最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係る無線基地局装置は、1または複数の無線端末装置と通信可能な無線基地局装置であって、前記無線端末装置の通信履歴を取得する通信履歴取得部と、前記無線端末装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、災害が発生すると、前記通信履歴取得部により取得された前記通信履歴および前記位置情報取得部により取得された前記位置情報のうち少なくとも一方を含む端末情報を、複数の無線基地局装置との間で情報の送受信が可能な通信装置へ送信する端末情報送信部とを備える。
このように、災害が発生すると、無線基地局装置から端末情報が自動的に送信される構成により、利用者が自身の行動を無線端末装置に入力して送信するよりも早く、当該利用者の実際の行動を示す情報を通信装置および無線基地局装置経由で他者へ通知することができる。また、災害発生後すぐ、すなわち災害発生による通信回線の輻輳が生じるよりも前に端末情報が送信される可能性が高いため、通信回線の輻輳の影響を受けることなく端末情報を良好に送信できる確率を高めることができ、かつ、通信回線の輻輳を抑制することができる。従って、災害時に有用な情報を配信することができ、かつ、通信回線の輻輳を抑制することができる。
また、利用者が自身の行動を無線端末装置に入力して送信する必要がないため、当該利用者が無線端末装置を操作できない状況であっても、当該利用者の実際の行動を示す情報を他者へ通知することができる。
(2)好ましくは、前記無線基地局装置は、さらに、前記通信履歴取得部により取得された前記通信履歴および前記位置情報取得部により取得された前記位置情報を記憶する記憶部を備え、前記端末情報送信部は、前記記憶部に記憶されている前記通信履歴および前記位置情報を用いて、災害発生タイミングから所定時間遡ったタイミングから、前記災害発生タイミングまでの間の前記端末情報を送信する。
このように、予め記憶されている情報を用いた端末情報が送信される構成により、災害発生後すぐに端末情報の送信を行うことができ、通信回線の輻輳を一層抑制することができる。また、災害発生後に無線端末装置が故障した場合など無線端末装置の通信履歴および位置情報を取得できない状況であっても、災害発生前の利用者の居場所など、利用者の安否を知るための有用な情報を他者へ通知することができる。
(3)好ましくは、前記通信履歴取得部は、前記端末情報が送信された後、新たに前記通信履歴を取得し、前記位置情報取得部は、前記端末情報が送信された後、新たに前記位置情報を取得し、前記端末情報送信部は、前記通信履歴取得部により新たに取得された前記通信履歴、および、前記位置情報取得部により新たに取得された前記位置情報のうち少なくとも一方を含む端末情報を前記通信装置へ送信する。
このような構成により、災害発生後の利用者の移動先など、利用者の行動に基づく最新の情報を他者へ通知することができる。また、異なる時刻の端末情報が複数回送信されることにより、利用者の行動に関する時系列的な情報を他者へ通知することができる。
(4)好ましくは、前記無線基地局装置は、前記通信装置とネットワークを介して接続され、かつ、自己が位置するエリアにおける災害に関するエリア情報を記憶するローカル記憶装置と接続され、前記無線基地局装置は、さらに、災害が発生すると、前記ローカル記憶装置に記憶されている前記エリア情報を取得し、取得した前記エリア情報を前記無線端末装置へ送信するエリア情報送信部を備える。
このように、被災地におけるエリア情報が自動的に送信されることにより、利用者が自らエリア情報を取得するための操作を行うよりも早く、安全な避難場所等を示す情報を当該利用者へ提供することができる。
また、上記のように、無線基地局装置は、ネットワークを介することなく接続されたローカルデータベースからエリア情報を取得して、取得したエリア情報を無線端末装置へ送信する構成であるため、ネットワークを経由する通信回線の輻輳の影響を受けることなくエリア情報を良好に送信することができ、かつ、ネットワークを経由する通信回線の輻輳を抑制することができる。
(5)好ましくは、前記エリア情報送信部は、前記エリア情報が更新される毎に、更新後の前記エリア情報を前記無線端末装置へ送信する。
このような構成により、最新のエリア情報を利用者へ提供することができるため、利用者が災害状況に応じてより安全な避難場所へ移動するなどの適切な行動を選択することができる。
(6)好ましくは、前記無線基地局装置は、さらに、自己の無線基地局装置が送信または受信する複数種類の情報を複数のグループに分類し、分類したグループ毎に優先度を設定し、前記優先度の高いグループに属する情報から優先的に送信または受信が行われるような制御を行う通信制御部を備える。
このような構成により、必要性の高い情報が確実に通知される確率を高めることができる。
(7)好ましくは、前記通信制御部は、前記制御を行った後に、自己の前記無線基地局装置を介する通信回線の輻輳の度合いが大きくなった場合、自己の前記無線基地局装置が送信または受信する複数種類の情報を、前記制御における分類と比べてさらに細かく分かれた複数のグループに分類し、分類したグループ毎に優先度を新たに設定し、前記優先度の高いグループに属する情報から優先的に送信または受信が行われるような制御を行う。
このような構成により、輻輳の度合いが悪化している場合であっても、情報をより細かく分類して優先度を設定することにより、必要性の高い情報が確実に通知される確率を高めることができる。
(8)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る情報配信装置は、1または複数の無線端末装置と通信可能な無線基地局装置との間で情報の送受信を行う情報配信装置であって、災害の発生によって前記無線基地局装置から送信される、前記無線端末装置の通信履歴および前記無線端末装置の位置情報のうち少なくとも一方を含む端末情報、を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記端末情報の一部または全部を、前記端末情報を送信した前記無線基地局装置または他の前記無線基地局装置を経由して他の前記無線端末装置へ送信する送信部とを備える。
このように、災害が発生すると、無線基地局装置から送信された端末情報が情報配信装置を介して無線端末装置へ自動的に送信される構成により、利用者が自身の行動を無線端末装置に入力して送信するよりも早く、当該利用者の実際の行動を示す情報を他者へ通知することができる。また、災害発生後すぐ、すなわち災害発生による通信回線の輻輳が生じるよりも前に端末情報が送信される可能性が高いため、通信回線の輻輳の影響を受けることなく端末情報を良好に送信できる確率を高めることができ、かつ、通信回線の輻輳を抑制することができる。従って、災害時に有用な情報を配信することができ、かつ、通信回線の輻輳を抑制することができる。
また、利用者が自身の行動を無線端末装置に入力して送信する必要がないため、当該利用者が無線端末装置を操作できない状況であっても、当該利用者の実際の行動を示す情報を他者へ通知することができる。さらに、情報配信装置が、広範囲に亘る複数の無線基地局装置から端末情報を受信し、また、広範囲に亘る無線基地局装置を端末情報の送信先とすることが可能であるため、広範な情報配信サービスを提供することができる。
(9)好ましくは、前記情報配信装置は、さらに、前記端末情報の送信元である前記無線端末装置と、前記端末情報の送信先である前記無線端末装置との対応関係を示す送信先情報に基づいて、前記受信部が受信した前記端末情報の送信先の前記無線端末装置を特定する送信先特定部を備え、前記送信部は、前記送信先特定部により特定された前記無線端末装置と通信可能な前記無線基地局装置を経由して、特定された前記無線端末装置へ前記端末情報の一部または全部を送信する。
このように、予め登録された無線端末装置へ端末情報の一部または全部が送信される構成により、端末情報の不要な送信を防ぎ、通信回線の輻輳を一層抑制することができる。
(10)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る通信システムは、1または複数の無線端末装置と通信可能な無線基地局装置と、複数の前記無線基地局装置との間で情報の送受信を行う情報配信装置とを備え、前記無線基地局装置は、災害が発生すると、前記無線端末装置の通信履歴および前記無線端末装置の位置情報のうち少なくとも一方を含む端末情報を前記情報配信装置へ送信し、前記情報配信装置は、前記無線基地局装置から受信した前記端末情報の一部または全部を、前記端末情報を送信した前記無線基地局装置または他の前記無線基地局装置を経由して他の前記無線端末装置へ送信する。
このように、災害が発生すると、無線基地局装置から端末情報が自動的に送信される構成により、利用者が自身の行動を無線端末装置に入力して送信するよりも早く、当該利用者の実際の行動を示す情報を他者へ通知することができる。また、災害発生後すぐ、すなわち災害発生による通信回線の輻輳が生じるよりも前に端末情報が送信される可能性が高いため、通信回線の輻輳の影響を受けることなく端末情報を良好に送信できる確率を高めることができ、かつ、通信回線の輻輳を抑制することができる。従って、災害時に有用な情報を配信することができ、かつ、通信回線の輻輳を抑制することができる。
また、利用者が自身の行動を無線端末装置に入力して送信する必要がないため、当該利用者が無線端末装置を操作できない状況であっても、当該利用者の実際の行動を示す情報を他者へ通知することができる。
(11)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る通信制御方法は、1または複数の無線端末装置と通信可能な無線基地局装置と、複数の前記無線基地局装置との間で情報の送受信を行う情報配信装置とを備える通信システムにおける通信制御方法であって、前記無線基地局装置が、災害が発生すると、前記無線端末装置の通信履歴および前記無線端末装置の位置情報のうち少なくとも一方を含む端末情報を前記情報配信装置へ送信するステップと、前記情報配信装置が、前記無線基地局装置から受信した前記端末情報の一部または全部を、前記端末情報を送信した前記無線基地局装置または他の前記無線基地局装置を経由して他の前記無線端末装置へ送信するステップとを含む。
このように、災害が発生すると、無線基地局装置から端末情報が自動的に送信されることにより、利用者が自身の行動を無線端末装置に入力して送信するよりも早く、当該利用者の実際の行動を示す情報を他者へ通知することができる。また、災害発生後すぐ、すなわち災害発生による通信回線の輻輳が生じるよりも前に端末情報が送信される可能性が高いため、通信回線の輻輳の影響を受けることなく端末情報を良好に送信できる確率を高めることができ、かつ、通信回線の輻輳を抑制することができる。従って、災害時に有用な情報を配信することができ、かつ、通信回線の輻輳を抑制することができる。
また、利用者が自身の行動を無線端末装置に入力して送信する必要がないため、当該利用者が無線端末装置を操作できない状況であっても、当該利用者の実際の行動を示す情報を他者へ通知することができる。
(12)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る通信制御プログラムは、1または複数の無線端末装置と通信可能な無線基地局装置において用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータに、前記無線端末装置の通信履歴および前記無線端末装置の位置情報を取得するステップと、災害が発生すると、取得した前記通信履歴および前記位置情報のうち少なくとも一方を含む端末情報を、複数の無線基地局装置との間で情報の送受信が可能な通信装置へ送信するステップとを実行させるためのプログラムである。
このように、災害が発生すると、無線基地局装置から端末情報が自動的に送信される構成により、利用者が自身の行動を無線端末装置に入力して送信するよりも早く、当該利用者の実際の行動を示す情報を通信装置および無線基地局装置経由で他者へ通知することができる。また、災害発生後すぐ、すなわち災害発生による通信回線の輻輳が生じるよりも前に端末情報が送信される可能性が高いため、通信回線の輻輳の影響を受けることなく端末情報を良好に送信できる確率を高めることができ、かつ、通信回線の輻輳を抑制することができる。従って、災害時に有用な情報を配信することができ、かつ、通信回線の輻輳を抑制することができる。
また、利用者が自身の行動を無線端末装置に入力して送信する必要がないため、当該利用者が無線端末装置を操作できない状況であっても、当該利用者の実際の行動を示す情報を他者へ通知することができる。
(13)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る通信制御プログラムは、1または複数の無線端末装置と通信可能な無線基地局装置との間で情報の送受信を行う情報配信装置において用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータに、災害の発生によって前記無線基地局装置から送信される、前記無線基地局装置と通信可能な前記無線端末装置の通信履歴および前記無線端末装置の位置情報の少なくとも一方を含む端末情報、を受信するステップと、受信した前記端末情報の一部または全部を、1または複数の無線基地局装置を経由して他の前記無線端末装置へ送信するステップとを実行させるためのプログラムである。
このように、災害が発生すると、無線基地局装置から送信された端末情報が情報配信装置を介して無線端末装置へ自動的に送信されることにより、利用者が自身の行動を無線端末装置に入力して送信するよりも早く、当該利用者の実際の行動を示す情報を他者へ通知することができる。また、災害発生後すぐ、すなわち災害発生による通信回線の輻輳が生じるよりも前に端末情報が送信される可能性が高いため、通信回線の輻輳の影響を受けることなく端末情報を良好に送信できる確率を高めることができ、かつ、通信回線の輻輳を抑制することができる。従って、災害時に有用な情報を配信することができ、かつ、通信回線の輻輳を抑制することができる。
また、利用者が自身の行動を無線端末装置に入力して送信する必要がないため、当該利用者が無線端末装置を操作できない状況であっても、当該利用者の実際の行動を示す情報を他者へ通知することができる。さらに、情報配信装置が、広範囲に亘る複数の無線基地局装置からそれぞれ送信される端末情報の受信、および、広範囲に亘る複数の無線基地局への端末情報の送信を行うことが可能であるため、利用者の行動に関する情報を、当該利用者から遠く離れた他者へ通知することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[全体構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る通信システム301は、たとえば、3GPP(Third Generation Partnership Project)で規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システム、IEEE802.11で規格化された無線LANシステム、または、このような複数種類の通信方式が混在したシステムである。通信システム301は、1または複数の無線端末装置202と、1または複数の無線基地局装置101と、データベース管理装置102と、ローカルデータベース(ローカル記憶装置)103と、情報配信装置(通信装置)104とを備える。なお、無線端末装置202は、通信システム301に含まれていなくても良い。
無線端末装置202は、LTE方式または無線LAN方式に従って無線通信を行うことにより、無線基地局装置101と通信を行い、また、無線基地局装置101およびネットワーク151を介して情報配信装置104と通信を行うことが可能である。
無線基地局装置101は、たとえばLTE基地局、無線LANのアクセスポイントまたはゲートウェイであり、情報配信装置104とネットワーク151を介して接続されている。無線基地局装置101は、たとえば、無線端末装置202の識別番号などの情報を管理するデータベースであるHLR(home location register)を有し、自己を介して行われた無線端末装置202の通信履歴を無線端末装置202から受信して保持することができる。
なお、無線基地局装置101は、自己を介して行われた無線端末装置202の通信履歴だけでなく、他の無線基地局装置101または他の装置を介して行われた無線端末装置202の通信履歴を無線端末装置202から受信することも可能である。また、無線基地局装置101は、無線端末装置202から通信履歴を受信せずに、自己を介して行われた無線端末装置202の通信履歴を直接保持しておくことも可能である。
また、無線基地局装置101は、自己と通信可能な1または複数の無線端末装置202(以下、「配下の各無線端末装置202」とも称する)の位置情報を取得する。
また、無線基地局装置101は、図示しない災害管理システム等から災害が発生したことを示す災害情報をネットワーク151経由で受信する。この災害情報は、たとえば、災害管理システムの管理者により災害が発生したと判断された場合、または、災害管理システム自身により災害が発生したと判断された場合に送信される。
無線基地局装置101は、災害情報を受信すると、無線端末装置202の通信履歴および無線端末装置202の位置情報のうち少なくとも一方を含む端末情報を生成し、生成した端末情報を、ネットワーク151を介して情報配信装置104へ送信する。なお、無線基地局装置101自身が災害の発生を検知する機能を有していても良い。
情報配信装置104は、ネットワーク151を介して複数の無線基地局装置101と通信を行うことが可能である。情報配信装置104は、無線基地局装置101から端末情報を受信すると、受信した端末情報を、当該端末情報を送信した無線基地局装置101または他の無線基地局装置101へ送信する。
詳細には、情報配信装置104は、端末情報の送信元である無線端末装置202と、当該端末情報の送信先である1または複数の無線端末装置202との対応関係を示す送信先情報を予め記憶する。なお、端末情報の送信元である無線端末装置202とは、端末情報の生成に用いられる通信履歴および位置情報の送信元である無線端末装置202である。
たとえば、送信先情報では、端末情報の送信元である無線端末装置202の識別情報と、当該端末情報の送信先である1または複数の無線端末装置202の識別情報とが対応づけられている。また、無線基地局装置101から送信される端末情報には、当該端末情報の送信元である無線端末装置202の識別情報が含まれている。
そして、情報配信装置104は、無線基地局装置101から端末情報を受信すると、受信した端末情報に含まれている識別情報、すなわち当該端末情報の送信元である無線端末装置202の識別情報を抽出する。そして、情報配信装置104は、抽出した識別情報に基づいて、当該端末情報の送信元である無線端末装置202と対応づけられている1または複数の無線端末装置202を、当該端末情報の送信先として特定する。そして、情報配信装置104は、送信先である無線端末装置202と通信可能な無線基地局装置101へ当該端末情報を送信する。そして、無線基地局装置101は、情報配信装置104から受信した端末情報を、情報配信装置104により送信先として特定された無線端末装置202へ送信する。
また、無線基地局装置101は、専用回線等によりデータベース管理装置102と接続されている。さらに、無線基地局装置101は、データベース管理装置102を介して、自己が位置するエリアにおける災害に関するエリア情報を記憶するローカルデータベース103と接続されている。
無線基地局装置101は、災害管理システム等から災害情報を受信すると、受信した災害情報をデータベース管理装置102へ送信する。データベース管理装置102は、無線基地局装置101から災害情報を受信すると、ローカルデータベース103に記憶されているエリア情報を取得する。
エリア情報には、たとえば、避難所の情報、危険物または毒物が位置する場所の情報、災害が発生したエリアをカメラ等により撮像した画像、および、地震の規模または津波の高さなど被害の状況を示す情報などが含まれる。このようなエリア情報は、たとえば、自治体が管理する図示しない更新システム等により、災害発生の有無に関わらず、定期的または不定期に更新される。
データベース管理装置102は、ローカルデータベース103に記憶されているエリア情報を取得すると、エリア情報の配信要求を生成し、エリア情報および配信要求を無線基地局装置101へ送信する。
無線基地局装置101は、データベース管理装置102からエリア情報および配信要求を受信すると、受信したエリア情報を無線端末装置202へ送信する。なお、無線基地局装置101が、データベース管理装置102を備えていてもよい。
[無線基地局装置の構成]
図2は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける無線基地局装置の構成を示す図である。
図2を参照して、無線基地局装置101は、無線受信部11と、無線送信部12と、情報処理部13と、通信制御部14とを含む。また、情報処理部13は、端末情報送信部15と、通信履歴取得部16と、位置情報取得部17と、記憶部18と、エリア情報送信部19とを有する。
(無線受信部、無線送信部および情報処理部)
無線受信部11は、無線端末装置202から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号をベースバンド信号またはIF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換し、この周波数変換した信号をデジタル信号に変換して情報処理部13へ出力する。
情報処理部13は、無線受信部11から受けたデジタル信号に対して所定の通信方式に対応した信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号の一部または全部を所定のフレームフォーマットに変換してネットワーク151側へ送信する。
また、情報処理部13は、ネットワーク151側から受信した通信データを所定のフレームフォーマットに変換した通信データまたは自ら生成した通信データに対して所定の通信方式に対応した信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号を無線送信部12へ出力する。
また、情報処理部13は、たとえばネットワーク151経由で災害管理システム等から災害情報を受信すると、自己の無線基地局装置101の配下の各無線端末装置202から受信した通信履歴および位置情報に基づいて端末情報を生成し、生成した端末情報をネットワーク151側へ送信する。なお、情報処理部13の詳細については、後述する。
無線送信部12は、情報処理部13から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線信号に周波数変換して無線端末装置202へ送信する。
(端末情報送信部、通信履歴取得部、位置情報取得部および記憶部)
情報処理部13において、通信履歴取得部16は、自己の無線基地局装置101を介して行われた無線端末装置202の通信履歴を例えば定期的に取得し、取得した通信履歴を記憶部18に保存する。
位置情報取得部17は、自己の無線基地局装置101の配下の各無線端末装置202の位置情報を例えば定期的に取得し、取得した位置情報を記憶部18に保存する。
端末情報送信部15は、災害管理システム等から災害情報を受信する。ここでは、たとえば、端末情報送信部15は、災害が発生したタイミング(以下、「災害発生タイミング」と称する)とほぼ同時刻に災害情報を受信し、受信したタイミングを災害発生タイミングとする。そして、端末情報送信部15は、災害情報を受信すると、災害発生タイミングから所定時間遡ったタイミングから、当該災害発生タイミングまでの間の通信履歴および位置情報を記憶部18から取得する。
たとえば、端末情報送信部15は、災害発生タイミングの30分前から、当該災害発生タイミングまでの期間に記憶部18に保存された通信履歴および位置情報を取得する。
なお、通信履歴取得部16により取得された通信履歴、および、位置情報取得部17により取得された位置情報には、それぞれ取得された時刻を示す時刻情報が含まれていても良い。この場合、端末情報送信部15は、当該時刻情報を用いて、記憶部18に記憶されている通信履歴および位置情報のうち、災害発生タイミングの30分前から当該災害発生タイミングまでの期間に取得された通信履歴および位置情報を選択して、記憶部18から取得することができる。
また、災害情報には、災害発生時刻が含まれていても良い。この場合、端末情報送信部15は、災害情報に含まれる災害発生時刻に対応する災害発生タイミングから所定時間遡ったタイミングから、当該災害発生タイミングまでの間に記憶部18に保存された通信履歴および位置情報を記憶部18から取得することができる。
そして、端末情報送信部15は、記憶部18から取得した通信履歴および位置情報を用いて、これら通信履歴および位置情報を含む端末情報を生成し、生成した端末情報を、ネットワーク151を介して情報配信装置104へ送信する。なお、端末情報送信部15は、通信履歴および位置情報のうちいずれか一方を含む端末情報を生成する構成であってもよい。
また、端末情報送信部15は、災害発生タイミングから例えば10分間などの所定時間が経過すると、災害発生タイミングから当該所定時間が経過するまでの間に新たに記憶部18に保存された通信履歴および位置情報を取得する。そして、端末情報送信部15は、新たに取得した通信履歴および位置情報を含む端末情報を生成し、生成した端末情報を、ネットワーク151を介して情報配信装置104へ送信する。
そして、端末情報送信部15は、上記所定時間が経過するたびに、未送信の通信履歴および位置情報を記憶部18から新たに取得し、取得した通信履歴および位置情報を含む端末情報を送信する。
また、端末情報送信部15は、災害管理システム等から端末情報の配信終了指示を受信する。この配信終了指示は、たとえば、災害管理システムの管理者により、災害が収束して平常時に近い状況になったと判断された場合、または、災害管理システム自身により災害が収束して平常時に近い状況になったと判断された場合に、災害管理システムから送信される。なお、このような配信終了指示は、災害管理システム等が情報配信装置104へ送信し、情報配信装置104から各無線基地局装置101へ送信されても良い。
そして、端末情報送信部15は、端末情報の配信終了指示を受信すると、通信履歴および位置情報の取得および端末情報の送信を終了する。
なお、本実施の形態では、端末情報送信部15は、所定時間が経過するたびに端末情報を送信するが、このような構成に限らず、端末情報送信部15は、不定期に端末情報を送信しても良い。
(エリア情報送信部)
エリア情報送信部19は、災害管理システム等から災害情報を受信する。そして、エリア情報送信部19は、災害情報を受信すると、受信した災害情報をデータベース管理装置102へ送信する。
データベース管理装置102は、エリア情報送信部19から災害情報を受信すると、ローカルデータベース103に記憶されているエリア情報を取得し、エリア情報の配信要求を生成する。そして、データベース管理装置102は、エリア情報および配信要求を、エリア情報送信部19へ送信する。そして、エリア情報送信部19は、データベース管理装置102からエリア情報および配信要求を受信すると、受信したエリア情報を、無線送信部12を介して自己の無線基地局装置101の配下の各無線端末装置202へ送信する。
また、エリア情報送信部19は、ローカルデータベース103に記憶されているエリア情報が図示しない更新システム等により更新されると、更新後のエリア情報をデータベース管理装置102から受信する。たとえば、災害発生時と比較して被害状況に変化があった場合などには、自治体等における更新システムの管理者が最新の被害情報を示す情報等を更新システムに入力する。そして、更新システムは、入力された情報に基づいて、ローカルデータベース103に記憶されているエリア情報を更新することができる。
そして、エリア情報送信部19は、データベース管理装置102から新たなエリア情報を受信すると、受信したエリア情報を、無線送信部12を介して1または複数の無線端末装置202へ送信する。
また、データベース管理装置102は、更新システム等からエリア情報の配信終了指示を受信する。このエリア情報の配信終了指示は、例えば、更新システムの管理者により災害が収束して平常時に近い状況になったと判断された場合、または、更新システム自身により災害が収束して平常時に近い状況になったと判断された場合に、更新システムから送信される。
そして、データベース管理装置102は、エリア情報の配信終了指示を受信すると、エリア情報送信部19へのエリア情報の送信を終了する。
なお、データベース管理装置102は、更新システムに限らず、たとえば無線基地局装置101からエリア情報の配信終了指示を受信することも可能である。具体的には、無線基地局装置101のエリア情報送信部19は、自己の無線基地局装置101の端末情報送信部15が災害管理システム等から端末情報の配信終了指示を受信した場合などに、エリア情報の配信終了指示をデータベース管理装置102へ送信することができる。そして、この場合も同様に、データベース管理装置102は、エリア情報の配信終了指示を受信すると、エリア情報送信部19へのエリア情報の送信を終了する。
(通信制御部)
通信制御部14は、自己の無線基地局装置101が送信または受信する複数種類の情報を複数のグループに分類し、分類したグループ毎に優先度を設定する。複数種類の情報の中には、端末情報、エリア情報、災害情報および利用者の手入力による安否情報など、災害に関連する災害関連情報と、災害に関連しないその他の情報とが含まれる。
具体的には、通信制御部14は、自己の無線基地局装置101が送信または受信する複数種類の情報を、災害関連情報が属するグループと、その他の情報が属するグループとに分類し、災害関連情報が属するグループに対して、その他の情報が属するグループよりも高い優先度を設定する。
そして、通信制御部14は、設定した優先度が高いグループに属する情報が優先的に送信または受信されるように、情報処理部13の制御を行う。
[情報配信装置の構成]
図3は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける情報配信装置の構成を示す図である。
図3を参照して、情報配信装置104は、通信部21と、情報処理部22と、通信制御部23とを含む。通信部21は、受信部24と、送信部25とを有する。情報処理部22は、送信先特定部26と、送信先記憶部27とを有する。
通信部21において、受信部24は、無線基地局装置101から送信された情報、具体的には、無線基地局装置101から送信される端末情報をネットワーク151経由で受信し、受信した端末情報を情報処理部22へ出力する。
情報処理部22において、送信先記憶部27は、無線端末装置202と、当該無線端末装置202の端末情報の送信先である1または複数の他の無線端末装置202との対応関係を示す送信先情報を記憶する。
たとえば、送信先情報には、家族同士である複数の人間がそれぞれ所有する無線端末装置202同士、または、職場が同じである複数の人間がそれぞれ所有する無線端末装置202同士が、互いに端末情報の送信先として対応づけられている。
送信先特定部26は、受信部24から端末情報を受けると、たとえば、当該端末情報に含まれる識別情報、すなわち当該端末情報の送信元である無線端末装置202を示す識別情報を抽出する。そして、送信先特定部26は、送信先記憶部27に記憶されている送信先情報を参照して、抽出した識別情報が示す無線端末装置202と対応づけられている1または複数の無線端末装置202を、当該端末情報の送信先として特定する。
送信部25は、情報処理部22から端末情報を受けて、情報処理部22の送信先特定部26により送信先として特定された無線端末装置202と通信可能な無線基地局装置101へ、ネットワーク151経由で端末情報を送信する。なお、送信部25は、受信部24により受信された端末情報の全てを送信するだけでなく、たとえば、端末情報の一部を抽出するなどの加工処理を行った後の情報を無線基地局装置101へ送信してもよい。
通信制御部23は、無線基地局装置101の通信制御部14と同様に、自己の情報配信装置104が送信または受信する複数種類の情報を複数のグループに分類し、分類したグループ毎に優先度を設定する。
具体的には、通信制御部23は、自己の情報配信装置104が送信または受信する複数種類の情報を、災害関連情報が属するグループと、その他の情報が属するグループとに分類し、災害関連情報が属するグループに対して、その他の情報が属するグループよりも高い優先度を設定する。
そして、通信制御部23は、設定した優先度が高いグループに属する情報が優先的に送信または受信されるように、通信部21の受信部24および送信部25の制御を行う。
[通信制御部による優先度の設定パターン]
図4は、本発明の実施の形態に係る通信システムの無線基地局装置における通信制御部および情報配信装置における通信制御部による、優先度の設定パターンを説明するための図である。
図2に示す無線基地局装置101の通信制御部14は、自己の無線基地局装置101を介する通信回線に輻輳が生じているか否かに応じて、以下に示す複数の設定パターンのうちのいずれかの設定パターンに従って、自己の無線基地局装置101が送信または受信する複数種類の情報の分類および優先度の設定を行う。
また、図3に示す情報配信装置104の通信制御部23は、自己の情報配信装置104を介する通信回線に輻輳が生じているか否かに応じて、以下に示す複数の設定パターンのうちのいずれかの設定パターンに従って、自己の情報配信装置104が送信または受信する複数種類の情報の分類および優先度の設定を行う。
たとえば、無線基地局装置101の通信制御部14および情報配信装置104の通信制御部23のうち、一方が複数の設定パターンのうちいずれか1つの設定パターンを選択し、選択した設定パターンを他方へ通知する。これにより、通信制御部14および通信制御部23は、同一の設定パターンに従って複数種類の情報の分類および優先度の設定を行う。
(設定パターン1)
図4(a)を参照して、通信制御部14,23は、まず、複数種類の情報を、災害関連情報が属するグループAと、その他の情報が属するグループBとに分類し、グループAに対して、グループBよりも高い優先度を設定する。
そして、通信制御部14は、グループAに属する情報すなわち災害関連情報が、その他の情報よりも優先的に送信または受信されるように、情報処理部13の制御を行う。また、通信制御部23は、グループAに属する災害関連情報が、その他の情報よりも優先的に送信または受信されるように、通信部21の制御を行う。
たとえば、通信制御部14は、送信可能な複数の情報が自己の無線基地局装置101に存在している場合、これら複数の情報のうち優先度の高いグループに属する情報から先に送信されるように情報処理部13を制御する。また、通信制御部14は、自己の無線基地局装置101に複数の情報が到着している場合、これら複数の情報のうち優先度の高いグループに属する情報から先に解析処理等が行われるように情報処理部13を制御する。
(設定パターン2)
また、通信制御部14,23は、図4(a)に示す設定パターン1に従った情報の分類および優先度の設定を行った後、通信回線の輻輳の度合いが大きくなったか否かを判断する。たとえば、通信制御部14は、自己の無線基地局装置101と、配下の各無線端末装置202との間の通信回線、および、自己の無線基地局装置101と、情報配信装置104との間の通信回線の輻輳の度合いが大きくなったか否かを判断する。また、通信制御部23は、自己の情報配信装置104と、複数の無線基地局装置101との間の各通信回線の輻輳の度合いが大きくなったか否かを判断する。
そして、通信制御部14,23は、通信回線の輻輳の度合いが大きくなったと判断した場合、グループAに属する災害関連情報を、さらに細かく分かれた複数のグループに分類する。
すなわち、図4(b)を参照して、通信制御部14,23は、グループAに属する災害関連情報を、さらに細かく分かれたグループA1とグループA2とに分類する。
グループA1には、災害関連情報のうち、たとえば、災害が発生したエリア(以下、「被災地」と称する)に位置する無線端末装置202が送受信する情報、および、被災地ではないエリア(以下、「非被災地」と称する)に位置する特殊な無線端末装置202(以下、「特殊端末」と称する)が送受信する情報が属する。なお、特殊端末202とは、たとえば、政府関係者の無線端末装置、警察または消防に関係する者の無線端末装置、医療関係者の無線端末装置、または、自衛隊関係者の無線端末装置などである。
また、グループA2には、災害関連情報のうち、たとえば、特殊端末202以外の無線端末装置202(以下、「一般端末」と称する)であって、非被災地に位置する無線端末装置202が送受信する情報が属する。
そして、通信制御部14,23は、グループA1、グループA2、グループBの順で高い優先度を設定する。
そして、通信制御部14は、設定した優先度に従って情報の送信または受信が行われるように、情報処理部13の制御を行う。また、通信制御部23は、設定した優先度に従って情報の送信または受信が行われるように、通信部21の制御を行う。
(設定パターン3)
また、通信制御部14,23は、図4(b)に示す設定パターン2に従った情報の分類および優先度の設定を行った後、通信回線の輻輳の度合いが大きくなったか否かを判断する。そして、通信制御部14,23は、通信回線の輻輳の度合いが大きくなったと判断した場合、グループA1に属する災害関連情報を、さらに細かく分かれた複数のグループに分類する。
すなわち、図4(c)を参照して、通信制御部14,23は、グループA1に属する情報を、さらに細かく分かれたグループA11と、グループA12と、グループA13とに分類する。
グループA11には、たとえば、被災地に位置する特殊端末202が送受信する情報、危険物または毒物に関する情報、および、非被災地に位置する特殊端末202が送受信する情報が属する。また、グループA12には、たとえば、被災地における危険な場所に位置する一般端末202が送受信する情報、および、被災地における安全な場所に位置する一般端末202が受信する情報が属する。また、グループA13には、たとえば、被災地における安全な場所にいる一般端末202が送信する情報が属する。
そして、通信制御部14,23は、グループA11、グループA12、グループA13、グループA2、グループBの順で高い優先度を設定する。
そして、通信制御部14は、設定した優先度に従って情報の送信または受信が行われるように、情報処理部13の制御を行う。また、通信制御部23は、設定した優先度に従って情報の送信または受信が行われるように、通信部21の制御を行う。
なお、上記のように、被災地における安全な場所に位置する一般端末202が送信する情報を、3番目に高い優先度が設定されるグループA13に分類するのに対して、被災地における安全な場所に位置する一般端末202が受信する情報を、2番目に高い優先度が設定されるグループA12に分類することにより、当該一般端末202が他者の安否情報を受信することができる確率を高めることができる。
また、通信制御部14,23は、2以上のグループに重複して属する情報については、優先度の高いグループに属するものとして送信または受信が行われるように制御する。たとえば、危険物または毒物に関連する情報であって、被災地における危険な場所に位置する一般端末202が受信する情報は、グループA11に属する情報として送信または受信される。
また、上記の設定パターン1から設定パターン3は一例であり、通信制御部14,23は、他の設定パターンに従って情報の分類および優先度の設定を行っても良い。
さらに、通信制御部14,23は、優先度の低いグループに属する情報に対しては、送信または受信が行われないように情報処理部13または通信部21を制御することが可能である。
具体的には、通信制御部14,23は、グループBに属する情報のうち、情報の送信元、情報の送信先または情報の通信容量の大きさ等に基づいて緊急性の低い情報を推定することができる。そして、通信制御部14,23は、緊急性が低い情報として推定した情報と同一の情報が繰り返し送信または受信されている場合、当該情報の送信または受信が行われないように情報処理部13または通信部21を制御することができる。
また、通信制御部14,23は、このように、緊急性の低い情報の送信または受信が行われないように情報処理部13または通信部21を制御する場合、当該情報の送信元である無線端末装置202へ、通信を控える旨の通知等を予め送信しておくことができる。
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係る通信システム301の動作について説明する。通信システム301における各装置は、シーケンス図またはフロー図の各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。これらのプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
(端末情報の送信動作)
図5は、本発明の実施の形態に係る通信システムによる端末情報の送信動作の手順を定めたシーケンス図である。
図5を参照して、まず、無線基地局装置101は、災害管理システム等から災害情報を時刻t1に受信すると(ステップS11)、時刻t1から30分前などの所定時間遡った時刻t0から時刻t1までの間に記憶部18に保存された無線端末装置202の通信履歴および位置情報を用いて、無線端末装置202の端末情報を生成する(ステップS12)。
次に、無線基地局装置101は、生成した端末情報を、ネットワーク151を介して情報配信装置104へ送信する(ステップS13)。そして、情報配信装置104は、受信した端末情報の送信先である無線端末装置202を特定し、送信先として特定した無線端末装置202へ、端末情報をネットワーク151および無線基地局装置101経由で送信する。これにより、被災地に位置する無線端末装置202の端末情報が、他の無線端末装置202へ送信される。
次に、災害情報を受信した時刻t1から10分間などの所定時間が経過したタイミングを時刻t2として、無線基地局装置101は、時刻t1から時刻t2までの間に記憶部18に保存された無線端末装置202の通信履歴および位置情報を用いて、無線端末装置202の端末情報を生成する(ステップS14)。
次に、無線基地局装置101は、ステップS13と同様に、生成した端末情報を、ネットワーク151を介して情報配信装置104へ送信する(ステップS15)。そして、情報配信装置104は、受信した端末情報の送信先である無線端末装置202を特定し、特定した無線端末装置202へ端末情報を送信する。
次に、時刻t2から10分間などの所定時間が経過したタイミングを時刻t3として、無線基地局装置101は、時刻t2から時刻t3までの間に記憶部18に保存された無線端末装置202の通信履歴および位置情報を用いて、無線端末装置202の端末情報を生成する(ステップS16)。
次に、無線基地局装置101は、ステップS13およびステップS15と同様に、生成した端末情報を、ネットワーク151を介して情報配信装置104へ送信する(ステップS17)。そして、情報配信装置104は、受信した端末情報の送信先である無線端末装置202を特定し、特定した無線端末装置202へ端末情報を送信する。
次に、時刻t3から10分間などの所定時間が経過したタイミングを時刻t4として、無線基地局装置101が時刻t3から時刻t4までの間に端末情報の配信終了指示を受信した場合(ステップS18)、無線基地局装置101は、端末情報の生成を終了する。
このように、無線基地局装置101は、端末情報の配信終了指示を受信するまでの間、所定時間が経過するたびに端末情報を生成して送信する。
(エリア情報の送信動作)
図6は、本発明の実施の形態に係る通信システムによるエリア情報の送信動作の手順を定めたシーケンス図である。
図6を参照して、まず、無線基地局装置101は、災害管理システム等から災害情報を受信すると、受信した災害情報をデータベース管理装置102へ送信する(ステップS21)。
次に、データベース管理装置102は、無線基地局装置101から災害情報を受信すると、ローカルデータベース103に記憶されているエリア情報の取得およびエリア情報の配信要求の生成を行う(ステップS22)。
次に、データベース管理装置102は、取得したエリア情報および生成した配信要求を無線基地局装置101へ送信する(ステップS23)。そして、無線基地局装置101は、データベース管理装置102からエリア情報および配信要求を受信すると、受信したエリア情報を配下の各無線端末装置202へ送信する(ステップS24)。これにより、被災地に位置する無線端末装置202の利用者は、受信されたエリア情報を確認することにより、避難に適した場所等を把握することができる。
次に、データベース管理装置102は、ローカルデータベース103に記憶されているエリア情報が更新されたか否かを確認し(ステップS25)、更新されていない場合(ステップS25において「No」)、エリア情報の送信は行わず、エリア情報が更新されたか否かの確認を繰り返す。
一方、データベース管理装置102は、エリア情報が更新された場合(ステップS25において「Yes」)、更新後のエリア情報の取得および配信要求の生成を行う(ステップS26)。
次に、データベース管理装置102は、ステップS23と同様に、取得したエリア情報および生成した配信要求を無線基地局装置101へ送信する(ステップS27)。そして、無線基地局装置101は、データベース管理装置102からエリア情報および配信要求を受信すると、受信したエリア情報を配下の各無線端末装置202へ送信する(ステップS28)。
そして、データベース管理装置102は、エリア情報の配信終了指示を受信するまでの間は、エリア情報が更新されたか否かの確認と、エリア情報が更新された場合には更新後のエリア情報の取得および配信要求の生成と、これらエリア情報および配信要求の送信とを繰り返す。そして、データベース管理装置102は、エリア情報の配信終了指示を受信すると(ステップS29)、エリア情報の取得および配信要求の生成を終了する。
(通信制御動作)
図7は、本発明の実施の形態に係る通信システムの無線基地局装置における通信制御部および情報配信装置における通信制御部による、優先度の設定および情報の送受信の制御の動作手順を定めたフロー図である。
図4および図7を参照して、まず、無線基地局装置101の通信制御部14および情報配信装置104の通信制御部23は、図4(a)に示す設定パターン1に従って、複数種類の情報をグループAとグループBとに分類し、グループAに対してグループBよりも高い優先度を設定する。そして、通信制御部14,23は、優先度の高いグループAに属する災害関連報が、グループBに属するその他の情報よりも優先して送信または受信が行われるように、無線基地局装置101の情報処理部13および情報配信装置104の通信部21をそれぞれ制御する(ステップS31)。
次に、通信制御部14,23は、設定パターン1に従った情報の分類および優先度の設定を行った後、通信回線の輻輳の度合いが大きくなったか否かを判断する(ステップS32)。そして、通信制御部14,23は、輻輳の度合いが大きくなってはいないと判断した場合(ステップS32において「No」)、ステップS31において行った、設定パターン1に従った無線基地局装置101の情報処理部13および情報配信装置104の通信部21の制御をそれぞれ継続する。
一方、通信制御部14,23は、輻輳の度合いが大きくなったと判断した場合(ステップS32において「Yes」)、図4(b)に示す設定パターン2に従って、グループAに属する情報を、グループA1とグループA2とに分類し、グループA1、グループA2、グループBの順で高い優先度を設定する。そして、通信制御部14,23は、優先度の高いグループに属する情報から優先して送信または受信が行われるように、無線基地局装置101の情報処理部13および情報配信装置104の通信部21をそれぞれ制御する(ステップS33)。
次に、通信制御部14,23は、設定パターン2に従った情報の分類および優先度の設定を行った後、通信回線の輻輳の度合いが大きくなったか否かを判断する(ステップS34)。そして、通信制御部14,23は、輻輳の度合いが大きくなってはいないと判断した場合(ステップS34において「No」)、ステップS33において行った、設定パターン2に従った無線基地局装置101の情報処理部13および情報配信装置104の通信部21の制御をそれぞれ継続する。
一方、通信制御部14,23は、輻輳の度合いが大きくなったと判断した場合(ステップS34において「Yes」)、図4(c)に示す設定パターン3に従って、グループA1に属する情報を、グループA11と、グループA12と、グループA13とに分類し、グループA11、グループA12、グループA13、グループA2、グループBの順で高い優先度を設定する。そして、通信制御部14,23は、優先度の高いグループに属する情報から優先して送信または受信が行われるように、無線基地局装置101の情報処理部13および情報配信装置104の通信部21を制御する(ステップS35)。
そして、通信制御部14,23は、たとえば、災害管理システム等から端末情報の配信終了指示を受信するまでの間、ステップS35において行った、設定パターン3に従った無線基地局装置101の情報処理部13および情報配信装置104の通信部21の制御をそれぞれ継続する。そして、通信制御部14,23は、配信終了指示を受信した場合、無線基地局装置101の情報処理部13および情報配信装置104の通信部21の制御を終了する。
なお、通信制御部14,23は、設定パターン1または設定パターン2に従った制御を行っている際に災害管理システム等から端末情報の配信終了指示が送信された場合も同様に、無線基地局装置101の情報処理部13および情報配信装置104の通信部21の制御を終了する。
ところで、上述した特許文献1に記載の情報通信システムでは、安否情報として相手に送信される情報は予め指示された避難場所等を示す情報であり、端末装置の所有者が実際にこの避難場所に避難しているか否かを示す情報は相手に送信されない。このため、当該相手は、端末装置の所有者の実際の行動を知ることができない虞がある。
一方、端末装置の所有者が自身の行動を端末装置に入力して安否情報として相手に送信する場合、災害発生から安否情報の送信までに時間がかかり、その間に当該相手が安否状況の確認のための電話等をかける可能性が高くなる。このため、通信回線の輻輳を招き、安否情報の送信自体ができない虞がある。
これに対して、本発明の実施の形態に係る通信システム301の無線基地局装置101では、通信履歴取得部16が、無線端末装置202の通信履歴を取得し、位置情報取得部17が、無線端末装置202の位置情報を取得する。また、端末情報送信部15が、災害が発生すると、通信履歴取得部16により取得された通信履歴および位置情報取得部17により取得された位置情報のうち少なくとも一方を含む端末情報を、複数の無線基地局装置202との間で情報の送受信が可能な情報配信装置104へ送信する。
このように、災害が発生すると、無線基地局装置101から端末情報が自動的に送信される構成により、利用者が自身の行動を無線端末装置202に入力して送信するよりも早く、当該利用者の実際の行動を示す情報を、情報配信装置104および無線基地局装置101経由で他者へ通知することができる。また、災害発生後すぐ、すなわち災害発生による通信回線の輻輳が生じるよりも前に端末情報が送信される可能性が高いため、通信回線の輻輳の影響を受けることなく端末情報を良好に送信できる確率を高めることができ、かつ、通信回線の輻輳を抑制することができる。従って、災害時に有用な情報を配信することができ、かつ、通信回線の輻輳を抑制することができる。
また、利用者が自身の行動を無線端末装置202に入力して送信する必要がないため、当該利用者が無線端末装置202を操作できない状況であっても、当該利用者の実際の行動を示す情報を他者へ通知することができる。
また、本発明の実施の形態に係る通信システム301の無線基地局装置101では、記憶部18が、通信履歴取得部16により取得された通信履歴および位置情報取得部17により取得された位置情報を記憶する。また、端末情報送信部15は、記憶部18に記憶されている通信履歴および位置情報を用いて、災害発生タイミングから所定時間遡ったタイミングから、当該災害発生タイミングまでの間の端末情報を送信する。
このように、予め記憶されている情報を用いた端末情報が送信される構成により、災害発生後すぐに端末情報の送信を行うことができ、通信回線の輻輳を一層抑制することができる。また、災害発生後に無線端末装置202が故障した場合など無線端末装置202の通信履歴および位置情報を取得できない状況であっても、災害発生前の利用者の居場所など、利用者の安否を知るための有用な情報を他者へ通知することができる。
また、本発明の実施の形態に係る通信システム301の無線基地局装置101では、通信履歴取得部16は、端末情報が送信された後、新たに通信履歴を取得する。また、位置情報取得部17は、端末情報が送信された後、新たに位置情報を取得する。また、端末情報送信部15は、通信履歴取得部16により新たに取得された通信履歴、および、位置情報取得部17により新たに取得された位置情報のうち少なくとも一方を含む端末情報を情報配信装置104へ送信する。
このような構成により、災害発生後の利用者の移動先など、利用者の行動に基づく最新の情報を他者へ通知することができる。また、異なる時刻の端末情報が複数回送信されることにより、利用者の行動に関する時系列的な情報を他者へ通知することができる。
また、本発明の実施の形態に係る通信システム301の無線基地局装置101は、情報配信装置104とネットワーク151を介して接続され、かつ、自己が位置するエリアにおける災害に関するエリア情報を記憶するローカルデータベース103と接続されている。また、無線基地局装置101では、エリア情報送信部19が、災害が発生すると、ローカルデータベース103に記憶されているエリア情報を取得し、取得したエリア情報を無線端末装置202へ送信する。
このように、被災地におけるエリア情報が自動的に送信されることにより、利用者が自らエリア情報を取得するための操作を行うよりも早く、安全な避難場所等を示す情報を当該利用者へ提供することができる。
また、上記のように、無線基地局装置101は、ネットワーク151を介することなく接続されたローカルデータベース103からエリア情報を取得して、取得したエリア情報を無線端末装置202へ送信する構成であるため、ネットワーク151を経由する通信回線の輻輳の影響を受けることなくエリア情報を良好に送信することができ、かつ、ネットワーク151を経由する通信回線の輻輳を一層抑制することができる。
また、本発明の実施の形態に係る通信システム301の無線基地局装置101では、エリア情報送信部19は、エリア情報が更新される毎に、更新後のエリア情報を無線端末装置202へ送信する。
このような構成により、最新のエリア情報を利用者へ提供することができるため、利用者が災害状況に応じてより安全な避難場所へ移動するなどの適切な行動を選択することができる。
また、本発明の実施の形態に係る通信システム301の無線基地局装置101では、通信制御部14が、自己の無線基地局装置101が送信または受信する複数種類の情報を複数のグループに分類し、分類したグループ毎に優先度を設定し、優先度の高いグループに属する情報から優先的に送信または受信が行われるような制御を行う。
このような構成により、必要性の高い情報が確実に通知される確率を高めることができる。
また、本発明の実施の形態に係る通信システム301の無線基地局装置101では、通信制御部14は、上記制御を行った後に、自己の無線基地局装置101を介する通信回線の輻輳の度合いが大きくなった場合、自己の無線基地局装置101が送信または受信する複数種類の情報を、上記制御における分類と比べてさらに細かく分かれた複数のグループに分類し、分類したグループ毎に優先度を新たに設定し、優先度の高いグループに属する情報から優先的に送信または受信が行われるような制御を行う。
このような構成により、輻輳の度合いが悪化している場合であっても、情報をより細かく分類して優先度を設定することにより、必要性の高い情報が確実に通知される確率を高めることができる。
また、本発明の実施の形態に係る通信システム301の情報配信装置104では、送信先特定部26が、端末情報の送信元である無線端末装置と、端末情報の送信先である無線端末装置との対応関係を示す送信先情報に基づいて、受信部24が受信した端末情報の送信先の無線端末装置202を特定する。また、送信部25が、送信先特定部26により特定された無線端末装置202と通信可能な無線基地局装置101を経由して、特定された上記無線端末装置202へ端末情報の一部または全部を送信する。
このように、予め登録された無線端末装置202へ端末情報の一部または全部が送信される構成により、端末情報の不要な送信を防ぎ、通信回線の輻輳を一層抑制することができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。