密に充填されるが、仕切壁11近傍の樹脂ビーズ14bは密に充填されないことになり、この結果、樹脂ビーズ14の充填が不均一となり、得られる成形体の密度や強度が不均一となり易い。
また、特許文献2に記載された金型は、同文献2の図2(b)に記載されているように、大きな蒸気穴に細溝状の蒸気スリットを連通させてなるため、蒸気穴からの蒸気は細溝状の蒸気スリットで阻まれ、樹脂ビーズを十分且つ均一に加熱することが困難である。
また、樹脂ビーズを圧縮空気に搬送させて成型室内に充填する際には、圧縮空気は細溝状の蒸気スリットに阻まれ、成形室外に十分排出できず、樹脂ビーズを十分かつ均一に充填することが困難である。
本発明は、このような現状に鑑み、用役の導入や排出を効率よく大量に行うことができる、成形室側が連通した特定構造のスリットを採用したことにより、樹脂ビーズの充填の際の圧縮空気や加熱時の蒸気等の用役の導入及び排出をスムーズ且つ均一にして強度の均一な成形体を得ると共に、成形サイクルを短縮して製造効率を向上させることができ、更に、エネルギーの利用効率を高めることができる発泡樹脂成形金型を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の特徴は、発泡樹脂成形体を製造するためのコア型及びキャビティ型からなる金型であり、コア型とキャビティ型との間に形成される成形室側及び蒸気室側に開口するスリットが穿設され、少なくとも成形室側に開口するスリットの幅は成形室に充填される樹脂ビーズの直径よりも狭く、スリットの両側壁は連結部で部分的に連結されているとともに、スリット内部であって連結部の少なくとも成形室側には用役収集・拡散通路が設けられ、連結部の存在する部分と連結部の存在しない部分とが連通したスリットを形成し、スリットの幅Wは0.2〜1.5mm、連結部の長さL1は3〜100mm、隣接する連結部間の距離L2は3〜200mm、隣接するスリット間の距離L4は2〜50mmである発泡樹脂成形金型である。
本発明の別の特徴は、連結部は、スリットの内部に設けられ、用役収集・拡散通路がスリットの成形室側と蒸気室側の両方に設けられている上記の発泡樹脂成形金型である。
本発明の更に別の特徴は、連結部は、スリットの内部から蒸気室側に突出して設けられている上記の発泡樹脂成形金型である
本発明の発泡樹脂成形金型によれば、特定構造のスリットを採用したことにより、用役の導入や排出を効率的に且つ大量に行うことができる。かくして、樹脂ビーズの充填や、加熱、冷却が均一で行われ、その結果、強度が均一な成形体を効率良く且つ精度良く成形することができる。
即ち、スリット内部の連結部の少なくとも成形室側には用役を収集又は拡散させる用役収集・拡散通路が設けられているので、連結部は用役の導入や排出を妨げることがない。従って、本発明のスリットは、成型室側においては、連結部の存在する部分も連結部の存在しない部分と連通したスリットを形成し、この連通スリット全体から万遍なく用役の導入又は排出が行われるため、従来の非連通スリットのように用役の導入・排出が行われないデッド・エリアが存在せず、樹脂ビーズの充填、加熱や冷却の均一性が確保されるのである。
また、スリットの両側壁が連結部で連結され、連結部の少なくとも成形室側に用役収集・拡散通路が設けられているので、金型を軽量化することができる。
図1は本発明の金型を示す概略断面図である。 図2は図1の金型における成形室を明示した概略斜視図である。 図3は図1の金型におけるコア型を示す概略断面図である。 図4は図1の金型におけるキャビティ型を示す概略断面図である。 図5は、本発明の金型における要部拡大図である。 図6(a)は、図5のA−A断面図であり、(b)はB−B断面図であり、(c)はC−C断面図である。 図7(a)(b)(c)は、連結部の形状及び配置を変更した例を示す概略断面図である。 図8は連結部に通孔を設けた状態を示す概略図であり、(a)は成形室側から見た正面図、(b)は(a)におけるD−D断面図である。 図9(a)(b)は横向きのスリットの形状を示す概略断面図で、(b)は(a)のE−E断面図である。 図10(a)は、用役を導入する場合の用役の流れを示す概略説明図であり、(b)は用役を排出する場合の用役の流れを示す概略説明図である。 図11は従来の金型におけるスリット溝の構造と、用役の導入する場合の流れ及び用役を排出する場合の流れを示す概略断面図である。
本発明の発泡樹脂成形金型(以下、単に金型と記す場合がある)は、図1乃至図4に示されるように、ビーズ法により発泡樹脂成形体を製造するためのコア型1A及びキャビティ型1Bからなる金型1であり、図5及び図6に示すように、成形室7側及び蒸気室側8に開口するスリット2が穿設され、スリット2の幅Wは少なくとも成形室7側では成形室7に充填される樹脂ビーズの直径よりも狭く、スリット2の両側壁は連結部3で部分的に連結されているとともに、スリット2内部であって連結部3の少なくとも成形室7側には用役収集・拡散通路5が設けられていることを特徴とする。
本発明は、例えば図3に示されるようなコア型1Aと、例えば図4に示されるようなキャビティ型1Bからなる金型1であって、これらコア型1Aとキャビティ型1Bを図1に示されるように組み合わせることによりコア型1Aとキャビティ型1Bとの間に成形室7が形成されるように構成されている。図2は、形成された成形室7を網掛けで示す。
金型1には、キャビティ型1Bに、成形室7内に大量の圧縮空気とともに樹脂ビーズを導入するための原料充填器用穴15が設けられる。原料充填器用穴15には原料充填器の吐出口が接続され、この吐出口から成形室7内に樹脂ビーズが充填される。
本発明の金型1には、用役を導入又は排出するためのスリット2が穿設されている。図5及び図6はスリット2の拡大図である。
このスリット2の幅Wは、スリット2から圧縮空気を排出する際に、樹脂ビーズが成形室7内から圧縮空気と共に排出されないようにするため、少なくとも成形室7側に開口するスリット2の幅Wを成形室7内に充填される樹脂ビーズの直径よりも狭くする必要がある。具体的に言えば、予備発泡させた樹脂ビーズの直径は通常2〜6mm程度なので、このような樹脂ビーズを使用する場合は、スリット2の幅Wを1.5mm程度より狭くするのが好ましい。また、下限については特に制限されないが、用役を金型内に導入したり、金型内から排出できるようにするため0.2mm以上であることが好ましく、よりスムーズに用役を導入又は排出するため、0.5mm以上がより好ましく、さらには0.8mm以上が更に好ましい。
連結部3は、スリット2の両側の金型を一体的に連結して強度を確保するとともに、少なくとも成形室7側に用役収集・拡散通路5を形成するためのものである。
なお、以下の説明において、スリット2において、隣接する連結部3と連結部3との間のことを開口部4と称する場合がある。
連結部3は、スリット2内部であって連結部3の少なくとも成形室7側に用役収集・拡散通路5を設ける他は特に制限されず、連結部3の形状や配置等については適宜決定することができる。例えば図5、図6は、連結部3を矩形状とし、蒸気室8側表面がスリット2以外の部分と面一に設け、成形室7側に用役収集・拡散通路5が形成された例である。
また、図7(a)は、連結部3の成形室7側の頂部付近の角部を除去した例である。この場合は、後述するように、導入された蒸気はスリット2の延設方向に拡散し易くなり、例えば、斜め方向から導入された蒸気も成形室7内に導入される割合が大きくなり、効率的に導入される点で好ましい。圧縮空気を収集排出する場合も、同様に効率的に行われる。
更に、図7(b)は連結部3をスリット2の内部(図7(b)ではスリット2の深さの略中央)に設け、連結部3の成形室7側と蒸気室8側の両方に用役収集・拡散通路5が形成された例である。この場合は、用役収集・拡散通路5が連結部3の成形室7側と蒸気室8側の両方に形成されているため、図7(b)では、連結部3の四角を削除して、いずれの用役収集・拡散通路5においても収集・拡散が効率的に行われるように配慮されている。このスリット2は、蒸気室8側にも用役収集・拡散経路5が形成されているため、蒸気がスリット2内に導入され易く、また圧縮空気が排出されやすくなる効果がある。
更にまた、図7(c)は、連結部3がスリット2の内部から蒸気室8側に突出して設けた例である。この場合は、蒸気室8側の表面積が増加し、加熱や冷却効率が高められる。また、肉ぬすみにより連結部3を蒸気室8側に突出するように設けた場合は、上記加熱や冷却効率の効果に加え、金型の軽量化を図ることもできる。
連結部3を形成する方法は特に限定されず、例えば、エンドミル等適切な切削工具を用いて刻設する方法が挙げられる。
連結部3の長さ(即ち、用役収集・拡散通路5の長さ)L1は、用役の導入・排出効果及び金型の強度の面から、好ましくは3〜100mm、より好ましくは5〜80mm、更に好ましくは8〜50mmである。但し、連結部3の長さL1が100mmを超えた場合でも、図8に示すように、当該連結部3に通孔3aを穿設することにより、用役の導入、排出効果の低下を防ぐことができる。
隣接する連結部間(即ち、開口部4)の距離L2は、用役の導入・排出効果及び金型の強度の面から、3〜200mmが好ましく、より好ましくは5〜150mm、更に好ましくは8〜100mmである。
尚、上記した連結部の長さL1と隣接する連結部間の距離L2の関係は、用役供給・排出や用役収集・拡散の効果の観点からは、L1≦L2であることが好ましい。
用役収集・拡散通路5は、連結部5の上部、又は上部と下部に形成される空間部で、上記したように、用役の収集又は拡散のための通路を形成するものである。用役収集・拡散通路5の深さD2は、用役の導入・排出効果及び金型の強度の面から、スリット2の深さD1の5〜80%が好ましく、より好ましくは10〜70%、更に好ましくは15〜60%である。尚、スリット2の深さD1は、通常、金型材料の厚さに等しく、一般に6〜20mm程度である。
スリット2の長さは、長いほど好ましく、従って、スリット2の最大長さL3は、成形室を形成するコア型及びキャビティ型の全周長である。例えば、金型1の各面における一の縁部から対向する縁部までである。例えば金型1の側壁の場合は図1乃至図4に記載されているように、上縁部から下縁部まで(縦方向のスリット)でもよいし、また、図示しないが右縁部から左縁部まで(横方向のスリット)でもよい。更に斜めでもよく、それらを組み合わせてもよい。
また、隣接する側壁のスリット2を接続して金型1の成形体の外周の周りを取り囲むように、即ち、成形室7を形成するコア型及びキャビティ型の全周長に設けてもよいし、対向する側壁と底面のスリット2を接続してU字状にしてもよい。
このようにスリット2の長さL3が大きい場合は、単に用役の導入、排出能力が向上するだけでなく、スリット2内にゴミなどが詰まった場合でも、簡単に高圧水洗やナイフ等で清掃が可能で、従来のコアベントの打ち換えや清掃頻度や生産性の低下を改善できる利点がある。
スリット長さL3の最小長さは、上記連結部3の長さL1の最小値と上記隣接する連結部間の距離L2の最小値との合計値である。尚、スリット長さL3が短いスリット2を設ける場合は、複数個連設することが望ましい。
隣接するスリット2間の距離L4は、必要な開口率が得られる程度であれば特に限定されないが、用役を均一に導入、排出し、均一な加熱と金型の強度を確保する面から、好ましくは2〜50mm、より好ましくは2〜30mm、更に好ましくは2〜20mmである。
尚、図5、図6(a)に破線で示したとおり、これらのスリット2間を連結する連結溝2cを設けることにより、該スリット2間の用役の導入・排出能力を補うために用いることも可能である。
本発明において、成形室7内面積に開口するスリットの開口率(%)は、スリット開口面積(開口部4と成形室7側の用役収集・拡散通路5との合計面積)÷成形室内面積×100で表され、用役の導入・排出効果及び金型の強度の面から、3〜40%が好ましく、より好ましくは8〜25%、更に好ましくは10〜15%である。
尚、スリット2の幅Wは、上記したように、少なくとも成形室7側の幅Wが樹脂ビーズの直径より狭ければよく、蒸気室8側までのスリット2の深さ全体に亘って同じ幅である必要はない。例えば、成形室7側から蒸気室8側に広がるテーパー状でもよいし、スリット2の深さの途中から蒸気室8側に広がる形状としてもよい。このようにすることにより、細孔(スリット2)加工時に刃物の欠けが生じにくくなり、また、用役の排出効果も向上する。
また、成形室7側をテーパー状に広がるようにしてもよく、この場合は上記した刃物の欠けを防止する効果に加え、スリット2に起因して成形体に凸条部が形成されるが、この凸条部による離型性低下を防ぐことができる。更に、成形室7側と蒸気室8側の両方をテーパー状に広がる形状とすることもでき、この場合には成形室7側については上記した離型性低下の防止効果と刃物の欠けの防止効果が得られ、また、蒸気室8側については刃物の防止効果と用役排出の向上効果が得られる。
本発明の金型で発泡成樹脂形体を成形すれば、スリット2に起因する凸条部が発泡樹脂成形体の表面に形成される。発泡樹脂成形体は弾力性に富んでいるため、この凸条部を無視して金型から強制的に離型することも可能ではあるが、より離型性を高めるためスリット2は成形体を離型する方向と平行方向に延設するのが好ましい。なお、本発明において、成形体を離型する方向と平行方向に延設されたスリット2を縦方向のスリットと称する。
また、成形体を離型する方向と直角方向にスリット2を延設する場合は、図9に示すように、少なくとも成形体を離型する方向Rの側のスリット2の縁部2bを面取り又はアール処理すれば、成形体を離型し易くなる。なお、本発明において、成形体を離型する方向と直角方向に延設されたスリット2を横方向のスリット2aと称する。
本発明のスリット2は、コア型1A、キャビティ型1Bの全面又は一部に設けることができる。更に、必要に応じ、従来のコアベント等の蒸気導入口と併用することも可能である。
図10(a)(b)は、図7(a)に示した本発明のスリット2を用いた場合の用役の導入、排出の状態を示す。
図10(a)に示したように、例えば、樹脂ビーズ9を蒸気(用役)加熱する際には、連結部3と連結部3の間の開口部4から導入された蒸気(用役)は連結部3の上部に形成された用役収集・拡散通路5で広がり拡散する。即ち、導入された蒸気は、ストレートに成形室7内に導入され樹脂ビーズ9を加熱するばかりでなく、連結部3の上部の用役収集・拡散通路5からも成形室7内に導入拡散され樹脂ビーズ9を加熱するので、連結部3は蒸気の導入の妨げとはならない。即ち、スリット2は、成形室7側では連結部3の存在する部分のスリットと連結部3の存在しない部分のスリットとは切れ目のない連通スリット2を形成し、この連通スリット2の全体から蒸気は万遍なく成形室7内に導入され樹脂ビーズ9を加熱する。従って、スリット2内には蒸気が導入されないデッド・エリアが存在しないため、樹脂ビーズ9は均一に加熱される。
一方、図10(b)に示したように、例えば、圧縮空気(用役)で樹脂ビーズ9を成形室7内に充填する際には、圧縮空気は連通スリット2の全体から収集されて開口部4に流れ込み集中的に排出されるので、樹脂ビーズ9は均一に成形室7内に充填される。
上述のように、本発明の金型は成形室側に開口する特殊な構造の連通スリット2が設けられているため、圧縮空気を用いて樹脂ビーズを金型内に導入する際にも、スリット2から圧縮空気が十分に排出され、クラッキングを行わない場合であっても、樹脂ビーズが金型内に均一に充填される。従って、樹脂ビーズの不均一充填による材料のロスや成形体強度の低下は生じない。
また、本発明は、必要に応じてクラッキングを行うことも可能であり、その場合でも、クラッキング幅は狭くてよいので、樹脂ビーズの充填の不均一や成形体強度の不均一、寸法精度の不均一といった問題は改善される。
本発明の金型で成形した発泡樹脂成形体の表面には、上記したように、スリット2に起因する凸条部が形成される。また、スリット2間を連結する連結溝2cを設けた場合は、連結溝2cに起因する凸状部も形成される。これらのの凸条部は、スリット2から導入されたばかりの高温の蒸気により加熱されているため、表面に厚いスキン層が形成され、発泡樹脂成形体の補強リブとして機能し、発泡樹脂成形体の強度の向上に寄与する。例えば、現在の容器等の予備発泡倍率は、成形体強度から55〜60倍に発泡させた成形体が主流であるが、本発明による発泡樹脂成形体はスキン層の厚い凸条からなるリブによる補強強度と均一充填、均一密度化の相乗効果で、予備発泡倍率60〜65倍に発泡させた成形体であっても、現行の方法で不均一に充填された55〜60倍成形体と同等の強度を有する。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されないことは云うまでもない。
実施例1
まず、一般に3キロ箱と呼ばれる成形体(外寸法:320×484×全高100mm、内寸法:280×444×深さ82mm)を8個取りするための金型を作成した。この金型は、厚さ10mmの鍛造アルミ板から削りだしたパーツを組み立てることにより作成した。
この金型に溝切り機(商品名:VM7 III 型、大阪機工社製)で、コア型及びキャビティ型それぞれの成形室側にスリット2を穿設し、図1〜4に示すような金型を製造した。
スリット2の幅Wは0.8mm(スリット2の成形室7側から蒸気室8側まで同じ)、連結部3の長さL1は10mm、連結部3間(開口部4)の距離L2は30mm、スリット2の長さL3はコア型及びキャビティ型に周設された全周長、スリット2間の距離L4は6mm、用役収集・拡散通路5の深さD2は5mm(スリット2の深さD1(=アルミ板の厚さ)10mmの50%)、開口率は約13%である。
比較例1
上記実施例1と同じ3キロ箱を8個取りするための金型を、コアベントを用いて定法により作成した。
即ち、一辺25mmの格子状に10mm径の孔を穿設し、この孔に幅0.4mmのスリットが7本設けられた10mm径のコアベントを嵌め込み、比較例1の金型とした。この金型の開口率は約3.0%である。
(製造試験)
上記実施例1、比較例1の金型を用い、3キロ箱を製造した(実施例1a、1b、比較例1a、1b、1c)。
実施例1についてはクラッキングを行わない方法(実施例1a)、2mmクラッキングする方法(実施例1b)と2種の方法で製造した。
一方、比較例1については、クラッキングを行わない方法(比較例1a)、3mmクラッキングする方法(比較例1b)、6mmクラッキングする方法(比較例1c)と3種の方法で製造した。
製造方法における各工程の詳細な条件を表1に示す。
なお、3キロ箱の原料としては、発泡倍率58倍の発泡スチロール樹脂ビーズ(商品名:エスレンビーズHDMSF、積水化成品製、平均粒径4mm)を用い、成形機としては、ACE30(株式会社積水工機製作所製、取り数8、フレーム:標準凹200H、凸120H)を用いた。
(発泡倍率)
得られた3キロ箱については、底から20mmのところと底から60mmのところで切断して3つの部分に分解し、それぞれ底板、壁下段、壁上段とした。それぞれの部分について重量を測定し、得られた値から発泡倍率を算出した。
尚、発泡倍率の均一性については、下記の基準により評価した。
○:良好である。
△:不良である。
×:非常に不良である。
得られた結果を表1に示す。
Figure 0006161162
表1の結果より、本発明の金型によれば、樹脂ビーズの充填時間と加熱時間の両方を短縮でき、また、蒸気及び重油の使用量も低減できることが判る。
また、得られた成形体の発泡倍率は全ての部分で概ね均一であり、部分的な充填過多による材料のロスや、部分的な充填過少による強度不足の問題も改善され、概ね均一な強度を有する成形体が得られることがわかる。また、本発明の金型によれば、クラッキングを行う場合でも、狭いクラッキング幅で優れた成形体が得られることがわかる。
以上説明したように、本発明の金型は、品質が均一で強度に優れた成形体を提供できるとともに、成形サイクルを短縮しハイサイクル化と製造効率を向上させ、エネルギーの利用効率を高め省エネルギーに寄与することが可能である。
また、本発明の金型は大型ブロック成形にも使用することが可能で、さらなる大型ブロックの品質の向上とハイサイクル化及び省エネルギーに寄与することが期待される。
1 金型
1A コア型
1B キャビティ型
2 スリット
2a 横方向のスリット
2b 成形体を離型する側の縁部
2c 連結溝
3 連結部
3a 通孔
4 開口部
5 用役収集・拡散通路
7 成形室
8 蒸気室
9 樹脂ビーズ
10 スリット溝
11 仕切壁
12 成形室
13 蒸気室
14、14a、14b 樹脂ビーズ
15 原料充填器用穴
W スリットの幅
L1 連結部(用役収集・拡散通路)の長さ
L2 連結部間の距離
L3 スリットの長さ
L4 スリット間の距離
D1 スリットの深さ
D2 用役収集・拡散通路の深さ

Claims (3)

  1. 発泡樹脂成形体を製造するためのコア型及びキャビティ型からなる金型であり、
    コア型とキャビティ型との間に形成される成形室側及び蒸気室側に開口するスリットが穿設され、
    少なくとも成形室側に開口するスリットの幅は成形室に充填される樹脂ビーズの直径よりも狭く、
    スリットの両側壁は連結部で部分的に連結されているとともに、
    スリット内部であって連結部の少なくとも成形室側には用役収集・拡散通路が設けられ、連結部の存在する部分と連結部の存在しない部分とが連通したスリットを形成し
    スリットの幅Wは0.2〜1.5mm、連結部の長さL1は3〜100mm、隣接する連結部間の距離L2は3〜200mm、隣接するスリット間の距離L4は2〜50mmであることを特徴とする発泡樹脂成形金型。
  2. 連結部は、スリットの内部に設けられ、用役収集・拡散通路がスリットの成形室側と蒸気室側の両方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂成形金型。
  3. 連結部は、スリットの内部から蒸気室側に突出して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂成形金型
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