JP6158124B2 - 微生物計測システム、微生物計測方法 - Google Patents
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Description
試料中に複数種の微生物が混在している場合であっても、例えば特許文献2に開示されているように、標的微生物特異的抗体を用いて微生物を分離した後にATP法で定量することにより、標的とする微生物数を求めることができる。しかしながら、この方法では、標的以外の微生物が含まれていてもこれを検出することができない。
請求項14についても同様である。
また、請求項1、14に記載の発明によれば、求めた確率密度関数の妥当性を統計学的に検定した上で運用するので、確率分布モデル(確率密度関数)と実際の確率分布との差異を所定の範囲内に収めることができ、従来よりも精度よく管理基準値を設定し、微生物管理を行うことができる。
請求項2に記載の発明によれば、CFU計数の繰り返し測定の結果に基づき、ATP測定値の確率分布モデル(確率密度関数)の種類を選択するので、測定対象物中の平均CFU数に基づき、各微生物量における最適な確率分布モデルを設定し、従来よりも精度よく管理基準値を設定し、微生物管理を行うことができる。
請求項3に記載の発明によれば、汚染状態のATP測定値の確率密度関数を、正常状態のATP測定値の確率密度関数の係数と同じ係数を用いて決定するので、前述の、正常状態と汚染状態とで菌の状態が変わらない測定対象物のATP測定において、従来よりも精度よく管理基準値を設定し、微生物管理を行うことができる。
請求項4に記載の発明によれば、汚染状態のATP測定値の確率密度関数を、指標菌株等を用いてあらかじめ求めた、平均ATP量と標準偏差を係数として用いて決定するので、前述の、正常状態と汚染状態とで菌の状態が変わる測定対象物のATP測定において、従来よりも精度よく管理基準値を設定し、微生物管理を行うことができる。
請求項5に記載の発明によれば、ATP測定の繰り返し測定が終了した時点で、これを用いて求める確率密度関数の妥当性を確認する統計学的検定を行うのに充分量のデータが蓄積されているか検定するので、少ないデータで誤差の大きい確率分布モデルを構築するおそれがなく、従来よりも精度よく管理基準値を設定し、微生物管理を行うことができる。
請求項6に記載の発明によれば、所定期間の測定結果を用いて算出したATP測定値の確率密度関数を演算制御手段が用いるので、過去の関数と比較することができ、前述のような、ATP測定値の長期な変動を検証し、必要に応じて管理基準値を設定し直すことにより、従来よりも精度よく微生物管理を行うことができる。
請求項7に記載の発明によれば、データ入力手段を用いて入力した汚染状態のCFU数、偽陽性確率、および偽陰性確率を演算制御手段が用いるので、測定対象物毎にこれを設定して、個別の微生物管理運用ができ、従来よりも精度よく微生物管理を行うことができる。
請求項8に記載の発明によれば、ATP測定の際に、データ入力手段を用いて入力した測定対象物の種類、測定位置、試薬のロット情報などの試料に関する情報を演算制御手段が用いるので、測定結果と試料に関する情報を間違った組み合わせで記録してしまうおそれがなく、従来よりも精度よく微生物管理を行うことができる。
請求項9に記載の発明によれば、ATP測定値が管理基準値を満たすか検定した結果に基づき、警告または警報の動作を起動するので、あらかじめ設定した管理基準に則って、これを逸脱した場合にはヒトの判断を介さずに迅速な対応をとることができ、従来よりも精度よく微生物管理を行うことができる。
請求項10に記載の発明によれば、ATP測定の結果とその解析に必要な情報が、紙に印字されて出力されるので、改ざんの余地がなく、従来よりも精度よく微生物管理を行うことができる。
また、請求項11に記載の発明によれば、ATP測定の結果とその解析に必要な情報が、保護形式のデータファイルとして保存できるので、改ざんおよび損失のおそれがなく、従来よりも精度よく微生物管理を行うことができる。
請求項11に記載の発明によれば、記録、保管用のデータファイルとは別に非保護形式のデータファイルを保存できるので、これを用いて、自由に解析、考察を行うことができ、従来よりも精度よく微生物管理を行うことができる。
以下では、本発明の実施形態に係る微生物計測システムの全体構成と動作について説明した後に、本発明の微生物計測システムにおけるATP測定値の確率分布モデルと、これを用いた実際の管理基準値の設定手順および運用方法について説明する。
図1に示すように、微生物計測システム1は、後記する複数の要素からなり、液状の試料2中の微生物をフィルタ30a上に回収するろ過回収部3と、ATP法で用いる一連の試薬を分取分注する試薬分注部4と、ATP発光の発光測定を行う発光測定部5と、後述するポンプやモータの動作を制御する制御部6と、測定結果から試料2中のATP量の算出や管理基準値設定のための演算を行う演算部7と、キー操作などでデータの入力が可能なデータ入力部8と、測定結果を印字して出力する印刷部9と、測定工程の進捗状況や測定結果が表示される表示部10と、を備えて構成されている。
なお、本発明の請求項1、14における発光反応手段がろ過回収部3および試薬分注部4に、光学計測手段が発光測定部5に、演算制御手段が演算部7に、それぞれ相当する。
ろ過回収部3は、液状の試料2の中から微生物を分離・回収するものである。ろ過回収部3は、フィルタ30aを内部に有する回収容器30と、回収容器ホルダ31と、回収容器30の内容物を、フィルタ30aを介して真空引きするろ過装置32と、を備えている。
回収容器30は、これに投入される試料2に含まれる微生物を分離すると共に、この分離した微生物のATPを抽出して回収するものである。
なお、回収容器30は、微生物計測システム1内に設けられる処理ステージ100の所定の位置に着脱自在に取り付けられる。
なお、吸引ポンプ32eの駆動及び停止、並びにモータ32dの駆動及び停止は、制御部6の駆動制御部61及びろ過制御部62によって制御される。
試薬分注部4は、ノズル40と、微生物計測システム1の筐体内でノズル40を移動させるXY軸アクチュエータ41aおよびZ軸アクチュエータ41bと、ノズル40に所定量の液体を吸引させ、又は排出させるポンプ42と、試薬を貯留する試薬チューブ43および試薬チューブホルダ44と、を備えている。
発光測定部5は、反応液110a、ブランクサンプル液110b、およびATP標準試薬110cのいずれかと、ATP発光試薬110dとを受け入れて発光反応させる測定チューブ50と、測定チューブホルダ51と、これらの発光反応時の発光強度を検出する光電子増倍管等を有するフォトンカウンティングユニット52と、を備えて構成されている。
演算部7は、フォトンカウンティングユニット52から出力される「反応液のATP発光強度」の検出信号と、「ブランクサンプル液のATP発光強度」の検出信号とに基づいて、それぞれのATP発光強度同士の差分発光強度を演算する。また、演算部7は、この差分発光強度と「ATP標準試薬のATP発光強度」に基づいて、試料2中の微生物に含まれるATPの量を演算して求める。
次に、微生物計測システム1の動作及びATPの定量原理について説明する。
これにより回収容器30の内表面などに付着していた微生物もフィルタ30a上に回収される。このバッファ液としては、ATPを含まない滅菌水等が好適に使用される。
ATP消去試薬は、試薬チューブ43に配置されており(不図示)、前記の試薬分注部4のノズル40によって、回収容器30に所定量分注される。
このATP消去試薬の分注によって、微生物の細胞外に存在するATPは、より確実に消去される。このATP消去試薬としては、例えば、ATP分解酵素が挙げられる。
このATP抽出試薬の分注によって、微生物に含まれるATPが抽出されて回収容器30内に反応液110aが作製される。
このATP発光試薬110dとしては、例えば、ルシフェラーゼ・ルシフェリン試薬が挙げられる。
これにより、測定チューブ50内では反応液110aのATPと、ATP発光試薬110dの反応によって発光を生じる。
そして、この発光強度の値(データ)は、メモリ70に一旦格納される。
このATP抽出試薬の分注によって、試薬や容器由来の測定対象外となるATP、を含むブランクサンプル液110bがブランクサンプル容器に作製される。
これにより、測定チューブ50内ではブランクサンプル液110b中のATPと、ATP発光試薬110dとの反応によって発光を生じる。
そして、この発光強度の値(データ)は、メモリ70に一旦格納される。
これにより、測定チューブ50内ではATP標準試薬110c中のATPと、ATP発光試薬110dとの発光反応によって発光を生じる。
そして、この発光強度の値(データ)は、メモリ70に一旦格納される。
なお、この一連の工程に先立って、図示しないデータ入力部8を用いて、測定対象物の種類やサンプリング位置、用いた試薬のロットなど、試料2に関する情報がメモリ70に格納される。
このCFU計数工程は、本発明の実施形態における微生物計測システム1の管理基準値設定の概略を示すフローチャートを示した、図3A、図3BにおけるステップS1(以下、「図3A、図3Bにおける」の記載は適宜省略)に相当し、測定結果は、ATP測定の工程(ステップS2)とは独立に、メモリ70に格納される。
ここでは本実施形態におけるATP測定値の確率分布モデルの基本となる確率密度関数について説明する。測定対象物の状態によって主に以下の2種類のモデルのうち適切なものを選択して使用する。
本モデルは、サンプル中の菌数が少ない環境に対応する。
ATP測定値Sは、捕集した菌のATP量の和であり、次式(1)で表される。
菌に含まれるATP量Xiはそれぞれ独立にある分布に従うと考えられる。Xiの分布は菌種や菌活性の状態で変わり、また分布の中には試薬反応のばらつきなど測定装置に起因するばらつきも含まれる。本手法ではガンマ分布でXiを近似する。確率密度関数fx(x)は以下の通りである。
X0は装置のブランク測定値のばらつきに相当すると考えられ、以下の式(4)のように正規分布で近似する。
式(2)、(3)、(4)を用い、ATP量の測定値Sの確率密度関数fS(x)は次式(5)で求められる。
平均捕集菌数が多い環境では、ATP量測定値の分布はほぼ正規分布で近似できると考える。2.1節の複合ポアソン分布における平均μS=λμ、分散σS 2=λ(μ2+σ2)から、パラメータの整合性を考慮して、ATP測定値Sを次式(6)で近似する。
本実施形態の微生物計測システム1では、実際に運用を開始する前に確率モデルのパラメータを推定する必要がある。そこで、本運用前に環境が正常な状態で繰り返し測定を行い、正常状態でのパラメータを推定する。推定のために必要なデータは、培養法で測定した捕集菌数と、微生物計測システム1で測定したATP量である。
(確率モデルの検証)
推定した確率モデルについてG検定を行う。検定は菌数分布(ポアソン分布)とATP分布(複合ポアソン分布)の両方について行う。菌数分布は標本からの推定値個数が1(λ)なので、階級数4、自由度2のG検定を行う。ATP分布標本からの推定値個数は2(μ、σ)であることから、階級数4、自由度1のG検定を行う。
自由度=階級数−1−推定値個数
そして、自由度は1以上が必要なので、自由度が1以上となるように階級数を設定する。
菌数分布のほうは、階級数を3にしてもよいが、パラメータ数(推定値個数)が2の他の確率モデルを採用する可能性も考慮すると、階級数を4にしておく必要がある。
図2は、本発明の実施形態における微生物計測システム1の、偽陽性および偽陰性と管理基準値との関係を示す説明図である。
測定値Sを使い、正常状態(=帰無仮説)を有意水準ε1で右側検定する。この検定が棄却された場合、有意水準ε1で正常状態ではないと考えられる。検定が採択された場合は、「正常状態ではない」とは言い切れないということになる。
S>xc1
xc1を警告基準値とする。
λe、μe、σeを汚染状態のATP量確率分布モデルのパラメータとし、検定を行う。λeは汚染状態の菌数の想定値であり、元々培養法で基準としている菌数などを採用すればよい。μe、σeは、正常状態と菌の状態が変わっていないとするならば正常状態と同じ値を採用する。または、一般的な菌の平均ATP量、標準偏差を用いることもできる。
xc2を(11)式により求め、汚染状態の棄却域を次のように定める。
S<xc2
xc2を警報基準値とする。
続いて、実際の管理基準値設定手順について図3A、図3Bを参照しながら説明する。図3A、図3Bは、本発明の実施形態における微生物計測システム1の管理基準値設定の概略を示すフローチャートである。
これらの繰り返し測定では、CFU計数(ステップS1)とATP測定(ステップS2)は同時に行われることが望ましいが、同じ対象物の正常な状態のデータであれば、必ずしも同時に行われたものである必要はない。
ステップS4での判定がNoの場合は、CFU計数とATP測定の繰り返し測定に戻り、測定回数を増やす(ステップS5)
また、微生物管理において許容する偽陽性確率および偽陰性確率は、微生物管理の精度を定義するものであり、例えば製品そのものの検査や製品に直接暴露される環境など、汚染リスクの大きい対象物については高い精度を設定するなど、測定対象物の種類や検査の目的に応じて設定することができる。
具体的には、汚染状態の確率密度関数の係数λe、μe、σeのうち、λeに汚染状態のCFU数の想定値を入力する。一方、μe、σeは測定対象物によって以下のように設定することが望ましい。
前述のような測定対象物の場合は、そこで検出される微生物種はある程度限定される可能性が高く、正常状態の時と菌種やその構成比などの状態が変わらないまま菌数が増えていることが考えられるためである。
そこで、第二の方法として、μe、σeには、指標菌株等を用いてあらかじめ求めた、平均ATP量と標準偏差を代入する。
条件を満たす警告基準値が決定できない場合(ステップS14でNo)、複数回測定による検定で条件を満たす警告基準値を決定する(ステップS15、ステップS14)。具体的には、例えば、1時間毎に測定を行っている場合であれば、ある時刻の測定結果だけでなく、1時間毎の複数回分の測定結果を用いる(ステップS17も同様)。
条件を満たす警告基準値が決定できない場合(ステップS16でNo)、複数回測定による検定で条件を満たす警告基準値を決定する(ステップS17)。
続いて、ATP測定値の管理基準値を用いた微生物管理の実際の運用方法について図4、図5A、図5B、図6および図7を適宜参照しながら説明する。
図4は、本発明の実施形態における微生物計測システム1の運用方法の概略を示すフローチャートである。
ステップS103での判定がNoの場合、警報が作動する(ステップS104)。具体的には、表示部10に測定結果を表示する画面上や、印刷部9から出力する測定結果の報告書面上に警報メッセージを表示することなどが挙げられる(後記するステップS111で行えばよい)。また、判定をトリガーにすぐに起動する警報ブザーを備えるようにするか、測定結果をオンラインで出力し、離れた場所にいる管理作業者に通報するか、あるいは生産ラインの緊急停止が行われるようにすることなどもできる。
ステップS105での判定がNoの場合、警告を表示する(ステップS106)。具体的には、表示部10に測定結果を表示する画面上や、印刷部9から出力する測定結果の報告書面上に警告メッセージを表示することなどが挙げられる(後記するステップS111で行えばよい)。
なお、nの値はあらかじめ、データ入力部8を用いて自在に設定できるものとする。
なお、累積測定回数の初回をどれにするかは、データ入力部8を用いて自在に設定できるものとし、具体的には、管理基準値設定における繰り返し測定の初回のほか、施設のブレーク後や生産ラインの長期停止後などを新たに設定することもできる。
前述したように、表示部10には測定結果と合わせて、測定結果の2つの検定(ステップS103およびS105)の結果に基づき、警告または警報が表示される。
一方、非保護形式のデータファイルはこれを用いて、表計算ソフトなどを利用し、グラフ作成などの解析を行い、必要に応じて出力(コピー)することができ、管理作業者のデータ解析や整理に役立てることができる(符号708、709、710)。
例えば、図4の処理では、ステップS103〜S106とステップS107〜S110は、逆の順序で行ってもよいし、または、並行して行ってもよい。
2 試料
3 ろ過回収部
4 試薬分注部
5 発光測定部
6 制御部
7 演算部
8 データ入力部
9 印刷部
10 表示部
30 回収容器
30a フィルタ
31 回収容器ホルダ
32 ろ過装置
32a 吸引ヘッド
32b ナット
32c ボールネジ軸
32d モータ
32e 吸引ポンプ
40 ノズル
41a XY軸アクチュエータ
41b Z軸アクチュエータ
42 ポンプ
43 試薬チューブ
44 試薬チューブホルダ
50 測定チューブ
51 測定チューブホルダ
52 フォトンカウンティングユニット
60 試薬分注制御部
61 駆動制御部
62 ろ過制御部
70 メモリ
100 処理ステージ
110a 反応液
110b ブランクサンプル液
110c ATP標準試薬
110d ATP発光試薬
Claims (12)
- 試料中の微生物に所定の試薬を供給することによって前記微生物の細胞内のATPを発光反応させる発光反応手段と、
前記発光反応させた微生物の発光強度を計測する光学計測手段と、
前記光学計測手段で計測された発光強度の計測値を、ATP量に換算するとともに演算結果を蓄積し、統計処理を行う演算制御手段と、
を有する微生物計測システムにおいて、
前記演算制御手段は、
正常状態において平板培養法により行われたCFU計数の繰り返し測定の結果を入力する工程と、
前記CFU計数と同時期に前記発光反応手段および前記光学計測手段を用いて行われたATP測定の繰り返し測定の結果を入力する工程と、
前記CFU計数の繰り返し測定の結果に基づき、前記試料中に含まれるCFU数の確率密度関数の係数を決定する工程と、
前記ATP測定の繰り返し測定の結果に基づき、1CFUあたりに含まれるATP量の確率密度関数の係数を決定する工程と、
前記決定した2種類の確率密度関数の係数を用いて、正常状態のATP測定値の確率密度関数を決定する工程と、
前記決定した確率密度関数の妥当性について統計学的検定を行う工程と、
あらかじめ設定した汚染状態のCFU数に対応する汚染状態のATP測定値の確率密度関数を決定する工程と、
前記決定した正常状態のATP測定値の確率密度関数を用いて、あらかじめ設定した偽陽性確率以下となる警告基準値を算出する工程と、
前記決定した汚染状態のATP測定値の確率密度関数を用いて、あらかじめ設定した偽陰性確率以下となる警報基準値を算出する工程と、
ATP測定が行われる度に、ATP測定値に対し、警告基準値、警報基準値を満たすか検定する工程と、を実行する
ことを特徴とする微生物計測システム。 - 請求項1に記載の微生物計測システムにおいて、
ATP測定値の確率密度関数は、複数種類用意されており、
前記演算制御手段は、
更に、前記CFU計数の繰り返し測定の結果に基づき、ATP測定値の確率密度関数の種類を選択する工程を、実行する
ことを特徴とする微生物計測システム。 - 請求項1または2に記載の微生物計測システムにおいて、
前記演算制御手段は、
前記汚染状態のATP測定値の確率密度関数を、前記正常状態のATP測定値の確率密度関数の係数と同じ係数を用いて決定する
ことを特徴とする微生物計測システム。 - 請求項1または2に記載の微生物計測システムにおいて、
前記演算制御手段は、
前記汚染状態のATP測定値の確率密度関数を、一般的な指標菌株を用いてあらかじめ求めた、平均ATP量と標準偏差を係数として用いて決定する
ことを特徴とする微生物計測システム。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の微生物計測システムにおいて、
前記演算制御手段は、
更に、前記CFU計数とATP測定の繰り返し測定結果が、統計学的検定を実施するに充分量格納されているか検定する工程を、実行する
ことを特徴とする微生物計測システム。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の微生物計測システムにおいて、
前記演算制御手段は、
更に、所定期間の測定結果を用いて算出したATP測定値の確率密度関数を、ATP測定値の確率密度関数として用いる
ことを特徴とする微生物計測システム。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の微生物計測システムにおいて、
キー操作などでデータや管理条件の入力を行うデータ入力手段を、更に備え、
前記演算制御手段は、
更に、前記データ入力手段を用いて入力した前記汚染状態のCFU数、前記偽陽性確率、および前記偽陰性確率を用いる
ことを特徴とする微生物計測システム。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の微生物計測システムにおいて、
キー操作などでデータや管理条件の入力を行うデータ入力手段を、更に備え、
前記演算制御手段は、
更に、前記ATP測定の際に、前記データ入力手段を用いて入力した試料に関する情報を用いる
ことを特徴とする微生物計測システム。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の微生物計測システムにおいて、
前記演算制御手段は、
更に、前記ATP測定が行われる度に、ATP測定値に対し、前記警告基準値、前記警報基準値を満たすか検定する工程の結果を踏まえて、警告または警報の動作を行う工程を、実行する
ことを特徴とする微生物計測システム。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載の微生物計測システムにおいて、
測定結果の印字出力を行う印刷手段を、更に備え、
前記演算制御手段は、
更に、前記ATP測定結果とその解析に必要な情報を、前記印刷手段を用いて出力する工程を、実行する
ことを特徴とする微生物計測システム。 - 請求項1〜10のいずれか一項に記載の微生物計測システムにおいて、
前記演算制御手段は、
更に、前記ATP測定結果の解析に必要な情報を、一方は改ざん不可能な保護形式、他方は解析作業が可能な非保護形式のデータファイルとして作成する工程を、実行する
ことを特徴とする微生物計測システム。 - 試料中の微生物に所定の試薬を供給することによって前記微生物の細胞内のATPを発光反応させる発光反応手段と、
前記発光反応させた微生物の発光強度を計測する光学計測手段と、
前記光学計測手段で計測された発光強度の計測値を、ATP量に換算するとともに演算結果を蓄積し、統計処理を行う演算制御手段と、を有する微生物計測システムにおける微生物計測方法であって、
前記演算制御手段は、
正常状態において平板培養法により行われたCFU計数の繰り返し測定の結果を入力する工程と、
前記CFU計数と同時期に前記発光反応手段および前記光学計測手段を用いて行われたATP測定の繰り返し測定の結果を入力する工程と、
前記CFU計数の繰り返し測定の結果に基づき、前記試料中に含まれるCFU数の確率密度関数の係数を決定する工程と、
前記ATP測定の繰り返し測定の結果に基づき、1CFUあたりに含まれるATP量の確率密度関数の係数を決定する工程と、
前記決定した2種類の確率密度関数の係数を用いて、正常状態のATP測定値の確率密度関数を決定する工程と、
前記決定した確率密度関数の妥当性について統計学的検定を行う工程と、
あらかじめ設定した汚染状態のCFU数に対応する汚染状態のATP測定値の確率密度関数を決定する工程と、
前記決定した正常状態のATP測定値の確率密度関数を用いて、あらかじめ設定した偽陽性確率以下となる警告基準値を算出する工程と、
前記決定した汚染状態のATP測定値の確率密度関数を用いて、あらかじめ設定した偽陰性確率以下となる警報基準値を算出する工程と、
ATP測定が行われる度に、ATP測定値に対し、警告基準値、警報基準値を満たすか検定する工程と、を実行する
ことを特徴とする微生物計測方法。
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