JP6156105B2 - 電動ドライバ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電動操作で所望箇所にタッピンネジを締め付ける電動ドライバ装置に関する。
従来の電動ドライバ装置として、例えば特開2002−86320号公報(特許文献1)に開示されたものが知られている。該特許文献1では、タッピンネジを電動操作で所望箇所に締め付ける際に、ドライバビットがネジ孔(例えば、十字孔)から外れる現象、所謂カムアウトを防止するために、エアーシリンダのエアー圧によりタッピンネジに推力発生させている。
特開2002−86320号公報
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来例は、エアーシリンダを用いてタッピンネジに推力を加えているので、複雑なエアー回路等が必要となり、装置構成が大がかりとなる。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、小型化することが可能な電動ドライバ装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、回転軸の推力を保持する推力保持機構を備える。推力保持機構は、回転軸に対して同心円状に配置され、内周面が平面視円弧形状に形成され、且つ、内周面には雄ネジと螺合する雌ネジ溝が形成され、且つ、同心円状の径方向にスライド移動可能な複数の雌ネジ部材を有する。また、各雌ネジ部材を径方向の内側に収束させたクランプ状態、または、各雌ネジ部材を径方向の外側に開放させたアンクランプ状態を切り替える切り替え手段を備える。更に、少なくともタッピンネジの締め込み時には雌ネジ部材をクランプ状態とし、それ以外の場合には、雌ネジ部材をアンクランプ状態とするように、切り替え手段を制御する制御手段を備える。
本発明に係る電動ドライバ装置では、タッピングネジの締め込み時には、雌ネジ部材をクランプ状態とする。従って、雌ネジ部材により形成される雌ネジと雄ネジが螺合するので、タッピングネジの締め込み時に生じる反力を確実に抑えるように推力を発生させることができる。その結果、装置構成を小型化することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る電動ドライバ装置の構成を示す全体図である。 本発明の一実施形態に係る電動ドライバ装置の、推力保持機構の構成を示す説明図であり、(a)は側断面図、(b)は(a)に示すA−A矢視図である。 本発明の一実施形態に係る電動ドライバ装置の、推力保持機構の構成を示す説明図であり、アンクランプ状態としたときの様子を示す。 本発明の一実施形態に係る電動ドライバ装置の、推力保持機構に用いられる雌ネジ部材の構成を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る電動ドライバ装置の、作用を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電動ドライバ装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電動ドライバ装置100は、電動モータ32が内蔵され、該電動モータ32の出力軸に連結された回転軸を有するドライバ本体11と、該ドライバ本体11に設けられる回転軸12(図2参照)の先端部に着脱可能に取り付けられるドライバビット13と、回転軸12の適所に設けられる推力保持機構14と、を備えている。ドライバビット13は、固定金具26により回転軸12に取り付けられている。即ち、該固定金具26により、所望する種類のドライバビットに交換することができる。
そして、ドライバビット13の先端にタッピンネジ17の頭部(例えば、十字溝)を係合させ、この状態でタッピンネジ17を所望の締め付け位置まで移動させ、推力保持機構14にて推力を加えた状態(詳細については後述する)で回転軸12(図2参照)を回転させることにより、タッピンネジ17による締め付けを行うことができる。なお、本実施形態で使用する「タッピンネジ」とは、雌ネジを必要とせず、自身で部材にねじ立てしながらねじ込むことができるネジのことである。
ドライバ本体11の内部には、上述した電動モータ32の駆動を制御し、且つ、後述するエアーシリンダ24(図2(b)、図3参照)の駆動を制御する制御部31(制御手段)が設けられている。なお、制御部31は、例えば、中央演算ユニット(CPU)や、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶手段からなる一体型のコンピュータとして構成することができる。
また、ドライバ本体11は、ロボットハンド取付部15に固定されている。即ち、ロボットハンド取付部15には、互いに直交する2個のフランジ15a,15bが設けられており、このうちフランジ15bには、ドライバ本体11、及び推力保持機構14が連結されている。また、フランジ15aには、多関節ロボットのアーム(図示省略)が連結される。即ち、ドライバ本体11は、多関節ロボットと連結されることにより、3次元的に移動することが可能であり、所望の締め付け部位にドライバビット13を移動させた状態で締め付けを行うことが可能である。
次に、推力保持機構14の詳細な構成について説明する。図2(a)は推力保持機構14の側断面図であり、図2(b)は図2(a)に示すA−A矢視図である。推力保持機構14は、回転軸12の推力を保持するための機構である。図2(a)、(b)に示すように、推力保持機構14は円柱形状を成しており、上面及び下面には本体カバー18a,18bが設けられ、周囲部にはクランプリング19が設けられている。そして、該推力保持機構14は、図1に示したフランジ15bに固定されている。
本体カバー18a,18bは、平板形状の金属で形成されており中心部に中央開口部25が形成され、該中央開口部25には回転軸12が挿通している。また、推力保持機構14の内部において、回転軸12には、該回転軸12と同心状の雄ネジ16が取り付けられている。この雄ネジ16は、回転軸12に固定されている。即ち、雄ネジ16は、回転軸12に対して回転しない。また、雄ネジ16のピッチ(1回転で軸方向に進む距離)は、タッピンネジ17のピッチと同一とされている。
また、推力保持機構14の内部には、4個の雌ネジ部材20が設けられている。各雌ネジ部材20は、回転軸12に対して同心円状に配置され、内周面が平面視円弧状に形成されている。また、径方向に向けてスライド移動可能に設けられている。
各雌ネジ部材20の中心線は、互いに90°の角度間隔とされている。また、各雌ネジ部材20の内周面には、上述した雄ネジ16と螺合する雌ネジ溝が形成されている。更に、後述する機構により、各雌ネジ部材20が径方向の内側へ収束したクランプ状態、及び径方向の外側へ開放したアンクランプ状態に切り替えることができる。そして、クランプ状態とされた際(4個の雌ネジ部材20が内側に収束して雌ネジが形成された場合)には、雄ネジ16と、4個の雌ネジ部材20により形成された雌ネジとが係合する。一方、アンクランプ状態とされた場合には、各雌ネジ部材20は雄ネジ16と係合しない。そして、タッピンネジ17の締め込み時にはクランプ状態とし、それ以外の場合には、アンクランプ状態とする。
以下、各雌ネジ部材20の詳細な構成について説明する。図4は、雌ネジ部材20の斜視図である。図4に示すように、雌ネジ部材20の内周面20aは平面視円弧形状とされ、該内周面20aには、雌ネジ溝が形成されている。また、上下方向に貫通するように、長孔20bが穿設され、該長孔20bには、一部破断円柱形状(柱体形状)のロケートピン21(支持部材)が挿通されている。長孔21bは、径方向が長手方向とされている。該ロケートピン21の上端及び下端は本体カバー18a,18b(図2(a)参照)に固定されている。また、図2(a)に示すように、雌ネジ部材20の外周面は、クランプリング19の内面と接している。
また、図4に示すように、雌ネジ部材20の内周面20aには、径方向に向けて2つの円筒形状の開口部20c,20dが形成されている。各開口部20c,20dは、内周面側が開口され、外周面側が閉鎖されている。そして、各開口部20c,20d内には、それぞれスプリング22が挿入されている。即ち、開口部20c,20d内にはスプリング22がそれぞれ挿入され、且つ、長孔20b内にロケートピン21が挿通される。従って、各スプリング22は、ロケートピン21により支持されることになる。この際、スプリング22は、該スプリング22が延びる方向に付勢される。
クランプリング19は、図2(b)、図3に示すように、90°の角度毎に内側半径が徐々に変化するカム構造を有している。更に、該クランプリング19の外周には、ブラケット23を介してエアーシリンダ24が接続されている。そして、該エアーシリンダ24のストローク動作により、クランプリング19は90°未満の角度の範囲で回転する。該クランプリング19を回転させることにより、各雌ネジ部材20を径方向に移動させることができる。
即ち、図3に示すように、エアーシリンダ24のストロークが収縮した状態(クランプリングが他方へ回転した場合)では、クランプリング19は各雌ネジ部材20を内側に向けて押し付けないので、各雌ネジ部材20はスプリング22の付勢力により外側に押される。つまり、各雌ネジ部材20の雌ネジ部は雄ネジ16に係合されないアンクランプ状態となる。
一方、エアーシリンダ24のストロークが延出すると(クランプリングが一方へ回転した場合)、図2(b)に示すように、クランプリング19が90°未満の角度で回転することにより、該クランプリング19のカム機構(切り替え手段)により、該クランプリング19の内面が各雌ネジ部材20を内側に押し付けることになる。その結果、各雌ネジ部材20は、スプリング22の付勢力に抗して内側に押し付けられ、4つの雌ネジ部材20により形成される雌ネジが、雄ネジ16と係合する。つまり、雄ネジ16に対して雌ネジが係合したクランプ状態となる。
従って、エアーシリンダ24に供給するエアーを制御することにより、クランプ状態とアンクランプ状態を切り替えることができる。エアーシリンダ24、及びクランプリング19のカム機構は、クランプ状態とアンクランプ状態を切り替える切り替え手段としての機能を備えている。
次に、上述した本実施形態に係る電動ドライバ装置100の作用を、図5に示すフローチャートを参照して説明する。この制御は、図1に示した制御部31、及び3次元ロボットを制御するロボットコントローラ(図示省略)により実行される。
初めに、ステップS11において、ドライバビット13の先端部にタッピンネジ17をセットする。次いで、ステップS12において、ワーク(タッピンネジを締め付ける材料)に対するタッピンネジ17の先端位置を決める。即ち、予め設定されているタッピンネジ17の締め付け位置に、該タッピンネジ17の先端部が来るように、3次元ロボットのアームを制御する。
ステップS13において、エアーシリンダ24を作動させて、各雌ネジ部材20をクランプ状態とする。即ち、前述したように、エアーシリンダ24を収縮状態から延出状態に切り替えることにより、クランプリング19を所定角度だけ回転させる。そして、カム機構の作用により、各雌ネジ部材20を内側にスライドさせて、クランプ状態とする。つまり、各雌ネジ部材20には、長孔20bが穿設されており、該長孔20bにはロケートピン21が挿通しているので、ロケートピン21に対して長孔20bが移動することにより、雌ネジ部材20はこの長孔20bの分だけ内側に移動する。この状態において、回転軸12に固定された雄ネジ16と各雌ネジ部材20にて形成された雌ネジが係合する。
ステップS14において、電動モータ32を回転駆動させ、タッピンネジ17を締め付ける。この際、上述したように、タッピンネジ17のピッチと、雄ネジ16のピッチが同一となるように設定されているので、回転軸12が一回転する際の、タッピンネジ17の軸方向の移動量と、雄ネジ16の雌ネジに対する軸方向の移動量は一致する。従って、無理無くタッピンネジ17を所望の部位に締め付けることができる。
その後、ステップS15において、モータに作用するトルクが一定値に達した場合には、タッピンネジ17の締め付けは完了したものと判断し、エアーシリンダ24を作動させて各雌ネジ部材20をアンクランプ状態とする。こうして、タッピンネジ17の締め付け操作が行われるのである。
このようにして、本実施形態に係る電動ドライバ装置100では、電動モータ32を回転させてタッピンネジ17の締め付けを行う際には、各雌ネジ部材20を内側に収束させてクランプ状態とする。そして、クランプ状態では、回転軸12に設けられた雄ネジ16に対して雌ネジ部材20にて形成される雌ネジが係合した状態となる。また、推力保持機構14はロボットハンド取付部15のフランジ15bに固定されているので、ドライバビット13に過大な反力が発生した場合でも、この反力を抑えることができる。その結果、ドライバビット13の先端部がタッピンネジ17の頭部から外れる現象、所謂カムアウトの発生を防止することが可能となる。
また、コンプレッサ等によるエアー圧にて推力を発生させる構成ではないので、大がかりなエアーシリンダ等を搭載する必要が無く、装置構成を小型化することができる。その結果、ロボットアームの先端に取り付け易くすることができる。
更に、エアーシリンダ24によりクランプリング19を回転させて、雌ネジ部材のクランプ状態、及びアンクランプ状態を切り替えるので、極めて簡単な方式でクランプ状態、アンクランプ状態を切り替えることができる。
また、雌ネジ部材20が、90°の間隔で4個設けられ、該雌ネジ部材20をクランプ状態とすることにより、雄ネジ16と係合する雌ネジを形成するので、クランプ状態とアンクランプ状態を容易に切り替えることができる。
更に、雌ネジ部材20は、長孔20bを備えており、該長孔20b内にロケートピン21を挿通し、該ロケートピン21に支持されて雌ネジ部材20が径方向にスライド移動するので、雌ネジ部材20を安定的にスライド移動させて、クランプ状態、及びアンクランプ状態を切り替えることができる。
また、雌ネジ部材20の回転軸12方向の長さが、雄ネジ16の回転軸方向の長さよりも長いので、雌ネジ部材20が回転軸12の方向に変位した場合でも、確実に雌ネジと雄ネジ16が係合することになり、ドライバビット13に生じる反力を確実に抑えることが可能となる。
以上、本発明の電動ドライバ装置100を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
例えば、上述した実施形態では、4個の雌ネジ部材20を用いて雄ネジ16と係合する雌ネジを形成する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数個の雌ネジ部材で構成することが可能である。
11 ドライバ本体
12 回転軸
13 ドライバビット
14 推力保持機構
15 ロボットハンド取付部
15a,15b フランジ
16 雄ネジ
17 タッピンネジ
18a,18b 本体カバー
19 クランプリング
20 雌ネジ部材
20a 内周面
20b 長孔
20c,20d 開口部
21 ロケートピン
22 スプリング
23 ブラケット
24 エアーシリンダ
25 中央開口部
26 固定金具
31 制御部
32 電動モータ
100 電動ドライバ装置

Claims (5)

  1. タッピンネジの頭部を係合させ、該タッピンネジを所望の箇所に締め付ける電動ドライバ装置において、
    回転軸と、
    前記回転軸を回転駆動する電動モータと、
    前記回転軸の先端に取り付けられるドライバビットと、
    前記回転軸の適所に固定され、前記タッピンネジと同一のピッチを有する雄ネジと、
    前記回転軸の推力を保持する推力保持機構と、を有し、
    前記推力保持機構は、
    前記回転軸に対して同心円状に配置され、内周面が平面視円弧形状に形成され、且つ、前記内周面には前記雄ネジと螺合する雌ネジ溝が形成され、且つ、同心円状の径方向にスライド移動可能な複数の雌ネジ部材と、
    前記各雌ネジ部材を径方向の内側に収束させたクランプ状態、または、前記各雌ネジ部材を径方向の外側に開放させたアンクランプ状態を切り替える切り替え手段と、を含み、
    少なくとも前記タッピンネジの締め込み時には前記雌ネジ部材をクランプ状態とし、それ以外の場合には、前記雌ネジ部材をアンクランプ状態とするように、前記切り替え手段を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする電動ドライバ装置。
  2. 前記切り替え手段は、
    各雌ネジ部材を前記径方向の外側に付勢するスプリングと、
    一方へ回転した際にはこの回転に伴って前記スプリングの付勢力に抗して各雌ネジ部材を径方向の内側へ移動させ、他方へ回転した際には、前記スプリングの付勢力により各雌ネジ部材を径方向の外側へ移動させるクランプリングと、
    前記クランプリングを所定角度の範囲内で前記一方、或いは他方へ回転させるエアーシリンダと、を備え、
    前記制御手段は、
    前記クランプ状態とする際には、前記クランプリングを一方へ回転させ、アンクランプ状態とする場合には、前記クランプリングを他方へ回転させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の電動ドライバ装置。
  3. 前記雌ネジ部材は、90°の角度間隔で4個設けられており、前記クランプリングは、90°の角度毎に内面の半径が徐々に変化するカム機構を備えていることを特徴とする請求項2に記載の電動ドライバ装置。
  4. 前記雌ネジ部材は、前記回転軸の方向に貫通し且つ径方向が長手方向とされた長孔を有し、
    前記推力保持機構は、柱体形状をなし、且つ、該柱体形状の上面から下面に向けて配置され前記長孔を通る支持部材を有し、
    前記雌ネジ部材は、前記支持部材に支持されて径方向にスライド移動することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動ドライバ装置。
  5. 前記雌ネジ部材の、回転軸方向の長さは、前記雄ネジの回転軸方向の長さよりも長いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動ドライバ装置。
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