JP6156909B2 - N型糖タンパク質の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、均一な任意のN型糖鎖をタンパク質に位置選択的に導入するN型糖タンパク質の製造方法に関する。
真核生物由来のタンパク質(酵素、抗体、ホルモンなど)は生命科学研究、医薬品などに多く使われている。これらのタンパク質は糖鎖が付加されることで機能を発現しているものが多い。
タンパク質のアミノ酸残基に結合する糖鎖としては、その結合様式により、O型糖鎖(セリン・トレオニン結合型)及びN型糖鎖(アスパラギン結合型)の二種類がある。これらの糖鎖は、タンパク質と結合することにより該タンパク質の品質管理、免疫・受容体認識、炎症、癌転移等の幅広い生命現象において様々な役割を果たしている。
特に、アスパラギン(N)結合型糖鎖は多糖からなる複雑な構造をしており、そのバリエーションも多いため、特定の糖鎖を有する均一なN型糖タンパク質を効率的に合成する技術が必要となっている。
一般に、タンパク質の大量調製は遺伝子組み換え大腸菌の培養が汎用されているが、原核生物である大腸菌はタンパク質に糖鎖を導入する機構を持たないため、この方法では糖タンパク質を合成することはできない。
それ故、これまでは真核細胞培養(例えば、ヒトのサイトカインや抗体など薬となるタンパク質の遺伝子をおもにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に組み込むこと等)により生産されてきた。しかし、真核細胞培養による製造方法では、高コストであり、また糖鎖構造が不均一でかつヒト由来のそれとは微妙に異なる糖タンパク質しか得ることができず、ヒト体内においてしばしば抗原性を有し、十分な薬理効果を示さない等の問題があり、任意の機能を有する均一な糖鎖を導入する技術が望まれている。
最近、有機合成化学的手法を用いた完全に均一な糖鎖構造を有する糖タンパク質の製造方法が報告された。当該方法は、タンパク質のN末端側の任意の場所にヒト型糖鎖を導入した短い部分ペプチドを化学合成し、チオニルエステル付加を行う一方で、末端がシステイン残基となるように残りのC末端側のペプチドを組換え大腸菌で発現させ、両ペプチド鎖をネイティブケミカルライゲーションで連結するというものである(非特許文献1)。しかし、この方法では、システイン残基よりN末端側の比較的短いペプチド鎖に糖鎖を有するタンパク質にしか適用できないという問題がある。
一方、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)が導入されたN型糖タンパク質を足掛かりにN型糖鎖を付与することにより、完全に均一な糖鎖構造を有するN型糖タンパク質を製造する方法論が知られている。当該方法は、付与したい糖鎖の還元末端をGlcNAc−オキサゾリンに変換し、Endo−M−N175Qと称される糸状菌Mucor hiemalis由来のエンドグルコシダーゼM(Endo−M)の変異体糖転移酵素を作用させ、GlcNAcが導入されたN型糖タンパク質のGlcNAcの4位に対して糖鎖を付与するというものである(非特許文献2)。しかし、原料であるGlcNAcが導入されたN型糖タンパク質は、天然由来のN型糖タンパク質をエンドグルコシダーゼH(Endo−H)で消化させるか、側鎖カルボキシ基がGlcNAcアミンとアミド結合したアスパラギン酸を用いたペプチド合成により調製する必要があり、糖鎖を有しないタンパク質に直接N型糖鎖を導入することはできなかった。
また、タンパク質のシステイン残基の側鎖チオール基やリジン残基のアミノ基に選択的に糖鎖を導入する方法が多く報告されている(非特許文献3)。しかし、その結合様式は天然のものとは大きく違うことから、目的の機能を発揮するとは限らず、また、このような非天然の構造は生体に投与した際、抗原となり得ると考えられることから、医薬品への応用には問題がある。
このような背景から、天然型のN型糖鎖をタンパク質に直接導入できる技術が強く望まれている。
一方、本発明者らは、最近、リガンドを有する三級アミンと1,3,5−トリアジン化合物と標識化合物を標的高分子(タンパク質等)と混合して反応させることで、標的高分子に標識化合物を導入するアフィニティーラベル化法を見出した(特許文献1)。当該アフィニティーラベル化法は、標識化合物として標識部位を分子構造中に含むアミン化合物を使用して、標的高分子のリガンド結合部位近傍のカルボキシ基とアミド結合を形成することにより標識化合物を導入するものである。しかし、当該アフィニティーラベル化法に使用し得るアミン化合物は、標識性の官能基を有する特定のアミンに限定されており、標識部位を有さないアミンや多官能性の糖アミン(アミノ基を有する糖鎖等)については何ら開示されていなかった。
特開2009−175139号公報
Hirano, K. et al.,Angew.Chem.Int.Ed.48,9557(2009). M.Umekawa et al.,Biochimica et Biophysica Acta,2010,1800,1203 Gamblin,D.P. et al.,Chem.Rev.109,131−163(2009)
本発明は、真核細胞培養による従来の製造方法によっては得ることが困難であった任意の均一なN型糖鎖構造がタンパク質に位置選択的に導入されたN型糖タンパク質を安価に製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、糖アミン化合物(A)とタンパク質(P)の側鎖カルボキシ基が、リガンド化合物(L)を介したアミド結合形成反応により結合したN型糖タンパク質(P+A)を合成できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、すなわち以下を含む。
[1]以下の工程を含むN型糖タンパク質の製造方法:
1)リガンド化合物(L)を第3級アミンで修飾し、修飾リガンド化合物(L’)を調製する工程;
2)前記修飾リガンド化合物(L’)と、タンパク質(P)とを混合する工程;
3)前記修飾リガンド化合物(L’)と相互作用したタンパク質(L’+P)に、1,3,5−トリアジン化合物(T)を反応させ、複合体(P+L’+T)を合成する工程;
4)さらに糖アミン化合物(A)を反応させ、N型糖タンパク質(P+A)を合成する工程。
ここで、タンパク質(P)は、側鎖及び/又はC末端にカルボキシ基を有している化合物であり、
リガンド化合物(L)は、タンパク質(P)と相互作用しうる化合物である。
[2]以下の工程を含むN型糖タンパク質の製造方法:
1)リガンド化合物(L)を第3級アミンで修飾し、修飾リガンド化合物(L’)を調製する工程;
2’)前記修飾リガンド化合物(L’)と1,3,5−トリアジン化合物(T)を反応させ、脱水縮合剤(L’+T)を合成する工程;
3’)前項2’)の脱水縮合剤(L’+T)とタンパク質(P)とを混合し、複合体(P+L’+T)を合成する工程;
4)さらに糖アミン化合物(A)を反応させ、N型糖タンパク質(P+A)を合成する工程。
ここで、タンパク質(P)は、側鎖及び/又はC末端にカルボキシ基を有している化合物であり、
リガンド化合物(L)は、タンパク質(P)と相互作用しうる化合物である。
[3]1,3,5−トリアジン化合物(T)が、下記式(I):
[式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホ基、ホスホ基、−R−R(ここで、Rは、−(C2mQ)であり、Qは、OまたはNR13であり、Rは、水素原子、アルキル基、スルホ基、ホスホ基、又はアミノ基、アンモニオ基、スルホ基若しくはホスホ基を有するアルキル基であり、R13は、アルキル基、又はアミノ基、アンモニオ基、スルホ基若しくはホスホ基を有するアルキル基であり、mは1〜30の整数であり、nは1〜120の整数である。)及び、アミノ基、アンモニオ基、スルホ基若しくはホスホ基を有するアルキル基からなる群より選ばれる置換基であり、Xは、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基、又はN−メチルモルホリニウム基である。]で表される化合物である、上記[1]または[2]記載の方法。
[4]1,3,5−トリアジン化合物(T)が、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンである、上記[1]または[2]記載の方法。
[5]リガンド化合物(L)が、ビオチン、ワルファリン、フェニトイン、フェニルブタゾン、ブコローム、アセチルサリチル酸、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、N−アセチル−L−トリプトファン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、ジアゼパム、ジギトキシン、インドメタシン、イブプロフェン、ヘキサメトニウム、デカメトニウム、及びPhos−tag(登録商標)から選ばれる構造を含む、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の方法。
[6]第3級アミンが、下記式(II):
[式中、R、R及びRのうち1つ又は2つは、リガンド化合物(L)に対して結合を形成しうる官能基を含む置換基であり、残りのR、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、−CHCOOR、又はCHCONR10(ここで、R、R、及びR10はそれぞれ独立して水素原子、又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、又は−(C2yO)14であり、R14は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はアリールアルキル基であり、yは1〜30の整数であり、zは1〜120の整数である)である]、または下記式(III):
[式中、R11は、リガンド化合物(L)に対して結合を形成しうる官能基を含む置換基であり、R15はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はアリールアルキル基である。]で表される化合物である、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の方法。
[7]糖アミン化合物(A)が、
N−アセチルグルコサミンアミン、N−アセチルガラクトサミンアミン、N−アセチルマンノサミンアミン、アロースアミン、タロースアミン、グロースアミン、グルコースアミン、アルトロースアミン、マンノースアミン、ガラクトースアミン、グルクロン酸アミン、ガラクツロン酸アミン、デオキシリボースアミン、フコースアミン、ラムノースアミン、イドースアミン、リボースアミン、リキソースアミン、キシロースアミン、アラビノースアミン、エリトロースアミン、トレオースアミン、セドヘプツロースアミン、コリオースアミン、プシコースアミン、フルクトースアミン、ソルボースアミン、タガトースアミン、リブロースアミン、キシルロースアミン、エリトルロースアミン、及びシアル酸アミンから選ばれるアノマー位にアミンが結合した単糖アミン;および
前記単糖アミンに対応する単糖から構成される糖鎖であって、還元末端のアノマー位にアミンが結合している糖鎖アミン;
前記単糖アミン又は糖鎖アミンの水酸基、アミノ基、及びカルボキシ基の少なくとも1つが、アシル化、エステル化、硫酸エステル化、及び/又はリン酸エステル化で修飾された糖アミン;及び
グルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミン、及びシアル酸から選ばれるアミノ基を有する糖
からなる群より選択される化合物である、上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の方法。
[8]タンパク質(P)が、アビジン、ストレプトアビジン、ヒト血清アルブミン、シクロオキシゲナーゼ−1、ニコチン性アセチルコリン受容体、カゼイン、α−酸性糖タンパク又はリン酸化タンパク質である、上記[1]〜[7]のいずれか1つに記載の方法。
[9]単糖アミンまたは糖鎖アミンが導入されたN型糖ストレプトアビジン。
[10]ストレプトアビジンのN末端から51番目のグルタミン酸残基の側鎖カルボキシ基に単糖アミンまたは糖鎖アミンが導入された、上記[9]記載のN型糖ストレプトアビジン。
[11]単糖アミンがN−アセチルグルコサミンアミンである、上記[9]または[10]記載のN型糖ストレプトアビジン。
[12]糖鎖アミンがラクトースアミンである、上記[9]または[10]記載のN型糖ストレプトアビジン。
本発明は、有機合成化学的手法であるため、任意の均一な構造を有するN型糖鎖をタンパク質のアミノ酸残基(側鎖カルボキシ基)に効率よく導入することができる。そのため本発明によれば、天然には存在しない(非天然型の)機能性糖鎖の結合したN型糖タンパク質を含む様々なアスパラギンまたはグルタミン結合型糖タンパク質の簡便かつ精密な合成法を提供することができる。また、糖アミン(糖鎖)を導入したいアスパラギン酸残基またはグルタミン酸残基の近傍に結合するリガンドがあれば、リガンド化合物の設計により、原理的には任意の場所に位置選択的にN型糖鎖を導入することができる。さらに、遺伝子組み換え技術により任意のアミノ酸残基をアスパラギン酸残基またはグルタミン酸残基へと変換したタンパク質は大腸菌培養により大量生産することができるので、本発明の方法と組み合わせれば、任意のN型糖タンパク質を低コストで大量生産する方法を提供することができる。これにより、抗体医薬品、エリスロポエチン等の現在臨床で使われている様々な機能を有するN型糖タンパク質性医薬品の大幅な製造コスト削減が可能となり得るという利点を有する。
さらには、グルタミン結合型糖タンパク質は細胞培養などでは合成できないため、本発明の方法によりグルタミン結合型糖タンパク質の合成が初めて可能になった。
天然のN型糖鎖はアスパラギン−X−セリン/トレオニン(Xはプロリン以外の任意のアミノ酸)というペプチド鎖領域のアスパラギンにのみ導入されるが、本発明の方法ではそのような制限はないために、任意のアスパラギン酸及び/又はグルタミン酸にN型糖鎖を導入することができる。
培養や酵素を用いた方法では、導入できる糖鎖の構造は制限されると考えられるが、それに対して本発明の方法では、糖にアミノ基が結合していれば任意の糖鎖が導入できるため、酵素や生体を用いた従来法では合成不可能な糖タンパク質も合成可能となる。
例えば、(1)違う種の生物の糖鎖や糖脂質などの糖鎖は、構造の違いにより、機能や体内動態が大きく変わることからドラッグデリバリーシステムなどにも応用可能であり、(2)アルキン・アジド、蛍光物質、放射性同位体など、機能性官能基がついた糖鎖は、ケミカルバイオロジーや体内イメージングなどにも応用可能(例:光感応性基などによる、糖鎖ターゲットタンパク質(未知のレクチン)の探索)である。
このように、本発明の方法により、機能性ネオ糖タンパク質の創成も期待できる。
本発明のN型糖タンパク質の製造方法の一例を示す模式図である。 本発明のN型糖タンパク質の製造方法の一例を示す模式図である。 本発明のN型糖タンパク質の製造方法の一例を示す模式図である。 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるストレプトアジピンへのラクトースアミンの導入の検出を示す図である。(実施例2) SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるストレプトアジピンへのN−アセチルグルコサミンアミン(GlcNAcアミン)の導入の検出を示す図である。(実施例3)
以下、本発明のN型糖タンパク質の製造方法について説明する。
本明細書において、N型糖導入の対象となるタンパク質を(P)、タンパク質に導入される糖アミン化合物を(A)と表示するものとする。
また、本発明のリガンド化合物は、タンパク質(P)と相互作用しうる化合物をいい、(L)と表示し、リガンド化合物(L)が第3級アミンで修飾された修飾リガンド化合物を(L’)と表示するものとする。
さらに、縮合剤として用いられる1,3,5−トリアジン化合物は、(T)と表示するものとする。
上記(P)、(A)、(L)、(L’)及び(T)から選ばれる2以上が反応して、共有結合、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、配位結合等、又はこれらの2以上の組合せにより結合した化合物は「+」で繋げて表示するものとする。例えば、タンパク質(P)に糖アミン化合物(A)が導入されたN型糖タンパク質は、(P+A)と表示される。
本発明において、N型糖導入の対象となるタンパク質(P)は、アスパラギン酸残基やグルタミン酸残基のようなカルボキシ基を有する酸性アミノ酸側鎖、及び/又はC末端カルボキシ基を有するものであれば特に限定されない。糖鎖を含有しないタンパク質が好ましいが、糖鎖を含有するタンパク質であってもさらに糖鎖を導入するためのカルボキシ基を有するものであれば、本発明に使用することができる。
具体的には、タンパク質(P)に相互作用するリガンド化合物(L)の存在が知られているものが好ましく、例えば、アビジン、ストレプトアビジン、血清アルブミン、シクロオキシゲナーゼ−1、ニコチン性アセチルコリン受容体、カゼイン、α1−酸性糖タンパク、リン酸化タンパク質等が挙げられるが、これら以外であっても相互作用するリガンド化合物が知られているものであれば、限定されることなく使用することができる。さらには、相互作用するリガンド化合物が本願出願時に見つかっていないタンパク質であっても、その後に公知または新規のリガンド化合物が見つかったものであれば、本発明のタンパク質(P)に使用可能である。
本発明において、N型糖タンパク質を製造する過程で必要とする「リガンド化合物(L)」とは、タンパク質(P)と相互作用しうる物質であればよく、特に限定されない。
タンパク質(P)とリガンド化合物(L)の相互作用とは、タンパク質(P)の任意の箇所にリガンド化合物(L)が、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、配位結合等、又はこれらの2以上の組合せ等による任意のアフィニティーにより可逆的に結合することを意味し、タンパク質(P)にリガンド化合物(L)が結合する箇所の近傍に側鎖及び/又はC末端のカルボキシ基が存在している態様が好ましい。
また、一つのタンパク質(P)に2種以上のリガンド化合物(L)が存在していてもよく、それぞれのリガンド化合物(L)はタンパク質(P)の異なる箇所に結合してもよい。その場合、リガンド化合物(L)を選択することにより、タンパク質(P)の異なるカルボキシ基に位置選択的にN型糖鎖を導入することが可能となる。
具体的には、タンパク質(P)が血清アルブミンの場合には、ワルファリン、フェニトイン、フェニルブタゾン、ブコローム、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、N−アセチル−L−トリプトファン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、ジアゼパム、及びジギトキシンより選択されるいずれかの薬剤又はその誘導体;アビジン、ストレプトアビジンの場合には、ビオチンまたはその誘導体;シクロオキシゲナーゼ−1の場合には、インドメタシン、イブプロフェンまたはその誘導体;ニコチン性アセチルコリン受容体の場合には、ヘキサメトニウム、デカメトニウム、アセチルコリンまたはその誘導体、カゼイン、リン酸化タンパク質の場合は、Phos−tag(登録商標)またはその誘導体等が挙げられる。
特に、血清アルブミンに対しては、3つの結合site(site1〜3)が知られており、例えば、血清アルブミンのsite1には、ワルファリン、フェニトイン、フェニルブタゾン、ブコローム、アセチルサリチル酸、site2にはイブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、N−アセチル−L−トリプトファン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、ジアゼパム、site3にはジギトキシンなどが結合することが知られており、それぞれリガンド化合物を選択することにより、位置選択的に糖鎖を導入することができる。
本発明においてタンパク質(P)に導入される「糖アミン化合物(A)」は、その構造中に少なくとも1つのアミノ基を有する糖であれば特に限定されず、単糖でも多糖であってもよく、D体であってもL体であってもよい。
糖アミン化合物(A)の起源、由来によって特に限定されることなく、天然から得られるもの、遺伝子工学的に動物細胞、植物細胞、微生物などにより合成したもの、酵素的に製造されたもの、醗酵により製造されたもの、あるいは人工的に化学合成されたものなどが包含されてよい。
例えば、N−アセチルグルコサミンアミン、N−アセチルガラクトサミンアミン、N−アセチルマンノサミンアミン、アロースアミン、タロースアミン、グロースアミン、グルコースアミン、アルトロースアミン、マンノースアミン、ガラクトースアミン、グルクロン酸アミン、ガラクツロン酸アミン、デオキシリボースアミン、フコースアミン、ラムノースアミン、イドースアミン、リボースアミン、リキソースアミン、キシロースアミン、アラビノースアミン、エリトロースアミン、トレオースアミン、セドヘプツロースアミン、コリオースアミン、プシコースアミン、フルクトースアミン、ソルボースアミン、タガトースアミン、リブロースアミン、キシルロースアミン、エリトルロースアミン、シアル酸アミン等の単糖アミン類;
これら単糖アミンに対応する単糖から構成される糖鎖であって、還元末端のアノマー位にアミンが結合している糖鎖アミン(糖鎖長の上限は特に限定されず、所望の機能が期待できるものを特に制限されることなく使用でき、例えば、2〜30個の単糖からなる糖鎖アミンから適宜選択できる。例えば、スクロースアミン、ラクツロースアミン、ラクトースアミン、N−アセチルラクトースアミン、マルトースアミン、イソマルトースアミン、トレハロースアミン、セロビオースアミン、メリビオースアミン等の二糖アミン類;ニゲロトリオースアミン、マルトトリオースアミン、メレジトースアミン、マルトトリウロースアミン、ラフィノースアミン、ケストースアミン等の三糖アミン;ニストースアミン、ニゲロテトラオースアミン、スタキオースアミン等の四糖アミン;通常2〜30個の単糖から構成されるもの、代表的には、2〜20個の単糖から構成されるオリゴ糖アミンであって、グルコース、ガラクトース、マンノース、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、フルクトースなどから選ばれる2〜30個の単糖から構成されるホモオリゴ糖アミンまたはヘテロオリゴ糖アミン(例えば、マルトオリゴ糖アミン、イソマルトオリゴ糖アミン、ラクトオリゴ糖アミン、ラクトサミンオリゴ糖アミン、N−アセチルラクトサミンオリゴ糖アミン、セロオリゴ糖アミン、メリビオオリゴ糖アミン、N−アセチルキトトリオースアミン、N−アセチルキトテトラオースアミン、N−アセチルキトペンタオースアミンなど);例えば、下記式
で表されるシアリルグリカンアミン類等の機能性糖鎖等が挙げられる。)
前記単糖アミン又は糖鎖アミンの水酸基、アミノ基、及びカルボキシ基の少なくとも1つが、アシル化(例えば、アセチル化、ベンゾイル化等)、エステル化(メチルエステル化、エチルエステル化、ベンジルエステル化等)、硫酸エステル化、及び/又はリン酸エステル化で修飾された糖アミン;
前記単糖アミン又は糖鎖アミンに機能性官能基(例えば、アルキン、アジド、ケトン、アルデヒドなどの生体直交性のある官能基、DBD−EDやカスケードブルーといった蛍光物質、ジアジリンやベンゾフェノンのような光感応性官能基、糖鎖を構成するいずれかの原子に同位体(H、18O、15N、14C、11C、123I、201Tl、67Gaなど))を導入した糖アミン;
グルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミン、シアル酸などのアミノ基を有する糖;
前記単糖アミン又は糖鎖アミンに対応する糖の任意の水酸基をアミノ基に変換した糖(この場合、アノマー位にアミンが結合していなくてもよい。)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
糖アミン化合物(A)は、個々のタンパク質(P)に1種ずつ特異的に導入してもよいし、タンパク質(P)のリガンド結合部位が2以上存在する場合には、複数の異なるものを導入してもよい。
N型糖タンパク質(P+A)の製造方法
本発明のN型糖タンパク質(P+A)は、所謂モジュール型アフィニティーラベル化法(MoAL法:図1及び2参照)に準じた方法により製造することができる(特開2009−175139号公報参照)。
すなわち、本発明のN型糖タンパク質(P+A)は、以下の1)〜4)の工程を含む方法により製造することができる(図1及び2参照)。
1)リガンド化合物(L)を第3級アミンで修飾し、修飾リガンド化合物(L’)を調製する工程;
2)前記修飾リガンド化合物(L’)と、タンパク質(P)とを混合する工程;
3)前記修飾リガンド化合物(L’)と相互作用したタンパク質(L’+P)に、1,3,5−トリアジン化合物(T)を反応させ、複合体(P+L’+T)を合成する工程;
4)さらに糖アミン化合物(A)を反応させ、N型糖タンパク質(P+A)を合成する工程。
あるいは、以下の1)、2’)、3’)及び4)の工程を含む方法によって標識化高分子化合物(P+A)を製造することもできる。
1)リガンド化合物(L)を第3級アミンで修飾し、修飾リガンド化合物(L’)を調製する工程;
2’)前記修飾リガンド化合物(L’)と1,3,5−トリアジン化合物(T)を反応させ、脱水縮合剤(L’+T)を合成する工程;
3’)前項2’)の脱水縮合剤(L’+T)とタンパク質(P)とを混合し、複合体(P+L’+T)を合成する工程;
4)さらに糖アミン化合物(A)を反応させ、N型糖タンパク質(P+A)を合成する工程。
修飾リガンド化合物(L’)が、タンパク質(P)と相互作用したタンパク質(L’+P)(図2中の(b))に1,3,5−トリアジン化合物(T)を反応させると、修飾リガンド化合物(L’)中の第3級アミンが1,3,5−トリアジン化合物(T)と反応し脱水縮合剤が形成され(図2中の(c))、次いで、タンパク質(P)のリガンド化合物(L)の結合部位の近傍に存在するカルボキシ基と反応することで、タンパク質(L’+P)と1,3,5−トリアジン化合物(T)の複合体(P+L’+T)に導くことができる(図2中の(d))。複合体(P+L’+T)において、カルボキシ基は1,3,5−トリアジン化合物(T)により活性化されており、糖アミン化合物(A)と反応させることにより、タンパク質(P)のリガンド化合物(L)の結合部位の近傍に存在するカルボキシ基に選択的に糖アミン化合物(A)を導入することができる(図2中の(e))。
また、工程2’)及び3’)のように、修飾リガンド化合物(L’)と1,3,5−トリアジン化合物(T)を反応されてまず脱水縮合剤(L’+T)を合成した後に、タンパク質(P)とを混合することにより複合体(P+L’+T)を合成することもできる。
本発明の方法において、タンパク質(P)は修飾リガンド化合物(L’)と相互作用するかぎり、二次及び/又は三次構造を有する態様であっても、熱などにより変性され二次及び/又は三次構造が破壊されたものであってもよい。
例えば、カゼイン、リン酸化タンパク質に対するPhos−tag(登録商標)の結合は、リン酸エステルへのアフィニティーを利用しており、タンパク質が三次元構造を有していても変性していても関係なく、相互作用すると考えられる。この場合、タンパク質が三次元構造を有していれば結合部位と空間的に近いカルボキシ基に糖鎖が導入され、変性していれば(完全にペプチド鎖が伸びきっていれば)タンパク質の一次構造的に近いカルボキシ基に糖鎖が導入すると考えられる(図3参照)。すなわち、いったんタンパク質を変性させた後に、一次構造上近いカルボキシ基に選択的に糖鎖を導入し、次いで、再折り畳み(リフォールディング)し、糖タンパク質を合成することが可能であり、糖鎖導入位置のデザインの幅が大きく広がる。
上記各工程は、適当な溶媒中で行うことができる。溶媒としては水又は適切なpHに設定された緩衝液が挙げられる。修飾リガンド化合物(L’)や1,3,5−トリアジン化合物(T)、又は脱水縮合剤(L’+T)及び糖アミン化合物(A)を溶かすために、少量のメタノール、エタノールあるいはアセトニトリル、アセトンなどの水と混和する溶媒を用いてもよいが、タンパク質(P)が変性しない溶媒であることが必要である。有機溶媒を用いる場合であっても、5%(容量パーセント)未満の濃度が好適である。
本発明において、「1,3,5−トリアジン化合物(T)」は、1,3,5−トリアジン環を基本骨格とする化合物であり、好ましくは、以下の式(I)で表される化合物である。1,3,5−トリアジン化合物(T)は、水溶性であることが好ましいが、両親媒性や脂溶性であってもよい。
[式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホ基、ホスホ基、−R−R(ここで、Rは、−(C2mQ)であり、Qは、OまたはNR13であり、Rは、水素原子、アルキル基、スルホ基、ホスホ基、又はアミノ基、アンモニオ基、スルホ基若しくはホスホ基を有するアルキル基であり、R13は、アルキル基、又はアミノ基、アンモニオ基、スルホ基若しくはホスホ基を有するアルキル基であり、mは1〜30の整数であり、nは1〜120の整数である。)及び、アミノ基、アンモニオ基、スルホ基若しくはホスホ基を有するアルキル基からなる群より選ばれる置換基であり、Xは、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基、又はN−メチルモルホリニウム(NMM)基である。]
上記において、アルキル基は、炭素数1〜30とすることができ、より好適には1〜20であり、特に好適には1〜6であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基等が挙げられる。
アリール基は、芳香族性を有する基で、炭化水素だけで構成されていても、酸素や窒素や硫黄のようなヘテロ原子を含んでいてもよく、環のサイズは5員環でも6員環でも、7員環でもそれ以外の大きさでもよい。また、いくつかの環が縮環していてもよい。例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ピリジル基、イミダゾリル基等が挙げられる。
アミノ基、アンモニオ基、スルホ基及びホスホ基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、上記アルキル基、アリール基等が挙げられる。アミノ基、アンモニオ基、及びホスホ基において、置換基が2以上ある場合は、当該置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
「置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基」の置換基としては、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子)が挙げられる。置換基数は1〜5、好ましくは1〜3であり、置換基が2以上ある場合は、当該置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
「置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基」の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ハロアルキル基等が挙げられる。置換基数は1〜5、好ましくは1〜3であり、置換基が2以上ある場合は、当該置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数2〜5のヒドロキシアルキル基、−(CHCHO)12(ここで、nは1〜120の整数であり、そしてR12は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、スルホ基、ホスホ基又はアミノ基、アンモニオ基、スルホ基、若しくはホスホ基等を有するアルキル基である)、−(CHCHNR13’H(ここで、nは1〜120の整数であり、そしてR13’は、炭素数が2〜5のアルキル基、N,N−ジアルキルアミノアルキル基、又は−CHCH(CHである)、−CHCHSO 、−CHCH(CHであり、Xは塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基、又はNMM基である。
1,3,5−トリアジン化合物として具体的には、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(CDMT)、第4級アンモニウム塩である4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM)が挙げられ、最も好ましくはCDMTである。
1,3,5−トリアジン化合物(T)は、自体公知の方法により合成することができ、例えば国際公開第2000/053544号パンフレット、国際公開第2005/075442号パンフレット等に記載の方法により合成することができる。得られた1,3,5−トリアジン化合物(T)は、当業者が通常用いる手段によって、分離・精製することができる。例えば、反応終了後、反応液に有機溶媒を加え、得られた1,3,5−トリアジン化合物(T)を有機層に抽出したり、自体公知のクロマトグラフィーなどの分画法により精製することができる。
本発明において、「第3級アミン」はリガンド化合物(L)を修飾し、修飾リガンド化合物(L’)を調製するために用いられる。第3級アミンの構造は、リガンド化合物(L)と結合を形成するための官能基を有するものであればよく特に限定されない。修飾は、該リガンド化合物(L)の分子構造の適切な部位に共有結合を介して第3級アミンを導入することによって行うことができる。
第3級アミンの具体例としては、以下の式(II)で示される化合物が挙げられる。
式中、R、R及びRのうち1つ又は2つは、タンパク質(P)と相互作用しうるリガンド化合物(L)に対して結合を形成し、これを修飾することが可能な官能基を含む置換基であり、リガンド化合物(L)はその官能基を介して第3級アミンと直接結合していてもよいし、アルキル基やエチレングリコール等からなる適当な長さのリンカーと呼ばれる鎖を挟んでいてもよい。前記官能基を介してリガンド化合物(L)と第3級アミンとの間に形成される結合として、例えば、炭素鎖、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、チオアミド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香環、カルバミン酸エステル結合、ウレア結合、リン酸エステル結合、リン酸アミド結合、スルホンエステル結合、スルホンアミド結合などが挙げられる。従ってこれらの結合を形成するための前記官能基として、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、カルボニル基、ハロゲン原子、メルカプト基、スルホ基等の含硫官能基、アジド基、アルキニル基、アルケニル基、アリール基、ホスフィン基、ホスホ基等の含リン官能基、酸性度の高い炭素−水素結合などが挙げられる。これら官能基は、アルキル基、アリール基、又はこれらの2以上から構成される基を介して第3級アミンの窒素原子に結合することができる。
そして、残りのR、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、−CHCOOR、CHCONR10(ここで、R、R、及びR10はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、又は−(C2yO)14であり、R14は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はアリールアルキル基であり、yは1〜30の整数であり、zは1〜120の整数である)である。
ここで、アルキル基は、炭素数1〜30とすることができ、より好適には1〜20であり、特に好適には1〜6であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基等が挙げられる。
アルケニル基は、炭素2〜30とすることができ、より好適には2〜20であり、特に好適には2〜6であり、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
アルキニル基は、炭素2〜30とすることができ、より好適には2〜20であり、特に好適には2〜6であり、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−メチル−1−プロピニル基、2−メチル−3−プロピニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。
アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基は、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、酸素官能基(例、ヒドロキシ基)、窒素官能基(例、ニトロ基、アミノ基)等で置換されていても良い。置換基数は1〜5、好ましくは1〜3であり、置換基が2以上ある場合は、当該置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
アリール基は、芳香族性を有する基で、フェニル基のように炭化水素だけで構成されていても、酸素や窒素や硫黄のようなヘテロ原子を含んでいてもよく、環のサイズは5員環でも6員環でも、7員環でもそれ以外の大きさでもよい。また、いくつかの環が縮環していてもよい。例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ピリジル基、イミダゾリル基等が挙げられる。アリール基は、アルキル基、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ハロアルキル基等で置換されていてもよい。置換基数は1〜5、好ましくは1〜3であり、置換基が2以上ある場合は、当該置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
第3級アミンの別の例としてまた、式(III)に示すように塩基性の低いモルホリン環を有する化合物が挙げられる。ここでR11はリガンド化合物(L)と結合を形成し、これを修飾するための官能基を含む置換基であり、R15はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はアリールアルキル基である。
リガンド化合物(L)と結合を形成しうる官能基を含む置換基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及びアリールアルキル基は、前記式(II)における説明と同義である。
以下、本発明のN型糖タンパク質(P+A)の製造方法における、各工程について詳述する。上記において、各工程の前後に、更に必要な処理工程を設けてもよい。また、工程3)及び4)または工程3’)及び4)は、必要に応じて順序を逆にしても良いし、同時に行ってもよい。
1)リガンド化合物(L)を第3級アミンで修飾し、修飾リガンド化合物(L’)を調製する工程
リガンド化合物(L)の第3級アミンによる修飾は、化学構造により導入部位、導入方法が適宜決定される。
例えば、炭素鎖、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、チオアミド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香環、カルバミン酸エステル結合、ウレア結合、リン酸エステル結合、リン酸アミド結合、スルホンエステル結合、スルホンアミド結合等を形成する方法は、例えば、実験化学講座(第5版、2007年、日本化学会編集、丸善株式会社)の14巻(有機化合物の合成IIアルコール・アミン)、15巻(有機化合物の合成IIIアルデヒド・ケトン・キノン)、16巻(有機化合物の合成IVカルボン酸・アミノ酸・ペプチド)、18巻(有機化合物の合成VI金属を用いる有機合成)等に記載されているこれらの結合を形成する方法に準じて行うことができる。
1以上のリンカーを介してリガンド化合物(L)と第3級アミンを結合する場合は、リガンド化合物(L)及び/又は第3級アミンをまずリンカーと上記結合形成方法により結合させた後に、同様の結合形成方法を繰り返すことによって行ってもよい。
2)タンパク質(P)及び修飾リガンド化合物(L’)を混合する工程
本発明において、タンパク質(P)と修飾リガンド化合物(L’)を混合する工程は、タンパク質(P)を含む水溶液に修飾リガンド化合物(L’)を混ぜ、両化合物が結合又は結合解離の平衡状態になるまでの間、攪拌、放置、インキュベーションなどにより一定時間おき、相互作用させることによる。水溶液の溶媒、タンパク質(P)と修飾リガンド化合物(L’)の濃度の割合、本工程の温度、及び時間は、各々の化合物について適宜決定することができる。
3)修飾リガンド化合物(L’)と相互作用したタンパク質(L’+P)に、1,3,5−トリアジン化合物(T)を反応させ、複合体(P+L’+T)を合成する工程
本発明において、1,3,5−トリアジン化合物(T)を上記2)でタンパク質(P)と修飾リガンド化合物(L’)の相互作用により得られるタンパク質(L’+P)に反応させる工程により、1,3,5−トリアジン化合物(T)が該修飾リガンド化合物(L’)中の第3級アミンに結合して脱水縮合剤となる。タンパク質(P)上のカルボキシ基がこの1,3,5−トリアジン化合物の近傍に存在することでトリアジン環を攻撃し、トリアジンが第3級アミンからカルボキシ基へ移る。その結果、カルボキシ基が活性エステル(アシルオキシトリアジン又はトリアジニルエステルという。)の形で活性化され、最後に後述する4)の工程で、糖アミン化合物(A)のアミノ基がこの活性エステルを攻撃し、カルボキシ基とアミド結合により結合する(図1および2参照)。
1,3,5−トリアジン化合物(T)は、タンパク質(P)と修飾リガンド化合物(L’)を相互作用させた後に加えることができ、複合体(P+L’+T)を合成することができる。
上記3)の工程は、得られた水溶液に1,3,5−トリアジン化合物(T)水溶液又は1,3,5−トリアジン化合物を含むメタノールなど有機溶媒の溶液を加えることによることができる。トリアジン化合物の濃度、本工程の反応温度、及び反応時間は、適宜決定することができる。
2’)修飾リガンド化合物(L’)と1,3,5−トリアジン化合物(T)を反応させ、脱水縮合剤(L’+T)を合成する工程、及び
3’)脱水縮合剤(L’+T)とタンパク質(P)とを混合し、複合体(P+L’+T)を合成する工程
修飾リガンド化合物(L’)に1,3,5−トリアジン化合物(T)を反応させて脱水縮合剤(L’+T)を合成した後に、タンパク質(P)と相互作用させ、複合体(P+L’+T)を合成することもできる。
工程2’)及び3’)はそれぞれ、前記3)及び2)と同様に行うことができる。
4)糖アミン化合物(A)を反応させる工程。
本発明において、糖アミン化合物(A)を反応させる工程は、上記3)又は3’)の工程により得られた水溶液に、前記糖アミン化合物(A)の水溶液を加えることにより行うことができる。糖アミン化合物(A)の濃度、本工程の反応温度、及び反応時間は、適宜決定することができる。本工程は、必要に応じて上記3)又は3’)の工程の後に行ってもよいし、3)又は3’)の工程と本工程を同時に行ってもよい。
反応終了後、反応溶液に含まれる修飾リガンド化合物(L’)、未反応の1,3,5−トリアジン化合物(T)や糖アミン化合物(A)、さらに反応に伴って1,3,5−トリアジン化合物(T)から生じる化合物、その他の副生成物等、低分子化合物は、透析、限外ろ過、超遠心、ゲルろ過クロマトグラフィー等の精製過程を繰り返すことによって、N型糖タンパク質(P+A)から分離除去することができる。
前記タンパク質(P)は、上記修飾リガンド化合物(L’)が相互作用した場合に、修飾リガンド化合物(L’)上の第3級アミンと1,3,5−トリアジン化合物(T)から生じる脱水縮合剤を用いて、タンパク質(P)上のカルボキシ基、及び糖アミン化合物(A)上のアミノ基を、脱水縮合反応させることで、タンパク質(P)上のカルボキシ基と糖アミン化合物(A)が結合し、N型糖タンパク質(P+A)が製造される。
本発明において、N型糖タンパク質(P+A)の検出方法は特に限定されないが、例えば、N型糖タンパク質(P+A)を自体公知の手段、例えば、ゲルろ過、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)などの方法により分析し、得られた各画分を導入された糖鎖に結合する標識化レクチン(例えば、Horseradish Peroxidase(HRP)標識化レクチン)と作用させた後に化学発光で測定することにより、検出することができる。
本発明の方法により、所望のN型糖鎖全体を直接導入することができるが、糖アミン化合物(A)がN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)である場合は、導入されたGlcNAcを糖受容体(アクセプター)とし、還元末端がオキサゾリンに変換されたGlcNAcである糖鎖を糖供与体(ドナー)として糖転移反応を行うことにより所望のN型糖タンパク質に導くこともできる(例えば、非特許文献2:M.Umekawa et al.,Biochimica et Biophysica Acta,2010,1800,1203を参照)。
例えば、下記反応スキームに示すように、まず、本発明の方法によりタンパク質(P)の任意のアスパラギン酸残基の側鎖カルボキシ基にGlcNAcを導入して糖受容体を得、次いで、還元末端がオキサゾリンに変換されたGlcNAcである糖鎖(以下、単に糖供与体という)と、糖転移酵素を作用させると、タンパク質(P)に導入したGlcNAcの4位水酸基に対して糖供与体の糖鎖を付与できる。
糖供与体として用いられる還元末端がオキサゾリンに変換されたGlcNAcである糖鎖は、自体公知の方法、例えば、国際公開第2008/111526号パンフレットや非特許文献2の記載に準じて調製することができる。
また、オキサゾリンに変換される糖供与体の還元末端は、2位にアセトアミド基を有するものであればGlcNAc以外でもよく、例えば、還元末端がオキサゾリンに変換されたN−アセチルガラクトサミン又はN−アセチルマンノサミン等である糖鎖も使用することができる。
糖転移酵素としては、ヒトを含めた動物、植物、微生物から得られたもの、遺伝子工学的手法で産生されたリコンビナント酵素、変異型酵素などが包含される。糖転移酵素としては、例えば、キチナーゼ、変異型キチナーゼ、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼなどのエンドグリコシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼなどが挙げられる。
キチナーゼ及び変異型キチナーゼとしては、Bacillus属菌由来のキチナーゼが包含され、S.Shoda et al.,Helvetica Chemic Acta,Vol.85,pp.3919−3936(2002)に開示されているものが挙げられ、例えば、Bacillus circulans WL−12由来のキチナーゼA1及びその変異型キチナーゼ、すなわち、E204Q,D202N,D200N,Y279F,D280N,W433Fなどが挙げられる。
エンドグリコシダーゼとしては、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼが挙げられ、例えば、Mucor hiemalis由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼM(Endo−M)(Yamamoto,K. et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,203,pp.244−252(1994);非特許文献2記載の変異体酵素Endo−M−N175Q)、Arthrobacter protophormiae由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼA(Endo−A)(Takegawa,K. et al.,Biochem.Int.,24,pp.849−855(1991))などが包含される。
ヒアルロニダーゼとしては、哺乳動物由来のもの、例えば、高等動物の睾丸、精液、皮膚、脾臓から得られたもの、ヒル、ハチ毒液、蛇毒から得られたもの、肺炎球菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、ガス壊疽菌などの微生物から得られたものであってもよく、代表的には、牛精巣ヒアルロニダーゼ、羊精巣ヒアルロニダーゼなどが挙げられる。
コンドロイチナーゼとしては、例えば、Flavobacterium heparinum由来のもの、Proteus vulgaris由来のもの、Arthrobacter aurescens由来のものなどが挙げられ、コンドロイチナーゼABC(Proteus vulgaris)、コンドロイチナーゼACII Arthro(Arthrobacter aurescens)、コンドロイチナーゼB(Flavobacterium heparinum)(生化学工業社製)などの市販品を使用できる。
糖転移酵素は、単独で用いることもできるし、また必要に応じて二種又はそれ以上の多種類を適当な割合で混合して用いてもよい。また、糖転移酵素は、そのままか、或いは樹脂等に固定化した形で使用することもできる。
糖転移酵素としては、Endo−Mが好ましく、Endo−M−N175Qがより好ましい。
糖転移反応は、糖供与体と糖受容体に糖転移酵素を作用させることにより行うことができる。例えば、基質である糖供与体及び糖受容体の水溶液に、酵素を含有する緩衝液または水溶液を混合することで反応を開始することができる。反応は、通常、水中、或いは水と水混和性の有機溶媒(例えば、エタノール、メタノール、ジオキサン、ジメチルスルホキシド等)との混合系、さらには、水に実質的に不溶性ないし難溶解性の有機溶媒(例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、塩化メチレン等)と水との液体二相系で行うことができるが、一般的には水性系で行うことが好ましい。
反応条件は、使用する基質及び酵素により反応を損なわない範囲で適宜決定することができる。例えば、基質である糖供与体並びに糖受容体の濃度は、好ましくは0.001〜20%、より好ましくは0.01〜10%である。反応液のpHは、好ましくは5〜13、より好ましくは6〜10であり、反応温度は好ましくは10〜50℃、より好ましくは20〜40℃である。pHを安定させるために緩衝液(例えば、リン酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、Tris緩衝液など)を使用することもできる。さらに、pHを調節するために、酸、塩基を使用して調節することもできる。また、反応時間は、1分間〜200時間、好ましくは20分間〜150時間であるが、それぞれの酵素濃度や使用する糖供与体並びに糖受容体により適宜決められる。
例えば、キチナーゼA1及びその変異型キチナーゼ、Endo−A、Endo−Mなどでは、その酵素が安定であるpHを採用でき、例えば、pH約4〜7、望ましくはpH5.5〜6であり、温度は、例えば、50℃以下の温度、好ましくは37℃付近で反応を行えば良い。
また、糖転移反応は、固定化酵素をカラムに充填し、基質の水溶液を連続的に流すバイオリアクターの形態で行ってもよい。
天然のN型糖タンパク質の糖鎖はすべて、GlcNAcがアスパラギン側鎖に直接結合した下記式で表される基本構造を有しており、この構造からさらに多くの糖が結合して様々な機能を発現している。
本発明の方法により、GlcNAcをタンパク質の任意のアスパラギン酸残基の側鎖カルボキシ基に導入できることから、上記糖転移反応と組み合わせることにより上記基本構造を有するN型糖鎖全体をタンパク質に導入する方法が確立できたといえる。
さらに、本発明の方法により、GlcNAcをタンパク質の任意のグルタミン酸残基の側鎖カルボキシ基にも導入できることから、上記基本構造を有する非天然型のN型糖鎖タンパク質も製造可能と考えられる。
さらに、本発明の方法により、様々な機能及び有用性を有する新規なタンパク質を合成することができる。
例えば、ストレプトアビジンは、ビオチン誘導体に特異的に結合する生化学用研究ツールとして用いられるタンパク質であるが、水溶性が低いという問題がある。本発明の方法により糖鎖が導入されたストレプトアビジンは、水溶性が増大し、取扱いが容易になるという利点を有すると考えられる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)修飾リガンド化合物の合成
リガンド化合物(L)の第3級アミンの修飾について、具体的に例示して説明する。ここで、タンパク質(P)はストレプトアビジン、リガンド化合物はビオチン、第3級アミンはN−メチルモルホリンである。
以下の方法により、化合物1を出発原料として、6−アミノ−N−[2−(4−メチルモルホリン−2−イル)エチル]ヘキサン酸アミド トリフルオロ酢酸塩(化合物7)を合成した。次に、化合物7と化合物8を脱水縮合して修飾リガンド化合物を合成した(化合物9)。
1)化合物2の合成
化合物2として、以下の方法により、(4−メチルモルホリン−2−イル)メチル パラトルエンスルホネートを合成した。
文献既知の化合物1(Briks,R.S. et al.,J.Org.Chem.52,5247−5254)(2.24g,17.2mmol)を塩化メチレン(50mL)に溶かし、0℃に冷やした後、パラトルエンスルホニルクロリド(3.60g,18.9mmol)、トリエチルアミン(3.6mL,25.8mmol)を加えた。氷浴を取り除いて一晩撹拌した後、反応混合物を塩化メチレンで抽出し、有機層を飽和炭酸ナトリウム(NaCO)、次いで飽和食塩水の順で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:MeOH=80:20)により精製し、化合物2を得た(3.4g,収率70%)。
1H NMR (CDCl3): δ 7.79 (d, J=8Hz, 2H), 7.75 (d, J=8Hz, 2H), 4.03 (dd, J=10, 6Hz, 1H), 3.97 (dd, J=10, 5 Hz, 1H), 3.82 (ddd,J=11, 3, 2Hz, 1H), 3.72 (m, 1H), 3.59 (dt, J=11, 3 Hz, 1H), 2.68 (dt, J=11, 2Hz, 1H), 2.58 (dq, J=12, 4, 2Hz, 1H), 2.45 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 2.08 (dt, J=11, 3Hz,1H), 1.86 (dd, J=11, 10Hz, 1H)
LRMS (ESI): 286 (M+H)+
2)化合物3の合成
化合物3として、以下の方法により、(4−メチルモルホリン−2−イル)アセトニトリルを合成した。
化合物2(3.4g,12.0mmol)をジメチルスルホキシド(6mL)に溶かし、シアン化カリウム(1.57g,24.1mmol)を加え、120℃で4時間反応させた。反応混合物に水(6mL)を加え、AcOEt:EtOH=9:1で抽出し、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=95:5+トリエチルアミン1%)により精製し、化合物3を得た(952mg,収率56%)。
1H NMR (CDCl3): δ 4.22 (dd, J=7.2, 14.5Hz, 1H), 3.90 (ddd, J=11.5, 3.5, 1.8Hz, 1H), 3.80 (m, 1H), 3.69 (td, J=11.5, 2.8Hz, 1H), 2.81 (m, 1H), 2.64 (ddd, J=11.5, 3.8, 1.8Hz, 1H), 2.55 (d, J=6.0Hz, 2H), 2.31 (s, 3H), 2.16 (td, J=11.5, 3.8Hz, 1H), 1.97 (dd, J=10.0, 11.5Hz, 3H)
LRMS (ESI): 141 (M+H)+
3)化合物4の合成
化合物4として、以下の方法により、2−(4−メチルモルホリン−2−イル)エチルアミンを合成した。
水素化リチウムアルミニウム(81.2mg,2.14mmol)のジエチルエーテル懸濁液(3mL)に、化合物3(100mg,0.71mmol)のジエチルエーテル溶液(1mL)を0℃で滴下した。30分後、ジエチルエーテル(8mL)を加えた後に、水(81.2μL)、15%水酸化ナトリウム水溶液(81.2μL)、水(162.4μL)を順次加えた。生じた固体をセライト濾過で除去し、濃縮した。得られた化合物4(66.2mg)は精製することなく、次の反応に用いた。
4)化合物6の合成
化合物6として、以下の方法により、tert−ブチル 6−[2−(4−メチルモルホリン−2−イル)エチルアミノ]−6−オキソヘキシル]カルバメートを合成した。
化合物4(50mg,0.35mmol)、及び化合物5(74.6mg,0.35mmol)のメタノール(1.5mL)溶液に、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM:115mg,0.42mmol)を加え、室温で一時間撹拌した。溶媒のメタノールを一部減圧留去した後、クロロホルムを加え、1M水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=95:5+トリエチルアミン1%)により精製し、化合物6を得た(87.5mg,収率71%)。
1H NMR (CDCl3): δ 6.24 (s, 1H), 4.77 (s, 1H), 3.88 (dd, J=12.0, 3.0Hz, 1H), 3.66 (td, J=11.5, 1.8Hz, 1H), 3.59 (m, 1H), 3.50 (m, 1H), 3.26 (m, 1H), 3.11 (dd, J=14.0, 7.2Hz, 2H), 2.68 (t, J=11.5Hz, 2H), 2.28 (s, 3H), 2.16 (t, J=7.2Hz, 2H), 2.10 (td, J=11.5, 3.0Hz,1H), 1.85 (t, J=11.5Hz, 1H), 1.73-1.57 (m, 4H), 1.56-1.40 (m, 2H), 1.44 (s, 9H), 1.40-1.25 (m, 2H)
LRMS (ESI): 358 (M+H)+
5)化合物7の合成
化合物7として、以下の方法により、6−アミノ−N−[2−(4−メチルモルホリン−2−イル)エチル]ヘキサン酸アミド トリフルオロ酢酸塩を合成した。
化合物6(87mg,0.24mmol)を塩化メチレン(1mL)に溶かし、トリフルオロ酢酸(181μL)を0℃で加え、室温に戻した後、3時間反応させた。濃縮し、得られた化合物7は精製することなく、次の反応に用いた。
6)化合物7および化合物8のアミド化による修飾リガンド化合物の合成(化合物9)
化合物7と文献既知の化合物8(特開2009−175139号公報、87mg,0.24mmol)のメタノール(1mL)溶液に、水酸化ナトリウム(9.7mg,0.24mmol)を水(0.4mL)に溶かして加え、続いて4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM:115mg,0.42mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。溶媒のメタノールを一部減圧留去した後、クロロホルムを加え、1M水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=95:5+トリエチルアミン1%)により精製し、化合物9を得た(88mg,収率61%)。
1H NMR (CD3OD): δ 4.49 (dd, J=7.5, 4.0Hz, 1H), 4.30 (dd, J=7.5, 4.0Hz, 1H), 3.86 (dd, J=11.5, 3.0Hz, 1H), 3.61 (td, J=11.5, 2.0Hz, 1H), 3.29-3.10 (m, 7H), 2.92 (dd, J=12.5, 5.0Hz, 1H), 2.76 (m, 2H), 2.70 (d, J=12.5Hz, 1H), 2.32 (s, 3H), 2.25-2.10 (m, 7H), 1.90 (t, J=11.0Hz, 1H), 1.80-1.20 (m, 20H)
LRMS (ESI): 598 (M+H)+
(実施例2)ストレプトアビジンへのラクトースアミンの導入
糖鎖を持たないタンパク質であるストレプトアビジンを用いた。
(糖鎖導入反応)
ストレプトアビジン水溶液(5μL,55μM)に実施例1で得られたビオチン誘導体のリン酸緩衝液(2μL,800μM)を加えて30分間静置させた。この溶液にリン酸ナトリウム緩衝液(11μL,50mM,pH8.0,NaCl:150mM)、CDMTの5%メタノール含有リン酸緩衝液(6μL,10mM)、ラクトースアミンのリン酸緩衝液(6μL,10mM)を加え、静置させて、室温で8時間反応させた(最終濃度はストレプトアビジン:10μM、ビオチン誘導体:40μM、CDMT:2mM、ラクトースアミン:2mM)。反応終了後、ジメチルエチレンジアミン溶液(4.5μL,500mM)を加えて反応を停止させた。
上記反応系に、阻害剤としてビオチン(3μL,20mM)を加えた系;ビオチン誘導体の代わりにN−メチルモルホリン(2μL,800mM)を加えた系;ビオチン誘導体を加えずにストレプトアビジンとラクトースアミンを混合した系を実施した。
(解析)
上記各反応溶液をSDS−PAGE(18%分離ゲル)で泳動した後に、PVDF膜に転写し、5%BSA/TBS−T(0.5%tween)に3時間浸してブロッキングし、ガラクトースを認識するHRP標識化レクチン(PNA−HRP)の10万倍希釈溶液を用いてブロッティングし、化学発光により、ストレプトアビジンに導入されたラクトースの検出を行った。結果を図4に示す。
Lane1より、ストレプトアビジンにラクトースアミンが導入されたことが確認できた。また、Lane2より、ストレプトアビジンへのビオチン誘導体(修飾リガンド)の結合を阻害することにより、ストレプトアビジンへのラクトースアミンの導入が阻害されることが分かった。Lane3及び4より、ビオチン誘導体(修飾リガンド)が存在しない場合には、ラクトースアミンの導入が阻害されることが分かった。以上の結果より、ラクトースアミンの導入は、ビオチン誘導体(修飾リガンド)とストレプトアビジンの結合を介した反応であることが確認された。
MoAL法ではストレプトアビジンの51番目のグルタミン酸にアミド化が進行することが分かっている(中西修一、博士論文、金沢大学)。したがって、ラクトースアミンは、ストレプトアビジンの51番目のグルタミン酸の側鎖カルボキシ基に導入されたと考えられる。グルタミン結合型糖タンパク質は、細胞培養などでは合成できないため、本発明により、初めて合成可能になったと言える。
また、N型糖鎖はアスパラギン−X−セリン/トレオニン(Xはプロリン以外の任意のアミノ酸)というペプチド鎖領域のアスパラギンにのみ導入されるが、本発明の手法ではそのような制限はないために、任意のアスパラギン酸・グルタミン酸にN型糖鎖を導入することができる。
さらには、天然のN型糖鎖にラクトースアミンが結合したものは存在しないが、実施例2により非天然型のN型糖鎖をタンパク質の任意のカルボキシ基に導入可能であることが立証された。このように、本発明の方法は酵素を用いていないため、導入できる糖鎖の構造は制限されず、糖にアミノ基が結合していれば任意の糖鎖が導入できるため、酵素や生体を用いた従来法では合成不可能な糖タンパク質も合成可能となる。
(実施例3)ストレプトアビジンへのN−アセチルグルコサミンアミン(GlcNAcアミン)の導入
(糖鎖導入反応)
ストレプトアビジン水溶液(5μL,55μM)に実施例1で得られたビオチン誘導体のリン酸緩衝液(2μL,800μM)を加えて30分間静置させた。この溶液にリン酸ナトリウム緩衝液(11μL,50mM,pH8.0,NaCl:150mM)、CDMTの5%メタノール含有リン酸緩衝液(6μL,10mM)、N−アセチルグルコサミンアミン(GlcNAcアミン)のリン酸緩衝液(6μL,10mM)を加え、静置させて、室温で8時間反応させた(最終濃度はストレプトアビジン:10μM、ビオチン誘導体:40μM、CDMT:2mM、GlcNAcアミン:2mM)。反応終了後、ジメチルエチレンジアミン溶液(4.5μL,500mM)を加えて反応を停止させた。
上記反応系に、阻害剤としてビオチン(3μL,20mM)を加えた系;ビオチン誘導体の代わりにN−メチルモルホリン(2μL,800mM)を加えた系;ビオチン誘導体を加えずにストレプトアビジンとGlcNAcアミンを混合した系を実施した。
(解析)
上記各反応溶液をSDS−PAGE(18%分離ゲル)で泳動した後に、PVDF膜に転写し、5%BSA/TBS−T(0.5%tween)に3時間浸してブロッキングし、GlcNAcを認識するHRP標識化レクチン(WGA−HRP)の10万倍希釈溶液を用いてブロッティングし、化学発光により、ストレプトアビジンに導入されたGlcNAcの検出を行った。結果を図5に示す。
Lane1より、ストレプトアビジンにGlcNAcアミンが導入されたことが確認できた。また、Lane2より、ストレプトアビジンへのビオチン誘導体(修飾リガンド)の結合を阻害することにより、ストレプトアビジンへのGlcNAcアミンの導入が阻害されることが分かった。Lane3及び4より、ビオチン誘導体(修飾リガンド)が存在しない場合には、GlcNAcアミンの導入が阻害されることが分かった。以上の結果より、GlcNAcアミンの導入は、ビオチン誘導体(修飾リガンド)とストレプトアビジンの結合を介した反応であることが確認された。
実施例3より、本発明の方法により、タンパク質の特定の側鎖カルボキシ基にGlcNAcアミンを導入できることが明らかとなった。本発明の方法により得られるGlcNAcアミンを導入されたタンパク質を原料に用いて、糖転移反応により所望の糖鎖を付与することにより、N型糖鎖の基本骨格を有するタンパク質を合成する方法が確立できたといえる。
また、実施例2及び3により合成された糖鎖が導入されたストレプトアビジンは、糖鎖を有していないストレプトアビジンよりも水溶性が向上していると考えられ、取扱いが容易な新規な生化学用研究ツールが提供できた。
本発明により、真核細胞培養による従来の製造方法によっては得ることが困難であった任意の均一なN型糖鎖構造がタンパク質に位置選択的に導入されたN型糖タンパク質を安価に製造する方法が提供される。本発明の方法により、培養や酵素を用いた方法では合成できない新規なN型糖タンパク質が合成できるようになった。

Claims (10)

  1. 以下の工程を含むN型糖タンパク質の製造方法:
    1)リガンド化合物(L)を第3級アミンで修飾し、修飾リガンド化合物(L’)を調製する工程;
    2)前記修飾リガンド化合物(L’)と、タンパク質(P)とを混合する工程;
    3)前記修飾リガンド化合物(L’)と相互作用したタンパク質(L’+P)に、1,3,5−トリアジン化合物(T)を反応させ、複合体(P+L’+T)を合成する工程;
    4)さらに糖アミン化合物(A)を反応させ、N型糖タンパク質(P+A)を合成する工程。
    ここで、タンパク質(P)は、側鎖及び/又はC末端にカルボキシ基を有している化合物であり、
    リガンド化合物(L)は、タンパク質(P)と相互作用しうる化合物である。
  2. 以下の工程を含むN型糖タンパク質の製造方法:
    1)リガンド化合物(L)を第3級アミンで修飾し、修飾リガンド化合物(L’)を調製する工程;
    2’)前記修飾リガンド化合物(L’)と1,3,5−トリアジン化合物(T)を反応させ、脱水縮合剤(L’+T)を合成する工程;
    3’)前項2’)の脱水縮合剤(L’+T)とタンパク質(P)とを混合し、複合体(P+L’+T)を合成する工程;
    4)さらに糖アミン化合物(A)を反応させ、N型糖タンパク質(P+A)を合成する工程。
    ここで、タンパク質(P)は、側鎖及び/又はC末端にカルボキシ基を有している化合物であり、
    リガンド化合物(L)は、タンパク質(P)と相互作用しうる化合物である。
  3. 1,3,5−トリアジン化合物(T)が、下記式(I):
    [式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホ基、ホスホ基、−R−R(ここで、Rは、−(C2mQ)であり、Qは、OまたはNR13であり、Rは、水素原子、アルキル基、スルホ基、ホスホ基、又はアミノ基、アンモニオ基、スルホ基若しくはホスホ基を有するアルキル基であり、R13は、アルキル基、又はアミノ基、アンモニオ基、スルホ基若しくはホスホ基を有するアルキル基であり、mは1〜30の整数であり、nは1〜120の整数である。)及び、アミノ基、アンモニオ基、スルホ基若しくはホスホ基を有するアルキル基からなる群より選ばれる置換基であり、Xは、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基、又はN−メチルモルホリニウム基である。]で表される化合物である、請求項1または2記載の方法。
  4. 1,3,5−トリアジン化合物(T)が、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンである、請求項1または2記載の方法。
  5. リガンド化合物(L)が、ビオチン、ワルファリン、フェニトイン、フェニルブタゾン、ブコローム、アセチルサリチル酸、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、N−アセチル−L−トリプトファン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、ジアゼパム、ジギトキシン、インドメタシン、イブプロフェン、ヘキサメトニウム、デカメトニウム、及びPhos−tag(登録商標)から選ばれる構造を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 第3級アミンが、下記式(II):
    [式中、R、R及びRのうち1つ又は2つは、リガンド化合物(L)に対して結合を形成しうる官能基を含む置換基であり、残りのR、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、−CHCOOR、又はCHCONR10(ここで、R、R、及びR10はそれぞれ独立して水素原子、又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、又は−(C2yO)14であり、R14は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はアリールアルキル基であり、yは1〜30の整数であり、zは1〜120の整数である)である]、または下記式(III):
    [式中、R11は、リガンド化合物(L)に対して結合を形成しうる官能基を含む置換基であり、R15はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はアリールアルキル基である。]で表される化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 糖アミン化合物(A)が、
    N−アセチルグルコサミンアミン、N−アセチルガラクトサミンアミン、N−アセチルマンノサミンアミン、アロースアミン、タロースアミン、グロースアミン、グルコースアミン、アルトロースアミン、マンノースアミン、ガラクトースアミン、グルクロン酸アミン、ガラクツロン酸アミン、デオキシリボースアミン、フコースアミン、ラムノースアミン、イドースアミン、リボースアミン、リキソースアミン、キシロースアミン、アラビノースアミン、エリトロースアミン、トレオースアミン、セドヘプツロースアミン、コリオースアミン、プシコースアミン、フルクトースアミン、ソルボースアミン、タガトースアミン、リブロースアミン、キシルロースアミン、エリトルロースアミン、及びシアル酸アミンから選ばれるアノマー位にアミンが結合した単糖アミン;および
    前記単糖アミンに対応する単糖から構成される糖鎖であって、還元末端のアノマー位にアミンが結合している糖鎖アミン;
    前記単糖アミン又は糖鎖アミンの水酸基、アミノ基、及びカルボキシ基の少なくとも1つが、アシル化、エステル化、硫酸エステル化、及び/又はリン酸エステル化で修飾された糖アミン;及び
    グルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミン、及びシアル酸から選ばれるアミノ基を有する糖
    からなる群より選択される化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. タンパク質(P)が、アビジン、ストレプトアビジン、ヒト血清アルブミン、シクロオキシゲナーゼ−1、ニコチン性アセチルコリン受容体、カゼイン、α−酸性糖タンパク又はリン酸化タンパク質である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 糖アミン化合物(A)が、N−アセチルグルコサミンアミンであり、かつ、タンパク質(P)が、ストレプトアビジンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法
  10. 糖アミン化合物(A)が、ラクトースアミンであり、かつ、タンパク質(P)が、ストレプトアビジンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法
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