以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6は本実施形態に係る眼科撮影装置の構成について説明する図である。なお、本実施形態においては、被検者眼(眼E)の軸方向をZ方向、水平方向をX方向、鉛直方向をY方向として説明する。眼底の表面方向をXY方向として考えても良い。また、本実施形態においては、眼科撮影装置として、被検眼の眼底を撮影するための、眼底撮影装置を例に挙げて説明をする。なお、眼科撮影装置としては、これに限定されない。例えば、被検眼の前眼部を撮影する前眼部撮影装置であっても本発明は適用可能である。
<概要>
本発明の実施形態に係る眼底撮影装置の概要について説明する。本実施形態に関わる眼底撮影装置(光コヒーレンストモグラフィーデバイス)1は、干渉光学系(OCT光学系)100と、観察光学系(スキャニングレーザオフサルモスコープ(SLO)光学系)200、制御部(CPU)70と、を備える。
OCT光学系100は、被検眼の断層画像を得るために用いられる。OCT光学系100は、光源27から発せられた光を被検眼上で走査するための光スキャナ23と、光源27から発せられた測定光と参照光との干渉信号を検出する検出器83とを有する。
観察光学系200は、被検眼を照明する照明光学系と、被検眼からの反射光を受光する受光光学系と、を有する。観察光学系200は、受光光学系からの受光信号に基づいて被検眼の正面画像を取得する。例えば、SLO(スキャニングレーザオフサルモスコープ(SLO))や眼底カメラが挙げられる。
制御部70は、駆動制御手段、評価情報算出手段、出力手段、判定手段、判別手段を兼ねる。
制御部70は、観察光学系200によって取得された正面画像上において設定された取得位置での断層画像が取得されるように、正面画像に基づいて、光スキャナ23を制御して、測定光の走査位置を補正する。すなわち、制御部70は、トラッキング制御を行う。
制御部70は、トラッキング制御の実行の可否を判定するための評価情報を正面画像に基づいて算出する。
例えば、制御部70は、さらに、評価情報に基づいて、トラッキング制御の実行の可否を判定するようにしてよい。すなわち、評価情報に基づいて、トラッキング制御の実行の可否を判定結果を算出する。この場合、制御部70は、算出結果として、評価情報と、判定結果に関する情報と、の少なくとも一方の情報を出力する構成が挙げられる。
この場合に、例えば、制御部70は、判定結果に基づいて、トラッキング制御が実行可能であると判定した場合に、トラッキング制御を開始させるような構成としてもよい。
例えば、評価情報は、正面画像の画質の評価値が挙げられる。また、例えば、評価値は、正面画像の各画素毎の輝度値の合算値や、空間周波数の分布による周波数の高低の結果が挙げられる。
例えば、正面画像の画質の評価値は、正面画像を微分処理し前記微分処理した結果に基づいて、第1ヒストグラム情報を取得し、第1ヒストグラム情報において画像全体で所定の割合以上の画素数を持つ微分値の最大値を用いて算出される。また、例えば、正面画像の画質の評価値は、正面画像の第2ヒストグラム情報を取得し、第2ヒストグラム情報において画像全体で所定の割合以上の画素数を持つ輝度値の最大値を用いて算出される。
さらに、制御部70は、評価情報に基づいて、トラッキング制御が実行不可能な原因を判別する構成を設けてもよい。
この場合、また、例えば、制御部70は、判別結果に基づいて、トラッキング制御が実行不可能な原因に関する光学部材(各部材)の制御を行い、光学部材の調整を行うようにしてもよい。
例えば、制御部70は、正面画像の画質の低い原因が明るさが不十分、正面画像の鮮鋭度(エッジ)が不十分、正面画像のケラレ、等の原因を各特徴が判別可能な解析方法を用いて、判別する。
例えば、各部材は、光源61、フォーカシングレンズ63、ポラライザ33、受光素子68、参照ミラー31等が挙げられる。
なお、評価情報の算出において、制御部70は、トラッキング制御の実行の可否を判定するための評価情報を少なくともフォーカス調整を完了した後の正面画像に基づいて算出するようにしてもよい。
制御部70は、算出された算出結果を出力するようにしてもよい。例えば、算出結果の出力は、モニタ75の表示画面上に表示する構成や、音等を出す構成が挙げられる。また、制御部70は、前述の判別された判別結果を出力するようにしてもよい。なお、制御部70は、判別結果を出力しなくとも、判別結果に基づいて、光学部材の調整を行うようにしてもよい。
なお、本実施形態においては、上記実施形態に記載した装置に限定されない。例えば、上記実施形態の機能を行う眼科撮影ソフトウェア(プログラム)をネットワークや各種記憶媒体を介して、システムあるいは装置に供給する。そして、システムあるいは装置のコンピュータ(例えば、CPU等)がプログラムを読み出し、実行することも可能である。
例えば、眼科撮影プログラムは、眼科撮影装置の動作を制御する制御装置において実行される。この場合、眼科撮影プログラムは、制御装置のプロセッサによって実行されることで、トラッキング制御の実行の可否を判定するための評価情報を正面画像に基づいて算出する評価情報算出ステップと、評価情報算出ステップによって算出された算出結果を出力する出力ステップと、を制御装置に実行させる。
<実施例>
以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて説明する。なお、本実施例においては、被検眼の眼底を撮影するための、眼科撮影装置を例に挙げて説明をする。
図1は、本実施例の眼科撮影装置の光学系及び制御系を示す図である。本装置は、光コヒーレンストモグラフィーデバイス(OCTデバイス)1である。図1において、OCTデバイス1は、干渉光学系(OCT光学系)100と、観察光学系(スキャニングレーザオフサルモスコープ(SLO)光学系)200、固視標投影ユニット300、制御部(CPU)70と、を備える。
OCT光学系100は、測定光学系100aと参照光学系100bを含む。また、OCT光学系100は、参照光と測定光による干渉光を周波数(波長)毎に分光し、分光された干渉光を受光手段(本実施形態においては、1次元受光素子)に受光させる分光光学系800を有する。
ダイクロイックミラー40は、OCT光学系100に用いられる測定光源27から発せられる測定光(例えば、λ=840nm付近)を反射し、SLO光学系200に用いられるSLO光源61から発せられるレーザ光(OCT光源27とは異なる波長の光、例えば、λ=780nm付近)を透過する特性を有する。この場合、ダイクロイックミラー40は、OCT光学系100の測定光軸L1とSLO光学系200の測定光軸L2とを同軸にする。
まず、ダイクロイックミラー40の反射側に設けられたOCT光学系100の構成について説明する。OCT光源27はOCT光学系100の測定光及び参照光として用いられる低コヒーレントな光を発するOCT光源であり、例えばSLD光源等が用いられる。OCT光源27には、例えば、中心波長840nmで50nmの帯域を持つ光源が用いられる。26は光分割部材と光結合部材としての役割を兼用するファイバーカップラー(スプリッタ)である。OCT光源27から発せられた光は、導光路としての光ファイバ38aを介して、ファイバーカップラー26によって参照光と測定光とに分割される。測定光は光ファイバ38bを介して被検眼Eへと向かい、参照光は光ファイバ38c(ポラライザ(偏光素子)33)を介して参照ミラー31へと向かう。
ダイクロイックミラー69は、固視標投影ユニット300から発せられる光を反射し、SLO光学系200に用いられるSLO光源61から発せられるレーザ光を透過する特性を有する。この場合、ダイクロイックミラー69は、固視標投影ユニット300の光軸L3とSLO光学系200の測定光軸L2とを同軸にする。
測定光を被検眼Eへ向けて出射する光路には、測定光を出射する光ファイバ38bの端部39b、コリメータレンズ21、フォーカス用光学部材(フォーカシングレンズ)24、走査部(光スキャナ)23と、反射ミラー25、リレーレンズ22が配置されている。光スキャナ23は、2つのガルバノミラーによって構成され、走査駆動機構51の駆動により、測定光源から発せられた光を眼底(被検物)上で二次元的(XY方向)に走査させるために用いられる。なお、光スキャナ23は、例えば、AOM(音響光学素子)やレゾナントスキャナ等によって構成されていてもよい。
ダイクロイックミラー40及び対物レンズ10は、OCT光学系100からのOCT測定光を被検眼眼底へと導光する導光光学系としての役割を有する。
フォーカシングレンズ24は、駆動機構24aの駆動によって、光軸方向に移動可能となっており、被検者眼底に対する視度を補正するために用いられる。
光ファイバ38bの端部39bから出射した測定光は、コリメータレンズ21によってコリメートされた後、フォーカシングレンズ24を介して、光スキャナ23に達し、2つのガルバノミラーの駆動により反射方向が変えられる。そして、光スキャナ23で反射された測定光は、反射ミラー25で反射される。その後、測定光は、リレーレンズ22を介して、ダイクロイックミラー40で反射された後、対物レンズ10を介して、被検眼眼底に集光される。
そして、眼底で反射した測定光は、対物レンズ10を介して、ダイクロイックミラー40で反射し、OCT光学系100に向かい、リレーレンズ22、反射ミラー25、光スキャナ23の2つのガルバノミラー、フォーカシングレンズ24及びコリメータレンズ21を介して、光ファイバ38bの端部39bに入射する。端部39bに入射した測定光は、光ファイバ38b、ファイバーカップラー26、光ファイバ38dを介して、光ファイバ38dの端部84aに達する。
一方、参照光を参照ミラー31に向けて出射する光路には、光ファイバ38c、参照光を出射する光ファイバ38cの端部39c、コリメータレンズ29、参照ミラー31が配置されている。光ファイバ38cは、参照光の偏光方向を変化させるため、駆動機構34により回転移動される。すなわち、光ファイバ38c及び駆動機構34は、偏光方向を調整するためのポラライザ33として用いられる。
なお、本実施形態のポラライザ33は、測定光と参照光の偏光方向を一致させるために、測定光と参照光の少なくともいずれかの偏光方向を調整する。ポラライザ33は、測定光路又は参照光路の少なくともいずれかに配置される。ポラライザ33としては、上記構成に限定されず、例えば、光軸を中心に1/2波長板又は1/4波長板の回転角を調整することによって光の偏光方向を変える構成、ファイバーに圧力を加えて変形させることによって光の偏光方向を変える構成、などが考えられる。
また、参照ミラー駆動機構50は、参照光との光路長を調整するために参照光路中に配置された参照ミラー31を駆動させる。参照ミラー31は、本実施形態においては、参照光路中に配置され、参照光路長を変化させるべく、光軸方向に移動可能な構成となっている。
なお、参照光学系100bは、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであっても良い。参照光学系100bは、例えば、反射光学系(例えば、参照ミラー)によって形成され、ファイバーカップラー26からの光を反射光学系により反射することにより再度ファイバーカップラー26に戻し、検出器83に導く。他の例としては、参照光学系100bは、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成され、ファイバーカップラー26の光を戻さず透過させることにより検出器83へと導く。
参照光学系100bは、参照光路中の光学部材を移動させることにより、測定光と参照光との光路長差を変更する構成を有する。例えば、参照ミラー31が光軸方向に移動される。光路長差を変更するための構成は、測定光学系100aの測定光路中に配置されてもよい。
光ファイバー38cの端部39cから出射した参照光は、コリメータレンズ29で平行光束とされ、参照ミラー31で反射された後、コリメータレンズ29により集光されて光ファイバ38cの端部39cに入射する。端部39cに入射した参照光は、光ファイバ38c、光ファイバ38c(ポラライザ33)を介して、ファイバーカップラー26に達する。
そして、光源27から発せられた光によって前述のように生成される参照光と被検眼眼底に照射された測定光による眼底反射光は、ファイバーカップラー26にて合成され干渉光とされた後、光ファイバ38dを通じて端部84aから出射される。周波数毎の干渉信号を得るために干渉光を周波数成分に分光する分光光学系800(スペクトロメータ部)は、コリメータレンズ80、グレーティングミラー(回折格子)81、集光レンズ82、受光素子83を有する。受光素子83は、赤外域に感度を有する一次元素子(ラインセンサ)を用いている。
ここで、端部84aから出射された干渉光は、コリメータレンズ80にて平行光とされた後、グレーティングミラー81にて周波数成分に分光される。そして、周波数成分に分光された干渉光は、集光レンズ82を介して、検出器(受光素子)83の受光面に集光する。これにより、受光素子83上で干渉縞のスペクトル情報が記録される。そして、受光素子83からの出力信号に基づいて眼の断層画像を撮像する。すなわち、そのスペクトル情報が制御部70へと入力され、フーリエ変換を用いて解析することで、被験者眼の深さ方向における情報が計測可能となる。ここで、制御部70は、光スキャナ23により測定光を眼底上で所定の横断方向に走査することにより断層像を取得できる。例えば、X方向もしくはY方向に走査することにより、被検眼眼底のXZ面もしくはYZ面における断層像(眼底断層像)を取得できる(なお、本実施形態においては、このように測定光を眼底に対して一次元走査し、断層像を得る方式をBスキャンとする)。なお、取得された眼底断層像は、制御部70に接続されたメモリ72に記憶される。さらに、光スキャナ23の駆動を制御して、測定光をXY方向に二次元的に走査することにより、受光素子83からの出力信号に基づき被検者眼眼底のXY方向に関する二次元動画像や被検眼眼底の三次元画像を取得することも可能である。
参照ミラー31は、駆動機構50の駆動によって光軸方向に移動され、被検眼毎の眼軸長の違いに対応できるよう、その移動可能範囲が設定されている。
フォーカシングレンズ24は、駆動機構24aの駆動によって光軸方向に移動され、その移動可能範囲が設定されている。
光ファイバ38cは、駆動機構34の駆動によって回転移動され、その移動可能範囲が設定されている。光ファイバ38cは、第1移動限界位置(例えば、0°)から第2移動限界位置(例えば、180°)までの回転移動可能である。
次に、ダイクロイックミラー40の透過方向に配置されたSLO光学系(共焦点光学系)200について説明する。SLO光学系200は、被検眼眼底の正面画像を取得するための観察光学系として用いられる。SLO光学系200は、被検眼眼底を照明する照明光学系と、該照明光学系によって照明された被検眼反射光を受光素子により受光する受光光学系とに大別され、受光素子から出力される受光信号に基づいて被検眼眼底の正面画像を得る。
SLO光源61は、高コヒーレントな光を発する光源であり、例えば、λ=780nmのレーザダイオード光源が用いられる。SLO光源61から発せられるレーザ光を被検眼Eに向けて出射する光路には、被検眼の屈折誤差に合わせて光軸方向に移動可能なフォーカシングレンズ63、走査駆動機構52の駆動により眼底上でXY方向に測定光を高速で走査させることが可能なガルバノミラーとポリゴンミラーとの組み合せからなる走査部64、リレーレンズ65、対物レンズ10が配置されている。また、走査部64のガルバノミラー及びポリゴンミラーの反射面は、被検眼瞳孔と略共役な位置に配置される。
また、SLO光源61とフォーカシングレンズ63との間には、ビームスプリッタ62が配置されている。そして、ビームスプリッタ62の反射方向には、共焦点光学系を構成するための集光レンズ66と、眼底に共役な位置に置かれる共焦点開口67と、SLO用受光素子68とが設けられている。
ここで、SLO光源61から発せられたレーザ光(測定光)は、ビームスプリッタ62を透過した後、フォーカシングレンズ63を介して、走査部64に達し、ガルバノミラー及びポリゴンミラーの駆動により反射方向が変えられる。そして、走査部64で反射されたレーザ光は、リレーレンズ65を介して、ダイクロイックミラー40を透過した後、対物レンズ10を介して、被検眼眼底に集光される。
そして、眼底で反射したレーザ光は、対物レンズ10、リレーレンズ65、走査部64のガルバノミラー及びポリゴンミラー、フォーカシングレンズ63を経て、ビームスプリッタ62にて反射される。その後、集光レンズ66にて集光された後、共焦点開口67を介して、受光素子68によって検出される。そして、受光素子68にて検出された受光信号は制御部70へと入力される。制御部70は受光素子68にて得られた受光信号に基づいて被検眼眼底の正面画像を取得する。取得された正面画像はメモリ72に記憶される。なお、SLO画像の取得は、走査部64に設けられたガルバノミラーによるレーザ光の縦方向の走査(副走査)とポリゴンミラーによるレーザ光の横方向の走査(主走査)によって行われる。
固視標投影ユニット300は、眼Eの視線方向を誘導するための光学系を有する。投影ユニット300は、眼Eに呈示する固視標を有し、複数の方向に眼Eを誘導できる。例えば、固視標投影ユニット300は、可視光を発する可視光源を有し、視標の呈示位置を二次元的に変更させる。これにより、視線方向が変更され、結果的に撮像部位が変更される。例えば、撮影光軸と同方向から固視標が呈示されると、眼底の中心部が撮像部位として設定される。また、撮影光軸に対して固視標が上方に呈示されると、眼底の上部が撮像部位として設定される。すなわち、撮影光軸に対する視標の位置に応じて撮影部位が変更される。
固視標投影ユニット300としては、例えば、マトリクス状に配列されたLEDの点灯位置により固視位置を調整する構成、光源からの光を光スキャナを用いて走査させ、光源の点灯制御により固視位置を調整する構成、等、種々の構成が考えられる。また、投影ユニット300は、内部固視灯タイプであってもよいし、外部固視灯タイプであってもよい。
制御部70は、各構成100〜300の各部材など、装置全体を制御する。また、制御部70は、取得された画像を処理する画像処理部、取得された画像を解析する画像解析部、などを兼用する。制御部70は、一般的なCPU(Central Processing Unit)等で実現される。制御部70は、以下に示すように、断層画像に基づいて眼底Efを解析する。
制御部70は、OCT光学系100の検出器83から出力される受光信号に基づいて画像処理により断層画像を取得すると共に、観察光学系200の受光素子から出力される受光信号に基づいて正面画像を取得する。
メモリ(記憶部)72、表示モニタ75、操作部74は、それぞれ制御部70と電気的に接続されている。制御部70は、モニタ75の表示画面を制御する。取得された眼底画像は、モニタ75に静止画又は動画として出力される他、メモリ72に記憶される。メモリ72は、例えば、撮影された断層画像(例えば、三次元断層像)、正面画像、各断層画像の撮影位置情報等の撮影に係る各種情報を記録する。また、メモリ72は眼科撮影装置の動作を制御するための制御プログラム(眼科撮影プログラム)を記憶している。
操作部74は、検者によって操作される。操作部74には、例えば、マウス74a、トラックボール、タッチパネルなどのユーザーインターフェースが用いられる。
モニタ75は、例えば、PCに設けられたディスプレイ、眼科撮影装置に設けられたディスプレイが用いられる。もちろん、これらの組み合わせであってもよい。また、モニタ75は、タッチパネルであってもよい。なお、モニタ75がタッチパネルである場合に、モニタ75が操作部として機能する。
制御部70は、操作部74から出力される操作信号に基づいて、OCT光学系100、観察光学系200の各部材を制御する。操作部74には、検者によって操作される操作部材としてマウス74aが接続されている。
本発明は、トラッキング制御の実行の可否を判定するための評価情報を正面画像に基づいて算出する。そして、その算出結果を出力する。例えば、本実施例において、評価情報として、正面画像20の画質の評価値が出力される。
ここで、本実施例における正面画像20の画質の評価値の算出方法について説明する。なお、正面画像20の画質の良否は、正面画像20の結像状態(フォーカス状態)による影響が大きい。すなわち、フォーカスが合っている場合には、正面画像20の画質が高くなる。また、フォーカスが合っていない場合には、正面画像20の画質が低下する。なお、正面画像20の画質の良否は、フォーカス状態による影響だけに限定されない。例えば、受光素子68のゲインが低い場合(正面画像が暗い場合)や被検眼の瞼によって光がけられる場合に、正面画像20の画質が低下する。
評価値の算出において、制御部70は、受光素子68から出力される受光信号に基づいて取得されるSLO眼底像の画像データを微分処理し、微分処理した結果に基づいて微分ヒストグラム情報を取得する。すなわち、制御部70は、SLO光学系200によって取得されたSLO眼底像の画像データにエッジ抽出用(例えば、ラプラシアン変換、SOBEL等)のフィルタを掛けて輪郭画像に変換した後、輪郭画像のヒストグラムを作成する。
図2はSLO光学系200によって取得される正面画像の画像信号を微分処理した後の微分ヒストグラムの一例を示す図である。図2において、横軸は微分の絶対値(以下、微分値と省略する)d(d=1、2、・・・254)、縦軸は各微分値に対応する画素数H(d)を、画素数がピークを示した微分値における画素数H(dp)で正規化したもの((H(d)/H(dp))を百分率(%)で表記している。なお、図2のヒストグラムにおいては、端点(d=0、d=255)の2点のデータを除外している。ここで、微分値dは、輪郭画像における輝度値を255階調で表したものである。
ここで、制御部70は、前述のように取得されたヒストグラム情報において画像全体で所定の割合以上の画素数を持つ輝度値(微分値)の最大値を用いて正面画像20の画質の評価値を算出する。例えば、正面画像20の画質を評価するための評価値C1として、閾値S1(例えば、20%)以上での微分値の最大値Dmaxと最小値Dminの差を求める(C1=Dmax−Dmin)。なお、閾値S1は、ノイズによる影響を回避しつつ、正面画像の画質状態(例えば、結像状態)の変化に対して評価値C1が敏感に変化するような値に設定される。なお、本実施例において、閾値S1を20%程度に設定したのは、正面画像全体に占める範囲の少ない眼底血管部位におけるエッジの先鋭度の変化を精度良く検出するためである。また、上記において、閾値S1以上での微分値の最大値Dmaxのみを評価値C1として設定するようにしてもよい。
評価値C1は、フォーカシングレンズ63が合焦位置にあるとき(SLO眼底像のフォーカスが合っているとき)に高い値を示し、フォーカシングレンズ63が合焦位置からずれるに従って低くなっていくため、SLO眼底像のフォーカス状態(結像状態)の判定に用いることができる。すなわち、評価値C1は、正面画像20の画質が高い場合に、高い値を示し、正面画像20の画質が低下するに従って低くなっていくため、正面画像の画質の判定に用いることができる。以上のようにして、評価値が算出される。そして、算出された評価値は、正面画像評価欄90に表示される。
以上のように、被検眼画像のフォーカス状態評価値の算出に利用されるヒストグラム情報について、被検眼画像を微分処理した後の輪郭画像に基づいて取得されるヒストグラム情報は、フォーカス位置の変化によって被検眼画像のぼけの変化が大きい場合に特に有効である。
なお、本実施例において、評価値の算出は、被検眼画像を微分処理した後の輪郭画像に基づいて取得されるヒストグラム情報(第1ヒストグラム情報)に基づいて算出をしたがこれに限定されない。評価値の算出は、微分処理を介さない被検眼画像に基づいて取得されるヒストグラム情報(第2ヒストグラム情報)を用いる構成としてもよい。第2ヒストグラム情報は、フォーカス位置の変化によって被検眼画像の明るさの変化が大きい場合に特に有効である。また、第1ヒストグラム情報と第2ヒストグラム情報の組み合わせによって、評価値の算出を行う構成としてもよい。
以上のような構成を備える装置において、その制御動作について説明する。検者は、固視標投影ユニット300の固視標を注視するように被検者に指示した後、図示無き前眼部観察用カメラで撮影される前眼部観察像をモニタ75で見ながら、被検眼の瞳孔中心に測定光軸がくるように、図示無きジョイスティックを用いて、アライメント操作を行う。このようにして被検眼に対するアライメントが完了されると、SLO光学系200による被検眼眼底の正面画像(SLO眼底像)が取得されるようになり、モニタ75上に正面画像が現れる。
図3は、アライメント完了後の撮影画面の一例を示している。制御部70は、モニタ75上に、SLO光学系200によって取得された正面画像20、指標25、断層画像30、正面画像評価欄90を表示する。指標25は、正面画像20上における断層像の測定位置(取得位置)及びスキャンパターンを表す指標である。なお、アライメント完了後の状態においては、最適化制御(詳細は後述する)を行っていないため、正面画像20及び断層画像30が高感度・高解像度で表示されていない。
指標25は、正面画像20上における断層像の測定位置(取得位置)及びスキャンパターンを表す指標である。すなわち、スキャンパターンが変更されると、制御部70は、変更されたスキャンパターンに基づいて、指標の表示パターンを変更する。指標25は、モニタ75上の正面画像20上に電気的に重畳表示される。
例えば、断層画像30としては、第1断層画像30aと第2断層画像30bがモニタ75上に表示される。例えば、第1断層画像30aは、指標25を横方向(X方向)に通過する切断位置にて取得される断層像を示している。また、例えば、第2断層画像30bは、指標25を縦方向(Y方向)に通過する切断位置にて取得される断層像を示している。
正面画像評価欄90は、モニタ75上に表示されている正面画像20の画質の評価情報が表示される。正面画像20の評価情報は、後述するトラッキング制御の実行の可否を判定するために用いられる。本実施例においては、上記記載のように、評価情報として、正面画像20の画質の評価値が表示される。なお、評価情報としては、評価値に限定されない。例えば、正面画像20の各画素毎の輝度値の合算値であってもよい。また、空間周波数の分布を用いる構成としてもよい。空間周波数の分布を用いる場合、周波数成分の高低を確認すればよい。例えば、画質の状態がよい場合には、高周波成分が多くなる。
正面画像評価欄90の詳細について説明する。正面画像評価欄90は、複数の棒グラフが横方向に並列して配置された形式で構成される。この場合、各棒グラフ毎に、所定の評価値の範囲が設定されている。例えば、もっとも左側に配置された棒グラフ90aから順に、評価値の範囲が0〜29、30〜59、60〜89、90〜119、120以上、にて設定されている。そして、制御部70は、正面画像から算出された評価値がどの範囲に含まれるかを判定し、対応する棒グラフを検者が識別可能なように表示する。例えば、棒グラフの表示形式(例えば、色、模様等)を変更する。なお、棒グラフの表示形式の変更する場合には、複数の棒グラフの内、算出した評価値に対応する棒グラフのみの表示形式を変更する構成としてもよいし、対応する棒グラフ(算出した評価値)に到達するまでの全ての棒グラフを変更する構成としてもよい。本実施例においては、棒グラフの表示を算出した評価値に対応する棒グラフに到達するまでの全ての棒グラフの色を変更する構成としている(図4参照)。すなわち、例えば、算出した評価値が40であった場合には、左から3つ目までの棒グラフの色が変更される。また、本実施例において、制御部70は、棒グラフとともに評価値が何番目の棒グラフに対応するかを示すメッセージ90bを表示する。例えば、算出した評価値が1番目(評価値が0〜29)の棒グラフに対応する場合、1/5と表示される(図2の90b参照)。
なお、正面画像評価欄90の表示は、棒グラフに限定されない。正面画像評価欄90の表示は、評価値の情報が確認できる構成であればよい。例えば、評価値が数値で表わされてもよいし、異なるグラフ(例えば、円グラフ、折れ線グラフ)で表示される構成が挙げられる。
フレームFは、正面画像20を囲むように表示される。また、フレームFとともに、メッセージFMが表示される。なお、フレームF及びメッセージFMは、検者が認識可能なように表示される。例えば、フレームFやメッセージFMに色が付されて表示される。フレームF及びメッセージFMは、正面画像20の画質の良否に基づいて、フレームF及びメッセージFMの表示をするか否かが設定されている。制御部70は、正面画像20の評価値が所定の閾値以下であった場合に、フレームF及びメッセージFMを表示する。例えば、制御部70は、正面画像20より算出した評価値が0〜29の範囲内であった場合に、正面画像20の画質が低い(良好でない)と判定して、フレームF及びメッセージFMの表示をする。また、制御部70は、正面画像評価欄90の複数の棒グラフにおいて、もっとも左の棒グラフのみの色を変更して表示する。さらに、正面画像評価欄90のメッセージ90bを1/5と表示する。
なお、フレームF又はメッセージFMの表示するか否かの判定に用いられる閾値は、後述するトラッキング制御の実行が可能となるような評価値に設定されている。例えば、閾値は、予め、トラッキング制御が困難であった正面画像における評価値を算出することによって、トラッキング制御が可能となる正面画像の評価値を算出し、トラッキング制御が可能となる評価値を閾値として設定される。
検者は、アライメント完了後において、最適化制御を行うことによって、OCT光学系100及びSLO光学系200によって、検者が所望する眼底部位が高感度・高解像度で観察できるようにする。なお、本実施例において、最適化の制御は、光路長調整、フォーカス調整、偏光状態の調整(ポラライザ調整)、の制御である。なお、本実施例においては、アライメント完了後に最適化制御を行う構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。アライメント完了後に正面画像と断層画像が良好に撮影されている状態であれば、最適化制御を行うことなく撮影を行うようにしてもよい。
検者により、操作部74のマウス74aが操作され、最適化開始スイッチ(Optimizeスイッチ)が選択されると、制御部70は、最適化制御を開始するためのトリガ信号を発し、最適化の制御動作を開始する。
制御部70は、正面画像(SLO眼底画像)に対するフォーカス調整を開始する。制御部70は、受光素子68から出力される受光信号によって取得される正面画像に基づいてSLO光学系200の合焦位置情報を取得し、SLO光学系200に配置されたフォーカシングレンズ63を合焦位置に移動させる。本実施例において、OCT光学系100のフォーカス調整は、SLO光学系200のフォーカシングレンズ63の合焦位置情報に基づいて行われる。なお、合焦位置とは、観察画像として許容できる断層画像のコントラストを取得できる位置であればよく、必ずしも、フォーカス状態の最適位置である必要はない。次に、制御部70は、SLO光学系200の合焦位置情報に基づいてOCT光学系100のフォーカシングレンズ24を移動させる。制御部70は、SLO光学系200の合焦位置情報に基づいてOCT光学系100のフォーカス位置情報を取得し、フォーカシングレンズ24を合焦位置まで移動させる(断層画像に対するオートフォーカス)。ここで、制御部70は、フォーカシングレンズ63の移動位置をOCT光学系100のフォーカス位置情報として取得し、そのフォーカス位置情報に基づいて駆動機構24aを駆動制御してフォーカシングレンズ24を合焦位置まで移動させる。
例えば、制御部70は、SLO光学系200の受光光学系に配置されたフォーカシングレンズ63の位置を移動させながら評価値C1をサンプリングし、サンプリング結果により合焦状態を判定し、フォーカシングレンズ63を合焦位置に駆動させる。
例えば、制御部70は、適正なフォーカス位置を探索するべく、駆動機構63aを駆動制御して、フォーカシングレンズ63の移動可能範囲において離散的に設定された複数の移動位置にフォーカシングレンズ63を移動させ、各移動位置での正面画像を取得する。そして、制御部70は、移動位置毎に取得された正面画像それぞれの微分ヒストグラムを作成し、評価値C1をそれぞれ算出する。この場合、制御部70は、フォーカシングレンズ63を連続的に移動させていき、連続的に評価値C1を算出するようにしてもよい。
なお、本実施例においては、SLO光学系200の最適化制御として、フォーカス調整を例に挙げて説明したがこれに限定されない。SLO光学系200の最適化制御としては、受光素子68のゲインの調整や光源61の光量調整等が挙げられる。
制御部70は、合焦位置の検出動作、及び検出された合焦位置へのフォーカシングレンズ63の移動動作と並行して、第1自動光路長調整(自動粗光路長調整)を行う。
そして、フォーカス調整完了後、制御部70は、再度、参照ミラー31を光軸方向に移動させ、光路長の再調整(光路長の微調整)をする第2光路長調整を行う。第2光路長調整完了後、制御部70は、参照光の偏光状態を調節するためのポラライザ33を駆動させ、測定光の偏光状態を調整する。
以上のようにして、最適化の制御が完了されることにより、検者が所望する眼底部位が高感度・高解像度で観察できるようになる。
なお、本実施例においては、検者が所望する眼底部位を高感度・高解像度に観察するための制御として、最適化制御を用いる構成としたが、これに限定されない。以前に断層像を撮影した際の各部材の調整位置に基づいて、各部材調整を行う構成としてもよい。例えば、制御部70は、同一被検眼において異なる日時で断層像を撮影した際の各部材の調整結果をメモリ72により呼び出す。制御部70は、各部材の調整結果と同様の設定となるように、各部材の調整を行う。
制御部70は、OCT光学系100及びSLO光学系200を駆動制御して断層画像及び正面画像の各画像を1フレーム毎に取得していき、モニタ75を表示制御してモニタ75に表示される断層画像及び正面画像を随時更新する。
図4は、最適化制御後の撮影画面の一例を示す図である。図4において、最適化制御が行われることによって、正面画像20のフォーカス調整が行われ、正面画像20の画質が向上する。このため、正面画像20の評価値が高くなり、正面画像評価欄90の表示が最適化制御の前後で変更される。また、正面画像20の評価値が閾値以上となることによって、フレームF及びメッセージFMが非表示状態となる。なお、最適化制御を行った場合であっても、正面画像20の画質が向上していない場合には、図2に示されるように、正面画像評価欄90の評価値が低く表示されるとともに、フレームF及びメッセージFMが表示される。
図4に示されるように、断層画像30及び正面画像20が同一画面上に表示されたら、検者は、リアルタイムで観察されるモニタ75上の正面画像20から検者の撮影したい断層画像30の位置を設定する。ここで、検者は、マウス74aを用いて、ドラッグ操作を行うことによって、正面画像20に対して指標25を移動させていき、走査位置を設定する。
検者によって指標25が正面画像20に対して移動されると、制御部70は、随時走査位置の設定を行い、これに対応する走査位置の断層画像を取得する。そして、取得された断層画像を随時モニタ75の表示画面上に表示する。また、制御部70は、マウス74aから出力される操作信号に基づいて測定光の走査位置を変更すると共に、変更された走査位置に対応する表示位置に指標25を表示する。なお、走査位置の変更とともに、スキャンスキャンパターン設定欄35を操作部74によって選択することによって、スキャンパターンを変更することが可能である。
走査位置が指定されると、制御部70は、トラッキング制御を開始する。制御部70は、正面画像上で設定された取得位置での断層像が取得されるように光スキャナ23を制御する。そして、制御部70は、SLO光学系200によって取得される正面画像に基づいて光スキャナ23の駆動を制御し、正面画像で設定された被検眼上の取得位置に測定光のトラッキング制御を行う。
例えば、走査位置が指定されると、制御部70は、トラッキング制御の基準画像を設定する。基準画像としては、例えば、走査位置設定に、走査位置設定の信号が入力されたときの正面画像が用いられる。制御部70は、メモリ72に、走査位置を設定した際の正面画像を基準画像として、その走査位置の走査位置情報とともに記憶させる。制御部70は、SLO光学系200によって随時取得される正面画像と、取得位置の設定に用いた正面画像(基準画像)との位置ずれを画像処理により検出し、検出結果に基づいて光スキャナ23の駆動を制御し、走査位置を補正する。
例えば、位置ずれとしては、位置ずれ方向、回転ずれ、位置ずれ量が挙げられる。制御部70は、メモリ72に記憶された基準画像と現在の正面画像(比較画像)とを比較して、正面画像間における位置ずれを画像処理により検出する。制御部70は、検出した検出結果に基づいて、光スキャナ23の駆動を制御し、走査位置の補正を行う。制御部70は、走査位置の補正を逐次行っていく。すなわち、制御部70は、設定された走査位置の断層画像が取得されるように、トラッキング制御を行う。このとき、例えば、制御部70は、光スキャナ23の駆動制御によって走査位置を補正した場合、補正された走査位置に対応する位置に指標の表示位置を変化させる。
ここで、走査位置を設定した場合であっても、正面画像20の画質が低い場合において、トラッキング制御を行うことが困難となる。すなわち、基準画像と比較画像の内で少なくとも一方の正面画像の画質が低い場合に、正面画像間における位置ずれが検出できない又は精度良く位置ずれが検出できない。従って、制御部70は、走査位置を補正することが困難となり、トラッキング制御を良好に作動させることができなくなる。また、トラッキング制御が実行できた場合であっても、正面画像の画質が低いため、設定した走査位置とは、異なる位置に走査位置を補正してしまう可能性が高い。
このため、本実施例においては、制御部70は、現在の正面画像の画質の評価値を算出し、算出した評価値に基づいて、トラッキング制御の実行の可否を判定する。そして、制御部70は、その結果(フレームF、メッセージFM)をモニタ75上に表示する。また、このとき、制御部70は、トラッキング制御の作動を禁止させる。すなわち、制御部70は、検者によって走査位置が設定された場合であっても、トラッキング制御を開始しない。なお、本実施例においては、トラッキング制御の実行ができないと判定された場合において、制御部70はトラッキング制御を禁止する制御を行う構成としたがこれに限定されない。すなわち、トラッキング制御は、必ずしも禁止させる構成としなくてもよい。
図5は、最適化制御後において、正面画像の画質が低い場合の撮影画面の一例を示す図である。例えば、最適化制御後において、最適化制御を行ったにもかかわらず、正面画像の画質が低い場合や最適化制御後に被検眼が大きくずれてしまう場合がある。このような場合、正面画像20の画質が低いが低いため、図2と同様に、正面画像にフレームFやメッセージFMが表示される。
検者は、モニタ75上に表示された情報から、トラッキング制御を実行することが困難である場合に、正面画像の画質が向上するように、装置の各部材の調整、被検者の検査状態の確認を行う。
例えば、検者は、被検者の検査状態の確認として、被検者の開瞼状態や、被検者と装置との相対的な位置関係等を確認する。例えば、検者の瞼によって、光がケラレることによって、正面画像の一部が撮影されていない場合、検者は開瞼状態を確認し被検者の瞼を持ち上げることや瞼によって光がケラレないように検者は装置又は被検眼を移動させることによって、瞼によるケラレを回避する。また、被検眼の水晶体の混濁等によって光がうまく透過できないことや装置のアライメント状態が良くないことによって、正面画像が暗い場合において、検者は、装置又は被検眼を移動させることによって、混濁を避けるように調整を行う。また、被検眼が小瞳孔であり、照明光が被検眼内に照射されにくいことよって、正面画像が暗い場合に、検者は、暗所で散瞳させることや散瞳剤を使用して散瞳させることによって撮影を行う。
例えば、装置の各部材の調整としては、SLO光学系200のフォーカシングレンズ63の調整や、受光素子68のゲインの調整等が挙げられる。フォーカシングレンズ63の調整を行う場合、検者は、操作部74によって、図示無きフォーカシングレンズ63の調整スイッチを操作することによって、フォーカシングレンズ63の位置を調整する。また、受光素子68のゲインを調整する場合、検者は、操作部74によって、図示無き受光素子68の調整スイッチを操作することによって、受光素子68のゲインを高くする又は低くするように調整を行う。
図6は、各部材の調整や検査状態の確認を行い正面画像20の画質を向上させた後の撮影画面の一例を示している。各部材の調整や検査状態の確認を行い正面画像20の画質を向上させると、正面画像20に基づいて算出される評価値が高くなる。制御部70は、算出された評価値が所定の閾値以上であるか否かを判定する。制御部70は、正面画像の画質の向上によって、評価値が所定の閾値以上であった場合に、トラッキング制御の実行が可能であると判定する。制御部70は、モニタ75上のフレームF及びメッセージFMを非表示状態に制御する。また、制御部70は、上記で記載したように、正面画像評価欄90の表示を変更する。
各部材の調整や検査状態の確認を行い正面画像の画質を向上させた後、検者は、再度、最適化制御を行う。最適化制御後、検者は、トラッキング制御の実行が可能である状態となっているか否かをモニタ上にて確認する。トラッキング制御の実行が可能となっている場合において、検者は、走査位置を設定し、トラッキング制御を開始させる。なお、本実施例において、各部材の調整や検査状態の確認後に、再度、最適化制御を行う構成としたがこれに限定されない。例えば、最適化制御を行うか否かは、検者が任意に選択することが可能な構成としてもよい。
その後、検者によって図無き撮影開始スイッチが押されると、制御部70は、断層画像の撮影(取り込み)を開始する。
以上のように、検者は、一度、最適化制御(本実施例の場合、フォーカス調整)を行った正面画像に対してトラッキング制御の実行の可否が判定され、その判定結果が確認できるため、トラッキング制御を開始する前に、トラッキング制御が困難であることを認識することができる。このため、検者は、実際にトラッキング制御を行ってから、トラッキングの成否を確認する必要がなくなり、トラッキング制御を開始する前に、再調整の必要の有無を確認できるため容易に断層画像の撮影を行うことができる。また、トラッキング制御が良好に行われない可能性が低くなるため、トラッキング制御を行った後に、撮影操作のやり直しや、基準画像の再設定を行う必要がなくなる。このため、検者や被検者にとって負担が低減される。また、容易にトラッキング制御を行うことができる。
<変容例>
なお、本実施例において、正面画像の画質が低い原因を判別する構成としてもよい。制御部70は、評価情報に基づいて、トラッキング制御が実行不可能な原因を判別する。例えば、制御部70は、評価情報に基づいて、正面画像の画質が低い原因が、正面画像の明るさが不十分であるため、正面画像の鮮鋭度が不十分であるため、正面画像にケラレ(欠け)があるため、のいずれの原因であるかを判別する。
正面画像の判別方法について説明する。例えば、明るさが原因であると判別する場合に、制御部70は、正面画像の微分処理を介さない正面画像の輝度分布に基づいて取得されるヒストグラム情報(第2ヒストグラム情報)を取得する。そして、取得されたヒストグラム情報において画像全体で所定の割合以上の画素数を持つ輝度値の最大値を用いて正面画像の画質の評価値を算出する。制御部70は、算出した評価値が所定の閾値より小さい場合に、正面画像の明るさが不十分であると判別する。
例えば、鮮鋭度が原因であると判別する場合に、制御部70は、正面画像を微分処理した後の輪郭画像に基づいて取得されるヒストグラム情報(第1ヒストグラム情報)を算出する。そして、取得されたヒストグラム情報において画像全体で所定の割合以上の画素数を持つ輝度値の最大値を用いて正面画像の画質の評価値を算出する。制御部70は、算出した評価値が所定の閾値より小さい場合に、正面画像の鮮鋭度が不十分であると判別する。
例えば、正面画像のケラレが原因であると判別する場合に、制御部70は、正面画像において、各画素の輝度値を算出し、隣接する各画素間で変化すくない領域の面積を算出する。そして、制御部70は、輝度変化の少ない領域の面積が所定値以上であった場合に、正面画像にケラレが生じていると判別する。
以上のように、制御部70は、上記記載のような判別方法を用いて、正面画像の画質が低い原因を判別する。もちろん、判別手法としては、上記手法に限定されない。他の手法を用いる構成としてもよい。例えば、正面画像の明るさ、正面画像の鮮鋭度、正面画像のケラレ、のような、それぞれの正面画像の特徴を判別可能な処理方法であればよい。
なお、上記のようにして判別された判別結果は、判別結果を出力して検者に報知する構成や、判別された判別結果に基づいてトラッキング制御が実行可能となるように、各光学部材の調整を行う構成に用いることが可能である。
例えば、判別結果を出力して検者に報知する構成の場合、制御部70は、判別結果をモニタ75上に出力する。この場合、正面画像の画質が低い原因となっている情報をメッセージ等によってモニタ75上に表示する。例えば、判別結果、正面画像の画質の低い原因が明るさが不十分であると判別された場合には、その旨を表示する。検者は、このメッセージ表示を確認して、明るさを向上させるための動作を行う。例えば、明るさが不十分である場合に、検者は、受光素子68のゲインを上げることや光源61の光量を上げること等の行動を行う。このように、判別結果が出力されることによって、検者は、どの調整を行うべきか容易に再調整方法を確認することができる。
また、例えば、判別結果に基づいてトラッキング制御が実行可能となるように、各光学部材の調整を行う構成の場合、制御部70は、判別結果に基づいて、どの光学部材の調整を行うか判定をする。そして、実行不可能な原因に関する光学部材の制御を行い、光学部材の調整を行う。例えば、正面画像の画質の低い原因が明るさが不十分であると判別された場合には、制御部70は、受光素子68のゲインを上げる制御を行う。また、例えば、正面画像の画質の低い原因が正面画像の鮮鋭度(エッジ)が不十分であると判別された場合に、制御部70は、フォーカシングレンズ63を移動させる制御を行う。例えば、画像にケラレがある場合、制御部70は、ケラレの原因(例えば、瞼等)を回避するように自動アライメント調整を行う。
なお、本実施例において、モニタ75上にトラッキングの実行の可否を示す情報を表示する構成としたがこれに限定されない。検者にトラッキングの実行の可否を確認可能な出力構成であればよい。例えば、検者に対して、トラッキングが実行できない場合には、音を発生させる構成や他のPCへ情報を送信し、他のPCのモニタ上に表示する構成が挙げられる。また、制御部70がトラッキングの実行の可否の判定結果に基づいて、各部材の調整が可能なように出力する構成であればよい。例えば、トラッキングの実行の可否の判定結果が制御部70に出力され、制御部70は、判定結果に基づいて、各部材を駆動させ調整を行う。なお、本実施例において、制御部70は、装置の各部材の制御を行う他に、正面画像の評価情報算出手段、評価情報に基づいて判定を行う判定手段、評価情報算出手段による算出結果を出力する出力手段を兼ねる。
なお、本実施例において、トラッキング制御の開始のタイミングとしては、走査位置設定後に開始される構成としたがこれに限定されない。走査位置設定後、検者によって、操作部74が操作され、所定のトリガ信号が出力された場合に、トラッキング制御を開始してもよい。例えば、走査位置設定後、検者が正面画像の静止画上でライン25にポインタ21を合わせ、クリック操作を行うことによって、トラッキング制御が開始されてもよい。この場合、クリック操作が行われると、制御部70は、光スキャナ23を制御し、走査位置の補正を開始する。
また、制御部70は、トラッキング制御が実行可能であると判定した場合に、トッラキング制御を開始させる構成としてもよい。このような構成とすることによって、正面画像の画質が良好である時点で、トラッキング制御が開始できるため、利便性が高く、スムーズに且つ容易に断層画像の撮影を行うことができる。
なお、本実施例においては、評価情報(例えば、評価値)及び判定結果の情報を出力する構成としたがこれに限定されない。トラッキング制御の実行の可否を判断するための算出結果を出力する構成であればよい。例えば、算出結果としては、評価情報、判定結果、判別情報等が挙げられる。なお、算出結果を出力する際において、制御部70は、これらの算出結果の内、少なくとも1つの算出結果が出力される構成としてもよい。例えば、制御部70が算出結果として評価情報のみを出力する場合に、検者は、評価情報を確認して、トラッキング制御を実行できるか否かを判断する。また、制御部70は、算出結果として、これら複数の算出結果の組み合わせを出力する構成としてもよいし、算出結果としてすべての算出結果を出力する構成としてもよい。
なお、本実施例において、トラッキング制御に用いる基準画像を走査位置が設定された際の正面画像に設定したがこれに限定されない。基準画像を設定するタイミングとしては、種々のタイミングで設定が可能であり、基準画像は、基準画像として設定される正面画像の画質がトラッキング制御の実行が可能である正面画像に設定される構成であればよい。例えば、走査位置が設定され、所定の時間の間、トラッキング制御の実行の可能であると判定された場合に、そのときの正面画像を基準画像として設定し、トラッキング制御を開始する構成が挙げられる。
なお、本実施例において、トラッキング制御を開始した後、検者が撮影スイッチを押すと、断層画像の撮影が行われる構成としたがこれに限定されない。トラッキング制御が開始されるとともに、制御部70は、断層画像の撮影を開始する構成としてもよい。例えば、制御部70は、トラッキング制御の実行が可能であると判定した場合に、トラッキング制御を開始するとともに、撮影開始を行う。また、例えば、制御部70は、トラッキング制御を開始した後、所定の時間の間、トラッキング制御の実行の可能であると判定した場合に、断層画像の撮影を開始する。
なお、本実施例において、撮影完了後に、誤って、正面画像の画質が低いものを取得してしまった場合に、再撮影を促す旨の表示を行う構成としてもよい。例えば、制御部70は、正面画像及び断層画像を撮影した後、その正面画像に対して評価情報を取得する。そして、正面画像の画質が低い場合には、再撮影を促す旨の表示を行う。
なお、本発明は、同一被検眼において、異なる日時にて撮影された断層画像間の経過観察するための撮影(フォローアップ撮影)にも適用することが可能である。例えば、過去に撮影された断層画像と現在の断層画像とを比較したい場合に、適用できる。この場合、過去に撮影された正面画像において設定された走査位置と、同一の走査位置にて、断層画像の撮影を行うことができるように、トラッキング制御を行う。このとき、制御部70は、過去の正面画像の画質を判定して、トラッキング制御の実行の可否を判定する。トラッキング制御の実行が困難であると判定した場合、制御部70は、異なる正面画像を基準画像に設定する。例えば、過去に撮影された正面画像が複数ある場合には、その中より基準画像が設定される。例えば、複数の正面画像の内で、もっとも画質の高い正面画像をトラッキング制御の基準画像としてもよいし、複数の正面画像の内で、もっとも最近に取得された正面画像を用いる構成とてもよい。もちろん、検者によって、複数の正面画像から任意に基準画像が設定される構成としてもよい。
なお、本実施例においては、被検眼眼底の正面画像を取得するための観察光学系としてSLO光学系200を用いたが、これに限定されない。観察光学系としては、被検眼に照明光(赤外光又は可視光)を照射し、被検眼からの反射光を受光する受光素子を有し、受光素子からの受光信号に基づいて被検眼の正面画像を得るものが挙げられる。例えば、被検眼全体に照明光を照射し、被検眼からの反射光を受光素子により受光して、その受光信号に基づいて被検眼の正面画像を取得する眼底カメラが挙げられる。
なお、本実施例においては、スペクトルメータを用いたスペクトルドメインOCTを例にとって説明したが、これに限定されない。例えば、Spectral-domain OCT(SD−OCT)、Swept-source OCT(SS−OCT)が挙げられる。また、Time-domain OCT(TD−OCT)であってもよい。
なお、以上の説明においては、眼科撮影装置として、眼底撮影用の眼科撮影装置を例にとって説明したが、これに限るものではなく、被検眼の所定部位を撮影する眼科撮影装置であれば、本発明の適用が可能である。例えば、被検眼前眼部の断層画像又は正面画像を撮影する前眼部撮影装置においても本発明の適用が可能である。
なお、本発明においては、本実施例に記載した装置に限定されない。例えば、上記実施例の機能を行う眼科撮影ソフトウェア(プログラム)をネットワークや各種記憶媒体を介して、システムあるいは装置に供給する。そして、システムあるいは装置のコンピュータ(例えば、CPU等)がプログラムを読み出し、実行することも可能である。