JP6161074B2 - 抗体組成物、抗体組成物調製用キット、及び免疫染色方法 - Google Patents

抗体組成物、抗体組成物調製用キット、及び免疫染色方法 Download PDF

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Description

本発明は、抗体組成物、抗体組成物調製用キット、及び免疫染色方法に関する。
抗体は、抗原抗体反応における標的(抗原)への特異的結合能を利用して、医薬、診断薬、及び試薬等として多方面で利用されている。特に試薬としての抗体の利用は、ウェスタンブロッティング法、及びELISA法などの定量的解析手法(半定量的解析も含む)から、免疫組織染色のように定性的・半定量的解析手法等まで、多くの実験手法に及んでいる。抗体を有効利用する方策としては、抗体の反応性を向上させること、又は、抗体の非特異的吸着に起因するバックグラウンドノイズを低下させること、等が考えられる。
抗体の非特異的吸着に起因するバックグラウンドノイズを低下させる方法として、例えば、スキムミルク等のブロッキング試薬を用いたブロッキングの手法が汎用されている(非特許文献1)。
また一方で、近年では顕微鏡技術の発展から、組織学的解析においては、対象物の深部を観察することが注目されている。
Lakoma et al. Development 138:5223-5234, 2011.
免疫組織学的解析においては、切片といえども観察の対象物には必ず厚みが存在する。観察の対象物の厚みが増すほどに、抗体の浸潤性が上がることで対象物の深部においても生体染色が可能となり、立体構造の解析に有用となる。
本願発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、組織等の生物材料に対する抗体の浸潤性を向上させる所定の化合物と抗体とを含む抗体組成物、及びその利用等を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の何れかのものを提供する。
(1)尿素及び尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物と抗体とを含む溶液であり、当該化合物は0.1M以上で1M未満の範囲内の濃度で含まれる、抗体組成物。
(2)尿素又は尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含む溶液とキットの使用説明書とを備えた抗体組成物調製用のキットであって、上記使用説明書には、1)上記溶液と抗体とを混合して抗体組成物を調製すること、及び、2)抗体組成物における上記化合物の最終濃度が0.1M以上で1M未満の範囲内となるように上記抗体組成物を調製すること、が記録されている、抗体組成物調製用キット。
(3)上記(1)に記載の抗体組成物であって上記抗体として免疫染色用の抗体を含むものと生物材料とを接触させる工程を含む、免疫染色方法。
本発明により、組織等の生体材料に対する抗体の浸潤性を向上させる所定の化合物と抗体とを含む新規な抗体組成物、及びその利用等を提供することができる。
本発明に係る一実施例の結果を示す図である。 本発明に係る他の実施例の結果を示す図である。 本発明に係るさらに他の実施例の結果を示す図である。 本発明に係るさらに他の実施例の結果を示す図である。 本発明に係るさらに他の実施例の結果を示す図である。 本発明に係るさらに他の実施例の結果を示す図である。 本発明に係るさらに他の実施例の結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔1.抗体組成物〕
本発明にかかる抗体組成物は、尿素及び尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物と抗体とを含む溶液であり、当該化合物は0.1M以上で1M未満の範囲内の濃度で含まれるものである。
(尿素誘導体)
上記尿素誘導体とは、具体的には例えば、各種のウレイン、又は、下記の一般式(1)に示す化合物である。なお、一般式(1)に示す化合物には一部のウレインが含まれる。本発明にかかる抗体組成物は、尿素及び尿素誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含んでいればよいが、これらの中で尿素を含むことがより好ましい。
一般式(1)に示す尿素誘導体において、R1、R2、R3、R4は、互いに独立に水素原子(但し、R1〜R4の全てが水素原子の場合は尿素自体に相当するので除かれる)、ハロゲン原子、又は炭化水素基であり、炭化水素基を構成する炭素原子が複数個ある場合には当該炭素原子の一部が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子により置換されていてもよい。炭化水素基としては、鎖状炭化水素基、及び環状炭化水素基が含まれる。
上記鎖状炭化水素基として、例えば、鎖状アルキル基、鎖状アルケニル基、及び鎖状アルキニル基等が例示される。鎖状炭化水素基を構成する炭素数は特に限定されないが、例えば、6以下の直鎖状又は分岐状のものが挙げられ、好ましくは炭素数が1〜3のアルキル基である。鎖状炭化水素基は、例えば、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。鎖状アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
上記環状炭化水素基として、例えば、シクロアルキル基、及びシクロアルケニル基等が例示される。環状炭化水素基は、例えばハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、等の、炭素数が3以上で、好ましくは6以下のものが挙げられる。シクロアルケニル基の例としては、シクロヘキセニル基等の、炭素数が3以上で、好ましくは6以下のものが挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
また、一般式(1)に示す尿素誘導体のより好ましい具体例は、以下の1)〜2)に示す通りである。
1)R1〜R4より選択される任意の3つの基が水素原子であり、残りの1つの基がハロゲン原子、又は炭素数1〜6以下の鎖状炭化水素基である。より好ましくは残りの1つの基が、炭素数1〜3、又は炭素数が1〜2のアルキル基である。
2)R1〜R4より選択される任意の2つの基が水素原子であり、残りの2つの基が互いに独立にハロゲン原子、又は炭素数1〜6以下の鎖状炭化水素基である。より好ましくは残りの2つの基が何れも、炭素数1〜3、又は炭素数が1〜2のアルキル基である。なお、水素原子となる2つの基の一方はR1、R2の何れかから選ばれ、他方はR3、R4の何れかから選ばれることがより好ましい。
(抗体組成物における化合物の濃度)
尿素及び尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物は、上記抗体組成物において0.1M以上で1M未満の範囲内の濃度で含まれる。なお、当該化合物の濃度が1M以上の場合は、抗原に対する抗体の反応性を低下させる虞が生じて不都合である。なお、抗体組成物中に上記化合物が複数種類含まれている場合、上記の0.1M以上で1M未満の範囲内の濃度とは、複数種類の当該化合物の合計濃度を指す。
上記化合物の抗体組成物における濃度は、好ましくは0.2M以上で0.5M以下の範囲内であり、より好ましくは0.25M以上で0.45M以下であり、さらに好ましくは0.27M以上で0.4M以下であり、特に好ましくは0.3M以上で0.36M以下である。
(抗体)
上記抗体組成物における抗体の種類は特に限定されない。抗体は、例えば、免疫染色用の抗体、或いは、ハイブリドーマ培養上清、脾内免疫を行なった動物の腹水、抗血清・血漿、又は鳥類の卵の漿液に由来する免疫グロブリンである。本発明に係る抗体組成物の用途は、対象となる組織等の生体材料への浸潤性を向上させつつ抗原と抗体との反応性を維持する必要がある如何なる用途に適用可能であるが、具体的には例えば、免疫染色用途等であり、中でも免疫染色用の一次抗体、及び、必要に応じて二次以上の抗体を包含した免疫染色用途が好ましい。
(抗体組成物における抗体の濃度)
上記抗体組成物における抗体の濃度は特に限定されないが、組織等の生物材料に対する抗体の浸潤性を高める観点において、0.05μg/mL以上で100μg/mL以下の範囲内の濃度で含まれることが好ましく、4μg/mL以上で40μg/mL以下の範囲内の濃度で含まれることがより好ましい。
(界面活性剤)
本発明に係る「抗体組成物」は、必要に応じて界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、非イオン性の界面活性剤が好ましい。非イオン性の界面活性剤として、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等の脂肪酸系;ポリビニルアルコール等の高級アルコール系;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のアルキルフェノール系の界面活性剤が挙げられる。具体的には、例えば、TritonX−100、及びTritonX-140等のTritonX(登録商標)シリーズ;Tween−20、Tween-40、Tween-60、及びTween-80等のTween(登録商標)シリーズ;NP-40(商品名);からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。界面活性剤は、必要に応じて、二種以上を混合して使用することもできる。
抗体組成物における上記界面活性剤の濃度は特に限定されないが、処理の対象となる生物材料への抗体組成物の浸透性を高めるという観点では、0.025(w/v)%以上で0.2(w/v)%以下の範囲内であることが好ましく、0.05(w/v)%以上で0.1(w/v)%以下の範囲内であることがより好ましい。なお、単位(w/v)%とは、「抗体組成物」の体積(v(ミリリットル))に対する、使用する界面活性剤の重量(w(グラム))の百分率である。この単位は、界面活性剤以外でも同じ意味で用いる。
(その他の成分)
本発明に係る「抗体組成物」は、必要に応じて、糖類、及びアルコール類等から選択される成分を含むことができる。糖類としては、例えば、ショ糖、果糖、ソルビトール、トレハロース、及びシクロデキストリン等が挙げられる。ショ糖は、例えば、1(w/v)%以上で5(w/v)%以下の範囲内の濃度で含まれる。果糖、ソルビトール、及びトレハロースはそれぞれ、例えば、50mg/mL以上で200mg/mL以下の範囲内の濃度で含まれる。シクロデキストリンは、例えば、50mg/mL以上で150mg/mL以下の範囲内の濃度で含まれる。アルコール類としては、グリセロール等が挙げられ、例えば、1(w/v)%以上で5(w/v)%以下の範囲内の濃度で含まれる。
(溶媒)
本発明に係る「抗体組成物」は、尿素又は尿素誘導体が可溶な溶媒を含む溶液である。溶媒の種類は、尿素又は尿素誘導体が可溶な限り特に限定されないが、水を主溶媒として用いることが好ましく、水のみを溶媒として用いることが特に好ましい。なお、本発明において、「水を主溶媒として用いる」とは、使用される全溶媒に占める水の体積の割合が他の溶媒と比較して最も多いことを指し、好ましくは使用される全溶媒の体積の合計の50%を超え100%以下の量の水を用いることを指す。また、水を主溶媒として用いて調製された「抗体組成物」を、水溶液としての「抗体組成物」と称する場合がある。
本発明に係る「抗体組成物」は、尿素及び尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物と抗体とを含む緩衝液であってもよい。緩衝液とは、例えば、PBS、HBSSなどリン酸塩によって緩衝液化された平衡塩類溶液;トリス塩酸塩によって緩衝液化された平衡塩類溶液(TBS);等が挙げられる。緩衝液の濃度(希釈度と同義)は特に限定されないが、×0.05倍以上で×1.5倍以下の範囲内であることが好ましく、×0.1倍以上で×1倍以下の範囲内であることがより好ましい。緩衝液は、上記した水溶液の一種と捉えることもできる。
(抗体組成物の調製)
本発明にかかる「抗体組成物」の調製方法は、「尿素及び/又は尿素誘導体(化合物)」、「抗体」、並びに、必要に応じて用いる「界面活性剤」等を、溶媒中に加えることで調製される。抗体組成物を構成する各組成を加える手順は特に限定されない。一例では、抗体液に、「尿素及び/又は尿素誘導体(化合物)」、並びに、必要に応じて用いる「界面活性剤」、「糖類」、及び「アルコール類」等を、上記したような所望の最終濃度となるように加える。
(抗体組成物における化合物の役割等)
尿素及び尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物が、抗体組成物において0.1M以上で1M未満の範囲内の濃度で含まれることによって、組織等の生物材料への当該抗体の浸潤性が向上する。すなわち、本発明は以下の1)及び2)のように捉えることもできる。
1) 尿素及び尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を0.1M以上で1M未満の範囲内の濃度で含む溶液で、抗体を処理することによって、組織等の生物材料に対する当該抗体の浸潤性を向上させる方法。
2) 尿素及び尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を0.1M以上で1M未満の範囲内の濃度で含む溶液の使用であって、当該溶液で抗体を処理することによって、組織等の生物材料に対する当該抗体の浸潤性を向上させるための使用。
なお、上記溶液は、上記した界面活性剤等を含んでいてもよい。また、上記1)又は2)の何れの場合であっても、上記化合物の濃度は、好ましくは0.2M以上で0.5M以下の範囲内であり、より好ましくは0.25M以上で0.45M以下であり、さらに好ましくは0.27M以上で0.4M以下であり、特に好ましくは0.3M以上で0.36M以下である。
〔2.抗体組成物調製用のキット〕
本発明に係る抗体組成物調製用のキットは、尿素及び尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含む溶液とキットの使用説明書とを備えており、
使用説明書には、
1)上記溶液と抗体とを混合して抗体組成物を調製すること、及び、
2)抗体組成物における上記化合物の最終濃度が0.1M以上で1M未満の範囲内となるように上記抗体組成物を調製すること、が記録されている。
なお、上記溶液を構成する溶媒、上記抗体、及び上記尿素誘導体とは、〔1.抗体組成物〕の欄で説明したものと同じものを指す。溶液は、例えば、蓋付の溶液格納容器、又は溶液格納袋内に収容されている。
また、キットの使用説明書とは、上記(抗体組成物の調製)の欄で記載したような抗体組成物の調製方法が記録されたものである。使用説明書は、例えば、紙等の記録媒体に印刷されていてもよいし、フロッピディスク、コンパクトディスク(CD)、MD、又はフラッシュメモリ等の電子的な記録媒体に電子的に記録されているものでもよい。
一つの態様において、上記溶液は、上記抗体組成物における最終濃度が0.025(w/v)%以上で0.2(w/v)%以下の範囲内となるように、より好ましくは最終濃度が0.05(w/v)%以上で0.1(w/v)%以下の範囲内となるように界面活性剤を含んでいる。なお、界面活性剤とは、〔1.抗体組成物〕の欄で説明したものと同じものを指す。
また、上記溶液は、必要に応じて、〔1.抗体組成物〕の欄で説明した、糖類、及びアルコール類等を含むことができる。
上記溶液中に含まれる成分は、抗体と当該溶液とを混合して抗体組成物を調製する際に、実質的にそのまま濃度が維持されるか、又は希釈される。当該溶液中に含まれる成分の初期濃度がキットに示されていれば、抗体組成物における当該成分の最終濃度が上記所定の値となるようなキットの使用が可能である。
上記溶液が、尿素及び尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物、界面活性剤、糖類、及びアルコール類等の複数の成分を含んでいる場合、この溶液は、抗体組成物における各成分の最終濃度の比と同じ比率で各成分を含んでいればよい。複数の成分を含む溶液としては、例えば、以下のものが挙げられる。
<溶液1>
尿素又は尿素誘導体の濃度:0.1M以上で1M未満の範囲内
界面活性剤の濃度:0.05(w/v)%以上で0.1(w/v)%以下の範囲内
溶媒はPBSである。
本発明に係る抗体組成物調製用キットは、上記溶液とは別に、抗体液を備えていてもよい。抗体液は、例えば、蓋付の抗体液格納容器、又は抗体液格納袋に収容されている。この抗体液は、上記(抗体組成物の調製)欄にも記載したように、上記溶液と混合して抗体組成物を調製するためのものである。抗体組成物調製用キットは、二種類以上の抗体液を備えていてもよい。例えば、免疫染色用の抗体の例をとると、一次抗体の抗体液、及び二次以上の抗体の抗体液を備えることが挙げられる。また、抗体組成物調製用キットが抗体液を備える場合は、抗体液と上記溶液とを混合するための混合用容器等を備えていてもよい。
〔3.抗体組成物を用いた免疫染色方法〕
本発明に係る抗体組成物の用途の一例は、免疫染色である。免疫染色に用いる場合、抗体組成物は、免疫染色用の一次抗体、又は、必要に応じて用いる二次以上の抗体を含んでいる。この免疫染色方法は、本発明に係る抗体組成物と生物材料とを接触させる工程を含む。
(免疫染色の対象となる生物材料)
本発明に係る抗体組成物を用いた免疫染色の対象となる生物材料の種類は特に限定されないが、植物由来の材料又は動物由来の材料が好ましく、魚類、両生類、爬虫類、鳥類又は哺乳類(哺乳動物)等の動物由来の材料がより好ましく、哺乳動物由来の材料が特に好ましい。また、哺乳動物の種類は特に限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヒトを除く霊長類等の実験動物;イヌ、ネコ等の愛玩動物(ペット);ウシ、ウマ等の家畜;ヒト;が挙げられる。
また、生物材料は、個体そのものであってもよく(生きているヒト個体そのものは除く)、多細胞生物の器官、組織、或いは細胞等の生体の一部であってもよい。多細胞生物の器官、組織、或いは細胞等の生体の一部は、個体から取得したものであってもよく、生体外において人工的に作製したものであってもよい。生物材料は好ましくは、生物の個体そのもの、個体から取得した器官、又は組織である。なお、生物の個体、器官、及び組織はその形のまま免疫染色に供されてもよいし、切片として免疫染色に供されてもよい。さらに、生物材料は、例えば、蛍光タンパク質等を発現しているものであってもよい。
なお、上記生物材料を免疫染色用の試料として生体標本を作製する方法としては、一般的な免疫染色用の切片試料調製法又はホールマウント用試料の調製法を採用することができる。一例では、免疫染色用の切片試料を調製するに際して、生物材料は必要に応じて固定化され、然る後にパラフィン等による包埋を経て切片とされるか、又は凍結切片等とされる。なお、切片試料の種類によっては、必要に応じて透明化処理を行ってもよい。他の例では、免疫染色用のホールマウント用試料を調製するに際しては、必要に応じて固定化処理及び透明化処理がなされる。
(免疫染色方法、及び観察方法の一例)
本発明に係る抗体組成物を用いた免疫染色及び観察方法の概略フローの一例を示すと、以下の通りである。なお、以下の何れの工程も、公知の免疫染色方法と同様の条件で実施することができる。
工程1):上記した免疫染色用の試料の調製工程。
工程2):必要に応じて行われる、1)で調製した免疫染色用の試料に対する抗原賦活化処理工程。当該工程は、例えば、加熱処理、又はタンパク質分解処理等の処理を行うことで実施する。
工程3):必要に応じて行われる、バックグラウンドノイズを抑えるための処理工程。当該工程は、例えば、不要なRNAの混入を防止するためのRNA分解処理、又は、血清やスキムミルク等のブロッキング処理試薬を用いたブロッキング処理を行うことで実施する。
工程4):上記1)〜3)の工程を経た免疫染色用の試料と、免疫染色用の一次抗体を含む抗体組成物との抗原抗体反応処理工程。なお、抗原抗体反応処理工程におけるインキュベーションの条件は抗体の性能や試料のサイズ等に応じて決定すればよいが、例えば、6時間〜5日間、好ましくは2日〜3日間振とうをすることで行う。また、インキュベーションの温度は例えば4℃前後であることが好ましい。抗体組成物における上記一次抗体の濃度は、具体的には例えば、4μg/mL以上で40μg/mL以下の範囲内の濃度である。
工程5):上記4)の工程を経た免疫染色用の試料を洗浄する洗浄工程。洗浄工程は、例えば、尿素及び尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を0.1M以上で1M未満の範囲内の濃度で含む溶液を用いて試料をリンスする。この溶液の使用量は特に限定されないが、例えば、9〜15ml/0.3g試料、好ましくは約12ml/0.3g試料程度の量である。洗浄工程の温度、及び時間は特に限定されないが、好ましくは室温で、1時間程度振とうによるリンスを行なう。
工程6):必要に応じて行われる、免疫染色用の二次以上の抗体を含む抗体組成物と、上記5)の工程を経た免疫染色用の試料との抗原抗体反応処理工程。なお、抗原抗体反応処理工程におけるインキュベーションの条件は抗体の性能や試料のサイズ等に応じて決定すればよいが、例えば、6時間〜5日間、好ましくは2日〜3日間振とうをすることで行う。また、インキュベーションの温度は例えば4℃前後であることが好ましい。抗体組成物における上記二次以上の抗体の濃度は、具体的には例えば、1μg/mL以上で10μg/mL以下の範囲内の濃度である。
工程7):上記6)の工程を経た免疫染色用の試料を洗浄する洗浄工程。より具体的には、上記工程5)と同様に行う。
工程8):必要に応じて行われる、上記1)〜7)の工程を経た免疫染色用の試料において抗原抗体反応の結果を可視化する工程。例えば、上記一次抗体、又は二次以上の抗体が、アルカリホスファターゼなどの酵素で標識されている場合は、試料を当該酵素の基質中で反応させ、生成した色素を沈着させて可視化する。また、上記一次抗体、又は二次以上の抗体が、フルオレセインやローダミン等の蛍光色素で標識化されている場合は、後述する工程9)において直接蛍光顕微鏡で可視化しながら観察する。
工程9):上記1)〜8)の工程を経て免疫染色された免疫染色用の試料を、光学顕微鏡で観察する観察工程。観察工程は、あらゆる種類の光学顕微鏡を用いて行うことができる。免疫染色用の試料を3次元で観察したい場合は、例えば、観察工程は、3次元超分解顕微鏡技術(例えば、STED、3D PALM、FPALM、3D STORM、及びSIM)を適用して行うこともできる。また、この場合、観察工程は、多光子励起型(一般的には2光子励起型)の光学顕微鏡技術を適用して行うことが好ましい。
上記概略フローにおいて、工程4)を行い工程6)を行わない場合は、工程4)で用いる抗体組成物が、本発明に係る抗体組成物である。工程4)も工程6)も行う場合は、工程4)及び6)で用いる抗体組成物のうち少なくとも一方が、本発明に係る抗体組成物であり、両方が本発明に係る抗体組成物であることが好ましい。
なお、上記概略フローにおいて、工程1)を行う際、又はその事前に、免疫染色用の試料を透明化処理してもよい。透明化処理として、例えば、国際公開公報WO2011/111876A1(米国出願番号13/583,548)に記載のような、尿素及び尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含む生物材料用透明化試薬で、試料を透明化処理することが挙げられる。国際公開公報WO2011/111876A1(米国出願番号13/583,548)の内容は全て、参照によって、本明細書の一部として組み込まれる。当該化合物は、本発明の抗体組成物を構成する化合物と同じであるが、透明化処理に用いる際の当該化合物の濃度は1M以上で8.5M以下の範囲内であることが好ましく、3M以上で5M以下の範囲内であることがより好ましく、3.5M以上で4.5M以下の範囲内であることがさらに好ましく、3.7M以上で4.3M以下の範囲内であることが特に好ましい。また、透明化処理を行う処理時間は、特に限定されないが、例えば2時間以上で1年以下の範囲内であり、2時間以上で6ヶ月以内の範囲内であることが好ましく、72時間以上で21日以内の範囲内であることがより好ましい。
上記の生物材料用透明化試薬を用いた透明化処理は可逆的である。そのため、透明化処理された生物材料は、例えば、平衡塩類溶液に浸漬することにより、生物材料透明化試薬の成分を取り除き、透明化処理前の状態に戻すことが可能である。ここで、平衡塩類溶液とは、具体的には例えば、PBS、HBSSなどリン酸塩によって緩衝液化された平衡塩類溶液;トリス塩酸塩によって緩衝液化された平衡塩類溶液(TBS);人工脳脊髄液(ACSF);MEM, DMEM, 及びHam’s F-12などの細胞培養用の基礎培地;等が挙げられる。平衡塩類溶液に浸漬する時間は特に限定されないが、例えば2時間〜24時間であり、浸漬処理する温度は、例えば、約4℃〜室温までの温度であり、約4℃又は室温が好ましい。
上記の生物材料用透明化試薬を用いて透明化処理をした試料に対して、本発明に係る抗体組成物を用いて免疫染色を行うことで、より感度のよい免疫染色を行うことができる。なお、一旦、透明化処理をした後に、透明化処理前の状態に戻した試料に対して免疫染色を行う場合でも、同様の効果を奏する。
(本発明の具体的な態様の例示)
本発明の具体的な一態様としては、以下の何れかのものが挙げられる。本発明の具体的な一態様によれば、生体材料に対する抗体の浸潤性を増すことで、例えば免疫組織染色の解析では、対象物の立体構造の解析に有用となる。病理組織についてはこれまで平面上でしか解析できなかったことが立体的に解析することが可能となり、疾患の病態の理解に役立つと共に、新たな創薬の可能性をもたらすことができる。
(1)尿素及び尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物と抗体とを含む溶液であり、当該化合物は0.1M以上で1M未満の範囲内の濃度で含まれる、抗体組成物。
(2)上記化合物は、0.2M以上で0.5M以下の範囲内の濃度で含まれる、(1)に記載の抗体組成物。
(3)界面活性剤を含む、(1)又は(2)に記載の抗体組成物。
(4)上記界面活性剤が非イオン性の界面活性剤である、(3)に記載の抗体組成物。
(5)上記非イオン性の界面活性剤が、TritonX(登録商標)、Tween(登録商標)、及びNP-40(商品名)からなる群より選択される少なくとも一種である、(4)に記載の抗体組成物。
(6)上記界面活性剤は0.025(w/v)%以上で0.2(w/v)%以下の範囲内の濃度で含まれる、(3)〜(5)の何れかに記載の抗体組成物。
(7)上記抗体は、0.05μg/mL以上で100μg/mL以下の範囲内の濃度で含まれる、(1)〜(6)の何れかに記載の抗体組成物。
(8)上記化合物として尿素を含んでいる、(1)〜(7)の何れかに記載の抗体組成物。
(9)上記抗体が免疫染色用の抗体である、(1)〜(8)の何れかに記載の抗体組成物。
(10)尿素又は尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含む溶液とキットの使用説明書とを備えた抗体組成物調製用のキットであって、上記使用説明書には、1)上記溶液と抗体とを混合して抗体組成物を調製すること、及び、2)抗体組成物における上記化合物の最終濃度が0.1M以上で1M未満の範囲内となるように上記抗体組成物を調製すること、が記録されている、抗体組成物調製用キット。
(11)上記溶液は、上記抗体組成物における最終濃度が0.025(w/v)%以上で0.2(w/v)%以下の範囲内となるように界面活性剤を含んでいる、(10)に記載の抗体組成物調製用キット。
(12)上記溶液は緩衝液である、(10)又は(11)に記載の抗体組成物調製用キット。
(13)上記溶液とは別に、抗体液を備えている、(10)〜(12)の何れかに記載の抗体組成物調製用キット。
(14)上記(9)に記載の抗体組成物と生物材料とを接触させる工程を含む、免疫染色方法。
本発明について、以下の実施例、及び比較例等に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
〔実施例1: 本発明に係る抗体組成物による抗体浸透性の促進効果〕
本実施例では、以下に示す手法に基づき、3週齢のICRマウス(日本エスエルシーより購入)の全海馬をNeuN-Cy5及びGFAP-Cy3を用いて染色した。具体的には、染色を行う前の試料調製段階において、マウスの脳の右側の海馬をA溶液に浸漬し、7日間室温で振とうした後に、×1倍のPBSで12時間の浸漬処理を行った。また同じ脳由来の左側の海馬は×1倍のPBSに7.5日間浸漬し、組織の劣化を防止するため4℃で振とうを行った。なお、A溶液は、尿素を4M濃度で、TritonX−100を0.1%(w/v)濃度で、グリセロールを10%(w/v)濃度で純水に溶解した水溶液である。
次いで、×1倍のPBS、抗体処理溶液(Ab-solution)のそれぞれ1ml量を用いて抗体を希釈して得た抗体組成物と、上記処理によって調製した海馬とを、4℃で4日間振とうすることで反応させて染色を行なった。なお、ここで用いた抗体は、アストロサイトのマーカーであるGFAPを抗原とするCy3dye標識抗GFAP・マウス・モノクローナル抗体(Sigma, Clone G-A-5:GFAP-Cy3と称する)、並びにCy5 reactive dye (GE Healthcare)を用いて自家製で標識を行なった抗NeuN ・マウス・モノクローナル抗体 (Millipore:NeuN-Cy5と称する)である。抗NeuN ・マウス・モノクローナル抗体は、神経細胞に特異的な転写因子を抗原とする。なお、上記の抗体組成物は、各抗体の抗体液:処理溶液(PBS、又は抗体処理溶液)との体積比を1:300の割合で混合してなり、抗体濃度は、GFAP-Cy3が7μg/mLで、NeuN-Cy5が3μg/mLである。
また、上記抗体処理溶液の組成は、0.33M尿素、0.1%(w/v)のTritonX-100及び×1倍のPBSからなる水溶液である。
染色後は以下に示す操作フローの通り、抗体の希釈に用いたそれぞれの溶液で海馬をリンスし、再固定を行なった後に、当該海馬を上記A溶液中で2日間室温で処理をした。次いで処理後の海馬を、0.35(w/v)%アガロースを用いてマウントした。次いで、各海馬を20倍水浸対物レンズ (Olympus: W.D., 2 mm: NA, 0.95) を装備したレーザー走査型共焦点正立顕微鏡FV1000 (Olympus) を用いて海馬表面から深部に至る多点連続観察(光学切片は7μm)を行い、解析用ソフトウエアVolocity (Perkin Elmer)により画像解析を行った。なお、観察は上記A溶液中で行なった。
<染色後の操作フロー>
→染色のためのインキュベーション後に12ml/0.3g組織(海馬)のPBS、又は上記抗体処理溶液で、室温で1時間振とうによるリンスを行なう。
→次いで、12ml/0.3g組織(海馬)の2.5(w/v)%ウシ血清アルブミン(BSA)/0.05(w/v)% Tween20/(0.1X PBS)で室温で1時間振とうによるリンスを行なう。
→12ml/0.3g組織(組織)の4% PFA−PBSで室温で1時間振とうによる再固定を行なう。
結果は図1に示す。試料調製段階において、A溶液に浸漬処理を行なった海馬(同図中の下側)ではいずれの場合にもPBSに浸漬処理を行った場合(同図中の上側)に比較して抗体がより深部まで到達し、顕著な抗原認識が認められた。特に、抗体処理溶液を用いて抗体を希釈し反応させた場合には、PBSで抗体を希釈して反応させた場合(表面から約1.5mmの深さ)に比べ、より深部(表面から約2mmの深さ)まで抗体が浸透及び到達していることが認められた。
〔実施例2: YFP-Hライン・マウスの大脳を用いた抗GFAPモノクローナル抗体の染色性〕
A溶液で1ヶ月間の浸漬処理を行った後に1倍のPBSで3時間の浸漬処理を行った8週齢のYFP-Hライン・マウス(米国Harvard大学 Josh Sanes教授より供与されたもの。[参考文献] Feng et al. Neuron, 28: 41-51, 2000)の大脳全体を、Cy3dye標識抗GFAP・マウス・モノクローナル抗体 (Sigma, Clone G-A-5)を1ml量の抗体処理溶液(実施例1と同じ)で希釈した抗体組成物を用いて染色した。実施例1と同様に、抗体組成物は、当該抗体の抗体液:抗体処理溶液(体積比)を1:300の割合で混合してなり、抗体濃度は7μg/mLである。また、染色は、上記抗体組成物と、上記処理によって調製したマウスの大脳とを共存させて、4℃で5日間振とうすることで行った。
染色後は実施例1と同様に、上記抗体処理溶液で大脳をリンスし、再固定を行なった後に、当該大脳を上記A溶液中で2日間室温で処理をした。次いで処理後の大脳を、0.35(w/v)%アガロースを用いてマウントした。次いで、大脳表面から、20倍水浸対物レンズ(Olympus: W.D., 2 mm: NA, 0.95)を装備したレーザー走査型共焦点正立顕微鏡FV1000 (Olympus)を用いて観察(光学切片は7μm)を行った(図2中のa)。なお、観察はA溶液中で行なった。観察の結果、大脳表面から2.1 mmの深さまでGFAPのシグナルを確認することができた(図2中のbにおける側面図)。なお、図2中のbにおける(1−5)のパネルは側面図に点線で示した各深度での断面図である。
さらに、25倍水浸対物レンズ (Olympus: W.D., 4 mm: NA, 1.0)及び二光子レーザーを装備した多光子レーザー走査型正立顕微鏡FV1000 (Olympus)を用いて、上記の各大脳の観察(光学切片は7μm)を行った(図2中のc)。この観察に用いた二光子レーザーの波長は920nmであり、観察はA溶液中で行った。これによりYFP及びCy3 dyeの両方ともを同時に励起して二つの色素由来のシグナルを同時にかつ別々に検出した。観察の結果、大脳表面から海馬CA1-CA3に至る3.5mmの深さまでGFAPのシグナルを確認することができた(図2中のcにおける側面図)。
〔実施例3:マウス海馬を用いた抗Neurofilamentモノクローナル抗体の染色性〕
実施例1と同様に、染色を行う前の試料調製段階において、A溶液に浸漬した後に、×1倍のPBSで浸漬処理した9週齢のC57BL6/Jマウス(日本エスエルシーより購入)の海馬全体を、Alexa Fluor 488 dye標識抗Neurofilament・マウス・モノクローナル抗体 (Millipore)を1ml量の抗体処理溶液(実施例1と同じ)で希釈した抗体組成物を用いて染色した。Alexa Fluor 488 dye標識抗Neurofilament・マウス・モノクローナル抗体 (Millipore)は、神経細胞のマーカーであるNeurofilamentを抗原とする。実施例1と同様に、抗体組成物は、当該抗体の抗体液:抗体処理溶液(体積比)を1:300の割合で混合してなり、抗体濃度は10μg/mLである。また、染色は、上記抗体組成物と、上記処理によって調製したマウスの海馬とを共存させて、4℃で3.5日間振とうすることで行った。
染色後は実施例1と同様に、上記抗体処理溶液で海馬をリンスし、再固定を行なった後に、当該海馬を0.35(w/v)%アガロースを用いてマウントした。次いで、海馬表面から、20倍水浸対物レンズ (Olympus: W.D., 2 mm: NA, 0.95)を装備したレーザー走査型共焦点正立顕微鏡FV1000 (Olympus)を用いて観察(光学切片は6μm)を行った(図3)。なお、観察はA溶液(実施例1参照)中で行った。観察の結果、海馬表面から1.3mmの深さ(海馬の厚みをほぼ縦断)まで、主として樹状突起及び軸索からなる、Neurofilamentの繊維状のシグナルを確認することができた(図3中の側面図)。なお、同図中の1−3の3枚のパネルは側面図に点線で示した各深度での断面図である。
〔実施例4:成体ラットの海馬由来の神経幹細胞neurosphereを用いた神経幹細胞マーカーの免疫染色〕
8−10週齢ラットから調製した後に、純化及び継代を続けている海馬由来の神経幹細胞を培養培地中に分散し、参考文献(Doetsch et al. Cell, 97:703-716, 1999)の記載に基づいて浮遊培養を12日間行うことでneurosphereを形成した。neurosphereは細胞同士がタイトに集合した状態にあるため、その内部に抗体を浸透させることが難しく、サイズが比較的小さいにも関わらず全体を免疫染色することが困難である。この球状の細胞集団(neurosphere)を4% PFA―PBSで固定後、20%(w/v) sucrose-PBSで2日間4℃で置換し凍結保護を行なった。この後、OCT compoundに包埋し凍結融解を行ない、1倍のPBSで洗浄し4%(w/v)のPFA-PBSで再固定した後、実施例1と同じ組成のA溶液に浸漬し、3日間、室温で振とうした後に、×1倍のPBSで1時間の浸漬処理を行った。
次いで、以下に示す一次抗体を含む2種類の抗体組成物を用いてneurosphereの染色をした。染色は、これら抗体組成物と、上記処理によって調製したneurosphereとを共存させて、4℃で2日間振とうすることで行った。
1)抗Nestinマウス・モノクローナル抗体(BD Bioscience)を1ml量の抗体処理溶液(実施例1と同じ)で希釈して調製した抗体組成物。抗体組成物は、当該抗体の抗体液:抗体処理溶液(体積比)を1:300の割合で混合してなり、抗体濃度は6μg/mLである。この抗体は神経幹細胞を認識する。
2)抗Doublecortinウサギ・ポリクローナル抗体(abcam)を1ml量の抗体処理溶液(実施例1と同じ)で希釈して調製した抗体組成物。抗体組成物は、当該抗体の抗体液:抗体処理溶液(体積比)を1:200の割合で混合してなり、抗体濃度は7μg/mLである。この抗体は幼若な神経細胞を認識する。
次いで、12ml/0.3g組織(neurosphere)の上記抗体処理溶液を用いて、室温で1時間振とうによる一次抗体のリンスを行った。
リンス後に、二次抗体としてのAlexa Fluor 488標識抗マウス・IgG-抗体及びAlexa Fluor 633標識抗ウサギ・IgG-抗体をそれぞれ1ml量の上記抗体処理溶液で希釈した抗体組成物を用いてneurosphereを染色した。なお、これらの抗体組成物は何れも、各抗体の抗体液:抗体処理溶液(体積比)を1:500の割合で混合してなり、抗体濃度は4μg/mLである。また、染色は、上記抗体組成物と、上記neurosphereとを共存させて、4℃で24時間振とうすることで行った。次いで、12ml/0.3g組織(neurosphere)の上記抗体処理溶液を用いて、室温で1時間振とうによる二次抗体のリンスを行った。
次いで、アストロサイトを認識する抗GFAP-Cy3マウス・モノクローナル抗体(Sigma)を1ml量の抗体処理溶液(実施例1と同じ)で希釈した抗体組成物を用いてneurosphereを染色した。この抗体組成物は、当該抗体の抗体液:抗体処理溶液(体積比)を1:300の割合で混合してなり、抗体濃度は7μg/mLである。また、染色は、上記抗体組成物とneurosphereとを共存させて、24時間4℃で振とうして反応させることで行った。この後、リンスを行い、再固定を行った後に、当該neurosphereをA溶液(実施例1参照)に浸漬し2日間室温で振とうしてインキュベーションを行った。最後に、処理後のneurosphereを0.35(w/v)%アガロースを用いてマウントした。
マウントしたneurosphereは、20倍水浸対物レンズ(Olympus: W.D., 2 mm: NA, 0.95) を装備したレーザー走査型共焦点正立顕微鏡FV1000 (Olympus)を用いて、A溶液中で観察した(光学切片は6μm)。
Neurosphere全体(直径約400μm)の表面から内部に至るすべてを網羅的に観察することができた。Neurosphere内部の細胞の構成、及び細胞の局在を検出することができ、神経幹細胞はneurosphereの表面に偏在し、幹細胞から分化した幼若な神経細胞は内部に存在することが認められた。図4中の左側にはVolocityを用いて作成した3次元透視画像の図を示し、右側にはneurosphereの最大直径の位置での断面図を示す。
〔実施例5:成熟マウス脳における新生神経細胞の免疫染色〕
神経幹細胞が緑色蛍光を示す、8週齢のNestin promoter-driven GFPトランスジェニックマウス(Nestin-GFPマウス:参考文献 Yamamoto et al. Neuroreport, 11:1991-1996, 2000.)の大脳を正中線に沿って左右の半球に分離し、実施例1と同じ組成のA溶液に浸漬し、室温で約3週間振とうをした後に、×1倍のPBSで12時間の浸漬処理を行った。
次いで、以下に示す一次抗体を含む2種類の抗体組成物を用いて大脳半球の染色をした。染色は、これら抗体組成物と、上記処理によって調製した大脳半球とを共存させて、4℃で4日間振とうすることで行った。
1)抗GFAP-Cy3マウス・モノクローナル抗体(Sigma)を1ml量の抗体処理溶液(実施例1と同じ)で希釈して調製した抗体組成物。抗体組成物は、当該抗体の抗体液:抗体処理溶液(体積比)を1:400の割合で混合してなり、抗体濃度は7μg/mLである。
2)抗Doublecortinウサギ・ポリクローナル抗体(abcam)を1ml量の抗体処理溶液(実施例1と同じ)で希釈して調製した抗体組成物。抗体組成物は、当該抗体の抗体液:抗体処理溶液(体積比)を1:200の割合で混合してなり、抗体濃度は10μg/mLである。この抗体は幼若な神経細胞を認識する。
次いで、12ml/0.3g組織(大脳半球)の上記抗体処理溶液を用いて、室温で1時間振とうによる一次抗体のリンスを行った。
一次抗体をリンス後に、二次抗体としてのAlexa Fluor 488標識抗マウス・IgG-抗体及びAlexa Fluor 633標識抗ウサギ・IgG-抗体をそれぞれ1ml量の抗体処理溶液(実施例1と同じ)で希釈した抗体組成物を用いて大脳半球を染色した。なお、これらの抗体組成物は何れも、各抗体の抗体液:抗体処理溶液(体積比)を1:500の割合で混合してなり、抗体濃度は4μg/mLである。また、染色は、上記抗体組成物と、上記大脳半球とを共存させて、4℃で2日間振とうすることで行った。次いで、12ml/0.3g組織(大脳半球)の上記抗体処理溶液を用いて、室温で4日間振とうによる二次抗体のリンスを行った。
そして、再固定を行った後に、当該大脳半球をA溶液(実施例1参照)に浸漬し2日間室温で振とうしてインキュベーションを行った。最後に、処理後の大脳半球を、切断面を上側にして0.35(w/v)%アガロースを用いてマウントし、A溶液に浸漬した。
マウントした大脳半球は、20倍水浸対物レンズ (Olympus: W.D., 2 mm: NA, 0.95) を装備したレーザー走査型共焦点正立顕微鏡FV1000 (Olympus)を用いて、A溶液中で観察した。観察は、50視野の多点観察で、観察深度は1.6mmで、光学切片は7μmで行った。
成熟したげっ歯類では主として海馬と脳室下帯の二つの領域に存在する神経幹細胞から神経が新たに生まれる(神経新生)ことが知られている。側脳室近傍の脳室下帯で増殖した神経幹細胞は、幼若・未成熟な神経細胞へ次々と分化しながら嗅球に向けて長い距離を移動した後、やがて嗅球の神経組織に組み込まれる。この連続した移動をrostral migratory stream (RMS)と呼ぶ。この実施例ではRMSを構成する細胞群を免疫染色によって同定したことを示している。
より具体的には、図5に示すように、側脳室を起点として神経幹細胞は移動しながら幼若な神経細胞へと分化して連続した細胞の流れを形成することが示された。さらに、この流れはアストロサイトが集合した管、あるいはトンネルに囲まれ、その中を移動して行くことが示された。なお、図5において、1−4の番号が付された四角で囲まれた領域は、それぞれの領域を拡大した3次元透視画像を示す図とともに示されている。こうした染色が可能となったことで、神経幹細胞の分化を、深く広い領域を対象として網羅的に研究する上で重要な手段となると考えられる。
〔実施例6:マウス海馬の神経終末部の免疫染色〕
7週齢のICRマウス(日本エスエルシーより購入)の大脳から切り離した海馬を4% PFA―PBSで固定後、実施例1と同じ組成のA溶液に浸漬し、10日間、室温で振とうした後に、×1倍のPBSで12時間の浸漬処理を行った。
そして、処理後の海馬全体を、シナプス前終末部の小胞に存在するタンパクを認識する、Oyster 650標識抗synaptophysinマウス・モノクローナル抗体(Synaptic Systems)を1ml量の抗体処理溶液(実施例1と同じ)で希釈した抗体組成物を用いて染色した。抗体組成物は、当該抗体の抗体液:抗体処理溶液(体積比)を1:200の割合で混合してなり、抗体濃度は10μg/mLである。また、染色は、上記抗体組成物と海馬とを共存させて、室温で3日間振とうすることで行った。
染色後は、上記抗体処理溶液で海馬をリンスし、再固定を行なった後に、当該海馬をA溶液(実施例1参照)に浸漬し2日間室温で振とうしてインキュベーションを行った。最後に、処理後の海馬を、歯状回を上側にして0.35(w/v)%アガロースを用いてマウントし、A溶液に浸漬した。
次いで、マウントした海馬を20倍水浸対物レンズ (Olympus: W.D., 2 mm: NA, 0.95) を装備したレーザー走査型共焦点正立顕微鏡FV1000 (Olympus)を用いて、A溶液中で観察した。観察深度は1.4mmで、光学切片は5μmであった(図6中のaも参照)。
歯状回を起点とした顆粒細胞の軸索は、特徴的な苔状線維(mossy fiber, MF)をCA3領域に投射させ、CA3の錐体細胞との間に巨大なシナプスを形成する。図6中のb及びcに示された各深度における断面図に認められる白色の粒状のシグナルは、神経終末部の小胞に存在するsynaptophysinのシグナルである。この部分に巨大なシナプスが形成されていると考えられる。
図6に示すように、600μm及び1300μmのいずれの深さでもOyster 650標識抗体が組織に浸透していることが確認された。こうした染色が可能になったことにより、膨大な数の薄い切片を免疫染色して確認するという煩雑さを回避しながら、種々の脳の領域における神経線維の投射先でシナプスが形成されているか否かを、例えば組織丸ごとを用いて一挙に確認することができる。即ち、神経回路の研究を効率よく行なう上で重要な役割を果たすと考えることができる。
〔実施例7: アミロイド前駆体タンパク−プレセニリン1過剰発現マウスの海馬におけるβ−アミロイドの免疫染色〕
23か月齢のアミロイド前駆体タンパク−プレセニリン1過剰発現マウス(参考文献Saito et al. Nature Neuroscience 14(8):1023-1032, 2011)の大脳から視床を切除し海馬を露出させた脳サンプルを4% PFA―PBSで固定後、実施例1と同じ組成のA溶液に浸漬し、20日間、室温で振とうした後に、×1倍のPBSで24時間の浸漬処理を行った。
そして、処理後の海馬全体を、AlexaFluor 488標識抗β−アミロイド・マウス・モノクローナル抗体(Cocvance, clone 6E10)を1ml量の抗体処理溶液(実施例1と同じ)で希釈した抗体組成物と、抗GFAP-Cy3マウス・モノクローナル抗体(Sigma)を1ml量の抗体処理溶液(実施例1と同じ)で希釈した抗体組成物とを用いて染色した。染色は、これら抗体組成物と海馬とを共存させて、室温で4日間振とうすることで行った。なお、AlexaFluor 488標識抗β−アミロイド・マウス・モノクローナル抗体を含む抗体組成物は、当該抗体の抗体液:抗体処理溶液(体積比)を1:300の割合で混合してなり、抗体濃度は10μg/mLである。また、抗GFAP-Cy3マウス・モノクローナル抗体を含む抗体組成物は、当該抗体の抗体液:抗体処理溶液(体積比)を1:400の割合で混合してなり、抗体濃度は7μg/mLである。
染色後は、上記抗体処理溶液で海馬をリンスし、再固定を行なった後に、当該海馬をA溶液に浸漬し2日間室温で振とうしてインキュベーションを行った。最後に、処理後の海馬を、歯状回を上側にして0.35(w/v)%アガロースを用いてマウントし、A溶液に浸漬した。
次いで、マウントした海馬を20倍水浸対物レンズ (Olympus: W.D., 2 mm: NA, 0.95) を装備したレーザー走査型共焦点正立顕微鏡FV1000 (Olympus)を用いて、A溶液中で観察した。観察深度は2mmで、光学切片は7μmであった(図7も参照)。なお、図7中のbに示す1-6の番号が付されたパネルは、図7中のbに点線で示した1-6の各深度での断面図に相当する。
β−アミロイドの蓄積は、ヒトにおける重篤なアルツハイマー病の病因として重要な要素であると考えられている。このマウスの免疫染色像を示す図から、海馬表面から深部に至るすべての領域に、大小のβ−アミロイドからなるアミロイドプラークが無数に存在し、正常組織とは大きく異なる様相が認められる。特に、巨大なプラークの周囲にはGFAP陽性細胞であるアストロサイトが密集しグリオーシスとして知られる病理学的な様相が散見される。なお、図7中のcは、bにおけるパネル3中の点線四角で囲まれた領域の3次元透視画像を表す上面図である。図7中のdは同じ領域の3次元透視画像を表す側面図である。
本実施例に示すように、病的な組織を纏めて免疫染色することが可能になった。これによって、今まで以上に詳細な病理学的検索を行うために、いわゆる「取りこぼしのない病理検索を可能にする」という非常に有効な手段を提供する。
抗体を含む試薬等、抗原抗体反応を用いるあらゆる産業に利用可能である。例えば、抗原抗体反応を用いる試薬、診断への応用、医薬開発などにおいて適用することができる。

Claims (13)

  1. 尿素及び尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物と抗体とを含む溶液であり、当該化合物は0.1M以上で1M未満の範囲内の濃度で含まれており、
    上記抗体が免疫染色用の抗体である、抗体組成物。
  2. 上記化合物は、0.2M以上で0.5M以下の範囲内の濃度で含まれる、請求項1に記載の抗体組成物。
  3. 界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の抗体組成物。
  4. 上記界面活性剤が非イオン性の界面活性剤である、請求項3に記載の抗体組成物。
  5. 上記非イオン性の界面活性剤が、TritonX(登録商標)、Tween(登録商標)、及びNP-40(商品名)からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項4に記載の抗体組成物。
  6. 上記界面活性剤は0.025(w/v)%以上で0.2(w/v)%以下の範囲内の濃度で含まれる、請求項3〜5の何れか一項に記載の抗体組成物。
  7. 上記抗体は、0.05μg/mL以上で100μg/mL以下の範囲内の濃度で含まれる、請求項1〜6の何れか一項に記載の抗体組成物。
  8. 上記化合物として尿素を含んでいる、請求項1〜7の何れか一項に記載の抗体組成物。
  9. 尿素又は尿素誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含む溶液とキットの使用説明書とを備えた抗体組成物調製用のキットであって、
    上記使用説明書には、
    1)上記溶液と抗体とを混合して抗体組成物を調製すること、及び、
    2)抗体組成物における上記化合物の最終濃度が0.1M以上で1M未満の範囲内となるように上記抗体組成物を調製すること、が記録されており
    上記抗体が免疫染色用の抗体である、
    抗体組成物調製用キット。
  10. 上記溶液は、上記抗体組成物における最終濃度が0.025(w/v)%以上で0.2(w/v)%以下の範囲内となるように界面活性剤を含んでいる、請求項に記載の抗体組成物調製用キット。
  11. 上記溶液は緩衝液である、請求項9又は10に記載の抗体組成物調製用キット。
  12. 上記溶液とは別に、抗体液を備えている、請求項9〜11の何れか一項に記載の抗体組成物調製用キット。
  13. 請求項1〜8の何れか一項に記載の抗体組成物と生物材料とを接触させる工程を含む、免疫染色方法。
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